2017-12-13 22:14:03 更新

前書き

本文+艦娘の日記
という形式で書いてみました。
短いうえ不定期更新ですが鬱エンドにはなりませんので生暖かい目でご覧いただけましたら幸いです。


11月も半ばに入ったとある暖かい日。

最近は深海棲艦の活動も落ち着き、出撃回数も少なくなった。

とはいえ、いざという時に戦えないでは意味もなく、鎮守府に属する艦娘は遠征に、演習にと忙しい日々を送っている。

そんな活気に満ちた声を窓越しに聞きながら、この鎮守府の提督は沈痛な面持ちで電話を切った。

秘書艦の気遣うような顔を制し、窓辺へと移動した彼は演習中の艦娘たちを見遣る。

ちょうど高練度の駆逐艦が放つ模擬魚雷が戦艦に大破判定を与えたところだった。


「……」


彼が何事か呟き、秘書艦が退室する。

そして館内に呼び出しの放送が流された。





11月11日 土曜 天気晴れ


今日、1300に提督に呼び出されました。

執務室には私の他、山城、最上、時雨がいて、秘書艦が提督の隣に立ちます。

そして、言い渡された指令は至極単純なもの


西村艦隊への轟沈命令でした。


こちらへ着任して以来、提督とともに数々の敵を撃ち破り海の平和を取り戻してきた自負もありましたから、まさに青天の霹靂とでも言うべき指令に全員が激昂しようとしたとき……それを抑えたのは秘書艦のひと言でした。

この作戦の立案者であるという彼女の話を聞くうちに、私たちの頭を悩ませる問題の解決への糸口が見えたような気がして、些か興奮を覚えてしまいました。


平和への架け橋となるのならこの扶桑、喜んで「轟沈」いたします。






今夜、西村艦隊が出撃する。


その事実が鎮守府全体に広まるまで時間はかからなかった

最後に出撃したのはいつだっただろうか

少なくとも夏以降は遠征や近海警備くらいしかなかった

艦娘たちの間にも不満が溜まっていたタイミングに齎されたこの報に、出撃しない面々まで気分を高揚させていた

ある者は戦勝祈念と称し酒盛りを始め、またある者は鎮守府にほど近い神社へと赴いた

とにかくなにもしないではいられないといった様相を呈していたのだ





11月12日 日曜日 天気晴れ


久々の出撃命令にみんな興奮してた。

ボクたちもホントは喜びたいところなんだけど…命令内容があれだしなぁ

夕食には足柄さん特製のカツカレー

2200、ボクたちは出撃する

場所は、因縁のレイテ

こんな状況じゃなきゃ雪辱戦だって張り切るとこなんだけどね

三隈なんか艦隊みんなの分のお守りまで用意してくれて……困ったなぁ

これじゃあ、沈むなんて言えないじゃないか






あの出撃から1ヶ月が経った

意気揚々とこの鎮守府をでた艦隊はその数日後の真夜中、帰投した

……いや、この言い方には語弊があるだろう

私の執務室に出頭してきたのは満潮一人だけだったのだから

その艤装はボロボロで激しい戦闘が行われたことを想起させるものだった

我が鎮守府が誇る工廠妖精や明石が「修復は不可能」と言い切るほどに酷い有様だった

夜が開けると帰投した艦隊のことを尋ねる艦娘が執務室に押し寄せてきた

だが、彼女の希望で全て断り、その後も彼女は他の艦娘の前に姿を現していない


そんな中、大本営から届いた通達は鎮守府を大いに揺らした

そこにはこう記されていたのだから



『深海棲艦との停戦会談の年内実施』






12月13日 水曜日 天気 雪

提督より秘書艦に任命された三隈は、仕事終わりに提督に呼び止められましたの

正直、もがみんがいなくなってしまった今はなにもしたくない、という気持ちが強かったのですけれど

でも、提督に言われた言葉にそんな気持ちは吹き飛んでしまって…恥ずかしげもなく声を上げて泣いてしまいました

なにがあったのか今は記すことはできないし、他の皆さんにお話もできないけれど、今日は間違いなく、今年1番嬉しい1日になりました

あとは、会談が無事に終わるのを待つばかりですわね


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