2017-09-30 22:37:41 更新

概要

【瑞鶴とのケッコン未だ為さざる提督諸氏は閲覧注意】


前書き

だから、なに? は「やさぐれ」を意せず、「続きは?」「もっと」に繋がる。













 ——好きになることに、理由はいらない。ただ、好きにさせることには理由がいる。——それもとびきり、大きくて強いものが。






「~~~~~♪」



 手持ち無沙汰な時は、決まって私はここにいる。提督が先導して作ったこの「娯楽室」は、その小さい規模に見合った出入りがされているらしい。ただどうも、漫画本の類は駆逐艦の子たちが占有して回し読みしちゃってるみたい。


 だからなのか、私がいる視聴ブースには滅多に誰もこない。まだまだ、提督が望む享受の程度には至ってないから? それがどうであれ、この状況はとても居心地がいいわ。何って、ただの独占欲よ。



『——I'm alright. I'm just fine. And you're a tool. So, so what? I am a rock star! I got my rock moves, And I don't want you tonight♪』



 この曲がとても大好き。海を隔てた向こう側の女性歌手が歌う歌で、羨ましくらいに強く勇ましい歌。アカペラでだって歌えるくらいには聴き込んでしまったわ。


 こういった曲を聴けば、私たちの全般的な程度がよく知れる。つまり、私たちはちっとも強くない。しみったれた郷愁を謳う、男女のデュオで? クソ食らえよ。人生をテンプレート化してんじゃないわよ。クソみたいな欲望をさらけ出した方が面白いのに、どうしてそうも型を作りたがるのかしら? なんて嗚咽のように批判がこぼれ出してくる。


 ……あ、強くないからまとまりに打開策を求めるのか。



『He's gonna start a fight. We're all gonna start a fight!!』



 つまりこういうことね。それだから、あの時だって簡単に負けた。精神精神言っといて、そこからすでに負けてるじゃないの……自虐くらいさせて欲しいものだわ。


 曲目が変わる。今度の曲は、失恋の歌。



『Pictures framing up the past. Your taunting smirk behind the glass. This museum full of ash. Once a tickle, Now a rash♪』



 だけど、まったくそんな感じにはさせられない。『今では発疹が出る』? いいじゃない、そういうの! 戦争はクソだ、大和魂でクソができるか、叫び倒してやりたいわ‼



「————ぁ! っあ……」



 き、聞かれてないわよね? この時間、誰もいないはずだし……あ、焦ったあ。



「でも、私も元々こういう考えを持っていたのよね……なんか、変な気分だわ」


「そうか。変な気分で言うなら私もそうだ」


「ウェッ⁉ いつから⁉」


「『クソができるかー!』ってとこから、だな」



 ほ、ほとんど全部じゃないのよ……ッ!



「な、それで何よ! 私は今日は非番でしょ⁉ デリカシーが無いにもほどがあるわ!」


「……オイ、仮にも公共の場でクソを叫ぶヤツにそんなことを言われる日が来るとは思わなかったぞ」


「……ゥ」


「まあ、それは置くとして、今日はいつもの『イタズラ』が無かったからさ、どうしたものかとお前を探していたんだよ」



 ——ッは、イタズラ、か。確かに、そんな受け取り方をされてもおかしくはないわね。






 ——好きにさせるには、理由が、大きな契機がいる。誰かに振り向いてもらえる女の子は、大概そうだった。あ、いや、私がそれを真似たことは無いわよ? ただ、それ以上のものをお見舞いしたくて、そのつもりで提督に「接して」きた。


 それは、曰く「イタズラ」らしい。は、どうにも、話のネタ作りのためにも聴いてきたこの音楽は意味が無いってことじゃない。


 あなたと「同じ」を繰り返してきて、感化されて、やっと「同じ」楽しさを分かち合えそうな時に、なんだってコイツは……ッ!


 ……はは。これじゃ、まるでクソだわ。散々けなしてきたクソと同じ、そこらのクソ。私も、そういう風にできていたってワケね。






 無造作にも、手のひらで頭をはたかれた。






「ッたぁ……何すんのよ‼」


「『何すんのよ‼』はこっちのセリフだ。私の気も知らないで、一人で慰みなんかしてるんじゃない」


「な、慰みだなんてしてな……」



 そこで私ははじめて、提督の顔をマジマジと見た。いつになく真剣で、だけど赤みを帯びた顔を。



「いいか瑞鶴」



 その顔で近づいてくる。高尚なロック音楽や騒然とした賑やかさが何も無い、沈黙の中をかき分けて。この場にふさわしいメロディは何なのか、頭は後付けを求めるかのごとく雑事を考え出す。それはたぶん、提督の言葉だ。



「お前の姿を見て、お前の考えを知って、お前の成長を感じて、お前の想いを感じることは、紛れもなく私の在りように色を付けてくれた。何色かは考えたことが無いが、きっとお前のことだ、奇麗な色なんだろう」



 それは私の全てだった。その私の全てが、提督に意味を与えていた? そんなのもう——



「——好きだ、瑞鶴。これからも、お前の全てを感じさせてくれ」



 ——そういうことに他ならないじゃない。


 距離が更に近づく。10,9,8,7,6,5,4,3,2,1。






「ぁ、ん――――」






後書き

以下に英語歌詞の曲情報などをば☺

『——I'm alright. I'm just fine. And you're a tool. So, so what? I am a rock star! I got my rock moves, And I don't want you tonight♪』『He's gonna start a fight. We're all gonna start a fight!!』
↑ P!nk『So What』
『アタシは平気、ホントだし、アンタなんてただの道具なのよ。だから何? アタシはロックスター。ロック魂の赴くまま生きてるんだから、今夜あんたに一緒にいて欲しいなんて思ってない』『アイツ、ケンカをはじめるみたいね。アタシたちもやるわよ‼』

『Pictures framing up the past. Your taunting smirk behind the glass. This museum full of ash. Once a tickle, Now a rash♪』
↑ P!nk『Funhouse』
『写真は過去を写す。アンタのクソみたいなニヤケ顔がグラス越しに写ってる。このファンハウスはホコリに塗れてる。昔は楽しい場所だったけど、いま見てみたら発疹が出る』


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SS好きの名無しさんから
2017-10-06 10:19:44

SS好きの名無しさんから
2017-10-01 06:33:32

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SS好きの名無しさんから
2017-10-01 06:33:33

このSSへのコメント

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1: SS好きの名無しさん 2017-10-01 06:32:13 ID: HDEdXMK8

すまぬ。初めの部分でぼのぼのかな?
と思ってしまった。
ぼのぼのとずいずいの三角関係のものかなと勘違いしてしまったよ。


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