2017-09-05 07:44:00 更新

概要

ひょんなことで現実世界に来てしまった秋月。
新婚生活の主人公・村雨と一緒に気まずい共同生活が始まる。


前書き

のんびり更新していきます。


いつもと変わらない生活・・・


主人公(以降提督)と村雨が普段通りの生活をしていた。


信じがたい話だが、現実と艦これの世界が繋がり2人は様々な困難を経て、結婚をした。


ケッコンカッコカリではない・・・本当の結婚である。


今では、向こうの世界の唯一の繋がりは、PCを立ち上げての”艦これ”を起動しゲームをやること。


秘書艦は秋月(村雨は現実に来てしまったため、艦これの世界から消えてしまった)、礼儀正しく、明るい女の子だ。


最近指輪を渡してケッコンカッコカリをした・・・その瞬間、画面越しの2人を認識できるようになった。


どうやら、ケッコンした艦娘のみ画面越しに見られるらしい・・・


今では秋月と村雨で会話(スカイプのようなもの)をして、現実の世界での出来事や、艦これの世界での話をして盛り上がっている。


「今日は旦那様と一緒にデパートへ行ってきて、服を買ってもらいました。」


「そうなんですか~いいですね~♪ そう言えば鎮守府でも最近・・・」


「あらぁ・・・面白そうですね。 今度見せてねぇ~♪」


楽しい毎日である・・・世界が繋がるのはいいことだなぁと思う。


ある日の事、


いつも画面越しに見ている秋月が思わぬ考えを思いつく。


「画面に向かって飛べば、秋月もそちらの世界に行けるかもしれません!」


流石の2人は苦笑する。


「やめなさいw 顔をぶつけて痛い目に遭いますよw」


村雨がやめるように言うが・・・


「物は試しです! 秋月・・・突撃します!」


「はいは~いw どうぞ、お好きにw」


秋月は助速をつけて画面に向かって飛びこむ・・・すると・・・



スルリ!!         ドカッ!! (ぶつかる音)



「・・・え?」


一瞬、提督と村雨は何が起きたのかわからなかった。


「・・・・・・」


恐る恐る後ろを見ると・・・


「いたたた・・・」


頭をぶつけて、押さえている秋月の姿が・・・


「・・・はっ!」


2人に気付き、敬礼して・・・


「防空駆逐艦秋月・・・え~っと・・・着任しました・・・よろしくお願いします! ・・・で、いいでしょうか?」


「・・・・・・」



おいおい、マジかよ!?



提督はびっくりして、村雨もしばらくその光景を疑った。


・・・・・・


「え~っと・・・状況を整理すると・・・」



秋月が思い付きで画面を飛んだ結果・・・現実に来たと・・・


「・・・・・・」


そんなことってあるんだな・・・              ←ありませんw


「・・・・・・」


もちろん、帰ることなんて・・・


秋月がPC画面に顔をつけるが・・・変化が無い。


「やっぱりね・・・」


一方通行のようで、秋月は元の世界に帰ることが出来なかった。


それでも、諦めずに何とか帰る手段を考える秋月・・・


「・・・・・・」


提督は秋月を見て口を開く。


「秋月、前から気になっていたんだが・・・」


「? はい、どうしました司令?」


「・・・・・・」


「?」


「お前のスカート・・・超短いなw」


「ええっ!?」


「赤パン丸見えだぞw」


「・・・・・・(恥)」


秋月は下着を隠して、その場に座る。


「今日から秋月を改名して赤月と呼ぶか?」


「あ~それ、悪くないですね♪」


「や、やめてくださいよ~!」


途端に真っ赤になる秋月・・・


・・・・・・


向こうの世界に帰れないので、必然的に秋月がこの世界で暮らすことになった。


ただ問題なのが、秋月は駆逐艦娘の中で一番質素な事・・・今の生活に支障が無ければいいのだけれど・・・


・・・・・・


早速、始まった・・・(以降、秋月スイッチと呼称)


トイレで・・・


「司令!? た、大変です!!」


「お手洗いを貸してほしい」と言うので、「どうぞ」と言ったのだが、入っていきなり秋月スイッチが入る。


「と、と、と、トイレのふたが勝手に開いたんです! ・・・この家には幽霊がいるんですか!!?」


「・・・・・・」


返答に困る・・・


「実はぁ~・・・いるんです~www でも、悪い霊じゃなくて気を遣ってくれる優しい霊なんですよ~♪」


「そ、そうなんですね~・・・でも、驚きました・・・はぁ・・・はぁ・・・」


「・・・・・・」


秋月の性格を知っているからか、からかう村雨にそれを本当に信じ込む秋月・・・



この先が思いやられるな・・・



・・・・・・


「アイス食べる?」


村雨と秋月にアイスを渡す。


「ありがとう♪ このアイス、私好きなんです♪」


「・・・・・・」


「? 秋月、どうした?」


「あの~・・・アイスって何ですか?」


「・・・・・・」



え~っと・・・秋月って・・・アイス食べたことないの? ・・・マジで!?



「これはですね・・・」


村雨は丁寧に説明する。


「そうなんですか~・・・確かに冷たくておいしそうですね♪」


「旦那様が夏の間、アイスを買ってくれるから、欲しい時食べてね。」


「は、はい!」


「・・・・・・」



なかなか新鮮な光景である・・・



「お、お、おいしい~・・・」


秋月の周りがキラキラする。


ゲーム上でキラキラ化するのはよく見るが、現実でこの光景を見ると・・・はっきり言って眩しい!!


「おいしいです・・・とても・・・おいしいですぅ~(泣)」


泣き始める秋月。


「良かった・・・泣いちゃうほど感動したのねw」


村雨は秋月の頭を撫でる。


「・・・・・・」



うん、新鮮だなこれ。



「ご馳走様でした♪」


礼儀正しく、手を合わせて礼をする秋月。


「すごく冷たくて、おいしくて・・・感動しました! あの、これは何て言うアイスなんですか?」


「これはねぇ・・・ハーゲン〇ッツって名前のアイスですよ。」


「へぇ~・・・変わった名前ですねぇ~。」


ここでまた秋月スイッチ発動、


「いくらするんです?」


「これはミニサイズだから、安いけど・・・通常サイズだと約300円だったかしら?」


「さ、さ、300円!? これだけで300円ですか!!? おにぎりが3個買える・・・秋月はこんな贅沢をして許されるんですか!?」


「・・・・・・」


以降100円台のアイスクリームを買うことにした提督であった。


・・・・・・


「それにしても・・・」


提督は秋月を見て首を傾げる。


「なぜ秋月は体調を崩さないんだ?」


村雨がまだ艦娘だったころ(今は自ら解体して普通の人間になった)この世界に馴染めず体調を崩してしまった


経験があったのだが、秋月にはそれがない・・・耐性でもあるのかな?


「・・・もしかしたら。」


村雨がふと気づく。


「秋月さんの普段の生活が耐性を持ったきっかけかも。」


「? そうなの?」


村雨は一緒に鎮守府で生活していた頃の秋月の普段の生活態度を詳しく話してくれた。


・・・・・・

・・・



途中まで聞いて・・・提督の感じたことはただ一つ、「秋月はなんて可哀そうな子なんだ!!」


「秋月さんは入渠以外は濡れタオルで体を拭いていました。」


「皆がカレーを食べている隣でおにぎり2つと沢庵を食べていました。」


「暑かったら秋月さんは服を脱いで凌いでいました。」


「・・・・・・」



要するに・・・秋月には・・・贅沢の1つもしていないという不憫さ・・・泣けてくる・・・



「・・・・・・」


話に戻って・・・つまり・・・


鎮守府生活でも、普段から切り詰めた生活をしている影響で、少し環境が変わった程度では問題が無い耐性を


知らず知らずの内に身についたと・・・凄いと言うか、不憫と言うか・・・


「・・・・・・」


最も、当の秋月は全く気にしていないようなので、むしろありがたい。


逆に言えば、艦これの世界に行けないので、体調を崩したらそれはそれでまずいのだ。


・・・・・・


3人で話をしていると時間が経つのが早い・・・もう夕方か・・・


一応布団は2人以外の分も買っておいたので秋月用に布団を敷いた。


「本当に申し訳ありません。」と秋月が謝る。


「いいの、気にしないで。」と返す。


会話も弾み・・・就寝時間になり、秋月は先に床に着いた。


「あなた、今日もお願いできるかしら?」


「ああ、いいよ。」


と、村雨の肩を揉む。


「ああ~・・・うん、そこそこ・・・そう、その辺り・・・ああ~気持ちいい♡」


村雨の声は何と言うか・・・勘違いしやすい声を出す。


おかげで隣で寝ていた秋月が様子を見に来たではありませんかw


「ああ、すいません・・・村雨さんの声が聞こえまして(おどおど)」


「あらぁ、ごめんなさい・・・起きちゃいました?」


「いえ、別に構いません・・・司令が肩を揉んでいたんですね・・・お優しい。」


「・・・秋月も揉んでやろうか?」


「いえ、私は大丈夫です! では、おやすみなさい!」


そう言って、秋月は部屋に戻る。


・・・・・・


翌日、秋月が早起きして朝食を用意してくれた・・・内容はもちろん、


「今日の朝ごはんはおにぎりとみそ汁です♪」



・・・やっぱりね。



最も、オレと村雨は全く気にせず頂いたけど・・・それにしても、秋月が握るおにぎりは格別に美味い!


握り加減、塩加減、具の入れ加減・・・どれも完璧で店に売っているおにぎりよりも遥かにおいしい。


食べ物の有難みを一番知っているからこそできる特技なんだろうなぁ~。


・・・・・・


秋月といると自分たちが当たり前のようにやっていたことが全て贅沢に思えてきて、なるべく控えるようになった。


秋月も悪気はないのだが、生活基準が体で覚えているようでどうしても節約生活になってしまう。


その結果、朝・昼・夜の主食がおにぎりとなってしまい、家の食生活が大きく変わってしまった。


しかし、ずっと続くと慣れてしまい、それが当たり前のようになった・・・


おかげで食費が大幅に節約できたため、ご褒美に2人に新しい服を買ってあげた提督。


・・・・・・


ある日の深夜・・・


秋月は珍しく早く就寝していて、深夜に目が覚めた。


「・・・・・・」


隣で相変わらず村雨の声がして、


「こんな時間に司令が奉仕(肩もみ)してるなんて・・・いい旦那さんですね。」


秋月は村雨の事が羨ましく思った。


「そう言えば・・・昨日から秋月も肩が凝っているんですよね・・・司令は「いつでも揉んでやる。」って言ってましたし、


 ここはお言葉に甘えて、秋月も揉んでもらいましょうかねぇ~。」


秋月は起き上がると、隣の扉を開けた。


「司令、すいませんが今日は私の肩を少し揉んでもらい・・・!!?」


「あら、秋月さん・・・」


その場の光景を見て思わず、


「ご・・・ごごごごごめんなさい!!!!」


秋月はその場から出て行った。



残念、秋月さん・・・今日は「肩もみ」ではなく、「夜の営み」でしたwww


・・・・・・

・・・



秋月がこの家に来てから随分経ち・・・


彼女も最初は気まずかったが今では何の問題もなく生活している。


ずっとここにいてもいいけど・・・秋月は艦娘、本当なら元の世界へ戻った方がいいはず。


でも、現実と艦これの世界の唯一の繋がりはこのPCと明石の作った会話装置のみ・・・


これでどうやって秋月を帰すことが出来るかな・・・


・・・・・・


明石に聞いてみるのが一番いいと思い、艦これを始める。


秘書艦がまた消えている・・・当然だね・・・仕方がないから霧島にして・・・と。


アイテム屋をクリック、明石が出てきてから会話装置を作動、


「明石、聞こえるか?」


「提督! お久ぶりです! 元気にしてましたか!」


改めてこんな装置を作った明石がすごいと思う提督、


「実は・・・聞きたいことがあって。」


「? 何ですか?」


・・・・・・

・・・



「秋月、ちょっと。」


「はい、何ですか?」


提督に呼ばれて秋月は首を傾げる。


「さっき明石と話をしたんだ。」


「・・・・・・」


「オレが言いたいことが何かわかるな?」


「・・・ごめんなさい。」


秋月は謝る。


・・・・・・


秋月が画面から偶然にも通り抜けてきたのは、実は本人の自作自演だった。


事前に明石に転送装置を作ってもらっていたようだ。


そこまで明石から聞かされて提督はあまり驚きはしなかったが、


問題は秋月がそうまでしてこの世界に来ようとした理由が知りたかった。


・・・・・・


「どうしてこの世界に来たかったの?」


「・・・司令に。」


「ん?」


「司令に・・・画面越しではなく本当の司令に会いたかったからです!」


「・・・そうか。」


「・・・・・・」


「それは嬉しいけど秋月、話をそらしてもオレには通用しないぞ。」


「・・・・・・」


当然ながら、秋月が来た理由は提督に会いたかったわけではない。


「明石から聞いたよ、鎮守府の治安が悪いんだって?」


「・・・はい。」


「戦艦・空母の高火力重視編成で駆逐艦・軽巡たちが不必要扱いされてるんだって?」


「・・・はい。」


「立場の弱い駆逐艦たちが戦艦の艦娘たちに何も言えず、提督である自分に助けを求めるために


 代表として秋月がここに来たってことだな?」


「・・・そうです・・・嘘をついて申し訳ありません。」


秋月は白状する。


「いや、別に怒っているわけじゃないんだけど・・・どうして早く言ってくれなかったのさ?」


「それは・・・会って見て、司令が村雨さんと幸せそうに生活している光景を見たらとても、


 「助けて欲しい」なんてどうしても言えませんでした。」


「そうか・・・。」


「だますつもりはなかったんです・・・本当に申し訳ありません!」


「いや、いいよ・・・しかし、今さらオレが艦これの世界に行って何ができるんだ?」


「・・・命令してください! 司令の指示なら皆従います!」


「・・・・・・」


秋月のお願いに困惑する提督・・・そこへ、


「行ってください、あなた。」


村雨が行くように言った。


「村雨・・・。」


「今、鎮守府の危機を回避できるのは、着任しているあなたしかいません、私はいつでも帰りを


 待っていますから、あなたは私の事は気にせず行ってください!」


「・・・・・・」


しばらく考えて、


「わかった・・・少し家を空けるね。」


「わかりました・・・どうか無事に帰って来て下さい!」


村雨に背中を押されて、また艦これの世界に行くことを決意した提督・・・


・・・・・・


秋月と一緒に装置に祈る・・・


光が輝きだして、2人は包まれる。


・・・・・・

・・・



「・・・・・・」


目が覚め、映った光景は・・・


「・・・ここは、執務室か・・・」


転送は成功し、隣に秋月も倒れていた。


秋月を起こし、「今日はゆっくり休め」とだけ伝え、部屋に戻ってもらった。


「・・・・・・」


事前に受け取った、現時点での出撃編成と遠征部隊の情報・資材の在庫等を確認する。


「うわ~、これはひどい。」


資材はほとんど在庫なし・・・出撃部隊は戦艦・空母のみで遠征部隊も戦艦・空母・重巡・・・


これでは遠征が成功しても、消費の方が激しいはずである。


しかも・・・待機している駆逐艦・軽巡・潜水艦たちの食事は6割減・・・何だそりゃ。


「・・・明日から指示を出そう。」


そう言って提督は床に就いた。


・・・・・・


翌日、


提督は艦娘たちに会議室に集まるように指示、従わない艦娘もいたが「命令に従わない艦娘は鎮守府から去れ。」と警告すると


結局のところ全員が集まった。


「今日から出撃編成と遠征部隊を変更する!」


もちろん戦艦・空母たちは大反対したが・・・


「お前らの行動が鎮守府の存続を危うくさせてるんだよ!」


と反論すると、皆終始無言。


「・・・では・・・」


提督は指示を出す。


・・・・・・



出撃編成に戦艦・空母・駆逐艦・軽巡を順次入れ替え。 


遠征部隊(第2~第4)に軽巡・駆逐艦・潜水艦のみ、長時間遠征のみ空母を編成。



「潜水艦編成は”長距離練習航海”へ・・・帰還して疲労してなければ継続で。」


「軽巡・駆逐艦たちは今から”海上~”へ・・・帰還後30分休憩の後再び遠征に行ってもらう。」


「後の遠征部隊は・・・」


・・・・・・


遠征では駆逐艦・軽巡・潜水艦が必要不可欠になる。


逆に言えば、戦艦・空母たちがほとんど必要ないのである。


散々駆逐艦たちを不必要扱いしてきたが今度は真逆になってしまった。


決まり通りに待機している戦艦・空母たちの食事を6割減と言った時もまた猛反論が起きた。


だが、提督はきっぱりと答える。


「散々資材や食料を食い潰してきたお前らに言う筋合いはない! 文句があるなら6割を8割に変えるぞ!」


再びの沈黙・・・


「1か月様子を見ようか・・・それで結果が良かったらお前らは本当に必要ないってことだからな。」


そう言って提督はその場から去った。


・・・・・・


「今日1日の出撃・遠征結果です。」


秘書艦の秋月が資料を片手に報告する。


「今日の遠征は・・・全て成功・・・資材も1日で・・・す、すごい! こんなにも溜まるんですね! 追加で入手した


 高速修復済と家具箱は資材とは別の倉庫に備蓄致しました!」


「ふむ・・・よくやった。 明日からも同じやり方で行う・・・今日はゆっくり休め。」


「はい! わかりました!」


「後、これから遠征部隊に空母を2人を入れて遠征に行ってもらう・・・帰還したらそのまま休日の旨を伝えること。」


「はい! 了解です!」


・・・・・・


以降は同じようなやり方で統一した。


遠征で疲労すればしばらく休憩させてから行かせる・・・


出撃編成もある程度の練度まで到達したら、総入れ替えを行い序盤の海域に出撃させ、徐々に練度を


上げてもらう・・・いつも自分が艦これをプレイするときと同じやり方・・・ゲームでしかやったことないけど、


意外と通用するもんだね・・・


・・・・・・


艦これの世界に来て早1か月・・・


当然ながらゲームの世界なので、何も「感じない」なのは相変わらず・・・


食事をしても味が無い、何かにぶつかっても痛みが無い、心臓の鼓動もしない・・・生きている実感が無い。


・・・・・・


それでも、この世界に留まり続けられるのは村雨のおかげだった。


「村雨、聞こえる?」


「はい、聞こえますよ~♪」


明石から貰った会話装置を使ってこちらから現実に通信している。


「こっちはもう1か月経ったよ。」


「そうなんですか~・・・ここはまだ1時間も経ってませんよ~。」


艦これの世界にいる間、向こうの世界は時間が止まっている・・・会話する時のみ時間が経過するだけだ。


「どうです? 鎮守府の状況は?」


「少しは改善されたかな・・・後は戦艦・空母たちに徹底的に指導して、それから帰るから。」


「はいは~い♪ 待っていますね♪」


「・・・・・・」


村雨が近くにいる・・・そう思えるからこんな世界でも頑張れる・・・人というのは大切な人がいれば


どんな過酷な環境でも意外と頑張れるんだな・・・と感じる提督だった。


・・・・・・


資材が徐々に溜まり出撃部隊の練度も上がり、戦力が整っている一方で、強制待機させられた戦艦・空母からは


不満の声が相次ぐ・・・それでも提督は気にもしない。


「あの・・・司令。 戦艦の皆さんが司令の事を嫌っていますよ。」


秋月が心配そうに話しかける。


「あくまで鎮守府の維持が最優先だから、別に気にしていないよ・・・嫌われる勇気も時には必要だ。」


「嫌われる勇気・・・ですか?」


「ああ・・・何も全員に好かれたいと思っていないからな・・・何かをやり遂げるには誰かを敵に回さないと


 いけなくなる時だってあるんだよ。」


「・・・・・・」


司令は凄い、と感じた秋月・・・到底自分にはできないと感じる。


「司令、失礼します!」


戦艦の霧島が執務室に入ってきた。


「ん、どうした? またいつもの不満か?」


「・・・いいえ、先月の出撃と遠征結果を報告しに参りました。」


「ふむ・・・それで、結果は?」


「お見事です・・・資材は目標の数値までいき、開発資材・高速修復済も豊富に集まりました。


 各艦娘たちの練度も平均的に上がり戦力としても十分になりました。」


「そうか・・・それはよかった。」


「それで・・・その・・・待機している戦艦・空母の皆をどうするおつもりですか?」


「・・・・・・」


「確かに司令の言う通り、今の状況を考えたら必要ないかと思われます・・・ですが、まだ皆にも


 やり直しがきくと思います、チャンスを与えていただけませんか?」


「・・・ふむ。」


霧島はこの結果から皆を解体するか捨てるかのどちらかを考えていた様子で、態度を急に改めた。


当の本人もこの状況が改正される前まで提督の事を「無能」と言い張っていたからだ。


「皆のこれからの事は後に知らせる・・・それまで部屋で待機していろ。」


「・・・わかりました。」


霧島は執務室から出て行く。


「司令・・・皆をどうするおつもりですか?」


「な~んも考えていない・・・そもそも何か悪いことでもしたのか?」


提督はきっぱりと言う。


「ただやり方が間違っていただけだ・・・間違いは正せばいいだけ・・・その程度で処遇がどうだとか・・・


 結局皆は散々文句は言うけど内面は脆くて弱い子たちなんだよ。」


「・・・・・・」


全てお見通しなんですね・・・と思う秋月だった。


「食事を6割に減らしたのも、散々自分たちが駆逐艦の皆にやってきたことなんだから、今度は自分たちが


 同じ目に遭っただけの事・・・これに懲りて戦力外とか言わないことだな。」


「・・・・・・」


「出撃では駆逐艦たちは戦力にならないかもしれないけど、遠征だと逆に戦艦たちが役に立たないんだよ。


 状況によって役に立つ、立たないは変わるもんなんだ。」


「・・・・・・」


「それをふまえて今後の生活を改めるならオレは皆を元の生活に戻す、やらないなら待機どころか


 完全に鎮守府にいないものとして対応する。」


と、これからの事についても説明する提督だった。


・・・・・・


後日、提督は戦艦・空母の皆を集めた。


いつもなら罵声が飛ぶはずだが、提督が出した結果を見て皆無言でいた。


「いつもなら数人来ないことが多いのだが・・・今日は珍しく全員集まった・・・そんなこともあるんだな。」


と、書類を片手に呟く提督。


「皆のこれからの処遇が気になるだろうから、単刀直入に言おう。」


皆に緊張が走る。


「遠征はこれまで通りオレが決めたやり方で行動してもらう。 待機している戦艦・空母と他駆逐艦たちは


 次回の出撃に対して編成を行い、先方が帰還後すぐに出撃できるように準備しておくこと。」


「・・・・・・」


重い処遇(解体・追放)かと思っていた皆にとって「それだけ?」と意見が飛ぶ。


「後、食事は元の量に戻す・・・腹が減っては戦が出来ぬ、と言うからな。」


「・・・・・・」


「後、オレの後釜として戦艦霧島を任命する・・・これに対して意見はあるか?」


「・・・・・・」


誰も意見は言わず、


「では、会議は終了する・・・お前たちの活躍を期待する。」


そう言って提督はその場から去った。


・・・・・・


「司令!」


霧島が呼び止める。


「ありがとうございます!」


「・・・別に、悪いことをしたわけじゃない、単に皆のやり方が間違っていただけだ。」


「・・・・・・」


「オレは帰るよ、これからの指揮は霧島、お前に任せる。」


そう言って今まで指示した編成記録などが書かれた資料を渡した。


「・・・はい、お任せください、これからは計画的にこなしていきます。」


霧島は礼をしてその場から去った。


・・・・・・


「もう行ってしまうんですね・・・」


秋月が寂しそうに呟く。


「ああ、やっぱり生身の人間にはこの世界は慣れないよ。」


「・・・・・・」


「あ、そうだ。」


提督が何かに閃き、食堂へ向かった。


「・・・・・・」


提督が貯蔵庫を物色・・・秋月は不思議に思いながら見守る。


「・・・よし、これを持って帰ろう。」


提督が取り出したのは焼酎と缶詰、おもむろに袋に入れる。


「村雨のお土産だ・・・手ぶらで帰ると怒られるもんでな(笑)」


「なるほど~・・・」


「これだけあれば後はいいかな・・・お前はオレがいなくても大丈夫だな?」


「・・・・・・」


急に不安になる秋月・・・それを見て肩に手をやる提督、


「大丈夫だ、霧島なら上手くやってくれる・・・オレは信じている。 もう一度戦艦・空母たちを信じて


 お互い助け合って生活していくんだぞ。」


「・・・はい。」


「ほらほら・・・元気が取り柄なお前が落ち込んでどうする? ほら!さっさと顔を上げて笑って!」


「・・・・・・」


提督の前で笑って見せる。


「うん、いい笑顔だ。 これからもずっとその笑顔を忘れずにな! 次第に皆もその笑顔に集まってくる。


 今度はお前が皆の前に立って活躍するんだぞ!」


「・・・はい、ありがとうございます! 司令!」


秋月は敬礼をした。


「・・・じゃあ、また・・・機会があればいつか・・・さようなら。」


提督は装置を起動・・・光に包まれ・・・消えた。


「さようならです・・・司令・・・本当に、ありがとうございました!」


消えていく光に秋月はそう叫んだ。


・・・・・・

・・・



「ただいま~。」


現実に戻った提督が村雨を探す。


「あれ? いないなぁ・・・買い物に行ったかな・・・おや?」


机の上にメモが置いてあった・・・



今すぐ帰ると聞いたので今日の夕食は豪華にしましょう・・・材料だけ買ってきます♪



「外出か・・・オレはすぐに顔を見たかったけど・・・まぁ仕方ない。」


久々の我が家(実際は現実の世界は1時間程度しか経過していない)でのんびりしながらそのまま寝てしまう。


「・・・・・・・」


艦これの世界でほとんど寝ていなかった提督はそのまま床に着くのであった。


・・・・・・


ここはスーパー・・・村雨が夕食の材料を買っていた。


「今日は旦那様が帰ってくる~♪」


そう言いつつ、野菜と肉を籠に入れていく。


「今日は少し豪華な物を作ろうかなぁ~・・・その後は、一緒に過ごして・・・それからそれから♡」


少し妄想気味になりつつ、レジへ向かう村雨・・・そこで、


「痛っ!!」


誰かとぶつかったようで、地面に倒れる。


「だ、大丈夫ですか!?」


ぶつかった方が手を出す。


「・・・ごめんなさい、前を見てませんでした。」


謝る村雨、


「気にしないでください・・・私の不注意でもあるので。」


優しい言葉で返す女性・・・村雨はお礼を言おうとして、


「すいません・・・ありがとうご・・・って・・・あれ!?」


「・・・?」


その人の顔を見て村雨は思わず叫ぶ。


「ちょ・・・鳥海さん!? 何でここに!?」


「・・・・・・」


鳥海と呼ばれた女性はきょとんとして首を傾げた。









「秋月、お前もか!?」 終









続編は「消えた艦娘」にて。










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SS好きの名無しさんから
2017-09-01 14:12:02

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2017-08-21 04:02:21

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2017-08-19 16:39:21

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2017-08-19 08:43:07

2017-08-18 21:26:41

このSSへのコメント

3件コメントされています

1: カープ優勝!@二航戦提督 2017-08-18 21:27:38 ID: qn7ivi30

続き期待してます!更新がんばってください!

2: キリンちゃん 2017-08-18 21:40:06 ID: mXw-56Sk

頑張ります! コメントありがとうございました!

3: SS好きの名無しさん 2017-08-19 16:39:06 ID: jaO1pLTo

何で家の電ちゃんはこっちに来ないのかなw愛が課金が足らんのかw


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1: SS好きの名無しさん 2017-08-24 03:02:21 ID: ceaySYiW

最高だね


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