2018-05-13 11:45:20 更新

前書き

!注意!

オリジナルキャラ有り

オリジナルの設定有り

設定の一部変更有り

非公式の情報の抜粋

基本アニメ版設定を軸に展開

ネタバレ有り

"ラブライブ!"の世界観とズレる可能性有り


以上、よろしければお付き合い下さい。



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ラブライブif主人公 "北河 ひかり" プロフィール


年齢 16才 (高校2年生)
誕生日 2月29日
血液型 A型
身長 162cm
3サイズ B72 W56 H80

好きな食べ物 ない (本当は甘いもの)
嫌いな食べ物 ない (本当は辛いもの)
趣味 テレビゲーム
特技 人の選別眼。目を見ればそいつがどんな人間か大体わかるぞ。
チャームポイント ない、よく男に間違われる。
得意科目 基本どの教科もそつなくこなす
子供の頃の夢 正義の味方、だったかな?
得意料理 日本食なら基本なんでも




備考
高坂穂乃果の唯一無二の幼馴染

冷静沈着な性格の持ち主

外見の第一印象は、花の女子高生と言うよりは、美少年を彷彿させるが、正真正銘の女子高生

相手のことは名字で呼び、心から気を許している相手のみ名前で呼ぶ癖がある

制服姿の際は、ブレザーの前のボタンは開けており、スカートの下にはスパッツを着用

男口調で話し、服装も男物を好むため、プロフィール上のチャームポイントに、よく男と間違われると記している

人の説得に長け、かつ下手な大人の男性よりも力がつよく、「弁解力と力ずくを兼ね揃えている」

彼女の目は常に物事の核心を見抜いている

A-RISEのメンバー、綺羅ツバサ、優木あんじゅ、統堂英玲奈の3人を引き合わせたのも彼女である

幼馴染の穂乃果とは、生まれこそ彼女より遅いものの、彼女の姉のように振舞って同じ時間を過ごしてきた

西木野大病院に投資もしている、北河財閥跡取り候補であり、当主、北河 護皇の孫娘

小学生の頃に両親を失い、一時期は祖父のもとに引き取られていたが、幼馴染の穂乃果の頼みで音ノ木に戻り、祖父の援助を受け、一人暮らしをしている

周りの人間と距離を置こうとしているのには、昔何らかの理由で他人を傷つけてしまったことが原因のようだが、本人は多くは語っていない

中学生時代に活動していたバスケットボール部において驚異的な活躍を見せたことと、その時のユニフォームの番号が4番だったことから、死を司る第四の騎士、"ペイルライダー"という二つ名で呼ばれていた

しかし所属していた部の活動中に、老朽化していたため落下してきた設備から後輩を庇い、自らが下敷きになり左腕を負傷、選手生命を絶たれた

その後彼女は同バスケットボール部の監督を任されるようになる

μ'sというグループが形になったら自らは彼女たちのもとを離れようとしていたが、自分が彼女たちに必要とされていることを教えられ、μ'sの監視役として残ることを決意した

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ーー音ノ木坂学院 弓道場ーー







海未「・・・・・」ギリギリギリッ














海未「・・・!」バシュッ!





ガサッ







海未「・・・はぁ・・・」







弓道部員「最近調子悪いねぇ、大丈夫?」



海未「い・・・いえ、平気です」



弓道部員「無理しちゃダメだよ?この間だってμ'sの活動中に倒れそうになって保健室行ってたんでしょ?話聞いてるよ?」



海未「ぅ・・・」











弓道部員「ただでさえこうして弓道部の活動もしてるし、他にも生徒会副会長、それに家では道場の稽古でしょ?」


弓道部員「私には考えらんないなぁそんな生活、体がいくつあれば足りるのさ?」



海未「そうでもありませんよ、普段から鍛錬を怠らなければこなせるものです」



弓道部員「そう・・・なのかなぁ・・・?」








海未「さて、今日はここまでにしましょう」



弓道部員「そだね、地区大会も近いし、無理せず帰ろっか」





















海未「・・・・・」つお守り



弓道部員「ずっと大事そうに持ってるねそれ?」



海未「あ、はい」



弓道部員「でもずいぶん古いよね?神田明神で新しいの買ってきたら?」






海未「いえ、これは昔、大切な人からもらったものなんです」



弓道部員「大切な人?」



海未「はい、その人は昔弱かった私に、強くなれと言ってこのお守りを渡してくれました」


海未「このお守りを見ると、その人の言った言葉を思い出すんです」


海未「そして、その人との約束を守るために、がんばろうって思えるんです」






弓道部員「へぇ・・・その人のこと、よっぽど好きなんだねぇ♪」



海未「な・・・!///そんなこと・・・!」



弓道部員「会ってみたいなぁ、海未ちゃんにそれだけ影響を与えた人」





海未「・・・・・」つお守り





海未「・・・・・」ニコッ



























♯23 report3 園田 海未 追記








ーー翌日 音ノ木坂学院 廊下ーー




海未「・・・・・」スタスタ









海未「・・・ゴホッゴホッ・・・!」



海未「・・・・・」















ーー屋上ーー







ガチャッ





海未「遅くなりました」



ことり「あ!海未ちゃん!」



穂乃果「海未ちゃんおはよー!」



ひかり「来たか、園田」






真姫「珍しく遅かったじゃない、どうしたの?」



海未「はい、生徒会の方で処理が終わっていない書類があったのでその対応を」


海未「・・・どこかの誰かさんは、生徒会長でありながらその書類の存在すら知らなかったようですが」



ことり「あはは・・・」



穂乃果「あ・・・あれれ・・・?そんなのあったっけ・・・?」





絵里「何やってるのよ穂乃果・・・」









海未「やはりことりは話していなかったのですね」



ことり「ごめんね海未ちゃん・・・なんだか言いづらくて・・・」



にこ「まったく、海未ばっかり無理させるんじゃないわよ」















希「海未ちゃん・・・身体の具合は大丈夫なん?」



海未「は・・・はい!もうすっかり治りました」





花陽「ホントに大丈夫なの・・・?」



凛「最近よくフラフラしてるから心配にゃあ・・・」






海未「へ・・・平気です!大丈夫ですから!」




ひかり「・・・・・」






海未「ほら!最終予選まで時間も無いんですから、早く練習を始めましょう!」パンッ!



穂乃果「う・・・うん!」


















凛「ワン!ツー!スリー!フォー!」パン パン パン パン










海未「はぁ・・・!はぁ・・・!」



ひかり「園田!動きが乱れているぞ!」



海未「は・・・はい!」




















ひかり「・・・よし、今日はここまでだ」



μ's「ありがとうございました!」







海未「・・・ふぅ・・・」



ことり「海未ちゃん、お疲れ様♪」



海未「ことり・・・」



ことり「・・・やっぱり元気ないよね、海未ちゃん・・・」



海未「ッ!そ・・・そんなことーー」



真姫「そうよ、このところずっと調子悪いじゃない、さっきの練習だってひかりの言う通り動きが乱れてたし・・・」



海未「・・・!」





花陽「無理しちゃダメだよ海未ちゃん、最終予選も控えてるんだから・・・」



絵里「それに、弓道部の地区大会も近いんでしょ?少し休んだ方がーー」

















海未「無理なんてしていません!!」



花陽「・・・!」ビクッ!



絵里「海未・・・」





海未「・・・すみません・・・怒鳴るつもりはなかったのですが・・・」


海未「・・・失礼します・・・」スタスタ






穂乃果「・・・海未ちゃん・・・」


ひかり「・・・・・」
















ーー廊下ーー






海未「・・・ゴホッ!ゴホッ!」



海未「・・・・・」
























ひかり「・・・・・」ツカツカ



海未「・・・!ひかり?」



ひかり「・・・ん」つお茶



海未「・・・?」スッ









ひかり「・・・あまり無理をするな」スタスタ



海未「・・・・・」つお茶
























ーー園田家ーー






海未「・・・・・」







海未「ゴホッ!ゴホッ!」



海未「・・・・・」








ガラガラッ






海未父「海未」



海未「はい、お父様」



海未父「・・・やはり弛んでいるな、最近のお前は」


海未父「精進が足りないぞ」



海未「・・・申し訳ありません・・・」










海未父「・・・スクールアイドル、とか言ったよな?」



海未「・・・!」



海未父「何故そんなものに海未が属しているかの経緯は知らんがーー」


海未父「そんなものの為に園田家の稽古を蔑ろにするとは、嘆かわしいことだ」



海未「そんなことはありません!決してスクールアイドル活動のせいではーー」









海未父「今週末は弓道部の地区大会だったな?」



海未「は・・・はい」



海未父「・・・園田の家名を継ぐ者として、それに恥じるようなことは許さん」



海未「・・・・・」



海未父「自らの正しさは行動で示せ、わかったな?」






海未「はい・・・お父様・・・」




















ガラガラッ




スタスタ






海未「・・・・・」つお守り

















穂乃果『私好きなの・・・!歌うのが!』



絵里『いつもそうやってここまで来たんだもんね』


絵里『・・・"μ'sってグループ"は』



ことり『でも穂乃果ちゃんやひかりさん・・・それにμ'sのみんなと一緒にいたから、私はこの選択ができたんです・・・!』



凛『にゃ〜!今日も楽しかったにゃ〜♪』



真姫『私・・・アイドルを続けたい・・・!みんなと一緒にいたいの!』



希『・・・9人や・・・』


希『・・・ウチを入れて・・・!』ニコッ



花陽『アイドルへの思いは誰にも負けないつもりです!』



にこ『本気でアイドルやりたいんだって思ったからμ'sに入ったのよ!!』


にこ『ここに賭けようって思ったのよ!!』





海未「・・・・・」つお守り













ひかり『あの時、お前にあのお守りを渡してよかった』


ひかり『・・・ありがとう、友よ』















海未「・・・決して、あの場所を奪わせるようなことはしません」つお守り


海未「大丈夫、私が強くあればいいだけの話」


海未「平気・・・大丈夫ですから・・・!」つお守り

















ーー翌日 音ノ木坂学院ーー



ひかり「さぁ、練習を始めるぞ」



凛「は〜い!」










穂乃果「海未ちゃん、今日は確か弓道部の大会だったよね」



絵里「そうよ、だから今日は海未がいない状況でもしっかり練習しなくちゃいけないのよ」



にこ「凛、リードは頼むわよ」



凛「任せるにゃ!」






ことり「・・・海未ちゃん、大丈夫かなぁ・・・?弓道の試合・・・」
















ひかり「・・・無理だろうな」



花陽「え・・・!?」



真姫「ちょっとひかりーー」



ひかり「最近のあいつの様子は見ていただろう?明らかに無理をしていた」


ひかり「あのコンディションで最善を尽くすことは難しいだろう」




絵里「確かに、このところずっと体調が悪そうだったわね・・・」


真姫「それも無理に隠してる感じだった」



ひかり「園田は昔からそうやって無理して自分が辛いことを隠そうとするところがあるからな」


ひかり「昔からいつも頑張り過ぎなんだよ、あいつは」
















ことり「あの、ひかりさん」



ひかり「なんだことり?」



ことり「ちょっと気になっただけなんですけど、ひかりさんと海未ちゃんって昔から知り合いだったんですよね?」



ひかり「あぁ」



ことり「海未ちゃんのこと詳しいみたいですけど、2人はいつからの知り合いなんですか?」







ひかり「園田は私たちの幼なじみになるかもしれなかった存在だよ」



ことり「"なるかもしれなかった"?」



ひかり「あぁ、あいつは私と穂乃果が小学生になって間もない頃に出会ったんだよ」


ひかり「弱くて泣き虫なくせに武門の家にいるからといじめられているところを私と穂乃果が助けに入ったんだ」



希「そんなことがあったんやな」



穂乃果「えっ!?あの子が海未ちゃんだったんだ!?」



ひかり「・・・やはり覚えていなかったか、穂乃果」












ひかり「彼女自身、弱い自分を変えたいと願っていたので、それを応援するために私はあいつにお守りを渡したんだ」


ひかり「園田がいつもカバンにつけている古いお守りがあるだろう?あれがそうだ」



穂乃果「え!?あれがあの時の!?」



絵里「なるほどねぇ」



ひかり「あいつを励ますつもりで渡したんだがーー」

















ひかり「・・・それがいけなかったのか・・・」



ことり「どうかしたんですか?」



ひかり「・・・あいつは一途で、一度交わした約束は何があろうとも守ろうとする奴なんだ」





ひかり「あいつにとってあのお守りが、変にプレッシャーになっていなければいいんだが・・・」





















ーー弓道大会会場ーー






海未「・・・!」バシュッ!


カッ!






海未「はぁ・・・はぁ・・・」









女子選手「・・・!」バシュッ!


カッ!



女子選手「・・・・・」スタスタ






海未(・・・やりますね・・・)



海未「・・・ゴホッ!ゴホッ!」



弓道部員「海未ちゃん・・・平気・・・?」



海未「・・・大丈夫です・・・!」スタスタ








海未「・・・・・」ギリギリッ















ひかり『強くなるための、お守りだ!』



ひかり『あの時、お前にあのお守りを渡してよかった』



ひかり『・・・強くなったな、園田』




















海未父『・・・園田の家名を継ぐ者として、それに恥じるようなことは許さん』



海未父『自らの正しさは行動で示せ、わかったな?』





















海未「・・・うっ・・・!」クラッ




バシュッ!



海未(!?しまっーー)




ザクッ






審判「そこまで!」




海未「・・・・・」



弓道部員「外れた・・・」





海未「・・・・・」スタスタ







観客1「意外と早く終わっちゃったね・・・」ヒソヒソ



観客2「園田さんがあんなすぐに外しちゃうなんて・・・」ヒソヒソ



観客3「園田さんって、あの道場の家の・・・?」ヒソヒソ




海未(・・・くっ・・・!)スタスタ
















ーー園田家ーー



スタスタ





ガラガラッ





海未「・・・お父様・・・」











海未父「・・・弓道大会の話は聞いている」


海未父「よくも我が園田家の名に泥を塗ってくれたな」



海未「も・・・申し訳ありません・・・!お父様・・・!」



海未父「やはり今のお前は弛んでいる、そんな情けない者に園田の家の名を継がせるなど片腹痛い」


海未父「お前は家の名を継ぐ者、その自覚を持ってもらおう」



海未「・・・はい・・・」



















海未父「・・・やはり無駄なものは省く必要があるということだな」


海未父「"スクールアイドル"と言ったな、それは辞めることにしよう」



海未「え・・・!?」



海未父「弓道部、生徒会、学級委員、それはいい」


海未父「だがお前がスクールアイドルとやらをやることに意味はない」


海未父「無駄な物が障害になるというならば、それは省かねばなるまい」





海未「ま・・・待ってくださいお父様ーー」







海未父「自らの正しさは行動で示せ、私はそう言ったな?」


海未父「それができないお前に口出しをする資格はない」スタスタ



海未「・・・!!」





















穂乃果『う〜みみちゃんっ!』ダキッ


絵里『大丈夫?海未?』


ことり『行こ?海未ちゃん』


凛『う〜みちゃ〜ん♪』


真姫『・・・うん、いい歌詞じゃない、さすが海未ね』


希『海未ちゃん・・・身体の具合は大丈夫なん?』


花陽『無理しちゃダメだよ海未ちゃん』


にこ『海未!頼むわよ!』







海未(こんなの・・・こんなのって・・・!!)




























ーー翌日 音ノ木坂学院ーー




ガラガラッ



ひかり「よぉ」


穂乃果「おはよー!」



ことり「あ、おはよー♪」







ひかり「・・・ん?園田はまだ来てないのか?」



穂乃果「あれ?ホントだ」



ことり「はい、私もまだ見てないですね・・・」



ひかり「ふむ、あいついつも早くに来てるはずなのにな」



穂乃果「そうだよね・・・」
















ーー放課後ーー



山田先生「じゃあなー、用がないやつはまっすぐ帰れよー」







ことり「海未ちゃん・・・結局一日中来なかったね・・・」



穂乃果「どうしちゃったんだろう・・・海未ちゃん・・・」



ひかり「・・・・・」

















ーー園田家ーー






ドンドンドン!



海未父「海未!何をしているんだ!?出てきなさい!!」



ドンドンドン!














海未「・・・・・」ポロポロ
















ひかり『あの時、お前にあのお守りを渡してよかった』



ひかり『・・・強くなったな、園田』













海未「・・・ひかり・・・ごめんなさい・・・!」つお守り






海未「私は・・・強くなんてなれませんでした・・・!」ポロポロ



















ーー数日後 音ノ木坂学院ーー




穂乃果「・・・海未ちゃん・・・今日も来てないね・・・」



凛「うん・・・どうしたんだろう・・・?」



花陽「弓道大会の前の練習以来会ってないよね・・・」



にこ「そうね・・・あれから誰か連絡がついた人いる?」



ことり「ううん、毎日連絡してるけど一度もーー」






ガチャッ



絵里「みんな」



真姫「あ、絵里」



絵里「・・・やっぱり海未は来てないのね・・・」



希「やっぱり・・・?えりち、どういうこと?」




















絵里「実は・・・海未は今親御さんに活動を禁止されているらしいの」



穂乃果「え・・・?どういうこと・・・?」



絵里「私もさっき弓道部の人に聞いてきただけだから詳しくはわからないけど、やっぱり前の弓道大会が関係あるみたい・・・」



凛「海未ちゃん・・・」



花陽「一体どうしちゃったんだろう・・・?」






穂乃果「海未ちゃんの家、言ってみようか・・・?」



絵里「そうね・・・なら放課後ーー」






ガチャッ


ひかり「・・・・・」



穂乃果「あ、ひかりちゃん」


絵里「ちょうど良かった、海未のことなんだけど、心配だから今日の放課後みんなで海未の家にーー」













ひかり「私が行く、1人でいい」



絵里「え・・・?」






ひかり「最近園田は体調が優れなかっただろう?にも関わらず、全員で押し寄せて騒ぎ立てるのはベストとは言えない」



穂乃果「でもやっぱり心配だよ!海未ちゃんのこと!」



ひかり「私が先に様子を見て、問題ないようであればお前たちに伝える」



穂乃果「・・・うん・・・」












ひかり「・・・それに私が想定している最悪の事態の場合でも、1人で行ったほうが都合がいい」



絵里「・・・最悪の事態・・・!?」



穂乃果「何それ!?最悪の事態ってどういうこと!?」



ひかり「・・・憶測の範囲から脱していない話をするわけにはいかん」


ひかり「とにかくお前たちは最終予選の練習に専念しろ、何かあればすぐに伝えよう」








絵里「・・・わかったわ、ひかり、お願いね」



ひかり「・・・・・」スタスタ



ガチャッ


バタン

























ーー園田家ーー






ひかり「・・・・・」






コンコン




ガラガラッ




海未父「・・・どなたかな?」



ひかり「失礼します、園田 海未さんと同じ高校に通う、北河 ひかりと申します」



海未父「・・・ほぅ・・・一体何用かな?」






ひかり「・・・ここ数日海未さんの姿を見ていないもので・・・」


ひかり「海未さんは今家にいるのですか?何かご存知なことがあれば教えていただきたい」















海未父「・・・あの恥晒しなら確かにここにいる」



ひかり「・・・"恥晒し"・・・?どういう意味です・・・?」



海未父「そのままの意味だ、まったく不甲斐ない」








海未父「園田の家の名を継ぐ者でありながら、あれほど粗末な結果を持って帰ってくるとは・・・」



ひかり「粗末な結果・・・この前の弓道大会のことですか・・・?」



海未父「そう、あいつは園田の名に泥を塗った」


海未父「それもこれも、"スクールアイドル"などと軽薄な物にうつつを抜かしているからだ」



ひかり「・・・ほぅ」






海未父「目を覚まさせるためにスクールアイドルと引き剥がしてやると言ったらどうだ、あいつは私に反抗した」


海未父「一日中学校にも行こうともせず、部屋に引きこもり続けている」







海未父「まったく、もはやあんなものが我が子であることが恥ずかしい」


海未父「親である私に育てられた恩さえも忘れるとは」




海未父「だから言った、あいつは恥晒しだとな」






ひかり「・・・・・」
























ーー海未の部屋ーー







海未「ゴホッ!ゴホッ!」





海未「・・・・・」ポロポロ




海未(・・・ひかり・・・みんな・・・ごめんなさい・・・!)ポロポロ


















ガチャッ ガチャッ



海未「・・・・・」ポロポロ






ガシャアァァン!!



海未「・・・!」ビクッ!








ひかり「・・・・・」



海未「ひ・・・ひかり・・・?」ポロポロ






ひかり「・・・・・」ツカツカ






海未「あ・・・あはははは・・・!驚きましたよね・・・?こんなみっともない姿の私を見て・・・!」


海未「惨めですよね・・・!愚かですよね・・・!幻滅しましたよね・・・!!」



ひかり「・・・・・」ツカツカ







海未「私は・・・強くなんてなれませんでした・・・!約束・・・守れませんでした・・・!」ポロポロ


海未「私にはもう・・・みんなとも・・・ひかりとも一緒にいる資格なんてありません・・・!」ポロポロ



ひかり「・・・・・」ツカツカ











海未「・・・!やめて・・・!こんなみっともない姿の私を見ないでください・・・!」




海未「お願いだから・・・帰ってください!」




海未「帰って!!」













海未「帰れえぇぇぇぇぇっ!!!」



































ガバッ




海未「・・・!」







ひかり「・・・・・」ギュッ



海未「ひ・・・かり・・・?」











ひかり「・・・もういいんだ、海未」ポンポン



ひかり「これ以上、自分が傷つくために頑張る必要はない」なでなで




海未「・・・!」ポロポロ
















ひかり「・・・海未」



海未「・・・?」ポロポロ






ひかり「行こう」



海未「え・・・?」























海未父「くっ・・・!」



スタスタ




海未父「・・・!」



海未「・・・!お父様・・・!」


ひかり「・・・・・」



海未父「おい!待てーー」



ひかり「・・・・・」タタタタタ


海未「わっ・・・!?」タタタタタ










海未父「・・・ちっ!」



















ーーひかりの家ーー








ガチャッ



クサフグ「・・・?」スイスイ




ひかり「ここが私の家だ」



海未「・・・・・」





ひかり「何も今あんな家にいる必要はない、熱りが冷めるまでここでゆっくりするといい」



海未「・・・・・」





ひかり「・・・海未?」
















クサフグ「・・・!」プクーッ



海未「・・・ぅっ・・・!」クラッ



ドサッ





ひかり「・・・!海未!どうした!?しっかりしろ!」



海未「ひか・・・り・・・」ハァ・・・ハァ・・・



ひかり「・・・!すごい熱じゃないか・・・!」





ひかり(こんな状態なのに海未はーー)


ひかり「くっ・・・!」



海未「はぁ・・・はぁ・・・ゴホッ!ゴホッ!」



















ーー翌日ーー



ひかり「・・・・・」クルッ








海未「すぅ・・・すぅ・・・」



ひかり「・・・・・」ピトッ



海未「ん・・・」






クサフグ「・・・・・」スイスイ



ひかり「・・・まだ熱があるな」


ひかり「今日は大人しくしていてくれよ?」



海未「すぅ・・・すぅ・・・」





ひかり「じゃあ私は行くから、代わりに海未のことを頼むぞ?」コンコン



クサフグ「・・・・・」プクーッ







ガチャッ



バタン

















ーー音ノ木坂学院 2年生教室ーー





ガラガラッ




ひかり「・・・・・」スタスタ







穂乃果「あ・・・!ひかりちゃん!」タタタ


ことり「ひかりさん!」タタタ





ひかり「・・・よぉ」



ことり「ひかりさん!海未ちゃんは・・・どうだったんですか!?」












ひかり「・・・どうやら私の想定していた最悪の事態が当たってしまったようだ・・・」



穂乃果「えぇっ!?」



ひかり「・・・全員集まった時にもう一度改めて話すがーー」













ーー放課後 屋上ーー






ひかり「・・・という訳だ」



穂乃果「・・・・・」


ことり「・・・・・」





にこ「・・・何よそれ・・・!」ワナワナ



花陽「そんなの・・・酷い・・・!」






絵里「こうしてはいられないわ!海未は今どこ!?」ガタッ!



ひかり「私の家で保護している、場所は知られていないはずだ」



凛「そっか・・・なら安心だにゃ」









ひかり「あぁ、だが海未は高熱を出して倒れている」


ひかり「あいつめ、あれほど無理はするなと言ったのに、あんな状態で今まで・・・!」









希「・・・・・」



ひかり「・・・希、"お前のせいじゃない"」



希「・・・わかってる・・・わかってるけど・・・」






ひかり「私は海未の看病のためにすぐ家に戻る、お前たちは最終予選に向けた練習に集中しろ」


ひかり「私や海未のいない状況でもしっかりやれよ?指揮は絢瀬に任せる」



絵里「えぇ、任せて」




















真姫「・・・ひかり」



ひかり「どうした真姫?」















真姫「海未はきっと、私と同じことで悩んで苦しんでる」


真姫「私からもお願い、どうか・・・海未を助けてあげて・・・!」






ひかり「任せておけ」
























ーーひかりの家ーー




海未「すぅ・・・すぅ・・・」





クサフグ「・・・・・」スイスイ













海未「・・・ん・・・うぅ・・・」



クサフグ「・・・!」プクーッ






海未「・・・ここは・・・?」キョロキョロ



海未「確か・・・ひかりに連れられて家を飛び出して・・・」


海未「・・・その先で倒れてーー」















クサフグ「・・・♪」スイスイ



海未「・・・?」



クサフグ「・・・♪」スイスイ









海未「・・・かわいいですね・・・♪」ススッ



クサフグ「・・・♪」プクーッ














ガチャッ




ひかり「・・・ほぅ、そいつにそんなすぐに懐かれるとはな」



海未「・・・!ひかり・・・?」






クサフグ「・・・♪」プクーッ



ひかり「こいつは普通私にしか懐かないんだ」








海未「ひかり・・・私は一体ーー」



ひかり「今は何も考えるな」






ひかり「・・・・・」ピトッ



海未「ひゃっ!?///」



ひかり「・・・熱は引いてきたようだな」








ひかり「・・・向こう向いてみろ」



海未「え・・・?は、はい」クルッ



ひかり「・・・・・」サッ サッ



海未「ん・・・ひかり・・・?」



ひかり「ったく、せっかく綺麗な髪が台無しじゃないか」サッ サッ



海未「・・・・・」






クサフグ「・・・・・」スイスイ







ひかり「そうだ、こいつで体でも拭くといい」コトッ



海未「え・・・あ、あのーー」







ひかり「・・・終わったら呼んでくれ」スタスタ



海未「あ・・・ありがとうございます・・・」





ガチャッ


バタン







海未「・・・・・」





クサフグ「・・・・・」クルッ



海未「・・・?」



クサフグ「・・・・・」



海未「ふふっ・・・♪あなたも気を使ってくれるのですね」



クサフグ「・・・・・」





















ひかり「・・・・・」







海未「ひかり、もう大丈夫です」



ひかり「・・・わかった」ガチャッ






クサフグ「・・・♪」スイスイ






ひかり「どうだ?体調のほうは?」



海未「はい、おかげさまですっかり良くなりました」



ひかり「・・・本当だろうな?」



海未「ほ・・・本当ですよ!」



ひかり「・・・・・」








ぐうぅ〜っ





海未「ぁ・・・///」カーッ




ひかり「・・・ふむ、本当のようだな」



海未「うぅ・・・///」カーッ








ひかり「・・・歩けるか?」



海未「え?は、はい、平気です」スクッ



ひかり「ついて来てくれ」スタスタ



海未「・・・?」スタスタ




クサフグ「・・・・・」プクーッ



















ーーとある定食屋ーー







ガラガラッ





おやじ「おぅ!らっしゃい!」




ひかり「・・・よぉ、おやじ」



おやじ「おっす!ひかりちゃん!・・・と、そのお嬢ちゃんはーー」







海未「・・・・・」









おやじ「・・・何か訳ありみたいだな・・・?」



ひかり「あぁ・・・おやじ、頼む」



おやじ「わかった、任せときな」スタスタ




















海未「・・・・・」



ひかり「・・・・・」








海未「あの・・・ひかり?私ーー」



ひかり「・・・・・」



海未「・・・・・」






おやじ「あいよ、お待たせ」ゴトッ



海未「あ・・・」



おやじ「冷めないうちに食べなよ?」スタスタ






海未「あの・・・ひかり?私・・・今持ち合わせが無くてーー」






ひかり「"今は何も考えるな"、そう言ったはずだ」



海未「・・・!」





海未「・・・・・」パクッ



ひかり「・・・・・」






海未「・・・美味しい・・・!」



ひかり「・・・・・」ニコッ



おやじ「そりゃ良かった、ゆっくりしていきなよ?」















海未「・・・・・」ポロポロ



おやじ「む・・・」



ひかり「・・・!」








海未「うっ・・・グスッ・・・!」パクッ



ひかり「・・・・・」なでなで



おやじ「・・・・・」スタスタ


















ーー街中ーー



スタスタ






海未父「・・・・・」スタスタ





















ーーひかりの家ーー






海未「ひかり、μ'sのみんなは大丈夫ですか?ラブライブ!最終予選の日も近づいていますが・・・」



ひかり「あいつらなら今日もさぼらずに練習していたよ、私と海未がいない状況でもしっかりやるように釘も打っておいた」


ひかり「練習の指揮なら絢瀬に任せている、お前も安心だろう?」



海未「そうですか・・・よかった・・・」ホッ






ひかり「・・・自分のことよりも他人の心配が先とは、お前らしいな」



海未「え・・・あ、あはは・・・」



クサフグ「・・・♪」スイスイ












ピンポーン




海未「・・・?」



クサフグ「・・・・・」プクーッ



ひかり「誰だ?」スタスタ










ひかり「・・・?」スッ



海未父「・・・・・」



ひかり「・・・・・」










海未「・・・ひかり?どうしました?」



クサフグ「・・・・・」プクーッ



ひかり「・・・ちょっと外へ出てくる、ここで待ってろ」スタスタ






海未「・・・?」


クサフグ「・・・・・」プクーッ

















海未父「・・・・・」





ガチャッ


バタン


カチッ






海未父「・・・ようやく見つけたぞ・・・」



ひかり「・・・酷い顔だな、誰にやられた?」



海未父「くだらん冗談はやめていただこう」


















海未父『だから言った、あいつは恥晒しだとな』






ひかり『・・・・・』





ひかり『なるほど・・・それは救いようがないな』



海未父『今あの恥晒しを顔向けさせる訳にはいかない、園田の家の名が汚れてしまう』


海未父『お引き取り願おう』


















ひかり『・・・"救いようがない"のはお前のことだ・・・!』



海未父『・・・?』






ドカッ!




海未父『・・・!?』ガシャアァァン!



ひかり『あの海未の父親だからどれほどの人間かと思ってみれば、まさかこんなクズだったとはな』



海未父『貴様・・・!何をーー』



ひかり『もう二、三発ぶん殴ってやりたいところだが、あいにく時間が無くてな』





ひかり『・・・のぼせるなよ坊や、お前に海未の父親を名乗る資格はない』










ひかり『さぁ、海未を返してもらうぞ!』














海未父「・・・・・」



ひかり「ほぅ、言われてみればそんなこともあったかな?」



海未父「・・・ちっ!」












ガチャッ



海未「・・・・・」コソッ



クサフグ「・・・・・」プクーッ



海未(ひかり・・・一体誰とーー)







海未父「・・・・・」


ひかり「・・・・・」



海未「・・・!!」















ひかり「・・・で?何の用だ?こう見えても私は忙しくてな」



海未父「わかっているはずだ、海未はここにいるんだろう?」


海未父「私の娘を返してもらおう」






ひかり「返してもらう・・・?何のために?」


ひかり「我欲のために娘を擦り切れるまで使い、役に立たないとわかればボロ雑巾のように捨てるためにか?」



海未父「園田の家の人間ではないお前に答える必要はない」


海未父「家庭の事情に口を挟まないでもらおうか?」










海未「・・・・・」コソッ
















ひかり「なら家庭の事情ではなく、お前に一つ問いたい」



海未父「・・・何だ?」
















ひかり「お前はお前の娘を・・・園田 海未を愛しているか?」






海未「・・・!」






海未父「当然だろう、娘を愛さない親がどこにいる?」



ひかり「・・・ほぅ」







海未父「その愛した娘に我が園田の名を継がせるために、私は海未に心技体、その全てを教えた」


海未父「愛した娘でもなければそれほどのことをしてやるはずもない」









海未父「ところがどうだ?そこまで捧げてやった娘は、"スクールアイドル"などと軽薄なものにうつつを抜かし、園田家の修行を疎かにした」


海未父「園田の家の名に泥を塗り、私に恥をかかせた」





海未父「あいつは育ててもらった恩を、仇で返したのだ!」







海未「・・・っ!」



ひかり「・・・・・」










海未父「貴様らも海未を手放したくはないのだろうが、子供の我が儘を聞いてやるほど暇ではーー」


























ひかり「甘ったれるなっ!!」



海未父「・・・!?」


海未「・・・!」






ひかり「勘違いするな、いいか?お前は娘を愛している訳ではない!」


ひかり「本当に愛する人間であるならば、その者のすることを誇りに思うことができるはず」



ひかり「だがお前はどうだ?それどころかお前は娘のすることを否定し、私物化して、思う通りに動かなければ使い捨てる・・・!」





ひかり「その者の成すことを誇りに思い、実現するために全力で応援する、その者が誤った道を進もうとしていたら正してやる」


ひかり「それが何の見返りもなくしてやることができる者、それが真に愛する者だ!」



ひかり「お前のように自分の価値観を押し付けて強要するのは、所詮自分自身が愛おしいだけ!相手のことなど微塵も考えていない!」








ひかり「・・・坊や、つまりお前は娘を愛しているのではない!」


ひかり「自分を溺愛しているだけだ!」








海未「・・・・・」







海未父「貴様・・・!誰の許可を持って私に物を言っているか!」




ひかり「・・・坊や、お前は仮にも海未の父親であるはずの男」


ひかり「もし海未の父親であることを今少しでも自覚があるなら、海未のすることに誇りを持ってみせろ」


ひかり「それができるまで、海未は私が預かっておく」



海未父「・・・!」





















ひかり「・・・それができないと言うならーー」



ひかり「二度と父親を名乗るな・・・!!」



スタスタ


ガチャッ


バタン



















ひかり「・・・・・」



クサフグ「・・・・・」プクーッ







海未「・・・ひかり・・・」



ひかり「おぉすまない海未、ずいぶん待たせた」










海未「・・・さっきのお客様・・・どなただったんですか・・・?」



クサフグ「・・・・・」プクーッ














ひかり「・・・よくわからんセールスマンの勧誘だよ、一人暮らししてるとよく来るんだ」



海未「・・・そうですか・・・」



クサフグ「・・・・・」プクーッ
















海未「・・・ひかり・・・ありがとう・・・」


海未「でも、私なら大丈夫ですから・・・」




ひかり「・・・どうした?いきなり改まって?」








海未「・・・ありがとう・・・」



ひかり「・・・・・」































海未父「・・・自惚れるなよ小娘・・・!お前などに何がわかるものか・・・!」



















ーー翌日 ひかりの家ーー






海未「・・・ん・・・ぅ・・・」



クサフグ「・・・・・」スイスイ






ひかり「・・・あぁ、大丈夫だ・・・」



海未「・・・ん・・・ひかり・・・?」



クサフグ「・・・♪」スイスイ











ひかり「お、起こしてしまったか」




ひかり「・・・あぁ、今代わる」



海未「・・・?」









ひかり「海未・・・穂乃果だ」スッ



海未「穂乃果・・・?」パシッ



クサフグ「・・・・・」スイスイ









海未「・・・はい・・・」



穂乃果「あ・・・海未ちゃん!」


穂乃果「よかったぁ〜!ひかりちゃんから話を聞いてて、ずっと心配してたんだよぉ〜!」



海未「・・・すみません・・・ご迷惑をおかけしました・・・」



穂乃果「ううん!海未ちゃんが無事ならそれでいいんだよ!」


穂乃果「もう!ホントに心配したんだからね!」







海未「ふふっ・・・♪あの時と立場が入れ替わりましたね♪」



穂乃果「あ・・・あはは、そうだね」







穂乃果「それじゃあ今日の練習始まっちゃうからそろそろ切るよ、海未ちゃん、待ってるからね!」



海未「はい・・・♪」






ツーッ ツーッ ツーッ





海未「・・・ふふっ♪」ニコッ



クサフグ「・・・♪」スイスイ










ひかり「あいつらのことなら心配しなくていい、今はゆっくり休め」スタスタ



海未「・・・・・」



ひかり「・・・?海未?」








海未「・・・なんだか・・・不思議な気持ちです」



ひかり「何がだ?」



海未「私は家にいた頃に、こんなにゆっくりと休んでいたことがありませんでした」


海未「家にいる時は日舞の稽古に剣道や弓道ーー」


海未「学校にいる時は生徒会にクラス委員、弓道部にスクールアイドルと、やるべきことが多いですから・・・」



海未「なんだかこうしてゆっくり休んでいると、不思議な気持ちになるんです・・・」



ひかり「・・・・・」














ひかり「海未、一つ聞きたい」



海未「はい?」













ひかり「お前は、家に戻りたいか?それとも戻りたくないか?」



海未「・・・!」



ひかり「海未の父親がしていた暴挙を見過ごすことができず、私の身勝手で海未をここまで連れてきてしまった」


ひかり「だが、まだあれから海未自身の意思を聞いていなかった」


ひかり「海未はどっちがいいんだ?」




海未「・・・いいも悪いもありません・・・このままここにいて、ひかりの迷惑になるわけにはーー」



ひかり「体裁なんかどうでもいい、もし必ず実現するとしたら、どっちがいいんだ?」



海未「・・・・・」







ひかり「・・・"常に自分の道を決めるのは、周りの人間や状況ではなく、自分自身の意思であるべき"」


ひかり「それができなければ、たとえどんな形だろうと後悔が付きまとうことになる」



海未「・・・・・」











ひかり「教えてほしい、海未自身が決して後悔しない答えを・・・」



ひかり「お前の口から聞きたい、家に戻るか、戻らないか・・・海未はどっちを望んでいるんだ?」



























海未「・・・私はーー」














ピンポーン



海未「・・・!」



クサフグ「・・・!」プクーッ



ひかり「今日は何だ?最近来客が多いな・・・」


ひかり「海未、お前はここで待ってろ」スタスタ








クサフグ「・・・・・」プクーッ


海未「・・・・・」















ガチャッ



ひかり「・・・む・・・?」





海未ママ「・・・・・」


海未父「・・・・・」





海未ママ「朝早くに失礼致します、ここに海未さんがいると聞き、伺わせていただきました」






ひかり「・・・失礼ですが、あなたは?」



海未ママ「これは申し遅れました」




海未ママ「私、園田 海未の母親の、園田 深空と申します」





ひかり(なるほど・・・よく似ているわけだ)


ひかり「・・・・・」クルッ



海未父「・・・・・」




ひかり「なるほどな、お前の差し金か?坊や」



海未父「・・・口の聞き方には気をつけてもらおう」










海未ママ「・・・あなたには話すまでもないことかもしれませんが、私たちの望みはただ一つーー」



海未ママ「私たちの娘を・・・海未さんを返してはいただけないでしょうか?」



ひかり「・・・やはりそうでしたか・・・」








海未ママ「私たちとしても事を荒げたくはありません」


海未ママ「海未さんを返していただければ、今までのことは全て目を瞑ることに致します」


海未ママ「・・・いかがでしょう・・・?」







ひかり「"目を瞑る"と仰いますと?」






海未父「まだわからんのか?この顔の傷のこと、今度はとぼけさせんぞ」


海未父「そしてその後にお前が犯したこと、今こそ客観的に見て考えるがいい」




海未父「お前は私の許可なく勝手に家に上がり込み、私たちの娘を連れ出して逃亡した」


海未父「そして今、私たちの娘の海未は、その誘拐犯に監禁されているーー」


海未父「と、そう表現すれば、お前の頭でも自身の愚かさがわかるだろう?」




海未父「お前に選択の権利はない、海未を返してもらおう」





















ひかり「・・・どうやら私の忠告は聞き入れられなかったようだな」


ひかり「残念だよ、坊や」



海未父「・・・ふん」






























海未「・・・ひかり」スタスタ



ひかり「・・・!?」クルッ






海未「・・・・・」



クサフグ「・・・!」プクーッ







海未ママ「・・・!海未さん!」




ひかり「海未!待ってろと言ったはずだ!」









海未「・・・ひかり、ありがとう」


海未「でも、私は大丈夫です・・・」




ひかり「海未・・・」



海未「・・・私に話させてください」







ひかり「・・・わかった・・・」スッ







海未「・・・・・」スタスタ



海未父「・・・海未」



海未ママ「海未さん!よかった・・・!心配したのですよ・・・!」




海未「お父様・・・お母様・・・」



























海未「申し訳ありませんでした!」バッ!



海未ママ「・・・海未さん・・・?」





ひかり「・・・!」



海未父「・・・・・」ニヤッ







海未「私が未熟なために、園田の家の名に泥を塗ってしまいました!」


海未「園田の家を継ぐ者としての自覚が足りませんでした!」




ひかり「海未・・・」







海未「どうかお願いします!これからは園田の名に恥じないよう精進します!」


海未「もうお父様やお母様に恥をかかせるようなことはしません!」



海未「だからーー」















海未「どうか、スクールアイドル活動を続けさせてください!」



海未ママ「・・・!」



海未父「海未・・・何をーー」







海未「家を継ぐことは、幼い頃からの私の夢でした!」


海未「でも!それと同じように、スクールアイドルとして活動し、μ'sのみんなやひかりと同じ時間を共有するのも、私にとっては夢・・・!」




海未「・・・!」クルッ


海未父「・・・!」







海未「お父様・・・どうかーー」バッ



海未「私から夢を・・・奪わないで・・・!」ポロポロ







海未父「・・・・・」



ひかり「・・・・・」



海未「・・・・・」ポロポロ




















海未ママ「海未さん、顔をお上げなさい」



海未「・・・・・」スッ

























パアァァン!!




ひかり「・・・!」






































海未父「がっ・・・!?」ドサッ



海未「・・・!」



海未ママ「・・・・・」



海未父「深空・・・!何をーー」ヒリヒリ
















海未ママ「・・・あなたは最低です」



海未父「・・・何だと?」ヒリヒリ



海未「お母様・・・?」



海未ママ「確かに海未さんに、園田の家を継いでいただくのは、私たち夫婦の心からの夢です」


海未ママ「ですがーー」













海未ママ「娘の夢を奪ってまで叶えたい夢などあるものですか!!」



海未「・・・!」ポロポロ



海未ママ「海未さんがスクールアイドルというものを夢として活動するというのであれば、それを応援するのが親としての私たちの努め」


海未ママ「そうだというのに、あなたはその海未さんの夢を奪ってまで家の名を継がせることを強要していたのですね・・・!」



海未父「・・・・・」



海未ママ「娘を私利私欲のために使い捨てるようなことをするなんて父親失格です!」


海未ママ「あなたは父親としての愛情がズレています!」





海未父「・・・ちっ!」








海未ママ「それに海未さんは、スクールアイドル活動をしながらでも生徒会やクラス委員、家の修行を疎かにするような子ではないことはあなたも知っているはずでしょう!」


海未ママ「私たちの娘である海未さんを馬鹿にしないでいただきたい!」



海未「・・・お母様・・・!」ポロポロ







海未ママ「海未さん、ごめんなさい、私たちはあなたに甘えて無理強いをしてしまっていたようですね」なでなで


海未ママ「でももう大丈夫です、スクールアイドルが海未さんの夢であるなら、それを奪うつもりなど少しもありません」




海未父「・・・!待て!園田の家の者がそんな軽薄なーー」






海未ママ「あなたは黙っていてください、後でゆっくりお話がありますから・・・!」ニコッ



海未父「・・・!!」ビクッ!














ひかり「なるほど、捨てる親あれば拾う親あり・・・か」



海未父「・・・!」ギロッ



ひかり「だったら一つ補足してやるよ坊や、例の弓道大会のことだ」



海未父「・・・?」


海未ママ「・・・?」





ひかり「私の家に来た時、海未は突然倒れた、すごい高熱だった」


ひかり「もっと言うと弓道大会前日も体調が悪そうで、ずっとフラついていた、今にも倒れそうなくらいにな」


ひかり「何度か保健室にも運ばれていたぞ」


ひかり「そんな状態で大会に臨んだというのであれば、まともな結果を残せるはずがない」




海未ママ「・・・!海未さん!それは本当ですか!?」


海未「・・・・・」メソラシ





ひかり「・・・今後は娘の体調くらい管理することだな」




海未父「・・・・・」














海未ママ「・・・さて、私たちはそろそろお暇させていただきましょうか」



海未「え・・・?」






海未ママ「あなた、帰った後にゆっくりお話しましょう、・・・2人きりで・・・!」ニコッ



海未父「・・・・・」ダラダラ












海未ママ「・・・・・」スタスタ



ひかり「・・・?」



海未ママ「申し訳ありませんでした、あなたには謝らなければいけないことが沢山ありますね」



ひかり「お気になさらず、誤解を招くようなことをしたのは私の方です」





ひかり「それに私は、大切な友達のために成すべきことを成しただけのことですから」



海未「・・・!」







海未ママ「ありがとうございます、それでもう一つお願いしたいのですが、今日1日だけ海未さんのことをお願いしてもよろしいでしょうか?」



ひかり「もちろんです、明日には必ず娘さんをお返しします」



海未ママ「ありがとうございます」



海未「・・・・・」











海未ママ「そういえば、あなたのお名前をまだお伺いしていませんでしたね」



ひかり「失礼、申し遅れました」





ひかり「私は北河財閥当主、北河 護皇の孫娘、北河 ひかりと申します」



海未父「北河財閥・・・!?お前が!?」



海未ママ「なるほど、お噂は予々伺っていましたがーー」


海未ママ「あなたのような聡明な方がいらっしゃるのなら、北河財閥様も安泰ですね」



ひかり「勿体なきお言葉、ありがとうございます」








海未ママ「海未さん」



海未「はい?」



海未ママ「大丈夫、何があっても私は海未さんの味方ですよ」ニコッ











海未「・・・はい!お母様!」
















スタスタ












海未「・・・・・」


ひかり「・・・行っちまったな・・・」






海未「・・・ごめんなさい、ひかり」



ひかり「どうした?何を謝る必要がある?」



海未「ひかりは私に強くなってもらうためにあのお守りを渡してくれたのに、私は約束を守れませんでした」


海未「今回もこんな・・・みっともないところを見せてしまってーー」












ひかり「何を言う、今回の件で海未が強くなったことを確信したよ」



海未「え・・・?どういうことですか・・・?」





ひかり「海未、確かに私はお前に強くなって欲しくてあのお守りを渡した」


ひかり「だが私が海未に言った強さというのは、身体や心が傷ついても、平気、大丈夫と言い続ける強さではなくーー」


ひかり「自分自身の意思を貫き通す強さだったんだ」



海未「・・・!」




ひかり「お前は両親に向かって自分の意思を貫き通した」






ひかり「見せてもらったぞ、海未の強さを・・・!」



海未「・・・!」



















海未「・・・ひかり」



ひかり「ん?」










海未「・・・ありがとう」



ひかり「・・・・・」






ひかり「・・・ふっ」






ひかり「さ、明日から忙しくなるんだろう?なら今日はゆっくり休んでいくといい」



海未「・・・はい!」ニコッ


























ーー翌日 早朝ーー



チチチチ






ひかり「すぅ・・・すぅ・・・」



クサフグ「・・・zzz」




海未「・・・・・」スクッ
















海未「・・・ありがとうひかり、あなたのおかげで私は、初めて自分自身の意思を貫き通せました」


海未「・・・恐らくあなたのことです、今回のことであの時私にあのお守りを渡したことを、少なからず後悔していたのでしょう?」


海未「私に余計なプレッシャーを与えてしまったのではないか、と・・・」




ひかり「すぅ・・・すぅ・・・」




海未「でもね、ひかり・・・そんなことはないんです」


海未「あのお守りがあったから、私は今日まで強く生きられたんです」



海未「・・・私が最も尊敬するあなたのように生きようとできたんです・・・」









海未「・・・これで・・・少しはあなたに近づけたかな・・・?」




















海未「・・・ひかり、一つだけ我が儘を聞いていただけますか?」





ひかり「すぅ・・・すぅ・・・」





海未「私も、こんなことをするのは初めてです・・・」


海未「私も女・・・あなたも女性・・・こんなことがしたいと思うのがおかしいのはわかっています」







海未「でも・・・あなたになら・・・」スッ


















チュッ











海未「・・・・・///」スクッ





ひかり「すぅ・・・すぅ・・・」


クサフグ「・・・zzz」






海未「ひかり、お世話になりました」


海未「・・・では・・・ごきげんよう」スタスタ





ガチャッ


バタン



















ひかり「すぅ・・・すぅ・・・」







ひかり「・・・ん・・・ぅぅ・・・」



クサフグ「・・・?」スイスイ







ひかり「海未・・・?」キョロキョロ


ひかり「・・・行っちまったか・・・」



クサフグ「・・・・・」プクーッ















ひかり(・・・海未・・・)


ひかり(・・・また会おう)















海未「・・・・・」スタスタ



海未「・・・♪」ニコッ

















♪ エンディングテーマ 勇気のReason ♪








♯23 report3 園田 海未 追記「意思を貫き通す強さ」fin


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