2017-09-05 07:40:45 更新

概要

村雨を秘書艦にして艦これをしていたある日の事、突然村雨が隣にいた・・・
そして・・・人間と艦娘の生活が始まる。


前書き

のんびりと更新していきます。


いつもと変わらぬ日常・・・


現実の主人公(以降提督)がいつもようにPCを開き、艦これを始めた。


秘書艦は駆逐艦の村雨・・・先日指輪を渡してケッコンしたばかりの艦娘である。


「いつ見てもこの子は可愛い。」


白露型の中で一番、大人の女性を思わせる感じで、季節によって変化する姿も多く放置すれば「構って~!」


と子供っぽい所も魅力的な艦娘である。


時雨・夕立みたいに改二は実装されてないが、十分強いと感じられる。


艦これをプレイしているとふと思う・・・


「オレはPC越しに艦娘たちを見てるけど、逆に艦娘たちはオレの事をどう評価してるんだろう・・・」


・・・・・・


「考えても仕方ないか。」


所詮ゲーム、何を考えているのやら。


「現実と妄想の境で一体何を考えているんだろう、オレは。」


いつも通りに長時間遠征に行かせて、第1部隊は演習でキラ付けしてから艦これを終わる。


今日から休日なのでPCをスリープモードにして・・・もう深夜・・・寝ようか。


zzz~  zzz~  zzz~



・・・・・・


朝、今日は休日・・・同じように布団で目覚めるが、何か狭い?


「す~・・・す~・・・」


誰かの寝息? いや、そんなはずはない。 寝ぼけているのか?


「す~・・・す~・・・」


「・・・・・・」


いや、やっぱり寝息がする・・・でも、誰の?


恐る恐る隣を見ると・・・


「・・・・・・」


「ん~・・・はっ!!」


その寝息の人間はなんと!


「む、む、村雨!!」


思わず叫んだ。


「ああっ! すいません! 深夜だったのでつい隣で・・・」


そう言って村雨がオレの前で正座する。


「駆逐艦村雨です・・・よろしくね、提督♪」


「・・・・・・」


これは夢? どういうこと? 何で現実の世界に村雨が・・・


「・・・・・・」


村雨がにっこり笑う・・・オレはしばらく悩み続けていた。



・・・・・・


「何!? このPCから飛び出した!?」


「はい。」


「でも、どうやって?」


「画面越しに提督の姿を毎日見ていて・・・直接「会いたい」と願ったらいつの間にかPCから飛び出していました。」


「・・・・・・」


そんなことあるんだ・・・          ←ありませんw


「・・・まぁ、今から朝食だけど、一緒に食べる?」


「いいんですか? じゃあ是非♪」


・・・・・・


「パンとご飯どっちがいい?」


「提督が出すものなら何でもいいです。」


「いや・・・ゲームでは提督だけど、ここではただの人間だよ。」


「私にとっては提督なんです。」


「・・・・・・」


返答に困る。


「じゃあ、パンで。」


「はい♪」


・・・・・・


「焼いたトーストにウインナーと野菜を乗せてサンドイッチ風にして・・・と。」


一応部下だが、椅子に座っているのは女性である。ただのトーストのみを出すのは男としてどうかな・・・


「あの~そこまで気にしなくてもいいですよ。」


「いや、せっかくだから。」


「やっぱり提督は執務の時でも普段でも優しいのね♪」


「・・・・・・」


「ふんふ~ん♪」


村雨は鼻歌を歌いながら、椅子に戻る。


・・・・・・


「わぁ~♪ とってもおいしそう。」


村雨は「いただきます」と言って食べる。


「・・・おいしい、とってもおいしいです、提督!」


「そうか、良かった。」


「♪~」


彼女は喜びながら、食べ続ける。


・・・・・・


ちょうど季節は夏・・・朝でも気温は高く、2人は汗をかく。


「暑いな。」


「暑いですね~。」


村雨は服をパタパタさせる。


「風呂でも入ってすっきりするか?」


いい提案だと思ったが、当の村雨は首を傾げた。


「? どうした?」


「いえ・・・私・・・まだ被弾してませんけど・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」



あ・・・そうか!(納得)



「じゃあ、汗をかいたときは普段どうしてるの?」


「・・・シャワーを浴びますね。」


「・・・・・・」



一緒じゃないの、それ?



「もう一度確認・・・風呂は?」


「被弾してからですよね?」


「・・・シャワーは?」


「すっきりしたい時ですよね?」


「・・・・・・」



なるほど・・・理解した!     ←混乱しているw



とりあえず村雨にシャワーを進めて、彼女はタオルを持って浴室に入っていった。


・・・・・・


「すっきりしました! 提督、ありがとうございます!」


「いいよ、気にするな・・・しかし・・・」


提督は悩む。


「服も汗で湿っているから、洗濯しようか?」


「本当ですか? お願いします!」


「・・・・・・」


「? どうしました?」


「服・・・1着しかないんだよね?」


「はい・・・」


「替えの服どうしようか? 買いに行く?」


「お気遣いはいいですよ。」


「いや、服無いとまずいだろ?」


「いいですよ、私・・・裸で♪」


「いや、ダメでしょ!(きっぱり)」


「ふふ・・・提督ったら、初心なんですねw」


「初心も何も女性の裸をいきなり見るのは男として最低だろ。」


「いいじゃないですか、私たち・・・ケッコンしてるんですから♪」


「・・・・・・」


「・・・・・・」



あ・・・そうか! (超納得)



「むむ・・・いや、しかし・・・」


裸は流石にまずい・・・少し大きいが自分の服を渡して着させた。


「ふふ・・・提督は初心~♪」


村雨はからかってくる。


「・・・・・・」


「? どうしました?」


「・・・・・・」



間近で見るとはっきりわかるが、マジ可愛い! ずっと見ていたいな・・・



「・・・あ、ちょっと動かないで。」


提督が村雨の髪に触れる。


「えっ? ちょっと!?」


「・・・ゴミが絡まっていたんだ。」


と、絡まっていたゴミを見せるが、その拍子に髪留めがほどけてしまった。


「ああ、ごめん。」


「いいですよ、気にしないで。」


「・・・・・・」



髪留めしてるから気づかなかったけど・・・村雨って髪が長くて綺麗だな。



「・・・・・・」


「なになに? 私がそんなに魅力なんですか?」


「ああ、可愛くて綺麗。」


「そんなにおだてても何も出ませんよw」


と言うが、村雨は嬉しそうに顔を赤くした。



・・・・・・


昼になり、2人は買い物に行くことに・・・


「オレは食料品を見てるから、村雨は何か欲しいものがあればかごに入れてくれ。」


「は~い、わかりました♪」


・・・・・・


「提督ぅ~!」


「何だ、どうした?」


「あれが欲しいんですけど・・・」


「・・・あれって?」


村雨についていくと・・・


「・・・・・・」


そこはゲームセンター。


「あれが欲しいです。」


彼女が指さす先は・・・艦これのぬいぐるみ。


「・・・・・・」



そうか・・・彼女もやっぱり年相応の女の子なんだな・・・



「提督ぅ~あの子欲しい~!」


「だめ! 今日は買い物と服を買いに来たんだろ?」


「そんな~・・・提督が取ってくれないなら私が取る~!」


と、手を出して催促。


「・・・・・・」


「仕方ないな」と思いつつ、1000円を渡す。


・・・・・・


「うう・・・取れない。」


村雨は悲しい顔をする。


「・・・はぁ~」


仕方ないなぁとばかりに提督が村雨の横に立つ。


「ほら、ここはこうして・・・」


・・・・・・


「すご~い! 提督って取るの上手いんだ~!」


「昔はやってたからな・・・欲しい物も取ったし、買い物に戻るぞ。」


「は~い♪」


「・・・・・・」



うん、やっぱり可愛い。



「提督、この下着・・・似合います?」


村雨が下着を目の前に出して、評価を求める。


「・・・・・・」


提督は顔をしかめる。


「ちょっと! ちゃんと見てください! これ・・・村雨に似合いますか?」


「・・・・・・」



いや、ちょっと・・・赤は似合わないような・・・



「・・・・・・」


ここは素直に、


「村雨は地味の方が似合う!」 と返答。


「・・・やっぱりそうです~? じ・ゃ・あいつもの白で~♪」


村雨はそのままレジに走る。


「・・・・・・」



それ以上に、女の下着コーナーに男がいたらまずいんじゃ・・・?



「・・・・・・」


実際、周りの視線は驚くほど鋭かった・・・


・・・・・・


「たくさん買ったな~。」


帰りの荷物は大量で、提督一人では持ち切れなかった。


「私、まだ持てますよ・・・持ちましょうか?」


姿は女性だが、よくよく考えたら彼女は駆逐艦娘・・・普段から主砲や艤装を装備しているのだから、力は強いわけだ。


「いいよ、オレは大丈夫。」


提督は意気込んで重い荷物を持ち歩く、村雨は後ろで「あらあらw」と言いつつ、ついていった。


・・・・・・


買い物から帰るともう夕方・・・一人とは違って、相方がいると時間が経過するのが早い・・・と感じた提督。


夕食は2人で分担して作ったカレーライス。 鎮守府ではこのメニューが定番なので、彼女は夕食にカレーを要望してきた。


食べながら会話が弾む、村雨は妹の春雨の事や姉妹艦の夕立や海風のこと等・・・


「そうなんだ・・・春雨って意外とおっちょこちょいなんだ。」


「夕立は語尾が「ぽいっ」だけじゃないって・・・何か聞いてみたいな!」


ゲームでしか見たことが無い提督にとって、話で聞いた彼女たちの印象が違って見えて楽しく思った。


・・・・・・


夜になり2人は就寝・・・昨日と同じ布団に2人が入る。


「・・・・・・」


1人だと少し余るスペースが2人だと「少し狭いな」と気づく提督であった。


・・・・・・


「行ってくるね。」


今日から仕事、すぐに着替えて会社に向かう。


「いってらっしゃい、提督。」


村雨は提督を送った。


・・・・・・


特に仕事はいつもと変わらない、違うと言えば・・・


「早く家に帰りたい。」


今まで、1人で住んでいたのだから残業なんて当たり前で帰っても1人である。


でも、村雨が住むようになってからは、なるべく早く帰ろうと思うようになった。


・・・・・・


昼になり、提督は家に帰る。


・・・・・・


「ただいま~。」


家に帰ると、村雨が玄関の前で正座をしていた。


「ど、ど、どうしたの?」


「・・・提督はいつ帰ってくるかな~って考えていたらついここで♪」


「・・・・・・」



ああ、やっぱり寂しがり屋なんだなぁ~・・・



「よしよし、今から昼を一緒に食べよう。」


頭を撫でると彼女は喜ぶ。


「提督はどんな仕事してるの~?」


「う~ん・・・主に物を作ったりする仕事かな。」


「へぇ~・・・じゃあ明石さんと同じことしてるのね。」


「・・・あそこまでメカニックではないが、それに近い仕事はしてるね。」


昼食は会話で賑わっていた。


・・・・・・


「そろそろ休憩が終わるから、また会社に戻るね・・・今日は定時で帰るから。」


「は~い、待っています♪」


・・・・・・


午後からの仕事・・・いつもと変わらない。


「・・・・・・」


仕事をしていると、どうも村雨の事が気になって仕方がない、また玄関前でずっと待っているのかな?


「・・・・・・」


仕事と村雨の事を考えていたらいつの間にか定時になり、早々に仕事を切り上げた。


「お疲れ様です。」


「お、珍しいな。 何かあったのか?」


いつも残業するので、定時に帰る自分を気に掛ける先輩。


「はい・・・少しの期間子供を預かっていまして。」


咄嗟についた嘘・・・預かっているではなく同居しているが本当なんだけど・・・


「それは大変だな・・・ならさっさと帰ってあげなさい。」


先輩に礼をして会社から出る。


・・・・・・


「ただいま~。」


扉を開けたら案の定・・・目の前に村雨がいた。


「おかえりなさい、提督。」


彼女はにっこり笑う。


「わざわざ玄関前で待っていなくてもいいんだぞ?」


提督は気を遣う。


「いえ・・・私、これといってやることもないので。」


「布団に寝ててもいいし、テレビとか見てもいいんだぞ。」


「それなら、提督と一緒がいいです♪」


「・・・・・・」



どうやら1人ではやりたくない様子・・・



「じゃあ、夕食作ろうか?」


「はい♪」


・・・・・・


今日の夕食はハンバーグ・・・村雨が肉を握って提督が焼く分担作業・・・


2人「いただきます。」


ハンバーグを食べつつ、2人の楽しい会話が始まる。


「へぇ~・・・秋月がこの前ステーキ食べて気絶した? それは見て見たかった!」


「霧島と外出してたら突風で飛ばされた!? ははは・・・そんなに強い風だったのか・・・何!? 竜巻だった!?」


会話のほとんどが村雨の会話である・・・でも、聞いてて楽しい。


「・・・・・・」


「? どうしました?」


今まで気づかなかったけど、村雨の体調が悪く見えた。


「大丈夫? 顔色が悪そうだけど・・・」


「はい・・・大丈夫です・・・少し頭が痛いだけです。」


「そうか・・・」



その時はそこで終わったのだが、翌日・・・大変な事態になることをまだ知らなかった。



シャワーも浴びて、2人でテレビを見て・・・そろそろ就寝。


いつもと同じように同じ布団に2人が入る。


「念のために氷枕用意したから。」


そう言って村雨の枕を替える。


「ありがとう・・・提督は優しい♪」


にっこり笑うが、どこか苦しそうな表情である。


「隣に水も置いておくから・・・のどが乾いたら飲んでね。」


「はい・・・何から何まですいません。」


2人は就寝した。


「・・・ただの風邪ならいいんだけど・・・」


提督は心配しながら就寝した。


・・・・・・


翌朝、提督は村雨の異変に気づく。


「!? すごい熱!! おい、村雨! 大丈夫か!?」


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」


息が荒い・・・とても苦しそうだ。


すぐに替えの氷枕を用意し・・・解熱薬を飲ませる。


「・・・・・・」


汗の量もすごく、深夜の間にかなり発汗したのがわかる。


「村雨、苦しいだろうけどこれを飲んで。」


わずかに開ける口元・・・グラスをくっつけゆっくりと注ぐ。


「・・・・・・」


少しは落ち着いたかな、呼吸が正常に戻る。


「ふぅ~・・・よかった。」


・・・・・・


「すいません、子供が熱を出したので数日の間、有給お願いします。」


とりあえず、会社には休む旨を報告、村雨を看病することにした。


・・・・・・


呼吸は正常になったが、熱は下がらない・・・あの解熱薬は効き目が高いはずなんだけど・・・個人差かな。


・・・・・・


夜になっても、熱は朝と比べて1度も下がる様子がない・・・


「・・・・・・」


運が悪く、今日と明日は休日・・・病院系統は休みである。


「・・・・・・」


提督はそのままずっと村雨を看病し続けた。


・・・・・・


深夜・・・再び村雨の呼吸が荒くなる、


提督は目覚め、開いた口元に水を注ぎこむ・・・それで少しは落ち着く。


「・・・・・・」


2,3時間おきに呼吸が荒くなるので、症状は悪化しているようだ。


「・・・どうすればいい? どうすれば村雨を治せる?」


「・・・・・・」


考えた挙句、1つの結論にたどり着く。


「艦娘を治す手段と言ったら・・・高速修復済・・・かな・・・」


しかし、その修復済は現実には存在しない・・・どうすればいいか・・・


「・・・・・・」


提督は村雨を見る。


「・・・・・・」


実は提督には気になっていたことがあった・・・それは・・・


・・・・・・

・・・



数日前の深夜、(1~2時頃)に村雨の胸が光る光景を見た。


それは1度ではなく決まって深夜に光っていた。


気になって村雨の胸付近を見ると・・・そこには・・・


「何だろう、これ?」


何かの装置? 丸くて小さい割に精巧に作られている・・・何かの部品?


・・・・・・

・・・



あの時は何とも思わなかったけど・・・今になって考えてみたら・・・


「もしかして・・・現実と仮想世界を行き来する装置?」


そう考えると、つじつまが合う。


初めて村雨が来た時も深夜・・・PCもスリープにして電源を入れたままだった・・・もしかしたら!


「・・・・・・」


もし、それが可能なら・・・と、提督が決意したこと、それは・・・



仮想世界(艦これの世界)に行って高速修復済を取ってくる!



もしかしたら戻ってこれないかもしれない。


そのまま、艦これの世界に閉じ込められて、二度と元の世界に戻れなくなるかもしれないし、


違う世界に行くかも知れない・・・


「・・・・・・」


でも、村雨はオレと「会いたい」と思う一心で現実の世界にやってきた。


オレは村雨の事が好きだし、助けたい・・・だったら・・・



行くしかない!!



提督は決心した。


・・・・・・


深夜・・・提督は丸い装置を握りしめて、その時間(1~2時)を待つ。


・・・・・・


時間になり装置が光り出す。


「・・・・・・」


提督はその装置を強く握り、願った。



オレを艦これの世界へ連れて行ってくれ!!



「!? うわああああああっ!!!!」


その瞬間、装置が更に光りだし・・・提督は意識を失う。


・・・・・・

・・・



「・・・う~ん。」


目が覚めた場所は、見たこともない場所。


「・・・・・・」


うっすらと見える光景・・・徐々に視界が戻っていき・・・


「・・・はっ!」


提督は立ち上がる。


「・・・・・・」



ここは・・・あ、目の前に”執務室”と・・・もしかして!



提督は仮想世界(艦これの世界)に来ることが出来た。


「・・・そうだ! あの装置は!」


ポケットをを見ると、あの丸い装置が消えることなく光り続けていた。


「・・・まだ使えそうだな。」


装置を見て一安心した提督は歩き出した。


・・・・・・


「それにしても・・・驚いたな・・・」


自分が艦これの世界に来れた事も驚きだが、それ以上に驚いたのは・・・


「服が司令官の服に変わっている!」


「・・・・・・」


考えてみれば当然の事か。


この世界は自分のPCから表示されている世界、提督は自分だからそれに反映されて


この世界では本当に提督として着任したのかもしれない。


「・・・あれ?」


もう1つ気になったのは・・・


「? 痛くない?」


先ほど、廊下を曲がるときに足をぶつけてしまったのだが、何故か全く痛くなかった。


「・・・・・・」


それ以上に心臓の鼓動もしない。


「・・・・・・」


別に驚かなかった。


この世界は作られたもの・・・この世界に存在している物、艦娘、道具も全て作られた存在。


息をしているわけじゃないし、心臓が動いているわけじゃない・・・ただ存在している、それがこのゲームの世界。


「・・・・・・」



もしかしたら・・・村雨が体調を悪くしたのは・・・



「・・・・・・」


確信した提督は、急いで明石のもとに走った。


・・・・・・


「あら、提督・・・どうしました?」


「・・・・・・」


自分を見て明石は「提督」と言う・・・当然と言えば当然なのだが、むしろ安心した。


もし、「不審者」と言われたら真っ先に憲兵に連行されて、村雨を助けるどころではなくなるからだ。


「高速修復済と・・・この装置をもう1つ作ってほしい。」


咄嗟に言った、「この装置を作ってほしい」 ・・・言って良かったと後でわかることになる。


「えっ!? その装置・・・まさか!?」


明石は驚く。


「もう1つ作ってほしい・・・無理か?」


オレは明石を睨んで、


「い、いえ・・・わかりました! 少しお待ちください!」


明石は工廠へ入っていった。


・・・・・・

・・・



「できました・・・どうぞ、提督。」


明石から同じ装置を渡される。


「ありがとう、明石。」


「後・・・これが高速修復済です。」


目的の高速修復済を受け取った。


「では、失礼する。」


提督は明石の前から去ろうとした時、


「村雨さんは・・・夢が叶ったんですね?」


その言葉に提督は足を止めた。


「ずっと「提督に会いたい」と言ってましたからね・・・周りに「無理だ」と言われようとも、村雨さんは


 諦めなかった・・・そんな時、ここに村雨さんが来て頼んできたんです。」


「・・・・・・」


「私も村雨さんの気持ちに心打たれて開発をしてやっと試作品を作ることが出来たんです。


 村雨さんも「これで提督に会える!」と喜んでいましたよ。」


「・・・・・・」


「その試作品がここにあるってことはあなたが現実の提督なんですね? 村雨さんは元気でやっていますか?」


「・・・今体調を崩していて、それでオレがこの世界にやってきたんだ。」


「!? そうなんですか!? でも、どうして・・・」


「今の話とさっきオレが体験した事で理由がわかった。」


「そうなんですか・・・」


「悪い・・・急いでいるんだ、装置と修復済・・・ありがとう!」


提督は急ぐが・・・


「待ってください! 注意事項だけ聞いてください!」


明石が引き止める。


「その装置・・・同じ人間が2回以上使うと壊れてしまうんです・・・くれぐれも慎重に使用してください。」


「・・・わかった、ありがとう。」


明石の言葉を聞いて提督はその場から去る。


・・・・・・


ポケットから装置を取り出す。


「・・・・・・」


消えることなく光り続ける・・・そして、


「・・・元の世界に戻りたい!」


その瞬間、光が増し、提督は包まれた。


・・・・・・

・・・



「・・・う~ん。」


意識を失っていたようで、提督は起き上がる。


「・・・はっ!」


すぐに目覚めて確認する。


「・・・時間がそのまま。」


深夜に艦これの世界に行ったのだが、帰ってきたときの時間は全く変わっていない。


「つまり、あっちの世界へ行けば、現実の世界の時間が止まる・・・そしてその逆も・・・」


それがわかり、村雨を見る。


「・・・・・・」


持ってきたはずの修復済を探す。


「・・・あった。」


明石に頼んだ修復済は倒れていた隣に置いてあった。


「・・・急いで村雨を治さないと!」



村雨を抱いて、浴槽に浸ける・・・そこに修復済を入れて・・・後は治るのを待つ!



「・・・・・・」


急に眠気がして提督はそのまま寝てしまう。


・・・・・・


「・・・う~ん・・・はっ!・・・村雨!」


浴槽を見る・・・肝心の村雨の姿はなかった。


「・・・・・・」


提督は風呂場から出る。


「村雨!」


いつも2人で寝る布団の中心に座り込んでいた・・・提督は目の前に座る。


「提督・・・私・・・私・・・」


「・・・・・・」



熱を確認する・・・全くない・・・治ったんだ・・・よかった・・・



「良かった、村雨!」


提督は村雨に抱き着く。


「提督・・・私のために・・・ごめんね。」


村雨は泣きながら、提督を抱きしめた。


・・・・・・


「大丈夫ですか? 体に異常はないですか?」



彼女はとても心配している・・・確かに、生身の人間が上手くいったとはいえ、ゲームの世界へ入ったんだからねぇ~。



「大丈夫だって・・・村雨は心配性だなぁ~。」


提督は苦笑しながら村雨の頭を撫でる。


「ただ・・・装置が・・・」


村雨に見せる・・・明石が言っていた「同じ人間が2回使うと壊れてしまう」の通り、装置は壊れ動くことはなかった。


「ごめんな。」


「いいんです・・・私のために修復済を持ってきてくれたことで気づきました。 それに私は提督に


 会って一緒に生活したかったので、それを捨てようかと思っていました。」


「・・・・・・」



そうか・・・村雨はそうまでしてオレに会いたかったんだ・・・



「・・・・・・」



ならオレも、その気持ちに答えなければ・・・



「村雨。」


村雨を抱き寄せて・・・


「好きだよ・・・オレは村雨が・・・好きだ、愛してる!」


「提督・・・」


村雨も抱き着き、


「ねぇ、提督・・・今日は予定ある?」


「いや・・・特にないけど・・・」


「じゃあ今日は私のお願い、聞いてくれる?」


「・・・うん。」


「・・・じゃあ、今とってもいいムードなので♡」


「・・・(恥)」


2人は朝だと言うのに、また布団に入り込んだ。


・・・・・・


お互い愛し合って・・・


「驚いたな・・・」


提督が口を開く。


「? 何がです?」


村雨が首を傾げる。


「いや・・・ゲームでしか見たことないから、実感がわかなかったけど・・・村雨って結構胸大きいんだな。」


そう言って胸を揉む。


「いや~っ!! エッチ!!」



バシイイィィィィッッ!!!!(平手打ち)



「ぐはぁっ!!」



何て平手打ち・・・ただの女の子の平手なのに・・・流石駆逐艦娘・・・まるで・・・鉄球が・・・勢いよ・・く  バタッ!!(気絶)



「!? いやああああっ!! て、提督!!」


村雨は提督を抱え、


「どうして・・・どうしてこんなことに!!」            ←いや、君のせいだよw


・・・・・・


提督が意識を取り戻したのは、昼過ぎであった。


・・・・・・


それからはいつもの生活に戻った。


村雨に家の機器の使い方を教え、自分が仕事に行っている間、寂しくならないように携帯を持たせた。


「ここのボタンを押して・・・そうすれば、通話ができるから。」


村雨は携帯を嬉しそうに肌身離さず持っていた。


「じゃあ一回試しに電話してみて。」


村雨は教えられたとおりにボタンを押してみた。


「お、鳴った鳴った♪」


これで「通話ができるな」と安心する提督、


・・・・・・


でも、いざ仕事に行くと携帯が鳴らない・・・どうしたんだろう?


・・・・・・


家に帰ると、やっぱり玄関の前でずっと待っていた。


「どうしたのさ。」


心配になり声を掛けると、


「仕事に支障をきたすとまずいと思って・・・」


「・・・・・・」



まぁ、確かに・・・何回も電話されると困ると言えば困る・・・



「もしかして、またずっとここにいた?」


「・・・・・・」


村雨はコクっと首を振る。


「・・・・・・」


理由を聞くとこれまた艦娘らしい答えが・・・


「提督の物を私が使うことはできません。」


「・・・・・・」



この世界に来てまで上下関係なんてないのに・・・



・・・・・・


仕事に行っている間は村雨の行動を心配するが、一緒になればその心配は消えてしまう。


会話は楽しいし、側にいてくれて嬉しいから・・・


「そう言えば、長女のお姉さん(白露)はどんな子なの? やっぱり「いっちばーん!」って感じなの?」


・・・・・・


「え~っ? 実は一番じゃなくてもいいの? へぇ~。」


いつもは村雨の話で盛り上がるのだが、最近は自分も皆の事を聞いたりしている。 


「江風は知ってる?」


「うん、あの赤い髪の元気な子だよね?」


「江風この前、男と間違えられたのよw」


「マジで! まぁ見た目は可愛いけど、声と容姿は男っぽいねw」


会話は楽しく盛り上がる。


・・・・・・


夜になり、就寝。


「・・・・・・」


村雨の寝顔を見て決意する。



仕事に行っている間は仕方ないけど、それ以外はずっと側にいてあげよう、と。



・・・・・・

・・・



季節が冬になり、部屋の中は急に寒くなる。


同時に村雨が再び体調を崩して、寝込む。


「・・・・・・」


村雨に厚着を着せ、毛布と厚布団をかぶせて様子を見る。


「・・・・・・」



やっぱり・・・前と同じ・・・治る気配が無いな・・・



提督は修復済を用意して・・・


村雨を浴槽へ連れて行き、用意した風呂にゆっくりと浸かせ、修復済を流し込む・・・


「・・・・・・」


そのまま治るのを待つ・・・


・・・・・・


治ったようで、村雨はいつも通りに生活する。


「・・・・・・」


村雨が体調を崩した理由・・・それは恐らく、”この世界の環境に村雨の身体がついていけない。”


「・・・・・・」


自分が村雨のために修復済を取りに艦これの世界へ行った時、


自分はいつの間にか司令官の服を着ていて、更に痛みも心臓の鼓動もない、つまり「感覚がない」状態だった。


「・・・・・・」


あの世界は作られた物・・・周りの光景、艦娘、季節なども全て作り物。 季節や光景が変わるのはプログラムによるもの。


現実で8月になればプログラムの元、艦これの世界も「夏」として季節が変わるのだ。


感覚が無いのはゲームの世界だから。 そもそもゲームの中のキャラクターは痛みを感じない、


それは全てプログラム上、敵から攻撃を受けた→ダメージを受ける→怪我をして痛い としてプログラムされて「痛い」と思うからだ。


つまり、村雨は実際には感じることのない「感覚」を現実の世界に来たことで初めて「感覚」を持つようになったのだ。


恐らく彼女は、季節の急激な気温変化に耐えらず、体を壊してしまったのだろう。


彼女がずっと玄関前で待っているのも、「提督の物には手を出せない」というプログラムが入っている結果、


あのような行動をとっているのだろう・・・


「・・・・・・」


今はいい、明石からある程度の修復済を貰ってきたから当面の生活は問題ない・・・でも、


修復済がなくなった時は考えなければならない・・・


村雨を元の世界に連れて行き、そして自分がその世界に残るか、もしくは残らないか・・・


・・・・・・


「村雨、今日は休みだから2人でどこか行かないか?」


「いいんですか? じゃあ是非♪」


今日は少し離れたところにある小さい遊園地に2人で行った。


施設内にはジェットコースターはなく、せいぜい小型のメリーゴーランドとかお化け屋敷、射的とかの


アトラクションがある程度の遊園地である。


でも、村雨はとても喜んで、2人でアトラクションに乗って楽しんだ。


・・・・・・



パンッ!  パンッ!  パンッ! 



「惜しい! 68点! お嬢ちゃんには風船をプレゼントね。」


射的で上手く得点を稼げず、村雨は頬を膨らます。


「ああ~! あともう少しで、ぬいぐるみが取れるのに~!」


村雨は目の前にある一際大きなぬいぐるみを狙っていたようだ。


「そうか、じゃあもう一回やる?」


村雨に500円を渡す。


「はい! よ~し! 次こそは!」


・・・・・・


「70点・・・また風船・・・はぁ~。」


またしても風船、村雨はしょんぼり。


この後も何回かやるが、全て風船と言う結果に・・・


「うわ~ん・・・とっても悔しい!」


「こらこら・・・」


提督は村雨の頭を撫でる。


「提督がやってみてくださいよぉ~、提督だったらなんかできそうな気がします。」


そう言って村雨が射的の銃を渡してきた。


「・・・よし、やってみるか。」


提督はコルクを入れて的を狙う。



パンッ!  パンッ!  パンッ! 



・・・・・・


「92点! 兄ちゃんおめでとう! ほら、ぬいぐるみが景品だ!」


と、村雨の目当てのぬいぐるみをゲット!


「ほい、村雨。」


「わ~い! ありがとう提督!・・・それにしても本当に上手いんですね! 提督!」


「・・・・・・」



まぁ、たまたまだよ・・・        ←実は射撃が得意w



・・・・・・


「今日はたくさんの収穫だ。」


大きなぬいぐるみと、風船いっぱいに、お土産にクッキー等の洋菓子ケースを複数購入。


車に乗せて家に帰る。


「今日は楽しかったです! 提督、ありがとう!」


村雨は満足した。


「・・・ふぁ~・・・何か眠くなってしまいましたぁ・・・少し寝ますねぇ~。」


と、提督の肩にもたれかかって眠り始めた。


「・・・・・・」


提督にとっても、村雨といられる時間がとても幸せに感じた。


・・・・・・


その後はほとんど問題ない生活が送れた・・・でも、


村雨が体調を悪くしてしまうのは、改善されず、修復済を使って治す生活である。


村雨も「ごめんなさい、ごめんなさい。」と泣きながら謝ってくる。


自分は「村雨が悪いんじゃない、気にしないで」と慰める。


・・・・・・


村雨と生活して1年が過ぎようとしていた、


このころには修復済がほとんど残っておらず、提督はこの前の決意を胸に固める。


「・・・・・・」


意を決して、村雨に打ち明ける。


「村雨、元の世界に帰ろう。」


突然の言葉に村雨は驚く。


「な、何を言ってるの、提督?」


理由は分かっているようだが、敢えて知らないふりをする村雨・・・それを見て辛かった。


「修復済がもうなくなる。 これからは、村雨を治すことが出来ない。でも、


 元の世界へ帰ればその心配はなくなる。 だから帰るんだ。」


「嫌です! 私は、提督と一緒にいたいです!」


元の世界に帰ることを拒む村雨、もちろん提督だって本当は嫌だった。


「・・・・・・」


修復済があったから治せた・・・いや、本当は使う前の村雨の苦痛の表情を見ているのがとても辛かった・・・の方が正しい。


「心配するな、オレも一緒に行ってやる。」


「え?」


「一緒に行けば寂しくないだろう? だから行こう、村雨がいた世界へ。」


「・・・でも、装置は? 壊れて使えないんじゃ・・・」


「・・・・・・」



あの時、明石にもう1つ作ってもらったのは正解だった・・・まさかここで使うことになるとは。



「明石にもう1つ作ってもらったんだ、これで行けるだろう?」


「・・・・・・」


「さぁ、行こう! ・・・心配するな! オレは絶対村雨から離れないから!」


「・・・・・・」


彼女は無言で首をコクっと振る。


・・・・・・


深夜の時間に装置は光り出す・・・2人は願った。




村雨がいた世界(艦これの世界)に行きたい!




その瞬間、2人は光に包まれた。


・・・・・・

・・・



「・・・う~ん・・・はっ!」



目が覚めた場所は・・・前に倒れていた執務室前の廊下ではない・・・じゃあここは?



「お目覚めですか、提督?」


呼ばれて振り向くと、そこには村雨の姿が・・・


「ここは私の部屋です、ゆっくりしてください。」


「・・・・・・」



そうか・・・ここは村雨の部屋だったのか・・・じゃあ艦これの世界に来ることが出来たんだな。



「・・・・・・」


村雨は口を開こうとしない。


「・・・・・・」



怒ってるのかな? ・・・まぁ、当然かもね・・・彼女のためとはいえ、「帰れ」と言ってしまったのだから。



「・・・提督。」


村雨はオレに近づき・・・


「大丈夫です? 体に異常はありませんか?」


村雨は真っ先に自分の身体の心配をしてくれた。


「・・・大丈夫だよ・・・ただ・・・やっぱり感覚がないのは違和感があるね。」


前と同じ、全ての感覚が麻痺している、心臓の鼓動もしない・・・実際に呼吸をしているかさえ分からない。


「・・・・・・」



当の村雨は、艦これの世界に戻った影響か、何も苦しい所はなさそうだ・・・その方がオレは良かった。




「じゃあオレは執務室へ戻るから・・・何かあったら呼んでくれ。」


そう言ってオレは執務室へと歩いて行った。


・・・・・・


執務室にいても、実際にやることが無い・・・ゲームやアニメの内容が本当なら、大淀か


艦娘が報告に来るはずなのだが・・・誰一人来ない。


「食堂へ行ってみるか。」


お腹は空いていないが、食堂へ行けば艦娘の1人や2人いるだろうと思い、提督は食堂に向かった。


・・・・・・


艦娘がいた・・・しかし、自分を見た瞬間去ってしまった。


「・・・・・・」


現実から来た自分の事を気味悪く思っているのか、誰一人顔を合わせてくれなかった。


「まぁ、仕方ない、か。」


提督は1人で食事を注文した。


・・・・・・


注文した食事はとてもおいしそう・・・でも、感覚が無いという事は・・・


「・・・やっぱり。」


味覚も嗅覚も働かない・・・つまり味が無いのだ。


不味いとかおいしいとかではない、完全に無味なのだ・・・しかも、


「口に入れた感覚もない。」


口に入れた時点で口内の料理が消滅したかのように何も残らなくなる。


「これが、ゲームの中の食事なのか・・・」


本来楽しむはずの食事も、この世界ではただのプログラム・・・生身の人間がいられる場所じゃない。


「どれくらいオレはここにいられるかな・・・」


村雨と一緒にこの世界で暮らそうと考えていたけど、無理があった。


ここにいればお腹も空かない、痛みもない、眠くないと一見便利だが、逆に生きている実感が持てない。


「・・・早く去ることになりそうかな・・・」


村雨の事が心配だったが、それ以上に、この世界に慣れ始める前に去ろうと考える提督だった。


・・・・・・


1週間が経過・・・いや、実際はよくわからない。


朝と夜を7回繰り返したから、恐らく1週間は経過したと思われる・・・


オレと話をしてくれるのは、明石と村雨の2人だけ、他の皆は話すどころか会うこともない。


この世界は自分がいるべき場所でない、そう感じた。


・・・・・・


提督は意を決して元の世界に戻ることを決意。


村雨は当然・・・残していくことに決めた。


幸いにも、村雨は今外出中で鎮守府内にはいない、会うと別れが辛くなるから今しかない!


「本当に行ってしまうんですね?」


明石が寂しそうな顔で答える。


「ああ、今まで世話になった、ありがとう。」


「村雨さんは残していくのですか?」


「ああ・・・現実に戻ったらまた体調を崩すと思うから・・・それだったらこの世界に残ってもらう方が


 村雨にとってもオレにとってもいいはずなんだ。」


「・・・そうですか。」


明石は少し考えて提督にある装置を渡す。


「? これは?」


「この世界と元の世界とで会話が可能な装置を作ってみました、まだ試作品ですが・・・」


「明石は本当に何でも作れるんだな・・・凄いよ。」


「でも、あの転送装置はもう作れませんけどね。」


明石によると、転送装置の設計図が紛失したとのこと、あの装置を作成するには特殊な資源を消費するが、


その資源も切れたため、作成不可となった。


つまり、提督が元の世界に帰った時点でこの世界との関りが無くなることを意味している。


「ありがとう! ・・・それじゃあ、オレはもう行くよ。」


明石に礼を言って装置を取り出そうとした。


「・・・・・・」


未練があるのはやはり村雨の事・・・提督は最後に村雨の部屋に向かった。


・・・・・・


部屋は整理整頓されて綺麗・・・いかにも村雨らしいなぁと感じる提督。


「・・・これは?」


提督が見つけた物・・・それは、


「・・・日記?」


女の子らしく、ピンク色のカバーの日記帳である・・・提督はそれを読んだ。



・・・・・・


〇月〇日、


画面越しに見える提督がまたカードを買っていた・・・明石さんの工廠にまたチャージ金額が足された。


また提督は買い物をするようです・・・提督自身に使えばいいのに・・・


前言撤回! 買い物はいつもと同じ、応急修理要員・女神。


提督は危険海域に行くときは必ず全員に持たせる、あくまで念のためだろうけど、


私たち艦娘を大事にしている気持ちが伝わってくる。



・・・・・・


〇月〇日、


明石さんが転送装置を作ってくれた、これで画面越しの提督に会える!


明石さんによると、同じ人間が2回使うと壊れてしまうって。


提督の世界に行ったらその装置は捨てるつもりだから、全然気にしてない。



・・・・・・


〇月〇日、


私の体調不良のせいで、提督が私のために高速修復済を取って来てくれた。


提督の身体に異変が無くて本当に良かった。


これからも提督とずっと一緒に暮らして行きたい。



・・・・・・


〇月〇日、


元の世界に戻って私の体調は戻ったけど、提督はどう思っているかな?


この世界に馴染めず、提督は毎日ストレスを溜めていた。


ほとんど会話もしてくれない・・・私の事、嫌いになっちゃったかな? 


どうしたらいいんだろう・・・私は・・・ 


「・・・・・・」



村雨・・・ごめんな・・・本当に・・・ごめんな・・・



提督は村雨の部屋を後にした。


・・・・・・


誰もいない広い場所に行って、


「ここでいいな。」


そう言って装置を取り出した・・・相変わらず光り輝いている。


「・・・・・・」



これで現実の世界に帰れば何もかも終わる、この世界との関りもなくなり村雨にも・・・二度と会えない。



「・・・・・・」


装置に向かって目を閉じ、願おうとしたその時・・・


「提督! 提督ぅ~!」


提督と呼ばれて振り向いた・・・村雨だった。


「はぁ・・・はぁ・・・」


彼女は走ってきたせいで息を切らしていた。


「どうして私を連れて行ってくれないんですか!?」


「・・・・・・」


「私の事を嫌いになったんですか!?」


「・・・・・・」



村雨の事はずっと好きだよ・・・本当は一緒に帰りたい・・・でも・・・



「村雨は現実の世界では住めない、オレはこの世界では住めない・・・だから一緒に住むことができない・・・ごめんな。」


「・・・・・・」


「現実に戻っても、艦これはずっと続けるから・・・お前を秘書艦にしてずっと見守っているからさ・・・」


「・・・・・・」



敢えて突き放した口調で言った・・・こうすれば、オレの事を諦めてくれるだろうと思ったから。



村雨は少し無言の状態が続き・・・


「1日だけ・・・1日だけ待って!」


と言った。


「? 1日?」


「私の最後のお願いだと思って聞いて! せめて1日・・・1日だけこの世界にいてくれませんか?」


「・・・・・・」



村雨は何かしたいのかな? でも、1日だけなら、待ってもいいかな。



「わかった・・・帰るのは明日にするよ。」


「・・・ありがとうございます。」


村雨は礼だけしてその場から去った。


「・・・・・・」


提督は彼女を見つめる。


・・・・・・

・・・



翌日、


いつものように、執務室で作業し食堂で食事を取る・・・


出撃・遠征に行く艦娘たちを陰で見送り、また執務室に戻って仕事を進める。


・・・・・・


村雨のお願いの1日が過ぎようとしていた・・・おや?


「・・・・・・」



村雨が来た・・・最後のお別れの準備でもしていたのかな・・・



「私も一緒に連れて行ってください。」


お別れの挨拶かと思いきや、一緒に行くという返事だった。


「村雨・・・気持ちは嬉しいが・・・」


「これでどうですか?」


村雨は提督にある物を見せる・・・


「・・・!?」


提督はそれを見て驚く。


「村雨! お前・・・そんな・・・」


「私は・・・提督と一緒にいたいんです!」


「・・・・・・」


しばらく考え・・・


「本当にオレでいいのか、村雨?」


「・・・はい、提督。」


「・・・・・・」


彼女の意志は固かった。


「わかった・・・じゃあ一緒に行こう!」


村雨の手を握って願う。



元の世界へ帰りたい!



2人は光に包まれ、同時に装置が壊れる。


・・・・・・

・・・



現実に戻って、


「・・・う~ん・・・はっ!」


目が覚めると、側には村雨がいた。


「お目覚めですか? 提督。」


「ああ・・・それで、気分はどう?」


「私は大丈夫です♪ 何か解放された気分ですね♪」


「・・・そうか。」


提督はほっとする。


「あの・・・いきなりなんですけど。」


「?」


「お腹が空きました(恥)」


「・・・そうか、じゃあすぐに作ろうか。」


提督は台所に向かった。


「後、村雨。」


「はい?」


「もう提督って呼ばなくていいんだぞ、これからは名前で言って欲しいな。」


「・・・はい。」


2人は一緒に歩いて行った。


・・・・・・


「村雨、これを・・・」



ゲームの中で渡したけど、やっぱりこれは直接渡した方がいいよね。



「今日からオレと村雨で夫婦・・・これからもよろしくな。」


そう言って村雨に指輪を通した。


「・・・ありがとうございます・・・あなたに一生ついていきます。」


村雨は泣きながら喜んだ。


・・・・・・


村雨にまた家にある機器や携帯の使い方を教えた、


もう家にある物は「提督の物」ではない、これからは「2人の物」なのだ。


村雨がエアコンやテレビをつける光景は新鮮で、見ていて笑ってしまう。


体調も良好で、前みたいにいきなり倒れることはなくなった。


「・・・・・・」


あの時、


・・・・・・

・・・



「村雨・・・気持ちは嬉しいが・・・」


「これでどうですか?」


村雨は提督にある物を見せる・・・それは、


「!?」


それは”解体通知書”・・・村雨は自分を・・・艦娘である自分を解体したのだ。



※艦娘を解体すると普通の女の子に戻ると言われているが、実際にこの鎮守府で試した例がない。



その結果、艦娘から普通の女の子へと変わったのである。


女の子になれるという保証が今までなかったため、彼女にとっては最後の賭けでもあった。


・・・・・・

・・・



村雨は、普通の人間として生活している。


彼女はもう鎮守府には戻れない・・・だから、自分がずっと側にいてあげる。


村雨が笑う度に幸せを感じる・・・本当に・・・だって彼女の笑顔は、天使だから・・・


・・・・・・


あれからどのくらいの月日が流れたかな・・・


オレはいつも通りの仕事、村雨は専業主婦でいつも帰ったらおいしい食事を用意してくれる。


艦娘が解体した場合、艦娘だった頃の記憶がなくなるらしいのだが、彼女は記憶が残ったままだ。


ゲームや機器で言えばエラーかバグだが、オレとしては記憶が残った彼女の方がいい。


一緒に会話をしていると、鎮守府で生活していたことが懐かしく感じられるからだ。


妹の話、仲間の話、秘書艦だった時の苦労など様々・・・彼女の口から聞くと本当に楽しい。


艦これは相変わらずやっている、村雨が現実に来てしまったためゲーム上に村雨がいなくなってしまった・・・


代わりに秘書艦を”秋月”に変更してまたいつもの育成を行っている。


・・・・・・


最後に明石から貰ったあの装置を使ってみる。


明石によると、現実と艦これの世界とで会話(いわゆるスカイプみたいなもの)ができるらしい。


PCにプラグを差して、イヤホンをオレと村雨で1つずつ耳に当て、準備が整う。


艦これを始めて秋月が挨拶・・・そして話しかけてみる。


・・・・・・


「秋月さん、聞こえる?」



ゲーム上では動きに変化はないが、秋月が「え、誰・・・誰ですか?」と返答があった・・・明石はやっぱ凄い!



「村雨ですよ、 秋月さんは元気?」


「村雨さん!? 今どこにいるんです!? 声がした方向を向いてもいませんけど・・・」


それを聞いて2人で笑う。


当然ながら画面越しで見てるなんて言っても信じないだろうから・・・


・・・・・・

・・・



最近秋月が練度99になり2人で話し合った。


村雨は「ゲームですから構わないですよ。」と許可を貰って、秋月に指輪を渡しレベル100になった。


そこから驚くべき反応が・・・


「村雨さん! そこにいたんですか! 全然気づかなかったです!」


いきなり秋月が画面越しにいる村雨を見て声を掛ける・・・流石のオレと村雨もびっくり!


「秋月さん、私が見えるんですか!?」


「はい! 画面越しにはっきりと見えます!」


「・・・・・・」


どうやら、ケッコンした艦娘のみが画面越しの光景を見られるようだ。



”艦娘と強い絆を結んだ”と言う言葉は伊達じゃない!!



「村雨さんの隣にいるお方が、提督ですね?」


「そうですよ、今は私の旦那様です♡」


「そうなんですか!? おめでとうございます!」


「ありがとう! 秋月さん!」


・・・・・・


明石から貰った会話装置で、これからも両世界のやりとりをしている提督と村雨であった。








「村雨、PCから飛び出しちゃった!?」 終








続編は「秋月、お前もか!?」 にて。










このSSへの評価

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2017-09-26 16:35:25

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1: SS好きの名無しさん 2017-08-11 09:08:03 ID: rlogpmN2

抱き枕にしたら気持ち良さそう。
人類の知恵はいつ画面の向こうにいけるようになるとですかw

2: 2-4-11 2017-08-11 12:32:44 ID: hb2bTX4b

期待

3: 2-4-11 2017-08-11 12:33:19 ID: hb2bTX4b

期待

4: 誰だお前 レフト4番 2017-08-11 15:17:19 ID: MDBm8DoE

ktkr!!

5: カープ優勝!@二航戦提督 2017-08-11 20:41:25 ID: 6AAkGaIg

天使だ!天使がいるぞ!

6: SS好きの名無しさん 2017-08-13 18:33:53 ID: DWuy1MNE

こりゃ提督君も画面の向こうにダイブしそうだw
俺も行きたいぜw

7: SS好きの名無しさん 2017-08-14 00:54:05 ID: qmKix_j9

期待しかない

8: SS好きの名無しさん 2017-08-14 11:50:58 ID: OvxcG_ND

俺には愛が足りなかったのかw
VRの中に入れんw
その艦これVRってゲームが出そうだw


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1: 2-4-11 2017-08-11 12:33:41 ID: hb2bTX4b

これは名作の予感


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