2018-02-23 12:01:32 更新


僕は高校を卒業し、沿岸の鎮守府にある酒保に就職した。元々軍施設とか聞いていたし、苦手な女の人は少ないだろうとふんでいたのだが...


「どうして、女の子ばっかなんだ」


「仕方ないじゃん。鎮守府なんだから」


横で鈴谷さんがツッコミをいれてくれる。彼女たちは艦娘と言い、海からくる敵と戦っているらしい。


「ときに店員さん。お菓子を値下げしてくれない?」ふ


「しませんよ。」


これでこの会話は5回目。


「もーケチだなぁ。鈴谷は今月ピンチだって言ってるじゃん!」


「それは自業自得でしょ...」


まったく、目のやり場にこまる。どうして艦娘はみんなこんなに可愛いんだ?


「ね?じゃあ、奢ってよ?店員さんがお金を出して鈴谷に奢ってよ?」


「奢りませんよ。」


「そんなんじゃモテないぞ!」


「余計なお世話です。」


はぁ。今でさえ会話していて緊張しているのに...。そこに昼休みを告げるチャイムがなる。というかなんで、昼休み前からいるんですか。


チャイムがなり終わると多くの艦娘が酒保にやってくる。


「おにーさーん。カップラーメンちょーだい!」


「まって、島風、またそんなの食べるつもり?」


この子達は確か駆逐艦とか言ったな。


「えー、いいじゃん!時雨もたべる?」


「ダメだよ島風、今日は食堂に行こう?」


あの、店員の前で買うのやめるのどうよ。


「店員さん。鈴谷のお菓子は?」


「あなたは諦めてください。子供じゃないんだから...」


「鈴谷は見た目高校生だからセーフ。」


「何言ってるんですか...」


「ねぇー、おにーさん!ダメ?」


横から島風?とかいう子が上目遣いで尋ねてくる。


「し、食堂でみんなと食べたらどうかな?」


店員としては0点な答えを返す。


「ほら彼もそう言っているから行こうか」


「むー。しかたないなー。行こっ!時雨」


そう言うと2人はかけていく。やっと静かになっ...


「ちょっと!!鈴谷無視しないでよ!」


はぁ。疲れる。


結局、通りかかった熊野さんに連れられて鈴谷さんはどこかに行ってしまった。そのあとは、遠征から帰ってきた皆さんがレンタルタオルを借りて行ったくらいだ。


「お疲れ様です。」


昼休みも程々に僕は隣の甘味処の間宮さんに話しかけられる。


「お疲れ様です。間宮さん。」


「どうですか?慣れましたか?」


「まぁ、来た頃と比べれば。」


「そうですか。でも、店員さん。女の子苦手ですもんね」


なんでバレてるんですかねぇ...


結局そのあと、夕方までお客さんは来なかった。でも、6時をすぎて放課になると、また艦娘達が集まってくる。


「店員さん!これ下さい!」


レジ台にはお酒が乗せられる。

でも、当の購入者が見当たらない。

僕はレジ台をのぞき込む。そこには紫の髪をした駆逐艦らしき子がいた。


「えっと、君未成年だよね。」


僕はたどたどしく尋ねる


「未成年?それは一人前のレディなの?」


何を言ってるんですかねぇ...


「あれ?暁、何してるんだい?」


そこに今度はショートカットの子が来る。


「あ、最上さん!あのね、利根さんが一人前のレディになるためにはお酒がいるから持って来いって言われたから買いに来たの!」


元気に説明をする。


「えぇ...。利根さん何言ってるんだよ...。あのね暁、お酒は20才以上じゃ買えないんだよ?」


最上と言われた子が暁という子を諭す。


「そうなの?」


今度は僕に質問してくる。


「ま、まぁ。うん。」


「じゃあ、一人前のレディになるには20歳にならないとなれないの?」


少し涙目になる。


「そんなことないさ。ほら、熊野ってまだ20歳じゃないけど、立派なレディを演じてるでしょ?」


演じてるとか言わないであげて...


「じゃあ、熊野さんに聞けば、一人前のレディになれるのね!」


「そうだね。じゃあ、いまから連れてってあげるよ。」


そう言って、最上は暁を連れていった。

そのあと利根さんが日本酒を5本買っていった。


「ねぇー店員さん。お菓子安くして?」


「また来たんですか鈴谷さん」


「かわいい女の子に言い寄られるなんて嬉しいでしょ?」


「言い寄られてるのは僕じゃなくてお菓子ですよね?」


食堂から出てきた鈴谷さんに絡まれた。


「ねぇ、お願い。ポテチ80円にして?」


両手を合わせて、頭を下げる。


「い、いや、僕の一存でそんなこと決められませんよ」


その姿に何故かあたふたする。


「いいじゃん。1個くらいバレないって」


「いや、帳簿つけてるからバレますよ」


「鈴谷さん?なになさってるの?」


そこに後ろから熊野さんが来る。この光景ここに来てから毎日だな。


「げっ、熊野」


「もしかして、また、店員さんに迷惑をかけてらっしゃったのかしら?」


「迷惑だなんて...かけてないよ?ほら、スキンシップ?みたいな?」


「昼休みも同じこと言って誤魔化そうとしましたよね?」


熊野さんの目が怖くなる。

鈴谷さんは逃げようとする。


「待ってください。鈴谷さん?」


「あ、あぁ!!いまから提督のとこいかなきゃ!」


わざとらしく走っていく。


「まったく、やれやれですわ。店員さんももっと鈴谷さんに強く言ってもかまいませんのよ?」


熊野さんは呆れたような顔をする。

僕は苦笑いにとどめておく


「では、私は明日の演習の準備がありますので失礼します」


そう言って熊野さんは歩いていった。


「熊野行った?」


ふと後ろから声がする。あれ?鈴谷さんさっきあっちに走っていったような...


「間宮さんとこの裏口から戻ってきたんだ」


なぜかドヤ顔の鈴谷さん。


「てことでポテ...」


「ポテチは定価で買ってください」


「もー!!いじわる」


僕の足をげしげししないでください。


「そんなんじゃモテないよ?」


「いや、だから別にモテなくても...」


鈴谷さん。何度も僕の心を抉らないでください。


「もぉー!店員さんのケチ!!そんな意地悪な店員さんなんてもう知らない!」


そう言って1人で歩き出す鈴谷さん。


「...」


「...」


「...」


「なんで引き止めてくれないの?!」


なんでそんなに怒られるんですかねぇ...。


「止めて欲しかったんですか...」


「もーー」


そんなに背中を叩かないでください。

あといい匂いがする...


「鈴谷さん!!なんで戻ってきているのですか?!」


また熊野さんが戻ってくる


「うへぇ。ねぇ、店員さん熊野が怖いよぉ」


僕の袖をクイクイ引っ張ってくる。


「いや、あなたが悪いんじゃないですか」


「そうですわ!鈴谷さん、早く部屋に戻りますよ!」


「えーでもポテチ...」


いや、しぶといな...


「あーもう分かりました。私が買って差し上げますわ」


そう言って熊野さんは財布からお金を取り出す。


「やった!ナイス熊野!」


僕がポテチを渡すと、嬉しそうな鈴谷さんと、憂鬱な顔をした熊野さんが歩いていった。



「やーやーお兄さん?今暇かい?」


2人が去ったのを見計らったのか、黒髪の女の子が話しかけてくる。


「えっとあなたは...」


「やだなーもう忘れちゃったの?重雷装艦北上だよ?」


そうそう、北上とかいう名前だった。


「こんにちは北上さん。」


「もー、そんなに畏まらなくていいよー。ほら、お兄さんの方が歳上でしょ?」


「ま、まぁ、お客さんですし...」


僕はしどろもどろになる。


「まーいいけどさー。」


北上さんはそういいながら店の横のベンチに座る。


「北上さんは何を買いに来たんですか?」


何も買う様子は無かったので聞いてみる。


「別に何ってわけじゃないけど、暇だからねー。」


暇だからねーと言われても...


「そうだ、お兄さん、トランプしよ?」


唐突にそんなことを言い始める。



「僕の勝ちですね」


僕がババでない方を抜き取ると北上さんは顔をしかめる。


「このスーパー北上さんが負けるだなんて...」


そう言ってそのままベンチに寝っ転がる。


「たまたまですよ、たまたま。」


「たまたまでもくやしーじゃん。」


北上さんはわざとらしくため息をつく。


そして僕の顔をじっと見つめる。


「あ、あのなんですか?」


僕は耐えれず訪ねる。


「いやー。なんでもないよ?」


「そうですか...」


二人の間を沈黙が訪れる。


しばらくするど北上さんは笑い始めた。


「な、なんですか」


「君、女の子苦手なんだね。」


やっぱり僕はわかりやすいようだ。


「なんでそんなに笑うんですか」


少しだけイラッとしたので尋ねる。


「だって、私と目を合わせないし、私がじっと見つめると顔赤くするんだよ。可愛くて仕方ないじゃん」


なんだかとてつもなく失礼なことを言われている気がする。


「か、顔は赤くしてませんよ!」


「じゃあ10秒間私の顔を見てね?」


「いいですよ?」


「よーいドン」


「1」


「2」


「3」


「4」


「5」


「ってもう顔赤いじゃん」


北上さんはもう一度笑う。だって、恥ずかしいじゃないですか...。


「もう!何も買わないなら部屋に帰ったらどうですか?」


「えー。」


なぜか嫌そうな顔をする。

そこにまた1人誰か来た。


「ボクにボールペンを売ってくれないかな?」


「やっほー最上!」


本日二回目と登場だ。


「あれ、北上もいたんだ。何してたの?」


「私?この子で暇つぶししてたの」


一応見た目的には僕の方が上なんですけど...


「へぇ、店員さんっていつもなんかたどたどしいからそういうの相手しないと思ってた」


「ヘタレなだけだよん」


そこの雷巡黙ってください。


「たしかに鈴谷が気に入るのも分かるかも、あの子ヘタレな子が好きらしいし」ボソ


「え?マジで?」


北上さんが大きな声を出す。最上さんの声は分からなかったけど...


「まぁねー。あ、でもボクも嫌いじゃないよ」


「敵が多い」


今度はしかめっ面になる北上さん。


「あのーさっきからなんの話を?」


目の前でコソコソされるのは気になってしまう。


「いーや、なんでもないよん。じゃあ私帰るね」


「ボクも、ここにお金置いておくから、じゃあね」


そう言って2人は歩き出す。そろそろ営業終了時間だ、僕も帰るとしよう。


そう思って店を片付け始める。するとそこに、昼間来た駆逐艦の子が話しかけてきた。


「やぁ、店員さん。今から帰るのかい?」


「えっと...時雨さん?」


「そうだよ。覚えていてくれたんだね。嬉しいよ。」


はにかむ笑顔は可愛い。


「で、何を買いに来たの?」


「いや、買い物に来たんじゃないんだ、せっかくだから君を食堂に誘おうと思ってね。」


唐突に何言ってるんだこの子。


「あの、夕飯なら自炊するから必要ないよ?」


「何作るんだい?」


「レトルトカレー」


「さぁ、食堂に行こう」


会話を続けてくれ...


結局食堂に連行されました。



「あれ?男の人?」


食堂に行くとオレンジの服を着た女の子に話しかけられる。


「うん。ほら、酒保の店員さん。川内さんもよく会うでしょ?」


「あー!、夜戦雑誌売ってくれない人だ!」


机を立ち上がり僕に詰め寄る。


「いや、そんな雑誌ないですよ...」


「嘘だ!北上があるって言ってたもん!」


「北上さん...なるほど...」


完全に遊ばれてますやん。


「なんでみんなそんな顔で見るの?」


哀れみの目線が川内さんに向けられる。


「さぁ、店員さん行こうか」


僕は時雨に手を引かれる。


「ち、ちょっと!!待ってよ!」


川内さんの叫び声は食堂を静かに通り抜けるだけだった。


「と、言うわけでさ店員さん。この券売機で券を買って好きなやつを頼んだらいいよ」


そう言われて僕は券売機を見る。なるほど普通の定食か。


「どれがおすすめかな?」


僕は時雨に質問した。


「そうだな。かつ定食なんてどうかな?」


「かつ定食...250円?!安いなぁ」


「そうなのかい?」


「うん。500円は確実にする。高いし、僕はあまり買わないかなぁ」


「じゃあ明日からここで食べたらいいじゃないか」


時雨さん?何を言ってるのん?


「あっ、それ名案じゃん!」


そこに今日三回目の元気な声が聞こえる。


「鈴谷さんいたんですか。」


「そうだよ!ってか、店員さん鈴谷のこと気づいてくれなかったじゃん!」


頬を膨らませる。


「えっと、なんかごめん」


「しかたないなー。鈴谷の隣に座ったら許してあげる。」


そう言って手を引かれる。


えっ、まさか奢れってこと...


「待ってくれないかい?鈴谷。」


今度は時雨さんが声を出す。


「今日はボクが彼を誘ったんだ。一緒に食べるのはボクが妥当だろう?」


「うー、そうだけどさー」


鈴谷さんがブツブツ言う。

仕方ないここは...


「じ、じゃあ3人で食べればいいじゃないかな」


いやだー、何提案してるんですかね...。


「それいいね!そうしよう!」


鈴谷さんが大きな声を出す。


「まぁ、それが平和的解決策だね。」


時雨さんは苦笑いした。



「そういえば店員さんって、女の人と付き合ったこと無かったんだよね?」


いきなり鈴谷さんが、心の傷を作り始める。


「まぁね。」


「なんで共学なのに作らなかったの?」


共学みんなカップルになると思っているのか...?


「そんなの作れないよ、話もしない。」


「なるほどねぇ...」


そう言って鈴谷さんは味噌汁を飲む。


「じゃあ、女性と話すのはここの鎮守府が初めてなんだね」


今度は時雨さんが抉ってくる









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2018-02-23 20:02:06

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2018-02-12 09:06:40

このSSへのコメント

5件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2018-02-12 14:39:45 ID: ZXUASi-l

鈴谷にねだられたら断れる自信ないわw

2: SS好きの名無しさん 2018-02-13 20:41:10 ID: Fhzle5ss

誤字脱字が少し目立ちますが、作者様のこれからに期待しております。
更新、待ってます(^^)

3: SS好きの名無しさん 2018-02-19 17:24:03 ID: yoysqZG5

良いなあ。 
ここの利根さんは酒豪なんやね。

4: 榛名 2018-02-20 08:47:04 ID: wnLXjRGG

鈴谷可愛いなw
かなり面白いです!更新期待してます!

5: 74門戦列艦ホリュンデス 2018-02-23 20:02:40 ID: WJjqJl2n

更新切望


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1: 74門戦列艦ホリュンデス 2018-02-23 20:02:31 ID: WJjqJl2n

おもしろい。続き気になる


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