2018-04-10 18:59:21 更新

概要

毎晩夢で見る艦これの世界の光景・・・1人の女性がある日、その艦これの世界にタイムスリップして・・・


のんびり更新していきます。


前書き

参考までにキャラ紹介。

村子(オリジナル):20歳の女性。 毎晩夢で見た艦これの世界に突然タイムスリップしてしまい、
            自分の世界へ戻ろうとするが・・・

母:村子の母親、明るく元気で夫の事が大好き。 

父:村子の父親、優しくてのんびりだが何か頼りない・・・村子が思春期だった頃に喧嘩して今ではほとんど
  口すら聞かない。

明石:艦これの世界の工廠場で修理や開発担当を受け持つメカニックの艦娘、突然明石がいる世界に
    村子が現れ、彼女を助けるために協力する。


また同じ夢を見る・・・


ここはどこ?


私はどこにいるの?


周りは戦争中だろうか・・・建物や道が砲撃で破壊され、炎が吹き上がっている・・・


逃げ惑う人々・・・対抗しようと武器を持つ男たち・・・


「・・・・・・」


海から無数に湧いてくる謎の敵集団・・・そんな時、


海上を移動する武器を装着した・・・女性!?


「砲撃開始!」


号令と共に、女性たちは砲撃を開始、敵集団を徐々に壊滅していく・・・


「・・・・・・」


また? ・・・そう・・・いつもここで終わる・・・


・・・・・・

・・・



「あら、村子・・・早いわね。」


台所でお母さんが朝ごはんを調理していた。


「・・・・・・」


机でお父さんが新聞を読んでいて・・・私は隣に座る。


「・・・・・・」


お父さんとは全く話をしない・・・正直朝は私にとって最悪な時間だ。


「村子! お父さんに挨拶位しなさい!」


「・・・おはよう。」


と、ぼそっと呟く。


「おはよう、村子。」


お父さんは私に普通に挨拶を返した。


「・・・・・・」


お母さんはお父さんの事が大好きである・・・どうしてこんな人を好きになったのか疑問である。


お父さんは・・・優しくてのんびりしているが・・・とても頼りない。


10代の思春期だった時にお父さんとよく喧嘩をしてからほとんど会話をしなくなった・・・唯一の会話が朝の挨拶位だ。


「・・・・・・」


だからと言って、お父さんの悪口とかは言わない。


一度お母さんにとても怒られたことがあった・・・


「お父さんの悪口は許さない! またそんなこと言ったら家から出て行って!!」


と、凄い剣幕で言われ・・・以降私は言わないようにしている。


「・・・・・・」


お母さんとはよく話す、


お母さんはお父さんの思い出をよく話す・・・これがまた面白い話で・・・


「お父さんはね・・・病気の私のために薬を探してきてくれた恩人なの♪」


「お母さんとお父さんが出会ったのは奇跡なの♪」


「お父さんは昔、英雄だったのよ♪」


と、まるで本や広告に出してもいい位なファンタジーな話をする・・・大げさすぎではないかな・・・


そう言っている間に、お父さんは仕事へ・・・お母さんが「いってらっしゃい!」と送った。


「ほら村子! あなたも学校へ行く時間でしょ! 早く準備しなさい!」


「わかってますよ~・・・じゃあ・・・行ってきます!」


私は家から出た。


・・・・・・


「・・・・・・」


私はいつも考える、それは・・・毎晩見るあの夢・・・


戦争の真っ只中・・・逃げ惑う人々、崩壊する建物・・・炎が吹き上がる光景・・・海底から現れる謎の敵集団・・・


それに対抗する武器を装備した女性たちの光景・・・


「・・・・・・」


アニメやゲームの見過ぎかな・・・そんなに見ていないはずだし、ゲームも友達がやっている所を見ているだけなんだけどなぁ・・・


そう思っていた時・・・



・・・けて。



耳元で聞こえる微かな声・・・



た・・・て。



何か言ってる?



た・・す・・・て。  た・・・すけ・・・て。



「助けて? 一体何を助けて欲しいの!?」


私は声のする方向に言おうとした瞬間・・・


「!?」


突然光に包まれ、意識を失った。


・・・・・・

・・・



「う~ん・・・」


私は目が覚める。


「・・・一体何? 何があったの?」


突然光に包まれ、意識を失って・・・


「・・・・・・」


それ以上に驚いたのは・・・


「ここは・・・どこ?」


村子がいた場所は・・・学校へ行くために歩いていた道なりではなく、


周りが古ぼけていて・・・昭和博物館の中にいるかのような景色だった。


「・・・・・・」


人の姿も見えるが、服装は村子と違って地味で学生の服も・・・現代の学生服とは明らかに古い印象を受ける格好だった。


「・・・・・・」


その時であった、


突然、サイレンが鳴り警報が鳴る。



深海棲艦が出現!  深海棲艦が出現! 直ちに避難せよ!! 繰り返す!! ・・・



逃げ惑う人々、


「・・・・・・」


深海棲艦・・・って何の事?


村子は理解できずにその場に立ちすくみ、



ドォォーーーーン!!!!



突然の爆音、建物が一瞬で崩壊し炎を噴き上げ、辺り一面地獄のような光景となった。


「・・・・・・」


村子には覚えがあった、


「これは!? 毎晩見る夢と同じ光景!?」


そう・・・夢と同じ・・・崩壊する建物に逃げ惑う人々・・・そして・・・


「あれは・・・一体・・・」


村子が見たもの・・・海面から出現する謎の集団・・・



深海棲艦が出現! 深海棲艦が出現!! 直ちに避難せよ!! 繰り返す!! ・・・



「・・・・・・」


あれが・・・深海棲艦?


深海棲艦と名付けられた敵集団は街に次々と砲撃・・・壊滅的被害に見舞われ、


「どうすればいいの私は・・・一体どうすれば・・・」


こんな事態に直面した事が無い村子はすぐに混乱してしまう。


「早く逃げないと・・・早く・・・安全な所へ・・・」


そんな時だった、


「!? あれは!?」


村子が見た光景・・・


「深海棲艦を確認・・・金剛・比叡・榛名・霧島は直ちに砲撃を開始します!!」


夢で見た武器を装備した? 女性が海上を進んでいた。


「砲撃開始!!」


彼女たちの砲撃が始まり、深海棲艦が次々と沈んでいく。


「・・・・・・」


村子はその光景をただずっと見続けていた。


砲撃戦は両者一向に引かずに撃ち合いが続き・・・


「こちら旗艦金剛! 深海棲艦を全滅しました!!」


彼女たちが勝利した。


「私たちはこれより、鎮守府に帰港します!」


彼女たちはそのまま鎮守府に戻って行った。


「・・・・・・」


村子はその光景を見つめていた。


・・・・・・

・・・



「確かあの人たちはこの辺りまで来ていたはずだけど・・・」


村子は先ほど戦っていた女性たちを追ったが・・・見失ってしまう。


「はぐれちゃった・・・どうしよう。」


自分が何故この世界に来てしまったのか・・・どうすれば元の世界に戻れるのかと必死に考えていた。


でも、なんとなく・・・彼女たちについて行けばいいと直感で追っていたのだ。


「? あの建物は?」


村子が見たもの・・・海沿いに建つ中規模な建物。


「・・・・・・」


村子はその建物に近づいた。


・・・・・・


「何だろう・・・この建物・・・」


近くまで行った所で・・・


「そこの女! この施設には部外者以外は立ち入り禁止だ! 早々に立ち去れ!」


正門に立っていた兵士に怒られ、村子は正門から離れた。


「何よ・・・私は別に怪しい人間じゃないのに・・・」


ここまで来て、素直に帰るつもりがない村子・・・兵士の目を盗んで塀を登って建物に侵入した。


「・・・・・・」


建物内には・・・先ほどの武器を持った女性たちの仲間だろうか・・・武器を所持していない状態で施設内を移動していた。


「そこにいるのは誰?」


「!? しまった!」


気づかれてしまった。


村子は逃げようとするが、彼女たちにすぐに取り押さえられてしまった。


・・・・・・


「霧島さん・・・施設内をうろついていた女性です!」


「わかりました・・・後は私に任せてください。」


霧島と呼ばれた女性が言うと、他の女性たちはその場から去った。


「・・・なぜ、この施設に侵入したのですか?」


霧島が質問して来て・・・


「・・・・・・」


当然村子は何も答えなかった。


「黙っていてもわかりませんよ・・・もう一度聞きます・・・何故この施設に侵入したのですか?」


「・・・・・・」


「・・・ふぅ~・・・無言を貫きますか・・・それではあなたを不法侵入で地下の牢屋へと入れなければなりませんが・・・」


「・・・それは嫌。」


村子は反論する。


「でも・・・どうせ言っても信じてくれないでしょうから・・・」


「・・・はぁ~・・・」


霧島はため息をついて、


「誰かいますか・・・蒼龍さん・・・この子を地下の牢屋に入れてください。」


蒼龍と呼ばれた女性が入って来て、


「わかりました・・・では、行きましょうか。」


最初は抵抗した村子だったが、蒼龍の力に勝てずそのまま連れて行かれてしまった。


・・・・・・


「はぁ~・・・」


牢屋へ入れられ、途方に暮れる。


「何か収穫があるかと思って、ここへ来てみたけど・・・牢屋へ入れられて最悪・・・」


その日はずっと牢屋の中で過ごすことになった。


・・・・・・


翌日、


違う女性が来た。


「・・・・・・」


その人は村子をじっと見ていた。


「・・・・・・」


「何よ・・・」と思って顔をそらす村子、


「・・・・・・」


彼女は村子を・・・いや、彼女ではなく村子の服装等、身に着けている物に目をやっていて・・・


「もしかしてあなたは・・・この世界の人間ではないのでは?」


と、質問・・・その言葉に村子は耳を傾ける。


「そうです・・・そうなんです! 急に空が眩しくなって・・・その後気を失って・・・目覚めたらこの世界にいたんです!」


信じてもらえないと思って誰にも打ち明けれなかった村子、でも「この人ならわかってくれるかも!」と必死で訴えた。


「・・・・・・」


その女性は考え込む。


「助けて下さい! 私は元の世界に帰りたいんです! お願いします!」


「・・・・・・」


女性はしばらく考え・・・


「わかりました・・・あなたを元の世界へ帰る手伝いをしましょう。」


「ほ、本当ですか!?」


「はい・・・でも、しばらくはこの施設の仕事を手伝ってもらうことになりますが・・・それでもいいでしょうか?」


「・・・はい、何でもします! 元の世界へ帰れるなら・・・お手伝いでも何でもします!」


「・・・わかりました・・・では、この許可証を渡しておきます。」


その女性は村子にある許可証を渡して・・・


「何ですか? この書類は?」


「この施設で働ける・・・いわゆる労働許可証です・・・それを霧島さんに渡してください。」


「霧島・・・」


昨日、村子を牢屋へ入れろと指示した女性だ。


「今、この施設で一番偉いのは霧島さんなので・・・それを渡してください・・・そうすれば牢屋から出られます。


 その後、「工廠場」へと来てください・・・お待ちしております。」


その女性は去ろうとして、


「待って! 名前を教えて。」


「私は艦娘の明石です。」


「・・・艦娘?」


「詳しくは「工廠場」に来たら説明します・・・では、また。」


明石はその場から去った。


・・・・・・


明石が去った後、村子が兵士に霧島を呼ぶように訴え・・・本人に許可証を渡した。


「明石さん・・・何を考えているのかしら?」と不満に思いながら、


「いいでしょう・・・この施設で働くことを許可します・・・ですが覚えておいてください、逃げたり変な行動をすれば


 再び牢屋へと戻します・・・心得てください!」


霧島の指示により、村子は牢屋から出ることが出来た、


霧島から「工廠場」まで案内してもらい、明石と再会した。


・・・・・・


「お待ちしていました、早速ですが・・・手伝って欲しいことが・・・」


明石が村子に指示をしようとして、


「あの・・・すいません。」


村子が口を開き、


「この世界はどうなっているの? それに・・・艦娘って・・・」


「・・・・・・」


明石は少し考え・・・


「そうですね、まずは少しずつお話して行きましょう。」


そう言って、明石は説明した。


・・・・・・


「つまり・・・」


村子は聞く。


「海底から現れた敵・・・深海棲艦と戦うために作られた戦士が・・・艦娘ってことですか?」


「そうです。」


「でも・・・見た目は普通の女性ですよね? 彼女たちが兵器になんて見えないけど。」


「確かに見た目ではね、でも1人1人が専用の艤装を持っていて、撃ち合いなので仮に敵の砲撃が直撃しても


 それに耐える体を持っていますよ。」


「・・・・・・」


砲撃を耐える・・・人間には到底不可能なことだ。


「まぁ、後はあなたの言う通り、艤装を外してこの施設で暮らしている時は普通の女性と何ら変わりませんが・・・」


「・・・・・・」


「この世界は戦争の真只中・・・彼女たち艦娘は平和を目指して毎日戦っているんです。」


「そうですか・・・」


「説明は以上です・・・では、手伝ってもらいたいことがあるので頼めますか?」


「後・・・」


村子は尋ねる。


「元の世界へは・・・いつ帰れますか?」


「・・・残念ですが・・・」


「・・・・・・」


「本来転送装置と言うものが必要で、昔は作成できたのですが・・・度重なる戦闘で資材が今、ほとんど底を尽き・・・


 作成ができない状況です・・・」


「そんな・・・」


「申し訳ありませんが・・・当面の資材の確保とある程度の敵殲滅を達成できなければ、作成に至れません。」


「・・・・・・」


突き付けられた現実・・・村子は絶望する。


「辛いでしょうが、それがこの世界の現実なのです・・・気持ちが落ち着くまで仮眠室で休んでいてください・・・


 決心が着いたら、私たちの仕事の手伝いをお願いします!」


そう言って、明石は村子を仮眠室へと案内した。


・・・・・・


「明石さん、どうですか・・・あの子は?」


工廠場に霧島がやって来て、


「今は落ち込んで仮眠室で休んでいますよ。」


「そう・・・」


霧島は考え、


「あくまで「労働を許可する」条件ですから・・・ずっと休んでいるのでしたら違反です・・・私にも考えがありますが?」


威圧とも言える言動を発する霧島、しかし明石は、


「大丈夫ですよ・・・少し経ったら彼女の方から仕事をやりますよ。」


冷静に答えた。


「それならいいんですけどね・・・」


霧島は不満そうに工廠場から出て行った。


・・・・・・

・・・



「・・・夕張さん! 今度はこの艤装の修復を・・・」


工廠場の明石たちは多忙だ。


戦闘後の艦娘たちの艤装の修復や、武器の開発・・・現在は明石と夕張、時折大淀が手伝いに来るのを含め計3人・・・


「・・・あら?」


明石が武器の開発をしていた最中、村子が顔を出す。


「私にも出来る事はありますか?」


「そうですね・・・いきなり製作は難しいと思うので、設計図の整理と資材の仕分けをお願いできますか?」


「わかりました・・・。」


「近くに夕張さんがいるので、わからなかったら聞いてください。」


「はい。」


村子は夕張に近づき、話を聞いた。


「あんなに落ち込んでいたのに・・・すぐに立ち直って・・・何かあったのかしら?」


明石は村子を見て不思議に思った。


・・・・・・

・・・



村子が工廠場で働き始めて早数か月・・・


村子の働きぶりに、明石たちは驚きを隠せない。


彼女は覚えるのが速く、作業も早い。


最初の設計図整理と資材の仕分けはたったの数日で覚えてしまうほど・・・


現在は明石たちと共に、艦娘たちの艤装を修復する作業に励んでいる。


次第に鎮守府の艦娘たちと会話をするようになった。


霧島も彼女の働きぶりに認めざるを得ず、


「何か困った事があれば、この霧島にも相談してください。」


と、彼女との友好な関係が見られた。


・・・・・・


半年が経ち・・・


深海棲艦との闘いは続き、遠征で資材の確保はしているものの・・・転送装置を開発するまでに至らなかった。


それでも、村子は鎮守府で必死で働いていた。


「元の世界に戻りたい」と言う気持ちは変わらないが、村子にとって今は自分の事よりも


常に戦う艦娘たちの助けになりたい、そんな気持ちがあった。


・・・・・・


ある日の事、


「村子さん、ご苦労様です。」


霧島が村子にお茶を出して、


「ありがとうございます。」


貰ったお茶を飲み、


「どうですか? 戦況は有利ですか?」


「そうですね・・・ぼちぼちです。」


「・・・・・・」


「明石さんから聞きました、別世界からこの世界に来たんですよね?」


「・・・はい。」


「今でも信じられませんが、あなたを見ていると嘘を言っているように見えません・・・だから信じます。」


「・・・ありがとうございます。」


「それに・・・ずっとこの世界に留まっている様に見えますが・・・元の世界に帰りたくないのですか?」


「・・・・・・」


村子は下を向きながら、


「帰りたいです・・・早くお母さんの元に戻りたいです。」


「・・・・・・」


「でも、霧島さんたちが必死で戦っている事を考えたら、私だけ逃げるような真似は出来ません。」


「なるほど・・・」


しばしの沈黙・・・


「1つ質問があるんですが・・・」


「? 何ですか?」


「この鎮守府に司令官はいないのですか? 霧島さんは艦娘ですよね? 艦娘が司令官の役目も


 担っているのですか?」


「・・・・・・」


霧島は少し考え、打ち明けた。


「昔いたのですが・・・今はいません。」


「? どういうことです?」


「突然、この世界の提督たちが姿を消し、鎮守府内は混乱・・・残った艦娘の中の秘書艦だった方が代わりに指揮を行ったのですが・・・」


「・・・・・・」


「所詮艦娘、提督達の行う執務や命令を簡単にできる者はいなく、すぐに鎮守府内は荒れ果て、艦娘たちの好きなように


 思うがままの状態になってしまいました。」


「・・・・・・」


「そんな時、明石さんが別の世界からある1人の人間を連れてきて提督として就任させ、その提督の活躍で


 鎮守府の治安が見事に改善されたのです。」


「・・・・・・」


「しばらくしてその提督は、元の世界に戻り私がその後を継ぎ今に至っています。」


「・・・そうだったんですか。」


「はい、この鎮守府ではその提督を「英雄」として称えられ、執務室の額縁に写真が飾られていますよ。」


「・・・・・・」


「英雄」の写真・・・村子は妙に気になり・・・


「その提督の写真を見ることは出来ますか?」


「ええ。 執務室に行けば見られますよ・・・今は無人ですが。」


霧島に頼んで、執務室に連れて行ってもらった村子・・・


・・・・・・


執務室内、


霧島の言う通り、無人で提督の机には埃が被り長い間使った形跡がない・・・


村子は「英雄」と称えられた提督の写真を渡され・・・


「!? 何で!?」


村子は思わず叫ぶ。


「? どうしたんですか?」


霧島が尋ねると・・・


「どうして・・・何で・・・」


村子は叫んだ。


「何で私のお父さんが写っているの!?」


「えっ!? 村子さんのお父さん!?」


霧島も驚いた。


・・・・・・


「間違いないのですか?」


「はい・・・今と比べて年は経っていますが・・・間違いありません、父です。」


「・・・・・・」


霧島は何かに気付き、聞いた。


「失礼ですが・・・村子さんのお母さんの名前は何です?」


「? 私の母ですか?」


霧島の質問に・・・


「村雨です・・・苗字は無く名前だけです。」


「!? 村雨さん!?」


霧島は驚き、同時に理解した。


「? どうしたんです、霧島さん?」


村子は訳が分からず・・・聞こうとした直後、



敵深海棲艦を確認!! 艦娘は艤装を装着し、海上へ向かわれたし! 繰り返す! 深海棲艦が・・・



「行ってきます! 村子さんは今の話を明石さんに伝えてください!」


「え? 明石さんにですか?」


「そうです! とにかく明石さんに伝えてください! 彼女に話せばわかります!」


霧島は艤装を装着するため、その場から去った。


・・・・・・


工廠場へと戻り、


「村子さん! 探しましたよ! 鎮守府近海に深海棲艦が出現したようです! 非戦闘員は地下へと避難してください!」


村子は明石たちと一緒に地下へと向かう。


「明石さん、聞きたいことがあります。」


「? 何ですか?」


「・・・・・・」


村子は執務室で見た提督の写真について打ち明けた。


「そうだったんですか・・・あなたのお母さんが村雨さん・・・」


「どういうことですか? 霧島さんの驚き方と言い、父の姿が写っていると言うのは・・・」


「・・・・・・」


明石は考え、


「知りたいですか、村子さん?」


「明石さん?」


「これから先の話はあなたにとって信じられない事だと思います、でも真実です・・・それでもあなたは・・・村子さんは


 お母さんの事・・・そしてお父さんの事を聞きたいですか?」


「・・・・・・」


村子は悩んだ末に、


「お願いします、明石さん! 全てを教えてください!」


「・・・わかりました。」


明石は説明していく。


・・・・・・


村子のお母さん、村雨はこの世界で艦娘だったこと・・・、


その村雨が別世界(村子が住む現実世界)の主人公(村子のお父さん)を好きになり、転送装置を使って


2人が再会できたこと・・・後に、この世界で鎮守府の治安が悪くなり、村子のお父さんがこの世界にやって来て


治安を改善させ、「英雄」となった経緯を明石は詳しく説明した。


「・・・・・・」


村子は信じられなかった・・・現実ではあんなに頼り無い父親がここでは「英雄」だったことや、


最愛の母がこの世界で「艦娘」として存在していた事全てが、信じられなかった・・・


「でも、これが真実なんです。」


「・・・・・・」


霧島があんなに驚いたのもわかる・・・目の前の人間がまさか、写真に写っている提督の実の娘だったのだから・・・


・・・・・・


深海棲艦との激戦が続く中、戦闘していた霧島含む部隊が帰還したが、


「!? 霧島さん!」


旗艦だった霧島が大破で帰還、意識不明の重体で仲間の手によって集中治療室に入れられた。


「・・・・・・」


霧島の損傷を目の辺りにしてしまった村子は言葉を失う。


艦娘は人間と違い、女性の姿をした兵器だと聞いた・・・でも、霧島の体中の生々しい傷跡、周りに漂う血の匂い・・・


それを見たら、兵器とは言えない・・・自分と同じ人間だ、と。


・・・・・・

・・・



旗艦であり、この鎮守府の司令塔である霧島が倒れたことで、鎮守内は混乱。


「次の作戦はどうなるんですか?」


「このまま命令がない状態が続くんですか?」


「霧島さんの代わりはいないんですか!!」


と、艦娘達からの怒号と不満が相次いだ。


「・・・・・・」


村子はただ見ている事しかできなかった。


工廠場で働いていた明石と夕張が皆を説得させているが、一向に治まる気配がない。


「霧島さんが駄目なら、明石さん! あなたが命令してくださいよ!」


艦娘の1人が叫んで、


「出来ません! 私に皆の命を預けられる器ではありません!」


「・・・・・・」



そう、皆に命令するという事は、皆の命を預かっているのだ。


口では簡単に言える言葉、でもここではたった一言が命に繋がる問題であることに気付く。



やっとのことで皆を落ち着かせた明石、でもそう長くは続かない。


「くっ・・・」


明石は悩んだ末、


「村子さん、お願いします!」


明石に呼ばれ、村子は驚き・・・


「村子さん! あなたは今日から私たちの司令官になっていただきます!」


意外な言葉だった。


「でも・・・私が皆に命令する事なんて・・・」


村子は反対するが、


「村子さんなら出来ます・・・あなたは艦娘ではなく、人間です! ですから短期間でいいです、


 私たちの司令官になって下さい!」


「・・・・・・」


「そして、皆に出撃の指示を与えてください! そうすれば皆は嫌でもあなたに従うはずです・・・


 お願いします、今この状況でも敵の猛攻が続いています! ですから、お願いします!」


「・・・・・・」


村子は悩むが、結論はわかり切っていて・・・


「分かりました・・・どこまで出来るか分かりませんが・・・やって見ます。」


「・・・ありがとうございます。」


明石の勧めで、村子が一時的にこの鎮守府の提督となった。


・・・・・・


「全く、どんな命令してるんですか! 私たちを殺す気ですか!?」


早々、艦娘からの怒号が執務室に響く、


「・・・ごめんなさい。」


村子は素直に謝る。


「明石さんの勧めで、任命されたのはいいけど・・・こんな無茶苦茶な命令なんて・・・


 ふざけるのもいい加減にしてください!」


散々怒鳴り散らした後、艦娘は執務室から出て行く。


「・・・・・・」


村子は落ち込む。


急遽、明石からの推薦で提督に任命された村子、不慣れながら艦娘達に命令をしていくが戦況のこと等


無知に等しく、指示する度に中破大破撤退を繰り返し、艦娘から誹謗中傷の嵐が続いた。


「村子さん、失礼します。」


明石が入って来て、


「大丈夫ですか?」


「・・・はい、何とかやってます。」


唯一村子の話し相手が明石、彼女と今後の行方を相談する。


「無理に任命してしまった私に責任があります、本当に申し訳ありません。」


「いいえ、こちらこそ何も出来なくてすいません。」


人に指示することがこんなに大変だとは思わなかったと同時に、自分がどんどん役立たずに思えて来た。


「村子さん・・・いえ、提督。 あなたに非はありません、ですから謝らなくて結構です。」


「そんな・・・でも、全部私のミスで・・・」


「ですから、提督は悪くありません。 引き続き作戦命令を行ってください、私たちはそれに従う・・・それだけです。」


明石はそれだけ伝えて執務室から出た。


・・・・・・



その後も、村子は必死に勉強し知識を付け皆に指示をするが、成果は出ず・・・


士気も見る見るうちに降下していき、約半数の艦娘が鎮守府から姿を消してしまった。



「・・・・・・」


村子は酷く落ち込んだ。


「私には出来ない・・・私には・・・出来ないよ。」


執務室に1人村子は泣いていた。


「・・・指示1つで、皆の命に関わる・・・そんな重大な事、私にはとても・・・」


たった一言で皆の命を背負う、若い村子にとってとても重荷だった。


「・・・・・・」


ふと、村子は思った。



お父さん・・・お父さんがいれば・・・



家では、会話もしないし相手にもしていない父親・・・しかし、村子は何度も「お父さん」と呼んだ。



「お父さん、助けて・・・私には無理だよ。 お父さん・・・英雄だったお父さん、助けて・・・」



執務室で1人泣きながら「お父さん」と呼び続ける村子。


「・・・・・・」


明石は陰で見つめていた。


・・・・・・


「・・・あった。」


工廠場を整理していて、何かを見つけた明石。


「もう使わないと思っていましたが・・・」


明石はスイッチを押してみる。


「・・・若干ガタが来ていますが、何とか動きましたね。」


明石は無線機を持って何度も呼びかけを行い・・・


「もしもし・・・もしもし・・・! ああっ、お久しぶりです!!」


誰かと繋がったようで、明石は会話を始めた。


・・・・・・


偵察隊の情報で敵部隊が近海に出没、艦娘達が艤装を装着する中、


「村子さん、敵がすぐそこまで迫って来ています! 今いる残りの部隊を編成して出撃命令を行ってください!」


明石から言われるが、


「・・・私にはそんな。」


村子は動揺して、


「村子さん! 命令を! 皆に指示が出来るのはあなたしかいないんです!」


明石が叫ぶが、


「私には・・・私には・・・」


村子はその場にうずくまる、


「明石さん! 編成は決まったんですか? 敵は目前です! 早くしてください!!」


艤装を装着した艦娘達から指示を求められる。


「村子さん!!」


明石が叫ぶ。


「・・・・・・」


村子は自信を無くして何も答えられない。


「くっ・・・」


最早明石も諦めかけた・・・その時だった。




バタンッ!!




後ろから扉が開き、執務室に誰かが入って来た・・・それは、


「!? お待ちしておりました! 提督!!」


明石は思わず叫ぶ、


「? 提督?」


村子は顔を上げた・・・そこには、


「お、お父さん!?」


村子の父親である人間がその場に立っていて、


「敵は今どの辺りだ? 今いる部隊は?」


執務室に入るなり、提督はすぐに状況を把握・・・無線機を取って、


「各員に告ぐ! 敵は駆逐艦・軽巡に重巡の混同部隊! それに対抗してこちらは駆逐・重巡・軽空母で対抗する!


 軽空母瑞鳳・祥鳳! 重巡愛宕・摩耶! 駆逐艦白露に村雨! すぐに準備しろ!!」


突如下った指示に無線からも、


「その声は提督!? 戻って来てくれたんですね!!」


と、艦娘達からの歓喜の声が上がった。


「ああ、久々の再会は後回しだ、今は敵部隊殲滅に力を注げ!」


「了解!!」


提督の指示で艦娘達は出撃準備を済ませた。


・・・・・・


「敵重巡と軽巡を殲滅! 後は駆逐艦多数です!」


提督の的確な指示により、敵部隊は徐々に減りつつある。


「・・・・・・」


村子は父の的確な指示を見て驚いていた。


「提督! 敵駆逐艦、後2体です!」


「撤退しているなら深追いは無用! 進軍しているなら駆逐艦と重巡の4人、魚雷を一斉放射しろ!!」


提督の指示で愛宕たちが魚雷を発射・・・敵駆逐艦の進路上に展開し、命中!


「敵部隊の殲滅を確認! 私たちは無傷・・・提督、お見事です! これより帰還します!!」


「よし! よくやってくれた。 帰還後すぐに休養する事! またいつ敵が来るか分からないからな!」


提督の活躍により、襲撃は回避され艦娘達が無事に帰還した。


・・・・・・


「提督! お久しぶりです!」


帰還した艦娘達が一斉に敬礼をする。


「瑞鳳に愛宕、白露・・・お前たちはちっとも変わってないな。」


提督が各艦娘の名前を挙げていき、


「艦娘は何年たってもこの姿のままですよ。」


「そうだったな、オレは昔と比べて老けてしまったが、しばらくこの鎮守府で指示をするからよろしく頼む。」


艦娘達と挨拶を交わし、その場は解散した。


「・・・お、お父さん。」


村子は呼ぶと、


「心配したんだぞ、明石からこの世界にいると聞いた時は正直驚いたけど・・・」


提督は村子の頭を撫で、


「お母さんも心配している、とにかく無事でよかったよ。」


「お父さん!」


村子は父を抱きしめた。


・・・・・・


「村子は先に元の世界へと戻れ。」


提督は村子に昔使用していた転送装置を渡して、


「待って! お父さんはどうするの!?」


「霧島が倒れた今、この鎮守府を支えられるのはオレしかいない。 霧島が戻ってくるまでしばらくはここで


 皆をまとめなければいけない。」


「・・・・・・」


「心配するな、必ず帰る。 お父さんを信じて村子は元の世界へ帰れ。」


「お父さん・・・」


「ほら、そんな悲しい顔をするな。 帰ったらお母さんにきちんと謝ってそれから、ちゃんと学校にも行って・・・分かったな?」


「・・・・・・」


村子は首を縦に振って、


「よし、いい子だ。 ではしばらくの間・・・さようなら。」


提督は転送装置に「村子を元の世界へ!」と願うと村子は光に包まれ、消えた。


・・・・・・

・・・



「う~ん。」


村子は目が覚める。


「!? お父さん!」


目が覚めた場所は・・・自分の家。


「村子!」


側にはお母さん(村雨)がいて、


「お、お母さん!!」


咄嗟に母に抱き着く村子。


「怖かったよぉ・・・お父さんもお母さんもいなくてずっと・・・寂しかったし、辛かったよぉ。」


「もう・・・大人なのにそんなに泣いちゃって! 当分は自立できそうにないわね。」


母が呆れて笑いながら愚痴をこぼした。


・・・・・・














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