2017-11-30 16:28:18 更新

概要

いわゆる日常系です。携帯電話のメールで打ったものをコピーしています。加筆修正はあまりしていないので、いろいろひどい。ちなみに3,4年の蓄積です。現在進行形で書いているものは最新版をどうぞ。但し、遅筆です。


前書き

題名は決まっていません。なので、ファイル名という仮名です。町名も決まっていません。作者名も決まっていません。
雑学は作者の趣味範囲なので正直いって狭いです。半分でたらめです。
作者の趣味トークは分からなければ、スルーで構いません。これが結構ありますが。
打ち切りの話もかなりあります。続きは想像にお任せします。
会話形式なので、地の文は滅多に見られません。登場人物の感情も想像にお任せします。
一年ループものです。月日は一応リアルタイムです。
話の関連性は特にないです。どこからでもお読みください。
後付けになりますが、とりあえず、番号振ってみました。舞台はどこか自分でも分からない場所も多いので、書くのをやめました。
最初から登場人物が揃っていますが、ストーリーなどは後々明らかになっていく(?)ようです。
誤字、脱字あると思います。語彙力ないです。


1

純治「うぃっす、邪魔するぜ」

基茂「先日の鋼田先生といい、またも電撃訪問か」

佐竹「鋼田さんか、やはりお前の所にも来たのな。うちには成績関係の結構真面目な話をされたが、そっちは?」

基茂「うちも確かに成績関係の話はしたが…後は殆ど俺の更正に対する話をしていてお前は三倍アイスクリームを食えば一人前の生徒になれる…的な事も言われた。その時磨夢も居合わせていたが結構良いコンビだぞ、呆れるくらいに」

佐竹「お前何かスペカでも使ったのか!?つか、磨夢さん…鋼田さんと馬が合うとは、まあ教師として同僚ではあるが。まさか二人共こっちの人間だったとは。一生徒として驚愕と感激が混ざり合った複雑な感情になるな」

基茂「まあ正確にはシャアザクの話だったが、いずれにしろお仲間である事は間違いない。つかやしろんとマキブしに行く言ってたし、やしろんは帰宅してからの証言もあるこったしな。磨夢は言うまでもない」


2

7秒23!

基茂「あー、大分落ちたなぁ…ちる、俺は7秒23な」

ちる「はい、分かりました。けど先程のレースはダントツでしたよ?」

基茂「だが現役には及ばぬ、七秒は愚か六秒切っているやつもいるだろう?」

ちる「陸上部の手塚…さん?この人がダントツですね。5秒15。世界陸上に出ていいですよ」

基茂「手塚、陸上部のエースか。本人はまだ出る気は無いらしい。どうせなら5秒切ってから出る云々…時間の問題だな、恐ろしいやつだぜ、最盛期の俺でも敵わない」

ちる「基茂さんは確か中学の時に全国大会に出場たとか…」

基茂「あぁ、出たよ?地方大会でこそ上位だったが、こいつはまるで別次元だぜってレベルだったな。まぁその時手塚は居なかった訳だが」

ちる「居なかった…というのはあれですか?当時は海外に居たとか…」

基茂「察しがいいな。手塚は日本生まれジャマイカ育ち。あのボルトと練習していたそうだぞ」

ちる「まさしく一流選手が育成した…脚とか凄そうですね」

基茂「一度一緒に走った事があるが、雲泥の差だったぜ」

ちる「基茂さんが畏怖するなんて…珍しいです」

基茂「手塚はまだまだ速くなる。俺も張り合いようがねえわ」


3

さぁーいーこーぜー絶望の僅かなー

磨夢「こっち側へー…どうしたの、霞からなんて珍しい」

霞「ふふ、急に磨夢さんの声が聞きたくなって…違いますよ。レポートを諦めてアニメなう」

磨夢「上映するならわたしも呼んで」

霞「お、おめーの席ねーから!」

磨夢「大丈夫わたしはその間、霞のベッドの匂いをかぎながら寝ておくから」

霞「レポートの事を少しは気にして下さい」

磨夢「大丈夫、霞なら提出扱いにしておくから」

霞「あなた本当に教師ですか?」

磨夢「教師、なにそれ美味しいの?わたしただのバイトに過ぎない」

霞「非常勤でも教師は教師です!」

磨夢「こんな仕事より霞専属の家庭教師やりたい」

霞「例え家庭教師を雇おうと磨夢さんは丁重にお断りします」

磨夢「手取り足取り教えてあげるのに、犯罪の基本を。そう、まずはオレオレ詐欺から」

霞「六法全書を読んでいれば犯罪も詳しい…訳ないでしょうが。そもそもあなたは犯罪を減らす側の人間でしょう?それを自ら引き起こすというのは如何なものかと思いますけど」

磨夢「言っとくけど霞、警察や先生でも急に幼女を襲いたくなる時があるのよ?」

霞「何で幼女限定なんですか!?ともあれ、彼らは問題児ですよ、わたしにもそれくらい分かりますからね」

磨夢「そう、問題児の扱いって本当に困る。特に出来る問題児がね…」

霞「は、は、は!先生何をおっしゃっておられるのやら…でも、出来るに越した事はないのでは?」

磨夢「普段出来ない人間が一夜漬けで高得点を取るというのは努力家のわたしにとってはやはり納得が行かない」

霞「もしかしてわたしや伊崎先輩に対する嫉妬ですか?でもわたし達はそういう性質の人間ですから、そういった感情を抱くだけ無駄と言いますか何と言いますか…」

磨夢「要は書いて覚える人間と見て覚える人間、記憶の領域としては前者が広く、瞬間記憶としては後者が優れている。霞が後者の人間とは思いたくないけど」

霞「わたしでも書く事はします。ええ、やってます。伊崎先輩だってきっと…」

磨夢「基茂は完全に瞬間記憶、もう少し細かく言うなら写真記憶、わたしがそれだけ分かり易いプリントを作っているからか」

霞「先生の教え方が上手いというのもあると思いますよ?どんな難題も簡単明瞭に教えて下さいますから」

磨夢「あれだけやっているのは多分、霞のクラスだけと思う。というのは一年生で教えてるのは霞の所だけだし、ましてや二年に至っては適当だよ、量的な意味で」

霞「確かに一つと五つでは…ってそんなに適当で良いんですか?」

磨夢「問題ない、霞のクラスを丁寧に教えているのは単にそれだけ時間が掛けられているという訳で、寧ろが二年の授業の早さ、難易度が一般的だと思うし」

霞「成程、それ程までに分かり易く言葉を咀嚼して説明している訳ですか。その気持ちは嬉しいのですが、何分レポートが多いと思うのは気のせいですか?」

磨夢「あの進度ならあの量が適切…というのがわたしの持論」

霞「ますます腑に落ちないのですが、まぁ良いですよ。それだけ提出点も高いでしょうし」

磨夢「そう、定期考査に匹敵するぐらいね。平常点なんて無い、というか要らない。あまりにもうるさいとわたしは授業放棄をする、それだけ。尤も霞のクラスはみんないい子だから関係ないけど」

霞「意外と優秀だったりしますか?」

磨夢「現社の他の先生はクラス取り替えようという位だから。けど比較的優秀なクラスの方が教え易いなんてただの偏見に過ぎない。それは内に秘めたる生徒の実力を見いだせていないだけ」

霞「まぁわたしのクラスも初期こそは現社、興味ねーよでしたから」

磨夢「まぁ地味に法学化しているから…反則?」

霞「限りなくアウトに近いセーフという事で良いと思います」

磨夢「…まぁ専門に近付くのは仕方ないよね。教科的に問題はないし」

霞「お前が思うんならそうだろうな、お前の中ではな」

磨夢「全くもってその通りでおじゃる…そんな事よりお腹空いた」

霞「家に誰も居ないんですか?」

磨夢「基茂は本屋行ったし、八城はいつもの如くゆいの方へ。霞は?」

霞「わたしの家は共働きなんで基本一人です。兄弟欲しかったですね」

磨夢「てっきり玄那も同棲しているかと思った。よくあるでしょう、そういうシチュエーション」

霞「クロちゃん可愛いなぁチュッチュしたい…なんて考えてませんよ?」

磨夢「いつも後ろから抱きついてるのは否定しないのね」

霞「あ、あれは…習慣ですから」

磨夢「今霞はひどく赤面しているんだろうなぁ、可愛いなぁ、セクロスしたい」

霞「わたしが許しても、周りが許しませんから」

磨夢「良いの、わたしと霞の愛は誰にも邪魔されない」

霞「こちらから掛けといて何ですが、切ってもよろしいですか?」

磨夢「霞が切ろうと、霞の可愛い声はわたしの耳に残っている。霞の声って聴いていて幸せになる」

霞「うっわぁ…」

磨夢「ところで、今からお菓子食べに行こうと思う。メリーさん、メリーさん、わたし今あなたの部屋に居るの」

霞「わたしは居間に居るから問題ありませんね…いやどうやって入ったかはおいといて、まだ許可してませんけど?」

磨夢「わたしの能力忘れた?瞬間移動」

霞「あなたにそんな技は無いでしょう」

磨夢「という事でベッドメイキングして待ってる」

霞「もう勝手にして下さい、今良い所ですから」

磨夢「……」

霞「……」

磨夢「…本でも読んでる」

霞「よろしい」

磨夢「霞の部屋って本が本当にな…あ、漢語林。そういえばうちの学校は漢語林買わされるのね。英語ではなく漢字に力を入れる。これこそ一風変わった人材が輩出される所以、四字熟語すらすら出るのは無い」

霞「えーっと、磨夢さん、うちの学校のやり方に文句が有るなら校長に」

磨夢「校長ならうちに…おっとこれは内緒だった」

霞「磨夢さん、何それ、詳しく教えて下さい」

磨夢「うちの校長、先日変わった、それだけの話」

霞「何だか誤魔化された気が…まぁいいか」

磨夢「危うく口を滑らす所だった。きっと終業式に驚くよ…さてと、この押し入れの中に霞の卒アルが、まったく小学生の霞は最高だぜ」

霞「磨夢さんがまさかのロリコンだったー?」

磨夢「いや、わたしはただのカスコン。カステラ・コンプレックス。霞、カステラ残ってない?」

霞「磨夢さんっていちごミルクで間に合うと聞いたんですが…残念ながら無かったと思います」

磨夢「カステラをいちごミルクに浸して食べるのが好き、まあその要領でサブレもね。牛乳は何か違う。ほんのりとしたいちごの風味がわたしの脳を溶かす」

霞「いちごミルクが大変危険なものに見えてきました。第一本来そういった快楽を求めるものじゃない筈だ。寧ろ、あなたは上級者です」

磨夢「ふっ…ありがとう。わたしは最強のいちごミルクを追求する」

霞「そのまま旅に出れば…いや何でもありません。で、いちごミルクは確か磨夢さん用にと親が買った筈ですが…」

磨夢「霞は既に両親の同意も得ている。流石仕事が早い、後はもう愛を誓いあうだけ…」

霞「その前に磨夢さんのご両親は?」

磨夢「まさか霞までわたしを未成年と見てるの?」

霞「わたし、もう少し法律を勉強しておきます。今そちらへ向かいますから」

磨夢「霞が急に真面目になった。レポート書く気になったの。無理な議題でも無いからね」

霞「磨夢さん、わたし集中しますから下でお菓子食べながらアニメでも観ておいて下さい」

磨夢「了解」


4

基茂「ただいまー、休日なのに磨夢が居ねー。あいつの私的な外出って珍しくね?つか誰も居ねーからちるん家でも行こうかな…とまさかの向こうから掛かってくるという…もしもし、いつでもお前の心の中に共存している俺だ」

ちる「基茂さん、急に愛を叫ばれても何も出ませんよ?」

基茂「こうやって電話掛けてくれているだろう?俺は家では好きな人と電話をする事が幸せなんだ」

ちる「私もこうして電話繋がって基茂さんと話せて幸せです」

基茂「ふふふ」

ちる「…で、何を伝えるんでしたっけ。あ、あれだ…基茂さん!」

基茂「ん、どうした?ちるも愛を叫びたくなったか?」

ちる「世界の中心で愛を叫ぶ!…間違えました。それで基茂さん、本題に入りますが、珍しく姉さんが連絡入れました」

基茂「あの姉御がか、それで奴は来るって話だな?」

ちる「ええ、それで姉さん、基茂さんにも会いたいと言ってました。普段はわたし一人で相手してますけどね」

基茂「オレに会いたい…ねぇ。嫌な予感しかしねえ…」

ちる「姉さんもあれで喜んでいるんですよ。わたしが唯一付き合える異性としても評価は高いですし」

基茂「ちるを男性恐怖症にした張本人として自覚は有るんだろうか?」

ちる「一切合財そんなものは無いでしょうね。姉さんもあの時は悪ふざけが過ぎました。わたし、この件だけは姉さんを憎んでいます」


5-1

紫餡「……」

剣「しーあ、どったの?」

飛鳥「紫餡さんは思案中で…」

剣「へぇ…」

紫餡「何でこのクラスは問題児しか居ないのかしら?」

飛鳥「あはは、それは良い意味でとればみな個性あってみんな個性が出ていて事だよー、ねぇ剣ちゃん?」

剣「そうそうあすぽんのさっきのダジャレは正直引いたけど、あんな下らない事言えるのもあすぽんくらいだよー」

飛鳥「ふぇぇん、剣ちゃんが露骨にわたしを馬鹿扱いしたー。そういや美竜ちゃんは今日休みなの」

剣「ボス、今日はお勤めでもやってるんじゃない?」

飛鳥「美竜ちゃんは今頃RPGの世界で絶賛活躍中かぁ」

紫餡「時給5000は軽いわね」

飛鳥「そこだけ聞くと美竜ちゃんが水商売してるみたいだ、美竜ちゃん、どんな格好してるんだろう、ムフフムフフフ…」

剣「あすぽんもまんざらでもないみたいだね」

紫餡「親友であろうと、いや親友だからこそ斯様な反応を示すのかしら…乙女心って複雑ね」

飛鳥「確かに委員長は老け…いや大人びているからね」

紫餡「飛鳥ちゃん、何か言いかけたわね?」

飛鳥「委員長、ここでキラーアイ発動はよして下さい。誰が教室で死を望もうか、いや誰も望まない」

紫餡「何故そこで反語を使ったのか知らないけど…ちなみに剣ちゃんはわたしに対してどんな印象を抱いているのかしら?」

剣「一般人とはかけ離れた知能を持った博学多才な存在」

紫餡「それは…わたしを人間として捉えているのかしら。謎の存在とか知的生命体とか言われてないだけマシよね」

剣「次の定期試験はよっしーを突き放すと期待しているよ」

紫餡「持ち上げた理由がそれなのね。でも相手は学年主席、幾らわたしの才能を持ってしても難しいわ」

剣「そこは問題ないよ、らっきょうはわたしが買い占めておくから」

飛鳥「指宿君はヒーローだったんだ!?」

剣「流石部長の妹、反応すると思ったよ」

飛鳥「といっても兄貴がやってたのを見てただけなんだけどね」

剣「それでサクセスで兄さんを作ったりしてたんだね?」

飛鳥「やっぱりバレちゃった?でも慣れるまで難しいよね野球ゲームって」

剣「まぁ野球にもルールが沢山あるからね。わたしはその存在を知る前から野球やってるけど、促進剤になった事は間違いないね」

飛鳥「そして剣ちゃんはゲーマーの道を歩んでいったと」

剣「あ、バレちゃった?かすむんには色んなジャンル教えてもらったし、お蔭様でだめ人間となったのですエッヘン」

紫餡「いや、そこで胸を張らなくてもいいから」

剣「あすえもーん、しーあが自分の方が大きいからってわたしの胸を馬鹿にしたよー」

飛鳥「またしーあんにそんな事言われたのかい、るぎた君。仕方ないなー、こんな時は…スモールライトォッ!」

紫餡「わたしの胸を小さくしても悪あがきにすぎないぞ、るぎた君」

剣「あすえもーん、やっぱりしーあんに馬鹿にされたよ」

飛鳥「なに、逆に考えるんだ。馬鹿でもいい、と」

剣「あすえもんはわたしの存在自体を馬鹿にしたー」

紫餡「何も解決してないわよ、あすえもん。寧ろ余計うるさくなってるし」

飛鳥「だめ人間はわたしの管轄外でね」

紫餡「何の為にこっちへ来たの、このお世話ロボットは…」

飛鳥「美味しいものを食べる事、後は観光かな」

紫餡「あなたの方がだめロボットの気がするわ。やっぱりうちのクラスは…」

美竜「おはよー、諸君!」

飛鳥「美竜ちゃんキタ━(・∀・)━!!!!」

剣「ボス、珍しく遅刻でもしやしたかい?」

美竜「そりゃさっき起きた所だしね。目覚ましに気付かず、そのまま寝ていたらこの有り様だよ。昼ご飯も家で食べてきたし」

紫餡「美竜ちゃんの家ってここからどれくらいあるのかしら」

美竜「伊崎君の家程じゃないけど割と近いよ。自転車で5,6分って所かな」

紫餡「徒歩では無いところがあなたらしいね」

飛鳥「という事で美竜ちゃん、本日もちるちゃんに突撃作戦、実行したいと思います」

美竜「ちるちゃん挨拶を返してくれるようになったよ」

飛鳥「おー、大分進行してるね~」

剣「ちるしーは内気だからね。わたしもまともに会話するのに2,3週間は要したよ」

紫餡「それは単に剣ちゃんが口下手だからじゃないかしら」

剣「むむぅ、わたしを侮辱するのは運動部全員を敵に回す事になるんだよー」

紫餡「剣ちゃんの後方支援組織、冗談にしても無駄に大きいわね、いや冗談だろうけど」

剣「だってクラスは愚か、野球部もあすぽんを利用して掌中にあるんだ。これは豪語せざるを得ないじゃない」

紫餡「あれ、わたしなりの冗談だったのに、まさか真に受けてるなんて思わなんだ。これは手に負えない馬鹿ね」

剣「もう馬鹿馬鹿うるさいー、わたしそこまで馬鹿じゃないのに」

紫餡「これから日常的にぎるた君と呼ぶ事にしよう」

剣「もう好きにして…」

磨夢「よし、授業を始めよう」

剣「だから毎回の如く早いよ先生は、あれ何で磨夢先生?」

磨夢「リトっちは出張だから変わりにわたしの授業…あれ、担任に聞いてないの?」

剣「はがちゃんは少なくとも言ってなかった気が」

紫餡「鋼田先生は言ってたわ、ですよね、延原先生」

磨夢「鋼田先生に真っ先に伝えたから、という事は剣が昨日の終礼で寝ていただけ、と。それ以前にちるや基茂も寝ていただろうけど。少なくとも基茂には伝えた筈だけど」

基茂「磨夢の授業、そういえば言ってたな。忘れた」

磨夢「という事で、忘れた人はまだ時間があるし取りに帰って、電車通学の人は手遅れだけど…て電車通学はまず居ないよね」

紫餡「まず徒歩、自転車で通えない人はこの学校に入っていませんからね」

磨夢「例え駅が近かろうと1時間に1本だから、都会じゃなかったのか、ここは」

紫餡「全国比較しても、栄えている方かと思いますけどね」

磨夢「でも周りが山だから仕方ない、都市改革にも程がある」


5-2

剣「一番乗りー」

磨夢「基茂は?」

剣「さぁ、探し物になったのでは?」

磨夢「最近基茂の部屋は乱雑しているから有り得る。で、どうしよう、もう基茂の到着を待たずに授業を始めてよろしい?賛成派は挙手を…八割、案外みんなやる気なのか。では始めよう、こんにちは」


5-3

基茂「よぅ、待たせたなみんな…」

純治「余計な事言わず、すぐに席へ着け」

基茂「了解、磨夢もそう睨むなって」

磨夢「…まぁ、許可したのはわたしだから何も言うまい」

基茂「かたじけない」


6-1

敏樹「やあ、僕は音楽の授業担当者湖敏樹だ、よろしく。とりあえず即興するよ」

基茂「まさか此処でフランドールが聴けるとは」

敏樹「更にナイト・オブ・ナイツとネイティブフェイス他多数織り交ぜて演奏しよう」

純治「混ぜすぎ危険」

剛「耳がああああ耳がああああ」

れーちゃん「わたくしの絶対音感を使えば容易に聞き取れます」

基茂「メイドさん、何故ここに!?」

れーちゃん「東方と聞いて、あ、マスターには内緒ですよ?」

基茂「この時間はマスターにとって深夜だから問題ないと思うが、念の為の保険ってやつね」

れーちゃん「その通りで御座います」

純治「さくやさーん」

れーちゃん「パッド長って言った奴誰だ!」

基茂「お前ら歌うな」

純治「S.R.メイドさんはパッドなのか?」

れーちゃん「だから生乳ですって!」

基茂「フーン」

れーちゃん「ちなみに咲夜さんをリスペクトしております。わたくしも弾幕でナイフ乱射したいですね、もっともあの店で弾幕になるものは…ペーパーナイフ?」

基茂「ナイフであれば何でも怖えわ」

純治「何か知らんがリアルファイトでこのメイドさんに勝てる気がしない」

れーちゃん「駅前のゲーセンで待ってますから」

純治「やる気満々じゃないですか、やだー」

敏樹「以上です、オモロー!」

8888888888


6-2

敏樹「そういやこの後リトっちと食べ放題の店を複数潰しに行くんだた」

基茂「利登先生をリトっちと言い始めたのは先生ですか?」

敏樹「いや延原先生だ。そういえばリトっちは延原先生を気にかけているらしい。彼女はそんなリトっちを気にも留めてない雰囲気だけどね」

基茂「でしょうな、磨夢は人付き合いが鈍い、というより無関心だから仕方ないと思います」

敏樹「磨夢って、あぁ君が基茂君か。君の事は延原先生の方からよく聞いている。確か野獣だの何だの…そういう存在だと、君は人間かい?」

基茂「見りゃ分かるでしょうそれは。俺は完全潔白な人間です。吸血鬼の血を引いたりしてないので…嬉しそうな顔してますが。ところで湖先生は磨夢とわりかし親しいんですか?」

敏樹「割とフレンドリーではあるね。圭道高校の教師は僕と延原先生と利登先生他数名しか若い人が居ないからね。君の所の担任がそうだろう、新設校のわりに年長者が多い訳だ。人付き合いというのは年齢が近い方がやりやすいというのもあって、やはり僕ら若年教師は隅に固まって仕事してしまう傾向にある。君が言うように周囲に無関心の延原先生なら尚更って話だな」

基茂「磨夢ならともかく、湖先生や利登先生も鋼田先生ら年長の人間の対応はなかなか苦難しておられるんですか?」

敏樹「そうだね、これは僕らの性格や趣味にも関わってくるけど、まぁ僕も昔から人付き合いは苦手な人間であるからね。一方でリトっちは真逆の性格である訳だが」

基茂「それを聞くと利登先生より湖先生の方が磨夢と相性よかれと思っしまいますね」

敏樹「それは一理あるね、実際リトっちは延原先生にとっては蠅の如くあしらいだし」

基茂「つまり鬱陶しがられていると?」

敏樹「ん、まぁね。本人は気付いてないけど、それについては直接聞かない方が良いよ。僕らの立場上」

基茂「全くその通りです」


6-3

マスター「お、リトさん。いらっしゃーい」

リト「ふぅ今日も撃沈されました。湖先生も知らんぷりだし、全く困ったもんだぜ。あ、マスター赤ワインを」

マスター「ほーい、何やお疲れみたいやけど、此処は憩いの場。まぁゆっくりしてってな」


7

ガツガツムシャムシャ

メシウマー(゜∀゜)

また台所に磨夢さんでも来たのかな?

霞「もう磨夢さん、お菓子の盗み食いはほどほどにして下さいよ。言ってくれれば差し上げますから…」

磨夢「わたしは此処に居る」

霞「ベ、ベッドの下キタ━(・∀・)━!!!!」

磨夢「いい加減慣れない?過度の反応されるのも疲れてきた」

霞「あれ、磨夢さんの方は飽きてました?しかしですね、この程度の反応が良いと伊崎先輩から…」

磨夢「また基茂の入れ知恵ね。適当な所は確かに嫌いではないけど、一体どこから遺伝しているのやら…お父さんはそんなのじゃなかった筈だし、まさか突然変異とかだったりして…いずれにしろ基茂が変人である事は変わりない」

霞「ぶれませんよね、変人説。まあ伊崎先輩の事は現在どうこうという訳ではありません。今知りたいのは台所の異常についてです。まず時間の確認ですね。時計を確認するまでもなく、窓を見れば現在深夜の時間帯である事が分かります。この時間家の中でわたし以外の人間、つまり両親は眠っています。妹…は現在下宿中ですから。なので、それに該当しない人間といえば限られてきますね。玄関の扉は夜中上下の鍵を各々施錠されていますから、泥棒の可能性はまずあり得ません。更に限定される」


8-1

霞「起きよ、食事の時間だ」

基茂「いやネロさんぽく言わなくてもいいから、つか何でうちに居るんだよ」

霞「先輩が持つ一生揺らがぬ主役の座を奪いに来たんです。その度にわたしは思いますね。先輩よりわたしの方が立てたフラグの数は高いと、だから前々から疑問に思っています、この微妙な立ち位置はどういう事なんですか」

基茂「いや俺に聞かれても困るし。後あれだ、作者本人すらかすむんの扱いには苦悩しているらしい。サブキャラなのに野望が100弱あるだろう、弾正じゃあるまいし。せめて秀吉レベルにしてくれ。…で、フラグについてはノーカンだ。元々俺はラノベ主人公によくある性格をしているから相手にならない。というのは、かすむんみたいな人気者だと読者の皆様の大半が感情移入出来ない。だからかすむんの野望値が幾ら高くても主人公になる事は不可能だ」

霞「ぐぬぬ…先輩にしては珍しい正論ですね。換言すればわたしみたいな性格より椎木先輩や磨夢さんの方が相応しいという事ですね。しかしわたしも中学の時は椎木先輩もビックリ、相当の根暗だったんですから。まあそれはさておき先輩、わたしが此処に居る理由…分かりますか?」

基茂「あれだろ、磨夢に頼まれたんだろ。あいつ急に旅なんて出やがって、いくら夏休みと言えど自由すぎないか、慰労旅行ってやつか知らんが」

霞「正解です。磨夢さんが旅行に行った理由としては、本人よりたまにはわたしの居ない生活を思い知れ!と伝言がありましたが、それと別に嬉しそうでもあって、本心としては普通に旅行を楽しんでくるだけではないでしょうか」

基茂「磨夢は相当の天の邪鬼だから、それもあり得るな。試練なんて表面的な事で、生活の補填はちゃんと…おい、料理担当は誰だ」

霞「え、わたしですけど…どうしました、青ざめた顔して。もしかしてわたしが本当に作ったと思ってます?安心しろ、お菓子だけだ」

基茂「朝からお菓子か、別に構わないが。何か心に穴が開いたよ。しかしそうなると、昼をどうするか、だ。昼もお菓子というのはまずいし…ん、かすむん携帯電話が鳴ってるぞ」

霞「磨夢さんからです、なになに…昼には椎木先輩を派遣した、との事です。やったね、しげちゃん」

基茂「おいやめろ。まぁ磨夢から直接指導を受けているちるならまず問題ないな、うむ。しかし磨夢も分別がある奴で良かった。このままかすむんに全てを一任していれば俺がどうなっていたか」

霞「むむぅ…あまりに好き勝手言い過ぎだと思いますよ。確かにわたしは家族と一緒に暮らしていますし、僅か数日であろうと一人暮らしをしていた先輩とは料理スキルで格差が生じます。数値で表すと、わたしが0と仮定します。ならば、先輩は30です。ついでに言うと椎木先輩が80、磨夢さんが100ですね」

基茂「なにその格差社会、つかかすむんも自覚しているんだな、料理の天災である事は」

霞「絶対褒めてませんよね、それ。エェ、分かってますよ。幾度と挑戦しても全て灰燼と化すのは日常の確定事項です。無駄無駄なんです、何もかもが。しかし、わたしにはそれと引き換えにわたしにはゲームの才能がありますよ」

基茂「ある分野が全く駄目な人って、そうすぐに別の分野が出来ると見栄を張りたがるよな。まぁプライドっつうのがあるんだろう、仕方ないか」

霞「一人で納得して、まるでわたしが残念な人だと思ってるんじゃないですか!?エェ、知ってますよ、ラノベ主人公はみなこういう人が多い、はいメタ発言すみませんでした」

基茂「相変わらず過ぎて慣れた。磨夢も内部事情晒しすぎだな。まぁそれはともかく腹が減った。とりあえず朝のティータイムと洒落込もうじゃないか」

霞「はい♪」


8-2

基茂「で、これからどうしようか。如何にして午前を過ごさん。かすむん、早速スト2を始めるな」

霞「T.ホークとかみんな使わないでしょう?でもわたしは使いますよ。ゴワァッ!からのメキシコハリケーン!」

基茂「すげー、立ちスクリューぱねぇ!じゃなくてさ、家でスト2しているのも何だし、どっか行かね?つってもゲーセンでやる訳じゃないから…そんな目すんなって」

霞「うぅ…駅前のゲーセンなら古参のスト2プレイヤーも沢山来るのにぃ…正直コンピュータも先輩も相手になりません。行くは戦場のみですよ。それともあれですか、新作でおすすめの格ゲーでも見つけましたか?経験があれど先輩のその自信、打ち砕いて差し上げよう」

基茂「格ゲー、いやゲーセンから離れろ。後、新作の格ゲーとか知らねーから。でもゲーセン以外を考えてみても、ゲームショップや古本屋しか思いつかんな。かすむんを連れていく場所といったら。古本屋でも良いが、立ち読みは俺の足が保たない。やはり本屋はTSUTAYAとかが良いな」

霞「先輩は新刊派なんですね。ご推察の通り、わたしは立ち読み派です。マァ、ゲームなら古本屋でも普通の本屋でもありますし、どちらでも構いません。オヤ、先輩はまだ不満点がありますか?ひょっとして本屋じゃよろしくなくってよ」

基茂「よく気付いたな。本屋が飽きた訳じゃないんだ。まぁなんだ、かすむんは女の子だろう。女の子故に行きたい場所もあるんじゃないのか」

霞「ゲーセンじゃ駄目ですか?確かにわたしはプリクラなど行きませんが、格ゲーやガンダムならよくクロちゃんや八城ちゃんと戦いますよ。後FPSのやつとかも」

基茂「そうだな、もうかすむんの事は女の子と見るより一人のゲーマーとして見よう。通りで老若男女より神扱いされる訳だ、愛される訳だ」

霞「しかしゲーセンに集まるのは決まって同じ面構えです。確かにわたしがあのゲーセンしか行かないからでもありますが、第一近所にでかいゲーセンがあるというのに、遠くまで行く必要があるんでしょうか。わたしはただ純粋にゲームを楽しめればそれで十分ですし、何もゲーマーの世界に名を売るような真似はしていません。youtubeにプレイ動画を投稿しているのもうちでは母ぐらいですからね。妹もそこそこのゲーマーですが、スト2やれば先輩と良い勝負になるんじゃないですか。ちなみに妹はガイル使いですから、決してザンギで挑まないようにして下さい。無駄な犠牲は生みたくありませんからね」

基茂「聞いただけでも妹は十分強いと思うぞ。オレなんか足元にも及ばないだろう。タイムアップでも狙えというのか…つかさ、いつか妹は遠征だのなんだのと聞いたんだが」

霞「妹が遠征中である事と言っても間違いではないでしょう。。数年見てませんからね。下手すれば何処かで野垂れ死んでいるかもしれません。でも確か妹は長距離に自信があるとか何とか、体力だけはありますよあの子は。まさか走っていったとは思えませんが、あの子ならやりかねないでしょう。年齢的にはわたしと二、三歳程度しか離れてません。若いですよ、お世辞にも可愛いとは言いませんけど、やはり姉目線では厳しくなりますね。ちなみに先輩には妹はおられますか」

基茂「昔いた気がするな、昔過ぎて容姿、性格、何も覚えてはいないが。今では家系図で存在証明するくらいしか出来ない。オヤジとも最近連絡取れないし、本当に何もかも」

霞「本当に何もかも忘れてしまったんですか?一片の思い出も記憶から消し去られ、存在が辛うじて認められるのみ。事実か夢想か赤の他人であるわたしからしてはさっぱり分かりませんね」

基茂「他人からすれば何を言っているか分からんだろう。どうも自分だけしか理解出来ないってのは心寂しいものだよな。そして妹の話をしたのはかすむんが初めてだ。後は何が言いたいか分かるな」

霞「口外禁止、当然じゃありませんか。安心してください、わたしの口はサファイアより固いんですよ。そうです、あのロビンマスクの鎧と同じ硬度な訳です。微妙ですか、わたしだって完全な約束は出来ませんから…でも安心してください、完全な約束ではないという事はそれだけの事情があっての事ですから、容易に漏洩はありません。それから、わたしも妹さんの存在を認めますよ。本人がこれだけ本気で事を言うなら信じない事もないでしょう。というのは、わたしの妹も音信不通ですし、少しは気持ちが分かります」

基茂「かすむんの妹は存在が確実だが、最近出会った回数は小指で数えられる位か。幼少期はよく遊んだろうな、しかし俺はそれすら記憶に無い。何と言うか存在はあったが、当時の姿とは明らかに違うものになったような感じだな。俺には前者の容姿の記憶が微かにあるが、後者になってから記憶が一切無い。そうか、妹は数年間ですがたかたちを完全に別のものに変えて俺の前から姿を消した。それなら辻褄が合う」

霞「つまり先輩が知っていた当時の妹は完全に消え去りし遠い日の思い出であったという訳ですね。現在の先輩の妹は当時の面影も無い。これではいくら探しても無駄ですね、存在の証明が出来ても名前や容姿が分からないと警察も動けませんよ。先輩の親はこの事を知っていますか」

基茂「それがな、不思議な事に親も忘れているんだよ。これは偶然の一致とは言い難い。警察は一つの事件として調査しています…て、警察沙汰に出来ないんだったな。俺が自己解決しなければならないんだし、まあ妹が不在でも現在困る事もないんだ。変な話してすまなかった」

霞「色々難儀なものですね」


8-3

ピンポーン

基茂「お、ちるか、早いな」

ちる「磨夢さんから話は聞いてますよ。邪魔者は居なく二人きり…という事でしたが。基茂さん、先程までかすむんと二人きりで何をしていたんですか?」

基茂「ちるの真顔なんて久しぶりに見たな。かすむん、何とか言ってやってくれ」

霞「はい、まず朝にわたしがおはようのキスで先輩を起こしました。先輩はそれだけではもの足りずわたしを求めてきました。もうそれは積極的で。それから暫く愛を語り合った後に、先輩の淹れてくれたお茶を二人で回し飲みしていた所です」

基茂「んー、一見大体あってると言えない事もないが、何しろ妄想の比率が事実と均衡が取れていない。なあちる、どこまでが事実か分かってくれているよな?」

ちる「…やや腑に落ちない点もありますが、先程基茂さんの心をある程度覗きました所、かすむんの言ってるのは八割方妄想だという弁解は承知しました。磨夢さんも何を考えてるんでしょうね、あの人最近ラノベ読んだりしてません?」

基茂「あいつは日頃から色んな本を読んでいるからな。間違いなく俺が買ってきた本も読んでいる。その中にはそういう類の本も大いに含まれている訳だからその可能性も無きにしも非ずだ。何もちるを暴力的ヒロインだとは思っていないと思うが」

霞「わたしも椎木先輩は心優しい人だと思ってますから、これくらいの小細工で本気で怒る事もないと思って実行致しました。みんな信頼しての事ですよ」

ちる「二人にそういう人柄だと認識してもらえているのは光栄です。さ、些細な事では取り乱す事はありませんからね。それとかすむん、その言い方だと磨夢さんの作戦を最初から知っていたんですね。まあ良いですよ、二人の関係はきちんと理解しているつもりですから、ハンデというものですよね。は、はは…」

基茂「まあ磨夢には俺からちゃんと言っておくよ。故意なのか過失なのかもその時に訊こう。それで万事解決だな。ただかすむん、いくら心が広いちるだと言えどからかいすぎは良くないぞ。戦争は片方の誤解が生じる事もある」

霞「椎木先輩、からかってごめんなさい。あなたの困る顔、少し見たかったの」

ちる「全然反省の色が見えませんけど…良いですよ。他の方なら許しませんでしたけどね」

基茂「まあ他の人間なんて居な…うちの居候は良いんだよな。あいつらに恋慕など無い筈だ、うん」

ちる「ゆいちゃんや八城ちゃんの事ですか?彼女たちは家族として慕っている、それくらい理解してますよ。ついでに言うと磨夢さんは基茂さんに無関心なので敵意も抱いておりません。みんな合格ですよ」

基茂「正直喜んでいいのか微妙だが、ちるが理解してくれてるならそれで良いか。他に外敵は居ないよな」

ちる「そうですね、それ以外に目を向けてくれる人など基茂さんに居ませんしね」

霞「ははは、先輩。絶望の渦で苦しむが良いですよ」

基茂「俺は現段階で満足だ」


9-1

磨夢「基茂、ちょっと来て」

基茂「急にどうした、先生様よ。俺は次の授業で寝ない為にも貴重な休み時間を割く訳にはいかないというのに…」

磨夢「基茂の成績は1と」

基茂「容赦なく職権乱用するんじゃねーよ!?分かった分かった、行きます、行きますから」

磨夢「主君の言葉は絶対。肝に銘じておく事。で、話だけどこの学校に爆弾が設置されている」

基茂「自然にそんな話を持ってくるには無理がありすぎるだろ!?それで、その話は本当なのか」

磨夢「わたしの辞書に嘘や偽りといったものはない。場所は三階音楽室、湖先生は出張の為依頼出来なかった」

基茂「磨夢のその迫真とした顔、無駄に説得力があるな。分かった、行ってくる」


9-2

基茂「ところで爆弾を設置したのはどこの誰だったんだ?」

磨夢「近所で噂の常習犯。表沙汰にならない闇に包まれた存在だから警察も動けない。実際爆発したという報告はないから良いものの、物騒な世の中であるのは変わりない」

基茂「まあそれだけ担当班が優秀って事だろう。そういう事件が起きようと平和は維持されている。お前たちが居なきゃこの町はとっくに破滅していただろう」

磨夢「些細な事件から大規模な事件になる前に事を解決するのがわたし達の仕事。だから仕事上当然の事をやっているだけではあるけど、確かに班員は優秀なのは大事にならなかった所以、わたしも彼等は認めている」

基茂「お互い尊重しあえる仲間って良いよな。勿論磨夢も人並み外れた身体能力は高く評価されているんだろう。いや評価するよりも畏敬の念を示していたりしてそうだな」

磨夢「神の子扱いとかそういうのではない。けど、周囲の視線はそんな感じ。ああいう扱いを受けると疲れてくる。ちなみに現場で本来の力は出していないから」

基茂「まあ直接闘う訳じゃないもんな。あくまで調査するだけだから、実際身体能力とか関係無さそうだな」

磨夢「入班試験で見せたに過ぎない。それでも彼らは今でもわたしの力量を賞賛している。終いには班長に推薦されたけど、きっぱり遠慮しといた」

基茂「磨夢なら班長なんて容易なものだろう。本気を出せばもっと上だって…すまない、こういう賞賛が嫌いなんだよな。何つーか買いかぶる感じは」

磨夢「そう、期待を裏切る訳にもいかないから。上層部は昇級してみないとその苦労は分からない。だから、下層の人間が急上昇しても正直な所厳しいと思う。それは過去の経験から学んだ事でもある」

基茂「過去の経験…?」

磨夢「…忘れて、基茂は何も聞いてない。じゃあわたしは次の授業に行くから」

基茂「………」


9-3

ゆい「磨夢さんの過去ですか?確かにわたしは知ってますけど」

基茂「今話せるものでもないんだな」

ゆい「…今話せば今後の展開がつまらなくなりますからね」

基茂「さらっとメタ発言するな。まあすぐに知りたいって訳でもない。後ゆいゆいよりも磨夢本人から直接訊いた方が良いと思うからな。まだ遠い話だろうが」

ゆい「磨夢さんが腹を割って話してくれる事は滅多にありませんから、無論並大抵の人間では不可能です。長い付き合いという観点だと、わたしを除くともう兄さんしか居ないと思います。その兄さんですら手こずる訳です、難易度が高い任務になる事は間違いありません」

基茂「そうだな、だからゆいゆいだけには話してくれたんだ。例え長い付き合いをしていようと、まずオレには無関心だからな。他人にはよく仕事を押し付けるのに、厄介な奴だ」


10

基茂「昔の磨夢はまさにアルティメット無関心ってやつだった」

磨夢「今も変わりはしない」

基茂「でもあれだ、教師始めてからは多少変化はあるだろう?」

磨夢「それは一理ある。世の中の人間は基茂みたいのばかりではないと分かったし」

基茂「それは世の中の人間に失礼だ…ってオレは自身が堕落しているとは思ってないぞ」

磨夢「あえて言おう、カスであると」

基茂「同居人にカスと言われました。もう人間やってらんないね」

磨夢「基茂にも人間を超越した潜在力がある。しかしそれを引きずり出すには生命を犠牲にする必要がある」

基茂「死んで得る能力か。仮にその手段でやったとしてオレを教会に連れて行く人はいるのか?」

磨夢「基茂よ、しんでしまうとはなさけない。それで土葬にする?火葬にする?まあ最終的に海に投げるけど」

基茂「最初から選択肢ないし、てか神父仕事しろ。いやシスターだから無関係とでも言うんだろうけど」

磨夢「シスターは無事を祈る事しかしないから。ついでだし、世界樹の葉要る?」

基茂「どう見てもバランだし、まず食えないし。予想に反して食えるとかそんなのねーぞ」

磨夢「仮に食べてもなつき度が下がるくらいだから、安心して」

基茂「オレはポケモンじゃないから。つか、磨夢がレッドさんとかみたいに帽子被ると響にしか見えない」

磨夢「どちらかと云えば玄那の方が似ている。玄那は元々帽子キャラだから、そもそも作中で帽子脱いでないのは学校側が異常と思わない?」

基茂「内部事情は寧ろオレが訊きたいのだが。つか、うちは基本的自由だからそんなのどうだってよくね?」

磨夢「確かに個性を尊重するとは聞いている。その割に金髪とか居ないのは、風紀に乱れは無いって事、成程納得した」

基茂「だからこそ多少は許せるって訳か。確かにうちの学生はそこの所は優秀なんだ。そう思えないか?」

磨夢「風紀を守るのは学生として至極当然の事。だけど、学業の面では…一応進学校でしょ」

基茂「昔は県内でも名の知れた進学校だったんだがな。つか悪かったな、馬鹿で」

磨夢「特に基茂はわたしの教科以外は頑張る事、リトっちも鋼田先生も毎回泣いてるらしいし」

基茂「す、数学も国語も頑張るか…次の試験こそは本気出す」

磨夢「その誓い。決して破る事無かれ」

基茂「本当に冗談が通じないやつだな」

磨夢「わたしは基茂を信用している。ただそれだけの話」

基茂「ダウト」

磨夢「正解、そんな事ははなから思ってない」

基茂「虚言が露見しているぞ」

磨夢「まぁどちらにせよ基茂自身の問題だし…それとも夏休みを学校で勉強三昧にしたいの」

基茂「た、確かに夏休みは楽しみたいな。なははのはー」

磨夢「愚か者…」


11

八城「お兄ちゃんお兄ちゃん」

基茂「ん、どうしたやしろん」

八城「ゆいちゃんが朝から遠出してるからわたし今日ヒッキーになる」

基茂「へぇ、そう…頑張れ」

八城「お兄ちゃん祝日なのに学校行くの」

基茂「休みなのは分かっているんだが。悪いな、今日は急用が出来て」

八城「ちる姉ちゃんとデートでしょ?まみーから聞いたー」

基茂「オレあいつに何も伝えてなかったのに…どうやって」

八城「まみー曰わくわたしの情報収集能力嘗めない方がいいだって」

基茂「オレパパラッチならぬマムラッチされているって事か。オレの行動は常に監視されているのか」

八城「ところで何時に出るの」

基茂「そうだな、磨夢が起きてこない内に…な!?」

磨夢「ごめん、昨晩夜更かししなかった」

八城「おー、まみーおはよー」

基茂「睡魔には磨夢でさえ打ち勝つ事が出来ないのか」

磨夢「いや単にする事も無くて寝ようと思っただけ」

基茂「平日こそとんでもない朝型だが、休日は突如夜型と化す。それが磨夢だと思っていたんだが、睡眠時間も大体安定してるし、早寝すると、この時間に起きてくるのは大して異常と感じるものでもないな」

磨夢「こういう事も稀でないのを覚えとく事」

八城「ところで今日の予定は」

基茂「一応場所と時間は決めている。まあまだ動く事もないな。ちるも来るの早いから時間は問題ない。結構会ってからが問題だったりするんだが」

八城「お兄ちゃん無計画だもんねー」

基茂「事実には反論出来ないな…まあそんなオレを理解した上で付き合ってくれてるのがちるであるが…」

磨夢「こんな男でも…いやこんな男だからこそ、ちるは付き合ってくれる。真心から尽くしてくれる、そんな彼女は基茂には勿体ない」

基茂「相変わらず磨夢は何が言いたいのか理解しかねるが、俺達は相思相愛、分かるな?」

磨夢「いーまーのボクーには理解出来ない」

八城「アダタニハワカランデショウネェ!」

基茂「もうやだこいつら」


12-1

ちる「………」

基茂「よう、喫茶店で優雅な読書タイムを邪魔してすまない。その没頭ぶりだと数時間は軽く待ったよな?」

ちる「…も、基茂さん!?いつからそこに」

基茂「今来た所だ。折角だしさっき注文頼んできた」

ちる「待ち合わせ場所なので、そう長居する訳にはいきませんが…ちょっとぐらいなら良いでしょう。ところで基茂さんは何か読みものをお持ちですか?」

基茂「あぁ昨晩罪と罰を読んでいたが、カテリーナさんすごく哀れで読んでられない」

ちる「何もお持ちでないなら貸しますけど?お姉ちゃんは相変わらずです」

基茂「何故持ってきていないとバレた!?まぁいい、ツユネさんがあるなら不満はない。喜んで読ませていただきます」

ちる「どうぞどうぞ」


12-2

基茂「で、どっか行きたい所あるか?」

ちる「わたしに訊ねても図書館と本屋という単語しか返ってきませんよ。後、いつもの癖治して下さい」

基茂「いくら治せと言われども、習癖は不治の病であり、改善は不可能に等しい。とは言えど、何かしら場所を考えないといかんよな…」


13

純治「基茂ちゃん、遊びましょ」

ガチャ

八城「ちーす、アニキぃっ」

純治「おぅ、今日も元気だな、やしろん一番兵。何か良いことあったのか?」

八城「お兄ちゃんが苦労して買ったしにきすで雫ルートクリアしたんだよー」

純治「さすが、やしろん一番兵だ。オレは雫はクーデレだと思うわ」

八城「けど雫ちゃんは共通から結構甘えてた気がするよ。うちのまみーもあれぐらい感情出しても良いと思うけど」

純治「磨夢さんは全てを受け付けない身体を持ってるからそいつは厳しいと思うぞ?」

八城「ホラー映画観せてもあの表情だからねぇ。攻略不可能だよ」

純治「伊崎には到底無理な話だろうな。なんせ一年間一つ屋根の下で暮らして全く進行してないんだからな」

八城「数値的にはわたしも分からないよ。冷たい時点でマイナスだと思うけど」

純治「授業とのギャップが激しすぎるだろう。伊崎も悲嘆に暮れてるだろうな」

八城「さて、ここで話を戻そうと思うけど、お兄ちゃんなら本屋に出かけているよ」

純治「駅の方まで行ってるのか、出たのはさっきか」

八城「うん、暫くは時間掛かると思うし…良かったらうちに上がってく?誰も居ないから」

純治「何だろう、不思議と興奮しない。まあそれはさておき、お言葉に甘えて少しくつろがせてもらうか」

八城「ごゆっくりー」


14

基茂「コテッチャン、こんな所で何してるんだ」

虎徹「お、シゲリンガルか。わしは官能小説読んでるんじゃ」

基茂「堂々としすぎだね」

虎徹「君達の読むライトノベルやらに近い作風じゃなからんて」

基茂「そこまで甘美な文章で書かれてはいない。むしろそういった類のものは少数派であって…コテッチャン、どうしたんだ」

虎徹「ちとそこの奥さんに見とれておった。そうじゃな、何も標的は人妻じゃなくともいい…そこに幼女を含める事を。守備範囲を広める事が出来るんじゃな」

基茂「まあそうだが、じいさん人妻モノしか読んでなかったのか…後そういう言い方をすれば犯罪を犯しかねない…まあもし興味があるんなら、うちにあるやつ何冊か貸そうか。あくまでも販促目的で」

虎徹「流石に場所が場所なだけあって、本屋への愛情もあるんじゃろうが…しかし主、愛情というのにも度合いがあって…じゃな」

基茂「剣にじいさんは人妻と幼女が好きだとバラそうかな」

虎徹「バカモン!わしの孫に何を仕組もうとしてるんだ。純粋無垢、清廉潔白である事が祖父としての誇りなんじゃぞ」

基茂「わ、分かったから落ち着いてくれ。まあ確かに剣は文字通りの人間だろうな。曲がった事には興味ないというか…あれ」

虎徹「今の発言に疑惑を抱くような点が存在したのか」

基茂「いや、ちょっと訊きたい事があるんだ。コテッチャンが視聴するアニメ、種類として如何なるものだ」

虎徹「いや普通にロリ系統じゃが?」

基茂「剣さんは、もう手遅れだろう」

虎徹「お主、わしがそういった類のアニメを孫と視聴するとでも思っているのかのう。もしそうじゃとするなら、それは違うよ!」

基茂「何だ、オレを論破する気なのか」

虎徹「わしが孫と視聴するアニメといえば百合アニメに決まっておろう。それは思春期の女子が演ずる純愛ストーリー、そこは男子禁制の閉鎖空間、そんな中キャッキャッウフフするおなご達、どうじゃ素晴らしいと思わんかね」

基茂「まあオレも百合は好物なんだけどな。コテッチャンはロリ百合という組み合わせを知っているか」

虎徹「ろ…ロリ百合」

基茂「その様子だと知らないようだな。それは文字通りロリ+百合。幼女達がお互いをなじりあい、戯れるという、オレの中ではまさに究極属性だ。そうだな、例をあげるなら、年齢はさておき、きららは大半がそうだな」

虎徹「じゃが異性が居るのは気に喰わん、まして3Pに展開する何ぞ絶対に許せぬ」

基茂「それは一理ある」


15-1

ゆい「ふっふ~ん♪」

霞「だぁれだ」

ゆい「…へ、変態さんッ」

霞「まったく…まな板は最高だぜ」

ゆい「おまわりさんこちらです」

霞「無駄だ…警察が来る前から既に勝敗は決している」

ゆい「戦うだけ無駄だ。微妙な語彙の違いでこれほど空しく聞こえるんですね」

霞「図星を完全に突かれるほど痛いものはないのです」

ゆい「霞姉さんも本当は弱い性格だったんですね」

霞「むしろ強気な所がないと思いますよ、わたしは」

ゆい「自己嫌悪に陥ると何もかも空虚なものになり、やがて自暴自棄に陥り、人生潰えんとな」

霞「ゆいちゃん、ネガティブな人間を明らか否定してますよね、軽蔑なんてレベルではなく」

ゆい「わたしはですね、ネガティブ属性の人間なんてみな破滅…いや救済したいと思っているんです。仏心で民に布施を行うのです。それは決して偽善ではなく真心からです」

霞「今ここにゆいゆい教が生まれた…何て上手い話があれば良いですけどね。さすればわたしは一番弟子に名乗り出ます」

ゆい「わたしは教祖になる気はありません、勝つまでは。いや、そもそも何に勝とうというのでしょう。欲望ですか」

霞「ゆいちゃんは煩悩なんて一切ない。そう思っていた時期がわたしにもありました」

ゆい「一般人が現世で仏になるにも限度があるんですよ。そんな人間の一人にわたしは過ぎません」

霞「嘘をおっしゃい。つまらない人間の訳がありませんよ。羽衣神社の巫女はみな未知なる力を秘めている。と風の噂で聞きました」

ゆい「未知なる力…ですか。何もそれを主に任用している訳でもないと思いますが。まさかあれですか、わたし自身変異を帯びた人間だとでもお思いですか」

霞「自覚した方が良いですよ。自分が変態である事は」

ゆい「あなたにだけは言われたくありません」

霞「他のエピソードはその実力を遺憾なく発揮している」

ゆい「それは錯覚ですよ、むしろ視覚範囲内の次元が歪曲している所為です」

霞「つまり、わたしが薬中のメンヘラとでも思ってるんですか。わたしは薬物を投与しても自傷行為に走る事はありませんよ」

ゆい「真顔で言えば誤魔化せると思ってるんですか、あなたの弱点は素直な事です。自らを包み隠す事なく全面的に出す事は良き事ではありますが、

対象が神など特に畏怖する存在で無い場合は無理して真実を述べる必要はありません。要は状況次第という訳ですが、嘘を吐くというよりは話を逸らす、そういう手段は持っていて損はしない筈です」

霞「わたし実際口下手だから、そうした事には少し弱いのはある。要するに頭の回転が悪いって話でしょう」

ゆい「まあ馬鹿とは言いませんけど、知能なんていうものは人それぞれ専門というものがありますから」

霞「そうか、確かにわたしは人より優れている点はある。自信を無くす必要もないんだね」

ゆい「ただ一つ言うと、凡人はそれに含まれないってだけですが」


15-2

剣「遠くでわたしの噂をしている人がいる」

飛鳥「へっくしょん」

紫餡「あなた達…」

剣「ところでドラさんは」

飛鳥「自宅謹慎らしい」

紫餡「いつの時代なのよ」


16

磨夢「暇なう」

ルイ「バイトなう」

メイド「仕事だけど暇なう」

磨夢「ちなみに乗っ取りなう」

メイド「恐ろしい子…」

ルイ「乗っ取られなう」

メイド「あんただったのか」

ルイ「なんちゃって」

磨夢「なんちゃって」

メイド「ダブルなんちゃって!?」

磨夢「それ、マジでか○るんじみてるからやめろ」

ルイ「略してマジかお」

メイド「伏せ字の意味がまるでNEE」

磨夢「ところでルイが男性名の理由ってあるの」

ルイ「実はわたし…Je suis un garson」

磨夢「男の娘。その設定はあなたじゃなかった筈」

メイド「犯人はヤス」

ルイ「それはねーわ。それよりわたし以外に候補がいる事が驚きだよ!?」

磨夢「い、居るとは言ってない」

メイド「磨夢様が挙動不審になられるとは珍しい」

磨夢「まあ敢えて言うなら結構身近な人物だったりするかも」

ルイ「それは磨夢については身近でわたしにとっては赤の他人とか、そういうものでしょう?」

磨夢「……」

メイド「図星ですね」

磨夢「誰が作者の代行者d」

ルイ「作者に一番近いのが磨夢だから…ね」

磨夢「基茂ではない所に甚だ遺憾である」


17

ちる「ん、んんー」

合歓「邪魔すんでー」

ちる「邪魔するなら帰って下さい」

合歓「あいよー」

ちる「本当に帰ってしまうのが姉さん…と信じていましたが」

合歓「ちるたん、一緒に吉本入ろう」

ちる「お断りします。それより姉さん、連絡も入れずに何ですか。しかも朝っぱらから…さほどの用事でない限り追い出しますよ」


18-1

磨夢「そもそもギャグマンガであるべき」

マスター「うちがギャグ飛ばせへんと思ってんの?確かにうちは他愛ない話しか出来ひんけど…けどなムー、ボケにはツッコミという存在は必要不可欠であって、要するにうちはツッコミが居らんと何も出来へん訳や」

磨夢「その前にボケようとする素振りが見られない」

マスター「ムーの所みたいに常日頃から漫才している訳やないからな。れーちゃんは真面目一筋やし、るーちゃんは天然なだけやし、かといってうちがキレのあるツッコミ出来る訳やないし」

磨夢「三日間うちに泊まればギャグの真意を引き出せよう」

マスター「仕事も忙しいしまた気が向いたら行かせてもらうわ。何せ24時間営業やから、まあ休む時は休むけど連休はなるべく避けてる。ところでムーは酒いけたっけ?」

磨夢「ノンアルコールノンスモークノンコミュニケーション」

マスター「その割にどれも平気そうな顔しているけど」

磨夢「年齢を外見や顔だけで判断、ダメ、ゼッタイ」

マスター「上か下かそれが問題やねんな…真実の定かを知るのは本人と一部の人間だけやろうけど、めっさ睨んでる…あ、いらっしゃいるーちゃん、うちを助けて。ムーかなんわ」

ルイ「今のは自業自得だと思うけど」

マスター「どこから見てたん」

ルイ「お酒の下りから、磨夢にはいちごミルクというのはお約束でしょう」

マスター「あー、せやったせやった。第一そんなの頼むん磨夢ぐらいやし、すぐ用意するから」

磨夢「サンキュー、るーちん」

ルイ「その呼び方だとわたしはフラン?」

磨夢「起訴すべきはAlcotが粛清されたゲームのみ」

ルイ「そ、そういうの詳しいんだー」

磨夢「同居人にターミナルケアを…今度霞に頼もうか」

マスター「はい、お待ちどぉっ!て、ムーはさっきまで水だけで居座っててんな。手持ちとか大丈夫?」

磨夢「金銭は必要最低限しか持ってきてないから問題ない」

ルイ「大丈夫だ、問題ない」

マスター「いや、そこ翻訳とか良いから。後そういうネタなられーちゃんにしてあげて」

ルイ「メイドさんには到底及ばないから、最初からわたしの不戦敗でいいよ」

マスター「るーちゃんがこんなに諦め早いの初めて見た」

磨夢「素直なのは良いこと。そしてルイはかわいい。マスターもそういう性質を身につけるべき」

ルイ「磨夢の撫で方、とても優しい…」

マスター「ムーだけには言われたくないわ」

磨夢「その自尊心、接客業ならあっていい事かもしれない」

マスター「ちょっと席外させてもらうわ。るーちゃん、代役よろしく」

ルイ「うぃー」

磨夢「ルイは日常的にこういうのやってるの」

ルイ「うぃー、よくある事だよ。わたしが来た時限定みたいだけど。メイドさんからそういうの聞いた事ないし」

磨夢「幼なじみだからこそ出来る所以…か」

ルイ「メイドさんも数年の付き合いはあるのにね」

磨夢「その辺微妙なこだわりもマスター然りたるもの」

ルイ「確かに個性的ではあるけどさ。あ、いらっしゃいませ」

ゆい「今日はるーちゃんがやってるんですか」

ルイ「まあ色々あってね、こういうのは多いの」

ゆい「折角来たのでドクペお願いします」

ルイ「裏メニューを知っているお客さんがいたー…といっても基本オーダーは自由だってマスターに聞いたけど。それじゃあ暫くお待ち願います」

磨夢「………」

ゆい「磨夢さん、存在を消そうとしても無駄ですよ」

磨夢「…何の用?」

ゆい「通り魔事件があったとかなかったとか」

磨夢「それでわたしを疑っているの」

ゆい「そんな事毛頭にございませんよ。寧ろその逆です。事件が起きた時間がつい先程ですから、ひょっとしたら事件を見たり、もしくは痕跡を見たりしたのではないか…情報屋に尋ねてみました」

磨夢「何故ゆいがこんな事を」

ゆい「まあ磨夢さんみたいに警察に繋がっている訳ではありませんが、まあ…虫の知らせってやつですか」

磨夢「いくら情報屋といえど、わたしが爆発物関係以外に於いて事件を目する事はない。あくまで管轄外であって間接的な情報しか得られない。それが今までやってきた情報の取得方法」

ゆい「その場合、事件発覚より時間が経たないと情報が得られないという訳ですね」

ルイ「ちょっと手間取っちゃった。ゆい、どうぞ」

ゆい「るーちゃん、ありがとうございます。まさかのボトルですか」

ルイ「シュタゲ風にアレンジしてみたよ」

ゆい「見るまでもなくワイン瓶ですね」

ルイ「原作再現する為に赤い瓶を探していたら今まで掛かっちゃったの。ゲルバナも作ろっか」

ゆい「遠慮しておきます…るーちゃん、わたしをどうしたいのですか」

ルイ「思うがままにめちゃくちゃにしたい」

磨夢「誰もが思う台詞を代表してくれた」

ゆい「え、えー」

ルイ「ゆい、変態紳士の皆様に一言どうぞ」

ゆい「わたしは、ひとりのものじゃありません、みんなのアイドルです…って磨夢さん、何台本読ませているんですか。これではまるでわたしはリンカーンスキーみたいじゃありませんか」

磨夢「あえて間違えてくれてありがとう」

ルイ「後半は即興だよね、これは将来有望だね」

ゆい「るーちゃん、わたしをどうした…」

ルイ「わたしがプロデューサしたら売れるかなぁ…」

ゆい「売れない…売れませんよ。わたしのような未熟な身体では」

ルイ「ゆいのような人が受ける層も世間探せば見つかる筈だよ」

磨夢「そう、ゆいをそういう目で見て喜ぶ人なんて幾らでもいる」

ルイ「まあ人によればそういう人も無きにしも非ず…かな。ほら、十人十色ってやつだよね。あはは」

磨夢「大きいお友達になる程危ないのは触れる必要もないお約束だから」

ゆい「もうキミタチとは友達になれないお」

ルイ「友達なんて関係は銀河の果てに捨ててきました」

ゆい「そ、それは友達以上の関係ですか」

磨夢「え、誰がそんな事言ったって」

ゆい「るーちゃんの声まね出来てませんよ。ただでさえ地声低いんですから、そこを…何ですかその美声」

磨夢「わたし昔混声合唱団でソプラノやっていた…何て言ったら驚く?」

ゆい「仮にそれが真実ならわたしはその場で卒倒しています。羽衣家の能力侮る事勿れですよ」

磨夢「予知能力だけではなく、過去分析能力もある…これは簡単に欺けない」

マスター「…あぁ、るーちゃんお疲れ。そこの巫女さんもお客さん?」

ルイ「この子はムーの友達のゆいだよ」

ゆい「お初にお目にかかります、羽衣ゆいです。よしなにお願いします」

マスター「よろしくな。そやなゆいちゃんかー、ゆいちゃんゆいちゃん…ゆいちーなんてどうやろ、ムー」

磨夢「何故わたしに訊いたの。まあマスターの好きなように呼べばいいと思う」

マスター「よろしく、ユイール」

ゆい「何故そこで盲導犬っぽい名前に変更したんですか!?それならまだゆいちゅ…」

ルイ「あ、噛んだ。かわいいね、ゆいは」

磨夢「よしよし」

ルイ「何でわたしを撫でたの…くぅん」

磨夢「かわいいから。その一言に偽りなし」

ゆい「そういえばマスター、以前会った事あります?」

マスター「昨日見たうちは今は無き幻影、初めてに決まってるやん。何言ってるんだか」

ゆい「うーん、見間違えですかね。この前来た時に見たマスターは確かにあなたと同じ褐色に銀髪の…夢でも見たんでしょうか」

マスター「記憶が曖昧な内は真実と確定させる事は出来ひんで」

ゆい「うーん、いまいち腑に落ちませんけど…そういう事にしておきます」

ルイ「ふぇぇん、磨夢がわたしの髪をくちゃくちゃにしたぁ…」

磨夢「頭を撫でる、その意義は髪型を乱し、同時に心をも錯乱させる」

ゆい「思い切り意図的な嫌がらせですよね、それ」

ルイ「でも磨夢の頭の撫で方はまさに神がかっているんだよ。ムツゴロウさんもびっくり」

マスター「それはつまりるーちゃんが動物と同類って事やんな、確かに子犬っぽい雰囲気もあったりなかったり」

磨夢「気のせいなんて事はない、感触がまさに犬そのもの」

マスター「るーちゃん、三回回ってわんと言ってみて」

ルイ「わん!」

磨夢「そ、それは反則…」

ゆい「たった一言であの磨夢さんを悶絶させるとは、るーちゃん恐るべし」

マスター「うちもこんな出来る子やとは思わんかった」

ルイ「コレって喜んでいーの?」


18-2

ピンポーン

ルイ「おはようございまーす。宅配便でーす」

基茂「磨夢が玄関まで来て倒れていたんだが」

ルイ「わたし、知ーらない」


19

八城「出来る幼女とは」

純治「同じ屋根の下に住み、家に帰ると笑顔で迎えてくれ、風呂ベッドを共にあわよくば…ぐふふ」

八城「基茂お兄ちゃんにはどこまでサービス出来るかなぁ…」

純治「あいつは最初の一つで満足していると思うが、何も無理する必要もないと思うぞ。自分の可能なだけ愛情を注ぐ、何も足りない部分はないだろう」

八城「んー、でもやっぱり何か足りないんだよねぇ。何だかマンネリ化しているっていうか、お兄ちゃんが良くてもわたしが満足いかない」

純治「K.Mやしろんは欲求不満なのか?だが伊崎は椎木のお蔭で恋情に不満を抱かない」

八城「流石にちるお姉ちゃんに挑もうとは思わないよ。だけどあたしにだって出来る事はある筈」

純治「まずは背中流しから始めよう。別に水着になる必要はないぞ?」

八城「あいあいさー」


20

基茂(ふぃー、今日も疲れた…疲れた後の風呂って最高だな)

コンコン

八城「たのもー」

基茂「今前を向いています」

八城「お兄ちゃんは剥く必要なんてないでしょー」

基茂「かと言って後ろに剥く場所なんてないのだが、おk後ろに向こう」

八城「敵に後ろを見せるなんて愚か者ー」

基茂「オレはどっち向けばいいんだよ!?」

八城「前向きで良いよ。何度も見てきてるし」

基茂「何度も…というより一度も見せた事はないぞ!?」

八城「風呂イベはまみーとしか起こしてないもんね。あ、そういやちる姉ちゃんと入った事はある?」

基茂「ないない、どちらもない。発言はしても行為に及ばないのがこの世界の約束事だぞ」

八城「うーん、だったら任務失敗かなぁ…風呂場にも入れないとなると」

基茂「まさか入ろうと思っていたのか」

八城「確かに入るけど一緒に湯船に浸かる訳じゃないよ?その…お背中を」

基茂「ん、それだったらお願いしようかな」

八城「ほ、本当!?」

基茂「オレは背中向けていれば良いだけの話だろう?それなら何も悪くない」

八城「じゃあお言葉に甘えて…後ろ向いた?」

基茂「だーるまさんが転んだ」

八城「いや振り向かれても困るんだけど」

基茂「冗談だ、オレは鏡の方を向いとくから」

八城「では遠慮なく…開けゴマ!」

ガラッ

基茂「タイムラグか」

八城「やしろん、遂に敵陣侵入。大将の御前に到着。これより任務を開始する」

基茂「誰かに背中流してもらうなんて何年振りだ…昔の妹以来だな」

八城「妹さんとはそういう思い出だけは残っているんだね」

基茂「よく一緒に入ったりしていたぜ、まああれだ。オレは母さんの代わりにでもなったと思う」

八城「妹さんはまみーみたいに家事とか出来たの?」

基茂「そこそこだな、三人で当番制だったが、あいつもオレも親父には敵わなかった。だから結局親父が料理していたのが多かったな。漢の料理だとか言って」

八城「そんなおじさんの影響を真に受けているのが、お兄ちゃんだよね」

基茂「たまに磨夢の代わりに作るのがまさにオヤジ仕様の料理だ」

八城「お兄ちゃんの料理も独特で美味しいよ」

基茂「だろだろ?少しアレンジしてオレらしさも出してるんだぜ…ってオレしか分からんか」

八城「ところで妹さんの事をもう少し訊きたいんだけど、兄妹としての愛情は強かったんだよね」

基茂「あいつとは結構仲良しこよしだったな。たまに生意気な所があったぐらいで良い奴だったよ」

八城「ふぅん…お兄ちゃんは昔から幸せだったんだね」

基茂「まあ昔の家族も今の家族もみんな良い奴ばっかだって話だな」

八城「あたしもゆいちゃんもまみーもみんなお兄ちゃんの事を慕っているよ」

基茂「磨夢だけ違う気がするけどな。上下関係が明白だ」

八城「でもお兄ちゃん、磨夢みたいに好感度0の相手でもいつか必ず攻略してやるんだって…」


21

剣「ハッハッハー、ちるたんキャッチボールでもしに行こう」

ちる「それが人生で体育の授業受けた事ない人間に言う台詞ですか?」

剣「大丈夫、最初のうちは優しくいくから」

ちる「段階を踏むという恐ろしさ、とくと味わいます」

剣「あれ、案外やる気だったりするの。だったらわたしは最初から本気を見せてあげよう」

ちる「何故わたしの周りには人外しか居ないんですかね」

剣「よし、ちるたん。グローブを真上に上げておいてその状態をキープしておいて」

ちる「大分遠いですが…というより寧ろ恐怖しか覚えませんけど」

剣「いっくよー。とうっ」

ちる「ボ、ボールが消えちゃいましたけど」

剣「大丈夫大丈夫、必ずそのグローブに落ちるようになっているから」

10分後

ちる「そろそろ腕が疲れてきました」

剣「…そろそろ落ちてくる頃だけどなぁ」

チュドーン!

ちる「!?」

剣「グローブに穴は開いてないね、良かった」

ちる「う、腕の痺れが…もうやめましょう」

剣「一球で終わりとかつまんないな」

ちる「つーたんは寧ろ外野を守るべきですよ」

剣「イチローみたいなレーザービームなんてわたしは出来ないよ?だからそこは部長とかに任せるしかないの」

ちる「通りでうちの学校をぼこぼこにした訳ですね」

剣「まあ東邦はわたしだけじゃなかったんだけどね。みんなが居てこそ決勝まで行けたんだから」

ちる「そんなチームなら甲子園で戦いたいでしょう」

剣「またみんなと会えたらいいな。そして甲子園を盛り上げたい」


22-1

飛鳥「おはようおはよう」

剣「あすぽん元気ぃ?」

飛鳥「あっははは、空元気ぃ…」

剣「熱が39度もあるじゃないか、何故来たし」

飛鳥「保健室で寝てみた…かった」

剣「ボス!」

美竜「飛鳥ちゃんの事ならわたしにお任せ。じゃあ次の授業は休むからよろしく頼む」

剣「だそうです。磨夢先生」

磨夢「あの二人には留年以外の選択肢はないと思う」

剣「来年のクラスは楽しみが半減しそう」

磨夢「まあ、剣と違ってやれば出来る子だから何とかなると思う」

剣「ちるたん、先生が遠回しに馬鹿と言ってきたよ」

ちる「磨夢さんの真心からのほめ言葉なんですよ」

磨夢「うん、馬鹿とは言ってない」

剣「もう人間なんて信じられない」

ちる「磨夢さん一人の事で人間全体を敵に回しちゃいましたよ」

磨夢「わたしの背後には世界権力があるから、全てが思うままに動かせるという事を看破されるとはわたしも劣ったみたい、いや寧ろ剣が賢人に近づいた!?」

剣「馬鹿の恐ろしさを思い知りなさい」

ちる「とても畏れる気にはなりませんけどね」

磨夢「剣って何でこんなに面白いの、委員長」

紫餡「磨夢先生が扱いに慣れているだけでしょう。バカとはさみは使いよう」

磨夢「成程、故に剣の面白さは後世に語り継がれる事になる…やったね、つーたん」

剣「先生が言うとますます嫌味に聞こえるのは気のせいですか」

磨夢「自虐ネタもやりすぎると笑い事になる、とよく言わない?」

剣「言わない…と思いますけど」

磨夢「わたしは今笑っている」

剣「無表情って笑いが分かりにくいですね」

磨夢「わたしは嘲笑しかしないから、無表情の方が救われると思う。ねぇ、基…ちる」

ちる「基茂さんは爆睡中ですか、それでわたしに訊いた所で分からなくもないですけど」

磨夢「正直に言って剣、あなたはあの馬鹿と比べれば幾分かはマシだから」

剣「いまいち喜べないにゃ…」

磨夢「でも基茂もやれば出来る子…だから」

剣「疑惑の眼差しは向けないでください」

磨夢「…そろそろ授業始めていい?」

剣「この人、華麗に流しましたよ今」


22-2

磨夢「ねぇ、何でこのクラスに霞は居ないの?」

基茂(相当病んでないか?コイツ)


22-3

磨夢「ルイは愛玩動物的にかわいい、霞は人として愛でる対象に値する。さて純治、この二人に共通するものは」

純治「どちらも嫁である」

磨夢「正解。ちなみにゆいはただの友人のだけなんだから」

基茂(いやデレる要素が分からないぞ)


22-4

磨夢「正直リア充はタヒねばいい、クリスマスもバレンタインも無くなれば…」

剣「先生、利登先生はどうなんですか?」

磨夢「哀れな男。あれは確実に陣中にて死すタイプ」

基茂(これ、眼中にないと言おうとしたんだよな?)


22-5

磨夢「はい、ここテストに出ません。覚えても無駄です。正直わたしは非常勤で更にテスト制作に関わらないから、単なる推論でしかないけど。わたしにもちるのような力があればいいのに」

ちる「………」

基茂(ちるは凍死直前である)


22-6

磨夢「はい、以上でΩND。授業内容入ってない人は知りません。正直わたしの愚痴は聞いているだけ無駄だったって事、無駄を味わった人は深く反省する事。現世と永遠の別れを告げる事、以上」

剛「ありがとうございます」

義斗「いやあ今日の授業も為になったよ、日本の内閣における思わぬ裏話が聞けたしね」

基茂「実は講義内容が二重音声だったりしたのだろうか」

ちる「うぅ、わたしも馬鹿に分別されました」

剣「真実を訊いてきたけど、まともに授業受けられたのはよっしーと委員長だけだって」

基茂「どれだけレベル高いんだよ、この授業は」


23

八城「こんにちは、八城です」

ゆい「こんにちは、ゆいです」

八城「二人合体して…」

ゆい「わたし完全に受けですよねそれ。寧ろわたしが優位に立てる相手っています?」

八城「さ、さあ…」

ゆい「自虐ネタ スルーされると 泣けてくる」

八城「これがゆいちゃん、辞世の一句だね」

ゆい「ワタシマダ人間ヤメナイ」

八城「そもそも自虐ネタは霞お姉ちゃんの芸当でしょう?霞お姉ちゃんを窘めるのがゆいちゃんの役目だった筈だよ」

ゆい「人間、他人に影響され生きていく生物なのですよ…」

八城「でも他人に影響されているばかりじゃ個性は全く伸びないんだよ。ってまみーが言ってた」

ゆい「八城ちゃん…そうですよね、わたしには巫女というポジションがある、だからわたしにしか使えない言い回しがある筈…例え寺とごっちゃになろうと、そこは神仏習合を知っていると分かって戴けるでしょう。あれ、八城ちゃん?」

八城「ゆいちゃんって時々面倒臭いね」

ゆい「ガーン」

八城「でもゆいちゃんこそ唯一釣り合う器量を持つ存在だ、そういう意味では好きとまみーが言っていたよ」

ゆい「それは八城ちゃんじゃなくて磨夢さんの気持ちですよね、まあ確かにあの人とまともに話し合えるのもわたしぐらいですし…つまりわたしは世の中ではただそれだけの存在である訳ですか」

八城「わたしの場合、もっと子供っぽいゆいちゃんの方が好きかな。実際わたしが子供だし。切り替えとか無理なの?」

ゆい「出来なくもないですけど…そもそも子供っぽく振る舞うなんて」

八城「あー、じゃあ口癖とかどうかな。こう巫女幼女に相応しいような」

ゆい「あうあう」

八城「にぱー」

ゆい「………」

八城「よし、これで行こう」

ゆい「いや、よくないですからね!?」

八城「わたしとゆいちゃんのゴールデンコンビならなんくるないさー、ハハッ」

ゆい「そこでねずみを出すのは色んな意味でまずいと思いますよ」

八城「そりゃ参ったなぁ」

ゆい「デ○ズニー大先生には八城ちゃんもお手上げですね」

八城「ふぇぇ、ゼロ距離で対戦車ライフル向けられているくらい両手上げても絶望的だよぉ」

ゆい「それはあれですか、作者の友人でも敵に回しているんですか。幾ら同居人に人外が居る八城ちゃんと雖も、背後に国家が控えている(と噂されている)人間を相手にするのはレベルが極端に違いますよ。霞姉さんの言葉を借りるならkittyから急にexpert挑む程無謀な事はないというようなものです。それはさておき、何の話でしたか」

八城「…うー、ゆいちゃんなんか手遅れだからもう良いよ。末期症状出ているよ。もうお医者さん手の施しようがないよ」

ゆい「わたしそんな原因不明で治療法未確認の重病にかかっていましたか!?大体何が言いたいかは分かります。ですが、それならわたし以上に重病の方がもっと身近に居るでしょう」

八城「まみーは本人によれば人間じゃないらしいし、お兄ちゃんは基本そこまで話すタイプじゃないし、他に誰か居たっけ」

ゆい「まあ身内に甘いのは百も承知です。実にわたしもそうですからね」

八城「それだから、わたしはゆいちゃんの友達でいれる訳だね」

ゆい「はい。もう一つ言えばわたしには殊重大な事に人生が懸かっていますからね。特に食事は」

八城「ゆいちゃんは、料理出来ないの?」

ゆい「出来ないって程じゃないですけど…自分では磨夢さんのようなものは作れません」

八城「だったらまみーに教えてもらえば良いじゃん。実際今のちるお姉ちゃんだってまみーの料理教室の賜物だよ」

ゆい「またあの人に借りが出来ちゃいますね。まあそこの所はお互い様なんですけどっ」

八城「ゆいちゃんって基本逃げ口上だよね…」


24

剣「本当にさ、五月ってイベントがないよね。体育祭が終わった後の喪失感がもう堪らないよ」

ちる「体育祭、団はともかく学年対抗リレーは優勝したんですよね。おめでとうございます」

剣「あの時のはがちゃんの喜びようといえば!相変わらずのグラサンだったけど、頬は十分緩んでいたね。そういえばちるたんはあの時休んだんだ」

ちる「はい。生まれながらこんなやわな身体をしている故、出場しても仕様がないと思いまして」

剣「ああ、だからわたしがあの時二回走ったのかぁ。でも珍しいよね。普通五月に行う所は一日が多いのに、うちは半ばあたりだからね。これはおそらく五月病患者を増やさない為の配慮だったりするのかな」

ちる「いや、五月病は連休明けに発症する人が多いみたいですよ。要するに中だるみというものですが、しかしそう考えれば、つーたんの説も決して否定は出来ませんね」

剣「…そ、そうだよね。わたし馬鹿言ったりしてないよね。一つの考えとしては悪くない、という事で」

ちる「そう考える人も少なくないと思いますから、何も無理に異論を述べたりしませんよ」

剣「ふ、ふーん…」

ちる「磨夢さんとかと比べれば議論として物足りない気がしますが…」

剣「あ、ちるたんも遠回しに馬鹿って言ったぁ」

ちる「そんな事は言ってもいませんし、思ってません。つーたんは普通の会話をしていれば、それはそれで満足です」

剣「ちるたんってこんなにSっ気あったっけ?」

ちる「委員長に比べればまだまだひよこです」

剣「ひょっとしてしーあみたいなのを目指しているの?アメとムチって考えているより難しいもんだよ?」

ちる「まあ目指しているとは言いませんよ?委員長さんだって如何にしてあの性格になったのか分かりませんし。彼女って家族と住んでいるか否かというのは分かります?」

剣「しーあは自宅から電車通いだよ。家族構成としては両親と妹、弟の五人家族。思ったけど電車通いって珍しいよね」

ちる「確かに駅まで行く人は見ませんね。割と近場なら、なくもないですね。それと委員長さんについて下に二人なら、あの性格も納得いきます」

剣「電車で10分くらいの所から通ってるんだって。更に駅から徒歩10分程度でここに着くけど、よく来るよね。わたし達が近いだけかもしれないけど。

後、世話好きだからこそ委員長になれたんだよ」

ちる「どこからだろうと委員長さんも進学校と目を付けて来たんでしょうね。若干家族愛が感じられます」

剣「それはそうと今更な事だけどちるたんも事情があって来たの」

ちる「わたしですか?わたしは単に単身赴任で此処へ来ただけですけど」

剣「単身赴任って。まあ進学校と分かって親御さんも送ったんだと思うけど」

ちる「大体あってますし、そう思ってくれて構いませんよ。後こっちへ来てから楽しんでますから親も満足していると思います」

剣「ちるたんって謎キャラわざと演じている?」

ちる「さあ自分でも分かりません。正直ボケかつっこみかも分かりません」

剣「今申し訳程度のボケが入りましたけど!?それがちるたんクオリティー、成程理解した」

ちる「一人で納得しちゃってますね」」

剣「ふっふふーん。わたしなりの推測だよ」

ちる「真の命題なんて本人にしか分かりませんからね」


25

磨夢「基茂、なめて」

基茂「はい、女王様」

磨夢「美味しい?」

基茂「病み付きになるぐらいだな。磨夢の気持ちもよく分かる」

磨夢「甘美な果実の風味が口の中に染み渡る…ああ頬がとろける」

基茂「至高の一品だな。いちごミルクキャンディは」

磨夢「わたしは毎日これを一袋常備している」

基茂「ちるとかにもやっているよな、まるで餌付けのように」

磨夢「誰か寄ってきたら、押し付けるように与える、強制催眠」

基茂「まむのひとみがあやしくひかったってやつか」

磨夢「ちなみにわたしはAI2~3回行動で1ターンごとに使う」

基茂「強制催眠の後に魔力が暴走しそうで怖いな」

磨夢「臆する事はない。はやぶさの剣使用のはやぶさ斬りをするだけだから」

基茂「却って安心出来ないな。一人ずつ確実に仕留めているし、無論黒い霧は掛けているよな」

磨夢「無論、ちなみにメガザルも無効化する」

基茂「鬼畜ラスボスェ…バイキルトとかは間に合っているのか?」

磨夢「ラミアスの剣でも使っておく。勿論、盗品」

基茂「あんた魔王じゃなくてカンダタ親分なんかではなかろうか」

磨夢「しょくぎうてんしです」

基茂「身内しか分からねーよ、そのネタはよぉ!つか魔王に職業なんて関係ない。想像してみろよ、どんなダーマ神殿だ」

磨夢「農民から魔王にのし上がる、これぞ下剋上の社会」

基茂「まあ太閤の場合は覇王と云うべきだな。BASARAの云う通りだ」

磨夢「わたしはサルでもハゲネズミでもない」

基茂「磨夢は…UMAだな」

磨夢「少なくとも競馬には出ない。そもそもあれは、どう見てもイエティ…断じてトルネコではない」

基茂「磨夢に変化の杖を使えば、どうなるんだろうな」

磨夢「神になる」

基茂「嘘つけ、具現化不可能だ」

磨夢「お黙り、社会からも天からも見放された底辺人間」

基茂「前者しか認めない」

磨夢「そう、基茂はある意味幸福」

基茂「何だろう、嫌みにしか聞こえないな」

磨夢「基茂が不幸であるならこの世にいない」

基茂「生きている事の幸せ…か。さりげない親切だな」


26

純治「この学校に萌えサーは無いのか?」

基茂「元々無いし、作る気も無い」

純治「おぅおぅ、最初から否定していればお前の青春は始まらんぜ」

基茂「オレの青春は限界に達したようだ」

純治「さりげなくリア充宣言してんじゃねーよ、馬鹿」

基茂「いや、元から自分の青春には期待していない念を伝えるつもりだったのだが」

純治「根暗万歳」

基茂「オレからちるを引けば何も残らない」

純治「そういうお前はかなり主人公補正を受けている」

基茂「まあかすむんには劣るが」

純治「好意のベクトルはかすむんが圧倒的だな。人気者と根暗野郎は比較の対象にもならん」

基茂「そもそも最初から勝負していないからな」

純治「勧告も辞さない」

基茂「1ターン滅亡も辞さない…あくまでプレイヤー操作に限るが」

純治「戦場に出る迄もないな」

基茂「せめてお前だけでも逃げてくれ」

純治「いや、この純治めは死ぬまで殿と一緒ですぞ」

基茂「じぃ…」

純治「ここ泣けるシーン…でもないな」

基茂「平手政秀なら泣けたものの、オレ達には演技力が無さ過ぎる」

純治「一夜滅亡。ご期待ください」

基茂「1時間半で死に怯える会話なんて、すぐ飽きそうなんだが」

純治「せめて一喝はしてほしいぞ。味方全員スタンになるくらいに」

基茂「いや味方にスタン掛けてどうすんだよ、せめて士気上昇にしておけ」

純治「伊崎の一喝では誰もがやる気喪失するんだ。つまりマイナスの意味でしか取らない」

基茂「オレに補助系の呪文を唱える資格はないのか」

純治「脳筋大名は黙って先陣切って走ってろ。さすれば、なんくるないさー」

基茂「そんなものか、まあ公田程ではないがな。帰宅部にはあの暑苦しさは出せん」

純治「運動部の中でも熱血の度合いが部員総じて高い野球部と比べる理由が分からねーな」

基茂「だが同志よ、これだけは誓える。幼女を愛する熱血は誰にも負けない、と」

純治「それでこそ我が同朋よ。またお前ん家遊びに行っていいか?」

基茂「ああ、やしろんもゆいゆいも待っているぞ」

純治「お前の主人公補正はどうも幼女への傾向が大き過ぎる気がする。まあ、その親友である喜びは否定出来ないけどな」

基茂「マスターとるーちゃんも知っているのか?」

純治「マスター…というのは知らんが、るーちゃんは知っているぞ、宅配便の子だろ?」

基茂「その通りだ。ちなみにマスターと云うのは、るーちゃんの親友で飲み屋のマスターをしている。まあ、オレも話す機会は少ないが」

純治「成程、飲み屋のマスターだからマスターか。そういえば、るーちゃんも時々口にしていたな」

基茂「まあ、今の所は4人って所だな。磨夢はグレーゾーンなんだが」

純治「そこに立ち入る気はないぞ、オレも死ぬのは怖いし」

基茂「機会があれば、オレは殺されとくよ。主人公の座はお前に託す」

純治「いや、待て。無駄な犠牲は生みたくない。しかもお前が居なくなるとして、オレがお前のように成功するとは限らんぞ。だからオレもお前の後を追って…」

基茂「待て待て、オレ達が居なくなれば代役が居なくなる。さっきのはあくまで最終手段って話だ」

純治「他なる選択肢を探すのはオレも協力するからな。一人でやろうとすれば殺られるしかないからな。いつでもオレを頼ってくれ」

基茂「持つべきものは同朋哉」


27-1

マスター「くしゅん」

メイド「マスター、風邪ですか?」

マスター「うぃっく」

メイド「ルイさんが待ち遠しいです」

カランコロンカラン

ルイ「Bonjour.今日は早帰りだよ」

メイド「いらっしゃいませ、マスターはまだ寝ていらっしゃいますよ」

ルイ「Oui、じゃあまだカフェ・テリアを営業している訳か。とりあえず、いつもの牛乳お願いします」

メイド「はい、いつものですね。もしかしてバーの場合も同じ注文されていません?」

ルイ「ぐぬぬ…さすがれーちゃん、勘が鋭い。意外と思うかもしれないけど、わたしの方があの子より背が高いんだよ」

メイド「わたくしからすればドングリの背比べに思えて…」

ルイ「これまでわたしは背を抜かれた事はありません」

メイド「では、これから抜かれて…」

ルイ「だからわたしは牛乳を飲んでいるんだよ」

メイド「納得したようなしないような…」

ルイ「むむぅ…」

マスター「あれ、るーちゃん。もう来てたん?」

ルイ「今日は早かったんだよ、おはよう」

マスター「おはようるーちゃん。れーちゃん、パンないみたいやけど」

メイド「尽きてるなら買ってきてください」

マスター「るーちゃん、頼んだ」

ルイ「え、まさかのわたし!?」

マスター「うちのエナジーも底尽きとる」


27-2

ちる(小さい子が一人で、おつかいですかね)

店員「1点で84円です」

ルイ「これでお願いします」

店員「お客様。外貨じゃありませんか」

ルイ「ああ、間違えた。何でユーロが入っているんだろう…あった、これ百円ですよね」

店員「そうですよ、では16円のお返しとレシートです、ありがとうございました」

ルイ「Merci.六枚切りだったっけ…まあいいや」

ちる(この子って…)


27-3

ルイ「今帰ったぞぉ」

マスター「るーちゃん、おかえり。おおきに」

ルイ「六枚切りで良いよね?」

マスター「そやで、やから三日で無くなる」

メイド「たまに2日で無くなることもありますよね」

マスター「うちかって腹減る事あるわ」

ルイ「れーちゃんの場合もあるんじゃないの」

マスター「正直言って原因は大概れーちゃんやわ」

メイド「マスターももう少し食べた方が良いですよ」

ルイ「そうそう、だからいつまで経ってもわたしが抜けないんだよ」

マスター「れーちゃん、あれを」

メイド「はい」

ルイ「待って許してコーヒーだけは…苦」

マスター「うちはコーヒー飲んでいる所為かもしれんな、何となく」

メイド「変な所で大人ぶるんですから」

マスター「ブラジルの爺ちゃん元気かな?」

メイド「そういう時は地球の反対側に向かって大声で叫ぶんですよ」

マスター「おじいちゃあああああん、元気しているううううう!!?」

ルイ「………」

マスター「ポルトガル語で、らしい言葉が返ってきたわ」

ルイ「それって本当?」

メイド「そもそもマスターはポルトガル語すら知らないでしょう?直系ですのに」

マスター「うちが生まれた頃には既に両親は関西人やったしな、仕方ないっちゃあ仕方ないんやけど…」

ルイ「わたしみたいに生粋の人間じゃないもんね」

マスター「ああハーフ辛いわー、この外見容姿だけで外人さんやゆーて英語使われて関西弁で返すのは楽しいけど」

ルイ「あー、それは分かるかも。わたしもhelooとか言われるけど全く分からないし、日本語も話せるし」

マスター「かくいうるーちゃんも初めて会った時はえらく戸惑ってたな」

ルイ「フランス語通じないのは分かっていたけどね」

マスター「肌で判断してもらっちゃあ困るな、ヒトは中身が重要やねんで」

メイド「正直唸っているだけでも会話出来そうな気がしますが」

マスター「うちはスリラーやない!」

ルイ「黄色の瞳って珍しいと思うんだ。わたしもフランスで見なかったし」

マスター「確かに緑や青に比べりゃ少数派かもしれんな、れーちゃん」

メイド「日本には黒、茶しかありませんよ」

マスター「カラコンは痛いやろうし」

ルイ「その割に髪色は色とりどりみたいだけど」

メイド「一般的に黒、老いて白ですけど、人によれば地毛が赤、茶もいますが。明瞭な茶髪や紫などは染めていますが」

ルイ「但し二次元は除く」

メイド「当たり前ですよ」

マスター「れーちゃんは顕著なオタクです」

メイド「わたしなんてまだ可愛い方ですよ」

ルイ「今度家見に行っていい?」

メイド「無理です」

ルイ「その割にまんざらでもなさそう」

マスター「れーちゃんはツンデレやからしゃあない」


28

純治「こんちゃーす」

磨夢「基茂は死んだ」

純治「何故かしら死んだ」

八城「もしもしお兄ちゃんですか」

ゆい「それ、思いきり非通知ですよね」

基茂「―――神は―――いない」

ツーツーツー

ゆい「一応式神様という存在はありますけど」

八城「限られた人間しか会えないんだよ」

純治「八城ちゃんですら見えないとはな」

八城「純粋なよい子です!」

ゆい「いや、ドラクエⅤの妖精じゃありませんから」

八城「そういえば死神と式神はよく似てない?」

純治「仮に式神様を死神とすると、ゆいちゃんはひょっとして」

磨夢「ならわたしにも見える筈」

純治「先生、そこ反応する所じゃねーから」

ゆい「でも実際磨夢さんに式神様は見えませんよね」

磨夢「そう、わたしはゆいとは違って変態じゃないから」

ゆい「………」

八城「そっかぁ、だからわたしにも見えないんだね」

ゆい「泣いていいですか?」

純治「二人共、泣かすなよ」

磨夢「しっかり見て、まだ泣いてない」

純治「いやこれは泣く寸前じゃねーの!?」

基茂「ただいま」

八城「あっ、おかえり。お兄ちゃ…」

ゆい「ふぇぇ、兄さああん。わたし二人に泣かされました」

八城「光の速さの横取り!?」

基茂「純治、幼女は泣かすものじゃない、愛でるものだぞ」

純治「いやオレは関係ないからな。濡れ衣ってやつだ」

基茂「よく考えてみろ。やしろんは親友だし、ゆいゆいを泣かすような性格はしていない。磨夢に至っては…まず無関心」

磨夢「そう、わたしは霞以外は無関心」

純治「も、持ち前の性格を上手く生かしている…」

基茂「一切目が泳いでないのもポイントだ。それで佐竹、お前に嫌疑が離れている訳だが、ゆいゆいが猫みたいだ」

ゆい「すーすー」

基茂「ちるでもこんなに大胆な事はしないだろうに」

純治「さすが初めてを奪っただけはあるな」

基茂「撫でたら犯罪ですか?」

八城「警察とはぐるだから大丈夫。だよね、磨夢」

磨夢「撫でたら即逮捕」

基茂「話が違うぞ貴様あああ!」

純治「撫でるくらいなら良いだろう。だがそれは超える時は…磨夢さん、よろしく」

磨夢「分かった、約束する」

純治「契約完了」

基茂「何故お前らがグルになっているんだよ」

八城「お兄ちゃん、ドンマイだよ」


29

霞「こんにちは、村雲先輩」

剣「おー、シュミットさんじゃないですか。今日も一人?」

霞「今日もとは何ですか。たまたま食べる相手が居なかっただけですよ」

剣「ぼっち疑惑…ニヒヒ」

霞「あれですよ、クラスメイトは大多数が食堂に行ってしまうので少数の弁当派は自然とこういう形になってしまうだけで、いつもぼっちという訳じゃありませんからね」

剣「知ってるよ、シュミットは一年生にして学園のアイドルだもんね。その名を知らない者はいない」

飛鳥「おー、あなたがかすむんなんだ、サイン下さい!」

霞「それ絶対放送部なのが原因ですよね。サイン、これで良いですか」

飛鳥「ありがとう、これで美竜ちゃんに自慢出来るー」

霞「美竜さん…確か部長はこのクラスでしたよね」

飛鳥「そうだよ、今日も休んでいるみたいだけど。幽霊部長の名は伊達じゃないんだね」

霞「部長、たまにしか顔を見せないと思っていたらやはりそういう事だったんですね」

剣「ボスはよく休むからねー。理由は何故か知らないけど」

飛鳥「美竜ちゃんに限ってサボり…なんて事はないと思うけど」

霞「何かしら事情があるという事でしょう。不登校なのは」

剣「下手し留年だよ。延原先生も言っていたし」

飛鳥「週二は美竜ちゃんなりの努力だと思うけどね」

霞「部長の座はわたしが奪ってやります」

剣「それぐらいしないと多分ボスは出てこないよね、あすぽん」

飛鳥「電話でかすむんが言った事伝えておくよ。どう転ぶかは美竜ちゃん次第だけど」

霞「ふふ、お願いします。ところで村雲先輩は何故部長の事をボスと呼ぶんですか?名前からして関係無いかと思いますが」

剣「あー、理由は簡単だよ。ドラゴンボス」

霞「…成程、村雲先輩もなかなかコアな方です。同じゲーマーでありながら」

剣「正直に言ってシュミットには勝てないと思っているさ」

霞「ミスターXはマイナス能力を外せば強いですねーとかそういう話が出来る人って居るんでしょうか」

剣「そもそもゲーム自体がコアじゃない?シレンなのはシレンだけど」

霞「そういうものですかね…幅広くやっていると名作など関係無しにやっていますから。それこそ虱潰しと云いますか」

剣「シュミットが廃人お嬢様って事だけは分かった気がする」

霞「また何か貸しますよ。質屋形式ですが」

剣「まあそこは最低限の信頼性と云う事だし異議はないさ、じゃあまた何かよろしく」

霞「気になる作品があったら気軽に声をかけてくださいね」


30

ちる「…基茂さん、起きてください」

基茂「んんー?もう朝か」

ちる「いや夜ですが」

基茂「だから何でいつもこうなるまでほっているんだよ」

ちる「終礼に寝る基茂さんが悪いんですよ?幸せそうな寝顔をしていますから起こすのもつい躊躇してしまうんです」

基茂「ちる、お前はオレの可愛さに惹かれたと云うのか…ありだな」

ちる「はい?そこ肯定されても困りますけど…ひょっとして自分で可愛いと思っています?」

基茂「まさか、冗談に決まっているだろう。それで、真実を言うとどうなんだ」

ちる「さあ、わたしはチョロインですから分かりかねます」

基茂「それは言っちゃいけないな」

ちる「イベントを省略されました」

基茂「ちる程哀れなヒロインは居ないと思う」

ちる「どうせわたしは深窓の根暗少女ですよ。そもそも基茂さんの出番も少ないでしょう」

基茂「オレの出番は作者の気持ち次第だ」

ちる「みんなそう思っていますよ。磨夢さんの出番が多すぎるんです」

基茂「仕方ないだろう、作者の理想の具現化であるから。有力な説に作者と同一視していると云うのもある」

ちる「前者はわたしだった筈ですけどね。いつから変わったのでしょう」

基茂「さあな、だがオレはちるが好きだ」

ちる「何故棒読み?」

基茂「アニメではよくある事だ」

ちる「そうなんですか、棒読みキャラは磨夢さんだけで十分な気がします」

基茂「クロちゃんと違って急にテンションが上がる事もない、まさに極みの姿だな」

磨夢「じーっ」

基茂「磨夢、いつから居た?」

磨夢「基茂がちるのピーをピーしていた所から」

基茂「察する点が多いな。だが、オレ達はまだ行為には及んでいない」

ちる「はうう…」

磨夢「ちるが赤面しているけど」

基茂「察しろ、この腹黒」

磨夢「わたしの心は空洞、よって読んでも意味がない」

ちる「真っピンクなんですけど」

基茂「確かにそれなら外敵の侵入を認めそうにないな」

磨夢「ちるにはその程度しか見えないだろう。しかし、我が心中は闇の如く深淵なり」

ちる「それは言われなくても分かっていますよ」

磨夢「だけど玄那には勝てない」

基茂「磨夢もよっぽどだけどな…」

ちる「かすむんを愛する気持ち…それでピンクなんですか」

基茂「言っておくが。かすむんはまだ16になっていないからな」

磨夢「霞は3月生まれ、待ち遠しい…襲いたい」

基茂「かすむんの承諾もないと逮捕だからな」

磨夢「基茂、あんな欲望をかき立てるような見事な身体に興奮しないの?」

基茂「それは…しない事もないが」

ちる「やはり基茂さんは大きい方が好きなんですね」

基茂「いや、ちるのちっぱいも可愛いって」

磨夢「そもそもわたしよりあるのに文句は言わない」

基茂「それ言ってて悲しくないか」

磨夢「ちるを止めるにはこれが一番」

ちる「マムサンカアイソウ、カアイソウ。キョウシノミデアリナガラヒンヌーノセイトヨリモムネガナインダト。マムサンカアイソウ、カアイソウ」

基茂「ちるが怪文書みたいになった」

磨夢「それを録音して学校に送りつけるの。何の腹いせでもなく」

基茂「そいつはただの目的なき嫌がらせだ」

磨夢「しかし、ちるの肉声テープなら高値で売れる筈」

基茂「せめてCDプレイヤーにしろ」

磨夢「そう、OPをヌルヌル動くようにして、本編に立ち絵、CGを加えれば完成。基茂、淫靡な文はよろしく」

基茂「何勝手にPCゲー化しているんだよ、つかオレは別にシナリオを書く器量は持ち合わせていない」

磨夢「ならば基茂はミニゲームの方を。音楽も脚本も知り合い当たれるし」

基茂「声優はオレ達でアフレコか…しかし、それならドラマ化した方が」

磨夢「海外ドラマにしたら良さそう」

基茂「濡れ場に期待してニヤニヤしているんじゃねえ」

磨夢「基茂が心中を察した」

基茂「磨夢って無表情の割に感情が読みやすいんだが」

磨夢「心を無にする事も覚えなければ」

基茂「そうするとますます人形になりそうだな」

磨夢「ちょっと永平寺で座禅組んでくる」

基茂「仏の道を目指し、悟りを開くのか」

磨夢「どこかに既に悟りを開いた生き仏が居た気がする」

基茂「多分その人も禅宗やっていたんだろうな」

ちる「………」

基茂「ちる、意識戻ったなら帰ろうぜ、もう暗いし」

ちる「…あ、はい。基茂さん?わたしは何を…」

磨夢「少し記憶が飛んでいる」

基茂「怪文書の件は忘れておいてもらうか」


31

玄那「………」

霞「おはよう、クロちゃん」

玄那「ここで会ったが百年目…我が子孫の繁栄を止めし我が親友にして我が好敵手…霞、おはよう」

霞「それ、一方的な敗北ですよね…まあそれはいいとして、これ返しておきますよ」

玄那「これは…我が地下書庫に格納されし禁断の魔術書か」

霞「わたしは当時興味本位で借りたんですが、呪文は一つも習得出来ませんでしたよ」

玄那「やはり模倣能力が無いといくらやれど無駄な気がする。霞のように学習能力だけでは」

霞「つまり、生まれ持った才能の差と言いたい訳ですね。わたしは習得条件すら満たしていない」

玄那「職業高校生では魔王に屈服される運命にあるのみだ」

霞「せめてダーマに行かなくては、わたしは…」

玄那「遊び人しかないだろう」

霞「わたしは遊び人をマスターしていますので上級職であるゲームマスターに転向出来ます」

玄那「霞、延原先生相手によく尽くした。これでおぬしに真の職を賜わす日が来たぞよ」

霞「どこのおっさんでしょうねぇ…まあこれで磨夢さんから解放される」

磨夢「霞、会いにきた」

霞「あなたは授業しに来ただけでしょう。それ以上の理由は認めませんよ」

玄那「霞はまだレベルが足りないようじゃ」

霞「マスターとは何だったんですか!?」

磨夢「霞、原点回帰」

霞「レベル0にしたのはあなたですか…」

玄那「先生に対抗しうる力は霞は備えてないみたいだな」

霞「そもそも磨夢さんに対抗する力って何でしょうか」

玄那「これまでのやり方から変えてみれば良いんじゃないか?少し工夫を凝らしてみるといい」

霞「ということらしいですが」

磨夢「何を言われようと傷つかない」

霞「変態、変態、変態!」

磨夢「………」

霞「無関心モードに入った場合は如何なる処置を」

玄那「目には目を歯には歯を技には技を」

霞「エドモンド本田ってパンチラ多くて萌えません?特に百貫落とし、あれはモロですけど、頭突きをめくって追いかけるのも良いですよね」

磨夢「決して恥じらいを見せない乙女」

霞「どこが乙女ですか、ガチムチの力士ですよ。まああれで大関というから驚きというか弱さも感じますが」

磨夢「霞はガチムチ好き、じゃあわたしも」

霞「クロちゃん、これは無理では?」

玄那「二人を見ているとこちらも微笑ましくなる」

磨夢「そう、わたしたちは両想い」

霞「いつの間にそんな間柄になったのか甚だ疑問です」

磨夢「運命のタロットによる予言、わたしはハートを引いた」

霞「これでマークも揃って銀行に行けますね、良かったですね」

磨夢「どこでもカード持っていたんだけど」

霞「ハハッ、哀れな。そしてチャンスで13を引けばいいんです」

磨夢「わたしは無店舗で相乗りしているだけだから」

霞「いつの間にか株価が暴騰しています!?わたし、あまり株持ってませんから株価下げていきますね」

磨夢「株価の下がりようが笑えない」

霞「相乗りなんてさせませんよ」

玄那「景気回復キター」

磨夢「ありがとう、玄那。そしてわたしは霞を頼り続ける」

霞「仕方ない、他のエリアの株を買いましょう」

玄那「霞、財布がホカホカだお」

磨夢「玄那のエリアも株価高い」

霞「それよりCPUに金恵んでやりたいんですけど」

玄那「破産はさせたくないな、何故設定を弄ってない?」

霞「忘れていただけですよ。総資産3桁維持なんてある意味凄くね」

玄那「ようこそ、あなたの鬼門へ」

霞「ここは方違いさせてもらいましょう。大砲は勿論、CPU側へ」

磨夢「わたしとそう変わらない」

霞「真逆の方角に居るじゃないですか」

磨夢「分かった、ここで遠距離恋愛する」

霞「わたしはどんどん離れていきますよっと」

玄那「霞はまだゴール出来ないな」

霞「クロちゃんの所は危険なのでせめて離れ小島に飛べたらと思うんですが」

磨夢「霞スイッチ押しておいた」

霞「そこ抜けたらクロちゃんのエリアに入りますし、ちっとも救済になっていませんよ」

玄那「スイッチ解除ォッとCPUが」

霞「これで何とかなりそうです」

玄那「残念ながらCPU破産しに来たけど」

霞「CPUー、そっちへ行っちゃだめだああ」

磨夢「バシルーラ」

霞「わたしの所に飛んできましたけど」

玄那「イカサマするから問題ないざ」

霞「見事に6出しましたね」

玄那「よくある事だな」

磨夢「ホイミン召還」

玄那「ダイヤ寄越せえっ!」

霞「ホイミンさん、こんにちは。ゴールさせてもらいます」

磨夢「霞もイカサマ使っている」

霞「ハ、ハ、ハ、ご冗談を。そしてまたクロちゃんの所を購入」

玄那「霞、抜いちゃっていいか」

霞「一位の座は渡しませんよ。と言って増資すれば磨夢さんも儲かりますし」

玄那「CPUがジュエルを召還」

霞「これは良い金づるです」

磨夢「霞が吸い寄せている」

霞「磁石使ってますからね。はいハマった」

玄那「むぅ…一気に引き離された。これこっち来る前に帰りそうだ」

霞「離れ小島を舐めちゃ困りますね」

磨夢「これは追いつけない」

霞「独走状態なう」

玄那「もう、ゴールしていいよね」

霞「やだ」

磨夢「メラゾーマ」

霞「さっきジュエルが止まった店が…」

玄那「、という夢ですた」


32

磨夢「ない…基茂はこの世にいない」

基茂「オレは今ここに存在しているぞ。で、何か探しているのか?」

磨夢「霞から貰ったアストレイ。巣立ちでもしたのかも」

基茂「いや巣立ちはしないと思うぞ。そいつはもう完成したのか」

磨夢「塗装も完璧、剣を」


33

八城「しりとりしよう、りんご」

磨夢「呉越同舟」

基茂「馬」

ゆい「マリ」

八城「リング」

磨夢「グフカスタム」

基茂「ムカデ」

ゆい「出戻り」

八城「リフォーム」

磨夢「無駄」

基茂「大地」

ゆい「地理」

八城「リサイクル」

磨夢「留守番電話」

基茂「ワイマール憲法」

ゆい「ウリ」

八城「リス」

磨夢「好きこそものの上手なれ」

基茂「レタス」

ゆい「スリ」

八城「流行」

磨夢「有象無象」

基茂「うさぎ」

ゆい「義理」

八城「リード」

磨夢「土用の丑」

基茂「渋柿」

ゆい「霧」

八城「リサイタル」

磨夢「ルアー」

基茂「アルミホイル」

ゆい「瑠璃」

八城「リラックマ」

磨夢「摩訶不思議」

基茂「ギア」

ゆい「アリ」

八城「リラックス」

磨夢「スクウェア・エニックス」」

基茂「スライム」

ゆい「無理」

八城「理科」

磨夢「勝手気儘」

基茂「マリオネット」

ゆい「鳥」

八城「陸上」

磨夢「うたわれるもの」

基茂「ノイタミナ」

ゆい「鉛」

八城「リーチ」

磨夢「地産地消」

基茂「浮世絵」

ゆい「鋭利」

八城「リセット」

磨夢「とかなくてしす」

基茂「すいかとめて」

ゆい「手すり」

八城「リーグ」

磨夢「グリザイアの果実」

基茂「ツルゲーネフによろしく」

ゆい「栗」

八城「リコーダー」

磨夢「蛇足」

基茂「クドわふたー」

ゆい「祟り」

八城「リクエスト」

磨夢「問おう、あなたがわたしのマスターか」

基茂「かもしれないな」

ゆい「何て事があったりなかったり」

八城「立派な会話になってるね」

磨夢「ねえ、このしりとり飽きてきた」

基茂「たかが暇つぶしだろう、今日は全日暇なくせに」

ゆい「日曜日では日常的な事だったり」

八城「旅行…日帰り旅行とか行かない?」

磨夢「今しりとりに夢中」

基茂「嘘だッ!」

ゆい「ついさっき飽きてきたと言った所だったり」

八城「理想では昼まではこれで時間潰すよ」

磨夢「余が甘かったのだ」

基茂「誰だお前」

ゆい「偉そうな物言いだったり」

八城「理解出来ないよ、まみーの本性」

磨夢「うとうと」

基茂「ところで、ゆいゆい、その口調どうにかしろよ」

ゆい「良いではないかと自分では思っていたり」

八城「理由は(り)責めだよね、分かっているよ」

磨夢「よく頑張っている、ゆい」

基茂「いつも通りじゃないのが問題だが」

ゆい「ガトーショコラが食べたかったり」

八城「流行だよ、この家では」

磨夢「早く食べたい」

基茂「一旦外出るか」

ゆい「形だけでも眼中に収めたかったり」

八城「了解だよ」


34

面接官「お名前は」

磨夢「延原磨夢です。延暦寺の延に原虎胤の原に磨製石器の磨に夢判断の夢です」

面接官「どこから来てるん」

磨夢「圭道高校近くにある大きなごみ屋敷です」

面接官「電話番号何番」

磨夢「フリーダイヤル0120」

面接官「441-222」

磨夢「好きな本は」

面接官「失楽園です」

磨夢「好きなイラストレーターは」

面接官「深崎暮人です。あのエロさに一目惚れです」

磨夢「原作とアニメは別物ですね」

面接官「好きなブランドは」

磨夢「同居人が好きなゆずです」

面接官「こぶむりは至高ですね」

磨夢「好きな属性は」

面接官「Like you」

磨夢「あなたは変わっています」

面接官「人にはそれぞれ趣味嗜好があるものです」

磨夢「実はKeyっ子ですか?」

面接官「好きなものは好きです」

磨夢「偏らないのが普通です」

面接官「好きな歌手は」

磨夢「少し古いですが、し・ふぉ・んです」

面接官「耳が幸せですね」

磨夢「好きな声優は」

面接官「成田良悟さんです」

磨夢「ロアさんですね」

面接官「ロア使いですが?」

磨夢「シエルで捻り潰して差し上げましょう」

面接官「勝てる気がしません」

磨夢「せめてADが届いたら良いのですが」

面接官「オールラウンジは卑怯ですな」

磨夢「シエルのあれは仕方ありません」


35

基茂「羽衣神社って、この町で最も霊が多くないか」

ゆい「そんな事ありませんよ。○○公園や浜辺の方が多いみたいです。第一、神社は式神様がある程度霊を抑圧していますから」

基茂「そうなのか。純粋なものだけではなく、ファックリア充の嫉妬幽霊も多いのか」

ゆい「そうですよ。だからちる姉さんと夜デートなんかしたら、彼らの姿が見られるかもしれません。野外プレイは言わずもがな」

基茂「余計な事まで言うな。でも夜の誘いは憧れている」

ゆい「屋内でお願いします。幽霊の皆さんに迷惑です」

基茂「ゆいゆいはどっちが良いんだ?」

ゆい「わたしは兄さんの誘いがあればどこへでも」

基茂「ちるにもそれくらい言わせたい」

ゆい「ちる姉さんは消極的なんですか」

基茂「どうも一方的な気がしてならんのだ。もう少し意識してもらえいたい」

ゆい「そこは元の性格より大目に見るべきだと思います」

基茂「ちるが、ああなったのもどこかの旅人の所為なんだが」

ゆい「トラウマなら仕様がありません故、兄さんも何かしらあるでしょう」

基茂「否定は出来ないな。まあゆいゆい達のお蔭で慣れてきた気がするが」

ゆい「トラウマの治療方法は時間を掛ける事です。原因が分かっているなら後は自力で」

基茂「ちるは治す気もないだろう。それが好意の的でもあるが」

ゆい「独占欲、支配する事で満足出来るという事ですか」

基茂「敢えて否定しないが、それは一例に過ぎん。純粋な愛情というものの方が強い」

ゆい「一方的な純愛ですか」

基茂「ちるも磨夢じゃあるまいし無関心って訳でもないがマンネリ化」

ゆい「良い意味では安心しきっているという訳ですよ」

基茂「まあオレと話す時はいつも笑顔だからな」

ゆい「ご多幸を祈ります」


36-1

ちる「くかー」

磨夢「ふぅ…」

剣「失礼します、風邪みたいなんでベッド借りてもいいですか」

磨夢「保健部から許可は下りているのでご自由に」

剣「はい、好きにさせてもらいます」

ちる「ん…」

剣「これは反則」

磨夢「同じように霞に手を出したら免職喰らいかけた」

剣「何やってんすか…じゃあ反面教師にさせて戴きます」

磨夢「電気消す?」

剣「電気消したら、遠慮して誰も入れませんよ?」

磨夢「暗くてよく見えない場合はスタンドでもつけて」

剣「本当に消すんですね」

磨夢「朝型には眠くなる時間帯」

ちる「すぅすぅ」

剣「寝息の時点でわたしの敗北は決しているね」

ちる「…さん」

剣「これは恋する乙女の寝顔」

ちる「…つっ」

剣「あは、若干照れているぞい」

ちる「むむぅ…」

磨夢「ちるで遊ばない」

剣「はい、大人しく寝ています」

ちる「う、うう…」

剣「気になって眠れないんですけど」

磨夢「眠りに集中すべし」

剣「かくいう先生も寝れてないんですね」

磨夢「論考じゃ眠れない」

剣「先生にとって難しい本はないんですか」

磨夢「難しいと眠くなるは別。つまりわたしは読書で眠くなる事はまずありえない。たまに寝落ちするのは生理的欲求に準拠するものであり、読書が影響して睡魔に襲われた、なんて事は一切な…ぐぅ」

剣「これは喋りすぎて口が疲れた、という解釈で良いのかな」

ちる「すやすや」

剣「こっちはこっちで殺しにかかっているし」


36-2

剛「村雲が風邪で休むってよ」

義斗「嫌な…事件だったね」

剛「まさか事情を知っての発言か!?」

義斗「いや、何となく察しただけさ」

剛「少しは男心も分かる男になれよ、オレらの義斗」

義斗「ごめん、基茂君以外には興味ないから」

剛「このホモ野郎。それが幼なじみのオレに言う台詞かよ」

義斗「ん…聞こえないな。冗談に決まっているよ」

剛「それでこそ我らの義斗だなっ」

義斗「ちょっと外周走ってくるよ」

剛「ちょ、逃げんなし」

潤作「追うな、義斗の気持ちも分かるだろう」

剛「いや、分かりませんし分かりたくもありませんよ」

潤作「さあ剛、柘榴ちゃんがノックやるそうだ。外野行ってくれないか」

剛「おけっす」

柘榴「剣ちゃんの代役果たしますよー」

剛「ザクさん、緩めにお願いします」

柘榴「緩め?わたしの辞書に、そんな語句はありませんっ」

剛「ちょっと待て、外野のオレでも届かねーぞ」

潤作「剛、もっと走るんだ」

剛「オレの本気を見せてやるっ!」

潤作「おっ、剛の爆走だ」

柘榴「剛、そのスピードで行きなせえ」

ドン

義斗「いった」

剛「見事に当たったな」

義斗「あれ、ボールが無いんだけど」

剛「義斗、ちょっとジャンプしてみろ」

義斗「よっと…ああ、服の中から出てくるなんて」

剛「けがとかしていないか」

義斗「大丈夫だよ、少し打った程度さ」

剛「ならいいけどな。義斗も外野守ってくれ。三人じゃ話にならねえ」

義斗「他のみんなは外周とか別メニューか。じゃあ、僕はライトやるから剛はレフトよろしく」

剛「おぅ」

柘榴「次行きますよーっ」

剛「うっしゃ、来やがれ。レーザービームかましてやるぜ」

柘榴「はい、さっきの三倍ですよーっ」

剛「ちょ、真っ赤とかやめろ」

潤作「断念しろ、これは素人には取れん」

剛「潤さんいつの間に!?」

潤作「貰ったぁっ!柘榴ちゃん、これは返すぜ」

柘榴「ちょっと、部長…あなたは程度というものを知らない。打ち返しますよ」

カキーン

義斗「部長、これは僕が捕ります。部長直伝空歩き」

潤作「本当にやるとは…ナイスキャッチだ」

剛「うはっ、次来たし」

義斗「柘榴ちゃんが遂に本気を出してきたよ」

柘榴「どんどん行きますよっ。ハッハッハー」

潤作「二人共、もっとスピーディに動くんだ」

剛「そっすね、これはパーフェクトを狙わねば笑われる」

義斗「柘榴ちゃんってあんなに熱かった?」

剛「野球部はみんな熱い血を流していると部長が言ってた」

義斗「みんな熱血漢になっちゃうんだね」

柘榴「一番バッターをなめないでくだせっ」

剛「何か怒られた」

義斗「自意識過剰だと思うよ」


37

八城「あっ、霞お姉ちゃんだーっ」

霞「ふぅ…接戦でした。八城ちゃんも参加する?」

八城「八城、行きます」

霞「亘さん、わたしと八城ちゃんで参りますがよろしいですか?」

亘「上等だ、その勝負、受けて立とう」

洋海「亘、油断するなよ」

亘「善戦に持って行きたいな」


38

基茂「よぅ、こっちから赴く事は久しぶりだ」

ゆい「こんにちは、兄さん。八城ちゃんは一緒じゃないんですか?」

基茂「やしろんは戦場へ出掛けた」

ゆい「ではわたしは、ここで暇つぶししておきます」

基茂「働け、ミーコ」

ゆい「本日の仕事は終了しました」

基茂「まるでバイトみたいだな」

ゆい「式神様の好みを集めるのには苦労しますけどね」

基茂「式神様は同志だからな。てか、バイトは寧ろその子達か」

ゆい「はい、わたしにも休養が必要だと式神様が仰ったので、条件出された結果がこれですから」

基茂「今四人居るんだな」

ゆい「まあたまにしか出てきませんけどね。あくまでわたしの埋め合わせの臨時職員なので」

基茂「通りで見た事が無い訳だ」

ゆい「皆さんは来るのが少ないので神社に住む事もないんですよ。たまに泊まりこみでやってもらう事もありますが」

基茂「深夜なんて客は来ないし、やる事もないだろう」

ゆい「境内が闇に包まれ別世界に転送されたりしたら…という万が一の為です」

基茂「冗談のように聞こえるが、実際あったのか?」

ゆい「事実無根なら万が一に備える必要もありませんよ?」

基茂「いつものゆいゆいだな」

ゆい「時空移動、みんなでやれば怖くありません」

基茂「心霊スポットは集団で行けば怖くないみたいな言い方するな」

ゆい「実際そんなものですから」

基茂「ところでバイトの子とは会う方法はあるのか」

ゆい「わたしが居ない時間、大半が兄さんの家に来ている時間に来て下されば、三人の内誰かには出会える筈ですよ。磨夢さんにどう咎められるかは存じ上げておりませんが」

基茂「だからこそ、磨夢の居ない時に行く必要がある。待て、オレが忍んで行く理由が分からんのだが」

ゆい「兄さんは磨夢さんとは交錯する上下関係ですからね、余計ややこしいのでしょう」

基茂「家主なんて最初から居なかった。故にその関係の緩衝的な意味でやしろん形而上それに選ばれたのだ」

ゆい「家主は君臨すれども、統治せず、ですか。国王程必要でないものは廃止していい気がしますが」

基茂「まあ日常会話がきたし少し大袈裟な設定、遊び半分だ。そう気にする事はない」

ゆい「書類上隠せばどうって事はないですからね」

基茂「その点で実権を握っているのは親父だから問題ない」

ゆい「兄さんは多少他力本願な面がありますね」

基茂「出来る事はやれる人間になりたいと内心思っている」

ゆい「心にもない台詞をありがとうございます」

基茂「正直に言って磨夢が居ないとオレ達は餓死するからな」

ゆい「そこだけはわたしも頼らざるをえません」

基茂「あれ、ゆいゆいは自称料理の鉄人じゃなかったのか」

ゆい「兄さん、わたしも怒る時は怒りますよ」

基茂「ゆいゆいが怒る所は見た事ないし、見たくもない」

ゆい「では言葉を慎みたまへ、このわたしをどなたと心得る」

基茂「色々混ざっているぞ。とりあえずハハーッ」

ゆい「わたしを怒らすなんて大したものですよ」

基茂「今怒ったのか?」

ゆい「え!?いや、まだ怒っていませんから…」

基茂「ゆいゆいは怒りの概念すら知らないようだな」

ゆい「笑顔は良い事なのですよ、にぱー」

基茂「そこにおはすは、り○ちゃまならぬゆいちゃまか!?」

ゆい「八城ちゃんの影響ですよ、ひ○らしを勧めてきた」

基茂「やしろんは、うちに来てから既に知識があった。ということはつまり、やしろんは保護者あるいは旧友により喰われた存在であったのかもしれん」

ゆい「どうでしょうね、捨てられていた過去より必ずしも裕福な生活をしていたとは言えませんが…これまで生きてきた支えとなるものがあったのかもしれませんね」

基茂「価値観が似ているが故にオレともすぐに打ち解けたと云う事だな」

ゆい「逆に考えると磨夢さんと合わないのも納得です」

基茂「磨夢も磨夢である程度は分かってくれている筈だがな」

ゆい「間違えました、兄さんとちるさんの話でした」

基茂「本が接点だったのだが、磨夢に比べらればオタ知識は劣っているかもしれない」

ゆい「本当に不思議ですよね、しかも急激な進行を遂げるんですよ。皆さんはどう思います?」

基茂「誰に聞いているんだ。その方向には誰も居ない」

ゆい「兄さんもよくやっている事じゃありませんか」

基茂「オレとゆいゆいでは対象が違う気がするが」

ゆい「確かにそうかもしれませんね。ところで3時ですが、おやつはありませんか?」

基茂「かすむんに貰ってきなさい」

ゆい「あの人はえっちいから苦手です」

基茂「まさかゆいゆいも恐れおののく存在が居たとは」

ゆい「神社に来て早々に後ろから抱きついてくるんですから…ああいうのをセクハラと言うんですよ、訴えますよ」

基茂「かすむんがひんぬーに目覚めたのはクロちゃんが原因だな。ゆいゆいも似たような感触なんだろう」

ゆい「ちるさんとか磨夢さんならまだ良いですよ。しかし霞さんは意図的にあの巨大な一物をぶつけてくるんですから、至極不愉快です」

基茂「まあまあ、かすむんは無自覚に暴走する性質を持っているんだ。そこは許してやってくれ…ところでゆいゆい、今怒っているんじゃないのか」

ゆい「怒りじゃありません、妬みです」

基茂「ああ、やはりゆいゆいも意味を分かって使っているんだな」

ゆい「表情を面に出さないのも難しいものです。磨夢さんが、まさに見本ではありますが」

基茂「生来の性質を模倣する程難しい事はない。まあクロちゃんには通用しないような台詞だが」

ゆい「玄那さんでも磨夢さんみたいになる事は出来ないみたいですけどね」

基茂「相手は考えるべきだな」

ゆい「玄那さんは中二病なだけなんで…」

基茂「ゆいゆいが認める中二病患者が居たとは!?」

ゆい「先程からその反応はなんですか?わたしは普通に会話しているだけですが」

基茂「神と人間は違う」

ゆい「わたしは神職の身でしかありません」

基茂「何だ、この違和感」


39

ちる「基茂さん、わたし出来ちゃいました」

基茂「偉いぞ、ちる。よく頑張った」

ちる「はい、度重なる苦難を乗り越えて、やっと手にした正妻の座ですから」

基茂「言っておくが、オレは全くモテていないぞ」

ちる「かすむんとゆいちゃんが居るじゃないですか」

基茂「かすむんはゲーム仲間、ゆいゆいは中二トーク仲間、それで良いだろう」

ちる「そう言われれば、わたしの立ち位置は正直言って曖昧ですね」

基茂「そうだな、出番も少ないしな」

ちる「基茂さん、それ学校でも同じ事言えますか?」

基茂「ぐ…っ」

ちる「まあそういう世界なんですから仕方ありませんよ」

基茂「オレ達根暗にとって何も気を掛ける必要はない」

ちる「基茂さん、何故わたしが仲間扱いにされるのか不服に思います」

基茂「発端がそうだから仕方ないだろう。というのはオレ達文字通り窓際族だからだ」

ちる「最近周りに人が居ない気がします」

基茂「オレもだ。恐らくオレ達は未知なる空間で授業を受けているんだろう」

ちる「それは磨夢さんに言わせれば手のつけようがないバk」

基茂「さあ翼を広げ、飛び立とう。いつか夢見る桃源郷を見に行かん」

ちる「基茂さん、あなたは最近無理している気がします。普段はツッコミ役でしょうに」

基茂「あれは周りのレベルが高いからだ。こちらがボケる事が出来ないだけだ」

ちる「基茂さんの立ち位置こそ狂気の沙汰としか云えません」

基茂「オレは最初から呪われていたに違いない。ところでちる、冒頭に出来ただの云々と云うのは一体何だったんだ?」

ちる「生まれて初めて見学以外で体育の授業を受けたんです。開始一分で昏睡しました」

基茂「参加しただけでも頑張ったぞ、はい参加賞」

ちる「わあい、うまい棒。ちる、うまい棒大好き…って何やらせるんですか」

基茂「ちるが乗る所なんて初めて見た」

ちる「わたしって日頃からそんなに素朴に見えますか」

基茂「素朴と云うより天然だな。いつもほんわかしていてオレは好きだぞ」

ちる「人間不信の中、数少ない理解者に出せるわたしの素性ですからね」

基茂「男性恐怖症だけではなく、同性においてもは極度の人見知りか。まあ顔見知りは多い方だが」

ちる「どちらを変態と思うかは十人十色でしょう。わたしは基茂さんの言う通りの性質ですが」

基茂「オレもどちらかと云えばそちらの人間なんだが、磨夢との付き合いのお蔭でそうでもなくなったんじゃないかと思う」

ちる「そうは雖も磨夢さんもどちらかと云えばこちらの人間でしょう?」

基茂「ああ見えて磨夢は人脈が広い。現に平日非常勤教師、休日には警察のテロ対策特別班として働いている。前者よりも寧ろ後者の方が顔が広い、というより磨夢の素性が全面的に押し出されている」

ちる「ありのままの磨夢さんが出せる唯一無二の職場だと…わたしでも教師としての磨夢さんは違和感あります」

基茂「不思議な事だな、大袈裟でなく別人に思える程だ」

ちる「それでも身内の場合はすぐ素に戻るんですよね。切り替えが早いのは良い事ですけどね」

基茂「磨夢が素直じゃないのは昔からだ」

ちる「それ、今言います?」

基茂「…まあそれはともかくだ、今すごくムラムラする。やら…」

ちる「わたし、夕飯作らないといけないので、そろそろ帰りますね」

基茂「ちるって変な所でドライだな」


40

美竜「おはよう諸君」

飛鳥「おぉ、美竜様だー」

美竜「まさかの様付け!?」

剣「まさにボスを表すに相応しい敬称だね」

紫餡「敬称と云うのは大抵が様やさんになると思うのだけど」

磨夢「そう、因みにわたしを呼ぶ時には大先生を付ける事」

剣「延原大先生!…あれ、先生朝早いですね」

磨夢「剣と同じようにわたしも朝練をしていた」

紫餡「ズバリ、聖書の速読でしょう」

磨夢「正解、聖書は原語で読むに限る」

剣「先生、朝早いならの顧問やってくれません」

磨夢「わたしは不規則だから」

飛鳥「先生でも寝坊したりするんですか?」

磨夢「たまに…ある。寧ろ休日や遅い日は意図的に寝坊している」

飛鳥「あれですね、アラームを設定せずに眠ってしまうパターン…美竜様はそれが問題なのでは?」

美竜「それは一理あるかもしれない…飛鳥ちゃんを想って眠れない夜もあるし」

飛鳥「何だ、わたしだけじゃなかったんだ。安心したよ」

磨夢「何をおかずに?」

飛鳥「妄想です」

美竜「うんうん」

磨夢「わたしには無理、レベルが段違い」


41-1

合歓「ちるたん、此処でギャグマンガに走ろうじゃないか」

ちる「それはわたしにボケろと言っているんですか」

合歓「んにゃ、そんなつもりは毛頭ない。いつもので頼むぜ、マスター」

ちる「いや、わたしはマスターじゃありませんから。ところでネムスケは実際マスターに会った事はありますか?」

合歓「んにゃ、にゃい。そもそもこの町で縁ある所はちるたんの家しかないぜ」

ちる「泊まるだけ泊まって外に出ずに此処でお菓子ばかり食べているのは、そのためだったんですね」

合歓「そうそう、あくまでちるたんの家で旅の疲れを癒やしているだけだから…勿論仕事の方も怠りはしませんとも」

ちる「最後の一言が無ければ、すぐにでも家から追い出していましたよ」

合歓「ちるたんこあい。そういう事でちるたん、うろつくコマンドを与えるから、その辺をうろついてみる事だな。新しい出会いが生まれるかもしれん」

ちる「それ、わたしが対人恐怖症であるのを承知の上での発言ですか。ネムスケなら分かっている筈ですよね?」

合歓「姉妹の仲じゃないか、姉であるからに妹の事は一任されているのだよ!」

ちる「いや、誰にですか。少なくともわたしの親はそんな事…」

合歓「ナニヲイッテイルノカ、キコエナーイ」

ちる「ぐぬぬ…」

合歓「ちるたん、マアムが無くなったー」

ちる「お帰りください」

合歓「もう一泊ぐらいは許せー」

ちる「ネムスケは放っておくと一週間は長居するでしょう。そうなる前に事を付けるのが、せめてわたしが出来る事でしょう」

合歓「ネタが浮かばないからだ、許してまげー」

ちる「まげまげ言ってないで次の目的地を決めてください」

合歓「そんなの此処に決まっているではないか。ちるたんの家から出発してちるたんの家に戻ってくる。旅を開始した年からの鉄則である」

ちる「少しも正論になっていませんから…ふぅ」

合歓「つっこむの疲れた?」

ちる「明日の学校に備えて、もう寝ます」

合歓「待って夕飯を求む」

ちる「おやすみなさい」

合歓「なああああ」


41-2

霞「…と、椎木先輩はフェイクなのですよ」

磨夢「霞が主役ならわたしがメインヒロイン」

霞「はいはい、磨夢さんは可愛いですよ」

八城「寧ろその花みたくカップリングを作って…だよね」

玄那「その場合わたしはどうなる」

磨夢「玄那は霞のクラスメイトで十分」

玄那「先生、それはあんまりだろう…」

基茂「今日は客が多いな」

霞「お邪魔してまーす。多いと云いましても、わたしとクロちゃん二人だけですよ」

基茂「二人以上は多い。ただでさえ、3,4人住んでいるだぞ」

八城「お兄ちゃん、そうは言ってもこの広い家で量に文句を言うのはオカシイジャナイカッ!」

基茂「広い家でも孤独で居るのは寂しいものだろう?だから結局居間に集まる、貴様らの胸中など全てお見通しだ。ちなみにオレもその一人だ」

磨夢「真面目に本読んだり、PC弄る以外は好き好んで此処に居る気がする」

八城「あのまみーでさえ、一人が寂しいの?」

磨夢「寂しくはない、この脚が悪い」

玄那「霞、この延原先生の言い分、どう解釈する?本人の意見も間違えじゃないとは思っているが」

霞「脚が悪い、と云うよりは何か用事があって移動している事が多いのではありませんか。お菓子とかお菓子を食べに」

磨夢「霞、わたしがそれだけの理由で居間に赴くとは考えが甘い。ヒントエプロン」

八城「裸にエプロン!?」

磨夢「八城なら分かってくれると信じていた。その組み合わせを霞に掛けてみれば…ぐはっ」

玄那「いちげきひっさつ!霞さん、なかなかやりますな」

霞「わたしは何もやっていませんし、磨夢さんのただの自滅でしょうに」

八城「若気の至りってやつだよね」

霞「いや何故わたしを見て言っているんですか。おまけにジト目という」

基茂「しかし、どうすれば起きるんだ、こいつ…」

玄那「先輩、ここは霞に委任するのが最善手ではなかろうか」

基茂「うむ、その通りだな」

霞「では、わたしは何をすれば」

八城「眠れる姫には口づけを」

霞「わたし、初めてはまだなんですよね」

磨夢「じゃあわたしから…」

グイッ

霞「んっ!?」

磨夢「血液ごと愛してくれてありがとう」

霞「いや、ちょっと、その…」

磨夢「わたしも初めて」

霞「やかまし」

玄那「霞、椎木先輩に百歩及ばず…だな」

八城「いや霞姉ちゃんとまみーはお似合いだから、その点では一切劣ってないと思うよ」

玄那「確かに壁の隔たりを考慮に入れない場合、そういった見解も可能だな」

霞「二人はそこで何を話しているんですかね」

基茂「ありがとう、これでオレもちるだけを愛せる」

霞「ルートを発展させる上での重要イベントだったんですか!?」

八城「これはまみールートを攻略する上で、ほんの通過点に過ぎないんだよ」

霞「いや攻略したくありませんから」

八城「周りにツンデレが居ないとからかいようがないね」

基茂「全くだ」

玄那「霞は元々デレないぼっちだから攻略する事さえ困難じゃないだろうか」

八城「似たもの同士は仲良くなれると思うよ」

磨夢「わたしは仲良し以上の親密度でありたい」

霞「磨夢さん、あくまでわたし達は教師と生徒という間柄ですからね」

磨夢「霞顔真っ赤、ktkr」

玄那「マムデレ…だな。わたしにはデレないのだが」

八城「クロちゃんはかすむんにデレられた事ないなんて意外だね」

玄那「デレデレだからいまいち実感はないな」

基茂「らしいぞ、磨夢」

磨夢「玄那、どうしたら霞をデレさせる?」

玄那「向こうから勝手に抱きついてきますね。磨夢さんに可能か保証は出来ませんぜ」

磨夢「霞の温もり、味わいたい」

霞「顔が完全に変質者なんですけど」

磨夢「舌なめずりするだけで感づくとは流石わたしの嫁」

霞「わたしは認めていませんからね」

玄那「延原先生、霞相手で豹変し過ぎだな」

基茂「表情に異変は無いんだが、内なる感情が全面的に押し出されているのが見て取れるな」

八城「多分わたし達以外の人でも分かるよ」

磨夢「そんな人間は霞だけでいい」

基茂「他人は干渉するなって話か。なら、二人っきりの時にやってくれ」

磨夢「こんな可愛い子を見て我慢する忍耐力があるとわたしに備えていると思う?」

基茂「どストライクって事だけは理解した。良かったな、かすむん。意中の人に想われて」

霞「磨夢さんの片想いです…はあ」

玄那「ところで先生は霞のどういう所が好きなんだ」

八城「身体に魅力を感じているんだよね、つまり性的な意味で」

磨夢「急展開はよ」

八城「どうやって誘いこむかが問題だと思うよ」

玄那「夜這いなんかはしてないのか?」

霞「それならしょっちゅうですよ。ベッドの下で声がするなら大抵は磨夢さんですから」

磨夢「わたしは息を殺して潜伏している」

八城「まみーは喘いだり、息を荒げたりしないからね」

磨夢「純粋にただ見つめている」

玄那「霞、それでは言っている事と矛盾しないか?」

霞「どちらが嘘吐いているかの判断は第三者に委ねます」

玄那「つまり、時と場合による…よくある話だよな、先輩」

基茂「悪い、聞いてなかった」

玄那「その本はツユネさんか、名前だけしか知らないが」

基茂「オレも旅をするシスコン野郎という程度にしか認知していない」

玄那「その口振りだと実際出会った事はあるようだな」

基茂「ああ、よくこの町に来る。見た事もないのか」

玄那「そうだ。きっとステルスでも使って目的地に向かうのだろう」

基茂「あの人、急に現れるからな」

霞「先輩、クロちゃん、スマブラしませんかー」

基茂「オレは本読んでいるから、四人でやってくれ」

霞「分かりました、最下位は交代ですね」

基茂「聞いてねえ!?」

八城「みんな強くて勝てる気しないよ」

玄那「とか言いつつ、八城ちゃん先日かすむんと一騎打ちで見事勝利を収めたじゃないか」

八城「あれはたまたまだよー。寧ろ勝たせてくれたんだよね?」

霞「あ、はい…」

玄那「本気だったのか?」

霞「八城ちゃん、最近みるみるうちに強くなってますから」

八城「えへへ、師匠程ではないよ」

霞「ピキ(^ω^#)」

玄那「落ち着け落ち着け」


41-3

磨夢「やはり霞つおい」

霞「気持ちがこもっていませんよ?」

磨夢「霞は世界の誰よりも愛している」

霞「そういう意味じゃありませんよ」

玄那「多分きっと両思い?限りーなくニアーイコールで」

八城「だけーど永遠のへーこーせんー」

磨夢「負けるもんか」

霞「磨夢さん、気持ちが籠もってませんよ。正直に言って負けるもんかは八城ちゃんの方が似合う気がします」

八城「負けるもんか♪」

基茂「そもそも誰と勝負しているんだって話だが」

八城「うーん…ちる姉ちゃん?」

基茂「おいやめろ、そういうゲームじゃねえから」

霞「バースト読んでまだ入りますよ」

八城「かすむんも画面端ィッ」

玄那「壁コン上手くて勝てる気がしないな」

基茂「磨夢は壁ドンが上手いよな」

磨夢「最近壁が足りない…基茂、コーナン行ってきて」

基茂「お一人でどうぞ」

八城「コーナン甲南店ってあるのかなぁ」

霞「さあ…わたしは西宮市民じゃないので」

玄那「あー、ののさんの所…いや、阪神タイガースで有名な所な」

八城「六甲山もあるよ。ロックガーデンは楽しいよ」

玄那「たまに猪の親子も見れるんだよな。お互い警戒すべきだ」

霞「ウリボウ可愛いですね。CLANNADの影響ですが」

玄那「親が怖くて正直近づけないけどな。ぬいぐるみならおk」

八城「そんな事言ったらクマーでさえ愛着が持てないクマー」

玄那「球磨は可愛い、それだけは分かるクマ」

霞「多摩派のわたしが通りますよっと」

玄那「せやかてカスミ」

霞「カスミじゃないにゃ」

玄那「そこはカスミじゃないカスムだ。と懇切丁寧に説明しないと、もしくは阿良々木さんみたく、ハナダシティのジムリーダーでマイステディ!とか云う鬼畜ヒトデみたく言うな、わたしの名前はカスムだ…この程度は言えないと、ラノベキャラとは言えないぞ」

霞「鬼畜ヒトデって倍プレイはともかく、ヒトカゲで挑めば鬼門って話でしょう?初代のピカチュウは紙過ぎてバブル光線で押し切られる位ですからね。ダネフシならまだしも」

玄那「やどりぎさえ植えていればレベル倍でもなんくるないさ。鬼畜具合に嘘は吐けないが」

八城「お兄ちゃん、交代だよ」

基茂「やしろんが負けるなんて珍しいな」

八城「周りが周りだし、仕方ないね」

磨夢「二人の勢いが止まらない」

玄那「霞の動きを模倣すれば容易な事だ。自然と動きが読めてくる」

八城「クロちゃんの模倣スキルすごーい」

磨夢「伊達に90超えていない」

基茂「何の話だ…」

霞「簡単に言えば常時まねまね状態ですね」

基茂「何となく分かったような」

霞「では先輩、行きますよ。今度も瞬殺して差し上げましょう」

基茂「お手柔らかに頼む」


41-4

霞「味方にすると心強いんですが、敵に回すと厄介ですね。com狐ですか」

玄那「あれほどいやらしい動きはしていないだろう。霞と同じ動きをしているだけだ」

霞「わたしと全く同じなら勝てますけど、加えてトリッキーな動きが入りますから、第一投げが通用しないんですよ」

八城「じゃあ投げずに遠くから狙えば…それなら遠距離やってくるから」

霞「こういう場合はこちらも牽制するしかないでしょうか」

磨夢「EXシールド連続するつもりで突っ込んでいくといい」

霞「メルブラじゃないんですから…やってみますか」

基茂「やしろん、交代だ」

八城「お兄ちゃん、わざと負けている気がする。その程度の人間じゃない筈だ」

基茂「つまりもう一戦やれと?」

八城「うん、今度は本気で」

基茂「本気…なぁ」


41-5

玄那「よく残ったな、だがここでお別れだ先輩」

基茂「だが残る。めくってこうだ」

玄那「甘いな、よけて投げる」

基茂「馬鹿め、そいつは残像だ」

霞「まさか先輩がクロちゃんと互角に渡り合えるとは…」

八城「お兄ちゃん、根っから放つ気が違っていたからね。あたしには分かっていた」

霞「良い意味で言っているんですよね、それ」

玄那「よくもこんなキチガイゲーマーを!」

霞「それはわたしの事ですか?ほめ言葉として受け取っときます」


42

飛鳥「BLにしよう」

純治「は?」

飛鳥「とりあえずたっけーが指宿君を攻略するのを最終目標にして頑張ってね」

純治「その目標は女子でいう所の椎木級の難易度だな」

飛鳥「わたしも椎木さんと話したいな…あの子わたし達の間でも周りを寄せ付けぬ気を放っているからね。通りで美竜ちゃんが苦労する訳だね」

純治「椎木は女子の中でも基本伊崎と話す子としか話さないからな。このクラスは、村雲ぐらいじゃないか?だから金子がいくら求愛しようと全てで無駄だってこった」

飛鳥「わたしはにいのお蔭でまだ話せるけど美竜ちゃんはあまり男子とは関わらないね」

純治「伊崎自体積極的に他人と絡む人間じゃないからな」

飛鳥「だからわたしは名字で呼び捨てなのか…何となく分かったかも」

純治「オレは野球部部長の事も知ってっから、飛鳥と呼ばせてもらっているが」

飛鳥「高木と呼ばれる方が逆に違和感覚えるんだよね」

純治「だからといってオレを下の名前で読んだりはしなくても」

飛鳥「純治ェ…エール」

純治「オレの名前に少しも酒に似たジュースな響きはないだろうが」

飛鳥「にいはこれさえあれば飲み会に参加出来るって言ってたよ」

純治「プロか大学か…全ては今夏の大会次第だな」

飛鳥「あのメンバーなら前者の可能性は高いよ。部長の妹が保証するんだから間違いない」

純治「あんな面構えはうん十年に一度の逸材達じゃないか。甲子園優勝出来ない訳がない」

飛鳥「にいは言っていたよ。全校生徒から野球に対する熱意、潜在力が高い、選りすぐりの人材を集めたんだって。だから、今年から入って猛練習している人も多いんだ。後、外部にも大々的に宣伝しているという話だよ。今年野球部を培って将来的にも強豪校であり続けたいとにいの希望が溢れているよ」

純治「もう部長一人で良いんじゃないかな」

飛鳥「剣ちゃんや指宿君が居るから来年もにいの期待を裏切る事はないと思う。けどね、当然ながら今年はにいが主導権握ってやってるの。だからと言ってにい一人で部活が成立している訳でもない。みんなが居てこそなんだよ、どこかの学校と違って100ならぬ30も居ないけどね」

純治「少数精鋭ってやつか」

飛鳥「確かににいが厳選したきらいがあるからね。ほぼ全員がベンチ入りなんだよ」

純治「ほぅ、それは試合見に行きたいな」

飛鳥「にいも喜ぶよ。そういやたっけーは、にいと一夜過ごした事はあったよね」

純治「それは遠い昔の話だろう?今思い出したわ」

飛鳥「布団の中でお互い抱き合っていたよね」

純治「興奮するなし」

飛鳥「ショタッケーもありだと思うんだ」

純治「上手い事言ったつもりかよ!?ちなみに飛鳥はそういうのは好きなんか」

飛鳥「いつもお世話になっています」

純治「いえいえ、こちらこそ」

飛鳥「え…」

純治「いや、なんでオレだけ引かれなならねーんだ」

飛鳥「あ、うん…そうだよね。この話は無かった事にしy」

純治「ちょっと待て」

飛鳥「わたしに固め技を決めようなんて10年早いわーっ」

サーッ

純治「なにあれ」


43

マスター「るーちゃんってカーレースやらしたら強そうやな」

ルイ「え!?」

マスター「ってやしが言ってたんやけど」

ルイ「わたし自転車しか運転した事ないよ?」

マスター「しかしな、るーちゃん、人間には未知なる可能態であって、誰もがそれを体験するまでは結果は分からんで」

ルイ「ゲームに関しては正論…なのかな?例えvoitureでも、まあ好きな人は好きだからね」

マスター「車やバイクもみんなそういうもんやろ。単にかっこいいという人も居れば、知識や何や網羅している人もいるんやから、るーちゃんからもそんな匂いがするわ」

ルイ「確かにわたしも昔は好きだったけど、それで現在もそうであるとは限らないよ?」

マスター「幼き日の嗜好が今に及びそれが肥大化する場合があれば、別の趣味に移行する場合もあるしな。まあそれでるーちゃんがどっちの人間やって事やけど」

ルイ「わたしはどちらにも当てはまらないよ」

マスター「…!」

ルイ「バイトは数少ない心身のより所だから、もし辞めたら自己を見失う事になるね」

マスター「るーちゃんもそんな事を考えていたんやな。じゃあうちに寄ってるのもそんな所なん?」

ルイ「何言っているの、友達と会うために決まっているよ」

マスター「そうそう、るーちゃんは、こうでなきゃ。ところでさっきの話はどうするん?」

ルイ「一応考えておこうかな」

マスター「やしに言ったら喜ぶやろな」

ルイ「そもそもカーレース上手いという考えはどこから生まれたの?」

マスター「うちに訊かれても分からんわ」


44

八城「ゆいちゃん、こんちゃーす」

ゆい「八城ちゃん、こんにちは。暇ですね…折角なので、御神籤でも引きます?1回100円で」

八城「ゆいちゃん、あたしはお金なんて持ち合わせていないよ。いつもの事じゃない」

ゆい「昨日磨夢さんのお遣いでのお釣り、まだジャンパーのポケットに入っていますよね」

八城「あ、あたしとした事が…でも何でそんな事を知っているの?」

ゆい「わたしもついて行きましたから。ひょっとして一人で行った気になっていたんですか?」

八城「そういえば後ろから何者かの気配を感じたよ、でも気が薄すぎて気付かなかった。ちなみに影も薄かった」

ゆい「記憶から完全に消滅していた為に、八城ちゃんは変わってしまったのです」

八城「あたしはいつも通りだけど」

ゆい「嘘だッ、八城ちゃんはそんな事は言いません。さてはあなた…偽物ですね?」

八城「バレたか、わたしはこの仮面を外すと真の姿が現れるのだ」

にゅー

ゆい「なんて嘘でしょう」

八城「痛い痛い、自分の皮膚なんか剥がせる訳ないじゃん」

ゆい「八城ちゃん、ここはふるさと」

八城「旅するラー→ジー↓オー↑」

ゆい「ですから、そんな事はありえませんよ」

八城「はは、そうだよねー」

ゆい「八城ちゃんって多重人格だったりします?」

八城「それこそ冗談だよね」

ゆい「これが真なる幼女、満面の笑み」

八城「ゆいちゃんも笑いなよ、ほれほれ」

ゆい「わ、腋は反則です…」

八城「いやー、やっぱ腋巫女は良いよね。ゆいちゃんも巫女装束を改造して」

ゆい「式神様は喜びそうですが…あの神ああ見えて、いやああ見えるからこそ、ですけど」

八城「よいではないか、よいではないかーてね」

ゆい「浴衣などは着るに無謀なだけですね」

八城「じゃあ夏祭りなんかでも巫女服で乗り切るの?」

ゆい「その可能性はなきにしもあらずですね。町としての夏祭りは今年も海浜公園だと思いますが、少なくとも七夕は此処でやりますから」

八城「海浜公園も神社も同じに思えるけどな。此処はハロウィンの時のコンビニみたいに格好だけでも染まってみようよ」

ゆい「それは七夕も浴衣でやれという事ですか?あーれー」

八城「よいではないか、よいではないかー」

ゆい「八城ちゃんのえっち」

八城「絶対式神様には言わないよね」

ゆい「当たり前です、冷たく返します。わたしはあの方とは真面目に付き合っていますから」

八城「個性が無いと立場が無くなるよ」

ゆい「ドライはちるさんの役目ですからね」

八城「わたしがお兄ちゃんにするように、ゆいちゃんも式神様に甘えてみたら」

ゆい「難しい相手に安易に動けませんよ」

八城「そこは…そう、式神様のデレを上手く見いだすの。デレ神作戦」

ゆい「可能な限りは進行しましょう」

八城「じゃあちる姉ちゃんがお兄ちゃんにプレイするまでね」

ゆい「もう既に終了しているのでは?」

八城「お兄ちゃん、ゆいちゃんに初めてを奪われてから怖くなったんだって」

ゆい「兄さんは実は女々しかった論が今此処に生まれました!?」

八城「もう一つの説としては、一度だけでもう飽きて、いや欲求が弱まったというのも」

ゆい「とか言いつつ、わたしを見る度に元気なのは見て取れます」

八城「やっぱりゆいちゃんにあって、ちる姉ちゃんにないものというものがあるかもね」

ゆい「わたし達を可愛がってくれるのも全てその為なんでしょうか」

八城「みんなゆいちゃんが悪いと思うな。確かに出会ったのはあたしが先だけど、あの時まだ弱かった」

ゆい「でもあの夜のお蔭で、今があるんですよ」

八城「まあそのお蔭だよね、わたしとゆいちゃんが巡り会えたのも」

ゆい「あれが無ければわたしが帰ってくる事もなかったんですからね」

八城「あの時は酔っ払っていたの」

ゆい「いや、単に夢遊病ですが。だからといって恥ずかしいとは思いませんでした」

八城「堂々とし過ぎだね」

ゆい「出された時くらいですからね、驚いたのは」

八城「それ無反応でいられる方がおかしいよ」

ゆい「味気ないのが、また何とも言えませんね」

八城「あたしには分からないな」

ゆい「かっこつけて言われるまでもなく、分かっていますよ」

八城「あたしはちる姉ちゃんを応援しているだけだから」

ゆい「磨夢さんみたいな言い方しなくても分かっています」

八城「命の恩人を仇敵にしたりはしないよ」

ゆい「結局あのまま居たらどうなっていたんですか」

八城「言うまでもなく死んでいたね」

ゆい「最近幼女は警戒されていますし、それは仕方ないと思いますよ。まさに乾坤一擲の大事だったんですね」

八城「家に着いた時は空元気だったよ、だからお巡りさんともたどたどしくしか話せなかった」

ゆい「磨夢さんから聞きましたよ、八城ちゃんイベント進行が遅かったと」

八城「あたしに比べたらゆいちゃんは最初からおしゃべりだったね」

ゆい「当時はせめてわたしが盛り上げなくては、と躍起になっていましたからね。今でこそ八城ちゃんも丸くなりましたし」

八城「何もツンツンしていた訳でもないけどなぁ」

ゆい「何であれ今生きている事に感謝です」

八城「うん」


45-1

霞「こんにちはー、椎木先輩」

ちる「かすむん、窓から来ましたが、ここ三階ですよ?」

霞「細かい事は気にしないでくださいましー。ところで伊崎先輩、今日は休みなんですか 」

ちる「磨夢さんに熱移されたみたいです」

霞「あ、だから磨夢さん今日来ているんですか。折角久しぶりにお昼をご一緒しようと思ったんですが、仕方ありません。椎木先輩、後で屋上です」

ちる「わたしは一人の方が落ち着きます。磨夢さんをお誘いください」

霞「磨夢さんは捜そうと思って見つかる人じゃありませんよ?教師としてどうかと思いますが」

ちる「自由なのが磨夢さんらしくて良いと思いますよ」

霞「磨夢さんから自由を奪えば何も残らないでしょうね。ではわたしはお先に行ってますから」

ちる「また窓からですか」

霞「ロープって便利ですよね。あ、使います?垂らしておきますけど」

ちる「いえ、結構です。寧ろ目立つのでしまってください」

霞「そんなに目立ってないと思いますけどね」


45-2

霞「…ふぅ、着きました」

磨夢「………」

霞「やはり現れましたね」

磨夢「たまに来る屋上は良い」

霞「今日の日差しはそこそこ、風も気持ちいいです」

磨夢「霞、今日も一人」

霞「一応、先輩と食べる気ではありましたよ。でも珍しいですね、先輩が休むなんて」

磨夢「余程わたしの高熱が効いたらしい」

霞「それ以前に熱なんてどうして…知恵熱ですか」

磨夢「警察の方でちょっと」

霞「様々な難題に取り組んでいれば、体調を崩すのももっともです」

磨夢「本当なら霞が良かった。まさか基茂が看病してくれるとは、少し意外」

霞「まず看てくれるのは家族でしょう。それはうちも同じなので、それよりわたしに来てほしいなら誰かを通してでも連絡下さい」

磨夢「連絡したら霞は明け方までつきっきりでナース服で看病…ゴホゴホ」

霞「変な事考えてまた知恵熱出さないでくださいよ」

磨夢「大丈夫、霞の授業では休まない」

霞「それは二年の授業は構わないという事ですか?」

磨夢「無論、二年の授業を怠慢にする事はない。霞なら分かる筈、遅れが生じようと全て完遂する」

霞「いやわたしにも分かりませんけど、まあ磨夢さんならそれぐらい朝飯前ですよね」

磨夢「だからわたしは学校で無理する事はない。そんな人間はちるくらい」

霞「何気に椎木先輩ディスってるんじゃありませんよ!?」


46

prrr

?「基茂か」

基茂「オヤジ、何故携帯電話じゃなくて固定の方に掛ける。うちの幼女が出たりしたらどうすんだ」

オヤジ「将来、君の父になる男だ。それだけで十分だろう」

基茂「何勝手に見知らぬ幼女を養女扱いしているんだ。それと同じ台詞を磨夢に吐いてみろ。命が幾つあっても足りんと思うぞ」

オヤジ「延原さんには、いつもお世話になっているんだってな。炊事洗濯風呂掃除それに加えて仕事までこなす子だろう?」

基茂「家事については確かに言っていたが、仕事に関しては何も言ってなかった気がする」

オヤジ「この前、知らない所から電話が掛かってきたんだが、幼い女の子の細切れ声でそちらの事情を簡単明瞭かつ丁寧に教えてくれたんだ」

基茂「うちの者が怪電話を掛けて申し訳ない。誰かは大体絞り込める。第一実家の電話番号を知っている幼女なんて限られてくるからな」

オヤジ「そうだな、全く関係ない所の幼女がこの二つの情報を知っている筈もない。現に正確な情報である訳だからな」

基茂「オヤジ、一つ問うてみたいのだが密偵幼女っていうのは、ありだと思うか。電柱に隠れたりして」

オヤジ「うむ、悪くない。わたし自身もそういった経験はある。確か、中二の夏だな、覚醒前夜の日だった。状況は基茂が言った感じだ。あれ以降わたしは幸せな人生を歩んでいるよ」

基茂「それはオヤジが望む幸せなのか、それとも…」

オヤジ「基茂、幸せは主観的に感ずるものだ。わたしが幸せと思えば幸せ。今じゃ独り身で寂しいんだぞ」

基茂「オヤジには漁師仲間がいる。それで満足しろよ」

オヤジ「華が無いぞ、あそこは。たまに女を見かけようも昼飯を持ってくる近所の奥さんくらいだからな」

基茂「奥さんと云えば母さんってどんな人だったんだ」

オヤジ「それは清廉潔白、金髪碧眼の合法ロr…な訳が無かろうが。現実と理想を同一視してはならん」

基茂「それで母さんはどんな人だったんだ」

オヤジ「綺麗で優しい天使のような人だった」

基茂「最愛の人を一行日記みたいにまとめるな」

オヤジ「例えるなら基茂の嫁のような人だったな」

基茂「もしかしてバレているのか?」

オヤジ「わたしだって今は脳内嫁と再婚したんだからな。母さんよりずっと可愛い」

基茂「オレみたいに若いのならまだしも、オヤジがそういう発言をすると哀愁が漂うぜ」

オヤジ「こうなったのも基茂のお蔭だ、感謝しているぞ」

基茂「その発想はなかった。オヤジってなんて前向きなんだ」

オヤジ「そう誉めるなよ。基茂と話していると怪電話が待ちきれん」

基茂「また話はつけておく」


47

ちる「磨夢さんって基茂さんとどんな関係なんです?」

磨夢「絶対的上下関係」

ちる「ぶっちゃけわたしと基茂さんの関係をどう思っています?」

磨夢「ちるが幸せならそれで良い」

ちる「わたしも磨夢さんがかすむんと結ばれるよう応援しています」

磨夢「ありがとう、ちるも百合スキー?」

ちる「異性に比べれば、それもありでしょうか、だからと言って積極的に絡む人間でもありませんから」

磨夢「成程、ちるは丁度境界線にいる。自身がどちらに流れるかも知らないままに」

ちる「あなたとは違うんです」

磨夢「人の命は儚きもの、誰を愛するも他人に緊縛された中でやるものではない。自由に生きる、それがわたしの全て」

ちる「自他共に認める自由人とは磨夢さんの事でしたか。でもわたしはも、基茂さんが居ればそれで…」

磨夢「ちるは意外とマグロ」

ちる「ち、違いますよ…恋する乙女と呼んでください」

磨夢「それはわたしだから」

ちる「一応わたし達は立場的には仲間なんですね」

磨夢「ん、基茂には興味無いし。そんなに執着しているのもちるぐらい」

ちる「八城ちゃん達は置いといて、かすむんはあくまでゲーム仲間として基茂さんと接していると最近気付きました」

磨夢「本人に訊いても冗談しか返ってこないから、そう思い込んで正解」

ちる「本心は本人にしか分かりませんよね」

磨夢「大丈夫、霞は鈍感だから。仮に。基茂に気があるなら、基茂を暗さt」

ちる「しちゃ駄目ですからね。そんな事したらわたし生きていけなくなりますよ」

磨夢「ちるの幸せを脅かす事は出来ない…チッ」

ちる「はあ」

磨夢「ところでちるはどこまで行ったの?」

ちる「き、キスまでです…」

磨夢「ちるもゆいみたいに積極的に行かないと。この前の保健室みたいに」

ちる「あの時…わたしは思わず人が変わっていました。でも何で知っているんでしょうか」

磨夢「ここにカメラあるけど…観る?」

ちる「それ、わたしにとっても…ま、磨夢さんにとっても利害にゃいでふ…」

磨夢「そう、じゃあ削除しておく」

ちる「バックアップ取ったりして…いませんよね?」

磨夢「ふ、ふふ…」

ちる「は、はは…」


48

ゆい「こんばんは、今日やけに参拝客が多くて参っちゃいますた」

八城「呼んでくれたらよーじょ隊共々馳せ参じたのに」

ゆい「隊長の鶴の一声無くとも、皆さん駆けつけてくれますよ。八城ちゃんはその一人じゃありませんか。尤もよーじょ隊結成以前から手伝ってくれていますが」

八城「わたし、隊長しか顔知らないよ?」

ゆい「そもそもよーじょ隊は世間に深く顔が知られていないのです。わたし、八城ちゃん、そして隊長、他3人はほぼ密会状態ですから」

八城「前も言っていたみたいに七夕や初詣くらい忙しくなるまでは総動員する必要もないからね」

ゆい「うちはそれ以外に碌に行事を取り組んでいませんからね」

八城「式神様の案とかないの?」

ゆい「無いと云えば嘘になりますけど、何と云いますか式神様の自己満足…」

八城「儀式を行わないなら、愚痴言いたい放題」

ゆい「そうです、井伊直政対砲台。ひこにゃんですね」

八城「生ひこにゃんは見てみたいな」

ゆい「今度兄さんに連れて行ってもらえば良いです。兄さん、幼女と浮気旅行…兄さんならやりかねませんね」

八城「別に二人で行くとは云わないよ?何なら見張りをつけたって構わない」

ゆい「磨夢さんは快諾しますし、ちるさんは…裏取引で」

八城「ゆいちゃん、どっす黒ーい」

ゆい「そんな今更の話ですよ、磨夢さんにはとっくに見抜かれていますし」

八城「後エロい。性格も勿論、身体的にも」

ゆい「幼女に発情する幼女がここに一人」

八城「ちょっと夜中まで語り合おうか」

ゆい「今夜の為にリポビタンDですね」


49

飛鳥「なあなあ飛鳥さんや」

美竜「何だね、美竜君」

飛鳥「やらないk」

美竜「断るっ!」

飛鳥「美竜ちゃんって見た目お嬢様だけど中身は全然違うね」

美竜「わたしを例に外見で判断する事は間違っている、と世間に思い知らせるんさ」

飛鳥「お嬢様はお嬢様らしい振る舞い、口調が大事なんだよ」

美竜「あら飛鳥さん、それはわたしに対する物言いのつもりですの?全く庶民は可愛いですわ」

飛鳥「うざ可愛い♪」


50-1

ちる「……」

紫餡「椎木さん」

ちる「は、はひ!?」

紫餡「延原先生からだけど…この書類頼まれてくれる?」

ちる「はい」

紫餡「延原先生なら椎木さんでも大丈夫じゃないかと思ったの、じゃあお願いするわ」

ちる「お任せください」


50-2

磨夢「…」

ちる「あの…磨夢さん?」

磨夢「どうしたの、誘ってるの?」

ちる「いや、そんなつもりはありませんが、この書類を」

磨夢「ありがとう。紫餡に頼んだ気がしたけど、任された?」

ちる「一応協力してやりましたけど、竜瀬さんの事は人任せな人だとは思っていませんし」

磨夢「程度の問題が被験者の気持ちに転換する。個人的に紫餡は信頼出来て、気楽に仕事を頼める」

ちる「紫餡さんって、ある意味完璧超人ですよね」

磨夢「確かに紫餡は義斗のような属性かもしれない。でもちるも出来る子、少なくとも基茂よりは」

ちる「身内ぐらいはひいき出来ないんですか」

磨夢「身内だからこそ、甘く出来ない。何も何から厳しく対処している訳じゃないけど」

ちる「八城ちゃんはともかく、基茂さんに厳し過ぎませんか?」

磨夢「何者かの策略により、伊崎家と延原家は敵対関係にある。無期限、和解の手立ては未だ見つからない」

ちる「基茂さんのお父さんとはどうなんです?」

磨夢「基茂曰わく基茂より変態だと話は訊いている。うるさいのは嫌い」

ちる「変態さん=うるさいってどこの定義ですか…」

磨夢「普段はぼっちなのに…虫め虫め」

ちる「やめましょう、わたし達みんな惨めですから」

磨夢「霞も仲間だとわたしは信じている」

ちる「あれは両生類です」

霞「ゲコゲコ」

磨夢「霞を蛙に変える事に成功した」

ちる「…用事思い出したので帰ります」

霞「ゲコ?」

磨夢「今ちるが帰ってもぼっちなのは悲しいぐらいに分かる」

霞「最近先輩休み多くありません?」

磨夢「たまにぶっ倒れるのはちるの特徴が影響したかもしれない」

霞「椎木先輩の代わりに先輩が倒れると思うとわたしは…」

磨夢「これが続けば安心して基茂を預けられる、ちるの家に」

霞「いや駄目ですから、最近は椎木先輩も積極的になった、それを教えてくれたのは磨夢さんでしょう?」

磨夢「ちるが幸せになれば、何だっていい。そして基茂が出ていけば、あの家はわたしと霞、秘密の花園に仕立て上げよう」

霞「何を言っているんですかね、この人は」

磨夢「かの自称神が残した名言を霞は覚えている?まずはキスからだ」

霞「的確な…アドバイスだと思います」

磨夢「霞の初めては誰にも渡さない。何故ならわたし達は見えない糸で引っ張られている」

霞「面白いもの見る度にだんだん元気を取り戻す、マ・ムー」

磨夢「わたしの前世はムー大陸伝説のサルカトーレだったのだ」

霞「マム○のような愛嬌はありませんけど」

磨夢「わたしは自分に可愛さを求めていない。相手さえ可愛ければそれで良い」

霞「それでは欲望の塊ですよ、あなたは」

磨夢「霞の肉体がエロい故にわたしは狂人と化した」

霞「わたしの肉体に文句を云われても困ります。生まれつき…とは云いませんが、望んで得たものでもありませんからね」

磨夢「これ見よがしと揺らせながらもその発言する霞素敵」

霞「わたしを…評価してくださるのですか」

磨夢「御大が居るドーフィネなら強いに決まっている」

霞「私見ですが、磨夢さんは灰羊で死者うぇーいwとかやってそうですね」

磨夢「教祖様万歳っとね。後ベビーカステラが食べたいわ」

霞「七夕まで待ちましょう」

磨夢「霞なら大人買いしてくれそう」

霞「とりあえず此処に置いてある分貰っていきますね」

磨夢「世の中は金で動いている」

霞「ゲーマーにとって資金は最重要事項です」

磨夢「vitaや3DSは、どうでもいい」

霞「選択肢があるだけ恵まれていると思いましょう」

磨夢「基茂が持っているPCゲーで間に合っている」

霞「自分からゲームを買う事はありませんか。だから、家庭は崩壊しない訳ですね」

磨夢「基茂も基茂でどこから資金を得ているのか、仕送りだけで、いや寧ろそれ」

霞「ご名答です、それは間違いありません」

磨夢「あの資金を横領すれば基茂もバイト始めそう」


50-3

磨夢「という事で仕送り先をわたしの口座に変えておいたから」

基茂「まさかそこまでするとは思わなんだ。つかオレに頼むよりやしろんが居るだろう」

八城「幼女向けのバイトかあ…これなんてどう、プ○エンジェル?」

基茂「何故あんたは未解決事件から探すかね」

八城「儲かる要素しかないと思うけどなあ」

基茂「そんな事より、メイド喫茶があるぞ。スタバは無いのに」

八城「わたしもお絵描きオムライスしたい」

基茂「それが出来れば職人並だ」

八城「マヨネーズに挑戦するのが見せどころだよね」

基茂「だがロリメイドか、悪くはないと思うが」

八城「良くもないの?」

基茂「ある意味希少価値だよな」

八城「高給取りになるぞー」

基茂「ゲーセンの店員か。まあ良い客が多いが」

八城「意外とガラの悪いにーちゃんは居ないよ」

基茂「みんな紳士だよな、オレみたいに」

八城「お兄ちゃんそれゆいちゃんの前でも同じ事言えるの?」

基茂「一応紳士的に対応はしていた」

八城「本当かな、攻めたりは?」

基茂「攻められる訳ないだろうが。勿論一方的だった」


51-1

ゆい「兄さんって今倦怠期なんですか?」

基茂「ちるなら大丈夫だ、最近積極的になってきたし」

ゆい「今夜、兄さんの寝床にお邪魔します」

基茂「それは遠慮してもらおう」

ゆい「嘘です。自分の欲望に素直になってください。ほら、どんどん欲しくなってきたでしょう?」

基茂「ゆいゆい、オレはお前とどういう関係でいたらいいんだ?」

ゆい「今までの関係を維持してくだされば結構です。ですが、わたしが欲しくなればいつでも空いてますから。あの感動をもう一度」

基茂「ああ、そう。しかしな、オレは何度も云うように紳士であって…」

ゆい「普段はそうある事、理解出来ます。ですが磨夢さん曰わく、秘めしものは野獣の心。ちるさんもきっとそれに支配され…はわわ」

基茂「もう一人のオレみたいなものか。人格すら変わるとでも云うのか?ゆいゆいはともかく、ちるは大丈夫だ、きっと多分」

ゆい「ちるさんの貞操が心配ですね。でも暴力的にさえしなければ良いのです。特にちるさんの場合は、男性恐怖症ですからね」

基茂「ゆいゆい、オレがちるをどれだけ愛しているか分かっていてのその物言いか?」

ゆい「そうですよね、変な事云って申し訳ありません。しかし兄さん、もしちるさんに好きにしてもいいと云われれば、どうしますか?」

基茂「とりあえず触手プレイだな」

ゆい「…え、それ本気で言っています?」

基茂「冗談に決まっているだろう。最近やったゲームがその系統だっただけだ」

ゆい「あの自称紳士の兄さんが、ごらんの有り様だよ!と言えば、喜びますよね?」

基茂「オレが感謝するのは磨夢だけだ」

ゆい「わたしじゃ物足りないと言うんですか!?」

基茂「ゆいゆいはちょっとエッチなくらいでいつも優しいからな。何と言うか、いきなり罵倒されて感謝する気にはなれない」

ゆい「まさか磨夢さん限定だったりするんですか?この変態が」

基茂「あのな…オレにも慣れというものがあってだな。普段とのギャップ萌えってやつか!」

ゆい「兄さん、わたしにいじめてほしいですか?」

基茂「そういうゆいゆいも可愛いな」

ゆい「しかしわたしも神職の身、素直であるべきなのです」

基茂「素直に心を抉ってくれてありがとう」

ゆい「まあその辺は磨夢さんの方が上手ですからね」

基茂「あいつは素直じゃない精神破壊者だ」

ゆい「よくガラスのハートで磨夢さんとやって来れましたね」

基茂「初期こそそうだったが、幾らか耐性がついたようだ」

ゆい「そして虐げられる喜びも得たんですね、おめでとうございます」

基茂「磨夢化とかまじやめれ」

ゆい「お家の雰囲気としては兄さんと八城ちゃんが居れば安泰です」

基茂「つかそもそもオレが居なきゃいまいち盛り上がらんだろう」

ゆい「八城ちゃんはまだ若いし、磨夢さんは二人きりでなければ無口ですからね」

基茂「オレは二人きりなら罵倒しかしてもらえないな」

ゆい「ビンタを頂戴したら、ありがとうございますの一言に限ります」

基茂「あまり暴力的ではないけどな。寧ろ体が接する程に向こうは近づかないだろう」

ゆい「わたしと八城ちゃんならもっと密接な、いや濃厚な関係に…」

基茂「待て、顔が近い」

ゆい「流石、一線を越えたわたしにだけは対応が違いますね。嫌に冷静です」

基茂「卒業するとな。だが、他の女は無理だ」

ゆい「嬉しいのか悲しいのか分かりませんよ?」

基茂「次の試練はちる中学だ」

ゆい「わたし小学校扱いですか!?」

基茂「でもその場合は中卒になるな」

ゆい「高校は敢えて磨夢さんにしてみましょう」

基茂「オレに何年留年しろというんだ?せめてかすむんにしてくれ」

ゆい「しかし霞さんを攻略する場合、必ず磨夢さんという壁が立ちはだかるのです」

基茂「隠れヒロインみたいなものか。つかもう中卒でいい」

ゆい「兄さんは今通っている高校も一生卒業出来ませんよ」

基茂「高校卒業=磨夢攻略フラグってのもおかしい気がするが」

ゆい「現実とゲームをごっちゃにしちゃいけませんよ」

基茂「人生はギャルゲーだ」

ゆい「では、そろそろ二回戦を…」

基茂「どうせならちるが良いのだが」

ゆい「3Pですか」

基茂「描写がなければ至って問題ない」

ゆい「はいカットしまーす」


51-2

ゆい「ごちそうさまでした」

基茂「ちる、終わったぞ」

ちる「わたしには何も聞こえてませんワタシニハナニモ…」

ゆい「兄さん、とても激しかったです」

ちる「激しかったんですか!?」

基茂「ゆいもゆいで技ありだった。謂わばテクニシャンだ」

ちる「テクニシャン!?」

ゆい「それを兄さんに言いたかったんですが、それはさておきちるさん、お風呂行きませんか?」

ちる「そういえばそんな時間ですね。ゆいちゃんは誘っても来てくださらないのに珍しいですね」

ゆい「たまには温泉も良いかなと思うのです。いつもここの風呂を使っていますが」

ちる「ゆいちゃんは、その…一緒に入ったりは…」

ゆい「兄さんとならよく一緒に入ってますよ。ちなみに入ってますよ」

基茂「そこ強調する必要はないと思うんだ。ちなみにゆいゆいは嘘を言っているから安心しろ」

ちる「で、ですよねー…いくら小さいからって基茂さんと一緒にだなんて…」

ゆい「わたしは無いと認めますが、八城ちゃんはありますよね」

ちる「な…」

基茂「やしろんはゆいゆい程淫乱じゃないから安心して入れ…あれ、ちるどうした?」

ちる「わ、わたしとはあの…その…」

ゆい「ちるさんは兄さんと…」

ちる「ゆいちゃん、そこで待ってますからね」

基茂「行ってしまったな、脱兎の如く」

ゆい「正直言って幼女に対抗心燃やすなんて大人気ないですね」

基茂「そんな事言ってないで、早く行ってやれ」

ゆい「…そうですね。では兄さん、夕飯は要らないと磨夢さんに伝えておいてください。今夜はちるさんに作ってもらいます」

基茂「ちゃっかりしてやがるな」

八城「あれ、ゆいちゃんは?」

基茂「磨夢に聞かなかったのか、今夜はちると…」

八城「一夜を明かすんだね」

基茂「うちの人間が言う事は何もかもエロく聞こえるな」

磨夢「基茂も八城と入ればいい」

八城「お兄ちゃんと入るの久しぶりー」

基茂「ちるに言ったものの、やしろんに会った日以来一緒に入ってなかった気がするな。半ば強制だったが」

磨夢「わたしにとっては基茂が猫を連れてきたようにしか見えなかった」

基茂「レオポンとやしろんは少し違う気がするが」

八城「あたしとレオポンは全く違うからね」

基茂「しかし、この大きさ…猫に見えない事もない。やしろん、試しに一寸鳴いてみろ」

八城「みー?」

基茂「猫として異存はない」

八城「そのようなお言葉を受けるは甚だ遺憾である」

基茂「コピペやめなさい」

八城「最近多いからね」

基茂「さて風呂でも入るか」

八城「あたしはー?」

磨夢「………」

基茂「それはどっちの意思を尊重しているんだ?」

磨夢「正直どうでもいい」

基茂「だろうな」

八城「で、お兄ちゃんは水着派?全裸派?」

基茂「前者でお願いしよう」

八城「りょーかーい」


51-3

基茂「うむ、全裸とは言っていない」

八城「あたしなんちょーだったみたい」

基茂「ある意味重病だな。とりあえず背中流してくれ」

八城「うん」

ゴシゴシ

基茂「丁度痒い所磨けて素晴らしいな」

八城「赤くなっているから、すぐ分かるよ」

基茂「やしろん以外と入れば全身赤くなりそうだ」

八城「ありゃ、あたしじゃ興奮しない?」

基茂「ゆいゆいの方がエロい」

八城「お兄ちゃん、分かっているね。今度はお兄ちゃんの番だよ」

ゴシゴシ

基茂「力入らねぇ…」

八城「それでもお兄ちゃんは男なのか?」

基茂「さあ、どうだろうな」

八城「下を見れば分かるけどね」

基茂「この通り萎えています」

八城「少しぐらい反応してくれてもいいのに」

基茂「はあ…頭洗うぞ。つか、やしろんの下ろした頭を見るのも久しぶりだ。若干茶色いから磨夢とは違うが」

八城「あたしはまみーみたいに綺麗なストレートでもないからね」

基茂「ちるっぽくて良いんじゃないか?」

八城「お兄ちゃんちる姉ちゃんの裸見たことあるの?」

基茂「そんなラッキースケベありえません」

八城「但しゆいちゃんは除く」

基茂「あんな不意打ちかわせる筈がない」

八城「成程、メモメモ」

基茂「ガラスに書いても意味ないだろう」

八城「実はあたし、写真記憶が出来るんだよ」

基茂「そーなのかー」

八城「というのは違うか、数書かないと覚えらんないや」

キュッキュッキュ

基茂「オレってそこまで不意打ちに弱いのか」


51-4

ちる「…!」

ゆい「ちるさん、急にどうしたんですか?」

ちる「良い事を聞いた気がしました」

ゆい「兄さんの攻略法ですか、恐らく八城ちゃんの遠距離通信能力に因るものでしょう。まさかちるさんも受容者の一人だったとは」

ちる「八城ちゃん、わたしにも心を許してくれたんですね」

ゆい「と云うよりかは、ちるさんの受信範囲が一定水準に達したと云う事ですが、ここまで来れるとは人間やめましたか?」

ちる「いや、磨夢さんじゃありませんから…ひょっとしてゆいちゃんもそうなんですか?」

ゆい「わたしは元来八城ちゃんの情報送受信能力において、距離時間関係無しに情報を入手出来る性質を持っていますから。出会ってすぐに八城ちゃんの許容範囲だったのです。と云いましても、ちるさんが今まで八城ちゃんに距離を置かれていた、と云う訳ではありませんよ?命の恩人であるちるさんに対してはまた別の反応を起こしていたのです。それこそわたしには未知の情報形態です」

ちる「わたしにとって八城ちゃんはどのような愛情を抱いているのか益々疑問になりますね」

ゆい「良いお姉ちゃんと思っているんじゃないのですか?」

ちる「わたしも疑似家族の仲間入りですか?別に構いませんけど」

ゆい「寧ろお母さんの方が良かったですか?それでしたら兄さんがお父さんにな…」

ちる「や、八城ちゃんは一体どこの誰の子なんですかねぇ?」

ゆい「わたしは存じ上げませんよ。本人が覚えてないなら尚更です」

ちる「最後までそういう扱いをしていてもわたしは問題ないと思います」

ゆい「それではシナリオが一向に進みませんね。まあ、わたしには関係ない話ですが」

ちる「何の話をしているのかさっぱり分かりません」

ゆい「しかしちるさんって小さいですね。揉んでも良いですか?」

ちる「ゆいちゃんって、よくえっちぃとか云われませんか?」

ゆい「淫乱とは云われます」

ちる「同じ事です」

ゆい「しかし、わたしは誰かと違って抱擁癖がありませんから、それ程行為に及ぶような事はありませんね」

ちる「大法螺吹いて何になると云うのですか…出会って抱擁する人は日本人でも珍しい方ですよ?」

ゆい「その方に抱擁される度に劣等感に苛まれるのは言うべきにあらず。はあ…ちるさん」

ちる「基本的に学校の皆さんは大きいのです、、、はあ」

ゆい「ちるさんは、学校でいつも孤独だと云う話ですが、まさかそういう理由もありますか」

ちる「はい、悲嘆に暮れる日々です」

ゆい「小さい人に屈辱を与えるとは学校ってひどい場所ですね」

ちる「校内を探せばわたしみたいな不特定多数居る筈なんですけど、見つけた所で親しくなれるとは思いませんし」

ゆい「同盟を結んでいるのは強いて挙げれば玄那さんぐらいですか?」

ちる「はい、クロちゃん自体難しい性格していますからね。ゆいちゃんなら気が合いそうな気がしますが」

ゆい「普段から磨夢さんに合わせて喋っていますと、何ら問題なく喋れますね」

ちる「あなた達はおそらくわたしと違う次元で語りあっているんですね」

ゆい「ちるさんも一般人とは思えませんが」

ちる「別にわたしは一般人被れと認識して戴いて構いませんけど」

ゆい「兄さんと付き合えば、こうなるのは当然だったのですよ」

ちる「当初わたしが話せる相手は基茂さんしか居なかったんですよ」

ゆい「ちるさんはやはりチョロインだったんですね、知っていましたけど」

ちる「他の方は無理ですけどね」

ゆい「つまり兄さんが女の子に見えたんですか?」

ちる「純粋にかっこいいと思っただけです…」

ゆい「上がります」

ちる「はい」


以降12月

52-1

基茂「この中に一人、妹が」

磨夢「いない」

八城「寧ろ妹選抜総選挙をやった方が良いよ」

ゆい「八城ちゃん、兄さんに現実を見せてあげましょう」

八城「顕現せよ、リアルワールドッ!」

基茂「そういうのは本当にやめてくれ」

ゆい「諦めたらそこで人生終了ですよ?」

基茂「オレは既に仮想世界に生きているので問題ない」

八城「ゆめ家族とかにしたら売れるかなー」

基茂「それはゆめねこからの発想なのか?つか、人身売買だからそれ」

磨夢「基茂なら売却してもいい。安価で買い取られそうだけど」

基茂「オレみたいな人間は価値がつけられないぜ、悪い意味で」

八城「一緒に寝て、お風呂も入るお兄ちゃんならあたしに安く売れるよ」

基茂「なんと安く見られたものだろう」

ゆい「わたしも兄さんと一緒に…」

基茂「そういうのは間に合っているので」

八城「お兄ちゃん卒業したの?」

基茂「ゆい限定ならな」

磨夢「流石ゆいったらし」

基茂「一方的な狂愛だから」

ゆい「…わたしは兄さんで遊んでいるですけど?」

八城「そうだよ、お兄ちゃんはわたし達のおもちゃに過ぎない」

基茂「遂におもちゃになったか」

磨夢「ならトイザらス行きで」

基茂「クリスマスカタログにオレを載せる気か」

ゆい「でしたら、ゆめねこと並べましょう」

八城「シルバニアファミリーの一員になってもいいかもしれないよ」

基茂「リス化するぐらいならリスカしよう」

磨夢「リスカした後はわたしが傷口を抉ってあげよう」

基茂「血顔面にぶっかけんぞ」

磨夢「血ならいいかも」

ゆい「そう云えば兄さん量が凄いんですよ。毎日溜めに溜め込んでいますから」

八城「あたしもお兄ちゃんにぶっかけられたい」

基茂「磨夢、昼はぶっかけうどんにしてくれ」

磨夢「基茂の?」

基茂「何を言っているのかさっぱり分からんな」

ゆい「兄さん、とぼけても無駄ですよ」

八城「お兄ちゃんのが良い」

基茂「そういうプレイをオレは知らない」

磨夢「食べ物は粗末にしない」

基茂「その通りだ」

八城「お昼ちるお姉ちゃんも呼ぼうよ」

ゆい「そうですね、兄さんのならちるさんも喜んでくれますね」

基茂「調教なんかしたくないな」

ゆい「ちるさんなら分かってくれます」

基茂「分かってもらいたくはないな」

八城「お兄ちゃん、相互理解ってのは大事なんだよ」

基茂「ちるに理解させるのは、早計だ」

ゆい「でもこういう知識こそ兄さんぐらいの年頃には大事なのであって…」

基茂「学校は出会い系じゃないんだぞ」

ゆい「名言頂きました」

八城「みんなぼっちだから分かってしまうんだよね」

基茂「ゆいゆいのお蔭でそう批判も出来ない、ゆいゆい…」

ゆい「兄さん、今夜もわたしを求めているんですか」

基茂「だからそういうのはやめろと言っているだろう」

ゆい「わたしとの関係は会話のネタとして使えますし、良いじゃないですか」

基茂「お蔭で他ルートに進まないんだが」

八城「せめてちるお姉ちゃんは攻略したいね」

基茂「フラグが死に絶えてんだよ」

ゆい「わたしみたいに積極的に行くべきです」

基茂「本人でもそう言うのか」

ゆい「あ、でも5クリックさんみたいになれと言っている訳ではありませんよ?」

八城「お兄ちゃん早くても絶倫だから大丈夫そう」

ゆい「何で八城ちゃんが知っているんですかねぇ?」

八城「あくまでも憶測で」

基茂「お前ら…」

磨夢「これでちるも安心」

基茂「どこが安心なのか分からない。寧ろ恐れるぐらいではないのか」

磨夢「それはちるに訊いてみないと分からない」

基茂「ちるはこういう話無理だと思う」

八城「それとなく訊いてみれば?」


52-2

基茂「なあ、ちる」

ちる「基茂さん…起きていたんですね」

基茂「オレだって起きる時は起きる。で、話なんだが」

ちる「はい、わたしの許容範囲内であれば何でも」

基茂「オレって安心して接せられるか」

ちる「はい、基茂さんだからですよ、こうして話せるのも」

基茂「オレの事好きか」

ちる「あなたでなければ誰を愛せというんですか?」

基茂「その…愛の育みなんかは」

ちる「こうして話しているだけでそれは実行出来ています。それ以上は…」

基茂「…そうだよな、やはりちるには早いよな」

ちる「………」

ギュッ

ちる「基茂さんの手、大きくて頼もしいです」

基茂「オレ本体は?」

ちる「良い人です。少なくともわたしにとっては」

基茂「ああ」

ちる「何か訊きたい事が…あるんですか?」

基茂「ああ、その事なんだが…」

プルプルプルー

基茂「…電話してくる」

ちる「はい」


53

基茂「もしもし、オレだ」

磨夢「誰か、この事件を解決してください…」

ブツッ

基茂「遂に死んだか」

プルプルプルー

磨夢「死んだと思った?」

基茂「磨夢が死ぬなんて到底考えられないな」

磨夢「そう、わたしは死を許されない存在」

基茂「仙女か」

磨夢「わたしにあのビームは放てない」

基茂「長白さんの事は言ってねえよ」

磨夢「基茂もまた死ねない存在」

基茂「ちるの為には死なれない」

磨夢「呵々、保護者とか」

基茂「ある意味そうかもしれないな」

磨夢「ちるを幸せにするのが基茂が異世界からこの地に来た理由」

基茂「そういう設定は都合上棄却となったのだ」

磨夢「基茂は犠牲になったのだ」

基茂「オレは死んじゃいない」

磨夢「わたしは詰め合い三秒で殺せるけど」

基茂「磨夢になら殺されてもいいかもな」

磨夢「しかし、ちるの為には殺せない」

基茂「ご理解戴き光栄だ」

磨夢「だから今度ドラ○もんに独裁スイッチでも借りてくる」

基茂「ド○えもんの悪用は許さんぞ、磨夢ちゃま」

磨夢「僕、ドラえ○んとは裏取引で繋がっているんだあ」

基茂「見事な棒読みだな」

磨夢「ちなみに中でも繋がっている」

基茂「おい」

磨夢「人と機械の共生。やがて人は機械に支配される日が来る」

基茂「ドラえも○はターミネー○ーみたいに重い話ではない」

磨夢「あれ、かっこいい」

基茂「そうだな、かっこいいな」

磨夢「しかもtueeeeeeeeeee」

基茂「人間じゃないからな」

磨夢「わたしは、その機械と結婚する」

基茂「かすむんはどうした」

磨夢「正室と側室」

基茂「シュワちゃんは男だからな」

磨夢「んー…」

基茂「男と言った瞬間にこの反応である」

磨夢「わたしが男なら惚れていた」

基茂「掘れていたの間違いだろう、しかも掘るな」

磨夢「裸ワイシャツに靴下なう」

基茂「はいはい、エロいエロい」

八城「まみー、こんな所でナニしているの?」

磨夢「ん…霞、霞!」

八城「ふぅ…」

基茂「切っていいか?」

磨夢「待って、そのまま30分待っていて」

基茂「待てねーよ」

磨夢「眠い」

基茂「寝ろ」

磨夢「今日、夕飯無しで」

八城「それは困るにゃあ、まだ6時だよ」

磨夢「おやつ、あるから」

八城「わーい」

基茂「さてと、切るぞ」

磨夢「ん」

ブツッ

基茂「何だったのか」


54

基茂「よう待たせた、寝ているな」

ちる「すやすや」

基茂「アメちゃんあげよう」

ちる「ぱくっ」

基茂「それは指だ」

ちる「むにむに」

基茂「ふぅ…」

ちる「…ぷはっ、すーすー」

基茂「オレも寝るか」

ちる「ん、んんー」

基茂「うなされているのか」

ちる「基茂さんが…磨夢さんに…食べりゃれ…」

基茂「磨夢はそこまでグルメじゃないぞ」

ちる「これは…血!?」

基茂「はい、鼻血です。ほい、ティッシュ」

ちる「ありがとうございます…だいしゅきでふ…」

基茂「今のオレだから惚れてくれるんだろう」

ちる「くぴー」

基茂「自ら強制終了を掛けたのか!?」


55

霞「わたしじゃないと喋れない事とかあるんですか」

磨夢「わたしのゲーム知識には限界がある。だから、霞の出番を増やせと上から通告があった」

霞「あ…はあ」

磨夢「霞もうち来たらいいのに、何だかんだ楽しい家族だから」

霞「疑似家族、正直言って羨ましいですが…わたしには父も母もどこかに住んでいる妹も犬もいます」

磨夢「存在証明が出来ない妹は勘定されないと思う」

霞「少し無理がありますか」

磨夢「わたしには誰もが称える崇高な主とえっちで中二な巫女と駄犬とあいのこな猫が居る」

霞「すみません、何おっしゃってるのか分かりません」

磨夢「愚者が三人居る」

霞「あなたは何様なんでしょうね」

磨夢「霞の許嫁様」

霞「嘘おっしゃい。わたし達今年出会ってばかりでしょう?それに許嫁なんて居ませんよ」

磨夢「某有名ゲーム会社社長の令嬢である霞にわたし以外の許嫁が居たら、暗殺している」

霞「実はクロちゃん…」

磨夢「それはない」

霞「やけに自信ありですね」

磨夢「今居ないと言ったから」

霞「必ずしも本当の事を言っている訳ではありません。それはお互い様でしょう?」

磨夢「わたしは己を騙して生きてきたから」

霞「まずお父さんがどういう仕事に就いている人なんて話していませんからね」

磨夢「実は平社員が爆釣で当てたとか?」

霞「さあ、教えてくれませんし、そもそもお父さんに会う機会は数少ないです。今単身赴任していますし」

磨夢「事実母と二人暮らし…悪くない。霞は親子丼好き?今度お母さんの分と作って差し上げよう」

霞「磨夢さんは親子丼より姉妹丼の方が好きなんですよね」

磨夢「ん、妹が帰ってきたらよろしく」

霞「磨夢さんは兄弟とかいます?」

磨夢「シークレット」

霞「先輩以外の皆さんは謎に包まれているんですか」

磨夢「実は霞の隠し妹です」

霞「まるでわたしが作ったみたいですねぇ。それこそわたしが磨夢さんの体を細部に至るまで…ぐっへっへ」

磨夢「わたしが人造人間だった衝撃の事実。成程それで自他共に認める人外に、納得いった。あ…霞のえっち」

霞「別に無理して乗る必要はありませんけど、磨夢さんの体に興味がある訳じゃありませんし」

磨夢「霞になら見られてもいい…ここ、誰も居ないし」

霞「誰も居ないからってその惨めな体を世間にだ…もう%E


このSSへの評価

このSSへの応援

このSSへのコメント


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください