2018-05-21 12:49:24 更新

概要

美的感覚がおかしな世界で提督が頑張って生きる話+色々と小話(予定)


前書き

物書きド素人且つ遅筆です、ゆっくりしていってね!!
かなりのご都合主義で進行。

※稀に細かい部分や勘違いしていた部分を修正する場合があります。

2018/1月中旬 1万PV達成、お気に入り8、しおり233、コメント15、オススメ0、評価25、応援19
2月頃 2万PV達成、記録失念
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小話:提督、体臭を気にする(後編)

────提督、数分後、酒保



食堂の厨房から酒保へとやって来た我々だが、高雄が言うには酒保の店番は交代制であり、非番などで暇を持て余した艦娘がたまに手伝ったりもしている様だ。


酒保自体は鳳翔の居酒屋の一画を間借りして運営している、名前こそ酒保ではあるが実態としては鎮守府運営の施設内コンビニに近い。


施設内コンビニみたいな物とは言え、一般人が買いに来るという事は基地のイベントでもしない限り先ずは無いので、艦娘や憲兵、そして妖精さんくらいしか利用は無いそうだ。


本日の店番は…… 龍驤とグラーフか、酒保内は三日月と望月が仲良く菓子類を物色している。



提督「ここに来るのも随分と久しぶりだな、お邪魔するぞ」


龍驤「お~、司令官が来るなんて珍しいやん? 今日は何か買いに来たんか?」


グラーフ「いらっしゃいませアトミラール、今日も変わらず麗しき人だ」


提督「その誉め方は気恥ずかしいからやめてくれ、今日は酒保に用があるというより艦娘に用があって基地をうろついている」


提督「しかし珍しい組み合わせだな、グラーフはいつもビスマルク・金剛・榛名と一緒に居る印象がある」


グラーフ「コンゴウとハルナは姉妹なので一緒に居る事が多いし、ビスマルクにとって二人は教導艦でルームメイトだからな、そこに私が入ればそうなってしまうものだ」


グラーフ「それにビスマルクは同郷だからな、母国語で話し合える希少な仲でもあるし、彼女との会話は祖国を思い出させてくれる、決してこの国が悪いという事ではないが祖国はやはり特別な物なのだ」


龍驤「せやな、ウチもな、関東の地元にたまには帰って家族に会いたいもんや、軍人だからそうもいかんけどな」


長門「待て、龍驤、お前は関東育ちなのか? その訛りはどうしてそうなったんだ……」


龍驤「一般人だった頃は標準語やったんやで、『龍驤』の艤装に適合して艦娘になったらこぉんな言葉遣いになったんや、違和感無しに最初から喋れたのはちょお~っち不気味やったけどなぁ」


高雄「ところで龍驤さんとグラーフさんとは珍しいですね、あまり接点が無さそうな印象ありますが」


グラーフ「私はまだこの国と基地には不慣れな部分が多少あってな、訓練にも少し余裕が出てきたので酒保で日本式の接客を教わっていたのだ」


グラーフ「リュージョーは実に頼りになる艦娘だ、外見は駆逐艦の様だが経験はナガトやホウショウの様に豊富だ」


龍驤「ちっちゃいのは言うなや…… グラーフが大きすぎるだけや、と言いたいところなんやが他の空母はほとんど大きいからなぁ」


龍驤「んでぇ、提督達は酒保に何の用で来たん? 物を買いに来たって感じでは無さそうやけど」



長門がこれまで通りに簡潔に説明をする、それを聞いた二人、グラーフはその場で考え込み、龍驤は店内に居る三日月と望月に声をかけた。



龍驤「おぉ~い!!! そこのミカとモッチー!! ちょっと来いぃや!!」


望月「んぁ? えぇ~…… 休暇だからお菓子とジュース買ってダラダラしようと思ってたのに~、めんどくさ……」


三日月「ちょっとモッチー!! 今そちらへ行きます~!!!」



三日月が気だるそうな望月の腕を引っ張りながらこちらへと小走りで向かってきた、望月は戦では豪胆な部分があるので問題ないが、普段の素行は少し苦笑いしたくなる。



三日月「ごめんなさい龍驤さん、モッチーたらいつもこんな感じで……」


望月「んなこといったってねぇ、龍驤さんも別にそこまで気にしてないんじゃないの、んで何か用?」


三日月「司令官と高雄さんと長門さんもいらっしゃるんだから、しっかりとしなさい!!」


提督「三日月はアクの強い姉妹の中では良識人だな、俺としてはあまり気にしなくても良いと思っているが」


三日月「駄目です!! 司令官がよろしくても長門さんの様に生真面目な方には冗談では済まない事もあるんですよ!!」


提督「生真面目か……」


長門「もういいだろう…… その様な目で私をあまり見ないでもらおう……」


龍驤「まあまあ、そんくらいにしといてぇ、ミカとモッチーは司令官の体臭ってどう思うん? 司令官って自分は臭いんじゃないかって思ってるらしいんやけど」



三日月は顔を赤く染めて驚き、望月は少し思案してから全方位から俺に近づいて鼻に意識を集中して嗅いでいる。


流石は望月、面倒に考えるより嗅いだ方が早いと実行するか。



三日月「ああっ!? もうモッチーってばそんな失礼な事を!!」


望月「三日月はうるさいなぁ、百聞は一見に如かずって言うでしょ、嗅いだほうが早いって」


龍驤「なんともモッチーらしいというか」


グラーフ「これは実に驚きだな、流石に私ではこのような事は出来ない、羨ましくもあるな」


龍驤「キミはもうちっと言いたい事を包み隠したほうがええんちゃうん? 素直すぎるってのも厄介やな」


グラーフ「何を言うリュージョー、アトミラールには美徳として褒められたのだぞ、これ以上の名誉はそうそう無いだろう」


望月「ん~、匂いを嗅いだ感じとしては特に臭いって感じは無いよねぇ、無臭っていう感じ」


三日月「モッチーてば本当? し、司令官、失礼します!!」



次は三日月が全方位から俺の体臭を嗅ぎ始める、年端の行かない美少女に体臭嗅がれるとか、元居た世界だったら完全に事案じゃないか……



三日月「すごいです!! 無臭とは多分違うとは思いますが不快な臭いは全くありません!!」


グラーフ「なるほど、リュージョーは嗅がないのか? ミカヅキやモチヅキと似たような外見年齢だから大丈夫だろう?」


龍驤「キミはウチをからかっとるんか? まあ、そこまで言われたらやってやろうやないの、折角の機会やしな!!」



三日月と望月の感想に頷いていたら次は龍驤である、空母の中では年長組の龍驤ではあるが普段の振る舞いは実に可愛らしい、まるで駆逐艦の様だ。



龍驤「んっ? んん~っ? 不思議やな…… マジで不快な臭いがせぇへん、司令官の身体には奇跡でも詰まっとるんか?」


提督「何度も言うようだがただの人間だからな、妖精さんと会話が出来る普通の人間だ」


高雄「その時点で少し普通ではないというのは指摘したらアウトでしょうか」


長門「その点は言ってやるな、少し前だったら妖精さんとお話しできるなんて頭がお花畑扱いだからな」



それは少し言い過ぎなのではないか?とも思ったが、深海棲艦と艦娘が現れる以前だったら間違いなく危ないヤツ扱いなのは否定できない。



グラーフ「さて、皆もアトミラールの匂いが分かったところで、どのような答えを出すか、だな」


龍驤「グラーフは匂い確かめなくて良いんか?」


グラーフ「問題は無い、多少臭おうともアトミラールを否定する理由にはならない、それに体臭が臭くないのも既に知っている」


龍驤「その余裕は一体なんなんや…… あとほんのりドヤ顔するのやめぇや」


グラーフ「ほぅ、ドヤ顔とな、それはどういう顔なんだ?」


望月「それはあとで龍驤さんが説明するから、ちゃっちゃっと司令官の体臭について意見しません? 正直面倒くさい……」


三日月「本当にすいません、こんな態度の妹で……」


龍驤「まあ、モッチーの言う通りでもあるからミカは気にすんなや、ウチとしてはそうやなぁ…… んっ?」



何だ? ど、どうしたんだろうか、龍驤の動きが突然止まってしまった、心配なので声をかけてみようと思ってみたが……



提督「どうした? 身体の調子でも……」


龍驤「な、なんでもないんやで!? 司令官の体臭は、そ、そうやなぁ……」


提督「随分と顔が赤いな、身体の調子は大丈夫か?」


龍驤「ひゃあ!? きゅ、急に近寄らんといてや!! びっくりするやないかい!!」


提督「おおっと、すまない…… 望月と三日月は大丈夫か、調子は悪くないか?」


望月「ん、んあぁ? あっ、大丈夫大丈夫、だと思う、多分……」


三日月「ふぇっ!? す、すみません!! な、なんだか急に熱っぽくなってしまいまして…… 身体がふわふわします……」


長門「……堕ちたな」


高雄「……恐らくそうでしょう」



いつもは真面目なのに今日に限って二人とも頭のネジが抜けてるな…… 恐らく体臭がフェロモンとして作用してしまったのだろう。


つまりこの三人は少なくとも俺に好感を持ってくれているという事か、こんな知り方はしたくなかったがこれからも期待には応えないといかんな。


流石にこのまま見過ごすという訳にも行かず、理由をでっちあげて健常な長門とグラーフに三人を任せる事にした。



提督「三人とも疲労が溜まっているのかも知れないな、グラーフだけだと三人を寮へ連れ帰るのは大変そうだから長門も手伝ってあげてくれないか?」


長門「了解した、寮まで連れて行けばよいのだな? グラーフは龍驤を運んでくれ」


グラーフ「わかった、そちらはミカヅキとモチヅキを頼む、しかしアトミラール、店番はどうする?」


提督「グラーフが龍驤を寮まで送り届け、代理を見つかるまで臨時閉店して構わない、余暇がありそうな艦娘に頼んでみると良い」


龍驤「うーん…… ごめんなぁ司令官、なんか身体が浮ついてしもて…… 顔も熱くてかなわんなぁ」


提督「気にする事は無い、たまにはゆっくり休むんだ、教導艦と空母筆頭の二役で普段から大変だろうからな」


提督「三日月と望月も今日は休暇だが、遊ぶのは控えてしっかりと休むのを勧める」


望月「そ、そうだねぇ、司令官の言うとおりにするよ……」


三日月「ご迷惑をおかけします……」



三人は長門とグラーフに担がれて酒保を後にした、流石に一日休んでいれば問題は無いだろうと思いたい、常習犯の高雄達も普通に過ごしている様なので。


まさか調査の最中にKOしてしまうとはな、好感を持ってくれている異性にはやや問答無用で効果が出てしまうのは厄介だ。


次に猫吊るしに出会う機会があったら制御できるかどうかを確認しておかねばならない、今回は初めての意見無しという事になってしまった。



提督「今回は意見が聞けないというまさかの事態になってしまったな……」


高雄「強力なのは薄々と感じていましたがまさかここまでとは思いませんでしたわ」


提督「意見は聞けなかったが効果は良く分かったので、俺としては香水したほうが良いのではないかと」


高雄「駄目です」


提督「……そんな威圧的な笑顔で即答しなくても良いだろう」



さて次は何処へ行くとしよう、残るは娯楽施設とトレーニング施設くらいだろうか、両方ともよく行く施設ではあるから大体の面子は予想できる。


トレーニング施設は人間用しか使えないが身体が鈍らない様に定期的に通っている、らしくないと良く言われるがビデオゲームも子供の頃から好きなので、娯楽施設にもよく顔を出している。


おかげでブスな上にゲームヲタと蔑まされたこともあったな…… ゲーム自体に罪は無いしストレス解消に最適なので止める気はさらさらないが。



高雄「次の聞き込みは何処へ行くのでしょうか?」


提督「そうだな、トレーニング施設へ行こうか、高雄が鍛錬している姿を見たことは無いがちゃんと鍛えているか?」


高雄「ただでさえこんな容姿なのに、重量物を持ち上げて踏ん張っている顔を提督には見せられません」


提督「ふむ、君は実に淑女だからな、努力も水面下でするという事か、流石だな」


高雄「提督、いつもお褒めいただいてとても光栄ですが、もっと美人にお世辞は言うべきですわ」


提督「うむ…… そうか、善処する、ただ俺は君にお世辞を言っているつもりはないとだけは言っておこう」


高雄「提督はとてもお優しいですのね、私、勘違いしてしまいますわ」



高雄はそう言うと困った様に微笑んだ、美人はどんな顔しても美人だな、羨ましいものだ。


次はトレーニング施設と決まったので向かうとしよう、鍛錬好きの艦娘と来たら大体目星は付いている。



────提督、数分後、トレーニング施設



トレーニング施設は簡易トラックに隣接して建てられている、外では艦娘達が鍛錬の為にひたすら簡易トラックをぐるぐると走り続けている。


五十鈴と香取が厳しく指導と監視をしている中で、駆逐艦と潜水艦が力を振り絞って走る、この努力が彼女達の血肉になる事を願おう。


俺達が用事があるのは簡易トラックではなく、トレーニング機器が置いてあるトレーニング施設の方だ。


トレーニング施設には人間用の機器から、重機でも使わないと持ち上がらない様な艦娘用の機器が置いてある。


艦娘用のトレーニング機器には、不慮の事故を防ぐために必ず重巡洋艦以上の馬力を持つ艦娘の補助役を付ける様に義務付けをしている。


さて、今日此処に居る艦娘は長良、大鳳、浦風、浜風、磯風、谷風の6人か、浦風がいるのは珍しいな。



提督「やあ、今日も頑張ってるな、調子はどうだ? 怪我には気をつけて鍛錬するんだぞ」


長良「あっ、司令官!! こんにちは!! マシンのセッティングしましょうか?」


提督「いや、今日はトレーニングをしに来たわけではないからな、しなくても大丈夫だぞ」


長良「え~…… それはとても残念です、司令官とトレーニングするの楽しみなんですよ~」


大鳳「こんにちは提督、本日はどの様なご用向きでしょうか?」


提督「今日は色々と施設を巡って艦娘達の意見を聞いている、質問の内容は…… 高雄、頼む……」


高雄「承りましたわ、実はですね……」



今日だけでもう何度やっているんだろうか、このやり取り…… 執務を止めてまで聞くような事でも無い様な気がしてきたぞ……


説明をしている内に浦風達もやってきて次第に賑やかになっていく、女性というのは本当にお喋りに敏感だ、一部例外も居るが。



浦風「ほぉ~、提督さんはなして自分の匂い気にするけぇ?」


提督「それはプライバシーの問題でな、少々話しにくいので聞かないでおいてくれないか? しかし、君が此処に居るとは珍しいな」


浦風「いっつもはウチだけでやっとるんじゃ、この三人は元気すぎてトレーニングについていけんねぇ、女子らしさ足りんわぁ」


磯風「ふふん、浦風は艦娘として私達に負けているという事だな、我々艦娘に過剰な女らしさは要らないのだ」


浜風「貴女は少し度が超えているとは思いますが、本当に飾り気が無いですからね、磯風は」


谷風「谷風達が着飾ってもさぁ、正直微妙というか豚に真珠すぎてねぇ、そんなことしてる暇があったら戦いで役に立つ事したいねぇ」


浦風「連れはこんなんやし、みんな女子らしさっちゅうもんがわかっとらんねぇ、この子らってば部屋に居るとなぁ~んもせん」


浦風「磯風に食事をさすと食材を廃棄物に、浜風は食べるのだけは得意やし、谷風もちぃ~とも料理を覚えようとせんねぇ」


浦風「食事・洗濯・掃除・裁縫、なしてウチが全部やっとるん? 怒らんけ、言うてみぃ? ん? んん~?」


磯風「正直すまんかった」


浜風「浦風の家事力が高すぎるのがいけないのです、つい頼ってしまうのです」


谷風「浜風の言う通りなんだよねぇ、それに家事なんて谷風のガラじゃないねぇ」



何故この娘達はわざわざ煽る様な事をするのか、磯風はいつも以上のドヤ顔で誠意の無い謝罪をするかよ……


あ、やばいぞ、怒らないとか言ってたがあの顔は怒る寸前だぞ、このあたりで止めねば。



提督「浦風はとりあえずは冷静にな、この三人の生活力の無さは古鷹・飛鷹に、料理は間宮と鳳翔に相談する」


提督「了承を得られた場合は普段の訓練と合わせてみっちりとしごいて貰う事にする、みっちりとな」


浦風「流石は提督さんやねぇ!! 頼りになるけぇ!!」


浜風「そんな!! 横暴です!! プライベートに踏み込んでくるのは職権乱用と思います!!」


提督「浜風、君とタイプの似ている姉の不知火の生活態度は見事な物だぞ、それでいて陽炎を立てる事も忘れないし、黒潮ともお互いの苦手な部分を補い合っている」


谷風「かぁっ!? なんてこったい!! というか谷風がダメならモッチーとかも生活態度どうなってんのさ!!」


提督「望月はああ見えて後回しできない物を全て片づけてからダラダラしているぞ、三日月と一緒に家事もしている、だから問題はない」


磯風「この磯風に必要な物は戦いに必要な力だけだ、司令もそれはわかっているだろう? それに司令も家事全般は苦手であろう、全て高雄に任せているではないか」


提督「ドヤ顔で決めたつもりだろうが苦手分野をみっちりとしごかれて克服して来い、それに俺は下っ端時代に全部叩き込まれたから一通りできるぞ」


提督「高雄が明日から来なくなって代理の秘書艦が居なくとも、時間節約以外の問題は無い、かなりギリギリの業務進行になると思うが」



以前は一人で執務に加え家事の一部までやっていたと考えると、なんというか今の環境がとても恵まれていると再認識出来る。


本当に高雄だけでなく役割分担をしてくれている皆に感謝せざるを得ないな。



磯風「ぬうっ、この磯風、今回は退こう、なので鳳翔さん達による特訓は免除してほしい」


提督「だからドヤ顔で譲歩になっていない譲歩をやめないか、決まったことだからな、それとも陽炎に告げ口してほしいのか?」


磯風「っ!? そ、それは勘弁してもらいたい……」


谷風「磯風ったらもう逆らわない方がいいって、陽炎姉ちゃんに知られたらド偉い事になっちゃうよぉ」


浜風「そうです、ここは甘んじて受け入れるべきです」


提督「君達はそんな事を言えるような立場ではないのだがな、何故そんな強気で交渉するのかわからん……」



流石は曲者揃いの陽炎型、一筋縄ではいかない娘達ばかりである、これを統括している陽炎の心労も汲み取るべきだな……



長良「司令官って本当に何でも出来ますね、トレーニングマシンも一部が壊れた時に応急処置してました、器用ですよね!!」


提督「それなりに使っていると大体分かってくるものだ、応急処置したら流石にすぐに業者を呼ぶけれどな」


大鳳「文武両道・容姿端麗な上に家事全般まで出来る、やはり提督はすごいです」


提督「文武両道といえる程に学歴がある訳でもないけどな、出来る事はしっかりと、出来ぬ事と知らぬ事は正直に教えを乞う、そうして来ただけだ」


提督「見た目はまぁ、その、なんだ、君達がいつも褒めてくれるから嬉しいぞ、ありがとう」



実際こちらに来てかなり経つが、ようやく自分の容姿が褒められるのに慣れてきた、気分が前向きになれるのを実感している。


ハンサムには気前と性格の良い人間が多いというのも割と頷ける気がする。



浦風「ええっと、提督さんの話を脱線させてしもうてごめんね、この三人のお仕置きは決まったし、お話戻そうかぁ」


提督「気をつかってもらってすまないな、俺の体臭の話はあまり深く考えず正直な意見を出してくれれば助かる」


浦風「せやねぇ、ウチはわからんけぇ、いっつも清潔な格好しか見とらんし、近づいても臭い!!って思うた事はないけん」


提督「ふむ、浦風はそう思うか、長良はどうだ? 意見を聞きたい」


長良「えっ、私ですか!? 司令官ってとってもいい匂いしますよね!! 実は何だかよくわからないんですけど、司令官の近くでトレーニングするといつもより頑張れるんですよ!!」


長良「だから司令官が来てくれるのがとっても楽しみなんです!! 司令官って筋肉がセクシーで惚れ惚れします!!」


提督「おお、そうか、俺が居ると頑張れるって嬉しいな、筋肉については一応見栄えはそんなに考えて鍛えてはいないが褒めてくれるならうれしいぞ」


提督「匂いについては良い匂いなんだろうか? ここに居る時は汗だくの頻度高いと思うのだが……」


長良「不思議と司令官の汗って臭わないんです、汗も粘ついていないでさらっとしてますし、さらっとしている汗は臭くないそうですよ?」


提督「そうなのか? 自分ではあまり考えたことは無かったな、ありがとう、参考になった」



女の子から容姿だけでなく筋肉まで褒められるなど、絶対に人生で起こる事は無いと思っていただけに思わず涙一つこぼしそうになるが、上に立つ者としてぐっと堪えなければ……


そういう長良もこっちが心配になりそうなくらいにハードなトレーニングをするので女性としては見事な体格をしている、艦娘的にはあのくらいで丁度よいとの事だが。



大鳳(長良って純粋で羨ましいわ…… 私なんて提督の体臭と薄着姿と筋肉目当てでトレーニング施設に通う頻度を以前より上げたのは言えない……)


提督「大鳳は俺の体臭についてはどう思う?」


大鳳「あっ、えっ? わ、私ですか!? えっとですね、提督の体臭については良い匂いがすると思います」


大鳳「あとは大体長良と同じですね、元気になる匂いといいますか癒される匂いといいますか、それを消してしまうなんて勿体ないです」


提督「ふむ、そうか、大体の意見は纏まって来た感じがあるな」





磯風「司令の体臭についてならば、この磯風も言わせていただk」


提督「君達は意見以前の問題だ、先ずはしっかりと生活態度を改めてからにしてもらうぞ、要らぬ仕事と言う気は無いが苦労を増やさないでくれ……」


磯風「今日の司令はいつもより冷たい、だが私は挫けないぞ」


提督「だからドヤ顔をやめろと」


谷風「どうしてこうなっちゃったんだろうねぇ」


浜風「磯風が無駄に提督を煽るのがいけなかったのです」


谷風「浜風も大概にふてぶてしいと谷風は思うよ……」



トレーニング施設でも意見を聞けた、次の施設に向かう事にするか、次は確か娯楽施設だったか。


普段は雑談してもそこまで艦娘からの悩みや問題は出てこないものだから、今日は面食らってばかりだ。


リーダー格の艦娘や家事が良く出来る艦娘の悩みはよく聞いておいた方が良いかもしれん……


長良・大鳳・浦風達に別の施設へ行くと告げると元気よく見送りしてくれた、磯風・浜風・谷風はテンションが目に見えて下っているのが分かる。


ドアから高雄と一緒に廊下へと出ていく、次は鬼が出るか蛇が出るか……



────提督、数十分後、提督執務室



色々な施設を回り、廊下で出会った艦娘達の意見も含め、結論から言えば「匂いは気にならない、良い匂いがする、消すのは勿体ない」という意見が過半数を超えていた。


各施設の妖精さんも俺の匂いに関しては無臭で影響も特に無いとの事だ、妖精さんにとっては無害の様だ。



高雄「ふふっ、やはり提督のお身体の匂いを香水で消すのは無粋!! と言って差し上げますわ」


長門「高雄の言う通り!! 我らにとって大きな損失以外の何物でもない、皆も良く分かっている、提督も分かっていたはずだ、無駄な抵抗だったようだな!!」



まさか普段は精悍な顔立ちしか見せない長門がドヤ顔を見せる日が来るとはな…… 外見と性格も磯風に似ているから尚更嫌がらせに思えるぞ。


まあ、磯風とは違って生活態度も仕事も批評をする必要は無い位に完璧ではあるが…… 出撃前に俺の服の匂いを嗅いでいた事を除いてはだが。



提督「わかった、俺の負けだ、香水はつけない約束だったな、このままで居る事にする」


高雄「やりましたわ!! 長門さん、私達は勝利を手に入れましたわ!! 数少ない癒しを守ることが出来ました!!」


長門「そうだな高雄、だが私達だけの力ではない、艦娘皆の力があってこその勝利だ、道半ばで倒れた大淀も安らかに眠れるだろう」


提督「待ってくれ、大淀は別にまだあの世に召されていないからな、勝手に殺すな」


提督「そして匂いはこのままにするとは言ったが、俺の私物は出来る限りの物は全て私室へ移動させて鍵をかけるからな」


提督「全く、上着の着脱だけで無駄に手間がかかるようになってしまった、非常に困ったものだ」


提督「風紀の都合上、こういう事だけは絶対に譲れないのでな、二人だけでなく艦娘全員に理解してもらう必要がある、説明するのが大変だ……」


提督「今夜のフタマルサンマル、長時間遠征以外の艦娘達を全て食堂へ集合するように通達してくれ」


高雄「全館放送でもよろしいのでは?」


提督「妙な反応を示す艦娘もいるかも知れんからな、生の反応を見ておきたいというのもある」


長門「了解した、提督の上着を嗅げなくなるのは残念だが…… 最悪の事態は阻止できただけ戦術的勝利と言えよう」


提督「君は何を言っているんだ」



────提督、数時間後、食堂



あれから数度、全館放送を行いフタマルサンマルに食堂に集まるよう基地内に居る全艦娘へ通達。


現在は予定時間丁度になり遅刻した者は居らず艦娘達も無事に全員集まったようだ、普段は普通の女の子と変わらないが職務には忠実且つ素直で本当に助かっている。


しかしフェロモン的な効能があるとはいえ、俺の服の匂いを嗅がれるのは風紀上非常に困る、普段聞き分けの良い娘達を惑わす自分の体臭が以前とは違った意味で厄介だ。


艦娘達は緊急で呼び出された為、何事かとやや動揺を隠せずにいる、基地の存続に関わる程の事ではないが多数の艦娘が問題になっているので、皆の前で集会をするしかなかった。



陽炎「こんな時間に呼び出しだなんて司令ったらどうしたのかしら、まさかうちの妹が何か問題を……」


不知火「いえ、まだそのような話は基地内にも広がっていません、そして司令からも伺っていないので可能性は低いかと」


黒潮「姉妹の問題なら全艦娘を招集させるようなことはせんやろ、なんか大きな問題かもしれんね」


親潮「ど、どうしましょう姉さん達、この基地や皆さんに関わる事だったら……」


秋月「信じましょう提督を、そして問題があったら皆さんで力を合わせて困難に立ち向かいましょう!!」



前の方にいる陽炎達から雑談が微かに聞こえてきたが、そこそこ深刻に事態を捉えて居る事に申し訳無さが湧いてくる。


とりあえず説明を始めることにしよう、出来るだけ簡潔に済ませたいところだ、貴重な休み時間を削ってまで来させているのだから。


隣に居る長門に静かにさせる様に目配せをする。



長門「皆、静粛に!!! これから提督が現在起きている問題を話してくださる!!!」


提督「ありがとう長門、艦娘の皆、貴重な自由時間を削って呼び出した事を予め謝っておく、すまない」


提督「非常に言いにくい問題が起きた、風紀に関わる問題なのだが、その、な……」



艦娘の群衆から「風紀の問題って何?」「提督が躊躇うような事ってなんだろう」とも取れる空気が漂ってきた。


俺だってこんな情けない問題で皆を呼び出したくは無かったが、艦娘が関わってしまった以上は言うしかない。



提督「お、俺の体臭が染みついた衣服を嗅いでいる艦娘が居るという話を聞いた、ある程度の目星は付いている、だが犯人を明かすつもりは毛頭無い、だからプライバシーは安心してほしい」



艦娘達が一気にざわつき始める、微かに反応して身動きを止める者、大げさに騒ぐ者、突拍子な出来事過ぎて変な笑い方をする者。


大まかに分けるとこんな感じの反応だ、事の発端になった鈴谷に至っては身体を硬直させて青ざめて小刻みに震えていた。


長門は素知らぬ顔でスルー、高雄は微妙に視線が定まらず、回復して意識が戻った大淀は顔を赤くして汗をたらしている。


ざわつく艦娘達の中、俺に向け声と手を挙げている艦娘がいた、あれは加古だな。



加古「てぇ~とくぅ!! ちょっと聞きたい事があるんだけどいいかい?」


提督「答えられる範囲ならば応じよう」


加古「犯人を明かせないのは分かるけど、どの時間帯とか何処で嗅いでたとかはOK?」



加古の隣に居る姉の古鷹が滅多に見せない焦燥と羞恥が混ざったような顔をしている。


古鷹も嗅いでいたには違いないが、こちらにも落ち度があるので明かさない方向で行こう。



提督「それについては申し訳ないが特定をされてしまう可能性がある、俺としては穏便に済ませたいのだ」


加古「提督がそう言うならしゃあないかぁ、突き止めて微妙な関係になるよりはずっといいかもね」


提督「理解してくれて何よりだ、皆も犯人を突き止めてやろうなどとは思わんようにな、頼むぞ」


提督「俺個人でどうにか解決するつもりだから詮索はしない様に、犯人の尊厳がかかっているからな」


提督「これは命令ではないが守らなかった者には相応の懲罰を与える事にする、くどい様だがくれぐれも犯人を探すような事はしてはならない」



動揺はやはり収まらないがある程度の納得はしてくれただろうか? そんな中で手を挙げた艦娘がまた一人。



鳥海「質問の許可をお願いします、提督」


提督「ああ、許可する、言ってくれ」


鳥海「許可ありがとうございます、提督としては犯人に対してどんなお気持ちでいらっしゃるのでしょうか?」


提督「俺としては怒ってもいないし、懲罰なども考えてはいない、ただこの場で言える事は風紀の都合上、今後は止めてほしいという事だけだ」


提督「ただ、対策を何もしないワケにはいかないので俺の私物は出来る限り私室へと保管して鍵をかけておくことになる」


提督「洗濯物も直接鳳翔に渡しに行くか、取りに来てもらう事になる」


鳥海「ご返答ありがとうございます、把握しました、鳳翔さんなら安心ですね」



実はその鳳翔も犯人だったりするのだが、反省もしている様だしもう一度信用してみようと思っている、家事のほとんども彼女が仕切っているのもあるしな……


自分なら安心と信用されている鳳翔は俯いて顔を真っ赤に染めている、これはつらい。


現状で言える事はこれだけと通達し、そして意見交換の間を設けるが艦娘達はザワつくだけで特に意見は無い様だ。


艦娘達に解散を宣言し解放する、少し経つと艦娘の皆は各々の目的地に行き、食堂には執務室によく居るいつもの4人になった。



提督「今回はまた違った意味で疲労感が強いな…… 今回の件の顛末、長門達も分かっているだろうな?」


長門「最悪の結果は免れたという結果だな、我々の勝利だ」


提督「いや、それはおかしいからな? 君達は執務室に居る頻度が高いから特に注意しないといかんな、全く……」


高雄「しかしながら、私達とて提督とは常に一緒にいられるワケではないですし、その隙を突かれたらどうしますか?」


提督「君までそんな事を言うのか…… 出来る限り一緒に居るしかあるまい、提督代理として外に出る事が多い長門はともかく、事務担当の高雄と大淀は常に気にかけないとイカンのか……」


大淀「えっ、それって嬉しい誤算ですね、提督と一緒に居られる時間がもっと増えるだなんて」


高雄「なるほど、それは確かに一理あるわね、確かに嬉しい誤算です」


大淀「いつも目を離さないで欲しいと公言している金剛さんが嫉妬しますね」



どうしてこうなった…… 此処に来た当初に比べ艦娘達も明るく逞しくなったと喜ぶべきなのか、なかなか複雑だ。


この基地や艦娘が以前から悩んでいた問題だけでなく、まさか問題を起こす気は毛頭なかった自分が問題の原因になってしまうとはな……


いつもの事ながら色々と考えさせられる騒動ではあった、人の上に立つという事の難しさを再確認した日だったな。



小話:体臭騒動鈴谷アフター

今日は僅かながらではあるが、どうにか確保をした空き時間を使って鈴谷を個人的に提督私室へと呼び出した。


あの厄介な俺の体臭騒ぎから数週間たったが、そろそろほとぼりも覚めたのではないかと感じつつあるので、鈴谷と話し合いをしようと考えた。


放送で呼び出すのは大事になってしまう為、高雄に四つ折りにしたメモ用紙を握らせ中身を読まず鈴谷に渡すように念を押して依頼した。


彼女は真面目だから中身を読むとは思えないが、やはり多少の不安が出てしまうのは仕方ない。


指定した時刻のフタサンマルマル間近になる、そろそろ来るだろうと思ったところでドアがノックされ、可愛らしく爽やかな声が聞こえてきた。



鈴谷「チーッス、提督ぅ、鈴谷に何か用? こんな時間に呼び出すなんてムフフな事かな? なんちゃって!!」


提督「良く来てくれた、そこの座布団に座ると良い、脚は崩して楽にしてくれ、飲み物は天然水でいいか?」


鈴谷「ミネラルウォーターで全然大丈夫だよ、ありがと~、提督私室って高雄さんくらいしか入っちゃいけないんじゃないの?」


提督「入ってはいけないという規則はないが、あまり入り浸るのは好ましくはないだろう、年頃の女性が男の部屋にほいほいと入るものではない」


鈴谷「やっぱ提督って優しいよねぇ、艦娘ってとにかくブスしかいないのに、ジェントルメンってヤツだよねぇ」


提督「褒めてくれるのは嬉しいが、俺はそれなりに俗っぽいぞ、少なくとも紳士や聖人君子ではないな」


鈴谷「またまたぁ、提督が紳士じゃなかったら世の中の男子はみんなダメンズになっちゃうよ」



いつも通り明るく振る舞ってはいるが、これから話す事を考えるとやはり気が重い。


だがここで足踏みしていても埒が明かない、一気に切り出すべきだ、やるしかない。



提督「鈴谷、今日は真面目な話をする為に私室に呼び出した、この部屋なら防音処理はしてあるし、定期的に専門の人間に盗聴・盗撮機具がないか掃除ををしてもらっているので、問題は無いだろう」


鈴谷「ええっ? ま、真面目な話って何それ…… ハッピーなネタだといいんだけどぉ……」


提督「残念だがそうではない、俺の衣服を嗅いでいる艦娘がいると少し前に騒ぎになっただろう?」


鈴谷「あっ、そ、そうだね、なったね、う、うん……」


提督「俺が調査始めた理由、それは鈴谷が俺の洗濯物を嗅いでいるという密告があったからだ」



鈴谷、顔真っ青にして口をヒクヒクさせ乾いた笑いが漏れ出している、真正面から行きすぎたか? これはちょっと不味かった……


どうにかして宥めなければ、鈴谷だけが悪いわけではない、色んな要素が複雑に交わった結果が現状なのだから。



鈴谷「は、ははは…… バ、バレちゃった…… タレコミしたのって誰だったの?」


提督「熊野だ、夜中に偶然ではあるが君を見つけたそうだ、洗濯室で俺の洗濯カゴを漁っt」


鈴谷「わああぁぁぁああぁぁ!!! 言わなくていいって!! 言わなくていいからぁ!!! そ、そっかぁ、熊野かぁ、しょ~がないよねぇ、あはは……」


鈴谷「ああ~…… そうかぁ…… 提督本人にバレちゃったんだ…… ホントどうしようこれ、もうどうしようもないんだけどさぁ……」



いかん、鈴谷がちゃぶ台を見つめながら虚ろな目でぶつぶつと呟き始めた、何をするのか予想が出来ん。


いきなり大暴れとかされたら、いくら鍛錬好きとは言え生身の人間の俺一人では止めるのは不可能だ、やはりもっとやんわりと切り出すべきだったか……



提督「す、鈴谷、ちょっといいk」


鈴谷「提督、今すぐじゃなくてもいいから艦娘って止める事出来るのかなぁ…… 鈴谷、自分の所為だってわかっているけど、提督と顔合わせて艦娘するの結構辛いかもしんない……」


提督「少し待て鈴谷、君は今、急な展開で思考と感情が追いついていないだけだ、落ち着くんだ」


鈴谷「この前の臨時集会で流石に懲りてさぁ、もう提督の匂い嗅ぐのやめようと思ってぴったりと止めたんだけど…… 一番最初にバレてたなんて思いもしなかったよね……」


鈴谷「それに提督も気持ち悪いと思ってるんじゃないの? 鈴谷ってお世辞にも可愛いなんて口が裂けても言えない見た目の女子だしさぁ……」


鈴谷「提督に気持ち悪いって思われるのはもう覚悟してるから、はっきりと言っちゃってもいいよ……」



鈴谷の目からは薄っすらと涙が滲み出てきていた、気持ち悪いなんて全く思ったことが無いのだが、今の鈴谷には迂闊な事は言えない。


一体どうしたものか、どうしたら鈴谷を落ち着かせることが出来るのか……



提督「鈴谷、落ち着いて聞いて欲しい、誰が洗濯物の匂いを嗅いだとかそういうことではないんだ、風紀上の問題であってな……」


鈴谷「提督だってさ、艦娘みたいな見たまんまブスよりは美人に匂い嗅いでもらいたいんじゃないの?」


提督「俺はこの騒動でそういう事を考えたことは無い、例え容姿に優劣があろうと風紀は守らなければならない、軍なら尚更だ」



色々と落ち着かせようとして見るも対女性の経験値が圧倒的に不足しているので、鈴谷の気持ちを静める事が出来ない。


本物の良い男ならば女性の気持ちを理解してあげられるのだろう、俺にはそれが無い、何とも歯痒いものだ。


いっその事、正直に切り出してしまうか? いや、正直に切り出した結果がこれだというのもあるのだが……


ぬうぅ…… 泥沼になってしまうよりはマシか? やるしかない!!



提督「鈴谷、君の気持ちを理解できなくてすまない、不甲斐無い上司ではあるが君の気持ちを知りたい、どうしたら君の気が済むのかを知りたい」


提督「俺はあまり異性との『まとも』な接し方というものを経験したことが無いんだ、だから女性の機微に疎いんだ、だから頼む」



思い切って真正面から謝る、女性に試したことはほとんど無いがこれで少し落ち着いてくれれば良いのだが……



鈴谷「そういう謝り方はずるいよ提督…… 提督はハンサムすぎて女の子と『まとも』なお付き合いした事はなさそうだけど、機会はメチャクチャ多かったんじゃないのかな」


鈴谷(提督って超イケメンの紳士だから、あんまり女の子怒らせたりしなさそう…… 普段もすんごい優しいし)


鈴谷「ああぁ…… ちょっと頭冷えたから気づいたけど、ただの逆ギレじゃんこれ……」


鈴谷「そ、そうだね…… もう気分が落ち着いたから大丈夫、大丈夫だからそんなに気を落とさないでよ、提督……」


提督「そうか、鈴谷がそういうなら良いのだが、本当に大丈夫なのか? こういうのはしこりがあるのは良くないと俺は考えている」


鈴谷「大丈夫大丈夫だって!! あ~、でもこんなチャンスあんまり無いしちょっとワガママ言っちゃおうかな?なんて…… ははは……」


提督「いいぞ、たまには言ってみるものだ、鈴谷が元気になるなら出来る事なら我が儘を聞こう」



これで鈴谷が負い目を感じてくれなくなるなら出来る限りの事は努力しよう、まだ若い女子なのに軍人なんていう難儀な職業に従事しているなだから。



鈴谷「……じゃあ、私にキスしてくれたら嬉しいかなぁ、鈴谷ってすごいブスだけどやっぱり憧れなんだよね」


鈴谷「普通の男の人に頼んだらこんな事は絶対にバカにされるし、ブスってやっぱりすんごいハンデだよ」


鈴谷「それに提督じゃなかったらお願いできないし、提督だからこんな事お願いできるんだと思うんだよね、流石に唇にキスしてほしいとは言えないけど」


鈴谷「どうかな? 出来そうかな? あ、無理だったら全然断ってくれてもいいからね!?」


提督「キス、魚の鱚ではないとは思うが、もしかして接吻のキスか!?」


鈴谷「提督ってばまだ若いんだからオヤジギャグを言うのは早いよ、当然唇でするキスのほうなんだけどさ」



いやいやいや、ギャルっぽいけどこんな美少女にキスしてほしいとか…… 慣れてきたとはいえまだその辺りの価値観は簡単には変わらん。


しかし鈴谷も勇気を出してチャンスを物にした、俺はその義務に答えるべきだろう、俺が同じ立場だったら出来るかどうかは怪しい。


ただ素肌にキスをするのは気が引ける、そういう関係でもないので唇は論外、おでこと頬は子供扱いしているようでどうにもな……


手の甲は気障な感じがして自分のキャラクターではない、海外では髪の毛にキスをするということある、これなら素肌ではないから大丈夫だろう。



提督「わかった、キスをしよう、ただ部位の指定はこちらでさせてもらおう、あくまでも俺と君は上司と部下なのだからな」


鈴谷「えっ!? 本気でキスするの!! 自分で言ってなんだけどさ、さすがに驚きだよぉ、うわぁ、すんごいドキドキする」


提督「目は閉じなくても良い、顔の部位にするわけではないからな、拍子抜けするかも知れんがそこは勘弁してくれ」


鈴谷「拍子抜けどころか理想の男性にキスしてもらえるんだよ!? そんなんするわけないじゃん!!!」



凄まじく期待しているだけにがっかりさせないで済むのか疑問になって来た…… 男らしくやれるだけの事はやろう、後悔の無いように。


鈴谷の髪の毛は…… ふむ、長いには長いが極めて長いというわけではないな、改めて観察すると腰部まで長いわけではない、背中止まりか。


跪いてからの髪の毛にキスは難しいな、あまり気障ったらしい事はしないでシンプルに行うか……



提督「鈴谷、後ろに失礼するぞ」


鈴谷「えっ、後ろ? 別にいいけど」



鈴谷の背後に回ると、彼女はやや緊張し身を硬くさせた、鈴谷の右側面から髪の毛を優しく一束纏め、掌へと乗せる。



提督「ふむ、艦娘になると髪色や質が変化する娘は多々いるが、実に綺麗な髪だ」


鈴谷「……えっ?へっ? ……な、なにっ?」


提督「緑色ではあるが竹林を思い出させる、髪の色としては派手ではあるが気分が落ち着く色だな、光沢も綺麗だし手触りも質の良い繊維を触っているかの様だ」


鈴谷「髪の毛を褒めてくれるのは嬉しいけど、目的が違くない?と思うんだけど……」


提督「いや、目的は合っているぞ、では、失礼する」


鈴谷「合ってるってどういう…… ッッッ!? あwせdrftgyふじこp!!!」



鈴谷の髪の毛の束に向かって5秒程キスをする、流石にべったりと口を付けるのは品が無いので軽く触れる程度にした。


僅かな時間ではあるがそれ以上の時間を感じられた、鼻の間近に鈴谷の髪の毛があるので都合上、甘い匂いが鼻腔をくすぐる。


やがて髪の毛から唇と鼻を離す、これで鈴谷は満足してくれただろうか? 髪の毛を静かに手から離し鈴谷の方へ視界を動かした。



鈴谷「あっ、あっ、なにこれぇ、髪の毛なのになんかえっちぃ…… くうぅっ」


提督「お、おい、大丈夫か? キスしたのはいいが何でこんな事に……」


鈴谷「ふぅ…… あぁ~、これちょっと、起き上がれそうにないかも…… ちょっと横になれば、大丈夫だから」



そう言うと鈴谷は畳に仰向けに身体を投げ出した、瞳が潤んで顔が全体的に紅潮している、このまま何事も無ければいいが。


呼吸も少しばかり荒くなっているが、本人が大丈夫と言っているならば問題ないだろう。



鈴谷「……私の顔見てもそんなにいいもんじゃないでしょ、今はちょっと恥ずかしいから見てほしくないのもあるけどさぁ」


提督「何を言う、良い顔ではないか、こんな職業に従事しているが表情が生き生きとしている」


鈴谷「……そういう意味で言ったんじゃないんだけど、私の顔がもう少しマシならなぁ」


提督「何を小声で呟いているんだ?」


鈴谷「ん…… 別に何でもないよ、提督には無縁の悩みだよ」


鈴谷「寝っ転がりながらでだらしないけどキスしてくれてありがとね、一生の思い出になったかも」


提督「今夜の出来事は他言は無用だぞ、風紀を気にしている上司が部下のご機嫌取りに、キスしているなんて知れたらド偉い事になってしまうからな……」


鈴谷「そこは大丈夫、私も上司に迫ってキスをしてほしいとお願いしたなんて、バレたらみんなからどんな事されるんだろうね……」


鈴谷「あっでも、こんなイケメンな男の人と秘密があるなんてすごい事なんじゃかなって思えてきた」



少しはご機嫌になってきてくれただろうか? 艦娘もなんだかんだで普段は年頃の娘とそう変わりはない一面もあると再認識した。


数分ほど雑談した後に鈴谷も気分が良くなってきたのか、体を起こし立ち上がる。



提督「気分はもう大丈夫なのか? あまり無理をするな」


鈴谷「うん、もう平気だよ」


提督「話が途中で脱線してしまったが、既に洗濯物の匂いを嗅ぐのは自主的に止めた様だし不問とする、それを言いたかった」


鈴谷「あぁ~…… そういえばそれで呼び出されたんだったっけ…… もうやらないからね!! 約束する!!」


提督「ああ、信じている、とりあえずそれだけだ、夜も更けてきたな、部屋まで送ろう」


鈴谷「ふぇっ!? 大丈夫大丈夫!! ちゃんと一人で帰れますよ~、ありがとね~」


提督「ふむ、そうか、明日からはいつも通りに過ごすんだぞ、おやすみ」


鈴谷「ははは…… 痛いところ突かれちゃった、それ言われるとちょっと何にも言えない、んじゃおやすみなさい~」



鈴谷はそう言うとドアを開けて退室した、一応ご機嫌は取れたと思っておこう、しかし女性の扱いというのは難しいな……


逆ギレされた時はどうしようかと思ったが、向こうに原因があるとは言え明らかに混乱していたし、本人も反省して止めていたようだから頭ごなしにも叱る事は出来なかった。


ましてや女性は気の強さは男の比ではない事が多いから、迂闊に刺激しなくて正解だったかもしれん……


とりあえず、この件については懸念はあるが解決はしたと思っても良いだろう、命の危険は少ないが提督の立場もなかなか難儀だな……



小ネタ:提督について語る艦娘達

────長門、食堂にて



いつもの様に食堂で食事をする時間になり食堂へ向かったのだが、この基地に居る戦艦が全員集まっていた。


それだけでもなかなか珍しい事だが、今日は戦艦全てが同じテーブルに座って食事をしていたのだ。


私も定食を頼んで料理の乗ったトレイを持ち、座席を物色しようとするが金剛と伊勢が手を大きく振って私を催促してきた。


たまには戦艦だけで雑談するのも良かろう、私はそう思いながら戦艦が集まったテーブへの座席へと向かう。



長門「戦艦が全員集まるとはな、珍しいものだ」


伊勢「たまにはいいじゃない、戦艦同士で意見とかお話するのもさぁ」


金剛「私達3人はBattlecruiser、戦艦だけどちょっと違うネー」


伊勢「私と日向も航空戦艦だから運用は全然違うね、確かに」


長門「この基地、というか現在の鎮守府は純粋な戦艦は少な目だからな、ビスマルク級・ヴィットリア=ヴェネト級・リシュリュー級・アイオワ級全て巡洋戦艦かそれに近い性能だ、私自身はあまり特色が無いからな」


ビスマルク「それがヤーパンのケンソンってヤツかしら、ナガトみたいな屈強な人でもケンソンするのね」


長門「謙遜という物は自分に対しての戒めだと私は思っている、天狗にならない為のな、慢心と自信は違う物だ」


ビスマルク「グラーフが聞いたら感心しそうなお話ね、他に何か無いのかしら?」


日向「そういえば長門、この間、大本営への出張に護衛として高雄と一緒に提督に付いていっただろう、何か変わった事は無かったか?」



ふむ、変わった事か、あると言えばある、大本営への出張で提督が色んな派閥から言い寄られた話だ。


我らが提督は階級こそ提督の中では最も地位は低いが、この基地を訓練施設として立て直した事、そして艦娘の育成を再開させた手腕が評価されている。


元帥閣下とどの様に知りあって親交を深めたのかは不明瞭なところもあるが、提督も元帥閣下も艦娘の未来を憂う方達だ、そういう部分が引き寄せ合ったのかもしれない。


元帥閣下とのコネもあるようだし、戦果はまだ小さな物しかないが結果は地道に残している、そういう利用価値のある人間を自らの派閥に取り込む、出世欲が強すぎる人間は時には深海棲艦よりも厄介で質が悪い。



長門「そうだな、変わった事は確かにあったな」


金剛「oh!! どうして教えてくれなかったのデース!? テートクの事は色々と知りたいのにぃ!!」


長門「少しは静かにしないか、あまり大事にはならなかったのでな、提督が自ら解決なさったからだ」


日向「ほう、それなら尚更興味が湧くな、どんな事が起きたのか教えてくれ」



やはり「あの話」になるだろうか、昇進する上では深く関わってくるであろう派閥への参加だ。


提督は今まで地位も低く実績も無かった、そして基地の立て直しを元帥閣下から優先的に推し進めろと命令されていたので、小規模な会合には呼ばれることは無かった。


だが今回は話は別だ、地位こそ変わらないが実績と信頼を着実に積み上げ、そして大本営への出張は余程の事が無い限り提督の不参加は認められない。



長門「提督が色んな将官達から派閥に誘われた出来事だ、最後には提督自らが派閥を指名してそこにお世話になる事になったが」


伊勢「それって何気に一大事じゃない!? 提督ってば良く穏便に済ませたわね」


榛名「伊勢さんの言う通りです、派閥次第では私達の将来も左右されてしまう可能性もあります」


長門「安心すると良い、私達も良く知る将官の派閥に入る事になったからな、そう無茶な使い走りはさせられないとは思う」


日向「結果としてはその様になったが、それだけというワケでもないのだろう? 過程を全く話していないぞ」


長門「日向の言う通り過程が波乱が一つ起きてな、我らの提督は一番階級が低く防衛や奪還においての功績が少ないのは周知してると思う」


長門「ただ見目は極めて麗しく性格も温厚で任務に忠実である事から、多数の派閥から誘われる事になるのだがそのほとんどを断っていた」


長門「流石に面と向かって直接お断りするのは軋轢を生むのでな、考える時間を頂けないかと断っていた」



中にはかなりしつこく勧誘してくる派閥の輩もいたが、そこは私が提督を護衛しているので丁重にお帰り願った。


久しぶりに他所の提督から侮蔑と嫌悪の視線を受けたが、提督にはいつも紳士的な対応をしてもらっているので、その反動からか以前よりはっきりと見下されているのが良く分かる。



ビスマルク「ちょっと質問いい? 提督は何故そんなにお断りばかりしてたのかしら」


長門「その答えは極めてシンプルだ、出席者を事前に調査していたそうだが艦娘絡みの不祥事が多い輩ばかりだからだ」


ビスマルク「何処の国も不細工な女には容赦がない、ましてや艦娘となると酷い物ね、提督には感謝しかないわね」


長門「そんな輩の護衛に付いている艦娘は大概やつれていたり、目の色が死んでいたりする、かつては辛い事が有りすぎたが現在の提督に会えた我々は極めて運が良いのだろうな」



そんな私の言葉に皆は静かに頷いていた、此処は特に酷かったと記述にも残っているくらいの文字通り『醜女の墓場』だったからだ。


今の提督には足を向けて寝られないというくらいに皆は提督を信頼している、私も例外ではない。


ただ、悲運の轟沈をした艦娘達もこの基地は少なくは無い、もっと早く提督が来てくれれば…… と思ったことは何度もあるが提督には何の罪もないのだ、提督を責めるのはお門違いだ。



長門「会合も終わり元帥閣下との雑談も多少はしたところで、これから解散というところで提督は厄介な相手に目を付けられてしまったのだ」


長門「関東地方最大の鎮守府…… つまりはY鎮守府の女提督だ、S鎮提督同様に女でありながら見事な手腕で関東付近の防衛と南方の奪還を総括している提督だ」


榛名「Y鎮守府といえば我が国最大の鎮守府と聞いています、S鎮守府を超える規模を誇ると言われ、艦娘の練度は3軍レベルで一般の基地の1軍を担える程に強いと」


伊勢「あ~、聞いたことある、一応カテゴリ分けされてはいるんだけど層が厚過ぎて、練度に関してはもう1軍と3軍とでも大した差ではないというくらいに強いんだって」


日向「ふむ、確かに巨大な組織に絡まれると大概厄介なものだが、それだけではないのだろう?」


長門「ああ、日向の言う通りだな、皆もY鎮守府の提督の容姿は知っているだろう?」



私が容姿についての話題を挙げると、皆一様にとても美人だったという答えが返ってくる、中にはため息交じりに羨ましがる者も。


そしてY鎮守府の提督は良い男を見つけると品定めをした上で男漁りを始めると有名だ、実に手癖が悪い、流石に元帥閣下には出来なかったようだが。


階級は中将であり年齢も我らの提督に近い、所謂アラフォーというヤツだ、彼女の方が年上ではあるが、だが見た目は実に若々しく美貌を保っている。



長門「Y鎮提督は容姿の良い男に目が無くてな、俗に言う面食いというヤツだろう、我らが提督も御多分に洩れず彼女のお眼鏡にかかった」


金剛「美人なのは認めマース、ですが正直に言うととっても下品な趣味デース、10%で良いから美貌を分けてもらいたいデース」


伊勢「流石のウチの提督もY鎮提督にはころっと色気に負けちゃったのかしらね、私としては普段が艦娘に囲まれているから色気に負けても仕方ないとは思うけど」


榛名「そんな!! ああ、でも伊勢さんの言う通りかもしれません…… 榛名にも端整なお顔が付いていれば提督を癒して差し上げられるのに……」


日向「だが結論としては別の派閥へと参加したのだろう? つまり色気には負けなかったという事だ」


長門「そうだ、日向の言う通りなのだが、Y鎮提督と相対した時の我らが提督の態度が実に見事だったのだ」


長門「あれだけの美人をまるで歯牙にもかけなかった、極めて事務的な対応、そして軽くあしらわれたと理解した時のY鎮提督の屈辱的な表情」



大本営からの帰路を車で走っていた時も仰っていたな、こちらの容姿を露骨に品定めをし利用価値があるか、そういう目で見てくる相手がとても嫌いだと。


あれだけの美丈夫だ、今まで容姿を利用されそうになったことが数多くあったのだろう、我々とは対極な悩みで苦労なされたのが察せる。



伊勢「ええーっ!? それって本当なの!? Y鎮提督って女優やモデル並みの美人じゃない!! 軍人やっているのが謎なくらい綺麗だった気がするんだけど……」


長門「ああ、正直私も色目を使われたらアウトだろうと思っていた、それに私は護衛ではあるが余程の事が無い限り手を出すことは出来ない」


長門「だから提督がY鎮提督に絡まれた時は、今までの対応や思い出が偽りの物になってしまうのではないかと、気が気でなかった」


日向「男が美女に色目を使われて、素行や人生が狂ったりする話は昔から数多くある、長門の懸念は無理も無いな」


長門「だが提督は私の疑惑は杞憂に過ぎないと行動で示してくれた、色目を使われても眉一つ動かさなかった」


長門「立場を悪用されてボディタッチをされそうにもなったが『格闘技を嗜んでおりまして、親しい相手を除き不意に体に手を出されると反応してしまうので』と軽くあしらっておられた、執拗に何度やられても決して触らせなかった」


長門「勧誘もされたが『中将閣下の艦娘は待遇や尊厳は保証されているのでしょうか?』と仰った時には、私はこの命を提督に捧げても良いと思ったくらいだ」


金剛「oh... テートクはそれほどまでに私達の事を考えていたのネー…… 私、今までテートクにApproachをしてきましたが、実にclumsyでselfishだったデース…… もっとladylikeな振る舞いをしなくてはいけないデース」


榛名「提督は常に艦娘に対して真摯でおられましたが、榛名が考えている以上に徹底しておられるのですね…… まさか将官の方を相手にしても信念を曲げないなんて、榛名、感服いたしました!!!」



我々艦娘の事を最優先に考える熱意は賞賛すべきなのだが、提督自身は何故これ程までに艦娘に対して真摯で居られるのかは謎が深い。


艦娘に対しては極めて寛容なのだが、金剛と榛名には苦手意識を持っているという不可思議な部分もある、提督の過去に一体何があったのだろうか。


提督の過去は一先ず置いておく、話は戻るが提督が入った派閥は何処かと言うと……



長門「提督の信念の固さの話はこのあたりにしておく、肝心の所属した派閥なのだがS鎮提督の派閥だ」


日向「成程、それは確かに無茶な要求をされる事は少なそうだな、S鎮提督も艦娘に無茶な要求や運用を強要するという話は聞いたことは無い」


長門「ただ、S鎮提督は我らが提督を勧誘する気は全く無かったそうだ、理由は『私の派閥は小規模でメリットが薄い』、それともう一つ苦笑しながら『私自身がとんでもないブスで色気が全く無いから』とも仰っていた」



そう言うとなんとも言い難い微妙な反応をする、皆して割と納得という顔をしている、S鎮提督には悪いが彼女は我らに匹敵する醜女である事は否定できない……



長門「提督がS鎮提督の許に向かい、彼女に派閥の加入について検討を提案したら大層驚いていたな、無い無いだらけの派閥にとんでもない大物が釣れたと」


長門「提督が言うには『艦娘を蔑ろにせず、彼女達と意思疎通が出来る人がいるだけで入る価値がある』との事だ、あとは物理的にも精神的にも程好い距離感なのもあるそうだ」


伊勢「まともな理由だとは思うけど、S鎮提督の派閥を選ぶなんて提督もかなりの物好きだねぇ、提督ってもしかしてB専なんじゃない?」


ビスマルク「B専って確か不細工好きの事よね? もし提督がそうだとしたらかなりのHENTAIって事になるわね……」


金剛「oh!!! テートクをHENTAI呼ばわりなんて許せまセーン!!! でもB専ならB専で私達艦娘にも希望があるって事になりマース!!」


榛名「どうして変態の部分がそんなに英語訛りなのでしょうか…… ああ、でも提督にはB専の変態さんでいてもらいたい気持ちもあります、もしかすると榛名にもチャンスが……」


日向「君達は少し自重した方がいいのではないか? 提督の世間体や体裁を悪くさせるつもりかい?」



提督をお慕いするあまり暴走するのはよろしくは無い、私自身も提督の体臭の件でこってりと提督から叱られたから自重しなければな……


普段は雲の掴み所がない日向がまともな突っ込みをするとは思わなかった、あまり戦艦同士の付き合いが普段は無いので意外な発見だ。



長門「提督の派閥勧誘の話は大体の内容はこれくらいだな、改めて提督に協力したいと思った出来事だった」


金剛「長門の言う通りネ、艦娘にこんなにFriendlyでGentleな男性はそうそう見つからないネー!! しっかりとついていきマース!!」


榛名「榛名も微力ながら提督にお力添えしていく所存です!!」


ビスマルク「私も異論はないわね、まあ今のところまだまだ練度が足りなくて自分の事で手一杯だけど」


伊勢「お~、みんなやる気マンマンだねぇ、私も提督の事は尊敬しているからみんなと同じ気持ちだけどね」


日向「ふむ、日頃から慢心や怠りをしなければ自ずと提督の力になれるだろう、気負う必要もないさ」



改めて皆が提督への忠誠を示したところで、この話は終わり後は雑談をしながら食事を終えて解散となった。


謎が多いところもあるが提督自身は極めて善良な人間であると私は信じたい、艦娘穏健派の元帥閣下が推薦した人物であるから信用に値するが不安が無いとは言い切れない。


提督が何処へ向かって走っているのかは我々も憶測の域でしか語れないが、願わくば彼が我々艦娘もしくはこの国の敵にならない事を祈ろう。



提督、岐路に立つ

この基地に就任して1年以上が経つ、すっかり艦娘の皆ともある程度の親交を深めることが出来た、改めてルックスという要素の恐ろしさに気づく。


俺自身の性格はそう大きくは変わっていないのに、こんなにもあっさりと距離を縮めてしまうと何とも言えない気持ちになる。


この1年、以前の提督生活に比べたら遥かに色々な出来事があった、此処に来る前の数年間は嫌われるだけの提督生活だったな、指示に従ってくれるだけマシだったが、失敗した時の意見も必要以上に辛辣ではあった。


このまま順風満帆…… というわけには行かず、この基地最大の問題ともいえる出来事が起きてしまった、問題を記載した書類を一度しっかりと黙読し、二度目は再確認の為に音読していく。



提督「駆逐艦、皐月・水無月・文月、いずれも改へと改造済み、2か月前に南方のS泊地から脱走してきた、脱走の理由は提督による三人への脅迫・暴行」


提督「潜水艦、伊26・U-511、伊26は改へ、U-511は呂500へ改造済み、1か月前に南方のR基地から更迭、原因は練度と作戦理解度の不足」


提督「高速戦艦、ビスマルク、Zwaiへと改造済み、3日前に祖国の湾岸基地から更迭、原因は上官侮辱罪」


提督「……すまない、数分でいい、休憩をもらえないだろうか」


長門「あ、ああ…… 一息ついてきて欲しい……」


高雄・大淀「提督……」



俺は3人に許可をもらい私室へと入る、絶句とは正にこの事を言うのだろうな、こんなに無感情になったのはかつて無い程だ。


皐月達が突然帰って来た日を思い出す、『帰って来た』と言うより最早『逃げて来た』という焦燥ぶりだった。


追手の艦娘達を振り切り、あらゆる地形や隠れ場所を利用して逃げて来たそうだ、受けた傷は追手から受けた物だと推測できる。


比較的損害が軽微だった皐月が中破した水無月を前に抱え、大破した文月は皐月の背中におぶられて息も絶えかけていた、明らかに有無を言わさずドック入りの容体だった。


皐月達が言うには異動先のS泊地の提督は攻略間近になると、無謀な運用を艦娘達に強いる提督だったようだ、海域深部の最も危険な艦隊に玉砕覚悟の作戦を艦娘達にさせるとの事だ。


普段は多少押しが強い程度の性格なのだが、戦果や栄誉がかかると豹変する非常に虚栄心が強い提督と皐月が供述していた、深部からの撤退の時は耳を塞ぎたくなる罵詈雑言と体罰を名目にした暴力を振るうらしい。



伊26と呂500の件については度重なる越権行為による更迭、何をしたのか冷静に問い詰めるも二人は『あまりにも杜撰な作戦立案だったので修正案を挙げただけ』と言っていた。


これに加えて『度重なる』と付いたあたりを考えると単純に二人が立場上疎ましくなって、こちらに難癖をつけて返してきたのだろう。


他の艦娘達は提案などどうしているのか?と二人に聞いたところ「提案などは何度もしたが良い返事は帰ってこない、案が採用された事は無い」という状態であり、司令塔としては機能不全に陥っているとしか思えない。


二人から詳しく話を聞き、その『杜撰な作戦』を参考に自ら戦術を考察してみるが、二人の言っている事は概ね間違いの無い修正案だった。


練習巡洋艦の香取、提督代理である長門にも話を持ち掛けてみるが、答えは俺が考えていたのとそう変わりは無かった。



何がいけなかった? 俺なのか? それとも彼女達か? 彼女達は辛い訓練にも耐え、家族に会えない寂しさを耐えて来た。


うら若き娘達に未知の技術を施して、命を危機に晒す大海原の戦場へと送り出し、艦娘適性の無い普通の人間である提督は比較的安全である湾岸で指示を出すだけだ。


そんな提督が艦娘に対して上官というだけで、容姿が醜いだけで何故そこまで傲慢になれるのだろうか、ますます理解が追い付かない。


冷蔵庫から冷たい麦茶をグラスに注ぎゆっくりと飲み干す、少し頭が冷えたところで高雄達を待たせない様、早急に執務室へと戻った。



高雄「提督、お気分が優れない様ならこのあたりで小休止でも如何でしょう?」


提督「気遣いさせてすまない、少しは頭が冷えたから問題無い、3か月前にウチで訓練を無事に終えた6人がまさか全員送り返されてくるとはな……」


大淀「提督の責任ではありません、練度は規定以上、S鎮守府での中規模作戦にも参加、完璧ではないとはいえ無事に活躍しS鎮提督からも太鼓判を戴いています」


長門「原因を聞いていると、戦闘や任務遂行以外の事ばかりで問題を起こしているな、しかも大体は『あちら』が攻撃的な態度を見せてきている」


提督「艦娘とて完璧な者は居ない、だがこの扱いはあまりにも横暴が過ぎる、これからビスマルクに事情を聴きに行くワケだが、彼女の様子はどうだ?」


長門「あ、ああ、それはもう凄かったぞ…… 貴方を侮辱されたのが相当頭に来ているのか、侮辱をした配属先の上官に手を上げ、こっちに帰って来るまでは大人しくはしていたそうだが……」


大淀「帰ってきたら勝手に抜錨して近海で大暴れ、燃料と弾薬が空になるまで深海棲艦相手に暴れまわって帰って来ました、すごい勢いで喚いてましたが母国の言葉だったので何を言ってるのかさっぱりで」


高雄「急いでグラーフさんを連れてきましたが『とても聞くに堪えない罵声、知らない方が良い』と仰ってました、提督が来るまでグラーフさんが宥めていらっしゃいました」



放送で呼ばれて急いで迎えに行ったが、長門・グラーフ・金剛がビスマルクを羽交い絞めにして抑えつけてるところに出くわすも、あの3人の拘束を弾き飛ばしそうな勢いだったな


幸い、俺の顔を見たら安堵やら何やら複雑な表情になって力が抜けた様に沈静したが……



提督「それで俺が来て顔を見た瞬間に抱き着かれたのだが、その後は大号泣であちらの言葉で何か言っていたが分かるはずも無く」


提督「後は部屋へ連れて行って金剛・榛名・グラーフに任せて現在に至ると、3人は様子を見て落ち着いたら報告すると言っていたが、つい先程漸く会話が出来る程度には落ち着いたそうだ」


提督「規律に厳しく比較的クールな女性なのかと思っていたが、とても感情豊かな女性だったのだな、正直驚いた」


長門「それだけ貴方が慕われているという事だ、私達相手には普段から提督の事を褒めていたのだがな、貴方相手には上官なので言えなかったようだが」


高雄「提督の前ではクールに振る舞っていたみたいですけど、普段はかなり感受性の高い方でしたよ、良い意味でプライドが高い人です、とても義理堅いですし」



プライドが高いのは見た目の通りなので異国の艦娘と交友出来るか不安な部分があったが、思っていたよりはずっと社交的で安心した。


俺の前ではクールに振る舞っていたが、普段は割とリラックスして生活しているようだな。


あの暴れぶりからかなり沈静化して落ち着いたようなので、これから顔を合わせて話す事になる。


今思えばビスマルク個人としてはじっくりと会話したことは記憶に無いので、良い機会でもある。


高雄達にビスマルクと面会すると告げて執務室を出る、彼女達が住んでいる寮へと歩を進める。


数分ほど歩き、金剛達が住んでいる部屋に到着した、部屋の前では金剛と榛名が待機していた、二人に状況を聴いておく。



提督「数日がかりで落ち着いたようだが状況は?」


金剛「大人しくはなったヨー、でもクールダウンしてから大暴れしたのは後悔してるみたいネー」


榛名「提督、ビスマルクさんは確かに上官の方に手をあげたり無断出撃で暴走してしまいました、でも提督を侮辱されてとても悔しかったと仰っていました」


提督「心配する事は無い、榛名の言いたい事はわかっている、懲罰を与える事には変わりはないがそう重くはしない、今は面会できそうか?」


金剛「OKネー、部屋の中にはグラーフがいるから、困ったらグラーフにヘルプするといいネー、私と榛名は廊下で待ってる事にシマス」



金剛の助言を聞きつつ部屋をノックしてビスマルクに入室許可を得ようとするが、聞こえてきたのはグラーフの声だった。


さて、どうしたものか…… と思いながら部屋のドアを開けて入室する、開けた先にはベッドに胡坐をかいて不貞腐れているビスマルクと傍らで腕組して立っているグラーフが居た。



グラーフ「良く来てくれたアトミラール、貴方が来ると聞いてからずっとこんな調子なのだ、気位が高いというのも考え物だな」


提督「ふむ、どうしたものか…… 何から話せば良いか」


ビスマルク「……何よ、私は間違った事をしたとは思ってはいないわ」


提督「その辺りを詳しく聞く必要がありそうだな」


ビスマルク「訓練を終えて祖国の防衛に力を尽くそうと思ったら、相変わらず艦娘蔑視が酷くて呆れ、それでも自分を抑えて任務に従事していたわ」


ビスマルク「私以外の艦娘がまともな訓練を受けられずに中規模作戦を遂行した事があった、そこで私が所属していた主力艦隊は敵の中枢部まで進軍出来ずに撤退」


ビスマルク「帰投した直後にあちらの提督に言われたのが…… 『戦力だけは期待していたのだが、日本での育成は無駄足だったか? 艦娘の本場とは言うがこんな役立たずを帰してくるとは』と」



ビスマルクがそう言い終えるとグラーフが歯を食いしばって堪えている様に見えた、彼女も祖国での艦娘の待遇に憂いを抱いているのだろうか。


欧州も大概に艦娘への蔑視が酷い様だ、欧米における容姿への偏見というものは俺にはわからないが本質は日本と大差は無いように伺える。



ビスマルク「私の事を侮辱されるのはまだ我慢出来たわ、立場的には新兵とそう変わりはないもの、ただ艦娘にまともな訓練すら受けさせず自分の事を棚に上げて、貴方を侮辱されたと感じた時には……」


ビスマルク「私は抑えきれずにあの屑提督に何も考えず怒りに任せて…… そこからの記憶は無いわ、あちらの艦娘達に取り押さえられ鎮静剤を打たれたと同じ所属艦隊の子に聞いたわ」


提督「そうか、大まかな事情は分かった、後は適当な罰を受けて送り返されたというところか?」


ビスマルク「ええ、大体そんなところね、気が付いた時には懲罰室で数日過ごした後に日本へ送り返される事が決まっていたわ」


提督「ふむ…… ビスマルク、君の処分は決まり次第通達する、それまで寮で謹慎、金剛姉妹の生活をしっかりとサポートするように」


提督「俺としては必要以上に事を大きくしたくはないが、今回の騒動はそうも行かないだろう、国家間の問題でもあるからな」


ビスマルク「謹慎や罰は受けるけれど何度でも言うわ、私は悪い事をしたと思っていない」


提督「困った娘だな、『提督』としての俺が言えるのはここまでだ…… よく無事に帰って来てくれた、おかえり、ビスマルク」



そう言うとビスマルクは身体を僅かに震わせた、この基地はまだ彼女にとって『帰れる場所』である意味を込めて俺は『おかえり』と言った。


グラーフがビスマルクの傍に座りドイツ語で何かを語り掛けている、グラーフの言葉を聞き終えた彼女は立ち上がり覚束無い足取りで俺の身体に抱き着く。



ビスマルク「貴方が侮辱された時に私は自分の感情を抑えられなかった、この基地で過ごした日々を思い出すと艦娘として良い思い出ばかりだったわ、貴方がいつも大切に人として扱ってくれたから」


ビスマルク「いつの間にか私の中で貴方の存在が大きくなっていたのね…… おかえりと言ってくれてありがとう…… 私はまだ貴方の艦娘で居られるのかしら?」


提督「現実は厳しい、確約は出来ないが出来る限りの努力はしよう」


ビスマルク「何よそれ、そこは気前良く言ってほしかったわ…… こんな良い基地と提督の下に一度着任しちゃったら他所なんかに行けないわよ……」


提督「はは、仕方のない娘だな、今はゆっくり休むと良い」



そう言うとビスマルクは俺の胸板に顔を埋めて嗚咽を漏らし始めた、その様を見てグラーフは私に一礼をして部屋から退出をする。


俺は彼女の背中と頭を抱きしめたまま、身動きをせずに彼女の気が済むまでじっと待ち続けていた。


次第に気が済んだのか嗚咽も無くなり、俺の胸から顔を離すが何故か両手で顔を隠したまま、ベッドに横たわり布団を頭から被ってしまい俺は戸惑った。



提督「お、おい、急に布団に潜り込んでどうしたんだ?」


ビスマルク「い、今、泣き終わったばかりだから元々酷い顔がもっと酷くなってるの!! 顔は見せられないわ!!」


提督「そ、そうか、俺は別に気にしないんだがな」


ビスマルク「貴方はハンサムだから泣き顔も良いのだろうけど、私は違うの!! ……あと、言い忘れてた事が一つあるわ」


提督「ほう、何を言い忘れてたんだ? 聞こうじゃないか」


ビスマルク「……ただいまって言うの忘れてた、ただいま、提督」


提督「ああ、そうだったな、おかえり、ビスマルク」



ビスマルクから事情聴取は出来た、それに俺個人としては伝えたい事も言えた、執務に戻ると彼女に告げて部屋を後にする。


名残惜しそうに「わかった」と返事が返ってきたが、本当はもう少し慰めてあげたいが艦娘は彼女一人だけではないからな……


廊下に出ると金剛・榛名・グラーフの三人が憂慮の表情をしながら俺の様子を伺っていた。



提督「そう心配するな、ビスマルクはそこそこ立ち直ってくれた、まだ多少の時間は必要とは思うが」


金剛「流石はテートクデース!! 私は彼女に何もできなかったのが辛いデース…… 戦いで傷つく痛みは分かるのデスが……」


提督「気に病むことは無い、精神的なダメージというのは屈強な肉体の持ち主だとしても簡単には癒せないものだ」


榛名「提督は本当に強くお優しいのですね、榛名も見習わなければいけません」


提督「色んな要素が偶然に上手く噛み合っただけだ、最悪の事態は免れたと思いたい」


グラーフ「しかし私の知る限りでは基地が復興してからの艦娘移籍第一弾は3組全て失敗と聞いたが…… これからどうするのだ? アトミラールよ」



原因はそこにあるのだが、俺は未だに明確な解決手段はほとんど浮かんでいない、艦娘待遇そのものの現状が酷すぎるのだ。


このまま強引に育成と移籍を推し進めたとしても、恐らくは艦娘が不幸になるだろう、それは避けなくてはならない。


だが育成した艦娘を移籍させられなければ、この基地は存在する理由を失ってしまうだろう。


困難に歩みを止められるのはいつもながらの事だが、今回ばかりは自分の力が及ばない部分が大きすぎる、苦しい戦いになる事を覚悟しなくては……



提督「今はまだわからない、どうしたら良いのか、何を解決していくべきなのか、物事の原因からして俺の力ではどうにもならない」


提督「このまま黙って事態を静観する気は毛頭無いが、正直なところ解決への糸口が見つからない、提督である俺がこんな発言をしてはならないのだが……」


グラーフ「そ、そうか…… アトミラール、少し休んでほしい、貴方が気弱な態度を見せるなんてかなり疲れているのだろう、後ろ向きの気持ちでは普段の仕事にも支障が出てしまう」


榛名「そうです提督!! 提督は今まで自発的に休暇を削って執務を行っていらっしゃいました、何処かで休まないと倒れてしまいます!!」


金剛「榛名の言う通りネ!! テートクが倒れたら艦娘も妖精さんもとても悲しいデース!!」


グラーフ「アトミラールが休んでいる間は私達が貴方の仕事を終わらせておこう、みんなが少しずつ時間を出せば大丈夫だ、数日程休んでほしい、正直顔色も少し悪く見える」


提督「し、しかし俺は……」


グラーフ「コンゴウとハルナ、後は任せた、私はアトミラールをタカオ達のところへ連れて行き事情を話してくる」



グラーフがそう言うや否やの内に、俺はあっという間に彼女の肩に担がれてしまう、不意打ちを受けていともあっさりと。


不意打ちに反応出来なかったのは普段から彼女達にはかなり気を許しているので、いとも簡単に担がれてしまった。


最初は抵抗したがグラーフの馬力は艦娘トップクラスである、そんな彼女に人間である俺が敵う訳も無かった、諦めるしかない。


ささやかな抵抗も空しく高雄と大淀がいる執務室へ担がれたまま連行され、グラーフは俺を肩から降ろさずに二人に事情を説明。


高雄と大淀も止む無しと判断したのか許可を出すや否や、早急に提督私室まで運ばれゆっくりと降ろされる。


座布団の上に座らされたと思えば、グラーフは非常に手際よく押し入れから布団を取り出し畳の上へと敷いていった。



グラーフ「アトミラールよ、タカオとオーヨドからは許可は降りた、ここ最近は休みも少なかったと聞いている、ゆっくりと寝るが良い」


提督「君らしくない強引な行動に少し呆然としてしまった…… ここまでやらせてしまったからにはおとなしく休む事にしよう、感謝する」


グラーフ「アトミラールの身を案じてこその行動なのだ、許してほしい…… 疲れは一日だけでは抜けにくいから明日・明後日と二日程は休暇を取ってほしい」


グラーフ「これから着替えるのだろう? 私は出て行こう、良い睡眠を」


提督「要らぬ世話をかけさせてすまなかった、好意に甘える事にするよ」



一般企業の上司ならともかく、艦娘という国防を担う存在の上司がこんな事に気を使わせてしまうのは良くない事だな……


しかし、俺自身が問題を片づけられないというのも事実だ、問題解決の為の疲労回復とクールダウン休暇を態々くれたのだ、感謝しなければならない。


ここ最近は睡眠時間も少な目だったし、自分ではわからんが顔色も優れないと来たものだ、先ずは着替えて寝る事にしよう。



目を閉じて数分程、いつの間にか眠りに落ち、どっぷりと睡眠に浸かっていたようだ。


いつの間にか日も落ちて夜になっていた、かなり深く寝入ってしまった様だな、それだけ疲労が溜まっていたという事か。


皆は気を利かせてくれたのか誰も寝てる間に部屋には訪問してこなかったみたいだな、駆逐艦の娘すら来なかった。


布団を除けて上体を起こして背伸びをする、それと同時に腹の虫も控えめに自己主張をする、時刻はイチキュウマルマルに近い、空腹にもなる。


制服ではなく部屋着に着替え食堂へ向かう事にした、腹が減るというなら体調自体はそれ程酷くはないだろう、心労はそこそこ来ているとは思うが。


食堂はいつも通り大人数の艦娘で空間が埋まっていた、俺が食堂へ入ると多数の艦娘の視線が突き刺さるが、いつもとは違い今日は皆近寄って声をかけてこない。


誰かが俺の容体を周知して気を遣うように催促してくれたのだろうか、会話の声も控えめに粛々と食事をしている。


適当に注文をして座席に座り、料理を全部残さずに食べ食器を片づけようとするが、給仕当番の鳳翔に食器の片づけを取られてしまい、礼を言って食堂を後にした。


久方ぶりに静かな食事をした後は、のんびりと風呂に入る、風呂もここ最近は碌に湯船に入らず身体を洗うだけの作業になっていた。


湯がシャワーから放出され、滴り、床に落ち、流れる音を楽しみながらも心が落ち着くのを感じる、水の音はやはり良い。


じっくりと湯船に入り身体の芯まで温まることが出来た、ゆっくり入る風呂の心地良さを忘れていたようだ……


後は適当にインターネットやら読書やらで数時間かけ、就寝の時間になったので何も考えずに寝る事にした、信頼できる部下から仕事の事を忘れろと言われたのだから大人しく従おう。



────提督、3日後



休みを半ば押しつけられてようやく復帰の日が来た、強制休暇の朝は誰も起こしに来ず、昼頃まで惰眠を貪るというだらしなさを露呈してしう。


目覚ましはせずにゆっくりと寝てほしいとまでお願いまでされてしまい、アラームのセットをしなかった結果がこれである。


いつも通りに制服を着用して執務室を覗きに行き、必要な仕事は無いかと催促するが、いつもの3人と助っ人で来ていたグラーフ・古鷹に執務室を追い出される……


仕事もせずに昼はのんびりと非番の艦娘達と過ごしたり、艦娘の護衛付きではあったが港湾施設へ行き何も考えず海の方角をただひたすら見つめたり、日光の気持ち良い所で昼寝をしたり……


昼間はトレーニング施設のトラックで駆逐艦と一緒に遊んだり、夕方から夜には皆でビデオゲームをしたり、普段はどうしても事務的になってしまう会話もいい具合に駄弁る事が出来た。


食事の方も実に有り難かった、いつもの食事を少々減らしてメニューには無い疲労に効く料理を一品追加してくれたのだ、流石の間宮としか言い様が無い。


本当に一日がゆったりと過ぎて行った、気を張る必要もなかったのでいつもより緩すぎる態度になっていたような気がする。


艦娘達に呆れられていないだろうか、皆も心身共に疲労が溜まっていると思うが気を遣わせてしまい申し訳ない気持ちばかりが募る。


そしてたった今、今日の朝からは職務に復帰だ、気分もそこそこ健常に戻ってきているし、体調も昼寝や転寝に加えしっかりと熟睡もしたのでかなり回復はした。


制服の身だしなみも問題は無い、いざ職務室へ向かう事にしよう、と思っていたらドアをノックする音が聞こえてきた。



高雄「提督、おはようございます、心身共にご壮健でなされますか?」


提督「ああ、おはよう、そうだな、かなりすっきりした、あんなに緩い休日を過ごしたのは随分久しぶりだ」


高雄「いつもはかなり態度に気を付けて勤務してらっしゃいますからね、あんなに無防備な提督は初めて見たと皆仰っていました」


提督「あまりにもだらしなく休暇を満喫してしまった、艦娘達は幻滅してはいないだろうか」


高雄「ふふっ、とんでもありません、皆さんは提督のお世話出来ると張り切っていましたよ、是非恩返しがしたいと」


提督「恩返しなんてまた大層な…… 提督として当たり前の勤務態度でいるだけだ」


高雄「それをしてくれる提督はこの基地には現れませんでした、貴方が来るまでは…… だから提督は皆の憧れなのです、私も含めて」



高雄と話しながら執務机の椅子へと座る、大淀もいつもの様に待機していた、2日ぶりとは言えあまりにも力の抜けた休暇の過ごし方をしていたので、随分久しぶりの執務に思える。



大淀「提督、おはようございます、本日の執務もよろしくお願い致します、今日も素敵でいらっしゃいます」


提督「いつも褒めてくれてありがとう、たった2日でやる事が大きく変わるとは思えんが、何か大きな出来事はあったか?」


大淀「昨日の話ですが、急な要件ではないですし提督もお休みでしたから報告は控えておりました、5日後に元帥閣下が指定の場所で面会をしたいと」


提督「元帥閣下からか!? 少し覚悟はしておかねばならないな、先日の会合以来だが上手くいっていない事を咎められるかも知れない」


提督「休みを貰って一人になった時には出来るだけ解決案を考えてはいたが、未だに思いついていないからな……」


高雄「提督、私は何があっても貴方の味方です、元帥閣下を敵に回すことになろうとも貴方をお守りします」


大淀「そうです!! 艦娘として返しきれない程の大恩があります、迷惑でなければあの世までお供します」


提督「俺は命をかけても良い様な男ではない、俺にも多少の下心や打算もある、君達は解体されて艦娘を辞め人間に戻る時も来るだろう、その時の為にしっかりと命は取っておくんだ」


高雄・大淀「提督に下心……」



下心があるのは間違いではないのがまたなんとも言えん…… そもそも不快害虫と同じ扱いされて辛いからこっちに逃げて来たからな。


二人とも腑に落ちないという顔で俺を見ている、どんな理由で腑に落ちないのかわからんが。



提督「さて、執務をしよう、俺にしか出来ない書類や要件を手早く消化しなければな、溜まっているのだろう?」


提督「その後に訓練を修めた艦娘達の待遇や派遣の問題について、皆の力を借りて取り掛かりたいと思っている」


大淀「はい、お任せください、要提督の案件はこちらに纏めておきました、こちらの消化からお願いします」


高雄「私には提督が集中して執務が出来る様に、雑務の担当をさせていただきますね」



一日かけて溜まっていた執務を終わらせ、翌日からは平常運転を再開させ、それに加え余った時間で育成済み艦娘の派遣について失敗の原因と解決策を高雄・大淀・長門と俺の四人で議論をした。


二日ほど時間を設けて議論した後に結局良い解決策や対策は思い浮かばず、長門が考えた「基地の艦娘総動員による集会で議論」も試してみたが、結論としては「現場がほぼ悪い」という結論に達した。


自分達に全く落ち度が無いと言う気は無いが、派遣先から逃亡したり更迭された艦娘達の話から察するにはその様な要素が強すぎるのだ。


そして無策のまま、元帥閣下との面談の日を迎えてしまった。



提督「では、出かけてくる、大淀、長門、留守番を頼む」


大淀「提督、あまり顔色が優れませんね、つい最近休まれたというのに……」


提督「大丈夫だ、体調は問題は無い、ただ流石に重圧はある、問題を抱えて無策のまま軍の頂点にいる人物と会うのだからな」


長門「すまなかった提督、力になれなかった事がとても歯痒い」


提督「あまり落ち込むな、現場におけるリーダーが暗い顔していたら部下達は不安になるぞ」


高雄「提督、そろそろ行きましょう、お時間も近いです、自動車の運転は私にお任せください」


提督「ああ、そうだな、よろしく頼む、頼りにしている」



高雄に自動車の後部座席へと案内され座席へと座る、K基地管轄の港湾施設ではなく別の管轄の港湾施設で元帥閣下と面談する事になっているので、いつもより少々遠く時間がかかる。


時間はかなり早めに出たのでさほど問題は無いと思われるが、秘書艦として同行する高雄はこちらの旗色が悪いだけに緊張の色を隠せずにいる様だ、とても顔が険しい。


下手すると俺よりも険しいのではなかろうか、それだけしっかりと基地の存続について考えてくれているのだろう、不甲斐無い提督で申し訳ないと思いつつも彼女の心遣いに感謝だ。


出発して凡そ1時間強と言ったところだろうか、施設の一部が見えてきた、近づくにつれ身体と表情が次第に強張っていくのが分かる、今後の立場が此処で決まる所為だろうか。


高雄に至っては訓練や演習の時より険しい顔をしている、俺より緊張し過ぎではないだろうか、車から降りたら少し固くなったのを解してやらないといかん……


港湾施設に入る前に何処か適当な場所に停車をさせる事にしよう、幸い軍事施設近辺なので人気もあまりない、高雄に道路の脇に停車させる様に指示をする。



高雄「どうかなさいましたか提督? 急に停車を指示されるなんて」


提督「とりあえず、車内から外へ出てほしい、話はそれからにしよう」



車の外に出る様に言い、出たのを確認してから俺も車の外へ出た、彼女の顔はを見るも緊張して険しさは取れないままだ。


さて、どうやって解してたら良いものか…… ちょっとしたセクハラになってしまう可能性もあるが、今までの経験からするとやってみる価値はある、覚悟を決めるか……



高雄「指示されたとおりに車外へと出ました、なんなりとお申し付けください」


提督「では遠慮せずに行くとしよう」



こうして彼女の顔を見ると本当に理想の造形をしている、顔のパーツ一つ一つの質が半端ではないので、険しい顔をしていてもとても上品に思える。


俺は無造作に彼女の頬を掌で痛くならない様にむにむにと捏ねくりまわした、もっちもちのすべすべである。



高雄「むごごっ!? て、ていほふぅ!?」


提督「責任者という訳でもないのに提督である俺より随分と険しい顔をし過ぎだ、顔の筋肉の緊張を和らげようと思ってな」


高雄「い、いへまふぇん!! やめふぇくひゃひゃい!!」


提督「普段の様に微笑でいいんだぞ、出来る秘書艦という感じで良いといつも思っている、どうだ? 直ったか?」


高雄「はぁ、とても驚きました、まさかあまりおふざけをしない提督がこんな事をなさるなんて……」


提督「まだ固い、というかぎこちないな、よし、これならどうだろう」



人目を確認して高雄の脇腹に指を素早く這わせくすぐりをしてみる、身悶えながらも逃げようとするが逃さずにくすぐり続ける。


完全にセクハラである、以前だったら強制猥褻の罪に問われて社会的に死んでたであろうと思われる所業だ。



高雄「ひゃうんっ!? あっ、あはっ、ははははっ!!! くすぐったい!! くすぐったいですからぁ!!!」



高雄の静止を受け流し、ひたすら脇腹を責める姿は見紛う事なき変態である、俺もこっちに来てから少しは女性への苦手意識は無くなってるものだな……


息も絶え絶えに高雄が俺に対して一睨みするも、やがて呆れかえって溜息を吐いた。



高雄「もうっ!! いくら私が緊張しすぎているからってこんな事はなさらないで下さいね? とても驚いたのですよ?」


提督「変な事でもやらないとな、緊張で固まった君の顔と態度を和らげることが出来そうにないと思ったのだ、どうだ? 少しはマシにはなったか?」


高雄「……そこは否定できませんわ、色々と驚きが強すぎて緊張がかなり和らぎました、まさか艦娘相手にこんなセクハラ紛いな事をする方がいるなんて思いもしませんでした」


提督「艦娘にセクハラしてはいけないという法律は無い、とでも言っておこうか」


高雄「セクハラ自体がかなりナンセンスなのです!! 馬鹿め!!と言って差し上げた方がよろしいですね……」


提督「まあ、そうなるな……」


高雄「日向の真似をしても誤魔化されませんからね?」



ふむ、この調子ならかなり緩和されたと思っても良いだろうか? 戦闘時より険しいのは流石に戴けないからな、少しでも頭が冷えたなら良いのだが。


再び車内へ入り、高雄に運転を再開するように命じる、時間はまだまだ余裕があるが早急に施設に向かった方が良いな。


数分足らずで施設入り口に到着、手続きと身分の証明を済ませ、特に問題も無く施設敷地内へと進入、案内に従い駐車施設へ。


車両を指定された場所に駐車し、スマホで時間を一つ確認した後、指定された部屋へ向かう、流石に目的地が近くなると平然とはしていられないな。


快適な室温に保たれている筈なのに頭の上の方から汗が一筋垂れる、面談する部屋の前へと到着した。



高雄「いよいよです、提督…… 私はある程度の覚悟は出来ました、提督は如何でしょうか?」


提督「ああ、問題は無い、俺も完璧では無いにしろ覚悟は出来ている、大丈夫か? では入るぞ」


高雄「ええ、お願いします」



俺は3度ほど扉を手の甲で軽く叩いた、少々の間の後にやや高めの若い女性の声が聞こえ、室内へ入るように促される。


高雄と無言で顔を見合わすも、退く事は今更できないので多少の疑問を持ちながらも扉を開けて部屋へと入った。


部屋の中で待っていたのは異様な長さのポニーテールが印象的で、高雄よりかなり、いや、下手をすると長門より多少背の高い艦娘だった。


適合者と艤装が希少且つ極めて少数の配備をされていると資料で拝見した記憶がある、外見の特徴からして恐らく大和型一番艦、大和に間違いないだろう。



大和「お待ちしておりました、○○少佐でよろしいですね? 元帥閣下は時間がまだ余っているとの事で基地内の視察をしていらっしゃいます」


提督「指摘の通り○○少佐であります、隣にいるのは私の秘書艦の高雄、貴女とは以前の会合ではお会いしなかったと記憶しています」


大和「それは間違いありません、以前の会合では代理の艦娘が元帥閣下の護衛として参加しました、私はその頃は演習行動中でした」


大和「お立ちになられたままでの会話はお疲れになるでしょう、お二方共に此方の席へお座りください」



俺と高雄は軽く会釈をしてからソファへと座った、それと同時に大和はプレートに給湯室と書かれた小部屋に入っていった。


しかし長門とはまた違った重厚な完成度を纏っている、勇ましさは長門の方が上に思えるが単純な強さならぱ恐らくは……



高雄「大和型はあまりお近づきになる機会は無いですが、いざ対峙すると圧倒的な威圧感と完成度を感じますね」


提督「艦の運用は繊細にやらねばならないが、大和型は特にリスクが高い、使う人間の資質と実績が問われる艦船だ、配備数も希少なだけあって性能は凄まじいの一言だそうだ」


提督「我が国の西方に於いて屈指の実力を誇るS鎮守府ですら保有が認められなかった程だからな、色々な意味でおいそれと手出しは出来ないと考えている」



高雄と小声で密談していたら大和が山路盆を持って給湯室から出てきた、盆の上には湯気が昇る二人分の湯呑みが載っていた。


そして俺達の前に優雅且つ手慣れた動作で湯呑み二つをテーブルに置いた、ありがたい、会話で喉が渇いたら戴こう。



大和「粗茶ですが……」


提督「お気遣いに感謝いたします」


大和「元帥閣下が戻ってくるまでお時間がかかりそうですね、そのお時間で○○少佐とお話したいのですがよろしいですか?」



俺に興味だと? これは完全に想定外だ、他所の艦娘から明確な興味を持って話しかけられるとは思わなかった、何せ他所の艦娘とはそこまで接点は無いからな……


横目で高雄をちらりと見やる、高雄は軽く頷き了承の意を表したので大和の提案に乗る事にする。



提督「大した話は出来ないと思いますが、それでもよろしいならば」


大和「ありがとうございます、貴方は余り知らない様ですが艦娘の間では話題になる程には知名度があるのです」



どういうことだ? 俺自身は他所の艦娘とはほとんど接点は無い、せいぜいS鎮守府くらいしか思い当る節が無い、あまり別の地方にも出張や遠征をすることは無いし、謎が多いな……



大和「最初は元帥閣下からK基地へ新任の提督を推薦し配属したというお話しか知りませんでした、元帥閣下に細かい事を聞こうにも民間からの適性試験を受けてのご就任という事くらいしか教えて戴けませんでした」



民間からの転職組という事になっているのか、一応間違いではないな、この世界においてはの話だが。



大和「それから暫くは○○少佐の話題は挙がりませんでしたが、基地は順調に復興しS鎮守府との合同演習のお話を会合でお会いしたS鎮提督と側近の艦娘からお聞きになりました」


大和「今日、実際にお会いして改めて確認しました、お噂通りの見目麗しい素敵な殿方で…… 大和は予定を取り下げてまで此処に来たことに些かの後悔もありません」


提督「お褒めいただき光栄です、しかし見た目が良いだけの男では軍事は務まらないでしょう、この見た目も所詮は艦娘の為に交渉を有利に運ぶための手段に過ぎません」


大和「貴方にとって、その麗しささえも交渉の道具程度の扱いなのですか、何故そこまでして艦娘に良くしてくださるのですか?」



大和が俺を凝視してくる、この国屈指の完成度と大きさ、そして戦果を誇る戦艦にこうも見つめられるとまるで蛇に睨まれた蛙だ。


数多の深海鬼や深海姫を轟沈させてきた我が国のトップエース、俺に何を望むというのか。



提督「あまり問い詰めないでいただきたい、貴女ほどの戦艦に睨まれたら恐怖を感じてしまう」


大和「……私とした事がつい興奮をしてしまったようです、はしたない真似をしてしまい申し訳ありません」



大和はそういうと息を一つを吐き、威圧的な態度を収め座ったまま姿勢を正す、こういった動作ですらも洗練されているな……



大和「ただ、今でも信じられないだけなのです、この醜すぎる容姿のせいで数々のトラブルを引き起こしています、男性に、そして時には女性にも嫌悪される事もあります」


大和「○○少佐の艦娘への献身はK基地の復興ぶりから見ても見事な物だと思いますが、やはり裏があるのではないかと疑心暗鬼にもなってしまうのです」



ふむ、元帥閣下の様な人としての悪評が少ない素晴らしい軍人の元に居ても、他の艦娘の惨状を聞いているとこうも疑り深くなってしまうのか……



提督「お言葉ですが私は貴女が思う程の清廉な人間ではありません、艦娘への待遇改善についても多少の下心はあります、他の人間より少しだけマシというだけです」


提督「身の危険を冒しながら国防を担う艦娘に容姿が醜いというだけで、艦娘を見下し侮辱するという愚行は私には出来ません、ただそれだけです」


提督「それに艦娘達は私とある部分においては『同じ』なのです」


大和「『同じ』とは一体どういうことなのでしょうか……」



大和が私に問おうとしたところ、部屋のドアが静かに開き制服を着た壮年の男性が姿を現した、元帥閣下だ。



元帥「随分と話が盛り上がっていたようだが、邪魔をしてしまったようだね」


大和「邪魔だなんてとんでもありません!! おかえりなさいませ、元帥閣下、ご視察はどうでしたか?」


元帥「視察とは言ったが正直暇潰しの散歩だよ、皆真面目に働いているようだったが、それは私が此処に来ているからかもしれんがな」



そう言うと元帥閣下は顎を手で触りながら苦笑した、流石に組織のトップが来てサボったり無気力で労働しようと思う輩はなかなか居ないだろう。


元帥閣下は大和に促されソファへと座り、大和は再び給湯室へと向かっていった。



元帥「会合では顔合わせ程度はしているが、こうして面と向かって会話をするのは『あの時』以来かね」


提督「仰る通りです、お互いに立場という物があるので二人だけで会話というのは、なかなか機会が回ってこないと思います」


元帥「今回は建前を用意しての会談だ、誰の邪魔も入らないだろう、これを知っているのはウチの大和くらいなものだ」



茶を持って戻って来た大和が元帥閣下の前に茶を静かに置く、それを見るや元帥閣下は大和に視線を合わせ口を開いた。



元帥「大和よ、私は○○少佐と二人きりで話がしたい、この事は誰にも知られてはならない、無論お前にもだ、わかるかね?」


大和「提督のお望みならば私は従う事しかできません、速やかに退室いたします」


元帥「すまないな大和、そして…… そちらの高雄君もよろしいか? 一時ではあるが○○少佐を借りたい、決して悪い様にはしないと約束しよう」


提督「……高雄、ここは素直に元帥閣下の言う事を聞いて欲しい、頼む」


高雄「お二人がそう仰るのならば私に異論はありません、提督、良いお答えが見つかる様に願っています」



二人は立ち上がると一緒に部屋から退室していく、ドアの閉まる音と同時にこの部屋は俺と元帥閣下の二人だけになった。



元帥「さて、この部屋は使用する前日に諜報が得意な艦娘に綿密に調べて貰ったが、盗聴・盗撮の危険はないとの事だ」


元帥「ただ防音は出来ていない、遵って小声での会話になるだろう、注意してほしい…… 何が本題なのか、それとも…… どれもが本題なのか、そうだな、先ずは……」


元帥「あの日、君を拾って以来、私は君が『艦娘を救う存在』という意外は何も知らない、君の素性を教えてはくれないだろうか」


元帥「猫を抱えた女性のお告げ、あんな場所で倒れていた君、どんな突飛な話が出てくるかもわからん、だがしっかりと事実として受け止めよう」



「あの時は藁にも縋りたい気持ちで君を送り出してしまったからな」と自嘲する元帥閣下、実際非常識すぎる話なのだが理解してもらえるのだろうか……


俺が逡巡している様子を察したのか元帥閣下はまた顎を触りながら苦笑した。



元帥「あの出来事から一年も経過している、身辺整理もそれなりに出来ただろう? ○○少佐の本音を聞きたいのだよ、それに君の戸籍がこの国に無い時点である程度は察している、遠慮せず話すと良い」


提督「げ、元帥閣下、お言葉ですが実に荒唐無稽で摩訶不思議なお話になると思います、私が脳に支障をきたしている人間に思えるかもしれません」


元帥「構わぬ、深海棲艦・艦娘・妖精、そして君を拾ったあの日…… 不思議な事なぞ既に経験しておる」



本当に言っても良い物なのだろうか? 俺は元帥閣下の顔を見て考えた、今でこそK基地の半分以上が復興し基地機能はほぼ問題なく稼働している。


物資支給の優先順位は基地機能が回復してからは下がりつつあるが、元帥閣下はあの程度の口約束など素知らぬ顔で簡単に無かった事にできたはずだ。


しかし、しっかりと復興するまでは優先的に忘れずに物資を送ってくれていた、その点は先ず考慮しなければならない。


そして艦娘の待遇についても悩んでいた、というのも鵜呑みにするのは危険だが間違いではないと考えても良いだろう。


そうで無ければ胡散臭いお告げを夢で見ても、態々貴重な時間を潰してまで『艦娘を救う存在』と言われた俺を探しにまで来ない筈だ。


判断材料は少ない、それに自分は人を見る目はかなり怪しいが事情を知っていて協力してくれる人間は、恐らくは元帥閣下しか居ないだろう。


俺は辺りをを軽く見まわしてから、唾液を深く飲み込み決意した。



提督「……簡潔に言いますと、私はこの国、いや『この世界』には本来存在しないはずの人間です、別の世界から来ました」


元帥「やはりそういう事だったか、いくら時間の許す限り素性を調べてみても尻尾一つ掴めぬ、それもその筈だ」



元帥閣下は漸く腑に落ちた、と言ったような表情している、憶測でしかなかったが労力を費やして俺の素性を調べていたか。



元帥「君は提督として数年程就任していたと言っていたはずだ、そちらの世界の海軍はどのような仕組みなのかね」


提督「仕組みはこちらと相違はほぼありません、提督・艦娘・妖精、そして戦いの相手は深海棲艦…… ただ私の世界では国防軍という扱いでした」


元帥「国防軍とな、国家防衛に限定された戦力と考えても良いのだろうか?」


提督「そうです、他国に攻め入る事は基本的には出来ません、国家に所属しない深海棲艦に対しても泊地や中枢を叩くのはかなり慎重に議論されていました」


提督「こちらは元居た世界の国防軍より、軍としての権力が強くて物事を進める手間や苦労はかなり抑えられていて驚きましたが」


元帥「ふむ、体制についてはそれなりには分かった、他に大きく違う特徴はあるだろうか?」


提督「はい、元居た世界と非常に違うと言える特徴があります、そ、それは…… それは簡潔に言えば艦娘が非常に見目麗しい存在という事です」



言った、ついに言ってしまった、顔は出来るだけ平静を装おうと努力はしているが、俺の心臓は任務で命の危機に直面した時の様に激しく鼓動している。



元帥「艦娘が見目麗しいとな…… それはどういう事なのかね?」


提督「私が『元居た世界』では艦娘は非常に美女揃いで、それこそ絶世の美女と言っても差し支えは無いほどです」


提督「元帥閣下が気になっているところは恐らく艦娘の容姿についてと思われますが『こちらの世界』の艦娘と体型や容姿の差異はありません」


提督「引き締まった身体に長い脚、大きな目に控えめで高い鼻、成熟した容姿の艦娘は乳房と臀部が大きく、それが性的な要素として大きく評価されています」


提督「艦娘を目当てに提督適性試験を受けるものが後を絶ちません、本気で国を守りたいという人間より艦娘と懇ろになりたいと考えている男子の方が明らかに多いでしょう」


元帥「……俄かに信じ難い価値観だ、久しく驚きを隠せなかったよ、女性の提督志望者は居るのかね?」


提督「女性の割合は男性に比べれば圧倒的に少ないです、私としては『こちらの世界』で女性提督の多さにかなり驚きましたが」



俺が発言を終えると元帥閣下は両手を組み少しの間思案に耽る、そして再び疑問を問いかけてくる。



元帥「『元居た世界』において艦娘が絶世の美女というならば『こちらの世界』において極めて眉目秀麗な男子である○○少佐は、どの様な評価を受けていたのだろうか?」


提督「……その質問については元帥閣下の憶測通りであると思います、私は『元居た世界』では『こちらの世界』の艦娘に匹敵する醜い容姿の男子です」


提督「私は『元居た世界』でも提督適性試験に合格し、尚且つ妖精さん達が見える事から好待遇で提督の地位に就任しました」


提督「ですが、私の容姿を見た艦娘達は武人肌の艦娘ですら落胆の色を隠す事はしませんでした、艦娘達も年頃の女性ですから無理もありません」


提督「多少の下心もありましたが国を守るために怪我や疾病を除いて、真面目に任務を全うしましたが容姿の悪さばかりが重視され『異性』としてだけでなく『上官』としての評価もかなり低く見られていました」


元帥「君が醜い男で性的魅力は全く無いとはな、君の体型についてはどの様な評価をされていたのか聞きたい」


提督「私の様な体系の男子ははっきり言って異性に好かれる要素はありません、背が高く、薄っすらと筋肉が付いている細身な身体に人気があります」


提督「女性に人気のある顔のタイプは…… そうですね、例えば『こちらの世界』での抱かれたくない男子著名人ランキングなどで、それにランクインしていれば『元居た世界』においては先ず間違いなく異性に人気があります」



俺の発言を聞いた元帥閣下は天を仰ぎ、溜め息を一つ漏らした、そして姿勢を正し話を続ける。



元帥「……○○少佐、君はウチの大和をどう思う? 異性としての魅力を正直に答えてくれて構わない」


提督「や、大和ですか? ……異性として考えるなら恐らく最適解の一つに近い女性だと思います、とても背が高すぎるのがマイナスだと考える人もいますが、私はむしろ好ましいかと」


元帥「そう考えるのか…… 我々とはまるで感性が違うのは事実の様だな、ではもう一つ聞こうか」


元帥「君は艦娘のほとんどが極めて魅力的に見える、という認識で良いのだろうか?」


提督「……はい、元帥閣下の仰る通りです、この一年以上、尋常ではない美女達の囲まれてる上に好意を全く隠さずに接してくるので、欲望を抑え込み真摯に振る舞う毎日がなかなか堪えます……」


元帥「ふむ、なるほどな、まさに『艦娘を救済する存在』に相応しい美的感覚ではある…… 君の秘密がそれなりにわかったのは収穫だった、」


元帥「無論、他人に話す事はしない、私自身の墓まで持っていくと約束しよう、そして引き続き○○少佐にK基地の復興を任せたいと考えている、よろしく頼む」


提督「信頼をしていただきありがとうございます、ですが現在、K基地では大きな問題を抱えているのです、私では解決が難しい問題が……」



元帥閣下に信頼をしてもらえるのは個人的にも軍人としても嬉しいのではあるが、K基地は今、育成施設としての存亡に直面している。



元帥「その話はこちらに送られてくる報告書で確認してある、書類の通りの内容ならば君に責任を問わねばならないが、君の意見を聞いてからでも遅くはないだろう」


提督「温情をかけていただきありがとうございます、部下の艦娘達の証言によりますと……」



俺は元帥閣下に包み隠さず証言した、自分の見通しの甘さ、そして現在の海軍に蔓延る艦娘軽視の実態を。


元帥閣下は顎に手を当て少しの間思案する、流石に艦娘の事になるとその表情は険しい、そしてまた一つ溜息を吐き口を開いた。



元帥「成程な、君の証言から察するに艦娘達が嘘を吐くメリットが余りにも少ない、しかし嘘を吐いていないとも言い切れない」


元帥「この件だけでは正当な判断は私の立場では難しい、本来なら証拠をデータ化する手段はあまり推奨されないが、場合によってはレコーダー等による録音も許可しよう」


元帥「こんな下らぬ見栄や我儘を通す輩は私自らが出向き一喝してやりたいのだが、自らの立場が足枷になってしまい迂闊な行動が出来ぬ」


元帥「取敢えずは複数の証拠を提示してくれたまえ、あまりにも悪質ならば私も対策、或いは強行策を取らねばならない」


元帥「よって此度は君の責任は不問とする、猶予が延びたと思ってくれて良い、理解してくれたかね?」


提督「は、はい、艦娘達の思いを汲んでいただきありがとうございます、私も力の限りを尽くします」


元帥「構わぬ、今、○○少佐を安易に罰するのは良い結果につながるとは思えぬだけよ」



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このSSへのコメント

33件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2017-12-09 22:09:48 ID: w9Rsjwbx

part2ですか気分が高揚します。

2: SS好きの名無しさん 2017-12-09 22:20:56 ID: mw5k2hcr

待ってた
更新ありがとう!!

3: SS好きの名無しさん 2017-12-09 22:30:32 ID: BUUJ1EMy

気長に更新待ってます❗

4: SS好きの名無しさん 2017-12-10 08:41:47 ID: sCOL3LpK

おお!
part2待ってました!
更新楽しみにしてます!

5: SS好きの名無しさん 2017-12-16 01:12:41 ID: v7lStrwa

深く考えずにw楽しみにしてますので。

6: SS好きの名無しさん 2017-12-20 12:22:15 ID: RJE52nai

生活力は日々の生活のなかで磨かれるからね。代わりにしてくれる人が居ると延びんのよw

7: MPL 2017-12-26 21:39:12 ID: gibDwU0x

>>1 >>2 >>3 >>4 >>5
楽しんでいただけて幸いです、出来る限り更新していきたいと考えています

>>6
私も一時は一人暮らしでしたが、実家に戻ってからは母に任せっぱなしでぐうたら具合が元に戻ってしまいました、まさに家事能力が延びません

8: SS好きの名無しさん 2017-12-31 08:50:04 ID: Q06bMh8u

あかん!暴動が起きるぞ!
こういう匂いものは生き物のサガや!
子犬やぬこがゲームしてるとき足に絡み付いて昼寝するくらい自然なことだw

9: SS好きの名無しさん 2017-12-31 20:55:09 ID: eDaaObMa

待ってたぞ!
良いお年を!

10: 芝犬 2018-01-01 01:21:43 ID: HZSeWtsu

更新時間神かよw

11: SS好きの名無しさん 2018-01-05 11:06:12 ID: XKIGAO1_

更新時間狙った?

12: MPL 2018-01-06 21:13:05 ID: rzNDX6ZA

>>8
人間も動物の一種なのでやはり匂いは性的な魅力があるのでしょうか、男性が女性の匂いで性的な要素を感じるというのは良く聞きますが、逆はあんまり聞いたことは無いですね

>>9
あけましておめでとうございます、今年も閲覧ありがとうございます

>>10 >>11
更新時間(17時17分17秒)はただの偶然です、全く意識していませんでした(;´∀`)

13: SS好きの名無しさん 2018-01-07 11:39:53 ID: A1TtQpCY

遅くなりましたが
明けましておめでとう!
今年も宜しくお願いしますねw

14: SS好きの名無しさん 2018-01-13 08:22:07 ID: fI1K2ujt

頬か額にが妥当だけど空気読まずに手の甲の部分に口付けを!

15: 芝犬 2018-01-13 11:45:16 ID: -oVlrS_M

口にしようとしたら熊野が入ってきて...

16: SS好きの名無しさん 2018-01-17 13:01:26 ID: BCvBlkU_

髪とはまたw
マニアックというかw
その発想は無かった!
女性の命の髪にキスをする
即ち。求婚!遠回しなプロポーズですねw

17: MPL 2018-01-29 17:12:43 ID: v79YwIxF

>>13
今更になってしまいましたが、明けましておめでとうございます
今年もゆるく書いていくのでよろしくお願いします

>>14 >>15 >>16
いくら提督が慕われている美男子とは言え、特に関係も親しく深いわけではないので口は先ずは無いだろうと考えていました
額も手の甲も考えていましたがコメントの方で先に出されてしまったので、色々考えた結果、髪の毛にキスとなりました

18: SS好きの名無しさん 2018-01-29 21:52:17 ID: 4-G-_XyD

パート1こら一気に読みました!!
面白いです!!

19: SS好きの名無しさん 2018-02-01 00:23:31 ID: Quw9h3j_

この世界ってケッコンカッコカリってあるのかな?
みんな嫌悪してやらなさそうだしまず作られることもなさそうにも思える。
あったらケッコンカッコカリとはまた別の名前になってそうだしなぁ

20: SS好きの名無しさん 2018-02-01 23:04:29 ID: eF29VUBS

ケッコンカッコカリについては自分も気になりました。もしあるとすれば提督はどうするのでしょうねw

21: SS好きの名無しさん 2018-02-09 12:53:58 ID: klIYwECh

楽しみにして何度も読み返しています。
我が嫁艦、龍驤は胸も背丈もこの世界の美人っぽいけど、顔が駄目って扱いですかね?

22: MPL 2018-02-10 03:07:40 ID: U-nSDHzG

>>18
およそ10万字の怪文書を読んでいただきありがとうございます、楽しんで貰えたなら幸いです

>>19 >>20
ケッコンカッコカリについては最初に構想したきりで、実は指摘されるまで忘れてました(;´Д`)
その件についても後日に書く予定なので、書いてたらラッキー程度の気持ちでお待ちください

>>20
このSSの設定における龍驤の容姿については、顔は当然とても不細工扱いで、身体は小柄で平坦な胸部なので評価が高そうに思えますが
軍属で鍛錬が当たり前の生活を送っているので、全く贅肉がない引き締まったスレンダー体型、従って体型においても評価は低いです

23: SS好きの名無しさん 2018-03-15 20:40:40 ID: LYZOAUhF

とても楽しく読ませてもらっています!

この世界だと、深海棲艦はどういう評価になるんでしょうか?

24: MPL 2018-03-18 20:55:07 ID: AtZd_04L

>>23
Part1でも答えたような気がしますが、服飾や機械などの美醜感覚は現実と変わらないので艤装部分は異形に見えます
本体は逆に美醜感覚がおかしくなっているので艦娘と同じく、とても不細工に見えていると考えています

25: 芝犬 2018-04-12 20:57:57 ID: R9h5ZUdL

んほおぉぉぉおおおお!!

26: SS好きの名無しさん 2018-04-30 04:40:18 ID: 7kbJlQRu

俺もこの世界に行けば艦娘たちとワンチャンあるかもしれなんなww

27: SS好きの名無しさん 2018-05-08 19:35:55 ID: Ij7baP-K

毎度楽しく拝見させてもらっています
S鎮提督、外見の表現的には、グラーフの日本人版ってよりサラトガの日本人版って印象ですね

28: かむかむレモン 2018-05-08 19:52:24 ID: xFmOvQcY

こんな面白いSS書いちゃってさぁ、誇らしくないの?(賞賛)

もう待ちきれないよ!早く(続き)出してくれ!

29: MPL 2018-05-11 03:40:17 ID: XqPXQMS5

>>25
とりあえずおちけつ

>>26
私もワンチャン欲しいです(*´ω`)

>>27
前髪ぱっつんのロングヘアなので、私の中では飛鷹に近い外見です
顔立ちは黙っているとグラーフみたいにクールな美人ですが、本来の性格はアレなのでほんのり残念美人です

30: MPL 2018-05-11 03:42:38 ID: XqPXQMS5

>>28
申し訳ないが淫夢はNG
出来る限り暇と文章が湧いて来たら随時加筆していこうと思っていますので、気長にお待ちください

31: SS好きの名無しさん 2018-05-11 10:49:39 ID: f9X91LeU

いつも面白い話を提供してくださってありがとうございます!
これからの展開が気になります!

かむかむレモンさんがコメントしてて草
この人の作品(一作目)は面白いからオススメです
二作目(グロ要素だらけ)はちょっとオススメ出来ないです

32: 芝犬 2018-05-18 01:27:12 ID: vy7orJXe

最近更新多くて嬉しい('ω')....✌('ω')スッ

33: SS好きの名無しさん 2018-05-19 15:32:54 ID: f_iuou7L

楽しく拝見させて頂いてますm(_ _)m
これからも応援申し上げます(*≧∀≦*)
ちなみに質問があるのですが、この世界の駆逐艦好き[ロリk・・・]ゲフんゲフん
はどうなのでしょうか?
成人でもツルぺた童顔がポイント高いようですが、合法ロリ[RJ]も顔だけでモテて無いのでしょうか?


このSSへのオススメ

2件オススメされています

1: SS好きの名無しさん 2018-01-29 21:52:52 ID: 4-G-_XyD

こうくるか…!!
着眼点がすごい!!
面白い!!
ぜひ読んでみてください!!

2: SS好きの名無しさん 2018-04-02 01:56:47 ID: 17rjQBPp

面白いですよ!( •̀ω•́ )و


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