2017-10-18 23:34:32 更新

概要

とある夏の昼下がり。
建設関連のアルバイトをしていた青年は、不運にもコンクリートの壁の下敷きになってしまう。
はっとして目を覚ますと、そこは彼のよく知る世界ではなく、なんとあの『艦娘』と『深海棲艦』がリアルに戦争をしている世界で・・・。


前書き

久方ぶりの投稿です。

前作同様、ファンタジー要素&オリジナル要素満載のストーリー展開になる予定なので、そういった話が苦手な方は即刻ブラウザバックをお願いします。



少し長めのプロローグ



 最初に俺が「あれ?」と思ったのは、病院のベッドの上で目醒めた時だった。

 あんなに大きなコンクリの壁の下敷きになったにもかかわらず、身体には痛みもなければ目立った外傷もない。

 

 枕元にあったカレンダーを見ると、どうもあれからまだ1日も経っていないようだった。



 (まあ……痛くないに超した事はないか。ラッキー!)



 全くの無傷だった事には流石に疑問を覚えたが、その時の俺はラッキーとしか考えていなかった。


 そして軽く検査を受けた後、明日退院してもいいという医者からのお墨付きももらった。

 俺としては今日帰りたかったけど、念のためって言われちゃ頷くしかない。



 「あーあ、入院とかほんと怠いわ。飯も不味いし、暇だし」



 ブツブツと文句を言っていると、ちょうど見舞いに来ていた母親が意味深な事を言い出した。


 

 「このご時世、何があるか分からないんだから。身体には気使いなさい」


 「? へーい」



 何があるか分からないってほど、日本てそんな物騒じゃなくね?とは思ったけど、ミサイルを乱発してる国もある事だし、あながち間違っちゃいないか。



 「他に何か持って来て欲しい物とかある?」


 「いや、もう平気」


 「明日朝10時に迎えに来るから。支度だけはしといてね」


 「おっけー」


 

 とりあえず携帯だけは持って来てもらったから、何とか退屈しないで済みそう。

 俺はベッドに寝そべりながら、いつも通り『艦これ』を起動しようとした。


 しかし・・・。



 「あれ、艦これがない。何で?」



 ホーム画面に登録してあるはずの艦これが、いつの間にか消えて無くなっていた。

 仕方なくDMMのページから飛んでログインしようとするも、どういうわけか『艦これ』というワードが見当たらない。


 頭の中に疑問符を量産しながら、俺は『艦これ』と検索をかけた。



 「……は? どゆことこれ」



 検索した結果。

 画面に表示されたのは『艦これ』に一致するウェブページは見つかりませんでしたという、意味不明な文字の羅列だった。

 


 (いや、おかしいだろ。意味分からないんだが)



 イライラしながら、別のワードで検索をかけることにした。


 検索したワードは『艦これ 叢雲』

 叢雲とは、ゲーム内に登場するキャラクターの1人で、俺が最も信頼を寄せるキャラクターだ。

 普通の検索結果であれば、叢雲というキャラクターの情報が細かく載せられたサイトが出てくるはず。


 だが、現実はそうじゃなかった。

 結果は先ほどと同様、一致するウェブページは見つかりませんでしたという文字の羅列。


 俺はとうとう携帯を放り投げた。



 「死ねよクソが。意味分かんねーな」



 思わず暴言を吐いてしまったが、どうか許して欲しい。それだけ俺は『艦これ』にハマっているのだ。



 「はぁ……何なんだまじで……」



 俺は枕元にあったリモコンに手を伸ばし、テレビをつけた。

 時間は夜の7時前。時間も時間だからニュース番組ばかりだろうけど、つけないよりはマシだ。



 『速報です。 先ほど、太平洋上にて "深海棲艦" と "艦娘" が交戦したとの情報が入りました』


 「……えっ?」


 『経過は不明ですが、政府は冷静に対処していけば問題ないと強気の姿勢。"艦娘" の皆さんも、国民の安全のために全力を尽くしてくれているそうです』

 

 「はい??」



 このキャスターさんのおかげで、さっきまでのイライラが一気に吹き飛んだ。

 それと同時に、自分の心臓がどんどん高鳴っていくのが分かる。思わず、口から吐き出しそうなぐらいに。



 「いやいや待て待て待て待て、まだそうと決まったわけじゃないだろ。一旦落ち着こう」



 落ち着く前に、指で頬をつねってみた。かなり強く引っ張ったせいか、ズキズキと頬が痛む。

 まあでも、これで夢じゃないということは確認できた。


 次に俺は、放り投げた携帯で『深海棲艦』と検索をかけた。

 すると今度は、一発で検索結果がずらっと表示された。 



 「まじかよ……まじか……」



 ここまでいくと信じるしかなくなる。


 艦これをプレイしてる人なら、誰もが一度は想像するだろう。

 もしも『艦娘』が本当に存在したら・・・と。


 それが今、信じがたい事に俺の目の前で現実に起こっている。

 多分死んだわけじゃないから、よくある転生ってやつじゃない。



 「てことはパラレルワールドか。まさか過ぎるだろ……」



 まだだいぶ心臓がバクバクしてるけど、何とか理解した。

 俺はどうも『艦娘』と『深海棲艦』がリアルに戦争してる世界に来てしまったらしい・・・。






一章 艦娘との出会い


【1. 提督になるために】



 艦娘と深海棲艦がリアルに存在する世界に来てから、一週間が経った今日。

 かなり唐突だけど、俺はいよいよ本当の非日常の中へと、足を踏み入れようとしています。



 「やべ、めっちゃ緊張する……」



 場所は防衛省、正門前。

 何で俺がこんな、一般市民とは無縁の場所にいるのか。理由は一つしかない。


 そう——『提督』になるためである。



 『提——裏側——か——中に——』


 「何て書いてあるんだこれ……霞んでて読み辛いわ……」



 携帯画面に表示された『ようせいにもじんけんを!』という、わけのわからんサイトに目をやりつつ、正門へと足を進める。

 正門には警備の人はいなくて、変わりにメガネをかけた女の人が立っていた。

 

 あれ、何かこの人どこかで見た事あるような・・・。



 「……合言葉を」


 「え?」



 思わず間の抜けた声をあげてしまった。

 多分、このサイトのキャッチフレーズ的なものの事を言ってるんだと思う。



 「えっと、ようせいにもじんけんを? で合ってますか……?」


 「正解です。どうぞ、案内します」


 「あ、ありがとうございます」



 合ってたらしい。ほんの一瞬だけど、女の人の顔が明るくなった気がした。


 うん、やっぱりこのサイトはただ胡散臭いだけで、ちゃんと『提督』を募るための物だったんだ。

 いやぁ、色んな人に相談したかいがあったよ・・・。

 

 俺がこのサイトを見つけたのは、今から三日ほど前。

 あらかたこの世界の情報を集め終えた俺は、最後に『提督』について調べようとしていた。


 提督っていうのは、簡単に言ってしまうと艦娘を指揮する人間の事だ。

 もっと簡単に言ってしまうと、野球やサッカーの監督みたいな人の事を言う。

 艦娘は提督の指示によって動き、そして深海棲艦と戦う。いわば、艦娘にとって必要不可欠な存在。


 そんな国にとっても艦娘にとっても、超重要な役職の事がまさかネットに載ってるとは、俺も正直思ってなかった。

 だから調べて見事ひっかかった時は、ちょっと複雑な気持ちになったよ・・・。


 いや、俺だって提督になれたらそりゃ嬉しいけどさ。でもこの世界はリアルに深海棲艦と戦争してるわけだし。

 よくある創作物の主人公みたいな補正も俺には無いっぽいから、この世界に来ても普通の生活を送ってたんだよね。


 ただ、どうもこのサイトは検索しても、ひっかかる人とひっかからない人がいるらしい。

 その時点ではまだここに来る気にはならなかったけど、偶々ひっかかった知人たちに、文字が霞んでて全く読めないって言われちゃ、来る気にもなるよね。もしかしたらって期待しちゃうでしょ、普通。


 てなわけで俺はここにいる。

 あ、もう一度念押ししとくけど、別に本気で提督になれるとは思ってないからね?



 「ここです。少々お待ち下さい」


 「あ、了解です」



 メガネの女性は、第一会議室と書かれた扉の前で止まると、扉をノックして中へと入って行った。


 さてさて、これからどうなる事やら。

 まあ俺もそこまでバカじゃないし、艦これ経験者としては色々と想像はついてる。

 

 俺は待ってる間、再び画面に表示されたサイトに目をやった。

 


 「これ絶対妖精が絡んでるだろ。読める奴と読めない奴がいて、読める奴が提督になれる的な奴だわ絶対」


 

 確かそんな設定の創作物があった気がする。

 まだ確定したわけじゃないけど、俺の予想通りなら結構熱い展開かもしれない。



 「ほぉ、ウチらの事を知ってるのかい。こりゃたまげた」


 「! へ?」



 突然、どこからか声が聞こえてきた。

 通路には誰の姿もなく、扉も閉まったままだ。



 (え、気のせいじゃないよな……)


 「下だ下。鈍い奴だな」



 言われた通りに下を見る。

 そこには手のひらサイズの人形が立っていて、じっと俺の事を見ていた。 



 「悪いが、その扉開けてもらえるか。"大淀" の奴、ウチに気付かないで行っちまったからよ」


 「……ん?! え?!」



 在り来たりだって思うかもしれないけど、人間理解不能な場面に遭遇した時って、誰でもこうなるんじゃないかな。

 少なくとも、俺はそう信じてます・・・。



 「お待たせしました。どうぞ中へ」


 「ほれ、行くぜ兄ちゃん」



 いつの間にか、手のひらサイズの人形は俺の肩まで登って来ていた。

 まあその時は頭の中が真っ白になってたせいもあって、全然気付かなかったけど・・・。


 俺は何とかメガネの女性の言葉を聞き取り、部屋の中へと足を踏み入れた。










【2. 俺にも若干補正かかってる説】



 部屋の中は文字通り、ちょっと広めの会議室だった。

 中にはスーツを着たおじさんが一人、イスに座って何やら書類に目を通している。


 

 「大臣、お連れしました」



 メガネの女性がおじさんに声をかけると、彼は書類から目を離し、俺の方を見て言った。



 「おお、来てくれましたか。ささ、どうぞおかけください」


 「あ、はい」



 言われた通り、イスに腰を下ろす。

 うん、流石は防衛省の会議室。イスの座り心地が大学の教室と全然違う。


 と、俺はここでようやく、手のひらサイズの人形が自分の肩にいる事に気が付いた。



 「わっ!!」


 「ははは! 兄ちゃん、背高いな。実にいい眺めだったよ」


 

 何を呑気な事を・・・どでかい虫が止まってるのかと思って、超絶びっくりしたんですが。



 「それが普通の反応ですよ。誰だって "妖精" が顔の直ぐ横に現れたら腰を抜かしてしまうでしょう」


 「! 妖精……?」


 「大臣、その話はまだ早いかと。先ずはどうしてここに来てもらったのか、その説明から入るべきです」


 「それもそうですね。ああ、それと大臣はやめてください。私はあくまでも臨時の身なんですから」



 そんなのどっちでもいいよと思いつつ、俺は『妖精』と言うワードで再度、頭がいっぱいになっていた。

 

 

 (妖精……これが……)


 「そんなにジロジロ見るなよ。照れ臭い」



 やばっ、ぼーっとし過ぎてガン見しちゃってた・・・。

 でもなんか、リアルで見ても意外と可愛い気がするのは俺の気のせいだろうか。



 「どうやら、妖精との意思疎通も完璧のようです」


 「今の我々にとっては貴重な人材ですね」



 ここで男はコホン、と一つ咳払いをすると、再び俺の方を見て静かに喋り始めた。



 「さて。だいぶ話が反れてしまいましたが、そろそろ本題に入ってもよろしいでしょうか」


 「は、はい。お願いします」



 そういえばまだ何の説明も受けてないんだった。

 まあ何となく何言われるか想像はついてるし、ここは黙っておく事にしよう。



 「おっと、その前に自己紹介がまだでしたね。私の名は小野寺、一応代理で防衛大臣を任されています」

 

 「! あ、えっと……俺、あ、自分は神城 信吾って言います!」


 「ぷふっ! 噛みすぎだよ兄ちゃん」



 俺の顔の直ぐ横で、妖精がケラケラと笑い出した。

 同時にほんの一瞬だけど、メガネの女性まで口元が緩んだように見えた。


 いやいや、そんなに笑わなくてもよくない?

 パラレルワールドに飛ばされちゃうとかいう超非現実的体験をしたとはいえ、こっちの世界でも艦これが好きなただの大学生なわけで。

 そんなただの大学生が、自己紹介でいきなり防衛大臣なんて言われちゃ、そりゃ焦るってもんですよ。


 いやぁ、大臣て何の事?って思ってたけど、まさか目の前のおじさんが代理とはいえ防衛大臣だったなんてね。

 正直な話、今緊張感ハンパないです。



 「そんな緊張しなくても大丈夫ですよ。先ほども言いましたが、私はあくまでも代理ですから」


 「は、はいっ」


 

 気を使われてしまったみたいだ・・・。

 やばい、ほんと一旦落ち着こう。さっきから色々起こりすぎて、頭の中の整理が追いついてない。


 俺は小さく、周りに気付かれない程度に深呼吸をした。

 ふぅ、ちょっと落ち着いたかも。


 大臣(代理)の自己紹介が終わると、次にメガネの女性がペコリと俺に向かって一礼した。

 そしてせっかく落ち着いた俺に、衝撃の一言。



 「大淀です。主に対深海棲艦対策の作戦立案、オペレータなどに従事しています」


 「……」



 うん、何となくそんな気はしてた。

 さっきは色々あり過ぎて全然気付けなかったけど、そもそもよく聞けば声がまんま大淀さんだもんな。

 加えてどこかで見たようなその格好と、全く違和感のない綺麗な佇まい。コスプレにしては次元が違い過ぎる。


 やべぇ、これがリアル大淀さんか。めっちゃ美人だ・・・。


 

 「あ、あの、大丈夫ですか……? 先ほどからぼーっとされてますけど……」


 「! あ、はい、大丈夫です。すみません」


 

 危ない危ない、またぼーっとしちゃってた。

 まあでも、こればかりは仕方ないって事で許して欲しい。だってあの大淀さんが、現実に俺の前に立って喋ってるだもん。


 あ、別に変な目では見てないからね? それだけは神に誓います。



 「なあ兄ちゃん、気が付いてるか?」


 「え?」



 不意に俺の肩の上にいる妖精が、大淀さんの事を見て言った。

 ていうか、まだそこにいたのか・・・。


 俺は妖精の問いかけに、わざと自信なさげに答えた。



 「えっと、大淀さんが艦娘……ってこと?」


 「へへっ、流石だな。やっぱ兄ちゃん、只者じゃないだろ」


 「いや……普通の大学生だよ」



 嘘はついてない。こっちの世界でも普通の大学生だったし。

 ただ少しばかり『艦娘』と『深海棲艦』、ついでに『妖精』の知識は持ってるけどね。



 「では自己紹介も終えたところで、早速本題に入るとしましょう。大淀さん、神城さんに資料を」


 「はい」



 そうだったそうだった。そういえばまだ本題にすら入ってないんだった。


 

 「どうぞ」


 「あ、ありがとうございます」



 大淀さんは手に持った紙を数枚、俺に渡してくれた。

 いやぁ、やっぱ美人だわ大淀さん。もう大淀さんと話せたってだけでお腹いっぱいだもん。

 

 俺は今日ここに来てよかったと改めて実感しながら、大淀さんから渡された紙に目をやった。

 紙には案の定、深海棲艦の事やら艦娘の事、妖精の事など、調べても絶対に出てこないだろう様々な情報が細かく記載されている。


 やべ、また心臓がバクバクし始めたぞ・・・。



 「神城さんも既にご存知の通りだとは思いまずが、日本は今 "深海棲艦" という未知の敵の脅威に晒されています。ある日突然、日本の排他的経済水域内に現れたそれらは、日本を恐怖のどん底へと追いやりました」



 そう、これが今から約2ヶ月前の話らしい。

 どうも俺は多々ある艦これの創作物の中でも、中々シビアな設定の方の世界に来ちゃったみたいだ。


 まあでも、その割には世の中結構回ってるみたいなんだよな。

 友達も家族もそんな「もう日本は終わりだ」的悲壮感が漂ってたわけでもなかったし。

 この辺は予想だけど、情報規制でもかけてるのかね。


 俺は再び紙に目をやった。

 そんな日本の大ピンチの最中、深海棲艦とほぼ同時期に現れた、これまた正体不明の存在。

 それが、在りし日の艦艇の魂を持つ娘たち——『艦娘』である。と、ここには書かれている。



 (おお、かっけえ……! いやー、これが現実なんだもんな。未だに信じらんねえよ)


 

 さらにこう続いている。

 

 通常兵器ではほとんどダメージを与えられなかった深海棲艦に対し、艦娘の持つ『艤装』と呼ばれる兵装でなら、有効的なダメージを与えられる事が分かった。

 何より、艦娘の身形は我々と何ら変わりなく——



 「おい兄ちゃん。熱心なのは構わないが、少しは大臣さんの話も聞いてやったらどうだ?」


 「!」



 妖精に言われて俺はハッとした。

 どうやら大臣が今話している内容よりも、ずっと先の方を読んじゃってたらしい。


 大臣はまだ深海棲艦が現れてからどうのこうのと、資料の全然序盤の話をしていた。



 「ははっ、ほんと面白い奴だな。あ、ちなみにウチの声は大臣さんには届いてないから、そこは安心してくれていいよ」


 (なるほど。てことは俺にも若干、補正かかってる説濃厚か……? これ)



 あまり期待はしてなかったけど、もしかしたら俺にも地味な補正がかかってるかもしれない。

 創作物では、転生したり別世界に飛ばされた主人公にはよくある設定だ。


 そんな事を頭の中で色々考えてたら、大臣の話がようやく艦娘の話へと移った。

 流石にここから先はちゃんと聞く事にしよう。










【3. 現実はそんなに甘くない】



 「以上ここまでが、深海棲艦についての大まかな説明になります。唐突過ぎて中々理解が追いつかないとは思いますが、一応頭の隅に入れておいていただきたいのです」


 「あ、はい。大丈夫です」


 

 深海棲艦についての説明は、俺の持ってる予備知識とあまり変わらない内容となっていた。

 

 例えば。深海棲艦相手に通常兵器による攻撃では、効果的なダメージは与えられないという点。

 これはもうね、多々ある艦これの創作物を読み漁ってきた俺にとっては、常識みたいなものだった。


 他にも、現時点で確認されている深海棲艦の種類や、出現ポイント等々。

 出現ポイントに関しては違う箇所もあったけど、種類については俺の知ってるものと全部同じで安心した。

 

 うーん、これ俺の知ってる知識も大臣に話した方がいいかな。

 いや、でも「何でお前がそんな事知ってるんだよ」って絶対なるよね。やっぱ今はまだ黙っとくか・・・。



 「では大淀さん、ここから先の説明はお任せします」


 「了解しました」



 おっと、色々考えるのは帰ってからにしよう。

 先ずはこの世界に飛ばされた俺が、どこまでやれるのか見極めなくちゃ。

 

 大淀さんはメガネをクイッと上げ直すと、小さく咳払い。

 そしてその綺麗に澄んだ瞳を、俺の方へと向けた。


 

 「改めまして、"軽巡" 大淀です。どうぞよろしくお願いします」



 そのままペコリと一礼。

 反射的に目を逸らしちゃったけど、俺も慌てて頭を下げる。


 そんな俺のコミュ障全開なありさまを見てか、大淀さんはわずかながらの笑みを漏らした。



 「ふふ、神城さんには隠す必要はなさそうですね」


 「えっ……?」 

 

 「一体いつから気が付いていたのですか? 私が "艦娘" だという事に」



 さて、俺はこの問いに何と答えればいいのだろうか。

 艦これをやってる人なら誰でも知ってますよ、なんて言えるわけもない。


 考えてても仕方がないので、俺は在り来たりの返答をした。



 「そ、その……何となく、です」


 「なるほど。何となくで分かるものなのですね」



 ごめんなさい大淀さん、嘘です。

 でも本当の事を言っても余計に話がややこしくなしそうだから、今はこれで勘弁してください・・・。



 「いやぁ、私には普通の人間とまるで区別がつきませんよ。やはり分かる人には分かるのでしょうね」


 「ええ。またいいデータが取れました」



 大淀さんは満足気にまたメガネをクイッと上げ直すと、俺に資料の二枚目を見るよう促した。

 二枚目は主に、艦娘についての説明が細かく記載されている。



 (ぱっと見、こっちもそんな変わったところはなさそうだな……)



 俺はホッと、胸をなでおろした。

 ここが違ってくると、俺みたいなただの大学生が『提督』になるなんて、夢のまた夢の話になってきちゃうからね。

 

 まあ提督にはなれなくても、せっかくこんな世界に来れたんだし、せめて艦娘たちの手伝いぐらいはしたい。だからこそ、俺の持ってる予備知識との相違点には、ちゃんと目を凝らす必要があった。


 大淀さんの説明は今、艦娘はどのような存在で、一体何なのか? といったところに入っている。

 大丈夫、ここは問題なしだ。



 「……不思議な方ですね。普通こんな話を聞かされたら、多少の不安や疑問といった感情が、表情に現れるはずなのですが……」



 大淀さんから、若干の驚きと疑問の目線が俺に向けられる。 



 「あ、いや、正直驚いてます。はい」



 唐突過ぎて思わず棒読みになってしまった・・・。

 でも仕方ない、俺嘘つくの下手くそだし。それにこの状況、次に何を言われるのかワクワクすらしてるからね。


 大淀さんは資料に目を戻すと、再び艦娘についての説明をしてくれた。

 うん、やっぱり変わってるところはない。全て俺の知ってる艦これと同じ設定だ。



 「ここまでで何か質問はありますか?」


 

 一通りの説明が終わったところで、俺に質問できる機会が与えられた。

 でも質問しようにも、聞きたい事をそのまま聞くわけにもいかないんだよな・・・。


 ただ流石に何も質問しないのは怪しすぎるので、俺は今回も在り来たりな反応で乗り切る事にした。



 「えっと、ちょっと理解が追いついてないです。すみません……」


 「いやいや、こちらこそ申し訳ありませんでした。いきなり何の説明もないまま、非日常的な話を一方的に聞かせてしまって」



 ここで大臣の優しいフォロー。大臣、ありがとうございます・・・。


 よくよく考えてみれば確かに、他の一般人が聞いたら絶対理解不能だろうなと、俺は思った。

 何の事情も知らない人が、こんな艦娘やら深海棲艦の説明を詳しくされたところで、疑問符を頭の中に量産する事は目に見えている。

 

 まあ多分、だからこそのあの謎サイトなんだろうけど。

 


 「神城さん、一つ確認してもよろしいですか?」


 

 と、大淀さん。

 俺は直ぐに「はい」と返答した。



 「神城さんはネットから、このサイトにアクセスした。そしてその内容も見る事が出来た。それは間違いないですか?」



 大淀さんは俺に、さっきまで俺が開いていた例の謎サイトを見せてくれた。

 やっぱり文字は霞んだままで、ところどころ読めない箇所がある。


 

 「はい、そうです。でも文字は霞んでるところがあって、全部は読めませんでした」


 「……了解しました。ありがとうございます」


 「なんだ、これ読めないのにウチとは会話出来るのか? 本当に面白い奴だな」



 俺の肩の上でくつろぐ妖精が、少し驚いたように口を開いた。

 やっぱり俺の予想通り、あの謎サイトは妖精が絡んでたらしい。


 今度は大臣が俺の方を見て言った。



 「しかし今日、神城さんは指定された時間にここへ来れています。条件はクリアと見ていいでしょう」

 


 大臣の言う条件とはおそらく、提督関連の事だろう。

 大淀さんもメガネをクイッとやりながら「ええ」と頷いた。


 いよいよか、と俺は思った。

 俺がこのサイト名と同様に読み取る事が出来た「提督になりたい人集まれー!」とかいう怪しさ全開の文字の羅列。

 

 実際本当だったわけだけど、こんなのネットで流して大丈夫なのだろうか。

 するとその疑問が伝わったのか、妖精がご丁寧に解説してくれた。



 「問題ないぜ。言ったろう? このサイトはウチらが作ったんだ。ちゃんとした仕掛けも施されてる」



 なるほど。つまりそれが、サイトにつながる奴とつながらない奴がいた理由ってわけか。

 妖精は更に続けて、



 「ていうかそれ以前に、誰も提督についてなんて調べようとは思わないだろ。ウチらとしても、誰か引っかかるなんて思ってもなかったぐらいだ」



 確かに、それもそうだよな。

 ネットやテレビで大々的に報道するのならともかく、普通に暮らしてれば提督というワードに縁のある人なんて、ほとんどいないだろう。


 ん? いや待てよ。でも海戦系のゲームをしてればその可能性もなくはないか・・・?

 現に俺だって、艦これをしてなかったら知らなかったと思うし。


 

 「どうですか、大淀さん。あなたの目から見て神城さんは」


 「色々と変わった方ではありますが、少なくとも悪い方ではないでしょう。妖精にも好かれているようですし、これなら大丈夫だと思います」


 「ふむ……あとは神城さん次第、というわけですね」



 俺が頭の中で、提督というワードを調べるに至った経緯を考えてた間の、大臣と大淀さんの会話。

 神城 信吾という一人の人間を見極めた結果、彼なら問題ないと二人は判断した。



 「神城さん。今日この場へ来れたあなたを見込んで、私からお願いがあります」


 「は、はいっ」



 大臣が俺の目を見て言った。

 

 やばいな。代理とはいえこの国の防衛大臣が、俺みたいな一般人にお願いがありますって。

 もしかして俺の思ってるよりも、日本てピンチなのか?


 心なしか、部屋の空気がさっきまでより重々しく感じる。



 「我々は現在、艦娘の皆さんの力を借りてようやく、深海棲艦と互角に戦えている状態です。しかし、実際にはテレビやネットで報道されているほど、戦況は思わしくありません」



 やっぱりそうだったか。俺って察しだけは無駄にいいよな・・・。

 大臣は更に続けて言う。



 「それはなぜか。艦娘の皆さんを、正しい方向へと導く事が出来る指揮官が不足しているからです」



 つまり、俺のよく知る『提督』や『司令官』と呼ばれる立場の人間が足りない、というわけだ。

 

 でもそんな、一般人から募るほど足りないのかなとも思う。

 この国には自衛隊と呼ばれる組織もある事だし、人数不足って事は流石にないんじゃ・・・。


 さりげなく大臣に聞くと、あっさりと首を振られてしまった。



 「当然、最重要事項は深海棲艦の排除です。しかし、それだけに集中し過ぎては他が疎かになってしまいます。誠に残念ながら、問題は深海棲艦だけではないのです」



 難しい現実を突き付けられる大学生、まだまだ勉強が足りないという事を実感させられました・・・。

 


 「もちろん、自衛隊の皆さんにも協力してもらってはいます。ただ、先ほども言ったように人数が足りないのです。艦娘を正しく導く事が出来る、そんな素質を持った人間が」


 「素質……ですか」


 「ああ。ちなみに、ウチと話せるって事もその素質ってやつの一つだぜ」



 横から妖精が口を開いた。

 中々俺の都合のいいように話が進んでいく。ここまで都合がいいと、逆に疑り深くなりそうだ。


 まあ今はとりあえず、大臣の話に耳を傾ける事にしよう。


 

 「そこで、一般市民からも素質を持った人間を募る事にしました。当然、極秘裏にですが。もう既に何名かは対深海棲艦対策基地、通称『鎮守府』にて働いてもらっています」


 (! 鎮守府……)


 「神城さん、あなたにもその素質が十分備わっているという事は確認出来ました。神城さんがよろしければ、その力。ぜひ鎮守府で役立ててはもらえないでしょうか?」



 大臣の目がまっすぐ俺を捉える。

 大淀さんも、ただじっと大臣の話を聞いて、そして俺の返答を待ってるように見えた。


 俺の答えはもう決まっている。

 俺が今日ここに来たのは、この世界でただのほほんと暮らすためじゃない。



 「じ、自分は大丈夫です。こちらこそよろしくお願いします」



 頑張って平常心を装うも、やっぱりキツかった。

 相変わらず全身の毛は逆立ったままだし、心臓もバクバクとうるさい。


 はぁ、おかげで意味の分からない返事の仕方になっちゃったよ・・・。

 

 

 「いえいえ、よろしくお願いするのはこちらの方です。本当にありがとうございます」



 俺は「ふぅ」と心の中で一息ついた。

 一先ず、この世界に来ての第一目標はクリアだ。

 提督にはなれなくても、鎮守府で働いてれば他の艦娘を見る事も出来るし、俺の持ってる知識も役立てる事が出来る。


 未だ俺の肩の上にいる妖精も、何やら嬉しそうだ。



 「へっ、兄ちゃんならそう言うと思ったよ。よかったな大淀、これで第六鎮守府も本格的に動けるぜ」

 

 (? 第六鎮守府……?)


 

 どうもこの世界では、横須賀鎮守府や呉鎮守府みたいに、地名じゃなくて番号で呼ぶみたいだ。

 ていうか、もう配属の話する? 俺まだ心の準備とか色々出来てないんですが。

 


 「……大臣、神城さんは第六鎮守府に配属なされるのですか?」


 

 妖精の話を聞いた大淀さんが、大臣に尋ねた。

 いやいや、だから早いって!



 「そうですね……でもその前に、神城さんにも色々と都合があるでしょう。それに、具体的な仕事内容の説明も手続きもまだです。後日また改めて、その話をする事にしましょう」



 こうして後日、またこの防衛省を訪れる事が決まった。

 気が付くと時計の針は午後の五時を指し示しており、俺がここに来てから早四時間が経とうとしていた。

 

 いやぁ、こんなに濃い四時間を経験したのは多分生まれて初めてだよ、うん。

 でもこれから、もっと濃い経験をする事になるんだろうな。


 そう思うと不思議とどこからか、ワクワクと興奮といった感情が湧き上がってきた。

 そんな湧き上がる感情を何とか押し留め、簡単に帰り支度を整える。


 さてと、帰ったら今日手に入れた情報を色々と整理しなくちゃな。

 俺は大臣に一礼し、第一会議室を後にした。



 





 「はぁ……」


 

 第一会議室から出た俺は、小さいとも大きいとも言えないため息を零した。

 結構長い時間、椅子に座って話を聞いていたせいか、どこか体が窮屈に感じる。



 「どうした兄ちゃん、そんな長いため息なんか吐いて」



 加えて妖精がずっと俺の肩の上にいた事で、緊張で姿勢がずっと同じままに固定されてしまっていたのも痛い。

 当の本人は全然知らん顔してるけど。



 (いつまでいる気なんだ……俺もう帰るんだけど)

 

 「随分と気に入られたものですね」


 

 突然、後ろから声がした。

 はっとして振り返ると、そこには会議室にいたはずの大淀さんが立っていた。


 

 「妖精や艦娘である私を見ても、少しも驚かれない方は初めてです」



 俺と妖精の交互に目をやりながら、大淀さんは微笑んだ。

 その微笑みは作られたものではなく、現実に生きている人間がする表情そのままだ。

 

 そんな大淀さん見て、俺は反射的に頭を下げてしまった。

 直視するのが恥ずかしいと感じてしまう辺り、俺はやはりコミュ障なのだろうか・・・。


 

 「門まで送ります」


 「あ、いや。大丈夫ですよそんな」


 「個人的に聞きたい事もありますから。それに神城さんも、今は私しかいません。先ほどは聞けなかった事も、私の可能な範囲でお答えしますよ」


 

 ギブ&テイクってやつだ。

 でも、俺にとってはありがたい話だった。何より、大淀さんと少しでも話せるってのが大きい。


 正門までの短い距離の中、俺は大淀さんの申し出に甘える事にした。





 



 建物の外に出ると、外はようやく日が傾き始めている頃だった。

 夏の真っ只中という事もあって、夕方でもやはり暑い。俺は早くも、冷房の効いた建物内が恋しくなった。


 大淀さんからされた質問は、案の定返答に困る質問ばかりだったけど、妖精が横から話を逸らしてくれたおかげで、何とか上手く誤魔化す事が出来た。

 それにしても、さすが大淀さんだね。話してて俺よりずっと、頭がいいって事が痛感させられたよ・・・。


 

 「神城さんも、今のうちに聞いておきたい事はありますか?」



 正門が迫る。

 俺は迷いに迷った結果、さっき妖精が言ってた第六鎮守府の事を聞く事にした。 



 「うーん……じゃあ第六鎮守府? ってどんな場所、とか聞いても大丈夫ですか?」 


 「ええ、構いませんよ」



 大淀さんは快く承諾してくれた。

 一番聞きたかった事はこれじゃないけど、まあ鎮守府の事を知っておいて損はないだろう。

 


 「第六鎮守府は、つい先日新設されたばかりの鎮守府です。主に船団の護衛や資材の確保、後方支援などに従事しています」


 「ま、兄ちゃんにも分かるように言うとだ。裏方みたいな仕事がメインの基地って感じだな」


 

 横で妖精のフォローが入る。

 要するに、出撃があまりないって事か。

 


 「えっと、艦娘の人は何人ぐらいいるんですか?」


 「現在は駆逐艦が二人のみです」


 「うわ、結構少ないですね……」



 思ってたよりだいぶ少なかった件について。

 二人だけじゃ鎮守府って回らなくね? これからもっと増えるのかな。


 あっ、そういえばこの世界って同一艦は存在するのだろうか。

 一応これも聞いておかないとな。



 「あの、大淀さん。大淀さんは一人だけ……ですよね?」


 「は?」


 

 あからさまに怪訝な顔をする大淀さん。

 俺は直ぐに「何でもないです」と、慌てて謝った。


 頼むよ大学生、語彙力足りなさ過ぎるぞ・・・。



 「ははっ、大淀はここにいる大淀一人だけだぜ。今のところ、同一艦の存在は確認されてないよ」



 と、妖精。

 大淀さんはハッとした様子で言った。

 


 「あ、そういう意味だったのですね。申し訳ありません、理解が追いつきませんでした」


 「いや、悪いのは100パーセント俺ですから……ほんとすみません」


 「ははっ、ほんと只者じゃないな兄ちゃん。同一艦の事なんてどこで聞いたんだ?」


 

 妖精の問いかけに、俺は小声で答えた。

 


 「え、えっと、そういう設定のゲームがあって……」


 「ゲームねぇ……ま、そういう事にしといてやるか」


 

 妖精の怪しげな目線が俺に向けられる。

 でも嘘はついてないからね、うん。


 そしてここで正門に到着。

 俺は門を出る前に、もう一度大淀さんに一礼した。



 「ここで大丈夫です。ありがとうございました」


 「いえ、こちらこそ」



 そう言って大淀さんは、ニコッと微笑んでくれた。

 ダメだ、やっぱり直視出来ない。大げさかと思われるだろうけど、それだけ大淀さんの笑顔が眩しいのだ。



 「またな兄ちゃん」



 肩の上にいた妖精も、いつの間にか大淀さんの肩の上に移動していた。

 重さをほとんど感じないから、いるかいないか分からないんだよな・・・。


 俺は妖精にも一礼すると、早々に我が家への帰路を歩き始めた。






 


 「いやぁ、面白い兄ちゃんだったぜ。大淀もそう思うだろう?」



 神城信吾という一人の青年の後ろ姿が見えなくなると、不意に妖精が口を開いた。



 「ええ、そうですね」


 「ありゃ何かあるな。ウチの妖精としての勘がそう告げてる」


 「……」



 大淀も薄々、そんなようなものは感じてはいた。

 妖精や、艦娘、深海棲艦といった不確かなものを前にしても、彼の態度には明らかな余裕があった。


 まるで、最初から何もかもを知っていたかのような、そんな風にさえ思わせる。

 今度会った時は、その辺の話もゆっくり聞いてみたいものだ。


 大淀はそう心の中で呟きつつ、妖精と共に建物の中へと戻って行った。








 その日の夜。

 俺は自分の部屋で、今日あった出来事を頭の中で振り返っていた。

 

 未だに信じられないような体験を、今日一日だけで経験し過ぎた気がする。

 全く縁のない防衛省に立ち入ったかと思えば、そこで一気に妖精と防衛大臣、更にリアル大淀さんと言葉を交わした。


 そして色々と話を聞かされ、本当に艦娘と深海棲艦が、実際に存在している世界に来てしまった事を実感させられた。

 これは夢ではなく、現実なのだと。


 そう考えた途端、興奮すると同時に怖くもなった。

 ここは艦娘と深海棲艦が、リアルに戦争をしている世界。今この瞬間にも、両者はどこかで戦っているかもしれない。


 防衛省で、大臣と大淀さんから受けた説明では、深海棲艦による詳しい被害状況などは言及されなかった。

 俺自身、考えるのを避けていた事もあって、その辺の事情はあまり把握していなかったりする。


 でもこれから先、そんな甘い考えは一切通用しなくなるんだろうな。

 深海棲艦は多分、容赦なく人間を攻撃するし、建物も壊すだろう。そして、艦娘も沈めようとする。


 あれ、考えれば考えるだけいい事がないような・・・?



 「はぁ……何でこういう時だけ、無駄に想像力働くんだよ……」



 せっかく夢にまで見た、艦娘が実際に存在する世界に来れたんだ。もっと自分にとってプラスになる事を考えたい。

 例えば、第六鎮守府にいる駆逐艦二人は誰なのか、とか。


 大淀さんがあんなに美人だったって事は、駆逐艦なんて絶対に可愛いに決まってるもんね。

 そう思うと、だんだん鎮守府に配属されるのが楽しみになってきた。


 机の上で開いているパソコンの電源を消し、画面をパタンと閉じる。

 ちょうどその時、二階から夕飯を告げる声がした。



 「ああ、そういえば何て言おうかなぁ」

 

 

 今日の事はちゃんと、親に説明しないといけない。鎮守府で働く以上、大学も通えるかどうか怪しいし。

 まあ就活を控えた大学生が、早くも就職先を見つけたんだ。多分、悪くは言われないとは思う。多分ね。


 俺はそう自分に言い聞かせながら、夕飯の香り漂う二階へと歩を進めた。




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1: SS好きの名無しさん 2017-10-11 15:03:36 ID: hOgAtLGk

とても面白いので完結まで頑張って下さい!

2: SS好きの名無しさん 2017-10-12 03:38:22 ID: uHQffUar

これは名作の予感

3: SS好きの名無しさん 2017-10-12 05:49:13 ID: dfFULvM3

妖精に愛される人は長生き出来んのだよ。拐われてしまうからねw
彼も鎮守府という檻に仕舞われちゃうのかな?

4: カープ連覇!@二航戦提督 2017-10-15 10:33:03 ID: O5dAnyfx

この先どうなるのか、私気になります!!


更新待ってます!

5: 艦これ 大好き 2017-10-15 12:58:02 ID: vOVfxdA3

私は「誠」という文字を見て「誠̪死ね」を思い出しました。

期待してます頑張ってください!

6: SS好きの名無しさん 2017-10-16 07:54:53 ID: hoZL2nPd

此はどちらかと言うと艦これより
艦これ改の方だね。難易度次第だけど。
難しいよw


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