2017-05-20 10:16:04 更新

概要

 くそみてぇな文才なのに無理しちゃって……。(嘲笑)


前書き

 続きです。
 KENZENを目指しています。


「……またか」


 俺は辟易しながら本部から届いた書類を見つけた。

 前回の敗因は説明書を読まなかったことだと思う。

 まあ、前回の説明書なかったんだけどね。


 前回、俺は肉体改造薬?を飲んで過去の電と同じ立場からの感覚を受けた。

 個人的にはいい経験だったと思うし、そのおかげで今は艦娘達と深い溝なく話しが出来ている。


 兎に角だ、俺は説明書を読もうと思う。


『本部開発:ケッコンカッコカリ指輪 α版


 現在開発途中であるケッコンカッコカリ指輪は艦娘達の能力の底上げ、低燃費化を図ろうとしている。

 しかし、全段階では試験が不十分であり、現場の提督が艦娘に告白をし、ケッコンカッコカリ指輪 α版を使用してもらい変化報告をしてもらいたい。

 但し、練度99に限る。』


「……条件、厳しく無いか?」


 練度99、俺はまだ来てそんなに時間が経っていない。

 そんな中で練度99といったら……。


「電、だけか」


 何故駆逐艦である電の練度が高いのは簡単な理由がある。

 それは初めての艦娘だから、だ。


 俺は初期の頃の奴は大事にする。

 ポケ〇ンでいうジグザ〇マみたいな奴を俺は四天王戦まで連れて行ったりする事がざらだったりする。

 そんな訳で、俺は電だけが練度99なのだ。


「しかし……どうするか」


 一言で言うなら事案だ。

 幼女に声をかける男(180cm以上)、足長おじさんならともかく、それが口説き文句ってことが問題だ。


「……でもなぁ」


 やらないと怖い。

 人体実験とかされそう。

 もう一回以上されてるのに。


「……仕方ないか」


 俺は電に告白することに決めた。


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「しかし……告白かぁ」


 自慢じゃないが俺は今まで女性との関係なんて持ったことないし、告白なんて大それた事はやったことない。

 はっきり言おう、めっちゃ恥ずかしい。

 それと同時に、今までの関係が崩れてしまうのでは……とか、余計なことも考えてしまう。

 そしてやっぱり、幼すぎると俺は今でも思っている。


「……あ? あ、そっか、そういう事か」


 俺はなんて勘違いをしていたのだろう。

 本部の言う告白が青春真っ只中の甘酸っぱいものになる筈が無い。

 簡単に説明すると、「指輪つーけて」「いーいよ」みたいなレベルだ。


「気が付いてよかったな、このままガチの告白する所だった」


 せめて彼女が16歳になるまでは待ちたいな。


 俺は意気揚々と、電の居る部屋に向かった。


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「電、いるか?」


 扉をノックし返事を待つ。

 しかし、返事は無く、もう一度ノックを繰り返す。


「電? 居るか?」


 不思議に感じた俺は無断だが、電の部屋の扉を開ける。


「寝てたのか」


 彼女は小さな寝息を立て、ぐっすりと眠っていた。

 その可愛さに思わず笑みがこぼれそうになるが、電を起こそうと近づく。


(……ちょっと待てよ? 今指輪を付ければ万事解決な気が……)


 この時の俺は何を思ったのか、電に無断で指輪を付けてしまった。

 俺は指輪を付けたことだけ満足してしまい、電に説明もせずにその場から離れてしまった。


(お休み、電)


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「……んっ?」


 目を覚ますと、何時もと変わらない視界に銀色の指輪が見えた。


「えっ?」


 左手薬指にある其の指輪からは、じんわりと熱が流れ込んで来るみたいだった。

 それ以上に、私の心はあることに胸躍らせていた。


「これって……提督さん?」


 艦娘の宿舎に寝ている間に忍び込める男性など、提督以外にはいない。

 その指輪を見つめていると、思わず、目から熱い何かが溜まっていった。


「やっと、思いが、通じ、たんですね」


 流れ出そうになる瞼をこすり、私はベットから抜け出し、執務室に向かう。


(提督さん……)


 まるで鼻歌でも歌い、スキップしているかのように執務室に向かっていた。


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 コンコンッ。


「失礼します!」


「はい、どうぞ」


 俺は書類の山を片付けながら、ドアをノックした人にそう言う。


(ん? この声……電?)


 若干強張った声になっていたので、思わず誰なのか一瞬迷ってしまった。

 電は何処か柔らかい雰囲気を出しながら、俺の机の前で敬礼した。


「あ、あの! 提督さん! こ、こここここここ、こここの、ゆ、指輪、は……」


(ああ、指輪の説明か……そういえばして無かったな)


 異常に噛みまくっている電を横目に俺は足元から書類を取り出す。

 電はその書類を見て、ポカンとしている用だった。

 俺は封筒から書類を取り出し、電に説明を始めた。


「その指輪は、ケッコンカッコカリ指輪っていう本部の試作品だ。艦娘の能力の底上げ、運用コストの低下を実現させるために開発された物らしい。まあその試作品が渡されたんだ」


「…………えっ? 提督、さん?」


 電は信じられないという表情で大きく目を見開いていた。


「じゃ、な、何で、私、に?」


「ああ、その指輪は本部からの説明書を見る限り、練度が99になっていないといけないらしいんだ。それでうちの鎮守府唯一の練度99の電しか使用できる者が居なかったんだよ。まあ、それ以外にも――って電? どうしたんだ? 俯いて?」


 電は両手を固く握り、肩を震わせていた。

 その表情は、俯いていて、見えない。

 電は突如、指輪を外し、此方に投げつけた。

 俺には当たらなかったが、俺は電を注意しようとした。


「おい、電! 人に物を――」

「……ライです」


「はっ? 何だって?」

「……さんなんて……ライです」


「だから何を――」

「提督さんなんて大っ嫌いです!!!」


 俯いていた彼女は両目から涙を流して、此方に向かってそう叫ぶ。

 電は目元を隠しながら執務室から飛び出す。

 俺は思わず呆然としていて、体が動かなかった。

 そして、直ぐに合点がいった。


 ――俺のせいじゃん。


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 呼吸が上手くできない。


 一人勝手に舞い上がって、


 一人勝手に歓喜して、


 一人勝手に癇癪を起して。


 ああ、電は、悪い子、なのです。


 今はただ、ココから離れたい。


 流れる涙を、堪えれそうに、止めれる気配が全くないから、逃げよう。


 明日になったら、全てが元通り。


 悲しみも、辛さも、何もかも。


 ああでも、この気持ちだけは、


 変わっちゃうのかなぁ。


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「くそだわ、俺」


「それで何でアタシの所に来る?」


 煙草の匂いが立ち込めるこの部屋、時たま俺が相談に乗ってもらっている部屋。

 俺より前にこの鎮守府に居る明石さん。

 相当な修羅場を潜ってきたという噂が有るが、今は置いておこう。


「それで? 結局の所どうして?」


「実は、……」




「……なるほどね。そりゃアンタが悪いだろ」


「分かってるよ、んなこと」


 俺が逃げたから、この気持ちに真摯に受け止めきれなかったから、こんなことが起きている。

 明石さんはため息をつきながら、俺を部屋出口に蹴り飛ばす。


「おわぁあ!?」


「正直に、答えてやんな。それが今のアンタに出来る最善の方法だよ」


 明石さんはそう言って、扉を閉める。


(ありがとうございます。明石さん)


 俺は扉に向かって敬礼をして、鎮守府裏手の森に足を踏み入れた。


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「電っ!」


 彼女はビクリと体を震わせ、恐る恐る、此方を振り返っていた。


「てい、とく、さん」


「おう、電。すまなかった!」


 俺は勢いよく頭を下げた。


「……もう、いいですよ提督さん。私の勘違いですし」


「……残念だ。なら、この指輪を付けてくれないか?」


「……ええ、いいですよ。……あれっ?」


「……」


「あの? 提督さん? この指輪、間違えてるのでわ」


「いや、合ってる」


「でも」


「合ってる」


「……」


「電、本当に渡したかったのは、そっちなんだ」


「……えっ」


「能力の底上げも、パワーアップもない。正真正銘の、只の指輪。本当は、こっちを渡したかった」


「……」


「でも、少なくとも、16歳以上に「18歳です」……マジで?」


「今は、成長を止めていますけど、私だって、普通の女の子なのです」


「……じゃ、今、言うわ」


「……はい」


「電、俺と、結婚してください!」


「……」


「お前の顔を見るたびに胸が苦しくなる。お前を思うたびに眠れない日だって割とあった。気持悪いと思うかもしれないが、これが俺の精一杯だ。だから、頼む! 俺と、結婚してくれ!」


「……提督さん」


「……」


「……結婚を前提に、お付き合い、しませんか?」


「!!!」


「いきなり結婚はダメなのです。きちんと、お互いの事を思いあってから、結婚する方が絶対に幸せになれるのです」


「……はは」


「……ふふふ」


 俺たちは森の真ん中、花が咲き乱れるこの場所で笑いあった。

 彼女の頭を撫でながら。




「そういえば、電」


「はい?」


「ケッコンカッコカリ指輪を付けとけよ」


「……はい」


「絶対に沈んで欲しくないからな」


「はいっ!」



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『暁型4番艦:電の因子を抽出。

 出力される指輪、東藤 典正の指輪から体内での結合を開始。

 ……成功。

 新人提督に命令、深海棲艦に扮した艦娘で半年ほど前にタウイタウイ泊地に配属された提督の電を沈めることを命ず。

 なお、これは艦娘の因子を集め、軍人を深海棲艦との戦闘に意味のある作戦であり、致し方無い犠牲である』


 そこに人間はおらず、巨大なファンが回る音だけ響いていた。


後書き

 作者は幸せを壊すことが意外と好きです。
 ボソッ(屑だな。


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