2018-05-19 00:16:59 更新

概要

初めてだよな、俺らが離れ離れになるなんて――兄と12時間接触しないと過呼吸を起こすアッキーと、そんな妹を守り続けてきたアッシー。いつも一緒だった兄妹の絆と成長、秋月&明石君の戦後日常編。


前書き

※キャラ崩壊&にわか注意です。
概要は更新時に変更。

・ぷらずまさん 
被験者No.3、深海棲艦の壊-ギミックを強引にねじ込まれ、精神的にダークサイドに落ちた電ちゃん。なお、この物語ではほとんどぷらずまさんと電ちゃんを足して割った電さん。

・わるさめちゃん
被験者No.2、深海棲艦の壊-ギミックを強引にねじ込まれ、精神的にダークサイドに落ちた春雨ちゃん。

・瑞穂ちゃん
被験者No.1、深海棲艦の壊-ギミックをねじ込まれ、精神的にダークサイドに落ちた瑞穂さん。

・神風さん
提督が約束をすっぽかしたために剣鬼と化した神風ちゃん。

・悪い島風ちゃん
島風ちゃんの姿をした戦後復興の役割を持った妖精さん。

・明石君
明石さんのお弟子。

・陽炎ちゃん
今の陽炎の前に陽炎やっていたお人。前世代の陽炎さん。

・元ヴェールヌイさん(北方提督)
今の響の前々世代に響やっていたお人。
北国の鎮守府の提督さん。

・海の傷痕
本編のほうで艦隊これくしょんの運営管理をしていた戦争妖精此方&当局の仮称。

・メインサーバー君
運営管理の補助をしていた想力仕様の自我を持ったサーバー。

※やりたい放題なので海のような心をお持ちの方のみお進みくださいまし。


【1ワ●:最後の決闘、観戦ルームの様子】



北方提督「北方鎮守府に」


北方提督「ろーちゃんの銅像を立てよう!」


ろー「准将さんの気が散るですって!」


提督「本当ですよ!」


提督「あ、ルートそっちじゃない!」


提督「神さんんんん!」


提督「舵執られてることに気付いてええええ!」


三日月「准将は今、あの艦これアーケードの筐体にある舵で神風さんの航行ルートを固定しようと頑張っています!」


電「神風のやつ、司令官さんが舵取ってることに気付いてねーのです! あ、少し逸れた!」


電「燃料は満タンじゃねーんですから変な方向に行ったら途中でまた燃料なくなりかねない距離なのです――――!」


提督「舵に逆らうように好き勝手航行してますね……! く、持って行かれて見当違いの方向に、神さんが進みかけてる……!」


瑞穂「准将あんた力無さすぎなのよ死ね!」


提督「死ね!?」


旗風「司令補佐! ここで神姉の舵執り失敗したらビンタですからね……!」バチッ


提督「旗風さんなんで今ビンタしたんです!?」


春風「何卒お願い申し上げます……!」


大和「青ちゃんさん! 神風ちゃん空を飛んでる鳥の幻影を追いかけようとしてますよ!」


天津風「好奇心旺盛なガキか!」


武蔵「く、私達がそれに触れたら……!」


電「武蔵さん、司令官さんの手の上から力入れるのです! 筐体には触れないからそれならセーフかも!」


武蔵「それだ! おい力貸すぞ!」


提督「ありがたい!」


リシュリュー「神風、嬉しいのは分かるけど砲弾撃つ必要ないわ! 弾薬もったいないわね!」


ガングート「適性が戻って砲撃出来ることは戦後復興妖精へのブラフに使えるのになー」


望月「ハイテンション。今の神風の頭ん中、ハッピーミール状態だよ……!」


提督「そ、そうです! 神さん、前にある島です!」


陽炎ちゃん「このゲームでここまで来るのに投資額は2億だからね! 負けたらなにもかもが水の泡よ!」


北方提督「北方の皆、あれやる!? あれやっちゃう!? あれで神風の応援しちゃうかい!?」


三日月「あれというと……!」


ろー「神風ちゃんの産まれが湘南という事で提督が作った応援ソングだね!」


北方提督「艦これの『戦闘開始』の画面で行こう」


ポーラ「黄金魂の替え歌でした?」


隼鷹「神風魂じゃね。省略したやつ」


提督「や、やった。なんとか辿り着いた!」


ビスマルク「来るわ、息を吸いなさい!」


《戦闘開始!》


北方一同「K・A・M・I・K・A・Z・E!」


北方一同「K・A・M・I・K・A・Z・E!」


北方一同「K・A・M・I・K・A・Z・E!」


北方一同「K・A・M・I・K・A・Z・E!」


天津風「誰よ黄金魂のほうっていったの!? これ完全にショータイムじゃない!」


北方提督「北方のShow Timeだ!」


北方一同「斬れ!斬れ! 斬れ斬れ斬れ!」


大和「でも魂が伝わります! 熱いですよ!」


北方一同「神風吹かす」


北方一同「Wi a blood claat star!」


北方一同「戦闘機は片道燃料」


北方一同「そんなの関係ねえ!」


神風《私だって――――》


神風《勝ちたいよ!》


北方提督「神風のShow Timeだ!」


北方一同「斬れ! 斬れ! 斬れ斬れ斬れ!」


北方一同「イエスッ!!」


北方一同「北方のクララが斬ったアアアッ!」



わるさめ(なにこいつら……)



わるさめ(超好き)キラキラ





提督「……、……!」


提督(さっきの砲撃が此方さんに当たって、気絶した?)


提督(神さん、無意識か? 倒れかけながらも血文字で契約履行装置になにか書き込んでる。契約履行装置は確かリンクのために身体の一部を求める仕様だから、髪じゃなくて血でも機能するはず……)


提督(ヤバいヤバい、此方さんが意識失ってるせいで神さんの願いの内容が後で確認できない!)


提督(内容によっては大惨事になる……!)


【2ワ●:緊急会議】


此方「以上が報告ですね」


元帥「へえー、想力工作補助施設ねえ」


元帥「此方ちゃん達はこの機能、利用しなかったのか? 確か今を生きる人間は探知できねえって話だったが、これ使っとけば」


此方「使えませんよ。なぜなら『今を生きる人間の力』を『想力』に変換するシステムですので、開発と装備は今を生きる人間にしか出来ません。私と当局はそもそも『今を生きる人間』になるために戦争を起こしたんです」


此方「私達はロスト空間で誕生した生命で、人間とは生死観念が大きく違うんです。女神や応急修理要員、私達の死というモノは必ず訪れるものではなく、自害でしかあり得ない生命ですので」


此方「今を生きようとする力がなかったんです」


此方「だから当時の私達には扱うのは無理な代物。想力工作補助施設は海の傷痕に開発装備は無理、今を生きる人間にしか出来ません」


此方「佐久間さん、でしたか。生死を燃料基準にしたのも、海の傷痕にとって効果的……いや、やはり人間という存在は面白いです」


元帥「そこらは専門家に任せるとして、これさえあれば擬似ロスト空間形成も保持も出来て、世界に漂う想力を一まとめにしてわしらの管理下におけるってことか?」


此方「上の判断に任せますが、答えは見え透いていますよね……」


元帥「だな。おい甲ちゃん、どう思う?」


甲大将「私じゃなんとも。これ今を生きる人間で開発可能なら、想力周りの法を整備じゃ対応できねえだろ。武器を持ち歩くの違法にしても、その武器で周り全員黙らせられるなら法だろうとなんだろうと作ったもん勝ちだからな。これ今の社会体制根本から作り変えて想力に適応させてかねえとって話だ」


元帥「開発工程は、初霜ちゃんとか北方ちゃんとかのような素質ありきなんだろ。その手の連中が戦後復興妖精との契約パターンのように外部から想力まとっちまえば開発可能ってわけだし」


元帥「人間の精神性を数値化して法律で裁く時代到来ってか」


此方「戦後復興妖精に聞いてみたらどうです?」


戦後復興妖精「……」


此方「妖精状態ですが、なんとか捕まえては置きましたから」


戦後復興妖精「死んだんだから死なせろよって。もうなんかスッキリして未練もねえ。あれほど死ぬにはいい日はなかったってのによ」


戦後復興妖精「まーた働かされんのかよ」


元帥「どうなんだよ。『戦後復興』のくせに新たな火種ばかり持ち込みやがって」


戦後復興妖精「『妖精:私』と『人間:佐久間』が交わった故の産物だ。だから『想力:死』と『人間:生』を交わらせなきゃいい」


戦後復興妖精「だけどまー、出来るもんならやってみろって話」


戦後復興妖精「想力の旨味知って、今更想力封印とか無理だろ。手に入れりゃ先進国から頭1つ飛び抜ける。それを規制出来ますかね」


元帥「それはこっちで」


戦後復興妖精「ギャハハ、『出来た』として、『出来ない:例外』はどうすんの?」


甲大将「ああ? さっきお前が『妖精:私』と『人間:佐久間』が交わった故の産物だ。だから『想力:死』と『人間:生』を交わらせなきゃいいって解決策の1つ提示しただろうが?」


戦後復興妖精「初霜も北方ちゃんも『外部から想力を得て、それをエネルギーに想力工作補助施設を開発可能』ですが、そうですね」


戦後復興妖精「『超能力』と例えたほうが分かりやすいか」


戦後復興妖精「人間にはいるんですよねー。想力使っちゃえる人間がね。これはまあ、原理的には『周りにある想力を呼応させているために外部から想力を得ている訳』ですけどね」


甲大将「おいおい、准将や乙中将のあれ完全に想力の類なのか……」


戦後復興妖精「なので、想力工作補助施設で完璧にこの地球にある想力を管理することで解決しますよ」


元帥「いや、そういう話は出てるみたいなんだわ」


戦後復興妖精「へえー、想力に触れた対深海棲艦海軍の皆さんを役人にして新たな政府団体がどうのこうのとかいう話だっけ?」


元帥「まあ、そんな感じ。だから准将のやつはすげえ人気あるんだよ。加えて深海妖精論だっけ。想力方面の学会でも名が通ってるからなー。あいつの知らないところで代表格の一人に推薦されそう」


元帥「此方ちゃんもそうだ。海の傷痕っつうことでまだ信用ねえけど、色々と想力周りの話が来なかったか?」


此方「来てた。その仕事とか養子とか見合いとか、落ち着いてからでいいから考えてはもらえないかなって」


元帥「……それによ、わしと同じく最終世代の提督って独り身だろ? 甲ちゃんは見合いの話来てたけど蹴ったんだっけ?」


甲大将「おう。兄貴が自分は不出来過ぎるから、私に家督だけ継いでくれとさ。兄貴は実際、好きなように生きてえだけだよ。兄貴は結婚して子供も三人いるんだが、どいつかは継ぐだろ。私はそれまでの繋ぎかね……もともとそういう期限付きで軍に飛び込んだし……」


此方「それであのー」


此方「願いの件なんですが」


元帥「それな。甲ちゃんいながらやりたい放題させてんなよ」


甲大将「……すまん」


戦後復興妖精「まあ、私が邪魔させないようにしてましたから、仕方ないですね。乙中将も丙少将も准将もそこを反対しなかったように、無理なように操作してましたし。景品ないと盛り上がらないでしょう……っと、話が逸れましたね」


此方「提督勢の願いはあらかじめ聞いていたので、その場で勝者の提督の契約書に効力持たせるだけだったのですが」


此方「神風ちゃん……」


此方「私が気絶している間に、なにか願い事を書き込んだみたいで」


此方「それがこの契約書です」


元帥「血が伸びて文字になってないけど、効果あるの?」


此方「書き込んだ後から伸びたみたいです。効力は発揮されていたので書き込んだ時には文字として認識できたのかと。ですが、私が起きた時には解読不能でしたから」


甲大将「神風が目を覚ました時に聞いたが、土下座して覚えておりませんってさ。『た、ただ……そんな大それたことは書いてなかったはずです。大雑把ですが、確か頭の中にあった司令補佐……准将絡みでなにか書いた、と思います』だってよ」


甲大将「その場では別にそれならそれで大丈夫って答えておいたけど」


元帥「なんで准将あいつあんなに駆逐に好かれんだろうな。一回あいつと角でぶつかって1日くらい中身入れ変われねえかな……」


甲大将「神風が准将にチャームかけた程度なら可愛いもんだ。いずれにしろ准将絡みだろ。身内間の問題だとして准将に妙な変化ありゃ、電わるさめ辺りがすぐ気付く」


戦後復興妖精「ちなみに准将の願いは?」


此方「『適性率100%データ映像の著作権取得』です。これは多分、偶然力で手に入るようになるんじゃないですかね。提督の勉学の材として利用されていたみたいですが、もともと研究部の遊び心の宙ぶらりんですし……」


甲大将「あいつそれ使ってなにする気だよ」


戦後復興妖精「パソコン触ってますよね」


戦後復興妖精「あれでプログラムの勉強してた模様」


戦後復興妖精「聞いた話ですけども、鹿島の家に遊びに行ってた時に柏木とかいうゲーム屋と交遊持って連絡取り合ってるみたいで」


戦後復興妖精「恐らく適性率100%のデータ使って『艦隊これくしょん』のブラウザゲーム作ろうとしてる」


元帥・此方・甲大将「」


元帥「あの野郎、最近将来のビジョンがー、とかいってたが、そんなこと考えていたのか。却下だ却下。あいつはもはや民間に行けるような自由なんざねえんだよ」


甲大将(准将、なんつーか肝心なところでポカしたなー……予想できねえことじゃねえんだからそこらのこと回避する願いでも書いてりゃ良かったのに)


トントン


元帥「ん? 入っていいぞー」


?「失礼するぴょん♪」


【3ワ●:愛の告白】


神風「帰ってきてからみんなに祝福された後ぶっ倒れたのは覚えてます……戻ってきたら」


神風「今度は皆がぶっ倒れるように寝てる……」


天城「緊張の糸が切れたせいもありますが、みんな夜通しでお疲れでしたからね。神風さんが帰ってきて、ぶっ倒れて医務室に運び終えてからはこのありさまです」


天城「駆逐の子達は部屋に運び終えましたね」


天城「ホットミルクですけど、どうぞ」コトン


神風「ありがとうございます。うちのメンバーも地べたで寝てる人多いし、祝勝会って感じじゃなさそうですねえ。まあ、思えば丸1日以上の通しでしたからね……」


神風「私も騒ぐような気分ではないですし……」


神風「なぜでしょうね。夢が叶ったのに」


天城「私達も海の傷痕との戦いを終えてからそんな感じでこの鎮守府でぶっ倒れてましたね。多分それと同じなのではないでしょうか」


神風「そうですかね。不思議な心境です」


天城「あ、そうだ。クリアした後に『E-3突破報酬』が配られまして、参加した皆さんに勲章とMVPの神風さんには特別な勲章が」


神風「ああ、起きた時に気づきました。寝ている間に胸につけられていたようで。その筐体のほうにあるペンダントは?」


天城「それぞれヴェールヌイさんと、デカブリストさんと、中枢棲姫勢力の皆さんの想が入っているそうですね」


神風「なるほどー……」


ゴクゴク


神風「……ところで」


天城「准将なら電さんに拉致されて外ですよ?」


神風「そうですね……気になることもあります。青葉さんとか卯月さんとかわるさめさんとかが寝てる内がいいですかね」


神風「ところで間宮さんは留守なんですよね……」


天城「あー……修行に出かけましたね。お店出したいとかで、私も連絡を取っていますが、順風満帆みたいですよ。間宮さんなら大丈夫でしょう。色々と」


神風「振られたんですよね?」


天城「まあ……でもあの人、この鎮守府(仮)の頃からいたるところから来た勧誘を蹴ってずっと留まっていたように意固地なところあるので」


天城「……」


神風「天城さん、なぜ泣きそうなんです……」


天城「いや、ほんと准将ってなんであんなに誰かと恋愛関係になるの拒むんだろうって思いまして。独りが好きというのは皆さんとのお付き合い方見ていたら嘘でしょうし、女性恐怖症っていうのも違うようですし、戦争中の言い訳ももう通用しないのに」


天城「端から見てたら」


天城「結婚とかお付き合いとか」


天城「異様に嫌ってる感じ、ですよね」


神風「まあ……」


神風「その理由もあらかた分かりました」


神風「戦争終結させても……」


神風「あの人はまだ祝福を受けていないから」


神風「答えも出たし、会おうかな」


天城「……がんばってください」


2


神風「木にロープで縛りつけられてるように見えますが、なにしてるんですか……」


提督「理由は知りませんが、電さんに縛られまして30分だけ大人しく縛られていてくれ、とだけ。嫌な予感はしますが、まあ、あの子のことなので大丈夫だとは思いますけど」


神風「……、……」


提督「最終局面の神さんはきっとあの電さんに負けずとも劣らない兵士だったのはあの場の誰もが認めますし、倒したのは最後の海の傷痕此方&当局レベルの敵です」


提督「あなたは北方鎮守府で良かったですね……というのは失礼ですか。自分にはあなたが仲間とともに正解にしたように見えましたから」


提督「なにはともあれ終結、です」


提督「お疲れ様でした」


神風「確かに私は北方鎮守府で皆と出会えて良かったです。だから司令補佐を司令官とは呼べません」


提督「そうですね。自分のところにいたらきっとあそこまで完成しなかった。鹿島さんがいても精々が戦えるレベルの成長でしょう。あの北方の人達だからこそ、だと思いますし」


提督「神さんが来てもきっと電さんと自分は使い潰すか追い払うかしていました。瑞鶴さんや秋津洲さんは戦力になりますが、あなたのそのスタイルは自分の理解の外にある領域ですので」


神風「そう考えてくれる司令補佐も、約束忘れてたのも、結果的には良かった。結局、私の居場所は北方にしかなかった。こうなるのはきっと、運命だったんです」


神風「丁の鎮守府では……なんで」


神風「興味を持ったのは本のことでしたっけ」


提督「……覚えてません」


神風「その本は主人公が護るほうではなく護られる側のお話でして、艦兵士ゆえ、新鮮だなーって感じで読んでたのをあなたに貸して、そこから私はあなたに心を開いていったのですが」


神風「『自分には最後まで理解不可能だった逆ハーレム系のオタク本で、毎回読むのが苦痛で、私があなたの感想楽しみにしていたので、がんばって読んでた』そうですね」


提督「……(目逸らし」


神風「覚えていますよね……」


神風「別にもう怒ってませんよ。私も逆パターンは好きじゃないので。でも、思えばその言葉には不器用な優しさもありますね。がんばって読んでくれてたみたいですし」


提督「優しさじゃなく打算です。神さんと仲良くなることで指揮周りに利がありましたから。そして打算といっても愛でもないです。嫌だけど、がんばらなきゃならなくて渋々といった感じ」


神風「私、もしかしてあの頃から感知力、高かったんですかね」


神風「分かりますよ。異性を毛嫌いするのは私も同じですから。私もたくさん嫌な男、見て育ちました。父からすればたまたま出来て産まれてしまって、祝福された命ではなかった。だから」


神風「今は幸せですが、親に生んでくれてありがとうだなんて気持ちは微塵もありません。いや、お母さんのほうにはあるかな。僅かながら愛された記憶があります。すぐに無縁になりましたけど」


神風「男と女で逆ですが、よく分かるんですよ。異性と特別な関係になるのを拒むってこと」


提督「周り女性ばっかですし、治したいとは思うんですよね。努力もしています。デカブリストさんにもうちの子達に負けないようにっていわれましたし」


提督「別に周りが思う程っては感じ」


提督「ですが、腹を割ると……」


提督「やっぱり無理なところはありますね……」


提督「友達以上だと重ねてしまうんですよね」


提督「別にそんな人じゃないのに、です。きっとトラウマってのは治そうと思ってすぐに治せるもんでもないです」


神風「それ、違いますよね」


神風「それは戦争終結と同時にほぼ完治してる」


神風「別の理由が大きいんじゃないですか。その理由を隠れ簑にしてまだ誰にも話していない過去がありますよね」


提督「……」


神風「あ、話してくれなくてもいいです。人の過去を根掘り葉掘り聞きたい訳ではありませんし、予想はつきますので」


提督「予想つくんですか……」


神風「雷さんのところにお世話になってからは当たり前のように戦争のことばかり考えていて、日常生活、対人関係もそれに準じていたはずです。多分、私と同じく利用できるか否か――――」


神風「人を騙くらかしていたんだと思います」


提督「仰る通りで……」


神風「分かりますよ。そういうの性根に染み込みますよね。あなたはそれで女性不信に、私は男性のほうです。だから、きっと」


神風「司令補佐と私は相性検査で良判定されたのかも」


神風「私は建造してから夢見や姉妹艦効果等々のお陰でその思考からは脱却できましたけど」


提督「心配ご無用。徐々に治っていってます」


神風「……」


提督「それで結局、なにがいいたいんです?」


神風「その……」




* 物陰から観戦勢


島風・天津風「……」


電「――、――」モガモガ


電(色黒女、離すのです、あのムードは――!)ジタバタ


武蔵「暴れるなって。邪魔は野暮だぞ」


大和「電ちゃん、ごめんなさい。今は、今だけは邪魔しないであげてください……!」


旗風「春姉、感じますか。あそこ辺りの空気、完全に甘酸っぱいメモリーズ、学生の校舎裏とか体育館裏です。大変な現場を目撃してしまいました」


春風「思えば出会いも春、決着の時も桜の季節ですか。出会いと別れの季節……散るのか咲くのか、どちらでしょう」


天津風「ここにいていいのかしら……」ジーッ


島風「ガン見してるじゃん。興味津々」


天津風「う、うるさいわね」


電「分かり、ました。黙って、ここに、るで」


武蔵「約束な。ほらよっと」


電「邪魔はしません。ただあのムードに発狂しかけただけです。というか、恐らく神風さんには気づかれているので」


電「まあ、伝えることに意味があるのでしょうし、大人しくしてはいますが、結果は分かりきっているのです」


大和「そうでしょうかね?」


電「特攻して玉砕以外にあるのです?」


武蔵「ある。神風はお前とも間宮とも違うからな」


電「……、……」


電(そもそもあいつ、司令官に対する感情は)


電(私と同じで関係に縛られない考え方しているはずなのに、なに考えているのです……)





神風「もっと軽い感じでもいいと思うんですけどね」


神風「お付き合いくらいなら……付き合えば結婚まで視野に入れないと不誠実ってのは私的には嫌いな姿勢ではないですけどね?」


提督「あなたも変わりましたね……」


提督「超がつくほど身持ちの固い子がねえ……そこらの考え方自体は自分と近いと思っていたんですが」


神風「私が建造受けたのは16歳だっけ。それから10年だから、生まれはあなたより2つ下になりますね。身体は16で実年齢は26か」


提督「その頃のアカデミーは黄金期でしたね。卯月さんとか陽炎ちゃんとかもか」


神風「これから私は背も伸びますし、髪も黒くなります。夢見もなくなって、艤装も神風刀も持たないそこらの女の子ですよ」


神風「鹿島さんのマンションで雷ちゃんとお風呂入っていましたけど、私の場合はノーでしたっけ。つまるところ、私は子供には見られていないわけだ」


提督「……」


神風「電さんは……歳は関係ないって考えるにはあまりにも覚悟が要りますよね。見た目的には小学生のままですから」


神風「間宮さんは基本受け身タイプです。言葉ではいえても、自分から強引な行動はしない。多分まだあなたがどういう言葉に弱いのか気付いていない風ですね」


提督「……」


神風「ズバン、ロープ斬りましたので立って」


提督「危ないです」


神風「私はあなたと出会えて良かったです。何の偶然か、男の人として初めて自分から歩み寄ろうとした人でしたから」


神風「信じられない話です。私もあなたと同じく異性嫌いだったのに」


神風「乙中将、丙少将、ヤッシー&ヨッシー、柏木さんにユウ君、北方を抜けてこの鎮守府を目指してから様々な男性に触れて、その人達が男でも理解できる存在のように思えます」


神風「あなたもそのはずですが、なぜか分からないけど怖いんですよね。それも分かりますよ。でも、私は」


――――ぎゅっ。


神風「もう乗り越えました! 好きな相手には自分から抱きつけます!」


提督「見習いたいものです……」


神風「間宮さんは受け身で、電さんは意外と恥ずかしがり屋ですから、こういう風に施してはくれなかったんじゃないかな」


提督「……、……」


神風「どう? 嬉しいですか?」


提督「別に……脂汗出てくる……」


神風「私に寄りかからないのは立派です。腕に抱かれて身を預けるのは女のほうだと思うので、後はあなたが私の背中に腕を回すだけでいいのですが」


神風「あなたは臆病過ぎますね」


神風「私、あなたと離れてから成長してけっこう良い女になったと思います」


提督「……、……」


提督「?」


神風「私からは絶対に」


神風「交際してくださいとはいいません」




* 物陰観戦勢


電「甘――――いのですう!」ジタバタ


春風「ああ、わたくしの胸のほうがときめいて」


大和「だ、抱き合って、ます……!」


大和「こ、今後の参考にさせてもらいます……!」


武蔵「抱き合ってはいねえな。神風が抱きついてるだけだ」


旗風「なぜなぜ――――」


旗風「司令補佐いい加減にして……!」


旗風「神姉にここまでさせて恥ずかしくないのですか! 男見せてくださいよ……!」


天津風「背中に手を回せば、回せばあ……!」


島風「キスまである流れ……!」


天津風「心臓がバクバクする……!」






神風「誤解されていますね」


神風「あ、ちょっと待ってください。深呼吸しますので」


神風「オーケーオーケー」


神風「願いごと、思い出したんです。なので」


提督「へえ、なんて書いたんです?」


神風「『今からあなたから』」


神風「『私を求める台詞をいってもらうための告白をします』」




* 物陰観戦勢


電「『今からあなたから私を求める台詞をいってもらうための告白をします』」キリッ


電「はわ……はわわわ……」


電「聞いてるこっちが恥ずかしいのです――!」ジタバタ


武蔵「落ち着け。それと大きい声は自重してくれ」


旗風(く、来る――――!)


大和「み、見てるこっちの胸の鼓動が」


天津風「激しくなるわね……」


島風「成功だよ成功。神風ちゃん最速だし」


天津風「准将もあなたと同じならいいわね(呆れ」


江風「ん、皆なにしてるンだよ?」


江風「物陰からこそこそと、あれは准将と神風……ンあ!?」


一同「お静かに!」


江風「むが」







神風「はい、末永くよろしくお願いします!」


一同「――――!」


電「……、……」


島風「ほらやっぱり!」


天津風「ちょっと江風さんのせいで肝心なところ聞き逃しちゃったじゃない!」


江風「知るかよ! そもそもお前らこういうの盗み聞きとかすンなよ! 趣味悪いぞ!」


旗風「春姉、でもあの台詞は!」キラキラ


春風「間違いありません……!」


大和「実りました――――!」


武蔵「電、お前今の聞こえたか?」


電「なのです……」


武蔵(……願い事周りが邪魔をしてまだ素直に喜べん)


コツコツ


神風「やはり見ていましたか」


旗風「神姉、おめでとう存じます……」


春風「ふふ、全てが報われていきますね?」


神風「ありがとう。本当、皆のお陰……」


神風「でも、盗み見していた皆さん」


神風「この事は絶対に内緒にしておいてね?」


大和「なぜです?」


神風「とにかく、お願いします」


武蔵「了解……」


天津風「すぐバレると思うけど」


江風「間違いねえ。江風達が黙っても二人の態度次第で即バレだぜ。そういうのに敏感なやつ多いンだぜ? 青葉わるさめ乙さん辺り特に」


神風「はあ、まあそれもそうか。司令補佐も周りにいいそうだし。なら前言撤回です。ただ今日はもう疲れたので広めるなら明日以降にしてください……」


大和「そうですね。とにかく、おめでとうございます!」


神風「大和さんが笑うだけで胸に来るものが……」


旗風「あの神姉が殿方と……旗は涙が」ほろり


春風「姉妹として司令補佐ともお話しておきたいことがありますが、明日にしておきましょうか」


武蔵「そーだな……今日は色々と疲れた」


電「とりあえずテメーらは帰るのです! 私は司令官さんとお話があります!」タタタ





電「司令官さん、あなたという人は」


提督「まあ、神さんがあれでいいなら自分としても断る理由なかったですし、こちらこそよろしくお願いしました」


電「想力で無理やり従わされたのでなければ私が口を出すことではないですね。ただあの損得の口説き文句、あれでは恋人というより、契約なのです。しかし、だからこそ司令官の首を縦に振らせた」


電「その方法は確かに効果的なのです……」


提督「ところで電さんは自分をなぜ縛ったんです。一緒にいた雷さんは?」


電「ごめんなさいなのです……話せません」



3


雷「……、……」


雷(これはあっぶない。あの時にみんな液晶画面に夢中で助かったわ)


雷(なるほど、神風さんが契約履行装置に書き込んだ辺りで排出されたから嫌な予感がしたものの、このメモリーは……)


雷(司令官の過去……)


瑞鳳「フムフム」


雷「瑞鳳さんこれ他言無用よ?」


瑞鳳「さすがにこういうことは喋らないですけども、まさか雷ちゃんが妙な挙動しながら手になにか持っていると思えば」


瑞鳳「私達も提督に過去は割れている訳でお互い様ってことで……」


瑞鳳「ほら、私達が知ってた過去。お母さんのこと。お父さんが亡くなって、お母さんとその新しい彼氏さんが葬式に来て、気持ち悪いとかいわれて、迎えに来てもらったのは遺産だけで」


瑞鳳「司令官ぽいっと置いてきぼり」


瑞鳳「勢いで海まで行って身を投げて、そこで仕官妖精と出会って深海妖精可視才能、それから前々から興味持ってた軍にって流れ」


瑞鳳「まあ……実の母にお父さん失ったタイミングでその仕打ちされちゃ提督がネジ飛ぶのも、女性不信になってるのも、人の気持ちを上っ面でしか理解できなくなってたのも、私達を殺すような指揮を取れるようになっても無理ないかなーって思ってたけども」


瑞鳳「きっかけに過ぎず、根本はこれですね」


雷「これは深海妖精可視才を手に入れてから、お婆ちゃん死んで軍に入る前までの出来事ねえ。この部分だけは私達にもひた隠しにしてたわね……」


瑞鳳「雷ちゃんのところの教団に世話になったのは聞いていたのですが……なにか知らないんです? 雷ちゃんのことだから在籍当時のことは調べてはいるんじゃない?」


雷「一応、ね。書類やデータ上では別に普通の子だったわね。1文無しの状態でいたところを教団の人が保護して調べた挙げ句、うちの院に入れた敬意はあるけど、別段問題は起こしたような跡はないし」


瑞鳳「院はまあ良いイメージあんまりないし、周りの男の子がやんちゃが多いのも頷けるけど、その子ともやって行けてますね。司令官もイジメられないよう立ち回ってただけみたいな」


雷「立ち回る……」


バァン!


瑞鳳「どしました……」


雷「おかしいわ」


雷「だって、これ異常よ。自分に非がないよう殺人計画立ててるし」


雷「普通じゃないわ……」


瑞鳳「普通だったら、電ちゃんが出会った時にクーリングオフしてるよ?」


雷「それはそうかもしれないけどそこじゃないわ!」


雷「見てよこれ! 特服来たやんちゃ集団に抗争させてる!」


雷「駅の構内、電車から降りたところで男の子襲撃してやんちゃ集団のせいにして抗争にまで発展させてるんだけど! 司令官をかつあげしてた少年、病院送りになってから少年院だし!」


瑞鳳「凄まじい……大人が金属バット電車に持ち込めばアレですが、ユニフォーム来た野球少年が金属バットを持ち込んでも確かにスルーはされそうですね……そういう社会の盲点をよく分かって利用してる……」


雷「立てた策が成功するかどうか。周りを実験道具、利用できるかできないかでしか測ってない。完全に闇に堕ちてるわ……」


瑞鳳「……まー、落ち着きましょ」


瑞鳳「そういうこと考えるのに躊躇いなければ、死も恐れていないし、なにかあって死んだ時はそれはそれで、か。すごい頭回る。こういう人は陰湿だねえ……自分が敵に回ったってことも気付かせない感じだ」


雷「これは人間不信全開の頃の司令官よ。まだ私達が提督として出会った頃のようにある程度の社交術を身に付けてもいない少年で」


雷「利用するかしないかの判断基準のみ」


雷「とんでもないわね……戦争の作戦を組み立てるように色々な問題に首を突っ込んでる。他人を利用して頭を回して策を立てて、戦争の指揮を執る練習みたいに相手を深海棲艦みたいに見て」


雷「地獄に叩き落としてる……」


雷「戦争終結に魂を捧げただけあるわね……」


雷「……気付かなかった」


瑞鳳「多分これ本人はそのつもりじゃなくても、私達とは上っ面になってる感じじゃないかな……」


瑞鳳「私達の中にも家庭環境が原因でこの道に来たのも多い訳で、みんながんばって乗り越えてきた。そんな自分と似たような境遇の私達だからこそいえないこともあるよねー……」


雷「……、……」



【4ワ●:元帥から】


提督「ところで多くの方が覗き見していたようですが、しっかり聞いたんですよね? しっかり台詞を聞かずに答えだけ聞いたのならば、雰囲気的に誤解されそうなのですが」


電「あ……確かにそうなのです。誤解、してそうですね。多分、皆さん神風さんと司令官さんがお付き合い始めた、と」


提督「」


電「私も一応お聞きしておきたいのですが?」


電「『想力により司令補佐が欠陥を治す機会に恵まれます』までは聞けたのですが」


提督「秘書官やりたいって」


提督「そこで気付きました。もう多分、自分の将来はそうなるんだろうなって。逃げられそうにありません。なので、腹をくくりました」


提督「欠陥を直さなければ……」


電「『その暁には私を司令補佐の――――』」


電「お嫁さんに――――」



電「ではなく」







電「『右腕にしてください』ってことなのです?」



提督「はい。そこはすぐ察したので、こちらからお願いしました。もしもそうなった時には自分とともに来てくれませんか、と」


電「末永くよろしくお願いします! と?」


提督「ええ……」


電「右腕というのは……?」


提督「お仕事のことですね」


コツコツ


元帥「右腕、ねえ。神風ちゃんは軍に留まりたいみたいだな」


提督「ですよね……」


元帥「お前の秘書官やりたいんだろ。お前の就職先についての書類は執務室に置いておいたからそれ読め。ゲーム屋にはさせんが、適性データはその柏木? とかに渡しておけばお前の代わりに実現させてくれんじゃね。どこまで企画進んでるかは知らねえけどさ」


元帥「腹括ろうや」


提督「大体読めましたが、元帥……」


提督「あなたは自分を見誤っております」


元帥「ほう、続けてみ」


提督「自分の性格的に謀略界に向いていると思っておられるようですが、自分はこれを克服することを目標にしております」


提督「もう嫌なんです」


提督「出会った人、駆逐の子達の無垢な笑顔に対しても利用価値を反射的に考えてしまうのは懲り懲りです」


提督「人として情けなく思う……」


元帥「わかってんじゃねえか」


元帥「その考えはこの鎮守府に着任してから芽生えたもんだろ。それでいいんだよ。それとも人の上に立つわしがお前みたいな兵士使い捨ての考えで元帥やってたと思うか?」


提督「いいえ……」


元帥「だろ。わしが合同演習の時からお前に欲しかったもんを、今お前自身が欲しがってるんだよ。とんでもねえ成長だぜ?」


提督「……」


元帥「戦争終結は自分のため、それがいつしか皆のためになった。そうじゃなきゃあの海で全員生還だなんて出来なかった。確かに築いた信頼関係の先に阿武隈ちゃんの旗艦としての折れない心が機能したんだよ」


元帥「終わったさ。そう、終わった」


元帥「戦争終わらせました」


元帥「後は偉いやつに、とか」


元帥「大人になって、もっと責任を見ろ」


元帥「想力周りで混乱してる。あれをどう扱うかで、世界人口恐ろしいくらいに変わる。もちっと想像してみろよ。今、苦しんでる人の大半は想力によって救われる。だからこそ扱いに困ってるの分かるな。どう社会に順応させていくか。いいかよ、お前は軍所属だが」


元帥「お前がやっちまったんだ」


元帥「発足する部門で初めに実際に想力に触れるのはそう多くはねえ。今、選別しているが、上のポストはジジイで埋まるだろ。そのメンバーの中に、と海軍からお前の名があがってる」


元帥「ここはぐうの根も出ない。役所連中は必死だが、お前は深海妖精の発見にて深海妖精論を広めて、ロスト空間で想力を理想の形で行使した。他の奴らも黙らせられる。お前以上の人材いねえし、そこが重要なんだわ」


元帥「繰り返しちゃダメなんだよ」


元帥「民衆や政府というくくりで見ると、過去の歴史からなにかを学ぶということはほとんどねえ」


元帥「他の奴に任せて、その結果どうなるかは知らねえけど、いい方向に動いても本来満足できるパフォーマンスをこなせるとは思えねえ」


元帥「絶対に自分なら、っていつか思う」


元帥「責任取らねえとまた後悔するよ?」


元帥「戦争終結させたのなら傷を癒さねばならん」


元帥「人はより多く社会に貢献できる道を往くべきだ。好きなこととか、やりたいこととか、信じていることは道を模索する手段の一つでしかないんだよ」


元帥「此方ちゃんもそうだ。お前の力で本当にもっとましな暮らしが出来る日が訪れるかもしれん」


元帥「遊び場だろうが現実逃避の先だろうが、散らかしまくりやがったのは間違いなくお前だ。世間みてえに軍の責任とか上層部のー、とか甘えたことをぬかすなって」


元帥「片付けはきちっとやれ」


提督「……」


電「……ジジイの言い分にも理はありますね」


元帥「電ちゃんからもいってやってくれない?」


電「司令官さん」


電「誰かに押し付けるのはダメだと思うのです」


電「阿武隈さんはキスカでそうして後悔した」


電「そんな時の阿武隈さんを司令官さんはスカウトしたのです。だからこそそこから全てを取り戻した全員生還まで導いてくれた司令官さんとの今の信頼関係があるのです」


電「過去から学びましょう。もう終わらないはずの夢は終わり、あなたは弱さと向き合わなければなりません。今のあなたはこの鎮守府の皆のように、手を差し伸べられる立場にあるのです」


提督「ですね……」


提督「元帥、その団体ですが……」


戦後復興妖精「もしかしてそのために私、生かされたんですかねー」


提督・電「……」


戦後復興妖精「おっす!」


電「どっちが本当のお前なのです……?」


戦後復興妖精「んなのどっちもだよ。お前、一人の時でも敬語とか使うの? 誰にでも仮面はあります。どっちが仮面か分からなくなってきたら現代病なので。かつてのトランスタイプのぷらずまさんなんかもそうですねー」


戦後復興妖精「まあ、私も戦後復興として力になりますんで」


戦後復興妖精「私としてはもう残りは何年生きようが、余生だ。もう老人だね」


提督「消えたものかと。詳細は……?」


戦後復興妖精「此方が契約履行装置使って手を打ってたんですー。お陰で私はラチられました。元帥やそこの甲大将にも妖精状態存在は把握されているので。姿的には人型なので幽霊ですけどね」


戦後復興妖精「ちなみに妖精といっても喋るくらいしか出来ませんが。ああ、それとお気遣いなく。どうやら私も此方と同じ運命を辿るようです。想力工作補助施設やらなんやらの事情を聞くためにマーマに捉えられただけですが、元帥さんからマーマのサポート頼まれました」


戦後復興妖精「司令室のほうに複製したメモリー幾つかあるから、よろしく。役立つと思います」


提督「……あなた勝てば何を書き込むつもりだったんです?」


戦後復興妖精「霧島と同じ。海の傷痕を理解する切欠に恵まれますように。最初期メンバーの願い事はこれ。まあ、負けちゃったから、自分の力で叶えれば、みたいなこといわれまして、私だけ残りましたー」


島風「あ! 戦後復興妖精さん!」


島風「も一回かけっこやろ! 体力回復したし!」


戦後復興妖精「やだね。くそだるい」


元帥「よし、わしとやろうか」


島風「速いの?」


元帥「速いよ」


戦後復興妖精「よーいドーン」


タタタ


元帥「あ、ごめ、腰が……」


島風「」


提督「元帥……」


提督「この欠陥、治します」


元帥「おう……まだ休暇はある。それまでは時間やる。提督としての職務は兵士の子達のアフターケアも含めてだしな」


元帥「覚悟決めてきてくれ。なに、心配は要らん。神風ちゃん秘書官にするなり、他の子も声かけてみるといいよ。龍驤辺りなんかは人付き合いとかその他もろもろこなせていいと思うぞ」


島風「大丈夫ー……?」


元帥「おお、ありがと。島風ちゃん」


島風「おう……無理はしないほうがいいよ」


戦後復興妖精「そうそう准将」


戦後復興妖精「これはどうしようもないことなんだが」


戦後復興妖精「トランスタイプになった『神風』、『瑞穂』、『電』、『春雨』の四人、解体してもなお想力がまとわりついてる」


戦後復興妖精「これを超能力と呼ぶか後遺症とするかはご自由に。解体した以上、身体も成長していくけど、人間離れした能力はついて回る。いつか自然になくなるとは思うけどそれまでの我慢」


提督「元帥はご存知なのですか」


元帥「さっき聞いた。まあ、仕方ねえだろ」


電「本当なのです……こんな大きい石が持てたのです。人間離れしたこれは建造パワー……」


電「前向きに考えて、護身用のなにか持たなくても済むと思えば……」


戦後復興妖精「神風の願いはさっきので間違いないのか?」


戦後復興妖精「『想力により司令補佐が欠陥を治す機会に恵まれます』」


提督「本人いわく、らしいです」


戦後復興妖精「治す機会に恵まれます」


戦後復興妖精「気を付けてくださいよ」


戦後復興妖精「なにが起きるかわかんねえ」


提督「ここからの自分は酷く無様ですが」


提督「甘んじる以外なさそうです。どうやら神さんは想力を扱う人材において自分より高いところにいます」


戦後復興妖精「そーですね。あれは仕事の相棒として適任だ。あいつ、想力工作補助施設を開発しても不思議に思わねえし。追い付かれるどころか、追い越されましたねー」


電「私も出来る限り、手伝います」


電「恐らく此方さんの幸せの道はこれ一本なのです。想力周りで貢献してもらえば多少は一緒に町にでも遊びに行けますかね……」


元帥「ああ、それと今すぐ食堂へゴー」


提督「?」


提督「あ、阿武隈さんから電話だ。どうしました?」


阿武隈《提督――――襲来です!》


提督「落ち着いてください」


島風「おっす!」


「おっす! 夜中なのに元気な子が多いですねー!」


提督・電「……」


提督「あ……あなたは確か」


元帥「あ、来たかー」


「はい♪」


電「私は見覚えないですが、どちら様なのです?」


「ぷっぷくぷう、初めまして! うーちゃんの」


「ママだぴょん!」


提督・電「」



【5ワ●:卯月ママがやって来た!】


卯月ママ「夜分に急に押しかけちゃってごめんなさいねえ。こちらに出張がありまして、いつでも来ていいよー、とのことでしたので」


卯月ママ「一応、軍のホームページも見たんですけどね。今の鎮守府は兵士の家族でも立ち入り禁止でしたが……准将さんからは都合が合う日ならいつでも、と連絡頂いておりましたので」


卯月ママ「なぜか携帯繋がらないし!」


提督「すみません……」


提督「そうですね……卯月さんのお母様は多忙で海外にいることも多いですから、都合が合う日なら国内ならばこちらから出向こうと思っていたのですが、鎮守府に来てくれても、と連絡しましたね」


卯月ママ「まあ、タイミング悪かったみたいですが」


提督「ゴタゴタしたのも収まりましたし、ちょうどこちらから連絡を入れるつもりでした。多忙とのことで中々、都合日程が合わなかったので、事前の連絡通りに関係者の鎮守府訪問はこちらから指定している日であれば常にウェルカムです」


卯月ママ「良かった。元帥さんや甲大将さん、乙中将さん丙少将さんにはお会いしたんですけど、皆さんお顔ひきつってらしたので、迷惑だったかなーって」


提督「ハハハ」


提督(良い意味でも悪い意味でも話題になる有名人ですからね……)


電「まさかブリティッシュラフラビッツの総帥が来るとは。あ、お茶なのです」


卯月ママ「ありがとうね。んー、これが最高勲章の電ちゃんか。可愛いけど、なんだか見た目に似合わない雰囲気をまとってるわね。少し雄々しいというか、甲大将さんと同じモノを感じる」


電「恐縮なのです……」


卯月ママ「なんか電ちゃん顔が強ばってない?」


甲大将「あなたこっちでも有名人なので」


卯月ママ「あはは、なんか会社のPRに利用しちゃってごめんなさいね。艦兵士は外内ともに個性的で可愛い子、多いから絵になるんですよね。軍人とか関係なしに目を惹くんですよ」


卯月ママ「あ、闇のオリTを着てくれていた子も多かったですね! ありがとうございますー」


甲大将(あれこの人の差し金かよ……)


提督「その度はありがとうございました」


甲大将「いつの話?」


提督「海の傷痕大本営襲撃から自分が研究部に出張していた間に、届いたようで。龍驤さんと初霜さん、阿武隈さんからもご厚意でもらったモノとお話は聞いております」


提督「ああいう1体感で高揚する兵士も多かったので」


卯月ママ「それは良かった。ええと、そちらは?」


北方提督「お初。北方鎮守府の提督で、先々代の響だよ」


卯月ママ「あ、なるほど。響っていうのも納得。髪を白く染めてるんですよね。クォーター、かな?」


北方提督「祖母がロシアだからね」


北方提督「ところで随分とお若いですね。私も童顔だといわれるけど、私よりも歳が下にしか見えない……」


卯月ママ「36です。月日が流れるのは早いですね」


一同「36……?」


提督「ちょ、ちょっと待ってください。卯月さんの建造年は確か」


電「12+艦兵士歴ですので……」


電「はにゃ――――!」


甲大将「14歳か……!?」


北方提督「14で子供を産んだのかい!?」


卯月ママ「ええ」


北方提督「女傑……! 私はその歳はもう軍にいたか。軍学校で暁と雷と遊んでた頃じゃないか……」


卯月ママ「立派とはまた違いますよ。私、あの子のことで周りにとても迷惑かけてきたので」


卯月ママ「特に親には。いまだに母としては不出来なもので放任的です。まあ、あの子は幸いながら性格のほうは父のほうに似てタフなので、あまり手はかかりませんが」


北方提督「父親は」


卯月ママ「お腹の子残して事故で死んじゃったなー」


北方提督「申し訳ない……」


卯月ママ「お気になさらず。もう大分前に母子共に割りきれていることなので。娘の父の評価は低空飛行ですが」


ガラッ


阿武隈「失礼しまーす。ダメです。卯月ちゃん完全に寝ちゃってます」


卯月ママ「あ、阿武隈ちゃん、おひさー」


阿武隈「はいっ、ご無沙汰です!」


電「卯月さんと仲良いのは知ってましたが、お母さんとも仲良いのです?」


阿武隈「ええ、お世話になりました。家族みたいに接してもらっていましたので」


卯月ママ「むしろ、私の代わりに卯月の面倒見ていてくれていた子というか。ありがとぴょん♪」


提督「ああ、そういえば解体してからの居住地が卯月さんと同じだったかな?」


阿武隈「留守にしている実家を貸して頂いてそこで卯月ちゃんと。かなり癖のある人ですが……良いお母様ですよ!」


阿武隈「ちなみに今なら睦月型の皆と由良さんもいますよ?」


卯月ママ「会ってもふもふしたいけども」


卯月ママ「決して大団円なわけじゃないですが、狙える範囲では最高の結果で戦争終結しましたね。お陰で景気もあがりつつてんやわんや」


卯月ママ「笑っている子も多いそうですし」


提督「ですね。そこはこちらとしても安心している点です」


甲大将「まあ、みんな大丈夫だろ」


北方提督「あ、泊まってく? 色々と聞きたいことがあるよ」


電「あなたはフランクですね……」


卯月ママ「私もそうなので、お構い無くー。今日は提督さんとお話に来ただけですし、明日の朝早くから予定ありまして、これ終われば仕事のほうに向かうので、遠慮させていただきます」


北方提督「そりゃ残念だ。リシュリューとかガングートが興味持ちそうなだけに」


卯月ママ「あ、その二人とも機会があればお話したいですね」


北方提督「私に連絡もらえればいつでも」


卯月ママ「了解です。ところで艦兵士の皆さんってやっぱり配属変わっても軍に残る人が多いんですかね?」


提督「いますけど、進学や民間への就職希望の子のほうが総数的には多いですかね。駆逐の子が多いので、支援施設で認定もらって中、高、大へ進学が多いですね」


卯月ママ「アパレル業界に興味ある子はおりますか? ファッションモデルやりたいって人もいればぜひ紹介してください」ニコ


電「それが本命の用件じゃ……」


甲大将「選択肢が増えるのはありがたいことだし、いいんじゃね」


卯月ママ「阿武隈ちゃんもおいで♪」


卯月ママ「私と一緒に働こ?」


阿武隈「あたしは進学するので……」


卯月ママ「おっけ、会社の皆に阿武隈ちゃんと由良ちゃんは卒業してから一緒に来るって伝えとくね♪ あ、学生やってておこづかい欲しくなった時は声かけてね?」


阿武隈「」


提督「阿武隈さんと由良さんは就職先決まりましたね。こちらからも皆さんに聞いてみます。確かアパレルに興味ある子もいたはずなので」


卯月ママ「よろしく!」


北方提督「ふむ、みんな将来のこと考えて偉いね……」


卯月ママ「来ます? ウェルカムですよ?」


北方提督「私はファッションはいいや」


卯月ママ「実年齢と容姿が食い違っているっていうのは武器だと思うんですけどね」


甲大将「北方はどうなんだ?」


北方提督「駆逐の子達はまだみんな悩んでる。悩むなら学生やっておけばいいよ、といってあるくらいだね」


卯月ママ「そういえば娘とは連絡のやり取りしてましたけど、准将さんは娘からの評判がやたらいいですね。最初はどうなることかと思ってましたが、あの子がなつくなら悪い人ではないはずですね。私より人見る目ありますから」


提督「恐縮です。やっぱりそういうの連絡されるんですね」


卯月ママ「前任者のフレデリカさんのこともありますから」


提督一同「ああ、なるほど……」


卯月ママ「超個性的な人だとは思ってたんですが、見抜けなかったですね。ま、過ぎたことですし、准将がいうには戦争終結においてはフレデリカさんの功績も多大らしいですし……複雑ですが」


提督(瑞穂さんのことも知ってそう……)


ガラッ


乙中将「疲れた……ちょっと北方さん、スヴァボーダさんが僕の頭に降りたんだけどなんとかして」


北方提督「スヴァボーダおいで」


バサバサ


北方提督「よしよし」


乙中将「……あ、卯月ママ」


卯月ママ「はい♪ ところで乙中将って未婚ですよね?」


乙中将「ですけど、それがなにか」


卯月ママ「紹介したい子がいるなって」


乙中将「どうせビジネスのためでしょ……」


卯月ママ「噂の通りに察しの良い方ですね。アイヌの伝統衣装。目をつけている分野でして」


乙中将「無理だって。あれ、地元のアイヌの方の手作り品で想いを込めて作ることに意味のあるものだから。紋様一つにも儀式的な意味が込められたものだよ」


卯月ママ「存じております。1着がものすごい高価な代物で数が少ないんですよ。そういったものは文化価値があるので、大量生産大量消費は難しいのですが、需要がありますよね。欲しがる人たくさんいます」


卯月ママ「一部、商品として流れていますし」


卯月ママ「あなたと籍を入れて一族に嫁げば有力アイヌ民なので、その衣装の手作り品質で、お土産的な立ち位置で有力な販売ルート開通できないかなって♪ 北海道の支店がアイデア持ち込みましたが、中々首を縦に振ってもらえず。私があなたのお家に営業かけたのですが、いや素晴らしい美術品の数々をお母様から拝見させていただきました」


乙中将「うおお――――い!」


卯月ママ「あはは。それと紹介したい子は乙中将に興味持っていて、とても可愛い子ですよ? あなたと歳は同じです」


乙中将「……ぇ」


電・阿武隈(揺れちゃうんだ……)


乙中将「紹介してください」


卯月ママ「ありがとう。喜ぶと思います!」


提督「ご縁に恵まれましたね。卯月さんのお母様は思っていた以上にフレッシュな人です……」


卯月ママ「甲大将……」


甲大将「無理」


卯月ママ「ですかー……准将も未婚ですよね」


提督「未婚ですが、遠慮です……」


卯月ママ「残念。あ、乙中将、連絡先教えておきます」


乙中将「どーも……」チラッ


甲大将「……准将、こっち」


ヒソヒソ


甲大将「神風の願い事周りでなにかあったか?」


北方提督「神風の提督として私にも聞かせてくれ」


提督「……ええ、特定な関係に対してトラウマが起因で立ち直れず。一言でいえば『想力により治る機会に恵まれますが、治ったら右腕にしてください』ですね」


北方提督(……なーんだ、秘書官的なことか。素直に喜べないな)


甲大将「なるほどね……想力周りは伏せておいてくれ」


提督「了解……失礼」


提督「自分にはトラウマがあるのですが、治すの手伝ってくれるといってくれまして」


戦後復興妖精「おはようございます♪」


戦後復興妖精「別に人材不足って訳じゃないのに、そんなに艦兵士は利用価値ありますか。そうですよねえ。あの子らほどの人材はいないでしょう。どの分野でもメンタル的には大丈夫ですよー」


電・提督「……」


戦後復興妖精「昔話で教わった♪」


戦後復興妖精「欲張りは」


戦後復興妖精「後で懲らしめられる♪」


提督「ちょっとすみません」


戦後復興妖精「念のために釘を差しておいたほうがいいかなって」


卯月ママ「……」


戦後復興妖精「気づかないふりしても私には分かるんですよ。卯月のお母様、妖精可視才ありますよね?」


提督一同「マジか……」


戦後復興妖精「知らないんですねえ。この人、妖精を企業運用計画のプロジェクトに携わってたんですよ。人材雇用の面において妖精は無賃ですので。妖精さんって改造した時、服とかも一新させるじゃないですか。なので、アパレル業界はなんとか運用化に割とガチでした」


乙中将「商魂たくましい……」


卯月ママ「さっきのは笑ゥせぇるすマン?」


戦後復興妖精「ああ、ありゃ名作です。個人的にゃあの作者は手塚治より好きでーす」


卯月ママ「私は明日のジョーかな。古いやつなら」


戦後復興妖精「当時は日本で販売されたマイセンとかいう不味いタバコ吸いながら、連載の終わりを嘆いてた人がたくさんいました♪」


乙中将・甲大将「……」


卯月ママ「なんかこの妖精さん、最初期から生きてそうですね。私はなるべくヤバい案件には触れないようにしていますので見なかったことにしておきますー」


戦後復興妖精「賢いですね。あー、道理であの場にいた此方に触れなかったのね。私ももう一回、悪い島風ちゃんやろうかなー……」


阿武隈「妖精さんいるんですか?」


戦後復興妖精「電、可視才ない阿武隈には伝えといてー」


電「戦後復興妖精さんが事情あっているのです」


阿武隈「……え」


戦後復興妖精「あ、自己紹介がまだでしたね。海の傷痕、当局此方から生まれた戦後復興妖精の悪い島風ちゃんと申します。趣味は欲深い人間を騙くらかすことでーす」


卯月ママ「え、私、騙されちゃうのか」


戦後復興妖精「いいです。私は騙す相手を選ぶんで」


卯月ママ「私は無理なの?」


戦後復興妖精「戦後復興装備一式ありゃ誰でも余裕だけど、今の私は丸裸ですのでー。もうわだかまりもなくなりましたし、幸せにもなれたので」


戦後復興妖精「まー、会社がでかくなるとポストには信用できる人材を置きたいですよね。娘さんは継ぐ気はなさそうですし」


卯月ママ「まあねえ……それならそれでいーのよ。あの子には好きなように生きて欲しいしね?」


戦後復興妖精「旦那さん深海棲艦に殺されたんでしたっけ? 娘さんを軍の在籍許したのはそこですかー?」


卯月ママ「だったら私が提督になって娘とともに深海棲艦をぶっ殺してます♪」


電・阿武隈「……」


戦後復興妖精「想力周りは探ろうとしないほうが身のためよ。色々な奴等を敵に回しますからね。と忠告だけ」


卯月ママ「いや、興味あっただけです。ビジネスに携わる人ほとんど興味持っていると思いますよ?」


戦後復興妖精「ふうん、私からは終わり」


卯月ママ「だそうですけど、私、大丈夫ですかね」


甲大将「まあ、想力に関してはこちらでも制御に困るものだから、まだ置いておいたほうがいいぞ」


卯月ママ「でしょうねえ……どこも見の状態でコネ使って研究部からの情報仕入れるに留まっているみたいですし」


卯月ママ「不安の種ではありますが、別にそこ探ろうとした訳じゃないので安心してくださいね♪」


卯月ママ「本題に戻っても?」


戦後復興妖精「どうぞ」


卯月ママ「娘はどうでした?」


提督「日常態度はともかく、仕事に関してはどの面から見ても一流の働きをしてくれました。公開しているデータを見てくだされば。実態は数値にならないところもあるのでそれ以上の働きです」


提督「年数的なものもありますが、それでもこの年数で深海棲艦撃破数に至っては駆逐艦トップクラスですし、自分も含めて鎮守府の全員が頼りにする戦力でした」


電「まあ、一言でいうと、強いのです。うちの方針的に結果出せば日常での振る舞いなど対して問わない方針でしたが、卯月さんは文句なし、なのです」


卯月ママ「そうですか……」


卯月ママ「学校の先生に聞くようなこと聞いて申し訳ないのですが」


卯月ママ「私は良い母親とはいえないので……」


阿武隈「そんなことはないですよ!」


卯月ママ「ありがとー。でも、世間一般からして良い母親じゃないからね。私は14、しかも父親がいない状態、自分の意思を通してあの子を産んだ。私自身がまだ誰かに育ててもらうほうでした。子供の教育だなんて、あの子自身にも、周りにも迷惑かけっぱなしな上」


卯月ママ「18を越えたら私は母にあの子の面倒を任せて、自分の夢を追いかけた始末です。しまいにはあの子に仕事手伝わせる始末ですし、世間一般から見たら最悪な母親の類ですよ」


提督・電「……」


卯月ママ「……」


提督「別に子供を見捨てた訳ではないんでしょう」


電「なのです。私なんか赤ん坊の頃に捨てられましたからね。施設の前に犬みたいに置き去りにされたのです」


卯月ママ「お二人の過去がとても壮絶そう……」


北方提督「子供が幸せならそれでいいだろう」


北方提督「親は子供を幸せにすることが義務ではないと思うよ。子供は自由にやらせると、遅かれ早かれ幸せの尻尾を見つけてくる。その道中、子供が不幸になりかけた時にどう導くかのほうが重要だと思う」


北方提督「私も離婚した母親を頼りに尋ねた時、そうしてくれて今の私を手に入れたから」


提督「そうですねえ。お母様は過去のキスカ事件の後も卯月さんのために戻って滞在していたんですよね」


阿武隈「あたしも大変お世話になりましたしね! ぶっちゃけると家族の食卓に混ぜてもらえていたこと、大変励みになりました。卯月ちゃんとお母様の会話とかにもです、はい」


甲大将「へえ……そんなことあったのか」


乙中将「あのー、なぜ娘さんを軍に入れたんです? 聞いている限り本当に会社の宣伝目当てじゃないですよね?」


卯月ママ「得意の嗅覚で当てをつけてみて♪」


乙中将「……『卯月』の適性だから」


卯月ママ「准将、以上の情報を踏まえて?」


提督「……、……」


提督「兵士として戦争に行く。そのリスクよりも」


提督「駆逐の中には家族に恵まれなかった子が多くいます。それに睦月型は姉妹が多いですから、一緒の時間があまり確保出来なかったあなたは娘が希望した進路を尊重した、わけですかね」


卯月ママ「素晴らしい。当たりです。加えるのなら、あの子もそこら辺りを理解して飛び込んだのだと思います。睦月型の仲間とか、長良型とか、私と一緒にいる時より楽しそうで」


卯月ママ「キスカの時は懸念していた戦争のリスクが裏目に出た、とは思いましたけども」


卯月ママ「戦争終結の放送が大本営から流された時、すぐに兵士の被害状況を確かめました」


卯月ママ「かつての大戦が産み落とした」


卯月ママ「海の傷痕という歴史最悪の怨霊船に加えて深海棲艦3桁の歴史に類を見ない大激戦です。それを相手に死亡撃沈なし、出撃兵士の全員生還の達成」


卯月ママ「加えて、大和、由良、長月、菊月、長月、弥生のメンバーまで帰ってきました」


卯月ママ「想力なんて実際のところ、私にとっては小さな話です。あの子はやり遂げて、これから命を賭けて背中を預けあった仲間の皆と一緒に普通の一般人として同じ時代を生きていける」


卯月ママ「これ以上ない完全勝利報告」


卯月ママ「まるで幸せなお伽噺ですよ」


卯月ママ「ああ、すみませんね……歳を取る度に涙腺がね」


提督「……」


卯月ママ「正直に申し上げますと、世界を、というより」


卯月ママ「過去に戦死者もいる戦争で不謹慎だとは思いますが、娘をここまで導いてくれた対深海棲艦海軍の皆様には感謝してもし足りません。心からお礼申し上げます」


卯月ママ「ありがとうございました。本日は夜分遅くごめんなさいね。ただこれだけお伝えにあがろうと思いまして」


乙中将「そっかあ……」


甲大将「提督としてもこういうのが一番報われるよなあ」


提督「不粋の極みとなるのですが、報告しておきたいことがありまして……」


卯月ママ「なんです?」


提督「自分、卯月さんも阿武隈さんも戦争終結のために利用価値があるからスカウトしただけです。全員、そうですね」


提督「別にその道中、十分な利さえあれば戦死させることも頭に考えておりました。具体的に申し上げますと、深海妖精を発見する行程で戦闘になった時、相手をSSクラスの深海棲艦戦力だと想定し、兵士を使い捨てる気でした」


提督「しかし、その道中になんか人を好きになる気持ち、思い出しました。でも今も無垢な笑顔を向けてくれる子供相手にすら、頭のどこかで必ず相手の利用価値を勘定する毎日です」


提督「なんとかなりませんか……」


提督「無償の愛を身につけたいです」


卯月ママ「なんでそうなったのかの理由は、まあ、娘から聞いていましたが……母親の件で相違ないですかね」


提督「初対面のあなたにお話するのは申し訳ないのですが、母親という存在からどうやら本当に感謝されたようなので」


提督「卯月さんが知っているであろう情報に加えるのなら、あれから姿を見かけたことがあります。団体に世話になるまで、さ迷ってた時です。1ヶ月くらいかな」


卯月ママ「なにしてたの?」


提督「知らない男とパチンコ打ってました」


提督「こっちは腹減らして死にそうなのに。父さんと婆ちゃんが死んだ時、持っていった金で遊び呆けて楽しそうでした」


提督「あんな風になれば天罰が下り、地獄に落ちると思って、ああはならないよう、憎しみでやり返すことはしませんでしたし、将来もしも自分を頼ってきても他人の振りを決め込むつもりでしたが」


提督「団体に世話になって一年後、自分の母の行方が掴めたとのことで、どんな暮らししているかと思えば」


提督「男の人と一子を築いて幸せに暮らしていました」


提督「周りからは愛もあり、裕福であり、羨まれるような家庭を築いておりました。団体の方が自分の話をすると、その夫妻は血相を変えて怒ったそうです」


提督「下品ですが……こほん」


提督「あの女とあの女の子供、殺そうと思いましたが、そこは思い留まりました。しかしその時に神様は悪者に天罰を下さないことを知りました。下すのは人間です。そこから更に拗れたのだと思います」


提督「情けない話です。いつかは時が癒してくれる傷痕だと思っていましたが、一向に癒える気配がありません……」


卯月ママ「……」


提督「……、……」


提督「はは、すみません……」


提督「そろそろ病院、行ってきます……精神的な病だと日本人って相当アレにならないと行かない人が多いですよね……」


卯月ママ「なるほどね……そんなことあれば自分からは女性信用できないのも無理ないわ……友人以上の関係を拒んでしまうのも分かる……」


卯月ママ「私は医者じゃないけど、治る治る」


乙中将「むしろ医者じゃ治せなさそう」


甲大将「お前がいうと絶望なんだよ……」


北方提督「なんで治す必要あるんだい?」


提督「え」


北方提督「艦兵士の皆は私達が思う以上に提督のこと見ているよ。君のそれは周知な以上、そこをくるめてなお好きだと思われていることに気付こうよ。日常生活に支障を来すほどじゃないし」


提督「頭では分かってはいるんです……」


提督「でもどうしてか」


提督「怖いんです……治したいですし」


北方提督「……」


電「ま、治りますよ」


電「司令官さん、神風のこと別に悪い印象ではないんですよね。自分がそう見てしまうだけで」


提督「そうですね……神さんは悪い人ではないし、むしろ似たような境遇の持ち主で自分のこの傷にも理解を示してくれています……」


電「私には出来ないことなのです。間宮さんも難しいですね」


電「要は神風は、司令官さんのそれを治るよう願いごとしてくれました。あいつも私と同じような目線で司令官さんの幸せを考えている輩だというのは先の戦いの最中に分かりましたので」


電「神風の前向きな姿勢は司令官さんも見習って欲しいのです」


北方提督「というか……乙中将や丙少将と女遊びするとかいう話を聞くんだけど」


提督「最初はお酒の勢いを借りましたが、お陰様でもう商売という関係があれば女性の苦手意識はなくなりました。大きな一歩だと思うのですが」


北方提督(あれ……これ神風かなり上手くやったんじゃないか。例えそういう目的の契約でも後はやりようで)


北方提督(准将、落ちるんじゃないかな……あ、これあれだ。北方の皆と緊急会議しなきゃ。作戦名はどうするか……)


卯月ママ「治して、結婚したいの?」


提督「いえ、仕事やら約束やら理由は色々と」


提督「それと、それなくした状態で真剣に答えを思案したい相手がおりまして。恐らくその上での答えじゃないと、いつまでも納得してもらえないと思います。ほんと待つのが好きな人なので……」


電・阿武隈「!?」


卯月ママ「いやー、相当惚れられてますね。十代とか二十代に戻りたくなってくる恋ばなだわ……おばちゃんにとって餌よ餌! はいこれ連絡先、娘から准将さん達のライン教えてもらうねー」


提督「構いませんよ……」


北方提督「電、阿武隈、ちょっと」グイグイ


北方提督「間宮さんだよね?」ヒソヒソ


電「間宮さん以外いないのです」ヒソヒソ


阿武隈「間宮さんの粘りが効いてますね」ヒソヒソ


北方提督「悪いが、私は神風の応援をする」ヒソヒソ


電「だから、私と同じで神風のやつは司令官さんの相棒志望なのです。あいつが秘書官だと答えを出した以上、恋愛関係の優先順位は低いのです。間宮さんとくっついても祝福してくれるはずなのです」ヒソヒソ


北方提督「ええ、そっちのが面白くないかい?」ヒソヒソ


阿武隈「個性自重させてくださいよ」ヒソヒソ


電「まあ、私がガチになって4年待ってもらうルートもなきにしもあらずなのです。私がその気になれば一気に本命なのです」ヒソヒソ


阿武隈「それはないかな……確かに電さんは大人になれば綺麗と可愛いを合わせた美人に成長すると思いますけど……」


卯月ママ「さて、そろそろおいとましますか。その悩みはきっと解決しますよ。このくらいしかいえなくてごめんぴょん♪」


提督「いえ、愚痴に近くなりましたし、こちらこそ申し訳ないです」


提督「では、近くまでお見送り致します」



【6ワ●:准将と神風? 反応に困る】


リシュリュー「リシュリューは関係ないわ。日本ではなんていうんだっけ、あなたがやろうとしていることやると、ええと」


ガングート「人の恋路を邪魔するやつは馬に蹴られてとかなんとか」


リシュリュー「それそれ」


ビスマルク「あれこれ介入したくないわよ」


北方提督「邪魔じゃなくて応援するんだからね?」


北方提督「加えて恋じゃなくてビジネスパートナーか。秘書官みたいなものだね。それでもくっつけたくない?」


隼鷹「あんたがやるとこじれるだろー……」


ポーラ「そこは同感ですねえ」


北方提督「北方大人勢、冷めてる……」


北方提督「そんなんだから全員いまだに彼氏出来ないんだよ!」


リシュリュー・ビスマルク「私に見合う相手と出会わないだけ」


北方提督「出た出たリシュリュービスマルクのお高くとまった発言! そうやって彼氏出来ないまま年金もらう歳まで逝くといい! 建造して見た目若いままだからっていっても心のほうは確実に老けていっているんだよ!」


北方提督「こんなに綺麗で性格も最高の私が彼氏出来ないんだ! 危機感持とう! シャイな男性が増えた以上、もう女が待つ時代は終わったのさ!」


隼鷹「ダメだこの大人」


ビスマルク「隼鷹にいわれるなんて可哀想……」


ガングート「疲れてるってのに夜中に叩き起こされてどんな話かと思えばくだらないにも程があるだろ……」


隼鷹「修学旅行の夜のノリ持ち込まれてもな……足柄のやつ呼んでお二人で盛り上がるか、そういうのに興味津々な駆逐の子達とろーのやつで会議すれば……」


ポーラ「ろーちゃん三日月ちゃん天津風ちゃん辺りは可愛い反応が見れそうですねえ……」


ビスマルク「望月と若葉は私達と似たような反応でしょうね」


ガングート「島風はなんて反応するのか分かんねえ……」


ポーラ「そもそも彼氏いない私達に何のアドバイスが出来るんですかあ? このメンバー、恋したこともなさそうだし、その分野ではもともと神風ちゃんが一番よく分かってるような気がします」


ポーラ「だから、神風ちゃんは准将を口説けたんですよ。下手に私達が水差すのは悪手なので、神風ちゃんから相談持ちかけられた時だけ悩めばいいと思いまーす」


北方提督「酒飲め! アルコール抜けたポーラなんかポーラじゃない!」


北方提督「とにかく神風のことは露・独・伊・仏・日の女性陣の力を合わせて支援するべきだよ!」


隼鷹「そもそも艦兵士で恋愛経験あるやついるのか? なぜかあんまし聞かない不思議だよなあ……」


リシュリュー「確か、誰だっけ……」


リシュリュー「あの二式大艇の子が男の子追いかけて軍に来たって話が有名よね。その子から聞けば?」


隼鷹「あー、秋津洲のやつか。二式大艇が男追いかけて軍に来たって何事だよ……」


ビスマルク「今はもう春風旗風がいるんだから放っておきなさいよ。あの子達、街で学生やってて男からアプローチ受けてるって話だし、准将とも付き合い長いんだからどう考えても丁の鎮守府連中のが適任でしょ」


北方提督「あ、そうだね!」タタタ


一同「ないすビスマルク。寝よ寝よ」



2 翌朝


卯月《ぴょんぴょんぴょ――――ん》


卯月《面白い話を聞いたので、本日のモーニングコールはうーちゃんがするし》


卯月《対深海棲艦海軍にカップル誕生!》


卯月《司令官と神風のやつだぴょん!》




瑞鶴「え、翔鶴姉、今、卯月が放送でなんて?」


翔鶴「神風さんと提督がお付き合いを始めた?」


瑞鶴「なんだやっぱり夢か……おやすみ」


龍驤「邪魔するで!」


瑞鶴「邪魔すんなら帰ってやー」


龍驤「……」


ツンツン


瑞鶴「ドリルすなー」


翔鶴「長くなるのでストップです」


龍驤「この件にどう反応すればいいの?」


瑞鶴「まあ、様子見てればいいんじゃないの。絶対に二人の間には『契約』があるだろうから」


翔鶴「うーん、勝者の特権である願い事の影響ですかね?」


龍驤「やっぱりそれなんかなあ……」


瑞鳳「失礼っ、朝ごはんが出来ましたよ」


翔鶴「あ、瑞鳳さん聞きましたか?」


瑞鳳「はい。おめでとう、は違うか」


瑞鳳「がんばれ、じゃないかな?」


瑞鶴・龍驤「それ」



2


わるさめ「スイキちゃあああああん!?」


瑞穂「うるせえ、刺すぞ。後その呼び方止めてよね」


わるさめ「ああ、瑞穂ちゃん、司令官が落ちたってありえねえよな。神風が想力利用して面白い魔法使ったな!」


わるさめ「あの二人はつまんないだろー。神風のやつも奥手っぽいから一年付き合っても手を繋ぐくらいの進展しかなさそうだし!」


瑞穂「そこ? 面白いか面白くないか……?」


わるさめ「そこ以外なにがある!」


3


響「司令官は駆逐でも良かったのかい……?」


雷「どうせ想力効果でしょ、昨日のMVPなんだから多少は大目に見てあげなきゃね。司令官にしか被害なさそうだし、あれなら私が力になるし!」


暁「司令官がそうかあ……」


暁「そっかあ……」


暁「距離感とか考えなきゃダメかな? あまり司令官にベタベタすると神風さん嫉妬したり、怒ったり」


響「微笑ましいって笑ってくれるんじゃないかな」


暁「はい響ぷんすか! 子供扱いしたでしょ!」


暁「電、神風さんに当たっちゃダメだから……ね……?」


電「分かってるのです……ん、あれ?」


響・雷「……」


暁「ぴ、ぴぎゃあああああ!」



4


初霜「い、今のは卯月さんの嘘ですよね?」


若葉「本人達に聞けば……」


初霜「冷静に考えれば願い事かな? ほとんどの人が願い事関連の影響だと考えそうですね」


若葉「いずれにしろ北方では神風が准将にお熱だったのは周知な訳で」


若葉「偽りなら准将も神風も地獄を見るぞ」


5


ろー「でっち、今の聞きましたか……!」キラキラ


伊58「うん、まあ」


伊19「ゴーヤ……」ヒソヒソ


伊58「提督さんに限ってあり得ないよ」


伊58「ろーのやつが『おめでとう』って満面の笑みでいうかも。それが契約だの想力だのでの一時的なものだとなると……」ヒソヒソ


伊19「ろーが泣いちゃうかもなのね……」ヒソヒソ


伊401「准将がどう思われてるか分かる会話だ……」


伊14・伊26「おめでたいね! テンションあがってきた!」


伊13「え……これはむしろ不吉なのでは」


6


金剛「ノ――――!」


榛名「朝から幸せな報告が聞けましたね!」


金剛「私は納得行かないデース!」


比叡「まあまあ、金剛お姉様、准将もがんばっているんですよ」


霧島「しかし、准将を口説き落とすとは中々やりますね」


霧島「……金剛お姉様、想力絡んでると思うので、長続きするとは思えません。とりあえず様子を見ましょう。願い事は勝者の特権でもありますから」


金剛「ぐ……確かに昨日の神風は文句なしのMVPデース!」


金剛「でも、どういう感じのお付き合いなのか知りたいネ……」


榛名「真剣なお付き合いならバーニングラブも自重しなきゃなりませんね……あれが見れないのは榛名としては残念ですけど」


7


陽炎「はあ、今日はあの二人と会わないほうが良さそうね」


不知火「他の皆さんも絶対に裏のある交際だと思っているかと」


陽炎ちゃん「准将のほう神風に気があるように見えなかったしね……」


黒潮「うちは聞かんかったことにしとこ」


8


ガチャ


明石君「アッキ――――! 聞いたか今の!」


秋月「ちょ、ちょっとアッシー!」


山風「失せろ……ここ女性寮」


照月「危ない……もう少しで着替え見られてた」


明石君「兄さん神風のやつと出来たとか」


明石君「あいつ行けたならアッキーも行けたよなって! 俺もっとアッキー推しとけば良かったわ! だってアッキーのほうが可愛いし納得できねーよ!」


秋月「そういうのいい加減止めてくださいってば!」


秋雲「明石君は出会った時からシスコンよね」


9


天津風「なんで准将、連行されてるの? なにか悪いことでも……」


神風「連行? ただ腕を組んでるんだけど……」


提督「」


天津風「准将の顔みて考えて。それ腕を組んでるっていわない。腕を極めてるっていうの。間接技なの。右肘の間接、完全に軋んでいるの」


神風「マジかー。司令補佐、痛いなら痛いっていってね?」


提督「すごく痛いです」


わるさめ「司令官、説明しろー!」


金剛「モーニングバーニングラーブ!」


天津風「あ、金剛さん! 腕極められているので、背中のほうからはヤバいです!」


ポキッ


提督「……あっ」


神風「あ、間接外れた、かな。世話が焼けますね!」


ボグッ


提督「外れた時よりいってあああああ!」


天津風(はめ直した……うわあ……)


天津風(もはや修行ね……)



【7ワ●:次から次へと】


神風「以上かしら」


ろー「おお、秘書官、一生のパートナー……」


ろー「それはいいですね……!」


神風「分かってくれますかマイベストフレンド!」


瑞鶴「なるほどね。想力で治るよう願って、お互いの異性への苦手意識をなくそうって内容の取引ね。今の提督さんの首を縦に振らせる方法だと思う。やるじゃん」


初霜「う、羨ましいです……」


瑞鶴「はっつんも自分の進路のこと考えるんだぞー」


初霜「そうですね……」


龍驤「分からんわ……神風お前、真剣なお付き合いとかしたくないの?」


神風「なきにしもあらず。闇の人達だって司令補佐の幸福に力を貸すなら本望だと思います。私の中には様々な感情がありますが、自分の欲望よりも優先できる感情です」


神風「私が司令補佐に向ける感情は電さんと同じだと思ってもらえればそれで間違いはないです。付き合うとか付き合わないとか、それはあくまで方法の一環です。そういう好意でしたので……」


神風「まあ、一生のお付き合いはしたいですね。司令補佐に留まらず、です。そういう仲間でしょう。あなた達が思うのと同じですし、なにより……」


神風「きっと司令補佐の場合は私達しかいないんですよ。世の女性がこんな面倒な男の性根を治そうとしてくれるとは思いません。え、なにこの人、で避けられるのがオチでしょう」


神風「そしてなにより今度こそ右腕として活躍したいです! 想力周りのお仕事とかやりがいもありますよ! 司令補佐の力になれると思いますし!」


春風・旗風「なんだ……異性の惚れた腫れたではないんですね」


神風「なにそのつまんね、みたいな顔は! 二人とも変わったわよね!? 旗なんて特に!」


旗風「……多少は変わりますよ」


春風「むしろあなたのほうが変わったような……」


神風「……」


神風「せやな」


瑞鶴「神風の献身力たっかいね。確かにおちびの忠誠心と似たものを感じるなおい。でもそういうことなら」


龍驤「うちらからも協力するか」


神風「む?」


卯月「ぷっぷくぷ。この二人、うーちゃん達の中でも比較的、司令官とやり取りが多いのは有名だぴょん。ラインとか地味によくしてる。龍驤は鎮守府ではっつんとは別に代理提督任されていたから話がしやすいってのと、瑞鶴はよく知らんけど」


卯月「なぜかこいつにはよく愚痴を漏らすらしい。多分、実年齢がタメなのと、司令官とその話の深いところを初めてした仲だからだぴょん」


瑞鶴「まあ、間宮さんがあまりにも不憫だったから、なんとかしないといつまで続くか、と。あんまり長丁場にするのもあれなことだし、私達も提督さんの力になってあげたかったしね」


瑞鶴「提督さんの個人情報たくさん知ってるから、参考になるんじゃないかな。一回、めっちゃ細かく聞いたことあるし」


瑞鶴「好きな動物から知識の類、場所、戦争以外のことね」


龍驤「好きな女性のタイプもうち知ってるで」


神風「この休暇が終わるまでには司令補佐は欠陥を治してあげたいと思っていた矢先、心強い……」


甲大将「水を差すようで悪いが……」


甲大将「准将は元帥の差し金で見合いの話、あるんだわ。多分、休暇の最後のほう。それまでに頼みたい」


神風「それ拒否権なさそうな政略結婚じゃ」


甲大将「内緒にして欲しいんだが、好きなやついれば話は別だ。なんとか婚約とは別の形にして先方さんは納得させられはする。が、そうでもなきゃ元帥のジジイが納得しねえ。ここだけの話、あのジジイあいつも周りのことで相当苦労してるみたいでさ」


甲大将「あいつが合同演習の頃からしでかした事後処理に終われて、終わるまでに世界を揺らすような問題ばかり。挙げ句の果てには海の傷痕、想力の発見だろ。身内間でも、陸軍、海軍、まあ、自衛隊のほうと防衛省とも雪だるま式で相当こじれたみたいで結果で済ませられる次元じゃねえ案件だ。あのジジイ、ハゲてたぞ」


甲大将「加えて戦後復興妖精だ」


甲大将「ここはあいつも承諾してるから、まあ、よろしく。ジジイと此方は大本営に戻って私は大淀と入れ替わりでしばらくここに留まってる。戦後復興妖精も、か。あいつは後に此方のところに回す」


瑞鶴「なんか申し訳ありません(震声」


龍驤「うちらも気を回すべきやったな。目まぐるしい新しい景色に身内死なせんように必死で、外のことまで手は打たんかったわ」


甲大将「気にするな。だからこそ戦争終結した」


甲大将「そうじゃなきゃまだ戦争やってると思う。今の政治は本当に腰が重いんだよ。少なくともチューキ達、海の傷痕がそこらを度外視して行動に出てくれたから皆、同じ点を見上げられただけだ」


甲大将「だから即対応出来たが、そうじゃなきゃまず国外との話し合いが終わるまで守りの一点、そうなると更に入り乱れて上層部がそれぞれの思惑に絡まって膠着してら」


龍驤「あの頃は甲ちゃんも鎮守府開けて内陸仕事に駆り出されていたくらいやしな……ありがとなあ……」


甲大将「礼なら瑞穂にいっとけ。チューキ達が分かりやすい行動取ってくれて、大元のボスがいるから仲間割れしてる場合じゃねー、とメッセージ送ってくれたからだ。深海棲艦側からのそれが一番大きい」


瑞鶴「瑞穂さんその中にチューキさん達もいるんだっけ。ありがとねー!」


瑞穂「届いてないけどね。まあ、リコリスとチューキなら別に礼される筋合いはないっていうわよ」


神風「本当に色々と大変だったんですね」


神風「その頃、私は刀で物斬る練習してたなあ……」


卯月「ぷっぷくぷ。まあ、その頃の神風じゃうちに来ても旗艦どころか戦果も挙げられなかったなー。電のやつにボコられるだけの日々だったと思うぴょん」


提督「それでなにをすれば……」


神風「とにかく、なにかしら治る機会に恵まれるはずです」


戦後復興妖精「おい神風」


神風「……なんですか」


戦後復興妖精「……准将の欠陥が治る機会に恵まれる、だろ。だったらお前が関係していないケースもあるわけだ」


神風「確かに。それならそれで」


瑞鶴「というか周りが思ったより静かよね」


戦後復興妖精「第1世代島風のメモリー観てるからですねー」


卯月「うーちゃん達のほうが浮いてるぴょん……」


龍驤「艦歴と人生が重なった世代やもんなあ。壮絶やわ……」


甲大将「最初期の人間周りの都合で消された情報もあぶり出して、もはやこの海の戦いの歴史は丸裸だからな。戦後処理は終わり。後は上の仕事だからな、これ以上は政治で決めねえと」


甲大将「お前らも身の振り方をそろそろ真剣に考えろよな。提督もそろってんだから相談なら好きなやつにするといい」


瑞鶴「まあ、私は決まってるし」


龍驤「うちもー」


甲大将「じゃ、ちびどもの相談乗ってやれ」




プルプル


提督「……はい、もしもし」


提督「……、……」


提督「了解しました。ええ、こちらから。それでは」


提督「明石さんちょっとすみません」ヒソヒソ


明石さん「ん? どうかしました?」


提督「秋月さんと明石君の親御さんから都合がついた、とのご連絡入りまして、お二人とお話の席を設けてほしいとのことです」


明石さん「来ましたか……」


明石さん「まずは私達で会いましょう。以前のままなら会わせないほうがいいです。本当に変わってなければ会わせません」


提督「ですね……」


プルプル


提督「……はい、もしもし」








《初めまして、いつもあなたの家庭の科学技術に這い寄る混沌、悪の研究者バリメロンちゃんです》


ブチッ、ツーツー


提督「悪戯電話でした」


プルプル


明石さん「あ、この番号……失礼、もしもし明石さんでーす!」


夕張《お久しぶりです! 夕張です!》


提督「最初からそう名乗らなかったのはなぜ……?」


夕張《明石さん、お弟子さんと秋月さんの件ですが》


夕張《面接と筆記試験、通してもらっていいですか?》


明石さん「ええ……? パスでいい人材だと思いますけど」


夕張《パスするのは応募条件だけでじゃないと厳しいです》


夕張《明石さんの推薦ですけど、私はよく知らないので、お願いします。かなり甘めに審査しますので……》


夕張《そのほうがお二人のためだとも思います》


明石さん「分かりました……」


提督「……伊勢さん伊勢さん」


伊勢「へ、どうしました?」


提督「夕張さんの会社って知ってます?」


伊勢「ああ、研究部と直結してるところでしょ?」


提督「大きいのですか?」


伊勢「有名な会社ですよ。確かITか機械かよく知らないけど、最先端技術を扱う会社で業績伸び続けている上に……かなりのホワイトって話もあって倍率かなり高かったかと」


伊勢「企業説明会に行けば分かると思うけども」


提督「へえ……」


伊勢「なに明石君と秋月ちゃん入社するの?」


明石君「あ、何の話すか?」


伊勢「夕張さんと明石さんのところ」


明石君「あー、そんな話ありましたねえ」


秋月「あ、私は行きたいです。ただ事務のほう志望です」


明石君「考えたけど、機械弄れるんだろ? ロボットとか興味あるし、挑戦してみたい分野だなあ。前と同じく解体の道も考えてるけど」


提督「へえ、乗り気ですね。応援します」


提督(……明石さんから口説いて欲しいと頼まれましたが、乗り気なら別にいいか)


秋雲「え、秋雲のアシスタントやってくれないの? せっかく漫画技術身につけたのにー」


明石君「創作も嫌いじゃないけど秋雲先輩の漫画は泥船にも程があんよ」


秋雲「」


明石君「秋雲先輩は芸術方面、画家のほうがいいって」


山風「アッシーとアッキーは一般企業に就職とかまだ無理じゃないかな……」


伊勢「へ? なんで?」











山風「アッキーはアッシーから半日離れると過呼吸になる欠陥が、治ってないから……」


提督・伊勢「」


提督「そうなのですか?」


秋月「ごめんなさい……」


提督「とんでもない。心の傷に理解はあります」


提督「協力は惜しみません」


秋月「うわああん、ありがとうございます!」


明石君「ったく、あのクソ親父のせいで」


明石さん「やばいやばい、提督さん明石さんを助けてええええ――――!」


提督「どうしました……」


明石さん「応募条件はパスですが、筆記試験と面接通してもらうことになりました!」


明石さん「弟子は無理です! 適性検査ならまだしも、論述とかはマジで無理ですって! 提督さん替え玉してえ!」


明石君「なめられたもんだな……」


提督「おお、自信ありそうじゃないですか。明石さん論述って」


明石さん「詳しくは後で調べますが論理的思考の組み立てかと!」


提督「では明石君、口頭でどうぞ」


明石君「『ここがこうなれば、こうなる。ここが壊れたらこうなっちまう。ここがおかしいのは、ここのせい。あんたら、論述って馬鹿じゃねえの。機械なんて習うより慣れろだろうが』」


明石さん「うわあ! 間違ってはないけど無理ィ!」


提督「煽ってますもんね……まあ、面接においてこの二人は分かりやすいですよね。秋月さんはよろしくお願いします、の太陽スマイルでもうどんな人かすぐ分かるレベル」


タタタ


照月「島風ちゃんと走ってたら遅れました!」


秋月「照月……! 内定かと思っていたらそうではありませんでした……世の中甘くありませんでした!」


照月「秋月姉、私と一緒にお馬さんのお世話しない? 主にロデオ、乗馬のお馬さんだけど、可愛いよー? 明石君も!」


明石君「へえ、解体して食べていいのか?」


照月「何いってるの!? 食料じゃないから!」


提督「その前に、こほん」


提督「明石君、秋月さん、お父さんが面会を望んでいます。お二人に会わせる前に自分と明石さんでお話してきますが」


明石君「来たか」


秋月「……」


提督「大丈夫だとは思います。上下関係厳しい陸軍で頑張れているようですし、少しですが調べてもいます。もしかしたら、と希望を持ってくれて構いません。詳しくは会ってから判断しますが」


タタタ


暁「しれいか――――ん!」


提督「どうしました?」


暁「おっきくなっちゃった!」


提督「なにが……?」


響「全部だよ」


雷「まだ整理がつかないわ……」


伊勢「暁、背が伸びたの?」


暁「伸びた」


暁「160センチで!」


山風「え、140センチくらい、だよね……?」


暁「む、胸はおっきくなって!」


提督「ええ……?」


秋月「暁さん、落ち着いてください」


明石君「暁さん寝ぼけてんの? 頭打ったの?」


暁「すごい美人になっちゃったの――――!」


伊勢「暁、どうしたの……?」


響「パニクっているだけさ」


雷「ちょっとサイズが近い白露さんから服を借りたんだけど、もう来るんじゃないかしら」


コツコツ


白露「あ、あのー……提督さーん」


電「司令官さん、寝て起きたら……」


電「電は大人になっていたのです――――!」


提督・伊勢・山風「」


秋月・照月「お、大人の電さん……!」


北方提督「うわ、すごい可愛い人がいる!」


明石君「うわ、ヤベエ、惚れそうだった……」


電「司令官さんならともかく、お前に好かれても嬉しくねーのです!」


明石君「兄さん、間違いねえ。本物だぞこれ……」


明石さん「どうするんです! どれから手をつけたら!」


提督「次から次へと」


提督「問題が」


提督「久しぶりに頭痛来た……!」ズキズキ


タタタ


神風「来ましたか、来ましたね!」


神風「乗り越えましょう。私がついております!」


提督「……よろしくお願いします」





卯月「ぴょんぴょんぴょ――――ん! 瑞鶴、龍驤、あれ大人の電だぴょん! つまり、司令官が過去に恋した電が見た目クリアしてきた!」


卯月「これはこじれる!」


卯月「電をその気にさせてくるぴょん!」


長月・菊月・弥生・阿武隈・由良「させない」ガシッ


わるさめ「面白そ! 後は任せろ!」


春風・旗風・大和・武蔵「地下に連行」ガシッ


わるさめ・卯月「離せコラ――――!」


ズルズル


武蔵「力強え……」


龍驤「頭痛いわ……」


瑞鶴「ああもう! どうなってんのよ! 戦争終わってもゆっくり落ち着く暇がないじゃん!」


戦後復興妖精「ですねー」


龍驤「お前がいうなや……」


戦後復興妖精「人のせいにするのダメだと思います」


龍驤「相当かき乱したやろ! お前が鹵獲されたとかさっき聞いてびっくりしたよ!」


瑞鶴「まあ、性格悪いけど悪人ではないんじゃないの? それより今は色々と出てきた問題に頭抱える……」


瑞鳳「これはハッピーなハプニングでは? 楽しみましょうよう」


龍驤「瑞鳳、常識人枠から外すで!」


瑞鳳「悪い方向に転ぶ話とは思えませんけど」


戦後復興妖精「瑞鳳が一番分かってるー」


瑞鳳「私もなにか協力できることないかなあ……」


【8ワ●:お疲れ様、それぞれの未来へ】


明石君「ええと、山風、ガングート、リシュリュー、長門、陸奥、武蔵、大和、山城、速水、明石さん、秋雲、大淀、阿武隈、由良、天城、陽炎ちゃん、黒潮(陽炎ちゃんサポ)、青葉、隼鷹、ポーラ、香取、鹿島、球磨、多摩、陽炎、不知火、北上、大井、秋津洲」


明石君「まあ、うちは好き勝手どうぞのスタンスだったんだが、お疲れ様ー。速吸さんと執務でお姉様方の今後のスケジュールもやっておいたんで、これだけ見といてな」


明石君「ほとんど速吸さんがやってくれたけど」


速吸「明石君、活字読むと寝ちゃうんですよね」


明石君「すみません……」


鹿島「今後の、というと軍としてなにか行事が?」


速吸「軍、対深海棲艦海軍以外との打ち上げです」


明石君「といっても大きなもんでもないので……」


明石君(お伝えしないでおくけど、なんというか……)


明石君(内容的にそれは建前で、陸軍人さん達の希望による合コンに近いような気がする。出会いは欲しいよなあ。この人ら綺麗だし)


速吸「私も向かうのですが、参加メンバーはよろしくお願いしますね。最後の海で支援してくれたお仲間の方達なので」


明石君「ああ、それとなんだっけ……」


明石君「旅行?」


速吸「それです。北方さんの方達や陽炎ちゃんも増えたので、班決めやり直そうとなりまして。慌ただしかったのでまだ旅行深いところの話も出来てませんし」


明石君「あー、それと青葉さんが旅費のほとんど出してくれるらしいんで、お得で豪勢な旅となってる。ほら青葉チャンネルで儲けた分、ここに還元しようとのことで」


青葉「青葉がくすねるには予想を越えて大きい金額でしたので、提督勢に預けてますー……」


明石君「詳しくは班の人達と決めてな。日にちは3日~1週間、国内だけど、先立つモノは気にせず宿に観光先、お好きなように決めてくれていいとさ。戦争終わっても色々と大変だったけど、これは鎮守府を離れるし、良い休暇になると思う」


明石君「他のところも解散してるし、ここもミーティング終わり解散、お疲れ様っしたー」


一同「お疲れ様ー」


明石君「あ、速吸さん、お手伝いしてもらった礼とねぎらいを込めて後で品を届けます。期待しといてくださいね」


速吸「ほう。楽しみです」



………………


………………


………………


鹿島「?」


明石君「あのー、この後少しいいですかね?」


鹿島「はい、構いませんよ」


香取(……あら?)


2


神風「はーい。ではくじ引きした番号のメンバーで旅行内容の会議してくださいねー」


提督「……ん、あれこの書類」


電「どれどれ? あ、膝上失礼するのです」ストン


提督「」


グラーフ「今の姿で膝の上に座らないほうが」


電「あー……しまった。いつもの癖なのです」


電「……重かったですか?」


提督「軽かったです」


電「ならよし、ともこの見た目では行きませんね」


提督「ええ、前が見えないので……」


サラトガ「これは鎮守府施設の?」


提督「です。ここ役所にしたいみたいで、その検討案ですね。前々から話はあったのですが」


提督「どうするか……」


長月&菊月「え、私達、ここからガッコ通おうかと」


提督「あ、ご心配なさらず」


ビスマルク「ここ国の土地でしょ?」


提督「一部は……」


ビスマルク「どういうこと?」


神風「無駄に広いですがもしや……」


電「正確には海に面した1/3程度が土地、建造物含めて政府の持ち物です。司令室のある棟と支援施設、工廠や入渠ドック」


ビスマルク「グラウンドとか寮とか娯楽施設は?」


電「2/3は私の個人資産なのです。鎮守府狭いので周りの土地買い占めて増設しました。軍資金で映画館とかは作れませんよ」


ビスマルク・神風「」


電「まあ、皆さんが巣立つまでは寮のほうはそのままにして住んでもらっても構わないのです。学生寮等々に移るお友達が全員という訳ではないので……」


菊月「感謝する……」


長月「それな。学校に寮はないし」


電「ま、とにかく心配は要らないのです」


神風「そうですね、司令補佐もこの施設で働くことになると思いますし」


サラトガ「リアリ?」


提督「ええ、新たに発足する際に拠点となるのがここです。場所的には都心が良いみたいなのですが、この鎮守府は特別みたいでして」


電「私はおいとまします。大きくなってしまったせいで、色々と買ってこなくてはならなくなりました……」


提督「ですよねー……」


島風「あ、私も行く! ジャージ破れちゃったから」


電「ふむ、では島風さん行きますか」


提督「何はとも無事に戦後復興妖精周りを解決出来ましたね。皆さん、お疲れ様でした」


提督「艤装はもうありませんし、各々、休暇を楽しんで頂ければと」


提督「そして、それぞれの未来にお向かいください」



【9ワ●:お買い物と、黄昏れる男の子】


島風「お待たせ!」


電「で、なぜ人が増えたのです……」


わるさめ「暇だからー」


白露「そうそう、平和だからだね!」


秋雲「画材買いに、と。その前にここらでデッサン会があってさ。途中までついてく」


秋雲「それより電ちゃん、どんな服買うの?」


電「ファッション詳しくないので適当なのです。というか島風さんジャージ以外の服、持ってたんですね」


島風「そりゃそうだよ。私はジャージでもいいんだけど、天津風ちゃんがそれで街をうろつくのは良くないって。天津風ちゃんに選んでもらった結果、全てズボンだけど」


わるさめ「スカートでも走り回るからよな」


一同「……」


わるさめ「元気一番姉も黙ってる……」


白露「いやー、周りを見てたんだよ。私達、学生やるじゃん? あそこの子達みたいに普通に友達作って部活とか勉強とか帰りに寄り道して家に帰って、きっと軍艦の話なんてしないよね」


白露「本当に終わったんだなって」


わるさめ「エンド&スタートだからね」


わるさめ「ちょっとそれっぽいことしようぜ!」


島風「夕日に向かって走る?」


わるさめ「ぜかまし。夕陽出てないし、暁の水平線という夕日に向かって走り終えたばっかだろ」


わるさめ「ああ、最近ツッコミに回ることも多々あるよ!」


電「まあ、同年代の普通はけっこう麻痺してますよね。でも、服のお買い物とかそれじゃないですか?」ニコ


白露「大きい電ちゃんのこのあふれでる木漏れ日のような優しさオーラ、半端ないね……」


秋雲「すげーモテそうだよねこの電ちゃん」


わるさめ「少し間宮さんと似てんね。間宮さんに似合う服、お前にも似合うんじゃね?」


電「あの人と私には特定の部分に決定的な違いが」


秋雲「そだね。胸なくしてもう少し全体的に細くなった感じよね。落ち着いた服が絵になると思うよー。今の春らしい色合いの服とかいい感じじゃないかな」


島風「おおう、似合う気がする」


2


長月「おう、ありがとうな!」


元帥「いつでも頼ってきていいからね! おじいちゃんいつでもウェルカムだからね!」


菊月「了解した」


青葉「では元帥さん、またー」


元帥「おう。お前は問題起こすんじゃねえぞー」


タタタ


白露「あ、いっちゃった」


わるさめ「携帯に連絡入れりゃ戻ってくんじゃね」


白露「いや、それは悪いから……」


秋雲「長月に菊月、それもらったの?」


長月「そうだな。勉強道具とかランドセルとか買ってもらった。一年も通わないから手提げとかで通うつもりだったんだが」


菊月「好意だしな。ありがたく受けとることにした」


青葉「元帥さん独り身で子供いないので、駆逐艦の世話が超好きなんですよ」


秋雲「あー……」


長月「さて、私達は失礼する」


菊月「じゃあまた鎮守府でな!」タタタ


わるさめ「青葉っち、二人ともどこ行くの?」


青葉「お二人はコブタ君達と遊びに行くみたいです。ドッジボールの大会優勝が今年の目標らしいですよ」


わるさめ「全身に土つけて帰ってきそうだなー」


白露「かわゆい」


青葉「ですねー……あの二人は心も若いです」


青葉「青葉はこれから地元振興会の方の取材に行くので失礼しますね!」


タタタ


青葉「あ、電さん! その姿、後で1枚撮らせてくださいね!」


電「騒がしいやつなのです」


島風「あ、ちょうど百貨店とか色々あるし、ここで買い物すれば」


白露「そうだね!」


3


電「……」バッバッバッ


島風「選ぶの速っ!」


電「このサイズの服選び面倒なのです。ズボンとシャツとカーディガン適当に組み合わせて着ていればいいのです」


わるさめ「値札も見ないとかブルジョワだなー」


わるさめ「わるさめちゃんも海域奪還してりゃ良かったわ」


白露「むふふ、それでいいのですかなー?」


電「なんなのです?」


白露「駆逐もしもシリーズご存知ないですか!」


電「あー……暁お姉ちゃんがよくいってましたね。私達成長止まるからもしも大きくなったらどんな風になるんだろう的な空想話なのです。センチメンタルの元ですね。私達の同級生とか30近いですし」


わるさめ「つーか今のぷらずま、大人の電なんだよー。どーせ元に戻るんだろうから楽しんだほうがいいゾ☆」


電「白露型は駆逐のくせに色々と大きすぎなのです……」


島風「身体の大きさ的に軽巡といわれても違和感ないよねー……」


わるさめ「ということで仕方ねえ、電で遊、こほん、電をコーデしてやろう。時間はたっぷりあるしねー」


白露「そうそう! 後ね、電ちゃんスマイルだよスマイル。しかめっ面したりぷらずまさんの雰囲気出すと怖いから……」


島風「おう! 私も選んでくるー!」


タタタ


白露「30分後に試着室の前で集合ね! 散!」


タタタ


わるさめ(うーん、電の雰囲気がつかみやす過ぎてコーデしやすい分、被りそうなんだよなー。ちょっと変化球にしますか)


タタタ


電「……店員さん、ちょっといいのです?」


店員「はい、何用でございますか?」


電「あそこの白髪のちびと元気で短い茶髪とイカれた白髪の女が私の服を選んでくれるのでそれは全部、買わせていただきたいのと」


店員「あ、島風さんと白露さんと春雨さんですね」


電「……有名ですね。そうなのです。それと」


電「店員さんにも私に似合う服を一式選んでもらいたいのですが……」


店員「はい承りました♪ お任せください!」


電「ありがとうなの、こほん、ございます」


店員「なにか希望はございますか?」


電「詳しくないので似合えばなんでも構いません」


店員「了解です」


電「お願いします」


電(ふう……これで全部ハズレでも安心なのです)



* わるさめコーデ


わるさめ「どう?」


白露「ズボンもシャツもパーカーも全身白づくめじゃん!? なんでこんなにホワイトを推してるの!?」


わるさめ「ぷらずまー、パーカーのフードかぶったら後ろ向いて座ってみて」


電「……」クルッ、ストン


わるさめ「この試着室の壁紙が花柄でした故のアイデアですね。そして大至急買ってきたこのレック激落ちシュシュを添えたらコーデ完成♪」


白露「なんで便器コーデなのかな!?」


電「おい待てテメー! これイナズマックスってことなのです!?」


店員「試着室の壁紙に合わせたコーデ、中々の発想力ですね……」


電「店員さんテメー褒めてんじゃねーのです!」


島風「……」


トゥルトゥル、プ,プ,プ


電「ぜかましテメーも仮装大賞の採点メロディ流してんじゃねーのですよ!?」



* 島風コーデ


島風「みなさん外着選びそうなので、私は部屋着にも出来そうなラフな服にしといたよ!」


白露「なる、スウェット」


わるさめ「そんなー! ぜかましは胸チラ的な服持ってくると期待してたのに! わるさめちゃんが露出高めなの持ってくれば良かった!」


電「もうテメーは黙ってて欲しいのです!」


島風「色が暗めで重そうだけど、黒ゆえ多少の汚れは目立たず、部屋着ゆえ機能性を重視! 薄目の生地にしたのはこれから暑くなる季節のためでーす。そしてスウェットでもジャージみたいなデザインだから、多少動き回っても大丈夫だと思いまっす!」


電「ありがたいのです……! わるさめさん、私はこういう普段着る服を買いに来たのです!」


わるさめ「イナックス馬鹿にしてんのか!」


電「違う、そうじゃないのです!」


店員「実際に着てみるとやはり暗めの色彩も似合いますね。落ち着いた感じに着こなせてます。口さえ開いて喋らなければ」


電「口さえ開いて喋らなければ!?」



* 白露&店員コーデ


白露「店員さんと被っちゃったから合同コーデだねー」


わるさめ・島風「おー……」


島風「雰囲気のドツボをついてきた感じ」


わるさめ「本命だよねー。被ると思って譲ってやったよ」


白露「ありがたいけど、だからといってイナズマックスはないよね!」


電「全くなのです……」


わるさめ「キャミワンピが似合うね。良い味出してる。そのアクセントのピンクのお花とかぷらずまも好きそうじゃん」


電「これは……サザンカのお花かな?」


店員「あら、詳しいですね。そうですよ。今年のオリンピックにちなんで入荷しました」


白露「電ちゃん、お花育てるの趣味みたいだからね! やっぱり好きなお花があったほうが嬉しいかなって!」


電「……なのです」


店員「こっちのキャミワンピは私の選んだものです。亜麻色で黒のボタンついているタイプなのですが、今、中に着ている白色のカットソーとも合いますし、可愛いと思います♪」


店員「服一式とのことでしたのでこのセレクトですが、お客様はシュシュなんかもお似合いになると思いますよ」


わるさめ「確かに。髪は伸ばしてシュシュで束ねて左肩の前に出しな。大人のお前はそのほうが絶対いいと思うぞー」


白露「そうだねー、可愛いと思うよ! 緑道の木漏れ日の下なんか歩くとすごい絵になる印象!」


電「ふむ、大体自分の印象はつかんだのです」


電「店員さんありがとうございました。お会計お願いします」


店員「はい、ただいま♪」


わるさめ「イナズマックスアイテムも個々に分けて他のと着合わせれば可愛いから安心するといいゾ☆」


電「分けて着合わせなきゃ便器だろーが! ああもう変なパワーワードを口走ってしまったのです!」


白露「さ、次は下着かな!」


島風「次は色気基準で選ぶから!」


電「暁お姉ちゃんの教育に悪いのはダメなのです!」


4


わるさめ「終わり終わりー。司令官にライン飛ばして意見聞いてから選ぼうと思ったのに既読つかなかったー……」


電「お前連れてきたのは失敗なのです」


わるさめ「あ、そうだよそうだ! みんな旅行に持ってくもん買ってかなくても大丈夫?」


電「あー、ないのです」


白露「あ、ちょっとあたしそこの家具屋さんでクッション見たい! 鎮守府から持ってくるの忘れて部屋が寂しいんだよね!」


島風「あ、私も小物入れをー」


わるさめ「なんだかんだで楽しめるもんだねえ」


電「そうですね……」


タタタ、ドンッ


鹿島「あ、すみません!」


わるさめ「お、鹿島っち?」


鹿島「!」


鹿島「ご、ごめんなさい。失礼しましゅう!」


タタタ


電「なんか変でしたね……あの顔、うぷぷぷ、とか笑ってた時と同じ欠陥鹿島さんの感じなのです」


わるさめ「あそこの喫茶店から出てきたよね」


コツコツ


電・わるさめ「……」


電「奥の席でテーブルと頬くっつけて死んでるの」


電「明石君なのです」


電「鹿島さんとお話していたのです?」コツコツ


わるさめ「おっとぷらずま、そっとしといてやろ?」


電「……まさか」


わるさめ「まー、鹿島っちのあの感じ、そしてあの明石君の感じ、その可能性あるからね。一人にしといてやろーぜ」


電「ですね……見なかったことに」


コツコツ


若葉・初霜「あ」


わるさめ「若葉君、うちのはっつんとデートか」


初霜「お隣は電さんですよね……?」


電「なのです」


初霜「び、びっくりしました。お綺麗ですね」


若葉「初霜、逃げるぞ」


タタタ


初霜「え、ええ?」


わるさめ「撤退しやがった……」


電「面倒だからですよ。良い判断なのです」



5 その1時間後


若葉「面倒そうなのと関わりたくないし」


初霜「別になにもされないですよ……わるさめさんも電さんも悪い人じゃないんですから」


若葉「いや、かったるい感じで弄られるだろ」


初霜「大体、ちょっと旅行用のカバン買いに来ただけですし、もしかしたら目的は同じかもですよ。そんな風に人と関わりたがらないと、友達出来ませんよ」


若葉「構わん。店で鉢合わせなかったのは幸運だ」


初霜「もう……」


コツコツ


若葉「ん? あれは」


初霜「翔鶴さん?」


若葉「まあ、ここらで目立つ髪色してたら艦兵士を疑うし、あれは私の目から見ても翔鶴だよ」


翔鶴「……」


若葉「難しい顔して考え事している風だ。私達に気づいていないな」


初霜「あ、折れていってしまいました」


コツコツ


若葉(……ん? 喫茶店のあの席にいるのは……)


若葉(明石君か?)


若葉「……、……」


若葉「初霜、行こう」


若葉(そっとしておくか)



6 その更に1時間後


白露「ごめん、ちょっとお手洗い行ってくるね!」


わるさめ「おー、ここにいるからねー」


白露(あー、ちょっとお手洗い遠いなあ)


コツコツ


白露「うん?」


タタタ


榛名「……」


白露「あ! 榛名さん!」


榛名「あ、白露さん……」


榛名「今はごめんなさい!」


白露「あ、行っちゃった……」


白露(悲しそうだったけど、なにが……)


白露「あれ、あそこの席で魂抜けてるの」


白露「明石君かな?」


白露(榛名さん、明石君といたのかな? 明石君のあの落ち込みように、榛名さんのあの申し訳なさそうかつ悲しそうな顔)


白露「……、……」


白露「(*゚パ)ハッ!」


コツコツ


秋雲「お、連絡入れる手間が省けたねえ」


白露「みんな旅行のためにカバンとか見てるよ!」


秋雲「そっかそっか。合流しようかな……ん?」


秋雲「あれ明石君じゃん?」


白露「そっとしといてあげて! さ、行くよ!」


秋雲「う、うーん……そうしますか」


秋雲(なーんかガチへこみっぽいし、鎮守府に帰ったら声かけてみようかね)



7 帰り道


わるさめ「なにもしないってー! 一緒に帰ろうぜ!」


若葉「くそ、捕まった」


初霜「別に大丈夫ですから」


島風「そだよー。わるさめちゃんは愉快な人だよ!」


若葉「知ってる」


秋雲「みんな旅行のもの買いに来てたみたいね」


秋雲「つーか今見ても電ちゃんが美人過ぎてびびるわ……」


電「皆も大人になればきっと綺麗になるのです」


白露「あ、3時のおやつ食べてこー!」


若葉「ここらで美味いどら焼きの出店を見つけたぞ」


わるさめ「おろ?」


初霜「若葉、食べ歩きが趣味みたいですでにこの辺りで美味しいお店にも詳しいみたいです」


電「ふむ、良いご趣味なのです」


島風「そういえば若葉ちゃん日曜日になると町に出かけて食べ物のお店よく行ってたよねー。テートクに連れていってもらったラーメン屋さんも若葉ちゃんから教えてもらったっていってたなー」


若葉「外食は自分へのご褒美だ」


若葉「あ、そこの公園の裏にある店だ」


初霜「あっ、あそこのベンチを見てください!」


初霜「明石君じゃないですか?」


電・白露・若葉・わるさめ「!」


白露・若葉・わるさめ「そっとしといてあげよう」


島風「おう?」


初霜「お三方は声そろえてどうしたんです?」


白露・若葉・わるさめ「へ?」


秋雲「ちょっと声かけてくるねー」



【10ワ●:赤く染まるレモンティー】



秋雲「明石君どしたの?」


明石君「そっとしといてくれ……」


明石君「今なんか頭おかしいんだわ……」


電「テメー明石君、説明するのです!」


タタタ、ドガッ!


明石君「グーパン痛いっすね!?」


電「鹿島さんとなにお話したのです? 吐かないともう一回グーパンなのです……!」


明石君「広めないでもらえますかね?」


電「約束するのです」


明石君「戦争終結してさ、職場恋愛禁止もなくなったし、戦後復興妖精のことも終わったし、俺もそろそろ腹くくるかってさ」


明石君「振られちゃったんだよ……」


電「非常に心苦しいのです……が」


若葉「翔鶴とは何の話を?」


明石君「戦争終結してさ、職場恋愛禁止もなくなったし、戦後復興妖精のことも終わったし、俺もそろそろ腹くくるかってさ」


明石君「振られちゃったんだよ……」


白露「は、榛名さんとは?」


明石君「戦争終結してさ、職場恋愛禁止もなくなったし、戦後復興妖精のことも終わったし、俺もそろそろ腹くくるかってさ」


明石君「振られちゃったんだよ……」


電・白露・若葉・初霜・わるさめ「」


秋雲「ある意味で尊敬するよ秋雲さんはw」





島風「あ、このどら焼きうまーい!」


島風「おっちゃん、これ皆の分、ええと10個!」


おっちゃん「毎度あり!」



2


電「お前、信じられないのです……!」


白露「明石君、それはあまりにもダメだよ!」


秋雲「その日のうちに3人に告白って」


わるさめ(まあ聞いた感じ、誰も泣いてはいないし)


わるさめ(鹿島っちは動揺したのかね。翔鶴さんは多分、告白された理由を考えていて、ハルハルはノーの返事をして申し訳ありませんって感じかな。うーん、これは敵を作ったかなー……)


明石君「鹿島さんに振られた時に翔鶴さんの顔が浮かんで、翔鶴さんに振られた時は榛名さんが愛しく思えたんだ……」


秋雲「やけくそか……」


明石君「今日は帰りが遅くなるって兄さんに伝えておいてくれ。もう無理そうだし潔くあの人達からは撤退するわ……」


若葉「撤退? 事態を把握していないな」














若葉「今すぐ亡命しろ。金剛と瑞鶴に屠られる前にだ」










3 その頃、鎮守府(闇)



金剛「ねえねえ榛名、どうしたノー?」


金剛「そんな悲しい顔してるの強盗さんに拐われて以来ネ。なにかあるなら力になるから教えて欲しいデース!」


榛名「あ、いえ、榛名は、大丈夫デース……」


霧島(これは……落ち込んでいますけど、若干、心ここにあらずですね。放置しておいても大丈夫な類な気がしないでもないですが)


比叡「霧島、これはお出かけしてからなにがありましたね」


霧島「あ、お出かけしてたんですか。ならそこに原因あるはずです」


金剛「……まあ、あまり深く探るのは止めておきましょう。榛名、私達は力になるからいつでも相談してくだサーイ!」


榛名「はい……ありがとうございます……」


金剛「比叡霧島、少し食堂でお茶をしに行きマショー」


4


瑞鶴「翔鶴姉が難しい顔したまま固まってる……あの顔はなにか思い詰めてる風だけど……なにがあったのやら」


卯月「くそ! 誰か助けてぴょん!」


瑞鶴「ん? 執務室から」


ガチャ


瑞鶴「いない……地下のほうからか」


コツコツ


瑞鶴「お前、拷問椅子にくくりつけられてどうしたの?」


卯月「司令官の女周りいじろーとしたら改めるまで軟禁とか姉妹と友にお仕置きされてるぴょん! もう反省したし、こんなおぞましい部屋から出せぴょん!」


瑞鶴「あー、わるさめは?」


卯月「あいつ脱出して遊びに行ったぴょん! うーちゃん助けずに!」


瑞鶴「そこに落ちてるロープ? わるさめのやつ縄脱けしたのか」


卯月「なんか『チューキちゃん達のところでよく監禁されていたから、その時に覚えたんだゾ☆』とかいってたぴょん!」


瑞鶴「悪いね。今、悩み事してたし、暇してるお前出すと、こじれそうな気がしないでもないからしばらくそのままでいて」


卯月「お前の悩みなんて翔鶴か司令官周りだろ! 助けないとうーちゃんが首突っ込むぞ!」


瑞鶴「まあ、翔鶴姉なんだけどさ、明石君のやつと用事が出来たって帰ってきてから深刻な顔をしてるのよね」


卯月「はあ? 翔鶴と明石君……?」


卯月「そんなの一つだぴょん!」


卯月「ぴょんぴょんぴょ――――ん!」


瑞鶴「……、……」


瑞鶴「え、まさか、明石君、勝負に出たの?」


瑞鶴「私は明石君がデリカシーに欠けた発言してそれを翔鶴姉が意味深にキャッチしたのかなって思ったけど」


卯月「む、それもあるな。翔鶴はどのくらいお出かけしてた?」


瑞鶴「出かけて二時間も経ってない内に帰ってきたかな」


瑞鶴「あ、そうか。デートにしては帰りが早いね」


卯月「その線濃厚だぴょん。色々と片付いて、これから時間が経てばそれぞれの道へ行って毎日会うのは難しくなってくるぴょん! だから今の辺りがタイミング的には上等だし!」


瑞鶴「助けてあげてもいいけど、ここ悪戯したらダメだよ」


卯月「うん? お前のことだからキレるかと思ったけど」


瑞鶴「別に。明石君のこと知らない訳じゃないし、欲望に素直だけど信頼できるやつじゃん。翔鶴姉が選んだなら私は心から応援しよう。まあ、ちょっと寂しい気もするけど……」


瑞鶴「でも翔鶴姉にいったのは意外だわ」


卯月「……、……」


卯月(いや、これなんかおかしいぞ……?)


卯月(確かに明石君のやつは翔鶴や榛名にも熱を向けていたけど、一番は鹿島だったように思える……過去に司令官に渡された密会任務で鹿島と出かけてから仲良くなってたし。それとも知らない間に翔鶴と急接近するなにかあったのか?)


卯月(翔鶴キチのこいつが意外といったし、それは知らない?)


瑞鶴「あれ、翔鶴姉と明石君がゴールインしたら」


瑞鶴「アッキーが私の妹になる!?」


卯月「まあ、そうなるな(日向ヴォイス」


瑞鶴「加えて照月ちゃんも! 最高じゃない!」


瑞鶴「ちょっと作戦会議しよう! 私、明石君と翔鶴姉との仲を取り持つよ! 翔鶴姉もあんな風に悩むってことは完全に脈がない訳ではなさそうだしね!」


5


卯月(うん? 食堂に金剛比叡霧島? あの集まりに榛名がいないのは珍しいぴょん)


鹿島「あうあうあ……」


香取「みっともない。いい加減に落ち着きなさい」


卯月(鹿島と香取……?)


翔鶴「……」


瑞鶴「急に呼び出してごめん。話があるんだ!」


翔鶴「え、あ、何でしょう?」


瑞鶴「明石君のこと嫌いかな?」


金剛・比叡・霧島・香取・鹿島「!」


卯月(……ん?)


卯月(あいつら……榛名……鹿島……)


卯月(いや、まさか……)


卯月(明石君まさか――――)


卯月(やべ、仮にだとしたら、これからかったらダメなやつだし。うーちゃんもフォローに回らなきゃ……)


香取・霧島「あー……」


卯月(あの二人はきっと同じ事を考えたぴょん……まー、明石君は同僚で唯一の男でしかも世話になる工作艦だから話題にはよくあがるやつではあるし、女周りわっかりやすいからなー)


翔鶴「いえ、むしろ真っ直ぐで好意的な印象ですよ? 最後の海で海の傷痕を解体した時も凛々しくて格好良かったですし」


霧島「あの、私はこれで……」ガタッ


卯月「テメー霧島待てし! ちょっと予想ついただろ!」


霧島「いやー……これは当人同士、鎮守府(闇)の皆さんが力を合わせて乗り越えるべき案件かと」


卯月「薄情だぴょん! うーちゃんかき回すのは得意だけど、うちでも肉弾派の金剛と瑞鶴をうーちゃん一人で止めるとか無理だし!」


香取「落ち着いてください。まだ予想ですから」


卯月「こういう時の嫌な予感に限って当たる」


ガタッ


金剛「ネー翔鶴、明石君となにかあったノー?」


翔鶴「あ、いえ、別になにもありませんよ」オドオド


霧島「翔鶴さん分かりやす過ぎです……」


比叡「……?」


金剛「まあまあレモンティーでも飲んでくだサーイ」


金剛「鹿島もこっちに来るネー」


瑞鶴「ちょっと金剛さん、今は翔鶴姉と明石君の仲を取り持つことで忙しいんだけども」


金剛「スミマセン。でも私も比叡霧島とその話をしてマシタ」


金剛「明石君が本当にその気なら私達からもフォローして、もう少し」


金剛「明石君を推してあげようってネ?」


金剛「榛名に」


金剛「奇遇ですネ?」


香取(あらあら……)


卯月「……」ガクブル


翔鶴(ああ、そういうことですか……おかしいとは思っていたんですよね。私が呼び出された場所に行った時、明石君は死んだような感じで、そのままお付き合い申し込まれましたし……)


翔鶴(しくじりましたね。あの場で聞いておくべきでしたか)


瑞鶴「……そこの鹿島さん」


鹿島「あうあうあ……」


比叡「あ、金剛お姉様! 思い出しましたよ! 確か帰ってきたのは鹿島さん、翔鶴さん、榛名の順でした!」


卯月「比叡、それは殺人教唆に等しい!」


比叡「?」


霧島「比叡お姉様に悪気はないんです……」


金剛「アッハッハ! 立て続けに3人に告白!」


瑞鶴「明石君面白いじゃん! 涙出てきたよ!」


瑞鶴「翔鶴姉が」


瑞鶴「『2番』ね」ギリッ


金剛「榛名が――――」


金剛「『3番』ですか」ギリッ


霧島(瑞鶴さんと金剛お姉様が噛み切った下唇から滴る血が、カップの中のレモンティーを赤く染めた……)


翔鶴(ああ、これどうしよう。私が止めても止まらないパターンです……! この二人を止められそうな提督さんはお出かけしていますし、電話にも出てくれません!)


翔鶴「あの、これは私達と明石君の問題なので!」


瑞鶴「そこは翔鶴姉達で話し合えば?」


瑞鶴「私が翔鶴姉ならキレるけどね」


金剛「私と瑞鶴は明石君を心配していマース。同じ鎮守府の仲間としてあの明石君の性根を叩き直さなければなりまセーン」


金剛「相手の心をダメに傷つける行為ですカラ」


香取「闇の男性陣はそれぞれが両極端ですね」


霧島「超草食と超肉食ですか……」


卯月「ほんとだぴょん! あいつらトランスタイプとして合体してその中間の心構えになればそれぞれ上手く行くだろうに!」


金剛「瑞鶴」


瑞鶴「はい金剛さん」


瑞鶴「鹵獲、してきますか」



金剛・瑞鶴「地の果てまで追う」



4


プルプル


島風「明石くーん、携帯鳴ってるよ?」


明石君「……」ボー


わるさめ「事態が事態なので失礼……」


電「瑞鶴さんから個人へのラインなのです」


電「画像ですか。明石君、自業自得といえどあなたは運に恵まれませんね。もうバレているのです」


秋雲「瑞鶴さんと金剛さん鉢巻を……」


白露「瑞鶴さんが着ている服、これって」








白露「『決戦ver』」




白露「なんですが……!」




電「滅殺との意思表示なのです」




初霜「明石さん秋月さんの武力介入もあり得るかと」




若葉「くそ、提督がこんな時に限って電話に出ない! うちの提督ならロシアとの橋渡しが可能だっていうのに!」




わるさめ「まさかの『E-4』だゾ☆」









島風「3人にごめんなさいして、1人に絞れば?」


秋雲「もう遅いねえ。この男はやっちまったのさ。あ、このどら焼き美味しいねえ」モグモグ


電「そうそう。翔鶴さんは瑞鶴さんにとって宝物、金剛さんにとっての榛名さんもそう。そして瑞鶴さん金剛さんにとって明石君はお友達なのです。そこの信頼をある意味、最悪な形で裏切ったのです」モグモグ


わるさめ「つっても謝るしかねえだろ。アッシーのそういうとこは周知なんだから、まあ、ずいずいも金剛さんも時間が経てば少し冷静になってくれるはず。ケジメは不可避だけど」 モグモグ


明石君「はあ、彼女欲しかったなー……」 モグモグ


明石君「テンプレ通りにレストラン、あわよくばと思ってホテルも予約しといたんだぜ。別に俺らの仲なら今さらよく知ってからー、とかも必要ないと思ってさあ」


秋雲「ほんと行動力だけはあるよね」


初霜「明石君も変わりましたよね……出会った頃は硬派だとかなんとか。もう跡形もないです」モグモグ


白露「姉妹艦はともかく、鹿島さん翔鶴さん榛名さんは誠意ある対応で謝れば許してくれる人達だと思う!」モグモグ


若葉「ちょっとは考えられるようになったか?」モグモグ


明石君「そうだな……まず瑞鶴さん金剛さんにその旨を説明しよう」


わるさめ「まー、とりあえず電話にしときな」



プルプル


若葉「ちょうど瑞鶴からかかってきたぞ……」


明石君「瑞鶴さんすか。俺も覚悟を決めました……」


瑞鶴《ほう。状況は把握してんのね》


瑞鶴《覚悟は決めたのね?》


明石君「瑞鶴さんが怒るの最もです。俺も暴走しちまった。この件の責任は取ります」


瑞鶴《聞いてやんよ。いってみ》


白露「良かった! 明石君、がんばって!」


明石君《3人とも幸せにしますんで》


わるさめ・秋雲「違うそうじゃないw」


瑞鶴《はあ……秋雲わるさめ、なに笑ってんだ?》


瑞鶴《お前らもターゲットな》


若葉「南無」


秋雲「ちょ、秋雲さんは関係ないよ!」


瑞鶴《その男の親友だろ? 一緒に沈もうや》


秋雲「勘弁してくださいよ!」


瑞鶴《じゃあ責任取って私達の代わりにそいつ○しといてよ》


秋雲「人殺しをしなきゃいけない責任ってなんです!?」


明石君「スミマセン、俺のビームマグナムの加減がきかないばっかりに」


白露・若葉「」


電「テメーもう黙れなのです!」ドガッ


初霜「仕方ないですね。ちょっと私に貸してください」


若葉「火の中に飛び込んで助ける気か」


初霜「瑞鶴さん! この件の解決法を冷静に考えてください! 明石君は今まで明石さんから散々、体罰教育を受けてきてこの様なんですよ! 今さら暴力で変わるとお思いですか!」


瑞鶴《思わん。だから○すっつってんだよ》


初霜「すみませんダメでした」


金剛《瑞鶴! 陽炎ちゃんが位置特定完了デース!》


陽炎ちゃん《金剛さんに脅されたら従うしかない》


島風「鬼ごっこだ!」


わるさめ「……はあ、仕方ないなあ」


わるさめ「みんな駆逐艦だしね! アッシー輸送護衛任務を行う!」


白露「どこに輸送するの?」


わるさめ「司令官のところだよ。司令官がいりゃずいずい金剛も即殺しないだろ。もうそれしかねえだろ」


初霜「あ、提督なら確かに!」


島風「任せろ!」


若葉「はあ、やっぱり面倒に巻き込まれた」


電「その作戦じゃダメなのです。司令官さんは神風さん明石さんとともに夕張さんのところへお仕事の話に行っているので邪魔をするわけには行きませんから」


わるさめ「つってもなー……」


初霜「そういうことなら私に作戦があります!」



【11ワ●:面接官お願いします!】


夕張「お久しぶり、明石さん! ここ数年は軍の現場のことで手一杯で中々お会いできませんでしたね!」


明石さん「お久しぶりです。そうですねえ、まさか明石、私の後継者、しかも男なうえ、中々見込みある子だったので、軍からもそちらを優先して欲しいと頼まれまして……」


夕張「そこから鎮守府(闇)の伝説ですもんね……」


明石さん「びっくりしました。あの研究部の下に作った私と夕張ちゃんの小さな会社がまさかこれほど大きくなるとは……妖精可視スコープも夕張ちゃんが作ったとか」


提督「……」


夕張「あれなんか准将、無愛想ですね……」


神風「そりゃ事前とはいえ不躾なことフランクでしたので。ああ、准将の右腕秘書官こと神風です、以後お見知りおきを」


提督「すみません。理由をお聞きさせて頂いても?」


夕張「応募者の面接官お願いします!」


提督「ですからその理由を……軍という目で見れば遠い親戚でもあると思うのですが」


夕張「あれ? 噂の見当力こと真実探求の力で?」


提督「見当つけても予測に過ぎないでしょ……答えあなたが持ってるんだから、そういう場面じゃないでしょ……」


夕張「知っての通り、研究部の妖精部門は解明されまして想力部門です。私達のところ主にロボティクスで取引先は陸海軍だったんですよ。無人軍隊とか、私の趣味で他にも手は出しましたが」


夕張「神風ちゃん、階段のぼりおり訓練の時に香取さんから時計持たされなかった? あれ私が作りました!」


神風「あ、確かにメロンマーク入ってました! あっぷるのパチもんかと思ってましたが、時間の進みが超正確で本当に助かりました!」