episode xx話 メイド・オブ・ハル&4U
支配人に頼まれてメイドをする事になったハルと4Uの3人。最初は乗り気じゃなかったウメとエモコだったが、何でも願い聞くという約束でメイドをする事に。無事、業務を遂行できるのか?はたまた、乗り気じゃなかった2人は大丈夫なのか!?
ウメ「なんでこうなったし...」
ハル「でもウメちゃんにあってるよ~!」
ウメは仕事のためとはいえ、メイド服を着ることを拒んでいた。
何で私が、と今すぐにでも言いそうな雰囲気だったが、ハルが「似合ってる」というとまんざらでもない表情でそのメイド服を着た。
事の発端は四時間前にさかのぼる。
ー二時間前
「すまん!!急なお願いなんだが他のメンバーが体調不良でぶっ倒れたからこの仕事お願いできないか!!?」
支配人から言われたのは、メイド喫茶 シャロンでのお仕事だった。
どうやら、ナナスタとアイドルカフェのコラボがあったらしく、そのお仕事をやるメンバーが体調不良で倒れてしまったようで、その代役として4Uのメンバーとその場の近くにたまたまいた春日部ハルが代役としてそのお願いをされた訳だが。
しかし。
「何で私達がやらなきゃいけないのよ」
ウメは不満げな顔で支配人のほうを見る。
「今回はこのキャンキャン娘に賛成です、何故私たちがやらなきゃいけないのですか?」
「ヒナは美味しいもの食べられるのであればいいかな~」
支配人はどうしようかなと悩んで、一呼吸おいてこんな案をだした。
「その代わりなんか何でも聞く...それじゃダメかな?」
恐る恐るそんな言葉を支配人が言うと、エモコとウメの二人はピクリと反応する。
「ほんとに何でもいいの?」
「ああ」と支配人はうなずく。
「よーし!この天才ウメちゃんにまっかせなさーい!!」
「何をお願いするか迷うところではありますね」
「わーい!ヒナもがんばるー!!」
4Uのメンバーはやる気に満ち溢れ、支配人はその様子に安堵していた。
しかしそんな中戸惑ってる人物がいた。
「(私はどうすればいいんだろ...。)」
そう、なぜか仕事が一段落して、そこら辺を少し歩いてた所に誘われたハルである。
「あ、ハルもお願い聞くからね、だからお願いできるかな?」
「は、はい!!お仕事ですか?お仕事なんですね!私頑張ります!!」
ハルは笑顔で了承した。
ーそして個々の願いの為、そして単純にお仕事として、今回のメイドをやることになった訳です。
「メイド服って思ってたよりも着やすいのですね」
「三人ともにあってるねえ!」
エモコとヒナも合流した。
エモコはいつものようなクールな様子で、ヒナは笑顔で。
「でもこのフリルがかわいいね!!」
「このレースも悪くないですね」
「皆かわいいねえ~」
「ちゃんと皆似合ってるわよ」
四人はそれぞれの衣装を誉めあっていると、個室の扉が開き、ここのメイド喫茶のメイドさんらしき人が入ってきた。
「お、メイド服に着替え終わってるようだね。」
どうやら確認しに来たようだった。
「お、似合ってるねえ!...。あ、ごめんねー、私今日あなた達を担当するあかり、アカリーンって呼んでね!」
そして決めポーズらしき目元にヨコⅤポーズをする。
いかにもその姿はは輝いて見えて、四人、特にエモコは「(あ、私無理かもしれない)」とその時悟った。
「今日はよろしくね!」とあかりが言うと、四人は「よろしくお願いします!」と挨拶をした。
ー「じゃあ、早速だけど、接待お願いしてもいいかな。」
「「はい!」」
「私がまずお手本をみせるね!」
すると、あかりは窓のそばの席にいる男性二人組の所に行く。
「いらっしゃいませ~!ご主人様~!!私はあっかりーんって言います~!よろしくね!」
そして決めポーズであろうヨコⅤポーズをすると、その男性たちも照れながらもそのポーズをしていた。
「なによあれ...私たちにあれをやれというの?」
ウメはここまで来て絶望した表情になっていた。
そして、エモコは。
「なんでしょうこのキャンキャン娘が末期まで到達したような存在は、、私とは知的レベルがあまりにも違いすぎてこの仕事は無理かもしれません」
と頭を抱えていた。
「ご注文はいかがになされますか~?わたしのおすすめはこのラブラブイチゴパフェなんですけど~?」
「じゃ、じゃあ、それで!」
「わかったよー!まっててねー!ご主人様ー!!」
そして、こちらへ戻ってくる。
「こんな感じーでやるんだよ~」
「ほ...ほう」
ハルはあっけにとられていた。これが私にできるのかと...。
「じゃあ、ハルちゃんいってみようか!最初はそうだなー、あそこの男女のペアがいいかな」
あかりが指を指した方向には、パーカーのペアルックを着た男女のペアがいた。
「いけそう?」
「...」
正直いけるかなと不安になっていたハルだったが、支配人さんのお願い事だ。しかも引き受けてしまったからにはやり通すのが筋というもの。
ハルは顔をぺちぺちと軽く叩き、気合いを入れる。
「あたし行ってみます!!」
「うん、よろしい!」
「は、はい!」
そして、ハルはその二人の座る席へ向かう。
「い、いらっしゃいませ!ご、ご主人様!お嬢様!」
「あ、メイドさん」
「この子知ってる!!ナナスタの子だ!!」
女性の方はどうやらナナスタのことを知ってるようだった。
ハルは少し嬉しくなる。ナナスタもここまで知名度もあがってきたんだなーっと。
「あ、注文いいですか?」
「は、はい!」
「じゃあ、このパフェとこのオレンジジュースを二つください」
「え、えっと。イチゴパフェとオレンジジュースでよろしかったでしょうか?」
「あ、聞きたいんだけど、おすすめとかってあるかな?」
「お、おすすめですか?」
ハルは戸惑いながらも、あかりさんから言われたことを思い出しながら。
「このパンケーキなんてどうですか?私これ美味しそうで!えへへへ!」
ハルはメニューを見て一番美味しそうなものを答えた。
「おお、確かに美味しそうだな」
実際の所、あかりさんにおすすめとして言われたのはラブラブハートのオムライス(ハートマークを書いてあげる特典付き)だったのだけれど、ハルは忘れてるようだった。
「じゃあ、それでお願いします!」
「は、はい!!」
ハル戻ろうとすると、女性の方が「ちょっと待って」といった。
「な、なんでしょうか?」
「私、ナナスタこれからも応援してるからね!!がんばってね!!」
そんな言葉をいただいた。ハルは最高の笑顔で「ありがとうございます!!」と答えた。
そしてハルは注文を終え、裏方に戻る。
「お疲れさまーハルちゃん。どうだった?」
ハルは「何とか注文を取ることができましたーえへへー」といい、少しの達成感に浸っていた。
するとあかりさんが一点をずっと見つめていた。
「あの子、才能あるわね...」
ハルははてなの表情を浮かべながらあかりの見てる方向を見る、そこにいたのは。
「いらっしゃませ~!!ご主人様~!メイド喫茶シャロンにようこそ~!!ご主人様!」
「お嬢様へのおすすめはこのホットケーキとかどうですか~?」
「いっきますよ~!はい、フォーユー!(ぱしゃり)」
さっきから4Uを表すであろう、左手を四の数字、右手の親指と小指を立てたポーズでお客さんと写真を撮る。
この馴染むまで、時間にして大体30分である。驚異的な馴染みようである。
ー「ふう、つかれた...」
ウメは疲れた表情で裏方へ戻ってくる。
「ウメちゃんお疲れー、すごいね、もう馴染んじゃったよ...」
「まあね、私天才だから?」
そういい、さすがに疲れたのか椅子に腰掛ける。
少し経つと、ヒナも帰ってきた。
「ただいまー!」
「ヒナちゃんお疲れ様ー!ヒナちゃんはどうだった?」
「あのね~!お客さんがクッキーくれたんだよ~!」
ハルが話を聞くと、どうやらヒナはもはやお客さんにかわいがられていたようだった。
「お客さんと一緒に食べるの楽しかったー!」
「一緒に食べてたの!?」
もはや4Uのスペックに驚くばかりである。ハルは私も頑張らなきゃと気を入れる。
「そういえば、エモコはなにやってるの?」
「いわれてみればー、どうしているんだろ?」
さっきからエモコの姿を見ない、今何をしているのだろうか。
「三人で見に行ってみようか」
「そうしてみよー」
そして三人は少しのぞいてみることにした。
「(エモコちゃんはどんな接客を...)」
覗いてみると、そこにあった光景は。
「こんなものやってもらって何が嬉しいのですか?激しく引きますよ?」
ー「こんなものを気持ち悪いですね」
ー「そんな気持ち悪いことやるわけがないでしょう、あなたは馬鹿ですか?気持ちが悪いので、消失してください♪」
そこにはお客様に向かって罵倒してるエモコがいた。
その目はまるで冷酷で何か人を見下すような眼をしていた。
でも、不思議なことにお客様はなぜか笑顔だった。
「なんだか女王様みたいだねー!!」
「なんか地獄絵図だわ...」
「でもちゃんと伝票はとってるようだよ!?」
その後お客さんはエモコにひれ伏し、まるで小さな王国のようなものが出来ていた。
その翌日から、罵倒されたい男性たちで混雑していたのは、また別のお話。
ー「ふう、さすがに疲れるものですね...」
エモコは休憩に入った。
「エモコちゃん、すごいね、最初はあんなに否定してたのに、あんだけこなせちゃうんだもん」
そうだ、ハルの言う通り、最初あれだけ否定していたのにもかかわらずなんやかんややりこなしているのだ。
「仕方ないんです...あの...あの...」
「あの?」
そしてエモコはひと呼吸おき。
「あの、平日限定販売限定ワニ蔵 和服バージョンを手に入れるためにはあの暇人支配人にお願いするしかないので」
「あー」
その言葉を言ったときのエモコは冷静な声で言ってはいたが、目は明らかにやる気に満ちていた。
「さあ、ラストスパートですよ!頑張っていきますよ!」
「任せなさい!この天才美少女の私にかかればこんなもの最後までやりこなして見せるわ!!」
「みんながんばろーね~!」
「そうだね!みんなで頑張ろうね!!」
そうしてハルと4Uのメンバーは今日のラストスパートに入った。
皆、慣れてきたのかしっかりと業務をこなせるようになってきていた...。
ー「皆、お疲れさまー!!」
「「お疲れさまでした!!」」
無事就業時間を迎え、今日の仕事が終わった。
「四人ともよかったよー!!」
「ふ、ふん、私にかかればこんなものよ!」
「でも、やっぱりメイドのお仕事も大変なんですね~...疲れました...」
「ヒナは楽しかったー!!」
「たまにはこうゆうのも悪くないですね」
四人はいろんな思いを抱えながら今日の業務を終えた。
「四人ともお疲れー!」
支配人もいろいろと業務を終え、四人の所へ来た。
「結構楽しかったです!」
「ホント助かったよ...四人ともありがととね」
そしてエモコが本題に入る。
「じゃあ、報酬は期待してよろしいのですね?」
「ああ!まかせてくれ!!」
「じゃあ、新しいギターで!!」
「私は高級デザート食べ放題がいいな!!」
「ワニ蔵 和服バージョン」
「お、おう」
支配人は若干引き気味ながら、そう答える。
「なんやかんや皆すごいね!わたしびっくりしちゃった」
「これがいつものナナスタなので!」
「ナナスタか...これからすごくなりそうだね」
そうあかりは考え深く言う。
「このアイドルが衰退した世界でもう一度輝くのは簡単なことじゃないだろうけど、あなた達ならできる気がする。頑張ってね!!」
そう、あかりはいう。
そう、私たちの今いる時代はアイドルが廃れた時代。
それでも、このアイドルという存在で笑顔を届けたい。
そうなりたい、いや、なるために頑張らなきゃいけない。
「...はい!!」
そう、私は...。
そして支配人のほうに向かい「支配人!」と声をかけた。
「ん?なに、ハル」
そして。
「私、もっともっと頑張ります!!皆に笑顔を届けられるように!!だから、これからもよろしくお願いします!」
そうハルが言うと、支配人は少し笑った表情をして。
「ああ!!まかせて!!絶対!!輝かせるから!」
そう返答した。
その日は季節外れの風が心地いい晴れた日だった。
fin
【おまけss キョーコに相談するハル】
「で、私に何の用?」
「キョーコちゃんごめんね、実は相談したいことがあって...」
「相談?」
「実は最近、私地味じゃないかなって...皆みたいに目立つわけじゃないし...キョーコちゃん目立つにはどうすればいいかなって」
「地味?どこが地味なのよ。アンタ、今のままで十分目立ってるじゃない?セブンスのセンターでしょ?」
「センターがこんな地味でいいのかなって...私スミレちゃんみたいに今どきって感じじゃないし、サワラさんみたいに明るくないし...」
「そうね、でも目立つことばかりがいいわけじゃないじゃない?」
「キョーコちゃんみたいに胸大きい訳じゃないし...」
「胸の話はどうだっていいでしょ!!?」
「うう...」
「でも、私からしたらアンタが羨ましいわ」
「え?」
「間違いなく、スリーセブンス、いや、このナナシスはハルが引っ張ってるわ、努力を欠かさず続けてきたから、今のナナシスをその笑顔で引っ張って来たからこそ今のナナスタがあるわ。わたしにはそうゆうのは出来ないから、少し嫉妬しちゃう...」
「キョーコちゃん...」
「ん?なに?」
「そういってもらえるなんて...嬉しいな!!」
「...!!?やっぱ今の話で!!いいわね!!?」
「きょ、キョーコちゃああああああああん!!!!!」
「あああ!!抱き着いてくるんじゃないわよ!!」
「ありがとおおおお!!!」
「ふ、ふん、仕方ないわね!!」
キョーコは戸惑いながらも、そのハル行動に悪い気はしていなかった。
ー完ー
ナナシスのssです。どうだったでしょうか?是非ナナシスの事をもっとわかってほしいってことで書いてみました。是非感想などいただけると幸いです。
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