2017-11-20 08:42:56 更新

概要

辞めたい提督と辞めさせたくない白露型の闘い。
11月19日に
5話『提督と艦娘と記憶喪失(嘘)』
6話『提督と白露型とマジギレ浜風さん』
を投稿しました。


登場人物


提督

妖精が見えるという理由だけで提督にされた。辞めたいと思っている。

幼少期からの友達で彼だけに見える深海妖精さんのアドバイスを聞いていたらいつの間にか英雄と呼ばれるようになっていた。

英雄だから余計辞めさせてもらえなくなり脱走を計画する。


白露型メンバー

提督が脱走を企てていることを知っている唯一の艦娘。

捕獲班。


時雨

提督とは喧嘩ばかりしているが実は一番仲が良い。

フィニッシュホールドはパイルドライバー。


春雨ちゃん(闇)

提督大好きっ子。

提督が粗相をするとドラム缶にしまっちゃう(閉じ込める)

艦隊最強。

主な折檻方法はドラム監禁。


山風

捕獲班の中で提督にもっとも舐められている。ちょろ風。ざる風。


悪磨さん

デビル型軽巡洋艦クマー。

ダークサイドに堕ちてしまった球磨さん。敵か味方か不明。



他随時登場。








1話、提督と時雨と夏鮫ちゃん

提督

コミケとか行きたいけど春雨ちゃんにそっち方面の理解がない為諦めている。


時雨

提督相手だと喧嘩腰になってしまうのを気悩んでいる


夏鮫ちゃん

ご主人様は麻婆春雨しか食べさせてくれない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「報告以上です!」


「ご苦労、下がりたまえ」


 1500晴れ、戦果報告を済ませた榛名を下がらせる。本日の出撃は先ほどの榛名率いる第一艦隊の帰投を持ってすべて終了した。つまりは艦むすが本日、この執務室に来る事はない。

 

 脱出チャンスだ。


 あとは俺の横でもくもくと書類に目を通している時雨さえなんとかすればいい。


提督「時雨、君も休憩に入るといい、残りは私が片しておこう」


時雨「ありがとう提督。でも秘書官として提督の傍らに居ないとだからね。提督がまだ執務を続けると言うなら僕も続けるよ」


提督「そう、窮屈な考えをするものじゃない。ほらこの間宮のアイス券をあげるから白露型のメンバーで食べてきなさい」


時雨「真面目なのも僕の個性だと思うからね。でもこの券はもらうね。後で食べにいくよ」


提督「・・・・・」


時雨「・・・・・」

 


提督「時雨てめえ、下がれって言ってんだろなに居座ってんだ?あ?」


時雨「君を一人にしたら確実に脱走するだろ?というかあからさますぎるんだよ。もう少し頭使いなよ」


提督「こんな真昼間から脱走なんてしねえよ。やるなら夜だ。あと出てかないなら間宮券返せ」


時雨「先週泳いで鎮守府から脱走しようとしたじゃないか、見つからないように100メーター潜水するとか馬鹿じゃないかい?券は返さないよ」


提督時雨『ガルルルルルル』


提督「・・・・・」


時雨「・・・・・」


提督「ケッ、トイレ行く」


時雨「お供するよ。逃げようとしたら春雨呼ぶからね」


 春雨ちゃんは止めてください・・・。


  □■□


便器に腰掛け作戦を考える。時雨がトイレの前で待ち構えている以上余り時間もかけられない。


脱走計画が失敗続きなのがここに来て響いてきた。やるなら初回で確実に。失敗を繰り返すから時雨に完全に警戒されてしまった。


時雨に信用させる為にしばらく脱走を企てるのは辞めるか?いやダメだこれ以上働きたくない。マジ無理!失礼しましたマジ無理と出てしまいました。


なら今日の脱走はあれでいくか・・・。


  □■□

 

時雨「どこに行くんだい?」


提督「駆逐艦ズのとこ。一緒にサッカーでもしようと思ってな。コミュニケーション大事だぞ」


時雨「ふーん。いい事だとは思うけどもう少し駆逐艦意外にも構ってあげた方がいいよ?駆逐艦とそれ以外で対応が違うって悲しんでる娘結構いるよ?」


提督「善処するよ」


 だって戦艦とか空母くらい成長した娘だと何考えてるかわからなくて怖いし・・・俺の何気ない行動もキモって思われてるかもしれない。マジ無理。


 『司令!今日も遊んでくれるんですか!』

 『すっぱしー』

 『ぶっぶくぶーーー!うーちゃんもやるぴょん』


 うちの卯月はぷっぷくぷーではなくぶっぶくぶーと鳴く。 らぶりー♡

 

駆逐艦ズに声をかけると俺と時雨合わせて20人が集まった。

5人×4チームでトーナメントとし対戦表は暁型+時雨VS睦月型 陽炎型+俺VS綾波型になるよう仕組んだ。天敵である白露型はハブにした。


 試合が始まるがもちろん時雨の俺への監視は緩む事はない・・・がその余裕がいつまで続くか。時雨、お前の対戦相手は


「ぶくぶくぶーーー!!」


「でた!卯月ちゃんの型のないシュート!」


「なんでお腹でトラップしたボールがシュートになるんだよ!」


そう、卯月はあのキセキの世代と呼ばれたプレイヤー達のエース。野生の感とスピードを存分に発揮しコートを走り抜ける様はまさにウサギ。こちらに注意を向ける余裕があるのか?


「卯月ちゃん今度はゾーンにはいってるよ!もう誰も止められない!」


時雨「止める!!」


卯月「お前の光は淡すぎるぴょん」


卯月はドリブルで時雨の横を抜ける。そのあまりのスピードに時雨は対応できない…はずだった。


時雨「・・・舐めるな」


時雨「絶対は僕だ」


卯月「!?」


時雨の幾重にも重ねられたフェイントに対応できずに足を絡まらせた卯月が尻餅をつく。


「ゾーンに入った卯月ちゃんが止められた!?」


時雨の身体から尋常ではない殺気が放たれる。やつもゾーンに入った。


卯月「ぴょん!ギリッ」


時雨「僕に逆らう奴は提督でも殺す」


いや、俺を殺そうとするな、関係ないだろ。

ともあれ作戦通り。時雨に強敵をぶつけ、ゾーンに入らせる。極限の集中力を卯月ただひとりに向けている。俺など眼中にない。脱走チャンスだ。


  □■□


「ぴいいいいいいい」

 試合をこっそり抜け出し抜錨ポイントにて指笛を吹く。すると1尾の鮫が近づいてくる。

 このサメは春雨ちゃんが使役しているサメで名を夏鮫と言う。ちなみに他にも冬鮫と秋鮫がいる。

 この鮫は春雨ちゃんの従順な下僕であり、春雨ちゃんが敬愛する俺にも従順というわけだ。


「んじゃ!頼むぜ夏鮫ちゃん!」


夏鮫ちゃんの背に鞍をつけその上にまたがる。乗馬ならぬ乗鮫だ。ジョーズだけに、なんてね。


「れっつご!」


 言うと夏鮫ちゃんがものすごいスピードで泳ぎだす。風を切り水を弾き進んで行く、恐らく時速50Kmは出ているだろう。


 このまま本土まで逃げきれると思ったそのとき。


 「バンっっっ」


 1発の砲撃の音。それを聞いた途端夏鮫ちゃんは震えだし迷いなくUターンをする。


「おっおい!夏鮫ちゃん!?本土まで連れてってくれるって約束したじゃん!なんで!?」


 俺の静止を聞くことなくなく先程以上のスピードで引き返す夏鮫ちゃん。その先で待ち構えていたのは。


「おかえり。提督」


 時雨様だった。

夏鮫ちゃんヒエラルキーでは山風<夏鮫<俺<時雨<<<<<春雨ちゃんとなっていたようだ。



時雨「降りろ」


提督「はい」


やっべえ・・・時雨マジおこモードだ。


時雨「いくよ」


提督「えっと、どこにでしょうか」


時雨「僕達の部屋」


提督「いや、それはちょっと・・・お仕置きなら受けるんで執務室にしてもらえません?」


時雨「いいから・・・来るっ!」


提督「え、ちょ、おわああ!!」


 時雨に頭を押さえつけられ背中から抱え込まれ逆さまの状態・・・パイルドライバー態勢で抱えられる」


提督「嫌だ・・・嫌だ・・・白露オールスターは止めてくれええええええ」


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2話、提督と山風と濡れ衣


提督

二重の極みを会得した。


山風

からかわれてばかりなので何時か提督はしばく。


夏鮫ちゃん

流石に麻婆春雨にパイナップルはNG。





 一二○○快晴、執務室の自席で書類に目を通す振りをしながら状況を整理する。


「ねえ、司令官、ごはん」

 

大体俺がここに居ること自体がおかしい。妖精が見えるからなんて理由で言葉匠に連れてきやがって、大体次の提督が見つかるまでの繋ぎって話だったじゃねえか。それがちょっと手柄あげたからって英雄扱いして辞めさせない。労基違反とかそういう問題ですらないぞ。

 白露メンツに至っては上官の俺に折檻とか言ってやりたい放題する始末。


「げしげし」


提督「山風、なに人の椅子蹴ってんだ」


山風「むし、すんな」


 今日の秘書白露は山風か・・・勝ったな。山風はちょろい。ざる。白露メンバーの中で最も脱走が容易だ。山風の日に逃げないで他の日に逃げる理由がないってレベル。ちなみに一番危険なのは春雨ちゃん。春雨ちゃんの日だけはどんなチャンスがあろうとも脱走しないようにしている。捕まったらシャレにならない。以前はドラム缶の中に次元幽閉されて3日の間白露部屋に連れていかれた。


提督「んで、なに」


山風「一二○○、ごはん食べに行こ」


提督「俺はここでカップ麺食べるから他のやつ誘いな」


山風「秘書は離れられない」


 いくらちょろ風でも流石にこんなやり方じゃダメだわな。


山風「それに皆から提督を食堂に連れてきてって頼まれてる」


提督「あ?何で」


山風「提督、駆逐艦以外と話とかしないから、皆提督に嫌われてるのかなって不安になってる。食堂にも来ないからコミュニケーションとれないし」


 あー何か時雨もそんな事いってたな。


山風「間宮さんも『提督が食堂にきてくれないのは私の料理が口に合わないからなのでしょうか・・』ておちこんでた」


山風「なんでこないの?」


提督「飯を食べるときは誰にも邪魔されずなんというか自由で救われてないといけないんだよ・・・。俺が食堂に行くと何故か皆あつまって来て息苦しいんだよな」


提督「山風だけなら静かだし一緒でもいいんだけど」


山風「それは嬉しいけど今日は食堂」


提督「はいはい、んじゃいくかちょろ風」


山風「ちょろ風てなに」


  □■□


山風「連れて・・・きた」


『『『!?』』』


 山風と仲良く手を繋いで食堂にはいると一瞬食堂の時間が凍ったかの様なラグが走る。


『えっえっ山風ちゃん本当につれてこれたの?!』


『姉さま!?どうしてラーメンの食券を破り捨てているんです!?』


『間宮さん今日はサンドイッチでお願いします』


『榛名私にも鏡貸してくだサーイ』


『姉様まだ髪が整ってないのでもう少し・・・』


瑞鶴「提督さーんこっちこっちーーー」


カウンターでラーメンを受け取り席を探そうと振り返ると瑞鶴、翔鶴、瑞鳳の空母組が手を振っていた。


山風「司令官あそこにしよう。にげちゃだめ」


山風「どうせ人のいない席に行っても皆集まってくる」


提督「はいよ」


 言われて空母組の方に向かう。後ろからぴったりと北上、大井がくっついてきていた。


瑞鶴「提督さんが食堂に来るのほんとに珍しいね!」


提督「ああ、は君たちとのコミュニケーションを取らないと思ってな」


翔鶴「ホントですよ、皆提督と話したいのに執務室にこもってばかりなんですから」


提督「すまない。上官がいては息が詰まると思ってな」


北上「そんなことないよー。大井っちなんて『以前が私が失礼な事をいったから私たちをさけているのでしょうか・・・・』て言ってたし」


大井「ちょっ北上さん!?」


提督「何か言われたかな?」


北上「ほらー行った通り全然気にしてないでしょ?」


大井「そっそれなら良かったです・・・」


げしげし


提督(なんだ山風足を踏むな)


山風(私たち白露とは全然対応が違う。食堂に来なかった理由もさっき言ってたのとも違う)


瑞鳳「提督、先日の南方海域進出作戦の指揮お見事でした!本来なら何度も出撃を繰り返し情報を集める必要がある海域をたった一度で攻略されるなんて!」


瑞鶴「当然よ!なんたって私たちの提督さんは【英雄】だからね!」


 情報は全部相棒の深海妖精さんから事前にもらってたんだけどな。


  □■□


提督山風「ごちそうさまでした」


提督「では私達は先に失礼するよ。呼んでくれてありがとう」


瑞鶴「また一緒に食べてね!他の娘も話したいと思うから」




提督「山風、冷蔵庫に買い置きのアイスがあるから食べていこう」


食堂には共用の大型冷蔵庫こがありそこに各自食品に付箋を貼り名前を書いて保存するようにしている。


数ヶ月前アイスを買い置きしていたのを思い出した。


山風「ありがとう」


大型冷蔵庫を開けると中から冷気が飛び出してきてっ気持ちがいい。


その中から自分のアイスを見つけ出す。がその横にあるアイスをみてはたと考える。


【ごーや】付箋にはそう書かれていた。


はーーー。ちょろ風だからな、これでいけるだろ。脱出チャンスだ。


提督「ほらちょろ風、お前はイチゴチョコ味。俺はミントチョコな」


山風「ちょろ風てなに。でもありがとう」


嬉しそうにアイスを食べる山風をみながら俺もアイスを食べる。


提督「信じなくてもいいけどさ。今日は俺逃げないから」


提督「だからまあ。気楽にいこうぜ」


山風「・・・うん」


 という具合に警戒心を少しでも緩めることも忘れない。


山風のアイスが半分ほどになったところであいつがくる。


58「あーーーーそのアイスごーやのアイスでち!!」


山風「いや、これはちがっ」


58「やっぱり冷蔵庫にもないでち!!楽しみにしてたのにひどいでち」


 58に詰め寄られおろおろとする山風を尻目に食堂を去る。だからちょろ風なんだよ。


  □■□


 いつもならここで速やかに脱出するんだが今回は違う。いま鎮守府には春雨ちゃんがいるからな狙うなら彼女が遠征に行っているタイミングだ。というわけで相棒の深海妖精さんにつくってもらっていた秘密部屋に身を潜める。ここで時間を稼げば白露メンバーは俺を探しに本土に行くか遠征に行くはずだ。そして奴らがいなくなったタイミングで脱走する。完璧だ。


 提督「さてと、白露メンバーの様子をみるか」


予め部屋に用意しておいたノートPCの電源をいれる。すると画面には鎮守府全体の様子が細かく映し出される。この日の為に防犯カメラをセットしておいたのだ。

 

山風が涙目で鎮守府を走り回っているのが見える。ハッハッハ見つかるものか早く時雨、春雨を連れて本土に探しにいけい!!


自分一人では見つけられないと判断した山風は泣きじゃくりながら白露メンバーに助けを求めていた。がどうやら白露覇王である春雨ちゃんが見つからないようだ。どうやら春雨ちゃん以外の全員で本土まで探しに行くようだ。


白露全員が抜錨したのを見届ける。山風が号泣していたのを見てちょっと心がチクっとしたが悪いのは俺ではなく辞めさせない軍だと言い聞かせ平静を保ち立ち上がる。今この鎮守府に白露はいない。すなわち敵はいない。


山風が見つけられなかった春雨ちゃんが鎮守府全域にしかけられたカメラにも一度も映らなかったのは気になるが多少のイレギュラーはあるだろう。今なら確実に逃げられる。


・・・・・永かった。騙されて着任してはや3年。毎日いやいや執務をしていたがそれも今日で終わり。そう思うと少し悲しい気分になってくる。艦むす達の事は嫌いではなかった。むしろ良い子娘たちばかりだった。・・・きっと俺がいなくなれば涙を流す娘もいるだろう。必死の捜索は続けられるだろう。だけど何時か忘れられる日がくる。


最初のうちはすこしづつ私の事を忘れていくことすら辛いだろう。だけど必ず乗り越えられる日が来るから。だから


「さようなら、みんな。好きだったぜ」


そう言い秘密部屋から立ち去ろうとしたとき。


 ガンっ。


薄いステンレスを床に叩きつけたような音と共に目の前が真っ暗になる。


 この窮屈で息苦しい、真っ暗な世界を俺はしっている。春雨ちゃんのドラム缶の中だ。


 ああそうか。なっとくだ。防犯カメラに映らないという事はカメラに映らないところにいる。映らないのは艦むすの個々人の部屋だ、だけどそれは山風が全て確認していた。


残るはこの部屋だ。


「私も好きですよお兄さん。だからさよならはダメです。はい」


 俺は久方ぶりの覇王の折檻を想像し震えることしかできなかった。


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3話、提督と春雨(闇)と交渉の余地

提督

毎日の血と汗と涙の弛まぬ鍛錬によって強大な戦闘力を得た。が白露さんに5秒で沈められた。


春雨

提督が捕獲した駆逐棲姫を深海妖精さんに頼んで解体したらなんか出てきた。


不知火

落ち度しかない。


夏鮫ちゃん

麻婆春雨10辛チャレンジ成功。





 明朝0400。脱走兵の朝は早い。

 

 洗顔をし、枕元においてある黒と赤が主色のジャージに着替える。基本的に俺の着替えは春雨ちゃんが洗濯・購入してくれている。以前自分でやると申し出たら正座させられて怒られた。内容は覚えてないけど妙に反省させられたのだけは印象にある。


 ジャージに着替えをすませ自室から出る。


 「お?」


 いつもなら部屋から出たタイミングで白露十傑の誰かが現れるのだがどこにも見えない。ということは。


「今は、監視は五月雨くんか」


 俺の監視役はどうやら3交代制を採用しているらしい。


 俺が執務を行う8時~17時の秘書官の時間。17時~24時。24時~8時の時間を白露達でローテーションを組んでいるようだ。


 現在の監視だと思われる五月雨くんは基本的に姿を見せない。いや見えない位置にいる。具体的には俺の真後ろにいる。常に俺の死角に回り込み気配を消している為彼女の存在を把握できないが、確実にいる。以前防犯カメラ(2話参照)の映像をチェックしていた歳に五月雨くんが常に背後にいたと言う事を知ったときはゾッとした。


 しかし脱走さえしなければ基本的に俺に関与してくることはないので白露のなかでは当たり枠だと思っている。


 五月雨くんは居ないものとしランニングに向かう。途中、『指揮官の身でありながら肉体の鍛錬を怠らないその姿勢、見習わせて欲しい』とかいう長門や『私はバータより早くなる』島風くん、そして『ご指導ご鞭撻』の不知火がついてきた。練度99の島風くんの次の目標は宇宙最速のバータさんらしい。ところでバータさんはなにをどう勘違いして宇宙最速名乗ってたんだろうね。


 

 首筋を張り詰めだ冷気が撫でる中まだ日も上りきらず霧で覆われた鎮守府の周りを走る。スピードは意識しない、ただただ持久力を求めて走る。脱走には体力が必要だから。


このランニングは白露捕獲班が結成されたのとほぼ同時期に始めたのでもう1年以上になる。毎日行っているが大概誘った訳でもないのに艦むすが付いてくる。白露以外の艦むすは俺の事を純粋に英雄として慕っているからだろう。


『ごっ!し!どー!ごっ!べん!た!つー!』


 不知火その掛け声呼吸しづらくない?やめたら?



ランニング後シャワーを浴び執務室の自席にて業務を開始する。


 かつかつかつ。


その軽く軽快な足音で悟る今日の秘書官。


 世界には3人の覇王がいる。


覇王十代、覇王龍ズァーク、そして覇王鮫春雨。


執務室の扉が開かれる。


「今日の秘書官は私ですよ、お兄さん」


今日は脱走おやすみです。


 □■□


春雨ちゃんは俺の膝に腰掛け書類に目を通し俺が優先的に記入する必要があるものを選別する。俺はその選定された書類にサインをする。春雨ちゃんが膝の上にいる為覆いかぶさる様な態勢になるのは仕方ない。


以前、膝の上に乗られると執務がやりづらい為専用の机と椅子を買ってあげたら無言でドラム缶を使ってすり潰されたのはいい思い出。そのあと丸一日膝から降りてくれなかった。


喉を潤す為机上のお茶に手を伸ばす。春雨ちゃんの手刀で払われる。春雨ちゃんがお茶を持ち俺の口に運ぶ。


こんな具合に春雨dayでは俺の行動はかなり制限されている。


春雨「ところでお兄さん昨夜は夜遅くまでskypeしてたみたいですけど誰と話してたのですか?盗聴器しかけますよ・・・」


提督「佐世保の提督だよ。もう盗聴器はやめてね」


提督「来月さ各地の提督で集まって勉強会しようって話されたんだけど参加していい?」


春雨「開催地はここですか?」


提督「・・・佐世保だけど」


春雨「ならだめです」


提督「はい・・・」


このやりとり、母親におもちゃをねだる子供と躾ける母みたいだな。


 もちろん俺が佐世保提督と話した内容は勉強会の打ち合わせなどでない。


 先日の密談を思い出す。


  □■□


昨夜、偶然にも自室にて春雨ちゃんの盗聴器を発見した俺は盗聴器を処分し唯一の理解者である佐世保提督に連絡ををとったのだ。


提督「よおよお、佐世保んさんよお。先日お願いした脱走の計画考えてくれたかあ!?」


佐世保「なんでお前は俺に対してそんな強気なんだよ」


提督「・・・ストレス溜まってんだよ」


佐世保「はあ、まいいや」


提督「んで、計画は」


佐世保「ない、てか無理ゲーだろ」


提督「・・・やっぱり?」


佐世保「だけどだ」


佐世保「お前の話を聴くかぎり春雨さえ何とかできれば脱走できてた場面もあったんだろ?」


提督「ああ」


 確かにそうだ。今までに脱走そのものは成功したことがあった。だけど一度眠り、目を覚ますと何故か春雨ちゃんのドラム缶の中にいるのだ。


佐世保「だからさ。春雨さえ説得すればいい。10人全員は無理でも1人ならいけるんじゃないか?」


  □■□


絶対に無駄だとは思うが佐世保の案を一応試してみる。試すだけ試さないともう協力してくれないかもだしな。


 執務中「はあ・・・」

 

 麻婆春雨(昼)中「はあ・・・」


 艦隊指揮中「つれえよ・・・」


 麻婆春雨(晩)中「うっうっ・・・」



  □■□


春雨「お兄さん、何か悩みがあるのですか?」


今日一日うざったい位に悩みがありますよアピールをした。全てはこの言葉を引き出す為に。


提督「いや、ちょっとね」


春雨「話してください。お兄さんの元気がないと私も悲しいです・・・。泣きそうです」


提督「春雨ちゃん・・・」


提督「ありがとう。じゃあ聞いてくれるかな」


春雨「はい!!」


提督「俺さ・・・提督辞めt


春雨「一生悩んでろ」


ガンっ!!


頭上からドラム缶が降ってきて俺を閉じ込める。あっという間に暗闇と静寂が俺を襲う。


な?こうなるんだよ。やれやれだぜ。今回は禁固12時間ってところかな。


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4話、時雨と英雄のいる鎮守府


提督

過去編とかこのSSの雰囲気じゃねぇだろと思っている。


時雨

自分の過去語とか辛すぎて大破。


夏鮫ちゃん

過去に海峡のジンベイと七武海の座を争っていた。







何度も・・・何度も出撃を繰り返した。


僕達の鎮守府だけじゃない。数多の艦隊が攻略作戦に参加した。


だけど、どの艦隊も攻略を果たす事はできず多くの艦娘が沈んだ。


沈んだ艦娘の艤装が海底を覆う様な数になった時、その海域を人は鉄底海峡・・・アイアンボトムサウンドと呼ぶようになった。


僕の妹の春雨もそこに沈んでいる。


その難攻不落の海域がとうとう攻略されたらしい。聞けば攻略を果たした鎮守府の提督は着任からわずか半年で作戦を完遂したということだ。


馬鹿げている。僕達が永い年月をかけて仲間を失いながらも少しづつ情報を集め、それでも攻略できなかった海域をそんな簡単になんて。


貴方がもっと早く来ていれば皆は・・・春雨は・・・。


自分が理不尽に憤っているのは分かっている。だけど皆が沈まなかったifを考えずにはいられなかった。


  □■□


時雨「僕が鉄底の英雄の鎮守府にですか?」


大将「ああ、時雨だけじゃない。各鎮守府に散らばっている白露型全員だ」


そう応えた後、大将提督はすこし顔を歪ませた。集まるのは自分が沈ませてしまった‘春雨’を除く白露型全員だからだろう。


時雨「あそこは私たちが行かなくても戦力は充分なんじゃないかい?なんたって英雄の鎮守府な理由だし」


大将「戦力増強の為の移動って訳じゃないんだよ」


時雨「?」


大将「あそこの提督・・・鉄底さんでいいか。元々は提督になるつもりなんてなかったらしいんだ」


時雨「ああ・・・」


 よく聞く話ではある。提督になるために必須の条件である妖精さん可視の才は本当に貴重なもので滅多にその才能を持つ者は現れない。だからその才が見つかれば無理やりにでも軍学校にいれられてしまうとか。


 まあ、かなりの高待遇だから拒む人はそうそういないらしいけど。


大将「鉄底さんはそうとう軍に入るのが嫌だったんだろうね。断固として入軍を拒んだらしいよ」


大将「んで、大本営が彼に折衷案を出した。【アイアンボトムサウンドを攻略したら辞めてもいいよ】てね」


時雨「まさか・・・」


大将「そう、彼は提督を早く辞めたいが為に着任から半年でアイアンボトムサウンドを攻略しちゃったんだよ」


時雨「皆があれだけ涙をながしてきたあの海域をそんな理由で・・・」


大将「僕も悔しいよ」


時雨「ということは鉄底の英雄さんは提督を辞めてしまうのかい?」


大将「そこで君達白露型の出番というわけだ」


時雨「どういうことだい?」


大将「このままだと鉄底さんは脱走してでも提督を辞めてしまう。だけど彼の様な英雄を辞めさせるのは戦力的にもマイナスだし艦娘の指揮にも関わる」


大将「だから君たちは彼の監視役・・・いや、彼が脱走した時の捕獲班として着任してもらおうってわけだ」


時雨「・・・それ向こうの艦娘にやらせればよくないかい?」


大将「向こうの艦娘は彼への忠誠心が強すぎて無理なんだって」


時雨「はあ・・・まあ他にもいろいろ聞きたいけど僕が知ってどうなるってものでもないしね。了解しました!時雨、英雄の鎮守府に着任します!」


大将「よろしくね」


  □■□


 面倒な手続きがあるかと思いきや、そんな事はいいからと急かすように英雄の鎮守府に向かわせられ1日かけて鎮守府に到着した。


 ここにくるまでの道すがら英雄について考えた。


 どんなに優秀でも真っ当な方法では、たった半年でアイアンボトムサウンドの攻略は無理だ。


 つまりブラック鎮守府・・・艦娘に無理を強いているのだろう。もしそうであったならそんな英雄はいらない。僕が摘発してやろう。


 そう意気込んで門をくぐると


【わああああああああああ!】


「でたよ雪風ちゃんの超ロング3ポイントシュート!」


「どうしてコートの端から打ってはいるの!?」


「人事を尽くしている雪風のシュートは落ちません!!」


 ・・・・・駆逐艦がバスケしてる。


もの凄い和気藹々と楽しそうにしてる・・・駆逐艦には甘いブラック鎮守府・・・かな?


  □■□


 コンコン


 大淀さんに案内され執務室の扉を叩く


「入れ」


時雨「失礼します」


時雨「本日付で着任しました。白露型2番艦時雨です」


提督「うむ。着任したてで若輩の身だがよろしく頼む」


 若い・・・20歳前半だろう。この提督があのアイアンボトムサウンドを・・・。


提督「君がこの鎮守府になれるまでは大井に君の世話をするよう頼んである。1ヶ月後には他の白露型も着任するようだからそちらは君に面倒を見てもらうことになると思う」


 必要以上に僕とコミュにケーションをとる気はないらしい。要件だけ淡々と喋っていく。


提督「それと明後日から君には、先日攻略したアイアンボトムサウンドの残存敵の掃討作戦に参加してもらう。恐らく駆逐イ級程度しか居ないだろうがくれぐれも油断しないよう」


時雨「了解しました!」


敬礼をして執務室をあとにした。


  □■□


大井さんに案内され共に食堂で昼食をとる事にした。


時雨「・・・・・」


 食堂は僕が元々いた大将提督の鎮守府以上に賑わっていた。


 大体の鎮守府ではその大食漢ぶりから肩身の狭い思いをしている正規空母もここでは堂々と嬉しそうに、楽しそうにしゃもじを片手にごはんを掻き込んでいる。


 いや、しゃもじって・・・・お箸を使おうよ。


 しかしこの食堂と先程の駆逐艦達の様子だけでこの鎮守府がブラック等ではないことが分かってしまう。・・・自分の中で灰色と茶色を混ぜた様な薄汚い感情が渦巻いているのを感じる。


正直ブラックで合って欲しいと思っていたのかもしれない。そうでないとあまりにも僕たちが報われないから。


大井「どうかしました?」


時雨「着任して半年でアイアンボトムサウンドを攻略するような鎮守府はきっと艦娘に無理ばかりさせているんだろうな・・・て思ってたんだけど違うみたいだね」


時雨「僕達の立場がないや・・・」


大井「ああ、そういうことですか」


大井「身内贔屓に聞こえるかもですが実力ですよ、あれは」


大井「それにうちの提督は指揮以外もほぼ完璧です」


時雨「ほぼ?」


大井「あの人、私達とまっっっくコミュにケーションとってくれないのよ」


時雨「まったくかい?」


大井「そうなんですよ!ああ!思い出したら腹が立ってきた。この前なんて私がせっかくショッピングに誘ったのに『いや、その日はちょっと…』とか取ってつけたような理由で断ってきたんですよ!?私がどれだけ勇気を出したと思って・・・!」


 提督の人柄が少し分かった気がする。


大井「次は無理やりにでも」


 大井さん提督のこと好きなんだなー。


□■□

掃討作戦参加1日目



暫くぶりのアイアンボトムサウンドは以前とは見違えていた。


あの参加した血液の様などす黒い色をしていた海の面影はもうない。



今日はあいにくの雨模様だが、晴れた日には海面が太陽の光を反射させ美しいものになるんだろう。


今はざーざーと雨がふり海面に波紋を起こすだけだ。


川内「んじゃ、残存深海棲艦の索敵していくよー」


川内「今日は海域の南西側ね」


時雨「了解」


□■□


掃討作戦に途中参加したがもう作戦は大詰めのようだった。


深海棲艦なんて1匹もいやしない。


川内さんが言うにはあと3回の出撃で全エリアの索敵が終わるらしい。


時雨「南西の索敵異常ありませんでした。戦闘も0です」


提督「ご苦労。掃討作戦も大詰めだ、あと少しよろしく頼む」


時雨「はい!」


敬礼をし執務室をあとにする。


関わりはまだ少ないがここの提督は本当に真面目な人だと思う。仕事一筋、そんな印象だ。


彼が脱走を考える様な人間にはとても見えない。


(彼、かなり自分のキャラクターを作るのが上手いみたいだから騙されないようにね)


大将提督からそう聞いていなければ僕もここの艦娘と同じくあっさり騙されていたかもしれない。


大将が言うには掃討作戦終了までは脱走しないという話だったけど油断できない。


っと大井さんに入渠施設の案内して貰うんだった。


□■□


掃討作戦参加2日目



夢を見ているんだとすぐに分かった。


だって、沈んだ筈の春雨が目の前にいたから。


夢の中で今見ているものが夢だと理解する…確か明晰夢って言うんだっけ。


時雨「待って!春雨!」



人によっては明晰夢を自分の思う様にコントロールする事ができるらしいけど僕にはできないらしい。


春雨は僕に背を向け逃げて行ってしまう。


僕はその後を追いかける。


後ろから僕を呼び止める川内さん達戦隊の声が聞こえるけど行かせてもらう。


だってこれは夢なんだから。


ざーざーざー


そういえば夢の中で雨が降ってるシチュエーションなんてこれが初めてだな、なんてどうでもいい事を考えた。


□■□


提督「沈んだ仲間の白昼夢を追いかけて、隊列を崩した…と」


時雨「…はい」


提督「今までもあったのか?」


時雨「夜、眠っている時に仲間の夢を見ることはあったよ。けど白昼夢は初めて」


時雨「だから今回もただの夢だと思って…」


提督「そうか…」


提督「きっと君の中では、アイアンボトムサウンドの戦争は終わっていないんだろうな」


提督「いや、終わらせたくないのか」


時雨「っ、そんなことは」


提督「いや、いい。そんな君だからこそ、頼みたいことがある」


そういって僕に1発の砲弾を差し出した。


□■□

掃討作戦最終日



夕暮れ。最後の索敵を終えた僕達は鉄底海峡…アイアンボトムサウンドと呼ばれた海域の中央に集合していた。


日が沈み始めた海の風は冷たくて肌を張り付かせる。


ここに鎮守府のほぼ全ての艦娘、総勢100名あまりが集まっていた。


昨日提督から渡された1発の砲弾、どうやら作戦終了を告げる祝砲らしい。


英雄の鎮守府は作戦終了の度にこの祝砲をうっているのだという。


時雨「いいのかな…僕が打っても」


この鎮守府で作戦攻略に関わらなかった僕が打っていいものではない…そう思う。


これはここで命をかけて戦った艦娘にこそ相応しい。


長門「良いんだよ。むしろ君以上の適任はこの鎮守府にはいない」


長門「文句を言う奴がいれば私が説き伏せてやるさ。そんな奴はいないがな」


時雨「…よく分からないけど」


長門「まぁまぁ。さぁ日が暮れる前に打ってくれ」


時雨「…」


言われるまま砲口を上に向け、引き金に指をかける。


その瞬間、元いた鎮守府、演習相手だった鎮守府、春雨といったここで沈んでいった仲間の顔がフラッシュバックする。


ドン


砲弾はまっすぐに夕暮れの真っ赤に染まった空へと飛んでいき破裂した。


暫くすると。


ひらひらひら


と二種類の花弁が舞い落ちてくる。


春雨は花が好きだったから僕も知っている。


シオンとオダマキの花だ。


確か花言葉は…。


時雨「…」


涙が止まらない。拭っても拭っても止まらない。


長門「提督が言っていた」


『鉄底海峡を終わらせるのは時雨だ』



『命をとして戦い情報を集めてくれた、今は海の底に眠る者達の仲間であるべきだ』


『彼女達がいなければ沈んでいたのは私達なのだから』


嬉しかった。


初めからここの提督が指揮をとっていれば誰も沈まなかったのではないか、皆は無駄死にだと思われているのではないか。


そんな事を思っていた。


だけど提督は、そんなことはないと。僕達のおかげだという。


そして僕にこの戦争を終わらさせてくれた。


頬を伝っていた涙をもう一度拭う。


もう泣いていられない。だって僕が終わらせたんだから。




僕の涙が作っていた海面の波紋はもうあらわれない。
















あっそういえば






今日、雨降ってないや。








□■□


街を走る。走る。


提督「ガハハハハ!今頃時雨の奴は感動のあまり泣き崩れているだろう!」


提督「大本営め、あからさまな監視役を送りつけてきやがって。だが白露型が集合する前に逃亡してやったぞ!!」


提督「時雨のやつもまさか掃討作戦終了と同時に逃げるとは思うまいガハハハハ!」


提督「ぐへ!?」


提督「なんだこのロープどこから!?動けねぇ!」


時雨「僕だよ」


提督「はっ!?時雨!?もう追って来たのかよ」


時雨「もう少し気持ちの整理をしたかったんだけどね。君を逃がす理由にはいかないから」


提督「くそ!縄解きやがれ!」


時雨「ほんとにキャラ作ってたんだね…口調がぜんぜん違う」


提督「なぁ逃がしてれよ。こんなやる気のないやついても仕方ないだろ?」


時雨「昨日までの僕ならそう考えたかもね。でも今は」


時雨「こんな素敵な提督を逃がす理由にはいかないって思うよ」


□■□


提督「降ろせ」


時雨「だめ」


提督を執務室に連れ戻し、逃げない様に天井に吊るして置いた。


提督「なぁ時雨、賄賂があるんだが」


時雨「受け取らないよ」


提督「まぁそう言うな。後ろを見てみろ」


時雨「後ろ?」


ふっと反射的に振り返る。










そこには薄ピンクの髪をした少女が立っていた。






ああ、絶対にこの提督を逃がす理由にはいかないや。









だって返さなきゃいけない恩が多すぎるもん。









僕は提督を縛る縄をより一層強く締め直した。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



5話、提督と艦娘と記憶喪失(嘘)


提督

1番好きなゲームはリトルバスターズ。


夕立

駄犬。


夏鮫ちゃん

以前春雨ちゃんに間違えて「フカヒレちゃん」と呼ばれたことにより生命の危機を感じている。






時雨「次で今日中に目を通さないといけない書類は最後だよ」


提督「ようやくか、疲れたわ」


時雨「はいこれ、この鎮守府に着任希望を出してる艦娘のリスト」


提督「おう」


げっ、まだこいつここに希望だしてんのかよ。いい加減執拗いな。


提督「秋月、矢矧は承認。あとは他に回せ」


時雨「了解。…いつも思ってたんだけどどうしてこの浜風を承認してあげないんだい?成績はかなり優秀だし何よりずっとうちに希望出してる」


提督「色々あんだよ」


時雨「ふーん」


提督「んだよ、そのジト目やめろ」


提督「いんやー。春雨みたいに何処でいつの間に誑かしたのかなー、なんて思ってないよ」


ちっ、ここであまりツッコまれるとろくな事にならない気がする。


提督「そんなんじゃねぇよ。それより飯行こうぜ飯」


時雨「あからさまに話を変えられて引っかかるけどまぁいいや。従順な時雨ちゃんは提督のお誘いに尻尾を振ってついて行くよ」


提督「おう、んじゃ行くぞ」


ガチャ


扉を開けて廊下に出る…と


「ぽぉぉぉぉぉぉぉいぃぃぃぃぃぃ」


20mほど先から時雨と同じ黒の制服を着た肌色の髪をした少女が突っ込んでくる。


…四足歩行でだ。


提督「出やがったな駄犬がぁぁ!!」


時雨「あっ夕立」


俺が戦闘態勢をとる間に駄犬は既に俺の眼前に迫ってきている。


提督「俺がいつまでも好きにされると思うなよごらぁ!」


俺は関節技を決めようと夕立の腕に手を伸ばす。


(捉えた!!)


が夕立は急激な加速をし俺の腕を置き去りにする。


(これは…ロデオドライブ!?何故こいつがこんな高等テクを!?)


夕立「ぽいぃぃぃ」


俺の背後で勝ち誇った夕立の声が聞こえる。


提督「ぐはっ、くそ!離せ!」


夕立「んーいい匂い」


俺の背中に張り付いた夕立は首筋に顔を埋めふんふんと匂いを嗅ぐ。


提督「やめろ、ごらぁ!!」


暴れても暴れても引きはがす事ができない。それどころか最初は点と点で重なっていた身体が段々と面と面へと密着の範囲を広げていく。


夕立「くちゃくちゃ」


提督「襟をしゃぶるなぁ!!!」


くそっくそっ何時も鍛錬を欠かさず鍛えているというのにこんな駄犬にいいようにされるのか。


夕立「こら!暴れないで!服が脱がしずらいっぽい!」


夕立の手が俺のB地区に手をかけた辺りで覚悟を決める。


提督「いつまでもてめぇのレ〇プ紛いのスキンシップに付き合えるかぁ!!」


ガッシャーン


俺は夕立を背負ったまま窓をぶち破る。


ここは3階だてめぇも只ではすまねぇだろ。一泡吹かせてやった夕立の顔を見ようと後ろを振り返ると、



…いねぇし


俺は1人落下していくのだった。


□■□


提督「あ、れ…?」


西日の刺す部屋のベッドの上で目を覚ます。


時雨「気がついた!」


不知火「良かった…よがったでずぅぅぅ」


大井「心配かけないでくださいよ、貴方だけの身体じゃないんですから…グスッ」


瑞鶴「そうだよ…提督さんがいないと私達なにもできないんだから」


提督「えっ…?」


時雨「ごめんね提督、僕が止めてれば良かったんだけど。夕立は向こうで春雨がシバい…絞ってるから」


提督「…」


時雨「どこか痛むのかい?何か様子が変だけど」


提督「えっと」


提督「君達…だれ?」


□■□


ぶぁぁぁぁか共めがぁ!!


簡単に俺が記憶喪失だと信じ込みやがった!しかしこの状況…脱走に最適じゃねぇか。



  □■□



時雨「提督、まだ記憶は戻らないのかい?」


提督「ああ、、、すまない」


 記憶喪失(嘘)になった次の日の朝時雨が俺を起こしにきた。


時雨「謝らないでよ。提督は悪くないんだから」


 おおう。時雨が俺に優しいとか気持ちわりいな。


提督「それにしても・・・なんか落ち着かないな。可愛い女の子ばかりだから」


時雨「そう・・・だね。ところでなんだけど提督の好みの子はいたかい?」


提督「いたけど名前がわからないや」


時雨「・・・ふーん。ちなみに僕の名前は時雨だよ」


提督「えっ?」


時雨「時雨だよ」


 こっっっわ!!!なんだよこいつ何が言いたいんだよ。



  □■□




 着替えて自室を出るとうーちゃんが待ち構えていた。うーちゃんはスカートを皺ができるほど握り締め俯いていた。


卯月「しれいかん、うーちゃんはしれいかんに忘れられたくないぴょん。うーちゃんはしれいかんとバスケしたり御飯食べたりした時間が宝物ぴょん。だから忘れて欲しくないぴょん」


提督「うーちゃん・・・」


 うおおおおん、泣かないでくれようーちゃんんんんん!ごめんよ、ごめんようーちゃん。俺だってうーちゃんを泣かしたいわけじゃないんだよおおおおお!


ぽんっ。うーちゃんの頭に手を置いて俺は言う。


提督「ごめんなうーちゃん。俺絶対うーちゃんとの思い出思い出すから、ちょっとだけまっててくれないか?」


 覚えてるよおおおおお!忘れるわけないよおおおお!


卯月「ぐすっ、絶対ぴょん?」


提督「ああ、絶対だ」


卯月「ならうーちゃんちょっとだけ待つぴょん」


提督「ありがとな」


卯月「ぐすっ、うーちゃんお花の水やりがあるからもういくぴょん。約束、絶対ぴょんよ!」


 そう言ってうーちゃんは行ってしまった。こ こ ろ が い た い。


時雨「提督、かっこよかったよ」



 □■□



 俺が一番よくいた場所である執務室の机に座っていれば記憶が戻るのではないかと言う事で現在は執務室にいる。


提督「春雨ちゃん?俺はいつも君を膝に乗せて仕事をしていたのかい?」


春雨「そうですよ?」


 さも当たり前のようにそう応える。いや、元々君が勝手に乗ってきてたんだけどね?降ろすと怒るし。


提督「いやー、流石に女の子が男の膝に乗るのはどうかと思うよ?」


春雨「気にしなくていいです。はい。だって私とお兄さんは结婚していますから」


 んーーーーー????あれ?春雨ちゃんが何言ってるか分からない。结婚?確かに大本営からケッコン(仮)なる戦力増強システムを近日導入するという話はあったがまだ完成していないはずだ。春雨ちゃんが知っているはずもない。


春雨「お兄さんから告白してくれたんですよ?私の事が好きだって、私もお兄さんの事が大好きで両思いでしたからね。直ぐ结婚しました」


 こわいこわいこわい。俺の知らない過去を春雨ちゃんが捏造している。


春雨「でも・・・いまのお兄さんは覚えてないんですよね。春雨悲しいです」


 そう言うと俺の膝の上の春雨ちゃんはぐるん!と俺の方を振り返り


春雨「そうだ!覚えてないならもう一度すればいいんです!お兄さん、春雨にもう一度プロポーズしてください!」


提督「いや、それは・・・」


がっしゃーん。


 言葉を濁そうとした瞬間春雨ちゃんの急な重心移動によって椅子もろとも俺と春雨ちゃんは倒れる。がそのまま春雨ちゃんは俺の腹の上に馬乗りになる。


春雨「早く言ってください。早く结婚をやり直しましょう。早く。早く。早く」


 春雨ちゃんの目は獣のそれだった。ケッコン(狩)そんなしょうもない事を考えた。



  □■□


 記憶喪失(嘘)になって二週間がたった。そろそろ仕掛けるか・・・。


 艦娘を食堂に集める。


提督「皆、今日集まってもらったのは俺の今後についてだ」


提督「俺が記憶を失って二週間・・・この鎮守府で過ごせば回復すると思ったが未だに何も思い出せない」


提督「だから俺は一旦故郷に帰ろうと思う。俺が長年過ごした街で生活すれば何か思い出せる気がするんだ」


 ざわっざわっ


提督「安心してくれ!もちろん代理の提督を呼ぶ。回復したら俺も復帰するつもりだ」


提督「何よりこんな状態では君達の命を預かることはできない・・・」


卯月「嫌ぴょん!しれいかんは直ぐに思い出すってうーちゃんと約束してくれたぴょん!今すぐ思い出すぴょん!うっうっうわあああああああん!」


 ごめんよおおおおお!うーちゃあああああん!うーちゃんだけでも連れて行きたい。


提督「すまない、卯月」


不知火「そうですよ、ここの指令は貴方だけなんです。不知火達を置いて行かないでください」


 不知火までそんな顔を・・・。


榛名「榛名は・・・大丈夫じゃないです」


時雨「僕はついていくよ。護衛としてね」


提督「だめだ」


時雨「なんでさ!!」


提督「何時戻るかも分からない俺の為に貴重な戦力である君達の時間を奪う訳にはいかない」


提督「安心してくれ、必ず戻る。約束だ」


 その夜、鎮守府の全ての艦娘が泣いた。






  □■□






 うーーーーーーーーーーーついたあああ!!!


 数年ぶりの故郷は何も変わっていなかった。岡山県。都会なのか田舎なのか分からないこの街が俺は大好きだった。


提督「ようやく・・・ようやく開放されたんだな」


 胸が熱くなる。春雨ちゃんも時雨も五月雨くんの監視もない。夕立の過剰なスキンシップを警戒する必要もない。なんという開!放!感!


 俺は携帯を撮りだし旧友へと連絡する。


提督『よお!久しぶり!突然で悪いんだけどさ、今日飲みいかね?えっ?提督?そんなもん辞めたよ!はっはっはっww』


  □■□


 久しぶりに会う友人達との宴会は本当に楽しかった。艦娘とはできなかった下世話なトークがこいつらとなら遠慮なくできる。下ネタ万歳!


 一通り飲んだあとはスナックやキャバクラを梯子した。


友人「うーーーーい!あそこに新しいキャバクラができてるぜ!」


提督「突撃だ!」



 店内は薄暗く冷房がよく聞いていた。ちょっと寒いくらいだ。席について数分で俺の横に2人の女の子がついた。


提督「好きなお酒開けてくれ!今日は俺のおごりだ!」


 そういいながら右の女の子のお尻を触る。さらに左の女の子の膝にのったハンカチをとる。キャバクラの女性が膝に乗っけるハンカチは、スカートが短すぎるため座った時に見えてしまうパンツを画す為のものらしい。


「ずいぶん羽振りがいいんですね。社長さんですか?」


提督「違う違うw海軍で提督っていうまあまあ偉いポジションにいただけw鎮守府にいるとお金の使い道なくてさーw」


「えーー提督さんなんですかー?すごーい。提督さんて艦娘を指揮するんですよね?」


提督「そうそう!でもあいつら個性強すぎてさー。手に余るのよ」


提督「俺が提督辞めようとしても無理やり続けさせるしさー。今日ようやく提督やめてきたのよw」


 ピシっ


 空気が、いや空間が氷ついたのかと思った。それほどに部屋の空気が張り詰めた。


 俺がお尻を触っていた娘が俺の右腕を締め上げる。


提督「いたい!いたい!何すんだよ!」


 ようやく暗い店内に目が慣れた俺は初めて女の子の顔を認識した。その女の子は



 時雨だった。



時雨「へーやっぱりそういう事だったんだ」


提督「ひっ!おっおい!助けてくれ友人!」


 あたりを見渡すもそこに友人の姿はない。いたのは


春雨「いかがわしい店に行ってたんですか?お兄さん・・・」


夕立「あたしずっと心配してたっぽい・・・」



 あっあっあっこんなのってありかよ・・・





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


6話、提督と白露型とマジギレ浜風さん

提督

夏鮫ちゃんを己に封印すれば人柱力になれるのではと考えている。


浜風

提督絶対ぶっ殺すガール。


夏鮫ちゃん

一尾の尾獣と呼ばれていた。





 13○○、快晴。今日も今日とて執務仕事を身を粉にして働いていた。


時雨「はい、今月の着任希望リスト」


提督「もう艦娘いらねえよ」


いい加減名前も覚えられん。名前も覚えてない奴らからしたわれるというのも気まずいものがあるしな。

それにあまり人数が多くなると脱走難易度あがるし。


時雨「うちは最前戦で戦ってるからねそう言うわけにもいかないよ。ほら早く目を通して、今日の演習相手の大将さんを出迎えに行かないとなんだから」


提督「はいはい」


 ぺらぺらと艦娘の名前と性能が記載されたリストをめくる。まあ今回も適当に駆逐艦でも迎えとけばいいだろ・・・てあれ?


提督「おい時雨、何年も前からここに着任希望出していた浜風いたろ?あいつの名前がないけど何かあったのか?」


時雨「ああ、あの浜風なら大将さんの所に着任したみたいだよ」


 ほーん大将の所にねえ。ようやく諦めやがったか、たくっしつこいんだよ。ん?大将?


提督「おい、今日の演習相手どこだっけ?」


「私達、大将の艦隊ですよ先輩」


扉の向こうから声が聞こえた。と思ったら次の瞬間に扉は吹き飛んだ。


提督「くそっ、俺とした事が油断したっ!」


時雨「えっなんなの、こわっ」

 時雨てめー吞気か。扉吹っ飛んでんだからもっと驚けや。


 吹き飛んだ扉の向こうにいたのは件の浜風だった。


浜風「お久しぶりです、先輩。そして死ねえええええええ!」


提督「ちったあ会話しろや!」


 浜風は挨拶と同時に殺気を放ちながら俺に殴りかかってくる。俺はピーカブースタイルのガードでその拳を防いだ・・・はずだった。


提督「ぐはっ」


 俺の両腕のガードを浜風の拳は回転でこじ開け、そのまま俺の腹部へと突き刺さった。これは・・・コークスクリューブロー・・・。


 どさっ。俺は耐えられず前のめりに倒れた。その俺の背中に浜風は馬乗りになり関節をキメる。


提督「時雨絵え!助けてくれ!」


時雨「えっその浜風は提督の知り合いでしょ?どうせ提督がまた変な事したんでしょ、早く謝りなよ」


提督「ばかっろくに状況判断もできねえのか!こいつの殺気を感じろ!」


時雨「えー、確かに怒ってはいるけど殺気は出してないよ」


浜風「ようやく捕まえました・・・どうしてくれようか。取り敢えず腕、もらいますね」


提督「えっちょっま」


 ぼきり。


提督「がああああああああ」


 こいつマジで右腕やりやがったふざけんなあ!!


浜風「では次は左を」


大将「ストッーーープ。浜風ストップだ」


時雨「あっ大将。久しぶり」


大将「おう、久しぶり」


 天の助けがきた・・・と思ったら時雨と挨拶交わしてやがる。時雨てめえはいい加減俺を助けろ、腕折られてんだぞ。


浜風「・・・何ですか」


大将「まあ俺に任せろって。なあ鉄底さん助けようか?」


提督「お願いします」


大将「なら1つ条件だ。今日の演習で負けた方が勝った方のいう事を何でも聞くだ」


提督「それは・・・っ痛い痛い浜風!今話してるから!」


時雨「大将さんは変な命令しないから大丈夫だと思うよ?」


 そういや時雨は元々大将の鎮守府にいたんだっけか。


浜風「呑まないんですか?」


 浜風の力が強まる。左腕ももうポッキリいく寸前か。


提督「分かりましたその条件呑みます。だから助けてください」



大将「おっけー。浜風」


浜風「はい」


 ようやく開放された・・・俺の右腕・・・。


大将「んじゃっ!約束わすれないでね」


浜風「忘れたらぶっ殺します」



・・・・・・・・・。



時雨「嵐みたいだったね」


提督「・・・時雨、演習メンバー総入れ替えだ」


時雨「了解、メンバーは?」


提督「金剛、榛名、加賀、瑞鶴、卯月そして・・・・春雨ちゃんを呼べ」



  □■□



 艦娘になれば先輩は私を見てくれるって言った。


 だから私は浜風となって軍学校で強くなった。実力が認められて先輩の鎮守府への推薦がもらえた時は飛び上がるほど嬉しかった。・・・だけど先輩は私を着任させてはくれなかった。


練度が足りないんですね!分かりました!もっともっと強くなります!


 □■□


 先輩、どうして他の艦娘は迎えるのに私は迎えてくれないんですか?もう私の練度あがりませんよ。


 先輩がアイアンボトムサウンドを攻略しました。英雄になりました。流石は私の先輩です。でも、私は間に合わなかった・・・私は英雄の浜風じゃない。先輩の鎮守府に思い出がどんどんできていく。そこに私はいない。






 先輩、私との約束を破るつもりですね。そんな事は絶対に許しません。そんな事をするならこちらにも考えがあります。





 □■□




大将「浜風頑張ってね」


浜風「はい」


大将「向こうは強いよ」


浜風「はい」


大将「いってらっしゃい。お別れだね」


浜風「・・・お世話になりました」


浜風「浜風、抜錨します」




  □■□




時雨「あの浜風の強さ異常だね。加賀と瑞鶴を瞬殺って」


観覧席で時雨と共に演習を見守る。演習場はドーム状の野球スタジアムの様にしてある。


提督「でもうちには春雨ちゃんがいるし大丈夫だろ」


時雨「で?どうしてあの浜風はあんなに怒っていたんだい?」


提督「・・・言いたくねえ」


時雨「言わないと浜風に襲われたとき助けてあげないよ」

 

 てめえさっき傍観きめてたじゃねえか。


提督「あいつは俺が提督になる前・・・高校時代の後輩なんだよ」


時雨「ああ、だから『先輩』なんだ」


提督「んでだ、俺が高3の時にあいつに告白されてな。『好きです』って。」


時雨「は?」


 なんだよこいつ急に怖いな。


提督「断ったんだよ。『俺は軍に入る事が決まってる。一緒にいられる時間はほとんどない。だからごめん』ってな」


提督「そうしたらあいつよ『なら私が艦娘になれば何も問題ありませんね!』ていうんだよ。でもまあ、艦娘の艤装の適正がでるなんて滅多にないらからな。適当にそうだなって返事した」


時雨「そしたら見事に浜風の適正をだして艦娘になったと」


提督「そうなんだよな~~~。まさかこんな事になるとは」


時雨「浜風はずっと、僕がここに来る前から君のところへの着任希望出してたんでしょ?そんな約束しといて無視すればそりゃ怒るよ・・・」


提督「だよな」


時雨「僕ならどうするかわかんないや」


提督「!?」


時雨「あっ金剛もやられたよ。残ってるのは・・・浜風と春雨だけだね。




  □■□




 身体が重い、もう大破状態だ。12、7連装砲も砲口が潰されて使い物にならない。だけど目の前の春雨は無傷で、途方もなく強い。きっと万全の状態でも勝てない。


春雨「もう降参してください。それ以上やると沈みますよ。はい。」


 そうはいかない。今日という日を、この鎮守府に来る時をどれだけ待ち望んだか。先輩の横にいる貴方にはこの想いは分からないでしょうね。


浜風「あああああああ」


春雨「向かってくるなら慈悲はありません」


 拳を握り締め春雨に殴りかかる。だけど簡単に躱されて


春雨「貴方にはうちに来てもらいたかったです。はい」


 春雨のドラム缶型ダイナマイトが私の胸の前で爆発した。


 私だって行きたかったよ。









春雨「強い人でした」


浜風「貴方もね」


春雨「!?」


 春雨の背後をとり、首筋に修復した砲口を押し付ける。


春雨「確実に沈めたはずですが」


浜風「沈みましたよ。でもこれです」


 私に敬礼えていく応急修理女神を見せる。


春雨「演習でこんな貴重なものを・・・」


浜風「大将さんには感謝してます」


浜風「それでどうですか?降参してもらえますか?」


 春雨が両手を上げる。


 やった。私勝ちましたよ先輩。




   □■□





 執務筆で時雨・大将・浜風を前に処刑の時を待つ。まさか春雨ちゃんが負けるなんて・・・いやあれは女神なんて非常識なものを持ち込んだ大将が悪い。なにされるんだろ・・・痛いのはもう嫌だな・・・。


大将「じゃあ、賞品のお願いなんだけどさ」


 ぶるぶる


大将「この浜風、君のところに迎えてよ」


 えっ?、それだけ?てか浜風まだこの鎮守府に来たがってたの?まあでもその程度なら・・・もちろん迎えたくないけど背に腹はってやつだ。


提督「わかり・・・ました」


 そう答えた瞬間浜風が俺に抱きついて来る。


浜風「もう・・・逃しませんからね」


 首に鎖を繋がれた気がした。










随時更新していきます。

感想アドバイスいただけると嬉しいです。

コメントにて好きな登場キャラなど教えて貰えるとありがたいです。


新作短編の『曙「クソ親父」』を投稿しました。自信作ですので是非読んでいただきたいです。

http://sstokosokuho.com/ss/read/11527


 





更新予告



?話、提督と白露型と悪磨さん

?話、提督と艦娘とケッコン(仮)システム

?話、提督と追いつきたかった天津風ちゃん



後書き

物語書くのは難しいですね。
感想いただけると励みになります。

余談ですが西日様の『ぷらずまさんのいる鎮守府』というSSが本当に面白いので是非皆さんにも読んで貰いたいです。


このSSへの評価

24件評価されています


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2017-11-20 14:57:18

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2017-11-18 02:42:28

京哉提督@暇人さんから
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2017-10-25 01:25:31

SS好きの名無しさんから
2017-10-19 21:55:44

SS好きの名無しさんから
2017-10-15 23:58:13

SS好きの名無しさんから
2017-10-15 22:35:37

SS好きの名無しさんから
2017-10-12 13:00:11

かきのたねさんから
2017-10-11 06:00:09

SS好きの名無しさんから
2017-10-10 08:19:16

SS好きの名無しさんから
2017-10-10 04:01:24

SS好きの名無しさんから
2017-10-10 02:13:34

SS好きの名無しさんから
2017-10-09 20:48:49

2017-10-09 20:09:46

このSSへのコメント

45件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2017-10-09 10:19:41 ID: jBN9Iksc

提督は何回脱走失敗してるんだ...?

2: SS好きの名無しさん 2017-10-09 13:06:14 ID: jqh0XLIR

夏鮫サンは山風ちゃんに逆らえないのか…?

3: SS好きの名無しさん 2017-10-09 18:30:29 ID: JVPR9G0G

救いはないんですか!?

4: SS好きの名無しさん 2017-10-10 08:09:40 ID: HL_ai1hG

ヤンデレに愛されて逃げられないw
ヤン提督w

5: SS好きの名無しさん 2017-10-10 09:55:05 ID: HL_ai1hG

もう正直にさ。
英雄と讃えられて崇拝されるのに
疲れはてた。もう良いだろう、俺を一人の人間に戻してくれ。俺を解放してくれ。と言えば良い。此処は誠実に頼むのじゃ。

6: SS好きの名無しさん 2017-10-12 08:47:37 ID: V2hT5P_n

※5
業務は全て私たちがするから君はここに居なよ 永遠に ルートまっしぐらですね!

7: SS好きの名無しさん 2017-10-12 09:28:03 ID: dfFULvM3

もう提督自身を人質にするんじゃ!
もいやだー死んでやるぞー!
それがいやなら見逃してくれーとw
うんヤバイなwヤンデレには効かんかな?

8: SS好きの名無しさん 2017-10-12 12:52:55 ID: dfFULvM3

憲兵サーンw助けてください!
集団ヤンデレに追い詰められてます。
お願いします。逃げないでーw

9: SS好きの名無しさん 2017-10-12 13:00:51 ID: 0JvWAQUY

普通に提督可哀想w

10: SS好きの名無しさん 2017-10-14 07:58:18 ID: mkpTz79R

これ逃亡できてもサミーが後で拘束するんじゃ?アサシンかよーw

11: 木鈴 2017-10-14 09:06:11 ID: 6-O0x9WA

沢山のコメントありがとうございます。
更新の励みになります。

12: SS好きの名無しさん 2017-10-14 15:49:04 ID: 3_ZoHMqN

春雨のメイン武器はドラム缶だったのか

13: SS好きの名無しさん 2017-10-17 05:56:48 ID: ORMZjtae

バターは他の乳製品よりも調理に手間が掛からないからじゃないかな?
牛乳も調理に使うけどバターはパンやトーストに塗るだけだからね。
その速さはインスタントの王者カップ麺を超える!

14: 木鈴 2017-10-17 08:59:47 ID: dvqExjNo

13さん。その発送は無かった…ありがとうございます!

15: SS好きの名無しさん 2017-10-17 16:58:35 ID: ORMZjtae

正月じゃ!元旦に実家に帰省を口実に外国にドイツに亡命だ!
あーでもこの分だとドイツに言葉巧みにまた騙されてドイツの提督になりそうだw

16: SS好きの名無しさん 2017-10-25 21:17:03 ID: -Jtb1C6M

期待大

17: SS好きの名無しさん 2017-10-25 21:39:25 ID: YczTAUPC

なんというか
女の子が構ってくれるって好きです
続き期待しています

18: SS好きの名無しさん 2017-11-03 18:25:57 ID: Ddh9kEDP

此は悪さめちゃんですね。間違いないw
どうやら旨く転生できずに力と歪んだ意思だけが
継承されたんやなあ。

19: SS好きの名無しさん 2017-11-05 16:09:08 ID: Eq6wEliq

楽しみに更新待ってます╰(*´︶`*)╯♡

20: SS好きの名無しさん 2017-11-09 06:06:54 ID: Z3Kynz5m

いつも楽しく拝見しています。これからも頑張ってください。

個人的には提督の脱走が判明した時の鎮守府の動向(主に白露型)が興味あります

21: SS好きの名無しさん 2017-11-09 06:08:18 ID: Z3Kynz5m

いつも楽しく拝見しています。これからも頑張ってください。

個人的には提督の脱走が判明した時の鎮守府の動向(主に白露型)が興味あります

22: 木鈴 2017-11-09 08:56:39 ID: kMOqmO_z

21さん、いいですね。ネタ提供ありがとうございます。

23: SS好きの名無しさん 2017-11-14 12:56:51 ID: t3QQqlPE

鉄底さんは何よりも自由を愛してる人何だね。このタイプはやる気出せば大抵のことを出来てしまうから困る。
スパロボのシュウシラカワやね。
能力だけw

24: SS好きの名無しさん 2017-11-15 02:00:13 ID: iTfsPP6w

久しぶりのストーリー更新ありがたいです。次の話が待ち惜しいw

25: SS好きの名無しさん 2017-11-15 04:45:14 ID: 5yIaLH4H

大丈夫だ!可愛いこに縛られるはこの界隈では
ごほうびだw只ねえwこの瞬間に覇王が魔王がタッグ組んだ提督は
彼だけだろうなあw

26: SS好きの名無しさん 2017-11-15 04:53:03 ID: 5yIaLH4H

昔のアニメのシテイハンターのサエバリョウも吊るされてたよw
まあ主な理由が美人な依頼主に夜這いして失敗したからだけどw

27: SS好きの名無しさん 2017-11-15 19:07:33 ID: JrKBYuZU

この提督まさかの自縄自縛タイプだったのか…

28: SS好きの名無しさん 2017-11-15 23:42:08 ID: PyiRT7xx

面白い。
応援してます。

29: 木鈴 2017-11-16 00:03:09 ID: 2Y7sN2n0

28さん、そう言って貰えると本当に嬉しいです。
何分SSを書くと言うのが初めで手探りなもので…

30: SS好きの名無しさん 2017-11-16 07:30:10 ID: Cq37caOP

しかし憐れよなあw
面白い新作ゲームが出ても購入しに行けないのかwアマゾンやヨドバシとか通販という手もあるけど自分の手でパッケージを購入するのが楽しいのよw

31: SS好きの名無しさん 2017-11-16 13:26:57 ID: j_sxGvmB

いい雰囲気で好きかも

32: 木鈴 2017-11-16 13:37:34 ID: d6m-Laor

31さん、私なりに雰囲気を意識して書いて見たので褒めていただき嬉しいです。
時雨編はガラッと雰囲気が変わったので不安でもありました。

33: SS好きの名無しさん 2017-11-16 18:21:27 ID: Cq37caOP

流石は家のエース狂犬ことゆうだっちゃんよw駆逐と思えん火力と底力で助けられてますw

34: SS好きの名無しさん 2017-11-16 18:48:41 ID: Cq37caOP

さあ!嘘発見器こと涼風さんの出番ですよ!海風さんも御手伝いしてあげなさい。

35: SS好きの名無しさん 2017-11-16 19:41:54 ID: GT0QSb9t

は、春雨ちゃんがドラム缶に入れて強制的に...

36: SS好きの名無しさん 2017-11-16 20:29:13 ID: TvaEJzB0

おすすめしてたss読んだよ。くっそ重厚で面白かったです
こっちも楽しみにしてるんで応援してますね

37: 木鈴 2017-11-16 20:43:06 ID: 2Y7sN2n0

36さん、おお!ぷらずまさんのいる鎮守府を読んでくださったんですね!
あの作品は本当に素晴らしんですが読んでいる人少なく悲しく思っっていたので嬉しいです。
私も頑張ります。

38: 京哉提督@暇人 2017-11-16 23:41:54 ID: kjGnjWqf

面白いです。
このテイトク=サンの性格結構好きだったりします。
これからも頑張ってください。

39: SS好きの名無しさん 2017-11-17 13:02:52 ID: JoZQQSDr

クマクン強いものなあw
軽の軽さと重の強さを両立しつつ手にはいりやすい。

40: SS好きの名無しさん 2017-11-17 14:03:15 ID: OwzhlPLQ

意外とこの提督楽しんでるんじゃ…

41: SS好きの名無しさん 2017-11-17 20:18:54 ID: JoZQQSDr

時雨君の中にある復讐心を彼は時雨君自身で乗り越える手伝いをしあまつさえ喪った子を取り戻し更に生きる時間も与えた。此は惚れますわw
問題があるとすれば大本営の言うことを真に受けた鉄底さんだよw
人間なんてみんーな嘘つきよw

42: SS好きの名無しさん 2017-11-19 22:39:38 ID: -8QqZbk-

キャバクラで捕まるとか冷や汗もんですわーwww

43: SS好きの名無しさん 2017-11-20 00:31:35 ID: oVLwDsCb

大将もしくじったな・・・提督をやめない逃げない事にすればよかったのにw
だけどこれからの春雨VS浜風の提督争奪戦がwktkですね~

44: SS好きの名無しさん 2017-11-20 13:11:25 ID: fGT5WxL4

んー、欲を言えばせっかくタイトルが白露型なので登場キャラをまんべんなく起用してほしいかも

45: 木鈴 2017-11-20 13:22:16 ID: FF0NgwLk

44さん、アドバンスありがとうございます。白露、江風、涼風、海風については随時ピックアップしていきます。


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