2015-08-13 09:05:03 更新

概要

ここ音ノ木坂王国には9人の勇者たちと魔神にまつわる伝説があった。

そして今、その伝説による運命の歯車が動き始めた………


前書き

注意
作者がまだSS初心者のため誤字脱字、表現等至らないところだ多々あります。
なので温かい目で閲覧していただけると幸いです………
ちょくちょく見返して誤字脱字を修正しながら進めていきます。
かなりの長文になる予定です( ̄▽ ̄)


〜プロローグ〜


女王「ようやく9人揃いましたね……【神器】に選ばし者が……」


絵里「はい……」


女王「真姫のことをまだ気にしているのですか?」


絵里「ッ⁉︎」


女王「やはりそうでしたか」


絵里「………」


女王「確かに国への反逆は重罪です」


絵里「しかし!真姫は……」


女王「今や彼女は立派な反逆者です」


絵里「ですが私には! ー 女王「落ち着きなさい!」


絵里「………」


女王「なので私からお願いがあるのです。真姫の目を覚まさせてあげてください…」


絵里「それはどういう意味でしょうか?」


女王「私は決して彼女を恨んでなどいません。むしろ悪いのはこちらなのです。ですが、国としてはそれを認めるわけにはいかない……彼女を処罰せざるをえません」ウツムキ


絵里「そんなっ⁉︎」


女王「心配しないでください。私には考えがあります。なので真姫をきちんと連れ帰ってきてくださいね…」


絵里「……わかりました。必ず連れて帰ってきます!」


ことり「どうしたの?絵里ちゃん、お母さん?」


絵里「ことり⁉︎……まさか、聞いていたの?」


ことり「うんん、今来たところだよ?」キョトン


絵里「そう……」


ことり「???」


絵里「なんでもないわ」


ことり「みんな準備ができたみたいだから絵里ちゃんを探しにきたの」


女王「そうですか。今の私はこうして見送ることしかできませんが……気をつけて行ってきてくださいね 」


絵里「はい…必ず……」


ことり「うん!行ってきます!」


絵里とことりはそう言うと王室を後にして仲間と共に旅立っていった



女王 「どうかこの世界を………お願いします…… 」



プロローグ 完

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〜絵里の章〜


絵里「はぁ〜〜〜疲れた〜」


私の名前は絢瀬絵里

ここ音ノ木坂王国騎士団の一員である


???「あらあら、伝説の勇者様がそんなのでどーするの〜?」クスクスッ


絵里「あんじゅ団長……その呼び方はやめてくだいって言ってるじゃないですかぁ〜」


あんじゅ「でも、ほんとのことでしょ?【神器】に選ばれし伝説の9人の勇者……その内の1人なんだから」クスクスッ


そう、私は伝説…いわゆるお伽話に出てくる勇者たちが持っていたとされる【神器】を持っているのだ

正しくは自分の意思で呼び出せる?とでも言った方が良いのだろうが………


絵里「でも、そんなのはただのお伽話であって作り話じゃないですか」


あんじゅ「でも実際にあなたは神器を持ってる訳だしね。あなたが作り話なんて言っても説得力がないわよ?」クスクスッ


絵里「むぅ…」ムスッ


???「どーしたん、えりち?」


???「任務で何かあったの?」


絵里「希ぃ〜。真姫ぃ〜。団長がいじめてくるのよ〜〜!」ウワ-ン


希「あ〜なんやそんなことか」シラ-


真姫「いつものことでしょ」シラ-


絵里「2人ともひどいわ……」ガ-ン


この2人は東條希と西木野真姫。私と同じく音ノ木坂王国騎士団の一員であり、【神器】も持っている。


あんじゅ「2人とも任務おつかれさま〜。何か収獲はあった?」


希「はい。この前団長が言っていた場所に奇妙な洞窟がありまして………」


あんじゅ「やっぱり………おそらくそこが伝説にある【魔神】の封印場所ね…」


真姫「ここまでくるとあの伝説もただのお伽話ではなさそうね……」


希「そうやね…………

約200年前に【神器】という神と同じ力を宿す武器をもつ9人の女神がいた。その頃の世界は人間と悪魔が争い、戦いが絶えることはなかった。そこでその勇者達はこの世界の人間を滅ぼして悪魔だけの世界を作ろうとした【魔神】を倒すために力を合わせて戦った。しかし、魔神の力はとても強大であったため、倒すことができなかった。そこで勇者達は魔神を封印し、復活してもすぐに力を取り戻さないように魔神の魔力を【7つの宝玉】に分割して閉じ込めた。そして、7つの宝玉を王国の各地へ隠した。その時勇者達は神器を失ってしまったが世界を守ることができた。

確かこんな話やったよね?」


あんじゅ「そのとうりよ」


真姫「でもまだこの世界にはまだ悪魔はいるわよ?それに、伝説にあるような悪魔もこの世界にはいない。みんないい人たちだわ」


絵里「そうよ!悪魔と戦うだなんてムリよ」


希「やっぱり伝説は全てが正しい訳ではないんかもな……」


あんじゅ「その点については私が説明するわ」


絵里「何か知ってるんですか?」


真姫「………」


あんじゅ「ええ。まず悪魔についての説明ね。悪魔っていう生き物が見た目は人間と変わらないというのは知っているわよね?」


絵里「はい」


真姫「見た目からは判断できないわね」


希「でも、悪魔は人間と違って魔法を使うときなんかは目が紅くなり瞳は黒くなる。そして身体能力が飛躍的に上昇する」


あんじゅ「ふふっそのとうり。それぐらいはさすがに知ってるわね。そしてこの音ノ木坂王国の領内にいる悪魔のほとんどが人間との共存を望んでいる。だけどね、そうじゃない悪魔もいる。無論人間もおなじよ。今はそれが表面化していないだけで、またいつもの争いが起こってもおかしくないわ………おそらく魔神が復活すればまた戦いが始まるわね…まぁあくまでもその伝説が実話ならの仮定でしかないけれどね」


真姫「でも、ここまできたらあの伝説も実話だと信じざるを得ないと思うけど?」


希「せやなぁ…」


絵里「はぁ…………」


希「どうしたん、えりち?」


絵里「いや、ちょっとね……なんで伝説の勇者が私なんだろうって思っちゃってね。私以外にも適任は多いはずなのに」ハァ


希「例えば?」


絵里「団長……」


あんじゅ「私?でも私は神器なんて持ってないからねぇ」


真姫「そんなこと言ったら私や希だってそうよ。だから、これは受け入れるしかない事実よ。運命ってやつね」


絵里「運命ねぇ」ハァ


真姫「もう!そんなことうじうじ考えても仕方ないでしょ!」ツクエドンッ!


希「ま、真姫ちゃん落ち着いて…」オロオロ


絵里「そうね〜。真姫の言うとうりね。とりあえず何をしたらいいかわからないけど素直に受け入れるわ」


あんじゅ「ふふっ 3人とも仲がいいのね。私は今から国王に洞窟のことを報告してくるわね」


絵里「私達も今日は休みましょ」


私たちがいろいろ話しているうちにいつの間にか辺りは暗くなっていた


希「せやな〜」


真姫「………」


絵里「真姫、どうしたの?」


真姫「何でもないわ、また明日ね」


絵里「そう……また明日!」


そう言って私は本部を後にして帰宅したのだった。








真姫「希……ちょっといいかしら?」


希「ん?どうしたん?ーーーーー」


ーーーーーー

ーーーー

ーー


・絵里宅・


私は足早に家へ帰るとすぐに部屋にこもった

ベッドの上に寝転がり今日のことについて色々自分で検討してみた……


絵里「なぜ私を選んだの?」


そんな独り言を言いながら私は【魔弾神剣グラム】と言う名の神器を片手に眺めながらぼやいてみた………


この神器は名前のとうり剣でありながらも魔弾も撃つことができるという遠近両用の優れものの武器である。


ついでに希と真姫の神器も紹介しておこうと思う


希の神器は【双滅神銃ランカスター】という名の2丁拳銃である


真姫の神器は【烈風呪神刀】と言う少し長めの刀である


私達はそれなりに神器を使いこなしているつもりではあるが正直なところ神器を扱うのには個人が保有している【魔力】に依存しているのだろうと私は思う


この世界には魔法と言うものも存在するがこの国では魔法は【悪魔の力】として使用が禁じられている


ほんとにおかしな話よね?


この悪魔を敵視しているとしか思えない規制に私は度々疑問を覚える


そんなこんな考えている内に今日の真姫の言葉がフラッシュバックしてきた


「これは受け入れなければならない事実よ」


絵里「はぁ………。真姫はああ言ったものの………どうしたらいいのかしら?」


そんなことを考えている内に私は深い眠りに落ちてしまった…


ーーーーーー

ーーーー

ーー


翌日……

・騎士団本部・


あんじゅ「みんな、急に集めてわるいわね。」


絵里「何かあったんですか?」


あんじゅ「緊急任務よ………しかも極秘のね」


普段少しフワフワしている団長から発せられるただならぬ雰囲気に周りは静まり返っていた………


あんじゅ「真姫そして希の隊は今すぐ南領にあるヴェネルの街へ向かってちょうだい」


希「何かあったんですか?」


あんじゅ「急な応援要請が入ったの」


真姫「…………」


あんじゅ「真姫?どうしたの?」


真姫「いえ、何も……」


あんじゅ「そう?じゃあ、とりあえず2人はそちらをお願いね!」


のぞまき「はい!」


あんじゅ「絵里は私と一緒に封印の洞窟へいくわよ」


絵里「えっ‼︎2人でですか?」


あんじゅ「流石にそんな訳ないわよ……私とあなた、そして私の隊を合わせた20名ほどで行くわ」


絵里「やけに少なくないですか?」


あんじゅ「こっちの任務は国の方があまり公にしたくないらしいから少数精鋭で行くことになったわ」


絵里「わかりました」


そして私は希達とわかれて団長と共に封印の洞窟を目指し出発した


ーーーーーー

ーーーー

ーー


・封印の洞窟 入り口・


絵里は 「ここが封印の洞窟……」


あんじゅ「少し中を確かめてみましょうか………」


洞窟に入るとすぐに大きな空間になり、そしてそこにはとてつもなく大きな扉が1枚あった

おそらく扉の奥にはあの伝説の魔神が封印されているのであろう…


あんじゅ「ここの奥に魔神が………」


絵里「どうしますか?」


あんじゅ「とりあえず少しだけ扉を開けてみましょうか……」


絵里「でも、こんな大きな扉………」


あんじゅ「ん〜〜ちょっと押してみたら?案外軽くいけるかもしれないし」


絵里「そ、そうですね……」


団長は相変わらずどこか軽いというかなんというか………

少し天然なのではと改めて思ったりしたけれど、私は扉に手をおき思い切り押してみると

ゴゴゴゴゴゴッッッ

と鈍い音が洞窟に響き渡り、団長の言うとうりとても簡単に開いてしまった……


絵里「開きましたね………」


あんじゅ「そ、そうね………」


どうやら団長も冗談のつもりで言ったらしく、呆気にとられていた


あんじゅ「私が先に中を確認してみるわ。少し下がって誰も来ないか見張りをしていてちょうだい」


団長にそう言われ私は扉から少し離れ、団長は扉の奥へと向かおうとした……
























その時だった!

団長いきなり私の方へと振り向き……

私に向かって手に持っていた剣を振り下ろそうとしてきたのだった!


私はあまりに突然のことで対処することができなかった………………


???「《一閃》!!!!!!」シュパッ


絵里「ッ⁉︎」


団長の剣が私に当たるギリギリのところで見覚えのある漆黒の刀を持った人物が割って入ってきたのだ

そして団長の剣を弾き飛ばしたのだった


あんじゅ「…あなた、なぜここに?」


???「あんたこそ何やってんのよ!」


あんじゅ「 チッ 」


団長は舌打ちをしながら素早く扉の方へと下り体制を立て直し、私は未だに状況の理解が追いついていなかった。


あんじゅ「命令違反なんてあなたらしくないわね〜?任務はどうしたの?真姫」


真姫「希に任せたてきたわよ。あんな任務が本当にあったかもわからないしね」


あんじゅ「私ね〜頭のキレる子ってやっぱり嫌いかも〜〜。先にあなたを始末しておくべきだったわ」


真姫「…………やっぱりあなた………」




ーーーーーー

ーーーー

ーー


・昨日の夜…………


真姫「希……ちょっといいかしら?」


希「ん?どうしたん?そんな怖い顔して?可愛い顔がだいなしやよ?」クスクス


真姫「もうっ!カラカワナイデ!!こっちは真剣な話をしようとしてるのに……」


希「ごめんごめん。そんなに怒らんといてよ。それより、うちに何か相談?」


真姫「まぁいいわ………ちょっと団長について気になることがあってね…」


希「団長?団長がどうかしたん?」


真姫「最近変だと思わない?特に魔神の話をするとき……妙に詳しいしと思わない?」


希「そう言われればそうやね………悪魔についても色々と知っとるような口ぶりもしとったしなぁ」


真姫「やっぱり希もそう思う?」


希「うん。まぁここであれこれ言ってもしゃあないし、明日注意深く観てみるしかないんやない?」


真姫「そうね………そうしましょ。引き止めて悪かったわね。それじゃあまた明日」


希「うん。また明日」



・今日(任務へ向かう途中)


真姫「………」


希「真姫ちゃん?やっぱり昨日こと気にしとるん?」


真姫「ええ………」


希「確かに今日も急な話やったしなぁ」


真姫「極秘に進めたいのなら私達と絵里と団長の4人で行けばいいと思わない?」


希「確かに………この任務も妙にタイミングがあってるなぁ………」


真姫「これは何かあるわね……」


希「そんなに気になるんなら向こうに行ってきてもええよ?」


真姫「でもっ………」


希「それに、こっちの任務は本当にあるか何とも言えへんしな……」


真姫「まさか……騙されたの?」


希「それは街に着かんと何とも………でも、もしうちらの勘が正しければえりちが危ない……」


真姫「なッ⁉︎」


希「あくまで可能性の話や。だから、こっちはうちに任せて真姫ちゃんはえりちのところへ向かってくれへん?真姫ちゃんの方がうちより戦闘に関しては上やしな…」


真姫「わかったわ!ありがとう希!」


希「真姫ちゃん……気をつけるんやよ…………」


真姫「わかってるわ。それじゃあ!」


希(真姫ちゃん………えりちのことをたのんだで………)



ーーーーーー

ーーーー

ーー


絵里「状況が全く飲み込めないんだけど………」


真姫「ようするにあいつは悪魔よ!そして魔神を復活させようとしている。それには私たちが邪魔だったから私と希を遠ざけて、さっきあなたを殺そうとしたのよ!!」


絵里「だ、団長が………悪魔………」


真姫「そうよ。私たちはこいつにずっと騙されていたのよ!」


絵里「どういうことですか?団長…」


あんじゅ「ふふふっ さっき真姫が言ったとうり、私は悪魔よ」スッ


そう言うとあんじゅの目が赤く…赤く染まり、瞳は黒くなっていった………


絵里「どうしてこんなことを⁉︎」


あんじゅ「どうして?決まってるじゃない!魔神を復活させるためよ!!!そして、この世界の人間を滅ぼし悪魔だけの世界を作る!そのためよ!!」


絵里「そうですか………それなら私はあなたを全力で止めます!」ジャキッ


あんじゅ「あなた達にそんなことできるかしら?」ニヤニヤ 


真姫「もうあなたの思惑どうりにはさせないわ。2対1ならこちらに武があるわ」


あんじゅ「2対1?ふふっ 何を言っているの?」


真姫「どういう意味よ?」


あんじゅ「2対20よ!私が連れてきた騎士達はみんな私の部下だって言ったでしょ?」クスクスッ


絵里「なッ⁉︎」


騎士A「そういう事だ。人間たち」


後ろを振り向くとそこには先ほどまで仲間であった騎士たちがみな【悪魔の目】をしていた…………


騎士B「あんじゅ様の邪魔はさせない!」


真姫「くッ……これは流石に予想外ね………」


あんじゅ「あなた達!少しの間時間を稼ぎなさい!私は魔神の封印を解いてくるから」クスクスッ


そう言ってあんじゅは扉の向こうへ姿を消した………


真姫「待ちなさいっ!!」ダッ


騎士C「おっと…ここから先は行かせないぞ」ザッ


真姫「くそッ!」


絵里「真姫!落ち着きなさい。とりあえず先にこいつらを倒すわよ!」


真姫「そんなことをしている時間はないわ!」


絵里「このまま押し通って行っても状況が悪化するだけけよ!」


真姫「ああ!もうっ!早く片付けるわよ!!」


騎士A「そう簡単にはやられんぞ!」


ーーーーーー

ーーーー

ーー



・封印の間


あんじゅ「ようやくここまできたわね……………魔神復活の時が!!!


ようやく会えるわね、魔神よ………


いえ……




ツバサ……………………………


またあなたと共にこの世界で…………」



ーーーーーー

ーーーー

ーー



絵里「しぶといわね…………」


真姫「早くしないと!魔神が!」


絵里「流石に数が多すぎるわよ…」


真姫「やっぱり押し通ーーーー」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッッッ!!!


真姫がそう言いかけた時、突然洞窟が崩れ始めたのだ…………


真姫「⁉︎」


絵里「な、なによこれ……洞窟が崩れ始めて…………」


騎士A「魔神様の復活の時だ!!」


騎士B「ついに……ついに……」


絵里「なッ⁉︎早すぎるわよ!」


真姫「絵里!とりあえずここを出るわよ!このまま岩に潰されてしまうわ!」ダッ


絵里「わかってるわよ!」ダッ


そうして私と真姫は洞窟を急いで出た………


・洞窟 外


私と真姫は辛うじて洞窟の外へと脱出した

そして完全に崩れ果てた瓦礫の山をただ虚しく見つめていた………


絵里「どうしてあいつらは逃げなかったのかしら………」


真姫「わからないわ………」


私たちと戦っていた悪魔たちは魔神が復活したと感じるやいなや、私たちには目もくれずその場に跪いていたのだ


真姫「それにそんなことを考えても仕方がないわ……」


すると瓦礫の中から黒く不気味な光が溢れ出した


絵里「な、なに⁉︎」


光は瓦礫の山を吹き飛ばし、そこにはあんじゅが居た…………


あんじゅ「ふふっ 残念だったわね。小さくて無力な伝説の勇者さんたち。生贄が多かったから思ったよりも早く封印を解くことができたわ〜」クスクス


真姫「生贄……?」


あんじゅ「そうよ。封印を解くためには生贄が必要だったのよ〜」


絵里「まさか………」


あんじゅ「そのとうりよ」ニヤニヤ


そう、つまりはさっきの悪魔たちはみんな生贄となった、ということだろう…


絵里「狂ってるわ……」


そしてあんじゅの隣には………

見慣れない少女が立っていた


真姫「あれが………魔神?」


絵里「……………」


あんじゅ「そうよ。彼女こそがあの伝説に出てくる魔神よ。」クスクスッ


真姫「とてもそんな風には見えないわね………」


魔神「………」


あんじゅ「失礼ねぇ………あなた達の勝手なイメージを押し付けないでくれるかしら?まぁまだ力を取り戻した訳じゃないけれどね。とりあえずここは引かせてもらうわ」バイバーイ


絵里「待ちなさいっ!!!」


魔人「…………」ギロッ


そう言って魔法で魔神と共に闇の中へ姿を消そうとした時、一瞬だけ魔神がこちらを睨んだように思えた…………


絵里「ッ!?」ゾクッ


私は一瞬だけとてつもない恐怖を感じた………

まるで自分の心臓を握り潰されるかのようなおぞましい感覚………

そして私はその恐怖心からか、力なく膝から崩れ落ちてしまった…………


真姫「なによ…………いまの………」ガクガク


真姫も私と同じ恐怖を感じたのだろか

彼女の身体はとても震えていた………


絵里「あれが…伝説の魔神……」


真姫「どうやら…………本物みたいね………」


先ほどの恐怖から私たちは彼女は本当に魔神であるのだと確信したのだった…


絵里「………完全に私の判断ミスね……

あそで真姫の言うとおりにしておけば………」ウツムキ


真姫「いえ………むしろこっちの方が良かったわよ」


絵里「なぜそう思うの?」


真姫「おそらく強行突破していたら今頃ここの下敷き、もしくは私たちも生贄にされかねなかったわ………」


絵里「でも魔神は復活しなかったかもしれないじゃない!」


真姫「それはないと思うわ……こんなに早く封印が解かれてしまうなんて……」


絵里「………」


真姫「これは絵里せいじゃないわ、私たちの責任よ………」


私と真姫はそれぞれ思うところはあったけれども、ひとまず本部へ戻ることにした………



ーーーーーー

ーーーー

ーー


・騎士団本部・


希「魔神は復活してしまったけど、二人とも無事でよかったわぁ〜」


絵里「何を呑気なこと言ってるのよ…」


希「まぁまぁ、起こってしまったことを後悔するくらいなら次にどうするべきか考えるんがええとうちは思うけど?」


真姫「そうは言うものの………今回は状況が悪すぎるわ……………」


希「真姫ちゃんまでそんなこと言わんといてよ〜」


絵里「でも、これから先どうすると言われても何が最善なのかがわからない以上下手に動かない方がいいわ」


希「まー確かに……」


街へ戻った私たちは先ほどの出来事を国王の元へと報告しそして本部の仲間たちにも同様に話した


ひとまず今日は解散にして明日今後について話し合うことになった


団長の裏切りに魔神の復活………


今日1日でいろんなことが重なりすぎて私の頭の中はとてもぐちゃぐちゃしていて、落ち着かなくて、真姫と希と色々と相談していた………



???「ちょっといいかしら?」トントン


絵里「はい、どうぞ…」


すると突然誰かがここを訪ねてきたのだった


???「こんにちは、絵里さん、希さん、そして真姫さん」


絵里「じょ、女王様⁉︎」ガタッ


女王「急にお邪魔して悪いわね」


希「と、とんでもないです」アセアセ


真姫「なんでそんなに焦ってるのよ…」


絵里「ま、真姫はよく冷静でいられるわね………」


真姫「私も一応驚いているんだけど?」


絵里「そ、そう?」


希「と、ところで今日はどのようなご用事で?」


女王「はい。どうしても皆さんに話しておかなければならないことがありまして…………少々長くなってしまいますが時間の方はよろしいですか?」


真姫「はい」


絵里「私も大丈夫です」


希「と、とりあえずこちらにお座りください」ササッ


女王「あんまり気を使わなくてもいいのよ?でも、ありがとう」


希「は、はい」


突然の女王様の訪問………


この国で2番目に権力がある人が突然現れたのだ


そりゃあ誰でもあせるわよね?


きっと真姫がおかしいんだわ………


私はそんなことを思いながら女王様の話に耳をかたむけた


女王「まずは魔神の話からしましょうか」


絵里「その件については本当に…申し訳ありませんでした」


女王「いえ、絵里さんは悪くありませんよ。あんじゅの策略に気付けなかったこちらの責任です」


真姫「でも、私たちのせいで魔神は復活してしまったと言っても変わりないわ」


女王「これに関しては誰もどうしようもなかった。だから自分たちを責めるのはやめてください」


絵里「……………」


希「それで、魔神の話というのは?」


女王「9人の勇者と魔神の伝説は知っていますよね?」


3人「はい」


女王「そしてあなた達はその伝説の【神器】を持っている……」


真姫「私たちに魔神をもう一度封印しろと言うことですか?」


女王「いえ、それでは意味がないのです。それではまた誰が魔神を復活させてしまうでしょうから…」


絵里「では、どうしたらよろしいのですか?」


女王「今の魔神はまだ肉体と魂が復活しただけであって、本来の力を取り戻してはいません」


希「7つの宝玉………」ボソッ


女王「そうです。魔神の完全復活には7つ宝玉が必要なのです」


絵里「つまり、宝玉をあいつらはよりも早く見つければ…」


真姫「完全復活を阻止できるってわけね」


女王「そういうことになります」


絵里「場所はわかっているのですか?」


女王「まだわかっていません」


真姫「それじゃあ探しに行けないじゃない……」


絵里「これから片っ端から探すしか…」


女王「いえ、その必要ようはありません。その7つの宝玉はそれぞれ別々の遺跡に封印されてることはわかっています。ですから宝玉の正確な在り処がわかるまではそちらには手を出さないということです」


希「でも、それやと先を越されてしまうんじゃ…………」


女王「その心配はありません。正しくはまだ宝玉には手を出せないと言った方が良いかもしれません」


絵里「どういうことでしょうか?」


女王「実は宝玉にも魔神と同じような封印がされているそうです。そしてその封印は魔神の封印が解かれた約3年後に解かれるそうです。それに加え、宝玉の封印は1つずつ順番にしか解かれていかないそうです」


真姫「なぜそんな面倒な仕掛けを?普通は魔神が復活しても魔神の手にわたらないような封印をすると思うのだけど?」


女王「実は宝玉にはもう1つ使い道があるのです」


希「なんか話がえらいことになってきたよ………」ボソッ


絵里「そ、そうね……それでその使い道とは一体何なんですか?」


女王「宝玉を7つ集めてそれに特別な魔法をかけると、この世界の邪悪な力を全て消し去ることができるそうです。つまりは人間と悪魔の境が無くなるということです」


3人「?????」


女王「簡単に言えば心に強大な悪を持つものは消えて無くなるということです」


絵里「つまり、魔神も消えて無くなる…」


女王「そういうことです」


希「宝玉にそんな使い道があったなんて………知らんかったなぁ」


真姫「女王様はどうしてそんなことを知っていたのですか?」


女王「ナイショよ」ニコッ


真姫「どういうことですか?」


女王「重要国家機密情報だからね」


絵里「なるほどね……こんな話が知れ渡ったら大変だものね」


女王「そういうことです」ニコッ


希「それじゃあ、うちらはこの3年の間に残りの勇者を探せばええんやろか?」


女王「おそらくその必要もないでしょう」


絵里「なぜですか?」


女王「あなた達勇者は運命よって自然と集まるようになっている………そう言っておきましょう」


真姫「よくわからないわね」


女王「今はそれでいいのです。それと1つ頼みたいことがあるのです」


絵里「なんでしょか?」


女王「私直属の部下になっていただけませんか?」


絵里「え、ええと……つまり………女王様の護衛役になれということですか?」


女王「あくまでも名義上の話ですが」


真姫「また急な話ね」


女王「どうでしょうか?」


絵里「一応理由を説明してもらえませんか?」


女王「もちろんきちんと話します。まず、私の予想が正しければこの国は2つに割れてしまうでしょう……」


3人「えッ!?」ガタツ


真姫「どういうことですか…?」


女王「簡単に言いますと、悪魔を倒そうとする人たちと悪魔と共に生きていくべきだという2つに分かれるということです」


希「なるほどなぁ……確かにこれだけのことがあって魔神まで復活してしまったわけやし、悪魔を倒そうとする人たちが出てもおかしくない」


女王「はい。それに加えて国王までも悪魔の討伐に乗り出そうとしています。しかし、それは間違っていると私は思います。罪のない方々まで巻き込んでしまっては、それはただの虐殺でしかありません。ですから討伐派の人間が簡単に動けないように抑えておく必要があるのです」


真姫「!?」


絵里「国王様までそんなことを………それでその討伐派を抑えるために私の力が必要ということですか?」


女王「そういうことです。そして騎士団という組織は元々国王直属の兵士であるのが前提にあります。なので騎士団に所属していると悪魔討伐の任務が出された際に従わなければなりません」


真姫「ちょっと待って。討伐派を抑えるってことは反逆してるのと同じじゃないの?」


女王「それについては大丈夫です。魔神を倒すという目的自体はお互いに同じですからね。討伐派を武力は使わずに圧力のみで抑えるつもりですから。しかし、騎士団に所属していて命令に反することがあればそれこそ反逆になりかねません」


希「考え方ややり方は人それぞれやけど目的は同じやからお互いに下手には手を出せないということですね」


女王「そういうことです。さすがの国王も民の反感を買うようなことはしないと思いますので……」


絵里「わかりました。そういうことであれば是非お願いします。2人ともいいわよね?」


真姫「もちろんよ!」


希「うちもや!」


女王「ありがとうございます。それでは

騎士団を辞め、私の護衛役として働くことを命じます」


3人「はい!」


女王「私はひとまず王宮へ戻ります。今日はあなた達は休んでください。お疲れでしょうからね。明日から、よろしくお願いします」


こうして私達3人は騎士団を辞め、女王様の元に仕えることになった


そしてこれが後に【義聖団】と名乗るようになったのだった




絵里「なんか今日だけでいろんな事があったわね………頭がおかしくなりそう」グダ-


希「うちもやわ〜〜」クデ-


真姫「………」


絵里「どうしたの真姫?」


真姫「…………どうしてみんな平和を壊そうとするのかしらね………無駄な争いは何も生み出さないのに…」


希「どうしてやろな……」


絵里「2人ともらしくないわね」


真姫「絵里は何も思わないの?」


絵里「思わないと言えば嘘になるわ…でも、うじうじしたって仕方がないって言ったのはどこの誰だったかしらね〜〜?」クスクスッ


真姫「!」


絵里「だから今は目の前のことに集中しましょ!だから元気だしなさいっ!」


真姫「絵里………ありがとっ」ボソッ


絵里「何か言った?」ニヤニヤ


真姫「な、何にもないわよ!」


希「あらあら、真姫ちゃんは素直なやいねぇ〜」ニヤニヤ


真姫「もうっ!」


絵里「とういわけで明日から気合いれていくわよ!」


真姫「どういうわけよっ!!」


絵里「ふふふっ」


こんな風にいつか毎日たわいもないことで笑ってみんなが幸せに暮らせる世界を作りたい

と、私はこの時思ったのであった………



そしてだんだんと視界が霞んでいき、見えなくなっていった………………………



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



・???・


空には大きな雨雲がかかっていてあまり気分のいい日ではなかった

私は必死で街中を駆け回ってきた


絵里「ーー!どこにいるのよ!!!!」


そして、ある人物を必死で探していた


どれぐらい走り回っただろうか………

次第に雨が降り始めそして豪雨へとなっていった


希「えりち!そっちはおった?」ハァハァ


絵里「ダメ……見つからないわ」ハァハァ


希「あっちの方を探してみよ!」


絵里「わかったわ!」


私と希は狭く入り組んだ通路を抜けて街の外れまでやってきた


希「いた!」


絵里「ーー!!あなた…一体どうして……」


ーー「あんたに何がわかるのよっ!!!!!!」


絵里「!?」


希「その目………どうして…………」


ーー「ーーーーーーーーーーーーー」


私の視界はまた霞んでゆきそして、見えなくなってしまった………




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー












ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・義聖団本部・


絵里「ふぁぁ………」ノビ---


寝覚めはいいとは言えないものの、とても良く寝た気がする


穂乃果「絵里ちゃん大丈夫?」


海未「すごくうなされていましたが…」


絵里「ええ………」


どうやら私は夢をみていたらしい

とても、とても長い夢を…………


穂乃果「悪い夢でもみたの?」


絵里「ちょっと昔の夢をね………」


穂乃果「へ〜〜どんな過去?」


海未「穂乃果!人の過去を詮索するような事をしてはいけません!」


穂乃果「そんなに怒らなくても…」 シュン


絵里「大丈夫よ海未。まだあなた達と会う前の夢を見ていただけよ………ちょうど3年ほど前のことよ」


海未「私たちと会う前ですか……」


絵里「色々あったのよ。忘れるなってことかしらね」クスクス


決して変えることはできず、そして忘れることのできない過去…………

こんな時に夢に出てくるなんて…

なんか不思議ね



穂乃果「絵里ちゃんも起きたことだし、出発しよ!」



絵里「そうね、宝玉を取りにいくわよ!希達が別の任務でいない分私達が頑張らないとね!」


そうして私達3人は1つ目の宝玉を取りに行くために遺跡を目指した……




〜絵里の章〜 END


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〜ことりの章〜


ことり「はぁ〜〜〜〜〜〜〜…………」ダラ---


私の名前は南ことり

突然ですが私はいま、とても憂鬱な気持ちなのです


???「でも、ことりちゃんが家出するなんて思わなかったよ?」


???「きっとことりちゃんも成長したんだにゃ」ウンウン


???「凛ちゃん……それはちょっと違うような………」


凛「それじゃあ何て言えばいいの?」


???「う〜ん………反抗期?」


ことり「うぅぅ…………」ウルッ


凛「わー!かよちんがことりちゃんを泣かせたにゃ!」


花陽「え?え!?ことりちゃんごめんね。そんなつもりじゃ………」アセアセ


ことり「うん………」グスッ


ここはレーンの村という悪魔が住んでいる村です


王都から近いところにあるので私はよくお母さんに内緒でここに遊びにきていました


そして、親友である凛ちゃんと花陽ちゃんはもちろん【悪魔】です


魔神の復活からもう半年が過ぎていて、人間と悪魔の対立が以前よりも少しみ目に見えて分かるようになってきちゃったけれど、この村はそんなことはなく人間である私を快く歓迎してくれます


私達3人はとっても仲良しでなんと、私達は3人ともあの伝説に出てくる【神器】だっけ?そんなようなものが使えるのです


昔からの親友でもあり、神器を扱える勇者?でもある私達の絆はとても強いものだと思ってます


そして今、私はなんと人生初の家出をしてきたのです!!


花陽「えっと……元気だして?花陽達が相談に乗ってあげるから…ね?」


ことり「花陽ちゃぁぁぁぁあん」ダキッ


花陽「ぴゃあ⁉︎」ビクッ


ことり「やっぱり花陽ちゃんは優しいね…」ウワメ


花陽「///」


凛「かよちん照れてるにゃ〜」ニヤニヤ


照れてる花陽ちゃんはかわいいなぁ〜〜〜〜〜〜♡♡

そんなことを思いながらも私の心の憂鬱が晴れることはありませんでした


花陽「でも、ことりちゃん。どうして家出なんてしてきたの?」


ことり「えっととそれはねーーーーーー



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ーー


・王都 王室・


ことり「お父さんはどうしてそんなに悪魔が嫌いなの?」


あ、言い忘れてましたが実は私この音ノ木坂王国のお姫様なのです♡


凛ちゃんと花陽ちゃんはもちろんこのことを知ってるよ


国王「急にどうしたんだ?」


ことり「私ね、悪魔はお父さんが言うような人たちだけじゃないと思うの。優しい人たちだっていっぱいいると思うの。お母さんもいつもそういってるよ」


国王「お前たちは2人とも考えが甘いのだ!このまま悪魔を世界に野放しにしておいたらいつ何をされるかわかったものじゃない!魔神が復活したのがいい例であろう!!」


ことり「でもだからと言って全ての悪魔を敵対視するのは間違ってると思う!」


国王「だまれだまれ!お前たちは何もわかっていない!」


ことり「何もわかってないのはお父さんの方だ!もう知らない!!出てく!」


国王「ふんっ 何処へでも好きなところに行くといい」


ことり「お父さんのわからずや!!」



ーーーーーー

ーーーー

ーー



ことり「って事があったの…」


凛「なんか、思ってたよりも壮絶だったにゃ………もっと軽い喧嘩かと思ったにゃ」


花陽「やっぱり私達悪魔はよく思われてないんだね………」


ことり「でもね、みんながそう思ってる訳じゃないよ!私はこの村のみんなの事大好きだもん!」


凛「それでも王様が凛たちのことを敵だとみなしてるってことはここも危ないよね………」シュン


花陽「そうだね…………」シュン


悪魔と人間の区別は見た目ではわからないからこの村が悪魔の住む村だとは見ただけではわからないのです


もちろんこの村の人達が必死で隠してるんだけどね


ことり「うん……でも、今のところは大丈夫だと思うよ」


花陽「どうして?」


ことり「お母さんがね、新しく義聖団っていうのを作ってね、討伐派の勢力を上手に抑えてるの」


凛「女王さまは凛たちのこと敵だとは思ってないの?」


ことり「うん!悪魔達と共存していくべきだって言ってるよ」


花陽「じゃあ今、王都では王様と女王様は争ってるってこと?」


ことり「うん。お母さんもお父さんのやり方は間違ってるって言ってるよ。あ、もちろん直接そんな言い合いはしてないけどね。お父さんは騎士団、お母さんは義聖団を上手く使って表面上では争わないようにしてるの」


凛「なんかとっても、大変そうだにゃ〜」


ことり「流石に直接口論になんてなっちゃったら国内で紛争が始まっちゃうかもしれないしね」


花陽「王都に住んでいる人たちはどうしてるの?」


ことり「…………」


花陽「何かあるの?」


ことり「街のみんなはお父さんに無理矢理従わされてる感じなの」


凛「そんなことして暴動とかは起こらないの?」


ことり「実を言うとね討伐派の人たちはほとんど騎士団に入っちゃってるの」


花陽「え!?」


ことり「だから共存派のみんなは騎士団にかなりの圧力をかけられててね…」


花陽「でも、義聖団があるんじゃないの?」


ことり「義聖団ってのはね、確かに討伐派の勢力を抑えてはいるの………でもそれは武力的均衡を保ってるわけじゃないの」


花陽「どういうこと?」


ことり「義聖団はね、今たしか3人しかいないらしいの………」


凛「じゃあどうやって討伐派を抑えてるの?そんな人数じゃすぐにやられちゃうんじゃ………」


ことり「ことりも詳しくは知らないんだけどね、騎士団っていうのは何か大義名分が無いと組織としての行動が起こせないらしいの………だから、お母さんが義聖団を使って口実を作らせないようにしてるらしいの」


凛「凛には難しくてよくわからないにゃ……」


花陽「ようするに何か理由がないと何もできないってことだよね?」


ことり「うん。今のところ騎士団が強行手段に出てないから、お互いに手を出して闘えないって感じだね」


凛「なるほどにゃ!」


花陽「凛ちゃんほんとにわかったの?」


凛「ぜんぜんにゃ!」


花陽「あははは…………」


ことり「凛ちゃんらしいね」クスクス


凛「なんかバカにされてる気がするのは気のせいかにゃ?」


花陽「そんなことないよ、凛ちゃん」クスクス


凛「かよちんまでひどいにゃ…」


ことり「まぁそういうことだから騎士団が強行手段さえ使わなければ大丈夫だよ」


凛「どういうわけにゃ!」


花陽「それならとりあえず一安心だね。でも、ことりちゃん今日どうするの?」


凛「無視なんてひどいにゃ……」シュン


ことり「?」


花陽「だって家出してきちゃったんでしょ?」


ことり「あ………」


凛「そういえばそんな話をしてたきがするにゃ」


花陽「え?今その話をしてたんだよね?」


ことり「忘れてた………」アハハ…


花陽「じゃあ今日はうちに泊まってく?」


ことり「お願いします」ペコリ


凛「やったにゃー!今日はいつもより賑やかになるにゃ!!」テンションアガルニャ-


花陽「そうだねっ」


そうして私はしばらくの間凛ちゃんと花陽ちゃんのお家に泊まることになりました


私は凛ちゃんと花陽ちゃんと一緒にとっても楽しい時間を過ごしました

家出をしたなんて事を忘れて…………


そしてあっという間に1週間ほど経ちました……



ーーーーーー

ーーーー

ーー


・1週間後 ・


花陽「そういえばことりちゃん」


ことり「なぁに?」


花陽「いつまでここに居るつもりなの?」


ことり「どうして?」


花陽「みんな心配してるんじゃ……特にお母さんのが」


ことり「あんな所には帰りたくない…」


花陽「ことりちゃん……」


私はそんなこと言いながらも花陽ちゃんの急な言葉に胸が痛くなったような思いがしました


お父さんとは喧嘩してしまったけれど、お母さんに何も言わずに出てきてしまったのは流石に罪悪感があったのです


凛「おはよー!2人ともどうしたの?」


花陽「ことりちゃんがいつまでここに居るつもりなのか聞いてみたの」


凛「ずっとここに居ればいいにゃ!かよちんもそう思うでしょ?」


花陽「それはそうだけど…………」


凛「だけど?」


花陽「流石に何も言わずに出てきちゃったのはいけないと思ってね…」


凛「うーん……確かに………」


ことり「でも!私は戻りたくない!!」


凛「どうしてにゃ?」


ことり「あんな窮屈なところになんていたくない…………みんなが毎日争ってるのなんてもう見たくない………」ジワッ


私はそう言うとなぜか涙が出てきちゃったの…………


どうしてだろうね………


花陽「………」


凛「そうにゃ!!!」


ことぱな「!?」


凛「2人とも今から一緒に出かけよう!連れて行きたい場所あるにゃ!」


凛ちゃんが突然そんな事を言い出して

私達は少し戸惑っちゃったけど

私達は凛ちゃんに連れられて一緒に村を出ました



ーーーーーー

ーーーー

ーー


凛「ここにゃ!」


そう言って凛ちゃんが連れてきてくれた場所は村を出てちょっと歩いた森の深いところにあるとても見晴らしがいい場所でした


そしての美しい景色の中にはとても栄えていて、活気のある王都も見えた……


ことり「すごく綺麗な景色だね……」


私はそう言ってしばらくの間その景色みとれてしまいました


凛「でしょ!凛のお気に入りの場所なんだっ!」


花陽「きれい………」


凛「ここから見える朝日がとっても綺麗なんだよ」


ことり「ずぅっと向こうの方まで見えるねぇ……」


視線を王都からさらに向こうへ向けると、そこには私の知らないいろいろな場所が見えて少し感動しちゃいました


凛「ここに来るとね、今まで自分が悩んでた事がとっても小さく感じるんだぁ」


凛ちゃんの言うとおり、ほんとに自分がとっても小さな存在であるということを改めて実感できて、なんて小さなことで悩んでたいたんだろうって思えてきちゃった


ことり「凛ちゃん。ありがとう」


凛「気にすることないにゃ! あっ! 朝日が昇ってきたよ!」


花陽「うわぁ……………」


ことり「ほんとに綺麗だなぁ………」


凛「雲がなければもう少しよく見えるんだけどね」


私と花陽ちゃんは昇ってきた朝日に釘付けになってしまいました


少し雲が多いけど逆にそれが朝日の光を際立たせているようにも見えました


そのあまりの美しさに私はとっても元気をもらった気がします


ことり「私…王都に戻ろうかな……」


花陽「ことりちゃん?」


ことり「もう1回お父さんと話してみるよ!」


凛「それがいいにゃ!」


花陽「でも、もしダメだったらどうするの?」


ことり「もしそうなったらね、お母さんにお願いして義聖団に入ろうと思うの」


花陽「えっ!?急にどうしちゃったの?」


ことり「私ね、自分で思ってることを相手に伝えることは大切だと思うの。でも言葉だけじゃ伝わらないこともあるって、今回のことでわかったの………自分がどれだけ本気なのかは、お互いに本気でぶつかり合わなきゃ伝わらないって……」


花陽「そっか……」


ことり「だからね、今度は全力でぶつかってみようと思うの。自分の思ってることを行動で示していこうと思う!そうすればお父さんだけじゃなくて他のいろんな人たちの助けにもなると思うの!」


凛「ことりちゃんすっごくカッコいいにゃ!」


花陽「ことりちゃんはすごいなぁ……花陽には絶対にできないや………」


ことり「そんなことないよっ!花陽ちゃんだって変われるよ!」


花陽「うん………ありがとう…」


凛「このまま王都にもどるの?」


ことり「そうだね……そうしよっかな!思い立ったらすぐに行動しないとね!」


凛「ことりちゃん。お願いがあるにゃ!」


ことり「?」


凛「もしことりちゃんが義聖団に入るなら凛も一緒に入れて欲しいにゃ!」


花陽「ええっ!?凛ちゃんまで!?」


凛「かよちんも入る?」


花陽「ムリムリムリムリムリ!!!」


凛「じょ、冗談にゃ………かよちん戦闘は苦手だもんね。流石に無理にとは言えないにゃ」


ことり「それじゃあ王都に行こっか!今からならお昼前には着けそうだし」


凛「いっくにゃ〜!かよちんも行くだけ一緒に行こうよ〜」


花陽「い、行くだけならいいよ?」


凛「なんで疑問系?」


ことり「でも、花陽ちゃん……今日の朝何か頼まれてたような………」


花陽「!!!!!!!!」


凛「そうなの?」


花陽「忘れてたぁ!!!!ごめんね!また今度一緒に行こうね!」ダッ


そう言うと花陽ちゃんはものすごい勢いで村へ走って行ってしまった……

そんなに大事な用事だったのだろうか…

確かお米がどうとか言ってた気がするようなしないような…………


ことり「花陽ちゃん、ものすごい勢いで行っちゃったね」アハハ…


凛「凛はこっちのかよちんもすきにゃ!」


ことり「ふふっ 2人とも本当に仲良しだね」


凛「ことりちゃんも同じぐらい仲良しだよ?」


ことり「! ありがとう」ニコッ


そうして私と凛ちゃんは新しい目標を胸に秘め、王都に向けて歩いていった


ーーーーーー

ーーーー

ーー


・王都・


ことり「すごく曇ってきちゃったね」


凛「雨は降らないで欲しいにゃ…」


ことり「そうだね〜」


そんな会話をしながら私と凛ちゃんは王都にやってきた

私の場合は戻ってきたの方がいいのかな?


凛「これからどうするにゃ?」


ことり「私はとりあえずお父さんのところへ行って話をしてきたいな」


凛「そっかぁ〜」


ことり「凛ちゃんにも付いて来て欲しいんだけど…いいかな?」


凛「凛が行っても大丈夫なの?」


ことり「うん!その方がお父さんにもいろいろ話しやすいしね!」


凛「わかったにゃ!」


そう言ってお父さんがいるお城へと凛ちゃんと一緒に向かうことにしました

するとその途中に……


凛「なんか向こうの方が騒がしくないかにゃ?」


と、突然凛ちゃんに言われて見てみるとお城から少しのところにある中央広場で何やらすごい人だかりができていた


ことり「ほんとだね」


凛「後で見に行ってみよ!」


ことり「今じゃなくていいの?」


凛「まずはことりちゃんの用事を済ませてからにゃ!」


ことり「凛ちゃん、ありがとう!」


そして私達はその人だかりを横目にみて通り過ぎていった………………



ーーーーーー

ーーーー

ーー


・城内・


ことり「あれ?お父さんがいない?」


城内にやってきた私たちは王の間にやってきたのですが、お父さんの姿が何処にも見当たりませんでした


凛「どっか行ってるのかなぁ?」


ことり「う〜ん……」


凛「どうする?」


ことり「とりあえずお母さんの所へ行って何処にいるか聞いてみよう」


そして、城内にあるお母さんの部屋の前にやってきたけれど………


凛「中から話声が聞こえるにゃ」


ことり「多分ノックして入れば大丈夫だと思うけど………」


そう言って私が部屋の扉をノックしようとした時でした

不意に部屋の中の話が聞こえてきました………



女王「遂に騎士団が強行手段に乗り出してきました」


???「そんなっ!?」ガタッ


女王「情報によるとレーンの村という悪魔の住む村を襲撃するとのことです」


ことり「えっ………………」


私はそれを聞いた瞬間驚きのあまり固まってしまった……

頭の中が真っ白になってしまった……………


???「決行はいつですか?」


女王「それが……もうすでに向かっているらしいの………」


ことり「っ!?」


それを聞いた途端

私は花陽ちゃんの事が頭に浮かんできた


ことり「行かなきゃ…………」


凛「ことりちゃん?どうしたの?」


少し離れたところにいた凛ちゃんには聞こえていなかったらしい


ことり「今すぐ村に戻ろう!」


凛「え?どうして?」


ことり「騎士団が動いたって……………レーンの村が…………花陽ちゃんが危ない!!」


凛「え? えっ!?」


いきなりの事に凛ちゃんの頭はついてこれていないらしい


ことり「とにかく急いでっ!!事情は走りながら説明するから!!」ダッ


凛「わ、わかったにゃ!」ダッ


そう言って私は凛ちゃんの手を引っ張って村へ向かっていった……


ーーーーーー

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ーー



???「では、私はそのレーンの村に向かえばいいんですね?」


女王「お願いします」


兵士「報告です!」


女王「どうしましたか?」


兵士「大変です!広場で暴動が起こりました!そして、国王様が…………国王様が殺されました………」


女王「なっ!?」


???「こんなタイミングで………」


女王「詳しく説明してください」


兵士「はい、実はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーとのことです」


???「真姫が!?…………どうして!?」


女王「絵里さん、あなたはそちらへ向かってください」


絵里「村の方はどうするのですか?」


女王「そちらは私が向かいます……」


絵里「ですがこのタイミングで女王様が抜けられては………」


女王「レーンの村はそこまで遠くない。すぐに戻って来れられるので大丈夫です」


絵里「わかりました………案内してちょうだい!」


兵士「はいっ」



ーーーーーー

ーーーー

ーー



走ってしばらくして雨が少し降り始めてきた

なんてタイミングの悪い雨なんだろう

私と凛ちゃんは全速力で村へと走っていった…………


凛「どうしてこのタイミングでこんなことを………」


ことり「わからない………」


凛「皆んな………無事でいて………」


ことり「花陽ちゃん………」








そして村に着いた時私達は絶望した……

家なんて物は一つ残らず壊され、焼かれていた

彼方此方には戦った形跡が見られた

村には人の気配は全くない

此処には以前村があったとはとても思えないような有様であった

そして、村の住民であろう悪魔達の屍体も……………そして、生き残っている者の姿はどこにも見られなかった…………



凛「か………かよちん……………みんな……………」ガクッ


ことり「こんなの…………ひどすぎる………ひどすぎるよ……………」ボロッ


私達は言葉を失ってしまった

あまりの酷さに涙が溢れ出てきた

そしてさっきまで小雨だった雨が突然豪雨へと変わっていった…………

凛ちゃんはそのまま膝から崩れ落ち泣き叫んでいた…………


凛「どうして……………どうしてこんなこと!!!!なんでっ…………………」ポロポロ


ことり「こんなの…………間違ってる…………」


凛「みんな…みんな死んじゃいやだよ…………凛を置いていかないでよ…………

かよ………ちん…………うわぁぁぁぁあ!!!!!」


ことり「凛ちゃんっ………」ギュッ


私達でさえこんなに悲しいのに……

凛ちゃんがどれだけの悲しみや苦しみに苛まれているのだろうか……

私には全く想像がつかなかった

だから私はひたすら強まっていく雨の中、只々凛ちゃんを抱きしめてあげる事しかできなかった……………………






女王「これは酷い…………」


ことり「お母さん…………?」


女王「こ、ことり!?どうしてここに?」


お母さんは何人かの護衛を連れて私達より少し遅れてやってきました

私はお母さんに今までの事の経緯を全て話し、そして…………



女王「ことり。本気で言っているの?」


ことり「うん。本気だよ。私を義聖団に入れて!」


女王「…………」


凛「凛も………凛も入れてください…」


女王「!? 」


ことり「凛ちゃん……大丈夫なの?人間のせいでこんな事になっちゃったのに………」


凛「人間が憎くないと言えば…それは嘘になると思う…………」


ことり「………」


凛「でも、凛はみんなで仲良く暮らしていきたいと思ってる………きっとこの村のみんなもそう思ってたはず…………だから凛はその願いを叶えたいの!」


ことり「凛ちゃん………私もそう思う!花陽ちゃんだってきっとそう思ってる!私もこの世界を変えたい!だからお願い!!私達を義聖団に入れて!!!」


女王「……2人の意志はきちんと受け取りました。わかりました、2人の義聖団へを許可します……いえ、こちらからお願いします。是非入って下さい」


ことりん「「はい!!!」」


女王「凛さん……本当に申し訳ありません。私がもう少し早く気付いていればこのようなことには………」


凛「女王様が謝ることじゃないにゃ。全ては魔神復活させた連中のせいにゃ。だから気にすることないにゃ」


女王「ありがとうございます。これからよろしくお願いします」


凛「もちろんにゃ!凛達は【神器】だって持ってるし、絶対にやってみせるにゃ!!」


女王「!!!凛さん……【神器】を持ってるのですか?」


凛「うん!ことりちゃんも使えるよ?」


女王「ことりまでも………」


ことり「ごめんなさい……今まで黙ってて……」


女王「そういうことでしたか…………これもまた女神の導きでしょうかね…」


ことりん「?」


女王「いえ、なんでもありません。私はこれから急いで戻らなけらばなりませんのでお先に失礼します………」


ことり「何かあるの?」


女王「……先ほど王都で暴動が起こりました………」


ことり「え!?」


凛「王都でもそんなことが………」


女王「はい………そうですね…………あなた達も一緒王都へお願いします。詳しい事は移動中にお話しします…」


そう言って私達はこの村を後にして王都へと向かった

その際にお母さんから暴動について聞かされた………………

私はあまりの衝撃にしばらくの間、独り泣いていた……



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・10日後


あの事件から10日が経ちました

国王が亡くなったこともあって国は少し混乱気味です

騎士団は解散するかと思いきや、なんとこの国から一部独立して新たな組織を作りあげたそうです

つまり騎士団の団長の命令1つで動けるようになってしまった…………

しかし、国政はほぼすべてお母さんがこなすようになり国民の方は少し安定してきたように見えます

そして私はこの10日間、ただひたすら落ち込んでいました

どんな人であっても国王は私のたった1人のお父さんでした………

私はお父さんを失った悲しみに耐えられませんでした

ですがようやくもち直すことができそうです


ことり「おはよう」


凛「ことりちゃん……もう大丈夫?」


ことり「うん……ごめんね、心配かけちゃって」


凛「気にすることないにゃ!それよりも早く行こ!」


ことり「うん!」


そして今日、私と凛ちゃんは正式に義聖団に入団することになりました



・義聖団本部・



絵里「あなた達が新入りさん?って、ことり姫!?」


希「どうして姫様がこんなところに?」


ことり「今日から義聖団に入ることになったの。だからよろしくね!」


やっぱりびっくりしちゃうよね………

仕方のない事だけど……


絵里「は、はい。こちらこそ……」


希「よろしくお願いします」


ことり「2人とも、これから私に敬語は使ったらダメだよ?あ、姫って呼ぶのもナシだよ!」


絵里「で、ですがしかし………」


ことり「もう!!これからは仲間なんだから変に気を使わなくていいからね?」


希「わ、わかりました…」


ことり「むぅ…」ムスッ


絵里「え、ええと……よ、よろしくね?ことり?」


ことり「うん!」


凛「ことりちゃんってやっぱり凄い人なんだね!」


希「えっと……」


凛「凛は凛にゃ!これからよろしくにゃ!」


希「よろしくな。凛ちゃん、ことりちゃん」


絵里「凛もこれからよろしくね」


凛「こちらこそにゃ!!」


ことり「よろしくね、みんな!」


こうして私と凛ちゃんの義聖団としての生活が始まった

魔神を倒し。平和な世界を作るために…


そういえば、義聖団は私たちは以外は3人居たって聞いていたけどもう1人はどこへ行ったのだろう………

それとも私の勘違いでしょうか?

まぁどっちでもいいよね?♡


私はこの日、この世界を平和にしてみせると心に誓った


〜 ことりの章 〜 END

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〜海未の章〜


海未「今日はこの街で宿をとることにしましょう」


絵里「そうしましょうか。これだけ歩くと流石に疲れるわ」


穂乃果「もうクタクタだよ〜〜」グデー


私たちは今、王都から少しばかり離れたところにあるマルヌという街で宿をとることにしました

と言うのも魔神が復活してからもう3年が過ぎ、1つ目の【宝玉】封印が解けたとのことです

私たちはそれを悪魔達よりも先に回収するために王都からこの街へやって来ました



・宿屋・


穂乃果「宝玉ってさぁ、大体この辺りにあるんだよね?」


絵里「そうね、でも詳しい位置まで分からないからしばらくはここを拠点に探さないとね」


穂乃果「それにしても女王様ってすごいよね〜あんな物まで持ってるなんて」


海未「そうですね。しかし、あれがなければ宝玉の位置を知ることされ出来ないのですから…………」



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・2日前・


女王「いきなり集めて申し訳ありません。急用なもので」


海未「どうしたのですか?」


この日私、穂乃果、絵里は急遽女王様に集められました

希と凛とことりは、別の任務があり今は王都にいないので…


女王「実は1つ目の【宝玉】の場所がわかりました」


絵里「ついにですか………」


女王「これを見てください」


そう言って女王様は何やら不思議な地図を見せてきました


海未「これはいったい何ですか?」


女王「これはMagic Distribution Map 通称MDMと呼ばれるものです」


穂乃果「まじっくでぃすとなんちゃら?」


絵里「穂乃果…………」


女王「要するにこの地図はこの世界に今ある自然の魔力の分布を表したものです。この赤い点が魔力の集まっているところで色が濃いほどそこには大きな魔力あるということになります」


穂乃果「なるほど……」


海未「本当にわかったのですか?」


穂乃果「流石にここまで説明されたら分かるよ!」ヒドイッ


絵里「まぁまぁ落ち着きなさい、穂乃果」


穂乃果「でも、自然の魔力ってどういうこと?」


女王「この世界のあらゆるものは必ず魔力を秘めています。なので生物以外の魔力を読み取ることの出来るのがこの地図です」


海未「でも、そんなもの役に立つのですか?」


女王「人間はあまり使いませんが悪魔達は何に使うかは知りませんがよく使うそうです。そんな事はどうでもいいのですがここを見てもらえますか」


穂乃果「真っ黒だね……」


海未「これはとてつもなく魔力が高い場所ということでしょうか?」


女王「そういうことです。そしておそらくこれが宝玉だと思われます」


絵里「それでは私たちはここに向かえばいいのですね?」


女王「よろしくお願いします」


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絵里「借りてきたはいいけど、いざ見てみるとすごいアバウトね……」


海未「大体の場所が分かるだけ良いと考えておきましょう。とりあえず今日はもう寝ましょう。明日、早朝から出発しますので」


絵里「なんか、私よりも海未の方が団長っぽいわね」クスクス


海未「そんなことありませんよ。義聖団の団長は絵里でなければ務まらないと思いますし。穂乃果もそう思いますよね?」


穂乃果「………」zzz


絵里「ふふっ 寝ちゃってるわね」クスクス


海未「私たちも早く寝ましょうか」


絵里「そうね」



・翌日・


海未「少し早く起きすぎましたね……」


絵里が寝ているのを見てそう思いながら穂乃果の方へ目をやると、なんと穂乃果の姿がありませんでした


海未「どこへ行ったのでしょう………穂乃果がこんなに朝早く起きるなんて………」


私はそう呟き街へ穂乃果を探しに行きましたがすぐに見つけることができました


穂乃果「あれ?海未ちゃん、どうしたの?」


海未「穂乃果こそどうしたのですか、こんなに朝早く」


穂乃果「ちょっと早く目が覚めちゃって……寝れそうになかったから裏でちょっと剣術の稽古をしてたの」


海未「珍しいこともあるものですね」クスクス


穂乃果「最近すごい訓練ばっかりやってたからどれだけ成果がでてるか気になっちゃって」アハハ


海未「では、久しぶりにやりますか?」


穂乃果「おぉ!海未ちゃんやる気満々だね!やろ!」


海未「手加減はしませんよ」


穂乃果「もちろん!」


…1時間後…


穂乃果「朝から疲れた〜」


海未「それにしても穂乃果の剣はいつ見ても美しいですね」


穂乃果の神器は【神聖剣エクスカリバー】というらしく、いかにも他の神話にも出てきそうな名前ですが、見た目が非常に美しく穂乃果のようにいつも光輝いて見えます


穂乃果「そうかなぁ?海未ちゃんの弓もカッコイイじゃん!」


私の神器は【氷亂神之弓】という弓です

この弓には矢がなく自分の魔力を氷の矢へと変換し撃ち込むという少し特殊な弓です

今の私の魔力では一度に15〜20本ほどの矢を高速連射できます


海未「そう言っていただけるとなんだか嬉しいですね」


穂乃果「でもさ、いつも思うんだけど海未ちゃんあれだけ撃ってもよくガス欠にならないよね」


海未「女王様いわく私は他の人よりも魔力が格段に多いらしいです。なのでこの弓を使うことができるようです」


穂乃果「ほえ〜〜〜やっぱり海未ちゃんはすごいね!」


絵里「2人ともこんなに朝早くから何やってるの?」


穂乃果「あ!絵里ちゃん!おはよ!」


海未「おはようございます絵里。少々稽古をしていただけですよ」


絵里「熱心なのはいいけどムリはだめだからね?」


海未「わかっていますよ」


絵里「それならいいけど。もう少ししたらここを出て探索に行きましょ」


穂乃果「どこから探しにいくの?」


海未「あの地図によると街の西側でしたよね?」


絵里「そうね。とりあえず西の森から探しに行きましょ」


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・マルヌの街 西の森・


穂乃果「全然見当たらないね……」


海未「そうですね………」


絵里「そんなに簡単に見つけられても困ると思うけど?」


海未「それもそうですが……」


穂乃果「流石にこれはね……」


私たちはかれこれもう3時間ほど探していますがそれらしきものは影も形もありません

絵里の言うとうり簡単に見つかってもらっては困るのですが、それでも手がかりさえつかめていません


絵里「まぁもう少しだけ探してみましょ。それでも見つからないなら1度街へ戻って考えましょ」


海未「そうですね……………ッ!?」


穂乃果「ッ!?」


海未「絵里、穂乃果…」


絵里「ええ」


穂乃果「2人とも感じたんだね」


海未「はい。 なんとなくですが魔力の流れが変わりましたね……」


先ほどまでと辺りを取り巻いている魔力の感じが変わったように感じました

絵里と穂乃果もそれを感じたからでしょうか、2人とも顔つきが少し変わりました


絵里「この辺りにあるのは間違いないわね……でも、どうしていきなり」


海未「絵里、あれを見てください」


私が指差したその先には魔法で時空が歪んでいるような、そんな感じの結界みたいなものがありました


絵里「なるほどね、見ただけでは分からないように魔法で風景を同化させてるのね」


穂乃果「どうりで歩いてるだけじゃ見つからないわけだね!」


絵里「とりあえず行ってみましょうか」


海未「……」


絵里「海未?」


海未「いえ、なにも」


今…一瞬何処からか視線を感じました

気のせいなら良いのですが、ここで下手に言うと注意力が散漫になる可能性があるので黙っておきましょう


絵里「かなり強い魔法で守られてるわね。これじゃあ中には入れないわね」


穂乃果「2人ともちょっとどいて?」


海未「穂乃果?」


穂乃果に言われたとうりに私と絵里はその場を離れました

そして穂乃果の右手にはあの美しい剣が…………


穂乃果「よーし!いくぞ!!」


絵里「ほ、ほのか!?」


海未「あなた!まさか!?」


穂乃果「《ホーリージャッジメント》!!!!!」


穂乃果の右手の剣の一撃は眩い光を放ちながらいとも簡単にあの強力な結界を破壊してしまいました…………


穂乃果「いえ〜〜い!」ピース


海未「穂乃果!何をやっているんですか!」


穂乃果「え?何って、結界あったら先に進めないから壊しただけだよ?」


絵里「もう少し別の方法はなかったのかしら………」


海未「あなたは森ごと吹っ飛ばす気ですか!?」


穂乃果「ちゃんと加減したからのダイジョーブだよ〜〜」


海未「はぁ………」


絵里「海未………あなたもいろいろ大変そうね」


海未「他人事みたいに言わないでください!」


穂乃果「早くいこ〜よ〜」


海未「まったく………」


穂乃果はいつもこうやって何も考えずに強引にやってしまうのです……

私は昔からずっとこれには悩まされてきました………

ですが今回は結果として先に進めるのでよしとしましょう



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・宝玉の間・


穂乃果「これが宝玉かぁ」


絵里「思いの外簡単に手に入ったわね」


海未「そうですね。ですがこれを王都に持ち帰るまでが任務ですからね。油断はできません」


絵里「そうね。早いうちに引き返しましょう」


海未「……」


そして私たちはここを後にした



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・マルヌの街 西の森・


宝玉を無事手に入れて街へ戻る道中、また先ほど感じた視線を何度か感じました…………

やはり気のせいではなかったらしいですね

敵となると厄介ですね

そう思いながら私は歩みを止めた


絵里「どうしたの海未?いきなり立ち止まって?」


海未「………」


穂乃果「海未ちゃん?」


海未「先ほどから私たちの跡をつけているようですが、あなたは何者ですか?」


私は振り向きざまに唐突にそう質問した


???「ほぅ………私の隠密を破っていたとはなかなかだな」


絵里「なッ!? いつから!?」


海未「私が視線を感じたのは穂乃果が結界を破る直前でした」


???「それほど前から気づかれていたとは、私も鈍ってきたかな」


そう言って出てきたのは腰に刀を差し、とても顔が整っていて美しい女性だった


穂乃果「あなた、誰?」


英玲奈「私の名は英玲奈。その他は見ればわかるな?」クスクス


英玲奈と名乗るその女は1度深く目を閉じ、そして開かれたその目は【悪魔の目】をしていた


絵里「それで、私たちに何か用かしら?」


英玲奈「言わずともわかるだろう?」ニヤニヤ


穂乃果「絵里ちゃん、海未ちゃん」


海未「わかっています!」


そして私たちはそれぞれ神器を手にし臨戦態勢に入った


英玲奈「それは答えはNOということでいいか?」ニヤニヤ


海未「当然です。宝玉は渡しません!」


3対1であれば確実にこちらに武がある

私はそう考えていました


英玲奈「それなら少し強引な手段を使うとしよう……」


そして英玲奈も刀の柄に手を置いた


絵里「いくわよ!」


海未「はい!《アラウンドショット》!!」


無数の氷の矢が英玲奈に向かって放たれた


英玲奈「はぁっ!」


しかし英玲奈はそれをたった一太刀で全てなぎ払った

そしてその直後、絵里が飛び出していき英玲奈の足元を狙い斬りかかる

だがそれも英玲奈は大きく上に飛び上がり簡単に避けられてしまう


英玲奈「なかなかいい連携だがまだ甘いな」


しかし英玲奈が飛び上がっだ先には穂乃果が既に技を構えていた


穂乃果「もらった!《ホーリージャッジメント》!!!!」


英玲奈「甘いと言っただろう?」


穂乃果「!?」


英玲奈の姿が突然穂乃果の前から消えた


海未「穂乃果っ!!上です!」


私はそう言いながらあの体勢からでは防御は間に合わないと判断し4、5本ほど矢を放った

しかしそれもまた一太刀で弾かれしまう


穂乃果「海未ちゃん、ありがとう」


海未「穂乃果、油断してはいけませんよ」


絵里「さっきのあれはなによ……瞬間移動にしか見えなかったけど……」


海未「相手の力量がまだ正確に計れていない以上無闇に攻撃を仕掛けるのは危険ですね」


英玲奈「おしゃべりしている暇があるのか?」


そしてまた英玲奈の姿が見えなくたった


刹那………


穂乃果「うぐッ……」


海未「穂乃果!!」


突然穂乃果が腹部を抑え倒れた


絵里「っ!? 一体何が……」


そして英玲奈はいつの間にか絵里の真後ろに立っていた


英玲奈「動きが鈍いな」ニヤニヤ


絵里「ぐはッ」


絵里が英玲奈の存在気が付いた時には既に遅く、振り向きざまに絵里の横腹に英玲奈の蹴りがクリーンヒットした


英玲奈「今ので肋骨3、4本はいったか?本当に人間は脆いな」ニヤニヤ


海未「絵里!!」


私は相手の力量を完全に見誤った……

今、目の前で何が起こったかさえ理解が追いついていない……

そして私たちでは敵う相手ではないと瞬時に感じた

穂乃果と絵里が一瞬にしてそしてたった1撃で沈められたのだ………


英玲奈「そうだな、今一度問おう。宝玉を渡してくれないか?そうしたら命までは取らないでおこう」


絵里「ダメよ……海未………」


英玲奈「お前は黙っていろ」


絵里「っうぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


英玲奈は先ほどと同じ所を思い切りふんずけた


海未「くっ……」


私はどうしたら…………

このままでは皆んな殺されてしまう……


英玲奈「どうする?」ニヤニヤ


穂乃果「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


すると突然穂乃果が立ち上がり英玲奈斬りかかっていったのだ


英玲奈「興ざめだな」


英玲奈はそう言い、刀を抜き穂乃果に向かっていった…………


海未「穂乃果ぁぁぁぁっ!!!」


穂乃果「っ!?」


私の身体は無意識に動き出し

そして…………


絵里「海未ぃぃぃぃぃぃ!!!!!」


穂乃果の元へと足を運んでしまった…………












海未「っ………だいじょう…………ぶ……ですか…………ほの………か……っ」


穂乃果「海未ちゃん……どうして……」


海未「ほのかだけだも…………にげて………くださいっ…………このままではっ…………みんなころされてっ………しまい…………ますっ」


穂乃果「海未ちゃん!!海未ちゃんっ!!!!しっかりして!」


海未「どうか………ほのかだけでも…………ぶじでいてっ…………くださぃ……」


穂乃果「海未ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!」


穂乃果にそう言い残し私の意識は深い闇の底へと落ちていった…………………



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海未「ここは…………」


私は目が覚めると、そこは見慣れない部屋のベットの上でした


海未「あの時……私は…………」


ことり「海未ちゃんっ!!やっと………すぐに絵里ちゃんを呼んでくるね!」


そう言ってことりすぐにいなくなってしまった


海未「どうなっているのでしょう……」


絵里「海未!」


すると突然ものすごい勢いでことりと絵里がやってきました

そして絵里は私を力一杯抱きしめてきました


絵里「よかった………ほんとによかったわ」ポロポロ


ことり「海未ちゃん………」ポロポロ


海未「あの、すいませんが状況があまりつかめていないのですが………ここは一体どこなのですか?」


絵里「あぁ ごめんなさい。ここは城の病室よ」


海未「!? ということはここは王都なのですか!?宝玉はどうなったのですか!?穂乃果は!?」


ことり「お、落ち着いて海未ちゃん」アセアセ


海未「っ……申し訳ありません。しかし、私はあの時致命的な攻撃を受けたはず………」


絵里「私も海未が斬られた後に何があったかは詳しくわからないの。私もあの後気を失ってしまって…………ただ、穂乃果が英玲奈に勝ったということは間違いないみたい」


海未「穂乃果が英玲奈に勝った………しかし、どうやって?」


絵里「わからないわ………私たちをここまで運んで来てくれたのも穂乃果みたいよ。そうなのよね、ことり?」


ことり「うん。あの時はほんとにびっくりしたよ。2人とも傷だらけで………海未ちゃんなんて私の魔法でも治せるかどうかわからないほどだったんだよ?」


ことりは戦闘ができない代わりに義聖団の中でも、いえ、おそらくこの世界で1番の治癒魔法の使い手なのです

そのことりでも治せるかわからないほどの傷を負っていたとは……

本当に私が生きているのが不思議です


海未「ことりが治してくれたのですか。ありがとうございます」


ことり「これくらい当然だよ。私はこれぐらいしかみんなの役に立てないから」


海未「そんなに謙遜しないで下さい。私たちはいつものことりに助けられているのですから」


ことり「海未ちゃん………ありがとう」


海未「ところで、穂乃果はどこにいるのですか?」


ことり「………」


絵里「………」


海未「どうかしたのですか?」


私がした質問に2人は言葉を詰まらせました

恐らく何かあったのでしょう………


海未「話してもらえませんか?」


絵里「穂乃果は………義聖団を辞めたわ……」


海未「なっ!? どうして!?」


私は予想もしていなかった絵里の言葉に思わず声を上げてしまった


ことり「わからない……でも穂乃果ちゃん……いつもと雰囲気が違ったの」


絵里「私もそう感じたわ……あれは少なくとも私の知っている穂乃果ではないわ」


海未「義聖団を辞めてその後どうしたのかわからないのですか?」


絵里「……騎士団に入ったわ………そして今は騎士団の団長よ………」


海未「騎士団の…団長?」


絵里「ええ、もう少し厳密に言うと穂乃果が騎士団を乗っ取ったってところかしらね」


海未「………」


あの穂乃果がそんなことを………

私には全く理解ができません

やはり直接会った方が早いのでしょうか………


海未「騎士団の本部へ行けば穂乃果に会えますか?」


絵里「穂乃果に会うつもり?」


海未「はい、やはりきちんと自分の目で確かめたいのです」


絵里「そう………じゃあ騎士団本部へ行きましょう」




穂乃果「その必要はないよ?」


私たちが立ち上がり向かおうとした時、突然穂乃果がやってきました……


ことり「穂乃果ちゃん………」


穂乃果「海未ちゃん、あの時はごめんね。私のせいであんなことに」


海未「いえ、気にしないで下さい。それより穂乃果……どうして義聖団を辞めたのですか?」


穂乃果「海未ちゃんには関係ないことだよ」ギロッ


海未「っ!?」


穂乃果「でも、別に宝玉を集めて魔神を完全には復活させないっていう目的は同じだからその時は穂乃果も力をかすよ」


海未「穂乃果………」


絵里とことりが言った様に、穂乃果の雰囲気は私から見ても違うとはっきりわかりました

あれはいつもの……私の知っている穂乃果ではありません………

では一体私たちの目の前にいるこの人物は誰なのでしょうか…………


穂乃果「それじゃあね」


海未「待って下さい!」


穂乃果「なに?」


海未「一体………あなたは一体誰なのですか?」


穂乃果「変なこと聞くね、海未ちゃん。穂乃果は穂乃果だよ。言いたいことはそれだけ?」


海未「穂乃果……あなたに一体なにがあったのですか?」


穂乃果「お前には関係ないって言っただろ。2度も言わせるなよ」ギロッ


海未「っ!?」


絵里「ちょっと穂乃果!待ちなさい!」


穂乃果は絵里の制止を無視してこの場を去っていきました…………


ことり「海未ちゃん……だいじょうぶ?」


海未「すいません、少し1人にしてください」


ことり「うん………絵里ちゃん、いこ」


絵里「海未………何か力になれることがあったらいってね?私たちも協力するわ」


海未「ありがとうございます………」


そうして絵里とことりも病室を去っていきました



海未「本当に………どうしてしまったのですか………穂乃果………」ジワッ


あれは私の知る穂乃果ではない

なぜこんなことになってしまったのか

私の頭のなかはそのことでいっぱいになってしまった

穂乃果のあの冷たい目………感情のないあの言葉…………

その1つ1つが私の心をいやに締め付けてくる

どうして…………なぜ……………

私は1人、病室のベットの上でそんなことを考えていました…

そして、ただひたすら涙をながしました


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・翌日 義聖団本部・


絵里「海未、もう体の調子はいいの?」


海未「はい。ところで希たちはまだ帰っていないのですか?」


ことり「騎士団があんなことになっちゃったからすぐに帰ってくると思うんだけど……」


海未「今さらながらなんですが私はどれくらいの間意識が無かったのですか?」


ことり「ちょうど一週間くらいだよ」


海未「そんなにも………」


絵里「ほんとに心配したのよ?あのまま目が覚めないんじゃないかと……でも、元気になってくれてよかったわ」


海未「ことりには感謝しきれませんね」


ことり「海未ちゃんが元気になってくれて本当に良かったよ」


海未「この恩はいつか必ず返します」


ことり「うん!それで絵里ちゃん、今日は何をするの?」


絵里「そうね…………今日はとりあえず初めにほのーー 凛「ただいまにゃ!!!!」


絵里が始めようとしたとき、ちょうど凛たちが任務を終えて帰ってきました


ことり「おかえり!凛ちゃん!希ちゃん!えと……どちら様?」


希「ただいま。えっとこの子はにこっち。新しく義聖団に入れようと思って連れてきたんや」


にこ「ちょっと希!紹介するときにその呼び方はないでしょ!そこはちゃんとフルネームで言いなさいよ!」


希「え?そうなん?」


絵里「………」


海未「………」


ことり「………」


にこ「あんた…………まぁいいわ、私は矢澤にこ。よろしくね」



絵里「よ、よろしく…」


海未「よろしくお願いします……」


ことり「よろしくね!」


希たちが連れて来たのは矢澤にことういうちょっと小柄で華奢な少女でした

これで私より年上と言うのですから少々驚きです

義聖団に入れるということは彼女も【神器】の使い手なのでしょう

そして私たちは希たちからここまでの経緯を説明してもらいました



希「そういえば海未ちゃん、もうだいじょうぶなん?大怪我したって聞いたんやけど?」


海未「はい。ことりのお陰でこの通りです。ご心配をおかけしました」


凛「さすがにゃ!ことりの ちゃんがいれば怪我なんてへっちゃらにゃ!」


ことり「私的にはみんなには怪我なんてして欲しくないな……」


凛「な、なんかごめんにゃ………」


絵里「雑談はその辺にして、早速本題に入るわよ」


海未「穂乃果のことですか…」


絵里「ええ、希たちはさっき帰ってきたばかりだから最初から説明しないといけないしね」


希「穂乃果ちゃんがどうかしたん?」


凛「そういえばまだ来てないにゃ」


にこ「穂乃果って誰よ?その子も団員なの?」


絵里「そのことについてだけど……今から説明するわ」


そうして私たちはそれぞれ席に着き、絵里は昨日までにたあった出来事を任務の報告がてらに全て話した



希「穂乃果ちゃん………」


凛「どうして………」


にこ「いきなり状況がシリアスすぎるわよ………」


海未「そういうことですから、今からまず何をすべきか話し合おうと」


希「穂乃果ちゃんはうちらのこと忘れてしまった訳やないんやよね?」


絵里「ええ、記憶の方はおそらく大丈夫よ。人格だけが変わったと言ったところかしらね」


希「なるほどね………」


海未「何か心当たりがあるのですか?」


希「…………ごめんな、うちにも分からへんわ……」


私は希の返答に少し間があったことに少し違和感を覚えましたがここで問い詰めてもおそらく希は言わないと思いそのまま話を流したました


海未「そうですか………私も絵里も先ほど言ったように英玲奈と穂乃果が戦った様子がわからないもので、何がきっかけなのか全く検討がつきません」


希「英玲奈っ!?」ガタッ


にこ「急にどうしたのよ?知り合い?」


希「ごめん……何もない……女王様なら何か知ってるかもしれんし、ちょっと聞いてくるわ」


にこ「あ、ちょっと!希!」


希は英玲奈と言う言葉を聞い途端、表情が少し変わりました

そして、逃げ出すようにこの場を去って行きました

にこの言うように知り合いなのでしょうか?

どちらにしろ穂乃果の事と英玲奈の事について後で詳しく聞くとしましょう


凛「その英玲奈って人はだれにゃ?」


絵里「さっき説明した、私たちが戦った悪魔の名前よ」


にこ「希はそんな奴と知り合いなのかしら?」


ことり「でも、希ちゃんすごく怖い顔してたよ……」


海未「そうですね……」


その後、私たちはしばらく話し合いましたが結局何も収穫はありませんでした…

そして、希はこの場には戻ってこず、そのまま解散となりました


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・希の家・


その日の夜、私は穂乃果の事について聞くために希の家へやってきました


希「それで、話って言うんはなに?」


海未「穂乃果についてです」


希「どうしてうちに聞きにきたん?」


海未「希……あなたは何か知ってるんじゃないですか?」


希「………」


海未「お願いします、教えてください」


希「どうしてそんなに知りたいの?」


不意に希の声のトーンが少し低くなりました

そしていつもの優しい表情は一切なくなり張り詰めた空気が漂いました


海未「私にとって穂乃果は誰よりも大切な人です。だから、穂乃果に何かあったのなら何とかしてあげたいのです!」


希「海未ちゃんは穂乃果ちゃんについてどこまで知ってるの?」


海未「残念ながら私には何もわからないのです………ただ、今の穂乃果は私の知る穂乃果ではないということは分かります」


希「そっか……」


海未「ですから、どんな些細なことでもいいので教えてください!」


希「私が穂乃果ちゃんについて心当たりがあるのは1つだけ…………穂乃果ちゃんは幼い頃にこの国で秘密裏に行われてた実験の犠牲者だってことだよ………」


海未「実験………?」


希「私も実験の内容は詳しく知らないけど、多分その影響だと思う」


海未「穂乃果にそんなことがあったなんて…………」


希「知らないのも無理はないよ。この実験に関与した人はほぼ全員殺されてるからね……」


海未「ならどうして希は知っているのですか?」


希「昔の友人の家で資料を見つけてね。もう全て燃やされちゃったけど…」


海未「そうですか……それで、どうすれば穂乃果は元に戻るのですか?」


希「一応女王様に聞いてきたんだけどね、こればっかりは分からないらしいよ」


海未「そうですか………ですが必ず穂乃果を元に戻してみせます!」


希「そうやねっ!うちも出来る限り協力するでっ!」


希の表情はいつの間にか元に戻っていました

本当にこの人は私にはよく分かりません

つかみ所がないと言うか………


希「あ、そうそう。さっきの話は絶対に他人には話しちゃあかんよ」


海未「それはなぜでしょうか?」


希「さっきもいったやろ?関与した人は皆殺されてるって。それにこの国には何か大きな秘密がありそうやしな」


海未「わかりました」


希「今は穂乃果ちゃんを元に戻す方法を気長に模索しながら、宝玉を集めるんがいいと思うで」


海未「そうですね。魔神の事もありますし、両方とも必ず何とかしてみせます!」


希「その意気やで!」



穂乃果………いつか必ず貴方を元に戻ししてこの世界を救ってみせます!




絵里「希!」


すると突然絵里がやってきました


海未「え、絵里!?」


希「どうしたんえりち?そんなに慌てて」


絵里「海未もここにいたのね。ちょうどよかったわ。宝玉が見つかったわ。今すぐ女王様のところへ行くわよ!」


海未「わかりましたが、どうしてそんなに慌てているのですか?」


絵里「宝玉の封印が2箇所同時に解けたみたいで………女王様も予想外だって言うから急いでみんなを集めてるの」


希「2箇所同時に………確かにおかしな話やね………」


絵里「とりあえず今すぐ集まってちょうだい!」


海未「はい!」


そうして私たちは女王様の元へと集まっていった


〜海未の章〜 END

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〜真姫の章〜


私はこの世界を守りたい、平和にしたいと思っていた

けど、現実は違った

私がそう思っていた世界はもっともらしい綺麗事で溢れかえっていた


人を騙し、裏切り、消す



あの時もそうだった…………



だから私はこの世界を………………

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真姫「お父さん、何か手伝えることはある?」


真姫父「そうだな………じゃあ、患者の見回りをお願いしたい」


真姫「分かったわ」


魔神が復活してそろそろ半年が経とうとしていた

私はいつもの通りに義聖団で任務をこなしながら父が営んでいる病院の手伝いをしていた

母親は私が小さい頃に事故で亡くなったらしく母親に関する記憶などほとんど残っていなかった


真姫父「いつもすまないな」


真姫「これくらいどうってことないわ。それより、今日も行くの?」


真姫父「国王様からのお呼び出しだからな。いやでも行かんとならんのだ」


この頃、父はよく王様に呼び出されていて、城で何やら話をしているらしい


真姫「気をつけて行ってきてね」


真姫父「そんなに心配する必要はないといつも言っているだろう」


真姫「でも…………あの人は何をするかわかったもんじゃないわ」


真姫父「例えどんな人であっても一国の王である人だ。そんな無茶苦茶な事はしてこないだろう」


真姫「…………」


真姫父「じゃあ、行ってくる」


真姫「行ってらっしゃい………」


そうして父は城へと向かって行った

何故だか今日は嫌な予感がしていた

何か起こるのではないかと…………



しかし、そんな心配は杞憂であった

その晩、父は何事も無かったかのように家に帰ってきた

が、しかしその表情はとても険しかったことから、おそらく何かあったのだろう

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・義聖団本部・


真姫「はぁ………」


希「ため息なんかついてどうしたん?幸せが逃げてまうよ?」クスクス


真姫「そんなことで逃げる幸せならいらないわ」


希「そう言わんと、真姫ちゃん。またお父さんのこと?」


真姫「………」


希「そう心配せんでもええと思うんやけどなぁ」


真姫「分かってるんだけどね……それでも心配になっちゃうのよ」


希「確かに最近不穏な動きが目立ってきているけどなぁ。何で呼び出されてるのかわからん以上何も言えんし……」


希もやはり何かを感じているのだろう

王様の様子がどうにもおかしい

そう感じていたのは私だけではなかった

らしい


真姫「いいことじゃないのは確かよ。いくら聞いても教えてくれないからね」


希「うーん…」


真姫「もうしばらく様子を見ることにするわ」


希「うちも何かわかったらすぐ教えるな」


真姫「ありがとう」


私はここでふと疑問に思ったことがある

希はなぜ私の父のことを知っているのだろう?と


真姫「希……あなたってどうして何でもしっているの?」


希「それはどういう意味や?」


真姫「そのままよ」


希「うちとて何でも知ってる訳やないんやけどなぁ」


真姫「じゃあどうして私の父親のことを知っているのよ」


希「………」


真姫「まぁいいわ、また色々相談するかもしれないからよろしくね」


希「うん」


真姫「それじゃあね」


希「ねぇ、真姫ちゃん」


真姫「なに?」


希「真姫ちゃんはこの世界、この国をどう思う?」


真姫「別にどうも思わないわよ。ただ、私の日常を侵すものがあるならそれを排除するまでよ」


そう、私は今ある毎日が続けばそれでよかった……………


希「そっか………」


真姫「なぜそんなことを聞くの?」


希「ちょっと気になったからね」


真姫「じゃあ希はどう思うのよ?」


希「今のこの状況は好きじゃないなぁ。けど、うちは今を楽しむことにしとるでな」


真姫「………」


本当に希は不思議であると思った

と同時に少しだけ希の中にある何か触れてはいけないものが見えた気がした…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして、あの日は唐突に訪れた


それはとても曇っていて朝から嫌な日だった


私は父に連れられて一緒に王様の元へと行くことになったのだ


・城 待合室・


真姫「何で私まで呼ばれたの?」


真姫父「分からない。だが、良いことでないのは確かだろう。油断するなよ」


真姫「………」


待合室にはご丁寧にお茶とお菓子まで用意されていた


そして1時間ほど経った時私たちは呼ばれたのだった




国王「よく来たな」


真姫父「今回はどのような件でしょうか?娘まで連れて来させるとは………」


国王「要件はいつもと変わらんよ。もう一度だけ聞こう、どうする?」


真姫父「お断りします」


真姫「えと……何の話?」


国王「おや?話していなかったのかね。

簡単に言えばあの病院にいる悪魔を殺せということだ」ニヤニヤ


真姫「なっ!?」


この人は何を言っているのだろうか

そこまでする必要なんてあるはずがない


真姫父「私には患者を殺すことなどできない。何回も断っているはずだ」


国王「そうか、残念だ……非常に残念だ。ならば私が自分の手でやるしかないな」


真姫「あんた、本気で言ってるの?」


ここまでくるともう狂ってるとしか言いようがない

誰かがこの人を止めなければ………


真姫父「そんなことさせません!」


国王「お前たちはおとなしく寝ていろ」


真姫「何を馬鹿なこと……を……」


そう言いかけたとき不意に私は凄まじい眠気におそわれた


真姫父「こ、これは………」


国王「ちょっと小細工をさせてもらったのだよ」


待合室にあったお茶とお菓子のことだろうか

いや違う、私も父もあれには手を付けていなかった

なら何故…………

私たちはそのまま眠りに落ちた…………


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


真姫「……ここは…………」


私は目をさますと城の近くにある街の広場で手錠をかけられ座らされていた

そして目の前には沢山の人が…………


真姫「このっ!」


私は手錠壊そうとしてみるけれど全く壊れる気配がない


真姫父「真姫………」


横を見ると父も私と同じようにされていた…………

そして国王が父へと近づいて行く………


国王「これより罪人の処刑をとりおこなう!」


真姫「なッ!?」


私たちが罪人?

何をふざけたことを言っているのだ

一体何をしたって言うのだろうか……


真姫父「私はどうなっても構わない。だが娘は何も関係ないだろ!」


国王「だからどうした?」


真姫父「貴様っ!」


国王「ボソボソボソボソ」


真姫父「!?」


国王は父の耳元で何かを囁いた

父はそれを聞くと目を大きく見開き少し動揺していた


国王「さて、どうする?」ニヤニヤ


真姫父「………わかった…その代わり最後に一言だけ娘に言わせて欲しい」


国王「いいだろう」


私にはその会話のやりとりが全く理解ができなかった

そして父が私の元へとやってきて耳元で誰にも聞こえないように私だけに話しかけた


真姫父「私の書斎に行けば全てわかる。だから何とかして生き延びてくれ…」


父は私にそう言い残した………


真姫「待ってよ!どういう意味よ!」


真姫父「あとは頼んだぞ……」


国王「ではまずお前の処刑からだ」ニヤニヤ


真姫「どうしてこんなことするのよ!?」


国王「そいつをとりおさえておけ」


真姫「痛いわねっ!離しなさいよ!」


私はあっという間に数人の兵士に押さえつけられてしまった

その上手錠までされているのではどうしようもない…………


真姫「やめてよ…………お願いだから…………」


国王「では、さらばだ!」


真姫「やめてぇぇぇえええええ!!!!!!!!」


私の叫びには耳も傾けず、父は無残にも


首をはねられてしまった……………


私の目の前で……………………


真姫「いやぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!」


何故父は殺されなければならなかったのだろうか…………

私は何て無力な人間なんだろうか………


真姫「なんで…………なんでこんなことするのよ!!!!!」


国王「貴様には一生分かるまい」ニヤニヤ



国王は笑っていた………



人を……父を殺しておいて平気な顔で笑っている



父は誰かを助けるために今まで病院で患者を診てきたのだ



その仕打ちがこれか……………




なんでこんな奴が王様なのよ…………




許さない…………絶対に許さない!




真姫「………殺してやる…………」



私の中に真っ黒でドロドロとした感情が湧き上がってきた



そしてそれは私の鼓動をどんどん早くさせる………



何故だろう………身体の底から力が………得体のしれない何が…………私の中から溢れ出てきた……………




国王「今のお前に何ができる?父親1人助けられないお前に何ができるというのだ?」





真姫「こんなの間違ってる…………」




誰かを助けたい、この国を、世界を守りたいと思った人間が殺されるなんて間違っている




これが私が守りたかったものなのだろうか……………





違う……………





こんな世界………こんな国…………






間違っている…………………









それならばいっそこんな世界……………
















真姫「壊してやる…………全部!!壊してやるわよ!!!!!!」


国王「なにッ!?」


私を押さえつけていた兵士を全て押しのけ私はあの手錠をいとも簡単に壊したのだった

そして右手には無意識のうちに神器を手に取っていた


国王「貴様………その目っ! 今すぐこいつを殺せ!!」


真姫「《乱舞・烈風神斬》!!!!!」


私はあの込み上げてきた力の限りを出してこの一撃を放った


そして私を取り囲みに来た兵士諸共国王の首を一瞬にして跳ね飛ばした……


辺りには真っ赤な血の雨が降り注いでいた…………………


広間にいた大衆からは悲鳴などが飛び交っていた………


私はすぐさまその場を逃げだし、父の遺言の通りに家へと向かった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・真姫宅・


あんな大技を放ったというのに全く疲労を感じない…………


むしろまだ力が有り余っている


一体私はどうしてしまったのだろうか…


そんなことを考えながら私は父の書斎へとやってきた

するとすぐに父が私に見せたかったであろうものが出てきた


真姫「何なのかしら…………」


私はそれを手に取り読んでみた


『誰がこれを見ている頃にはきっと私はこの世にはいないだろう


これはただの自己満足でしかないのかもしれないが私はここに自分の家族の秘密についてと私の犯した罪を書き留めておくとする


私は人の身でありながら悪魔の女性を愛してしまった


そしてその女性と結婚し生まれてきたのが真姫である


真姫は人間と悪魔の混血であるが今のところ悪魔特有の体質は見られない


たがこの先、真姫の身に何が起こるか私にもわからない


真姫が生まれすぐにその女性は人間からも悪魔からも迫害され、私はそれを助けてやることができず、最後には人間の手によって殺されてしたまった


私は今でもそれが悔やまれてならない


だから私は真姫にも同じ被害が及ぶのではないかと恐れこの事を隠し続けてきた


真姫にこの事をずっと黙ってきたことを本当に申し訳ないと思う


だから私は何があっても真姫だけは守り抜く、そう誓った



次に私の罪についてだ


私は以前、この国の恐ろしい実験に携わっていた


その実験というのは人口的に人間の体に悪魔の血を混ぜたらどうなるかというものであった


そして人口的に悪魔を作り出すというものだった


その実験のために作られたのがあの病院なのである


その実験では多くの犠牲者がでた


しかし、たった1人だけ成功した少女がいたのだ


その子の名は高坂穂乃果と言い当時はまだ2〜3歳ぐらいだったであろうと思われる


私たちはその子についてどうなったかを見届ける前に私以外殺されたのだ


実験が成功すると同時に…………


私はその後、度々その子を観察しては何か実験の影響はないかを確かめてきたがやはり真姫と同様に何も変化は見られず人間と悪魔の混血では悪魔の力は使えないという結論に至った


だがその子に苦しい思いをさせたのは間違いのない事実である


私はその子にも謝らなければならない


また犠牲になった人たちにも…………


これが私の犯した罪である




それは余談になるが、私はある日この世界のとんでもない事実を知ってしまった…………


宝玉にかける全ての闇を消し去るという魔法は使い方を誤ればこの世界を丸ごと消し去ることができてしまうということを知ってしまった


そして何よりあの伝説には都合がいいように作り変えられているということだ


これはまだこれから先研究の余地がありそうだ…………


最後に、読んだ人物にお願いがある


もし真姫に会うことがあったらすまないと一言伝えて欲しい』



真姫「何よ…………これ……………ふざけないでよ……………」


私は一通り父のこの手紙に目を通し

そして頭の中が真っ白になった


今まで父から聞いてきたこととは全く違う現実に私は絶望した


そしてあの時私の中から込み上げてきたものが何なのか察しがついた


私はそれを確かめるべく鏡に映る自分の顔を確かめてみた……………


真姫「片目だけ…………」


やはりあの力は悪魔のものだった……

混血だからであろうか私は左目だけが悪魔の目をしていた


真姫「私って一体何なんだろう………」


そんな疑問が頭に浮かんできた


自分の母親のことや父のやってきた非道な実験…………


私はますますこの世界に対する憎しみが溢れ出てくるのを感じた


真姫「これからどうしよう…………」


私はこの世界を壊してしまいたい


父を裏切り、母を殺し、そして私を騙してきた………


しかし、この世界を壊す方法はあっても宝玉を集めるのにもう義聖団にはいられない


真姫「あいつのところに行けば……この世界を壊せるかも…………」


私はふとそう思って家を飛び出した

そして豪雨の中、1人この街を抜け出して行った



街の外れから出ようとした時、不意に聞きなれた声が聞こえた


希「いた!」


絵里「真姫!!あなた…一体どうして……」


それは希と絵里だった


真姫「あんたに何がわかるのよっ!!!!!!」


絵里「!?」


一体どうして、と言う絵里の質問に私はつい感情的になってしまった………


何も知らないくせに………………



希「その目………どうして…………」


真姫「あなた達に見えるままよ」


絵里「どういうことか説明してくれない?」


真姫「断るわ。それより何しに来たのよ」


希「真姫ちゃんが暴動起こしたって聞いたから、事実を確かめるために探してたんやけど……」


真姫「やっぱり私が悪者扱いなのね。無理もないわね……」


絵里「どういう意味?」


真姫「都合の悪いことは全て隠しておくのがこの国のやり方ってことよ!」


絵里「………」


真姫「それじゃあね。もうついてこないで」


絵里「待ちなさい真姫!」


真姫「なによ?まだ用があるの?」


絵里「あなたを捕まえて来るように言われてるの………だから大人しく私たちについて来てくれない?」


真姫「もちろん断るわ」


絵里「それなら力ずくで連れて帰るわ!」


真姫「なぜそこまでするの?命令だから?」


絵里「貴方が私たちの大切な仲間だからよ!道を誤った仲間を連れ戻すのは当然だわ!」


真姫「そう…………」


私は強く地面を蹴り、絵里と希の目の前絵まで一瞬にして近づき思い切り腹を殴った


希「うぅっ………」


絵里「くッ………真姫………」


力の加減が未だ上手くできない

私は以前に比べ圧倒的に身体能力が上昇していた

この悪魔の力は私の思っているよりもかなり強力なものらしい………


真姫「まだ立つの?あなたじゃ私には勝てないわよ」


絵里「だったとしても………私はあなたを止めなきゃ………ならないのよ」


真姫「わからないわ………何故そこまでするのか」


絵里「さっきも言ったでしょ!真姫、あなたが大切な仲間だからよ!!」


真姫「っ…………絵里ってどこまでもお人好しね…………」


絵里「うがッ…………」


私はさっきと同じところに蹴りを入れた


そして絵里は気を失ってしまったらしい


真姫「絵里……ありがとう……」ボソッ


希「ま……まきちゃん……」


真姫「希………あなたにお願いがあるわ。私の父の書斎に行って来てくれる?」


希「どうして……今そんなことを?」


真姫「あなたが探してるものがそこにあるかもしれないからよ。あなたがこの世界の秘密について探っているのを知らないと思ったの?」


希「…………」


真姫「だからそこに行ってちょうだい。そして私の家を焼き払って欲しいの」


希「………」


真姫「これはあなたにしかお願いできないことよ。あなたもこの世界に疑問を持っているのでしょ?」


希「………」


希は私の言葉に返事をしてこない

やはり希もこの世界の異常に気がついているのだろう………


真姫「するしないは自由よ、それじゃあね」


そう言い残して私はその場を去った

その後、希が私を追ってくることはなかった…………


私はどうして希にあんなことを言ったのだろうと今でも疑問に思っている……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・???・


あんじゅ「あなた……どうやってここまで来たの?ここに人間は来られないはずよ?」


真姫「こう言うことよ」


あんじゅ「なるほどね……その目、片目だけれども悪魔の目ね………悪魔と人間のハーフってところかしら?」


真姫「そうよ」


あんじゅ「それで、何しに来たの?お友達まで連れてきて」


真姫「あんた達に協力しようと思ってね」


あんじゅ「その言葉を信じろと?」


真姫「あの国の王を殺してきたわ」


あんじゅ「ふふふっ、あれをやったのはあなただったのね。前言撤回するわ、あなたみたいな人最高に好きよ」クスクス


真姫「それはよかったわ」


あんじゅ「でも何故急にこんなことを?」


真姫「もうこんな世界うんざりなのよ。全て壊してやりたいほどにね」


あんじゅ「本気で言ってるみたいね」クスクス


真姫「冗談で言うわけないでしょ」


あんじゅ「いいわよ。あなた達を仲間にしてあげるわ」


真姫「ありがとう」


私はあの後、いろんな悪魔の住む街や村を回り、ようやくここにたどり着いた


悪魔しかいないこの世界に……………



あんじゅ「でも、あなた達って魔力や魔法についてどこまで知っているの?」


真姫「それはここに来るまでの色んな街や村でちゃんと学んだわよ」


あんじゅ「へ〜〜相変わらず勉強熱心なのね。じゃあ悪魔については?」クスクス


真姫「そっちに関してはあんまりよ」


あんじゅ「ふ〜〜ん。まぁあなたは一応人間でもある訳だしね。そこの子はちゃんと掟を守ってるのね」


???「………」


真姫「掟?」


あんじゅ「そう、私たちの悪魔の秘密を人間には決して知られてはいけないっていう悪魔の掟よ」


真姫「人間には知られてはいけないなんて、それじゃ私には教えてくれないの?」


あんじゅ「別にあなたには教えてあげるわよ。一応悪魔だしね。」クスクス


真姫「それで、どんな秘密よ」


あんじゅ「私たち悪魔はね、人間って呼ばれてる奴らと別に変わりはないのよ。

ただ、あいつらと流れてる血が違うだけ。あいつらよりも魔法に適応しやすいってだけなのよ」


真姫「それじゃあ人間も悪魔も元を辿れば人間ってこと?」


あんじゅ「まぁだいたいはね」


真姫「なるほどね。そして結局は自分たちの都合がいいようにしたってわけね」


あんじゅ「それはちょっと違うわね。私たち悪魔には悪魔って呼ばれる所以がちゃんとあるのよ」


真姫「?」


あんじゅ「私たちはあいつら人間の魂を喰らうことで本当の力が出せるのよ。そしてその分寿命も延びる」クスクス


真姫「人間の……魂………」


あんじゅ「だから私たちは昔、悪魔と恐れられそのまま悪魔と呼ばれるようになったのよ」


真姫「魂を食われた人間はどうなるの?」


あんじゅ「一度に全て喰われれば死ぬわよ。でも、半分ぐらい残っていれば自然に回復するものだからちょっとぐらいは問題ないわよ。それに個人によって喰らう事の出来る魂の量が決まってるしね」クスクス


真姫「じゃあ、あなたは…………」


あんじゅ「限界なんてとっくに超えてるわよ?私が何年生きてきたと思ってるのよ」クスクス


真姫「でも、私の場合はどうなるのよ」


あんじゅ「それは私にも分からないわ。でも、あなたは他人から奪わなくても自分の魂があるからね。無限なんじゃない?」クスクス


真姫「どうりで力の加減が難しいわけね………」


あんじゅ「こんなの慣れよ。あ、でも人間の魂を喰らうのも掟で禁じられてるわよ」


真姫「あんたは破ったってこと?」


あんじゅ「そういうことよ。あんな掟守ってたら息苦しくて死んじゃうわ〜。でもあっちの悪魔たちは誰一人として魂なんて喰らってないと思うわよ。あなたもないでしょ?」


???「うん………」


あんじゅ「じゃあまた今度集めに行きましょ」クスクス


???「でも、掟を破るなんて………」


あんじゅ「ここに来た時点で掟なんてあってないようなものよ」クスクス


???「………」


あんじゅ「じゃあ決まりね」クスクス


英玲奈「何やら面白そうな話をしているな」


あんじゅ「あら英玲奈じゃない。この子たちを仲間に入れることにしたからよろしくね〜」


英玲奈「またお前は無茶苦茶なことを…」


あんじゅ「だいじょうぶよ〜〜」


英玲奈「まぁいい」


真姫「ねぇ、質問いいかしら?」


あんじゅ「なぁに?」


真姫「あなた達はどうして魔神の力を取り戻したいの?」


あんじゅ「………」


英玲奈「あんじゅ、別に話してやってもいいんじゃないか?」


真姫「?」


あんじゅ「実はねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


真姫「何よそれ………そのためにあんな芝居までしてるの?」


英玲奈「別に芝居をしているわけではない」


真姫「じゃあ何よ?」


あんじゅ「言うなればこれは呪いね」


英玲奈「確かにそうとしか言えんな…」


真姫「意味がわからないわ」


英玲奈「ツバサに会えばわかるさ。今は眠りについているがな。きっとお前たちも正気ではいられなくなるさ」


あんじゅ「そういうこと。なんでも経験してみるものよ。この続きはまたその時ね」


そして私は魔神完全復活に手を貸すと言う建前の元、宝玉を集めることにした



この世界を壊すために…………………



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ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あんじゅ「何を考えているの?」


真姫「ちょっと昔を思い出してただけよ」


あんじゅ「そう………うっ……」


真姫「…くっ……この感じ………」


あんじゅ「ツバサが……目覚めたみたいね………」


真姫「うぅっ…………」












あんじゅ「ふふっ それじゃあ行きましょうか」


真姫「ええ、2箇所なんて厄介ね」


あんじゅ「今は英玲奈があんな状態だから頼んだわよ」


真姫「わかってるわ。行くわよ花陽」


花陽「うん」





〜真姫の章 END〜

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〜にこの章〜


にこ「こころ!ここあ!どこにいるの!」


私は1時間ほど前に妹達とあるものを探しに村から少し離れた山にやって来ていた

しかし、いつも間にか妹達とはぐれてしまったのだ…………


にこ「まったく………どこに行っちゃったのよ…………こんな山奥で迷子だなんて」



ここあ「お姉ちゃん!助けて!!」


にこ「ここあっ!?」


すぐ近くからここあの声が聞こえた

私はその声のする方へと全速力で向かったが…………


騎士団兵A「おっと、お姉ちゃんの登場かい?」


こころ「お姉様!!」


騎士団兵B「大人しくしてろ!」


こころ「きゃっ!」


そこにはなんと、妹達が王都からやってきたであろう騎士団の兵隊達に捕まっている光景が…………

最近、騎士団の悪魔狩りが過激さを増してきているのだが……

この状況は非常にまずい……


にこ「ッ! あんた達、私の妹に何してくれてるのよ!!!何かしたら容赦しないわよ!!!」


騎士団兵A「その目…やっぱりお前たちは悪魔だったか。下手に動くなよ。動いたらどうなるかわかるよな?」


こころ「お、お姉様ぁ……」ブルブル


にこ「くっ…………」


本当にまずい…

人質を取られた状態では満足に戦うことができない………

どうすれば………………


騎士団兵B「そのまま大人しく俺たちについて来い。逆らう事は許さんぞ」


にこ「ちッ……」


このまま私はこいつらに捕まって殺される………そう思った時だった







???「お取込み中悪いけど、その子たち放してくれへん?」


にこ「!?」


突然私の後ろから何者かの声がした

あの発言からするにどうやらこちらの味方らしい


騎士団兵A「はぁ!?いきなりなんだ!お前この状況がーー」バ-ン! 


騎士団兵A「!?」


にこ「なっ!?」


???「もう一回言うで?放してくれへん?」


いきなりどこからともなく銃声が鳴り響いた

そして騎士団兵の頬には銃の弾がかすめただろう傷が………

突然現れた何者かがやったことらしいが銃などどこにも見当たらない………


騎士団兵B「お前……まさか義聖団の!?」


騎士団兵A「なに!? く、くそっ!ひとまず逃げるぞ!」


騎士団兵たちは一目散に逃げ出した

そして、この突如現れた謎の人物によってこころ達は無傷であった


こころ「お姉様ぁぁぁ!!!」ウワ-ン


ここあ「おねーちゃーーん!!!」ウワ-ン


にこ「もう!勝手にどっか行くんじゃないわよ……2人とも無事でよかったわ……」


???「みんな無事で何よりやわ」ニコニコ


にこ「私は矢澤にこ。ありがとう。あなたのおかげで本当に助かったわ」


希「うちは東條希。こっちの方で声がしたから来てみたんや。間に合ってよかったわ」


???「希ちゃ〜〜ん!まつにゃぁ〜〜〜」


???「ふ、2人とも早すぎるよぉ〜」


希「凛ちゃん。ことりちゃん。どうしたん?」


凛「どうしたじゃないにゃ!勝手に1人で走って行っちゃって!」プンプン


ことり「そ、そうだよぉ〜。びっくりしちゃったよ」ハァハァ


希「いやぁ〜ごめんごめん」アハハ


にこ「えと……お友達?」


希「うん。凛ちゃんにことりちゃんや」


凛「よろしくにゃ」


ことり「よろしくね」


にこ「私はにこ。あと妹のこころとここあよ。よろしく」


凛「希ちゃん何かあったの?」


希「さっきなーーーーーーーー」


ーーー

ーー



希「……というわけや」


ことり「騎士団がもうここまで……」


にこ「そういえばあなた達はどうしてこんなところに?」


希「ちょっとレグルの村って所に用があるんやけど、探しても全然見つからなくて」


にこ「なるほどね、そういうことなら案内してあげるわ。ついてきて」


希「場所がわかるん?」


にこ「私の住んでいる村よ。ちょっと変わった場所にあるから見つけにくいのよ、あの村は。それにちゃんとお礼もしたいしね」


ことり「ほんとに?ありがとう!」


凛「やったにゃ!」


希「ではお言葉に甘えて」



ーーーーーー

ーーーー

ーー



・レグルの村・


凛「それにしてもすごい場所にあるね……」


ことり「こんな山に囲まれたところにあるなんて………」


にこ「あんまりよそ者を寄せ付けないためよ」


ここ、レグルの村は四方を山に囲まれた村で場所を知るものでなければ見つけることが非常に困難な村である

もちろんこの村には悪魔しかいない


希「今さらやけど…人間のうちらを村に入れてもいいん?」


にこ「あなた達ならだいじょうぶよ。たぶん………」


ことり「た、たぶんかぁ」アハハ…


希「もしあかんようなら凛ちゃんに任せた方が良さそうやね……」


凛「まかせるにゃ!」


にこ「凛は悪魔なの?」


凛「うん!ほらっ!」


にこ「その目………確かにそうみたいね。まぁでも安心して。最悪私の家で匿ってあげるから」


希「それじゃあにこっちに悪いし…」


にこ「にこっちって………」


希「気に入らんかった?」


にこ「別にいいわよ………とりあえずウチに来なさい。用件次第では村長も許してくれるだろうし」ハァ




・にこ宅・


にこ「さっきは本当にありがとう。改めてお礼を言うわ」ペコリ


希「うちは当然の事をしたまでや」ニコッ


ことり「こころちゃんたちぐっすり寝ちゃってるね♡かわいいなぁ〜♡」デレデレ


にこ「……」


凛「ことりちゃん……目がこわいにゃ………」


ことり「?」キョトン


ことり………この子には少し注意しておかなきゃね

いろんな意味で危なそうだわ………


にこ「一つ気になったんだけどあの時の銃は希が撃ったの?」


希「あぁ、あれは『インビジブルバレット』って言ってな、やり方等は企業秘密や」ニコニコ


にこ「そ、そう………」


希のこの笑顔はなんか怖い……

なぜだかそう思ってしまう

それにしてもインビジブルバレットなんて物騒な技ね

不可視の弾丸…………

確かにあの時も何も見えなかった…


にこ「話が脱線して悪かったわ。それで、あなた達は何しにのこ村に来たの?」


希「このところ騎士団の動きが活発になってきてるのは知ってる?」


にこ「ええ、その話はもうだいぶ前から伝わってるわ。それに……さっき嫌という程思い知ったわよ。それが何か関係あるの?」


希「端的に言えばこの村が次の標的になってるってことや」


にこ「………やっぱりそうなのね」


希「だからうちらはこの村にそれを伝えて守りに来たってところやね」


にこ「なるほどね。でもその必要はないわ………」


希「?」


にこ「この村でいきなり変な病が流行り始めたの……………いえ、呪いといった方がいいのかもしれないわね。治療法はいくら探しても見つからない。おそらく治すためには全ての病を治すと言われてる幻の薬草が必要なの………」


希「それでさっきにこっちたちはあんな所にいたん?」


にこ「そういうことよ。どっちかというと行く途中だったんだけどね」


ことり「その呪いみたいなのってどんなものなの?」


にこ「その呪いにかかると皮膚がだんだん黒くなっていってね………村長曰く、心を無くした怪物になるそうよ」


凛「そ、それでそのあとはどうなっちゃうの?」


にこ「………見境なく襲いかかってくるそうよ。まだその域まで達した人はいないんだけどね…………村長が言うのだから間違いないわ。だから、あなた達にこの村を守ってもらってもどのみちこの村は長くは保たないわ…」


ことり「う〜ん………」


希「ことりちゃん?」


ことり「その呪いにかかった人に会わせてもらえないかなぁ?」


にこ「会ってどうするのよ?」


ことり「もしかしたらなんだけどね………その類のものだったら私の魔法で治せるかもしれないと思って」


にこ「っ!?」


ここに来てまさかの衝撃発言………

この子は今いったいなんと言った?

魔法で治せるかもしれない?

本当にそんなことが…………


希「なるほどな。ことりちゃんやったらできるかもしれんね」


凛「確かに!ことりちゃんの魔法はすごいもんね!」


にこ「あんたのその言葉信じてもいいの?」


私は何を言っているのだろうか…

そんなことできるわけがないのに

村長ですら何も解決法がないと言っているのに………



ことり「にこちゃん………会わせてもらえないかな?」


にこ「今ね、ちょうど弟の虎太郎がそれにかかってるのよ………」


ことり「えっ………」


希「にこっち……」


にこ「こっちよ。ついてきて」


私はことりたちを弟がいる部屋に案内した

弟を助けられるかもしれない……

そんな淡い期待を持って………




希「これはなかなかに………」


凛「ひどいにゃ………」


にこ「だから言ったでしょ……見れたもんじゃないって………」


ことり「とりあえず原因を詮索しないとね」


やはり希たちもこれにはくるものがあったのだろう

弟を見た途端に顔が急に青ざめていった

しかし、ことりは顔色を一切変えずに弟へと近づいて行った


ことり「ちょっと調べさせてね」


そしてことりの手首には先ほどまではなかった腕輪のような物をしていた………


ことり「『アナリス』」スゥ


聞いたこともない魔法だ……

私には今ことりが何をしているのか全く分からなかった


ことり「……………ふぅ」


希「どうやったことりちゃん?」


ことり「うん。これはにこちゃんが言うとうり呪いの一種だね。ちょっと厄介だけどこれなら治せるよ!」


にこ「っ!?ほんとうに!?」


ことり「うん!ちょっと集中力使うから静かにしててね」


そう言うとことりは目を瞑って手を組んだ

表情は真剣そのもので先ほどは別人のようだ……


ことり「『プリフィケイション』!!」フワ-


にこ「………」


みるみるうちに虎太郎の身体に生気が戻っていき、あの黒く変色した皮膚は消えていった……

希といいことりといい……

この人たちは一体何者なのだろうか?


ことり「よしっ!これでもうだいじょうぶだよ!」


虎太郎「ん………あれ……?おねぇちゃんは………?」


にこ「虎太郎!!よかった………」ポロポロ


虎太郎「おねぇちゃん………ないてるのぉ?」


凛「さすがことりちゃんにゃっ!」


ことり「えへへ」


にこ「本当にありがとう。あなた達には助けられてばかりね…」


ことり「気にしないで?それよりこの村にはまだこういう人が沢山いるんだよね?その人達も早く治してあげないとね」


希「そうやね。治せるとわかった以上村人みんなを治さんとな」


凛「じゃあ早速いくにゃ〜」


にこ「ちょっと待って。その前に村長の所へ行きましょ。きっとあなた達なら受け入れてくれるはずだから」


ことり「うん!」



ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー



・村長 宅・


にこ「村長……少しお話がーーーーー」


ーーーー

ーー



村長「なんとっ!? あの呪いが……」


にこ「はい。だからあの呪いにかかった人たちを集めてもらいたいの」


村長「信じがたい話じゃ……」


ことり「わたしに任せてください!必ずみんなを治してみせます」


村長「お主…その腕輪はもしや【神器】ではないか?」


ことり「!!ご存知なんですか?」


村長「あの伝説に出てくる物を知らないわけがなかろう」


にこ「………」


希「にこっちどうしたん?」


にこ「べつに………」


まさかことりがねぇ………

どうりで聞いたことのない魔法を使えるわけだ

そうだとすると希や凛も恐らく………


村長「そういうことならば是非お願いしたい。どうか村人を助けてほしい」


ことり「よろこんで!」



ーーーーーー

ーーーー

ーー



ことり「ふぅ……これで終わりかな」


村長「なんとお礼を言ってよいか………」


希「安心するのはまだ早いで」


村長「先ほどの騎士団の話か………」


にこ「いつ来るかも分からないしね……」


凛「一応凛が魔法で結界張って索敵してるにゃ!」


ことり「でも、みんなには一応逃げる準備をひてもらうようによびかけてないとね」


村長「そうじゃの。わしの魔法で皆に伝えよう。それとすまんが希とことりは1度席を外してくれんかの?」


ことのぞ「?」


村長「にこと凛に少々話があってな」


希「そういうことでしたら……」


ことり「にこちゃん、先に帰ってるね」


にこ「わかったわ」


私と凛だけ………

つまり悪魔だけでの話ね……

あんまりいい予感がしないわ


希とことりは村長に言われたとおりにこの場からいなくなり私の家へと帰っていった




村長「お主ら…掟は破っとらんな?」


にこりん「っ!?」


村長「あの者たちが【神器】を持った特別な存在とは言えどもそれとこれとは別の話じゃ。決して破るでないぞ」


凛「もちろんです」


にこ「わかってるわよ」


悪魔の掟……

決して人間には知られてはいけないもの

何故今そんな事を言われたのかその意図はイマイチ理解できなかったけどそれほど大切なことなのだろう………


そして、あの発言は恐らく人間と共に過ごしていくだろう私と凛の未来を案じてのことなのだろう……


村長「それならばよろしい。それともう1つある」


にこりん「?」


村長「あの希という娘には十分注意するのじゃぞ……」


凛「希ちゃんに?」


にこ「……なんとなく分からないでもないわ」


凛「どうして?希ちゃんはとってもいいひとにゃ!ガタッ


村長「人の良し悪しの問題ではない。心の問題じゃ」


凛「こころ?」


にこ「また覗き見たんですか?相変わらず趣味が悪いですね…」


凛「???」


村長はあらゆる生物の心を読み取る奇妙な魔法を使う………

もちろんいつ誰に使っているかどうかなんて誰にも分からない

だから余計にタチが悪いと思う


村長「わしから伝えたいことはそれだけじゃ。お主らも帰ってよいぞ」


凛「!?」ビクッ


にこ「いきなりどうしたのよ?行くわよ」


凛「……30………40…………嘘でしょ……」


村長「どうかしたのかね?」


凛「村長さん!今すぐ村のみんなを避難させて!!」


にこ「まさか騎士団がきたの!?」


村長「なんとっ!?」


凛「今の感じだとあと5分もしないうちに村にきちゃうよ!!」


にこ「はぁ!?あと5分!?なんでそんなに早いのよ!」


凛「おそらく乗り物か何かに乗ってるんだと思う。1度に凄い数の反応があったから……」


村長「うむ……一応皆には伝えたがそれではさすがに間に合わぬ………」


希「凛ちゃん!」


さすがは村長打つ手がはやい

それに希たちにも伝えるなんて

でも、状況が最悪なのは何も変わらない…


にこ「とりあえず村人の避難が最優先ね」


ことり「止めなくちゃ……」フラッ…


凛「ことりちゃん!」


希「魔力の使いすぎや。無理せんと、ことりちゃんとにこっちは村人たちを誘導して逃がしてあげて!」


ことり「うん。わかった!」


にこ「あんた達はどうするのよ」


希「うちらは騎士団を足止めする」


凛「そういうことにゃ!」


にこ「足止めするだけじゃ意味がないわ」


のぞりん「?」


にこ「……ここは四方を山に囲まれているし、山の向こうには何もないのよ?あいつらを完全に追い払わないかぎり安全とは言えないのよ」


希「なるほどね………」


にこ「私もそっちを手伝うわ。私だってこの村を守りたいもの」


希「にこっち……」


にこ「それにあんな数2人でどうにかできるわけないでしょ」


希「わかった……そうと決まれば早速行動開始や!」



ーーーーーーー

ーーーー

ーー



・村 入り口・


にこ「迎え撃つはいいけどやっぱり数が多すぎるわね……」


敵は目前に迫っていた

私たちは村の入り口に立ち騎士団を迎え撃つ事になった

が、しかしここからでも圧倒的な数の差がはっきりとわかった


凛「にこちゃん今更になって怖気づいたの?」ニヤニヤ


希「怖いんなら逃げてもええんよ?」クスッ


にこ「誰が逃げるものですか!やってやろうじゃない!!」


希「にこっち!?それは……」


私はそう叫び…【神器】を手に取った

【神斬之大鎌】と言うのが私の神器

大きさは私よりも大きくとても禍々しい雰囲気を醸し出している


にこ「あんた達と同じよ……」


希「なるほどな……まさかにこっちもそうとは意外やったわ」


凛「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと敵さん片付けにいくにゃぁ〜!」


にこ「わかってるわよ!!」


ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー



凛「さすがに……多すぎるにゃ」ハァハァ


にこ「なに……ばててるのよ」ハァハァ


希「にこっちこそ……息あがりきっとるで」ハァハァ


にこ「あんたもでしょ…」ハァハァ


倒しても倒してもキリがない

3人で軽く200は倒しただろうか……

敵はまだその倍はいる………


残りの敵を無力化するのも絶望的であったその時だった……


にこ「眩しっ!?」キラ-ン


希「な、なんや!?」シュド-ンッ


突如敵上空に光が現れた

そしてその光は弾け騎士団の兵士にまるで小規模なメテオのように降り注ぐ


凛「っ!? この魔法……」


希「みて!騎士団が!」


にこ「……全滅!?」


私たちは各々自分の目を疑った

あれだけ必死になって戦っていたのに、あのよくわからない魔法によって残りのすべての敵が戦闘不能になったのだ……


あんな高度な魔法一体………


にこ「一体誰が………」


凛「………」


希「凛ちゃんどうしたん?」


凛「………ううん。何でもない」


希「そう?」


凛「きっときのせいだよね……」ボソッ


にこ「何だか釈然としないけど……とりあえず村を守りきれたわね……」


何者かの手助けがあったとはいえ私たちは無事にこの村を守ることができたようだ

相手を殺さずに無力化する………

これがここまで大変だなんて思ってもみなかったわ………







ことり「みんな!だいじょうぶ!?」


にこ「ことり……なんとかね」


ことり「怪我とかしてない?」


希「うちらはだいじょうぶやで」


ことり「よかったぁ……いきなり変な光が見えてものすごい音がしたからすごく心配したんだよ………」


にこ「とりあえず村長のところへ行きましょ」


ーーーーーー

ーーーー

ーー


村長「よくぞやってくれた!心から感謝するぞ」


にこ「もうあんなの懲り懲りよ…」


希「まぁ後のことはことりちゃんに任せたしだいじょうぶやろ。うちらはまだしばらくこの村に残ってやることがあるしな」


にこ「まさかことりが姫様だったなんてね……」


あの後ことりは傷ついた騎士団の兵士たちの治療にあたり、そのまま騎士団と共に王都へひとまず先に帰った


私たちが相手した敵はまだ良いもののあの魔法でやられてしまった人は相当な怪我を負っていた

ことりはこの国の姫ということもあってそれが効いたらしく騎士団も素直にことりに従い王都へ


希達はまだやることがあるらしくこの村に残ることになった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー








ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・数日間後………・


希「見つからんなぁ……」


凛「もうつかれたにゃ〜〜」グデ-


にこ「なんで私まで………」


希「でも、村長さんの家の地下にこんなところがあるなんてなぁ」


にこ「怖いくらいに物知りだとは思っていたけれどなんか納得いったわ…」


私たちは今、村長の家の地下に来ている

ここには村長秘蔵の様々な書物がまるで図書館のように置いてあった

希達は何やら宝玉や魔神について調べているらしいがそれらしきものは一切見当たらない


村長「お目当てのものは見つかったかね?」


希「いえ……どれも知っているような事ばかりでこれといった情報は………それにそろそろ王都へ戻らなければならないので」


にこ「この数日の私たちの苦労は一体何だったのよ………」


希「ごめんな、にこっち」


にこ「別にいいわよ」


村長「ふむ……では餞別にこれをやろう」


希「これは?」


そう言って村長が希に渡したのはとても古めかしい1冊の書物だった

しかしそれは…………


にこ「何て書いてあるか全く読めないんだけど………」


希「う、うちもや」


凛「凛にも見せてよ〜」


にこ「どうせあんたも読めやしないわよ」


凛「ひどいにゃぁ……」


村長「それはこの世界の古代文字じゃ。読めないのも無理はない……じゃがそれを女王様のところへ持っていくとよい。あの方なら時間はかかるであろうが解読できるであろうからな」


凛「これには何が書いてあるの?」


村長「この世界の魔力・魔法について書いてあるのじゃ」


にこ「魔法について………」


村長「きっとお主らの役に立つであろう。それとにこ」


にこ「なんでしょう?」


村長「この者たちについて行きなさい」


にこ「はっ!?」


また突然とんでもないことを言われた気がしたのは気のせいだろうか……


村長「お主も神器を持つ者の1人じゃ。そして希や凛も同じじゃ………これも何かの運命じゃろう。共にこの世界を正しき秩序ある世界に戻すのじゃ」


にこ「いきなりすぎませんか?それに、妹達を残して行くなんてできません」


こころ「お姉様……私達なら心配いりません!」


にこ「こ、こころ!?」


ここあ「お姉ちゃん行ってきてよ!それで世界を守って見せて!!」


小太郎「おねぇちゃん、がんばれぇ〜〜」


にこ「ここあ…小太郎まで……」


次々とまぁ色んなことが起こることで……

やっぱりこの人には敵わないわね……

こんなことされたらねぇ………


希「どうするんにこっち?うちらとしても是非来て欲しいんやけど」


凛「そうにゃそうにゃ!!」


にこ「はぁ……わかったわ。希っ!私をあなた達の仲間にしてちょうだい」


希「もちろん!」


村長「にこよ……選ばれし者としての使命を全うしてくるのじゃぞ」


にこ「はい!」


なんかここまでくるとホントヤケになってきたわ………

それでも私は【神器】を持っている以上、この世界を救わなければ……

いや、そんなことはどうでもいい

村のみんなや家族との幸せな時間を取り戻せるように私はこの世界を救いにいんだ!


希「ほな、王都へレッツゴーや!」


凛「テンションあがるにゃ!!!」


にこ「これからよろしくね!」


そうして私はこの村出て王都へ行き義聖団に入ることになったのだ


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・宝玉の遺跡 入り口・


にこ「ここが入り口みたいね」


絵里「前回と違ってあっさり見つかってよかったわ。」ホッ


希「前回はそんなに苦労したん?」


絵里「結構大変だったわ……」


前回……つまりは1つ目の宝玉を取りに行った時のことだろう

私たちは今、なぜか2箇所同時に現れた宝玉を2手に分かれて回収しに来たのだ


にこ「さっさと回収しちゃいましょ」


希「まって!誰かおる!」


にこ「っ!?」


絵里「どうやらそのようね………」




あんじゅ「あら、案外早かったのね」


絵里「あんじゅ………」


希「まさかね……」


にこ「あんた達知り合いなの?」


希「うちらが騎士団にいた時の団長や………でも、もう1人はわからん」


私たちの行く先にはあんじゅと言う人物ともう1人、ローブを着てフードをしていて顔はよく見えない


あんじゅ「前回はあなた達に取られちゃったみたいだけど今回はそうはいかないわよ」クスクス 


絵里「それはこっちの台詞よ!あんた達に宝玉は渡さない!!」


あんじゅ「相変わらず威勢がいいわね。でも今回の相手は私じゃないの。残念ねぇ〜〜花陽、足止めよろしくね」ダッ


花陽「うん……」


にこ「待ちなさい!」


花陽「『インフェルノ』」ボワッ


にこ「っ!?」サッ


私に向かって巨大な火の玉がとてつもない速さで飛んできた

それはやがて大きな火柱を上げ燃え尽きていった……

私はそれをギリギリの所でなんとかかわした


花陽「ここから先には行かせないよ」


にこ「一筋縄ではいかないみたいね…」


希「かなりの魔法の使い手やね」


絵里「希!援護お願い。私とにこで一気にかたをつけるわ」


のぞにこ「「りょーかい」や」


私と絵里は花陽に向かっていき希がそれを援護する

この3人での初めての戦闘のわりにはなかなか良いフォーメーションである


だがそれに対して花陽は一切動じない

それどころかその場を一歩も動かない…


にこ「はぁぁあ!」ザッ


私の鎌と絵里の剣が完全に花陽を捉えた

そう思ったが…………


絵里「なっ!?」


にこ「うそでしょ…」


花陽「あなた達の攻撃は効かないよ」キ-ン


私と絵里の一撃は受け止められた……

いや、この場合は刃が通らないといった方が妥当であろう………


にこ「なんなのよあれ……攻撃が全く効かないじゃない」


希「こんなところで足止めされてたら宝玉が………」


花陽「もう諦めて帰ってくれないかな?できることなら私はあなた達を傷つけたくないの………だから私より後ろに行かないでね」


絵里「諦めるわけないでしょ!」


にこ「こうなったら強行突破よ!私が抑えるからそのうちに2人は宝玉を!」


のぞえり「「りょーかい」や」


にこ「くらいなさい!『デスサイズ・ハリケーン』!!」ザ--ズドンッ


私はありったけの力を出しこの一撃を花陽にぶつけた

技の衝撃で周りが見えなくなった瞬間

絵里と希は飛び出して花陽を上手く抜いて行った


花陽「『ニブルヘイム』」ス--バキンッ


が、しかし花陽のその一言で状況は最悪なことになった…………


絵里「身体が………動かない……」


希「くッ………」


にこ「なんて強力な魔法なの………」


私たちはあの一瞬で首から下を全て氷漬けにされたのだ………

身動きなどできるわけもなく

花陽はただ冷たい目でこちらを見ていた




花陽「私……言ったよね?諦めてって。あなた達を傷つけたくないって。どうしてわかってくれないのかなぁ?」




にこ「あんた本気で言ってんの?」




花陽「本気だよ……でもこれはあなた達が悪いんだからね?」ニコッ




にこ「っ!?」ゾクッ




私は花陽の笑顔に恐怖を感じた………




花陽「楽しみにしててね」ニコニコ




花陽はそう言うと私に近づいてきた

あの笑顔のまま…………

そして私は絵里と希の姿が見えないことに気がついた




にこ「絵里と希はどこに行ったのよ!」











花陽「ふふっ もう私が殺しちゃった。こんな風にね。『ブレイク』」バリ-ン ニコニコ   


にこ「ッうぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!」



花陽がそういった途端………

私の右腕は氷とともに砕け散っていった

そしてその傷跡をまた氷で塞ぎ流血を止めてくる………

激痛が私を襲い今にも意識がとびそうだ……



花陽「まだまだこれからだよ?勝手に死なないでね?」ニコニコ



にこ「くッ……あんた……絶対に許さないわ!!よくも絵里と希をっ!!!」




花陽「私の言うことを聞かないからこうなったんだよ?」



にこ「ふざけるなっ!!」



花陽「まだまた元気だね。『ブレイク』」バリ-ン


にこ「ッゔぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!!」




今度は左膝下を…………





そして……





左手、右足首、左腕、右脚…………





順々に私の身体の一部を壊していく……………




にこ「っう…………」


花陽「まだ生きてるなんて…さすが悪魔だね」ニコニコ


にこ「こんなことして………どうしたいのよ…………」


花陽「別に何もないよ?ただあなたの苦しんでいる姿を見て楽しんでるだけだから」ニコニコ


にこ「っ……悪趣味ね……………」


花陽「でももう飽きちゃったからそろそろ終わりにしてあげる」


にこ「っ!?」


花陽「『ブレイク』」バリ-ン











私を覆っていた氷が全て砕かれた







そしてそのまま私も…………




視界が閉ざされ私の意識はそこでなくなった



〜にこの章〜 END

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〜花陽の章〜


花陽「もう……イヤだよ…………」ハァハァ

 

騎士団兵A「どこに行きやがった。あの悪魔め」


花陽「逃げなきゃ………」


私と他何人かはなんとかレーンの村から逃げ出せた

けれど騎士団もそう簡単には逃してはくれない

逃げ始めてからもう3日が経とうとしていた

それでも騎士団は諦めることなく私たちを追ってくる

この3日間まともに食事をしていないせいか私の体力はもう限界に近い


騎士団兵A「見つけたぞっ!」


花陽「っ!?」


次々と兵士が集まってきて私はあっという間に囲まれてしまった


騎士団兵B「他の仲間はどこに行った!」


花陽「……知らない」


騎士団兵C「このっ!」ジャキッ


花陽「きゃっ…」ピチャッ



赤くて生暖かい液体が飛び散った


しかしそれは私のものではなかった…


騎士団兵C「ぐっ………」バタッ


花陽「あれ………?」


???「あなた達……女の子1人を寄ってたかって何してるの?」


騎士団兵D「こいつ……どこから……」


???「まぁいいわ。死にたくなかったらさっさとどっかに消えなさい」


騎士団兵A「貴様、そいつの仲間だな!この悪魔どもを殺してしまえ!!」


???「悪魔ってだけでそうなるのね………ホントに馬鹿馬鹿しい」ハァ


騎士団兵C「くたばれっ!」ザッ


???「『舞風』」シュルッ スパ-ッン


刹那、前方に凄まじい衝撃波が幾つも放たれた



そしてそれは騎士団兵を一人残らず葬った……



花陽「ぁ…………」ガタガタ 


???「あなた怪我はない?」


花陽「は……はぃ…………」ガタブル


???「あぁ……ごめんね。怖がらせちゃったみたいね」


花陽「ぃ、いえ。そんなことは………助けていただきありがとうございます」


正直怖かった………

誰かを平気で殺せるこの人が怖く思えた

それと同時に少し憧れを抱いた……

私も強くなりたい………そう思った

何かを守れるぐらい強く………


???「それじゃあね。気をつけるのよ」


花陽「まってください!私、小泉花陽と言います。名前を教えてください」


真姫「西木野真姫よ」


花陽「西木野さん!」


真姫「真姫でいいわよ」


花陽「えっと……真姫ちゃん?」


真姫「なに?」


花陽「どうしたら真姫ちゃんみたいに強くなれますか?」


真姫「私は…強くなんてないわ………」


花陽「そんなことないっ!真姫ちゃんはー 真姫「やめてっ!!」


花陽「っ!?」


真姫「私は強くなんかい……私は…大切なものを何も守れない……守れなかった………」


花陽「………」


真姫「強くなんてないのよ………」


とても力のない声………

何があったか私には分からないけれど

真姫ちゃんはとても悔しそうにしていた


花陽「ところで、真姫ちゃんはどうしてこんなところに?」


真姫「ちょっと人を探しにね。あなたこそなんであんなことになってたのよ」


花陽「実は……」


ーーーー

ーー



花陽「という訳です…」


真姫「レーンの村がねぇ………それであの時王都に騎士団が少なかったのね…」


花陽「真姫ちゃんは王都から来たの?」


真姫「そうね。この際だし話しておくわ」


ーーーー

ーー



真姫「こんなところかしらね」


花陽「………」


私は言葉を返すことができなかった

村が襲撃されているときに王都でそんな事が起きていたなんて想像できなかった


王都はきっと今頃王が殺された事によって大混乱しているだろう


つまりこれ以上の追っ手がやってくる心配もない………


ここで私は疑問を持った


花陽「真姫ちゃんはこれからどうするの?」


この国の王を殺したのだ

居場所などほとんどありはしない


真姫「レグルの村に行くわ。そこに私の探してる人物の手がかりがあるはずなの」


花陽「私もついていってもいいですか?」


真姫「ついてきてどうするの?」


花陽「私は真姫ちゃんの力になりたい」


真姫「あなた……自分の言ってることがわかってるの?」


花陽「それにね……私もこんな世界もうイヤなの………」


真姫「……そう」


こんな世界がイヤ………

その言葉に偽りはない


真姫「花陽はこれから先闘える?自分の望むもののために」


花陽「っ……」


真姫「さっきの様子だと戦闘経験はないみたいだし。それにあなたは人を殺せるの?」


花陽「……私だって闘うことぐらいできます………」


真姫「じゃあどうしてさっき襲われてた時に闘おうとしなかったの?」


花陽「…私……魔法でしか闘えないんです………今は魔力がなくて」


真姫「なるほどね…流石に3日も何も食べてないなら仕方がないわね…」


魔力が足りない……


確かにそれも理由の1つではあった


でも、本当の理由は………


神器を使うのには自分の保有している魔力が圧倒的に足りていない……


ただそれだけであった



そして真姫ちゃんは私にはこう付け加えた


真姫「でも私がやろうとしていることを一緒にやろうとするってことはあなたの大切な人を裏切ることになるのよ?」


この言葉は私の胸に刺さった


でも……


花陽「…構いません。私の邪魔をする人は全て排除するまでです……」


例え凛ちゃんやことりちゃんを裏切る事になっても構わないと思った

こんな現実に生きたってどうしようもない

私から全てを奪ったこのふざけた世界を消し去りたい……

そんな感情におそわれた……


真姫「いいわ……改めて、これからよろしく」


花陽「よろしくね」


これが私と真姫ちゃんの出会いだった



ーーーーーー

ーーーー

ーー


・レグルの村・


真姫「どうやらここみたいね」


花陽「でも…静かすぎない?」


真姫「………人の気配はある」


花陽「どういうことなんだろう?」


真姫「観察されてるわね」


花陽「えっ!?」


真姫「誰か来たわよ……」


村長「わしはこの村の長じゃ。これはなんとも懐かしいのぉ……」


真姫「どういう意味よ?」


村長「気にするでない。こちらの話じゃ」ニコッ


村長は私達にとても優しい笑顔をしてくれた

懐かしいと言うさっきの言葉……

どういうことなんだろう…


花陽「???」


真姫「でも、まさかそっちから来てくれるなんてね。あなたに用があって来たのよ」


村長「ほぅ………大体の用件はわかった。ついて来なさい」


真姫「まだ何も言ってないけど?」


花陽「読心魔法………」


村長「よくわかったのぅ……そのとうりじゃ」


真姫「はぁ……とりあえず付いていけばいいのね」


花陽「うん。たぶん」



・村長宅・


真姫「それで、あなたは私たちが知りたいことを知っているの?」


村長「もちろん知っておるよ。じゃが、まぁそう焦るでない。真姫よ、お主は人間と悪魔どちらなのだ?」


真姫「っ………知らないわよ」


村長「少し意地悪なしつもんじゃったかのぉ」ニヤニヤ


真姫ちゃんは人間と悪魔の混血

人間であるとも悪魔であるとも言えない


村長「それにしてもお主らは本当に母親に似ておるのぉ」


花陽「えっ?」


村長「お主らの母親は元はこの村の者じゃ。それに驚くことでもないぞ?」


花陽「どういうことですか?」


村長「ここレグルの村は悪魔最初の村じゃ。それが段々と各地に村ができたきたのが最近の話じゃよ」


真姫「もうっ!そんなことはどうでもいいわよ!早く教えてちょうだい!」


村長「あやつの……魔神のところへ行きたいのならまず魔法について学ばないと行くことはできん」


花陽「魔法………」


村長「そうじゃ。ついて来なさい」


ーーーーーー

ーーーー

ーー



そう言って私たちが連れてこられたのはこの家の地下

まるで大きな図書館のようだった


村長「基礎知識はわしが教えよう。じゃがその先は自分たちで学ばなければおそらく身につかんじゃろうから自分たちでやるのじゃぞ」


真姫「わかったわ」


村長「魔法と言うのは火・水・雷・風・氷・光・闇・無の8つの要素からなりっておる。そしてそこに斬・打・魔の3つのタイプに分類される。ここまではよいか?」


花陽「8つの要素はいいんですがその魔法のタイプっていうのはイマイチです」


村長「分かりやすく言うとじゃなあ、魔はその魔法の要素の性質を発動させることじゃ。火なら燃やす、氷なら氷結させるなどじゃ。これを発動させるのには知っての通り魔法陣を展開させる必要がある。しかしじゃ、斬・打はその魔法の要素の性質を魔法陣なしで他の物質に纏わせて発動させるものじゃ。どちらとも長所短所はなるがのぅ」


真姫「なんだかややこしいわね」


花陽「うん」


村長「しかしそれはただ頭で理解できるように無理矢理理論化したものじゃ。感覚で捉えるのが1番じゃろう」


真姫「確かに使ってる時に意識したことはないわね…」


村長「それにじゃ、要素には人によって使えるものが異なる。それを知ることも大事じゃぞ」


花陽「それはどうやって知るのですか?」


村長「これを使うのじゃ」


そう言って村長さんが取り出したのは何やら不思議な水晶だった


村長「これに魔力を少量送ると自分の持つ要素がわかるのじゃよ」


真姫「へぇ〜おもしろそうね」


村長「真姫、触ってみなさい」


真姫「ええ」


真姫ちゃんが水晶に触れると不思議なことに水晶の色が変わっていった


村長「お主は斬の風と闇じゃな。斬だけとは珍しい…」


真姫「魔は使えないの?」


村長「使えんことはないが他人よりも力がかなり劣るじゃろうよ。まぁお主の場合は神器があるからその相性からかもしれんな」


真姫「そう……」


真姫ちゃんは少し残念そうだった

そんなに魔法がつかいたかったのかなぁ?


花陽「次は私ですね」


私も水晶に触れてみた

しかし………


花陽「あ、あれ?」


真姫「反応しないわね……」


村長「ふむぅ……真姫よ、お主はここでこの本を読んで魔法についてもう少し学ぶと良い。花陽はわしについて来なさい」


花陽「は、はい……」


ーーーーーーーー

ーーーーー

ーー



村長「花陽」


花陽「は、はい!」


村長「お主は魔法が使いにくいと思ったことはあるかい?」


花陽「え、えと………はい…」


そんな経験は何度もある

思うように魔法が使えない……

原因はよくわからないけど…………


村長「母親から何も聞いていないのか?」


花陽「な、何のことでしょう?」


村長「お主が生まれた時の話じゃよ」


花陽「いえ……ないです」


でも、1度だけ聞いてみたことがある

その時はなぜか話を逸らされたような誤魔化されたような気がした


村長「そうか……ではわしから話そう」


花陽「知ってるんですか?」


村長「お主が魔法を使いにくいのはお主に魔力の流れを制限する特別な魔法をかけてあるからじゃ」


花陽「え………?」


村長「そしてその魔法のかけたのは何を隠そうこのわしじゃ」


花陽「っ!?」


村長「知りたいかい?自分自身のことを」


花陽「も、もちろんです!」


村長「そうか……真姫よ、隠れとらんで出て来なさい」


真姫「…やっぱりばれてたのね」


村長「わしを甘く見るでないぞ?」ニコニコ


花陽「真姫ちゃんいつから!?」


真姫「最初っからよ」


花陽「ええっ!?全く気づかなかった…」


本当に真姫ちゃんにはびっくりさせられたなぁ

でも、真姫ちゃんなら一緒に聞いて欲しいっておもえるかも………


村長「話してもよいか?」


花陽「はい」


村長「花陽…お前さんはなここの言葉で言う【賢者】と呼ばれる一族の末裔じゃ」


花陽「賢者…?」


村長「そう……魔法を自在に操り絶対的な魔力を持ち、そして我々悪魔の長となる一族のことじゃ」


花陽「私がそんな一族の……末裔………」


私は驚きのあまり言葉に詰まってしまった

私がそんな一族の末裔だなんてとても信じられない……

そう思った


村長「特に花陽……お前さんは稀に見る逸材じゃった。しかしな…幼かったお主はその膨大な魔力によって身体にとてつもない負担がかかってしまってな………そこでわしがその膨大な魔力を封印したというわけじゃ」


花陽「……」


真姫「その封印は解けないの?」


村長「もちろん解けるとも。じゃがなぁ……今のお前さんでもあの膨大な魔力は抑えられんだろう」


花陽「そんなになんですか?」


村長「魔力の絶対量だけで言ったら完全復活した魔神にも劣らないであろう」


花陽「………」

真姫「………」


これには流石に言葉を失ってしまった

まさか自分にそんな力があるだなんて思ってもみなかった

でもそれはその力を扱えればの話であるのは十分に理解しているつもりだ……


村長「だからな花陽………お前さんにかけた封印を全て解くわけにはいかんのじゃ」


花陽「?」


村長「ーーーーーーーーーーーー」



ーーーーーー

ーーーー

ーー



そんなこんなでここでかなりの時間を過ごした


私と真姫ちゃんはここで魔法の勉強をして沢山のことを知った


もちろん新しい魔法も使えるようになって私も実践で役に立つ程度にはなった


流石にまだ真姫ちゃんにはかなわないけどね


そして私たちはついに……魔神の元へ行くことを決意した


村長「本当に行くのじゃな?」


花陽「はい…」


真姫「後悔はないわ」


村長「そうか………」


花陽「止めたりはしないんですね?」


村長「わしはこの村が無事であればそれでよいのじゃよ」


真姫「私はこの村を傷つけるかもしれないわよ?」


村長「お主にはまだ迷いがある……向こうでしっかりと考えてくるがよい」


真姫「私には迷いなんてないわ!」


村長「どちらにしろわしはお主と戦っても勝ち目はないからのう」


真姫「………」


村長「気をつけて行くのじゃぞ」


花陽「はい!」


真姫「早く行くわよ花陽……」


花陽「うん!『ディフェメント』!」スサッ



私たちはある場所へと行く魔法を唱え

村を後にし魔神の元へ向かった…………


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー













ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・???・


あんじゅ「そろそろツバサに会いに行ってみる?」


花陽「伝説の魔神………」


英玲奈「まぁ今ならよっぽど大丈夫だろう。とは言え、いずれにせよこちらの側にいるということは契約せざるを得んがな」


真姫「契約ねぇ………」


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〜数日前


真姫「あなた達はどうして魔神の力を取り戻したいの?」


あんじゅ「………」


英玲奈「あんじゅ、別に話してやってもいいんじゃないか?」


真姫「?」


あんじゅ「実はね私たちだって魔神を完全復活させたい訳ではないのよ?」


真姫「意味がわからないわ」


あんじゅ「あなたツバサに1度だけあったことがあるでしょ?」


真姫「あんたが復活させた時のこと?」


あんじゅ「そうよ。あの時に私の隣にいたのは魔神であり魔神でないものよ」


花陽「余計に意味がわからないよぉ…」


英玲奈「ツバサは元は私たちの親友だ。魔神などではなく普通の悪魔だった」


花陽「え?」


英玲奈「私たちはこちらの世界の悪魔には魔神を封印し続けると言う義務があったのだよ」


真姫「……」


英玲奈「そしてその役割を担っていたのが我々だ」


花陽「今と立場が真逆じゃないですか…」


英玲奈「あぁ…もう10年も前のことになるのだが、突然魔神の封印が1度解かれたんだよ」


真姫「……話の展開が謎すぎるわ……」


花陽「封印が解けた理由は分からないんですか?」


あんじゅ「何者かによって意図的に解かれたのよ………」


花陽「っ!?」


英玲奈「そこで私たちはもう1度封印を試みたのだかどうにもならなくてな………ツバサが自分の中に魔神を閉じ込めて自分ごと封印したんだよ」


花陽「そんなことが………」


あんじゅ「そう……だから私たちはツバサを取り戻すために魔神を完全復活させてツバサの中から魔神を追い出したいのよ」


真姫「その後魔神をどうする気だったのよ?」


英玲奈「その後の世界などどうでもいいさ。元々はこんな世界が悪いのさ」


花陽「それはどういうこと?」


英玲奈「現実から目を背けた人間どもが……都合の悪いことは全てなかったことにするこの世界が憎くてたまらないのさ!!そのせいでツバサや私たちはっ!!!!」


花陽「っ!?」

真姫「……」


あんじゅ「落ち着きなさい英玲奈……狂気に駆られたら自我を失うわよ」


英玲奈「……すまない」


花陽「自我を失う?」


あんじゅ「今はなしても分からないだろうからこの事はまた話すわ」


自我を失う………

つまりはその狂気とやらに乗っ取られるということだろうか………


自らの意志ではない何かがあるのだろうか………


真姫「あなたたちにこの世界が憎いって気持ちはないの?」


英玲奈「そういう気持ちが無いわけではない……」


真姫「あなたたちの所に来て正解ね…」


英玲奈「?」


真姫「こっちの話よ」


あんじゅ「でも本当は私たちとしてはツバサさえ救えればそれでいいのだけどね」


英玲奈「だが結果として魔神の完全復活がついてくる」


花陽「魔神の完全復活はさせたくないの?」


あんじゅ「最初に言った通りできることならさせたくないわ」


英玲奈「これが我々の全てだ」


真姫「何よそれ………そのためにあんな芝居までしてるの?」


あんな芝居………

きっと魔神を完全復活させようとすることを言っているのだろう


英玲奈「別に芝居をしているわけではない」


真姫「じゃあ何よ?」


あんじゅ「言うなればこれは呪いね」


英玲奈「確かにそうとしか言えんな…」


なんだかよく分からなくなってきちゃった………

芝居でもないけれど本心でもない………

花陽にはムズカシイお話です……


真姫「意味がわからないわ」


英玲奈「ツバサに会えばわかるさ。今は眠りについているがな。きっとお前たちも正気ではいられなくなるさ」


あんじゅ「そういうこと。なんでも経験してみるものよ。この続きはまたその時ね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



花陽「そういえば結局のところ一体どんな制約なの?」


英玲奈「正直なところよくわからん」


花陽「ええ!?」


あんじゅ「そうね……推測でしかないけど魔力やその他の能力が上がるかわりにツバサに半分乗っとられる?みたいなかじかしら?」


真姫「乗っとられる?」


あんじゅ「そ。もっと言うとなんか自分の中の黒い部分っていうの?そんな感じのやつに意識を持っていかれそうになるわ。あの時の英玲奈のようにね」


英玲奈「………」


花陽「あの時の英玲奈さん…すごく怖かったです……」


英玲奈「すまない…」


あんじゅ「まぁまぁ…とりあえず行くわよ」


ーーーー

ーー



ツバサ「あんじゅ…英玲奈…何をしにきた?」


あんじゅ「新入りさんを連れてきたのよ」


ツバサ「なるほど…」


花陽「…」

真姫「…」


ツバサさん………

伝説の魔神と言うのだからどういう人かと思ったけれどなんか……

すごく可愛らしいです…

とても悪い様には見えないけれど…


ツバサ「ねぇ…」ピト


花陽「ぴぁっ!?」ビクッ!


真姫「いつの間に……」


ツバサさんは私の背後から頬に優しく触れた


ただそれがあまりにも一瞬のことすぎて頭が追いついてこない……


ツバサ「何故あなたは私の味方に?」


花陽「そ、それは………」


この世界がイヤだから…


これ以上生きていたって仕方がない…


もう何もいらない……


ただ……壊してやりたい



ツバサ「ふふっ。貴方って嫉妬深いのね」ニヤニヤ


花陽「っ!?」


心を読まれた……?


ツバサ「貴方のこと…気に入ったわ。そっちの子もね」


真姫「真姫よ」


花陽「は、花陽です」


ツバサ「真姫に花陽ね。あなた達を歓迎するわ。プレゼントをあげる」クスクス  


花陽「ぷれぜんと?」


ツバサ「『قرارداد』」


真姫「ぐっ………ぁ…………」ズキズキ


花陽「っ…あぁ……………」ズキズキ


急に胸が締め付けられるような感覚に襲われた


苦しいとは少し違ったこの感じ……



自分の中の何か得体のしれないものが溢れ出してくる


おかしくなってしまいそうだ…………



ツバサ「貴方達に期待してるわ」ニコッ


花陽「…ぅ………っ………………」バタッ


ーーーーー

ーーー






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


花陽「……っ…あれ……?」


あんじゅ「目が覚めた?」


花陽「…私………気を失って……」


英玲奈「まぁ無理もないだろうな」


あんじゅ「最初は私たちも気を失っちゃったからね」クスクス


真姫「…っ………」


花陽「真姫ちゃん!」


真姫「…花陽………私は……」


花陽「少しの間気を失ってただけだよ」


真姫「そう………これは何……?」スッ


花陽「?」


真姫ちゃんの手の甲には何やら紋様みたいなものがあった


英玲奈「それはツバサと契約した証みたいなものだ。私にもあるぞ」


あんじゅ「もちろん私にもあるわよ」


英玲奈さんは横腹辺り、あんじゅさんは胸元に真姫ちゃんと同じものが…


ちなみに私は太腿にあった


でもなんだろう……

どこかで見たことがあるような……


真姫「花陽?どうしたのよ?」


花陽「……眷属の紋様」


あんじゅ「これが何かわかるの?」


花陽「これは………」


レグルの村の村長の家にある本で見たことがあった……


これは……


花陽「エンシェントマジック……しかも禁術に分類されてる……」


英玲奈「やはりそういった類のものか…」


真姫「でもまさか禁術だなんてね」


禁術………

使用者に過度な負担や代償などがあるとして禁止された魔術


やはり魔神ともなるとこのくらいの魔法を使うのも造作もないことなのだろう


英玲奈「どういった効果の魔法かわかるか?」


花陽「使用者と主従関係を強制的に結ぶ魔法だよ」


あんじゅ「主従関係ねぇ」


花陽「うん。そして使用者はその従者の心を支配するっていう魔法だよ」


真姫「心を支配………でも禁術ってことは使用者にも代償はあるんでしょ?」


花陽「これは使用者に代償がないの……だから禁術になってるの………」


あんじゅ「代償なしでしかも相手を服従させられる……確かに恐ろし魔法ね」


真姫「………」


英玲奈「すまんが話を変えるぞ」


花陽「?」

真姫「?」


英玲奈「花陽、魂を集めに行くぞ」


花陽「!?」


真姫「またいきなりね…」


英玲奈「まぁ多少抵抗があるだろう……花陽には悪いが無理矢理にでも連れて行かせるぞ」


花陽「………」


英玲奈「今のお前じゃまともに戦えないだろうからな」


花陽「……わかりました」


英玲奈「それでは行くぞ」


あんじゅ「ほら〜真姫もいくわよ〜〜」ニコニコ


真姫「わ、私も行くの?」


あんじゅ「あったりまえよ〜〜」ニコニコ


真姫「はいはい……」



ーーーーーー

ーーーー

ーー



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー










ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あれからもう3年が経った

その間、私はいくつもの地獄を目にした気がした………


いつの間にか私の心は荒んでしまった



人を傷つけるのさえ何も思わなくなった


私は一体何がしたかったのであろうか…



それさえも曖昧になっていった………



いつかそれを考えるのも忘れてしまうのだろう………………




真姫「花陽?」


花陽「………」


真姫「はぁ……今からレグルの村へ行くわよ」


花陽「なんで?」


真姫「村長の家に用があるのよ」


花陽「……分かった」



ーーーーーー

ーーーー

ーー



・レグルの村 周辺・


真姫「久しぶりにこっちに来たわね…」


花陽「そうだね……ん?あれは……?」


真姫「……あれは義聖団と騎士団かしら?」


花陽「騎士団が村を襲おうとしてるのかなあ?」


真姫「……そうみたいね」


花陽「どうする?このままだとあの3人やられちゃうよ?」


真姫「義聖団がいる前に出て行くわけにもいかないしね……花陽、ここから魔法でなんとか出来る?」


花陽「わかった…やってみる」


ここからあの戦場まで約2、300メートルほどだろうか


私たちは山の茂みに隠れているので向こうから発見される心配はない


私は神器【不死鳥之神杖】を手に取る


花陽「『シャイン・スコール』!!」キラ-ン シュド-ンッ


私は騎士団に向けて思いっきり魔法を打ち込んだ


真姫「花陽…少しは加減しなさい………村ごと吹っ飛ばす気?」


花陽「そ、そんなつもりはなかったんだけどなぁ……ただあの人達が少しムカついただけで」ニコニコ 


真姫「顔が怖いわよ……この様子だと出直したほうがいいわね」ハァ...


花陽「え?もどるの?」


真姫「また暫くしてから来ればいいわ」


花陽「う、うん」



ーーーーーー

ーーーー

ーー



・???・


あんじゅ「どこに行ってたのよ?」


真姫「ちょっとね」


あんじゅ「? まぁいいけど」


花陽「英玲奈さんは?」


あんじゅ「宝玉を取りに行ったわ。ついに1つ目が見つかったのよ」


真姫「どうして英玲奈だけなの?」


あんじゅ「それはわからないわ……私達は何ともないのだからツバサの気分じゃないの?」


花陽「な、なんかテキトーだね」アハハ


そう………


私たちは操り人形みたいなものだ


ツバサさんに心を支配されたあの日から……


私はそれでも構わない………







それがこの世界における私の唯一の《生きる意味》なのだから…………









例えそれがどんなに非道で残酷であっても…………………




それが力を手にした意味なのだ……




〜花陽の章〜 END

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〜穂乃果の章〜



ここはどこなんだろう…………







暗くて……




寒くて………





とっても寂しい…………







ここは深い闇に覆われていた






でもね


たまに……

暖かい光が見える



あの光は一体何なのか………




私はその光を追い求める…………






いつだっただろうか………





私がここに囚われたのは…





そうだ…………






あの時だ………




私のせいで海未ちゃんがーーーーーーー



ーーーーーーー

ーーーー

ーー




海未「穂乃果ぁぁぁぁっ!!!」ダッ


穂乃果「っ!?」


絵里「海未ぃぃぃぃぃぃ!!!!!」



その瞬間は何が起こったか分からなかった












海未「っ………だいじょう…………ぶ……ですか…………ほの………か……っ」フラッ


穂乃果「海未ちゃん……どうして……」


しばらくしてようやく海未ちゃんが私を庇ったんだと分かった……



海未「ほのかだけだも…………にげて………くださいっ…………このままではっ…………みんなころされてっ………しまい…………ますっ」ハァハァ


穂乃果「海未ちゃん!!海未ちゃんっ!!!!しっかりして!」


海未「どうか………ほのかだけでも…………ぶじでいてっ…………くださぃ……」バタッ


穂乃果「海未ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!」


英玲奈「これが友情やら絆というやつか?実に滑稽だな」


穂乃果「海未………ちゃん……」




頭の中が真っ白になった………



私のせいで海未ちゃんが………



絵里「穂乃果っ!逃げなさい!!」


英玲奈「いつまでも囀るなよ」ガッ


絵里「うッ………」ドスツ


穂乃果「絵里……ちゃん…………」



???〔情けない…〕


穂乃果(っ!?)


突然誰かの声が聞こえた………


それはとても聞き覚えのある声…



自分の声だった



???〔本当に情けない〕


穂乃果(あなた…誰?)


???〔私?私はお前だよ〕


穂乃果(あなたは………穂乃果?)


穂乃果?〔そうだ。私はずっとお前を見てきた。〕


穂乃果(ずっと……?)


穂乃果?〔昔からずっとだ〕


穂乃果(…………)


穂乃果?〔まぁそんなことはどうでもいい。今はそんな状況ではないからな〕


穂乃果(海未ちゃん………)


穂乃果?〔お前のせいだぞ?〕


穂乃果(穂乃果の…せい…………)


穂乃果?〔お前が弱いからだ〕


穂乃果(穂乃果が…弱いから……)


穂乃果?〔お前がもっと強ければこんなことにはならなかったぞ?〕


穂乃果(穂乃果がもっと…強ければ…)


穂乃果?〔誰も傷つかずに済んだ〕


穂乃果(穂乃果が……弱いから………)


穂乃果?〔お前を傷つける物を壊す力があれば誰も傷つかなかった〕


穂乃果(穂乃果は…弱い……弱い…………ヨワイ……………)


穂乃果?〔そうだ〕ニヤニヤ


穂乃果(もっと強ければ………ツヨケレバ……………みんな……タスカッタ?キズツカナカッタ?)


穂乃果?〔ああ。誰も傷つかなかった〕


穂乃果(ホノカハ……ヨワイ……ヨワイヨワイヨワイヨワイヨワイワタシノセイデミンナキズツイタ!?!?!)


穂乃果?〔私が力を貸してやろうか?〕


穂乃果(アナタガ……?)


穂乃果?〔私なら海未を助けられる〕


穂乃果(ッ!?)


穂乃果?〔海未はまだ死んでない。だがこのままだとお前も海未もみんな死ぬぞ?〕


穂乃果(……ドウスレバイイ………?)


穂乃果?〔ふふっ……そうだねぇ…まずはお前が右手に持ってるものを仕舞え〕


穂乃果(……?)


穂乃果?〔でなきゃ私は力を貸せない〕


穂乃果(……ホノカ……ツヨクナレル……?)


穂乃果?〔当たり前だ。それに私もお前に死なれては困るんだよ〕


穂乃果(……ワカッタ)



もう私の頭の中はメチャクチャだった…




そして私はあいつに言われたとうりに神器を仕舞った……


穂乃果?〔…〕ニヤッ

 

英玲奈「ふっ…どうした?戦意喪失か?」ニヤニヤ 


穂乃果「…………」




穂乃果(これで……イイノ?)


穂乃果?〔ああ……あとは私にまかせろ〕


穂乃果(う、うん……ワカッタ………)


穂乃果?〔………〕


穂乃果(………)


穂乃果?〔………じゃあな〕ニヤッ 


穂乃果(っ!?)


その瞬間……


少しだけ意識が飛ぶような感覚が………



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



英玲奈「そういうことならすぐに楽にしてやるよ」ニヤニヤ  


穂乃果「ふふっ……」ニヤッ


英玲奈「?」


穂乃果「ふふふっ………あはははははははははははっっ!!!!!!!!!」


英玲奈「ついに頭がおかしくなったか?」


穂乃果「は?その言葉そっくりそのまま返すよ。お前こそ私を殺すなんてムリだろ?」


英玲奈「ほぅ……面白いことを言うな」


穂乃果「さっきまでのあいつと一緒にするなよ?」ニヤニヤ 


英玲奈「どうやらそうみたいだな」


穂乃果「いくよ♡」スッ....シュパッ


英玲奈「ぐぁぁあッ!?」ブシャッ


穂乃果「とりあえずは左腕ね♡」アハハ


英玲奈「っ……さっきとは桁違いの速さだな………」


穂乃果「だから言ったでしょ?油断してると死んじゃうよ♡」ニコッ


英玲奈「くっ……それに……その剣は………」ヨロッ


穂乃果「あぁこれ?私の神器だよ」ニヤニヤ


私の左手には漆黒の闇をまとう禍々しい邪気を放つ剣が…………


英玲奈「なるほどな………貴様があんじゅと真姫の言っていた例の………」


穂乃果「誰だよそいつら?」


英玲奈「そうと分かれば話は別だな……ここは大人しく引いたほうがいいみたいだな」


穂乃果「逃がさないよ?」スッ...


英玲奈「『ディフェメント』」スサッ


穂乃果「チッ……まぁ擦り傷付けただけでも良としとくか」


英玲奈は魔法らしきもので何処かへ逃がしてしまった

先ほど言っていた人物が気にはなるもののわからない以上考えても仕方ない…


穂乃果「さて……これからどうするかな…………」


自然と視線が海未と絵里の方へ向く………



穂乃果「まぁ一応約束だし早いとこ連れて帰るか……。ことりならなんとかしてくれるだろう」



そのまま海未と絵里を担ぎ王都へ向かった………



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・王都・


ことり「穂乃果ちゃんどう……ッ!?」


穂乃果「私じゃ治せそうにもないから………この2人をよろしくね」


ことり「う、海未ちゃん!?絵里ちゃんまで!?」


穂乃果「それじゃあ」


ことり「待って!」


穂乃果「なに?」ギロッ


ことり「な、なんでもなぃ………」ビクッ  


これで一応あいつとの約束は果たしたことだし………


穂乃果「とりあえず騎士団とやらを乗っ取りにいくか」


私はその場を去り騎士団本部へと足を運んだ…………


今、私の中にあるのは人間に対する憎しみ


理由はわからないが憎悪があふれ出してくる


ただそれをどこにぶつけて良いのかわからない……………


なぜ私はこんなにも人間のことが………




ことり「穂乃果ちゃん…………」



ーーーーーーー

ーーーー

ーー





ことりちゃんには悪い事をしたなぁ……



それに海未ちゃんにも酷いことを言ってしまった………





それでも今の穂乃果にはどうしようも出来ない…




今のところ穂乃果からあいつに語りかけることは出来ない


なんとかしてその手段を見つけないと…






そしてあいつは一体何者なんだろうか…


他人でないのはわかる


なんとなくだけれども……






そんな疑問を抱えならがこの暗い世界を漂い続けた………




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ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その後私は騎士団を乗っ取り団長になった


それから間もなく宝玉が2つ同時に現れるという不思議な?知らせが届いた



・王都 城内・



女王「先ほど伝えた通り今回は2箇所で同時に宝玉が出現しました……」


海未「どうしてそんなことに……」


絵里「伝説が全て正しい訳ではないってことかしらね?」


女王「……そうなりますね」


穂乃果「そんな事考えたってどうしようもないでしょ」


女王「それもそうですね………今回は2グループに分けて宝玉を取りに行きましょう」


絵里「その方がいいですね」


穂乃果「………」


希「穂乃果ちゃんどうしたん?」


穂乃果「なんでもない…」


私たちは


絵里、希、にこ

穂乃果、ことり、海未、凛


の2グループ別れることにした



私としては2人ぐらいがちょうどいいが相手の数がわからないため渋々このグループ分けを承諾した


女王「それではみなさん、御武運を祈ります」


一同「はい!」


穂乃果「………」フラッ


ことり「穂乃果ちゃん!」


穂乃果「ごめん…少し立ち眩みがしただけ」


海未「……本当に大丈夫ですか?」


穂乃果「うん」


海未「そうですか……では行きましょう穂乃果…」


穂乃果「…先に行ってて」


海未「どうかしましたか?」


穂乃果「女王に話があるから」


海未「分かりました。では本部で待っていますね。行きましょう凛、ことり」


凛「はいにゃ」


ことり「うん」



海未たちはこの場をあとにした


そして今ここに居るのは私と女王だけである……



女王「それで、お話というのは?」


穂乃果「あなたは……本当に女王ですか?」


女王「……それはどういう意味でしょうか?」


穂乃果「そのままの意味です」


女王「…………」


女王はしばらく口を閉じたままだった


そして辺りに誰も居ないかを念入りに確認しようやく口を開いた


女王「よく分かりましたね?……いえ、流石と言うべきですかね」


穂乃果「やっぱりあなたは……」


女王「ふふっ」ニコニコ


穂乃果「モシュネ様……」


女王「お久しぶりですね」


穂乃果「まさかまたあなたに会えるとは……」


女王「私はあなた達と違って何度でも出てこられるからね………それに対してあなた達は1度きり……そんな大事なチャンスをここで使うということは何かあったのですか?光と闇の女神エトラよ」


穂乃果「はい」


女王「あなたが出てこられるということはあなたはもうこの子を認めているのね……女神の力を継ぐ後継者として……」


穂乃果「もちろんです。私は他と違って色々ありましたので」


女王「そうですか……それで用というのは?」


穂乃果「お伝えしたいことがありまして」


女王「あなたの宿主……高坂穂乃果についてですね……彼女に何が起こったか説明してください」


穂乃果「時間がないので手短に説明しますね」


女王「お願いします」


穂乃果「あの実験を覚えていますか?」


女王「えぇ……」


穂乃果「あの実験によってこの子には人間の人格に加えて悪魔の人格が出来上がってしまいました………」


女王「そんなことが……」


穂乃果「そこで私は心のバランスを保つために魂を人間の人格に光、悪魔の人格に闇の2つに分けました……」


女王「なるほどね……」


穂乃果「そして私は悪魔を封じ込めたのですが何かの拍子に出てきてしまったみたいで……」


女王「つまり今は悪魔の人格だと……」


穂乃果「はい……なのでいつ何をしでかすか私にも分かりません…なのでどうか十分に気をつけて下さい…」


女王「分かりました。あなたの言葉確かに受け取りました。そして、この子を女神の現し身として認めましょう」


穂乃果「ありがとうございます。時間ですので………もうお会いすることはできませんがお許し下さい。では…」フラッ




穂乃果「……私は一体…………」


女王「穂乃果さん。必ず宝玉を取ってきて下さい……」


穂乃果「…言われなくてもわかってる」


何故だろうここ数分の間の記憶がない……


魔法で消された形跡もない………


穂乃果「まぁいいか…」


私は足早に海未達の居る本部へ向かい、そして宝玉を取りに出発した



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海未「ここが入り口でしょうか……」


凛「そうみたいだね」


穂乃果「早く行こう。先を越されたら面倒だから」


王都から南西に少し進んだ辺りに宝玉がある封印の間に通じる空間があった


ことり「そうだね。早く行こう」


そして封印の間に足を踏み入れようとしたとき………


穂乃果「っ!?」シュンッ


前方から衝撃波のようなものがこちらに向かって飛んできた


穂乃果「はあっ!」キ-ン


海未「っ!?」

凛「にゃ!?」

ことり「!?」


すかさずそれを全て相殺し臨戦態勢をとる


奇襲だなんて甘い……


私にはそんなもの通用しない


凛「と、トラップ?」


穂乃果「違う……みんな下がって」


ことり「穂乃果ちゃん?」


海未「敵ですね……」


どうやら私と海未以外は気づいていないらしい……


???「さすがね」


穂乃果「お前だれだ?」


???「別に誰でもいいでしょ?」


海未「あれはっ!?」


凛「宝玉!!」


現れた何者かの手には宝玉があった……


先を越されるなんて最悪だ


???「穂乃果…だったかしら?あなたとは1度戦ってみたかったの」


穂乃果「なんで私の名前を知ってるんだよ」スッ...


こうなったら先手必勝で行くしかない


あの3人を庇いながら戦うのはおそらく無理であろうから………


そう思い私は瞬時に斬りかかる


???「それもどうでもいいことね」フッ


穂乃果「っ!」


???「英玲奈と一緒にしないでね?私はあいつより強いから」クスッ


私の最速の一撃をあっさりと受け止められた……


まぁ流石にそれは予想の範疇ではあるが…


???「少しだけ遊んであげる」スッ... 


穂乃果「望むところだ!」スッ...


お互い常人には見えないほどの速度で攻撃を繰り出す


刃がぶつかり合うたびに甲高い音が周りに鳴り響く


海未(私たちとは戦いの次元が違う……入り込む余地がありません…)


凛(は、速すぎるにゃ……)


ことり(…………)


穂乃果「はあああ!!」シュパッ ザッ


???「はああ!」キ-ン ザザッ



激しい一進一退の攻防が続く………



???「あなたなかなかやるわね。面白いわ」クスクス


穂乃果「その余裕さ……ムカつく………」


???「ふふっ そう思うなら全力でかかってきなさいよ」クスッ


穂乃果「言われなくてもそうするよ!」


???「『一閃』!」シュッ スパッ


穂乃果「『ダーク・ジャッジメント』!」ズバ-ン


今度はお互いの技がぶつかり合う


しかし、これも技を相殺し合うだけであった


穂乃果「くそッ!」チッ


???「思った通りね……あなたなら少し本気を出せそうね」ジャキッ


まだ本気じゃ無かったのかよ…


あんまり本気を出されても困るんだけどなぁ………


???「ふぅ………」


あいつは一息吐き目を瞑った……


???「お土産に良いものをあげるわ」クスッ


穂乃果「お前……悪魔だったのか」ジロッ


あいつの目が開かれた時には悪魔特有のアレになっていた


それにお土産ってのも良い感じがしない…


???「『乱舞……」ゴゴゴ


穂乃果「っ!?」ビクッ


ものすごい魔力が集まっていく


私はともかくこれは………


穂乃果「伏せろ!!!」サッ


海未・凛・ことり「っ!?」





















ツバサ「その辺にしときなさい真姫」スタッ


真姫「ツバサ……」


ツバサ「あまり遊び過ぎちゃだめよ?」


真姫「はいはい……」


穂乃果「………」


真姫「続きはまた今度にしましょ」


これはラッキーと言うべきか

それとも………


ツバサ「あの子が穂乃果?」


真姫「ええ」


ツバサ「あの子……おもしろいわね」


穂乃果「どういう意味だよ」


ツバサ「真姫の代わりに私が良いものをあげるわ」クスッ


このツバサとかいうやつもなかなかに危険そうだな………


穂乃果「そんなのいらない」


ツバサ「遠慮しないで♡『حافظه رگرسيون』」ス--


穂乃果「っ!?」フラッ..... 


海未「穂乃果!」


穂乃果「くっ………」


ことり「穂乃果ちゃん!『アナリス』」サッ


ツバサ「ふふっ」クスクス


ことり「これって……治癒魔法?」ボソッ


なんとか意識だけは保てる………


気を抜いたら危ないけれども…


それにさっきの魔法はことりの反応からしてそんなに重度なものでは無いだろう


あんじゅ「やっほ〜〜」


真姫「あんじゅまで来たの……」ハァ...


あんじゅ「宝玉回収し終わったから迎えに来てあげたのに〜〜」


真姫「はいはい……さっさと帰るわよ」


穂乃果「待てっ………ぐっ…」ヨロッ


ことり「穂乃果ちゃん動いちゃダメ!」


真姫「またね」


あんじゅ「『ディフェメント』」スサッ



敵を全員逃がしてしまった…………


それに加え宝玉まで取られてしまうとは………


凛「さっき来た人宝玉を回収し終わったって言ってたけど……つまり絵里ちゃんたちも…………」


海未「っ!凛!今すぐ絵里たちの元へ向かいますよ!!」ダッ


凛「う、うん!」ダッ


海未「ことりは穂乃果と一緒に王都へ帰っていてください」


ことり「うん、わかった」


穂乃果「………」



私がこんなミスをやらかすなんて……


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ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ーーー「……お姉ちゃん…助けて!」





ーーー「いやっ! お姉ちゃん!!」





ーーー「いやぁぁぁぁああ!!!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「っ!?」ハァハァ


今のは一体…………


穂乃果「夢か……」



夢のわりには随分と生々しいものだった


でもなぜだろうか…


強い怒りが込み上げてくるのは………


そして夢に出てきたあの場所は見覚えがあった………


穂乃果「あの場所は確か………」


王都の外れにある………


穂乃果「行ってみようかな………」





???「………」ジッ



ーーーーーー

ーーーー

ーー



・王都 (外れの地)・



穂乃果「………」


微かな記憶を頼りにやって来たこの場所には怪しげな建物があった


そしてそこには立ち入り禁止の立て札まであった………


穂乃果「とりあえず入ってみよう」


入ってみると建物の中は随分と風化していて長い間人が使った気配もない………


ただ何かの医療施設であったのだろうか、それらしき道具類や薬品などが散乱していた


そして私はさらに奥へと足を進めた……



穂乃果「ここは…………」


ここには牢屋が数多くあった…


穂乃果「っゔ…………」ズキッ!


いきなり凄まじい頭痛に襲われた


穂乃果「なんだよ……これ…」ズキズキ


???「気分はどう?」クスクス


穂乃果「あんたは……確か…ツバサとかいったか…?」


ツバサ「あら?覚えててくれたのね。嬉しいわ」


穂乃果「なんでこんなところに……っゔぁぁぁ………」ズキズキ


ツバサ「あなたの事が気になってね」


穂乃果「…っく………」フラッ


ツバサ「ふふっ もしあなたが復讐したいと思うなら………今日の夜にまたこの建物の前まで来なさい」


穂乃果「な…なんの話だ……」クラッ


ツバサ「そのうち思い出すわよ。じゃあね」


穂乃果「っく……っゔぅ……………」バタリ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーーー「お姉ちゃん……こわいよぉ」


穂乃果「だいじょうぶ。お姉ちゃんがついてるから」ニコッ


ーーー「うん」




ーーーーーーーー




ーーー「痛いよぉ……お姉ちゃん…」


穂乃果「痛いの痛いの飛んでけ〜」


ーーー「………」


穂乃果「え、えと……治った?」


ーーー「痛い……」グスッ


穂乃果「え、えと……泣かないで?」ギュッ




ーーーーーーーー




ーーー「いやっ!!」


穂乃果「やめてっ!!!」


ーーー「……お姉ちゃん…助けて!」


穂乃果「ーきーっ!!」


ーーー「いやっ! お姉ちゃん!!」


穂乃果「連れて行かないでっ!お願いだから!!!」


ーーー「いやぁぁぁぁああ!!!」


穂乃果「雪穂!!!!!!!」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



穂乃果「っ………」


気がつくと私は家のベッドに横になっていた


穂乃果「全部…思い出したよ……雪穂…………ごめんね」


同時に私は過去に自分にあった事を思い出した……


あの残酷で無慈悲な日々を…………


あの憎悪の理由も…………………


ツバサの言っていた復讐の意味も理解できた




何より私がやるべき事を…思い出した




穂乃果「夜になったら………」








???「………」ジッ


ーーーーーーー

ーーーー

ーー



〜夜〜



穂乃果「……行くとするか」



私は家を出た


ツバサに言われたところへ行くために


迷いはなかった……ないつもりだ…


私は無心で足を進めた







海未「何処へ行く気ですか?穂乃果」


穂乃果「海未………」


海未「まさか……またあそこへ行く気ではないですよね?」


穂乃果「私が何処へ行こうと関係ないでしょ」


なぜ海未はあの事を知っているのだろう…



まさか…つけられていた………



穂乃果「そこを退いてくれないかな?」


海未「断ります」


穂乃果「………」


海未「穂乃果……あなたを通すわけにはいきません」


穂乃果「それなら……押通る!」スッ


海未が相手ならこの一撃をで終わると思っていた……


だが……


海未「はぁああ!」キ-ン


穂乃果「っ!?」


海未「私のことを甘く見ないでください」


穂乃果「………」


まさか……海未に受け止められるとは思ってもみなかった………


どうやってこの短時間でここまで実力を上げたのだろうか…



いや、実力が上がったわけじゃない…


これは………



穂乃果「補助魔法か………」


海未「よくわかりましたね。ことりに協力してもらったのです」


穂乃果「そう……でも…………」


海未「?」


穂乃果「その程度?」


海未「っ……『氷天ーーー 穂乃果「おそいよ!」スッ


海未「ぐッ………」


穂乃果「ちょっと強くなったぐらいで調子に乗らないでよ」


私の剣が海未の脇腹をとらえた……


海未「あなたを…行かせるわけにはいかないんです!!」


穂乃果「今のお前に何が出来るの?」


海未「穂乃果……お願いです…考え直して下さい」


穂乃果「今更考え直したって何も変わらない。もう決めたことなの」


海未「それなら……やはり退くわけにはいきません!」


穂乃果「あと、何か勘違いしてないかな?」


海未「勘違い……ですか?」


穂乃果「私はあいつらのところに行こうだなんて思ってない」


海未「ではなぜっ!?」


穂乃果「それこそお前には関係ない」スッ


海未「ゔぅぅ…………」ドスッ


穂乃果「力のない者は……何も出来ないんだよ」


海未「ほのか………」





ツバサ「お取込み中失礼するわね」クスッ


穂乃果「ツバサ……」


海未「っ!?」


ツバサ「ここに来たってことはそういうことでいいのね?」


穂乃果「あんたも早とちりしないでくれよ」


ツバサ「あら?ごめんなさいね」スクスク


穂乃果「あんた達のところへ行くつもりはない……だけどあんた達の味方になることにした」


ツバサ「それはどういう事かしら?」


穂乃果「王都を攻める時は私も呼んでくれ……その時は手伝う…………」


ツバサ「そう……わかったわ」


穂乃果「そういう事だから…それじゃあね」


ツバサ「何処へいくの?」


穂乃果「何処でもいいだろ……」


ツバサ「ふふっ 確かにそうね。でもいい事教えてあげる」


穂乃果「?」


ツバサ「次に宝玉が現れるのは約半年後よ。その時は協力をお願いするかもね」クスクス


穂乃果「わかった……」


ツバサ「あんたも女王に伝えておきなさい」ニヤニヤ


海未「っく………」


ツバサ「じゃあね」



私はその日、王都を出た



特に行くあてがあったわけでもないがとりあえずこの王都から出たかったのだ



ツバサは約半年後に宝玉が現れると言った……



正直なところ半信半疑ではあるが…



あそこで嘘を言ってもあいつに何の得も無いだろう




だから私はあの言葉を信じよう






私の復讐を果たすために……………




穂乃果「絶対に……復讐してやる…」




〜穂乃果の章〜 END


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〜凛の章〜



現実というのは酷いものだと思う……



かよちんは生きている…

最初はそんな希望だったのに


レグルの村で凛たちがピンチだった時にあの魔法で助けてくれたのはかよちんだってなんとなくわかった


あの魔力の感じがとっても懐かしく思えたから………


でも………………



かよちんは私達の敵だった


かよちんは魔神の完全復活に手を貸しているらしい…



そんなこと嘘であって欲しかった




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宝玉を奪われてしまった後、凛と海未ちゃんは絵里ちゃん達と元へと向かった


海未「っ!絵里!希!」


凛「にこちゃん!」


海未「……気を失っているだけですね…負傷している様子もありません」


凛「っ!」ビクッ


海未「凛?」


凛「この感じ……まさか………」


海未「凛、本当にどうしたのですか?」


凛「な、なんでもないよ!それより!早く絵里ちゃん連れて帰らないと!!」アタフタ


海未「そうですね」


ーーーーーー

ーーーー

ーー


・王都・


凛「ことりちゃん、みんなの調子はどうだった?」


ことり「特に目立った外傷や何か魔法をかけられている訳でもなさそう…でも……」


凛「でも?」


ことり「どうして気を失っているか分からないほど無傷で………」


凛「…あのね…ことりちゃん……」


ことり「??」


凛「絵里ちゃん達が気を失っていた所からね…何となくだけど…かよちんの魔力を感じたの」


ことり「っ!?ほんとに!?!?」


凛「うん……あの魔力はかよちんだよ…………」


ことり「じゃあ…花陽ちゃんは……生きてるんだね………」ウルッ


凛「たぶん……」



絵里「…っ」


ことり「え、絵里ちゃん?目が覚めた?」


絵里「ここは……っ!!ことり!!希とにこは!?あの2人は!?!?」


凛「絵里ちゃん?お、落ち着くにゃ。2人とも気を失ってるけど無事にゃ」


絵里「そ、そう……」


ことり「何があったか教えてくれないかなぁ?」


絵里「それが……よくわからないのよ」


凛「?」


絵里「私達は確かにあの時に死んだはずなのに………」


ことり「え、え?」


絵里「あれは…なんだったのかしら……」


ことり「その時のことを思い出せる範囲でいいから教えて」


絵里「宝玉の封印の間辺りで敵と戦ったのよ……でも全く歯が立たなくて無理矢理押し通ろうとしたら魔法で動きを止められてしまってそのまま………」


凛「その戦った人の名前覚えてない?」


絵里「名前?…たしか花陽ってよばれてたかしら………」


ことり「っ!?」

凛「かよちん……」


絵里「そんなこと聞いて、どうかしたの?」


凛「その人ね……凛達の幼なじみなの………」


絵里「っ………そう……」


この時、凛達の予想は確信へと変わった

かよちんは生きてる……


そして今は敵であることも



ことりちゃんはその後も絵里ちゃんに何やらいろいろ聞きつづけた


その間に希ちゃんとにこちゃんも目を覚ました


にこちゃんは目を覚ましてからものすごく混乱していた


希ちゃんはなぜ少し落ち着いているようにみえた…


その後2人にも何があったかを聞くと3人そろって同じことを口にした



自分以外殺され、そして最後に自分も殺されたと………



ことり「う〜ん…3人の話からするとおそらくそれは幻術にかけられたみたいだね………」


にこ「あれが幻術だなんてね………」


希「寧ろ幻術でよかっやん。現実だったらって思うと……」


絵里「ほんとにね………」


3人とも見た目は元気そうだけどもかなり精神的にはきてるみたいだった


希「そういえば海未ちゃんと穂乃果ちゃんはどうしたん?」


絵里「そういえば見ないわね」


ことり「私達も帰ってきてからあまり会ってなくて……」


希「そっか……」


穂乃果ちゃんと海未ちゃんは王都に戻ってきてからあまり姿を見ない


穂乃果ちゃんはずっと自宅に引きこもって出てこない


海未ちゃんは何もやっているのか分からない

と言うよりも本当に会っていない……


ことり「みんな特に怪我とかしてる訳じゃないからもう動いたりしても大丈夫だからね」


絵里「ありがとう、ことり」


にこ「ありがとう」


そしてみんな一時的に解散となった……




希「ことりちゃん。ちょっとこの後時間大丈夫?」


ことり「え、うん…」


凛「?」



そしてこの数日後にあんな事件が起こるなんて思ってもみなかった………


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〜数日後


この数日間、ことりちゃん、海未ちゃん、希ちゃんの様子がおかしいと感じていた


どうやら何かを誰にもバレないようにやっているようだった…


そして今日、凛はことりちゃんを一日中つけてみることにした



・城内・


凛「最近様子が変だとは思っていたけど何してるんだろ…」ボソッ



ことり「希ちゃんお待たせ」


希「そんじゃっ今日も行こか」


ことり「海未ちゃんはこないの?」


希「今日は来ないって連絡あったんよ」


ことり「そうなんだ…」



凛(どこに行くんだろう……それに海未ちゃんも居たのか…)


そんなことを思いながらあの2人を追いかけて行ってみるとそこは


凛「ここは……」


なんとそこは図書館だった

でもただの図書館ではない…

そこは閲覧禁止となっている本しか置いていない、いわゆる立ち入り禁止となっている図書館だった


そして2人は何のためらいもなく中へと入っていった……


凛「こんなところで何してるんだろう?」


凛もバレないように中へと侵入して2人がここを去るのを待った


凛「2人とも出ていったね……よしっ!」


そしてその後2人が読んでいた本を凛も読んでみようとした









希「凛ちゃん?何しとるん?」


凛「っ!?!?」


希「こんなところでなにしとるん?」


凛「え、えっと………」


希「今日一日私達をつけてたでしょ?気づかないとでも思ったの?」


凛「っ………」



まさかバレていたなんて……

全然気づかなかった


それよりもこの状況…………

希ちゃんは敵か味方か分からない

そして希ちゃんに今までに見たことがないほどの恐怖心を抱いた

口調もいつもと違い雰囲気もまるで別人のようだった……


希「それで、何してたの?」


凛「希ちゃん達こそなにしてたの?」


希「質問してるのこっちだよ?」バ-ン


凛「っ!?」


一発の銃声が鳴り響く……

それは凛の腹部に命中した


希「打撃弾だから安心して。頭に当たらなければ打撲程度で済むから」


凛「の…希ちゃん……」


希「もう一回質問するよ?なんでも私達をつけてたの?」


凛「最近様子が変だと思ったからちょっと追いかけてみようと思っただけだよ」


希「そう……ごめんな凛ちゃん」


凛「?」


希ちゃんの雰囲気がまた変わった

と言うよりもいつもの希ちゃんに戻った?


希「うち、てっきり凛ちゃんが向こう側の人かと思ってつい…」


凛「向こう側?」


希「魔神を完全復活させようとしとる連中のことや」


凛「そ、そんな訳ないよ!」


希「ほんとにごめんな?うちの早とちりで」


あぁ………

なんか撃たれ損だよ…

ほんとに痛かったのに


凛「もうそれはいいにゃ…それより希ちゃんはここで何してたの?」


希「それはナイショや♡」


凛「なんか釈然としないにゃ……」


希「まぁ気にせんといて?」


凛「う、うん」


希「それじゃあ帰ろっか凛ちゃ……っ!?」


凛「どうしたの?」


希「この魔力は………」


凛は結構他人の魔力を敏感に感じ取れるほうだけど何も感じない

希ちゃんは凛以上に敏感なのかなあ?


希「ごめん凛ちゃん!先帰っとって!」


凛「???」


希「海未ちゃん……無事でおってな…」


凛「っ!?」


海未ちゃんの身に何かあったのだろうか

希ちゃんはすぐにどこかへ行ってしまった

凛はそれを必死で追いかけた…


ーーーーー

ーーー



希「海未ちゃん!」


凛「っ!?」


海未「希……凛………くっ」


希ちゃんと向かった先には立っているのがやっとのほどボロボロに傷ついている海未ちゃんの姿が……


希「海未ちゃんどうしたん!?」


海未「希……私は…どうしてこんなにも弱いのですか…………なぜ親友1人も救ってあげられないのですか……」ウルッ


凛「海未ちゃん……」


海未ちゃんは泣いていた…

自分の力の無さを何度も何度も悔やんでいた



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・義聖団 本部・


ことり「海未ちゃん…落ち着いた?」


海未「はい…取り乱してしまい申し訳ありません」


絵里「海未、一体何があったの?」


凛達義聖団一同は本部へ集まっていた

そして先ほど何があったのかを海未ちゃんから伝えられた


穂乃果ちゃんが凛達を裏切りどこかへ行ってしまったことを……


絵里「穂乃果………」


ことり「………」


にこ「穂乃果はどうして裏切ったのよ。理由はわからないの?」


海未「それは……言えません」


にこ「そう……まぁ別にいいわ。それを聞いてもにこ達にはどうすることも出来ないからね」


海未「申し訳ありません…」


一同「………」


沈黙が続く…

この場にとても重たい空気が漂っていた

すると…


女王「みなさん、少々よろしいですか?」


凛「にゃっ!?」


どこからともなく女王様が現れた……


一同「………」


そしてさっきとは違う沈黙が流れる


女王様はどこから現れたのだろう……


ーーーーーー

ーーーー

ーー



絵里「それでお話とは何でしょうか?」


女王「今後についてです」


海未「女王様…先に少しよろしいですか?」


女王「ええどうぞ」


海未「ツバサという者から伝言のようなもので……次の宝玉は半年後に現れる、と」


女王「半年ですか……」


海未「はい」


にこ「敵から聞いた話でしょ?そんなの信じてもいいの?」


海未「信じても良いでしょう。あそこで嘘を吐いても向こうにメリットはありませんからね」


女王「海未さんの言うとうりですね。嘘を吐いてもこちらにも宝玉の出現を知る方法はあるのですから」


にこ「それもそうね…」


女王「では本題に入りましょうか」


女王様の雰囲気がいつもと少し違って見えるのは気のせいだろうか……

何か少し焦りのようなものを感じる


女王「このままだと恐らくまた宝玉を取られてしまいます。なのであなた達には強くなってもらいます」


このタイミングでこんなことを言うなんて……

どうしてなんだろう?

パワーアップできるならもっと早くにしてくれれば良かったのに


なんて思っていたが


女王「ですがこれには大変危険を伴います………」


絵里「危険ですか……」


女王「ええ、ついてきてください」


ーーーーー

ーーー



・城 地下・


凛「これは……」


女王「あれは女神の祭壇です……あなた達に秘められた力を引き出してくれるものです」


希「………」


凛「どうしてもっと早くにここに連れてこようと思わなかったんですか?」


女王「……それについてはきちんと説明した方がよろしいようですね」


絵里「お願いします」


女王「まずあなた達の中には【女神の力】が宿っています……その力の現れこそあの伝説に出てくる【神器】なのです」


凛「女神の力……」


女王「そしてその力を発揮するためにはあなた達の中に眠る【女神の魂】と心を通じ合わせ認められなければなりません」


絵里「では今からそれを行うということなのですか?」


女王「結論から言ってしまえばそうですね。ですがこれは本来あなた達がそれに相応しい時期になれば自然に行われるものです………それを今から強制的に行おうとしている訳です」


にこ「それで危険ってわけね…」


女王「はい……続けてお話しておきますと【女神の力】を得た後にはさらに次の段階があります…」


希「……」


女王「それを我々は【神化】と呼んでいます」


絵里「しんか……?」

にこ「進化?」

凛(進化?)


女王「はい。能力を最大限に発揮しを女神と同じ力を得るということです」


絵里(神化ね……)

凛(神化……)

にこ(そっちかい!)

希(えりちたち絶対に勘違いしとったな…)


女王「ですがこれは強制的に引き出せるものではありません。本人の女神としての器の大きさによります……」


にこ「その言い回しだと今の私たちじゃ到底ムリってことね」


女王「あなた達はまだ女神に認められてすらいないのです。【神化】など夢のまた夢ですね」


【神化】………

またまた新たな凛達に秘められた力…

きっと魔神を倒すには必須の力になるだろうと思った


絵里「それで【女神の力】を得るにはどうしたらいいんですか?」


女王「あなた達はそこで立っているだけで大丈夫です。ただ……」


女王様は少し口籠っていた

とてもきまりが悪そうにしていた


女王「強制的に引き出すからには当然リスクがあります……なので受ける受けないはそちらにお任せします…」


リスクがある……

でもみんなそんな事はどうでも良いと思っているだろう

なんとなくだけど分かる

みんなこの世界を守りたい

たとえどんなリスクがあったとしても構わないと


絵里「もちろん受けますよ」


海未「もうこれ以上やられる訳にはいきませんからね」


にこ「当然でしょ」


ことり「うん!」


凛「いっくにゃー!」


希「ふふっ」ニコニコ


凛「希ちゃん何で笑ってるの?」


希「なんやみんな頼もしいなと思ってな」


凛「とうぜんにゃ!」


女王「では始めます……みなさん目を瞑って下さい」


女王様に言われるがまま凛達は目を瞑って最祭壇の前に立つ


女王「『آلهة الصحوة』!」


凛「っ!?」


女王様が魔法を唱えた途端、意識がどこかへと引きずり降ろされていった…


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ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


凛「…あれ?」


気がつくと凛は見覚えのない真っ白な部屋にいた


???「待ってたぜ」


凛「っ!?」


???「そんなに驚くなよ」


凛「あなたは?」


タレア「私はタレア。天と雷の女神さ」


凛「女神さん?よろしくにゃ!」


タレア「よろしく……と、いきたいとこだかなぜお前はここにいる?まだその時ではないはずだぞ?」


凛「女王様に魔法かけられて気づいたらここにいたんだよ」


タレア「女王……モシュネ様か。なるほど」


凛「にゃ?」


タレア「こっちの話だ気にするな」


凛「う、うん」


全く話が見えてこないんですけど……

なんか自称女神の人と出会っちゃうし…


タレア「全部丸聞こえだぞ…」


凛「えっ!?」


タレア「ここはお前の心の中だ。考えている事ぐらい嫌でも伝わってくるんだよ。それと自称じゃなくてちゃんとした女神だから」


凛「ご、ごめんなさい…」


心の中かぁ……

さらによく分からなくなってきたなぁ…

あっ……これも伝わってるんだよね…


タレア「さて、本題に入るぞ」


凛「?」


タレア「要は私に認められたいんだろ?【女神の力】を得るために」


凛「そうにゃ!」


タレア「私は優しいから他の連中みたいに変な試練は課さない。私の質問に正直に応える事が出来たら認めてやるよ」


凛「う、うん」


他の連中?絵里ちゃん達の女神の事かなぁ?

それにしてもどんな質問なんだろう…


タレア「何故力が欲しい?これが質問だ」


あれ?思ったよりも簡単な質問だった

そんなの決まって………


凛「この世界を救いたいからだよ!」
















タレア「ウソをつくなよ?違うだろ?」ニヤニヤ


凛「っ!そ、そんな事ない!」


タレア「頑固だなあ」ニヤニヤ


凛「凛はこの世界をっ………!」


守りたいの?

本当にそれが凛のやりたい事?

そう思ってたはずなのに


改めて聞かれると分からなくなった……




タレア「ふふっ 分からないか?なら教えてやるよ」


そう言うとタレアの姿がだんだんと……


凛「か……かよちん?」


花陽?「凛ちゃん……どうしてあの時もっと早く助けに来てくれなかったの?」


凛「っ!? そ、それは……」


花陽?「凛ちゃんがもっと早く来てくれればみんな助かったかもしれないよ?」


凛「凛は……りんは…………」


花陽?「このままだとまた同じ事が起こるかもしれないよ?」


凛「…そんなの……イヤだ」


花陽?「1人…また1人と凛ちゃんの大切な人が居なくなっていく……」


凛「やめてよ………もうあんな事にやるのは……イヤだよ……………」


花陽?「どうして?」


凛「もう……あんな気持ち…二度と感じたくない!!!!」



あれはかよちんじゃない…

頭ではわかる…

でも、この湧き上がる感情は…


ウソじゃない……


花陽?「じゃあもう一度聞くよ?どうして力が欲しいの?」


凛「…自分の力不足で誰かが傷つく……自分は何もできない……あんな気持ち……あんな悔しい気持ちはもうイヤなの!!だから凛は!!!力が欲しい!!!!!」


花陽?「やっと素直になったね」


凛「………」


タレア「その悔しさこそお前の力だ」


凛「悔しさが……力?」


タレア「もうわかっただろ?」


凛「………うん!」


タレア「よし!それじゃあ認めてやるよ!お前を女神の力を継ぐ者として」


凛「うん!」


タレア「じゃあな…また会えたら会おうぜ……」


今までずっとこの気持ちをわすれていた

いや、あの過去から目を背けてきただけだ

また同じ事が起こるのを恐れていたから


でもね……


悔しい…

その気持ちが今まで凛の背中を押してくれたものであり、義聖団に入るきっかけを作ってくれた

そしてそれがこの世界を守りたいって気持ちに変わっていった……


今改めてその事に気づかされた

この悔しさは忘れてはいけない

あの過去を忘れてはいけない


どんな事があってもそれが今の自分を強くしてくれる……


あの女神様のお陰でその事に気づく事が出来たのだから



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凛「…んっ……あれ?」


希「おはよう凛ちゃん」


凛「…他のみんなは?」


希「隣で寝てるよ?」


凛「…ホントにゃ」


希「凛ちゃんが一番やねっ」ニコッ


周りを見てみるとみんなはまだ意識がないようだった

どうやら凛は希ちゃんの次に目が覚めたらしい


凛「希ちゃんも早かったんだね!」


希「…まあうちはね」ニコッ


凛「にゃ?」


にこ「っふぁ………」ノビ-


希「あ、おはようにこっち」


にこ「あ〜〜疲れた………精神的に…」


ことり「んっん〜〜〜〜はぁ…」ノビ---


凛「ことりちゃん!」


ことり「凛ちゃん?」


凛「どうだった?」


ことり「うん!バッチリだよ」


海未「……っ…私が最後ですか?」


希「まだえりちが残っとる………」


凛「大丈夫かなぁ?」


海未「リスクがあると聞いていますが……心配ですね」


絵里「んっ…………あれ?」


にこ「あ、起きたわよ」


絵里「みんなはもう終わってたの?」


希「えりちが一番最後やよ?」


凛「心配して損したにゃ」


ことり「まぁ絵里ちゃんだしね…」アハハ


海未「絵里らしいですね」クスッ


絵里「なんかみんな酷いわ…」


女王「みなさん目が覚めましたね」


凛「なんか前よりも強くなったって感じが全くしないにゃ」


にこ「それもそうね……」


絵里「うーん…確かに……」


女王「大丈夫ですよ。確実に能力は上がっています」


さっきも言ったとうり全く強くなった気がしない…

なんか不安になってきたにゃ……


女王「強くなったかどうかはお互いに模擬戦でもしてみると良いでしょう……きっとすぐに実感できますよ。宝玉が現れるまでの半年間…時間はあまりありませんが手にいれた力を最大限に活かせるように日々鍛錬しましょう」


凛「はいにゃ!」


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半年なんて月日はあっという間に過ぎてしまった

その間凛たちはこの日のために修行を積んできた


絵里「みんな早めに準備してね。私は少し女王様の所へ行ってくるわ」


凛「りょーかいにゃ!」


ことり「凛ちゃんやけに張り切ってるね」


凛「うん!だってこの日のためにずっと頑張ってきたんだもん!」


ことり「そうだね!」


にこ「あんた達もうちょっと緊張感持ちなさい」


希「にこっちの言うとうりやで。これは遊びじゃないんやよ?」


凛「そんなことわかってるにゃ」


海未「これが最後の戦いになるのかもしれないですからね………」


凛「え?どうして?」


希「うちらが勝って真姫ちゃんや花陽ちゃんを仲間に引き込んで向こう側にある宝玉を奪えばうちらの勝ち」


海未「しかし、私たちが全員負ければ宝玉を全て奪われこの世界ごと……」


凛「な、なるほどにゃ……」


これが最後の戦いになるかも………

そんなこと考えてもいなかった


でもつまり、かよちんを助けることができる

これが最初で最後のチャンスになるかもしれない


希「それにしてもえりち遅いなぁ」


ことり「私がちょっと見てくるね」


海未「一応確認なんですが敵は本心から魔神の完全復活を望んでいるわけではないのですよね?」


希「一応そうなるね……」


にこ「理由がはっきりしないのがなんとも言えないところだけどね」


凛「きっと魔神に利用されてるだけにゃ」


きっとそうだ…

かよちんだってただ利用されているだけだ……

そうであってほしい…


にこ「まぁ何にせよ戦ってる時に聞けばいい話ね」


希「せやね……」


にこ「何よ?納得いかないの?」


希「いや…そういうわけじゃないんやけどね……」


にこ「はっきり言いなさいよ」


希「うちにはちょっとした私情が入ってるからなんとも言えんってだけや」


凛「うーん…」


やっぱり希ちゃんは謎だらけだにゃ

秘密が多いっていうのかなぁ…


にこ「っ!?……悪かったわね…」


希「まぁ気にせんどいて」


にこちゃんは何のことかわかったらしいけど凛にはサッパリにゃ……


絵里「ごめんなさい遅くなって」


ことり「みんな準備はいいよね?」


凛「もちろんにゃ!」


絵里「よし!じゃあそれぞれ前に決めた分担で宝玉を回収しにいくわよ!!」


凛「はいにゃ!!」


北に海未ちゃんとにこちゃん

西に絵里ちゃん

東に希ちゃん

南に凛とことりちゃん


今回はこの4つに分かれて宝玉を回収する

なぜなら宝玉が4つ同時に現れたからだ


凛「絶対に宝玉をとるにゃ!!!!」


そして凛たちはそれぞれの思いを胸に城を出た



〜凛の章〜END

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〜希の章〜



のぞみ「えれな〜〜なにしてるの?」キョトン


英玲奈「お、希じゃないか。これはな、魔方陣と言って魔法を使っためのおまじないみたいなものさ」


のぞみ「まほう?」


英玲奈「ああ。見てろよ『ブリザード』」


のぞみ「うわぁ〜〜!」


英玲奈「綺麗だろ?」


のぞみ「うんっ!!ねぇねぇ!わたしもやってみたい!!」


英玲奈「う〜ん…希にはまだ早いかな」


のぞみ「え〜〜…」シュン


英玲奈「まぁまぁそう落ち込むなよ」


のぞみ「おっきくなったらわたしにもできる?」


英玲奈「……ああ。できるさ」


のぞみ「ほんと!?やった!!わたしはやくおおきくなってえれなみたいなびじんさんになってまほうもつかう!!」


英玲奈「ははっ なかなか欲張りだなぁ希は」クスクス


のぞみ「えへへ〜」ニコニコ


英玲奈「そろそろ日が暮れるな。村に帰るとするか」


のぞみ「え〜〜もうちょっとあそびたい〜」


英玲奈「はやく帰らないとお母さんにまた怒られるぞ?」


のぞみ「うぅ………わかった…」


英玲奈「よし!希はいい子だな」ナデナデ


のぞみ「へへっ///」テレ


英玲奈「帰ろうか」スッつ


のぞみ「うん!」ギュッつ



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーーー



のぞみ「ねーねーえれな〜」


英玲奈「ん?どうした?」


のぞみ「どうやったらえれなみたいにつよくなれるの?」


英玲奈「そうだなあ……希には【神器】もあるからなぁ」


のぞみ「これ?」スッ


英玲奈「それだよ。ちょっと早いかもしれないけれど少しだけ使い方を教えてやろう」


のぞみ「ほんと!?」パア!


英玲奈「ああ、その代わり…危ないから絶対に人に向けてはダメだぞ。それと前にも言ったと思うが絶対に人前でそれを見せるなよ。約束できるか?」


のぞみ「うん!やくそくする!」


英玲奈「よし、それじゃあ今から教えてやろう」


のぞみ「やった〜!」


ーーーーーーー

ーーーー

ーー


のぞみ「はぁ!」バ-ン


英玲奈「これは驚いたなぁ……数日教えただけでここまで出来るようになるとは………」


のぞみ「ほめてほめてっ!」ピョンピョン


英玲奈「やっぱり希は凄いなあ」ナデナデ


のぞみ「えへへ///」


英玲奈「これが【神器】に選ばれた者の才能か………」ボソッ


のぞみ「ん?」


英玲奈「いや、何でもない…今日はこの辺にして帰ろうか」


のぞみ「うん!」


ーーーーーーー

ーーーーー

ーー



のぞみ「ねーねー!わたしえれなのかたなもつかってみたい!!」


英玲奈「っ!? べ、別にいいが希には重いかもしれんぞ?」


のぞみ「え〜いっかいやってみたい!」


英玲奈「まぁ1度ぐらいいいか…」ハイ


のぞみ「ぐぬぬぬぬっっっ!お、おもい…」ゼエゼエ


英玲奈「ほら?言ったとおりだろ?」


のぞみ「えれなすごいね…こんなのかたてでやっちゃうなんて」


英玲奈「ふふっ そうだろ?」


のぞみ「うん!」


英玲奈「さて、特訓の続きをやろうか」


のぞみ「はーい」


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希母「あなた!一体どういうつもりなの!?」


英玲奈「………」


希母「希…お母さんの後ろに隠れてなさい……」


のぞみ「う、うん……」ガクガク


英玲奈「まぁ…こういうことだ…」


希母「っ!?あなた……悪魔だったの…」


英玲奈「ああ」


希母「何が目的なの!?この村の人々があなたに何をしたっていうの!?」


英玲奈「死んでいくものに答える筋合いなどない……」


希母「ぐっ……」


のぞみ「おかあさぁぁぁぁあん!!」


希母「希……お願い…逃げて………」バタッ


英玲奈「これで全員か…」


のぞみ「…ひぐっ………えれな?」グスッ


英玲奈「希……」


のぞみ「うそ……だよね…………えれなはこんなことしないよね?」


英玲奈「お前以外のこの村の住人は全員私が殺した」


のぞみ「う……そだ……ちがう……」


英玲奈「事実だ」


のぞみ「うそだ!」


英玲奈「希……」クビシメ


のぞみ「うっ………かはっ……………」ジタバタ


英玲奈「現実から目を逸らすな」ギロッ


のぞみ「……っどうして………うっ…」ジタバタ


英玲奈「……王都へ行け…そこでこの世界について知ってこい」


のぞみ「………」


英玲奈「もし私を恨む気持ちが有るなら……いつかい必ず強くなって復讐しに来い……いいな?」


のぞみ「……」コクッ


英玲奈「じゃあな……希」


のぞみ「ケホッケホッ………うぅ……え…れな…………」



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希「あれからもう13年かぁ……」


絵里「希?何やってるの?」


希「えりち……ちょっと昔を思い出してただけやよ」


絵里「そう………」


希「えりちは気づいてるんやろ?うちには……秘密があること」


絵里「……ええ。昔から気づいてはいたわ。希は私達とは違う何かを必死に追い求めてる……そんな気がしてたの」


希「そっか……」


絵里「でも無理に詮索するつもりはないわ……誰にでも言いたくないことなんて一つや二つ有るものよ………」


希「えりち…………」


絵里「でも、どうしてもって時には…きちんと相談してね?私も力を貸すわ」


希「ありがとう…えりち。でも、これはうちが自分で解決しないといけないことだから………」


絵里「…そう………」


希「やっぱり…1つだけええ?」


絵里「何?」


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希「今日も収穫なしか……」



ここに通い始めてどれくらい経っただろう………


真姫ちゃんに言われた通りに私は真姫ちゃんの家へと行きいろいろ調べた

そこには今まで考えもしなかった事実が沢山あった………

例えばあの伝説のお話……やはりあれは全てが事実な訳では無かった



でもなぜ英玲奈が私達の村を裏切ったのか……いくら世界のことが分かっても見当がつかない…………

だからその真意を確かめるために私は今、閲覧禁止の書籍のみが集まっているこの図書館に無断で通っていた





私は英玲奈は何か特別な理由があってあんな事をしたと思っている


しかしそうと分かっていてもやはり憎しみという感情がない訳でもない………


あの時の英玲奈がいったように今の私は復讐のために生きているようなものだった






希「そろそろ帰ろ…っ!」サッ


女王「……誰かいるのかしら?」


希(何で女王様がここに!?もし見つかったら………)


女王「気のせいじゃあ……ないみたいね………正直に出て来なさい」


希(どうしよう……)


女王「そう………自分から出てくる気はないのですね」


希(何とかバレないように逃げんと…)


女王「ねぇ…希さん……居るのは分かっているんですよ?」


希「っ!?」


女王「私が何も知らないと思っていたのですか?」


その時……直感的に思った…………



あれは女王様じゃない………

と、もしそうなら…



希「あんたは何者や?」


隠れていても見つかるのは時間の問題…

だからあえて仕掛けてみた


女王「それはどういう意味でしょうか?」


希「そのままの意味や。あんたは誰?女王様ではないよね?」


女王?「ふふっ 女王が言っていた通り鋭い人ですね。でもそれは半分正解で半分間違いですね」


希「遠まわしに言わんとはっきり言ってくれへん?」


女王?「私は女王ですがあなたが知っている女王ではありません。魂上の話ですがね」


希「………」


女王?「私の名はモシュネ……あなたならこの名前で分かるかもしれませんね」


希「っ!?まさか……」


モシュネ………

伝説に出てくる9人の女神を創り上げた女神の主…………

いわば神に近い存在


モシュネ「どうやらご理解いたたげたみたいですね」


希「………」


モシュネ「あなたは……そうですか…メルネの力を継ぐ者ですか…」


メルネ…

ほんの数日前に私に奇妙な試練を与えてきた女神の名前で、伝説に出てくる9人の女神の1人……

私はその試練をクリアし【女神の力】を授かったばかりだ…


希「分かるのですか?」


モシュネ「ええ…力を授かった者だけですが分かりますよ………あなたは随分と早いですね…………もう後3年ほどかかると思いましたが」


希「うちには……どうしてもやらないかん事があるからね………」


モシュネ「そうですか…出来る限り私達もあなたに協力しましょう」


希「私達?」


モシュネ「私はこの身体の宿主である女王と魂を共有している状態なんです……ですからお互い記憶なども共有してますし話す事も出来るのです」


希「なるほど……それで私達、なんですね」


モシュネ「それと……この事はまだ伏せておいて下さいね。話がややこしくなると後々面倒なので」


希「わかりました…」


モシュネ「ご理解が早くて助かります……それでは失礼します」


希「………」


結局女王様が何故ここに来たかは分からなかった

でもあの様子から察するに私を気にかけてくれていたようだった…


この日から女王様と様々な関わりを持ち秘密も増えていった……

そして、義聖団の仲間をある意味で騙すような日々が始まった日でもあった



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希「えりちは……復讐ってどう思う?」


絵里「そうね……私にはよく分からないわ………」


希「そっか……」


絵里「でも、復讐したその先に何もないって事は分かるわ……」


希「………」


絵里「それに復讐をしたところでそれは新しい憎しみを生み出す元にしかならないと思うわ」


希「…そっか」


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希「これは………幻術かな…」


花陽「ふふふっ」ニコニコ


希「『セルネス』」


刹那………

視界が一気に崩れ落ちるような感覚に見舞われたが…



花陽「……私の幻術を破るなんて…」


希「ふぅ〜危ない危ない。もう少しで完全に落ちてまうところやったわ」


花陽「あなた……強いんだね」


希「まぁそれなりにはね」


花陽「声のトーンや雰囲気といい………さっきまでとはすごい違いだね。それでどうする?一対一で殺り合う?」


希「遠慮しとく。私の力じゃちょっと傷つけるぐらいしか出来そうにないし」


花陽「私にかすり傷つけられるだけでも大したものだと思うよ」



そう言った花陽の頬には擦り傷のようなものができていた

それはさっき私が絵里たちを援護するために撃った弾がつけたものだった



希「それはそれでどうかと思うけどね」


花陽「それにあそこまで神器を使いこなしてるのもあなただけでしょ?」


希「例えそうだとしても私はあなたより強くはない…」


花陽「そんなに謙遜しなくてもいいよ。だって他の2人は傷一つつけられなかったんだから」


希「あなたは何故魔神の復活に手を貸してるの?」


花陽「唐突な質問だね」


希「別に答えたくなかったら答えなくてもいいよ」


花陽「別に魔神の完全復活を望んでいるわけじゃない」


希「それならなんで?」


花陽「ただ単に生きる意味を無くしたから……だから自分が必要とされる所へ行った。それだけ」


希「そんなのは嘘だね」


花陽「っ!?」


希「あなたは私と同じ目をしている………復讐に縛られた目を」


花陽「ふふっ そうなのかもね。確かに私は人間に恨みがあるけどね」


希「お互いに復讐者同士ってわけだね」


花陽「そうだね……」


希「私は自分のやりたい事をやれればそれでいい……だからあなたの復讐の邪魔をする気はない」


花陽「それは復讐さえ出来れば他は知った事じゃないってことかな?」


希「そういうこと……」


花陽「あなたも嘘つきだね」クスッ


希「ふふっ まぁ何にせよこんな所見られたら義聖団に居られなくなっちゃうから睡眠魔法で眠らせてくれない?」


花陽「……ほんとに面白い人だね」クスクス



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絵里「この世界は復讐で溢れかえっているわ………」


希「せやね…」


絵里「だから私はこの世界の復讐の連鎖を断ち切りたい」


希「えりち……」


絵里「女王様の言っていたこと本当だとするならば、私はそういう人達を助けてあげたい………いいえ、私の場合は真姫を助けてあげれればそれで構わないわ」


希「えりちは本当に友達思いの人やなぁ」クスッ



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女王「『آلهة الصحوة』!」


希「…………」


女王「ふぅ…希さん、もう大丈夫ですよ」


希「やっぱりうちには効力なしか…」


女王「あなたは既に【女神の力】を手にしているのでこの魔法の対象にはなりませんからね」


希「えりち達は……大丈夫やろか……」


女王「あの子達ならきっと大丈夫でしょう」


希「何故そう言い切れるんですか?」


女王「あの子達からは強い意志を感じるからです……皆それぞれ違いはあれど、どれもとても良いものですよ」


希「………」


女王「希さんにもあなたはなりの意志があったから力を手にすることが出来たのです。後はその意志の強さを信じて待つだけです」


希「…そうですか」


女王「希さん………私は彼女達が目覚めたら私自身についての事をきちんと話そうと思います」


希「それは…いいんですか?」


女王「このまま黙っておくのも返って混乱を招く可能性もありますので……」


希「そうですか……」



ーーーーーーーー

ーーーーー

ーーー



絵里「それで…お話というのは一体何でしょうか?」


女王「これから私について皆さんにお話したいと思います」


ことり「お母さんについて?」


女王「はい……」


ーーーー

ーーー




女王「と、言うわけです」


絵里「………」


ことり「………」


やはり全員黙り込んでしまった……

特にことりちゃんには少し複雑な話だったと思う…………

ちょっとフォロー入れとかんとまずいかなぁ



海未「話がややこしくて……何が何やら…………」


希「要は…今の女王様は身体は女王様のもので魂は別の人のものって考えるんが分かりやすいと思うよ」


女王「私とて何時もそうであるわけではありません。基本的には私は表には出てきません。さっきもお話したとおり意志の疎通はできますので」


にこ「何となく理解できたわ……」


凛「凛にはさっぱりにゃ………」


女王「私からの願いはただ一つ……魔神を倒しこの世界の負の連鎖を断ち切る………ただそれだけです」


絵里「魔神を倒した後はどうするんですか?」


女王「そうなった時は私は今一度眠りに落ちるだけです………元々は私もあの女神の祭壇に封印されていた身ですので」


絵里「…………」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー














ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


絵里「でも、女王様にモシュネっていう女神様の魂が宿ってるって知った時はほんとに驚いたわ………希は私達より前に知っていたんでしょ?」


ほんとに………

えりちは変なところで鋭い…


希「うん……そうやよ」



にこ「あんた達こんな夜中にこんな所で何してるのよ?」


絵里「にこ……ちょっと感慨にふけっていただけよ。ねえ希?」


希「ふふっ そうやね」ニコッ


にこ「なんか怪しいわね………まぁそんな事どうでもいいわ」


希「?」


にこ「今更だけど聞きたい事があるのよ」


希「なに?」


にこ「あんたが隠してる事全部聞かせなさい」


希「な、なんの事や?」


まさかにこっちまで…………


にこ「うちの村長があんたには気をつけろって言ってたのよ………」


希「………」


にこ「あれがどういう意味なのかは分からないけど……」


希「にこっちはうちの事を疑ってるん?」


にこ「そうよ。だからあんたが味方だっていう確信が欲しいの」


絵里「ち、ちょっとにこ!?」


希「まぁ疑われても仕方ないか………」


絵里「希………」


希「わかった……うちの事全部話すよ………うちが義聖団にいる理由をね」



ーーーーーー

ーーーー

ーー




希「と、まぁこんなもんかな……」


にこ「………」

絵里「………」


希「これで信用してもらえた?」


自分自身の事を全て話した………

女王様との関係も

自分の知っている事をさすべて………


にこ「疑って悪かったわ……ごめんなさい」


希「別にええんよ……うちがずっと黙ってたのが悪いんやから。それに、話したらなんや分からんけどスッキリしたし」


絵里「…ねぇ希………」


希「?」


絵里「希はずっと私達の知らない所でずっとそんな大変なことをしてきたの?」


希「仕方なかったんよ……それにこれはうちの個人的な事情やし」


絵里「………そう」


希「ごめんなえりち………」


絵里「………」


えりちはすごく悲しそうな顔をしていた………

えりちの事だから自分が何もできなかった事を悔しく思ってるのだろう



希「でも…明日で全てが終わるかもしれんよ…………」


絵里「そうね……」


にこ「半年なんて早いものね…」


希「明日に備えてもう寝よか」



この半年の間でみんなかなり実力を付けてきた………

それでもあいつらに勝てるという確信はない

向こうもこの半年何もしてない訳がない


勝てばこの世界は救われるだろう

でももし負けたら………



希「それじゃあ、おやすみ」


にこ「おやすみ」


絵里「おやすみ……明日、絶対に勝つわよ」


希「うん!」



負けるなんてことは許されない


この世界のために


自分自身のために………



〜希の章〜 END


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


9人の女神と伝説の魔神(1) END



9人の女神と伝説の魔神(2)↓


後書き

意見、質問等あれば気軽にコメントしてください

✳︎お話は時系列順ではなくあえてバラバラに書いています

✳︎登場する女神の名前は実際の神話に出てくるものとは関係ありません(名前だけ参考にさせていただきました)


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1: hb 2015-03-13 09:07:00 ID: wuBn994g

続きがきになります!!


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1: SS好きの名無しさん 2015-03-26 18:44:58 ID: jUaNYOly

王道ファンタジーって感じで読みやすく、話の展開も面白く見入っています!続きが気になります!更新待ってます!!!


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