2017-12-26 06:14:15 更新

前書き

全部気分


提督「大本営に増員要請の申請書を提出したらこの様に回答が返って来た」


曙「……ちょっと待って、理解出来ないわ」


曙「海に出て……戦う? アンタが?」


提督「うむ、昨今の戦況は芳しくない、海域解放が出来ない為資源の採掘も滞っている、資源が調達できなければ当然新しい艦を造る事も装備を開発する事も出来ん、バッドループという奴だ、このままでは戦線が膠着状態に陥ってジリ貧になってしまう、艦隊を維持するだけでも資源を消費するというのに」


提督「その為現状の戦力を少しでも増強する為に【提督専用艤装】なるモノが開発された」


曙「は?」


提督「提督専用艤装、だ」


曙「…………」


提督「そんな目で見るな、興奮するだろう」


曙「………ハァ、クソ提督もクソ提督だけど、大本営もクソ大本営ね」


曙「それで、その専用艤装とやらを身に纏ってクソ提督が海に出て深海棲艦と戦うの?」


提督「うむ」


曙「馬鹿じゃないの?」


提督「良いツンデレだ」


曙「そう言う意味じゃないわよ、心の底から馬鹿じゃないのかコイツって思ってるのよ」


提督「至上の誉れ」


曙「現実見ろクソ提督」


提督「……そうは言ってもな、手段を選んでいられる状況はとっくに過ぎているのだ」


提督「日本海側から船団を派遣して交易可能な範囲はアジアに限定されている、手を伸ばせてオセアニア程度だ、資源に余裕がないというのに採掘も貿易も出来ない、故に早急に西側とのラインを繋がなければならない、この戦争どちらか先に倒れては人類の敗北が決定する」


提督「東と西が揃って漸く連中と五分だ、深海棲艦との軍拡競争は加速の一途をたどっている、最早手段や方法を選んでいられる時ではないのだ曙」


曙「そうは言っても……クソ提督、アンタは人間なのよ?」


提督「無論、理解しているさ」


曙「いいえ、理解してないわ、アンタは私達とは違う、百歩譲って妖精さんのトンデモ技術力で水上に浮こうが攻撃を有効化出来ようが、アンタは砲弾一つ受けるだけで死ぬのよ?」


提督「うむ、その点は大本営の方から再三注意された」


提督「艤装による提督に齎される恩恵は三点、水上走行の実現、深海棲艦への直接攻撃の有効化、そして肉体持久力の向上」


提督「故に防御力――この場合は装甲と言った方が良いか、私の場合は着ている服がそのまま反映される」


提督「とどのつまり、ただの布だな、砲弾どころか機銃で死ぬぞ」


曙「……ならやめなさいよ」


提督「すまんな、これは軍務だ」


曙「クソ提督は黙って執務室の椅子に座って、ふんぞり返って編成だけ考えていれば良いの、戦いは全部私達がやるわ」


提督「それでは手が回らなくなってきたから私も出ると言っているんだ」


提督「そもそも提督とは言うが、私のしている事なぞ大して難しい事ではない」


提督「航路を描き、運に左右されながら海域を突破し、建造された艦で隊を作り、武装を選び持たせ、隊列を決め、君達の背を見送るだけ」


提督「この様な仕事、誰でも出来る」


曙「だとしても!…………私は、私は……アンタが良いのよ」


提督「………すまんな」


曙「!ッ」


曙「この、クソ提督ッ!」


曙「なら勝手に出撃して、勝手に沈めばよいのよ!」


提督「あけぼ……」


曙「ふんッ!」バタンッ!


提督「………………」


提督「…………ポッチャマ」






提督「大本営と艦娘の前だけではイケメソ提督演じて来たけど、流石に今回のコレはないっすよぉ」


提督「えぇ~? 何、提督専用艤装って、俺人間よ? 人が水の上走れる訳ないじゃん(困惑)」


提督「とか思ってたら走れたんすよ(驚愕)」


提督「死ぬしかねぇ(深海棲艦に突っ込んで)」


提督「しかも艦娘はちゃんと砲塔備え付けられているのに、提督専用の艤装についてる武装」


提督「軍刀一本、以上」


提督「サムライかな?」


提督「大本営によると【装着しても体頑丈になる訳じゃないし、基本的な部分はそのままだから艦娘の使ってる砲使ったら肩外れるか最悪反動でぶっ飛んで瀕死になるよ】と言う事で、じゃあ刀剣なら安心だね! という事になったらしい」


提督「馬鹿じゃねぇの(確信)」


提督「もう大本営で説明受けてた時は【あっ、ふ~ん(察)】だったわ」


提督「これ遠回しに死ねって言ってない?」


提督「遠回しっていうかものっそいストレートに死ねって言われてる気がして来た」


提督「……………」


提督「……俺、そこそこ頑張って来たんだけどなぁ」


提督「戦時下特別階級って言ってもさぁ、こんな若造の軍の【ぐ】の字も知らない様な男が」


提督「仮初とは言え中佐なんて肩書引っ提げて」


提督「訓練校では血反吐撒き散らしてまで努力したし……」


提督「……………」


提督「いっその事、逃げるか?」


提督「そうだ……! 逃げるって手もありじゃないか」


提督「そもそも上は俺に死んで欲しんだろう? 何たって人間に艤装作ってまで前線に引っ張り出そうとするんだから」


提督「良く考えりゃ艦娘を運用できる提督にこんなもん用意する時点で上の意図は明らかだ」


提督「俺に死んで欲しい理由は……まぁ上の事情なんて知らんし、考えるだけ無駄か」


提督「じゃあいっそ、あの艤装を装着したまま海に出て、そんままMIA(消息不明)を狙うのがベター……?」


提督「適当に艤装の破片でもばら撒いておけば遭遇戦で轟沈、みたいに報告されんだろ!」


提督「やべ、俺って天才……?(愕然)」


提督「やりますねぇ!(自画自賛)」


提督「そうと決まればさっそく行動、見てろよ見てろよ~」






曙「はぁ………」


曙「…………」


曙「本当はあんな事、言いたい訳じゃないのに」


曙「咄嗟だったとはいえ、沈めば良いだなんて………」


曙「酷い事言っちゃったなぁ………」


曙「………今からでも謝りに行った方が良いかな」


不知火「? 珍しいですね、あなたがこんな時間に食堂にいるなんて」


曙「っ、不知火」


不知火「はい、不知火です」


曙「……そっちこそ、どうしたのよ」


不知火「執務室に書類を届けに、ただ留守だったので少し時間を潰そうかと思いまして」


曙「留守? クソ提督、執務室に居なかったの?」


不知火「えぇ、そうです」


曙「うそ、だって私まだ此処にきて数分も経って――」




【なら勝手に出撃して、勝手に沈めばよいのよ!】





曙「アイツ、まさか本当に――!?」


不知火「?」


曙「ごめッ、不知火、また後で!」


不知火「え? え、えぇ」


曙「クソ提督……ッ!」






ドック裏 艤装管理室






曙「っ、着いた!」


曙「えっと、提督の艤装――えっと、大本営の識別番号は何だったっけ……!」


曙「あぁもう! こんな事ならもっと書類読み込んで置けば……!」


曙「えっと、確か……一と、六……」ピッピッ


曙「最後は確か……四!」



ビーッ!



曙「ッ!?」



【艤装:丙種男性型は現在出撃中です】



曙「嘘ッ、まさかクソ提督、本当に海に――ッ!」


曙「ぁ……――」


曙「わ、私が」


曙「あんな事、言わなければ………!」


曙「……………」


曙「っ、駄目、確りしなさい!」


曙「追いつくの、追い付いて、連れ戻せば良いのよ」


曙「まだ、まだ間に合う、間に合うんだから……!」ピピピッ



【艤装:綾波型駆逐艦八番 曙】



曙「艤装、射出準備、装着、ドック水上走行中……!」


曙「微調整、射角、あぁもう、何でも良いから早くしろッ!」ガンッ!


ビーッ!

【艤装搬入:艦娘は所定位置に移動セヨ】



曙「っ!」ダダッ


大淀「はぁ……今日も開発はペンギンちゃんばかり……って」


大淀「あれ、艤装アンカーが……ん?」


大淀「曙ちゃん……?」


曙「急いで、早く……!」ガチャガチャ


大淀「ちょ、ちょっと曙ちゃん!? 貴方、今日は出撃の予定なんて……!」オロオロ


大淀「無断出撃は資源の浪費で重い罰則が……」


曙「うるさい!」


大淀「っぇ!?」


曙「曙、出るわ!」バシュゥゥゥッ! ボォン!


大淀「……………えぇ?」


大淀「………敵襲、なの?」






日本海 近海





提督「ありったけの、ふんふんふ~ん」


提督「このニンジャみたいなボディスーツは微妙だが、こうして高速で水上を走ると言うのは何と言うか独特の楽しさと言うか、爽快感があるなぁ……」


提督「もっと寒いものかと思っていたが、太陽の光が絶妙に火照って気持ち良い位だし」


提督「なんだ、中々どうして悪く無いじゃないか」


提督「フアハハハハハハハハ!」


提督「ふむぅ、しかしアレだな」


提督「鎮守府の皆に何も告げず出て来てしまった訳だが」


提督「これ結構ヤバくないかな」


提督「……………………」


提督「まいっか!」


提督「なんとかなるっしょ!」


提督「ならなかったらドンマイ!」


提督「魚うめぇ!」ガツガツ





提督「テンションあげぽよで数時間航海した訳だが流石に頭も冷えて来る」


提督「鎮守を無断で抜け出したのは不味かったな」


提督「せめて書置き位は残しておくべきだった……」


提督「それに私が死んだと見せかけたとして、その後はどうする?」


提督「私は果たして一人で生きて行くことが出来るのか」


提督「それも本土には戻れない、良くて無人島、最悪水上でその日暮らしだ」


提督「異国の地を踏むという選択肢もあるにはあるが……一体ここから何時間航海すれば辿り着けるのやら」


提督「普通に考えれば現実的ではないな……」


提督「ふぅ………少々衝動的に動き過ぎた」


提督「………………」


提督「賢者タイム終了ぉぉぉー!」


提督「FOOOO↑ 艦娘のドエロ衣装を見続けて溜まっていた俺の煩悩! 誰も居ないこの海上でこそ発散する時!」


提督「うぉぉぉぉぉぉぉぉ↑」シコシコシコシ


提督「ウッ!イキマスヨイクイク!」ドピュッ


提督「………ふぅ」


提督「さて、それに深海棲艦の脅威もある」


提督「この使い慣れぬ艤装でどこまで戦える事やら、懸念すべき事は多いな」


提督「そう考えると彼女達はこんな過酷な日々を送っていたのか」


提督「……本当に頭が上がらない」


提督「しかし此処まで来てしまったのだ、今更戻る事も出来まい」


提督「予定通り、私を撃沈したと思わせる為に手を打つとしよう……」





曙「ハァハァ、ハッ、くっ………!」


曙「もう日が暮れる……何時間も探して走ってるのに!」


曙「相棒の主砲が重いなんて感じたの、今日が初めてよクソ提督……ッ!」


曙「急がないと、日が暮れてからじゃ痕跡も何も見つけられ無くなる」


曙「タダですら海上なんて、手掛かりがないのに………!」


曙「あれは、漂流物……?」


曙「だけど、あれ、あの感じ」


曙「!?」


曙「あれ、あれは……ッ」


曙「――艤装だッ!」



バシャバシャバシャーモ



曙「ハァハァッ!っ、ふっ!」


曙「とッ……たッ!」バシャッ


曙「はぁ、はぁ………これ」


曙「艤装の、一部?」


曙「でも見た事のない感じ、それも破片だけ……」


曙「表面が黒ずんでいる、手で触れると煤がつく」


曙「砲撃痕、ここで戦闘した艦娘のもの……?」


曙「……でも此処は私達の担当海域、ここ最近で此処に出撃した艦隊は無い筈」


曙「………………」


曙「…………………………うそ」



曙「…………提、督?」




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2018-04-25 01:50:45

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1: SS好きの名無しさん 2017-12-26 11:30:36 ID: wOwblqUb

続きはあくしろ

2: SS好きの名無しさん 2017-12-26 16:50:37 ID: uo-IsoHu

面白そうじゃないか

3: SS好きの名無しさん 2017-12-26 23:45:45 ID: ndTQFIz0

続き気になります!

4: SS好きの名無しさん 2018-01-06 11:16:57 ID: XumaDISA

変態は死なず。
何度でもギャグ補正で生き返るさw

5: SS好きの名無しさん 2018-07-09 02:28:46 ID: rRV-lPho

続きおなしゃすしゃす


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