2018-01-28 15:16:33 更新

概要

ポーランドの片田舎リマノバで謎の誘拐事件が多発、昨日まで何事もなかった村人が一夜にして忽然と姿を消した。警察は村をしらみ潰しに探すも発見できずにいた ”あそこ” を除いて。かつてのナチスドイツ主導の人体実験施設リマノバ、そこに警官部隊が最後の捜索を開始する。


事件発生



客1 『また一人消えたのか、今回で3人目じゃねえか』


客2 『そうそう、肉屋のアルベルトがスーパーに買い出しに出かけたと思ったら本人の車から消えてたんだとよ』


エヴァ 『きみ悪いねぇ、警察は一体こんな狭い田舎で死体一つ見つかんないんだってさ』


客1 『おお、エヴァさんあんたも気をつけなよ?物騒なんだしさ。ていうかこのコーヒーいいのかい?』


エヴァ 『コーヒー豆が余っちゃってるからサービスだよ、そっちもどうぞ』


客2  『悪いね』


エヴァ 『ワルシャワの方からまた警察来るらしいわよ、なんか大きな機材も運んでるし』


客2 『どうせ見つかんないさ、また税金ドブに捨てて終わりだ』



同時刻、村の道路に警察の装甲車の車列が5台ほどトランクに機材を詰めて爆走していた。警察部隊を率いるシモン隊長は何か嫌な予感をうっすら感じながらも呑気に鼻歌を歌いながら晴れた青空を眺め、後部座席で娘の誕生日プレゼントに何を渡そうか悩んでいた。



シモン『あー、えーっと、ポケモンだっけ?ジャネタはあの薄気味悪い黄色いネズミのぬいぐるみが欲しいんだとよ』


シモン隊長 警察部隊の指揮官でもあるこのベテラン警官は数々のテロ事件に出動経験があり長年養ってきた経験と指揮能力で人質や民間人の死者を出したことがない実力者だ。


トマシュ『隊長、今時ポケモンも知らないようじゃそのうち娘の話についていけなくなりますよ』


そう言いながら副隊長のトマシュは普段は見せないなんとも間の抜けた声に思わず吹き出してしまった


トマシュ『それにしても隊長がポケモンだってw、一瞬耳を疑いましたよ、隊長の言ってるやつそれ多分ピカチューのことっすよ!電気使うアレ』


このお調子者のトマシュは警察学校で射撃成績二位の実力者でどんな自体が起きても冷静に対処できるほどメンタルも強い


オスカル『隊長とピカチューは絶対に似合わんわーw』


オスカルは両親共々警官であり、祖父は第二次大戦中ポーランドでゲリラ活動中にドイツ兵もろとも爆死したという伝説を残している。彼自身も祖父に劣らず射撃や体力がずば抜けて良く、何よりも仲間思いである。


レオン『ハハハ!!』


レオンこの隊の中で最年少であるが機械に精通しており、隊員としての体力や状況判断力も十分にある将来有望な隊員だ。


シモン『お前らもう冗談は終わりだ。先ほど伝えたように、これから俺たちはリマノバ収容所後で捜索を開始する、ここの建物は非常に大きく入り組んでおり地下の階も含めれば部屋だけでも数百に登ると言われているんだ。そこにポーランド赤軍のメンバーの一人が頻繁に出入りしており武器か生物兵器を溜め込んでるってタレコミがあったんだ、気を引き締めていけ。』


シモン『それとここらで気味の悪い噂も流れている、万が一のこともあるから銃器のチェックと予備の弾薬及び装備をバッグに詰めろ』


一同『了解』


同時刻午後6時


収容所の周りには先行していた警官隊を含め総勢200名ほどの警官及び報道陣が並び片田舎に似合わず大量の人と機材でごった返していた。


レオン『まるでお祭り騒ぎみたいっすね』


オスカル『こんなクソ田舎までヘリ飛ばすとか、ネタがないからみんな来てるんだ』


シモン『おしゃべりはおしまいだ、マスクとヘルメット着用!武器のセーフティはかけとけ』


そう言いながら隊員はhk416自動小銃とm870ショットガンを抱え車をでて外に出歩き建物の正面玄関まで歩いた


その瞬間報道陣が隊員を囲む


レポーター1『すみません警察の方ですか?!今この収容所の共産系のテロリストポーランド赤軍がこの収容所に潜伏しているのは本当なのでしょうか?』


マイクを無理やり隊員に傾けるが隊員は答えずに進む


レポーター2 『最近行方不明者がここの村で続出していると噂されていますが、これらの事件となんらかの関連性はあるのでしょうか?』


トマシュ『あー今は答えられません』


シモン『ったくお偉いさんは報道管制もマトモにできねーのか』


警官『お疲れ様です!イワン局長がお待ちですどうぞこちらへ!』


シモン『ああ』


仮設テントに入るとイワン局長が彼を待ち構えていた



イワン『ああ、君たちか。君達も知っているだろうがこれは警察史上でも類を見ない空前絶後の大捜索となる。君たちですら地図を覚えるのに一苦労だからガイドをつけて行動するように。それと面白い奴がでてきたぞ?』


肥満体けのイワン局長が得意げに話す


シモン『何があったんです?』



イワン『ポーランド赤軍のメンバーが血まみれになって収容所から這いずってきたんだ。それはもう無残な姿で片方の眼球はえぐれていて身体中が猛犬か何かに噛まれているし、よくわからない粘液もついていた。彼の精神状態はマトモではなく誰かと話すのは無理であろう。赤軍の規模や武器については確かの情報はないが、それなりに武装していたにもかかわらずテロリストは壊滅状態のようだ。たかがテロリストであろうとも武装している人間がこんなひどい目にあっているのだから何かはあるに違いない。今EU中の特殊部隊及びアメリカの部隊も出動しておる。もしかしたらロシアかウクライナ製の生物兵器の類かもしれん。』


シモンは道中でうっすら感じていた予感が的中したと感じていら、それにその収容所後から何か危険な匂いがするとも



イワン『今回はドイツ、デンマーク、フランス、イギリスそしてイタリアの舞台がそれぞれ別方向から捜索を開始する。君たちは西玄関から捜索を続けろ詳しくはあとでブリーフィングを行う』



そして午後8時、先ほどの快晴な青空とは裏腹に空は雨雲が月明かりを覆い隠して光の代わりに雨水を隊員に打ち付けた


シモン『こちらフォックストロット、デルタとチャーリーとともに西門から捜索を開始する』


そう言いながら隊員総勢70名がナイトビジョンをつけ元収容所の広大な6角形の建物を捜索する。


彼らが地獄に行くとも知らずに


彼らは常にコンタクトが取れるよう無線装置をつけていたが建物の壁のせいでノイズも入りやすく、声が聞こえても何を言っているか判別不能な時が多かった。


レオン『こちらフォックストロット、デルタ隊聞こえるか?』


デルタ『こちらは順調だ今のところはな、そちらは?』


レオン『こちらも異常なし、オーバー』


フォックストロット隊は不気味な場内に侵入する、あかりはなくナイトビジョン越しに見える不気味な緑色のレンズだけが頼りだ。


場内は不気味なほど静まり返っており、時々見える肖像画や鎧などは不気味な城の雰囲気を一層引き立てた。部屋がいくつも存在しておりその部屋中を見て回るのはなかなか骨の折れる作業ではあった。時々部屋に手術台のようなものが置いてあったり、鉄格子で覆われた小部屋を見かけたりもしたがそこで何が起きたかは想像すらしたくなかった。


しかしそれ以外に怪しいものも見つからず多国籍部隊は城の中心にある食堂で集合、今は遅れたフランス隊を待つのみだ


ドイツ隊が無線をかける


『こちらブランデンブルグ隊アルファ、聞こえるか?マリー隊応答せよ』


応答があった少々ノイズが聞こえるが人の声が聞こえる


『こちらマリー、すまない今少女を発見し保護している』


『少女?』


『ああ、服がボロボロでクマの人形以外持ち物は何もなかった。母親を探しているらしい。ここに連れてこられたと言っている』


『了解した、直ちに北門に戻り地元警察に保護を求めてくれ』


『了解、午後8時16分、少女を保護。さあこっちにおいで』


『あとは頼んだオーバー』


『了解、オーバー』


一通りの報告を終えるとデンマーク隊とドイツ隊は二階を捜索し、ポーランドとイギリス、イタリア隊は地下を捜索することにした。


シモン『よし我々は地下の人体実験室を捜索する、イタリア隊とイギリスは反対の入り口から捜索してくれ、赤軍や何かが潜んでいるかもしれない注意してくれ』


『了解そちらも何かあれば連絡を』


一通り会話を終えると本部から無線が入った


『おい!そっちは平気か?!応答せよ!』


シモン『ええ?異常はありません』


『たった今フランス隊の連絡が途絶え、位置がわからん』


シモン『?!』


『無線にも応答せず、未だに帰ってこない』


シモン『どうゆうことだ!?フランス隊なら既に帰ってくる頃のはずだ、少女を保護してそっちに戻ってるはずだぞ』


『その報告は先ほど受けた、もしかしたら電波障害かもしれない。捜索隊を出す』


シモン『了解』


『そっちは捜索を続けろ、地下に入ったら無線が使えなくなるので指示が出せん。その時はお前の判断で行動しろ』


シモン『了解した、今回は威力偵察だ。明確な脅威でない限り派手なことは控える』


『気をつけろよ、オーバー』


シモン『オーバー』


報告を終え、地下室に入りかけた途端デンマーク隊の一人が声を上げる


『きみ?どこから来たの?』


隊員の見る方向に目をやると薄汚い服というより布で覆われた少女がぬいぐるみを持ってこちらを見ていた。


オスカル『あれってマリー隊が保護した少女なんじゃ?』


トマシュが近づき声をかけて見た


トマシュ『お嬢ちゃん、こんなところで何をしてるの?さっき一緒におじさんたちといなかった?』


すると少女は突然人形を抱きかかえ、地下室に続く階段に駆け下りて言った


シモン『きみ!ちょっと待ちなさい!』


部隊は全速力で階段を駆け下り少女のいく先に足を運ぶが誰もいない、あるのはカビ臭い壁に覆われた地下道が広がっているだけであった


少女は暗闇に飲み込まれ姿を消した


この時、誰もがこの異常な出来事に身震いをし、誰も口を開かない、開けなかったのだ。


怖い、何かがおかしい。なぜこんなところに少女がいる?母親なる人物はどこにいる?そもそも何十年も前に閉鎖されたはずの場所に人がいる?


幽霊なのか、幻覚なのか全くわからない。それに消えたフランス隊も気がかりだ、謎が多すぎる



撤退だ、こんな訳のわからないところにいても迷って出られなくなるだけだ。下手をすれば誰かが死ぬかもしれない、そんなことがふと頭をよぎった時に



ガシャーン、ガシャーン、ガシャーン、


何か古いロボットが出すような、錆びた金属の軋む重い音がする、とても自然現象と呼べるシロモノではない。


シモンとトマシュは狭い通路の中でとっさにhk416を構えトリガーに指をおき、ホロサイトに目をやった。後ろのレオンやオスカルも後ろから援護するとばかりに武器に手をとりくらい地下通路に目をやった


するとその瞬間、バスケットボールサイズの球体のようなものが飛んで来た、シモンは反射的にその物体から避けるように仰け反り目の前の落ちた物体に目をやった。そして心臓が止まるほどの強い衝撃を受けた。


生首


行方不明になっていたマリー隊の防弾ヘルメットとその”中身”が一緒に飛んで来たのだ。顔から下には首と呼べるものはなく代わりに血まみれの食道や舌がむき出しになっていた。目は見開いておりそれはまるでライオンに襲われるガゼルのように怯えた目であった。


国家憲兵隊GIGN、フランス最強の警察部隊であり、数々のテロ事件を経験したこの部隊はエールフランスハイジャック事件時に犯人が数メートルの距離で自動小銃を構えてたにもかかわらずそれに臆することなく突入し制圧するほど勇敢で精強であった。そんな屈強な隊員が怯えるなどととても信じられるものではない。


シモンとトマシュは迷いもなくhk416を暗闇に向けてフルオートで発砲しマガジンが空になるまで打ち続けた。だがその後反応はなくなった。

さすがの化け物だろうと5.56mmを数十発も食らって平気なはずがない、平気なのは装甲車ぐらいだと自分に言い聞かせおそるおそる音のなった方に近づいた。


いない


どこにもいない、死体どころか血、もしくは部品と呼べるものが一つも落ちてすらなく


代わりにあるのは無残に引き裂かれたフランス隊、マリー隊の惨死体のみ












このSSへの評価

1件評価されています


2018-01-31 14:44:12

このSSへの応援

1件応援されています


SS好きの名無しさんから
2018-02-23 01:30:35

このSSへのコメント


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください