2017-10-27 08:57:20 更新

前書き

本当に超短かったですが、よかったらどうぞ!
コメントお手柔らかにお願いしますね(笑)


それはとっくの昔に人々に忘れ去られ、

緑に包まれた元鎮守府。


自然から生まれた対極の存在が争った跡地として、かつての壮絶な痕はちらほら見えても、今では植物の住み家となり、完璧な調和の絵を成し遂げている。


水路から3分もしないで出撃できるという鎮守府のアドバンテージは、今では上がった水位によって、ひんやりする湖のお供と変わる。


キッキと聞こえる鳥の鳴き声、魚が水面を切る音、風が木々を撫でることによって、優しきカルテットが完成した。



今では機能は勿論、存在すら失ったはずの鎮守府だが、驚くことに、中には人が住んでいる。



男「今日も、いい天気だ」



男は伸びしながらそう言った。


誰かに語りかけている訳ではない。


気を紛らわしたい訳でもない。


ただひたすら、心に従い、自然と口に出しただけ。



男「さて、今日も頑張ろうか」



ゆるりと、男は振り返る


後ろには湖を見つめ、いつまでも衰えを知らないかつての主力兵装達。暖かい日差しと涼しい柔風が今日も、男とその後ろにいる歴史達を見守り、共に暮らしている。



男「この電探カチューシャもさすがだね、いつまでも替えなんて要らない、芯は真っ直ぐだ」


男「かつての守り神ー国砲、今では中身にある渡り鳥の巣を....おぉ!ついに卵から! 平和な世界へようこそ!」


男「ああ。もちろん忘れてはいないさ、お前はいつも背中流せってうるさかったな、はっはっは。どれ、まずは前の刃からだ。うむ、龍の字はやっぱり似合ってる」



かつては艤装と呼ばれる装備達の手入れをし、一通り終わった頃、男はまたゆったりと、湖へと向かう。


漂う小さな船。船よりも舟と呼ぶべきそれは、美しい大自然に負けず、男の手慣れた整備によって元から白身の強い木が更に輝いている。


向かうは中心にある小さな土の島。


その上には、異常と言って良いほど巨大な太刀と、同じく長く、歴史を感じる大弓が聳え立ち、いつまでも天に向けて、張った胸と全力で上げた表を、降ろさない。



男「ただいま、お前」



懐かしむような、慈しむような微笑みを浮かび、男は大太刀を背に、額を大弓に預ける。


朦朧し出す意識に身を任せ、男はまどろみへと誘われる。


かつて愛していた娘達と、愛を教え、受け入れ、混ざり、共に昇華していた女性は、男をその胸に抱きしめ、安らかな一時を共に過ごした。


ただ、完璧な手入れとは反対的に、この大太刀と弓だけは、植物に絡まれ、毅然と立っていても、その錆と老いは、否めない。


美しい大自然の向かい側に、完璧な兵器兵装


そのデュエットに、真ん中にある太刀弓だけは、溶け込まない。


流れる時間を受け入れても、届くはずだった優しい日差しを、拒み続けるは、刀なのか、それとも男なのか。



だが


しかし


それでも




運命だけは、回り続ける。


まるで世界から隔離されているかのように、


まるで神から忘れられたかのようなこの場所でも、


訪れる者が、いた。



女「相変わらず、困ったお方でございます」



上品な女性が、鮮やかな和服に身を包み、優しく微笑みながら、更に呟いた。



女「貴方の鳳翔が、回り巡って、今また、お側に」



その微笑みに、幸せはいつまでも昇華し続ける。




後書き

駄文を読みきってありがとうございました!

短かったが如何でしょうか?

他のテーマで長いssもこっそり書いてたりします。
もしご興味があったら完成後投稿しようかと思ってます。

是非感想ーコメントー要望を聞かせてくだされb

ではノシ


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2017-10-30 11:07:54

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