2017-11-09 21:16:49 更新

概要

ゲームセンターに置いてある景品(特に白露型)が意思を持ち、その日の事や連れて行かれた事を描いた物語。


前書き

のんびり更新していきます。


ここはとあるゲームセンター・・・


朝10時に開店、列に並んでいた客たちが一斉に店に入って行く。


ある客はアーケードゲームをプレイしに・・・ある客はカードをたくさん用意してカードゲームへ直行・・・


またある客は持っていたお札をメダルに変え、メダルコーナーへ・・・そして、


ここはUFOキャッチャーコーナー・・・お菓子やフィギュアや実用品など、多種多様なグッズが置かれており、


欲しい、取りたい客がどんどんお金をつぎ込んで挑戦していく・・・


取れなくて悔しがる客もいれば、たくさん取って袋いっぱいにして上機嫌で帰る客・・・


その光景がずっと続く・・・


「・・・・・・」


ここはゲーム”艦これ”の景品が置いてあるコーナー・・・そこに、


左から順に白露・時雨・村雨・夕立・・・白露型の箱フィギュアが並んでいるコーナー・・・


彼女たちは毎日ブース越しに、1日の光景をずっと見続けていた・・・


・・・・・・


「ぷぅ~・・・そろそろ外の世界に行って見たいっぽい~!」


「こらこら夕立、仕方ないじゃん・・・誰も僕たちを引き取ってくれないんだもん。」


「でも、私たちって人気があるはずよね~・・・なのにこの状況・・・」


「ゲームの難易度が高いんじゃない? アームだって僕たちを掴んでもすぐに外れるし・・・」


「ああ~・・・あそこでおいしそうな唐揚げが・・・う~ん・・・じゅるりっ」


4人が暇で語り合っている所に・・・


「おお、挑戦者が来たよ・・・今度は学生さんか・・・」


時雨が目の前にいる客を見て呟く。


「さぁ、誰を掴むのかなぁ~・・・誰を連れて行っちゃうのかなぁ~♪」


村雨も心がウキウキしている。


学生が狙ったフィギュアは・・・夕立。


「取って取って~!! 早く外に出て新しい世界に行って見たいっぽい~!!」


夕立が必死に訴えるが、当の学生は操作が下手なのか、箱にぶつかってばかりでずれもしない。


「ぷぅ~! 下手っぽい~!! そんな作業じゃ日が暮れちゃうっぽい~!」


夕立は文句を言うが、学生に届くはずもない・・・


辛うじて、箱は掴めたが少し上がってまた落ちる・・・少し手前にずれた・・・


「ぷぅ~・・・全然ずれてないし! この設定おかしいっぽい~!!」


学生は諦めて去って行った。


「ほら! こんな設定じゃあ誰も夕立を引き取ってくれないっぽい~!!」


夕立は頬を膨らませて不満を漏らす。


「仕方ないわよ、前に1人の客が半分以上持って行って、強化したばかりなんだから・・・」


「まぁ、仕方がないね・・・はぁ~、また皆で話して1日が終わるのかぁ・・・」


「ちょっと白露! あなたは何でそうのんびり寝ているのよ! 危機感ないの!?」


「うう~ん・・・今いい夢見てたのに・・・それで、何だっけ?」


「ああ、もういいわよ!」


村雨が不機嫌になり、


「こらこら・・・見て見なよ、また挑戦者だ。」


今度は中年のおっさんがやって来て・・・


「うわぁ~・・・いかにも、オタクって感じのおじさんだね・・・」


時雨が見て呆れる。


「誰を狙っているのかしら・・・まさか私じゃないわよね?」


村雨が心配する。


「夕立・・・こんなおっさんに取られたくないっぽい~!!」


ドン引きする夕立。


言い合っているうちに客は金を入れ、狙った艦娘は・・・


「!? 何!? 人が今いい夢を見ている時に!?」


白露だった。


「え、何このおっさん!? あたしを狙っているつもり!? やめてよ、あたしそんな趣味ないから!」


白露の気持ちなどお構いなしに、箱を持ち上げる。


「いや~! 止めて離して~!」


運よく落ちずに穴まで到達・・・そして・・・白露ゲット!


「おめでとうございます!」


店員は袋を渡し、客は上機嫌で店から出て行った。


「あ~あ・・・白露が連れて行かれちゃった・・・」


村雨が哀れむ。


「しばらくしたら戻ってくるよ、それまで3人で待っているだけさ。」


時雨はいたって冷静だ。


「ぽいぽい~!」


夕立は相変わらずの語尾を連発・・・


店員がブースを開け、白露のフィギュアを時雨の隣に置く。


「いっちば~ん! 白露型1番艦白露! よろしくね~!」


「ほら、すぐに戻ってきた。」


「これならストレスは溜まらないわね~。」


「ぽいぽい~!!」


また4人はブース越しに挑戦者を待ち続けるのだった。


・・・・・・


1週間が経過、


相変わらず、白露型の皆は健在・・・たまに挑戦者が来ては諦めるの連続で、ほとんど残ったままだ。


「あ~暇だなぁ~。」


時雨がため息をつく。


「? また挑戦者が来た・・・今度は誰を狙うのかな?」


そう思っていた時雨だったが、アームが時雨に向かって来て・・・


「僕を狙ってる? いいよ、いつでも来てよ!」


箱を掴んで落ちる、また掴んでまた落ちる・・・の繰り返し。


「止めてよ・・・そんなことしたら・・・酔っちゃうじゃないか・・・」


繰り返し、掴んで落としての行為をされたせいで、時雨は気持ち悪くなり・・・


「うぷっ・・・ヤバい・・・吐きそう・・・ううっ・・・」


必死で我慢する時雨・・・客も次第に諦めて、


「この設定じゃ無理だわ。」


と言って、止めて店から出て行った。


「はぁはぁ・・・やっと治まった? どうなるかと思ったよ。」


時雨は安心する、


「お疲れ様~・・・災難だったわね~。」


「あのお客さんも・・・下手っぽい?」


「見てて面白かったよ♪ あはは・・・」


白露は相変わらずだ、


「結局今日も連れて行かれず・・・」


今日はそれ以降、客が来ずに1日が終わった。




彼女たち(フィギュアや景品に宿っている人格)は同じ景品になら自由に行き来が可能である。


例えば、さっきみたいに白露が連れて行かれてしまった場合、本人の意思で別の同じ景品に乗り換えることが可能である、


稀に獲得者に好意を抱くと、獲得者の家まで一緒に行き、棚か台で飾られて永遠に見守ることもある。


・・・・・・


1か月が経過すると、


ブース内の景品の入れ替えが始まる、白露たちも例外ではなく難易度の低いブース内に入れられた。


「これならたくさん連れて行かれやすいっぽい~!」


「そうだね、でも・・・今度は4人ではなく2人になっちゃったね。」


時雨と夕立のフィギュアの方がよくゲットされるため、ブース内に出されたのは2人だけで、残りの白露と村雨は不足している別の


ゲームセンターに移送されることになった。


「時雨、夕立・・・2人は頑張ってゲットされるのよ~!」


「白露! 村雨! またいつか・・・どこかで会おうね!」


こうして白露型フィギュアは離れ離れになってしまった・・・


・・・・・・

・・・



また新しいフィギュアが陳列された・・・今度は、村雨・秋月・春雨の全3種類の景品・・・3人が同じブース内に並べられ・・・


「あら、春雨! しかも隣に・・・いい感じね~♪」


「わ~い♪ 村雨姉さんだ~♪」


姉妹艦なだけに2人は喜んだ。


「そしてもう1人は・・・秋月さん。 対空性能トップの駆逐艦! そんな方と一緒にブースの中にいられるなんて光栄です!」


「いえ・・・そんなお気遣いなく・・・」


「・・・でも、連れて行かれるのは話が別だから・・・皆、挑戦者様に必死で私たちの魅力をアピールするのよ!」


「は~い!!」


・・・・・・


「そう言えば、村雨さん・・・知ってますか?」


「あら・・・何ですか?」


「前に連れて行かれた方について行ったら、私以外に他の方たちも既に飾られていたんですよ。」


「へぇ~・・・そうなんですか?」


「手入れもしっかりしてくれて、各段にスペースを空けて飾ってくれて・・・まだ一部の方が家に残ったままですよ。」


「そう・・・いいですね!」


秋月に言われて、村雨が興味を持つ。


「それで、肝心の客は誰なんですか?」



フィギュア内を自由に移動可能だが、当然ながら場所がわからないのでは転々としてしまう・・・一度でも目的の家に


行けば次からは何の問題もなく移動可能なのだが・・・



「いつも来る人で、袋いっぱいに持って帰る方ですよ。」


「・・・ああ、あの人。」


村雨には思い当たるようだ。


「よし! 今度ここに現れたら私の魅力を見せつけてあげるんだから!」


村雨はいつでも連れて行かれるよう準備を整えた。


・・・・・・


村雨は待ち続け・・・目的の人間は中々来ない・・・


その間に挑戦者が何人かやって来て、連れて行かれたり諦められたり・・・どのくらい経ったのか・・・


「取ってすぐに店に売る人間もいるから嫌になっちゃう!」


村雨が愚痴を漏らす。


「仕方ありませんよ、新しく出てからすぐに売らないと価値が下がってしまうんですよ?」


「そうだけど・・・」


「各ブームは短くて1か月以内、人気があれば何カ月でも・・・でも、店に同じものがあればどんどん価値が泣くなって


 安値でしか売れませんし・・・」


何度も経験してるからか、細かに説明する春雨。


「私としてのスタイルは自信あるんだけどね~・・・」


「村雨姉さんの魅力は知ってますよ・・・でも、春雨が知っているだけで目の前のお客さんはわかりませんよ?」


「むむむ・・・」


妹に説明されて何も答えられない村雨・・・


「村雨さ~ん、春雨さ~ん!」


呼ばれて振り向くと秋月が穴に落ちていて、


「しばらくしたら戻ってきますね、それまでさようなら~。」


店員が「おめでとうございます!」と言い、袋に詰めて客に渡した。


「ああ、しばらく秋月さんと話が出来ない・・・か。」


「村雨姉さん・・・さっきまで春雨としか話してないですよ・・・」


春雨は呆れていた。


・・・・・・


店員がブースを開け、秋月のフィギュアを置く。


「・・・・・・」


秋月は戻ってこない。


「持って行った人の家が気に入ったのかしらね?」


「さぁ・・・でも、それならそれでいいじゃないですか♪」


春雨はいつでもポジティブだ。


・・・・・・


1時間後、


「秋月、ただいま戻りました!」


結局戻ってきた秋月・・・


「どうしたんです? 時間が掛かってましたけど?」


「はい・・・私を別の人に渡していたので・・・どうやらその人に頼まれていたようです。」


「そう・・・中には上手な人に「取って」と頼む人もいるわよね・・・」


「それが・・・その人の家の中がゴミだらけの不潔で・・・嫌で戻ってきてしまいました。」


「あ~それあるある・・・地面に物ばかり置いている人ね。」


「はい・・・そこに春雨さんのフィギュアもありましたよ。」


「春雨が? ・・・う~ん・・・何か微妙ですね。」


「いいじゃない・・・「その家に移動しなければいいんだから」。」


「そうですね。」


3人はまたブース内で会話をするのだった。


・・・・・・

・・・



「1か月以上経つけど・・・ここの店は入れ替えが無いわね。」


本来なら1か月期間で入れ替えをするはずだが、珍しく入れ替えが行われない。


「何かあったのでしょうか?」


村雨たちにはわからない・・・それもそのはず。


この店はあと少しで閉店してしまうからだ・・・


「・・・早く、あの人来ないかなぁ~?」


「あの人? 秋月さんが言っていた「棚に飾ってくれる人間」ですか?」


「そうそう・・・一部の艦娘の方もまだその方の家に残っているって言うし・・・余程居心地いいんだなぁ~って。」


いつもブース内で獲得者を待っている村雨にとって、人の家に住みたい要望があった。


「私も行きたいですね。」


「もちろん、春雨も連れて行ってくれたら、なお嬉しいけどねぇ~。」


村雨は思うが、あくまで彼女の意見・・・客からしてみればどうでもいい事。


・・・閉店まで後数日になったところで・・・


「村雨姉さん、店員さんが景品を段ボールに詰めていますけど・・・」


「本当だわ・・・整理かしら?」


2人が疑問に思っていると・・・


「明日でこの店は閉店らしいですよ。」


どこから情報を手に入れたのか、秋月が知らせる。


「え~っ! そうなんですか!?」


春雨は驚き、


「ふ~ん・・・入れ替えが無かったのはそのためね・・・」


村雨は納得する。


「じゃあまた私たちは違う場所に移動かもね・・・」


「仕方がありませんよ・・・売れ残りとはそういう運命なんです。」


「秋月さんはしっかりしてますね・・・私も見習いたいです。」


「何度も経験すればわかりますよ・・・では、明日になるまで未練なく会話でもしませんか?」


「そうね、賛成!」


3人は会話をし始めた。


・・・・・・


そして翌日、


「秋月さん、またね~・・・どこかでまた会いましょう!」


「さようなら、村雨さんに春雨さん! お元気で~!」


3人はまた別の店へと郵送された。


・・・・・・


ここはビル内の小さなゲームセンター・・・ゲームセンターの規模は小さいが、萌え系のグッズばかりでオタク系がよく挑戦する


ゲームセンターである。


「村雨、パワーアップ! 今度はポスターになって生まれ変わったわよ!」


景品には、艦これのキャラクターのポスターが並べられていて、その中に夕立もいて・・・


「あら夕立、元気にしてた?」


「村雨っぽい~! 久しぶりっぽい~!」


2人は久々の再会を果たした。


「時雨はどうなったのかしら?」


「時雨なら、あの後たくさんの人に連れて行かれたっぽい!」


「へぇ~・・・夕立は?」


「フィギュアにいるのが飽きたから、このポスターに移ったら村雨がいたって感じっぽい!」


「・・・なるほどね。」


2人は気づいていないが、このポスター・・・景品用ではなく展示用・・・つまり持って行くことが出来ない景品。


それに気づくのは少し経ってからの事だった・・・


・・・・・・


ポスターに移って早1か月・・・


「このポスター・・・景品じゃないわね・・・ただの展示用かぁ~。」


ポスターに宿った村雨がため息をつく。


「仕方ないっぽい・・・でも、景品と違って外に飾ってあるからいつも新鮮な空気を吸えて悪くないっぽい~!」


今まではブース内に閉じ込められていたが、今回は展示ポスター・・・外に飾っているため、一応ではあるが


「外の世界」にいる。


「そうね・・・たくさんの人を見れて悪くはないけど・・・」


「ないけど?」


「前みたいに持って行かれる感覚は二度と無いのよね~。」


「本当に村雨は「連れて行かれたい派」っぽい~!」


「連れて行かれるあの感覚・・・そしてその人の家で飾られる私・・・輝いていいじゃない!」


「・・・夕立はそこまで求めないっぽい~!」


「そうね・・・夕立は目の前で焼いているクレープを見ていて満足だもんね。」


2人はずっと話をしていた。


・・・・・・


しばらくして、夕立のポスターが回収された。


「たくさんの人が触ってくるから、だんだんボロボロになって捨てられるっぽい~!」


「夕立! またどこかで会いましょう! 大丈夫! 私たちはまた会えるわ!」


「うん、村雨もそれまで元気でねっぽい~!」


夕立のポスターはその後、ゴミ袋に入れられ翌日、ゴミ収集車に連れて行かれた。


「また1人か・・・はぁ~」


1人になると退屈のようで・・・


「ただ通り過ぎる人を見るだけで1日が過ぎるんだよね~・・・何か面白いことはないかしら・・・」


そう思っていると、


「すいません、この村雨のポスターは貰えないんですか?」


「あら、誰か私を指名した?」


ポスターに宿った村雨が耳を傾ける。


「オレ、村雨が好きなんであのポスターが欲しいんですよ!」


「・・・・・・」



へぇ~・・・私の事が好き・・・じゃあ頑張って私をゲットしてね。



「すいません、このポスターは展示物なんで景品ではないんですよ。」



あの店員ケチね! 私が許可するんだからいいでしょ!



「そうですか・・・じゃあ仕方ありません、諦めます!」



ええ~っ! ちょっとぉ~!! さっきまでの威勢はどこに行ったの!? この根性なし!



村雨は叫ぶが・・・当然ながらその声に店員と客に届くはずもなかった・・・


・・・・・・


最近このゲームセンターの客足が少なくなり、また閉店することになった・・・


「またかぁ~・・・今度はどの店に移動するのかしら・・・」


村雨はまた移動場所を考える。


「・・・それ以上に私は移動できるのかしら? 夕立と同じように再利用されるかもしれないわね。」


長いこと外に飾られ続けていた影響で、ポスターの色が若干薄くなっていた。


「これでは、あまり展示用としては機能しないわよね・・・夕立と同じ再利用かな・・・」


そう思っていると・・・


「はいこれ、店長が欲しかった景品を違うゲーセンで取ってきた~。」


「本当ですか!? いやぁ~・・・本当にありがとうございます!」


「・・・・・・」



ここの店長のためにわざわざ・・・お人好しもいるものね・・・



「もうすぐこの店、閉店するんですよ。」


「!? そうなんですか!? 初めて知った・・・」



それもそうですよね・・・私だって数日前に知ったばかりですもの・・・



「そうだ! お客さん確か前に「村雨のポスター」欲しいって言ってましたよね?」


「はい・・・それがどうかしましたか?」


「この店がもう閉店するんで、ここの景品は別の店に移動するか、捨てられるかのどちらかなんですよ。


 少し色あせて薄くなっていますがそれでよければ、この景品の代わりに差し上げてもいいですよ。」


「本当ですか!? じゃあ是非お願いします!」


「・・・・・・」



嘘!? 本当に!? やったぁ~!! ずっとここで待った甲斐があったわ~!



「店長もああ見えて結構太っ腹じゃない・・・少し見直したわ。」


その後、村雨のポスターは店長によって壁から剥がされ、客の手に渡った。


しかも、その客が幸運にも・・・


「あら、前に秋月さんが言っていたお客さんじゃない! これは何て運がいいの!」


村雨は昔を思い出す・・・



他にもたくさんの人がいて、一部の方は残ったままでいます。



「春雨もいるかなぁ・・・白露や時雨もいれば・・・何か楽しみね♪」


村雨は心を躍らせながら、ポスターを手に入れた客の家に連れて行かれるのだった・・・


・・・・・・










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