2017-12-11 01:07:28 更新

概要

ミサトは加持に対して愛と憎しみを持っていた。使徒とゼーレの謎が解かれていく中、共に二人の仲も落ち着いて…。そしてレイは人間の心を理解するようになり、シンジはレイに通うようになる。そしてアスカは…。


前書き

エヴァの項目を増やしたい一心で始めました。
ラブコメ長編を挑戦させていただきます。

R-18指定となりました。ご了承ください。


シンジ「じゃあ、また明日…」


レイ「おやすみ…」


バタン




シンジ「………」トボトボ


月がまぶしい。街灯なんてなくても、月は遠く向こうの道が開けて見えるくらいに照らしていた。僕は浮かない顔をしてミサトさんの家に帰っていた。


綾波の家に通い始めて何週間か経った。自らの気持ちを告白した、というちょっと前のラブコメ的展開というよりは、成り行きで通うようになったという静寂なものに過ぎなかった。

丁度…再びリツコさんが綾波に新しいICカードを渡しそびれて、僕にその配達をお願いされたのだ。

その時、前回綾波の家に来た時のあの感触が、また生々しく蘇った。あの、入れ物のような体に付いた真っ白な二つの乳房…。故意ではないとはいえ、柔らかいL.C.Lの匂いと、綾波のあの無表情な顔を思い出すと、確かに象徴的な何かを感じて、僕はその後もそれを思い出しては、自らを安定させていた。

ICカードをリツコさんから受け取る。無機質なカードに、無機質な綾波レイの写真。どっちがどっちなんだろうか。綾波も相変わらず身体的な成長はあまりないように見えた。

綾波の家のドアの前に立ち、僕はインターホンを試しに押してみた。やっぱりベルは故障していて鳴らない。ノックを軽くしてみる。


シンジ「綾波?僕だけど…」


すると、ドアが開いた。綾波はまだ寝巻きで、目を擦りながら僕を見た。


レイ「どうしたの?」


シンジ「…綾波、まだ寝てたの?」


レイ「…昨日、再テスト完徹だったの」


シンジ「そ、そうなんだ…お疲れ様。あの、ICカードがまた新しくなったみたいだから…」


レイ「…そう。ありがとう」

僕はレイにカードを渡した。


シンジ「じゃ、僕はこれで…」


レイ「……」

綾波は僕をまじまじと見つめていた。或いは僕ではなく、その背景を見ていたのかもしれない。すると、綾波は口を開いた。


レイ「…上がる?」


綾波の家にある物といったら、あの固そうなベッドと、水の入ったビーカーと包帯と処方箋とその薬が上に乗った引き出しがあるくらいだ。…あとは…父さんの眼鏡か。

カーテンの隙間から、もうすぐ昼間を告げる太陽の日光が漏れている。もし僕がここで冗談半分にカーテンをバッと開けてしまえば、綾波は砂になって消えてしまうんじゃないかな、と思うほど暗く、そして暑い。

僕は丸い椅子に座って綾波の入れるコーヒーを待っていた。綾波はネスカフェのコーヒーの粒が入ったボトルを頻りに見つめ、やかんがコトコトと音を立てているのが少し聞こえてくる。僕はなんだかこの部屋がどうしてもぎこちなく感じてしまい、落ち着かなかった。でも、あの眼鏡を見ると、いくらか落ち着いたーー、いや、妬みのようなものがーー、感じられる場合もあったかもしれない。


レイ「…コーヒーってこれ、どれくらい入れればいいの?」


シンジ「スプーン一杯程度でいいんじゃないかな」


レイ「これくらい?」


シンジ「…まあそんなもんか」


綾波はコーヒーをカップのなかに入れ、やかんの熱湯を入れようとした時だった。


レイ「あっ!」


シンジ「どうしたの!?」


レイ「火傷…」


シンジ「ああ、可哀想に。すぐ冷やそう」


レイ「大丈夫、ちょっとだから」


シンジ「ほらいいから、手を」


僕は何も考えずに綾波の手を取り、流しの蛇口をひねり、流れる水に綾波の手を当てた。

当てている間、綾波は僕をしげしげと見つめているのに気づいた。そこで僕の顔は思い切り赤くなった。


シンジ「あ…ごめん」


綾波の手をパッと離す。


レイ「いいえ…ありがとう」


シンジ「…コーヒー、入れようか」


レイ「ええ」


僕はやかんを持ち、コーヒーの入ったカップに熱湯を注いだ。心地よい熱湯の流れる音と、コーヒーの香りがする。すぐそばで綾波の香りが加わり、僕の心臓は大きい音を立てていた。


僕と綾波は二人対に座って、コーヒーを飲んだ。苦味が舌を刺した。綾波は何の反応もなくコーヒーを飲んでいた。

しかし、こんな暑さの中熱いコーヒーを飲んでいるのに綾波は何食わぬ顔をしているのがすごいと思った。僕はいくらか汗をかいていた。でも僕はこの沈黙の時間が少し幸せに感じていた。


レイ「…楽しい?」


シンジ「えっ?」


いきなり聞いてきたものだから僕はびっくりしてしまった。


レイ「今こうしているの、楽しい?」


シンジ「あ、うん…。綾波とお茶することが出来たのはとても嬉しいよ」


レイ「そう…」

少し、綾波の顔が赤らむ。


レイ「…今こうしていると、心がポカポカする」


シンジ「え、う、うん…」


僕はとっさにコーヒーを飲んで逃げる。綾波らしくない告白に似た綾波からの発言だった。いや、コーヒーが暖かいからポカポカするのだろうか?だが外気はポカポカどころかギラギラ太陽が照りついている。色々考えているうちに、コーヒーを飲み終えてしまった。


シンジ「じゃ、じゃあ僕はこれで帰るね、宿題やらないとっ」

僕は何故か分からないが、さっさと帰る支度をして外へ出ようとしていた。いや、羞恥からだろうか?

玄関ドアを開ける時に振り向くと、綾波がすぐそばで僕を見ていた。急な接近に僕は思わず息を飲んだ。そして、シュンとした顔をしている綾波は息をかけるように僕にこう言った。コーヒーと微かなL.C.Lの匂いがした。


レイ「…また来て」


シンジ「う…うん。また来るよ、絶対」

僕は玄関ドアを開けて綾波の家を出た。


こうして綾波と僕は逢瀬を重ねるようになった。最初は手を繋いでみたりするだけで綾波の顔が赤くなったりするくらいだった。でも次第に愛というのはエスカレートしていくものである。肩をくっつけ合うようになる。ハグをするようになる。接吻をするようになる。そして…。

その、そして、のあとに続く言葉の行為をしたのがまさに今、僕が常夏の星空の下を歩いている夜に起きたことだったのだ!

ぼんやりと考えながら歩いていくと、駅が見えてきた。時間帯はまだ早い21時台だったので、仕事帰りのサラリーマンなどはまだまだいた。アスカやミサトさんはきっとできあいの食材で夕食を済ませていることだろう…。そして今、綾波は何食わぬ顔で、しかし動揺を隠せない状態でいるだろう。何故なら僕だってそうなのだから。あの、簡易的なベッド、その上に散らばる包帯、破り捨てられた包装紙、月の光が照らす白の裸体、そしてそれを包み込む己の身体…。

もう、ミサトさんたちのことを考えることが、脳内で物が軋む音に邪魔されて、次第に出来なくなっていた。ミサトさんたちに勘づかれる前に、今日はさっさと帰ってさっさと寝てしまおう…。

僕は最寄りの駅に降りた時にそう決心した。



葛城宅


アスカ「遅いわねぇあいつ」


ミサト「全く、いつまで遊びに行ってるのかしら?シンジくんの同級生って、もしかして夜遊びするような子なの?」


アスカ「ぜんっぜん。一人は関西弁を話すタチの悪いやつで、一人は異常なまでのサバゲーヲタよ」


ミサト「…シンジくんは変わった子に好かれるわね」


アスカ「あのシンジもただの馬鹿変態だけどね……ぁあーーっ!超お腹空いたんだけどォ!この美しい私と美しい三十路をほっぽって一人遊ぶなんて、許せないわ!」


ミサト「三十路は余計よ…」ギロッ


アスカ「あっ、いっけね」


プシューッ


シンジ「ただいま」


ミサト「こんな時間まで何やってたの?心配してたのよ?」


シンジ「すみません…トウジがゲーセン行く行くってうるさくて…」


ミサト「今度から、なるべく早く帰りなさいよ」


アスカ「ちょっと!私たち何も食べてないから飢えて死にそうなのよ!!」


シンジ「そうじゃないかと思ってたから…」


シンジはかなり大きいレジ袋を床に置いた。


シンジ「すみませんが、僕はしばらくの間炊事をしないことにしました。ミサトさんには申し訳ないけど、元の生活に戻ります。今日はインスタント類のものを、これでもかというくらいに買ってきました。どうか、これで済ませて頂けるとありがたいです」


アスカ「なっ…」


ミサト「どうしたの突然…またどうして?」


シンジ「…僕には少し時間が欲しいんです。そうですね…僕もそういう年っちゃあそういう年だから、思い詰めることはいくらでもあるんです。だから、少しでも時間を得ようと思って…それに、疲れましたし…」


ミサト「…そうね。少しシンジ君に頼りすぎてたところがあったかもしれないわ。いいわ」


アスカ「ミサト!」


ミサト「いいのよ。前の生活なんて全然慣れてるし。アスカも…まあ協力してあげなさい」


アスカ「…なんでよ…楽しみにしてたのに…」


シンジ「えっ」


アスカ「いいわ!何でもない!虚弱なアンタのことだから仕方ないわ!この私がカップラーメンで我慢してあげる!ありがたく思いなさい!」


シンジ「う…うん」


アスカ「さーて、何を買ってきたのかしら…」ガサゴソ


シンジ「じゃあ、僕はもう風呂入って寝ますね。すごい…疲れてるんで」


ミサト「そう…おやすみ」


シンジ「おやすみなさい」


シンジは風呂へと向かった。


ミサト「……」


アスカ「おっ!UFOの塩焼きそばじゃん!これ食ーべよっと」


ミサト「そうね、じゃ私はサバ缶とカップヌードルのカレーにしようかしら」


アスカ「ふん、オヤジねオヤジ」


ミサト「うっさい!……ねぇ、アスカ」


アスカ「?」


ミサト「シンジくん…今日は何をしていたか、分かったわよね?」ニヤリ


アスカ「……あたぼうよ」ニヤリ


女の目は刃より鋭いことを知らない僕はまだまだ鈍感であるということに気付かないままベッドに入った。しばらくぼんやりと暗い空間を眺めていたが、やがて本当に眠くなって、深い眠りへと落ちた。カチッというティファールのポットの沸騰が完了する時の音が聞こえた。

僕はレイの夢を見た。


その夢は、あの夜の時だった。僕は綾波のベッドに仰向けに横になり、それを裸の綾波が覆って、僕の顔を見つめている。僕も裸だった。その部分はあの夜の時と一緒だった。唯一違うのは、雨が激しく降っていることだった。


レイ「…楽しい?」


レイは僕に聞いてきた。


シンジ「…これは、楽しいとかのことじゃないと思う。人間的なことなのかもしれない」


レイ「…私は人形じゃない」


シンジ「うん、それはそうだ」


僕と綾波は抱き合いながら深い接吻を交わす。雷が向こうの方で鳴り響き、雨が一層激しくなる。先導したのは僕だったと思う。綾波は何も知らないから、人の愛し方も、自分の愛し方も…。雷が光ると、一瞬、綾波の白い身体、赤い瞳が視界に入っては消える。その時だった。

綾波は僕の硬く、熱くなったものを持った。綾波の手は冷たく、優しく、背徳感なんて全くない純潔な手だった。人の愛し方を知らない綾波が何故それを持ったのか、持つことを知っていたのかはよく分からない。生物学?そんな堅苦しい概念で綾波を見たいとは思わなかった。

すると、綾波はゆっくりと上下に動かし始めた。僕は少し呻く。快感、焦燥、外気のせいで汗をびっしょりとかいていた。動かしている間、綾波は無表情で僕の顔を見つめていた。特に意識してはいないようだった。ただ、僕が悦びを得ているのかにだけ興味があるように見えた。

やがて僕はもう我慢がならなくなった。その時、雷が同時に光る。その前に大きく光った雷の音が同時に大きく鳴り響き、僕はそこで射精した。ドロドロした、あの人間の全てが詰まった液体が綾波の顔にかかった…。


はっと目を覚ました。僕は汗をぐっしょりと、Tシャツが雑巾みたいに濡れるほどかいていた。そして、僕のペニスが勃起をした状態で、下着まで濡れていた。夢精だった。

時計を見ると午前の四時近かった。僕は吐息をつきながら、そばにあるボルヴィックの水を開封し、一気に飲み干した。そしてミサトさんたちには申し訳ないが僕はシャワーを浴びて、パンツと寝間着を取り替えた。

自分の部屋に戻って、気付くと、もはやすっかり目が覚めていた。僕はため息をついて布団に横になり、イヤホンをつけて薄暗い朝の中で、何となく音楽を聴いた。最初に流れた曲はジャネット・ジャクソンの「Any time,any place」だった。いい曲で、メロウな曲調が、この時に限っては少し僕をがっかりさせた。

もっと、悲劇的な曲が聞きたかった。


後書き

鋭意制作中


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