2017-12-11 05:47:10 更新

概要

八幡が3年生、いろはが2年生での話です。
注意なのはオリキャラが出てきます。


前書き

今回は真面目に恋愛系でやってみようと思います!


店員「ありがやしたーまたおなしゃしゃー」





ドア ウィーン




八幡「はぁ…ねっむ…」




今日は日曜日

いつもなら絶対家から出ようとしない俺だが

小町にアイスを頼まれたので小町の頼みとあらばと思いどうにか重い腰を上げて近くのコンビニまできた

今はその帰り道だ




八幡「はやく帰ろ…」


八幡「ん?」





「あれ…?あれ?」ポチポチ





ふと声がする方を向くと

女の子が自販機の前で何度も何度もボタンを連打していた

ただ飲み物買ってるだけかと思ったが

どうやら何か困ってる様子だった


ってかあの自販機は確か…




「どういうことですかこれは…」ポチポチ



八幡「あ、あの…」



「!?」ビクッ



「………な、なんですか?」サササ




おもいっきり警戒されてんな

いきなり声をかけられて驚いたんだろうけどそんなに距離をとるかってほどとってんだけど…


少しきつめの目つきをしたそいつは俺を不審そうに見つめていた

中学生…?わからんけど小町と歳が近そうだな

小町はもう高1だけど




「あの…」



八幡「あ、悪い。えっと…その自販機やめといた方がいいぞ。お金入れても出てこないから」




「そうなんですか…。なんでそんな自販機があるんですか。最悪です……はぁ…」ガチャ




そう言ってそいつはお金を財布に戻そうとレバーを下ろし、返却口に手を入れた



「え……。お金返ってこないんですか……」ガチャガチャ



八幡「ああ…そいつ。一度入れたらお金も戻ってこないぞ」




「ぐぬぬぬ…」



「ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ」ポチポチポチポチポチ




大人しめの印象の女の子だったが

さすがに我慢ならないのかアイスココアのボタンを何度も何度も力任せに連打していた

運が悪いやつだな

まあ俺もかつてこの自販機にお金吸い取られたんですけどね




「ハァハァ…最悪の日です…」シュン



疲れたのか少し息を荒くしたそいつは心底残念そうにそう呟いた

落胆した顔、悲壮感がこっちまで漂ってくる

すごい落ち込みようだな



八幡「そんなにココア飲みたかったのか?」



「ココアは人生です」



なんかすげえ答えが返ってきた



「ココアこそこの世で最も尊いのです。最強です」


…なにいってんだこいつ

最強はマックスコーヒーだろバーロー

マックスコーヒーは人生だぞ



「ああ…喉かわいたです…」



八幡「……」


八幡「マッ缶ならあるけど…飲むか?金はいらねえから」ガサ



俺はさっきコンビニで買ったマッ缶を思い出しそいつに渡した

同じこの自販機の被害者だ

いわば同士だ

金なんて取れねえ



「マッ缶?ああ、マックスコーヒーですか。あまあまのやつですね」



八幡「ああ、そのあまあまのやつだ」



「そういえば飲んだことありませんね…」



八幡「ココアより美味いかもしれんぞ」



「それはありえません」



即答でした



「ふむ…ですが不審者さんに施しを受けるのは危険…なにか狙いがあるのでは…」



八幡「おい待て誰が不審者だ」



「不審者さんではないのですか?」



八幡「違う。ただ…あれだ、お前が困ってるようにみえたから…声かけただけだ」



「………」



ちょっと気恥ずかしくなった

そういえば俺、初対面の女の子に声をかけるなんてすげえことしてんな

見た目こいつが年下に見えるから気楽だったのかそれでも八幡すごいね

どうしちゃったの八幡




…なんでか…俺はこいつの困り顔を見過ごせなかった




「マックスコーヒー。頂いていいですか?」



八幡「え、お、おう」




「…」ゴクゴク


「とてつもなく甘いですね…」



八幡「でも美味いだろ?」



「なるほど…この甘さ飲むたびにクセになりそうですね。ココアほどではありませんが。美味しいです」



おお…マッ缶の味を素直に美味しいと言ってくれるやつがこんなところに…

やべえ、超うれしい。あげぽよだわ



「ありがとうございます。マックスコーヒーはココアの次ぐらいに好きになりました」



八幡「おう。てか結局ココアには負けんのかよ。そりゃ残念だ」



「不審者さんは…」




八幡「いやだから…俺は不審者じゃ…」





「ひどく腐った目をしたわりに優しい方なのですね」ニコ





そう言って小さくお辞儀をしてそいつは去っていった




八幡「褒めてんのかよ…それ」





最後に見せた亜麻色の髪のそいつの笑顔はとても穏やかで優しいものだった



そしてどこかそれは



俺の知っているある後輩の笑顔にも

よく似ていた





……………………


……………


………


……









ー 学校 ー




キーンコーンカーンコーン





「お昼だー!」

「はらへったー!」

「べっー!マジ隼人くぅん!べべべのべっーwwwww」





八幡「さてと……弁当弁当…」


八幡「ん?この弁当箱…」



ブブブブ…



八幡「小町からメール…てことは…」





ーーーーーーーーー


小町



お兄ちゃん!お弁当間違えちゃった!そっちが小町のだから持ってきて!



ーーーーーーーーー





八幡「ですよねー」


八幡「(いやでもね小町ちゃん。3年の俺が1年の教室行くのはなかなかの苦行なのですよ。そこんとこ理解してくれてる?)」


八幡「とはいえ持ってくしかないか…」


八幡「(別に俺は小町のでもいいんだけど。俺と小町の弁当は少し量が違うからな。小町俺の弁当だと食べきれないんだろうな)」


八幡「はぁ…行くか」












八幡「ここか…」





「わっ、3年生だ」

「え、だれだれ?」

「なんでこの教室?」

「だれか知り合い?」

「不審者?」




ヒソヒソ…



八幡「(うわぁ…めっちゃ見られてる。早いとこ逃げよ…)」




八幡「あ、あの…」




「はい?私ですか」



八幡「えっと…比企谷小町っていう…」




「あら、あなたはマックスコーヒーのお兄さんではないですか」



八幡「は?」



「昨日ぶりですね」



八幡「……」


八幡「…」


八幡「…え、あ、お前は…」




小町「あ、お兄ちゃーん。お弁当持ってきてくれたの?ありがとう!」



「………」


八幡「………」



小町「ん?お兄ちゃんどうかしたの?お兄ちゃーん、おーい」


八幡「ハッ……あ、ああ悪い。ほれ。弁当」


小町「ありがとう!はいお兄ちゃんの」


八幡「おう」


小町「せっかくだからここで一緒に食べる?」


八幡「無理に決まってんだろ。殺す気か」


小町「まあそうだろうね。言ってみただけだよ」


八幡「まったく…じゃあ戻るわ俺」


小町「うん。ありがとねー」


八幡「へいへい……ん?」



「……」クイクイ



八幡「(…呼んでる?こっち来いってことか…)」













「改めて、昨日ぶりですね」



八幡「まさかまた会うとはな…」



「これはあれですね。運命というやつですかね」



八幡「マジで運命信じちゃいそうだわ…」


八幡「てかお前総武の生徒だったんだな」



「驚きましたか?」



八幡「まあ正直、中学生だとは思ってたな」



「それは私が子供っぽいってことですか?」ムス



八幡「そうは言ってないだろ…てか少し前まで中学生だったんだしそんな変わらんだろ…」



八幡「でもまさか1年で小町と同じクラスだったとは驚きだ」



「比企谷さんのお兄さんだったのですねマックスコーヒーのお兄さんは」


「うちの学校の3年生だったというのもそうですが私もなかなかに驚きました」



八幡「その…マックスコーヒーのお兄さんってなんだ」



「マックスコーヒーをくれたのでマックスコーヒーのお兄さんです」



八幡「そのまんまだな…いちいち呼ぶのに長いだろそれ」



「では呼び方を不審者さんに戻しましょうか?」



八幡「それはやめてくれ」



八幡「八幡だ。俺の名前は」



「比企谷八幡さんですか。ん〜なんとお呼びしましょう」



八幡「なんでもいいよ別に。…不審者さん以外なら」



「比企谷先輩…は普通すぎますね」



八幡「普通でいいんだが…」



「尊敬を込めてお兄様なんてどうでしょう」



八幡「やめてくれ。てか1ミリも尊敬してないだろお前」



「なんでもいいと言ったではないですか」



八幡「いや…俺がそう呼ばせてるみたいに見えるだろ。それはマズイ。てか呼ばれるのも恥ずかしいからやめてくれ」



「確かに後輩の女の子にお兄様と呼ばせる腐った目をした腐った変態さんになってしまいますね」



八幡「どんだけ腐ってんだよ…」


八幡「とにかく他のにしてくれ」



「………」ムムム


八幡「(そんな考えることかね…)」




「ふむ、決めました。やはりここはお兄さんと呼ぶことにしましょう」



八幡「いやそれもなあ…」


八幡「(お兄様よりかマシだが…)」


八幡「ああ…まあもうそれでいいよ…」



「おっと、自販機に着きましたね」


八幡「ん?」



「少し待っててください」チャリ




ガコンッ



「はい、お兄さん。ココアです。どうぞ飲んでください。お金はいりません」


八幡「どこ向かってるのかと思ったらそういうことか…別に昨日のことは気にしなくていいんだぞ」




「ダメです。ここで恩を返さなければ私が私を許せません」キッ




八幡「(…意外と強情なんだなこいつ)」


八幡「はぁ…わかったよ。飲むよ」


八幡「…」ゴクゴク



「ココアどうですか?」



八幡「久しぶりに飲んだが…普通に美味いな。甘さがあっさりしてて」




「そうですか。そうですよね。おいしいですよね。ココア」キラキラ



八幡「お、おお…(目が輝いてらっしゃる)」



「ふふ…やはり最強ですね。ココアは」



八幡「確かに美味い。まあ…マックスコーヒーの次に、だけどな」



「はい?お兄さんはなにを言ってるのですか?」


「マックスコーヒーも確かに美味しいですがココアの敵ではありませんよ」



八幡「いやいやココアこそ。さすがにマックスコーヒーの敵ではないわ」




「…いいでしょう。ならば戦争です。語り合いましょうお兄さん」



八幡「いいだろう。どっちが上かはっきりさせてやる」














キーンコーンカーンコーン




「あら、呼び鈴が鳴ってしまいましたね」



八幡「いつの間にそんな話し込んでたのか」



「終わりにしますか。ココアの勝ちということで」


八幡「いつココアが勝ったんだよ。だいたいお前は…」




「いすず、です。お兄さん」




八幡「え?」



「私の名前ですよ。いすず。いつまでもお兄さんにお前とだけ呼ばれるのは嫌です」


八幡「あ、ああ。そうか。そういえば名前聞いてなかったな」


いすず「これからは私のことをいすずと呼んでください」


八幡「え?いや上の名前で…」


いすず「い・す・ず」


八幡「いや…」


いすず「…」ジー


八幡「……はぁ…わかったよ。い、いすず」


いすず「それでいいんです」




いすず「それではお兄さん。私は教室に戻りますね」


八幡「俺も戻るか…」


八幡「(てか俺、この昼休みココア飲んだだけじゃんやってしまったわ…)」


いすず「お兄さんお兄さん」クイクイ


八幡「ん?なんだよ」


いすず「お昼…お兄さんと話すの楽しかったです。ありがとうございます」


八幡「戦争だとか言って言い争ってただけだけどな…」


八幡「別にお礼言われることじゃないだろ。ほら、早く戻らないと授業遅れるぞ」


いすず「はい、では…またです。お兄さん」


八幡「おう」






八幡「(昼ごはん食えなかったな…まあいいか)」




八幡「俺もなんか楽しかったし…」






……………………


……………


………


……








ー 次の日 ー





キーンコーンカーンコーン





八幡「昼か…飲み物買いに行くか…」






〜 自販機 〜







八幡「ん?」


いすず「あら、お兄さんではないですか」


八幡「また会ったな…」


いすず「昨日の今日で偶然出会うとは。いえこれは本当に偶然なのでしょうか。お兄さんはもしや私のストーカーさんですか?」


八幡「ちげーよ。飲み物買いにきただけだ」


いすず「ほう、やっとココアの魅力に気づきましたか」


八幡「マッ缶買いに来たに決まってるだろ」


いすず「ほんとうにお兄さんは分からず屋ですね」ヤレヤレ


八幡「お前にだけは言われたくねえ」


いすず「……」


八幡「…ん、なんだよ」


いすず「名前…」


八幡「え?」


いすず「お兄さんが名前で呼んでくれません。もしかして忘れてしまいましたか?」


八幡「あっ…ああ…いや…」


いすず「……」


八幡「…いすず…」


いすず「よろしい」ドヤ


八幡「なぜドヤ顔…」


いすず「そうだ、お兄さん。せっかくですからお昼ご一緒にどうですか?」


八幡「え?」


いすず「私とは嫌ですか?」


八幡「あ、いや、そんなことは…ねえけど」


いすず「お兄さんの話、もっと聞きたいです」


八幡「面白い話なんかないぞ…」


いすず「お兄さんはいつもどこで食べていらっしゃるのですか?」


八幡「教室か…屋上とかかな」


いすず「屋上ですか。いいですね。行ってみたいです」


いすず「ではお互いお弁当を持って屋上に集合です。ではお兄さん後ほど」


八幡「え、おいっ…」




八幡「行ってしまった…」


八幡「クールな顔して強引な奴だな…」
















いすず「奉仕部…噂には聞いています。この学校には奇天烈な部活が存在すると」


八幡「奇天烈って…まあ変といえば完璧に変な部活だが」


いすず「そういえば…お姉ちゃんが奉仕部の話をしていましたね。奇天烈ですがとても素晴らしい部活だと言ってた気がします」


八幡「へえ、姉がいたのか」


いすず「はい。つまり私は妹キャラです。どうですか。興奮しますか?」


八幡「お前俺のことどんな変態だと思ってんの?」


いすず「お兄さんは重度のシスコンだという情報を風の噂で聞きました」


八幡「はっ、俺を噂する人間などこの世に存在せんぞ。馬鹿め」


いすず「ドヤ顔で言うことですかね…」


八幡「シスコンじゃねえよ。ただ俺は妹を愛してるだけだ」


いすず「ではもし私がお兄さんの妹になったら私のことも愛してくれますか?」


八幡「え、は?」


いすず「……」ズイ


八幡「お、おい。なんだよ。近いぞ」




いすず「………お兄ちゃん…」ウルウル



八幡「…っ」ゾク


いすず「……」


八幡「……」


いすず「興奮しました?」


八幡「し、してない。してません。まったく」


いすず「そうですか…。残念です。お兄さんへのイジワル失敗です」


八幡「イジワルはやめなさい…」


八幡「(…い、今のはやばかった……なんというか…やばかった…)」














いすず「お姉ちゃんは2年生です。私とは正反対でとても明るい人です」


八幡「そうなのか(いすずはどっちかというとクール系だしな…確かに正反対だな)


いすず「大違いですよ。本当に。綺麗で可愛くて、そしてとてつもなくあざと………賢い人です」


八幡「なんか最後むりやり言い換えなかったか?」


いすず「いえ。まったく」


八幡「そ、そうか…」


八幡「でも外見なら大違いでってほどでもないだろ。いすずなら。姉に会ったことないから差がわからんけど」


いすず「ラノベの天然系主人公が言いそうな言い回しですね。ここは私は赤面するところでしょうか」


八幡「いやなんでだよ…」


いすず「ですがお世辞とはいえ外見を褒められるのは素直に嬉しいですといすずは喜びを露わにします」


八幡「妹キャラ間違えてんぞ…」


いすず「姉の話ですが、この学校の生徒ならば会ったことは絶対にありますよ」


八幡「どういうことだ?」


いすず「だってお姉ちゃんは生徒会ちょ…




キーンコーンカーンコーン




八幡「お、もう昼終わりか」


いすず「戻りましょうか」


八幡「おい、最後なんて言ったんだ?」


いすず「続きはまた自販機で偶然出会えたらです」


八幡「出会えたらって…てかつまり次があるかもしれないわけね…」


いすず「嫌ですか」シュン


八幡「い、嫌とは言ってないだろ」


いすず「そうですか。よかったです」ニコ


八幡「(くっ…どうにも調子狂うな…)」


いすず「それではお兄さん。また出会える日を楽しみにしています」


八幡「へいへい…」
















それからというもの

いすずが言った通り俺たちはいつも通りの日常を送る中で本当に自販機でバッタリと会った時だけ屋上で弁当を一緒に食べるという奇妙な関係が続いた


昼前の授業の関係もあってタイミングが合ったり合わなかったりで三日連続で出会うこともあれば、1週間近く出会わないこともあった


話すことといえばまあだいたいがマックスコーヒーとココアの論争だ

たぶん側から見れば死ぬほどくだらない会話だろうけど

俺たちからしたら

これはタ◯ノコの里vsキ◯コの山、こしあんvsつぶあん並みの戦争なのだ。マジで。これだけは負けられない



こんな日々が数日続いていた

続いていたんだが…






八幡「…ん?」


いすず「……」


八幡「……」


いすず「…っ!」


いすず「…」タタタッ


いすず「ふぅ……あらお兄さん。今日も出会いましたか」


八幡「……」


いすず「どうかしましたか?」


八幡「いや…さっき自販機の近くで突っ立ってなかった?」


いすず「気のせいです」


八幡「俺に気づいて走ってこなかった?」


いすず「気のせいです」


八幡「出会いましたかっていうかもう…」


いすず「気のせいですよ」キッ


八幡「睨むなよ…」



ここ最近なぜか毎日のように出会うようになったんだよな

ほんとに偶然なんだろうか…



いすず「さて、偶然出会ったことですし屋上に行きましょうか。お兄さん、はやくお弁当取りに行ってください」


八幡「いすずさん?なんで最近、すでに弁当を持ち歩いてるんですかね…」


いすず「女の子は常にお弁当を装備しておくものです」


八幡「意味わからんわ…」


いすず「お兄さんお兄さん」


八幡「なんだよ」


いすず「はい、これ、お兄さんのココアです」ニコ


八幡「……」


八幡「ふぅ………ま、いいか。嫌でもねえし」


いすず「…?……なんの話ですか?」


八幡「なんでもない。いすずのマッ缶買うから少し待ってろ」


いすず「はい。今日こそお兄さんにココアの真髄をお教えしましょう。覚悟してくださいね」


八幡「へいへい。いすずこそ覚悟しろよ」





そして今日も今日とて俺たちはお昼を共にした







……………………


……………


………


……








いすず「……」ペラ



「いすず、また本読んでるの?」



いすず「うん」



「好きだね〜。先輩みたい」



いすず「…先輩?」



「ああ、いやなんでもないよ」



いすず「……」ゴクゴク



「……ねえ、ちなみにそのココア…何杯目?」



いすず「……?……12杯目だけど」



「ちょ、飲み過ぎ!!!お腹壊すよ!?てかよくそんなにお腹入るね!?」



いすず「ココアでお腹が壊れるわけないじゃん。むしろ心も体も癒す最高の飲み物だよ」




「……はぁ……もう…」


「もういいや…いすず、本もいいけどお母さんがそろそろ寝なさいだってさ」



いすず「わかった」パタン



「………ねえ、いすず」



いすず「なに?」



「なんか…いい事でもあった?」



いすず「…なんで?」



「いやなんとな〜く…最近楽しそうだなって」



いすず「……」


いすず「私が…?」


いすず「……」


いすず「そう…だね。少し…楽しくなってきたかな。学校」



「そっか。よかったよ」



いすず「おやすみ。……お姉ちゃん」



「おやすみ」




ドア バタン




「ん〜まあいい方向にいってるならいいけど…いすず可愛いんだし、せっかくの高校デビューなんだからもうちょっとなあ…」





いろは「恋の1つでもしたらいいのにな」








……………………


……………


………


……










ー 奉仕部 部室 ー






ドア ガララ





結衣「やっはろー!ゆきのーん」


雪乃「こんにちは。由比ヶ浜さん」


八幡「うす」


いろは「先輩おっそーい!」


結衣「あ、いろはちゃんだ!やっはろー!」


いろは「やっはろーです!結衣先輩」


八幡「……いやなんでいるんだよお前…」


いろは「先輩を待ってたんですよー」


八幡「なんで俺…てか生徒会はいいのかよ」


いろは「今日はおやすみですから」


八幡「ああ、そう…」


いろは「ということで先輩!」ズイ


八幡「な、なんだよ。近いんだけど」


いろは「行きましょう!」


八幡「は?」


いろは「では先輩借りて行きますねー」


八幡「い、いやおい。待てって。どこ連れてく気だ。てか部活が」


いろは「さあ、レッツゴー!」


八幡「引っ張るなよ、ちょ…」




ドア ガララ バタンッ




結衣「い、行っちゃった。よかったのゆきのん?」


雪乃「はぁ…もう諦めたわ…」


結衣「あはは…確かに最近多いもんねこの流れ」


結衣「いろはちゃん…」


結衣「(やっぱりいろはちゃんは…ヒッキーのことが…)」















八幡「んでどこ行くのこれ。俺もう帰りたいんだけど」


いろは「もうすぐですよ〜」


いろは「あ、ここです。ここ」


八幡「アクセサリーショップか…え、本格的に俺が連れてこられた理由わからないんだが」


いろは「新しいアクセサリーが欲しいと思ってたんですよ。今なんかセールやってるんで今日がチャンスかと思いまして」


八幡「いやだから、俺必要ですかね?」


いろは「まあなんといいますかー、どんなアクセサリーが可愛いか男の人の意見も聞いてみたいなあって、そんな感じです」


八幡「こういうときこそ葉山だろ…」


いろは「葉山先輩は部活がありますもん。先輩みたいに暇じゃないんですー」


八幡「だからって…」


いろは「もうつべこべ言わないでください!!」


八幡「…は、はい」


八幡「(なんで怒られてんだ俺…)」


いろは「せんぱいせんぱい!こっちとこっちならどっちがいいと思います?」


八幡「……こっち」


いろは「ええ…」


八幡「…じゃあこっち」


いろは「ですよねー!これにしようかな…あ、でもこれもいいなあ〜」


八幡「ねえ俺の意見本当に必要?」


いろは「よし!これに決めた!」


八幡「絶対いらなかったよな俺!」














いろは「先輩のおかげでいい買い物ができました。ありがとうございます」


八幡「ああ…うん。よかったね。俺なにもしてないけどね」


いろは「先輩、どうですかこれ?」チャリ


八幡「………可愛いんじゃねえの。なんか色とか…お前に似合っていいと思う」


いろは「そうですか。ふふふ、可愛いですか///」


いろは「えへへ…///」


八幡「これで買い物終わったか?」


いろは「そうですね〜目的は果たせましたね。あ、先輩、喉乾いちゃったんで何か飲みましょうよ」


八幡「おう」





自販機 ピッ ガコンッ!





いろは「え?」


八幡「ん、なんだよ」


いろは「マックスコーヒーじゃないんですね」


八幡「あ…」


八幡「(最近、いすずに会うたびにココア飲んでたからつい…ってか、おいおい無意識に買っちゃうとかこれいすずに洗脳されてねえか怖いんだけど。やべえなあいつ)」


八幡「お、俺だって違うもんも飲むぞ」


いろは「まああんな甘いコーヒーばっか飲んでたら健康に悪いですしねー。私なんか一発でお腹壊しちゃいそうですよ」


八幡「はあ?マックスコーヒーでお腹壊すわけないだろ。むしろ心も体も癒す最高の飲み物だぞ」


いろは「…………」


八幡「…?…どうした?」


いろは「いえ、なんでもないです…はぁ…」


八幡「一色、この際だから言うがそもそもマックスコーヒーというのはだな、1975年に発売され…」


いろは「はーいはい。すごいですねー」


八幡「まだ何も言ってないんだが…」


いろは「まあココアでも1日に何十杯も飲んでたらお腹壊しますけどね普通は…」


八幡「そりゃあそうだろ。てかそんなやついな…」


八幡「(ああ…1人心当たりあるな…)」


いろは「そんなやつがいるんですよ。本当に困った子です…」


八幡「(マジか。いすず以外にもいるのか。あいつ喜びそうだな)」


いろは「そろそろ帰りましょうか先輩」


八幡「(やっと帰れる…本当なにしに来たんだ俺は…)」


いろは「せんぱいせんぱい」クイクイ


八幡「ん?」


いろは「今日は楽しかったです。その…ありがとうございます///」ニコ


八幡「……」



ーーーお兄さん



八幡「似てるな……」


いろは「え?」


八幡「いや、なんでもない」


八幡「はやく帰ろうぜ」


いろは「あ、先輩。待ってくださいよ。なんで帰るとなったら歩く速度早くなるんですかあ〜」





八幡「(ま、気のせい…だよな)」
















ー 一色家 ー





いろは「ただいま〜」


いすず「おかえり。お姉ちゃん」


いろは「ただいま。いすず」


いろは「はいこれ。プレゼント」


いすず「…なにこれ?」


いろは「ネックレスだよ」


いすず「……」


いろは「あれ?嬉しくない?可愛いでしょ?」


いすず「可愛いからだよ…。似合わないよ私には…」


いろは「もう…またそんなこと言って。自分を過小評価しすぎだよ。いすずは可愛いよ。私が保証する。だからもっと自信もちなよ」


いすず「そう言われても…」


いろは「少しはオシャレも覚えないと好きな人ができた時に困るよ?」


いすず「好きな人なんて…」


いすず「……」


いろは「どうしたの?」


いすず「な、なんでもない」


いろは「そう…?…あ、そうだ。見てこれ」チャリ


いすず「……可愛いね」


いろは「えへへ。そうでしょ。私も気に入ってるんだ〜」


いろは「先輩も…可愛いって言ってくれたし///」


いすず「……先輩?誰かと一緒に買いに行ったの?」


いろは「ああ、うん。選ぶの手伝ってもらったんだ」


いすず「ふーん」


いろは「あ、そうだ。いすず。今日帰りにこんなの見つけたんだけど」


いすず「チラシ…?」


いすず「……!?!?!?」


いすず「コ、ココ、ココアパーティー…!?」


いろは「喫茶店であるみたいだね。全てのココアが集結する。ココアの歴史ここにあり。とかなんか意味不明なこと書いてあるけどいすずなら行くかな〜って思って持って帰ったん……だけど…」


いすず「ふわぁああああここあぱーてぃ〜〜〜〜」キラキラ


いろは「行っておいで…」


いすず「うん!!ありがとうお姉ちゃん!こんな素晴らしいものを見つけてくれて!」キラッキラッ


いろは「ま、眩しい…。ネックレスあげた時との差が違いすぎるよ…」















ー 学校 昼休み ー






八幡「ココアパーティー?」


いすず「はい、やばいですよね。これ。ほんとやばいですよね」


八幡「それでここ最近のお前テンション高い…というかテンション変なのか」


いすず「楽しみで仕方ないです」キラキラ


八幡「そうですか…よかったですね」


八幡「(むぅ…マックスコーヒーパーティーとかもやってくれないかなあ…)」


いすず「そんな甘ったるいパーティー嫌ですよ」


八幡「勝手に心を読むんじゃありません」


八幡「(マックスコーヒーパーティあってもいいじゃないか…あってもいいよな?)」


いすず「そうだ…せっかくですからお兄さんも一緒に行きますか?」


八幡「は?いやなんで俺が」


いすず「ココアの素晴らしさを教えるいい機会ですし」


いすず「お兄さんをココアしか飲めない人間にしてあげますよ」


いすず「行きたくなってきましたよね?」


八幡「恐ろしいわバカ。よくその誘い方で俺が行くと思ったな」


いすず「では明日、10時に千葉駅にしましょう」


八幡「おい話聞け。てか明日かよ…」


いすず「はい、明日です」


八幡「いや明日はちょっと…」


いすず「でも明日お兄さん暇じゃないですか」


八幡「決めつけはよくないよね。俺だって忙し…」


いすず「では明日よろしくお願いします。ココアがお兄さんを待ってますよ」


八幡「おーいお願いだから話聞いてー」


八幡「(まあ…暇なんだけどさ…)」


八幡「(普段は大人しいのにココアとなると人変わるなこいつ…)」


八幡「(てかこういう時のいすずって…あいつとよく…)」



八幡「てかもうこれ行かなきゃダメな感じなのか…」
















ー 一色家 ー







いろは「あ、そういえば明日だっけ。ココアのやつ」


いすず「うん」キラキラ


いろは「最近目の輝きがすごいね…」


いろは「てか1人で行くの?」


いすず「そのつもりだったけど…急遽一緒に行く人ができた」


いろは「へーじゃあその子もココア好きなんだ」


いすず「いやこれからココアの世界に堕ちてもらう予定」


いろは「……お手柔らかにしてあげてね…」




いすず「あ、そうだお姉ちゃん」



いろは「ん?」


いすず「……」


いろは「なに、どうしたの?」


いすず「その…どんな服がオシャレか教えて」


いろは「え!?どうしたの急に?いすずが服装を気にするなんて!」


いすず「なんとなく…今回はちゃんとしようかなって」


いろは「(そ、そんなにココアパーティーに気合い入ってるのかな…?)」


いろは「その気合いを恋愛に向けれたらなあ…はぁ…」


いすず「…?…」


いろは「よし!お姉ちゃんに任せなさい!なんなら私の服貸してあげようか?」


いすず「いやそれは…嬉しいけど最近お姉ちゃんのだとなんだか胸のあたりがキツくて着にくいからいいよ自分ので」


いろは「_| ̄|○」










……………………


……………


………


……









〜 千葉駅前 〜




八幡「おっ」


いすず「あら、お兄さん。おはようございます」


いすず「良い朝ですね。絶好のココア日和です」キラキラ


八幡「(朝っぱらからキラッキラしてんなあ…もはや朝日より眩しいまである)」


八幡「お、おはよう」


八幡「ちょっと早すぎたかなと思ってたんだが、そっちのが早かったとはな。待たせたか?」


いすず「いえそこまで待っていませんので問題ありません。ここで1時間ココアを飲む前の準備運動もイメトレもできましたし。おかげで準備万端です」


八幡「お前いつもココア飲むのにどんな心構えで飲んでんの?…ってか1時間!?」


いすず「さあさっそく向かいましょう。お兄さん。ココアがなくなってしまいますよ」


八幡「そんな急がんでも…って聞いてないか…はぁ…」




いすず「………お兄さん…」




八幡「ん?」


いすず「……ふく…どうですか」


八幡「ふく?」


いすず「この…服…どうですか…?」


八幡「えっ…」


いすず「……」


八幡「いやどうって……」


八幡「か、可愛いんじゃねえの。…たぶん」


いすず「……」


いすず「…」クル


八幡「いすず?」


いすず「さあ行きましょう。お兄さん」


八幡「え、あ、ああ」


八幡「(なんなんだ…)」


いすず「〜♪」


八幡「まあなんか嬉しそうだしいいか…どんだけココア楽しみなんだよ…)」
















店員「ありがとうございましたー」






八幡「うぷっ…本当にココアしかなかった…恐るべしココアパーティー…」



いすず「大満足です」ピッカー



八幡「(もはや全身輝いていらっしゃる)」


いすず「お兄さん。これでココアの素晴らしさがわかりましたか?」


八幡「ああ…うん。そうだね。すごいねココア」


いすず「ふふん」ドヤァ


八幡「(当分ココアは口にしたくない…てか見たくないな…)」


いすず「お兄さんお兄さん」クイクイ


八幡「ん?」


いすず「どうしますか?これから」


八幡「え、このまま解散じゃないの」


いすず「お腹すきませんか」


八幡「すきませんね。いすずさん。あなたココア何十杯飲んだと思ってるの?それでもお腹すくの?正気ですか?」


いすず「ココアは別腹ですので」


八幡「嘘だろ…」


いすず「お兄さんのオススメの店はないんですか?」


八幡「いや…あるといえばあるが…」


いすず「ではそこに行きましょう」


八幡「まあ口直しにいいか」


いすず「はい?……今なんと?」ギロ


八幡「いえ、なんでもありせん(こっわ。いすずさんマジこっわ)」















『なりたけ』





いすず「ふむ、ラーメンですか」


八幡「オシャレな店でも期待してたんなら悪いな」


いすず「いえお兄さんがオシャレなお店をオススメしてきたらびっくりしすぎてして倒れてしまいます」


八幡「そこまで言いますか…」


八幡「いただきます…」ズルズル


いすず「女の子1人では入りづらいお店ではありますし、これはこれで逆に興味がありますね」


八幡「……」


いすず「…?…どうしました?」


八幡「あ、いや。なんでもない」


八幡「前にも同じようなこと言う奴いたけど…そんな入りづらいもんか」


いすず「私は1人でも入ろうと思えば入れますけどね…普通はそうなんじゃないでしょうか」


いすず「いただきます」


いすず「…」ズルズル


いすず「…!……美味しいですね。例えるなら森永さんのココア並みです」


八幡「なにその例え…」















店員「ありがとざいやしたー」





雨「ザーッザーーーーーーーーーーッ(≧∇≦)」





八幡「おいマジかよ…」


いすず「なかなかに降っていますね」


八幡「帰ろうって時に…今日晴れじゃなかったか?やってくれたなお天気おねえさんめ」


八幡「仕方ない。いすず、バス停まで走るか」


いすず「その必要はありませんよ」ゴソゴソ


八幡「え?」




バサッ




いすず「傘ならありますから」


八幡「折りたたみ…持ってきてたのか」


いすず「はい。いつもカバンに入れているので」


八幡「さすがは女子だな」


八幡「(傘あるならいすずは心配ないか。さて…俺はどうやって帰ろうかね…やっぱ走るしかないか…)」


いすず「んんっ…」プルプル


八幡「なにしてんの…?」


いすず「お兄さん背が高いので腕が辛いです」ムス


八幡「あ、傘に入れようとしてくれてたのか…」


いすず「そうしないとお兄さんが濡れてしまうではないですか」


八幡「…てっきりここで解散かと思ってたんだが…」


いすず「この雨の中で傘のない人を1人残して帰るなんてことできませんよ。私はそんなにひどい人間に見えますか?」


八幡「いや…そうだな……」


八幡「ふっ……優しいんだな。いすずは」


いすず「……」


いすず「なんですか急に。口説いてますか」


八幡「いや口説いてねえよ…ただそう思っただけだ」


いすず「急にそういうこと言うのはやめてください…」プイ


八幡「別に変なこと言ってないじゃないか」


八幡「ほれ、傘貸せ」


いすず「えっ…私から傘を奪い取って1人で帰ると言うのですか…さすがですねお兄さん。略してさすおにですね」


八幡「お前俺のことどんな人間だと思ってんの?マジで」


八幡「俺が持った方が楽だろ」


いすず「確かに…そうですね」


八幡「じゃあ行くか。おい、もっとこっち寄れって」グイ


いすず「…っ!?」ダキ


八幡「あっ」


八幡「(しまった、小町の時と同じ感覚でつい…)」


いすず「…」


八幡「わ、悪い。えっと…」


いすず「いえ…気にしていませんよ。行きましょう」


八幡「あ、お…おう…」






いすず「…///」
















雨「………(-_-)」






八幡「雨やんだな」


いすず「通り雨だったようですね」


八幡「傘ももういいか」カチャ


いすず「雨もやみましたし、ココアが飲みたくなってきましたね」


八幡「マジで言ってんすか」


いすず「マジで言ってんす」


八幡「本当に好きなんだな…」


八幡「(俺もマッ缶は好きだが…こいつのココア愛にはさすがに負けるな)」


いすず「ちょうどここに自販機が……」


八幡「どうした?」


いすず「お兄さん。覚えてますか。この自販機」


八幡「ん?……ああ…」




八幡「(俺たちが初めて出会った時の…)」





いすず「少し外観が変わってますね」


八幡「そうだな。やっと修理したのか…」


いすず「…」


八幡「…」


いすず「あの時はお兄さんに突然話しかけられて驚いてしまいましたね」


八幡「めちゃくちゃ距離とってたもんな」


八幡「(あとこいつけっこうキツめの目つきしてるから初対面の時は怖かったわ、マジで)」


いすず「すみません…この世のものとは思えないほど腐った目をした男の人が急に現れたので…」


八幡「謝ってるつもりなのかそれ」


いすず「ですが…そうですね。外見で人を決めつけるのはいけないことでした。本当にすみません」ペコ


八幡「い、いや…そんな謝らんでもいいわ。結局外見通りだったろ?」


いすず「ええ、外見通り捻くれていて腐りきった人でした」


八幡「わかってたけどけっこう泣きそうになるねこれ」


八幡「よく言われるが…好きでこんな目してるわけじゃないんだがなあ…」


いすず「…」




自販機 ガコンッ



いすず「……」ゴクゴク


いすず「…」


いすず「でもお兄さんの目は………とても優しい目です」


八幡「えっ…なんだよ急に。てかいやいやそれはないだろ」


八幡「…初めて…言われたぞ。そんなこと」


いすず「確かに腐っています。この世の残酷さ、理不尽を知ったかのような目、人を疑い人を見下し嫌悪するような目……………ん〜なんかお兄さんって厨二病っぽいですね」


八幡「おい」


いすず「最初からなのか過去になにかがあったのか…お兄さんと出会って日も浅い私にはわかりません」


八幡「…」


いすず「でもお兄さんと話していくうちにお兄さんの目の奥に感じるものがあったんです」


いすず「とても優しく暖かい…。なぜでしょうね、私にとってはすごく…落ち着きます。お兄さんの目」





いすず「私は、好きですよ」ニコ






八幡「…っ」


いすず「……」


いすず「…」


いすず「あっ」


いすず「ち、違います。今の好きというのは。お兄さんのことではなくて、いえお兄さんのことですけど。なんといいますかっ」



パシャアッ



いすず「きゃっ」


八幡「おいおいなにしてんだまったく…」


いすず「ほとんど溢してしまいました…私のココア…」


八幡「ココアより服を気にしろ。ほらハンカチ使え」


いすず「ありがとうございます…」


八幡「……」


いすず「ううっ……ココア…」フキフキ


八幡「いすず…」


いすず「なんですか?」


八幡「ありがとな」


いすず「…?……なにがです?」


八幡「いや…なんでもない。それよりココア買ってやるよ」


いすず「!?…ではバンホーテンとヴァローナとオマンヒニと…」


八幡「待て待て。どんだけ買わせる気だバカ…」


いすず「むぅ…」


八幡「ほんとお前って…ふふふっ…」


いすず「なんですか何がおかしいんですか。その腐った目で笑われると怖いのでやめてください。呪われそうです」


八幡「結局目は貶されるんだな…」








……………………


……………


………


……










いすず「ただいま」


いろは「あ、おかえり。いすず」


いすず「ただいま、お姉ちゃん」


いろは「どうだった?ココアパーティーは」


いすず「最高でした」ピカー


いろは「そ、そう…(全身輝いてる…)」


いろは「一緒に行った子はどうだったの?」


いすず「うんもう完堕ちしたよ」ドヤ


いろは「ほんとかなあ…」


いすず「お姉ちゃん」


いろは「ん?」


いすず「服…選んでくれてありがとう。おかげで褒めてもらえた」


いろは「いいよいいよ。オシャレを気にするようになってくれてお姉ちゃんも嬉しいよ」


いろは「今日の服装なんて本当に可愛いし、もし今日が男子とデートだったら絶対その男子イチコロだったよ」


いすず「彼はそんな簡単な男ではないと思うけど…」


いろは「え?」


いすず「ううん」


いすず「…」


いすず「ねえ、お姉ちゃん」


いろは「なに?」


いすず「お姉ちゃんは…………好きな人いる?」


いろは「うえっ!?え、え、な、なに急に」


いすず「いないの?」


いろは「……い、いないことも…ないけど…///」


いすず「いるんだ」


いろは「…///」


いすず「照れてるお姉ちゃん可愛いね」


いろは「もう!からかわないでよ!」


いすず「ごめん」


いろは「なんなのいったい…」




いすず「お姉ちゃん…人を好きになるってどういうこと?」



いろは「え?うーん……」


いろは「その人といるとドキドキする、その人と少しでも長く一緒にいたいっと思ったらそれはその人のことが好きってことかな」


いすず「なんか単純だね…」


いろは「単純だよ。人を好きになるのなんか」




いろは「とても単純で…でもすごく…残酷だよ」




いすず「…」


いろは「あ、あはははっ、ごめんごめん。いや恋することはいいことだよ!ほんとに!恋する乙女はすごいよ!あれ!なんか強そうでしょ!」


いすず「強そうって言われても…」


いすず「……」




いすず「……その人と少しでも長く一緒にいたい…か…」




いろは「それにしてもまさかいすずから恋バナふってくるなんて………」



いろは「…ねえ、もしかして…」



いすず「ココア飲みたい」


いろは「突然!?」


いすず「今日いっぱい飲んできたんじゃないの?」


いすず「それはそれ」


いろは「そ、そうなの…」


いろは「よくわかんない妹だなあ…」


いすず「…なにが?」


いろは「なんでもない」


いすず「お姉ちゃんもココア飲む?」


いろは「飲む…」











……………………


……………


………


……













ー 学校 奉仕部部室 ー






結衣「でね〜サブレがさ〜」


雪乃「それは大変だったわね」フフフ


結衣「もう大騒ぎだよ〜」




八幡「…」ペラ


いろは「それでもう大騒ぎでほんと大変だったんですよー」


八幡「…」ペラ


いろは「生徒会長の仕事にも慣れてきたつもりですがやっぱり大変ですよね〜」


八幡「…」ペラ


いろは「むぅ…先輩!ちゃんと話し聞いてください!」


八幡「えっ…あ、俺に話しかけてたのか」


いろは「ずっと先輩にだけ話しかけてたじゃないですかー!」


八幡「いやてかもうナチュラルにいるよなお前。なんなの」


いろは「いいじゃないですかー。先輩…私と一緒にいるのは嫌で…」ウルウル


八幡「はいはいあざといあざとい」


いろは「最後まで言わせてくださいよー!」


いろは「私は先輩とお話ししたいんです」


八幡「俺なんかに構ってないで雪ノ下たちのとこいけ。その方が会話も楽しいぞ。なにより俺の読書の邪魔だ」


いろは「それより聞いてくださいよせんぱーい」


八幡「ねえ?話聞いてる?お話ししたいとか言ってたけどする気ないよね?」


結衣「2人ともほんと仲良いねー」ムス


八幡「そう見えるんなら眼科行った方がいいぞ。てかなんで少し怒り気味なんだ」


雪乃「この光景にも慣れて来たわね」


いろは「えへへ…仲良よく見えますか…///」


八幡「お前はお前でなにがそんなに嬉しいのか…」




ブブブ…




八幡「ん?メール?」


八幡「…」


八幡「あ、今日か。忘れてた」


結衣「ヒッキー、どうかしたの?」


八幡「いや小町からメールきてな…雪ノ下、悪い。家の用事あるから今日はもう帰るわ」


雪ノ下「ええ、了解したわ」


いろは「ええー!もう帰っちゃうんですか先輩!」


八幡「仕方ないだろ。用事あんだから」


いろは「むぅ…では私も一緒に…」





コンコンッ





雪乃「誰かしら?…どうぞ」





ドア ガララ





小町「しっつれいしまーす!」


結衣「あ、小町ちゃん!やっはろー!」


小町「こんにちはです!」


八幡「なんだ小町、迎えに来てくれたのか」


小町「うん。せっかくだし一緒に帰ろうと思って」


八幡「じゃあ、帰るとするか」


小町「あ、でもその前に…」






いすず「失礼します」




八幡「なっ…お前…」


いろは「え?…」


小町「なんか一色さんがお兄ちゃんに用あるみたいだよ。というか知り合いだったんだね。小町びっくりしたよ」


八幡「え?」


いろは「え?」





八幡・いろは「え?」








… 








八幡「い、一色…?一色って…」



いすず「こんにちは。お兄さん」



八幡「え、あ、おう…こんにちは」


いろは「え、え、これどういうことですか?なんで先輩がいすずと?」


八幡「なんだお前…いすずと知り合いだったのか?」


いろは「知り合いもなにも…って名前呼び!?!?」


八幡「うおっ」ビクッ


結衣「名前呼び!?!?」ガタッ


小町「ほほう」キラキラ


八幡「急にでかい声出すなよびっくりするだろ。由比ヶ浜までなんだよ」


いろは「どういうことですか先輩!」


結衣「どういうことだしヒッキー!!」


八幡「いやどうって言われても…てかなんでそんな興奮してんの?」


いろは「興奮するに決まってるじゃないですか!だってその子は…」




いろは「私の妹なんですから!」





八幡「………」


八幡「………」チラ


いすず「……」


八幡「…」


八幡「……は?」

















いすず「初めまして。1年F組の一色いすずと言います。よろしくお願いします」ペコ


結衣「わわっ、これはご丁寧に…よ、よろしく」ペコ


雪乃「よろしく。一色さん……では一色さんと被ってしまうわね」


いすず「私のことはいすずでいいですよ」


雪乃「ではそうするわ。改めてよろしく。いすずさん。私は雪ノ下雪乃よ」


結衣「由比ヶ浜結衣だよ!」


いすず「雪ノ下先輩に由比ヶ浜先輩ですね。よろしくお願いしますです」


結衣「いろはちゃんの妹か〜うーん確かにそう言われるとなんかいろはちゃんと似てるかも!」


いすず「…そうですか?」


八幡「小町、いすずと知り合いだったんだな」


小町「同じクラスだしね。でもたまに話す程度だったしいきなりお兄ちゃんのところに連れてってほしいって言われた時は私もびっくりしたよ」


小町「というか1番のびっくりはお兄ちゃんが一色さんと知り合いだったことだけどね」


八幡「こっちも驚いてんだよ…姉がいるとは聞いてたがまさか一色の妹だったとは…確かに似てるなあと思う時がないこともなかったが…」


小町「名前でわからなかったの?」


八幡「苗字は知らなかったんだよなあ。あいつも言わないし」


いろは「先輩!それでどういうことですか!」


八幡「一色は少し落ち着けって…。いすずとは…まああれだ…なんかこう…偶然出会っていろいろあってこうなったわけだ」


いろは「適当すぎて全然わからないんですが!?」


八幡「てかいすず。なんか用あったんじゃないのか」


いすず「あ、そうでした」


いすず「…」ゴソゴソ


いすず「お兄さん。これ」


八幡「ん?これは…俺のハンカチ…。ああ、そういや貸してたっけか」


いすず「汚してしまってすみません。すぐ洗いましたので綺麗になっているかと思います」


いろは「え?」


八幡「そうか。それでわざわざ届けに来てくれたのか。相変わらずそういうとこ律儀だな。ありがとよ」


いろは「ちょ、ちょっと、ちょっと待って。いすず。そのハンカチ確か休みの日に干してたよね。お父さんのかと思ってたけど先輩のなの?」


いすず「うん」


いろは「まさか…借りたのってココアパーティーの時?」


いすず「うん」


いろは「え、ええ?女の子の友達と一緒に行ったんじゃないの?」


いすず「誰もそんなこと言ってないよ」


いろは「うっ…た、確かに…」


いろは「で、でもだからってなんで先輩と…それじゃあまるでデート…」ボソ


いすず「?」


いろは「い、いつからそんなに先輩と仲良くなったの!?」


いすず「えっと…なんかこう…偶然出会っていろいろあってこうなった」


いろは「先輩と言ってること変わらないんだけど!?」


いすず「あ、お兄さん」


八幡「ん?」


いすず「昨日お付き合いしてくださったお礼に…」ゴソゴソ


八幡「お、なんかくれんのか」


いすず「どうぞ、ココアです」


八幡「いつも持ち歩いてんのかお前は…」


いすず「嫌でしたか…」シュン


八幡「い、いやいや。飲む飲む。ありがとな」


いすず「そうですか。よかったです」


八幡「はぁ…(ココア見るだけであのトラウマパーティーを思い出してしまう…)」


いろは「むぅ…」


八幡「な、なんだよ。一色」


いろは「いえ、仲いいんですね。うちの妹と。いつの間に」ムス


八幡「そうか?てかなんで怒り気味なのお前」


雪乃「一色さんわかるわ。こんな男といつの間にか自分の大切な妹が仲良くしていたら気味が悪いものね。いすずさん?大丈夫?この男に弱みでも握られてるのではなくて?」


いすず「………はい?」


八幡「突然会話に入ってきたうえすごい言われ様だな」


いろは「いすず?先輩に変なことされてない?」


いすず「…………」


いろは「すぐ通報しなきゃダメだよ。いすず可愛いから。先輩がいつ犯罪を犯すか…」


八幡「おいお前までなにい…」





いすず「お兄さんはそんな悪い人じゃないよ。お兄さんに失礼なこと言わないで」キッ





いろは「えっ…」



いすず「雪ノ下先輩もです。お兄さんを悪く言うのはやめてください」


雪乃「え、あ…こほんっ…いすずさん、い、今のはその…いつものことというか…」


いすず「いつも?まさかいつもお兄さんにそのようなこと言ってるんですか?そんなに酷いことを言っておいていつも冗談だと?お兄さんが可哀想じゃありませんか。お兄さんの気持ちを考えたことはないのですか?まさかお兄さんが優しいからなにを言っても軽く受け流してくれるとでも考えてたんですか?自分のことを悪く言われて傷つかない人間がいるとでも?」


雪乃「えっと…うぅ…」


八幡「(ああっ…あの雪ノ下が今までないぐらい小さくなってる…)」


結衣「あ、あのね!違うの!ゆきのんとヒッキーのはいつもそういうノリっていうか…」


いすず「ノリ?ノリでお兄さんを傷つけるような言葉を浴びせ続けてるのですか?まさか由比ヶ浜先輩も?この部活はお兄さんを傷つけるためにあるのですか?」


結衣「ち、ちが…あ、あの…」


八幡「ちょ、ちょっまった。ストップだ、いすず」


いすず「ですが…」


八幡「本当に。俺は大丈夫だから。マジで」


いろは「い、一回落ち着いて!いすず!」


いすず「………」


いすず「ふぅ……すみません。少し取り乱しました」


いすず「先輩に対して言葉が過ぎました。すみませんでした。雪ノ下先輩。由比ヶ浜先輩」


雪乃「え、ええ…」


結衣「う、うん…」


八幡「……」


いろは「……」



シーーーーーーーーーーーーーーーーーン




八幡「(やべえ…なにこの空気。やばいマジでやばいなんかもう…死にたい…)」


小町「あ、ああ!も、も、うこんな時間!お、お兄ちゃん!早く帰らなきゃ!」


八幡「(おお…天使よ…!)」


八幡「そ、そうだな。いすず。ハンカチ…返しに来てくれてありがとな」


いすず「いえ、お礼を言うのはこちらです」




八幡「じゃあ…その…また明日」







ドア ガララ バタン






いすず「さて、用はすみましたし、私も帰ります。今日は突然お邪魔してしまいすみませんでした」


雪乃「いえ…気にしなくていいのよ…」


いすず「では失礼します」


いろは「あ、待って。私も一緒に帰る!」














いろは「いすずがあんなに怒るとこ初めて見たよ」


いすず「…私、怒ってた?」


いろは「うん。ものすっごく。かなり怖かったよ」


いすず「…そう」


いろは「先輩たちはね。不器用なだけなんだよ。確かに………あはは…特に雪ノ下先輩と先輩の会話は側から見たら…ちょっとというかかなりアレなとこもあるかもだけど。凄く…本当に仲の良い3人なんだよ。だから安心して」


いすず「そうなんだ。ごめん…私…」


いろは「いいっていいって!ほ、ほら早く帰ろ?お腹すいたし!」


いすず「うん…」


いすず「私もお兄さんのことを貶してしまったことあるし人のこと言える立場じゃなかったなあ…」


いすず「……」




いすず「なんで私…あんなに…」




いすず「………お兄さん…」
















いすずがあんなに怒るところを初めて見た




いや




いすずがあんなに「他人」を庇って怒るところを初めて見た



あれほど「怒り」という感情を表に出した姿を初めて見た


昔からいすずは、他人に対してどこか無関心なところがあった



だから私はあの時、本当に驚いた


そして同時に私の中で、なにかが渦巻いていくのを感じた


これは何?


……なんでこんなに…モヤモヤするの…




ねえ、いすず


なんであんなにも先輩を庇って怒ったの?


あなたにとって先輩は…





どんな存在なの?









……………………


……………


………


……







ー 数日後 ー





雪乃「比企谷くん」


八幡「ん?」


雪乃「その…いすずさんは…どうしてるのかしら?」


八幡「え、なんで俺に聞くんだよ」


雪乃「い、いえなんでもないわ」


雪乃「…」


八幡「(ああ…この前のこと気にしてるわけね…)」


八幡「最近話してないな。バッタリ会った時も顔を赤くしてココア投げて逃げてくし。なんか怒らせるようなことしたかな…」


結衣「ココア投げてくるんだ…」


八幡「小町が言ってたが最近のいすずはなにかをずっと考え込んでるような顔してるらしい」


雪乃「そ、そう。悩みごとでもあるのかしら?」


八幡「それは知らんけど。まあ…なんだ、機会があればまた奉仕部に遊びにでもきてもらうか。会えたら俺が言っとくよ」


雪乃「っ!…そ、そう。そうね。ここは部活動をする場所であって遊ぶ場所ではないのだけれど…たまにはいいかもしれないわね。ええ」


八幡「はいはい」フフフ


雪乃「なにを笑ってるのかしら…。きょ、今日の活動はここまでにはしましょう」


結衣「ふぃ〜おつかれ〜」


八幡「お疲れってお前…紅茶飲んで携帯イジって雪ノ下と駄弁ってただけだろ…」


結衣「むぅ〜ヒッキー細かい!」



ドア ガララ



いろは「せーんぱい!」


八幡「また来たのか…」


いろは「もう、そんな嫌そうな顔しなくていいじゃないですか〜」


八幡「で、なんだよ」


いろは「一緒に帰りましょう!」


八幡「やだ」


いろは「やった!では行きましょう先輩!ではでは、みなさんお疲れでーす」


八幡「あの話聞いてます?聞こえてる?」


いろは「聞いてません!聞こえません!レッツゴー!」


八幡「…はぁ…もういいや…」















いろは「せんぱいせんぱい!クレープですって!食べましょうよ」


八幡「なんかどんどん家から遠ざかってる気がするんだが」


いろは「そんなこと気にしないで放課後デートを楽しみましょうよ!」グイグイ


八幡「いつからデートになったのこれ…おい、引っ張るな。痛い」


いろは「ふふふ」ズイ


八幡「…お、おい。なんか近いぞ。もっと離れろよ」


いろは「ええ〜いいじゃないですか別に〜」


八幡「あざとい。離れろ」


いろは「嫌で〜す♪」


八幡「……なんか変だぞ今日のお前」


いろは「っ……な、なにがですか?」


八幡「妙に強引というか…いやいつも強引だけど。なんなの?俺のこと好きなの?」


いろは「は?なんですかそれ口説いてるんですか?先輩のような勘のいい先輩は嫌いです。あ、でもやっぱり大好きですごめんなさい」


八幡「もう何言ってんのかわからん…とにかく俺はもう帰るぞ。小町が心配する」


いろは「先輩のケチ〜」


八幡「ケチじゃない」


いろは「待ってくださいよ〜」


八幡「待ちません」


いろは「もうちょっとだけ…」


八幡「じゃあな。一色も気をつけてかえ…



いろは「…ちょ、ちょっとぐらいいいじゃないですか!!!!」



八幡「っ!」ビク


八幡「い、一色?」


いろは「あっ…す、すみません。私…」


八幡「…ふぅ……なんかあったのか」


いろは「いえ、別になにも…」


八幡「嘘つけ。おかしいぞ本当に。今日の一色は…いや正直言うと今日だけじゃない最近ずっとだ」


いろは「……」


いろは「本当に…すみません…でした。私、帰ります」タタタ




八幡「お、おいっ」




八幡「一色……」
















いろは「ハァ…ハァ…」


いろは「…」



なにやってるんだろうか私は


強引に連れ回して…先輩にあんな大声で…


あはは…嫌われちゃったかな…

嫌われてもおかしくないよ




ーーーなんか変だぞ今日のお前


ーーー今日だけじゃない最近ずっとだ



変…だよね。やっぱり。

自分でも思う


今の私はどこかおかしい


胸の奥がずっとモヤモヤしている。なんなんだろうこれは


落ち着かない


落ち着かない





私は…焦ってる…?





いろは「とにかく明日先輩に謝らないと…」




先輩に嫌われるのだけは…絶対やだ…





いろは「ただいま…」


いすず「おかえり。お姉ちゃん」


いろは「ああ、うん。ただいま…」


いすず「…?……なんか元気ない?」


いろは「そ、そんなことないよ!お姉ちゃん元気元気♪」


いすず「うわあ…あざと…」ヒキ


いろは「そんなに引かなくいいじゃん…」


いろは「いすずの方こそ最近元気ないんじゃないの?」


いすず「え、なんで?」


いろは「なんかボーっとしてたり考え込んでそうな時多いよ最近」


いすず「そ…うか。……うん。そうだね。考えてた」


いろは「大丈夫なの?」


いすず「うん。もう大丈夫」


いすず「ねえ…お姉ちゃん」


いろは「ん?」






いすず「悩みごと…があるんだ。迷惑じゃなければ相談に乗ってほしくて…」






ドクンッ……





いろは「……っ……」


いすず「お姉ちゃん?」


いろは「あ、ううん。なんでも…」




なに今の…




いろは「そ、相談だよね。もちろんいいよ。私はあなたのお姉ちゃんなんだから!」




ダメだ




いろは「なにを……悩んでるの?」


いすず「えっと…。実はさ…私…」






いすず「好きな人…ができたみたい」





ドクンッ




まただ

なんで、なんでこんなに





いろは「へ〜……好きな人…か」





いろは「……………どんな人?」



ダメ

ダメだ

聞いちゃダメだ



いすず「………それは」



嫌だ

言わないで

お願い




お願いッ!!言わないでッ!!





いすず「お姉ちゃんも知ってるよね。お兄さん……比企谷八幡先輩…だよ///」






いろは「………あっ……」




いすず「口にするのは恥ずかしいね…///」


いすず「……お姉ちゃん?どうしたの?大丈夫?」


いろは「えっ…?あ、あ、うん…」


いろは「そ、…そうか…先輩なんだ…」


いろは「いすずの好きな人…」


いすず「う、うん…///」


いすず「ずっと考えてた。その結果私はあの人のことを1人の男性として好意を持ってる…そうわかったの」


いろは「そう…」


いすず「こんなこと初めてで…。どうしたらいいかわからない…だからお姉ちゃんに相談に乗ってほしくて…」




いすず「お姉ちゃんなら恋愛上手だし好きな人もすでにいるみたいだし、お姉ちゃんにしかこんなこと頼れないの」




いろは「…」ズキッ


いろは「……」


いすず「…ねえ、お姉ちゃん?本当に大丈夫?具合悪いの?」


いろは「あはは…大丈夫。大丈夫…だよ」


いろは「そっか…。好きな人か。最近なんか怪しいなあとは思ってたけどね」


いすず「そうなの?」


いろは「姉の目は誤魔化せません」


いすず「さすがだね…やっぱりお姉ちゃんはすごいね」


いろは「…初めて…だね」


いすず「……うん///」


いろは「これは…」




いろは「これは姉として全力で応援しないとね!まずはお祝いしないと!妹の初めての恋愛を祝して!」




いすず「恥ずかしいからやめて」


いすず「応援…してくれるの?」


いろは「もちろん!」ニコ





私は笑顔でそう返事をした

あはは…



本当に笑顔なの?



今の私は本当に笑ってるの?


わからない。なんで、どうしたの、目の前が、世界が真っ暗になっていく


私は今、どんな顔してるの?



いすず「相談とか迷惑じゃないかな?」


いろは「姉妹なのになに言ってんの。大船に乗ったつもりでお姉ちゃんに任せない!この恋愛百戦錬磨のお姉ちゃんに!」


いすず「うん…ありがとう」


いろは「あ、ごめん…お姉ちゃん…ちょっと電話しなきゃだった…。部屋いくね」


いすず「わかった。お姉ちゃん」


いろは「なに?」


いすず「本当に…ありがとう。私、頑張るよ」ニコ













いすずが最後に感謝の言葉を私に向けた時の笑顔はとても純粋で


私のことを…本当に慕ってくれてるようだった



いすずが先輩のことを話す時の照れた顔はとても初々しくて


先輩のことが…本当に好きなんだとわかった





妹に初めて好きな人ができた


生まれた時からずっとみてきた私の大切な、とても大切な妹


大好きないすずに



こんなに喜ばしいことはない


ないのに。ないはずなのに


なんで


なんでなの


なんで今の私は笑っていないの?


喜んでいないの?


なんで…





いろは「うっ…ぅぇ…なんで…なんでよりによって……先輩なの……ぅう…うぅううう…」




なんでこんなに涙が止まらないの









……………………

……………

………

……










ー 昼休み ー






八幡「おっ」


いすず「こんにちは。お兄さん」


八幡「今日はココア投げてこないんだな」


いすず「……屋上行きましょう」


八幡「…?……はいよ…弁当取ってくるわ」


いすず「はい」
















八幡「……」モグモグ


いすず「……」パクパク


八幡「(なんか…今日はずっと無言だなこいつ…)」


いすず「お兄さん」


八幡「(最近悩んでる感じだったし、やっぱなんかあったのか)」


いすず「お兄さんっ」


八幡「え、あ、なんだ?」


いすず「実はこんなものがあるのですが…」


八幡「…ん?クッキー?」


いすず「はい。作りました」


八幡「マジか」


いすず「マジです。お兄さんに食べてもらおうと思いまして」


八幡「は?なんで俺に?」


いすず「それは…とにかく食べてみてもらえませんか?」


八幡「……いいのか?…じゃあ…」モグモグ




八幡「んん、おお、美味いな」




いすず「そうですか…よかったです…」ホッ


八幡「(ココア味だな。どこまでもココアだないすずは)」


八幡「形もいろいろあるし、よく作ったな」


いすず「昨日初めて作りました。お姉ちゃんに教わって」


八幡「ああ…そういや一色はお菓子作りとか上手だったか…続のゲームの時もあいつのクッキー美味かったしな」


いすず「続?ゲーム?」


八幡「そこはツッコむな」


いすず「…」


八幡「どうした?」


いすず「私とお姉ちゃんのクッキー…どっちが美味しいですか?」


八幡「え…。そんなどっちって言われてもな…なんでそんなこと聞くんだ」


いすず「……いえ、すみません。忘れてください。どうぞ、もっと食べてください」


八幡「あ、ああ…」


いすず「それでお兄さん」


八幡「ん?」モグモグ


いすず「私に惚れましたか?」


八幡「ブファッ!…ゴホッゴホッ」


いすず「なにやってるんですか。ココアどうぞ」


八幡「お前がいきなり変なこと言うからだろっ」


いすず「失敗ですか…お姉ちゃんの言った通りやはり一筋縄ではいかなさそうですね…」


八幡「お姉ちゃん?なんの話してんだ」


いすず「いえ、お気になさらず。そろそろ戻りましょうか」


八幡「もうそんな時間か。いすず、クッキーありがとな。美味かったよ」


いすず「…惚れました?」


八幡「だからなんなんだそれ…」















ー 下校時間 ー






いろは「あっ」


八幡「ん?おお、一色か。今日は珍しく部室来なかったな」


いろは「せ、先輩…。ちょっと生徒会が忙しくてですね」


八幡「そうか。ちゃんと働く時は働いてんだな」


いろは「む、当たり前です。私は生徒会長なんですから」


いろは「それより先輩、今日もいすずと一緒にお昼ご飯食べたんですか?」


八幡「え?まあ…そうだな」


いろは「あんまり人の妹をたぶらかさないでくださいよ〜」


八幡「おい、言い方。人聞き悪いだろうが」


いろは「…今日、いすず何か言ってましたか?」


八幡「何かって…そういや惚れましたか?とか変なこと聞かれたな」


いろは「うわぁ…ストレートすぎだよ…」ボソボソ


八幡「ん?」


いろは「はぁ…いえ…」


いろは「そうだ、いすずのクッキー食べたんですか」


八幡「ああ、一色が教えたらしいな。すげえ美味かったわ」


いろは「美味しくて当たり前です。いすずが先輩のために愛を込めて作ったものなんですからね!不味いなんて言ったら蹴り飛ばしますよ」


八幡「物騒だなおい…。てかなんで急に俺にクッキーなんて…」


いろは「なんでって…それはあの子が…」


いろは「…(先輩のことを)」ギュ


いろは「…」


八幡「おい…、おい一色っ」


いろは「っ!は、はい。なんですか先輩」


八幡「なんですかじゃないだろ。急に黙って。どこか苦しいのか?」


いろは「苦しい?何言ってるんですか。べ、別に私は…」


八幡「…」




八幡「なあ一色。クレープ…食べに行くか」




いろは「は?…ク、クレープですか…?」


八幡「前に食べたい言ってたろ」


いろは「い、言いましたけど。どうしたんですか突然。先輩から誘ってくるなんて…」


八幡「いや…まあ…なんだ。俺もクレープ食べたくなっただけだ」


いろは「そ、それだけですか?」


八幡「それだけだ。なんだよ。嫌ならいいぞ。帰るから」


いろは「嫌なんて言ってないじゃないですか!いいですね、行きましょうクレープ!ずっと食べたかったんですよあそこのクレープ!楽しみですね〜。何味にしようかな」ニコニコ


八幡「……ふっ…」


いろは「な、なんですか笑って」


八幡「いややっぱ一色は笑ってる方がいいな」


いろは「は?なんですかそれ口説いてるんですか先輩にしてはイケメンなセリフでけっこうガチめにキュンときましたけどよくよく考えたら先輩なのでやっぱり気持ち悪いですごめんなさい」


八幡「もう完全に罵倒なんだよなあ…」


いろは「不意打ちは卑怯ですよ…///」ボソ


八幡「あ?」


いろは「そ、それより何味がいいですかねクレープ!」


八幡「マックスコーヒー味とかねえかな」


いろは「それはないと思いますけど…」



八幡「…ん?」


いろは「どうしました?」


八幡「あれは…」





いすず「……」





八幡「あいつ校門の前でなにやってんだ。誰か待ってんのか」


いろは「いすず…」


八幡「まあいいか。行こうぜ一色」


いろは「…」


八幡「…一色?」


いろは「…すみません…。私ちょっと用事…思い出しまして」


八幡「え、クレープはいいのか?」


いろは「はい…それはまた今度…いえ、そう…だ。そうでしたクレープは友達と食べに行く約束してたんです…」


八幡「なんだ、そうだったのか」


いろは「はい。だからあの…すみませんでした」ダッ


八幡「あ、おい…」


八幡「一色…」


八幡「(また…辛そうな顔してたな…)」














いすず「あら、お兄さん。偶然ですね」


八幡「いや誰もが通る校門の前にずっと立たれてたら偶然もなにもないだろ…なにやってたんだ」


いすず「お兄さんを待ってました」


八幡「え…なんで」


いすず「今から遊びませんか」


八幡「は?俺と?」


いすず「はい、お兄さんとです」


八幡「…寄り道してるとお前の家の生徒会長が怒るぞ」


いすず「なにしてるのですか。早く行きますよ」


八幡「……聞いてないし…(たまに姉に似た強引さ出てくるな…)」


八幡「てかどこ行くんだ…」


いすず「お姉ちゃんが言ってたのですが最近できたクレープ屋さん人気らしいですよ。食べてみませんか?」


八幡「えっ…」


いすず「どうかしました?」


八幡「あ、いや…」




ーー友達と食べに行く約束してたんです…





八幡「………そうだな。行ってみるか」


いすず「ココア味とかありますかね」ニコニコ


八幡「ふっ…やっぱココアなんだな…」


いすず「お兄さんこそどうせマックスコーヒー味ないかとか………〜〜」








いろは「……」


いろは「ふふふ…いすずったら…あんな楽しそうな顔しちゃって」


いろは「…」ズキ






いろは「………先輩……」





いろは「私は…」








……………………


……………


………


……










それから少し月日が流れていった



私は約束通り、妹の、いすずの悩みを聞き入れ


たくさんのアドバイスをした



あの子ったら、本当に恋愛に関してはダメダメで…まあ初めてのことだし仕方ないのかもだけど

とにかく不器用だ



先輩も相変わらず捻くれていて他人の悪意には敏感なくせにこういうことはだけはダメダメで



でも、いすずは諦めなかった

いすずは何があっても、ただ素直に、直向きに、先輩を、彼を、比企谷八幡を想い続けている




私は、そんな妹の幸せを願い

妹を応援し続けた






私の胸の奥にいまだ潜む

1つの感情を隠し続けて

押し殺して…









……………………


……………


………


……







ドア ガララ…






いすず「失礼します」


結衣「あ、いすずちゃん!やっはろー!」


いすず「やっはろーです」


いすず「こんにちは、お兄さん」


八幡「ああ…おう、なんか用か」


いすず「一緒に帰りましょう」


八幡「…またか」


いすず「ダメですか?」


八幡「いや…ダメとかじゃ…ないが」


いすず「良かったです」ニコ


八幡「…はぁ…(毎回…そう素直に笑顔を向けられると気恥ずかしいな…)」


いすず「雪ノ下先輩。よろしいですか?」


雪乃「ええ、どうぞ。どちらにしろもう帰宅時間になることだし」


いすず「では行きましょうかお兄さん」


八幡「はいよ」


いすず「あ、お兄さん」


八幡「ん?」


いすず「今週のお休みの日なのですが…〜」














結衣「いやあもうほぼ毎日だね」


雪乃「そうね、慣れてしまったわ」


結衣「ヒッキー…まだ気づいてないのかな?バレバレだと思うんだけどなあ、いすずちゃん」


雪乃「…難しいでしょうね。なにしろ比企谷くんだから」


結衣「あはは…確かにヒッキーだしね」



結衣「…そーいえば…」



結衣「…」


雪乃「由比ヶ浜さん?どうかしたの?」


結衣「いや…さ。いすずちゃんで思い出したんだけど…」




結衣「いつからだっけ、いろはちゃんが…この部室に来なくなったの」




雪乃「……」


雪乃「いつから…だったかしらね…」

















いすず「ただいま」


いろは「あ、おかえり!いすず」


いすず「お姉ちゃん、聞いて」ズイ


いろは「ど、どうしたの?」


いすず「休みの日にお兄さんと出かけることになった」


いろは「え?ほんと?やったじゃん!デートじゃん!」


いすず「デ、デートになるのこれ」


いろは「デートがしたくて誘ったんでしょ?」ニヤニヤ


いすず「そ、それは…そうだね…///」


いろは「もう照れちゃって可愛いなあ」


いすず「からかわないで///」


いすず「お姉ちゃん…その…また服とか…」


いろは「お姉ちゃんに任せなさい!最高にオシャレにしてあげるから」