2018-10-17 13:51:39 更新

概要

「上手く、笑えないよ」そういって、ろーちゃんはゆーちゃんみたいに泣いた。燃料を託して動かなくなった。北国の鎮守府で共に過ごした友の記憶を積んで進んで、もう、一踏ん張り。対戦後復興妖精編決着。


前書き

※キャラ崩壊&にわか注意です。
《《艦娘の身体欠損注意》》


・ぷらずまさん
被験者No.3、深海棲艦の壊-ギミックを強引にねじ込まれ、精神的にダークサイドに落ちた電ちゃん。なお、この物語ではほとんどぷらずまさんと電ちゃんを足して割った電さん。

・わるさめちゃん
被験者No.2、深海棲艦の壊-ギミックを強引にねじ込まれ、精神的にダークサイドに落ちた春雨ちゃん。

・瑞穂ちゃん
被験者No.1、深海棲艦の壊-ギミックをねじ込まれ、精神的にダークサイドに落ちた瑞穂さん。

・神風さん
提督が約束をすっぽかしたために剣鬼と化した神風ちゃん。

・悪い島風ちゃん
島風ちゃんの姿をした戦後復興の役割を持った妖精さん。

・明石君
明石さんのお弟子。

・陽炎ちゃん
今の陽炎の前に陽炎やっていたお人。前世代の陽炎さん。

・元ヴェールヌイさん(北方提督)
今の響の前々世代に響やっていたお人。
北国の鎮守府の提督さん。

・海の傷痕
本編のほうで艦隊これくしょんの運営管理をしていた戦争妖精此方&当局の仮称。

・メインサーバー君
運営管理の補助をしていた想力仕様の自我を持ったサーバー。

※やりたい放題なので海のような心をお持ちの方のみお進みくださいまし。


【1ワ●:現状確認】


響&ヴェールヌイ・北方提督&デカブリスト「やあ、姉さん」


暁「響の声がたくさん聞こえるううううう!」ピギャー


北方提督「私がこちらの総指揮を執りに来た。准将から頼まれている。ここにいるのは伊13、伊14、暁、響、響、電、若葉、大和、武蔵、赤城、神風、春風、旗風、明石さん」


北方提督「それと鹿島、木曾、江風が入渠中だね」


北方提督「電、その損傷は?」


電「戦後復興妖精とやり合いました。私のほうが損傷は大きいですね。向こうは小破なのです。初霜さんがやられて三式弾が降ってきたら逃げていきました」


電「資材は隠しておいたので、それからは無事ですが、鼻の利く犬に見つかって資材は蹴散らされたのです」


夕立「ぽ、ぽいぃ~……」


北方提督「向こうにあるのが資材の残骸の山か。多くない?」


雷「増えたのよ。なんか数値的にいえば各資材万越えと高速修復材と建造材やらネジやらが各80個くらい現れたのよね。トランス現象みたいにね。それごと夕立さんが破壊しちゃった」


北方提督「夕立、どういうことかな? タイミング的に狙ったよね?」


夕立「……」


デカブリスト「任せろ。殺してもいいんだろう。私が拷問を担当しよう。向こうで廃人になってしまうと思うが、今は『敵』だろう?」


夕立「は、話す! 話すから!」


夕立「最終海域のギミックの1つみたいで戦後復興妖精さんがメインサーバー君と結託して各提督がスマホの艦これで集めてた資材を反映させたの!」


夕立「不平等だからって両方の陣営に、そのタイミングで攻めて資材だけは優先的に破壊する作戦」


暁「ずるいわね! じゃあ向こうの陣営には潤沢な資材があって、こっちにはないってことじゃない! ずるい!」


北方提督「まあ、こっちも私を投入したしね……」


雷「あ、でもそれなら司令官がリアルマネーで資材を買えば資材は補給してもらえるってことかしら。確かワンコインだったっけ?」


夕立「メインサーバー君が決戦前に各資材の値段を500円から」


夕立「一律2000万にした」ッポイ


雷「」


北方提督「……、……」


北方提督「了解。拠点は施設を直すのにかなり時間がかかるけど、駐屯出来ない程ではないね。夜で勝負を決めよう。全員で戦後復興妖精を潰しに行く。あれが一人いるだけでどれだけ倒そうが戦力差が開いたとは思えないからね。壊滅的な被害を受けても首を獲りに行く」


北方提督「……が、弄した策は電に聞いてくれ、といわれている。准将が他に用意した策があるね? この場で構わないから教えてくれる?」


電「……」


電「中枢棲姫勢力のいずれかを復活させる策ですね。反転建造での深海棲艦海建造資材は判明している範囲で当てをつけているのです。現場で瑞鶴さん比叡さん、そして私の電艤装、空母戦艦駆逐の艤装を媒介にして中身は瑞穂さんかわるさめさんに呼応していずれかがキャッチできるかも、と」


電「ただ深海妖精役割の肝心な建造はどうやって行うのかは聞いていないのです。まあ、司令官さんはメインサーバーか戦後復興妖精がなぜか協力してくれるだろう、と見ているような気がします」


北方提督「了解、私達にはよく分からない読みがあるってことだね」


若葉「ちょっと待ってくれ。司令官に聞きたいことがある」


北方提督「なんだい?」


若葉「デカブリストってあれだろ? 確かヴェールヌイの中にコンバートとして入れられていたものだろう……?」


電「確かに。響お姉ちゃんの艤装にヴェールヌイお姉ちゃんがいるのなら、ヴェールヌイお姉ちゃんの想からデカブリストを切り離してあなたの艤装に入れたはずなのです。想を切り離す工程には技術が……」


北方提督「これ」


電「想力工作補助施設なのです!? なぜあなたが……?」


北方提督「この間、若葉について擬似ロスト空間に行っただろう。その時に初霜を観察して、コツはつかんだ」


若葉「いやいやいや……そう簡単に真似出来たら苦労しないぞ」


北方提督「……冗談。デカブリストの中にデータがあった。多分、第1世代の島風さんの仕業だろうね。素質に求められることが多いけど、仕組み自体は単純だ。今を生きる私達の想力が構成要素だからね」


神風「ダラッシャアアアアア!!」


電・暁・若葉「!?」ビクッ


神風「すみません。最高の知らせについ」


神風「司令官、司令補佐から言伝を承りましたのでご報告を」


北方提督「了解。それと若葉、大和赤城、木曾を読んできて。艤装を明石さんが修理している間に作戦会議をちゃちゃっとやるからさ」


若葉「あいよ。それで夕立は」


デカブリスト「私が送ってあげようか?」ジャキン


夕立「じ、自分の足で行くっぽい~……指定海域外に~」


北方提督「うん、その潔い引き際は好きだよ」



2



戦後復興妖精【照月はカスダメだけど資材はあるから直しとけよ】


照月「うん。噂以上に最終世代の皆さんが強い……」


戦後復興妖精【……まあ】


瑞鳳「数的に大分やられてしまいましたね」


瑞鳳「向こうは日向さん長月&菊月ちゃん、こちらは比叡さん榛名さん金剛さん龍驤さんに山城さんはっつんガングートさんと大きな戦力ばかり沈められちゃいました……」


戦後復興妖精【最初に神風誘う作戦は悪くなかったぞ。ただ電のやつと神風があの程度の策じゃ止めらんなかっただけ。まあ、神風と電を潰しておきゃ向こうなぞ恐れるに足らん】


由良「いや、そのー、あのー」


卯月「悪いけど、うーちゃんも直せし」


戦後復興妖精【大破か。派手にやられたねえ……】


卯月「北方提督のやつがデカブリスト艤装つけてたぴょん。艤装のスロットが馬鹿げた数だったうえ対潜ロケット撃ってたし、あれなんだ?」


戦後復興妖精【ハアアア……?】


戦後復興妖精【…………ヴェールヌイから想切り離して使ったのか。准将、やっぱり妙な策を弄してきやがったか。私が探知出来ねえ以上、性質は真白の今を生きるステルス仕様っぽいな】


卯月「ヴェルと同じく海の傷痕特攻艦かー……」


由良「戦後復興妖精さん、向こうの思考は読めないんですか?」


戦後復興妖精【それは向こうも分かってる以上、連中の作戦読んだら逆手に取られて終わりだろ。そもそも私はざっぱな解釈しか出来ねえんだよ。現状までの情報整理して対策立てたほうがいいぞ】


瑞鳳「というか北上さんと大井さんのやる気が……あぐらかいてぼうっとしてますが」


卯月「テメーらやる気出せし! 特に大井! 前にうーちゃんに大それた説教したくせになにぼさっとしてんだぴょん!」


大井「うちからはガングート沈んだので秋津洲と北上さんと私と由良さんと阿武隈か。秋雲はサボりましたか」


大井「ええと、小手先の作戦会議に意味あります?」


瑞鳳「どういう意味です?」


大井「戦後復興妖精の戦闘力も曖昧ですよね。強い、ということ、そして戦力として数えているのは共通だと思います。だから細かい会議をするとそいつにイニシアチブを取られがちですよね」


大井「それはあなた達が良いのなら構いませんけど、私は違います。まず最優先すべきは『そいつが信用できるのか』ってところからじゃないと、作戦に加担する気にもなりませんね。ねえ、北上さん?」


北上「おおよ。こちとらログイン勢に留まらず大将の艦隊だぜ?」


北上「無駄にプライド高いよ」


北上「どんっ!」


北上「というか参戦人数多過ぎて把握してないっす」


瑞鳳「リタイア勢を除くと」


瑞鳳「大鳳、白露、時雨、曙、朧、瑞鳳、飛龍、蒼龍、秋月、照月、イク、ゴーヤ、扶桑、霧島、伊勢、卯月、翔鶴、伊26、伊401、利根、筑摩、漣、潮、阿武隈、由良、隼鷹、香取、北上、大井、秋津洲+戦後復興妖精です」


瑞鳳「向こうは神風、電、サラトガ、グラーフ、ろー、三日月、望月、雪風、島風、天津風、ビスマルク、プリンツ、春風、旗風、瑞穂ちゃん、長門、武蔵、大和、鹿島、不知火、明石さん、わるさめ、江風、神通、木曾、暁、雷、響、赤城、加賀、若葉、伊13、伊14ですね」


北上「うわ、まだ両陣営とも多いね」


瑞鳳「まだ時間もありますし、この際だから編成組み直すのもありかと思いますが……大井さんの言葉もこれまた一理ありますので」


戦後復興妖精【逆に聞けばどうすれば信用してもらえるんだよ。そんなに私が嫌いなら今から第三勢力になるけどー?】


大井「では夜戦の先陣を全力でお願いします」ニコ


戦後復興妖精【イジメ怖い】


戦後復興妖精【というのは冗談でもともと出るつもりだったから構わねえが、ざっと向こうは半数が減る計算で頼むぜ。それが効果的な作戦とは思えねえけどな】


阿武隈「あ、私と由良さんと卯月ちゃんも出ます。瑞鳳さんもですね。他は夜もお強い4駆の皆さん、それに潜水艦の皆さんもでしょうか」


卯月「4駆のやつらと潜水艦に声かけてくるぴょん!」


戦後復興妖精【お? お前らも出るの?】


阿武隈「瑞鳳さんは丙少将からなにかいわれていると思います。まあ、丙少将は立場上、どこまでいっても戦後復興妖精さんを信用できないと思いますよ。利害が一致しているわけでもないので」


戦後復興妖精【そうだねえ。完全に身ぐるみ剥がしてマウント取るまでは敵だろうな】


阿武隈「あたし自体の考えでは戦後復興妖精さんのこと悪い人だとは思ってません、はいっ! だからそこらは他の人に丸投げします!」


戦後復興妖精【で?】


阿武隈「ちょっと戦いから離れていたから鈍くなっていましたけど、もう大丈夫ですよ。だからむしろチート的な戦後復興妖精さんには手を出して欲しくないといいますか」


戦後復興妖精【ほう、なにか想いが?】


阿武隈「思えば、提督にはお世話になりっぱなしです。スカウトを受けた時からずっとです。海にしか報いはなかったのに、海から目を背けていたうえ、ろくに砲雷撃もできずにその挙げ句、中枢棲姫勢力決戦では暴走して、でも提督はあたしにずっと期待してくれていて」


阿武隈「ぼんこつだったあたしを旗艦に置いてまで大事に育ててくれて」


阿武隈「最後の海で、ちょっとだけ返せたかなって」


阿武隈「あたしはほんのちょっとだけなのに、鎮守府(闇)は戦闘では無敗の伝説ですから、はい、仲間ってとっても強い力なんだと思います!」


戦後復興妖精【……てっきり神風に旗艦の座を奪われて終わるのは嫌だみたいな流れかと思ったわ】


阿武隈「奪われるとかそういう次元の話ではないです」


阿武隈「だからそういう理由ではなくて」


阿武隈「私の中では返しきれていない恩を提督に返したいですね」


阿武隈「提督のことですから勝つ作戦を立てたはずですし、あたしには大体シミュレーション出来ています。それすらも提督の想定内のような気はしますけど、その提督の想定を越えた――――」


阿武隈「成長をお披露目して阿武隈を卒業しましょう、はい!」


戦後復興妖精(准将って人間不審の頃の弊害か味方にもナイショにする策を立てる傾向あっからな。そこの艦隊の旗艦ってだけで、提督の頭の中ある程度予想してきたはず。対准将でいうなら阿武隈は私よか上等か……?)


伊58「この時がきたでち――――!」


伊19「正直、怖いのね……」


漣「7駆もお供しまっす! 夜なら向こうの化物とやりあえる気がするー!」


曙「もう終わるまで釣りしてようと思ってたのに……」


漣「最後くらいツンデレやめろやぼのたん!」


漣「我ら7駆! 甲の駆逐艦としてでっかい花火あげるのさー!」


潮・朧「そして観戦に回ろう」


漣「うお――――い! 二人は大先生と大井の姉御に似たね! ここは木曾さんと江風のように熱く闘志を燃やしていくところだ!」


漣「漣は電のやつを大破に追い込んだ比叡さんみたいにかっこよく活躍して――――っす!」


秋月「秋月も照月と一緒におともしま――――す!」


照月「そうだね! 向こうとは夜戦でも戦ってみたいかな!」


由良「同じく!」


阿武隈「あたし、卯月ちゃん、由良さん、漣ちゃん曙ちゃん朧ちゃん潮ちゃんゴーヤさんとイクさん、秋月ちゃん照月ちゃんの11人ですね! 十分過ぎる戦力ですっ!」


瑞鳳「あ、待って待って! 大鳳さんに引き継いで来たから私もー!」


阿武隈「了解しました! 瑞鳳さん含めて12名ですね!」


阿武隈「このメンバーで向こうに壊滅的被害を与えます!」


阿武隈「作戦は戦後復興妖精さんも聞いてくださいね?」


戦後復興妖精【おう。この余計なもんがねえ清々しい感じは嫌いじゃねえぞ】


卯月(……む、アブーのこの感じ)


卯月「覚醒してるぴょん!」


阿武隈「ふふ、この戦いでてーとくを阿武隈ラブ勢にしてやりますよっ!」


照月「あのー、戦後復興妖精さん、道具って例の想力で作れたりしますか?」


戦後復興妖精【……あ? そりゃ作れるが、でけえもんなら時間かかるぞ?】


照月「ふふ、15歳まで北アメリカ育ちの照月には特技があってですね。砲精度がグンとあがる気がするので試してみたいことがあって!」


照月「――――、――――」


戦後復興妖精【バッカじゃねえのお前】


秋月「て、照月にそんなワイルドな特技があっただなんて……!」


阿武隈「それは面白そうですね! 採用しましょう!」












北上「大井っち、どーする?」


大井「では木曾は抑えておきますか。先の氷の海の戦いを聞くに手も足も出ずに雷巡として身の程を知ったでしょうし」


北上「そだねえ。雷巡なのに常に真正面からだもんねえ」


大井「全くです。他より爆弾大量に抱えた艤装なのに」


北上「島影にでも隠れてどさくさ紛れに魚雷ぶっぱする不意討ち戦法こそ雷巡真骨頂ですよ」


北上「ゴロゴロ鳴った雷雲の存在はバレても落雷のように回避はできず。そんな狙い方が雷撃の理想よな。ちょっとやりますかね」


大井「相手が木曾と江風ならいつものようなオチになりそうですけどね……」



【2ワ●:ロデオガンマンガール☆照月】



不知火「来ましたね。ここまで遊撃部隊として様子見でしたが」


雪風「准将からは雪風の判断で『ダメそうなところに飛び込め!』と! まだまだそんな感じ? はしません!」


長門「ふむふむ、准将らしい運用だよな。丙少将は作戦の要で雪風を頼る時が多いが、准将は不確定要素のフォローに使う」


長門「ここまでたくさんいると私も滾るよ。この夜に好機があるといいな」


長門「おっと、偵察機がサラトガの第一波を確認した。夜戦が始まるな」






神風「行くよー! 4!」


響「3!」


わるさめ「2!」


北方提督「1!」


神風・響・わるさめ・北方提督「Yeah!!」


神風「Dancin' with us!」


わるさめ・北方提督・響「wow wow wow!」


神風「よろしくう~」




三日月「す、すみません! うちの人達が……!」ペコリ


雷「こちらこそごめんなさいね。うちの人も半分混じっているわ……」ペコリ



ろー「みんな!」


ろー「愛すべき仲間や家族がいる! 信念やプライドを曲げずに貫くべし、だよ! ろーちゃんは資材集めがんばりますって!」


島風「おう!」


グラーフ「貴様等いい加減にしろ! もう戦闘始まってサラとプリンツ望月加賀が先行してくれていているんだが!?」


ビスマルク「突っ込んでも疲れるだけよ。天津風のあの目を見てご覧なさい。ただ終わるのを待つのが一番良いと思う」


天津風「……」


グラーフ「まるで嵐がただ去るのをガラス越しに伺いながら待っているかのような物憂げな瞳……!」


神風「じゃあ、6駆のみんな行くわよ!」


暁「う、うん。長月と菊月に頼まれたしがんばる!」


響「私もいる。大丈夫さ」


電「まあ、そうですね」


雷「6駆で戦うのは最後の海が最初で最後だと思ってたけど」


北方提督「……ごめんね。陽動だなんてさせて」


電・響「……」


暁・雷「まだ珊瑚の件気にしているの?」


暁・響・雷・電「今度は上手くやる(のです)」


北方提督「――――」


北方提督(いやはや、私よか大分強いね。頼もしい)


北方提督「よろしく」





ろー「総員、明日に向かうのです!」


ろー「太陽の昇るほうに突撃――――!」


タタター、パシャン



2



サラトガ「Oh……発艦した夜艦偵察機が全て未帰還です」


サラトガ「向こうにも夜艦機搭載空母がいますね。それとこの艦載機撃墜処理効率……恐らく秋月型を含めた防空艦を含めたかなりの戦力が出て来ていますね!」


望月「当たり。このキャッチ反応、秋月型二人と空母は瑞鳳か。卯月、由良、阿武隈もいる。他はわかんね。聴音機にまだ潜水艦反応はなしー。あ、プリンツさんの電探はあたしよか高性能だろ?」


プリンツ「んー、7駆の皆さんもいます。確認しただけで10人、夜戦で強い方がたくさんいます。これはかなりの激戦になりますね……!」


サラトガ「プリンツさん、その情報を通信でお伝えください」


プリンツ「ヤー!」






天津風《了解。それじゃ日々の特訓の成果を見せて上げようじゃないの!》


天津風《突撃――――!》




……………


……………


チュン


加賀「――――あ」


プリンツ「加賀さん、大丈夫ですか?」


加賀「いや、大丈夫じゃない、わね」


加賀(狙、撃……? 急所を、)


加賀「最後に艦載機だけ飛ばしておくわね……」


望月「――――痛っ!」


望月「いってえ、眼鏡が割れた!」


プリンツ「ど、どこから!?」


サラトガ《神風さん聞こえますか? 加賀さん望月さんがスナイプされたのですが心当たりあります?》


神風《照月。今から戦力割いて潰しにかかる》


望月「照月? 2000メートルは離れているよな……」


神風《よく分からないけど、当てられたのなら狙われたのよ。相手が深海棲艦じゃなく艦兵士だから狙撃手みたいなことやってるんでしょ。あれはなんだろう? なんか馬? っぽいのに乗ってる?》


望月《お前のいってることが分かんねーよ……》



3



神風「単横7駆+卯月……いや、これは鶴翼陣ね」


神風(……秋月と照月が島の岸辺に陣取ってるわね。なぜに?)


響「ところで電、今回の戦いどんな風に立ち回るつもりだい?」ヒソヒソ


電「あくまでサポートの立ち回りなのです。私は司令官さんがおもんばかっているこの神風をなるべく生かせれば、と。もちろん任務も承っているのですが、それは完了したも同然なので」ヒソヒソ


響「なるほど、了解」


ヴェールヌイ「最前線だ。響も電も気を張り詰めてくれ」


ガガガガガガ!


響「でもこの通りヴェールヌイがやる気なんだ」


電「……響お姉ちゃんはあの日のリベンジはいいのです?」


響「あの日のリベンジ?」


電「野球ですよ。私は響お姉ちゃんに守られるほど弱くはありません。ヴェールヌイさんに付き合ってサヨナラ勝ちを決めてはどうなのです」


ヴェールヌイ「その通りだ。今度は決めてMVPを取りたいな」


響「任せてくれ」キリ


雷「もう射程に入るわよっ!」ジャキン


神風「……、……」


神風「!」


キン


暁「へ? 神風さん今……」


神風「暁ちゃん狙われた……!」


暁「だ、誰から?」


暁「あ――――」


雷「暁! 損傷したのは左腕!?」


神風「総員、警戒徐行に移行!」


神風「電さんは包囲網を抜けて秋月照月です!」


電「……了解」



4



照月「アーメン……加賀さん仕留めたり」


パカラッパカラッ


秋月「なにいってるか分かんないと思いますがとりあえず聞いてください。私の妹が西部劇コスで馬にまたがっています。照月はなんと馬に跨がりながらの砲撃だと7000メートル先の相手にも当てる超ロデオ艦ガールだったんです」


照月「フゥッ」


秋月「長10センチ砲ちゃんの砲口にガンマンみたいに息を吹きかけました。というか照月、そのウエスタンハット似合いますね!」キラキラ


秋月「馬の上からの射撃のほうが得意とか艦娘として色々違いますよね! 面白すぎますよ!」キラキラ


照月「艤装つけながらの乗馬ってやっぱり最高だね。想力仕様のこのお馬さん反動にも耐えてくれるし」ジャキン


秋月「私なら狙いをつけられそうにないです!」


ドンドン!


照月「ふ――――獲った」


ドオオン!


電《小賢しい……》


電《島 ご と 失 せ ろ》


秋月《秋月がお相手致しますよ!》


秋月「電さんが釣れました! 照月を護衛しながら島の中に身を隠しますっ!」


照月《艦載機なんて何機飛ばそうが秋月姉と照月を沈めるには足りませんからね!》


秋月「敵機確認! 200……400……500機弱です! ふむ、秋月の夜戦力、お見せしましょう!」


照月「照らす月の下で夜戦ですね! 主砲、対空戦闘よーい!」


秋月・照月「ど――――ん!!」



5



秋月「地面が凸凹、森が火の海……お花と虫が好きな電さんは自然に優しいと思いきや、戦闘となるとそうでもないんですね」


秋月「やはり戦争は悲しいですね!」


照月「……ここっ!」ドンドン!


ドオオン!


秋月「被弾――――く!」


電「乗馬、なかなか生かした真似してんじゃねーですか」


電「フゥッ」


秋月「電艤装の備え付けの拳銃に息を吹き掛けて……! 深海海月姫の頭部艤装を照月のウエスタンハットのごとく見立てていますよ……!」


秋月「というか驚かないんですね!」


電「まあ、私自体が深海棲艦艤装なんて扱えますし、北方提督&デカブリストのミサイルに神風の刀と速度、初霜さんのでたらめ素質、もはや乗馬ガンマンが現れたところで驚くに足らないのです」


秋月「く、ちょっと納得してしまいました……!」


照月「秋月姉乗って!」


秋月「はい!」


電「私のギミック破る手立てがないとは、ならば時間稼ぎですか?」ジャキン


電「駆逐古鬼、戦艦棲姫、深海海月ギミック展開!」


ドオオオオオン!


照月「あ、ああ! お馬さんがやられた! 魂が星に向かって」


電「天馬になりましたねえ。それではさようなら」ジャキン


ドオオオオオン!


秋月「――――あ、」


照月「秋月姉――――!」


秋月「まだ、ま」ジャキン


電「お そ い」


ドンドンドンドン!

ドオオオオオン


秋月「」


ドンドンドンドン!

ドオオオオオン!


照月「ひどいよ! 容赦なさすぎる! それが同じ鎮守府の仲間にすることなの!?」


電「はあ? 帰国子女風情にうちの流儀のなにが分かると?」


電「死んだと思ったらもう一発なのです」


ドンドンドン!


照月「一発とは(哲学」


電「さてロデオガンマンガール、脳髄撒き散らしてあなたも空駆ける天馬となってお星様になるのです」ジャキン


電「慈悲はなし」


照月「イヤアアアア――――!」


【3ワ●:夜戦】



神風「由良、卯月、阿武隈、7駆か。持つかな」



響&ヴェールヌイ「持たせるさ。私が4駆を相手にしよう」


神風「任せた。暁ちゃん雷ちゃんと私で残りを抑えるわ」


ドンドン!


神風「撃ってきたわね」


神風(でも……思っていたよりも暁ちゃんが避けるの上手ね。でも向こうは卯月阿武隈由良でしょ。当てられないとは思えないし)


神風(誘われている感じがするわね――――出てきたけど、誰かまではよく分からない。あの前に出てきたやつを1分かけずに)


ドンドン!


神風「っ!」



2



阿武隈「避けられはしなかったけど、被弾させてはいない、と」


阿武隈(……砲弾を受け流すとか、反動とか破片被害考えるとリスク高過ぎなんですよね)


阿武隈「なるほど、前の時よりも体術お化けですね……でもこれが航行術で避けられないようなら」


阿武隈「まだ負けませんよ!」


神風《未来を読まれているかのよう。前と戦った時はしょせん戯れの域を出ませんでしたか!》


阿武隈《変な動きする人ほど体さばきには癖があるんですよね!神風さんの場合はよくあるとっさの左方向への意識ですかね!》


神風(今のは中口径主砲20.3cm(3号)連装砲……改修もされてるかな)


暁「捉えたっ!」


神風「ナイス探照灯、完全に捉えたわ!」


神風《暁ちゃん、追い抜いた甲標的の処理も可能ならば頼む! 由良さんとのも合わせて2機ほど!》


暁《爆雷使うけど、それぞれ離れているから2機は厳しい!》


阿武隈「む、神風さん、速くなったり遅くなったり。タイミング合わせ辛い……というかこれ」


阿武隈(砲撃じゃ当てられない気がする)


阿武隈「なるほどー……確かにこれは単艦演習ならばお強いですね。こういうのには数の暴力が有効的ですが!」ジャキン


ドンドン!


神風「低速航行でノロノロと!いい的ですよ!」


神風「司令補佐の第1旗艦の首もらったア!」


ズバン


神風「――――痛ぅっ」クルッ


神風(防がれるどころかカウンターもらった……!)


神風「私が――――」


神風「軍刀相手に……!」


ドンドン!


神風「こなくそが!」


阿武隈「足で蹴り落とせるのですか! その艤装ならではですね!」


神風「突っ込んで来るんですか、斬り合い」


神風「上等だ!」


キンキンキン


阿武隈「せいっ」


神風(そんな、私の領域……踏み込みを入れられる分、優位性はあるはずなのに、雷雨の日も雪風の日も鍛練してきたのに)


神風(夕立といい……こうも、こうも!)


神風「現実は私の努力を嘲笑うかのように立ち塞がりやがって!」


阿武隈「こういう風に戦ってくれる相手と経験積まなかったでしょう? 積んだとしても少なくとも駆逐以下ですかね」


阿武隈「あたしに勝てばあなたに足りないピースを教えて差し上げますよ!」


神風「上から目線ですね……」


キンキンキン


阿武隈「素体馬力は38ってところですか」


神風「腕が弾か、」


ズバン


阿武隈「力の差ですね! 私は90馬力ですからね!」


神風(くっそ、左足を切られた……!)


神風(なにが力の差よざっけんな……私が海の上でその物を斬る修行に1年もかけたってのに即興でやってのけやがって……)


神風(しかも二刀流とかなめてんのかしら!私のプライドは既にズタズタに斬り裂かれたわよ!)


ガガガガガガ!


神風(艦載機の、援護射撃!)



卯月「この二人の邪魔はさせないぴょん」


ドドドドドド!


神風「邪魔だこのクソ兎が!」


阿武隈「あっ、すみません、抜けられちゃいました!」


由良「とうっ!」ドンドン!


神風「避けられな――――このっ!」


由良「超常現象ですね……砲弾の軌道を鞘で反らされた……疑似ロスト空間の魔法なのかなあ?」


卯月「気をつけるし。ビスマルクプリンツ、三日月、望月天津風がこの辺りのうーちゃん達と7駆に一斉射してる」


由良「ま、でも私は奥の暁ちゃんを倒してそのままビスマルクさん達のところに突撃させてもらいますね!」


神風「させません!」


阿武隈「おおっと! あなたのお相手はあたしですよっ!」


神風「すぅ……はぁ……」


阿武隈「!」ゾクッ


阿武隈「せいっ!」


ヒュン


阿武隈(空ぶった! 屈んでかわされて、この体勢……)


阿武隈(流れるように綺麗な動作だ)


神風「――――去ね!」




ズバン











阿武隈「ああ、やっぱり」


神風(体の全面が痛、い。嘘……避けられたどころか、抜刀速度で負け、た……の?)


神風「そ、んな――――」


阿武隈「この領域であたしに負ける程度では」


阿武隈「まだ精進が足りませんね」


神風(痛い……斬られた胸なのか、心のほうなのか……分かんない)


神風「負け、ました……」


神風「強い、です。あの人の旗艦なだけは……」


神風「こうも」


神風「遠いんですね……」







伊13・伊14「神風さん、海中にご案内――――!」




阿武隈「む……はあ」







阿武隈(手加減したつもりはないけど、涙見たら、容赦なく沈めるって最善手の判断が遅れちゃった。艦兵士とはいえ戦う以上、闇の流儀を実践出来なかったのはちょっとダメですね……!)



阿武隈「――――逃がしません」


ジャキン


ドンドン!


伊13・伊14「きゃあああ!」


阿武隈「1機の甲標的は神風さんに狙いをつけたままですよ!」


ドオオオン!


伊14「大破……浮上して位置をさらしたとはいえ潜った夜の私達に簡単に当ててくる……この人、つよ、すぎです……!」


伊14「ヒトミ! 神風さん抱えていって!」


阿武隈「トドメです!」


ドオオオン!


阿武隈「反応消失、伊13さんも往生してください!」


暁「それ――――!」


ドオオン!


阿武隈「当たりません! 暁ちゃんとは別に撃ってきたほうも!」


ドオオオン!


阿武隈「!?」


阿武隈(被弾、中破……! 回避方向に魚雷、合わされてた)



島風《お相手願! お――――う!》


天津風「島風、隣で大声出さないで! うるさいから!」




阿武隈「なるほど、いい連携ですがっ!」


阿武隈「負ける気は微塵もしません」


阿武隈「あたしは――――!」


阿武隈「沈まないし折れないし負けませんよ!」




*観戦ルーム



瑞鶴「さすがアブー!私達の理解の範疇を越えてる! アブーに勝てるのは全盛期のおちびくらいよ!」


龍驤「称賛しか出来んわ! うちらの提督の顔を見せてやりたいわ! ほらほら予想外って顔してるよ!」


青葉「撮影なら青葉にお任せを!」パシャパシャ


提督・ガングート「……」


提督「ガングートさん、信じられますか」


ガングート「信じられんが、事実だろうよ」


ガングート「あの神風と刀の決闘で真正面から下したぞ」


ガングート「噂は聞いていたが、あれがフレデリカ大佐と香取が太鼓判押した最終世代の素体最高素質か。ほとんどのことを1日、いや1時間あれば高精度で習得しちまいそうだ。もはや脱帽物の戦力だなありゃ」


ガングート「というか准将はなぜ驚く。あなたのところの旗艦だろう?」


提督「そうなのですが……彼女の完成系は最後の海でしかと見たつもりでしたが、まだまだ発展途上だったのか、と」


提督「夜戦部隊は阿武隈さんを潰すために機能するはずでしたが、夜の神風さんにいいとこ、拮抗のレベルかと見積もっておりました。さすが、ではないか。まだ自分はあの子のこと見誤ってましたかね」


提督「ですが、阿武隈さんも見誤りがある。神風さんを仕留められなかったのは後悔するかな」


提督「あの子のすごいところはそこじゃないので」


瑞鶴・龍驤「負け惜しみ乙!」


提督「く……」


ガングート「ぶっちゃけどちらの応援してる?」


提督「もちろんどちらも応援してます。勝ち負けとは別の心でね」


提督「あなたもそうなのでは?」


ガングート「そうだな。私は満足したよ。一度、提督と戦ってみたかったってのが心残りだった。すごく強いとは思ってたが、その通りだったしな。今は敵陣営の神風の勝利も願ってる」


瑞鶴「つうかデカブリスト……」


提督「種は分かるんですが、あの人がなにしても驚きませんよ……きっとあれがあの人の完成系なのでしょう」


瑞鶴「最前線で艤装つけて戦う提督がか……」


3



瑞鳳「い、痛いじゃないですかっ!」


わるさめ《よ、づほ!》


わるさめ《頭を咬み千切るつもりが脇腹しか食えなかったぜ! ステルスだったのに反応速度が以前よりも素晴らしい!》


わるさめ《夜艦機積んでるみたいだけど、わるさめちゃんは負けないぞ!》


瑞鳳「私だって負けませんよ!」


瑞鳳「鎮守府(闇)ではわるさめさんみたいな派手な戦果は挙げられなかったけど!」


瑞鳳「私だってあの鎮守府の兵士なんだから!」


わるさめ《いっちょ揉んでやろう!》


瑞鳳「そのつもりです、全機発艦!」


わるさめ《なめんな! この悪鮫ちゃん形態には防空棲姫艤装もあるんだよ! 卵焼き艤装の艦載機全て撃ち落として丸裸にして》


ガガガガガ!

ガガガガガガガガガガ!


わるさめ《こんがり焼いた後で食べてやるぜ!》


瑞鳳「く、トランスタイプはこれだから……! その化物の皮を剥がしてやりますから!」


ザッパーン!


わるさめ「ガ・ブ・リ!」


瑞鳳「わるさめさんは海面上に出てきたところを狙うしかないですよね!」


ドオオオオオン!


わるさめ「ハハ、防空棲姫装甲ギミック破るためのワ級艤装はそこじゃねえぜ! ぷらずまのやつにならって口の内側だい!」


瑞鳳「……こんのぉ!」


わるさめ「!?」


わるさめ「口が閉じない。両手で口を持ち上げるから、鮫の歯が手の甲貫通しちゃってるよおお! 見てるこっちが痛い!」


瑞穂「ほらわるさめ、召喚獣のところの仕掛け突破してあげたわよ……ったく、このくらいのギミックも突破できないだなんて」ピコピコ


瑞鳳「瑞穂ちゃんが中でゲームしてる!?」


わるさめ「スイキちゃん周り見てええええ!」


瑞穂「……うん?」


瑞穂「ちょ、わるさめ、早く口を閉じなさい! そいつが口を力任せでこじ開けてるのは――――!」


瑞鳳「もう遅いです! 瑞穂さんも獲りました、よっ!」


わるさめ「あ、やべ! 爆撃機を口内に突っ込ませるためか!?」


瑞穂「特攻じゃない! これだから闇の連中はイヤなのよお!」


ドオオオオオン!



4



漣「超強いいいいいい!」


ドオオオン!


曙「最後まで威勢だけは良かったわね」


漣「いやー、ぼのたんキツいっす……」


漣「大将の誇り、ぼのたんに任せた」


曙「私も響にもらって大破よ……航行は出来るけど、装備がもう」


漣「皆に任せ、ぐぼ――――!」


ドオオオン!


雷「あ、しゃべってるのに当てちゃった」


ヴェールヌイ「気にすることはないさ」


ドンドン!


潮「あ、当たりません!」


朧「知ってはいたけど、闇の人ってほんとに強いね……!」


ドオオオン!


朧「――――ああ、大破しちゃった」


朧「まだ、動けはする!」


潮「後方の戦艦空母の支援攻撃がさばき切れないね……こういうのには自信あったけど」


漣「うおら! なめんな6駆――――!」ドンドン!


雷「まだ沈んでなかったんだ!?」


漣「伊達に球磨型から雷撃喰らって育ってきてねえやい! 漣はもう浮き砲台に等しいけども!」


漣「倒してやる――――!」ジャキン


ドンドン!


曙「……ていっ」



響・ヴェールヌイ「ウラー!」


ドンドン!


漣「く、そう、後は頼んだ……」


チャプン


響「朧さん、隙あり!」ドンドン!


朧「ああ、まだまだで、す!」クルッ、スイイー


響「ダメコンで粘られたけど燃料庫は破壊したかな……と」


響「いた、イタタタタタタ! ヴェールヌイ、な、なんだいこれ?」


ヴェールヌイ「君の頬が大きく横に広がってるけど……」


雷「あ、曙さんがなにか引っ張ってる……!」


雷「あれは――――釣竿!」


曙「あるもの使ってみたら響が釣れたわ! 朧に潮、私がリール巻いてるうちに撃ちなさいよ!」


潮・朧「了解!」ドンドン!


響「痛たた、口のなひゃにつり針ひゃ、こうこーバランひゅがうま、く、」フラフラ


ドオオオン!


雷「ふう、あぶないわね! 真似してみたのはいいものの私には難しいわ砲弾殴り! 中破しちゃった!」


響「ご、ごめん雷!」


ヴェールヌイ「今の砲撃のお陰で糸が切れた」ジャキン


ドンドンドンドン!

ドオオオン!


潮「ああ……」


朧「でも!」ジャキン



ドオオオン!



5



ビスマルク「なにあいつ、うっとおしいわね!」


ドンドンドン!

ドオオオオオン!


ビスマルク「一人突出して6人に突っ込んできて、なんで私が中破してるのよ!?」


ビスマルク「由良アアアア!」ドンドン!


由良「……あ」


ドオオオオオン!


ビスマルク「サラトガね! Gut gemacht!」ジャキン


ドオン!


卯月《ぷっぷくぷう! テメーにこき使われているそのdrei艤装が可哀想だぴょん! 図体がでかいだけの的、豚に真珠だぴょん!》


ビスマルク「Fu◯k you」ジャキン


由良「そんな挑発に乗るようではまだまだですね!」


ドオオオオオン!


三日月「ビスマルクさあん!」


ビスマルク「……だ、大丈夫。それより!」


ビスマルク「あんたさっきから偵察機飛ばしただけでなにもしていないじゃない。戦う気がないのかしら……?」


グラーフ「前に支援を飛ばしているだろう……卯月のせいで効果的とはいえんが」


ビスマルク「卯月倒すのよ! 切り替えなさいよ資材置き場!」


グラーフ「資材置き場か。だがビスマルク、お前ももう少し私を見習い落ち着くといい。その艤装は日本に預けた祖国の宝だぞ」


ビスマルク「今の一撃で悟ったわよ。あなた頭は回るんだから、今の神風達が抜かれた今の状況の策でも立てていたんでしょう?」


グラーフ「由良には私達では勝てん。あれは単艦で海の傷痕:当局に一矢を報いた化物だ。この環境も含め実力差が有りすぎると見た。刺し違えて、など私の柄ではないので」


グラーフ「卯月を狙う。その間はサラ達のほうに投げよう。航行的に由良もまずプリンツかサラを沈めたいようだ」


グラーフ「卯月の素質と艤装の特徴は知ってるか」


ビスマルク「砲精度が高くて紙装甲と耐久で燃料を戦艦並に食う。妙な連射性能のある単装砲と連装砲を持ってて、ぴょんと跳ねる」


グラーフ「加えて判断力と反射神経、動体視力。迅速な対処、あれは神風の直感力に近いが、見ていた限り柔軟とはいえん」


グラーフ「『狙える場面をやるから当てろ』」


グラーフ「三日月も、だ」


グラーフ「――――、――――だ」


ビスマルク・三日月「了解(です)」


グラーフ「ビスマルク、一度きりだぞ。あの卯月には2度も同じ手は通じん。外したらお前を資材にして拠点に持ち帰ってやるからな」



グラーフ「さて妖精可視スコープ装着だ」






卯月《三日月! 望月! お前らと戦うのも久しぶりだぴょん! うーちゃんがどのくらい強くなったか身を持って思い知るといい!》


望月《うるせーよ……睦月型の中の実力格差は嫌というほど知ってら》


三日月《負けませんよ! 私と望月だってたくさん訓練してきたんですから! 卯月が街でゲームばっかりしてる日もです!》


三日月《あ、いや、訂正です! 望月もゲームばっかりであんまり訓練してなかったです!》


望月《いわんでよろし……》


卯月《真面目め。遊ぶことも訓練になるということが分からないのか。そんなクソ真面目な三日月には悪戯したくてたまらねーぴょん》


三日月《そういうのは司令官だけでたくさんです。成敗!》


ドンドン!


三日月(あ、魚雷を回避するのに本当に飛ばない。例の重ねの神業も夜だからかしてこないし、主に航行術で攻撃を避けていますっ)


三日月(燃料制限がありそう……と思わせた嘘だなんていかにも卯月のやりそうなことですが)


ドドドドドン!


三日月「く、う……魚雷菅狙われて。撃っておいて良かった」ジャキン


ドンドン!






卯月「……ん? この反応は、長門と雪風に不知火か?」


卯月(……雪風か。あいつ司令官の初期配属メンバーの癖にあんまり訓練していたところを見たことないぴょん。あの司令官のことだから雪風の生存力に目つけて妙なこと指示していた可能性が……)


ドンドン!


卯月「あぶねー。今は三日月達に集中しないと」


卯月(……艦載機が8機。それぞれ東西南北から2機ずつ。第2波が遅れて来る感じか。可視才利用してるっぽいから全部は難しいし)ジャキン


卯月「いや、ここは全て墜とす!」


ドドドド!


ドオオオオオン!


卯月「冷た……交叉弾の水飛沫が。破片痛てえし当てるタイミングじゃなかった。読まれているぴょん……これはグラーフかー?」


ドオオオオオン!


卯月「――――!」ピョーン


ビスマルク「高く飛んだわね! 避けられないでしょ!」ジャキン


卯月(38cm連装砲改2丁か)


卯月「当ててみろし。ポンコツ戦艦じゃないならな」ジャキン


ビスマルク「その変な艤装ごと沈むといいわ!」


ドンドンドンドン!


卯月(……ん? 待てこの反応?)


卯月「雪風の影響とか? これは終わっ――」


ビスマルク「――――外した!?」


ビスマルク「というか空中ですごい跳ねたわよ!? ずるくないあれ!」


パシャン


卯月「うーちゃんの勝ち。この距離で艦載機は味方もろとも、グラーフ、お前には無理だし」ジャキン


グラーフ「一応、私とビスマルクも機銃向けているんだが、三日月の砲口もな。弾薬と燃料も切れただろう? お前を沈める代償として私かビスマルクのどちらかを引き換えにくれてやる。誰を沈める?」


卯月「……いや、うーちゃん含め、由良さんもサラトガのほうも全員だぴょん。三日月は助かるんじゃねーかな」


レ級「終わりだな。運が悪いよ。建造地点にいただなんてさ」ジャキン


グラーフ「そのようだな……」


ビスマルク「嘘でしょ。まだなにも戦果を」


レ級「僕が強いから仕方ないかなー」


ドオオオン!



【4ワ●:今度死ぬのは大和だけじゃねえぞ!】



由良「――――!」


由良《後ろです! サラトガさんプリンツさん望月さん!》


プリンツ《そんな子供騙しに私はひっかかりません。えっへん!》


由良《由良も攻撃止めるから後ろ向いて! ね! ね!?》


ドンドンドン!ドオオン!


プリンツ・由良・サラトガ「」


望月「……けほ」


望月「なにが起きた……?」


望月「この面子に当てる砲撃精度と装甲空母のサラトガさんまで沈める重さ……?」


雪風「望月さ――――ん!」


雪風「待避してくださああああああい!」


望月「ん、なんだ?」トントン


望月「肩を叩いたの誰……」クルッ


ネ級「ネッちゃん。あ、flagshipです」ビシッ


望月「なんだ重巡ネ級flagshipかよ……」


ネ級・望月「……」


望月「あたし死んだアアアアアアアア――――!」


ネ級「うーん……あ、闇のやつ、確か不知火!」


不知火「あまり接点なかったですけど覚えてくれていましたか」ヌイッ


ネ級「最後の海のお友達は全員覚えてます!」


不知火「やっぱりネ級の反応はあなたでしたか……」


ネ級「ネッちゃんです!」


雪風「はい! 雪風です!」


ネ級・雪風「話すの決戦以来!」


ネ級・雪風「(ノˊωˋ)八('ω' )ノイエーイ!」


望月「お前ら仲良いな。瑞穂とわるさめのやつ見ていて薄々気がついてたけど、中枢棲姫勢力ってやっぱり面白い感じなのかよ……」


ネ級「わるさめスイキぷらずまはいない……?」


不知火「いますけどここにはいません」


ネ級「みんなこっちの世界で遊んでますよね……?」


ネ級「レッちゃんが怒ってる。『僕達の墓を掘り起こしてさあ! こういうことするのは大体、闇の提督だろーがよ! つかドンパチやってるならちょうどいい!』って」




レ級「榛名ア! 龍驤オ! 決戦の時の借りを返してやるよ! 今からぶっ殺しに行くから首洗って待ってろよコラ! そこの黒頭、二人の居場所教えなきゃ痛い目に遭わせるぞ!」


三日月「その二人はもうリタイアしてます――――!」



2



春風「指定ポイント到着です」


旗風「陽動部隊が派手に引き付けてくれているお陰で回り込めましたね! 彼処が敵陣営の拠点です! 大鳳、白露、時雨、飛龍、蒼龍、扶桑、霧島、伊勢、翔鶴、利根、筑摩、隼鷹、香取、秋津洲の反応キャッチです!」


大和「さてと今度は三式弾に加えて46センチ三連装砲も浴びせます。北方さんの指示通り空母を優勢して狙います!」


大和「武蔵、準備はいいですね!」


武蔵「無論だ。ちょっと急襲ばっかで意気は消沈気味だがな」


大和「主砲一斉掃射!」


ドオオオオオン!


大和「――――!」


春風・旗風・武蔵「!?」


武蔵(大和が被弾しただと。どこからだ? 大和の装甲をこうも簡単に貫く一撃は――――)


ドオオオオオン!


春風・旗風「武蔵さん!」


武蔵「クソ……私も被弾した。今のは見えたぞ。この砲弾が軌道曲げてきた可笑しな芸当は……」


武蔵「戦後復興妖精か」





戦後復興妖精【夜戦部隊そのものが陽動だったか。いや、阿武隈ちゃんと由良ちゃんなんなのあれ。最終世代の長良型すげえわ】


戦後復興妖精【ちなみにあの陸地は空だぜ。ひっかかる艤装だけが置いてあるお前らの撒き餌だ】


戦後復興妖精【さてこの状況、例の撤退と似てんね。大和を遺してその他は逃げるのが理に敵ってる訳だが、あいつみてえにその判断が一瞬で出来ねえか】


戦後復興妖精【お前ら本当にセーフティかかってると思うの? 今頃、表では大騒ぎしてんじゃね】


春風「だとしても逃げませんよ」


旗風「相手が海の傷痕級でも、です」


春風・旗風「今度は絶対に」


戦後復興妖精【そっか。ちび風、ちび津風、神風型の相手を】


悪い連装砲君&悪い連装砲ちゃん【了解!】


武蔵「ちび……その二人そうかよ。メモリーの第2世代の島風と天津風か。メインサーバーのやつもそうだが、信じられねえな。准将は人類の勝利の大義があったが、お前は大した意味もなく」


武蔵「仲間の想いを玩具に出来る性質か?」


戦後復興妖精【お前に一体、あの最初期の時代に生きた。私達の想いのなにが分かる】


戦後復興妖精【まあ、質問の答えは『イエス』だ。死人を利用してなにが悪い。お前らも人のこといえねえだろうが】


武蔵「……残念だ。ガキみたいな台詞吐きやがって」


ジャキン


戦後復興妖精【それでいーんだよ。くだらねえ御託で済ますならわざわざ舞台整えねえよ】


武蔵「なんか仕掛けたのかよ?」


戦後復興妖精【この最終海域のギミック、お前らがこの場で生き残れば拝めるだろうよ】


大和「……ギミックとやらはよく分かりませんが、ここで沈む訳には行きません。あの時の二の舞を晒して終わる訳には断じて」


大和「戦後復興妖精が相手でも」


大和「今度は私も」


大和「皆さんと一緒に帰還したいので!」







戦後復興妖精【絶望的な戦力差を知りながら立ち向かうのか】


戦後復興妖精【やっぱ人間って世代が変わるとダメなのかね。お前ら全員、艦の依り代がそんなことも身に染みてねえとはいうまい】


戦後復興妖精【今度死ぬのは大和だけじゃねえぞ!】



【5ワ●:再来する無力な私】



神風「ありがとう……」


伊13「……任務ですから。それでは」


淡白な子だった。

なにをいいたいか分かる。妹を犠牲にしてまで助ける価値はあったのか、と自問してそうな感じだった。性格ゆえ口に出すタイプではないだけでしょうね。


水面に映り込む月と私と刀身がゆらゆらと揺れている。映っているこの折れた刀と歯を食い縛る顔に唾を吐いて、上を見る。


遠く険しい。無謀だとは誰からも念を押された。

それでも、とあの日に志した道だ。

余りにも遠すぎる。どれだけ進んでも辿り着かない。


才能を言い訳にする暇があるならと、鍛練をしてきた。

それでもあの阿武隈に圧倒的な素質に負けた。

司令補佐が用意してくれた資料に阿武隈が軍刀の道を鍛えたなど書いてなかった。阿武隈は私と単艦、しかも刀の道で勝負を挑み、勝ってみせた。すなわち阿武隈が考えた司令補佐の予想を越えた策、そして私の心を叩き折る効果的な策でもある。


私がやってきたこと全てを、血の滲む修練の先に上り詰めた刀の扱い、それを数刻の時間しか注いでいないやつに蹴落とされた。悔しい。前に進む度に悔しさだけが湧いて出てくる。

下唇を噛み切って悔恨の面を更に空に向ける。

今に見ていろ!



阿武隈は強い。それでも勝たなければならない。

私は司令補佐に約束を守ってもらえなかった故に同情を望んだ訳ではない。阿武隈を越える艦兵士にならなければ、あの人は私を旗艦に選ぶはずがない。戦争中の彼はそういうやつだと、私は知っていてそれを望んだのだから。


――――ああ、やっぱりだ。あなたが提督のところに来なくて良かった。この領域であたしに負ける程度ではうちの提督の羅針盤に殺されてましたから。


今に見ていろ!

まだやれる!

まだ一歩踏み出せる!

命がある!

死んではいない!

ならばもう一踏ん張り!

命ある限りまだ先へ!

もっと速くならなければ、

また追いつけずに終わるだろうが!


――――あたしに勝てばあなたに足りないピースを教えて差し上げますよ!


足りないピースだと?

私を見て分からないのか。

本来備わっていなければならない砲塔、魚雷官もない。足りてない部分だらけだろ。


そんな船でも、もう置いてきぼりは嫌だ。


踵を返して予備の神風刀を取りに行く。先の雪の影響か足元の泥がブーツに粘っこくまとわりついた。

地面はこの歩みを阻みに来ているかのようだ。雪の日は足を踏み外しちまえと、雨の日は行かすものか、と。そして今は諦めろ、と諭されているかのように優しい柔さだった。それでも私の心が身体に熱い血潮を渦巻かせ、この足を前へと運ばせる。


急造の司令部基地で聞こえた言葉に、私の足は更に動いた。本命の部隊が戦後復興妖精に急襲を受けた、との知らせだった。


1/5撤退作戦の時と同じだ。

そこにいるのは大和さん武蔵さん、春風と旗風。

あの時、鹿島さんのマンションで私は大和さんにいった。


――――今はもう砲雷撃も出来ませんけど、刀一本で深海棲艦を蹴散らして大和さんの救助に向かいます。


今がその時。

深呼吸して切り替えると、心がクリアになる。まだやれる。今はついさっきよりも心と体が強くなっている気がした。


試練の時。

戦後復興妖精の首を獲り、大和さん達を助ける。


感じる風圧を身体で裂きながら、航行はかつてない速度が心は悪敵調伏の呪詛のうめきを上げ、軋む身体は海を往く。まだ潤わぬこの心の渇きを満たすのがこの先にある戦場のはずだ。


速く。もっと速く。


思い描いてきた理想だが、常に頭にあった訳でもない。強くなりたいという純粋な思いは、姉妹のこと仲間のこと司令補佐のこと、日々の雑音という不純物が常に乱し続けてはいた。人の心はハングリーウォーターのようにありとあらゆる成分を吸収してしまうように出来ていた。


自己が消えてしまいそうなほど。

芸術家が画に筆を夢中で走らせている時のように、刀を振るう時の私から自己が消えそうだ。それがきっと私の最高速度だという予感はする。


しかし、躊躇いはある。

自己を手放してまでも得る勝利に満足行く結果が伴うか。私は最強になるために最速を目指しているわけではなく、電が得ている絆のように彼からの認可が得たい。ぶっ壊してそこへと辿り着けるか?


違う。答えは電に負けた時にもう出ている。私はこの力であの人の笑った顔がみたかっただけだと。それが背中を追いかけていた理由、彼は振り向いてくれないし、後ろ姿を眺めるだけだったのが嫌だった。


迷いも後悔もたくさんだ。

最後、これで終わりだ。

もう置いてきぼりは嫌。間に合わないことだけは回避する。

だから全速力だ。


神風「あ……」


辿り着いた海には残骸が波に揺られて空しく浮いている。風が散らかす硝煙を鼻覚が捉え、足元に押し寄せた波で袴は赤く染まった。あの浮いている赤いリボン2つは、この焦げた髪櫛2つに晒し木綿は、隅々まで知っている艤装の破片は、彼処にある分離した体は。


神風「また私は、間に合わなかったの……」


込み上げた涙を根性で抑え込む。


神風「今度は、全員……!」


業火の慚愧に身を焦がして、私はまた空を見上げた。

まだやれる!

まだ一歩踏み出せる!

命がある!

死んではいない!

ならばもう一踏ん張り!

命ある限りまだ先へ!


強い言葉が空しく胸中に反響した。


空も海も真っ暗になって見えなくなった。袖で涙と鼻水を拭っても、絶えず溢れてくる。まるで意味がなかった。

刀が手から滑り落ちる。


戦後復興妖精【期待外れだな。やっぱり想解釈下手くそなのかね】


神風「戦後復興妖精……!」


戦後復興妖精【ギャハハ、お前の今までの全ての努力を否定してやるから】


戦後復興妖精【怖くなければかかってこいよ】


片手に軍刀をぶら下げていた。


神風「どいつもこいつも――――」


神風「私を馬鹿にして……!」


刀を拾い上げて、航行を開始した。

刀身がぶつかり合う音が置いてきぼりに感じる斬り合いだった。


戦後復興妖精【ダメだお前……】


視界がぐるん、と上を向いた。


戦後復興妖精【仲間の屍見ただけでそこまで弱くなるやつにぷらずまの代わりは務まらねえよ。全然遅えし】


戦後復興妖精【じゃあな】


沈んだ。背中から着水した。

冷たい海水が和服の中を満たした。もがいても這い上がれず、空の月明かりに手を伸ばすも沈んでゆく。


その時、悪魔が囁いた。

良かったね、これで楽になれる。


心の乱れを突くようにたぶらかされた。

私は刀を手放した。


その時だ。

あの声が頭の中でなくて、耳から鼓膜を通して聞こえた。


次の瞬間には海面上にいた。黒い手に、首根っこをつかまれている。


造形は海の傷痕:此方によく似ているが、雰囲気がまるで違う。此方のほうからは人間味を感じたけれど、こいつから感じたのはおぞましい邪の気配だ。


当局「当局による想題(メモリーズ)」


当局「神風だ」



【6ワ●:海の傷痕:想題神風】



当局「貴女はそれだから気にも留めなかったのだ。貴女のその『うん、あたちがんばる!』みたいな姿勢が薄気味悪く、そして『艦隊これくしょん』を恋のキューピッドの如く扱うなどと勘弁してもらいたいのである」


神風「……え?」


神風「誰――――もしかして」


神風「当局か? その艤装はウォースパイト……?」


メインサーバー【呵呵! 最初から未来は決まってた! 何故ならば准将も此方も含めあなた達はただの社会の歯車のリーマンに過ぎないからデス!】


神風「……どういう、こと?」


メインサーバー【どうして私に脅威がないと判断してあのまま放置していたんでしょうカ!】


メインサーバー【それは私の鹵獲作戦の時に戦後復興妖精と意思疎通により、利害の一致で協力関係を結んだカラ! 要は想力でしてやられたの一言で済むカナ! 貴女達はまーだノロノロと想力の利権戦争やっているカラー……】


メインサーバー【なぜすぐに第2の海の傷痕を産ませない方法を実施しなかったのデス! 全く持って呵呵デス!】


メインサーバー【戦後復興妖精がそっちにいたカラ、一手間かけたのデスガ、まさか利害の一致、協力関係にナレタのは幸運デシタ!】


神風「利害の一致……?」


メインサーバー【ハイ! 私も艦娘幸せにしたいと思いマス!】


メインサーバー【教えておくと現状で常駐廃の領域は神風サン、貴女ただ一人でございマス。加えて戦後復興妖精にケンカを売ったのが不味かったデス】


メインサーバー【分かりませんか?】


メインサーバー【この鎮守府(闇)から広がるこの擬似ロスト空間の海には『艦隊これくしょん』の全てがあることに】


メインサーバー【『中枢棲姫勢力』、『Type:Trance』、『海の傷痕:此方&当局』、『参戦艦兵士』プラス『北方勢力』】


メインサーバー【神風ちゃん、貴女の幸せは?】


メインサーバー【っと、最優秀プレイヤーの一人のお出ましデス】


電「間に合いませんでしたか……!」


電「なんでテメーがいるのです。その艤装は確か……」


当局「ウォースパイトである。いや、この艤装は椅子に座りながら航行出来るのが素晴らしいのである。どうだ? 町の船や車はボタン1つで目的地まで運んでくれるまでに進化したか?」


電「テメーが戦後復興妖精にしでかした業の後処理で大変なのです。罪悪感でも芽生えて化けて出たのです? 即除霊と行きたいのですが」


電「最初の質問は……」


当局「戦後復興妖精……?」


当局「ああ、リバイブフェアリーか。メインサーバの仕込みが発動したのだな。いや、あの人間の心を抱いた娘に施してやったつもりなのだが、まあ、オープンザドア君に丸投げしたことは否めんな」


電「現海界させたのは?」ジャキン


メインサーバー【やれやれ、夢の世界を創造して過去の遺物を玩具にしているとは。貴方達はそんなに好きなのデスカ?】


メインサーバー【『艦隊これくしょん』】


メインサーバー【ま、運営としては嬉しい限りデスガ、リアルは大事にネ!】


メインサーバー【と気遣える分、こちらも丸くなってしまったものであるな! やれやれこれでは優良運営になってしまうではないか!っていう感じダヨネ、パーパ!】


当局「嘲嘲:ケラケラ!」


電「嗤ってンじゃねーのです……」


メインサーバー【司令官さんには盲目デスネ。今回の准将は木偶の棒に過ぎないデスヨ。この展開が絶対にバレないように想力で誘導してあるせいで勝負になってません】


メインサーバー【あなたは気がついていました?】


電「まさか……ただ嫌な予感がしていた程度なのです。最初から乗り気じゃなかったので今回は大人しくして、そこの神風に主役の座は譲ってやるつもりでしたが……」


電「事情は変わった」ジャキン


電「『当局』、そいつだけは現れてはなりません。私達の血潮に対する冒涜なのです」


電「そいつが海の傷痕としての罪の全てを被って死んで深海棲艦が海から消えた。そいつが姿形をあの頃と変わらず維持して存在しているということはこの長い対深海棲艦海軍、引いては」


電「鎮守府(闇)が終わらせた全てに意味が無くなります」


電「当局さんもそのくらい分かるでしょう! あなたが消えたお陰で此方さんはなんとかこちらで融通利かすことが出来ているのです! 戦争終わらせようが、私達は国のほんの一部にしか過ぎず!」


電「あなたの健在が認知されたら此方さんは」


電「殺すしかなくなります! 私達の勲章は雲散霧消して、やり直しです! また血で血を洗う輪廻戦の勃発でしょう!? 私ももうお花畑は卒業したので、あなたにだけは言えますよ」


電「今すぐ死んでって!」


当局「やれやれ全く、相変わらず貴女は優しいな。そのくらい分かるのである。いちいち確認を取って許可を得るのか、といいたいが」


当局「まずはメインサーバー君の話の続きを聞いてやれ」


当局「別に当局の存在が世間に露呈されたわけでもないだろうよ。それに死の定義が前と変わらんということもあるまい」


当局「そこを踏まえて当局の復活、第2の海の傷痕の誕生、予想出来ない事象ではなかろうよ。人間は戦争終わってから仲良く長期休暇か?」


当局「と失笑の最中ではある」


メインサーバー【鎮守府(闇)の物語は冒涜された】


メインサーバー【正夢って知ってマス? 夢ってのは現実に侵食するもので夢は現実になりマスシ、その逆もまた然り。想い1つの力ってそれくらい創造力があるのデス】


メインサーバー【さて話を戻して続けマス】


メインサーバー【『中枢棲姫勢力』、『Type:Trance』、『海の傷痕:此方&当局』、『参戦艦兵士』】


メインサーバー【そこにプラス、『北方勢力』】


メインサーバー【神風ちゃん? 貴女の幸せは?】


神風「……、……」


神風「私の幸せ――――」


メインサーバー【『准将の第1旗艦になって戦争終結』、あの人が示す航路の先の景色を見たいんデショ? 呵呵!】


メインサーバー【今ここに対海の傷痕戦まで時計の針は逆にチックタックと戻りました】


メインサーバー【鎮守府(闇)の全てを凪ぎ払い、平坦な地盤を持って相成る大逆転劇の幕開けデス。私は『艦隊これくしょん』の『運営管理の役割』があり、戦後復興妖精は『戦後復興の役割』がある】


メインサーバー【これが利害の一致。『戦後』に願ったお前の幸せのために『復興』してやったマデ】


メインサーバー【『戦争』をナ!】


メインサーバー【呵呵呵呵呵! 感謝しタマエ!】


メインサーバー【ああ、大和はまた救えなかったネ! 残念デシタ!】


神風「……」


電「神風さん、要はテメー」


電「『司令官の隣で戦うために戦争がもう一回起きればいい』と心の底で願っていたと」


電「そしてそれが――――」


電「テメーの『廃の想』だったと?」


神風「ち、違う! 戦争をもう一度だなんて思うはずがないじゃない! 人類が滅亡するかしないかの戦争だったのよ!」


神風「私はそんな……」


メインサーバー【『嫌な女じゃない!』か?】


メインサーバー【こいつのメンドクサさは准将と似てる。『ずっと人間を観察してきたからそれが悪いことだって分かるし、口にすれば嫌われることも分かっている』のデス】


メインサーバー【だからそれに蓋をしてマス。准将と違う点は自分が気づかなくなるほど隅に追いやってることデス】


神風「違う違う!」


メインサーバー【あるあるデス。結局は准将もあなたの飾り。愛とかバッカじゃヌーノ。平安辺りから常にそれ吠えてるけどサ、自己がある限り無償の愛なんて成立しねーンダヨ(*>д<)】


神風「違うってばあああっ!」


メインサーバー【……ん?】


メインサーバー【サラダバー! ちょっと抜けマス!】


当局「なあ」


当局「そろそろ嗤えないのだが……貴女は3歩歩けば忘れる鳥頭か?」


当局「先に仲間の残骸を目の当たりにして、もうダメだとかなんだのと泣き言いって最後には刀を自ら捨てたであろう?」


電「諦めて刀を捨てた? 聞き捨てならないのです……」


神風「ち、違、」


当局「そのくせ当局を感知した途端に捨てた刀を手に取る。下らぬ3文芝居に片腹大嘲嘲である」


当局「小娘、あなたにはこの『艦隊これくしょん』に対しての愛がない。製作者としてはガチ泣き案件である」


神風「――――!」


当局「そんな自己中兵士、准将に相手される訳があるまい。彼なら間違いなく貴女にいうであろうよ」


当局「『遊びじゃないんです』とな、ケラケラ!」


当局「何のために解体という慈悲があったのか」


当局「刀を捨てる。その行為は仲間への裏切り、そして侮辱であり、これ以上ない自己の名誉毀損であろうよ。人間は本当に自分の首を締めるのが好きな刹那的快楽主義者であるな」


神風「あ、あ……」


電「とりあえず!」


電「そろそろ正気に戻るのです!」ドカン


電「このくらい丁のやつの煽りと大差ないはずなのです!」


電「今はとりあえずこの話は後にするのです! やらなきゃいけないことは分かりますね!? 泣き言は敵を討ってからにするのです!」


当局「電は待て。当局は別に貴女達に敵対する気はないぞ?」


電「……は?」


当局「こいつの相手は気に食わんからするだけだ」


当局「神風型1番艦神風。いや……」


神風「上等よお! 仏陀斬ってやる!」


当局「仏陀斬る、か。当局を倒して己の道の一部とするか?」


当局「『失せろ小娘』」


神風「失せるのはテメーだ!」


当局「やれやれ全く、神道を説くつもりはないが……登る道を間違えていては階段踏み外さないとかそういう話ではないのだぞ?」


当局「威徳失くして神風が吹くか戯け」



2



当局「弱すぎる……ブレが大きすぎて兵士としては三流もいいところだ。電、待ってもらって申し訳ないが、当局はだな」


電「さてと」ジャキン


デカブリスト「いや電、こいつは私がやろう」


ドオオン!


北方提督「……防がれた。その椅子から生えた黒腕は妖精工作施設だね?」


当局「ああ、貴女か」


当局「メインサーバー君から情報はもらっている。やれやれ、ヴェールヌイに勝手にコンバートギミックとは二次創作の範囲を越えてただのハッカーである。いや、身内の嫌がらせか」


北方提督「神風を返してもらおう。殺す気はなかったようだけど……」


当局「こいつの教鞭は貴女にも執れないよ」


北方提督「話があるのなら気をつけて。私は優しいけど、デカブリストは口より先に手が出るからね」


デカブリスト「コレが当局だろう。此方と同じく最長齢の人間の宝だ。年長者の話には耳を貸す。くだらない爺の戯言なら話は別だけど」


当局「刀の扱いとかなんだのと、こいつにはまだ早い。そして貴女も同類なので難しそうだな。この小娘に必要なのは『親友』なのだから。子供の時分にろくでもない大人ばかりを見てきた」


当局「その背中の通りに育った。そこがこの小娘の成長の秘訣と、そして天井である。鶏の件を覚えているか?」


北方提督「……ああ」


当局「鶏自体が可哀想なのではなく、『自分の癒しがなくなるから嫌』だっただけである。逆にいえば、だからすぐにもう一匹を殺せた訳だ。なぜなら『准将のほうが大切』だからだ。自分が可愛いだけだからその他の命すらすぐに殺せるぞ。そこらにいるただの嫌な奴である」


当局「真面目で健気な姿勢に騙されたか?」


当局「身持ちが固いのも純潔に自らの価値を見出だしているだけで、それが損なわれるのが嫌なだけ。自分の見てくれに求められる価値というのを知っているのだ。こいつは男を知らんが、その欲を知っている。まあ、こいつの神風適性全てが」


当局「上っ面。心のほうはどす黒く汚れ切っている」


当局「分不相応な目的を持つ輩ゆえ、そうなるのも致し方ないのかもしれんが、全く人は夢を見るのが好きであるよなあ……」


当局「アカデミーの頃はそうでもなかった。あの撤退作戦で本当の自分が発露したのだ。本人は気づいていなくても、艤装のほうはしっかり貴女を見ている。適性がなくなったのはなるべくして、だ」


当局「此方は優しいからいわなかっただろうがな。いっても過ぎたことである。昔からそういう夢見がちなわがままで馬鹿を見る」


当局「解せん。なぜ此方が人間に敵視されてこの手の人間がのさばるのが赦されるという」


当局「人間を見る目ということの鍛え方は学校で教えてやれんのか。素質というじょうごは違うが、教える者は常にそのじょうごに水を流すだけの作業しかせん。実に非効率で質が悪い教え方であろうよ」


当局「小娘、貴女は親友も愛も金も家族もない」


当局「そして弱い」


当局「可哀想な人間だな。死ねば楽になれるのに」


当局「苦痛もなく死ねる薬があればいいのにな。欲しいだろう?」


神風「……」ポロポロ


北方提督「その子は可哀想な子じゃないよ。私の鎮守府で唯一、がむしゃらに頑張るその子は太陽のような存在だ」


北方提督「北方を侮辱するのは止めてもらおう」ジャキン


電「……」ジャキン


北方提督「何の真似だい?」


電「当局は話を聞くだけの価値はある存在と判断しました。それが神風、引いては司令官さんの望む結果にもなるのです」


当局「前々世代の響、自由と好き勝手はまるで違う」


デカブリスト「聞こう。私達の求める自由はあるのか。大きい私がこの擬似ロスト空間で国を創りたいというのだが、船の私には測りかねる」


当局「翼が生えたら翌日には地面を這いずる虫を讃えるのが人間であろうよ。最初から人間は自由だ。なぜならばその意味を知っているから。そして鎖に縛られているからこそである」


当局「デカブリスト、貴女にはこの戦争の記憶はあるのか?」


デカブリスト「響の記憶なら大体あるが……」


当局「ならば分かるはずである。ロスト空間に国家なぞ無理だ」


当局「廃課金一人の存在で国家崩壊するほど不安定な空間だぞ? 人間の精神的変化を徹底して抑圧するならまだしも、それをやってしまえば国民は人間ではなくなる、ということである」


当局「なにより想の本質はあくまで分解して繋ぎ合わせて別の形にするのが関の山だ」


当局「行き着く先は当局のように『人間の本質を作り替えること』である。ケラケラ! 貴女は第2の海の傷痕の素質があるぞ!」


北方提督「……、……」


北方提督「納得しちゃった……」


当局「さて電、この小娘を持て」ブンッ


電「急に投げんじゃねーのです!」キャッチ


神風「……」


当局「面をあげよ、出来損ないの女侍」


当局「道を見据えたまえよ」


当局「戦争しているのに命を失うことを必要以上に恐れるならば今すぐ指定海域を出て向こうへ戻り街へと失せるのである」


当局「失い続けるだけだとしても」


当局「その古き武士道の精神を植え付けた者達は正しい。名誉心は大事にせよ。それなくした時、大和の美徳は損なわれる。戦争の記憶があるのならば生き恥は分かるな。敵前逃亡だ。尻尾を巻いて逃げることである。では何のためにそれをしてまで生きるのか?」


当局「戦争は終わらせたのであろう? 己が幸せになるためなら生き恥を晒してまでも生き延びろ。そのほうが立派だとは評されるはずだ」


当局「とまあ、これが現代の貴女達の普遍的な価値観、か?」


電「……、……」


デカブリスト「……」


当局「そうだな、聞いたことはあるかな。貴女達には教育としてこの言葉を贈ろう」


当局「人間としての生き恥は」


当局「『生命より前に世界の尊重を』、『人間より前に生命の尊重を』、『自己の利益の前に他人の尊重』を無視して生きることである」


当局「これが出来んやつが人間の癌だと当局は思うがな」


当局「ケラケラ! 思えば今ほどこんな古びたことを主張したい時代もなかったぞ!」


当局「今いった4つの教えの先に威徳はある」


当局「神風もどき、貴女は、世界より前に生命を、生命の前に人間を、他人の尊重の前に自己の利益、だ」


当局「全て反転している。世界より前に生命に固執して、生命の尊重よりも人間を優先し、自己の利益のために他者を殺す」


当局「これ則ち『深海棲艦』である」


北方提督・デカブリスト「……、……」


当局「理解したか?」


当局「『神風が吹く為に必要な精神』を諭してやったぞ」


神風「……、……」


当局「ふむ、1つ素質に見所を見つけた」


当局「切り替えは速い」


当局「前々代の響、この小娘を当局に預けてみる気はないか?」


北方提督「なぜ」


当局「貴女の頭で思い描く程度に戦えるようにはしてやる」


デカブリスト「……電、信用できるのかい?」


電「私としてはすぐに始末したいところなのですが、腹立つことに司令官さんはあなたを司令官として送ったのでしょう。ならばこの場ではあなたに従ったほうが良いと判断します」


北方提督「じゃあ神風を預けよう。電もついてやってくれ」


電「!?」


北方提督「それまでは持たせる……まだ私はやることがあるしね」


当局「とりあえず近場の陸地に向かうぞ」


*観戦ルーム



提督「……」


提督・丙少将・乙中将・甲大将「なるほど」


武蔵「いや、なるほどじゃないだろ。私の頭ではこれかなり危険な展開としか思えねえんだが」


旗風「神姉ええええ、ごめんなさ――――い! 旗はまたダメでしたけど! 神姉はどうか司令補佐に与えられた役割を果たしてくださああい!」


旗風「それとそんなやつの言葉を真に受けないでください! 私は神姉のこと愛しておりますから!」


春風「旗さん、気持ちは分かりますが少しお静かに」


大和「悔しいですね。まさかこのメンバーで手も足も出なかったとは……」


武蔵「そだな。ただの島風艤装にこてんぱんにされちまった。強さはメモリーで見ちゃいたが…」


武蔵「まだ神風がいる。託して見守ろう」


旗風「武蔵さああああん……」


春風「それで司令官様方、この状況は如何様に……」


元帥「それわしにも聞かせて。あ、旗ちゃんと春ちゃん久しぶりだね。後でおじいちゃんとお喋りしない?」


春風「元帥様は相変わらずですね……?」


旗風「絶対に長生きしますよね……それよりも丙少将」


丙少将「あー、考えてはいた。北方のやつを現場に飛ばすのも。まあ、デカブリストは俺らの予想外だったけど、あいつの機転だろ」


乙中将「丙さんが北方さんじゃ不安っていうから色々と考えたんだけども、響適性のある北方さん以外が行っても戦後復興妖精に即殺されて終わりだし」


甲大将「なら戦闘力もあって信頼できる奴に任せようってことで」


提督「想力工作補助施設で作った深海妖精を持たせてぷらずまさんに現場で資材を収集しての建造任務をお願いしましたね」


提督「予想通りわるさめさんも瑞穂さんも呼んじゃっているし、現場を見る限りそろそろのはずです」










――――あー……提督の方々



――――聞こえますか?


――――電さんよりお話は聞きました。


――――総指揮丙少将の命より今から丙乙甲陣営の総指揮を執らせて頂く、




中枢棲姫《チューキさんです》


元帥「うん、信頼できる有能人材だね……」


中枢棲姫《本当に申し訳ございません。鹿島さんには私、本当に頭が――――》


鹿島《もういいです。次言ったらさすがの私もキレますから、ね?》


中枢棲姫《……了解しました。肝に銘じておきます》


瑞穂ちゃん《チューキてんめえええ! ちょっと面を貸しなさいよオ!》


わるさめ《今会いに行きまんもす!!》


乙中将「予想出来てたけどうるさいな……」






当局《おはようございます》


当局《オープンザドア君、聞こえるな?》


提督「……」


当局《まず1つ。この小娘、器と実力に差異がありすぎだ。心に体がついて来ていない。擬似快適ロスト空間とはいえ、海の戦争のシステム化をしているせいで見ろ》


当局《深海棲艦の角が生えた。この小娘、強くなるがために直に自己すら消すぞ?》


当局《これは当局がメンテナンスして差し上げよう。この小娘はオープンザドア君の旗艦になりたいようなのでな。深海棲艦が第1旗艦はあり得んし、中枢棲姫勢力とは違ってオリジナルの深海棲艦と成り果てるだけなので、もはや立派なバグである》


当局《神風と意思疎通手段があるのは聞いた》


当局《さて》


当局《戦争終結させた『対深海棲艦:日本海軍人類代表』、わたしの記憶では貴方達は和平を手に入れたはずだが、ここで1つお伝えしておこう》


当局《当局は貴方達の味方ではある》


丙少将・甲大将「戦後復興妖精並にうさん臭え……」


当局《指示は受け付けん。ああ、此方のことだが、今も変わらず好き勝手なやつであるようだ。もはや此方はそちら側の同胞であるゆえ》


当局《道を違えた。此方の指示も受け付けん》


当局《イエスかノーで神風を通して答えを送れ》


当局《望む結果に航行ルート程度は固定してやろう》


元帥「……ねえねえなんでこいつこんなに上から目線なの?」


元帥「この場限りの夢とはいえ、わしらとどんな関係なのか分かってるはずだよな? こいつには貸ししかねえぞ」


提督「個性は先代丁准将と同類ですので」


元帥「死んでも治らねえやつか……」


提督「返事はいかがいたしましょう?」


甲大将「あの顔はイエスを確信してっからノーにして道化にしてやれよ」


乙中将「いやいや、真面目に考えようよ……」





バアン


清霜「た、の、も――――!」


丙少将「あ、ちょうどいいところ、」


清霜「短い間だったけどありがとう! 私達も抜錨するよ!」


丙少将「俺の話を聞け! 2分だけでもいい!」


清霜「それじゃあね!」


タタタ


丙少将「」














陽炎「時和模型店1号店の店長」


陽炎ちゃん「なによその呼び方……?」


陽炎「抜錨」


陽炎ちゃん「……」


陽炎「私が何のために艤装つけなかったか分かる? ヒーロさん、こっそり皆の熱気にあてられて特訓初めたわよね? 私は参加する気もなかったのも本当だけど、ヒーロさんに参戦して欲しかったから」


陽炎ちゃん「……」


陽炎「最後の海よ。あそこにはあなたが海に置いてきた全てが揃ってるわ。行くしかないでしょ」


陽炎「ああ、艤装のシステムは大丈夫。電が電艤装を扱えているでしょ? 解体して私達も変わってるから、あの海の仕様じゃなくて今回は適性率は少しでもあれば一通りは動くようセッティングされてるみたいだからさ」


瑞鶴・加賀「OK、連行」


ズルズル


陽炎ちゃん「ちょっと……なにこの馬鹿力! 黒潮、陽炎、見てないで助けてよ! 突き落とされるのは見ての通り夜叉だらけの地獄なんだけど!」


黒潮「どうせ強いし大丈夫やろ」


陽炎ちゃん「どうせってなんだ!?」


黒潮「陽炎も観たがってるし、かっこつけてきいや」


陽炎「そうそう、黒潮のいう通りただ観たいのよ! 私が子供の頃から憧れていたヒーローの陽炎をさ!」


陽炎「応援してるからね!」


陽炎ちゃん「……」


瑞鶴「うちの陽炎があんな顔するの珍しいわよー。嘘はいってないわ。私も見たいし」


陽炎ちゃん「マジですか……」


加賀「勝たせてはならないのが二人いるので戦力投入です。戦後復興妖精、海の傷痕当局を勝たせる訳には行きません。信用もできません。分かりますね?」


陽炎ちゃん「ほんと勘弁……最強格じゃないですか」


瑞鶴「あんたならいい線行けるって」


加賀「そうね。私もそう思うわ」


陽炎ちゃん「じゃあ、死なばもろとも旅の供は道連れ、黒潮が来るなら行く!」


瑞鶴「黒潮おいでー!」


黒潮「イヤや! あんな化物オールスターズの殺海、うちはごめんや!」


陽炎「行きなさい」


黒潮「うちのほうが先輩なんやで!」


丙少将「黒潮、出るんだ」


黒潮「突然なんやの! 丙はんまでうちに死ねいうんか!」


丙少将「大丈夫だ」


黒潮「はい根拠ない!」


丙少将「信じてるんだ。誰よりもお前の強さをな」


黒潮「調子ええこと言わはるなや……」


加賀「来なさい。私達だって戦ってきました。あなたは赤城さんと私が鍛えたのですから戦えるはずです」


黒潮「怖いい……!」


陽炎「あっちにいる不知火も顔には出なくても内心すっごい嬉しがると思うから、二人ともガンバりなさいよ!」


陽炎ちゃん「……参戦、かあ」


元帥「おお、見覚えあるなあと思ったら前世代陽炎ちゃん!」


元帥「大きくなったねえ! でも准将みたいに生気がないぞ! ちゃんと食べてんのか心配になるんだが!」


陽炎ちゃん「あ、ご無沙汰っす。これでも健康ですから問題はありません」


元帥「そっかそっか。それで出るんだよな……頑張れよ!」


陽炎ちゃん「……はい」


陽炎ちゃん(なら……あの面子の中でブチ殺したいのは)


陽炎ちゃん(因縁の戦後復興妖精以外いないのよね。つっても神風の獲物だしなあ……)


黒潮(嫌やなあ。陽炎ってどいつもこいつも無茶ばかりしよるから……)



コツコツ


黒潮「ん、日向はん?」


日向「黒潮、陽炎ちゃんは模型店の店長なのか?」


黒潮「え、まあ」


陽炎ちゃん「瑞雲あります」キリッ


陽炎ちゃん「これ店の連絡先とURLです。毎度あり」


日向「こやつ出来る……」


【7ワ●:願いごとを決めましょう】



大鳳「戦後復興妖精の情報含め、以上ですね」


中枢棲姫「大鳳さんが丙少将から預かった任務も含めて了解です」


中枢棲姫「戦後復興妖精は味方ではなく不確定要素としか見なしません。まず残存勢力は大鳳、白露、時雨、飛龍、蒼龍、扶桑、霧島、伊勢、翔鶴、利根、筑摩、阿武隈、隼鷹、香取、北上、大井、秋津洲」


中枢棲姫「これ以外は『敵』とみなします」


中枢棲姫「それを踏まえて質問です。この戦い、デスサドンデスということで生き残りとその兵士が所属する提督に『契約履行装置で願いを1つ叶えてもらえる』という景品ですが、皆さんの中でこれを狙って戦っている人はいますか?」


中枢棲姫「大鳳さん、ここはお話を?」


大鳳「ええ、役割上仲間割れを阻止するために必須でしたから」


大鳳「こちら側は特にありませんね。お話した通り、戦いたい、という人達を前線に投入して、その他はこの戦いそのものの勝敗、危険分子に勝たせないために前線に出ずにいざという時のために戦力を残してあります」


大鳳「危険分子というのは、戦後復興妖精、わるさめさん、瑞穂さん、そして最初期メンバー、北方提督含めた北方自由共和国所属の兵士です」


中枢棲姫「といっても賞品は魅力的です。欲がいつ出てもおかしくないので、この場で皆で話し合って願いを決めます」


中枢棲姫「この中から出た勝者はその願いを書き込むんです。出来るだけ簡素なものが望ましい」


白露「間宮券を皆の分とか?」


時雨「あ、僕、白露に賛成」


中枢棲姫「良い案です。意見が出ましたが、他にはありますか」


飛龍「白露レベルの提案が衝突なくていいと思う。本音をいうと怒られるかもしれないけどさ、中枢棲姫さん達の復活とか名誉回復とか」


飛龍「瑞穂ちゃんみたいに人間に戻ってもいいんじゃないの。それにフレデリカさんは准将が名誉回復に務めてすげーネットで叩かれたみたいだけど、中枢棲姫さん達は更に酷い」


飛龍「名誉は私達の中でしか存在しない」


飛龍「最後の海は中枢棲姫さん達の戦果は偉大なのに、私達がそれを利用した体でいるから。その認識を覆すのは申し訳ないことに私達でも難しい。せめてあなた達になにか渡せたらって思ったんだ」


飛龍「……それくらいの存在なんだよ。深海棲艦、色々とあった仲だけど最後の海であなた達は」


中枢棲姫「正直、そういってもらえるだけで私達としてはこれ以上ない勲章なんですけどね。戦争終結。この場で火花を散らすのは夕暮れ時になっても帰りたがらない皆さんの残り火の熱ですから」


中枢棲姫「線引きはしましょう。割と本気で人をぽいぽい生き返らせるのは社会的に戦争の火種です」


中枢棲姫「もしも本気でそれを望んでくれるというのなら、戦場は向こうの世界でしょう?」


飛龍「想と人間って、なんか艦娘と深海棲艦みたいだねえ。会えるけど、壁があるっていうか」


中枢棲姫「いい得て妙ですね。実際、肉体の有無と世界の壁はありますが、状態が違うだけで私達は私達で生きているようなものです。だからこうして交わえる訳です。中には自我を持たない想も多いですが」


中枢棲姫「いずれ私達もそうなるでしょうけど」


中枢棲姫「それまでは見守って差し上げられますね。実際、私はリコリス達と普通にしゃべってましたし。ドラム缶を担いで海を往く皆さんも、欧州棲姫と遊んでた皆さん見ながら、です」


飛龍「マジか……」


中枢棲姫「後、誤解しないでもらいたいのですが召喚に応じたのはセンキとリコリスがうるさいからですね。どうもスイキがわるさめさんよりもうじうじしているのでちょっと頼まれて出てきたまでです」


蒼龍「でもさ、わるさめとか瑞穂ちゃんがそれを望んだら?」


中枢棲姫「それはその時ですが、ないと思ってくれても。スイキは私達を甦らせたいのではなく、友達いないからって私達に愚痴溢したいだけなので……スイキは根からの悪人ではありませんし、もともとあなた方の人間でしたので仲良くしてあげてください、としか」


中枢棲姫「ああ、それとわるさめさんはただ私達が出てきたから、会おうって感じですかね」


中枢棲姫「それでは他に希望はありますか?」


シーン


霧島「間宮券よりも欲しいものありますね」


大鳳「なんです?」


霧島「『此方』さんのことです」


霧島「私達がどうこうするのは間違いかもしれませんが、そもそも願いを確実に叶える神頼り自体が間違いですので、もしも願いを叶えてそれが影響するのならば、偶然の範囲で答えに出会えるきっかけ程度が望ましいと思います」


霧島「『世界の人々が海の傷痕を理解するきっかけに出会えますように』ですね」


霧島「憎悪、同情、いずれにしても答えは各々に任せるとしてそこまでの理解へのきっかけを与えるのは差しでがましい、ですかね」


大鳳「それは素晴らしいです」


翔鶴「賛成ですね」


中枢棲姫「ふむ。中々面白いことを考えますね。他に案がないのなら2つで採決取りますか」



…………


…………


中枢棲姫「では」


大鳳「……あ、阿武隈さんから通信です」


大鳳「了解しました」


大鳳「すみません、由良さん卯月さんが脱落しました。向こうはグラーフさんビスマルクさん、サラトガさんプリンツさんが脱落です。レ級さんとネ級さんが暴れたみたいです」


中枢棲姫「申し訳ありませんね。リコリス不在の今、私では手綱を握れずいうこと聞かないで勝手に暴れまわるのみなので。一応はこちらの陣営の味方です」


阿武隈「到着しました――――って通信は聞きましたけど、チューキさんここにいたんですね!」


中枢棲姫「准将の旗艦の阿武隈さんですね。ご無沙汰です」


阿武隈「はいご無沙汰ですっ! 電さんから緊急通信飛ばされまして!」


中枢棲姫「……なんと?」


阿武隈「戦後復興妖精とメインサーバー君の仕込みで、この海域に『当局』が現海界したとのことです」


一同「!?」


阿武隈「なお電さんからは『私が当局の見張りにつくのでそちらに手を出さない限りは可能な限り放置しておいて欲しい』とのことです」


中枢棲姫「……、……」


中枢棲姫「電さんは海の傷痕ではなく、当局といったのですね?」


阿武隈「間違いないですねっ! そこは念を押されました!」


中枢棲姫「了解しました」


中枢棲姫「当局、戦後復興妖精もですが、最初期メンバー辺りがケンカをふっかけるかもですし、今は放置で結構です」


一同「……」メソラシ


中枢棲姫「ん?」


大鳳「申し訳ないのですが、第1世代の大鳳、清霜、武蔵、矢矧は中枢棲姫さんあなたが撃沈させた方々です……」


中枢棲姫「……最初期ですよね」


中枢棲姫「強ければ覚えているはずですが、私の記憶にないですね……准将に宛てた手紙にも書きませんでしたし」


大鳳「」


中枢棲姫「今更私に恨みがあるかは微妙なところですね」


わるさめ「チューキさああああああん!」


中枢棲姫「……中破状態ですね。抜錨しますので、しばしお待ちを」


瑞穂「チューキ! 瑞穂ちゃんテメーにちょっと聞いて欲しいことがたくさんあるのよおおお!」


中枢棲姫「ええ、はい。二人ともお元気そうでなにより」


ドンドンドンドンドン

ドオオオオオオオオオン!


わるさめ・瑞穂「ギャアアアアアアア!!」


一同「」


スイイー


中枢棲姫「隙だらけでしたので大破させて鹵獲です。敵陣営なので逃げられないよう拘束しますね」


時雨「手伝うよ」


わるさめ「姉が心配してくれない件について……」


中枢棲姫「皆さん今回の敵勢力の特に危険視する兵士ですが」


中枢棲姫「『Rank SSS:戦後復興妖精』」


中枢棲姫「これは単純に想力使用で全方位で強いチーターです。普遍的な作戦程度では意味を成さない。なのでこちらに属している体を利用してなるべく放置です。それ自体は自信家なので気にも留めないはずですし、狙ってくれる人も多そうなので」


中枢棲姫「そして同じく『Rank SSS:神風』」


筑摩「……阿武隈さんにこてんぱんにされていましたが、あの程度ではないと見ているのですか?」


中枢棲姫「見定められない点はあるのです。この子のことは擬似ロスト空間内ですが、興味が湧いてリコリスと見ておりました。阿武隈さん、実際に戦ってみてどうでしたか?」


阿武隈「強かったですよ。現時点ではあたしのほうが航行速度を除いて全て上ではありましたが、『確実に獲る攻撃だけは全て防がれたという事実』からして『まだ実力の出し方が不安定なだけ』ですね」


阿武隈「あたしの品定めですが、旗艦の素質は薄くても戦闘の素質自体はちょっと考えたくないくらいの原石ですね……」


阿武隈「最後の海の電さんと似た気配です」


阿武隈「今のままでも戦力として数えられるのでスタイルとしては完成形だとは思うんですが、まだ上に行けそうでしたのでたった1つのきっかけでも爆発的に成長するかと」


中枢棲姫「この子も『底が知れない』という意味合いで警戒を」


中枢棲姫「そして次が現状、この擬似ロスト空間内で最も脅威しておいて欲しい。手の内は把握しましたが、それでもなおです」


中枢棲姫「『Worst-Ever:北方提督&デカブリスト』」


阿武隈「例のデカブリストですか……あたしと卯月ちゃん由良さんが確認できた情報は渡しましたが、やっぱり少ないんです?」


利根「いや、香取に頼まれて吾輩と筑摩の瑞雲、それと遠方から秋津洲の二式大艇に可視才で指示を送ってあの辺りを注視していたので、あらかたはつかんでおるぞ」


中枢棲姫「デカブリストを艤装に入れるには『ヴェールヌイから想の魔改造でデカブリストの部分を切り離す工程が必要不可欠』です」


中枢棲姫「謎の白腕を使用していたと」


阿武隈「即興で想力工作補助装備を開発したと?」


中枢棲姫「あれのデータ自体はもうそちらでも判明しているでしょう。加えて初霜さんと似たような素質があるんでしょうね。恐らく、他人から見て理解不能なほどの純粋なところがあるはず」


利根「隼鷹、そこら辺りどうなのじゃ?」


隼鷹「皆知っての通り不思議な変人だろお? その通りでなにやっても不思議じゃない人ではあるなあ……」


隼鷹「子供みたいに好奇心旺盛なのはあるかね。超能力でも適性なくなった神風を戦えるって判断して鍛えていたのも、そうだな、好き嫌いはあっても物事を全く否定しない」


隼鷹「ガングートさんか三日月、若葉辺りならもっと突っ込んだこといえるだろうけど、私はあんまり深く人を見るほうじゃないしなー……」


中枢棲姫「想って『白い純粋』に磁石みたいに惹かれるんです」


中枢棲姫「だから最後の海では『電さんが准将の呼びかけにすぐに応じて引き寄せられましたし』、『わるさめさんが私達を資材にした電さんを引き寄せられた』んです」


中枢棲姫「理屈は要らないナニカがあります。特定の食べ物が美味しいから、という好きの理由さえもなく、ただただ夕陽を眺めていたら直感的に泣いた、という風にです」


中枢棲姫「純粋で強い想いといえば美しいですが」


中枢棲姫「かつての廃の領域では准将や電さんや私ですか。『戦争終結』は理解しやすいですがそれでもなお私達を見て、そこまでやるか、と思って然り。結果から遡り評されるしかないやり方」


中枢棲姫「友達が少ないタイプでは」


一同(……あっ、すごい納得)


中枢棲姫「私が要注意として名を挙げたのは現在進行形でそういう素質のある人達です。その人種はロスト空間において、全てにおいて特攻艦性能を宿すので。それを踏まえて」


中枢棲姫「作戦会議に入りましょうか」


隼鷹(……つーか神風も提督もだけど)


隼鷹(私的にはろーのやつが怖いかなあ。理屈じゃ説明できないからこの面子には黙っとこ……)



2



中枢棲姫「わるさめさん」


中枢棲姫「スイキのことよろしくお願いしますね」


わるさめ「おう! 任せとけ!」


瑞穂「なぜそこがわるさめ……そこは置いておいても待ちなさい」


瑞穂「私もそっち側に……そっちにはあんたらもフレデリカさんも」


中枢棲姫「どうせいつか死ぬのに、ですか?」


中枢棲姫「私やリコリス、センキとしてはわるさめさんとともにそちらにいて欲しいというのが本音ですね。適任なので」


瑞穂「適任ってなによ……」


中枢棲姫「わるさめさんとスイキは私達とは違って、そちら側の人間です。運命の悪戯でこちら側に来ましたが、私達とは違って艦兵士を誰一人殺めてはおりませんから。向こうの提督勢だってあなたを心から憎む人はいないはずです。理屈の話ですが」


中枢棲姫「本音をいえば、いつの日かまた会えます。この戦い限りの夢の中のように私達は会えますよ。スイキはただ向こう側にいると寂しいからでしょう?」


中枢棲姫「人間として生きて、最期はどうなろうが」


中枢棲姫「その時に土産として酒の肴になる話くらいは持ち帰って来てくださいよ。面白いやつ。あ、これはセンキの伝言ですけどね?」


瑞穂「生きるってなによ……別にやりたいこともないし、わるさめがうるさいくらいで、私が生きたところで死んでるのと変わらない」


瑞穂「そもそもあんたら勘違いしてるのよ」


瑞穂「私はあんたらのほうと一緒にいたいのよ! そこまで私が我慢してこっちで生きろとか意味分かんないわ! また会えるとかクソみたいな汎用台詞吐くくらいだったら、あんたらが人間の体を手に入れてこっちに来たらいいじゃない! 当局とは違って私達の立場的にそのくらい提督勢に頼めばどうとでも隠蔽出来るでしょうが!」


瑞穂「私を霊柩母艦としてこき使っていた時から思っていたけど、私はあんたのパシりなんてもうごめんよ! そこまでして私が罪を犯していない、こちら側で生きる権利があるっていうなら、主張する権利もあるでしょうが!」


わるさめ「……、……」


わるさめ「一応聞いてみるけど、どうなの? その気があるのならわるさめちゃんから司令官に頼み込んでみるよ?」


わるさめ「私もスイキちゃんも深海棲艦側にいたってことは見逃してもらえているだけで罪は罪ってのはあるし、私もそこについて司令官からこっぴどく叱られたことあるからさ。なにがしたいんだテメーはって」


わるさめ「……私はお母さんに会えて、言葉をもらえたし、理解もしたから、こっちで生きる。そっちには行かないけども」


瑞穂「ほらほら! わるさめはもう大丈夫じゃん! 私よかよっぽど立派よ!」


わるさめ「いや、だからチューキさんはわるさめちゃんにスイキをよろしくっていったんだと思うよ……」


わるさめ「スイキちゃんさ1つ聞くけど」


わるさめちゃん「こっち側とあっち側、皆で暮らすなら?」


瑞穂「……、……」


わるさめ「ほら、迷った。向こうの世界に未練あるんじゃん」


瑞穂「……う」


中枢棲姫「まあ、本音をいえば皆一緒に向こうで生きていたいですよ」


瑞穂「ほらほらほら! それが答えじゃん!」


わるさめ「……む」


中枢棲姫「しかし、それでは私達が殺めた命はどうなるのです。鹿島艦隊の悲劇の4名は、最初期で散々働いた深海棲艦としての償いは如何致すのです。艦兵士も深海棲艦も皆、声をそろえていう。『もっと日の当たる世界で生きたかった』と」


中枢棲姫「死を以てしても償い切れない過ち。だからこそ私達は人間のために深海棲艦という同胞を消滅させることを誓いました。それでもなお犯した罪からは目を背けることしか出来ない。恐らく提督だけでなく、艦兵士の全ての縁も切れますね」


中枢棲姫「『深海棲艦の形をした人間』という評価を得られた今、今度は私達に『人間の姿をした深海棲艦』として生きろ、というのと同じです。全く持って上部だけのたかが知れた人生ですよ」


瑞穂「そんなことないわ」


中枢棲姫「そもそもスイキは勘違いしてますね」


中枢棲姫「死んだら一緒には入られません。私達はこの擬似ロスト空間が出来たお陰で一時的に集まれただけです。この戦いが終わったら波風のように皆はまた離れ離れですよ」


中枢棲姫「だから、スイキがこっちに来ても想の状態であの頃のように皆で過ごす、というのは無理なんです」


中枢棲姫「それでもなお、というのなら折衷案を考えましょう」


瑞穂「それでもなお」


わるさめ「さすがスイキちゃん、躊躇いがねえ」


中枢棲姫「生命としてそちらには現海界はしません。ただあなた達の側にはいましょう。これが限界ですね。その方法は」


中枢棲姫「私達の想を物に宿すこと、です」


中枢棲姫「響さんがヴェールヌイさんの想をペンダントに入れていたように、です。ま、話せもしないし、意思疎通も無理なレベルなので私達はいてもいなくても同じようなモノですが、スイキの捉え方次第です。これが折衷案ですかね」


中枢棲姫「これ以上は勘弁してください。世界の皆さんに迷惑かけながら自分のために生きていけるほど私達は精神が図太くないのです……」


瑞穂「……これ以上は駄々こねても無理そうだし」


わるさめ「ならどうすんのさ」


瑞穂「『戦って勝つ』のよ。私かわるさめがね。勝者は願いごと1つ叶えてもらえるんでしょう?」


瑞穂「よし! やる気出てきたわ! とりあえずここから逃げるわよ!」タタタ


わるさめ「チューキさん達、想の状態にするためにまた死ななきゃじゃん。もしかしてその折衷案、前々から決めていた? それならセンキ婆とかリコリスママが出てきたがらないのも納得……」


中枢棲姫「というか私が最も出る必要がありましたから」


わるさめ「……最初期メンバー、だよね?」


中枢棲姫「それもありますね。この戦いには流れがありますので、彼等とももう一度、戦う必要はあるでしょう。社会的には何の意味もないですが、私の業の一つです。わるさめさんは中々頭が回るようになりましたね?」


わるさめ「まあね……」


【8ワ●:仲良くなるための訓練 4】



若葉「なぜ私のところへ……」


神風「若葉君、お願いがあるの」


若葉「……」


神風「抱いて。大事なモノを捨てることで私は腐りきっていた性根と決別して強くなれるわ」


若葉「消えろ。それと電」


電「はい」


若葉「……そいつ当局だろう?」


当局「であるな。安心しろ。このような戦いまるで興味はない。当局は巻き込まれただけである。神風とかいう奴のせいでな」


神風「斬りたい……」


電「……はあ」


電「神風、テメーは一体なにがしたいのです? 司令官さんとの約束はなんだ。雑魚の癖にあれもこれもやろうとしている時点でしょーもない。倒せといわれた敵は?」


神風「……戦後復興妖精」


電「それで当局とやって任務に支障は?」


神風「……」


電「刀、捨てたんですよね。司令官さんと電達がお前を使うために訓練した。たくさんの仲間がやられたのを知ってなお刀を捨てた。テメーはどこまでも憐れな女なのです」


電「大和さん達が泣くのも分かりませんか?」


電「戦争中にうちにテメーがいたら、私はボコボコにして丙少将の鎮守府に郵送してましたよ。見込みあると思えばその実、それくらいテメーは使えねえ兵士だったのです」


電「そして私がテメーを追い出すのを司令官さんは止めない。うちは他と違って結果の実力主義。テメーは瑞鶴さんや秋津洲さんを上回る手の施しようがない欠陥品……」


電「2度と私に向かって吠えるんじゃねーのです」


神風「……う」


電「う、じゃねーのです。なんだその声」


ドンドンドンドンドンドン!


神風「危な――――若葉君、大丈夫か!」


若葉「お、おお、神風、お陰で助かった。それと君付けは止めろ」


神風「巻き込みそうだった。関係ないだろうが!」


電「敵を仕留めるためなら味方が巻き添えになろうとも撃つ。戦場に立っている兵士に関係ないとか正気なのです……?」


電「それともまだ私がテメーの味方だとでも」


若葉「待て。なぜ私が潜伏してる場所に来た。しかも当局とか私の理解の範疇を越えてる」


当局「捨て置け。小娘、香取や鹿島から教えは?」


神風「受けたわよ」


当局「香取からは刀の扱いで……鹿島からはなにかいわれたか?」


神風「研ぎ澄ませ、と。刀を振るう理由を一つに」


当局「それだな。その教えは的を射ている。まあ、精神統一しようが今の貴女には無理だがな」


当局「やれやれ全く。香取も教えは上手いが、それを貴女にいえるとなればあの鹿島はこの戦争においては姉より出来がいいぞ。それでその体たらくとなると、あの二人といえども馬鹿につける薬は用意出来なかったということである」


当局「ならば当局からは実践的に現在位置を教えてやろう」


当局「刀を取れ」


当局「指南して差し上げよう。安心したまえ。もともと素質は貴様らとは比較にならん」


神風「……」


電「やれ。目的のために下らないプライドは捨てろ」ジャキン


神風「……分かったわよ」


電「ドオン!」


ドオオン!


神風「痛っ――――」


神風「中破した、あなたなにし、」


電「なんで渋々といった顔をしているのです? テメー、戦いを馬鹿にするのも大概にしとけなのです……?」


若葉(こわ。ビデオで観た合同演習の時と似てる)


神風「……」スーハー


神風「行くわよ、海の傷痕!」


キンキンキン


当局「ストップ。当局の両手から刀が跳ねた」


神風「手を抜いた? これが私達の怨敵だとか拍子抜けね……」


当局「ケラケラ。そうか、貴女は自分で気がついていないのか」


当局「今のは阿武隈のレベルに設定して相手をしたぞ」


神風「はあ? もっと強かったけど?」


当局「感覚というのは厄介よな。機械にはない人間特有のミスだ。感覚で実力は正確に測れんよ。それに頼るから見誤るのである」


当局「貴女は」


当局「敵が敵でないと無意識に力にブレーキかけている。艦兵士相手だと無意識に実力に理性が働いて、当局、深海棲艦の敵にはそれがない。つまり本来の実力が限定的にしか出せていないだけである」


神風「……指摘されたことないわ」


当局「貴女は悪人を毛嫌いしているであろうよ。同類になることを心底、忌避している風だ。それが人相手に刃が鈍る原因である。もともと貴女は兵士には向いていない。電と一緒でな」


当局「乗るか反るか、ましてや命を賭ける戦場で博打をするのに不向き、割りきれないクソ真面目だ。性格自体に神風の素質はあるが、適性はなるべくして失くしたのであろう」


神風「やっぱり私の生い立ちを知っているの?」


当局「当局も此方も最終世代の兵士に関しては全員知っている」


当局「自覚はしたな?」


当局「実力の出し方。この点は貴女次第だ」


神風「……、……」


電「つーことは艦兵士ではなく戦後復興妖精の相手させれば本来の実力を発揮できると?」


当局「2度もいわせるな。後はそいつ次第である」


若葉「なに砂崩しを始めているんだ。子供か」


当局「つまらんな。一体これのなにが楽しいというのか……」


若葉「なんだこいつ……」


当局「ああ、若葉だったか。貴女は呼ぼうか迷ってはいたのだがな。ファザコンが気持ち悪いので捨て置いた。決戦の招待状は欲しかったか?」


若葉「別に。ファザコンいうな」


当局「心はどこにあるか知っているか?」


若葉「……あるとしたら胸か頭」


当局「腹かもしれんぞ」


当局「割る。読む。黒い。八分。一物。決める。くくる。据える。底」


若葉「くっだらない言葉遊びだ」


当局「とりあえず飯を食え。腹を満たさねば悪人になるぞ。こーいう時には間宮がいればいいのだが、生憎と不在なようだ」


当局「ケラケラ、貴女も小難しい顔であるな。愛想のない女というのは至極残念である。そんなことだからたまに笑う顔を待ち受けにされるのだぞ?」


若葉「お前なんで知ってんだ……」


当局「電、小娘、神風のことはどう思う」


電「先に述べた通りです」


当局「電と仲直りしてみたまえ」


当局「貴女達が『お友達』になれたら完成だ」








神風「電、とりあえず食卓をともに囲みましょうか。仲良くなってあげようじゃないの」


ぷらずま「●ワ●」ハ?


神風・若葉「!?」ゾクッ


若葉(過去最高にキレてるぞ……)


若葉(さいっあくな面倒に巻き込まれたな……)


当局「飯を作れるやつは支度しろ」


当局「嘲嘲:ケラケラ」



* 観戦ルーム



弥生「丸く、なったよね……?」


卯月「まあ……うーちゃん達が強制退職させてやることなくなったジジイだし、あいつはメインサーバと戦後復興妖精に復活させられただけでこっちと争う理由はなにもねーはずぴょん」


卯月「此方に関しての約束も守っているわけだし」


由良「う、うーん、由良が始めて会った時はもっと刺々しい殺意と高笑いに満ちていたけども、後、笑ったり怒ったりと情緒不安定な感じ」


菊月「うむ……随分と濃いキャラの新種姫だと思ったよな」


長月「相変わらず意味分からないがな……」


卯月「ひねくれているゆえ遠回しで分かり辛いけど、いっている意味自体はうーちゃんには分かるぴょん」


当局《ああ、そうだ。長月&菊月》


長月&菊月「!?」


当局《貴女達の男の友二人にいっておけ》


長月「コブタとオオカミのことか……?」


当局《5円玉投げて天候操作してこいとかなめているのか無礼者が、とな。やれやれ、貴方達は神を奴隷かなにかだと勘違いしていないか? 世界中のどこを探してもないレベルのブラックである。しまいには天罰をくだすぞ》


長月「知るかよ!」


菊月「というかそんなの根に持つのか……」


卯月「こいつ態度でかいけど器小せえぴょんw」



【9ワ●:愛してるよ】



天津風「ああ、もうどうしようこれ……作戦がめちゃくちゃ」


ドオオオン!ドオオオン!

ドオオオオン!


木曾「姉さん不意打ちとは見損なったぞ!」


江風「そうだそうだ! 闇の精神に堕ちたか!」


北上「だまらっしゃい。無駄にダメコンして大破で留まってるんじゃないですよ。沈めば楽になれたものを」


大井「本当に無駄にしぶとい。あのカサカサした生き物みたい」


木曾・江風「誰がゴキブリだ!」


大井「ああ、木曾は生い立ち的にフナムシのほうが似合いますかね」


木曾「かっちーん」


ドンドンドンドンドン!


島風「まだやってるね……決着つくまで続きそう」


天津風「といっても私と島風も中破で装備も損傷しちゃったし、あそこに混じれば下手したら木曾さん達からももらいそうよね……」


天津風「阿武隈さんが強い……今まで努力してきたのが馬鹿みたい。あんなに頑張っていた神風ですら、歯が立たなかったし」


天津風「……」ウル


島風「大丈夫! こんな時こそ神風ちゃんの不屈の精神を見習おう!」


島風「一人でダメなら二人で! 二人でダメなら三人で! 作戦を立てて頑張れば倒せるよ! だって同じ艦娘だし倒せないはずがないからね!」


天津風「うん。決定打を決められたのに刺せなかった私の実力不足なだけね。とりあえず体勢を立て直さないと」


天津風(夜戦部隊、崩壊させちゃった)


天津風(どうしたらいいんだろう……)


天津風「司令官に指示を仰ぐしかないか」


三日月《お二人ともご無事でしたか!》


天津風《三日月……と望月も》


三日月《ごめんなさい。中枢棲姫勢力のレ級ネ級の乱入によって後方部隊は私と望月の他はリタイアしてしまいました》


望月《別に三日月のせいじゃねえだろあれ……》


望月《っと合流》


望月(うわ……天津風もう無理って顔してら……)


三日月「司令官や赤城さん、それに木曾さんも頼み込めば作戦を立ててくれるかもしれません」


望月「いや、それはダメだ。今回、司令官や赤城さん木曾さんは頼み込めば指揮を取ってくれるけど、同じ陣営なだけで協力しても勝たせてはいけないんだよ。その人らが勝てばうちの司令官の願いが叶っちまう。それは阻止すべきことだろ」


島風「うーん、私はこういうことにちっとも頭が回らない……」


三日月「こういう時に頼りになりそうなのは若葉さんですか。通信を飛ばしてみては?」


天津風「探知はしたけど、神風と電さんと一緒にいるみたいね。近くにろーちゃんと変な反応もある。電さんからさっき『半日ほど動けません』と通信入ったでしょう? あそこは当局がいるし、なにしてくるか分からないし、あの連中と合流するのは、どうなのかしら……」


三日月「瑞穂さんとわるさめさんもいますが、戦闘能力は頼りになっても策の組み立てが得意なタイプには見えませんよね。むしろなにし始めるか読めない分、更に混乱するような気もします」


望月「……選択肢は一つじゃねえの」


天津風「うん?」


望月「あたし達は勝つんだよ。そのために戦ってんだから。だから敵の戦力を見よう。戦後復興妖精、残りの向こうの連中、最初期メンバー」


望月「これに勝てる要素は『わるさめ&瑞穂』、『電』、『司令官&デカブリスト』、『響&ヴェールヌイ』、『神風』、どう出るか分からん中枢棲姫勢力と当局は不確定要素と見て……」


島風「見て?」


望月「どうしたもんかね……」


天津風「ねえ、皆は誰を信じる?」


望月・三日月・島風「『神風』」


天津風「私もそう。一致ね……」


三日月「司令官も信頼出来るんですが今回は例外ですね。確実に個人の欲望で参戦しているので、最終的に『自分か自分の陣営の人達を生き残らせるために私達を切り捨てる策』に出る危険があります」


島風「まー、神風ちゃんだよね。だって速いもん」


望月「神風は強い。信じるというよか信じたい、だけどな。この場に化物揃いなせいで最強かといわれると即答出来ないけどさ」


天津風「一旦、拠点に帰りましょうか。第6駆は全員生存しているみたいだし、最良は私にはぱっと頭に思い浮かばないから……」


天津風「ただ方針は見えたわよね」


三日月「といいますと」


天津風「信用できないまたは勝たせる訳には行かないなら『利用』してやるのよ。強い連中をね」


望月「なかなか悪知恵が働くようになったな……」


天津風「なんとでもいいなさい。私は今回、准将に第2艦隊の旗艦に任命されて、それだけの責任と指揮権を准将から預かっているの」


三日月「素晴らしい意気込みです。私もそういう臨機応変なところは見習いたいですね!」


望月「ミカは遊びが一切ないしな」


天津風「准将がどんな人かは知っているでしょ」


天津風「今回の仕様のせいもあるけど、私達の司令官はあの准将よ。なのに負けるって私達が周りから雑魚って呼ばれても仕方ないわ。そんなの嫌よ。北方は落ちこぼれっていわれているけど」


島風「まあ、戦果的にもやる気的にもうちはワーストだからね……」


天津風「鎮守府(闇)だってそうだった」


天津風「伊58さんだってクルージング専用機の撃沈数0、瑞鶴さんは艦載機発艦出来なかった。あの阿武隈さんなんか深海棲艦を見ただけでパニック起こすような人だった」


天津風「素質というのはあるし、望月だって卯月いたんだから思い知ったはずでしょ。それを言い訳にして終わるのは嫌よね」


望月「天津風、私達凡人は」


肩ポン


望月「諦めが肝心だと思う」


天津風「」


三日月「こら望月! 空気を読みなさい!」


望月「ミカからその言葉をいわれる日が来るとはねえ。あたしゃ感慨深いよ」


望月「ま、天津風の作戦には賛成だ。化物そろいで利用とかかんがえてなかったわ。ならそうだな」


天津風「なにかあるの?」


望月「まとまらないから航行しながら話すよ」


天津風「あ」


島風「どったの?」


天津風「身体が勝手に動いたわ」


三日月「あ、准将の操作じゃないですか? 確か筐体の舵で旗艦の航行ルートを操作できる機能があったかと」


望月「それとこっちの声は聞こえているんだよな? 拠点まで撤退は正解ってことなんじゃね……?」


天津風「そうね! それじゃ向かいましょう!」



2



天津風「帰投……!」


雷「入渠の準備は出来てるわ! まず話は傷を治してからね!」


一同「了解」


三日月「壊滅的な被害を受けましたが、策はありますか」


雷「後で北方さんから話があるって」


……………………


……………………


天津風「ああ、心身が休まる……」


三日月「入渠できる幸せが身に染みます……」


島風「これも戦後復興妖精さんのお陰なんだよね」


暁「そうね……」


望月「暁は傷が酷いな。撃沈寸前の大破か」


暁「襲撃で用意してきた高速修復材が全滅したでしょ。伊13さんが持ってきてくれた資材と合わせて1つしか確保出来なかったから姉として雷に使わせたのよ……あの子のほうがテキパキ動けるしね」


暁「あの最前線で生きて帰れたのは響が護衛してくれたからね……」


響「私もダメかと思ったよ。曙さんの釣りスキルは予想外だった。ま、阿武隈さんには撤退指示が出たんだろうね。運が良かった」


北方提督「やあ、お風呂中失礼するけどこれからのことを話し合おうか」


望月「なあ司令官、高速修復材や資材の追加は出来ないのか? 確か提督勢のスマホから明石さん工廠で買えただろ? 実際それまで貯めていたモノをこっちに持たせていたんじゃないの。戦後復興妖精の急襲で全滅しちまったけどさ」


北方提督「各セットまあ、千円程度で買えたんだが当日になって値上がりしてた。メインサーバー君か戦後復興妖精かは知らないけど」


北方提督「2000万にね」


望月「提督勢って金持ってんの?」


北方提督「期待しないでくれ。私達が今まで何回行政の一環で給料カットされたと思ってるんだ。提督勢が払える金額じゃない。それを知っていて設定したんだろうさ」


島風「甲大将ならぱっと払えそう。財閥のお嬢様なんじゃないの?」


北方提督「かもね。でも、ところがどっこい甲大将は向こうの陣営に属している」


北方提督「若葉が潜水艦にこの海で資材を集めさせてたけど、もう底をつきかけてる。ろーちゃんと伊13も丸1日クルージングさせていたから赤疲労さ。つまりもうそんなに戦線を維持出来ない」


天津風「神風達はなにやってるの」


北方提督「当局が神風の教官をしている。しばらく戦闘は参加しない。神風が復帰するまでは持たせてそれから最後の勝負だよ。今は中枢棲姫勢力、そして最初期メンバーが乱入したから」


北方提督「最初期メンバーの狙いは戦後復興妖精か当局、メインサーバーかな。かつての運営陣営だろうけど、動きを見る限りメインサーバーか戦後復興妖精のほうに行ってるね」


北方提督「とにかく今は休む時間が捻り出せるから身体を休めて。ああ、中枢棲姫のほうもわざわざ危険要素が潰しあってくれるんだから、戦力を消費するような真似はしないだろう。まあ様子見が固いと見てる」


天津風「そのくらい分かるわ」


天津風「私達はその明石さん工廠の支援も望み薄くて戦力は5割近く消滅して、残ったその大半が駆逐艦よ。しかも直に夜が明ける。ここから勝てる策を現実的に模索しなきゃならないわけで、解消すべき問題はまず戦線を維持できるだけの資材集め」


天津風「なければ向こうから奪えばいいじゃない。トランスタイプのわるさめと瑞穂も召集すれば可能性は」


北方提督「リスクが高すぎるよ」


天津風「それ+司令官が旗艦でこの襲撃任務をやるの」


北方提督「一応、私は准将から司令官を頼まれているんだけど……」


天津風「私はそんなこと聞いてないわ。そもそもあなたって鎮守府の司令室から通信飛ばして現場監督をだなんて1度もやったことないじゃない。あなたの司令官としての素質はそうじゃないでしょう?」


天津風「提督勢の中で唯一艤装をまとって戦場に立てるんだからやれないことはないはずよ。なによりあなたがガングートさんを倒せるほど強いってのはもう分かっているんだから」


北方提督「……」


天津風「私達はただ勝つために戦ってる。あなたは自分の夢を叶えるために戦っている。だから司令官に聞いてみたいわね」


天津風「私達と自分、どちらを取るのかしら」


北方提督「まさか天津風から『私と仕事どっちが大事なの』的なことを聞かれるだなんて……」


天津風「そんなこと聞いてないわよ!」


北方提督「もちろん君達だよ」


北方提督「惚れた?」


三日月「惚れないです。それが信用出来ないってのはお分かりですか?」


三日月「今まで自由だったんです。軍に所属していてもそれぞれが自由に生きていました。それが司令官、北方鎮守府の良さでもありますけど、私達は今まで1度も演習に勝ったことがありません」


三日月「話を聞いていた限り、どちらにしろ次で負けたら後はないですよね。ならば……」


天津風「交渉よ。この准将サイドの中の誰が勝っても、あなたの夢が叶うように書き込む。私達、別に大した願いなんてないからね。だから自分だけ最後まで生き残ろうって考えずにチームとして勝つことを優先してもらえないかしら?」


望月(……おお、私達を信じることで更に司令官の夢を叶えられる手段をここで切り出したか)


北方提督「もちろん出るのはかまわない。単艦でもね。その上で自分の夢を叶えてみせる。でもさ、そこじゃないんだよ。ね、小さい私?」


響「……私が口を出していいのかい?」


天津風「構わないわ」


響「わるさめさんが闇に着任する切欠になった『わるさめちゃん襲撃』の海を知ってるはずだ。あの時の私はまだ鎮守府(闇)にはいなかったけど、着任してからその全部を把握したよ」


響「准将が完全に読み負けて殺されかけたんだ」


響「中枢棲姫勢力の中枢棲姫ことチューキさんは本当に賢いよ。天津風さんのいう作戦は相手の泊地にある資材略奪。そう簡単に敵の本拠地を上手に攻められたら苦労しないさ」


響「チューキさんがそれを想定していないとは思えないし、策もあるだろう。天津風さんにはチューキさんの想定を越える作戦があるのかい?」


響「大きい私がいっているのはそこのことだ」


北方提督「事実なのではっきりいっておくが」


北方提督「私は指揮官としての腕は二流だ。現将席の誰よりも指揮官としての腕はない。天津風のいう通り、私だけにある素質もあるけどね」


北方提督「それに私だって天津風達が戦っている間、ただ突っ立っていた訳じゃないさ。方法はまだ内緒にさせてもらうけども」


北方提督「准将との通信手段を構築した」


一同「!?」


北方提督「ただ艤装と繋げるのは無理だけどね。疑似ロスト空間からはネットワークに想力を加えて提督勢のスマホに干渉しているからそこらを持ってきたパソコンを使って悪用させてもらった」


北方提督「向こうで俯瞰している彼なら私よりもこの状況を打開する策は考えられるはずだ」


北方提督「だけど、ここは確認を取っておきたい」


北方提督「いいんだね?」


島風「いいもなにも聞くしかないじゃん?」


北方提督「鎮守府(闇)は北方とは違い過ぎるんだ。暁、そうだろう?」


暁「覚悟はいるわね……」


天津風「そんなもの今更よ」


暁「あのね、うちの司令官は戦果に対して殉職者を出していない。最後の海ですらね。周りからはすごい司令官だと思われているけど、断じて不可能を可能にするスーパーヒーローじゃないから。あの人がどういう指揮を取るか知ってる?」


暁「勝つために兵士を使い捨てる作戦を組んできてるし、兵士を死なせる順番まで決めるほどなのよ。私のこのブレスレットはケッコン(仮)のやつだけど、これをもらった日に鎮守府(闇)の皆で誓った。勝つために仲間の屍を盾にしてでも海の傷痕を倒して暁の水平線まで進むって」


暁「早い話が仲間の死を前提に作戦立てられてもそれをまよわず実行出来る覚悟があなた達にあるというのなら、司令官の指揮に」


暁「賭けるだけの価値が出てくると思う」


響「ま、でもそれは司令官から助言をもらってからでもいいだろう。島風さんの言う通りとりあえず聞いてみてもいいと思う」


一同「異議なし」



4



北方提督「以上、状況だ。やっぱり連絡が取れないと流動する戦いに対応しきれないね。現場の皆に頼りにするしかないが、みんなどうしても勝ちたいんだってさ。なので指揮を仰ごう」


提督《北方の方々に一つ確認です。身内を見殺しにする覚悟は》


天津風「暁のいう通りね……大丈夫だから先に」


提督《天津風さんの略奪作戦ならば『北方提督&デカブリスト』と『資材を輸送する兵士』に、それを『輸送護衛する兵士』です》


提督《『北方提督&デカブリスト』が集中砲火を浴びてリタイアの危険性が高いですね。なお輸送する兵士とその護衛はわるさめさんが兼任するのが理想的かな。拠点までの中継地点で受け渡しし、わるさめさんは追っ手が来た場合の食い止め役に役割移行させるのが案牌ですね》


三日月「司令官一人で大丈夫なんですか?」


提督《ええ……北方さん、あなたそのデカブリスト艤装のギミックを仕掛ける際にこちら側に見られないようにジャミングかけましたよね。あなたは想力関連に興味を示して資料を読み漁っていましたし、そもそも》


提督《デカブリストはヴェールヌイの一部、つまりあなたがそれをやるには想の魔改造でヴェールヌイからデカブリストを切り離す工程が必要不可欠です。加えてこの通信設備の機転なので》


提督《あなた》


提督《初霜さんのような素質があるんですね?》


提督《『妖精工作施設』または『想力工作補助施設』のような装備を隠し持っている。それがあなたの切り札と見ております》


一同「……」


北方提督「やっぱりバレたか。ヴェールヌイがやってみて、といったからやってみたら出来たんだ」


北方提督「戦後復興妖精に絡まれた時の切り札だ。ちなみに想力工作補助施設のほう。妖精工作施設のが理想的だったんだけど、あれは無理だね。想力工作補助施設はただの人間で契約して想をまとった佐久間さんが作ったモノだし、こちらはなんとかね」


北方提督「でも性能的には(仮)かな」


北方提督「戦後復興妖精みたいなことは出来ない。それがこの連絡手段な理由だ。艤装通信は無理でこの携帯端末でしか確立できなかった」


三日月「あなたって人はそんな大事なことを隠して……!」


北方提督「切り札ってピンチに使ったほうがカッコいいじゃないか。主人公が前もって作戦会議でネタバレしてから使う切り札とか」


北方提督「敵に打ち破られるフラグにしか思えないだろう?」


望月「悲しいことにこの人の場合は本当にそれが黙っていた理由でもおかしくない」


提督《主人公はその土壇場で成長して危険を乗り越えるはずです。なので頑張ってください》


北方提督「確かに……!」


天津風「作戦としては司令官に潜入させて、物資をわるさめさんに運んでもらって途中で私達に引き渡してもらって拠点に持ち帰る、ね!」


天津風「司令官はプチ想力工作補助施設装備に加えて、もともと戦場で兵士として陸でも戦っていたし、更に艤装はステルスかかっているから潜入も現実的。わるさめさんの性能踏まえると輸送は信頼できるし、引き渡してもらってから追っ手がいた場合もわるさめさんなら戦力として申し分ないわ!」


天津風「完璧じゃない!」


望月「おー、現状の戦力でも可能な現実的な策じゃんか……」


天津風「丁将席ともなるとうちのなんちゃって司令官とは違うわね!」


北方提督(なまじ事実だから慟哭しそう……)


響「この作戦で活躍したら皆掌クルーだよ」


北方提督「うん……」


三日月「やっぱりこういう軍師的な司令官って良いですね!」


暁「ふふん。あげないからね」


北方提督「三日月の尻軽! 唯一のラブ勢だと思ってたのに!」


三日月「執務も丸投げ、私の練度も最大まであげてもらえなかったですし、ライク勢止まりですね……やっぱり私達は兵士なのでこういう司令官のほうが理想的です」


北方提督「三日月が死体蹴りする……」


三日月「ラブ勢はガングートさんがいるじゃないですか。あの人、司令官さんのこと絶対に気に入ってますよ?」


北方提督「そうかもしれないね。彼女の愛は殺人的な物理攻撃だったけどね……」


提督《つり橋効果ってやつですかね》


提督《……、……》


提督《……相手は中枢棲姫さんですので、ここから更に策を展開します。恐らく北方提督さんが想力を扱えることは読んでいる、と想定して動かねばなりません》


提督《今のは触りで、『大した意味もない』ことです。なのでここからが重要かつ決死です。数名、下手すれば全滅ですね》


提督《島風さん、そろそろ起きてくださーい……》


島風「……お、う? ごめーん、難しくて長い話が苦手でさ……」


提督《こちらで見積もった敵陣営の危険度を教えておきますね》


提督《『SS+』はネッちゃんさんとレッちゃんさんが阿武隈さん、メインサーバー君、そして悪い連装砲君&悪い連装砲ちゃんがここです。後は最初期メンバーもここら、です》


提督《『SSS』はチューキこと中枢棲姫さん、それと戦後復興妖精、及び当局です。このSSSが最高危険度と認識を」


提督《そして未知数という意味の『Worst-Ever』が1名》


提督《『前世代陽炎』》


三日月「さ、参戦したんですか!?」


提督《ええ……その線は薄いかな、と考えておりました。資料を調べても彼女はあまり記録がないんですよ。演習も戦果も駆逐艦の中でそこそこですね。映像記録も少ないですね。見ても中の上、といった感じです》


提督《ムラがあるタイプなのかもしれません》


提督《その彼女の兵士時代の戦果の数字と、同じ鎮守府に所属していた方からの評価に天と地ほどの差があったんですよ》


提督《少なくともかつてともに艦隊を組んだことのある瑞鶴さん加賀さん、そして陽炎ちゃんのアカデミー時代に教官を担当した長門さんからは素質自体は阿武隈さんと同等じゃないかな、と》


提督《そして》


提督《あの卯月さんがただの単艦演習なら阿武隈さんより上かも、といった以上、ブランクがあっても艤装を使えば強いのは間違いないです》


提督《そこまで単艦演習で強いというと皆さんのイメージは神風さん龍驤さん辺りでしょうが、彼女達ともまた違ったタイプですね》


提督《恐らくは高い素質に加えて》


提督《『艦兵士の殺し方が上手い』んです》



…………………


…………………


…………………



北方提督「最後に皆を払ってなにを頼まれるかと思えば……」


提督《北方さん、あなたが肝要ですから》


デカブリスト「……ハラショー」


デカブリスト「考える力というのは偉大ではある」


提督《お褒め頂き恐縮ではあるのですが、しょせん急造策であることをしっかり認識してくださいね》


提督《わるさめさんは知っての通り運用において不安定です。素質そのものもそうなのですが、なにより瑞穂さんが無欲のままいられる訳がなく、彼女と協調しかねませんので、自らの利益で行動を起こすパターン、それとレッちゃんネッちゃんの乱入も怖いです》


提督《策というには不安定過ぎます》


デカブリスト「背の高い大きい私、3分程度彼と話をさせてもらってもいいかな」


北方提督「もちろん」


提督《なんでしょう?》


デカブリスト「信頼してくれて構わないよ」


デカブリスト「ただ君は臆病で完璧主義者だね。策に穴があってもそこは自信を持っていうべきだ。そのほうが皆のやる気があがる」


デカブリスト「君は自覚したほうがいい。考える力というのは源に過ぎない。部屋に引きこもって頭捻っても実際には行動を起こさなければ意味がない宝の持ち腐れに成り下がる」


デカブリスト「人間、若い頃は喜びよりも悲しみばかり見てしまうものだ。私もそうだった。異国へ引き渡されてからも心では悲しみばかりだったが、今のように年老いてからは悟った」


デカブリスト「異国で過ごした時間は、私に今ある喜びに注視する精神を与えた」


デカブリスト「あなたの考える力単体でも兵士達には闇の最中を照らす灯台になっていたはずだ。だから暁(子供)達はこれから先の人生で困難にぶつかった時、必ずあなたの指揮の輝きを思い出す」


デカブリスト「彼女達に負けないようにね」


提督《……、……》


提督《心しておきます。まあ……》


提督《今の時点でみんな自分よりよほど人間できてますけどね……》


デカブリスト「ふふ、ならば期待を裏切らないよう精進するべし」


デカブリスト「こちらのことは信頼してくれてかまわないよ」


デカブリスト「それと最後に司令官へ」


デカブリスト「暁、雷、電と共に見たあの日の暁の水平線の景色は生涯の宝物だ。ありがとう」


デカブリスト「Я тебя люблю」


北方提督「!?」


提督《……? どういたしまして》


【10ワ●:薄翅蜉蝣 蟻地獄 2】



メインサーバー【あー……】


矢矧「怨敵の一人と出会えたわね。この場だからあなたも沈めておきたいわ」


大鳳「他にもいますけど……ええと阿武隈さんですよね?」


阿武隈「はいっ、阿武隈ですよ!」


清霜「こんばんわ!」


阿武隈「はい、こんばんわ! ええと川内さんが見当たりませんけど……」


阿武隈「あ、矢矧さんあたしの今回の狙いはメインサーバー君です! ちょっと不安要素を潰しておこうと思いまして!」


大鳳「同じ考えですね。私達、このメインサーバーの中に囚われていたので危険性は知ってます」


メインサーバー【まあ、やりたいことはやりましたカラ、構いません。やりマスカ? サーバー権限を活用させてもらいマス】


メインサーバー【Trance】


矢矧「話が早くてよろしい」


大鳳「私、空母なので後ろ下がりますね……」


清霜「私も少し下がるー」



2



メインサーバー【ちょ、ちょっとお! 空母棲姫と埋護姫と駆逐棲姫の3種なんですけどお!】


阿武隈「あたしの口調を真似しないでください!」


ドオオン!


矢矧「絶望的な場面とか何度も遭遇したわ。死んでからも」


ドオオン!


メインサーバー【ピギャアアアアアア!】


阿武隈「暁ちゃん真似たって優しくしません!」


メインサーバー(ふ、ふええ……装備の回転率の隙間を縫うように砲弾が飛んでくる。それも装備の優先損傷順、装甲の薄い箇所、人体的な急所!)


メインサーバー(おまけに大鳳のせいで空を取りきれないし、向こう狙ったやつ清霜に墜とされてる。あいつ照月適性もあるからか対空射撃は上手いな……にしてもそんな馬鹿にゃ。姫3種がこうも簡単に追い詰められるなんて)


メインサーバー【今を生きる人間の可能性に殺されるうううう!】


矢矧「装備の持ち腐れね……」


阿武隈「というか弱いですね……警戒していましたが、なんだか素人が上等なカタログスペック装備を持っただけの感じです」


メインサーバー【その通りデス! 私は戦うなんて役割持ってないんデスカラネ! なのでお話をしましょう!】


メインサーバー【今の事態は色々とお前らも予想外なはずデス。だからこれからのこと予測出来ている私が情報を渡すノデ、見逃してくだちい!】


矢矧「自己を持っても機械ってだけでこうも情が湧かないものなのね。初心者が良いモノ持って粋がって馬鹿見た感じが哀れ」


メインサーバー【阿賀野型のほうがカタログスペックのくせニ! どいつもこいつも素体がポンコツだって知ってるんだからネ! 無能な味方なお前らほど性質悪いもんねーヤイ! 呵呵!】


ドオオン!


メインサーバー【大破ニギャアアアア!】


メインサーバー【阿武隈ちゃあああんお話をー!】


阿武隈「あのですね、信用できないあなたからの情報なんて混乱のもとなので要りません。ここで確実に消しておくのが最良です!」


メインサーバー【賢いネ!】


メインサーバー【切り札を見せてやる】ジャキン


阿武隈「それ負けフラグなので!」


メインサーバー【2次元と3次元をごっちゃにするとか犯罪予備軍ですネ! もういっちょ装填!」ジャキン


メインサーバー【『カタストロフガン……】


阿武隈(戦後復興妖精の……装備!)


メインサーバー【ver 史実気象!』】


ドオオン!


矢矧「ん? 空?」


矢矧「違う。これ、地震――――!」


メインサーバー【波浪警報デ――――ス!】


阿武隈「あわわわあああああ!」


阿武隈「津波、50、いや100メートルはある!」


阿武隈「て、転覆しちゃ……!」


阿武隈「いやあああああああ!」ザブン


矢矧「阿武隈が波に拐われた……このくらい航行術でなんとか」


メインサーバー【さて矢矧ちゃんサヨウナラ】


ピカッ


矢矧「眩し……これ」


メインサーバー【サンダー】


メインサーバー【ドオオオオン!】


矢矧「っ、まさか落雷――――」


ドオオオオン!


メインサーバー【さてと丸焦げだネ! 阿武隈ちゃんとか大鳳ちゃん清霜ちゃんも感電して損傷したかな? ハピネスガンのお陰で私はこの通りなんとか元気デス!】


メインサーバー【呵呵……ん、新しい反応】


メインサーバー《どちら様でしょうか!》




《お、敵か。どちらの陣営でもないやつね。大破してるみたいだし、慣らしとしてはありがたい》




メインサーバー【ンー、これは】ジャキン


メインサーバー【『前世代陽炎』】


メインサーバー【カタストロフガン! ver史実気象!】ドン!


メインサーバー【波浪警報デ――――ス!】


メインサーバー【津波150メートル級のネ! 転覆して沈め!】


メインサーバー【+カタストロフガン】ジャキン



陽炎ちゃん「さっきので黒潮転覆したし……」


メインサーバー【!?】


メインサーバー【マジかオマエ! その規模を波乗りだとオ!】


陽炎ちゃん「艤装はサーフボードより上等よね」


メインサーバー【物理的に無理とはいわないケド普通出来ないデスカラ!】


陽炎ちゃん「私は航行術と砲撃機銃の精度には自信あってさ、現役時代にも津波に襲われたことあるのよー。その時の200メートルまでならなんとか波に乗れましたよっと」


メインサーバー【今を生きる人間怖いヨオ! とにかくくたばれ、スパーク!】


メインサーバー【サンダー、ドオオオ――――】


陽炎ちゃん「キャッチ」


陽炎ちゃん「&リリース!」


ポイッ


メインサーバー【そんな! 真上になげて避雷針代わりに、アババババババ!】


陽炎ちゃん「熱ああああ!」


メインサーバー【お前も避けきれてないし!】


メインサーバー【……! 再生、これは女神か!】


メインサーバー【私も、まだ、ま……だ!】