2017-09-20 00:22:32 更新

概要

2014年、突如として黒く染まった海洋に現れた謎の生命体、人類はこれらを深海棲艦と呼んだ。
艦種は小型の駆逐艦から超ド級大型戦艦まで様々、そしてそれらは人類を攻撃し始め制海権は尽く奪われ世界中が長年に渡り鎖国状態となってしまった。
そんな時、人類の救世主として現れたのが生まれながらにして幼い頃より艦艇の記憶と魂を宿し深海棲艦と互角に戦える力を持った娘たち、人類は彼女たちを艦娘と呼び、制海権奪還の切り札としてついに大規模反抗作戦が開始された。
そして何の因果か突如この世界に海軍軍人として転生して来たμ'sやA-RASE、Aquarsを中心としたスクールアイドル達、しかし彼女達が目にしたものは第二次世界大戦が起こらず敗北を知らずにやりたい放題の高級士官達であった。
そしてこの世界で人類の総力を持って挑んだ2035年11月の太平洋大海戦にて大敗北を喫した後、2039年9月1日に艦娘主体の戦争へと完全に移り変わってからは元々人間である彼女達をただの使い捨ての兵器としか見ていない上層部に怒りを覚えた穂乃果達は同士を集め、大規模なクーデターを実行、その瞬間から膠着状態にあった戦局が動き出す!
これはこの世界に転生したスクールアイドル達と本来なら普通の人間として生まれた艦娘達が織り成す絆の物語である。



別のサイトにも同じ物をUPしてあります。

詳しい設定の詳細はhttps://novel.syosetu.org/77683/をご覧ください。

始めに、この様な文章を書くのが元々得意ではないため、何かおかしい所や誤字脱字がございましたら教えて下さるととても助かります。


・本作での簡単な設定(一部改訂してあります)


艦これ×ラブライブ(その他、はいふり、ガルパン、ストパン、紺碧の艦隊、旭日の艦隊など)のクロスです、艦はアルペジオ方式にしようかとも思いましたが以下の様にしました。

なお、こういうのが苦手な方は読まない事をおすすめします。


提督:ラブライブキャラ、元居た世界でお亡くなりになる→第二次世界大戦時の提督や紺碧・旭日艦隊の提督たちから記憶を貰う→転生→提督生活スタート

艦隊指揮は自身の司令部で執ります。


艦娘:適正を持った人間の女子(艦の記憶が植え付けられている)→認定を受ける→訓練→実践配備

訓練期間と着任時の階級、駆逐艦2年(軍曹~)、軽巡洋艦3年(准尉~)、重巡洋艦4年(少尉~)、軽空母5年(中尉~)、戦艦と空母6年(大尉~)

駆逐艦は一兵卒、軽巡洋艦は准士官、重巡洋艦以上は士官、戦艦と空母、軽空母は幹部候補生の扱いとなり、他の希望者は履修できる。

なお、未実装の艦娘も登場しますが、容姿や性格などは読者の想像に任せます。



プロローグ


μ’sのラストライブからおよそ60年あまり、とある病院の一室にかつて人気スクールアイドルグループ、μ’sのリーダを務めた高坂穂乃果と親族がいた。

当時は元気の代名詞であった彼女も年には逆らえず、今まさに天命が下ろうとしていた。


穂乃果「うう、意識が、そろそろ、なのか・・・」うつらうつら


穂乃果「(人生いろいろあったなー、ラブライブは楽しかったなー、みんなといれてとても楽しかった・・・、高校を卒業して、実家を継ぐ前に大学は出とけってお父さんとお母さんに言われて、入った大学で人生初の恋をして・・・)」


穂乃果娘「お母さんしっかりして!」ポロポロ


穂乃果「(結婚して、実家を継いで、この娘が生まれて・・・)」


穂乃果孫「おばあちゃんやだよー!、今度のライブ!、見に来てくれるって言ったじゃない!」ポロポロ


穂乃果「(この娘もまた、大きくなって、大学を卒業した後すぐ結婚して、孫が生まれて・・・、まさか親子五代で音乃木坂に通って、親子三代みんなスクールアイドルをやっちゃうなんてね・・・)」


雪穂「みんな泣かないで、ぐすっ、最後は笑顔で送り出そうって、うぐっ、言ったじゃない!」ポロポロ


雪穂夫「・・・」ぎゅっ


雪穂「ありがとう・・・」


穂乃果「(私の結婚の時もそうだけど、雪穂の結婚の時も大変だったなー、もうお父さんが号泣しちゃってある意味一番目立ってたよ・・・)」


穂乃果は自らの死期が近い事を悟り、親族を病室へと集めていた。

自分の最期はみんなで送り出して欲しいと願っていたからだ。


穂乃果「(でもまさか、μ’sのメンバーの中で一番最初に行くことになるなんて・・・、ある意味運命なのかな・・・、お父さん、お母さん、それからあなた、私ももうすぐそっちに行くからね・・・)」


穂乃果「私、とても幸せだったよ・・・」すー


穂乃果は家族に見守られながら息を引き取っていった。

人生に一点の悔いなし、そんなとても満足げな顔をしていた。

自分の全てがここで幕を閉じた、そう思っていた。


だが、


死後の世界


穂乃果「・・・」ぱちっ


穂乃果「!!、ここどこ!、ていうか私さっき死んだんだよね!、なのに何でこんな所に!、しかも何か白い制服きてるし!、顔のしわも消えてる!、私若返ったの!、ちょうど高校生くらいかな!」


穂乃果は何もない、どこを見ても淡い光が差し込むだけの無限に続く空間に投げ出されたかのように浮かんでいた。

そしてすべての見た目や機能が高校生くらいまで若返っていたのだ。


?「お目覚めかね?」


穂乃果「うわっ!、びっくりした!、おじさん誰?」


すると突如、60代~70代くらいの老人が現れた。


?「ははは、驚かせて済まない、私は高野五十六という者だ。」


穂乃果「へー」


高野「ちょうど君たちの世界では山本五十六として知られているはずだ。」


穂乃果「山本五十六?、誰ですかそれ?」


高野「・・・、これは驚いた、君は第二次世界大戦をどれくらい知っているのかね?」


穂乃果「あ、あはは、授業中はほとんど寝てて、知ってるとしたら東京大空襲くらいしか・・・(こんなんでよく大学なんか受かったよね私・・・)」


高野「東京大空襲か、嫌な記憶だな・・・、まあ、私はその前にブーゲンヴィル島上空で敵に襲われ戦死しているがな。」


穂乃果「ああ、すみません・・・」


高野「いやいいんだ、それより君に折って頼みがある。」


穂乃果「へ?」


高野「私は元々君たちのと同じ世界に居た、しかし戦死した後別世界に生まれ変わっていたのだ。

その世界で私は、君たちの世界で起きた第二次世界大戦の悲劇を繰り返させまいと戦ってきた。

結果的には東京大空襲や広島、長崎への原爆投下を防ぎ、南西諸島での多くの戦死者を出さずに済んだし、アメリカと講和することまで成功させた。」


穂乃果「じゃあ、あなたのその世界では日本が勝ったんですか?」


高野「いいや、勝ってはいない、だが負けてもいないといったところだ。

こちらの世界では、勝つかよりいかに上手く負けるかが重要であった。」


穂乃果「いいの?、負けちゃって?」


高野「うむ、始めはそう思うかもしれないが、日本がどれだけ強かろうと、アメリカの工業力にはとても勝てん、だからある程度ことが進んだら和議を結ぶ。

だが、一度タイミングを間違えば前世より酷い結果になっていたであろう。

故に勝つことより、いかに上手い負け方をするか、こちらの方が恐ろしく大変なのだ。」


穂乃果「・・・、ごめんなさい、よくわかりません。」


高野「まあ様は引き分けということにしておいてくれ。」


穂乃果「なるほど!、それでさっきの頼みっていうのは・・・」


高野「そうだな、本題に入ろう・・・、まずはこれを見てほしい。」


穂乃果は言われるがまま高野が指さした方を見る。

するとそこにはモニターの様な物が現れ、そして映像が流れ始めた。


穂乃果「・・・」


モニターに映し出されのは黒煙を噴きながら燃える何隻もの艦艇、海面には何人もの乗務員が投げ出されオイルや血まみれで浮いている。

艦艇の多くは輸送艦だが、中にはそれらの護衛を行っていると思われる護衛艦やイージス艦、空母などもいる。


穂乃果「ひ、酷い・・・」


穂乃果はその惨劇の光景だけでいままでに感じた事のない衝撃を受けた。

しかし、本当に穂乃果の目を奪ったのは巨大な黒い生物、いや生物かどうかも怪しい怪物達が泳ぎ回り、海面を漂う溺者を捕食している。

生き残った護衛艦が必死に砲撃や雷撃、ミサイルなどで反撃するが全く通じていない。

それだけに留まらず、その後方には水面に浮く人影の様な物まで捉えた。

まるで何かの怨念の塊を具現化した物の様にも見えるそれは黒い怪物たちを操っていた。


穂乃果「おえっ!、な!、何なんですかこれ!」


高野「君がこれから転生する世界で起きている事だ・・・、今見せたのはほんの一部に過ぎんが、実際に避難船なども襲われ幼子まで見境なく捕食された。

こいつらは深海棲艦と呼ばれる化け物らしく、人類の敵であるらしい。」


穂乃果「どうして・・・、どうしてこんな事が!」ギロ


高野「!!、まあ落ち着け!」ビクッ


高野は穂乃果の怒り心頭の顔を見て少し驚いたが話を続けた。


高野「奴らが現れて数年は人類のどんな兵器を用いても一切効果がなかったが、最近では艦娘という存在が現れ徐々にではあるが人類の反撃が始まった。」


穂乃果「艦娘!」


穂乃果は艦娘という言葉に聞き覚えがあった。

それは穂乃果自身が高校生から大学生頃に凛やことり、希などの勧めでプレイしていたネットゲームであった。


高野「ちょうど前世の君たちの世代で人気のあったゲームのキャラらしいが、君の転生先では艦娘が実在、その艦娘こそが人類の切り札となっている。」


穂乃果の認識する艦娘とは、第二次世界大戦時の日本海軍の艦艇、途中からドイツやイタリアなどの艦艇も入ってたが、それらの艦艇の魂を人間の女の子に擬人化させた物であり、深海棲艦と互角に渡り合える力を持っている。


高野「しかし、その艦娘を指揮する人間に問題が起きた・・・」


穂乃果「提督ですか?」


高野「そうだ・・・、提督は軍人故、男の割合が相当高い。

それが原因で艦娘に対しセクハラや恐喝、性的要求、受けなかった者には暴力や給料のだまし取り、中には親族を人質に取り失敗や命令違反を犯せば殺すなどの脅迫までする輩まで出おったのだ・・・

同じ海軍軍人として恥ずかしい限りだ・・・」


穂乃果の知る限り、少なくともゲーム内では艦娘は人間ではなく人型をした兵器だ。

しかし、今の高野の発言から転生先の世界の艦娘は自分と同じ親の腹から生まれた人間なんだとと言う事を理解した。


高野「その世界では艦娘は志願制でな、艦娘になった者の多くは大切なものの為、守りたいものの為に命を懸けて戦っている。

だと言うのに指揮官がこれでは前世の第二次大戦の二の舞いだ・・・、最悪人類滅亡も考えられる・・・」


穂乃果「そんな・・・」


高野「私が今ここで君とこうやって話しているのは、君にこの世界を救って欲しいからだ。」


穂乃果「!!、私がですか!」


高野「先ほどまで前世の君を見ていた。

君はアイドルとして多くの者を笑顔にし、多くの者に慕われ、その後もどんなものにも臆せず逆境に立ち向かって行った。

並大抵の人間には到底出来ん事だ、君の周りには常に人が沢山おる。」


穂乃果「でもそれは!」


高野「そこから先は言うな!、何事にも恐れるなかれ、だ。」


穂乃果「!」ズキッ


高野のこの一言が穂乃果の心を奮い立たせた、そして穂乃果が何かを言おうとした直後、頭の中に誰かの記憶が流れ込んで来た。


高野「私はもう一度転生してまた死んだ身、しばらくは別世界にも転生できそうにない、だから私の人生の記憶を君に授けよう。

そして破滅の一途を辿ろうとしているその世界を君の手で変えてくれ!」


穂乃果「あ、ああっ!」


穂乃果「・・・」


次の瞬間、穂乃果は再び意識を失いった。


穂乃果「ううっ」


そしてまた目を覚ますと目の前には薄黄色の着物を着た茶髪でショートカットの少女がいた。


?「お目覚めですか?」


穂乃果「あ、あなたは・・・」


飛龍「私はあなたの秘書艦兼ボディーガードの空母・飛龍です!」


高坂穂乃果(16歳)、目覚めて初めて出会った艦娘は学生時代に最も気に入っていた艦娘、空母・飛龍だった。

しかし、この飛龍は穂乃果の知っている飛龍とは少し違っていた。

それは彼女がまだ15歳で幼さが残っていたからである。


穂乃果「(本物の飛龍ちゃん!、こんな可愛い娘が・・・、でも現実は・・・)」


高野から聞いた話を思い出し心が締め付けられる思いになる。


穂乃果「(私が何とかしなきゃだね!、私!、ファイトだよ!)」


今、この瞬間から高坂穂乃果はスクールアイドルμ’sの高坂穂乃果ではなく日本海軍の高坂穂乃果としての波乱に満ちた第二の人生の幕が切って落とされた。



第一章・新生日本海軍、運命の開戦!


*軍隊っぽくしたいため、途中から名前を性で呼び合う事にします。


この世界での2035年、第一次太平洋大海戦が勃発し多くの中堅士官が戦死した。

その穴を埋めるために成績の良い多くの若者が特例の昇進をした。

その多くは20代ながら左官クラスとなり、当時最年少の19歳であった高坂穂乃果もその一人であった。


そして当の本人はこの世界に転生した矢先に目が覚めた自身の執務室にこもり、秘書艦の飛龍と共に日清戦争や日露戦争、日中戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦に関するありとあらゆる資料を読み漁りながら、これまでのこの世界での過去の戦闘の報告書を浴びるように見る。

多少違えども自分がかつていた世界と似た戦争がこの世界でも起きていた、しかし第二次世界大戦は起こっていなかった。


穂乃果「現世で第二次世界大戦が起こらなかった事から、まるで今の戦争は前世第二次世界大戦の穴埋めの様な感じで起きている様に思える・・・、となるとやぱっり深海棲艦は前世第二次世界大戦の歴史を繰り返しそうとしているのかな・・・」


飛龍「司令官の推測通り、このまま行けば・・・」


穂乃果「(西暦を見ると今が2037年、2041年で第二次世界大戦から100年が経つ、全くの別世界とはいえ、もし私たちの知る戦争の歴史を繰り返そうとしているのであれば、前世の真珠湾奇襲攻撃から丁度100年後の2041年、「一二〇八計画」が計画されていたらもう時間がない!)」


運命の開戦まで後4年。

まだ多くの謎を抱えたまま行先のわからない戦争へと足を踏み入れた高坂であったが、高坂はよく他の若者士官達や高級士官達とは大きな考えの違いがあり、彼らからすれば奇妙な行動や発言をするため、天下一の変わり者とよく噂されるようになった。


2037年12月、高坂の奇行の噂は日本全国に広まり、それと同時に各地から高坂にとって縁の深い人物達が続々と集まり始めた。

それは、前世の記憶および後世世界の人物の記憶を持ち転生してきた元スクールアイドル達、その数は500人余りであった。

高坂は現状打破を図るためこの日より、前世の記憶を持つ者のみで結成された精鋭集団・天照の会を主催。

そして運命の歯車が動き始めたのは2038年4月、天照の会の代表格は神田の料亭の一室に集合した。


女将「高坂閣下、もう皆さんお揃いですよ。」すっ


穂乃果「ありがとう。」


穂乃果「ごめんね遅くなって、私の出省を戦争強行派のおバカさん達が待ち伏せしていてね・・・」


前世の旧帝国海軍同様に戦争強行派、つまり力任せに進めようとする輩はこの世界においても少なくない。


穂乃果「けど、こんな形でみんなに会う事になろうとは・・・、はは、なんて言えばいいのやら・・・」


その顔触れは皆とても懐かしさと心強さを与える物であった。


海未「ええ、全くです・・・」


ことり「なんの前触れもなく軍人にされちゃったもんね・・・」


ツバサ「それもこの年でいきなり士官だなんて、荷が重すぎるわ・・・」


千歌「正直まだ混乱している気がします・・・」


この世界に転生した元スクールアイドル達の軍での階級はラブライブでの順位が影響しているらしい。

ここに集まった者の階級は主に海軍の尉官~左官クラスが大半であり、少数ではあるが技術将校や財界人となって転生した者もおり、また多少のイレギュラーとして現在の園田海未および綺羅ツバサの階級が少将、高坂穂乃果は中将であった。

この会合は始めは再開の祝賀ムードもあったが、次第に現実染みた話が始まった。


穂乃果「まずこの世界の現状を整理すると、結論から言って人類の敵である深海棲艦を倒すこと!

けどそれには同じ人間だけど生まれながらにして先天的に艦艇の記憶と魂を宿し、生まれながらにして深海棲艦と互角に戦える力を持っている艦娘の娘達の力を借る他ない!」


穂乃果「艦娘適正を持つ人間は全国にまだ居ると思われるけど、長年の鎖国状態および軍令部の超大和型戦艦の艤装建造計画により資材が枯渇し始めているのが現状・・・

この問題を何とかしなければ人類に勝ち目はないと思われる!」


海未「それは私も同感です・・・、資材がなければ艦娘達の艤装が作れません・・・

それに艦娘が存在するヨーロッパはドイツやイギリス、イタリア、フランスを中心に何とか持ち応えていますが、工業大国アメリカを始めアフリカやオセアニア、中東、西アジアの大半が奴らの手に落ちている以上、私たちはアメリカやロシア、中国などと戦争をするに等しい事です・・・」


高坂の発言に対する園田の意見は最もであった。

工業国が抑えられている現在、どうあがこうと形成は絶対不利な状況は変わらない。


ことり「太平洋進出の際に敵の一大拠点であるハワイの軍港を攻撃して多くの艦艇を撃沈、本部は大戦果って報告したけどあれって・・・」


ツバサ「敵の艦艇及び航空機はまだ無数に存在するわ!、どれだけ攻撃しようと奪還できていない以上戦略的効果は薄いと言わざる負えない!」


千歌「そうです!、これからの戦争は戦術より戦略を重視すべきです!」


希「海軍省、軍令部を始め首脳連中は目の前の勝利に浮かれすぎや!」


海未「それ故、艦娘達の疲労は溜まるばかりです・・・」


現状における様々な意見が飛び交う中、他のメンバーを括目させたのは高坂のこの意見であった。


穂乃果「艦娘自身がどれだけ鍛えようが生身の人間、艤装を外せばただの少女、武装やその他電子機器が進歩しなければ話にならないよ・・・、もう格闘戦の時代はとっくに終わっていることに上層部は気づいていない・・・、いや、私利私欲の為に現実から目を背けているよ・・・」



高坂がこう述べる理由は2035年11月、高坂はこの世界に転生してまもなく、今の上層部のあり方に疑問を持ち、これまで行われた作戦の内容とその報告書を秘書艦の飛龍と共に片っ端から調べていた時の事だった。


飛龍「司令、こちらがこれまでの作戦資料です!、書庫の警備が厳重で、持ち出せるのはこれが限界です!」


穂乃果「重要書類か保管されているだけあって警備が厳重なのは普通の事だけど、あの警備体制は異常だよね・・・」


格納庫や資材置き場、燃料保管区画など他の重要施設に比べても書庫の警備体制が異常なまでに厳重である事を高坂は以前から不審に思っていた。

そしてその書庫から飛龍がうまくそれらの資料を持ち出し、コピーして高坂に手渡した。


穂乃果「ハワイ攻撃作戦、マレー半島奪還作戦、ウェーク島奪還作戦、MO作戦、FS作戦、AL作戦、MI作戦・・・、確かに全部あるね!」


高坂はそれらの資料を読んでいるうちに書庫の警備の謎が解け始めた。


穂乃果「・・・、何これ!」がたっ


飛龍「司令!、一体どうされましたか!」


穂乃果「・・・、これ見て・・・」


穂乃果が飛龍に手渡した報告書はウェーク島奪還作戦の報告書であった。

わかっていたとは言え、それはあまりに残酷な現実であった。


飛龍「作戦報告、艦隊損害軽微、敵のウェーク島の守備は貧弱で半日の内に終了・・・、嘘だ!、この作戦では如月が艤装をパージして如月自身も瀕死の重傷を負ったはずだし!、中破した娘も少なくないはずです!」


穂乃果「国民が何も知らないから嘘の報道をしても気づかない、現場指揮官の嘘を知ってか知らずか全て信用している軍令部もどうかしてる・・・、これじゃあ前世大戦時の戦果報道と変わらないよ!」ぴらっ


飛龍「・・・、司令これも!」


MO(ポートモレスビー)作戦

MO攻略主力艦隊が作戦海域にて敵空母機動部隊と遭遇、軽空母・祥鳳がダメージを負い航空機の発着艦が不可能になるも敵艦隊を退けトラック島基地へ入る。

その後、敵空母機動部隊は珊瑚海にて第五遊撃部隊が全て撃破。


穂乃果「ALやMIは途中から私が指揮したし、嘘なんて一切なく報道したからいいとして、MO作戦時の司令官は横須賀鎮守府が爆撃されて報告どころじゃなかっただろうから、これは軍令部のお偉いさんが書いたんだと思うよ・・・」


飛龍「MI作戦の時は本当に助かりました!、しかしMO作戦は確か祥鳳が大破、重症を負ったはずです!、それにこの時は敵に情報が漏えいしていたはず!」


この日のみで上層部がどれほど腐敗しているかが手に取る様に把握できた。

そしてこの各作戦の損害の原因は敵に暗号を解読されている事に気が付いていないが故であった。


海未「なるほど、そういう事でしたか・・・」


穂乃果「あんな事があったのに今だ通信機は前世のレッドシステムそのままだし、通信機の送受信範囲も狭いし数も少ない・・・

D暗号はあまりに簡単過ぎてすぐ解読されたし・・・」


?「あのー、高坂さん、少しよろしいですか?」


穂乃果「東野さん?、どうぞ!」


部屋の空気が緊迫した状況の中、技術将校の代表格であり民間の財界人でもある東野ひかりがもたらした報告が風穴を開けた。


ひかり「通信機などの電子機器に関して、些か朗報があります!」


ひかり「実はこの大久保燐火が試作中の新型通信機がまもなく完成します!」


東野の隣に座る技術将校の1人で電子機器を担当する大久保燐火という者が立ち上がり説明を始めた。


燐火「はい、その通信機は従来の物と違い真空管を使わない方針を採用しております!、さらにその副産物として出来上がった新型高速電算機はどんな複雑な暗号をも短時間で作成、解読でき、また敵のどんなに複雑な暗号も解読できます!」


夕張・明石「「ニシシシ」」ニヤニヤ


大久保の説明を聞くと同時に技術部所属艦娘の夕張と明石が不敵な笑みを浮かべていた。


ひかり「これからの戦は間違いなく情報戦ですからね!、そう言えば松浦さんの潜水艦隊の件も気になりますね!」


東野は同席している松浦果南に声をかける。


果南「こちらも順調に進んでいます!、私の考える新魚雷戦術・G7に高速電算機は欠かせませんから!、うちの娘達ももうしばらくしたら試験航海も終わり実戦訓練に入れます!」


穂乃果「(各分野における役者はそろいつつある、後は決定的な何かがあれば・・・)」


長時間に渡る会合によりメンバーに疲れが現れ始めた頃、高坂はいち早く席を離れ帰路に着こうとしていた。

連日の激務に加え天照の会の会合により些か疲れを感じていたからであった。

そして事件は高坂が料亭を出た直後に起こった。


穂乃果「女将さん、後はお願いします。」


女将「はい、御気を付けて。」


男1「あのー、高坂穂乃果中将閣下でありますか?」


穂乃果「・・・(あれ、この場面なんか見覚えが・・・)、そうですが、何か用ですか?」


記憶の中にある違和感の正体の正体を探そうとするが間に合わず。


男2「・・・」だだだだ


穂乃果「!」


男2「天誅ううううううううううううーーーー!」


女将「きゃあああああー!」


直後、ナイフを持った男が背後から襲ってきた。


穂乃果「ぐっ!、このっ!」がしっ!


男2「!」


穂乃果「大馬鹿者がっ!」ぶんっ!


男2「ぐああっ!」どさっ!


高坂は男のナイフを交わし一本背負い、男はアスファルトの地面に叩きつけられた。


ばん!ばん!


穂乃果「ぐはっ!、ぐううっ」ぽたぽた


もう一人の男は銃を発砲、銃弾は高坂の左わき腹に命中したが急所からは逸れていた。


男1「・・・」


穂乃果「まだ解らないの!、こんな事して何になる!」ゼーゼー


男1「くっ!」だっ!


男達は高坂暗殺を試みていたらしいが失敗、そのまま武器を回収して逃走した。


穂乃果「はあー、はあー」ぽたぽた


女将「誰か!、誰か!」


海未「高坂さん!、しっかりして下さ!」


絵里「救急車!、早く!」


ツバサ「何てことを!」


千歌「高坂さん!、傷は浅いです!」


騒ぎを聞きつけたメンバー達とそれぞれメンバーの護衛に当たっていた艦娘達が一斉に外へ飛び出していった。


飛龍「すみません提督!、ボディーガードの身でありながら助けられなくて!」


天龍「くそっ!、さっきの奴らどこ行きやがった!」


摩耶「まだ近くにいるはずだ!、とっ捕まえてぶっ殺してやる!」


木曾「あの野郎ども!、ただじゃ置かねえ!」


穂乃果「いい!、大丈夫だから!」


愛宕「ですが!」


穂乃果「愛宕ちゃんに摩耶ちゃん!、家まで肩かしてくれないかな?、それと飛龍ちゃんも一緒に来てくれる?」


飛龍「はい!」


実行犯は軍の強行派であったが、むしろこの一件が民間人に知れ渡る事で強行派の暴論を結果的に抑える事となった。


1年後の2039年8月30日、高坂は連合艦隊司令長官に就任、これは前世の山本五十六や後世の高野五十六が就任した日と同じであった。

後日より天照の会のメンバーもまた連合艦隊の各要職に就く。

そしてこの時、横須賀にいる連合艦隊旗艦・大和のメインマストに長官旗が翻った。


2040年8月、ヨーロッパ戦線では地中海で待機していた独英伊仏露などを中核とする地中海、バルト海、北極海などの各艦隊も動き出した事を横須賀鎮守府の執務室で確認した。


穂乃果「地中海艦隊はまずインド洋、大西洋への進出を図るみたいだね・・・、こっちもそろそろ動こうかな!」


ヒデコ「長官!、単冠湾にて待機中の小泉提督より入電!、万事準備整ったとの事です!」


穂乃果「了解・・・」


2041年12月1日、東野の部下である技術将校の1人、艦娘の艤装関連を担当する天野琴音によって最新鋭ガスタービンへと換装、総員30ノットを超える速力を得た空母・翔鶴、瑞鶴をはじめとする小泉航空機動艦隊は厳重な無線封鎖のなか、密かに択捉島・単冠湾を出撃、一同ハワイを目指す。

小泉艦隊は空母5、装甲空母1、軽空母6、重巡2、軽巡4、駆逐12を要する艦隊で、前世で世界最強と言われた南雲機動部隊を遥かに凌駕する戦力を誇る現世世界最強の航空機動艦隊である。


小泉艦隊(第三艦隊、東太平洋艦隊)


司令長官・小泉花陽


総旗艦・瑞鶴 副旗艦・大鳳


空母・翔鶴、瑞鶴、雲龍、天城、葛城


装甲空母・大鳳


軽空母・祥鳳、瑞鳳、龍鳳、大鷹、雲鷹、沖鷹


重巡・利根、筑摩


軽巡・長良、由良


駆逐艦・秋月、照月、冬月、初月、新月、若月、霜月、春月、巻波、高波、大波、清波、玉波、涼波、藤波、早波、浜波、沖波、岸波、朝霜、



穂乃果「(やっぱり一二〇八計画はあったけど、今夜から歴史は変わる!、絶対前世の様な悲劇は繰り返さない!)」



2041年12月7日深夜、択捉島・単冠湾基地指令室より命令が発信された。


花陽「まもなく一二〇八です!、参謀長!、旗艦に打電!、ニイタカヤマノボレ!」


フミコ「了解!、ニイタカヤマノボレ!」


司令部より発信された暗号はすぐさまハワイ諸島沖洋上の小泉艦隊旗艦・瑞鶴へと伝わる。


瑞鶴「艦の記憶からすれば百年越しのリベンジって感じね・・・、ニイタカヤマノボレ!、一二〇八よ!、各艦に継ぐ!、艦載機の発艦を開始せよ!」


空母一同「「「了解!」」」


出撃からおよそ7日後の日付が変わる少し前、小泉艦隊の主力空母・瑞鶴、翔鶴、大鳳、雲龍、天城(雲龍型)、葛城から第一次攻撃隊、戦闘機や攻撃機など合計およそ200機が発艦した。

機種は零戦52型、彗星、天山である。


瑞鶴「続いて第二次攻撃隊!、発艦準備に掛かれ!」


第一次攻撃隊に遅れる事30分、第二次攻撃隊が発艦し更に第二次攻撃隊に遅れる事25分、軽空母・祥鳳、瑞鳳、龍鳳、大鷹、雲鷹、沖鷹から第三次攻撃隊も発艦を開始、合計600機を超える大編隊が敵深海棲艦の一大拠点、ハワイに迫る。

この時の投入戦力は前世大戦時の3倍以上であった。


瑞鶴「迷わずにちゃんとたどり着いてよ!」


翔鶴「新鋭偵察機・星電が付いてるから大丈夫、きっと完璧に案内してくれるわ。」


偵察機・星電とは、初歩的ではあるが小型レーダーや電探、高速電算機を積んでいる画期的な艦上電子偵察機であり、また戦闘機並みの高速や運動性能を活かした強行偵察や敵の通信傍受などを行える。


大鳳「しかし、困難な夜間発艦を皆よくやってくれますね!」


瑞鶴「日頃の猛訓練の成果ね!」


ともあれ星電が攻撃隊を完璧に攻撃目標まで案内、第一次攻撃隊の第一波がハワイ・オアフ島上空へとたどり着いた。


星電妖精「前方に攻撃目標見ゆ!、我々の役目はこれまでですので後を頼みます!」


隊長妖精「ああ、任せろ!」


役目を終えた星電は引き返し、艦隊を中心に辺り一帯に警戒管制を引く。


隊長妖精1「まずは陸上の飛行場姫からやるぞ!、発光弾打ち上げ!、全軍突撃せよ!」


攻撃隊の先鋒が打ち上げた照明弾が辺り一面を照らし、敵の姿が丸見えとなった。


ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


戦闘機妖精s「「「くらえーーーーー!」」」


ババババババババババ!、ドカドカドカーン!


飛行場姫1「ナ!、何ゴトダ!」


ウーン!、ウーン!


飛行場姫2「敵襲ダ!、航空機ノ発進ハ間ニ合ワン、対空火器デ応戦シロ!」


ババババババババババ!、ドーンドーンドーン!


爆撃機妖精「んなもん食らうかよ!、お前らはこれでも食ってな!」


ヒュルルルルル!、ヒュルルルルル!、ドカーーーーン!


飛行場姫1「グウッ!、グアアアアアッ!」どさっ


爆撃機妖精「飛行場姫撃破!」


第一次攻撃隊の目的は陸上の敵航空戦力の撃破であり、攻撃隊は闇夜に紛れオアフ島の陸上基地に陣取る飛行場姫を奇襲、甚大な被害を与えた。


隊長妖精「こちら第二次攻撃隊!、まもなく攻撃目標であるパールハーバー上空へ到達!、攻撃に入る!」


ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


第一次攻撃隊が飛行場姫を撃破してまもなく、第二次攻撃隊はパールパーバーの敵基地にに対し猛禽の群れの如く襲い掛かった。


ババババババババババ!


リ級「クッ、撃テ撃テ!」


ブーンブーンブーン


雷撃機妖精「あちこち火の海だな!」


後座妖精「はっ!、しかし戦艦も空母もおりませんな・・・」


雷撃機妖精「全くか?」


後座妖精「はい・・・」


雷撃機妖精「そんなはずないだろう・・・」


後座妖精「あっ!、前方に入居中の大型艦!」


雷撃機妖精「ヨーソロー!」


後座妖精「進路、そのまま!」


雷撃機妖精「ヨーソロー!、撃てー!」


シュルルルルルル!


ル級「!、魚雷!」


ドカーーーーン!


雷撃機妖精「よし!、旗艦に打電!、我大型艦雷撃す!、被害甚大なり!」


敵方も航空戦力を消失しながらも各艦艇及び陸上から対空火器で果敢に立ち向かって来るが、戦う前から勝敗は決していた。

そして日が昇り始めた頃、第三次攻撃隊が到着、すでに400機を超える航空隊から波状攻撃を受けた敵は戦力のほとんどを失っていた。


隊長妖精「第三次攻撃隊突入する!、敵にとどめを刺す!」


艦載機妖精s「「「「「おおおーーーーー!」」」」」


隊長妖精「ただし!、燃料基地だけはやっちゃいかんぞ!」



星電妖精「旗艦に打電!、第一次攻撃隊が帰投します!」


瑞鶴「了解!、みんなお疲れ!」


ブーンブーンブーン、キュッキュウーーーー!


瑞鶴「整備急いで!、次の獲物が待ってるわよ!」


葛城「次はいよいよ戦艦に空母だよ!」


天城(雲龍型)「星電、天城三番機より入電!、マリアナ方面へ進行中だっだ敵太平洋主力艦隊がこちらへ引き返してして来ているとの事です!」


翔鶴「予想より遅いですね・・・」


雲龍「星電、雲龍一番および二番機より入電!、敵第一航空艦隊をミッドウェー島付近にて、第二航空艦隊を敵主力艦隊より北の位置にて確認したとの事です!」


大鳳「瑞鶴さん、小泉提督より通信が入ったわ。」


瑞鶴「サンキュー、提督、第一段階終了!、ハワイ各基地は壊滅しました!、残すは敵艦隊のみです!」


作戦開始から約6時間後、ようやく無線封鎖を解除し単冠湾司令部の艦隊司令官・小泉花陽提督と通信機越しでこの作戦の第二目標である敵艦隊撃滅に関する作戦会議が開かれた。


花陽「こちらでも確認しました。」


瑞鶴「敵艦隊はマリアナ方面及びミッドウェー方面に展開していた様ですが、ハワイが攻撃されて慌てて戻って来たと言ったところでしょう。」


フミコ「しかし、パールハーバに本当に一隻も主力艦がいないなんて・・・」


花陽「いいえ、読み通りです!」


前世大戦や、後世大戦、現世の第一次作戦の際にパールハーバーには敵の戦艦はいても空母はいなかった。


花陽「前世大戦の開戦時、敵の主力空母は3隻でした・・・、だとしたら今、この空母を全て撃破する事が大切です!」


瑞鶴「はい!、ところで例の計画はどうなりました?」


花陽「しっかり成功です!、これで私たちは思う存分戦えます!」


作戦会議の最中、瑞鶴の言う例の計画とは何か、事が起こったのは第一次攻撃隊がハワイ上空へ到達した頃の時刻まで遡る。



2041年12月1日、小泉艦隊が単冠湾を出撃した頃。

横須賀鎮守府の作戦司令室にて全体の指揮を執る高坂穂乃果の姿があった。

そしていよいよ、練りに練ったクーデター計画を実行に移さんとしていた。


ヒデコ「小泉艦隊総員!、ハワイに向け出撃しました!」


穂乃果「いよいよ、始まる・・・、これで全てが変わる!」


希「日本全国の同志たちは準備万端整ってますよ!」


穂乃果「うん・・・、日本全国の各要所へ打電!、スサノオ踊リ天照イズル!」


希「了解!、みんな聞いた!、こっちも作戦開始や!」


ハワイ攻撃開始の約6日前、高坂主催の天照の会のメンバーを始め、全国の海軍基地にて理不尽を受けていた艦娘達、東條希や優木あんじゅなどを中心とした悪企み大好き参謀達が焚き付けた上層部に不満を持つ海軍の下士官や、海戦がメインとなった為に御役御免となり怒り心頭の陸軍、空軍の兵士達が一斉に決起した。


吹雪「みんな行くよ!」ぱちっ←電気回路切断


睦月「もう我慢の限界です!」


夕立「素敵なパーティーにしてあげる!」


長門「皆!、掛かれー!」


艦娘達「「「「おおぉーーーー!」」」」


バタバタバタバタ!


ダメ提督「おい!、急に電気が消えたぞ!、何事だ!」


バーーーーン!


ダメ提督「な!、何だ貴様ら!」


神通「探照灯!、照射!」


バッ!、バッ!、バッ!


ダメ提督「のわっ!、何をする!」


天龍「おとなしくしてもらおうか!」ジャキッ!


参謀「提督閣下!」


龍田「おっと、動かないでくださいね♪」ジャキッ!


「ぎゃああああああ!」、「助けてええええええ!」、「痛たたたたたっ!」、「死ぬぎゃあああああ!」


突然反旗を翻した艦娘の奇襲に会い提督達は成す統べが無かった。


ダメ提督「き!、貴様ら!、司令官であるこの私に!」


木曾「司令官だあ?、ふざけんな!」


提督「最上!、貴様は私の秘書艦であろう!、何とかしろ!」


最上「・・・」ブンッ!


ゴン!、ガン!


提督「ぐああああっ!」どさっ!


最上「ごめんね提督、ボク達はもうあなたを提督と思えなくなちゃってね♪」ニコッ!


参謀達「「「(ここは逃げるに如かずだ!)」」」たったったっ


綾波「何人か逃げたましたよ!」


参謀達「「「(この長廊下を抜ければ大広間に!)」」」


川内「普段みんな私の事、夜戦バカとか言ってるけどさあ・・・」


参謀達「「「!!!」」」ゾワッ!


川内「そこまでお望みなら、見せてあげるよ、夜戦バカの真の夜戦を!」だっ!


参謀達「「「(天井に張り付いて!)」」」


川内「せやあーーー!!」


ボカ!、バキ!、ドガ!


参謀達「「「ぎやあああああああ!」」」


天龍「いっちょあがりだな!」


龍田「他も上手くやってるかしら~」がしっ!


ダメ提督「・・・」チーン


そして大湊、舞鶴、呉、佐世保など各鎮守府にて好き放題やっていた提督達は日頃の恨みが爆発した艦娘達に一斉に襲われ、中には抵抗した者もいたが艤装を身に着け妖精の加護を纏った艦娘に敵うはずもなく、鎮守府は一時間程度で乗っ取られた。


軍令部総長「貴様ら!、こんな事してただで済むと思うな!」


下士官「ああ!」


若者士官「君たちやめたまえ!」


下士官「ナチスのSSみたいな事してやがった癖に何言ってやがんだ!」


穂乃果「・・・」ジャキッ!


下士官「高坂長官!」敬礼


穂乃果「・・・」スパッ!


若者士官「ぎゃああああ!」


「(うわっ!、一切の情け容赦なく!)」「(ははは、スカッとしたぜ!)」「(この人だけは敵に回したくねえ・・・)」


軍令部総長「ま!、待て高坂!」


穂乃果「皆の苦しみはこんなもんじゃない!、覚悟しなさい!」スパッ!


また、海軍の下士官達も現軍令部のあり方や穴埋めの為に昇進した若者士官達のかつてのナチスドイツのSSに等しい振舞いに怒りが爆発、共に決起した元陸軍、空軍の兵と共に、総理官邸を始め国会議事堂や各省庁などを征圧、高坂のクーデター計画だ驚くほどの鮮やかさで完了した。

そして時は12月8日の午前6時、クーデター成功の知らせを聞いた小泉艦隊は次の作戦行動に出る。


*深海棲艦のEliteはE、FlagShipはFSの様に表します。


一方その頃、ハワイが攻撃された事を知った敵太平洋主力艦隊はマリアナ方面に進行中であったところを急速に引き返しハワイへ向かっていた。


ル級FS「何!、ハワイ全域ノ軍事施設ガ壊滅シタダト!、コノ前ノミッドウェー攻略ノ際ニ奴ラノ主力空母4隻ガ大破シタハズダ!、イッタドコニハワイ全域ヲ満足ニ攻撃デキル戦力ヲ持ッテイタトイウノダ!」


ル級1「コノママハワイヘ直進シ、敵艦隊ヲ迎撃シマショウ!」


ル級FS「アア、イヤ待テ!、ウェーク島ヤミッドウェー奪還ニ向カッタ航空艦隊ト合流シテカラデモ遅クハナイ!、連絡ヲ取レ!」


もし、敵方に反撃のチャンスがあるとしたらこの一瞬であった。

その頃、空母ヲ級FSを旗艦とする敵第一航空艦隊は急ぎミッドウェー奪還をあきらめハワイへ急行、主力艦隊より北東の位置にいた。


ヲ級FS「バカカ貴様!、何故サッサトハワイヘ向カワンノダ!」


ル級FS「敵ノ規模ガ解ラン以上、真正面カラ仕掛ケルノハ危険ダト言ッテンダ!」


ヲ級FS「貴様ハ慎重スギダ!、コウシテイル間ニモ敵ハ着々トハワイヲ攻略シテイル!」


ル級FS「アーワカッタワカッタ、ウェーク島ヨリ帰投中ノ第二航空艦隊ト合流シ次第スグ向カウ!」


ヲ級FS「マダソンナ事ヲ言ッテルノカ!、・・・、チョッタ待テ、今私ノ放ッタ哨戒機カラ通信ガ入ッタ・・・、ドウヤラ敵ハカウアイ海峡東ノ沖150海里ノ位置ニイルソウダ・・・

ダガコレデツキハアンタヨリ私ニアルヨウダ、コノママ進行シ先ニ仕掛ケル!」


ル級FS「待テ!、見込ミデ仕掛ケル気カ!」


ヲ級FS「要ハドチラガ先ニ敵ヲ見ツケルカダ!、賭ケテミルサ!」ぶちっ!


ル級FS「切レタ、ハアー、タクッ・・・、第二航空艦隊トノ連絡ハマダ着カナイノカ!」


ル級2「イ、イエソレガ・・・」


ル級FS「全艦爆沈ダト!、ソンナバカナ!」


しかし、この艦隊間の長通信は海域哨戒の任務に就いていた星電によりその内容が全て傍受され、また別の位置にいた機体との三角測定によりそのいちはすぐさま味方の知るところなった。


花陽「そろそろ敵方にも第二航空艦隊爆沈の知らせが入った頃でしょうか・・・」


そういいながら小泉提督は卓上の地図を見る。


フミコ「ええと、主力艦隊はハワイより西のこの辺に、第一航空艦隊はもう少し近く、この辺かと・・・」


花陽「なるほど・・・、これからの戦は真に情報戦ですね!」


フミコ「今回の作戦は艦隊の接触するタイミングが大事なので速度を落とした方が良いかと・・・」


花陽「どのくらいですか?」


フミコ「概ね28ノットでドンピシャかと・・・」


花陽「それで行きましょう・・・」


この時、艦隊に属する艦娘のモーターは旧式の者でさえ30ノットは出るようになっていた。


通信参謀「提督!、総旗艦・瑞鶴より通信です!」


花陽「はい、そちらはどうですか?」


瑞鶴「提督、私と大鳳さん以外の空母は秋月達の護衛の下、北への撤退を完了しました!」


花陽「了解、残った部隊は船速28ノットにてカウアイ海峡へ向かってください!」


瑞鶴「了解!」


小泉提督は瑞鶴、大鳳以外の空母を秋月、照月、涼月、初月の護衛の下で北へと下げさせた。

これは艦隊決戦におけるとばっちりを防ぐためでもあった。


花陽「(正直こうでもしないと翔鶴さんとか瑞鳳さんとかが真っ先に不幸にあいそうです・・・、大鳳さんは装甲が厚いから大丈夫・・・、かな・・・)」


一方その頃、敵航空第一艦隊は空母1、重巡3、駆逐9の編成で着々とハワイへ進行中であった。

だがしかし、


ドカーーーーン!、バッシャーーーーーン!


ヲ級FS「ナ!、何事ダ!」


イ級1「雷撃デス!」


ドカーーーーン!、ドカーーーーン!


ヲ級FS「グアアアアッ!、ウウッ!」


ヲ級FS「各自被害方向ヲシロ!」


リ級E「駆逐5、重巡2、爆沈デス!」


ヲ級FS「クソッ!、一体何ガ起コッテイル!」


シュルルルルルル!


ヲ級FS「シマッタ!」


敵空母は何者に攻撃され、何者に沈められたのか分からないまま海の藻屑と消えた。


フミコ「星電、瑞鶴2番機より入電!、潜水艦隊が敵航空艦隊を雷撃す!、敵艦隊は全滅した模様です!」


花陽「よし!」


花陽「(いよいよ幽霊艦隊が動き出しましたか・・・、松浦指令官の新潜水艦戦術、非常に楽しみです!)」


そして敵空母艦隊全滅の報告が小泉艦隊司令部、さらに敵艦隊旗艦に入って来た。


ル級FS「何!、第一航空艦隊モ全滅ダト!」


ル級1「ハッ!、第一、第二航空艦隊双方ノ旗艦・ヲ級FSハ一度ニ5本以上ノ雷撃ヲ受ケテノ爆沈ダソウデス!」


ル級FS「バカナ!、コチラノ対潜輪形陣ハ完璧ナハズダ!、一度ニ5本モノ魚雷ヲ受ケルハズガナイ!」


敵航空艦隊を撃破した際も36ノットという速度で40000mもの彼方から忍び寄って来たものであった。


果南「敵に反撃の隙を与えず!、姿を悟られず!、四方八方から狙い撃ち!、爽快だね!」


敵の厳重な対潜警戒網を易々と潜り抜け、潜望鏡を使わずにレーダーや電探、ソナーのみで海中から長距離雷撃する事ができるところに松浦果南が指揮する幽霊艦隊の計り知れない実力が潜んでいた。


リ級E「ル級様!、私ノ哨戒機ガ敵ノ姿ヲ捉エマシタ!、敵艦隊は空母2、重巡2、軽巡4、駆逐4ノ編成デカウアイ海峡ヲ目指シテイル模様!」


ル級FS「カウアイ海峡!、カウアイ海峡・・・」


ル級FSは先ほどカウアイ海峡付近で起きた出来事を思い出していた。


リ級E「艦隊決戦ナラバ戦艦4隻ヲ要スル私タチノ方ガ圧倒的ニ有利デス!」


ル級1「空母2隻ノ艦載機ナドハエホドモ恐レル必要ハアリマセン!」


ル級FS「・・・、敵ノ位置ハ?」


リ級E「カウアイ海峡ノ東側デス!、進路カラ見テ奴ラハパールハーバーヲ目指シテイルノデハナイデショウカ!」


ル級FS「何故ダ?、パールハーバーハスデニ破壊シ尽クサレテイルデハナイカ!」


ル級2「イイエ!、マダ450万バレルノ燃料ガ手ツカズニ在リマス!、コレヲ抑エラレマスト我々ハ半年間身動キガ取レナクナリマス!」


ル級FS「ソウカ!、奴ラノ狙イハソレカ!」


このとき、慎重派であったル級FSの中で小泉艦隊の動きの理由が繋がった。


ル級FS「ヨシ!、我ラハコレヨリカウアイ海峡ヘヲ目指ス!、マズハコノ目ノ前ノ敵艦隊ヲ迎撃スル!」


威風堂々、敵艦隊は戦艦4、重巡8、軽巡12、駆逐24という太平洋艦隊の主力を担うにふさわしい編成であった。



カウアイ海峡、ここはカウアイ島とオアフ島の間に位置しその幅はほぼ100Kmあるため、艦隊を展開しやすかった。


ロ級1「見エマシタ!、敵艦隊デス!」


ル級FS「間ニ合ッタカ!、総員撃チ方用意!、撃テエエエエエエエエ!」


ドカドカドカーン!、ドカドカドカーン!、ドカドカドカーン!、バシャッーン!、バシャッーン!、バシャッーン!


花陽「ここからは私が直接指揮を執ります!、総員砲雷撃戦始め!」


利根・筑摩「「撃てええええええ!」」


ドカドカドカーン!、ドカドカドカーン!、ヒュルルルルル!、ドカーーーーン!


利根「その艦貰った!」がこん!


ドカドカドカーン!、ヒュルルルルル!、ドカーーーーン!


ル級FS「突撃シロ!、奴ラナド我々ノ敵デハナイゾ!」


砲撃による目を眩ます様な閃光と耳が砕けんばかりの砲声が敵艦隊旗艦ル級FSから平常心を奪っていた。


花陽「皆さん!、こちらには戦艦がいないため接近されたら危険です!、一定の射程を保ちつつ正確なる射撃に努めて下さい!」


艦隊一同「「「「了解!」」」」


ドカーーーーン!、ドカーーーーン!


哨戒機妖精「戦果報告!、重巡1、軽巡1、駆逐4を撃沈!、味方の損害は軽微です!」


ル級FS「クッ!、奴ラドウイウツモリダ!」


小泉艦隊にいくら高火力の戦艦が1人もいないとは言え押せば引き、引けば押してくる小泉艦隊の動きに不信感を抱き始める。

それはまるで何かを待ち受けている様であった。


ル級1「我ガ艦隊左舷ヨリ敵航空隊!、高度2000、距離7000デス!」


ル級FS「何!、対空戦闘!、急ゲ」


ババババババババババ!


雷撃機妖精s「「「「食らえええええ!」」」」」


ボチャン!、シュルルルルルル!、ドカーーーーン!


ル級FS「オノレーーー!!」


リ級2「更ニ新タナ敵艦隊!、戦艦4、空母2、軽空母3、重巡8、軽巡4、駆逐多数!、駆逐艦や軽巡を前衛に急速接近中!」


ル級FS「何ダト!」


愛宕「ぱんぱかぱーん!、お待たせ!」


飛龍・蒼龍「「矢澤艦隊見参!」」


金剛「私たちの出番ネー!、Follow me!」


にこ「ちょっとあんた達!、それあたしのセリフ!、と・・・まあ待たせたわね!」


花陽「いいえ、ナイスタイミングです!」


小泉艦隊に遅れること1日、日本全国がクーデターによって混乱しているのを確認した矢澤にこ提督率いる第二艦隊は待機していた大湊鎮守府から出航、クーデターに参加していた隊員と合流しながら小泉艦隊の支援のため密かに接近していた。

矢澤艦隊は総旗艦・愛宕を先頭にカウアイ海峡へ突入した。

矢澤艦隊の編成は以下の様になる。


矢澤艦隊(第二艦隊、南太平洋艦隊)


司令長官・矢澤にこ


総旗艦・愛宕 副旗艦・金剛


戦艦・金剛、比叡、榛名、霧島


重巡・愛宕、高雄、摩耶、鳥海、妙高、那智、足柄、羽黒


軽巡・川内、神通、阿賀野、矢萩


駆逐艦・吹雪、白雪、初雪、深雪、綾波、敷波、朧、曙、漣、潮、白露、時雨、村雨、夕立、春雨、五月雨、海風、山風、江風、涼風



第二航空戦隊(矢澤艦隊所属)


司令官・星空凛


旗艦・飛龍


空母・飛龍、蒼龍


駆逐艦・朝霧、夕霧、天霧、狭霧



第四航空戦隊(矢澤艦隊所属)


司令官・西木野真姫


旗艦・龍驤


軽空母・龍驤、飛鷹、隼鷹


駆逐艦・磯波、浦波、叢雲、東雲、薄雲、白雲



にこ「これで数も揃ったことだし、捻り潰してやりなさい!」


愛宕「ヨーソロー!、総員!、砲雷撃戦用意!」


金剛「皆さん行きますヨー!、レディー、fire!」


ドカドカドカーン!、ドカドカドカーン!、ドカドカドカーン!


主力艦である金剛、比叡、榛名、霧島が単横陣を取り艦隊の最前線へ出て来る。

そして敵艦隊に36.5㎝主砲の全問一斉射を浴びせる。


比叡「主砲斉射!、撃てええええ!」


榛名「榛名!、全力で!、参ります!」


霧島「ふふふ、さあ!、攻撃開始です!」


ドカドカドカーン!、ドカドカドカーン!、ドカドカドカーン!


敵艦隊「「「「グアアアアアア!」」」」


ル級2「クソッ!、一旦下ガッテ!」


愛宕「ぱんぱかぱーん!、食らいなさーい!」


高雄「バカめと言って差し上げますわ!」


ドカドカドカーン!、ドカドカドカーン!


リ級E「グアアアアッ!」


技術部によって改良された新型の改零式対艦用徹甲弾の威力は凄まじく砲撃戦開始からおよそ4時間、砲声が止みうその様に静まり返っていた。


ル級FS「奴ラノ神経ガワカラン!、何故ダ!、何故奴ラハ主力デアル戦艦ヲ狙ワナイ!」


ル級1「奴ラノ真意ハマルデ読メマセン!、タダ言エル事ハ、我々ハ丸裸ニサレタトイウ事実ダケデス!」


このとき敵艦隊は矢澤・小泉両艦隊が合流した後、怒涛の強襲攻撃を受けた。

そして戦艦以外の全ての艦を失っていた。


ル級FS「ドウスル!、意地デ突ッ込ムカ!」


ル級2「ソレハ1ツノ考エ方デアリマスガ・・・」


ル級3「砲弾ノ尽キタ戦艦ナド鉄クズ同然デス!、間モナク日ガ落チマスノデ闇夜ニ紛レテ脱出シマショウ!」


ル級FS「確カニ、再起ヲ期スト言ウノモ1ツノ考エ方ダガ・・・」


ル級FSは考え兼ねていた。

昼間のカウアイ海峡での出来事を思い出し、眼下に広がる藍色の海の中に何かいるという底知れぬ不安に襲われていたからであった。


ル級FS「クソッ!、ドウスル!、私ハ一体ドウスレバ!」


ドカーーーーン!


ル級2「グアアアアッ!」


ル級FS「ナ!、雷撃!、ドコカラ!」


ドカドカドカーン!、ドカドカドカーン!


ル級1「ガハッ!」


ル級2「コ、コンナトコロデ!」


ル級FS「ア、アアッ・・・、戦艦ガタッタ3発デ!、航空艦隊モコウシテヤラレタノカ!」ガクガク


ドカドカドカーン!


敵太平洋主力艦隊総旗艦・ル級FSは敵の正体もつかめぬまま海の藻屑と消えた。

矢澤・小泉両艦隊はハワイ各島に上陸、僅かな抵抗を排除しながら燃料基地を始め要所を抑え、ここに敵の太平洋戦略の要たるハワイを奪還した。

この第二次真珠湾攻撃とも言える作戦は前世大戦と同様に味方の大勝利であったが、戦術的にも戦略的にも格段の差があった。


作戦終了から間もなく海軍中将へと昇格した小泉花陽がパールハーバ軍港に小泉艦隊の総指令部を置き、同じく中将へ昇格した矢澤にこは太平洋最難関と言われる南太平洋進出に向け呉にて準備を開始した。


そしたその陰に幽霊艦隊と命名された秘匿艦隊は己の正体を海中に秘匿し切ったまま、大海原を行く。

この幽霊艦隊こそが、この世界を救うための言わば切り札であった。



第二章・新生連合艦隊始動


2041年12月末、ハワイ奪還を無事に終えた高坂穂乃果は正式に海軍省大臣および海軍軍令部総長に就任、海軍最高司令官となり、また海軍元帥へと昇格した園田海未が連合艦隊司令長官および司令直属艦隊司令長官へ、綺羅ツバサは横須賀鎮守府総司令官および本土防衛艦隊司令長官となり、他のメンバーもそのほとんどが将官となり海軍の中核を担う様になった。


園田艦隊(司令直属艦隊)


司令長官・園田海未


総旗艦・大和 


戦艦・大和


軽巡・那珂、能代、酒匂


駆逐艦・朝潮、大潮、満潮、荒潮、山雲、夏雲、朝雲、峯雲、霰、霞



綺羅艦隊(本土防衛艦隊)


司令長官・綺羅ツバサ


旗艦・武蔵 


戦艦.武蔵


雷巡・木曾


駆逐艦・神風、朝風、春風、松風、旗風、追風、疾風、朝凪、夕凪、初春、子日、若葉、初霜、有明、夕暮



2042年2月上旬、海軍大将へと昇格し、海軍参謀総長となった東條希の提案で次なる攻撃目標を北太平洋に位置するアリューシャン列島と定め、その作戦に絢瀬絵里中将が率いる絢瀬艦隊(第一艦隊)及び高坂雪穂少将が率いる第一航空戦隊を投入、アリューシャン列島奪還のため樺太島の南に位置する大泊基地に司令部を置いた。


絢瀬艦隊(第一艦隊、北太平洋艦隊)


司令長官・絢瀬絵里


総旗艦・長門 副旗艦・日向


戦艦・長門、陸奥、伊勢、日向、扶桑、山城


重巡・最上、三隈、鈴谷、熊野


軽巡・五十鈴、名取、鬼怒、阿武隈


駆逐艦・睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、長月、暁、響、雷、電、朝霜、早霜、秋霜、清霜



第一航空戦隊(絢瀬艦隊所属)


司令官・高坂雪穂


旗艦・赤城


空母・赤城、加賀


駆逐艦・菊月、三日月、望月、夕月



絢瀬が大泊に司令部を置いた理由はもし敵に先手を打たれ攻め込まれても千島列島を砦として強力な防衛網を構築できるからだあった。

現在千島列島は軽巡・阿武隈率いる第三水雷戦隊が哨戒、防衛の任に当たっている。

そして松浦果南少将が指揮する潜水艦隊、通称・幽霊艦隊は北緯45度、東経180度の位置に密な哨戒ラインを引き、敵艦隊の動きを警戒していた。


松浦艦隊(幽霊艦隊、超秘匿潜水艦隊)


司令官・松浦果南


旗艦・伊601(富嶽)


伊号潜水艦・伊601(富嶽)、伊500(水神)、伊501(快竜)、伊502(爽竜)、伊700(浦島)、伊701(竜宮)


呂号潜水艦・呂200、呂201、呂202、呂203、呂205



大泊基地司令部


雪穂「星電、赤城一番機より入電!、アリューシャン列島西側は今だ動きなし、いたって平凡だそうです・・・」


絵里「そう・・・」


雪穂「あっ、星電、加賀三番機より入電!、キスカ沖南に北方棲姫をはじめとする敵艦隊確認!、戦艦4、重巡8、軽巡8、駆逐12です!」


絵里「空母はいないの?」


雪穂「今のところは確認されていません・・・」


絵里「・・・、幽霊からはまだ何も来ない?」


雪穂「はい・・・」


絵里「(アリューシャン列島奪還の戦略的意味は大きい、それは敵にとっても同じよね・・・)」


アリューシャン列島を抑える事でベーリング海を封鎖、これは敵北極海艦隊による支援や補給を遮断する事ができるからである。

しかし、裏を返せばアリューシャン列島は敵にとってハワイ奪回の拠点と成り得るため、敵の動きも非常に慎重であった。


絵里「ねえ参謀長、空母がいないのはなぜかしら・・・」


ミカ「さあ、先日の飛ばした哨戒機によればアリューシャン列島のキスカには広大な陸上基地があり飛行場姫が確認されています・・・、ひょっとしたら・・・」


絵里「敵艦隊は陸上機の支援の届く範囲でしか戦わない、と言うところかしら、あるいは強力な対空火器を搭載した何かがいるか・・・」


ミカ「それは少し考えすぎでは?、いくら敵に対空艦がいたとしても秋月型の様な艦がいるとはとても・・・」


絵里「・・・」


ミカ「提督!、幽霊から通信です!」


絵里「つないで頂戴!」


果南「お久しぶりですね、絢瀬提督。」


絵里「ええ、それでそっちはどう?」


果南「我が潜水空母達が飛ばした艦載機が幾度か敵機と遭遇しました!」


絵里「!、機種はなに!」


果南「真っ黒なSBD型1機、P38型3機です・・・」


絵里「SBD型・・・、あれって確か海軍機よね・・・」


果南「ええ・・・」


幽霊艦隊が敵機と遭遇したのは通信の入る2時間ほど前であった。

幽霊艦隊は絢瀬艦隊が大泊より索敵を開始する10日ほど前から索敵を行っていた。


果南「遭遇位置はばらばらではありますが、P38型はこちらの哨戒機と遭遇したとたん北西へ逃走していきました・・・」


絵里「北西・・・、キスカね・・・」


果南「ただし、SBD型だけは腑に落ちないですよね・・・」


絵里「どういうこと?」


果南「SBD型だけはキスカより1200Km以上離れたところで不時着、機体は通り掛かった敵潜が回収していきました・・・、が、不時着した場所へピンポイントで敵潜が通り掛かる事は偶然にしては出来すぎています・・・」


絵里「確かに、遭遇した位置から考えてP38型の発進基地はキスカで間違いなさそうだけど・・・」


雪穂「あの、ひょっとしたら敵は私たちに自分達が南にいると見せかけたいのではないでしょうか!」


果南「なるほど、南にいると見せかけて我々の横腹をすり抜ける魂胆かしら、だとしたら哨戒ラインを北東に伸ばした方がよさそうね・・・」


幽霊艦隊が哨戒ラインを現在地かや北東へ動かし再び索敵を開始、しかしそれから3日ほど何もなく過ぎていった。

新知島基地司令部にて艦隊を指揮し、絢瀬艦隊の10日ほど前から索敵を行っていたにもかかわらず、何も見つけられずにいた松浦は焦りを感じていた。


果南「参ったね・・・」


副長「指令官、少し休まれては、顔色がよくありません!」


果南「・・・」


副長「・・・、指令官?」


果南「そういえばここ3日くらい風呂に入っていなかったわ・・・、さすがにちょっと臭うわね・・・」


副長「指令官・・・、それは女性としてどうかと思いますが・・・」


果南「あはは、今日は風呂に入って寝るとするよ、副長、後をお願いできる?」


副長「お任せを!」


そして更に2日が過ぎようとしていた時、幽霊艦隊所属の伊701が敵艦隊を東太平洋洋上にて敵艦隊の姿を捉えた。


果南「ほほう、東太平洋にて敵艦隊を発見せり、編成は戦艦2、空母2、軽空母4、重巡6をはじめ大小戦闘艦から輸送艦、補給艦など多数確認、しかも空母と軽空母は全部FlagShipか・・・、思った通り、敵艦隊は進路を北西に取りダッチハーバーを目指し進行中・・・」


副長「指令官!、これは大機動部隊ですね!」


果南「北方棲姫め!、全く動かないと思ったらこれを待っていたのか!、直ちに絢瀬提督に打電!」


敵艦隊発見の知らせはすぐさま絢瀬の下に届き、それと同時に高坂や園田、東條らをはじめとした軍中枢部にもたらされた。

その後、松浦は幽霊艦隊に帰投命令を出したが、伊502は別任務を携えその場に残る。


果南「太平洋主力艦隊は潰したから敵の反抗作戦があるとしたら有力なのは南方、フィジー方面だけかと思っていたけど・・・、これは戦略の見直しを要求される事態だね・・・」


松浦の発言通り、敵新太平洋艦隊発見の知らせを受けた高坂はすぐさま天照の会の幕僚達を召還し、戦略の見直しと新たな戦略についての会議を行った。

このとき時期は既に3月初旬となっており、東方は既に奪還したハワイのパールハーバー基地を拠点に小泉艦隊が前世で大敗を期したミッドウェー島を完全奪還、南方は矢澤艦隊がレイテ島やルソン島、ミンダナオ島、パラオ諸島などを奪還、パラオを拠点としてトラック島奪還の準備に掛かる、また西方は統堂艦隊がブルネイを拠点としてマレー半島やスマトラ島、ジャワ島などを奪還、スラバヤに司令部を置き次なる作戦に備えていた。


統堂艦隊(第八艦隊、西太平洋艦隊)


司令長官・統堂英玲奈


総旗艦・青葉 副旗艦・天龍


重巡・青葉、衣笠、加古、古鷹


水母・千歳、千代田、秋津洲


軽巡・天龍、龍田


雷巡・球磨、多摩、大井、北上


駆逐艦・陽炎、不知火、黒潮、雪風、初風、親潮、夏潮、早潮、天津風、磯風、時津風、浦風、嵐、萩風、谷風、野分、浜風、舞風、秋雲、夕雲、巻雲、風雲、長波、島風 



海軍軍令部会議室


希「東、西、南はかなりの勢いで攻め込んでいる上に被害も軽微、快進撃ではありますが・・・」


穂乃果「この辺りまでは前世と同じ・・・」


穂乃果「北に敵新太平洋艦隊が現れた事と同じように、南でもソロモンやフィジー、ポートモレスビーなどを中心に必ず仕掛けてくる・・・、それも一年、いや、半年以内に・・・」


ツバサ「敵北太平洋艦隊は絢瀬艦隊に任せるとして、敵新太平洋艦隊の方はどの様に?」


穂乃果「今は小泉艦隊を北緯40度、東経160度の位置に配置して監視している。」


希「!!、敵は当然ハワイ奪回を狙ってくるのは確実です!、そんな時にハワイの艦隊が出払っていては背後を突かれます!」


海未「ハワイの防衛は一時的ではありますが、私の艦隊が受け持っているので平気だと思います・・・」


会議が始まってから数時間、新たなイレギュラーの出現により作戦会議は時を追うごとに熱くなっていった。


それから4日後、日比谷公園にシャツにジーンズを着て薄めのコートを掛けた姿の松浦の姿があった。

はたから見たら普通の大学生の様にも見えた。


プップーーー


果南「(あの車だね・・・)」


穂乃果「久しぶり、松浦さん。」ニコッ


果南「はい、お久しぶりです!」


ブー、ブブーーーーー


穂乃果「戦争中なのに町はいたって平凡だな、いや平凡になったと言ったところかな?」


果南「無意味な防空演習などをやっていないからでしょうね。」


穂乃果「これから軍令部にいってあなたにも会議に参加してもおらうよ。」


果南「はい、それより・・・」


松浦は車の後ろ窓からとある車の見る。


穂乃果「つけられているみたいだね・・・」


果南「乗り込むところを見られてしまいました!、大丈夫でしょうか!」


穂乃果「構わないよ、それよりその恰好は?」


果南「従軍記者に変装したつもりなのですが・・・、いかがですか?」


穂乃果「記者?、ふふふっ、確かに、見える見える、もし変な輩が訪ねて来たら知り合いの記者だと言っておくよ。」


果南「恐れ入ります・・・」


その後は何事もなく海軍軍令部へとたどり着き、会議室へと入っていった。


果南「(みなさん、大分煮詰まっている・・・)」


参謀1「いっそこのまま小泉艦隊がダッチハーバーへ攻め込むというのはどうだ!」


参謀2「馬鹿か!、それは何度も考えて、どう考えても危険であるから今日まで会議してきたではないか!」


参謀3「ならば絢瀬艦隊がキスカを拠点とする敵北太平洋艦隊に攻め込んで誘い出し、そこを叩くというのはいかがでしょうか?」


希「それでは絢瀬艦隊が二個艦隊と戦うことになる!、そのうえ敵の艦載機や陸上機の猛攻に晒され一航戦のみでは防ぎきれん!、それに敵には北方棲姫がおるし!、もしかしたら港湾棲姫もいるかもしれん!」


ソンナコトワカッテルワ!、ウソツケ!、ナニヨー!、アナタタチハバカナノ!、バカハオマエダヨ!、ナンダデスッテー!

アーダコーダ!、ドタバタ!、ギャースカ!


穂乃果「皆さんお静かに!」ゴゴゴゴゴ


全員「「「「は、はい・・・」」」」カチーン


穂乃果「これでは一向に進まない!、このまま強行作戦に出れば前世のミッドウェーと同じ目にあわされるかも知れない!」


参謀4「ですが総長!、このまま手をこまねいていては・・・」


穂乃果「索敵は根気との勝負!、しびれを切らせた方が敗者となる!、しっかり肝に命じなさい!」


参謀達「「「「はっ」」」」


2042年3月10日、さすがの天照の会の幕僚達にも長期間の作戦および戦略会議の疲労が溜まりに溜まっており、ストレスから少し足並みが崩れ始めていたのを見かねた高坂は会議全体の一時中断を決め、3日ほど休暇を取らせた。

その際、大泊基地の絢瀬艦隊には哨戒任務のみを与え、敵から仕掛けて来ない限りこちらから動く事はない、そう伝えた。


会議の翌日の午前、東京ワシントンホテルの一室に松浦果南の姿があった。


果南「・・・、確か昨日、すっごく疲れて帰ってきて、そのまま寝ちゃったんだっけ・・・」


コンコン


果南「・・・、どなたですか?」


ことり「南だよ。」


果南「!!、どうぞ!」


ガチャッ


ことり「おじゃまするね。」


訪ねて来たのは海軍航空隊司令長官・南ことり大将であった。


果南「南長官、どうされましたか?」


ことり「あなたをとあるところへ案内して欲しいと高坂総長が。」


果南「・・・、まだ朝食を取っていないので、構いませんか?」


ことり「どうぞ。」


その後、松浦は南に連れられ着いた先は土浦の本土防空隊基地であった。


果南「ここは・・・」


鳳翔「お待ちしておりました。」ペコ


果南「鳳翔さん!、それに東野さんも!」


ひかり「疲れているところを呼び出して悪いね。」


松浦を出迎えたのは軽空母・鳳翔と技術部総長の東野ひかりであった。


鳳翔「南長官、例の機体の準備は万端です。」


ことり「了解!」


ひかり「さあ、こちらへ。」


松浦は南に東野、鳳翔に言われるがまま格納庫の奥へと案内された。

鳳翔は一線を退いてはいるが、航空隊妖精の教官として妖精達を訓練しており、彼女が練成した鳳翔隊の妖精の熟練度はもはや赤城隊や飛龍隊の比ではなく、現在は鳳翔隊および同境遇の天城隊(天城型一番艦の方)を中核とする妖精達で結成された本土防空隊の指揮を執っている。


果南「それにしても鳳翔さん、まだ艤装を扱えるなんて凄いですね。」


鳳翔「なぜですか?」


果南「だって鳳翔さん、今年でさんじゅう・・・」


鳳翔「はい?」ニッコリ


果南「いえ、なんでもありません!」ガクガク


鳳翔は空母艦娘の最古参で最年長、年齢の話題はタブーである。


そんなこんなでこの基地の中で最も警備の厳しい区画へとたどり着く。

そこには白衣を着た長い黒髪を白色のリボンを使い首もとで結った女性が一人と鳳翔隊の妖精達がいた。


?「皆さんこちらです。」


果南「あなたは・・・」


ひかり「彼女は青山蓮、直接は面識がないと思うけど、幽霊艦隊の潜水艦搭載用の艦載機を設計開発したのは彼女だよ。」


蓮「はじめまして、航空機関連の事を一任されている青山と申します。」


青山蓮は東野をはじめとする技術将校の一人で、主に航空機の設計開発を担当している。


ひかり「早速だけど例の物を!」


蓮「こちらです!」


松浦はここに来てテンションの高い南や東野、鳳翔、青山の指さす方を見る。

そこにはこれまでとはまるで違う、機首に小さな前翼があり機尾に大型の発動機が取り付けられた通常の機体とは全てが逆に設計された奇妙なエンテ形(逆前翼型)をした航空機があった。


蓮「前世の局地戦闘機・震電の生まれ変わりに当たる最新鋭局地戦闘機・蒼莱です!」


果南「蒼莱!、これが!、遂に完成したんですね!」


蓮「全長10.66m、全幅11.20m、重量3,725㎏、2200馬力の東式梅型発動機に二重反転式八枚プロペラを搭載、最大時速は高度9000mで760km以上、実用上昇高度は13000m以上で航続距離は1200kmと短いですがその分、上昇力と運動性能を重視した設計になっています!」


果南「真に短距離の高性能高高度迎撃機というわけですね!」


蓮「はい!、そして機首に装備された57㎜機関砲!、迫撃砲並みの威力を持ったこれがどんな大型機をも一撃で粉砕します!」


果南「なんと!」


ひかり「奇妙な形でしょ?、でもこれがあのムカつく超空の要塞を叩き落せる唯一の機体よ!」


現在敵には前世のB17(フライングフォートレス)を模作した四発爆撃機が存在、その機体が前線基地を次々と爆撃、しかも味方の迎撃機は高高度戦闘用には設計させれおらず、ほとんど反撃できずに一方的に攻撃されていた。


ことり「この世界に転生して何度か空襲を体験したけど、上空9000mを悠々と飛行して飛び上がった迎撃機をあ酒笑うかのように解散していく敵を何も出来ないまま何度も何度も見ているともう悔しくて堪らないよ!」


B17型の最高高度はおよそ9000m、対して味方の海軍迎撃機、主に零戦は2000m程度での格闘戦用に設計されたため、高高度ではもはや息も絶え絶えであった。

高高度迎撃用に改良された機体でも完全阻止は困難を極め、三分の一ほど撃墜できればいい方だ。


ひかり「けどそれは3年前の話で、今では敵にまだ少数ではあるけどB29型が確認されるようになってきた・・・、前世のB29(スーパーフォートレス)を模作しているとすれば敵は高度10000mで時速550km、いや600kmを超えて来る!、その上にあの頑強な装甲と機銃による弾幕!、近づくことさえできない!」


3年前の4月、前世と同様に横須賀鎮守府が領海に侵入した空母ヲ級から発進したB25(ミッチェル)型爆撃機により爆撃され、この事が原因でこの世界におけるミッドウェー海戦が勃発していた。

しかしこのとき敵のB25型は意外と低空であったため、迎撃機が全て撃墜した。


蓮「私も転生する際に前世大戦時の東京大空襲を経験した名も無き航空工学者志望の学生の記憶を持ってこの世界に転生しました。

辺り一面が焼け野原となり目の前で多くの人が亡くなりました・・・、味方の航空隊がほぼ壊滅状態にあるためろくな対処も出来ずみやられ放題、見ている側としてもとても無念で仕方がありません・・・」


ひかり「どの世界においても高度10000mに達するのに、鳳翔隊の熟練パイロットでも数十分から1時間は掛かっていた・・・、けどこの蒼莱ならわずか10分ちょいで成層圏まで達することができるのである!」


蓮「現世でもB17を完全阻止出来ない以上、B29型が相手では零戦どころか紫電改や烈風でさえ不可能です・・・、ですが!、ですがこの蒼莱ならきっと!」ぐっ


先ほどまで失意のどん底に突き落とされた様な表情をしていた青山であったが蒼莱を見て再びその顔は希望と自信に溢れていた。

一通りの見学と説明を聞き終えた松浦は一度帝国ホテルへと戻り着替えをすませ、再び訪ねて来た南や東野、青山、鳳翔および途中で合流した天城(天城型)と神楽坂の料亭に向かった。


ことり「けどいいの?、幽霊がこんなところでお酒なんか飲んでて。」


果南「たまには幽霊だってにぎやかに飲みたい時くらいあります!」


鳳翔「さあ幽霊さん、どうぞ。」ニコッ


果南「ありがとうございます!」グビグビ


ひかり「青山!、全然飲んでないぞ!、ほらもっと飲め!」ドン


蓮「日本酒一升瓶!、東野さん飲みすぎです!、少しは控えてください!」


天城(天城型)「まあまあ、今夜くらいは羽目を外されては?」


蓮「・・・、今日だけですよ!」


ひかり「うひひひひ!」グビグビ


天城(天城型)「はあー・・・」


果南「しかし天城さんはさ、赤城さんとは随分と性格違うよね?、見た目は似てるのに。」


天城(天城型)「そうですか?、まあ、赤城は欲望に正直と言うか・・・、あははは・・・」苦笑い


この日はこれまでの疲れを吹き飛ばさんと一晩飲み明かした。


それから2日後の昼、松浦は高坂に自宅へ呼ばれ、囲碁をしていた。


パチッ、パチッ


果南「囲碁なんて初めてですよ・・・」パチッ


穂乃果「私も園田長官に勧められてやってみたんだけど、結構おもしろいよ・・・」パチッ


果南「しかし、流石に七目も置くと碁盤は真っ黒、総長の白がまるで我が日本国の様です・・・」


穂乃果「だとしたらこの七目は前世で言うところの米英仏蘭豪ソ中、蘭は即急に潰し仏と中も動きを封じたが米英豪ソは今だ健在・・・

太平洋の南には懐の深い豪、背後には強かなソと来た・・・」ぱちっ


果南「碁盤のど真ん中!、それはハワイですか!」


穂乃果「こうも列強国に囲まれたら私達は太平洋へ出るしか無くなる・・・、しかしハワイへ出たはいいけど今度は北にダッチハーバーがある・・・、間違いなくここの飛行場からB29型が飛んでくるだろうね・・・」


果南「これを攻略しない事には事が進みそうに無いですね・・・、となるとダッチハーバはアリューシャン列島の角地みある堅固な要塞軍港・・・、この辺ですね!」パチッ


穂乃果「・・・、松浦さん、あなたならこの角地に陣取ったダッチハーバーをどう攻める?」


果南「単純に大部隊を持って攻め込むか、あるいは奴らを誘い出して洋上で叩くか、と言ったところでしょうか?」パチッ


穂乃果「なにか現状を大きく左右する天元の一石が欲しいね、あるとしたら・・・」ニヤリ


高坂は碁盤のど真ん中に視線を向けた。


果南「ハワイ!、天元の一石は太平洋の中心のハワイですね!」


穂乃果「ふふ、天元の一石か・・・、よし!、本作戦は天元作戦と名付けよう!、まあ最も今は名前が決まっただけで作戦自体は当然まだだけどね!」


果南「ははは、使えますか?」


穂乃果「多分!」パチッ


果南「!!」


穂乃果「と、そんな話をしているうちに豪州方面とインド洋が封鎖されたよ!、待ったは無しだからね!」


果南「しまっ!、参りました・・・」


そして同年3月下旬、松浦は機上の人となり新知島の幽霊艦隊指令部へと戻って行った。


新知島指令部


果南「ただいま戻ったよ!」


副長「おかいりなさいませ!、指令官!」


果南「状況はどう?」


副長「相変わらずと言ったところです・・・」


伊601「指令官!、おかえり!」


果南「ただいま、本部は相当荒れてたわ・・・」


伊601「あははは、やっぱりですか・・・」


果南「しかしこちらとていつまでもこのままというわけにはいかない!、幽霊艦隊総員!、再び北太平洋にて索敵を行う!」


幽霊艦隊一同「「「「了解!」」」」


幽霊艦隊は旗艦・伊601(富嶽)を中心に再び太平洋を東に進み、アリューシャン列島海域にて広範囲な索敵を開始した。

それから何度か敵航空機の接近はあったものの、小競り合い程度の戦闘が数回起きただけで特に大きな戦闘には至らなかった。


2042年4月17日午後23時を過ぎようとしていた頃、松浦の脳裏ある紺碧艦隊司令官・前原一征の記憶の一つが呼び起された。


松浦「(確か4月18日は前世後世の双方で本土空襲のあった日・・・、なんか嫌な予感がするね・・・)」


そして翌18日午前、高坂をはじめとする首脳が会議をしている最中、舞鶴鎮守府総司令・高海千歌大将より緊急の電文が届いた。


穂乃果「(はあー、相変わらずか・・・)」


ばん!


ヒデコ「総長!、高海長官より緊急電です!」


穂乃果「何事?」


ヒデコ「敵大型機が九州より領空に侵入!、列島沿いに北上しつつ東京を目指している模様です!」


穂乃果「!、敵の機種は!」


ヒデコ「それは不明ですが、こちらの航空隊が迎撃に飛び上がると高度を12000mまで上げ寄せ付けないとの事です!」


穂乃果「(高度12000m!、まさかB29型!)」


穂乃果「敵の発進基地は!」


ヒデコ「シナ方面です!」


穂乃果「(シナ・・・、前世ではドゥーリットル攻撃隊が降りたところ!、逆コースで来たか!)」


希「爆撃による被害は!」


ヒデコ「北九州、阪神、中京と各工業地帯が爆撃を受け!、被害は決して軽微ではないとの事です!」


希「迎撃に飛び上がった機体は!」


ヒデコ「零戦52型と少数ですが紫電改もいました!」


ツバサ「紫電改でも12000mじゃきついわね・・・」


希「いかがいたしますか総長!」


穂乃果「東條参謀総長、南長官へ平文で打電!、蒼莱をもってこれを迎撃せよ!」


希「了解!」


敵機撃墜命令はすぐさま南の下へ届けられ、土浦の本土防空隊へ伝わった。

しかし蒼莱はまだ量産ラインには乗っておらず、今は土浦に24機配備されているだけであった。


鳳翔「蒼莱の初陣ですね!」


ことり「敵はもうすぐ関東上空へ差し掛かるよ!」


天城(天城)「了解!、稼働機全機発進してください!」


ギリギリパシュッ!、ギリギリパシュッ!、ギリギリパシュッ!


ブーン、ブーン、ブーン


本土防空隊発進の直後、東京では空襲警報が鳴り響いていた。


ウーーーーーン、ウーーーーーン、ウーーーーーン、ババババババババババ!、ドーンドーンドーン!


そんな中で高坂は軍令部の最上階にてその様子を見ている。


穂乃果「・・・」


ヒデコ「総長!、そこに居ては危険です!、すぐ中へ!」


穂乃果「構わないよ・・・、それよりあの当たるはずの無い高射砲を黙らせてくれる!」


ヒデコ「了解です!」


蒼莱隊長妖精「・・・、高度8000、・・・、高度9000、・・・、高度10000!」


鳳翔「敵は今、神奈川上空に到達しました!」


蒼莱隊長妖精「了解!、・・・、高度15000!」


蒼莱は発進から20分と掛からず高度15000mに到達、一方敵は工業地帯を爆撃ししつ九州より北上、途中で半数は引き返したが残りの13機はちょうど神奈川上空から東京上空へ差し掛かろうとしていた。


蒼莱隊長妖精「目を見開いて敵を探せ!」


蒼莱妖精1「左舷下方に敵影!、数10以上!」


蒼莱妖精2「でけー!、まるで空飛ぶクジラだ!」


蒼莱妖精3「こっちはイワシかよ!」


蒼莱隊長妖精「ちっ!、奴らなんてもん持ってやがるんだ!」


天城(天城型)「皆さん情けない事言わないでください!、敵がクジラならこちらはシャチと思いなさい!」


蒼莱隊長妖精「了解!、行くぞ!」


蒼莱妖精s「「「おーーー!」」」


ブーン、ブーン、ブーン


敵爆撃機1「右舷上空ヨリ敵機!」


敵爆撃隊長機「オイオイ、コッチハ今高度12000ヲ飛行シテンダゾ!、コチラヨリ高ク飛ベル機体ナンテ・・・」


敵爆撃機1「イエシカシ・・・」


敵爆撃隊長機「シカシモヘチマモアルカ!」


敵爆撃機2「!!、敵ノ新型機ダ!」


敵爆撃隊長機「馬鹿ナ!、ソンナハズハ!」


蒼莱妖精1「食らえーーー!」


ドン!ドン!ドン!、ドカーーーーン!


敵爆撃機2「グアーーー!」


先頭の1機が敵編隊の左翼に食らいついた。


敵爆撃隊長機「一撃ダト!、敵ヲ近ヅケサセルナ!、編隊を密ニシ弾幕ヲ張レ!」


ババババババババババ!、ブーンブーンブーン


敵爆撃機1「カナリ速イ奴ダ!」


57㎜機関砲の威力と高度10000mでの時速760㎞という速度に敵は明らかに動揺、段々と編隊が崩れて行った。


敵爆撃機3「1機ソッチヘ行ッタゾ!」


ドン!ドン!ドン!、ドカーーーーン!


敵爆撃機5「グアアアアッ!」


蒼莱妖精3「そんなヒョロヒョロ弾当たるかよ!」


どん!どん!どん!、どかーーーーん!


敵爆撃機2「ぐあーーー!、落ちるーーーー!」


さらにまるでハリネズミのように張り巡らされた敵の対空機銃による弾幕にも死角があり、蒼莱はその速力と運動性能を生かして死角である真上から背面急降下し敵機の操縦席または胴体と翼の付け根に極めて正確な一撃をぶつけ離脱する戦法を執った。

これはかつては紫電改の妖精が爆撃機撃墜のために執っていた戦法であるが、紫電改の20㎜機銃と蒼莱の57㎜機関砲では威力が段違であり、この戦法を使う事によってその効率性が格段に上がる。


ドン!ドン!ドン!、ドカーーーーン!


敵爆撃機1「クソッ!、グアーーー!」


蒼莱妖精1「残念でした!」


そして戦闘開始から30分ほど経った頃には敵の巨大な超空の要塞は全て地に堕ちていた。


蒼莱隊長妖精「敵機全機撃墜!、これより帰投する!」


ブーン、ブーン、ブーン


蒼莱が去った後の空には幾つもの白い飛行機雲が入り乱れていた。

しかしそれを見てとても美しいと感じた高坂は満足気な表情をして戻って行った。


穂乃果「やってくれたね!、蒼莱!」


このとき敵爆撃機を速やかに駆逐した蒼莱の姿は高坂を始め多くの人々の目に映り、最も美しいシルエットをした戦闘機として世界中に知れ渡った。


ことり「本日東京に来襲した敵機の残骸を青山さんが調べたところ、最新鋭のB30型である事が判明しました・・・」


穂乃果「B30・・・、いや、ご苦労様。」


戦争である以上は勝者側にも当然、嬉しくない情報も入って来る。


果南「・・・」


副長「指令官!、東京に来襲して敵機ですが、我が海軍の新型機が全機撃墜したそうです!」


果南「そう、じゃあ今度は私たちの番だね!」


この本土防空戦がきっかけとなり、膠着していた戦局が遂に動き始めた。



第三章・敵艦隊掃討作戦発動!


2042年5月上旬、総理官邸に高坂、綺羅、東條、高海の姿があり、円卓を囲むように総理大臣と政府の官僚、閣僚達が座っており、高坂と総理大臣は向かい合う位置に座った。


司会「高坂穂乃果海軍大臣、近々実施が予定されている対深海棲艦撃滅作戦についてお願いいたします。」


穂乃果「我が海軍は近いうちに北太平洋の敵艦隊を撃滅すべく大規模な行動を開始する予定です。」


総理「高坂総長、私の知る限りでは東に南、南西方面は抑え込んだと聞いたが西、特に西太平洋とインド洋の境目、シナ海などの守りはどうなっているのかね?」


穂乃果「その件に関しては先月この東京の空を見事守り抜きました蒼莱、更に地上には最新鋭の電探連動対空機銃やVT近接信管搭載の12.7㎝単装速射砲などを量産配備、すでにシナの敵航空基地は潰したのでそこを拠点にこれらを海岸沿いに配備が完了しております。」


本土防空戦の数日後、舞鶴鎮守府にて休息をとっていた綺羅艦隊がシナのリーショイ航空基地を撃破しそこを蒼莱の基地とした。

そして南シナ海の海岸沿いには数百にも上る最新鋭対空火器が配備されている。


希「インド洋方面への防衛はスラバヤからブルネイを結ぶラインを統堂艦隊が哨戒および警戒の任に就いております。」


ツバサ「南に関しては我が連合艦隊最大規模を誇る矢澤艦隊がフィジー、サモア、ソロモン、パプアニューギニア、ティモールを奪還することで豪州方面の敵艦隊を孤立させ補給線を締め上げる方針です。」


総理「口では簡単に言うが前回のFS作戦もMO作戦も結局失敗しているではないか!、その隙に他の海域から手薄な箇所から攻め込まれては!」


千歌「確かに理想論と言われても仕方ないとは思いますが、総理がその様におっしゃられるという事は何かお考えが?」


総理「・・・」


穂乃果「今は太平洋を確実に抑える事が肝心です!、他の海域から攻め込まれた場合は撃退さえできれば問題ありません!、こちらが他の海域の深くまで攻め込み補給線が伸びてしまう事が最も危険です!」


この会議において、まずは太平洋を確実に抑えるという高坂の方針がそのまま採用された。

クーデター実行後、総理などの職はほとんど変わっていないが現在では高坂が政権をほぼ掌握し裏総理大臣という形になっており、完全に各省庁を手玉に取っている状況であった。

会議終了と同時に高坂、綺羅、東條、高海は軍令部へと戻る。

その途中、高坂には拭っても拭いきれない不安が育ちつつあった。


穂乃果「(B30型に核兵器は搭載されていなかった・・・、けど・・・)」


ロスアラモスやカリフォルニアが敵の手中にある事から、高坂を始め園田、綺羅、東條、高海など極一部の者が敵は核兵器を開発、所有している可能性があると予想していた。

もし敵が核兵器を使用した場合、高坂等がいかに秘策を持ってこの戦争を戦おうと、再び広島や長崎の様な悲劇と共に戦争は終わり、人類は滅亡する。


穂乃果「(核兵器だけは何としてでも!)」


そしてその事を他の3人と総長室にて話し合う。


希「・・・、B30型は戦略爆撃機、そんなん持っとる地点でほぼ間違いでしょうね・・・」


ツバサ「あんな終末兵器なんて使われたらひとたまりもありません!」


千歌「そういえば!」


穂乃果「どうしたの?」


千歌「この前アメリカから避難して来た避難民の中に戦艦・アイオワの記憶を持つ艦娘訓練生の娘がいまして、正確な事は分かりませんが大陸内部に大量の鉱石を積んだ深海棲艦達がカリフォルニアに集結しているところを見た事があると言っていました!」


希「ウチんとこの大淀ちゃんからは人工衛星でロスアラモスの原爆研究所に奴らが集まっとると聞いたわ・・・」


部屋全体に沈黙が走る。


コンコン


ひかり「東野です。」


穂乃果「どうぞ。」


その沈黙は途中からやって来た東野によって破られた。


ひかり「失礼します。」


希「久しぶりやな東野さん!」


ひかり「ええ、あとこちら、旭日新聞の記者です。」


記者「どうも初めまして・・・」


穂乃果「記者さん?、まあ、お掛けください。」


ひかり「たまたま今日取材を受ける予定でしたもので、これから高坂総長に会いに行くと言ったら是非取材したいと、迷惑ではないでしょうか?」


記者「・・・」ウツムキ


穂乃果「構わないよ。」


高坂は東野が連れて来た記者の取材に答えた後、その記者を交えて話を戻した。


千歌「よろしいんですか?、記者さんに核兵器の話を聞かれて!」ボソボソ


穂乃果「平気だよ・・・」ボソボソ


穂乃果「さて話を戻すよ、敵の核兵器開発についてだけど!」


記者「!」


穂乃果「例え敵が完成させても使わせなければいいと私は思う!」


希「使わせないとは?」


穂乃果「これはこの前に園田長官に南長官、東野さんにしか話していない事だけど、核兵器開発でこちらが先を越せばいい!」


ツバサ・希・記者「「「「!!」」」」


千歌「可能なのですか!、核兵器には確かウラニウムやプルトニウムが必要かと!、でもあれは日本では採掘不可能と聞いていましたが!」


この世界にも核兵器は元々存在しており、深海棲艦との戦争が始まるや否やそのほとんどが深海棲艦に向け発射された。

しかし、その核兵器は深海棲艦にはほとんど通じず、残った核燃料は基本的に発電へと回された。


穂乃果「これは秘中の秘なのでここだけの話にして欲しいんだけど、岡山と鳥取の県境にて極わずかではあるけど高純度のウラニウムが採掘可能だよ!」


ひかり「人間の手で作られた核兵器は効きませんでした!、しかし妖精さんの作った艦娘用の核兵器なら如何でしょう!、今それを私の工場で製錬しています!、かなり良質な物ですので1つ、いや2つなら核兵器を作れます!」


穂乃果「あれは多量に使用すれば敵も味方もなく地球そのものを破壊し尽してしまう最終兵器だけど、こちらが持っていれば奴らも使用を躊躇うかも知れない!」


ツバサ「確かに、やってみる価値はありますね!」


希「究極の抑止力、ちゅうわけですね!」


記者「・・・」


この小会議は深夜には終わり、各自が帰路に着く。


ひかり「それでは我々はこれにて・・・」


記者「失礼いてします・・・」


がちゃっ


穂乃果「あの記者さんは行った?」


希「ええ・・・」


穂乃果「ふふふ、これで太平洋戦略がやり易くなった。」ニヤリ


千歌「どういう事ですか?」


穂乃果「さっきの記者は間違いなく敵のスパイだよ!」


ツバサ「やはりそうでしたか!」


穂乃果「深海棲艦の肌は青白いから薄橙色のファンデーションを縫っていたんだろうけど、流石に時間か経って所々に邑ができていた。」


希「敵さん、近い内に蜂の巣を突いた状態になりますね!」


高坂はもちろん東野もあの記者がスパイである事を見抜き、核兵器開発の話をわざと聞かせ敵を泳がせたのであった。

そしてこの情報はすぐさまあちこちの敵の拠点を駆け巡った。


ダッチハーバー軍港


ヲ級FS「何テ事ダ!、B30ガ全機撃墜サレタダケニ留マラズ!、リーショイガ落トサレ!、核兵器開発マデ進メテイルトハ!」


リ級FS「シカシ奴ラニ核兵器ナド作レルデショウカ?」


ヲ級FS「可能性ハ捨テ切レン!、奴ラノAdmiralガ高坂ニナッテカラハワイヤ南、南西海域デ連敗続キダ!」


ル級E「ヲ級様!、港湾棲姫様カラ電話デス!」


ヲ級FS「!!、私デス、・・・!!、私ハ軍艦デス!、命令ニハ従イマス!」


電話を受け取り港湾棲姫の話を聞いたヲ級FSの表情が途端に険しくなった。


港湾棲姫「ソレハドウイウ意味?」


ヲ級FS「X艦隊ノ正体ガ掴メヌ以上、撃ッテ出ルノハ危険極マリナイト言ウ事デス!」


港湾棲姫「ソレナラ安心シナ、X艦隊ハ小泉艦隊ニ引ッ付イテ今頃シアトルヲ目指スト見セ掛ケ、サンフランシスコヲ目指シテイルハズヨ!」


ヲ級FS「ソレハ本当デスカ!」


港湾棲姫「本当ヨ、マダコチラガ奴ラノ暗号ノSBヲ突キ止メタ事ニ気ヅイテイナイ!」


敵にX艦隊と呼ばれ恐れられる幽霊艦隊はこの時アリューシャン列島沖にて索敵を続けたままであり、敵が突き止めた情報は実は東太平洋の北米海岸より伊502より発進された欺瞞情報であった。

当然、敵のこの通信も伊502に傍受され軍令部へと届けられた。


2042年5月下旬、軍令部はそれらの情報を元に高坂が松浦と研究中であったあの作戦の概要が遂に出来上がった。


大淀「いかがですか?」


穂乃果「・・・、これはすごい!、たった10日でこれ程の物を!」


大淀「我がCICに配備して頂いたスーパーコンピューター・信玄のおかげです!」


スーパーコンピューター・信玄とは、戦国の名将・武田信玄が情報伝達の際に狼煙や篝火を用いていた事をモデルに情報部の大久保燐火によって作られた文字通りスーパーコンピューターであり超高速の情報伝達システムに加え、どんなに複雑な暗号でも解読が可能であり、また高度な作戦の演算を恐るべき速度で行える万能電子機器である。


穂乃果「はは・・・、あなたたちの仕事ぶりを見ていると私なんて必要ないんじゃないかと内心冷や冷やしていたよ!」


ヒデコ「何を言いますか!、作戦をより効果あらしめるには謀略が必要です!、謀略はコンピューターでは出て来ません!」


穂乃果「・・・、いや、その通りだよ!、最後はやっぱり人の力が必要だね!」


ヒデコ「はい!」


穂乃果「大淀さん、ありがとう!」


大淀「いえ、CICルームの皆さんのおかげです!」


東條希の秘書艦である大淀が室長を務めるCICルームは参謀部に新たに設置された戦闘指揮所・Combat Information Centerの略で海軍に置ける戦闘情報の中核の事であり、かつてイージス艦に設置されていた物の5倍以上の規模を誇る。

主な役割はレーダーやソナー、電探、通信など艦隊の状況に関する情報を集約、それに加え人工衛星を利用した敵艦隊の行動監視、傍受した敵方の無線情報を集約し、ここから各基地に送る事である。


穂乃果「さて、これは東條参謀総長に届けてもらおうかな。」


新型スパコンを駆使したCICによって作成されたこの作戦案は翌日、東條の手によって新知島の松浦に届けられた。

そして新知島指令部にて作戦案を見た松浦は高坂以上に驚いていた。


果南「こんな短期間で・・・、はは、参ったね・・・、CIC優秀すぎるわ!」


希「その上、これにはウチや大淀ちゃんで考えた作戦も加えあるんやで!」ニヤリ


果南「・・・、なるほど、あなたや高坂総長らしい、無謀とも言える作戦ですね!」


希「それなら敵さんだって同じやないの、直接こっちの頭上を攻撃して来おったんやからな!、それにダッチハーバーからならホノルルや東京ともにB30型の航続圏内やし、奴らは近い内にB30型で攻撃してくるやろうね・・・」


果南「確かに敵の射程範囲内ではありますが、いくら何でもこれこそ無謀かと・・・」


希「さっき渡した作戦案の中にもいくつかあるやろ?、無謀だからこそ、絶対にありえない攻撃だからこそ、そういう攻撃は奇襲攻撃と呼ばれる!」


果南「・・・」


希「リスクはデカいがその分、成功したら敵さん大慌てやろうね!」ニヤニヤ


高坂等が考えた作戦は成功すれば太平洋の東と北は完全に奪還されたも同然となり、南や西への支援も出しやすくなる。

しかしその反面、作戦中はライン諸島やサモア、フィジーなどの敵艦隊に背後を突かれ、小泉艦隊が孤立し壊滅する恐れがあり、またダッチハーバーにB30型が配備されていれば留守のハワイを空襲に晒す事となる。


果南「やってみる価値はありそうですが・・・」


東條は作戦書を松浦に渡して一通り説明した後、機上の人となり日付の変わらぬ内に軍令部へと戻っていった。

そして松浦は少々迷いながらも作戦内容を承知、作戦行動に移した。


伊601「司令官!、敵艦隊がダッチハーバーを出向!、進路を南へ取りました!」


果南「動いたね!、進路も予測通り!、通信参謀は絢瀬、小泉両提督にこの事を伝えて!、伊601は音通魚雷にて小泉艦隊総旗艦・瑞鶴に伝えてちょうだい!」


通信参謀「了解!」


伊601「了解です!、音通魚雷発射!」


バシュン!、シュルルルルルー


音通魚雷とはその名の通り通信機を搭載した魚雷の事で、電波の届く範囲は狭いが航続距離が長く、ある程度距離を進むと勝手に沈み自爆するため敵に傍受される危険が小さい新型の艦隊間通信用システムである。


大泊基地・指令部


絵里「ようやく動いてくれたわね!、キスカの敵はおそらく北海道を目指して南下して来る!、我が艦隊はそれを千島列島沖にて迎撃するわ!」


参謀s「「「了解!」」」


絵里「長門さん!、艦隊の指揮、しっかり頼みます!」


長門「ああ、任せろ!」


絵里「阿武隈ちゃん!、切込み隊長として先制攻撃よろしくね!」


阿武隈「お任せください!」


絵里「赤城さんに加賀さん!、敵航空戦力の殲滅!、よろしくお願いします!」


赤城「一航戦の誇りに賭けて!、必ず!」


加賀「ここは譲れません!」


雪穂「赤城さんも加賀さんも、作戦中につまみ食いなんかしたら鳳翔さんに全部教えちゃいますからね!」


赤城.加賀「「そっ!、それだけは!」」ガタガタ


絢瀬艦隊はお得意の防御型の戦術にて敵北太平洋艦隊を迎え撃つため配置に着く。

陣形は千島列島を背に防御に適した鶴翼の陣形であった。


パールハーバー基地・指令部


花陽「ようやく動きましたか・・・、通信参謀!、総旗艦・瑞鶴に打電!、予てより計画されていた天元作戦を開始します!」


通信参謀「了解!」


小泉の指令はすぐさま瑞鶴に伝わる。


瑞鶴「いよいよ作戦開始ね!」


大鳳「さて、私達別動隊はそろそろ艦隊を離れるわ。」


瑞鶴「了解、気を付けてね!」


大鳳「そちらこそ!」


日が昇る頃、艦隊は二手に分かれた。

翔鶴、瑞鶴を中核とする本体はサンフランシスコを目指し、大鳳に雲龍、天城(雲龍型)、葛城を中核とする別動隊は約30ノットの速度で進路を北に取る。

また本体には軽空母・祥鳳、瑞鳳、龍鳳に重巡・利根、筑摩や対空駆逐艦・秋月、照月、涼月、初月が残り、その他は全て別動隊として北上。

規模は別動隊の方が大きく、大胆不敵にも瑞鶴は総旗艦自ら囮を買って出た。


花陽「しかし別動隊の方はまだいいとして、本体の速度を20ノットまで落とすのは少し気が引けるかな、潜水艦とかに発見された時の危険性が高まるし・・・」


瑞鶴「東太平洋のど真ん中ですからね・・・」


翔鶴「艦隊総員!、対潜警戒を厳に!」


瑞鶴「翔鶴姉、そろそろ哨戒機を飛ばそう!」


翔鶴「ええ・・・」


祥鳳「こちらも護衛機を出します!」


ギギギギギ!バシュン!、ギギギギギ!バシュン!、ブーンブーンブーン


祥鳳・瑞鳳・龍鳳「「「艦隊護衛機!、発艦!」」」


ギギギギギ!バシュン!、ギギギギギ!バシュン、ギギギギギ!バシュン!


ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


翔鶴「あれが新型の艦戦ね!」


瑞鶴「烈風より機体がスマートになったわね!」


翔鶴、瑞鶴より電子偵察機・星電が各6機、祥鳳、瑞鳳、龍鳳からは新型艦戦が各6機ずつ発進した。

この新型艦戦についてはまた後程。

そしてその頃は敵新太平洋沖艦隊は東太平洋を約30ノットの速度で南下、小泉艦隊へと接近しつつあった。


瑞鶴「役者は揃った、いざ勝負よ!」


2042年5月15日の日の出前、ダッチハーバーから敵新太平洋艦隊が出撃する様を見届ける伊601以下幽霊艦隊は小泉艦隊に音通魚雷にて連絡した後、進路を南に取る。

そして敵艦隊の様子をモニターにて確認した松浦は獲物を待ち構える獣の様な笑みを浮かべていた。


果南「まさかこうも簡単に引っかかってくれるとはね・・・」ニヤリ


副長「指令官、それはどういう意味ですか?」


果南「奴らがなかなか出てこないからさすがの高坂総長も少し焦っていたみたいで、あの作戦書の他にこんな物が入っていたよ、考えたのは東條参謀総長だろうけどね。」ニヤニヤ


副長「拝見!、・・・、これは!」


果南「まあ、より引っかかり易い暗号を西海岸から発信してやったら食いついたわ!」


その中身の内容とは”・・・その間、貴艦隊は小泉艦隊より離脱し進路を南に取られたし!”というものであった。


果南「敵は私達を警戒して出て来なかったから単純に離れてやったと言う訳!、まあその暗号のSBが私達の事だって感づいてくれた事を祈るよ。」


副長「だとしたら敵さん、よくこんな幼稚で単純な手に引っかかってくれましたね!」


果南「恐らく敵艦隊の司令艦はかなりの戦上手!、けどそんな戦上手だからこそこういう単純な手に引っかかり易い!、それに私たちが南を目指すと言う事は?」


副長「ライン諸島ですね!」


果南「そう!、ハワイの背後にあるライン諸島の敵艦隊を抑える事が容易に想像がつくだろうからね!」


現在ライン諸島にも多数の敵艦隊が存在、特にクリスマス島には飛行場姫が確認されており、そこにB30型が配備されている危険性がある。


果南「青山さんの調査によるとB30型の航続距離は約6500㎞、クリスマス島からポートモレスビーまで飛んで行ける航続距離!」


南方や西方では既に矢澤、統堂両艦隊が東南アジアの島々を奪還、矢澤艦隊は本部をトラック島に移しラバウル奪還のための行動を開始、その際に攻撃される危険性があるため哨戒任務や情報伝達という面で幽霊艦隊が南を目指す理由は十分であった。


一方で敵艦隊は藍色に染まる空の下、同じく藍色に染まる洋上を南下サンフランシスコを目指しているであろう小泉艦隊撃滅に向かっていた。

この敵艦隊の戦艦、空母、重巡の全て新造艦であり全艦速力30ノットを超える高速機動艦隊であり、FlagShipの戦艦2、空母2、軽空母4とEliteの重巡2が主力を担っていた。


ヌ級E1「敵ハ依然トシテサンフランシスコヲ目指シテ進行中トノ事デス!」


ヲ級FS「ソウカ・・・」


ヲ級FS「(敵ニハ知恵者ノAdmiral・高坂ガイル・・・、果タシテ小泉艦隊ノ真ノ目的ハ本当ニサンフランシスコナノカ?

直線距離ニシテモホノルル、サンフランシスコ間ハ約4000㎞、米大陸ニ近ヅケバ哨戒モ厳シクナル・・・)」


ヲ級FS「(モシ私ガ高坂ノ立場ナラソンナ無茶ハシナイ・・・、!!、ムシロ奴ラガ狙ッテイルノハ私ノ艦隊デハナイノカ!

防備ヲ固メタダッチハーバーカラ誘キ出シ・・・、イヤ、モウサイハ投ゲラレタ・・・、後ハ神ノミゾ知る事ダ・・・)」


翌16日早朝、空母・瑞鶴以下の小泉艦隊本体は東太平洋を20ノットという低速で東進していた。

一見奇妙に思われるこの行動の理由にはいくつかの理由があり、その一つが間も無く明らかとなった。


翔鶴「星電、翔鶴6番機より入電!、後方より速力30ノットで接近中の艦あり!」


瑞鶴「数は!」


翔鶴「2人、見方よ!、もうすぐ肉眼でとらえられるわ!」


瑞鶴「おっと、まだ役者がいた事を忘れてたわ!」ニヤリ


?「小泉提督および小泉艦隊総旗艦・瑞鶴さん、通信聞こえますか?、こちら今日付けで小泉艦隊に配属となりました。

伊吹型重巡・伊吹、同型2番艦・鞍馬です!」


鞍馬「初めまして!」


伊吹「たった2人での航海だったので敵に見つからないか冷や冷やしていましたが、無事到着しました!」


重巡・伊吹、鞍馬ともに対空戦を得意とする重巡洋艦で、その原型は最上型であるが各砲塔や対空砲、対空機銃の形式は利根型、魚雷発射管は妙高型と同型である。


花陽「お疲れ様です。」


瑞鶴「でも軍令部からの報告だと作戦開始前にはパールハーバー基地に着任しているはずよ?、何かあったの?」


伊吹「紀伊型戦艦の建造が中止になりある程度資材と予算に余裕ができたので私達の艤装建造が再開されたのはよかったんですが・・・」


鞍馬「最終点検のために艤装を預けていた工場がB30型に爆撃されて、艤装自体は無事でしたが復興までに少し時間がかかってしまいました・・・」


花陽「それは災難でしたね・・・」


伊吹「ですが戦場に出て来たからには世界を救う為!、より一層奮起致します!」


翔鶴「伊吹型は利根型に近い対空巡洋艦、期待しています!」


伊吹・鞍馬「「はい!」」ビシッ!


花陽「艦隊総員!、速力を25ノットまで上げ進路を北東へ変更!」


小泉艦隊一同「「「「了解!」」」」


ともあれ小泉艦隊本体は東太平洋洋上で伊吹、鞍馬と合流し作戦開始予測地点へと向かう。

天元作戦の主目標はいたってシンプルで、二手に分けた艦隊のうちダッチハーバーから太平洋へ誘き出されて来た敵艦隊を本体が叩き、合わせて鬼の居ぬ間のダッチハーバー軍港を別動隊が要撃する事という物である。

それに伴い幽霊艦隊によって撒かれた餌につられた敵艦隊は東太平洋まで誘き出されて来た。


東太平洋洋上・高度6000


敵哨戒機「敵艦隊発見!、編成ハ・・・、!」


ブーン


戦闘機妖精「食ラエーーーー!」


ババババババババババ!、ドカーーーーン!


敵哨戒機「ぐああああっ!」


ブーン


瑞鳳「危なかったー!」


瑞鶴「敵の哨戒機に見つかったって事は・・・、敵は罠に掛かってくれたみたいね!」ニヤリ


花陽「今頃敵の空母から攻撃機が慌てて発進しているところでしょう、いよいよです!」


ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


ヲ級FS「ヨシッ!、先手ヲ取ッタゾ!」


艦隊間航空戦ではどちらが先に敵を見つけるかが勝敗を分けると言っても過言ではない。

そして小泉の予想通り、敵艦隊の空母群からは満を持した攻撃機の大群が発進していた。

しかしこの時、ヲ級FSには小泉艦隊本体の主力空母が2名のみだけだと言う連絡は入っていなかった。


哨戒機妖精「敵艦隊より艦載機の発艦を確認!、戦艦2、空母2、軽空母4、重巡6、軽巡6、駆逐多数!

旗艦と思われる大型艦を中央に、護衛艦を円形に配置した輪形陣です!、提督および総旗艦に位置を知らせ!」


ババババババババババ!


哨戒機妖精「敵機か!、三十六計逃げるに如かずだ!」


ブーン


敵戦闘機「クソッ!、逃ゲ足ノ速イ奴メ!」


味方の哨戒機・星電は敵の位置を正確につかんだので撤退して行った。


ヲ級FS「何!、敵ノ哨戒機ヲ逃ガシタダト!」


ヌ級1「ソレガ、恐ロシク足ノ速イ奴ダソウデ・・・」


ヲ級FS「マアイイ!、既ニコチラガ先手ヲ取ッテイル!」


瑞鶴「提督!、敵艦隊から攻撃機が発進しました!」


花陽「うん・・・、瑞鶴さん!、翔鶴さん!、護衛戦闘機隊の発進を準備をして下さい!」


翔鶴・瑞鶴「「了解!」」


カッ、ギギギギギ!、カッ、ギギギギギ!


花陽「参謀長!、別動隊は今どの辺りですか?」


フミコ「はっ!、北緯45度、東経155度の辺りかと・・・」


花陽「ふむ・・・、さて、そろそろ敵さんのお出ましですかね・・・、護衛戦闘機隊!、発艦開始!」ニヤリ


翔鶴「五航戦・翔鶴!」


瑞鶴「五航戦・瑞鶴!」


翔鶴・瑞鶴「「護衛戦闘機隊!、発艦開始!」」


瑞鶴「新鋭機・電征の初陣よ!」


パシュッ!、パシュッ!、パシュッ!、パシュッ!、ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


翔鶴、瑞鶴より最新型艦戦・電征42機が飛び立つ。

電征は烈風の後継機として開発され、機体の面積は烈風より一回り小さく全体的なシルエットはどちらかというと紫電改に近い。


電征隊長妖精「総員続け!、高度8000で編隊を組むぞ!」


電征妖精s「「「「了解!」」」」


隊長妖精「目を見開いて敵を探せ!」


電征妖精1「10時の下方!、高度5000に敵機発見!」


敵第一次攻撃隊はTBF(アヴェンジャー)型84機、ただし直援機はいなかった。


隊長妖精「飛んで火にいる夏の虫だ!、掛かれーーーー!」


ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


敵雷撃機1「上空に敵機!」


電征妖精s「「「「食らえーーーー!」」」」


ババババババババババ!、ババババババババババ!、ドカーン!、ドカーン!、ドカーン!、ドカーン!


敵雷撃機s「「「「グアアアアッ!」」」」


敵隊長機「交ワセ!、振リ切レ!」


ババババババババババ!、ドカーン!


敵隊長機「グアアアアッ!」


敵副長機「クソッ!、編隊ヲ崩スナ!」


隊長妖精「貰った!」


ババババババババババ!、ドカーン!


敵副長機「グアアアアッ!」


隊長妖精「凄いなこの機体は!、しかし新米の奴ら、天狗にならなきゃいいが・・・」


電征は瞬く間に多数の敵機を撃墜。

航空戦はパイロットの腕が物を言う格闘戦の時代から絶対出力と強力な武装が物を言うの時代へと移り変わりつつあり、この電征はまさにその戦略思想を先取りしていた。

そして何よりこの時、小泉は艦隊に向かってくる敵機を上空で待ち伏せ迎撃すると言う前世マリアナ沖海戦で米軍が執ったこの作戦を遥かに上回る精度で実施したのである。


ヲ級FS「何!、第一次攻撃隊ガ全滅シタダト!」


ヌ級E1「ドウヤラ敵機ハ零戦ヤ紫電改デハナイ様デス!」


ル級FS「敵ハ新型機ヲ開発シタノデハ!」


ヲ級FS「ソンナ解リ切ッタ事!」


ヌ級E2「間モナク第二次攻撃隊ガ敵ト接触シマス!、直援機ニハF6F(ヘルキャット)型オヨビ最新鋭ノF7F(エンゼルキャット)型ヲ着ケマシタ!」


ヌ級E1「コレデ奴ラノ実力ガ解ルデショウ!」


ヲ級FS「コチラガ勝ッテイレバイイケドネ・・・」


ヲ級FS「(シカシ、小泉艦隊ノ主力空母ハ確カ6隻ノハズ!、他ノ4隻ハドコヘ行ッタ!、コレデハイツドコカラ襲ッテクルカワカラナイデハナイカ!)」


戦闘の興奮と味方の壊滅という情報が敵旗艦から冷静さを奪っていった。

まさかこの時、別動隊がダッチハーバーを目指しているなんて夢にも思っていなかった。


フミコ「海域で雲が目立ってきました・・・、モニターが見にくいですね・・・」


花陽「雲・・・、参謀長!、瑞鶴さんに打電!、敵は雲層の中に隠れて接近して来ています!」


小泉の感は冴えていた。

敵の第二次攻撃隊は分厚い雲層に隠れ、護衛戦闘機隊の目を眩まそうとしていた。


瑞鶴「だ、そうよ!」


隊長妖精「了解!」


利根「電探に感あり!、新手の敵じゃ!」


筑摩「先ほどよりも数が多いです!」


隊長妖精「索敵電探に感謝だな!、見つけたぞ!」


副長妖精「この雲量じゃ見逃すところでしたね!」


隊長妖精「全くだ!、攻撃機は後回しだ!、戦闘機からやるぞ!」


ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


敵戦闘機1「敵機ダ!、散開シロ!」


ババババババババババ!、ブーン、ババババババババババ!、ブーン


隊長妖精「敵も新型機だ!、気を付けろ!」


ババババババババババ!、ブーンブーン、ブーンブーン、ブーンブーン


隊長妖精「電征の上昇力に着いてこれるか!」


ブーン、ブーン


敵戦闘機6「高度11000!、クソッ!、マダ上昇出来ンノカ!、操縦ガ!、失速スル!」


ブーン


隊長妖精「だろうな!、今度はこっちの番だ!」


ブーン、ババババババババババ!、ドカーン!


敵戦闘機6「グアアアアッ!」


ブーンブーン、ブーンブーン、ブーンブーン、ブーンブーン


秋月「9時の方向に敵雷撃機!、数80以上!」


瑞鶴「総員対空戦闘用意!、電探連動急いで!」


翔鶴「みんな準備できたわ!」


瑞鶴「みんな!、日頃の猛特訓の成果を見せてやりなさい!、撃ち方始め!」


ババババババババババ!、ババババババババババ!、ババババババババババ!、ドーンドーンドーン!、ドーンドーンドーン!


ドカーン!、ドカーン!、ドカーン!、ザバーン!、ザバーン!、ザバーン!


敵雷撃機10「クソッ!、何テ凄マジイ対空砲火ダ!」


敵は大群を持って艦隊に迫ったが最新鋭の電探連動火器やVT近接信管搭載弾の前に次々と海面に落ちていった。


瑞鶴「ターキー・シュートの名に相応しい光景ね!」


涼月「いけない!、翔鶴さん上空に急降下!」


翔鶴「くっ!」


ババババババババババ!、ブーン、カッ、ヒューーーー!、ドカーーーーン!


翔鶴「きゃあああああああ!」


瑞鶴「翔鶴姉!」


花陽「翔鶴さん!」


伊吹「新たな敵攻撃隊接近!」


秋月「敵の第三次攻撃隊です!」


花陽「いけない瑞鶴さんが狙われます!、秋月ちゃん達対空駆逐艦の皆さんは瑞鶴さんの前方に出てください!」


秋月・照月・涼月・初月「「「「了解!」」」」


花陽「利根さん、筑摩さん、伊吹さん、鞍馬さん!、あなた方は単縦陣にて艦隊の最外側に!」


利根・筑摩・伊吹・鞍馬「「「「はい!」」」」


花陽「そしてあなた方4名には新型三八弾の使用を許可します!」


利根・筑摩・伊吹・鞍馬「「「「了解!、主砲!、射撃用意!」」」」ウイーン、ガコン、ウイーン、ガコン、ウイーン、ガコン、ウイーン、ガコン


利根・筑摩・伊吹・鞍馬「「「「方位よし!、射角よし!、撃てー!」」」」


ドカドカドカドカーン!、ヒュルルルルルルルル-、ボワーーーーーーン!


ブワーーーン!、バキバキバキバキバキバキ!、ボンボンボンボン!


敵攻撃隊「「「「グアアアアッ!」」」」


シューーーー、バシャバシャバシャバシャ


祥鳳「消えてしまった・・・」唖然


瑞鳳「これが新型三八弾の威力なの・・・」唖然


龍鳳「私達が敵方でなくてよかったと思います・・・」ガタガタ


新型三八弾とは今で言う気化弾の事であり、主砲から散布されたエアゾールが空気中の酸素を燃やし尽くしまずは強烈な爆風に襲われ、次いで来る熱波が燃料を爆発させる。

ただし、射程範囲が短いので固まった状態の敵を十分に引き付ける必要がある。


利根「確か別世界じゃこれを比叡が撃ったんじゃろ?」苦笑い


筑摩「やめましょう・・・、考えるだけで恐ろしいです・・・」ガタガタ


照月「確かに・・・、これを戦艦が撃ったら・・・」ガタガタ


花陽「戦争とはそう言う物です・・・、ところで軽空母の皆さん、攻撃機隊の準備は整いましたか?」


祥鳳・瑞鳳・龍鳳「「「・・・」」」グッ!


瑞鶴「いつでも行けます!」


ヲ級FS「バカナ!、二次三次合ワセテ120モノ攻撃機隊ガ一瞬ニシテ消シ飛バサレタダト!、ソンナモノ信ジロトイウノ!」


ヌ級E1「ハッ・・・、残念ナガラ・・・」


ル級FS「上空ニ機影!、帰還機デス!」


ヲ級FS「何機ダ!」


ル級FS「1機ノミデス・・・」


ガラガラガラガラ、ドカーン!、ボチャーン!


被弾した敵機は空中分解し海面へ墜落した。


ヲ級FS「ナンテ事ダ!」


ヌ級E1「タドリ着ケマセンデシタカ・・・」


ヲ級FS「ドウイウ事ダ!、一体何ガ起コッテイルンダ!、ナゼ奴等ノ科学力ノ方ガ上回ッテイルノダ!」


予想を遥かに越える事態にヲ級FSは錯乱状態に陥っていた。

そして更に追い打ちを掛ける様な報告が入って来た。


ヌ級E2「・・・、!、ソレハ本当カ!」


ヲ級FS「ドウシタ!」


ヌ級E2「ダッチハーバー軍港全域ガ敵ニ空襲サセ炎上中トノ事デス!」


ヲ級FS「!!、ナンダト!」


この時、ヲ級FSは全てを悟った。

そして敗北を認めた。


ヲ級FS「航空機ノホトンドヲ失ッタ我々ハ丸裸同然ダ・・・、悔シイガサンフランシスコニ撤退シヨウ・・・」


ル級FS「敵機来襲!、攻撃機100以上!、護衛機モ40以上!」


ヲ級FS「・・・、ドウヤラコレマデノ様ダ・・・、総員対空戦闘用意!、撃チ方始メ!」


軽空母・祥鳳、瑞鳳、龍鳳から発艦した速度に秀でた新型艦爆・流星が上空援護のない敵艦隊を攻撃するのは容易かった。

因みに今回は作戦のため、祥鳳、瑞鳳、龍鳳には6機の電征以外全て流星を搭載していた。

そしてその攻撃隊の命中精度は80%を超え、500㎏爆弾および800㎏魚雷を連続して受け敵艦隊の半数以上が轟沈または大破となった。


ヲ級FS「クソッ!、クソッーーーーー!」


流星妖精s「「「「食らえーーーー!」」」」


ヒュルルルルルーーーー!、ドカドカドカドカーン!


哨戒機妖精「敵旗艦を撃沈!、敵艦隊は東へ敗走中!」


瑞鶴「恐らく目標はサンフランシスコ・・・、提督!、どうしますか?、攻撃隊を一度呼び戻して追撃しますか?」


花陽「いいえ!、作戦はこれまでです!、それに翔鶴さんが中破、航空機の発着艦ができません・・・

なにより人体に影響がないか心配です!」


翔鶴「すみません提督・・・」プスプス


花陽「謝る事はありません!、作戦は成功しましたし、あなたは生きているんですから!」


フミコ「絢瀬艦隊より通信!、北方棲姫を含めた敵北太平洋艦隊およびキスカの飛行場姫を撃破!、これを制圧!

なお敵艦隊の残党は北極海へ逃走した模様です!」


花陽「了解!」


この戦闘で小泉艦隊は戦艦1、空母2、軽空母3、重巡2、駆逐10以上を撃沈し敵航空機を200以上撃墜。

味方の被害は空母・翔鶴が中破、軽空母・祥鳳および駆逐艦・秋月、照月が小破、航空機の損出は戦闘機含め20機程度に留まった。

絢瀬・小泉両艦隊の活躍でアリューシャン列島を完全奪還、北太平洋を取り戻した。

ダッチハーバーには小泉艦隊別動隊が上陸、後からやって来た絢瀬艦隊所属・高坂航戦と合流し本土から派遣された工兵隊を護衛、ダッチハーバー軍港は高坂雪穂が指令部を置く事となった。

これは北極海からの敵艦隊接近をいち早く察知するためである。


そして小泉艦隊が敵新太平洋艦隊と激戦を繰り広げている頃、絢瀬艦隊はどうしていたであろうか・・・


2042年5月15日早朝、第一報が大泊司令部に舞い込んで来た。


赤城「星電、赤城一番機より入電!、敵艦見ゆ!、編成は戦艦4、重巡8、軽巡8、駆逐12!、加えて北方棲姫を確認!、なお敵艦隊は北方棲姫を最後尾に着け軽巡、駆逐を前衛に接近中です!」


絵里「敵の前衛も水雷戦隊ね!、陣形はわかる?」


赤城「軽巡を先頭とした三列複縦陣と思われます!」


絵里「この距離だと・・・、敵陸上機の航続圏内ギリギリ離れているわね!」


更に第一報から数時間後の明け方、第二報が入る。


赤城「星電、赤城四番機より入電!、間も無く三水戦が目視で敵を捉えられる距離まで接近します!」


この日、千島列島沖からアリューシャン列島にかけて深い霧で覆われていた。

敵はこの霧に紛れて接近を試みるも星電搭載の電探がそれを捉える。

そして敵艦隊の前衛がカムチャツカ沖東経160度のラインに乗ったタイミングを見計らい、絢瀬艦隊前衛の軽巡・阿武隈率いる第三水雷戦隊が突撃を開始した。


絵里「午前8時・・・、作戦開始!」


カムチャツカ半島沖


ハ級1「マモナク敵陣中ダ!、ソロソロ仕掛ケテ来ルゾ!」


バッシューン!、バッシャーン!


イ級1「グアッ!」


イ級2「イギャアーー!」


ヘ級E「雷撃!、コノ霧ノ中デ!」


阿武隈「先制魚雷命中!、でも霧の中じゃ電探とかレーダーあっても命中率落ちちゃうね!」


この戦いは深い霧の中における雷撃戦から始まった。


ヘ級E「総員水雷戦闘用意!」


阿武隈「行くよ!、水雷戦闘用意!」


阿武隈・ヘ級E「「撃てえーーーーー!」」


パンパンパンパン!、パンパンパンパン!、パンパンパンパン!、パンパンパンパン!


バッシューン!、バッシャーン!、バッシューン!、バッシャーン!


イ級3~6「「「「グアアアアッ!」」」」


バッシューン!、バッシャーン!


如月「きゃあああっ!」


弥生「うぐっ!、痛たたたた・・・」


哨戒機妖精「敵駆逐4撃沈!、味方駆逐艦・如月、弥生が大破!」


部隊総勢で放った魚雷はその半数以上が敵艦に命中、しかし敵の放った魚雷も味方に命中した。

互いの魚雷には威力の差があったため、性能の良い酸素魚雷も使用した味方は敵を撃沈、性能で劣るとは言っても駆逐艦の装甲は薄いため味方も大きなダメージを受けた。


阿武隈「第二波用意!、撃てーーーー!」


パンパンパンパン!、パンパンパンパン


バッシューン!、バッシャーン!、バッシューン!、バッシャーン!


ヘ級1「グアアアアッ!」


イ級7・8「「ギヤアーーーー!」」


ヘ級E「何ヲヤッテイル!、撃テーーーー!」


パンパンパンパン!、バッシューン!、バッシャーン!


卯月「痛い!、痛いぴょん!」


哨戒機妖精「敵軽巡1、駆逐2撃沈、味方駆逐艦・卯月が大破!」


戦闘が続くに連れ魚雷の発射から着弾までの間隔が短くなっていた。

そして互いに敵を目視できない霧の中での戦闘はより優秀な電探やレーダーを持つ絢瀬艦隊側が有利である。


ヘ級E「私以外全滅ダト・・・」


哨戒機妖精「敵軽巡発見!、敵前衛の生き残りと思われます!」


阿武隈「了解!、睦月に皐月!、この方角に魚雷を撃ってちょうだい!」


睦月・皐月「「了解!、撃てーーーー!」」


パンパンパンパン!、バッシューン!、バッシャーン!


ヘ級E「グホッ!、グウウウ!」


阿武隈「そこっ!」


パンパンパンパン!、バッシューン!


ヘ級E「グアーーーーー!」


哨戒機妖精「軽巡ヘ級Elite撃沈を確認!」


阿武隈「首尾は上々です!、提督!、敵の前衛を撃破しました!」


絵里「了解!、そろそろ霧も晴れて来る頃よ!、作戦の第二段階に移るわ!」


千島列島とキスカを結ぶラインのアリューシャン列島沖1000㎞洋上に敵北太平洋艦隊旗艦・北方棲姫の姿があった。


北方棲姫「前衛ノ水雷戦隊ガ全滅、アノ霧ノ中デ!、コンナ短時間デ!」


ル級E1「北方棲姫様、ドウヤラ敵ハ相当優秀ナレーダーヲ開発シタ様デス!、恐ラクハ霧ノ中デモ容易ニ捕捉デ来タノデショウ!」


北方棲姫「ウウ・・・」


この時、敵方が考えていた作戦はまず前衛の水雷戦隊が絢瀬艦隊へ挑発攻撃、その挑発に乗って打って出て来たところをキスカ沖1000㎞の地点で戦闘艦部隊と陸上機を使い殲滅するという物。

しかしその考えは絢瀬の物と全く同じであった。

絢瀬の場合は敵陸上機の航続圏外まで敵全軍を誘き出し、長門型、伊勢型、扶桑型の計6名からなる戦艦部隊で一気に畳みかけるという物。


北方棲姫「ドウシヨウ・・・」


リ級1「敵機来襲!」


北方棲姫「!!、全艦対空戦闘用意!」


予想外の出来事に動揺だ矢先に赤城、加賀から発艦した新鋭攻撃機・流星60機が一斉に襲い掛かる。


北方棲姫「撃てーーーーー!」


ババババババババババ!、ドーンドーンドーン!、ドーンドーンドーン!


ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


流星妖精s「「「「急降下爆撃食らえーーーーー!」」」」


ヒューーーーー!、ヒューーーー!、ドカーーーーン!


ル級2「グアアアアッ!」


雪穂「みんな!、雑魚には手出し無用!、旗艦クラスの大型艦にのみ集中せよ!」


流星妖精s「「「「了解!」」」」


ヒューーーーー!、ヒューーーー!、ドカーーーーン!、ドカーーーーン!


ル級3「グアアアアッ!、北方棲姫様ーーーー!」


リ級1・2「「ギャアアアアーーーー!」」


ル級1「タッタ今、キスカカラノ護衛戦闘機隊ガコチラニ!」


流星隊長妖精「雷撃隊!、撃てーーーー!」


流星妖精s「「「「食らえーーーー!」」」」


ボチャンボチャンボチャンボチャン、シュルルルルルルル


バッシャーン!、バッシャーン!、バッシャーン!


リ級2「グアアアアッ!」


ハ級2・3「「ギャアアアアーーーー!」」


北方棲姫「グウッ!、間ニ合ワナイヨ!」


リ級E「敵機!、引キ上ゲテイキマス!」


この赤城隊、加賀隊の攻撃で戦艦3、重巡2、軽巡2が轟沈または戦闘不能となり、北方棲姫にも通常の物より一回り大きい1.2t魚雷が一発命中、中破程度のダメージを与えた。

絢瀬艦隊の二度に渡る奇襲攻撃で敵艦隊の戦力は50%以下まで減少していた。


北方棲姫「オ、オノレーーーーー!」


哨戒機妖精「奇襲攻撃成功です!、北方棲姫は怒り心頭で我を忘れ始めた様子です!」


絵里「向こうは陸上基地からの航空支援に期待していた様だけど、敵はこっちに空母がいる事を忘れたのかしら。」ニヤリ


通信参謀「提督!、小泉艦隊が敵航空隊と接触したとの事です!」


絵里「そう、向こうも始まったみたいね・・・」


ミカ「そろそろ撃って出ますか!」


絵里「いえ、まだよ・・・、まだ早いわ・・・」


哨戒機妖精「敵艦隊上空に機影!、敵の陸上機です!、キスカの飛行場姫から飛び立った物と思われます!」


絵里「機種は?」


哨戒機妖精「P38(ライトニング)型です!」


絵里「P38型ね・・・」


雪穂「赤城、加賀より烈風を出しますか?」


絵里「その必要はないわ・・・、敵機が撤退するまで待ちましょう・・・」


赤城、加賀搭載の艦戦・烈風は電征にこそ劣るものの、P38型が相手であれば例え3倍以上の数でも常に優勢を取れる。

しかし絢瀬は動かない。


通信参謀「提督!、小泉艦隊は敵航空隊を例の新兵器で葬り去った様です!」


絵里「(時間的にまだ敵と相対してから2、3時間と言ったところかしら・・・、新型三八弾恐るべし!、と言ったところね!)」


作戦開始からおよそ6時間、そして絢瀬艦隊が攻撃の手を休めて更に2時間が経過しようとしていた時、絢瀬が待ちに待った報告が入って来た。


通信参謀「提督やりました!、小泉艦隊別動隊が鬼の居ぬ間のダッチハーバー軍港に襲い掛かり軍事施設をほとんど破壊!、炎上中との事です!」


絵里「よし!、こちらも動くわよ!」


北方棲姫「ナッ!、ダッチハーバーガ炎上!、向コウノ艦隊ハ一体何ヲシテ!」


ル級1「敵ノ航空機動艦隊ニ持テル航空戦力ノホトンドヲヤラレサンフランシスコヘ撤退中ニ追撃ヲ受ケ、残存戦力ハ10%~20%程トノ事デス!」


リ級E「北方棲姫様!、ダッチハーバーヲ襲ッタ連中ガキスカニモ攻撃ヲ開始シタトノ事デス!」


この時、小泉艦隊別動隊の各主力空母には6機の星電と12機の電征以外全て攻撃機を搭載、ダッチハーバー攻撃の際に余った軽空母3名の攻撃機はキスカに向かわせていた。

更にこの軽空母3名には星電は搭載されておらず、6機の電征以外全てが攻撃機であり、その攻撃機・流星60機ほどがキスカを攻撃、飛行場姫を撃破していた。

ともあれ後ろ盾を失った敵北太平洋艦隊は撤退か特攻かのどちらかしか残されていない。


北方棲姫「ウググ!、艦隊!、北極海マデ撤退スル!」


ドカドカドカドカーン!、ドカドカドカドカーン!


ヒューーーー!、ドカーーーーン!、ドカーーーーン!、ドカーーーーン!


敵艦隊「「「「ギャアアアアーーーー!」」」」


北方棲姫「!、今度ハ何事!」


長門「逃がしはせんぞ!」


リ級E「敵艦隊接近!、戦艦6デス!」


そして絢瀬の狙いはここにあった。

戦闘開始と共に第三水雷戦隊および一航戦の攻撃に気を取られている隙にカムチャツカ半島の先端に身を潜めさせていた絢瀬艦隊が誇る主力戦艦部隊が肉薄し、一気に敵中枢へと襲い掛かった。


長門「主砲一斉射!、撃てーーーーー!」


ドカドカドカドカーン!、ヒューーーー!、ドカーーーーン!


ル級1「グアアアアッ!」


北方棲姫「ク!、来ルナ!」


突然の奇襲を受けた北方棲姫は焦りに焦っていた。

その結果、完全に冷静さを失い組織的な反攻を行えなくなっていた。


扶桑「逃がさないわ!、主砲!、撃てーーーー!」


ドカドカドカドカーン!、ドカーーーーン!


北方棲姫「ギャアアアアーーーー!」


北方棲姫は肉薄して来た扶桑の主砲をまともに受け一気に大破した。


山城「さすがです扶桑姉さま!」キャー


北方棲姫「カエレー!」


伊勢「もう終わりよ!、覚悟しな!」


日向「随伴艦はあらかた片づけた!、残るはお前だけだ!」


陸奥「悲しいけど、これって戦争なのよね・・・」


北方棲姫「コ!、来ナイデ!、来ナイデッテ言ッテルデショ!」


長門「悪いが、沈んで貰うぞ!」


ドカドカドカドカーン!、ドカーーーーン!


北方棲姫「ギャアアアアーーーー!」


長門の41㎝主砲一斉射を受け、小さいながらも大艦隊を率いた北方棲姫は海の底へと沈んでいった。

こうして北太平洋、絢瀬艦隊は敵北太平洋艦隊を壊滅させ北太平洋の制海権を奪還することに成功した。

この戦いで絢瀬艦隊は駆逐艦・如月、卯月、弥生が大破、戦艦・長門、山城が小破のダメージを負い、航空機15機の損害を出したものの全体的な損害は軽微と言える。


絵里「ふー、作戦終了!、みんなよくやってくれたわ!、艦隊帰投せよ!」


絢瀬艦隊一同「「「「了解!」」」」


雪穂「それでは私の部隊は予定通りダッチハーバーへ向かいます!」


絵里「お願いね。」


作戦終了後、高坂航戦は本土から派遣された工兵隊の護衛のため、既に小泉艦隊別動隊が上陸しているタダッチハーバーを目指す。

そして絢瀬艦隊はベーリング海および北極海封鎖のため一同アリューシャン列島に移動、アッツ島に指令部を設置しキスカには航空基地を置いた。


マーシャル諸島沖


伊601「まさかいきなりマーシャル諸島の秘密基地に入港しろと言われるなんて・・・」


果南「これも作戦の内よ!」


伊601「そう言えば天元作戦の事ですが、ようやく真意が解りました!」


果南「へー、教えてよ。」


伊601「きっかけは利根さんに筑摩さん、伊吹さん、鞍馬さんが殺到する航空機群を一瞬にして葬り去ったところにあります!

前世の真珠湾奇襲攻撃の際にも大量の航空戦力を投入し攻撃しましたが、これが原因で艦隊は航空機に弱いと言う事を敵に教えてしまった様なものです!」


果南「そう・・・」


伊601「そして航空決戦は物量作戦です!、資源の乏しい日本がこんな戦いをしては勝てません!、そこで小泉提督は殺到する航空機群を一瞬で壊滅させ、航空機もまた艦隊に弱い事を敵に教えました!

そして敵に艦隊決戦思想に帰って貰うというのが高坂総長の真の狙いだと思います!、我々の潜水艦決戦思想をよりやり易くするために!」


果南「ご名答!、我が幽霊艦隊は強力な戦力に変わりないけど、基本的には航空機には弱いからね!」


秘密基地とは一体何なのか、それはまた後程。

そして敵方の艦隊決戦思想への回帰が急となり、再び敵が艦隊決戦思想へと戻ったのは半年後の事であった。

かくして北、東太平洋は奪還された。

しかしまだ、前世で多大な損害を出した南大平洋はにとてつもない大艦隊が待ち受けている。


ウェーク島より南、マーシャル諸島に松浦果南少将が指揮する幽霊艦隊の秘密基地があった。

ここは四方を岩礁に囲まれ、また海岸以外は深いジャングルに覆われているため艦隊を隠すにはもってこいの場所であり、基地に入る際も地下水路を通らなくてはならない。

この島の秘密基地建設はクーデター実行後にすぐ開始され、現在では軍令部や参謀部、技術部、情報部等の各担当者が運営に当たっている。


参謀長「司令官!、間もなく艤装の補給を終え艦載機の収容作業に入ります!」


果南「了解、でも艦載機を搭載できる潜水艦がまさか本当に完成するなんて、未だに信じられないわ・・・」


現在幽霊艦隊の人員は巨大潜水空母とも言える艦隊旗艦の伊601を始め伊500型3名、伊700型2名および中型の呂号潜5名から成る。

このうち伊601、伊500型、伊700型は水上艦載機の搭載が可能であり、伊601には二発戦闘攻撃機・雷洋2機、伊500型には単発戦闘爆撃機・春嵐3機、伊700型には水上機使用の電子偵察機・星電改2機が搭載可能である事から小規模ではあるが航空機動艦隊としても機能する。


整備班長妖精「艦載機収容完了しました!」


魚雷室長妖精「うへへへ、最新式の62式酸素魚雷に53式酸素魚雷!、腕が鳴るぜ!」


機関室長妖精「新動力のポンプ式水流噴進砲!、全て異常なし!」


CIC班長妖精「電探、レーダー、ソナー、通信機など各システムに異常なし!」


副長「司令官!、全て万端整いました!」


果南「(前世では計画のみで実行されず幻で終わったパナマ運河攻撃!、けど私に記憶をくれた前原一征のいた後世ではそれを実行して成功させた!、なら私も必ず成功させる!、パナマ運河さえ破壊できれば敵の輸送手段の大本を叩ける!)」


果南「ご苦労様・・・」


伊601「司令官!」


果南「お、早いね。」


伊601「必ず!、必ず成功させて帰ってきます!」ビシッ!


2042年6月上旬、この秘密基地にて幽霊艦隊はパナマ運河攻撃作戦の準備を着々と進めていた。

そしてその翌日、松浦は幽霊島を離れ神楽坂の料亭に姿を現した。


果南「失礼します!」ガラッ


穂乃果「遠路遥々ご苦労様。」ニコッ


にこ「相変わらず多忙ねあんたも・・・」


果南「お互い様です。」


料亭の個室には高坂、東條の他に連合艦隊最強を誇る矢澤艦隊司令長官・矢澤にこ提督の姿もあった。


穂乃果「さて、役者が揃ったからそろそろ始めようか・・・」


希「まずは幽霊さん達のパナマ運河攻撃についてやけど・・・」


そのパナマ運河攻撃作戦の主な狙いはまず第一に太平洋戦線への補給物資の遮断であった。


穂乃果「敵方の工業地帯はアメリカ大陸の五大湖周辺に集中しているから大西洋側に位置する!、そこから太平洋側に物資を一度に大量に運ぶにはパナマ運河を利用するのが得策だからね!」


当然アメリカ大陸西海岸にはシアトル、サンフランシスコ、サンディエゴ、ロサンゼルスなどの軍港施設はあるが、規模が小さく太平洋に満足に戦力補給ができない。


希「現在、太平洋に残る敵主力はフィジーのヲ級FS3隻を中核とする航空艦隊およびオーストラリアのブリスベン軍港のヲ級FS2隻を中核とする航空艦隊、それからシドニー軍港のル級FS2隻を中核とする戦闘艦部隊やね・・・」


穂乃果「天元作戦終了早々にハワイの護衛を臨時で受け持っていた園田艦隊が既にギルバート諸島を、補給を完了させた小泉艦隊が大鳳さん、雲龍さんを中核とした分隊を一時的に組んでフェニックス諸島を奪還したから、じわじわとフィジー、サモアへの補給線を締め上げているよ。」


にこ「後はパナマ運河を破壊すれば敵南太平洋艦隊は完全に孤立するわね、流石にあそこまで規模が大きいとこっちも迂闊に動けない、けど、補給線を遮断できれば話は別よ!、逆に数が大きな仇となるわ!」


第二に矢澤艦隊の攻撃目標であるサモア、フィジーの敵艦隊を孤立させる事である。


希「まあそのためにもパナマ運河は是非叩いて欲しい!、パナマ運河こそ工場大国アメリカを手中に抑えた敵のアキレスけん!、成功せれば補給線の遮断はもちろん!、その後の戦略的意味も大きい!」


穂乃果「それに大西洋から直接援軍を出せなくなったとあれば、敵は援軍をインド洋から出すしかなくなる、けどスマトラ島、ジャワ島やマレー半島の間の狭い航路をくぐり抜けて来るしか無い、統堂艦隊がその航路の出口で待ち構えそれを攻撃すれば小規模な部隊でも十分叩ける。」


第三に統堂艦隊が矢澤艦隊の背後にいる敵東インド洋艦隊を撃滅、最低でも撤退させる事である。


果南「ティモールはいかが致しますか?」


にこ「うちからは第七駆逐隊、統堂艦隊から水母部隊、それからあんたんとこの呂号戦隊で編成した艦隊で攻撃するわ!」


ティモールを守備する敵艦隊の規模は軽巡2、駆逐6程度であり、新鋭水戦爆・春嵐を搭載した千歳や千代田に新鋭飛行大艇・仙空を運用できる秋津洲の航空攻撃でも大打撃を与えられるが念押しのために駆逐4、潜水艦5を加えて攻撃する予定である。


穂乃果「改めて作戦内容を解体して見ると、随分と出来すぎてるよね・・・」


希「正直上手く事が運ぶとは思えんけど、失敗する訳にはいかんね!」


穂乃果「サモア、フィジー攻撃に関しては矢澤提督に一任するけど、定期連絡は寄越してね。」


にこ「了解!」


穂乃果「松浦指令官、パナマ運河攻撃は成功すれば絶大な効果を発揮するけど、危なくなったらすぐ引き返させてね。」


果南「了解!」


そして天元作戦終了からおよそ1か月後の2042年6月上旬、矢澤艦隊がトラック島を出撃、サモア、フィジー奪還の足掛かりを作るべく艦隊一同ラバウルを目指す。

またその2日後、インド洋を完全封鎖するため統堂艦隊がスラバヤを出撃、水母部隊を除きシンガポールを目指す。


幽霊島・幽霊艦隊司令部


果南「みんな!、いよいよ作戦決行だよ!、思う存分やって来なさい!」


幽霊艦隊一同「「「「了解!」」」」


同年7月上旬、幽霊艦隊は秘密基地から出撃、伊号潜水艦6名はパナマを、呂号潜水艦5名はティモール攻撃隊と合流するためスラウェシ島を目指す。


果南「(ここから先は厳重な無線封止をする必要があるから、ある意味暇になるな・・・)」


その頃、ラバウル沖に進撃した重巡・愛宕を総旗艦とする矢澤艦隊は敵ラバウル守備隊と交戦状態に入る。


哨戒機妖精「一水戦が敵と遭遇!、交戦状態に入りました!」


愛宕「あらあら、私達戦闘艦部隊の出番は無しかしら。」クスッ


ドカーーーーン!、ドカーーーーン!


川内「うおおおーーー!、夜戦!、夜戦!、待ちに待った夜戦だーーーーーー!」


川内「一水戦総員突撃!、砲雷撃戦開始!」


ドカーン!、ドカーン!、ドカーン!、ドカーン!、ドカーン!


敵艦隊「「「「グアアアアッ!」」」」


敵の戦力は重巡2、軽巡4、駆逐8であったが、夜戦において軽巡・川内を旗艦とする第一水雷戦隊を相手に成す術無く壊滅した。

それに続いて戦艦、重巡と言った高火力艦が一気に強襲攻撃を仕掛ける。


金剛「全砲門!、ファイアー!」


比叡・榛名・霧島「「「撃てーーーーーー!」」」


ドカドカドカドカーン!、ヒュルルルルルーーーー、ドカーーーーン!、ドカーーーーン!、ドカーーーーン!


愛宕「湾岸線の防衛はズタズタね・・・、今よ!、一水戦!、ニ水戦!、突撃!」


川内「もうひと頑張り!、行くよ!」


神通「目標!、ラバウル湾岸線!、突撃を開始します!」


一・ニ水戦「「「「おおおーーーーー!」」」」


そして夜明けにはラバウル湾岸および陸上防御施設に戦艦・金剛を旗艦とする第三戦隊の36.5㎝砲が雨霰と降り注ぎ、その様な中で一水戦および軽巡・神通を旗艦とする二水戦がラバウル湾岸へ強襲上陸を決行した。


神通「まさか米海兵隊の戦略思想をこの様な形に応用するなんて、星空司令官もかなりの策士ですね!」


飛行場姫「!!」


川内「もう夜明けか・・・、これで今日は最後にして欲しいね!」


一・ニ水戦「「「「撃てーーーーーー!」」」」


ドカドカドカドカーン!、ドカドカドカドカーン!、バキバキバキバキバキバキ!


飛行場姫「ギヤアアアアアアアアーーーー!」


湾岸線に上陸した一水戦、ニ水戦はすぐさま浜辺に橋頭堡を築き、後続部隊の上陸を確認し次第敵の陸上防衛陣地へと襲い掛かり次々と破壊、そして駆逐艦16名が一斉に飛行場姫へ砲撃を仕掛ける。

いくら飛行場姫といえども至近距離で砲撃を受ければただでは済まない。


2042年7月初旬、矢澤艦隊ラバウルを奪還。

奪還成功から5日後に矢澤を始め各分野の多くの人員がラバウルに上陸、避難していた島民を手厚く保護する事を約束し、ここラバウルにサモア、フィジー奪還のための一大拠点を置いた。

その拠点は非の打ち所が無い大要塞となり、前世同様ラバウル要塞の名で呼ばれた。


愛宕「提督、ティモールも6日前に壊滅、奪還成功との事です。」


にこ「これで背後から襲われる心配は無くなったわ!、これより矢澤艦隊はソロモン諸島奪還作戦を開始する!」


矢澤艦隊一同「「「「おおおーーーーー!」」」」


一方のスラバヤ基地ではシンガポール基地への移動を控えた第八艦隊司令長官・統堂英玲奈提督によるポートモレスビーの飛行場姫撃滅作戦が開始されようとしていた。

作戦内容は秋津洲が運用する飛行大艇・仙空を使ってスラバヤから3000㎞以上離れたポートモレスビーを直接爆撃するという物であった。


秋津洲「ふんふんふんふーーん 」フキフキ


秋津洲「よし!、仙空ちゃん6機全部きれいになったかも!」


仙空は二式大艇の改良型で外見はほとんど変わらないがエンジンの出力や強力な装甲、内部の電子機器の充実、それらを利用した20㎜電探連動機銃の搭載など多くの改装が施され、最高時速は550㎞以上、航続距離も偵察時が7400㎞以上で攻撃時でも6500㎞以上と敵のB30を上回っていた。


英玲奈「レーダー爆撃システムを新たに搭載したそうだが、調子はどうだ?」


秋津洲「良好かも!」


そして通常の艦攻では熟練妖精でなければ扱えない対地攻撃用1.2t爆弾を2発積む事ができ、レーダー照準で上空7000mから正確な爆撃が行える。

更にこの機体はレシプロ機でありながらロケット推進を搭載しており、燃料の消費は激しくなるが一時的に時速800㎞を超えるため逃走に使える。


英玲奈「これよりポートモレスビーの陸上基地に居座る飛行場姫に対し長距離爆撃作戦を開始する!」


統堂艦隊一同「「「「おおおーーーーー!」」」」


2042年6月下旬、日の出前の早朝にスラバヤの軍港より仙空6機が飛び立つ。


秋津洲「仙空隊発進!」


隊長妖精「行ってくるぜ!」


ブーン、ブーン、ブーン、ブーン、ブーン、ブーン


秋津洲「(これまで散々役立たずとか言われて来たけど!、この作戦でそうでない事を見せつけてやるかも!)」


それからしばらく、仙空隊より第一報が入る。


通信士妖精「こちら仙空隊!、これよりポートモレスビー上空に差し掛かります!、モニター出します!」


秋津洲「了解かも!」


英玲奈「なるほど・・・、敵は一体のみか・・・」


秋津洲「絶対当ててね!」


爆撃手妖精「任せてください!」


英玲奈「既に敵の防空圏内だ!、気を抜くな!」


しばらく沈黙が走る。


爆撃手妖精「目標確認!」


隊長妖精「ヨーソロー!」


爆撃手妖精「進路そのまま!、ちょい左!」


操縦妖精「ヨーソロー!」


秋津洲「投下の合図は任せて貰えるかな!」


隊長妖精「了解!、いつでもいけます!」


秋津洲「・・・、!、投下!」


爆撃手妖精「撃てーーーー!」


カッ、ヒュルルルルルルルルーーー、ドカーーーーン!


飛行場姫「グアアアアッ!」


カッ、ヒュルルルルルルルルーーー、ドカーーーーン!、ドカーーーーン!、ドカーーーーン!


仙空隊6機から放たれた12発の対地攻撃用1.2t爆弾はレーダー照準により高度7000mから極めて正確に敵陸上基地および飛行場姫に命中、この爆弾は元々戦艦用の三式弾を航空機用に改良した物で、目標のやや上で炸裂し多量の小爆弾が雨の様に降り注ぐ仕組みになっている。


青葉「提督!、やりましたね!」


英玲奈「ああ!、これで矢澤艦隊の背後の敵は全て叩いた!、フィジーにサモアは彼女らに任せ我々は敵東インド洋艦隊を叩く!」


2042年7月初旬、統堂は敵東インド洋艦隊撃滅のため、艦隊一同を一度スラバヤ基地に集めた後、シンガポールへと向かわせた。


矢澤艦隊、統堂艦隊、幽霊艦隊がそれぞれ行動を始め一か月、各地で大きな戦火を上げたが、ここからいよいよ本格的な大規模攻撃作戦決行の火蓋が切って落とされた。


2042年7月上旬、東太平洋洋上に潜望鏡を伸ばす者がいた。


伊601「・・・、東太平洋で見る日の出もなかなかだね・・・」


果南「どう?、何か見える?」


伊601「日の光でようやく見えるようになりました!、恐らくはクリッパートン島です!、モニター出します!」


果南「航海は予定通りだね・・・、今日はクリッパートン島に上陸し休息を取りなさい。」


伊601「了解!、ただいまより休息を取り、出撃は明日の夜更けと致します!」


伊501「電探、レーダーに感無し・・・、大丈夫です!」


幽霊艦隊総員はクリッパートン島に上陸、しばしの休息を取る。


伊502「久々の陸だね!」


伊701「最後に陸に上がったのは3.4日前のハワイ秘密ドック以来かな。」


伊503「少しは休めると思うけど・・・、あくまで敵地・・・」


伊702「少し不安ね・・・」


クリッパートン島の洞窟


伊601「とりあえず洞窟があってよかった・・・、ここでおとなしく、と言いたいけど、本当に休むのは作戦の見直しをしてからになりそうだね・・・」


そう言いながら幽霊艦隊旗艦・伊601は地図と作戦書を取り出し広げる。


伊702「攻撃目標までおよそ1600海里・・・、ここからは常に潜水航行で行かなければならないわね・・・」


伊601「昼以降は水中課電装置の使用も控えないと・・・、音で気づかれる可能性があるよ・・・」


水中課電装置とは水中にて空気を取り入れ発電機を回し蓄電器に充電する装置である。


伊501「速力はおおむね7~8ノット、深度は50くらいがちょうどいいね・・・」


伊502「まあこのポンプ式水流噴進法ならスクリュー音がないからよっぽどの事がなければ気づかれないとは思うけど・・・、故障だけは勘弁して欲しい物ね!」


伊502は以前の訓練でそれを故障させてしまった事があった。


伊601「まあね、でもこのポンプ式水流噴進法は燃料を使わない上に燃費も通常の25%程度だし、何より舵の効きが段違いだよ。」


ポンプ式水流墳進法とは艤装の蓄電器に溜め込んだ電力によって作動し、圧力によって水を押し出して進むためスクリュー推進の様な音は全く出ず、また舵の効きも滑らかで艤装全体を軟性ゴム被覆で覆い水中高速性能を高めている。


伊701「会合地点に敵が現れる可能性もあるから武装のチェックも欠かさずにしないとね。」


幽霊艦隊の各員の主力兵器は62式酸素魚雷および口径が一回り小さい53式酸素魚雷の二種類がある。

53式酸素魚雷はこれまで使用されていた93式の改良型で見た目こそ大差ないが時速36ノット、射程距離40000mを誇る超高性能魚雷である。

そしてその53式をも上回るのが62式であり、磁気探知近接信管を取り付け音響探知を装備した自己誘導魚雷でその威力は戦艦ル級や空母ヲ級に一撃で致命傷を負わせる程であった。

ハワイ奪還作戦の際に敵大型艦を次々と沈めたのもこの62式酸素魚雷である。


2042年7月12日、幽霊艦隊はマルベロ島沖にいた。


伊601「攻撃目標まで往復1200㎞、雷洋に春嵐ともに航続距離ギリギリか・・・」


伊702「601、司令官から通信よ。」


伊601「私です!、司令官!」


果南「元気そうでよかった!、航海は全て予定通り滞りなく進んでいるから作戦開始時刻は明日13日午前3時だよ・・・、いいね!」


伊601「はい!」


伊601「・・・」


伊601「すーはー、これよりパナマ運河攻撃作戦を開始する!、総員浮上!」


ザバーン!、ザバーン!、ザバーン!、ザバーン!、ザバーン!、ザバーン!


幽霊艦隊一同「「「「「「ハッチ開け!」」」」」」


浮上すると同時に全員が甲板の奥にある格納庫のハッチを開き艦載機を取り出し、そして圧力カタパルトにセットする。


伊601「圧力一杯!、攻撃隊発進!」


バシューーーーーン!、バシューーーーーン!、ブーン!、ブーン!


伊601より雷洋2機、伊500型3名からは春嵐が計9機、伊700型2名からは星電改計4機が発進しった。


伊601「みんな!、間違えても特攻なんて早まった事はしないでね!、危なくなったらすぐ引き返して来てちょうだい!」


攻撃隊妖精s「「「「了解!」」」」


隊長妖精「みな行くぞ!」


攻撃隊妖精s「「「「おおおーーーーー!」」」」


ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


伊601「しかし奴らも私たちが大西洋側に現れようとは夢にも思ってないでしょうね。」ニヤリ


伊601「ハッチ閉め!、急速潜航!、これより私たちは会合地点に向かう!」


幽霊艦隊一同「「「「「了解!」」」」」


攻撃隊の出撃を見送った幽霊艦隊各員は格納庫のハッチを閉め再び姿を海中に没する。


隊長妖精「・・・、見えた!、パナマ市の灯りだ!」


後座妖精1「深海の連中にやられたとはいえ、その奴らが使ってるから施設はほとんどそのままの様ですね・・・」


隊長妖精「ああ・・・、パナマ市上空は危険だ!、南米側から陸地に侵入する!」


ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


隊長妖精「コースは間違ってないな!」


後座妖精1「多分これで大丈夫だと思います!」


隊長妖精「多分か・・・、まいったな・・・、他の連中はちゃんとついて来てるか?」


攻撃隊妖精s「「「「いますよ!」」」」


隊長妖精「電探に少しでも反応があったらすぐ教えろ!」


後座妖精1「はい!」


夜とはいえパナマ市上空通過危険と判断し、ほとんど灯りの無い南米側のジャングル上空を航行する攻撃隊はだんだん敵襲より迷子の心配をし始めていた。


隊長妖精「(おかしい・・・、攻撃目標到着予定時刻を過ぎている・・・、コースを間違えたか・・・)」


隊長妖精「いったん海に出るぞ!」


ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


後座妖精「隊長あれです!、パナマ運河の大西洋側の入り口です!、リモン湾に敵艦も数隻見えます!」


隊長妖精「よし!、全機突撃!、奴らの補給線をぶった切る!」


リモン湾軍港


イ級1「・・・、!!、敵!」


イ級2「バカナ!、コンナ処マデ敵機ガ!」


ウーーーーーン!、ウーーーーーン!、ウーーーーーン!


リ級「撃テ撃テ!、叩キ落セ!」


ババババババババババ!、ドーンドーンドーン!


後座妖精「発見されました!」


隊長妖精「敵機が舞い上がって来るのも時間の問題だ!、ちゃっちゃと済ませて引き上げるぞ!」


ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


隊長妖精「やるぞ!」


パナマ運河は閘門式の運河でありカリブ海側のコロンと太平洋側のパナマを結ぶ長大な運河である。

閘門は太平洋側から順にミラ・フロレス・ロック、ペドラ・ミゲル・ロック、ガトゥーン・ロックの3つがあり、攻撃目標とされたのは復旧に最も時間がかかるであろうと結論付けられたガトゥーン・ロックに定められた。


隊長妖精「食らえーーーー!」


カッ、ボチャン、シュルルルルルルルーーー、ドカーーーーン!


ブーン


隊長妖精「なに!、一発じゃだめだ!、びくともしない!」


後座妖精「・・・、隊長!、あれを!」


バキバキバキ、ドザザザーーーーン!


隊長妖精「やった!」


ドカーーーーン!、ドカーーーーン!、ドカーーーーン!


後座妖精「後続機も次々と爆撃雷撃に成功!、ガトゥーン・ロックは木っ端微塵です!」


命中した魚雷や爆弾によって閘門に亀裂が走り、そして水圧に耐えられなくなった閘門は一気に崩壊、大量の水が押し寄せありとあらゆる物を押流す。


隊長妖精「引き上げだ!、急げ!」


ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


春嵐妖精1「前方に敵機!、数12!、P38型です!」


ババババババババババ!、ブーン、ババババババババババ!、ドカーーーーン!


敵戦闘機1「グアアアアッ!」


ブーンブーン、ブーンブーン


隊長妖精「追うな!、無視しろ!」


春嵐妖精2「味方に損害無し!」


春嵐妖精3「前方!、敵の新手です!」


隊長妖精「ちっ!、燃料は食うが高高度飛行で引き離すぞ!」


ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン、ブーンブーンブーン


雷洋、春嵐、星電改は全て実用上昇高度9900mを誇る高性能機であり、性能で劣る敵機の追尾を一気に振り切る事に成功した。


攻撃隊が作戦を終え、会合地点付近に現れたのは明け方であった。


隊長妖精「日が昇って来た・・・、これからが危険だ・・・」


後座妖精「隊長!、もう燃料がほとんどありません!」


隊長妖精「・・・」冷汗タラー


後座妖精「み・・・、見えました!、標色素です!、助かりましたね隊長!」


隊長妖精「馬鹿!、よく見ろ!、それどころじゃないぞ!」


後座妖精「!!、駆逐艦!、5隻も!」


一難去ってまた一難、敵機振り切るために高高度飛行を行いほとんど燃料を失った上に母艦たる幽霊艦隊が目印のために撒いた標色素のせいで敵艦の攻撃を受けていた。


隊長妖精「(まずいな・・・、このまま海上に不時着するのは・・・)」


ババババババババババ!、ドカーーーーン!


敵哨戒機「グアアアアッ!」


春嵐妖精1「我々の位置を知らせやがった奴を叩き落しました!」


隊長妖精「よくやった!、だがもう燃料が・・・、みなギリギリまで耐えろ!、特攻なんて早まった真似だけは絶対にするな!」


攻撃隊妖精s「「「「了解!」」」」


海標色素付近に5隻の駆逐イ級が現れ爆雷を投下しているが決して見つかったわけではない。


イ級E「コノ付近ニイルハズダ!、徹底的ニ追イ立テロ!」


ボチャンボチャン、ボチャンボチャン、バッシャーン!、バッシャアーン!


伊601「!!、今のは近かった・・・」


伊702「このままじゃ艦載機を回収できないわ!」


伊601「・・・」


潜水艦の天敵は駆逐艦であった。

一度発見されれば対潜爆雷で追い立てられ、潜水艦は敵が諦め撤退するまでひたすら逃げ回るか、または運の一言に賭け海中で息を潜めるかである。


伊601「(やばい・・・、どうしよう・・・)」


果南「伊601!、聞こえる!」


伊601「司令官!」


果南「雷洋の妖精さんから大体は聞いたわ!、現状打破にはもうあれしかない!」


伊601「!!、あれですか!」


果南「ええ!、新潜水艦戦術G7!、日頃の猛訓練の成果を見せてあげなさい!」


伊601「了解!、これよりG7を発動する!、各員準備して!」


幽霊艦隊一同「「「「「了解!」」」」」


伊601「(目に物見せてあげる!)」


目印のために散布した標色素を敵の哨戒機に見つかり敵駆逐戦隊に追い立てられていた。


ドカーーーーン!、ドカーーーーン!


伊601「!!、・・・、よしっ!、G7装填完了!」


CIC1「敵艦方位30!、距離7000!」


伊601「司令官!、いつでもいけます!」


果南「よし!、囮魚雷G7!、発射!」


バシューーーーーン!


伊601「よーしそのまま!、気泡ばら撒いて!」


CIC妖精1「了解!」


ブシューーー、ブクブクブクブクブク


イ級1「左前方ニ気泡発見!、敵潜水艦デス!」


イ級E「舐メタ真似ヲ!、全艦取リ舵30!、爆雷ブチ当テロ」


CIC妖精2「敵艦進路変更!、食いつきました!」


果南「慌てず計算して、まだ時間はあるわ・・・」


CIC妖精2「了解!」


伊601「司令官、駆逐艦相手に62式は勿体ないかと、53式でもいいですか?」


果南「任せるわ!」


敵駆逐戦隊は伊601の放った囮魚雷G7に見事食いつき、魚雷から発せられる気泡のある方へと引き寄せるられて行く。


CIC妖精3「敵艦距離5000!」


果南「今だ!、魚雷発射!」


幽霊艦隊一同「「「「撃てーーーー!」」」」


パンパンパンパン!、パンパンパンパン!


シュルルルルルルルルルルルルルーーーー、ドカーーーーン!、ドカーーーーン!


敵艦隊「「ギャアアアアーーーー!」」


イ級E「バカナ・・・、駆逐艦ガ潜水艦ゴトキニコウモアッサリトヤラレルトハ・・・」


隊長妖精「見ろ!、松浦司令官はG7をやったぞ!、皆もう少しだ!、がんばれ!」


伊601「G7第二射用意!、発射!」


バシューーーーーン!、ブシューーー、ブクブクブクブクブク


イ級3「後方に気泡発見!」


イ級E「何ダト!」


CIC妖精2「敵艦の後方にてG7の発動を確認!」