2017-10-11 11:32:56 更新

概要

鎮守府に着任した艦娘も増え、さらに他鎮守府の艦娘達からもチョコを貰った提督。
しかし、来月は仕事で立て込んでいて・・・


困った・・・


皆から2月14日以降から今にかけてチョコを貰った。


チョコを見ると、くれた艦娘の個性がわかる。


金剛だと紅茶味チョコ、秋月だとおにぎり型チョコ。 村雨だと、性格を反映してか甘く苦いチョコ・・・


最近では着任した艦娘が増え、それに比例してチョコの数が増えた。


海外艦の艦娘たちも皆の真似をして、酒チョコだったり、本命なのかハート形チョコ、軍人気質の反映か銃型チョコなど、


机から落ちてしまう程の量のチョコを貰った。


何の縁か知らないが、この鎮守府以外の他の鎮守府からも何故かチョコをたくさん貰い、オレは頭を悩ませている。


と言うのも、3月に入ってから出撃任務やら書類整理等多忙な日が連続して続き、普段は3月10日前後に「お返し」を


作っているはずなのだが・・・今日は13日。


作る予定の時間も多忙な仕事に追われ、結論を言うと・・・「お返しが出来ない」。


・・・どうしたものか・・・


一部の艦娘、霧島や秋月は「お返しは気にしないでください」とは言っているが、


貰ったものはお返しをするのが鉄則・・・やはり何か考えなければいけない・・・


う~ん・・・どうしよう・・・う~ん・・・どうしたものか・・・


提督は13日の深夜から朝までずっと悩み続けていた。


・・・・・・


14日の朝になり、


「ダメだ・・・思い当たる当てがない。」


散々悩んだ結果・・・苦渋の決断をする。


「皆は失望するかもしれないけれど・・・返さないよりはマシかな。」


そう言って提督は執務室から出て行った。


・・・・・・


「サラトガ、今日は何の日か知ってる・」


「今日? う~ん・・・何の日かしら?」


「3月14日は・・・提督から「お返し」が貰える日よ!」


「お返し? ああ、チョコのお返しね、すっかり忘れていたわ。」


「もう皆起きている頃だし・・・一番に貰いに行こうかしら。」


「こらこら・・・提督は今月はずっと多忙で執務室から出ていなかったでしょう? お返しなんて考える余裕なんて


 なかったんじゃない?」


「OH~! そう言えばそうね! じゃあお返しはないってこと? 何かがっかりね~。」


「それ以上にあげたから返せなんて言ったら嫌われるわよ? 私たちは進んで渡したのよ? 


 提督から「ちょうだい」なんて一言も言ってないのよ。」


サラトガは以外にも冷静で納得のいく説明をする。


「う~ん、そうね・・・ならお返しは考えないで、挨拶しに行ってくるわ!」


何も考えていないのか単純なのかアイオワは部屋から出て行った。


「そっか・・・今日はホワイトデーだったわね。」


・・・・・・


「司令! おはようございます!」


霧島が執務室に入って来て、


「あら? 司令? どこに行かれました?」


辺りを見回すが、提督の姿が無い。


「・・・もしかして厨房かしら。」


心当たりがあるのか、霧島は厨房へ向かった。


「厨房にもいない・・・」


もしかしたら、何か調理しているのかもと思って、来てみたものの・・・提督の姿は見当たらず、


「・・・そのうち戻ってくるでしょう。」


霧島は気にもせず執務室に戻っていった。


・・・・・・


「おはようございます、提督!」


今度は村雨が入って来て、


「司令は今留守にしていますよ。」


代わりに霧島が答えた。


「そうなんですか・・・ちょっとがっかり。」


村雨はしょんぼりしていて、


「提督からのお返しを期待していたんだけどなぁ~。」


村雨の言葉に、


「村雨さん、忘れたんですか? 司令は今月から今日まで全く外出すらできなかったことを・・・」


「・・・そうでしたね。 私ったら・・・何で忘れているんだろう。」


村雨は舌を出した。


「つまり、今月のお返しは無いってことですよね?」


「はい・・・それは皆も知っているはずですよ?」


「ですよね~・・・でも、提督の事だから何か用意してるんじゃないかなぁ~って期待してたんだけどなぁ~。」


「・・・・・・」


村雨さんの気持ちはわかる・・・司令は私たちの予想と全く違う行動をしますからね・・・ですが、今回は・・・


「それで村雨さん・・・用件はそれだけですか?」


「はい・・・お邪魔してすいません。」


そう言って村雨は執務室から出て行った。


提督の考えとは裏腹に、霧島たちは意外としっかりしていた。


普通なら、ビスマルクや駆逐艦なら「何で無いの(よ)!」と反論してくるはずだが、提督の今月の多忙さから


今回は素直にないと、諦めざるを得ない・・・と、各自思っているようだ。


そう考えると霧島やサラトガは立派な大人である。


・・・・・・


もちろん、霧島みたいに素直に納得する艦娘がいるわけでもなく、特にビスマルクとガングートはとにかくうるさかった。


「ギブ・アンド・テイクでしょ! 提督からは何も無いってわけ!? それでも男なの提督は!」


「与えられたら返すのが鉄則だろう? それを無いだと? 今回は提督の負けのようだな!」


「・・・・・・」


うるさいわねこの2人・・・司令の言う通り、ただのガキね。 外に放り出そうかしら・・・


霧島が不満に思っていると、


「ただいま~。」


提督が帰ってきた。


「おかえりなさい、司令! ・・・ってどうしたんですか、その荷物は!?」


提督の両手にはサンタクロースが担ぐプレゼント袋のように大きな買い物袋を背負っていた。


「悪いが、今日は執務仕事を休む。 明日やるから進めるところでいいから進めておいてくれ。」


そう言って、提督はその場から去った。


・・・・・・


食堂が立ち入り禁止になっていて、今日の食事は珍しく外食となった。


「提督が食堂に籠っているようなんですけど・・・」


「恐らく・・・お返しでも調理しているんじゃないですか?」


「あ~なるほど~。」


「気にしないでくださいと言ったつもりなんですが・・・司令はどこまで言っても律儀ですね。」


「お返しかぁ~・・・何だろう?」


期待しているのか村雨は心を躍らせる。


「あくまで私の予想ですよ・・・本当は新作メニューを考えているだけかもしれませんし・・・」


「新作メニュー・・・まぁ、それでもいいかな♪」


「・・・・・・」


要は司令が作ったものなら何でもいいのね、村雨さんは・・・


・・・・・・


翌朝、食堂の壁には張り紙がしてありました。



3月14日に渡すはずだった「お返し」を今月は多忙のため、各1人ずつに渡すことが出来ず申し訳なく思う。


今月は全員同じものを返すという事で、張り紙下に表記してあるスイーツを皆に振る舞おうと決めた。


期間は15日~18日の間とする。 



「・・・・・・」


なるほど、各一人に渡すことが出来ないから皆、全員同じ内容にしようと考えたのですね。


流石司令! 私たちが想像する以上のお方です。


「気にしないでください」と言った本人が何故かお返しを待ち望んでいた。


・・・・・・


「何? 提督がお返し? ふん、当たり前のことでしょ!」


「ふむ・・・流石の提督も私に何も返さないと危険だと判断したんだろ、ははは・・・」


「・・・・・・」


相変わらずの2人・・・霧島は完全に無視をしていた。


2人は張り紙を見るなり、食堂へ向かって行った。


・・・・・・

・・・



「うむむ・・・提督をやめてパティシエに転職すればいいのではないか!?」


「なかなかね・・・提督も3個までって・・・でも、お腹いっぱいね。」


さっきまで威勢の張っていた2人が急におとなしくなって出て行った。


その後、他の艦娘たちも食堂へ入っていき、ある艦娘は満足そうな笑みを、ある艦娘は「まだ食べたい!」と言い、


ある艦娘は・・・放心状態だった。


「・・・・・・」


流石に気になる霧島・・・


ただ霧島は多忙のため、結局行った日は最終日の18日であった。


・・・・・・


最終日の18日、


霧島は村雨や秋月たちを連れて食堂へ向かった。


この鎮守府以外の艦娘達にも一応チラシを渡したところ、期間中に食堂に寄っていたことが分かった。


全員満足そうな笑みを浮かべ、「来年も機会があれば食べたいです。」と、とても好評のようだった。


「何が出るんですかね・・・秋月も同席していいのでしょうか?」


場所は食堂なのだが、高級感を出すために提督が電気を暗くしたり、黒いカーテンを掛けたりでロマンチックな雰囲気にしていた。


それを見た秋月が不安になったのだ。


「大丈夫ですよ秋月さん、ここは食堂ですよw」


「さてさて・・・何が出るのかなぁ~♪」


村雨もわくわくしていた。


食堂に入る前に事前にスイーツを選ぶ決まりだったので、霧島たちは何が出るかは知っているはずなのだが・・・


※ちなみに秋月は、「ほとんど見たことがありません」と言いつつ、ためらいながら「ティラミス」を選んだ。


「はい、秋月はティラミス、霧島はクレープ・・・そして村雨はチョコケーキね。」


霧島たちの目の前にスイーツが置かれ、


「では、いただきましょうか。」


そう言って最初は秋月が、


「・・・はむ。」


スプーンですくって口に含んだ。


「どうですか秋月さん? 初めてのお味は?」


「・・・とっても濃厚で・・・おいしいです!!」


秋月は感激し、


「では、私も~・・・はむ・・・お、おいしい~♪」


村雨もニッコリ笑顔で、


「あらあら・・・では、パクッ・・・おや、中はチョコソースで・・・おいしいですね~♪」


霧島も満足げだった。


こうして、提督の機転でホワイトデーのお返しは何とか上手くいったのであった。


・・・・・・


それからと言うもの・・・


ホワイトデーが終わったにも関わらず、何故か要望が来るようになった。


いつもは1人1人に貰ったチョコを模してお返しをしていたが、


今回は多忙で作れず、止む無く全員に決まったスイーツを出して機嫌を取ってもらおうと思った結果、


「こっちの方がいい!」と言う意見が過半数を占め、意外と好評だった。


「それなら年に1回じゃなく月に1回とか!」と


勝手に艦娘たちに決められてしまい、当の提督は苦笑するのであった。


当然のことながら、その要望は提督に速攻却下されたとか・・・




因みに理由として・・・材料費が掛かる・今回はたまたまで普段は作る時間がないんだってw










「提督とバレンタインデー」2 終










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トキヤですさんから
2019-01-27 16:39:19

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2017-10-11 15:05:41

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2017-10-04 18:49:16

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2017-10-11 15:05:52

芝犬さんから
2017-10-04 18:49:21

このSSへのコメント

1件コメントされています

1: 芝犬 2017-10-04 18:49:13 ID: P4AeModQ

このSS面白くなっていく。はっきりわかんだね


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