2018-02-21 05:55:10 更新

概要

神風「この首、驚いたままの顔してる」
届かなかった約束をこの夢の中で今一度。リアル連動型艦隊これくしょんE-3がやっと開戦。「桜の花弁舞い散るようにお友達を沈め散らすことをここに誓うのです!」


前書き

※キャラ崩壊&にわか注意です。
《《艦娘の身体欠損注意》》


・ぷらずまさん 
被験者No.3、深海棲艦の壊-ギミックを強引にねじ込まれ、精神的にダークサイドに落ちた電ちゃん。なお、この物語ではほとんどぷらずまさんと電ちゃんを足して割った電さん。

・わるさめちゃん
被験者No.2、深海棲艦の壊-ギミックを強引にねじ込まれ、精神的にダークサイドに落ちた春雨ちゃん。

・瑞穂ちゃん
被験者No.1、深海棲艦の壊-ギミックをねじ込まれ、精神的にダークサイドに落ちた瑞穂さん。

・神風さん
提督が約束をすっぽかしたために剣鬼と化した神風ちゃん。

・悪い島風ちゃん
島風ちゃんの姿をした戦後復興の役割を持った妖精さん。

・明石君
明石さんのお弟子。

・陽炎ちゃん
今の陽炎の前に陽炎やっていたお人。前世代の陽炎さん。

・元ヴェールヌイさん(北方提督)
今の響の前々世代に響やっていたお人。
北国の鎮守府の提督さん。

・海の傷痕
本編のほうで艦隊これくしょんの運営管理をしていた戦争妖精此方&当局の仮称。



※やりたい放題なので海のような心をお持ちの方のみお進みくださいまし。


【1ワ●:Wishful thinking:願望的観測】


War of sea is over

艦隊これくしょんは終わったよ。


Aren't you going to go home yet?

まだ帰りたくないの?


Need to go home

もう帰らないとダメだよ。


She said,We may not be able to see each other

彼女はいったんだ、もう会えないかもって。


No way

ありえないよ。


What are you worried about?

一体何が心配なんだい?


We will be fine

私達なら大丈夫さ


it’ll turn out all right

上手くいくよ。


OK.

仕方ないなあ。


I'll tell you what

じゃあこうしようか


Let's run to Horizon of the sea.

海の水平線までかけっこしよう


First to goal wins

先にゴールした方が勝ち


Let's have the greatest dream

最高の夢を見よう


I will help you as much as I can

できる限りは手伝うからさ


Let's make a wish.

願い事をしようよ。


I Hope wars will disappear from this world……,

世界から戦争がなくなりますように……


Is not

とかじゃなくてさ。


Wishing for happiness everywhere

みんな幸せになれますように


I Wish people all over the world may live in peace.

世界中の人々が平和に暮らせますように。


That's right

そうそう


I know we'll both move on

私達は別々の道に行くんだ


150 years ago all You and I are always quarreling.

150年前、あなたと私はケンカばかりしてたよね


Those were the good old days.

懐かしいなあ。


Sometimes I wish we never built this 『Lost palace』

こんな場所は作らなきゃよかったと思うときもあるけどさ

 

But――――

でも



I'll talk about this story

私がこんな話をするのは


just because it is you.

君だからだよ


Let's make a wish.

願い事をしようよ


Then,

そしたら


We'll be friends forever and ever.

私達は永遠に友達だよ。






綺麗な夢見の声が聞こえましたね。

サラさんから英語、教わったのかな?


今回の物語では大人しくしている私


こほん、と咳払いなのです。


最終世代を代表し、電から感謝の言葉を申し上げるのです。


皆さん、あの日の暁の水平線を覚えているでしょうか。


かつての大戦から繰り返した海の戦争、世紀を越えた長い長い航路を越えて拝むことが出来た私達、人類と深海棲艦との戦いを越えた先にあった黄金色の水平線の景色。


全く


私と司令官さんが出会えていなかったらこの中から何人が今日の卒業式を欠席してたか分かったもんじゃねーのです!


私と司令官さん、それにお友達の皆さんとは鎮守府(闇)でなくともいつかは出会えましたけどね。


何故ならば司令官さんと私の強い想いはこの海で必ず交差したはずなのです。だから、私が司令官さんと出会えたのも運命。


この場の皆さんも同じく、全ての絆が運命なのでしょう。


電《終わらない夢にピリオドを打ってなお、この海に思い残したことがある人、主に2名がまだ夢から覚めたくはない、と駄々をこねたのが今回の物語の始まりでした。


150年生きた人間もどきも、1つの約束のために粉骨砕身の大正ロマンさんもこのエキシビジョンで報いがあればいいのですけどね。


その報いの要素は今全てこの疑似ロスト空間にあるはずなのです。このお花畑の中にもう会えないはずのお友達も、叶えられかった約束も。きっとこの疑似ロスト空間で花が咲くのです。


この延長に延長された終わらない夢、この場にいるのは終わったのに抜錨地点から抜錨して海にいるどうしようもない船の化身どもですね。


起床を促すがごとく撃沈させて、夢から現実に返してあげるのです。


お友達の皆さんがくぐるべきは


抜錨地点から海ではなく、街へと続く鎮守府の正門。


そう思って今を見ると、艤装をまとうこの景色、足元に寄せる波も、太陽の日差しも、全てがいとおしく思えますね。


雪の日も嵐の日もドラム缶を担ぎ、運営のクソマップ押し付けられて大破しまくった姫鬼との戦いも、今となってはただの思い出に過ぎず


このグラウンドを最終世代の皆さんで見るのも本日で終わりです。最後の海で卒業証書は受け取ったくせにいつまでも正門から出ていかねーのなら、門外まで放り出すまでなのです。


さて皆さん、この春の季節、出会いと別れ。


それぞれ海に来た理由はあるのでしょうが、夢は終わりを告げ、各々あの日途切れた現実の続きに旅立つ日が来たのです。


鎮守府(闇)のルールに則り、ルール内で形振り構わず勝ちに行く。


桜の花弁舞い散るように


お友達の皆さんを沈め散らすことを


ここに誓うのです。






天津風「神風、準備はいいわね?」


神風「応ッ!」


天津風「っ」ビクッ


神風「しかしまったく、うるさいわね。島風の声のつたない発音」


天津風「へ?」


擬似ロスト空間はなに起こるか分からないのは分かっている。

刀の予備も脇差しも装備確認。

あの日、夢のために選んだ覇道に祝福を。


卒業式でも同窓会でもなく、砲雷撃出来ずとも天下無双の艦兵士になる待ちに待った晴れ舞台の日だ。


神風「復讐活劇」


神風「さあ、司令補佐、観ていてくださいね。あなたとの約束を果たすために抜錨します」


神風「Let me show you my everything!!」


天津風「発音上手ね!?」


神風「I only have eyes for you!」


神風「I would do anything to make you smile!」


神風「I'm gonna do it. I mean it!」


天津風「~~っ!?」


天津風「なんてこといってんのっ!」







丙少将「卒業式……こないだまで戦争していた軍を学校みたいにいうか……」


提督「いいじゃないですか。学生時代の友は一生の友となると聞いたことがあります。きっと最終世代の皆さんは生涯のお友達となるんじゃないですかね」


乙中将「そうそう。例えこの卒業式で友達同士、四肢を千切り合ってもお互いに許し合えるはずさ(切実」


北方提督「……さて全員を最終海域へ投入し終えたね。皆のカードがキラキラしてる。戦意高揚状態だよ」


提督「伊13さんと伊14さんが高揚してませんね」


北方提督「寝ずにクルージングさせていたから」


提督「あなたという人は……」


甲大将「念のために観戦者含めて出撃出来る兵士は残しておかなきゃな」


丙少将「悪い島風含めて最初期勢がどんなトチ狂った行動に出るか分からねえからなあ。俺が今回みなに指示した作戦はあくまで戦後復興妖精打倒を据えてるんで、観戦勢も非常時メンバーとして数えてる。それを理解して敵チームにガチで当たっても余裕を残してくれるやつが」


乙中将「青ちゃんと北方さんのところに何人いるかね……」


北方提督「そこに関してはこっちも無策ではないさ。悪い島風ちゃん対策は重要視してはいる。ただ私も准将も今回は私情を挟んでいることは否定できないね」


北方提督「神風」


提督「というかこの箇体の操舵システム忘れてましたよ。まさか最終海域に限って旗艦の航行を操作出来るとは。ディスプレイで確認できる艦隊の航行ルートが明後日に行かない限り、使う必要もないですけどね」


乙中将「ところで青ちゃんのその紙切れなに?」


提督「ああ、これですか」ピラ


提督「スマホのほうの秘書官のタッチシステム、画面には神さんが設定されているわけですが、身体の特定の部位を触ることで神さんに簡単な指示を送れるようにしまして、それ関連の書類です」


甲大将「……なんでこんなに徹底したデータを取ってるんだよ。神風のもろ人体データじゃねえか。身長体重にB・W・Hにほくろの位置とかそれに感度まで数値化していやがる……」


丙少将「お前ってやつは……とことんやるのな……」


北方提督「本当に君は責任を取ったほうがいい。神風の過去、彼女が性に関して病的に潔癖な面があるのは知っているはずだ。女の私でも意味なく触ると怒るくらいだよ?」


甲大将「逆にいえば信頼の裏返しだな」


提督「責任は取って勝利へと導きますとも。そのための今までですから」


提督「この観戦ルームにいる皆さんは和気あいあいとした雰囲気ですが、すぐに静かになることでしょう。今の神風さんは相手が艦娘だろうと、あまりにも容赦がないと思うので」


乙中将「ちょっと楽しみ。そういえば響ちゃんのペンダント、北方さんが預かってるんだね」


北方提督「うん。最終海域で落とすと大変だから終わるまで持っててってお願いされたんだ。ヴェールヌイの存在も感じられる」


乙中将「へえ……」


北方提督(しっかし、やっぱり私は作戦立てて椅子に座ってるってのは性に合わないなあ……龍驤さんと同じく司令官ではなく海でドンパチやるのが性に合ってるのかね……)


北方提督「准将、不安要素なにかあるかい?」


提督「やはり気になるのは初霜さんと悪い島風さんの度合いですかね……普通に考えて大きな理不尽飛ばしてくるのはこの二人だし、後はうち所属の子達がぷらずまさんやわるさめさんに対して無策だとは絶対に思えないし……」


提督「少し探ろうとしたんですが、瑞鶴さんと龍驤さんには着拒されていましたし。そこは徹底したのか瑞鳳さん翔鶴さん金剛さん榛名さんから着拒されていたのはさすがに心をえぐられましたね……」


丙少将「ギャハハ、お前と喋ったら負け。さすがによく分かってる」


神風《さあ、司令補佐、観ていてくださいね。あなたとの約束を果たすために抜錨します》


神風《Let me show you my everything!!》


天津風《発音上手ね!?」》


神風《I would do anything to make you smile!》


神風《I'm gonna do it.I mean it!》


天津風《~~っ!?》


天津風《なんてこといってんのっ!》


提督「ふむ、声も聞こえますか。でもなぜ急に英語で喋ったし……」


乙中将「ん? 天津風ちゃん顔真っ赤だけど、神風ちゃん青ちゃんになんていったのさ? 甲さん英語出来たよね!」


甲大将「あいつの雰囲気的にそうだなー……」


甲大将「『あなたが私の全てだと証明してやろう』、『私はあなたを笑顔にするためなら、どんなことでもする』、『やってやるぜ!』って感じで合ってると思うぞ」


甲大将「ギャハハ、どれも愛の言葉だぜ。好かれてんな」


提督「そうですね」


乙中将「さすが。淡白だね……」


丙少将「照れているなら可愛げもあるんだけどな……」





神風「……あ、タッチ利用した言葉文字!」


神風「ふむ、ふむ……」


天津風「准将から指示でも? なんて?」


神風「内緒♪」


天津風(嬉しそうね……ま、士気があがったのならそれでいいか)




漣《……准将、私、指定位置に移動中に神風の声が聞こえたんですが》


提督「ん?」


漣《イチャイチャしてんじゃねーぞ! 自爆しろキラークイーン!》


提督「」



2



速水「いよいよ始まりますね!」


明石君「そっすね。しかし、このカメラ、どうやってくまなく撮影してるんだろ。この想力仕様の撮影技術はちょっと解明してこちらの世界で活用したいもんですね」


秋雲「私服スタイルの人多くね」


明石君「だがそれがいい」


秋雲「観戦ルームが御披露目になった瞬間、この席を確保してくれたのは助かるねえ。観やすいし」


陽炎「皆の中破大破をベスポジで見たいがためってとこか」


明石君「陽炎さーん? 今回はそんなストリップ観る気分じゃないぞ。やっぱり皆が根性出して戦うところ良い位置で見たいだろ? 後は速水さんとお喋りする話の種が尽きないからな」


速水「話の種は尽きなくとも、盛り上がるかは正直微妙なところですね。画面の向こうは決して和気あいあいになるとは思えませんので……言葉が出なくなる可能性も」


明石君「電さんとわるさめに加えて例の神風か……」
















【想(思)想(愛)想(心)想(望)想(素直)】



――――ア――――イチヤノ――――


【想思考:トレース・人格構築完了失敗・容姿構築失敗・想、検索完了・想基艤装経由:演算応答】


――――ウォ――――オオオ――――


【イントレース、イントレース!】


【Re;boost】


【error】



――――スイキ――――?


【Re;boost】


【error】


【Re;boost,Re;boost,Re;boost,Re;boost,Re;boost,Re;boost,Re;boost,Re;boost,Re;boost,Re;boost,Re;boost】



【Re;boost――――!】


ユメ――――


【思考:生きる】


【妖精構築システム】


――――イルナ?


【運営管理権限により想に質量付与】


11111、111、44444、111、3333、888。


【Live myself to the fullest】


――――ソコニ。


――――棺カラ――――



【2ワ●:なにか忘れているような】



赤城「あら……空を獲りに来たのは飛龍さん蒼龍さん瑞鶴さん翔鶴さんに瑞鳳さんですね。あちらは私達に勝ってもその後に戦後復興妖精との戦いがあるのに、余力を残す気はないのかしら」


日向「潜水艦もいるなー。上ばっか見ていると魚雷に当たりそうだ。私は空母とは戦いたいが、潜水艦を瑞雲で捻ってもおきたい。実に悩む局面だ」


加賀「陣形のポジショニング、順次発艦の様子からして、龍驤が妖精可視の才を使って皆の艦載機になにか吹き込んでますね」


赤城「うーん……あ」


赤城「私は位置取りを変えてとりあえず観てますね」



2



天津風「ええと、いきなり全力で空を獲りに来たのはこっちが夜戦仕様だと知っている上よね……」


天津風「じゃあ、電さんの出番よね?」


電「ふむ、私もそう思うのですが、天津風さんは見落としありそうなので進言なのです」


電「制空権争いにおいてこちらは私の性能を駆使してなければ負けます。グラーフさんとサラトガさんは制空権を重視した装備ではないので1航戦と瑞雲信者で戦うことになりますから。よって明らかに私を誘っていますし、私が出るしかないのですが、この水上レーダーMarkⅡでキャッチした背後の初霜さんが気がかりです」


電「龍驤さんは猪口才上にこんな序盤に分の悪い賭けをするとは思えないのです。瑞鳳さんもいるのなら尚更ですね」


天津風「1つしかないじゃない。勝てる、と見込んでる訳よね。その空母棲姫と北方棲姫と海月姫にリコリス棲姫の艤装と空を争って……」


天津風「もしかして例の初霜がなにかやってる……?」


天津風「……、……」


天津風「もしかして海の傷痕装備の海色の想で艦載機無限補充とか。あはは、あり得ないわよね……」


電「そ れ な の で す」


電「それなら私に勝てると判断するのは打倒。私の装備の燃料弾薬オート回復のサイクルでも勝てませんね。お友達の皆さんの艦載機の種が尽きなかったら、天津風さんの考えで当たり」


電「加えて可視才で策を練れば私の艦載機と張り合ってくる気がするのです」


電「ま、とにかく別動隊の私達は私達でやらせてもらいますよ。ああ、夜までは生き残るつもりなのでご安心を」


電「それではケンカを買いましょう」


電「全機発艦なのです」


電「あの海でお友達がどのくらい成長したのか、実に楽しみなのです。まあ、私は今回は脇役に徹しますけどね」


電「神風さんと司令官さんのために」


天津風(うーん……それなら龍驤さんが発艦させてない理由がよく分からないのよね。それに大鳳さんと隼鷹が出て来てないし……)










神風「……」


長月「さすがに序盤の制空権争いの時に突っ込めば対空の自衛で精一杯の良い的だし、明確な自殺行為は控えさせてもらう」


菊月「千を越えそうな艦載機のいる戦場、しかも電のは射程に入れば敵味方関係ないからな……」



3



初霜《空母の皆さんに念を押しますが、今ある海色の想は(仮)なので即時補充は難しいです。各自20秒前後でお考えを。それと私が攻撃されて回避に移る場合、更なる遅延が予想されます!》


空母一同《了解!》


瑞鶴「おちびの蝗害航空機を確認! 西方を単艦で奪取した悪魔的アウトレンジが来るわ!」


龍驤「電のやつが誘いに乗ってきたで――――!」


龍驤「総員、気を引き締めてかかれ! はっつんに加えて防空には卯月と秋月照月もおるけど、油断大敵やで!」


龍驤「指定された艦以外は引き撃ちやよ! わるさめと神風は懐に入れたら一貫の終わりやからな!」


瑞鶴「あの3人の内どいつかはここで沈めて観戦に回してやるわ!」



4



由良「本当に空母の姫複数と戦っているような光景だね……」


阿武隈「これでも正面からだとやや劣勢という。さすが我らの電さんですね……でもでも、あたしのやる気も上がって来ましたよっ! こんな清々しい気持ちで戦えるのも戦争終結した故ですかね!」


秋月「ですね! 電さんにはお世話になりました。恩返しの意味も込めて私達の強さを思い知ってもらいましょう!」


照月「さて、私の腕前をお見せする時! 鉢巻きギュッとして! 見慣れた姫の艦載機から皆さんをお守りします!」


阿武隈「じゃあ、手筈通りに行きますか! 私の予想では」


阿武隈「神風さんが針の穴を縫うような精密航行で突っ込んでくるはずです! 私はちょっと戦いたくないので、そこは意気込みのある卯月ちゃんにお任せします!」


卯月「苦しゅうない。長月菊月望月三日月の相手もしたいぴょん。神風には悪いけども、これまで見ていた感じ、あの速度じゃあの紙装甲を補うにはまだ足らんし」


卯月「小細工すればうーちゃんが当てられるレベル」


卯月「鉢巻きしめて行くぞー!」ギュッ



* 観戦ルーム



青葉「いいですねいいですねえ! 苛烈な空の争いの中、出陣する秋月照月姉妹+卯月の我が軍が誇る防空のスペシャリスト!」


球磨「序盤から熱い展開クマー!」


多磨「ふわあ……」


甲大将「お前らも出てくれりゃ良かったのに」


多磨「やる気が微塵もないにゃ。ログイン勢……」


青葉「これは観戦が正解でしょう!」


球磨「いくら大将の頼みでもあの中に飛び込むとか冗談じゃないクマ! 安全な場所から観ていられるから楽しめるんだクマ!」


甲大将「まあ、それもあるか。観てんのも確かに楽しいな。私としては四駆がトラウマ負わなきゃそれで構わないかね。神風も電もわるさめも相手が例え曙、潮や朧だろうと関係なしでいたぶるだろうからさ……」


球磨「間違いないクマ……」


多摩「漣も入れてやって」


速水「しかし、噂には聞いていましたが、電さんの性能はこうやって直で観ると圧巻の一言ですね。2航戦5航戦+瑞鳳さんを加えてもやや劣勢……最高戦力と呼ばれるだけはあります」


多磨「准将が画面の前でなんか考え事してるにゃ……」


提督「……」


青葉「准将さん、どうしました?」


提督「この戦いを頭の中でシミュレーションしていたのですが」


提督「そういえば」


提督「なにか大事なこと見落としている気がしまして」


提督「……?」


青葉「今後の展開の予想ですか? ぜひとも解説お願いします!」


提督「……秋月さん照月さん卯月さん」


提督「潜水艦のゴーヤさんニムさんシオイさんにイクさん。刃の届かない海中にも仕込む神風さん対策は完璧に近いですけども」


提督「今の神さんを止めるには至らないと思いますね」


提督「というか、はっつんさんの性能が予想よりも狂ってる……」


乙中将「ああ、あの子は若葉ちゃんと本気で戦いたいのと、電ちゃんやわるさめちゃんを倒して青ちゃんの評価を上げたいらしいよ。僕への恩返しも含めて勝ってくるとさ。やる気は十分だよー」


提督「個人的に応援したくなりますが、今回は敵です。終わるまでは控えますかね……」


提督(神さんは初霜さんに負けないくらい強い。けど……それはポテンシャルの話で現時点では卯月さんにも負ける、かな)


提督(問題は……やはりあの機動性の犠牲になった装甲)


提督(仮に経過程想砲が出てくれば弾着で瞬殺されること……)


青葉「准将准将、先に潰しておいたほうがいい人達くらいは指示したんでしょう? 誰を先にリタイアさせておきたいですか」ヒソヒソ


提督「4駆と白露型の面々ですね……特に白露型は総合性能高いので……一人に絞れば総合力の一番高い」


提督「時雨さん」


青葉「ふむ……」


甲大将「あ、龍驤が神風を止める気だぞ。勇気あるな」


提督「マジか龍驤さん……」


提督「神さんはあなたの天敵だと思いますが……」


提督(それとは別に……始まってからのこの嫌な予感はなんだ?)


提督(なにか致命的なことを見落としている……)


提督(いや……思い出せない感じ。忘れている、のか?)


提督「……、……」


提督「忘れさせられてる、のか?」



【3ワ●:開戦】



ガガガガガガガガガガガガガガ

ガガガガガガガ!



金剛「ベリーグッド! 艦載機の地力で劣っていてもあの防空3人娘のお陰で優勢デース!」


ドンドン!


比叡「しかし、当たりませんね……砲撃精度による砲撃重ねのあの技、本当に止めて欲しいです……」


霧島「この艤装反応、江風と木曾と、伊13と伊14ですね」


榛名「対潜と対空には曙さんと朧さんがいますし!」


朧「対潜対空装備詰みの護衛仕様ですから、頑張りますよー!」


曙「ちなみに双子のほうは始まる前にちらっと見たけど、完全に赤疲労だったわ。クソ提督にクルージングやらされまくっていたからだと思う。敵だけど、彼女達に爆雷を当てたくないわね……」



2



飛龍「本当に来た。蛮勇としか思えないけど、あの子に関しては理解しようとしても仕方ないよね」


蒼龍「無条件に称えたいと思うと同時にここまで本気でお相手しなきゃ失礼と思わせる子も初めてだ」


瑞鳳「す、凄いってレベルじゃないですね。あの艦載機の群れの中、針の隙間を縫うように航行しています。漫画みたいに未来余地とか数秒先の景色が見えてるかのような動きですよ」


翔鶴「砲雷撃も出来ない上で研ぎ澄ましてきた兵法、異例の兵士ですからね。あの精進の賜物には敬意を払う他ないですが」


翔鶴「あのような過去の大和魂のみの戦い方に最終世代の正規空母が不覚を取るのは名折れです」


飛龍「敵ながら天晴れだけども、翔鶴のいう通り意地があるからね。空母の兵法を否定するかのような行動を諌めてあげないと」


飛龍「よーし! 第2航空隊攻撃の要を認めよう!」


飛龍「友永隊発艦!」



……………


……………



龍驤「戦後復興妖精が出てくる前に死地に出て来るかー……」


龍驤(なめとるわけやないし、むしろ最大の敬意を払ってる。あの適性率であそこまでがんばるやつは軍の歴史でもあいつだけやろ。やけど、その距離をただ詰めて仕留める戦い方はな)


龍驤(深海棲艦海軍の歴史で軍が切り捨てた戦い方やねん。島風に姉妹艦がいないのと似たような流れが艦兵士にもあってな、戦略戦術が煮詰められた現代はそーいう戦い方は悪手いわれてる)


龍驤「それしかなかった。いやいや」


龍驤「共感できるでー。うちも赤城と加賀に勝つためにお前みたいに無我夢中で技を研ぎ澄ませていた時期があったからな!」


龍驤「龍驤さんが相手したるよ!」


龍驤「神風!」



3



神風(秋月照月卯月……龍驤、さんか)


神風(資料読んだ限り変な空母よね。式神そのものを加工したり、妖精可視才の使い方の技術、太陽の光とか水柱、周りにある全てを利用して来る。空母なのに前に出て対1したら戦艦にも勝つとかいうユニークな素質。元帥にもスカウトされたんだっけ)


龍驤「――――、――――、――――」


神風(私を明らかに狙ってる艦載機が115か……)


龍驤「ん? 両舵速度落としてスローダウン……?」


龍驤「抜けてきたか……」


龍驤(せやな。砲弾でも艦載機でも物理法則をガン無視しとるわけやないもんな。スローアップの緩急で飛龍達の一波を抜けたら、艦載機はターンまでに数秒はかかるし、その間狙いはつけられん……)


龍驤(そのまま空母に突っ込めば、艦載機も下手に撃てへんしなー。可視才で飛龍達を巻き込むような攻撃は控えるよう指示してあるし。ま、うちを切り抜ける気満々やね……)


神風「む、爆撃機……この精度は蒼龍さんの彗星か……」


龍驤「あはは……馬鹿みたいに真っ直ぐ進むから、少し進路制限さえ出来たら被弾するで。そのためにこの序盤で」


龍驤「卯月を近距離に出したんやからな!」


ドンドン!



4



卯月「む、今のは文句なしのスナイプ砲撃だけど」


照月「神風さんの耐久は潜水艦並みで10あるかないかですよね。なら直撃で大破じゃないんですか?」


卯月「砲弾に砲弾重ねられて弾かれた。それも超高難易度でアブー級にしか出来ん横から重ねだぴょん……」


秋月「なんですかその馬鹿げた砲撃精度(震声」


照月「砲弾に超磁気性でもあるのかな(震声」


卯月「通信きたぴょん……」


《やあ。鎮守府(闇)の最強の駆逐艦なんだって?》


卯月《響かー……》


響《卯月さんの相手は私がしよう》


響《鎮守府(闇)最強駆逐艦の私が》


響《特別に胸を貸してあげる》


卯月《通過点だぴょん! この戦いで》


卯月《うーちゃんが全力で潰したいと思ってるのはお前じゃねーし!》



【4ワ●:神風vs龍驤】



龍驤「まだ突っ込んで来るんやね!」


龍驤「相手してやるで! 全機発艦!」


神風「……話にならないわね」


神風「全機発艦してないし、背中に弾着用の烈風流星彗星忍ばせて……木を隠すなら森の中、わざわざ制空権争いしてる海に出てくる訳ね。太陽直視の目眩ましまで計算して小賢しい!」


龍驤「!?」


神風「もう捕まえた」


神風「鎮守府(闇)お得意の根性値」


チャキ


龍驤「速――――!」


神風「私の刀の前には意味ないから」



………………

………………

………………



神風(獲った。首斬られて生きてはないでしょうが)


神風「艦載機の発艦を許した……流星」


神風「抜――――刀!」


神風「よし、間合いにいる内に斬り殺せた……後は」


神風「あなたか」


ザッパーン、ガシッ


伊58「捕まえた。その流星の操縦妖精が握ってる式神、彗星に変化するでち。友永隊と江ノ草隊も狙いを定めてるよー!」


神風「……」



*観戦ルーム



速水・陸奥「」


乙中将(会場の皆さんが首チョンパ光景を見て絶句してる……)


龍驤「もともと相討ち覚悟やっちゅーねん! 彗星ちゃん! いてもうたれコラー!」


丙少将「当の本人は超元気……!」


乙中将「つーか龍驤さん退場速いよ!」


龍驤「なめとった訳やないよ! 予想の上を行かれるって計算して大道芸まで仕込んでおいたしな!」


ドオオン!


龍驤「よっしゃ彗星ちゃん攻撃したで!」


神風《……ちょっと危なかったわ》


龍驤「はあああ!? ゴーヤの足止めホールドに加えてうちの不意討ちに友永隊と江ノ草隊の編成を無傷で抜けた!?」


乙中将「神風ちゃんの足首をつかんだままの手首が……」


丙少将「即座にゴーヤの手首を斬り離して離脱してゴーヤを艦載機に向かって投げ飛ばして防いだ……」


丙少将(そこまでやるかガチ勢マジ怖え……)







北方提督「……、……」


スヴァボーダ「ホーホー」


提督「そういえば北方提督さん」


北方提督「なんだい?」


提督「例の珊瑚の件について暁さん達と喋りました?」


北方提督「喋ってないよ。禁句だろう。瑞穂さんが鹿島さんにあの悲劇の犠牲者のことを語るようなものだからね……」


提督「自分も詳しく聞いてはいませんが、気にしてますよね?」


北方提督「藪から棒に……」


北方提督「あの撤退作戦で大和を失った君なら分かるだろう。最も兵士の命は統一ではなく、君はレア度桜の大和、私は比較的適性者の多い暁型だ。3人とはいえ、処罰の具合に大きな差があったけどね。私はその件で軍法会議とまでも行っていない」


北方提督「そんな私が提督続投させて北方鎮守府に置くだなんて元帥は時々なにを考えているか分からなくなるよ」


北方提督「甲大将も秋月を失ってるのにあなたも大将にまでなった。異例の早さだ」


甲大将「うるせえ……秋月の件はいうな」


甲大将「分かるだろ。立ち直るとか忘れるとかそういうことで解決しねえんだ。ましてや割り切れるかよ」


北方提督「そうやって提督も海に縛り付けられて行くんだよねえ……」


甲大将「私は家柄もあった。七光りの部分を元帥に目えつけられた。嫌だって断ってた内に木曾達が急成長して戦果を持ち帰ったからな。私の指揮の賜物の地位じゃねえ」


元帥「そんなことはないぞ?」


提督「あ、お越しになられたのですか」


甲大将「ジジイ……大本営から抜けて来たのかよ」


元帥「……大淀から聞いて駆けつけたわ。わしも騙されたが、今に大本営にいる此方ちゃん達替え玉かよ。誰も気付かねえのも戦後復興妖精ちゃんの力だってな。お前ら」


元帥「これどういうレベルの事態か分かってる……?」


元帥「とかいう話も置いとくか。大淀から全部聞いて察したからな……」


元帥「長月&菊月ちゃんが小学校行くんだろ? わしがランドセル買ってあげると伝えなければな。孫に買ってあげるのが夢だったんだ」


甲大将「それならちと来るのが早いな」


元帥「艦兵士の手柄は提督の手柄だぜ」


甲大将「……」


元帥「そんで艦兵士も人だからな。色々な性格のやつがいる。分かりやすいのでいえば電ちゃんがあそこまでがんばったのは准将が彼女の提督だったからだ。それと同じく球磨型も江風だってそうだ。基本さえ分かってるのは当たり前だが、一番大事なのは指揮そのものじゃねえんだよな。指揮にも現れるってだけで」


元帥「兵士の素質を最大限に花咲かせるための土の素質だよ。だからアカデミーだって着任希望を善処してあげているし。わしはそこに関してはかなり力入れていたんだがなあ……」


北方提督「……」


元帥「響ちゃんか。わしにとっては3番目の響ちゃんだな。響の適性者は5人も見たが、その中でも最もお前がなに考えてるか分からん響だったわ。あいつのこと好きだったんだっけ?」


元帥「全然伝わってなかったと思うけどな。わしになぜお前が勝手に解体して逃げた理由が全く分からないって聞いたし」


北方提督「……」


北方提督「なあ、なぜ私を提督にスカウトしたんだい? あのまま私は放浪していたほうが良かったのではないかな。私よりも優秀な人材はいたはずだ。対深海棲艦海軍の提督の椅子なぞエリートの席だし、周りの反対まで押しきって選んだ訳が分からない」


北方提督「……珊瑚で暁と雷、響を死なせてしまったのに。あなたは私をかばいすぎだよ」


元帥「ならば、なぜ勧誘を受けた? 同期の暁ちゃんや雷ちゃんにも同じ事をいわれたんだろ?」


北方提督「……」


元帥「ま、それに関してはマジで悪いんだが、私情が混じってる。響ちゃんはわしの中ではいつまで経っても響ちゃんだからねえ。親にとっての子供はいつまで経っても子供っていうのはこんな感じなのかね」


北方提督「私があなたを見た時は丙将席にいたね。あのガタイの良いガチムチからそんな風に見られていたなんて気味が悪いな」


元帥(はあ、なんでわしって駆逐艦に好かれねえんだろ……海防艦からも避けられてたし。雰囲気がジジイの割に妙な威圧感あるからとかいわれたが、それかね……)


元帥「……お前のような鎮守府も必要だとね。サブちゃん、わしの前の元帥な。話していたんだよ。どこもかしこもクソ真面目で奔放に満ちた受け入れ先一つあっても良いんじゃねって」


提督「初耳だ……」


甲大将「確かにあそこを希望するやつはなんというか、悪く言えば自分を諦めてる、良く言えば自分を客観的に見れてるやつが多いな」


元帥「世界広しといえども、あの自由な場所は書類関連の隠蔽や裏工作の手腕も含めてお前じゃねえと維持すんの無理だわ。お前の不手際でわしの後ろに手が回れば」


北方提督「回れば?」


元帥「元帥の席を降りても責任取るだけだ。潮時だと思ってたからな。まあ、このオープンザドア君が無茶苦茶やり出してからはそれじゃ責任取りきれなくなってきて、死ぬか戦争終わらせるかの二択しかなくなって本当に大変な思いをしたけどね?」


提督「すみません(震声」


元帥「あー……気にするな。お前に関してはわしが見誤ってたのもある。丁のやつの教え子とか顔も見たくなかったし」


提督「左様ですか……」


元帥「そーいえばなぜかはよく知らないが近くに駐屯してる露の対深海棲艦海軍も響ちゃんのことすげえ気に入っていたしな。あれか? 傭兵の真似事してた時の連れがいたんだっけか?」


北方提督「戦友、上官だね。彼女から銃の扱い方を学んだ。才能のある女の人だったよ」


元帥(結果論だが、正解だと思うんだけどなあ。艦兵士なんていつ海から去るかわかんねえ。幸い死ぬと分かってるなら街へリリース出来る余裕はあるご時世になったんだからさ)


元帥(……海から去った後のことも考えるべきだろう。どいつもこいつも不幸な身の上背負ってるし、なにより10~20代の若えやつらばっかだし)


元帥(望月ちゃんも若葉ちゃんも三日月ちゃんも隼鷹も神風ちゃんも……)


元帥(生きているどころか、終わった戦いの後であんな風に本気の顔をしてるんなら、少なくとも正解じゃなくとも、間違いでもないと)


元帥「そういうことで勘弁してくれ」


北方提督「……」


元帥「後、准将お前に関しては話がある」


提督「今、ですか?」


元帥「米独仏露のありとあらゆる方面のお偉いさんがお前にかなりの興味持ってる。当局の大本営襲撃辺りからお前の無茶を通すためにありとあらゆるところに借りがあるんだ。話がついたから見合え。強制だ」


提督「そんな! 自分にも最近、将来のビジョンが……!」


元帥「軍は抜けさせん。深海棲艦を海から消した中心の中心人物だ。お前はもはや外交カードの価値がある。対深海棲艦海軍のために残りの人生の半分は自由を奪うぜ。もう一度いう」


元帥「逃 が さ ん」


提督「く、泣きそうだ」


元帥「独り身で要られるとは思うなよ。わしらが今まで好き勝手したツケは戦争終結とは別の支払いで借りてるんだよ」


元帥「わしと違ってお前は若いし、そりゃそんなこともいわれるってもんだ」


甲大将「良かったじゃねえか。相手は?」


元帥「一人すごいのがいるぞ。もろタイプだから、絶対に惚れさせると意気込んでたやつもいる」


甲大将「へえー」


元帥「そいつ男だけど」


甲大将「そりゃ結構なことで……」


提督「」


提督(落ち着け落ち着けー。今は出撃中の皆のことに集中しなければ)


提督「……、……」


提督(神さんに指示を飛ばす場面かな?)


【5ワ●:阿武隈《提督の敗因はあたし達を敵に回したことですね、はいっ!》』】



神風「む、この気配は伊勢さんと扶桑さん? 初霜の後ろから」


神風「!」


神風「文字書かれた……」


神風(……む、司令補佐から退がれの命令……)


クルッ、スイイー


神風(司令補佐にはモニターから向こうの動きを見ているからね……あのヤバい感じは避けたほうがいいか)






飛龍「逃げた!」


瑞鶴「龍驤まで犠牲にした神風潰しの策なのに!」


蒼龍「私達、空母の懐まで来るかと思ったよね。かなり有利な賭博だと見てたんだけどなあ……」


初霜「皆さん、予定通りに旗艦は私が引き継ぎます! 一旦下がってください!」


初霜「友永隊でやっとカスダメ与えられるような人を深追いするのは無しです! 電さんの射程が超なのもお忘れなく!」


翔鶴「……初霜さんのそれの射程範囲外ですか?」


初霜「ええ……形にするのが精一杯で本来の性能と比べて格段に落ちてます」


初霜「神風さんのあの感知能力、厄介ですね。空母の皆さんに仕掛けて来たらあの紙艤装を壊して詰みに出来たんですけど」














初霜「この経過程想砲(仮)で」


蒼龍「艤装を動かす想に繋いで質量化してダメ与える必中砲撃だよね?」


初霜「ええ、威力は弱いですが、神風さんの紙装甲ならけっこうな損傷になるはずです!」


飛龍(この子も大概だよねえ。理屈的にどうなのよ。私にははっつんが魔法使いにしか見えないや……)


翔鶴(……うーん、提督の資料を読んだ限りは想い、確か電気信号ホルモン分泌とかはまた違うって話なんですよね。同感共感理解なんだの、と……ちょっと理解出来ないです)


瑞鶴「はっつん、本気だねー……」


飛龍「でも、こっちも当てられてエンジンかかってくるね!」


蒼龍「こういうのが旗艦の素質だよね」


初霜「若葉も神風さんも電さんも向こうの全員」


初霜「本気なのが伝わってくるので」


初霜「闇の流儀に従い、鉢巻を締めて」ギュッ


初霜「本気です。なにがなんでも勝つ」


初霜「その上でないと勝つ意味も負ける意味もないです」


初霜「最後です」


初霜「皆さんもそうしないと後悔しますからね!」


翔鶴「阿武隈さんから通信来ました」


阿武隈《阿武隈です! 提督はきっとはっつんの仕込みに気がついていますね! はい、確実な根拠はなくとも信じてもらって構いません!》


阿武隈《これからどうするのか向こうの策が透けて見えますよっ!》


瑞鶴《さすがアブー! 龍驤を押さえてうちの第1旗艦を任されただけはあるわね!》


阿武隈《えっへん!》


阿武隈《皆さん、聞いてください。日向さんですが》



















阿武隈《妖精可視スコープ装備して瑞雲に意志疎通。単艦で立体攻撃を極めた航空戦艦の完成系で攻めてくると思うので注意してくださいねっ!》



*観戦ルーム



提督・北方提督「――――――――!」


北方提督「信じられないよ……」


提督「嘘だろ……お披露目までバレないと見ていたそこを見抜いて来るんですか……」


丙少将「ギャハハ! 闇んとこの兵士はお前が思う以上にお前のこと見てたってこったな! 提督冥利に尽きるなオイ!」


甲大将「相変わらず変なこと考えるなー……面白そうだけど」


丙少将「お前のいい方的にまだ策を仕込んでるよな」


乙中将「あの響艤装は適性率こそ再現されているけど、中にヴェールヌイちゃんはいないんだよね」


乙中将「戦後復興妖精みたいにヴェールヌイちゃんを現海界させて利用してくる。そんな策は事前に作戦資料に書いて皆に注意するよう伝えておいたけどね。響ちゃんがいるし、妖精さえ用意しておけば出来そうだから」


提督「」


阿武隈《提督――――! 聞こえますかあ! そっちの声は聞こえませんけどこっちの声は聞こえているはずです! 図星ですよね! 提督のリアクションが透けてみえますよ》


阿武隈《提督の敗因はあたし達を敵に回したことですね、はいっ!》


阿武隈「v(o´ з`o)ピース♪」


元帥「この戦いは皆が楽しそうでいいな。それと身内との戦いが実弾なのももうこの子達にとっては当たり前なんだろーな……」


提督「……」



【6ワ●:日向の瑞雲道と陸上戦と瑞穂ちゃんの憂鬱】



日向「スコープ装着。来たぞこの日が」


日向「航空戦艦日向の夢を私が果たし、歴史に残す」


日向「航空戦艦が日の丸の頂点に君臨する日だ……!」


日向「………ほう、私を誘ってるやつがいるな」


日向「――――、――――」


日向「――――、――――、――――」


日向「例え外付けの妖精可視才がバレようとも、一隻二隻でどうにか出来ると思われるのも癪だなー」


日向《航空戦艦の天辺に名乗りを挙げたい者とお見受けした》


日向《瑞雲を愛する同志、扶桑と伊勢よ……》


日向《私の夢の前に立ちはだかるか》ギリッ



2



扶桑「歯軋りが聞こえたわ」


扶桑「……艦種が同じだと同志と認識されるのかしら。私はただ役目が果たせればそれで十分報われるのに……」


伊勢「暗いな扶桑さん! 日向は飄々としたやつだけど実力自体は折り紙つきだから! 瑞雲瑞雲うるさいだけあって妖精可視才なくてもかなり運用が上手いし、私よりも強いですからね!」


扶桑「いえ……いつも不幸担当だったから最後くらいは」


ドンドンドン!


扶桑「私の頭の中で描く理想を越える結果で終わりたいですね……とは」


伊勢「お、おお! この距離から日向の瑞雲に当てた!」


扶桑「景気つけの砲撃、無駄にならなくてよかった。47機って日向スロットに瑞雲ガン積みじゃないの……」


伊勢「増設になにか仕込んでる線はあるけどね。対空装備は貧弱だから警戒徐行の動きしながらスナイプしようかな」


扶桑「こちらの陣営も動きに自由なところはありますからね……始めから駆逐の護衛がないのもなにげに初めての経験だわ」


ドンドン!


伊勢「編成を私の砲撃タイミングでばらした……妖精可視才でなにを指示したのかな」


扶桑「航行軌道と戦術ですね……1波が通りすぎて後ろから回り込んできますし、タイミング的に2波と多方面から……」


ガガガガ


時雨「3機撃墜だ。妖精さんは純粋で周りが見えてないよね。1波の瑞雲はそんなに練度高くなかったようだ」


伊勢「あ、時雨ちゃん来てくれたんだ!」


時雨「阿武隈さんの報告を受けて駆逐艦が要ると思って」


扶桑「白露と夕立と一緒に、例のバグった妹のほうに行かなくてもいいかしら?」


時雨「僕にとってはこっちも大事だからね。ほら、前に僕が建造して最初に見たのはレイテの記憶だっていわなかったかい?」


扶桑「聞いたわね……」


時雨「色々な意味で特別なんだよね。だから僕はアカデミーの頃に訓練を頑張って乙中将の鎮守府に着任したんだ。特注の鉢巻をもらってびしっと締めて頑張ってきたつもり」


伊勢「日向が砲撃体勢に入ったよ。装備的に弾着は難しいけど、それでも戦艦で、精度の程は知ってるよね」


時雨「大丈夫大丈夫」


扶桑「慢心していると一気に不幸に傾くわよ……」


時雨「鎮守府に着任してから海の傷痕戦の最後の海まで」


時雨「僕が扶桑さんを守れなかったことがあったかい?」


扶桑「……ないわね」


時雨「今回も同じ。油断も慢心もしないよ。さ、鉢巻締め直そう」ギュッ


時雨「僕は前に出て瑞雲を減らしながら牽制してくるよ!」



………………


………………



伊勢「頼もしいねー……」


扶桑「思えば時雨には山城ともども助けられてばかりね。主砲で日向を沈めてその恩義に応えてあげましょうか」ギュッ


伊勢(出来れば夜までには数的に優位に経ってはおきたいんだよね。夜で怖いのは主に向こうにいるし……ん?)


伊勢「後ろ、長射程の距離に山城さん?」


伊勢「陸地にいる……?」


伊勢《あー……こちら伊勢です。山城さんですよね? こっちについてくれたんですか》


山城《当たり前じゃない。扶桑お姉さまと時雨がいるなら大丈夫だと思うけど、あの日向は強いからね。日向が射程に入った瞬間、素質性能を生かしてここから支援射撃で撃沈させてあげる》


伊勢「山城さん……かなり遠いけど砲撃精度は」


扶桑「ああ……大丈夫ですよ」


扶桑「山城は地に足ついた陸から撃つと精度が段違いで高くなる子なんで射程ギリギリでも期待できます」


伊勢「山城さんそんなワイルドな素質を持ってたんですね……」


伊勢(4体1、これは日向が瑞雲の使い方を変えるか他の誰かに私達の後方を索的されない限り、山城さんの存在はバレないかなー……)



3



日向「機銃で瑞雲相手にしながら砲撃こなすとは器用なやつだな」


日向「そう言えば私が建造されてからもう10年も経つのか」


日向「春と太陽に光る水飛沫」スイイー


ドン!


日向「まあ、駆逐艦なら主砲副砲装備していなくても空砲で2発当てればいけるか」


日向「いかんいかん。この好きに喋る癖、どうにかしないとな」


時雨「獲っ……た!」


ドンドン!


日向「……獲った」


時雨(あ……しまった。殴り落とされたし、砲撃準備完了の、3方向から瑞雲……)


ドオオオン!


時雨「痛っつ……! 大破寄、」


ドン!


日向「爆煙で姿の視認はできないが分かるぞ。じゃあなー」


チャパン


日向「まず一匹」


日向(といっても妖精可視才駆使した瑞雲でも11機やられたか……それにしても駆逐艦っていうのはどいつもこいつも距離を詰めて来るのが好きだな)


ドンドンドンドンドンドン!


ドンドンドン!


日向「くそ、避け切れなかった。クリティカル被弾、中破か」


日向(……? 伊勢と扶桑の装備は主砲2つで3連装砲を掃射してきたが、確かに聞こえた主砲音の数が合わんな。新手か? どこに?)


日向(まあ……これは自分の勝ちを優先していい最高の戦いなんだ)


日向「私は沈むまで敵に背は向けんぞ」







「海の中からこんにちは!」






パシッ


時雨「今度は獲った!」


ドンドン!


日向「っ!」


日向「大破した……」


日向「……、……」


日向「く、瑞雲にお前を注視させておけば……」


日向「大破損傷と同時に艤装外して海に潜ってたのか? なんだ、その対艦兵士用の海のサバゲー戦術は……」


時雨「日向さんが主砲装備してたら終わってたよ。スロット全部に瑞雲なんか積むから、こんな猫だましにひっかかるんだって……」


時雨(最もそれで四人相手に戦えている日向さんがおかしいんだけどね……)


時雨「まあ、見ての通り……空砲で一矢報いた程度……」


日向「そうだな。装備はその近くに浮いてた主砲以外はないし、航行不可の良い的だ。介錯してやろう」


日向「無論、瑞雲でだ!」



ドンドンドン!



日向「!」


伊勢《支援の山城さんもいるのでした!》


日向「山城とかどこから……くっそー……無念だ」


パチャン


時雨(……さっすが、やっぱり戦艦は倒されるにしても、倒すにしても華があるね。日向さんを序盤で落とせたのは大きいし)


時雨「やった。僕も命拾いした♪」






山城(よし、後は伊勢と扶桑お姉様が仕留めるでしょ。次は向こうの闇の連中に演習時の借りを返したいわね。でも一番借りを返したい卯月が味方なのよね……)


山城(ビンゴブック1位の神風は射程から外れてるし……あいつには避けられて感知までされそうね。ホント感覚が電探化してるとか信じられないわ……)


山城「ここからの射程で一番潰しておいたほうがいいのは響かしら……」


山城「……、……」


山城「――――っ痛!」


山城「誰!?」


クルッ


若葉「腕一本落とされてそんなに元気に叫べるのか……」


山城「若葉!? あんた確か遠くの大和の所にいたはず。いつの間に私の背後に……というか私、探知してたのにどうやって気付かれずにここまで来たのよ!?」


若葉「資料通りの根性値……さすが地元伝説の元ヤンだな」


山城「あんたも私をそういうのね……だーかーら、それに関してはヤンキーとケンカしただけで私はヤンキーじゃないわよ!」


山城「って、あんた艤装つけてないの? 軍刀一本……」


山城「とりあえず動くな」ジャキ


若葉「増設に機銃か。蜂の巣にされそうだ……」


山城(もしかして大和ご一行の電探にひっかかって位置がばれたのかしら)


山城(この子、全身が濡れてるわね……今まで電探の探知にひっかからなかったってことは……うそー……)


山城「あんた艤装外して何十キロ泳いで来たのよ(震声」


若葉「聞いてくれ」


山城「あ?」


若葉「私は敵を殺さずに勝ちたいんだ。准将は私の舵を上手く執れるといったからスカウトを受けた」


山城「なによ、その純度100%電みたいな綺麗事は。うちの初霜や白露型ですらそんな夢は見てないわよ……」


若葉「作戦書には『今回は例え相手を殺しても死なないから、撃沈させるのは命を奪わずに勝つのと同義ってことで』って書いてあった」


山城「あの闇の提督はそういうやつよ。次からはただのなんてことない約束でも書類できちっと契約して、更に誓約書を取りなさい」


若葉「……ま、指定海域内から出れば強制離脱になるから、強制撤退を絡める手もあるんだが、どいつもこいつも命ある限り戦うって感じだ」


山城「……、……」


山城「ねえ、あなたは不満そうだけど」


山城「結論から目を逸らしているだけでしょ?」


山城「言葉で解決するような問題じゃない。なのに出てくるってことは戦うしかないってさすがに子供でも分かることだしね」


山城「神風と同じ。艤装なかろうが才能なかろうが、海になにかを求めているなら、後は○るか○らないかの繰り返し」


山城「敵も仲間も殺したくないとか」


山城「出来るけどね」


山城「もしも世界中の敵があんたを見て無条件で降伏するようになればね。でもそれは戦争終結とか」


山城「比較にならない程の大きな夢」


山城「あなたには叶えられなかっただけ。夢から覚めたのなら」


若葉「……」クルッ


山城「そろそろ現実と向き合いましょうか……って逃げるのね。私、柄にもなく優しさを見せてたのにショックだわ……」


山城「じゃあ」


山城「飴の後の鞭ね」






若葉(ごもっとも……だから戦場に来たんじゃないか)


若葉(あの子供を諭す感じ、私はずいぶんとガキに見えるんだな。見た目と理想からして仕方ないか……)


ドンドンドン!


若葉「木々が粉砕されて……」


山城「待ちなさいよゴルア!」


山城「こう見えても年下には優しいほうだから!」


若葉「鬼の山城と呼ばれたお前が優しいとは思えんぞ!」


山城「それは軍艦のほうのしごきの話でしょうが!」


若葉「艤装の主砲ぶっ放しながら辺りを平地にして追ってきてるのか……重戦車かなんかか」


若葉「航空戦艦ってなんだ」






瑞穂「全く、付き合ってられないわ。出れば解体してもらえるらしいし、出たから後はじっとしてよっと。瑞穂ちゃん戦う理由なんてないんだから」


瑞穂「陸地でじっとしてれば終わるでしょ」


瑞穂「負けそうならすぐに離脱してリタイアして、勝ちそうなら最後に残った満身創痍のやつをぶちのめして願いを叶えてもらう。これが瑞穂ちゃんの作戦ー」



ドンドンドン!



瑞穂「ん?」


山城「待てっていってるでしょうが!」


若葉「待ったら身体に風穴開くだろ……」


瑞穂「右腕のない女が鬼の形相で主砲ぶっぱしながら子供を追いかけてる場面に瑞穂ちゃん遭遇ス――――!」


瑞穂「なんで艦娘が陸地で走り回って戦っているの!? あり得ないんだけど!」


山城「……ん? あんたは」


瑞穂「げ、あんた山城……敵だっけ?」


瑞穂「あ、瑞穂ちゃん戦う気ないからね?」


山城「……」


瑞穂「そうだそうだわ。あなたとは気が合いそうって思っていたの」


瑞穂「あなた不幸とか言われてるけど、瑞穂ちゃんに比べたら超勝ち組だからね。不幸自慢最強は瑞穂ちゃんだからね」


瑞穂「私は愛した提督にスライムみたいにされて、先代丁准将にモルモットにされて海の傷痕に深海棲艦のスイキちゃんにされた挙げ句に先日、勝手に甦らされたの。不幸者同士、気が合いそうかなって瑞穂ちゃんは思ってたのよ」


瑞穂「運に恵まれないこの気持ち分かってくれるわよね……自業自得な面もある分、ほんと救いがなくてさ……」


瑞穂「瑞穂ちゃんいなくなったらわるさめのやつが泣きそうだから全てを諦めて死ぬこともできないのよ……」


山城「……く、色々な意味で泣けてきたわ」


山城「今は見逃してあげる……早い内にリタイアしてちょうだい」


瑞穂「ありがとね。良い友人が出来たわ。帰ったらお互いの不幸に乾杯しましょう」


瑞穂「それとこれはアドバイスだけど、不幸体質を自覚しているのなら深追いしないほうがいいと思うの……あ、行っちゃった」


瑞穂(あー……レッちゃんとネッちゃんならこういう趣旨の戦いはわるさめと一緒になってめちゃくちゃ楽しむんだろうけどねえ)


瑞穂(あの二人はリコリスやセンキ、チューキと仲良く一緒に遊んでるのかな)


瑞穂(残される側って辛いわ……)


瑞穂「涙出てきた……くそ……」













瑞穂「――――ん?」


瑞穂「あれ」


瑞穂「疑似ロスト空間だし、ワンチャン? 瑞穂ちゃんなら皆の想を呼べる?」










瑞穂「……なんてね。ごめん」









瑞穂「私の寂しさ紛らわすために皆を起こしちゃ悪いわよね」



6



山城「っち。海に逃げられた。あの子ホントに泳いできたのね(震声」


山城(しかし、ぶっきらぼうな見た目とやる気のなさそうな雰囲気とは違って根性はあるじゃないの)


山城「っ! 砲撃音ね。聞こえるわ。遠くからでもね……」


山城「――――攻撃、」



山城「超長射程から」



山城「大和型!」






大和「さて武蔵、山城さんをリタイアさせますか」


武蔵「ああ、全力だ。陸の形が変わるかもな」


大和・武蔵「主砲一斉掃射、凪ぎ払え!」






若葉(うわ、大和と武蔵の三式弾が島を火の海に変えた)


若葉(しかも、なんだ。大和型は相手が人間サイズでも超射程から砲撃当てるって噂はホントだったか。武蔵の三色弾を浴びて山城が火だるまじゃないか……)


若葉(大和型はおっそろしい兵器だなー)


山城「――ク――ア――――こ――――す!」


若葉「鬼の形相で海に出てきた……」


旗風「到着です!」


若葉「ああ、艤装持ってきてくれたか。助かる」


旗風「いえいえー。それにしても山城さん……大炎上、右腕の肘から先がなくて、皮膚が焼けただれてなおあの鬼のような闘志、怖すぎます……」


若葉「神風と同レベルの根性値を持ったやつがうようよいる。将の艦隊ってのはやっぱり凄いな」


若葉「出るか。さっさと山城どかして次に行かないと、だ」



7



山城(熱っつ……もう持たないわね……どいつかを沈めておきたいところ。大和型なら文句ないけど)


ドンドン!


山城「左腕があれば、駆逐の主砲くらいは、弾けるわ」


若葉「……」ジャキン


山城「……覚悟を決めてきたわね。遠慮なく!」


ドンドンドン!


山城「避けられた!?」


山城(妙に動きが軽やか、ね。あの航行の違和感はなに? 若葉って確か――――)


山城「そうか。あの艤装は適性者の身体に負担がかからない初春型の浮遊ユニットだった、わね!」


若葉「とう」


山城(魚雷? なぜ貧弱な三連装……?)


山城「当たらないわよ! そして今度は外さない」


若葉「魚雷発射っ」


山城「ここでまた魚雷? おっそいわね! もらっ――――!」


旗風「もらいました。頭に血がのぼり過ぎですっ」


ドンドン!


山城「くっそ、さすがにそろそろ退い、て」


旗風「まだ沈まないんですか……」


若葉「いや、終わりだ。右左に魚雷あるぞ。当てる魚雷を撃ったし」


山城「……進路防がれた」


山城(なる、ほど。魚雷って時間差があったわね、忘れてたわ……左と右に動けば、さっきの魚雷に被弾する。かといって私の今の損傷の低速具合じゃ、直線軌道のやつから逃げられない)


山城「当た、る、か!」クルッ


若葉「とう」


ドンドン!


若葉「主砲もある。この距離なら私でも外さん」


山城「あー、くそ……やられた」


パチャン


若葉「よし、陸地に戻るか」



* 観戦ルーム



提督「素晴らしい。形振り構わずの姿勢が勝利を呼びましたね」


丙少将「冷静だな。おい大きい響、ほんとお前んとこの兵士どうなってんだよ。ステルスのために泳いで陸地に行くとか特殊訓練でも積ませたゲリラ部隊かなんかか」


北方提督「自由な鎮守府の体質が呼ぶ自由の発想だよ。いや、若葉があんなに根性見せたところは始めて見たかな」


提督「あの子は思考が守りの方面でユニークですね。ほら見てください。陸地にあがった目的が分かります」


甲大将「木々を運んでるよな……?」


提督「簡易泊地を作るのでしょう。位置的にはこちらの皆が寄りやすいベストな場所です。こちらには特殊な夜戦部隊がいることと、長期戦になることを考えての拠点作り」


提督「伊13さんと伊14さんに資材を集めさせてあそこに運び込むつもりですね。明石さんも呼ぶはず。はっつんさんが海色の想みたいなものを作れた場合、そうじゃなくても戦後復興妖精なら無限補給をやってくるとは読めます。明石君の海上修理技能が使えない以上、入渠や補給、明石さんの艦艇修理技能を効率的に行う拠点はこちら側には必要ですから」


北方提督「なるほど、空の争いが落ち着くまで動くのを待つ訳だ。実に良い働きをするじゃないか。後でもふもふしてあげよう」


提督「まあ、若葉さんは大和さん達の火力の読みをミスりましたかね。あそこまで破壊する必要はなかったはずですし」


丙少将「いい素質だな。そういう思考が真っ先に出来る駆逐艦って最終世代じゃ少ないんだよなあ……」


甲大将「旗風も3年のブランクあるのに普通に動けてたな。驚いたよ」


提督「ええ、あの子達も自分達の意思で参加したいと。神さんと同じくあの撤退戦で出来なかった大和さんの護衛」


提督「今度は護ります! って意気込んでおりましたから」






山城「あーあ……大和を倒したかったわ」


日向「お前さえ邪魔しなければ……まだ楽しめたのになあ。ま、私は最後に思う通りに瑞雲を動かせて満足だったよ」


陽炎「お二人はものっすごい溌剌としてましたよね……山城さんなんか物理的に燃えてたのに……」


山城「心頭滅却すれば火も涼し」


陽炎「心頭滅却してるようには見えなかったけどなー……」


陽炎ちゃん「……」


日向「陽炎ちゃんよ、神風のほうを見てどうした? お、夕立と交戦しそうな感じだな」


陽炎ちゃん「個人的には一番神風を応援してますからね。共感出来るんですよ。綾波とか夕立とか雪風とか島風とか、そこらの駆逐艦の適性者は強いって言われるじゃないですか?」


陽炎ちゃん「私も駆逐艦の陽炎でしたから、艤装性能はそいつらに比べて高くなかったけど」


山城「あんたはそれでも強かったじゃないの」


陽炎ちゃん「駆逐艦では陽炎が一番強いっていわれるまでにはなりませんでしたから」


山城・日向・陽炎「……」



【7ワ●:電さん突撃】



瑞鶴「おちびが突っ込んできた――――!」


瑞鳳「うそ! はっつんも控えているのに単艦で来るんですか!」


翔鶴「問答無用で逃げに徹する場面ですね!」


飛龍「そだね! 万が一にも空母が全員リタイアする訳にも行かないし!」


蒼龍「はっつーん! 撤退の方法はどうしようか!」


初霜《電さんからはすでに射程距離に収められています! 闇と乙中将の分隊に分けて2方向にバラけましょう! 私が護衛します! あわよくば経過程想砲(仮)をぶつけて威嚇しますのでっ!》


一同「了解!」


電《闇のお友達が司令官さんに敵対するだなんて、例え遊びでもイラッとするのです……今の電の心境をいうと》


電《戦争にも勝ちたいけど》


電《命も殺したいっておかしいです?》


瑞鶴《胸に秘めてた慈悲はどこいったこの畜生が!》


電《オールトランス》


電《なの!》


電《Death!!》


瑞鳳「ああああ! クールタイムも終わってます! 深海棲艦艤装7種電探反応確認! 最強の海の悪童が来ますう――――!」


瑞鶴「総員死ニ方用意ィ!」


瑞鶴「来るわよ! 戦艦レ級の上位互換みたいな最悪が!」



2



卯月《む、逃げるのかー?》


響(空襲地帯で私と卯月さんも秋月さん照月さんも小破。まああの空母五人を気にしながらあの三人相手に小破なら上出来か)


響「それに、やっぱり」


響(卯月さんの12.7cm連装機銃砲改修装備2丁は威力が装填強化の犠牲になってるうえ弾薬の消費も激しいけど、あの撃ち方的に弾数を気にしていない。戦いたい相手がいるといったし、対空に殉じる訳でもないだろう。なら……)


響(補給……されてるね)


響(近くのはっつんさんかな)


響(確かめるために前に出て良かった)



スイイー


ドンドンドンドオオオン!

ドオオオンドンドンドンドオオオン



響「うわあ……フルトランスの電が十以上の同時砲撃、艦載機発艦しながら突撃してる……」


響《電、空母を仕留めるのかい?》


電《敵対勢力の鎮守府(闇)のお友達を仕留めるのですよ。空母のくせに前線で私を誘うなんて真似するのが悪いのです》


電《多聞丸も狙ってます。あの人の最高練度の友永隊、カスダメとはいえ神風さんに当てたので危険なのです》


電《そういえば暁お姉ちゃんと雷お姉ちゃんは?》


響《雷と暁は伊13さんと伊14さんと行動しているはずだ》


響《私は電につこうかな。といっても少し距離を取るけどね》


電《構わないのですが、私には無差別兵装もありますよ?》


響《最後の海に舞っていた1000越えの深海棲艦型艦載機の空襲に比べたらその程度は余裕だよ、うん》


響《気をつけてね。はっつんさんが海色の想のような装備を工作してる可能性が高い。それが出来るということはトランスタイプに効果絶大の経過程想砲もあるかも》


電《あー、今の深海棲艦艤装は悪質な想は入っておらずともクリアな妖精想で稼働しているので普通に効きますね……》


電《でも心配要らないのです。この距離で使って来ないということはきっと欠陥模倣、初霜さんは最後の海に比べてパフォーマンスが落ちているはずなのです。初霜さんはエンジンかかる前に沈めておきたいのです》


響《それもそうだね。それじゃ、やりますか》


響「……うん? 空母勢が二分隊に別れた?」


響(それとこの艤装反応、一番煙突の長さからして)


響(比叡さん?)



3



蒼龍「全身砲塔は凄まじいけど、やっぱり電ちゃんは近距離以外の砲撃精度は良くないね。あの戦艦棲姫艤装なんてすっごい見当違いの場所いったよ!」


翔鶴「……?」


瑞鳳「そうですね。でも装甲空母の翔鶴さんと瑞鶴さんでももらえば一発で発艦不可に追い込まれる威力で気をつけないと……」


初霜《見事な誘導ありがとうございます。射程に入りました!》


瑞鳳「! では分散です! 飛龍さん蒼龍さん! 生きていたらまた戦場で会いましょう!」


初霜「すぅー……はー……」


初霜《さて電さん、鎮守府(闇)の訓練では最後まで勝てませんでしたが、この疑似ロスト空間のステージなら》


初霜《負けません!》


初霜「探知、接続、質量化っ」


初霜「経過程、想砲!」



ドオオン!



初霜「命ちゅ……へ?」


ドオオオン!


初霜「っ!?」


瑞鶴「はっつん!?」クルッスイイー


ガシッ


瑞鶴「大破したわよ、だ、大丈夫!?」


初霜「い、痛……っ」


電《予想通り装備の過信なのです。私の耐久数値からして海の傷痕:当局の経過程想砲の一撃はその二十倍は重かったですよ》


電《それにその砲撃、ダメージと再装填の時間を考えると、私の再生のほうが速いです》


電《まあ、その貧弱な経過程想砲でも神風のやつには致命傷なので、私はこの戦場のお友達を潰しに来たのです》


電《往生してください》



4



初霜「……、……」


瑞鶴「私達のほうを潰す気ね。でも航行事態はかなり遅いし、逃げ切れそう。長の射程から詰められてないし」


初霜「………、………」


ドンドン!


翔鶴「危ない瑞鶴っ! 」


ドオオオン!


瑞鶴「翔鶴姉、大丈夫……? うそ! おちびがあの距離から当ててきただとう……」


翔鶴「ダメコンは間に合いました。大破より中破の、航行、発艦ともに可です」


翔鶴「どうやら、今の電さんは長でも射程距離範囲内なら今までよりもかなり精度が高いらしいですね……」


瑞鶴「トランスタイプになってからおちびが訓練しているところ、見たことないし、想力とか……?」


榛名《はっつんさんに鶴姉妹さん! 比叡お姉様と一緒にフォローに来ましたよ!》


瑞鶴「金剛型きたー!」


翔鶴《4駆の皆さんは?》


榛名《私情優先で来たので大鳳さんの護衛に回ってもらいました!》


比叡《あ、そうです! 思い出しました! あの精度の種は霧島と一緒にトランスタイプの資料を読み漁りましたので分かります!》


瑞鶴《マジか!》


比叡《電さんはもともと近距離砲の駆逐艦なので中以上の砲撃は苦手、ですが、それ以上の要因としてタイプトランス、深海棲艦艤装と一体化するにおいての精神影響のほうが主な原因だったみたいですね!》


比叡《トランスした深海の負の感情で深海棲艦のように狙いがお粗末になるみたいです! 今回の戦いの趣旨からして、その深海棲艦艤装の精神影響はない仕様なので、単純に》


比叡《戦争の中で培った深海棲艦艤装の扱いをリスクなくそのまま扱えているための砲精度の向上かと!》


翔鶴《それってかなりピンチ……》


榛名「合流ですっ! とにかく射程距離から撤退して体勢を建て直しましょう! まだこちらには悪い島風さんがいますが、いつ出てくるか分からない上、どんなやり方で来るか分かりません。戦略上、彼女より信用できるはっつんを失う訳にはいかないです!」


瑞鶴「でも逃げ切れるかどうかが問題よね……道中の護衛は艦載機があるけど……」


初霜「……そこは意志疎通、私がして守らせますが……」


比叡「ならば私が時間を稼ぎましょう!」


榛名「ならば榛名もです!」


瑞鶴「大丈夫か……二人といえども相手はおちび……」


比叡「前回の演習の時は一矢報いることもなく敗北を喫しましたが、その時の借りをここで返しておきたいですからね!」


比叡「アカデミー時代から比叡艤装(この子)のポテンシャルを引き出すことが出来なかった私ですが」


比叡「最後の海では私でも最後の海で艦隊の皆さんのお役に立つことが出来ました! 甲大将にも金剛お姉様にも榛名にも霧島にも、この任を全うすることで恩返しして」


比叡「私は艦娘を卒業したいと思います!」


榛名「榛名も同じ気持ちですね。なのでお任せください!」


翔鶴・瑞鶴「お願いします!」


初霜(……でも現実問題、深海棲海月姫のギミックはなんとかしないと……それくらいなら)



4



榛名「あ、北方棲姫と空母棲姫の艦載機のみ、飛ばしました! 狙いははっつんさん達ですね!」


比叡「行かせません! 三式弾です!」


ドオオオン!



榛名「敵航空隊凪ぎ払いました! お見事です! 電さんオールトランスを解除、深海海月姫、駆逐古鬼、戦艦棲姫の3種トランスです!」


比叡《電さん、私と榛名がお相手しますよ! 今回の私は前回と違いますからね! 役不足とは言わせませんよ!》


電《あー……今までの数々の非礼はお詫びするのです。が、今の私はクリアなのであの時のような暴走はしません》


電《今の電は金剛型をなめるほど馬鹿ではないので》


比叡《それは光栄ですね!》


榛名「ま、まさか電さんの口から……お褒めの言葉をもらえるとは、は、榛名は感動しました! 比叡お姉様、行きましょう!」


比叡《ですね! では比叡――――!》


比叡《気合い入れてっ! 参ります!》


比叡《提督! 見ていてくださいね!》






甲大将「……くそ」


乙中将「こ、甲さん、目元抑えてどうしたの?」


丙少将「な、泣いてる……?」


甲大将「いや、この巣立ちの日に娘から感謝の言葉をいわれたような気持ちはなんだよ。涙腺に来たわ……」


北方提督「……」



5

 


電(っち、単純な砲撃戦なら私のほうがかなり不利……息してられるのは性能差のお陰ですね)


ドオオン!


電「……っ!?」

 

電「深海海月姫及び……潜水棲姫艤装大破……?」

 

比叡・榛名「当てます!」

 

電「しまった、駆逐古鬼も……」クルッ、スイイー

 

電「く、戦艦棲姫の電探がキャッチはしましたね。あの潜水棲姫を壊した一撃は経過程想砲……?」

 

電「それと深海海月姫のほうは」

 

電「初霜さんがすでに司令官さんの想像を越えているのです。どんどんエンジンかかってきてますね。酒匂艤装の特攻性質を経過程想砲に乗せてきたのですか……?」

 

電「一人艦隊これくしょんみたいな人なのです……でもまあ」

 

電「ふふ、こうなったら正面から砲雷撃戦で比叡さん達を蹂躙するしかないですね」

 

電「トランス、電艤装と戦艦棲姫艤装」

 

電「な!!」

 

電「の!」

 

電「です!!!」

 

 

6

 

 

榛名「そんな! 電さんが主砲を拳で払いました!」


電「近づくにも意味があるんですよ! 一体化した戦艦棲姫のパワーなめんじゃねーのです! 金剛型だろうと仮に至近距離まで行けば体に風穴が開きますよ!」

 

比叡「……、……」ドンドン!

 

電「なんの! 航行術で! 一発は殴り落としてやるのです!」

 

比叡「榛名! 私の主砲の後に少しのディレイで続いて!」

 

榛名「了解! ちょうど主砲再装填完了です!」

 

比叡「主砲掃射! これで! こじ開けます!」

 

ドンドンドン!

 

電「狙いがいまいちですね! 粉砕して――――」

 

電「――――ぶっ!」

 

電「右腕が千切れ……! しまった」

 

電「これは徹甲弾の――――でも!」

 

電「なんぼのもんです!」ジャキン

 

榛名「踏ん張りましたか! でもトドメ――――ですっ!」

 

比叡「私からも!」

 

ドンドンドンドンドンドン!

 

比叡・榛名「これで沈んで!」

 

 

ドオオオン!

 

 

パチャン

 

 

7

 

 

響「ごめんね、私の魚雷が届くほうが速かった」


響「今度こそ電を沈めずに守り抜きたいんだ」

 

響「さて……」

 

電「く、響お姉ちゃんまだなのです!」

 

ドオオン!

 

響「――――!」

 

響「中、破……しかも航行不可だ」

 

比叡「……まあ、このお二人相手なら、花丸です、かね」

 

パチャン

 

電「く、撃沈すれすれの大破、再生が間に合うまで棒立ち状態なのです。なめていた訳ではないのですが……」


電「想定以上の損傷を……」

 

響「どうしよう。翔鶴さんが、前もって彗星を撃ってきていた……比叡さんと榛名さんを信じてなきゃこのタイミングに合わせられないね……」

 

赤城《お任せをー。1航戦が助けに来ました♪》

 

電「……ああ、命拾いしました。丙少将のところなだけあってこういう場面はお上手なのです……」

 

響《妹ともどもお礼をいうよ。ありがとう》

 

赤城《いえいえ》

 

加賀《まだ艦載機の射程距離です。瑞鶴は私が沈めにかかるわ》

 

電《そうですね。初霜さん、すでに戦争中並、全員の特攻艦なので沈めておくべきなのです……》

 

春風《こちら春風です。わたくしの位置の後ろの陸地に簡易的な泊地があります。補充も出来るますし、入渠施設も鋭意制作中です。利用してくれて構いませんわ》

 

若葉《無料ではないぞ》

 

電「」

 

響「スパシーバ……!」

 

赤城「さて、この場は加賀さんに任せてお二人は私が引っ張っていきますか」

 

電(あぶなかったのです。司令官さんからの任がまだあるのに……私としたことがちょっと序盤ではしゃぎすぎたのです……)

 

電(ま、戦艦を蹴散らせたから任務は1/3は遂行しましたね)

 

 

8

 

 

瑞鶴「もうちょっとで味方と合流……」

 

ドオオン!

 

翔鶴「――――え、護衛の艦載機が吹き飛ばされた?」

 

瑞鶴「……、……」

 

瑞鶴「考えられるのは超射程砲撃を8割で当ててくるとかいうスペース級かな。おちびが出てくるまで最高素質の兵士と名高い……」

 

翔鶴「大和さんと武蔵さんですか!」

 

瑞鶴「く、後方から艦載機の追っ手! 加賀さんか!」

 

瑞鶴「相手が加賀さんなら私が出るね! 翔鶴姉、私は一足先に瑞鶴を卒業してくるよ!」

 

瑞鶴「艦載機、突撃!」

 

瑞鶴「長年の因縁にケリをつけてやろうじゃないの!」

 

 

9

 

 

加賀「全機発艦して突撃ですか……あの子の個性全開です」

 

加賀「上等です」

 

瑞鶴《ちんたらしてる暇はないからね! すぐに沈めてあげる!》

 

加賀(……そうね。時間かけてたら伊勢と扶桑の射程に収められる。邪魔されたくないもの)

 

加賀「艦載機発艦」

 


…………………

 

…………………

 

 

加賀(正攻法の撃ち合いで互角……)

 

加賀(突っ込んで来てる分だけ向こうの損傷してるけど)

 

加賀《飛行甲板で艦攻塞いで、あなた装甲空母の装甲さえ捨てるような愚行に躊躇いないわね》

 

瑞鶴《乙中将との演習の時にも扶桑さんから恥を知りなさいっていわれたわね。けど私の頭じゃどん詰まった時、いつもこの選択肢に行き着くのよねー》

 

瑞鶴《逃げたら? 空は互角で、これを愚行だと思うのなら逃げたらいいじゃん?》

 

加賀「……はあ」

 

加賀「最後にそれが愚行だという理由を教えてあげる」

 



 

 

瑞鶴「……?」

 

瑞鶴「あ――――」

 

ガガガガ!

 

瑞鶴「やば……加賀さん……」

 

瑞鶴「機銃積んでたんだ!?」

 

加賀「蜂の巣になる前に私のところまで辿り着けたらいいわね」

 

加賀「ほら」

 

加賀「頑張りなさい?」

 

瑞鶴「鬼め……」

 

 


 

 

伊勢「うん、あそこに手を出すのは止めて初霜ちゃん達と合流しようか」

 

扶桑「そうね。それにしてもあの瑞鶴、まだあんな愚行を続けているだなんて信じられないわね……」

 

扶桑「それでも懐まで辿り着けそうなのがあの瑞鶴の怖いところですが(震声」

 

伊勢「加賀さんが引かないからね。引き撃ちすれば勝負ありだけど、きっと私達には分からない部分があの二人にはあるんだよ」

 

扶桑「クロスカウンターが炸裂したわ……!」

 

伊勢「加賀さん飛行甲板を鈍器代わりに使い始めた! 人のこといえないよ!」

 

扶桑「あの二人は随分と楽しそうね……」



【8ワ●:軍艦(親)の七光り語ってんじゃねえぞ夕立】



神風「空襲の爆心地からは離れたけど」


神風「……感知、白露型ですか」


夕立《お相手お願いするっぽい!》


夕立《今日はあの最後の海よりも、気分が良いっぽい!》


夕立《今の夕立は神風ちゃんにも負けない。ソロモンの、》


神風《そういう口上は嫌いだな、私》


神風《軍艦の戦果をかざすことに何の意味がある》


神風《親の七光り語ってんじゃねえぞ、夕立》


神風《素体のあなたが勝ち取ったものを吠えてみろ》


神風《そもそも悪夢とか――――》



神風《見飽きた》




夕立《そっか。そうだね。なら》





夕立《あなたが望んだ通り、結果で語りましょう》



2



夕立「速いなあ。逃げられないや」



神風「捉えた。沈め!」


ガキン


神風「……」


キンキン


神風(なにこいつ……!)


神風(三の太刀を連装砲で防がれた……)


ドンドン!


神風「っく」


夕立「すごいっぽい……未来予知してるとしか思えない身のこなし……たくさん訓練したんだね」


夕立「でも分かる」


夕立「夕立のほうが強いからあなたはここで終わりっぽい」


夕立「沈める敵には謝らないけど」


神風「私もあなたに勝つ未来しか見えないわね!」



* 観戦ルーム



丙少将・北方提督「夕立こっわ!」


提督「夕立さんになにが起きたし……神さんの斬撃を初見で防ぐどころか反撃までこなしてなお涼しい顔が出来るとは……」


乙中将「夕立のギアがかつてないほど最高速に入ってる……」


北方提督「かなり危ないね。あの夕立、今の神風より強そうだ。それに金剛さんが来てる」


丙少将「長月菊月が直に到着しそうだな。まあ、金剛も来てっからどうなるか分からねえが……」


陸奥「あ、金剛さんの狙いは長月ちゃんと菊月ちゃんだと思うわ」


提督「ん? そうなんですか? てっきり体術の道を往く神風さんと戦いたいのかと思っていましたが……」


陸奥「金剛さんは長月ちゃん菊月ちゃん卯月ちゃん望月ちゃんの後にアカデミーに来て、その時の教官は私が担っていたのよ。金剛さんは長月菊月ちゃんと演習やった時にフルボッコにされて涙目になってたことがあって」


陸奥「金剛さんが動き出したのも長月菊月ちゃんが動いてからだし、最後にあの時の借りを返したいのかなって」


提督「なるほど。知らぬところに因縁がありましたかー……」


北方提督「金剛さんはヤバいね。前に体術の手合わせしたけど、技術も身体能力も明らかに神風の上を行ってたし」


北方提督「下手したら神風が沈む……」



3



神風「く……」


神風(信じ難い……)


神風(砲撃二丁、魚雷、増設の機銃、その全てをこうも同時に器用に使いこなせるなんて。私の速度を踏まえると頭で考えている暇はないだろうし、天性のセンスか。それに加えて……)


夕立「もらった!」


ドンドン!


神風(航行を読まれた。凄まじい勝負勘の鋭さ……!)


神風「く、オラア!」


ガキン


夕立「!」


神風「なんとか砲弾反らせたけど神風刀の刀身が歪んだ……」


夕立「ここ!」ドンドン!


神風「それは――――読めてたわ!」


夕立(懐に入られた!)ジャキン


夕立「刀は抜かせないよ!」ドンドン!


神風「――――抜」


夕立「! 屈んで避けられ、この海を踏む動作……ヤバ、」ゾクッ


神風「――――刀」


夕立「いっ痛っ!」


神風「……」


神風「返す刀で首も狙ったのに避けられた……!」


神風「抜刀の一閃で右腕一本に収められたし。天晴れな勘と体術ですね。でも――――」


神風「逃がさん」



ドンドン!



神風「……」


神風「とう!」


金剛「Oh……コングラッチュレーション! 足で砲弾を蹴り飛ばしましたか! 艦兵士の体の強化はそのまま足の力が腕の3倍あるという知識とその海を踏める魔改造艤装あっての技デース!」


神風(被弾防ぐためとはいえ、かなり足が痛い……折れてはいないけど、航行が鈍る)


神風「金剛さん――――」


金剛「一気に間合いに……速すぎですネー……」


神風「その首、」


パシッ


神風「!?」


夕立「す、すごいっぽい。あの神速の抜刀を」


夕立「真剣白刃取りの神業!」


金剛「顔合わせの時はやられましたが、今回は違いマース」


金剛「とうっ!」


神風(嘘だろこいつ……私の抜刀をさばかれた上に投げ飛ばされた……私が反応出来なかったなんて――――)


金剛「空中で回避できマスカー?」ジャキン


金剛「神風は前に出てくる機を誤ったネー」ドンドン!


神風「――――っ!」



4



金剛「む、刀でダメコンしましたか。沈めるつもりが大破止まりデース……」


神風「……まだ、まだ!」


ドンドン!


金剛「とう! 戦艦パワーで殴り落としデース!」


長月「夕立と金剛か……間に合って良かったよ」


神風「助太刀かたじけない……」


長月「気にするな。いくらお前でもこの二人相手は荷が重いだろ。つかそろそろ退け。本番は夜だって分かっているだろ? お前には悪い島風の相手もしてもらわなきゃならんのだぞ」


神風「……申し訳ないわ。少しならすだけのつもりだったのだけど」


夕立「ふむ、大破損傷でも素体が元気……魔改造ならではの艤装と素体の装甲耐久の矛盾っぽい!」


菊月「なあ長月。昔に演習で夕立には負けたけど、金剛には負けたことないよな」


金剛「長月菊月、覚えていマスカー?」


金剛「アカデミーで新人だった私はお二人にいじめられて泣かされマシタ。金剛型の長女としてあの時の借りは返しておかなければならないと思ってこの戦場に颯爽とやってきたのデース!」


長月「あれは演習の作戦だろ……根に持つなよな……」


菊月「ま、睦月型は最高の駆逐艦だからな」


長月・菊月「また泣いても知らないぞ」


金剛「アッハハ、上等デース……」


夕立「楽しくなってきたっぽい! にゃが月ちゃんと菊にゃん神風ちゃん対金剛さん夕立!」


長月「長月と菊月な」


神風「……もう一人ね」







「プラス――――」





「わるさめちゃんだい♪」




金剛・夕立「!」




5

 


金剛・夕立「――――セイッ!」

 

わるさめ「砲弾もましてや拳なんか効かねっス」

 

金剛「装甲お化けネー……」

 

夕立「というかロ級のサイズが大きすぎるっぽい!」

 

わるさめ「さて神風御一向を順番にバクリ!」

 

長月・菊月「!?」

 

わるさめ「拠点まで輸送護衛してやんよー!」

 

菊月「口の中が四畳くらいもあって想像以上に広いんだが! 海水が入ってこないし!」

 

わるさめ「快適なマジモンの潜水艦みたいなもんよ」ピコピコ

 

長月「ゲームやってるぞこいつ!」


菊月「ぶったまげた。下半身が艤装に溶け込んでいるな。それにこの装甲、大和型よりも上なんだよな……トランスタイプがこうもイカれた芸当が出来るとは」

 

わるさめ「ジョーズ形態はロ級とワ級、潜水棲姫と防空棲姫のギミック装甲重ねてっからね」

 

わるさめ「ギミック展開したこの装甲を砕けるのは夜の球磨型の大先生と大井、木曾、ぷらずまと海の傷痕くらいのもんだ。あー、後ははっつんもヤバそう」

 

わるさめ「最も口の中の私は駆逐棲姫と春雨だから、本体を狙われると危ないんだけどね」

 

わるさめ「ザ・究極の輸送護衛兵士だゾ☆」

 

長月「じゃあ、いっそのこと倒しにかかれば」

 

わるさめ「倒せただろうけど、ぽいぬ姉と金剛さんの怖いところはただで倒れちゃくれねえってところだー。やられた危険が高いのは大破のお前ー。今回はわるさめちゃんも分かってる」

 

わるさめ「私が近場にいて神風をこんなところでリタイアさせたら司令官からまた怒られそう。私も電も今回は脇役に徹してお前に華を持たす戦略で動いているんだぞー。司令官から」

 

わるさめ「悪い島風ちゃんを倒せって言われてるんだろー?」

 

神風「――――、――――」


わるさめ(……?)


 

神風「――――」



長月・菊月「?」


わるさめ(この感じ――――)


わるさめ(おいおい……大丈夫かよ。司令官や鹿島っちから研ぎ澄ませと言われたのは知ってるけど、この想いの感じ)


わるさめ(私が違法建造された時に……私の精神をぶっ壊したあれ)


わるさめ(止めたほうがいいのかこれ?)


わるさめ(深海棲艦の境地じゃないの……?)


わるさめ「神風、リラックスしなさいよ。龍驤と戦った時は凄かったけど、ぽいぬ姉の時は遅くなってた。力み過ぎてんね。気負ってる感じ。待ちに待った晴れ舞台だろうから気持ちは分かるけどね」

 

 

ドオオン!

 

 

わるさめ「ゲームもやってみると面白いもんだね。今わるさめちゃんFFにハマっててさー。卯月と望月に借りてシリーズやってるんだけど」

 

 

ドオオン!

 

 

わるさめ「今やってるⅩがクソ面白いんだよ!」

 

長月「さっきから魚雷を受けているんだが!?」

 

菊月「え、一番面白いのはⅦかVIIIじゃないのか……主人公のクラウドとかスコールとか格好よくて今も憧れてるぞ。大剣使いのクール主人公ってロマンがあるだろう?」

 

長月「菊月はなに食いついているんだ!」

 

わるさめ「あー、菊にゃんのタイプはそこら辺か。私は大剣だとアーロンさんだな。わるさめちゃんは脇役に好きなの多いなあ。VIIIだとビッグス&ウェッジ、憎めない敵が好き」


菊月「分かるぞ! このシリーズの名作の共通点は脇役のおっさん連中が格好いいところだよな!」

 

ドオオン!

 

長月「うわっ」コテン

 

長月「転んだ。だから、さっきから魚雷!」

 

わるさめ「ゴーヤとイクに狙われてるけど補整ない昼のあの二人じゃこの装甲は抜けねっス。再生のほうが速いし、拠点近くまでは来ないよ。爆雷ソナー装備した護衛艦もいるし、深追いはしてこないはずだからー」

 

わるさめ「にゃがにゃが、転んだせいでスカートめくれかけてらー」


長月「っ!」バッ

 

わるさめ「そんな顔真っ赤にして睨まなくても……」

 

長月「……」ガルル


神風「……」



【9ワ●:急造擬似ロスト空間泊地拠点】


 

わるさめ「資源に加えて入渠施設に修理ドッグ、寝床にキャンプファイアの木組みに物見櫓もあるんですが……」

 

長月「信じられん。仕事早すぎだろ……おい暁」

 

暁「いらっしゃい。補給は伊14さんに頼めば妖精さんと意志疎通してくれるから。入渠はドラム缶の粗末なものだけど。明石さんもいるから艤装修理はそっちでね」

 

菊月「じゃあ神風、行くか」

 

神風「うん、悪いわね……」

 

わるさめ「それで暁、資材とかどうしたの?」

 

暁「伊14さんと伊13さんが集めたのを私と雷と若葉さんのドラム缶に詰め込んで運びまくったわ。武蔵さんと瑞穂さんと旗風さん春風さん含めて泊地の櫓を作った」

 

わるさめ「すごいこと考えたな……」

 

わるさめ「それで大和が固定砲台化してたってわけか。でもここにたくさんメンバーいるのは大丈夫か?」

 

暁「大丈夫じゃないかしら。電と響が最前線で戦ってくれていたから時間も出来たし、まだ木曾さん神通さん赤城さんに加賀さん長門さんに、司令官の夜戦メンバーも小競り合いしているからそれを突破してここは攻められないと思うし」


暁「でもずっと前線で戦わせる訳にも行かないからそこの辺りは作戦を立てているわ。兵法に長けてる赤城さんが到着してからね」

 

わるさめ「最後に1つ。あそこで雷ママが料理してるの? なぜ食べ物があるのか聞いてもよろしいか?」

 

暁「雷と若葉さんがドラム缶に食糧と日用品を大量に入れて持ち込んでいたのよ。あ、後は瑞穂さんもね。お陰で3日間は持つんじゃないかしら……」

 

わるさめ・長月「パないな」

 


2



大和「……寒い?」


春風「先程まで春の気温でしたのに、急に寒くなってきましたね。肌で感じる気温から急低下したのも分かります」


大和「疑似ロスト空間のようなびっくり箱ならではのステージですね。急な気温低下で皆の体調が崩れなければいいのですけど」


木曾《こちら木曾だ。雪が降ってきたぞ。しかもなぜかは知らんが、海面が凍り始めてる地点もある。おまけに南には雷雲も出てる。ダウンバーストが吹き荒れてる感じが》


木曾《ところで拠点まとめてんの誰》


大和《こちらの部隊の指揮は准将から指定された若葉ちゃんですね。なお、若葉ちゃんがリタイアしたら私に移ります》


木曾《若葉、俺の通信が聞こえてたか?》


若葉《まあ……勘でいい。どうしようか》


木曾《ンだよそれ。とりあえず北方勢の夜戦部隊の本体とは別機動の分隊を前線に送ってくれ。北方連中は雪の日の戦闘に長けてるだろ。俺と神通、江風は割とどんな天候でも戦えるから残る。グラーフはまだ動かせねえか》


若葉《じゃあ、わるさめも送ろう。日が沈む前には夜戦部隊が到着するんだろ? そこにこっちにいる神風部隊神風もな。そういうことで……》


木曾《わるさめに予備の軍刀持ってこさせてくれ。俺と神通の分な。剣でも刀でもどっちでもいいわ》


若葉《ああ》


木曾《こまめに連絡入れるよ。江風がな》


江風《なンで江風だよ!?》



3



瑞穂「いきなり冬とか勘弁しろっての」


わるさめ「はあ、キャンプファイアの火が温い……」


明石さん「本当ですよ。冬場は手先がかじかんで修理技能のレベルが落ちるので明石さんは嫌いです」


瑞穂「あんた長いもんねえ」


わるさめ「30年も兵士やってればわるさめちゃんよりも雪の日に嫌な思い出が多いはずだし」


明石さん「遠征は経験少ないですけど、マイナス気温の氷の海に随伴したことがあってですねえ。あの時は慣れない海で駆逐ハ級に殺されかけました。おまけに艦艇修理も普段の倍の時間がかかり作戦に支障を来して怒られたという……雪や氷には良い思い出はないです」


若葉「わるさめ、木曾さんが軍刀持ってきてくれと」


わるさめ「寒みーから嫌だね。行けたら行くっつっといて」


長月「それ絶対行かないやつだろ……」


若葉「ほら軍刀だ。任せたぞ」


わるさめ「ったくもー……わるさめちゃんトランスタイプになってから雪の日に戦ったことないんだよなー」


わるさめ「じゃあスイキちゃん、行きますか……」


瑞穂「届けたら味方が沈んでようがシカトしてここに帰るわよ」


若葉「お前、わるさめの言葉には耳を貸すんだな……」


明石さん「あ、そうだ。神風ちゃんの艤装は直しておきました。高温高圧も1つ載せときましたよっと。神風刀の予備は大量にあるのでご安心を。神風ちゃん自体の入渠もそんなにかかりません。大破でも復活が早い。低耐久なのが幸いしました」


響「やあ。明石さん、私の艤装はどうだい?」


明石さん「響改二艤装は妙なことになってましたが、基本は変わらなかったので余裕のよっちゃんです」


響「ありがとう。それじゃ私も出るよ。ここの防衛の戦力は十分だろう。ああ、電はすでに出たよ。今回は珍しく艦隊に献身的だ」


わるさめ「ぷらずまのやつは序盤からハッスルしてたなー。お陰でずいずいと比叡とハルハルをリタイアさせられたし」


天津風《こちら天津風、ビスマルクさんとプリンツさん、三日月が支援に出向いたからね。私達は別の陸地を拠点にしているけど、秋津洲の二式大艇が飛んでいたから気をつけて》


わるさめ《こちらわるさめちゃん。あまつんは来ないのお?》


天津風《天津風ね。なによあなた、急にあまつんとか馴れ馴れしいわね》


わるさめ《あまつん来るならわるさめちゃんがんばるー》


天津風《なによそれ意味わかんない……まあ、私も途中まで哨戒がてらビスマルクさんの護衛についていってもいいけど、夜戦部隊の旗艦の任もあるから無茶な戦いはしないからね》


わるさめ《よし!》


わるさめ「雷ママからもらったホットミルク飲んだら抜錨だ!」



【10ワ●:氷の海のГангут】



加賀「思わぬトラブルに見舞われたわ……」


望月「うわあ、孤立してから救助護衛に赴いたけど、海が凍り始めてら。一体どんな気象の変化だよ」


望月「加賀さん、小破だよね? 艦載機はある?」


加賀「心許ないわ。回収出来たのは20機」


望月「どうするー? あたしはどっちでもいいけど」


加賀「私は満足したから前線に向かって木曾達に加勢するわ」


望月「さいですか。合流地点がその辺りだし、あたしもそこらにうろついておくかね……」



2



木曾「うわ……パキパキに凍ってんじゃねえか。ここまで酷いの始めてだぜ」


江風「遠くにいる利根さんと筑摩さんがもう航行を諦めて氷の上を歩き始めたよ……」


ドンドン!


江風「あっぶねーな、このクソウサギ!」


卯月《ぴょ――――ん! よしよし、寒くて体が震えるけど、砲撃精度は落ちてねーのが確認出来たし! お前らを倒して進ませてもらうし!》


卯月《うーちゃんはこの戦いで大和を倒してレジェンド卯月のエンブレムをもらいたいぴょん!》


江風《でけえ夢だな! やれるもンならやってみろよ!》


木曾《利根、筑摩、卯月、照月、秋月、霧島もいるみてえだな》


木曾《強いのがゴロゴロいるな》


木曾《全員氷の下に沈めてやる》



ドオオン!



江風「へ、しま――――!」


江風「チクショウ、連装砲は見えたのに避けられなかった! 中破しちまった!」


木曾「……1匹面倒そうなのがいるな」


江風「なんだあれ! 一人だけ上手に航行出来てンじゃンか!」


木曾「さすがにソ連艦、極寒地帯の戦闘に慣れていやがる」


木曾《ガングートってこっちじゃあんまり聞かない軍艦だったわだよな。戦争中なにしてたんだ?》


ガングート《ほとんど西のほうで活動してたよ》


ガングート《木曾と江風とお見受けした。なに退屈はさせん。このフローズの環境下では私は大和より強いと思う》


木曾《ギャハハ、面白そうなのがいるじゃねえか》


ガングート《全く、戦争だろうと遊びだろうと殺戮は勝利してこそなのだぞ。あなたのその趣味の延長戦上のような姿勢はわかりかねる》


ガングート《まあ、とにかくだ。今から交わる故》


ガングート《理解し合ってみようか》











ガングート《艦隊旗艦Гангут抜錨する》



3



卯月「ガングート、その航行の仕組み教えて欲しいぴょん!」


ガングート「ちっこいのは元気だな。子供は風の子ってやつか」


ガングート「重量と揺れを利用して足で氷をかち割るように進んでみるといい。出来るかは知らんがな」


パキパキッ、スィー


卯月「なるほど、コツはつかんだ。航行は7ノットほど落ちそうだけど、氷の上に立って戦うよりはマシだぴょん」


ガングート「……お見事。ロシアのアカデミーでは必修科目なだけあって一回で出来るほど簡単ではないはずなんだがな。こっちの駆逐艦は服と皮膚が擦りきれるほどやってようやく覚えるんだ」


卯月「日本で一番強い駆逐シリーズは睦月型、そしてその中の最強は卯月だと祖国に帰ったら広めろし」


卯月「後、気をつけろー。向こうの連中、木曾と神通なんかはすぐに環境に適応してくるぴょん。乙と甲の旗艦は素質性能が狂ってる」


卯月「ま、授業料の礼としてうーちゃんが最高峰の援護をしてやるから戦ってくるといいぴょん!」


ガングート「フハハハ、そりゃ頼もしい!」



4



木曾「よっと、慣れてきたが、海面凍り過ぎてて艤装から魚雷が撃てねえぞ。雷巡死亡ステージじゃねーか」


木曾「燃える」ジャキン


ドンドン!


木曾「くっそ、落とされた。卯月が支援についてやがる」


江風「卯月は江風が相手するよ! 前の闇との演習ではやれなかったけど一度戦ってみたかったんだよな!」


ドンドン!


ドンドンドンドン!


木曾(……といってもガングートがかなり強え。ステも負けているし、さすがに距離を詰めるなんて真似はしてこねえか。ならジリ貧で負けるわこれ)


木曾(わるさめから軍刀もらうまで砲撃戦かね……)


木曾「江風、利根筑摩の艦載機に気をつけといてくれ」チラッ


江風「了解」チラッ





利根「ぬわー! ち、筑摩ー!」スッテンコロリン


筑摩「け、怪我はっ。私の腕をつかみながらゆっくりと」





木曾・江風「スケートリンクでの親子風景か」ビシッ



5



天津風《合流地点に到達したわ》


わるさめ「ザッパーン!」


ガブリ


天津風「じょ、ジョーズ! イヤアアアアア――――!」


わるさめ「快適空間へようこそ!」


天津風「な、なにこの口の中の空間!?」


わるさめ「とりゃ」ダキッ


天津風「なにするのよ! 離れて!」


わるさめ「なにこれすごい! さすが冬場の寝床に連れ込みたい艦娘ランキング一位なだけあって超暖かいー!」


天津風「まさかあなたそのために私を指名したの……?」


わるさめ「はい。現代っ子なんで寒いのは暖房なきゃやってられねっス。ねえ、スイキちゃん」


瑞穂「そうねえ。天津風が来てこの部屋の温度があがったわ」


天津風「呆れた。本当にその場の勢いで動く人達なのね……」


わるさめ「別の理由もあるよ。ガングートとはちょっと前のわるさめちゃんプレゼンツの時の借りを返しておきたいからね」


天津風「気をつけなさいよね。ガングートさんは凍った海での戦いのほうが強いという変な素質だから」


わるさめ「分かってら。なめるつもりはなっしん。前にケンカした時にあいつが金剛さん以上に強いことは分かったからね」


わるさめ(つーか北方勢自体がふっつーに将の艦隊に劣らず強え、というかめちゃ面白いやつばっかりなんだよねー……)


わるさめ「さてあまつん、ガングート、いや北方のことを教えてー」


天津風「はあ、あなたあの准将のストーカーレベルの資料を読んでないのね……」



6



ドオオン!


木曾「被弾、痛ってえな……悪天候過ぎるぜ」


木曾「霰かこれ。目を開けていられねえな、うざってえ!」


江風「ヤバ……新しい反応……この艤装」


江風「香取さん向こうに参戦してたのかよ!?」


香取「――――、――――」スイイー


江風「利根さんと筑摩さんのほうに行ってる!」


江風「後、危ねえ! 微かにガングートさんの雷撃動作が見えた!」


木曾「俺も見えた」


江風「偵察機、瑞雲に先行してら」


ドンドン!


江風「意志疎通した動きだなあれ! 爆弾落としてった!」


ドオオン!


木曾「あっぶね……魚雷のほうも当たらねえ!」


ドオオオン!


木曾「――――!」


木曾(ちっくしょ、魚雷で狙ってたの海面下のでけえ氷塊か。爆破した氷の礫、機銃より痛え……!)


ドンドンドン!


木曾「この3連装砲は、避けられねえ……」


鹿島「とうっ!」


ガキン


鹿島「重雷装巡洋艦には環境が悪い……ですね!」


木曾「おお、軍刀の扱い上手いな……」


江風「鹿島さんありがとな! 助かったよ!」


鹿島「お気になさらず。しかし、お二人ではこの距離からでは的になるだけですね」


木曾「そうなんだよな。天候も悪いし、魚雷も狙いを上手くつけらんねえ。砲撃戦じゃジリ貧だった。どうしようか?」


鹿島「単縦陣で私が先頭でルートをナビしますよ」


鹿島「途中、左舷を執ります。氷の薄い辺りで砲撃を合図に単横陣です。氷海を砕くので魚雷発射は出来るかと……」


江風「おお、氷海を進むの上手いな!」


鹿島「江風さんは艤装のタービン周りの氷を払ってくださいね。このような霰の天候では艤装への着氷への対処を怠らずです。重心が傾いて砲撃精度はおろか、最悪転覆してしまいますから」


鹿島「後、お二人にはせっかく外套があるんです。攻撃体勢に入らないなら外套で氷から艤装を保護してあげてくださいね!」


木曾「了解。ようやく戦いになるか」



7



ガングート「へえ、動き方が格段に良くなったな」


卯月「練巡ってのは人に教えるだけあって知識はもちろん、ほとんどの素質が並以上はあるぴょん。香取に至っては妖精可視才もあるし」


卯月「つーか神通がさっきから動いてねーぴょん……あいつなら氷海航行とかすぐに覚えそうだと思ったけど――――」


ピョン


卯月「――――っ!」ジャキン


ドンドン!


卯月「あぶね……コンマで反応遅れてたら死んでたぴょん……」


神通「あれ、殺したと思ったんですが……そういえばその艤装、魔改造で跳ねるウサギ要素がありましたね……」


ガングート「痛っ――――てえなオイ」


ガングート「名乗りも挙げずに左腕を斬り落とすとは日本人にしちゃ礼儀悪ィな。まあ、戦場での侍ってのは卑怯の代名詞みたいなもんだったか?」ジャキン


卯月「艤装ねーし。氷の上を生身で渡ってくるとかバカか……」


ガングート「ちびっこ、私の肩から降りろ。それと木曾達の相手していてくれないか。神風が尊敬していた例の神通だろう」


神通「……」


キン


卯月「おー、主砲で刃を受け止めたぴょん」


ガングート「フフン、今の神通には負ける気がしないな」


ガングート「神風の刀に比べたら止まってみえるし」



ガングート「ウ」








ガングート「ラー!」



8



木曾「狙いがついた! 魚雷発射!」


鹿島「ええ!? 神通さんを巻き添えにしますよ!?」


木曾「あいつはもともと乙さんの指揮ねえとあんな戦い方しか出来ねえよ。俺らの獲物横取りして接近戦とかやってる以上、気を回していられっか。神通だってやりたいようにやってんだろ?」


ドンドン!

ガガガガガ!


江風「神通さんなら大丈夫だよ! 大破してなおキレ増すバーサーカーだしな! つうか早く決めちまってくれ! この悪い視界で意志疎通艦載機を墜とすの大変なンだよ!」


鹿島「あ、新たに味方の反応があります! もうすぐ近距離に響さんが入りますね!」


ドオオオン!


木曾「チィ、魚雷が卯月に処理された……」


鹿島「……、……」


江風「卯月、反撃してくるよ!」


ドドドンドン!


木曾「オラア! その貧弱な連射砲が当たるか! 拳痛えけど!」


鹿島「ここですっ」ドンドン!


卯月「いってえぴょん! 貧弱装甲砕けて中破したし!」


鹿島「――――っ! 気をつけてください! 飛ばしておいた偵察機が新たな敵影を発見、艤装反応――――っ」











「どもー。悪い島風ちゃん改め」






【戦後復興妖精だ。初霜ちゃん引き取りに来たー】







響「っ!」


響「今の砲撃、なんだ……?」


響(砲弾を確認した瞬間、被弾してた? 周りのみんなも中破大破のオンパレード……!)


響「……情けない」


響「支援に来たつもりが――――」


響「中破、装備損傷のまた航行不可じゃないか……!」


響「あの最後の海で――――」


響「電を死なせてしまった無念を今度は守り切ることで晴らそうと思ってたのに……」ウルッ



【11ワ●:泊地拠点急襲作戦】



初霜「申し訳ありません……高速修復材まで」


戦後復興妖精【気にするなって。好きにやればいいんだよ。傷を直したいなら直してやる。テメーら全員沈んでも私一人いればなんとかなるはずだ。ただ】


初霜「ただ?」


戦後復興妖精《准将がなに仕込んでいるか分からねえから、序盤は様子見してるんだよ。准将の指示かは知らねえが、若葉が拠点を作ってる》


翔鶴「そこから大和さんが撃ってきてたのですね……?」


戦後復興妖精《ああ。あの拠点は早期に潰したほうがいい。最低でも艦艇修理技能のある明石は仕留めるべきだろうよ》


戦後復興妖精《初霜ちゃん、グレードが下がっているとはいえ、さすが此方を倒しただけあるよ。経過程想砲はまだ私でも作れねえ装備だからな。それ持って陸上戦に行ってこいよ》


翔鶴「敵地に奇襲、ですか」


戦後復興妖精《探知が出来ねえようにしといてやる。偵察機には見つかっても電探にはひっかからねえ。要はステルスだ》


戦後復興妖精《おい金剛と夕立、わざわざお前に聞こえるようにしといたんだ。お前らも来いよ》


金剛《テートク以外の指示なら龍驤リタイアしたので第2旗艦に指定されているはっつんなら従うネー。夕立は所属が違うから、瑞鳳に連絡取ってからデース》


夕立《ステルスでも神風ちゃんの探知にひっかかると思うけど》


戦後復興妖精《神風は前線に向かう途中だ。夜戦部隊のほうと合流するんだろ。電もわるさめもちょうど拠点を留守にするみたいだしらあの溜まり場ごと潰そうぜって交渉だよボケ》


翔鶴「初霜さん、いかが致しましょうか」


初霜「……、……」


初霜「行きましょう。その代わり戦後復興妖精さんが現界海で出現ポイントを拠点に設定してくれるのなら、です。わざわざ航行していくのは危険ですし」


戦後復興妖精【移動方法はそのつもりだよ】


初霜「後、奇襲作戦の内容は私が決めます。それに従ってくれるのなら実行しましょう」


戦後復興妖精【クソみてえな作戦じゃなけりゃ付き合ってやるよ。とりあえず聞かせてみろ】



【12ワ●:断捨離】



「……」




「………………」















首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねて首を刎ねてやる首を刎ねてやる首を刎ねてやる首を刎ねてやる首を刎ねてやる首を刎ねてやる首を刎ねてやる首を刎ねてやる首を刎ねてやる。









――――そうそう。




それだそれ。



貴女の成長を邪魔しているのは理性という夾雑物。





『神風性質』の刀に乗せる理性は、その速度を鈍らせる。


それ以外を積んだせいで重量制限に引っ掛かっている。

ゆえに海にでもその他を投げ捨てろ。




速く、もっと速く。

国定教科書など破り捨て、法定速度を越えてゆけ。







あなたが心で、その感覚で憧れた人の隣まで。




その人間の身体のまま『廃課金:深海棲艦』の心の境地へ。




間違いかもしれない、と迷うな。









正解か不正解などと、

やってみた者にしか答えが出せるものか。



誰も選ばぬ道だから、あなたが切り開くしかなく、その未知に可能性を捧げろ。他の道から飛ばされた誰の言葉にも耳を貸す余裕を、なぜ切り捨てなかったのか。




振り返らず、省みず。



影さえも置き去りにして。












――――おう?









電「……うん?」


雷「電、どうかしたの?」


電「おぞけ? 寒気がしまして」


雷「急に冷えたからね。まだ神風さんが治るまで5分くらいあるでしょ? キャンプファイアで身体を暖めてから夜戦部隊のほうの合流地点に行ったらどう?」


電「そうするのです」


電(……気のせいか)


電(司令官さんと連絡が取れたのならあの人がなにか気付くかも、と報告しておくのですが、この戦いは司令官さんと連絡が取れないから、艦隊の皆と乗り越えてゆくしかありませんが……)


電「はあ。私、思ったよりも司令官さん離れ出来てないなあ……」





*観戦ルーム



提督「……、……」


丙少将「戦後復興妖精のやつ最初期の甚平スタイルじゃねえか」


元帥「ふうん、あれが例の第1世代の島風の友達の戦後復興妖精ちゃんか。あれ想力艤装の塊で勝負にならねえじゃねえか。反則じゃねえか。戦術でどうにかなる相手じゃなさそうだが?」


乙中将「あれ、偶然力……の他になにか仕掛けてそうだね。飛ばした砲弾に気がついても当たる瞬間まで『気づかなかった』感じだ」


提督「ロスト空間の性質を利用した体感時間のトリック」


丙少将「あー……あれか。俺、実演されたわ。十秒が一秒に感じた。それの逆か?」


元帥「みんな艤装つけているとはいえども、戦後復興妖精の兵装は子供の小競り合いに兵器持ち出すようなもんだろ。大丈夫なのかよ。お前、策はあるの?」


甲大将「まだ神風は相手出来るとは思えねえ。電のやつに策でも仕込んだか?」


提督「いいえ、策と呼べる策はなく」


提督「ただストッパーを用意したのみですね」


提督「……ステージは擬似とはいえロスト空間なので、皆の精神性能が影響する以上、どうなるかは読めませんでしたから」



【13ワ●:泊地拠点急襲作戦 2】



神風「ごめん、拠点に戻る」


電「お前序盤から勝手な動きをし過ぎな訳です。私と響お姉ちゃんが空母勢と防空兵士を相手したからいいものの、それでも下手したら龍驤さんに沈められてましたよ?」


電「それとも司令官さんからなにか言伝が?」


神風「いいえ。感覚を理屈で説明すると、拠点が潰されそうな気がする。例えば現海界の移動を利用して急襲とかです」


電「……ふむ。ま、旗艦は神風さんなのです。それを選択するというのなら指示を出してください」


神風「では私とともに。天津風ちゃんには私は夜までには戻ると通信で伝えておきます」


神風「それと私はあえて遅れて行きますので、お二人は先に」


電「遅れて? ……まあ、了解なのです」


長月「ったく、こんな訳の分からないやつを護衛するなんて初めてだ」


菊月「でもなるべく従うように、と司令官の指示があるからな。通信が出来ない以上、事前の指示を守るべきだろう。この戦いはあくまで臨機応変といわれている以上、状況に寄るが」



2



若葉《総員、拠点放棄ー……大和型と明石さんを護衛しながら海へと急げー》


戦後復興妖精【うわー、超やる気ねえ声、艤装もつけてねえし丸裸だなオイ】


初霜「そうでもないですよ。きっと声出すことに集中していないだけで若葉は頭を撤退のことにフル回転させています」


若葉(……闇にあった資料も准将からもらったものも読んだ……が、それでこの二人倒せたら苦労しないというな)


初霜「経過程想砲(仮)っ!」


ドオオン!ドオオオン!


戦後復興妖精【初霜ちゃん、初霜艤装使お?】


初霜「爆弾埋めてありましたね! 若葉の策はこれだけですか? それなら覚悟してくださいね!」


若葉「逃げるのは得意だぞ」クルッ、タター


初霜「あ、逃がしませんよ! 待ちなさいっ!」


戦後復興妖精(鬼ごっこ始めやがった。初霜ちゃんは擬似ロスト空間の性質使って偶然力も使って若葉をこけさせられそうなのにな。あの力はあまり深く考えないからこそ、かね。加えていい子ちゃんだからそういうことに頭は回らねえと見た。ま、過程より結論だけ見てる感じだな)


戦後復興妖精(そんで資料読んでいる限り、あいつがヤバえのは追い詰められた時。ここで死んでもいいから拠点だけは潰して欲しいもんだ)


戦後復興妖精(……それと、擬似ロスト空間ステージ。ガングートのやつが海に氷を張りやがったのと同じく、この拠点も怪しいな。嵐、いや、東の空に雷雲なんて出てなかった、よな?)


戦後復興妖精【……で、私は初霜から許可降りるまで攻撃できねえんだけど、自己防衛は含まれねえから攻撃されたら、沈めにかかるぞ?】


雷「私は別にガチ勢じゃないし。ほら戦う意思もないから艤装を持ってこなかったわ。ちょっとあなたに聞きたいことがあって」


戦後復興妖精【……】


雷「てっきり私の家のことは戦後復興妖精さんの力の賜物だと思っていたけど、メモリーになかったわよね? 記憶にないの?」


戦後復興妖精【……あるよ。メモリーにしたくなかったからしなかっただけ。だが、メモリーでいった通り、曖昧なんだよ。他にも色々と契約したやつのことも少し程度、覚えている。お前に関しちゃ、気まぐれみたいなもんだ】


雷「私は知らないの。教えてくれない?」


戦後復興妖精【そりゃ知らねえだろうな。あの時のお前は母親の腕の中にすっぽり抱かれる赤ん坊だったんだから】


戦後復興妖精【ただ母が子の幸せを願っただけだ。それがいつの日かお前の心をトリガーに偶然力作動するよう仕込んだだけだ】


戦後復興妖精【あのクソ宗教団体はお前の願望そのものだよ。偶然力はロリコンの資産家がお前に入れ込んだことと、それからだと思う。お前がお前である限り、あの団体は存続する。そんでもう気付いていると思うが】


戦後復興妖精【もうあの団体は終わり。私が破棄したからな】


戦後復興妖精【人の欲望に食い潰される。貸したモノは返ってこない、皆、余裕がなくなって、この時代の渦に飲み込まれて自分のことで精一杯になるやつが増えるってこった。寄付をしてくれる人間が減少の一途を辿り、非営利ボランティアを謳ってやっていけねえだろ。つまり組織として根本から瓦解する】


雷「そう。ならいいのよ。恩を仇で返された訳じゃなくて、みんなただ余裕がない。それだけ自分のために頑張る必要があるってことでしょう。それってすごい良いことだと思うし」


戦後復興妖精【ムカつかね? 向こうから頼ってきたくせに、施した優しさを踏み台にされるのはさ。加えて人数が多いせいで罪の意識は分散するから、誰も心を痛めねえぞ。『私だけじゃなくて、みんなもー』とか思うもんだろ】


雷「ひねくれてるわね。踏み台じゃなくて受け皿になったのよ」


雷「行き場のなかった人達が自分のために頑張っているのは良いことじゃない。施しを受けたと自覚していてなおその教団を利用したと思えるようならこれからもたくましく生きていけるんじゃないかしら?」


戦後復興妖精【どうもお前と私は視点がズレてんね……】


戦後復興妖精【お前は施しを与えるが、いざ自分が逆の立場になった時助けてもらわなくてもいいっていってんだぜ? 優しい人間が馬鹿を見る。その優しい人間はお前のようなやつだって私は皮肉ってんだが】


雷「そう見えるの? 私が困った時、助けてくれる人が誰もいないなんて。私には暁達も司令官も鎮守府のみんなもいるし」


電「雷お姉ちゃん、無駄ですよ。性格の悪いひねくれぼっちは何気なく差し出された掌にさえ裏を考えるので。こいつは騙しているつもりが自分で掘った疑心暗鬼の落とし穴に絶賛どはまり中のやつなのです」


戦後復興妖精【ごもっとも。で、乱入したお前は攻撃してくんの?】


電「雷お姉ちゃんは電のお姉ちゃんなので」


電「もちろん助けるのです♪」



3



金剛「逃がしまセーン!」


暁「ちょ、引き撃ちとはいえこっちは何人いると思っているのよ! 金剛さん体術でこっちの砲撃凪ぎ払いながらただ突っ込んで来てるだけなのに、倒せないとかおかしくないかしら!」


金剛「真のレディーは数をモノともしないのデース」


暁「真のレディーはもっとおしとやかで鮮やかよ! そんな肉弾戦車のようなパワーファイトはしないわ!」


金剛「私はこの戦いの全員を沈める勇姿で提督を惚れさせて、お嫁にもらうのデース!」


暁「むしろ戦う理由が男らしい!」


伊13《ああ、拠点が夕立さんに破壊され尽くされました……》


武蔵「金剛のやつ、どうなってんだよ。私と大和でも46センチは殴り落とすと腕が破壊されんのに……もう呆れるしかねえ」


武蔵「おまけにギア入り過ぎだろ。砲精度も撃つ度に上がってる」


大和「……金剛さんや夕立さんだけなら対処は可能ですが、問題は初霜さんが追って来てることですね。彼女は艤装性能や素質どうこうの問題じゃなく、私達が無力化させられるだけなのでどうしようもないです」


春風「それじゃ出ましょうか。私達が時間を稼ぐ場面ですかね?」


旗風「行けますが、私達の練度で金剛さん夕立さん初霜さん相手だと現実問題1分も持たない気が……」


大和「うーん……司令官が欲しいですねえ。明石さん、長年の」


明石さん「無理ですー。明石さんガチで旗艦適性ないんで、戦場では指示待ち人間ですー。だから弟子に艤装渡したんですよ!」


明石さん「この場では赤城さんでしょう!」


武蔵「だな。大淀が抜けてからは元帥艦隊の旗艦だし」


赤城「むー、ガチ勢ではない私が指示を出してよろしいので?」


大和・春風・旗風・明石さん「ぜひ!」


長月&菊月「ああ、赤城さんなら」


赤城「適しているのは私と長月さんと菊月さんですね。春風さんと旗風さんは護衛のまま大和さん武蔵さんに警戒神のまま同行ですね。長の距離に入ったら拠点に三式弾をぶっぱです! 私も大和さん達の航路に偵察機飛ばしながら、長月ちゃん菊月ちゃんを支援します」


長月「そだな。春旗風はこのまま護衛輸送でいいだろ。初霜はまだ遠い。私と菊月が金剛を抑えるから確実に逃げろ」


菊月「いいのか? 夜が来る前に私達が沈む訳には……」


長月「司令官の指示通りに臨機応変だ。夜の探照灯係には暁がいるだろ?」


菊月「あー、それもそうだな。暁、任せたぞ」


暁「ふぇ、わ、私に神風さんの護衛とか……」


長月「春風と旗風、駆逐の役割は頼んだぞ。大和型はここで失う訳には行かん」


春風・旗風「お任せを!」




長月&菊月「じゃ、出るよ」



4


ドンドン!


金剛(相手は長月菊月デスカー。願ってもないデース!)



金剛(一旦、旋回して駆逐砲の外まで距離を取りマース。アカデミー時代は性能にあぐらをかいて下手に突っ込んだ結果、泣く羽目になったネ……!)


金剛(相変わらず連携がお上手デスネー。歌番の時といい、この二人のコンビネーションはあらゆる面で機能してると……バーニングシスターズ!)


金剛「ですが知ってマース! どちらか片方を潰してやれば戦闘力は半分以下! この距離からでは二人の砲撃は届きまセーン」


菊月《ハンデだ。今回は私達のほうから距離を詰めてやろう》


金剛《ムッカチャッカファイア――――!》


ドンドン!


金剛《……シット! いや、その手には乗りまセーン! 私、落ち着くのデース!》


長月《一人言まで通信飛ばしてくるんじゃない!》


金剛(といっても向こうのが速いですネ……後ろに下がり過ぎると夕立も射程に収められてしまいマース……私も提督勢の言葉に甘えて私情を挟みますか。あの二人との戦いはあまり邪魔されたくもないネ)


金剛「長引けば赤城の艦載機にいいのもらいそう……」


菊月《手加減は要らんぞ。睦月型は最強だからな!》


金剛「知ってるネ。相手に取って不足なーし!」


金剛「妹達にも提督にも金剛としてお見せできるBurning Loooveはこれが最後だし」


金剛「ふふ、決まりました!」


金剛「私らしく真正面から正攻法でぶつかってやりマース!」



5


ドンドン!


金剛「く! 精度はさすが!」クルッ


金剛「ですが、速度出し過ぎデース! 船も急には止まれなーい! 全砲門ファイア!」ドンドンドン!


ドオオオン!


金剛「イエス! 長月にクリーンヒット!」


金剛「その中破損傷なら次の砲撃で仕留めてやりマース!」


長月「この程度、傷の内にも入らん! キスカでは阿武隈と卯月を守るために二人とも大破してなお空母棲姫だって沈めてやったんだ! 行くぞ菊月!」


菊月「ああ、任せろ!」


金剛「隊列崩して二手に別れた……?」


長月「照射! 探照灯っ!」


金剛「しま、眩しっ――――」


菊月「バーニングラ――――ブ」


ヒュルル


金剛「ノー! 私が物理的にバ――――ニング! 照明弾を人に向けて撃ってはいけまセーン……!」



金剛(あ、二人が砲撃体勢)



長月「私達が単横に位置取りして同時に発射したから」



菊月「実質10列の酸素魚雷だ、避けてみろ!」



金剛「隙間があれば、避けてやりマース!」


ドオオオン


金剛「く、ここで赤城の彗星が――――」



長月&菊月「もらった。砲弾もプレゼントだ!」ドンドンドンドン!



金剛「――――!」ジャキン



ドオオオン!



6



長月「く、そ……反撃もらった……」フラフラ



菊月「おい長月、私の肩を」


ドオオオン!


菊月「――――痛っ」








金剛「ダメ、コンで航行性能は……守ったネ――――」


菊月「まだ軍刀がある、なめるな!」ブン!


ガキン


菊月「な、足の艤装で弾かれた!?」


金剛「一捻りに首を折ってあげマース」


ボキ


菊月「――――」


チャプン


長月「く、う……」


金剛「トドメデース! 空砲ファイア!」ドンドン!



ドオオオン!




金剛「……?」





金剛「まだ沈まない、の?」