2017-08-15 01:47:51 更新

前書き

初短編です。
少し下品です。





二人しか居ない部屋の雰囲気が凍りついた。

そう、感じた。




提督「……」



朝潮「司令官、セックスとは」



提督「二度も言わなくても良い。

大丈夫、聞こえてるから」


提督(聞かなかった事にしたいけど)



脂汗が滲み、呼吸が荒れる。

ここから先は少しの会話のミスも許されない。



緊張しつつ口を開く。



提督「どうして急に…そんな質問を?」



朝潮「いえ、以前、酔った隼鷹さんから男と女でする事だと教えて貰ったのですが、その詳細が分からなくて。司令官なら知っていらっしゃるかと…」



提督(…5。いや、半年は禁酒だな、あいつ)



提督「…ああ、知ってるさ。知ってるとも」



朝潮「!!そうですか!

では、是非ともご教示して頂きたいのですが」



提督「……」




この時、提督の頬には汗がつたい

神経は蒼白となって震え

そして、自己の細胞が次々に死滅してゆくかのような嘔吐感に包まれた。



提督「ああ…いいだろう…

いいか、セックスというのはだな…」



このような純潔無垢を汚して良いのか?

否、否である。


しかし、いつか彼女も知る時が来るのでは?

それならば、今教えても変わらないのでは?


否。現在のこの純真は決して穢してはならぬ。


だが、自らの信条として、嘘は吐きたくない。



僅か二秒なれど、数えきれぬ程の逡巡の後。




提督「…英語で『性別』を表す語句だ」




彼はあくまで嘘はつかず

なんとかこの場を収めようとした。




朝潮「成る程…

…?しかし、隼鷹さんは行動の事だと。

それも、男女にて行う事と言っていましたが」




おのれ隼鷹。




提督「…そうだな。

ところで朝潮。どうやって子供が産まれるのか。それを知ってはいるか?」



朝潮「…え?」



提督「人間でなくともいい。動物でもなんでも、どうやって産まれるか知っているか?」



朝潮「は、はい!知っています!

コウノトリが運びに来る、と!」



嗚呼。


提督は天井を仰いだ。


もし 動物の『交尾』を知るならば。

『その単語』は、その意味を含むのだと。


出来るだけ遠回しに遠回しに、かつ純潔を穢す事なく終わることが出来ると考えていた。


だが、駄目だ。

駄目だった。


もう何もかも台無しだ。



提督(いっそ舌を噛み切りてぇ)



今迄の人生、一度たりとも感じなかった自死の衝動を堪え、逡巡を続かせる。


そして悩んだ挙句。




提督「…あまり大きな声では言えないがな。実はこの言葉には『秘め事』を示す用法がある」



朝潮「ひ、秘め事?それは、まさか…」




提督「ああ、


…キスの事だ」




彼は嘘を吐いた。


彼は、信条も誇りもかなぐり捨て、嘘を吐いたのだった。



朝潮「そ、そうなのですか…!」



キスと聞くのみで顔を赤らめ

そして恥を感じる。

そんな可愛らしさを、状況が状況ならば最大限愛でていただろう。


だが、今はそんな気になれなかった。



提督「ああ。だからそんなに大声で言ってはいけない言葉なんだ。

あまり、公の場で声に出してはいけない」



朝潮「そ、そうなのですね…

私はとても恥ずかしい事を…」



提督「なに、知らない事は誰だってある。

今回は偶々それが恥ずかしい事だっただけさ」



朝潮「そう言って頂けると、有難いです…」



提督「ああ。

…もう、大丈夫か?」



朝潮「はい!ありがとうございました!」



びしりと敬礼をする朝潮。

そんな彼女を見て、提督は安堵の溜息をつく。


話をしている時間は数分に過ぎなかったが

この数分で提督の黒髪は 灰色に変貌していた。



すると、ある事に提督は気づく。


朝潮がもじもじとし 部屋を出ていかないのだ。


提督が不審に思っていると、少女は、吃りつつも話し始めた。



朝潮「以前荒潮に聞いた話だと、国外では親しい者は気軽に…キ、キスを!すると聞きました!」



朝潮「ですから…その文化に則って…

その…キスをして頂けませんか?」



提督(……!?)



こんな状況でないなら。

提督は健気に想いを寄せてくれている娘に対して、『それ位ならば』と応えただろう。



だが、極端に少女が穢れる事を恐れた、この時の提督は。咄嗟に拒否をした。



少女はあたふたとその拒否へと反応をする。



朝潮「そ、そんな!い、一度だけでいいんです!一度で良いので…」



ガチャ



大淀「失礼します提督、書類に不備が」




朝潮「私と『セックス』しましょう!」




提督「……」



大淀「……」





『詰み』である。





ガチャリ プルルル




大淀「…ええ、はい、憲兵さんですか?

はい、少し。…ええ、お願いします」



大淀「……」




大淀が内線を切り、此方を見る。

それは、笑顔だった。




大淀「何か言い遺す言葉は?」




提督「それでも僕はやってない」






終わり




後書き

もっとクリーンな話にしたかったです(叶わぬ願い)


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2017-12-10 13:27:12

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2017-12-04 04:36:39

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1: SS好きの名無しさん 2017-08-22 17:18:26 ID: cI8eDx6l

見事に全てが綺麗に嵌まった瞬間であるw


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