2018-04-26 23:59:37 更新

概要

今回はボロボロになってなお『信じる』提督とその艦娘とのお話です


前書き

初めましての方は初めまして! クソ文才たくちゃんでございます!
艦娘のキャラ崩壊注意です!






さて、皆さんは『鎮守府』と聞いてどう想像する?




みんなで和気あいあい?




それともゴチゴチの戦争?




はたまた火曜サスペンスばりの愛憎劇?




そうかいそうかい、面白いね




答えは何かって?  




答えは『全部そう』に決まってるじゃないか




鎮守府の数だけあり方があるんだ




ーーーだからこれからのお話も




そんな鎮守府の中の一つのお話だ












鈴谷「はー、今日のアイツマジウザかったんだけど」




熊野「そうですわね、話長いしうるさいでもう…」ハァ




鈴谷「マジたりぃ、あのクソ野郎…シバキ倒したい」




熊野「下品ですわよ、いくらなんでも」




鈴谷「はぁー? 熊野だってそう思ってるでしょー?」




熊野「…まぁ、そうですわね」




鈴谷「またもがみん達呼んでやる? 大リンチ大会」




熊野「…私は遠慮しますわ、面倒ですもの、処理が」




鈴谷「あー、それな ダルイしキモいもんね」




鈴谷「…あ、でもそれもあいつにやらせればよくね? 鈴谷マジ天才」




熊野「名案ですわね、それ」




キャッキャッ






あー怖いね




でも、これがうちのリアルなんだ、受けいれてくれ




さて、一つ昔話と行こう




昔々、あるところにとっても善良な提督さんがいました




その提督さんは艦娘のために様々なことをしました、時には自腹切ってね、すごいね




それが功を奏したのか、どんどんと仲良くなっていった




出撃や遠征の間に、和気あいあいとしたやり取りが確かにあった




でも残念  いつからかはわからないけど急になぜかみんな、提督にどんどんと冷たくなっていったんだ




みんなは提督を下に見たんだ、そして考えがエスカレートして、ついにはこいつはいじめていいんだーって考え始めた




あとはわかるね? みんなで一斉に大リンチ大会さ! 提督はボッコボコ、憲兵によってすぐに病院に運ばれたよ




幸いにも命は助かったけど、まぁケガがひどくてね、しばらくは仕事もできないくらいだったんだ




そこの艦娘たちは拘束、記憶消去、それに付随して練度消去の上で再配属されたよ、軍も戦力欲しいからね、解体はしなかった




さて、そんな艦娘たちだったんだけど、一人だけ、提督を守ろうとした子がいたんだ、いい子だね




その艦娘の名前が『扶桑』っていうんだ




扶桑は最初から秘書艦として提督を支え、みんなが冷たくなっても一人、提督を励まし続けていたんだ




事件の後も入院してた提督を毎日見舞い、様々な形で応援し続けた




そのかいあってか提督は晴れて復帰! またその鎮守府についたんだ




さっきも言ったけど、記憶もなにもそこにいた艦娘には残ってないから、みんな提督にやさしく接したよ




・・・最初はね




でもなぜかはわからないんだけど、艦娘たちはまたも提督に敵意を持ったんだ、歴史は繰り返すって感じ?




もちろんこのことは憲兵を通して上に伝えられたんだけど、残念ながら上も今回は厳しかった




曰く、『艦娘を統治できないのは、貴官の責任でもある』だってさ  ・・・ま、当然といえば当然




なんとか職にとどまろうとした提督はこれ以降この件を報告することなく、提督を続けているんだ




・・・さて、そろそろ物語を始めようか




ま、ハッピーエンドで終わるお話だから安心してよ  …信じるか信じないかはあなた次第、だけどね






提督「さーて、とりあえず終わった書類を…っ」グッ




提督「ぃてて… まだ痛むか、昨日阿賀野たちにやられたとこ…」




提督「…はぁ、扶桑がいればやってくれるんだけどねぇー」




ゲラゲラゲラ




提督「…なんだ、摩耶、青葉  廊下にいないで来い」




摩耶「ぃ、いやっ…! 『扶桑がいれば』、だって!! ははは、クッソだせぇなお前…!」   




青葉「ばっちり録音させていただきましたので! はい!」




提督「…勝手にしてくれ」




摩耶「…ちっ、なんか最近反応薄くなったな、てめぇ」




青葉「行きましょ、つまんない司令官」




・・・




提督「…いい散歩日和だ…」テクテク・・・




提督「…ん…なッ!?」ゴスッ




夕立「あー、ごめんっぽーい、ボールがそっちに飛んじゃったっぽい」キャッキャッ




時雨「夕立、なぜ謝るんだい? 悪いのはそこにいたウスノロだよ」




白露「そうだよ、夕立悪くなーい」




夕立「みんなありがとっぽいー!」




村雨「…そういうことなんだけど… 早くボールを返してもらえるかしら、ウスノロさん?」




提督「…」ポーイ




時雨「どこ投げてるのさ!? ゴミ!!」




提督「…」テクテク・・・




白露「…感じ悪…」




・・・




金剛「…それでデスネー」




金剛「…あ、いいところに来まシタネ! 提督!」




提督「…見てわからないか、俺は今散歩中なんだ」




榛名「執務もせずいい御身分ですね、感心しちゃいます」




比叡「まぁまぁまぁ、座って座って  …はい、私のお菓子食べてください」




提督「…お前のものはもう食いたくない」




金剛「…はぁー!? せっかく比叡が作ってくれたのにデスカ!?」




比叡「ひ、ひどいです…たくさん練習したのに…!」




提督「…(食わないと返さないってか…面倒な)」




提督「…いただきます」ヒョイパクッ




提督「…ぐぼぉ!? ぐぇ、がはっ…!?」




金剛「…あはははは!!! 食った!! こいつホントに食いマシタ!!」




提督「…な、何を入れた…」




比叡「えー、私的には頑張ったつもりだったんですけどー…」




比叡「あ、でも冷蔵庫の下の方にあったのを使ったから、消費期限とか過ぎてるものが入っちゃったのかも!」




榛名「比叡お姉さまはおっちょこちょいですねー」




比叡「えへへー」




金剛「あーおもしろいデース  霧島ももっと笑って笑って」




霧島「え、あ、はい…お、面白いですね、あはは…」




金剛「あ、提督にもう用はないので帰って下サイ! …ティータイムが汚れるネ」




提督「クソが…」




榛名「…なにかおっしゃりました?」




提督「…執務室に帰る、って言っただけだ…」




・・・




赤城「♪~」




加賀「上機嫌ですね、赤城さん」




赤城「はい! 今日も提督の分のご飯をもらっていいらしいので! 加賀さんもいりますか?」




加賀「それは…とても嬉しい提案です」




加賀「五航戦、あなたたちもそう思うでしょう?」




翔鶴「はい…」




瑞鶴「…」ムスッ




加賀「…少し分けてあげてもいいわ」




翔鶴「あ、あの加賀さn…」




瑞鶴「…ごちそうさまでした  行こ、翔鶴姉」




翔鶴「う、うん…」




スタスタ











コンコン




提督「…誰だ」




瑞鶴「…私 入るのはあれだから用件だけ言うね」




瑞鶴「今日も提督さんのご飯、あいつらに取られちゃったみたいだから…コンビニとかで買ってきて」




瑞鶴「それだけ   じゃあね」




提督「…いつもすまん」




提督「最寄りまで約10km…か…いつもながら面倒なことを…」





・・・





提督「…はぁ」




ガチャ




扶桑「扶桑、ただいま帰還いたしました」




提督「っ! 扶桑! やっと帰ってきてくれた…!」




扶桑「あら、また何かありましたか?」




提督「…いつも通りさ」




扶桑「ごめんなさい…私じゃ力不足で…」




提督「そんなことはない…! 扶桑は俺の唯一といっていい拠り所なんだから…」




扶桑「そうでしょうか…うふふ、そうであったら嬉しいです」




提督(相っ変わらず艦娘たちの態度は横柄で暴力的、耐えるしかない…)




提督(毎日殴られて蹴られての俺にとっては…)




提督(いつもそばにいて俺を支えてくれる扶桑は本当に… 感謝しか出てこない)




提督(…)




提督(俺がこんなに不甲斐ない奴じゃなきゃな…)











・・・数日後






提督「うぅ… 今日はやけに冷えるな…」




摩耶「けっ、たいして外にも出ないもやしがよくほざきやがる」




提督「…何の用だ」




摩耶「いーや、出撃無くて暇なんだ  …あ、そういや鈴谷がお前のこと呼んでたっけか」




提督「…はぁ、仕方ない…  どこに行けばいい?」




摩耶「んー…多分工廠だろうな、艤装関係だし」




提督「…そうか」スクッ




ガチャ・・・バタン




摩耶「…バーカ」ニヤッ






・・・工廠





鈴谷「おー、来た来た 案外早かったじゃん」




提督「…用件は」




鈴谷「なんだよー、少しくらい駄弁ったっていいじゃん」




提督「…」




鈴谷「…はぁー …ここ、この部分なんだけどねー」




・・・




鈴谷「ん… こんなとこだね」




提督「…終わったのか、なら帰っても…」




鈴谷「まぁまぁ、もうちょっと待ってよ、もう一つあるんだよね」




提督「…次はなんd「鈴谷ー!時間稼ぎありがとうですわ! みんなを連れてきましたわよー!」




鈴谷「おー、熊野お疲れ~」




提督「…なんのマネだ」




鈴谷「いやね? 最近は提督でストレス発散できてなくってさ、みんなイライラしてるわけ」




鈴谷「だからここで一つ、でっかくパーっとみんなでやっちゃおうかなって」




熊野「第二回大リンチ大会ですわ!」




提督「…」ダッ




摩耶「おぉーっと、逃げようとしてもムダだぜ? 退路なんかねぇんだよ」ガシッ




提督「っ…!」




金剛「そうデース! 逃げるようならこうデスヨ?」ビシャ




提督「あっつッ!?!」




比叡「ちょっと! お姉さまがせっかく入れてくれた紅茶ですよ!!きちんと飲んでください!」




提督「…くっ…」




鈴谷「そういうことで、まず言いだしっぺの鈴谷から行かせてもらうよ~!」ゴキゴキ




イイゾー!  ヤッチャエスズチャン!  キャー!




鈴谷「ほいほい、声援ありがとねー! それじゃ、3、2、1…0!!」



ドガッバキィ!!




・・・





鈴谷「いやー、楽しかったー  熊野と二人で人間ボウリングできてよかった~!」




熊野「ですわね~  あと一航戦の弓道! 素晴らしかったですわ~」




摩耶「そうそう、顔のすぐ横の壁に矢が刺さった時のこいつの顔マジ面白かったよな!」




時雨「こんなに楽しいのに、来ない人たちの神経がわかんないよ」ゲシッ




提督「…ぁ……」




熊野「…これ、声も出せなくなってきましたわよ?」




摩耶「だな、つまんね」




鈴谷「でもどうするよ、鈴谷触りたくないよ?」




時雨「…ねぇ、これが死んだらどうなるのかな…?」




金剛「そりゃ代わりの提督が配属されテー…はっ!!」




時雨「…うん、ここで、殺して隠蔽しちゃったらどうなのかなって」




時雨「こんないるだけでイライラするのは殺した方がいいだろう…?」




摩耶「おめぇは天才か…?」




比叡「そうしましょう!」




榛名「殺し方はどうするのですか?」




鈴谷「はいはーい! 焼いてキャンプファイヤーがいいと思いまーす!」




夕立「骨だけになるしちょうどいいっぽい!」




熊野「その後に海に投げ入れでもすれば完璧ですわ!」




青葉「お、それ、青葉がキチンと撮っておきます!」




赤城「なんだか面白そうなことしそうですね~!」




加賀「ぜひ私たちも混ぜてください」




鈴谷「いいよいいよー! キャンプファイヤーは多いほうが楽しいもん!」




熊野「鈴谷ー! みんなで薪持ってきましたわよ~!」




鈴谷「いいねー、そいじゃやっちゃおうよ~!」




摩耶「それじゃあ…  点火っ!」カチッ




ボォォォォォォォ




青葉「じゃあそれ持ってきてくださいよ」




鈴谷「よろ~」




夕立「おい、起きろっぽい、楽しいキャンプファイヤーの時間っぽい」ペチペチ




提督「ぅぅ…ぁあ……?」




時雨「あれがなんだかわかるかい?」




提督「焚火…?」




村雨「そう! それでね、あの火を勢いよくするために、もーっと可燃物が必要なの!」




提督「ぉ、おい…まさか…」




夕立「もしかしてわかっちゃった!? そう! 提督さんをファイヤーするの! いいアイデアでしょ?」




提督「なっ、正気か!? こんなことして…!!」




提督「死ぬぞ、こんなことしたら…!!」




夕立「…殺すためにやるんだから当たり前っぽい」




白露「ほら、みんな待ってるから早く来て」ズルズル




提督(クソ…痛みで体が動かない…)




摩耶「おう、来たな」




提督「…本気でやるのか…?」




金剛「もちろんデス! いい燃料になってくだサイ」




提督「…そう…か」




提督(抵抗する元気もない…もう、いいか…)




赤城「あら? どうしたんですか、提督」




加賀「…どうやら諦めたみたいね、まったくつまらない」




赤城「ならもう縛っちゃいましょう、磔みたいな感じで」




提督(赤城……)




ーーー




赤城「提督食べないんですか? なら私がもらいますね、エビフライ」ヒョイパクッ




提督「あ、バカ、俺はうまいもん取っておく派なんだよ!?」




赤城「ふふん! 先手必勝、です! 空母戦と同じようにね!」ドヤ




提督「いやドヤる場面じゃねぇから!? 俺のエビフライ返せー!?」




ーーー




加賀「…赤城さん、こんな感じでいいですか?」




提督(加賀…)




ーーー




提督「お、MVPは加賀か、やるな!」




加賀「そう、ありがとう」




提督「…なーんかお前淡泊だよなー、お前の実力が評価されてるってのに」




加賀「いえ、これはみんなと…あなたの指揮のおかげですから」ニコッ




ーーー




金剛「ふんぬー! …よしっ!」




比叡「さすがですお姉さま!」




榛名「よく燃えるといいですね!」




提督(金剛姉妹…)




ーーー




金剛「金剛型のお茶会にヨウコソー! 楽しんでいってよネ!提督!」




比叡「はいどうぞ!こちら金剛お姉さまの淹れた紅茶です!」




霧島「こっちは榛名が作ったお茶菓子です!」




提督「お、うまそう!  …うん、おいしい!」




榛名「ふふっ、良かったです!」




金剛「もー! ワタシの紅茶も飲んでくだサイー!」




提督「わかったわかった …お、いいな、これ! ダージリンか?」




霧島「違います、それはアッサムです …さては適当に言いましたね、司令?」メガネクイッ




提督「お、お茶菓子おいしいなー!」モグモグ




金剛「図星デース…」




ーーー




白露「薪、追加持ってきたよー!」




時雨「いいね、さっそく入れよう」




夕立「ぽーいぽーいぽーーい!」




村雨「鈴谷さーん! 火の勢いあげ終わりましたー!」




提督(白露たち…)




ーーー




白露「誰がいっちばーん!かどうか決めるためにかけっこしようよー!」グイグイ




夕立「ねぇー! 遊んで欲しいっぽーいー!」グイグイ




提督「いてて… 俺今執務中なんだよ…」




時雨「二人とも、提督が困ってるだろう?やめたらどうだい?」




提督「さすが時雨…いつだって冷静でいいやつだな…!」




時雨「えへへ…」




村雨「そうよ~、それに提督はこの後『一人遊び』するんだから放っておいてあげて?」




白露&夕立「「???」」




時雨「ちょ、ちょっと村雨!」




提督「あとで指導だなぁ、これは」




村雨「そんなぁ、村雨、どんな『指導』されちゃうの?」




提督「て、てめぇ…」




村雨「あはは、冗談よ~」




ーーー




鈴谷「それじゃあそろそろこれ、焼こうか」




熊野「そうですわね、やっちゃいましょう」




提督(鈴谷…熊野…)




ーーー




熊野「Zzz…」




鈴谷「ごめんね~ 熊野、疲れて寝ちゃってさ」




提督「い、いや構わないけど… いいのか? 俺なんかを部屋に呼んで」




鈴谷「いいのいいの~、提督はそういうことしない…ってかできないっしょ?」ニヤニヤ




提督「ぐ、ぐぬぬ…」




鈴谷「反応を見るに女の子の部屋に入ったこともなさそうですしな~」ニヤニヤ




提督「バカにしよってからにー!」キー!




鈴谷「あはは! てーとく怒った~ ウケるー!」




ーーー




青葉「カメラの用意はばっちりです!」




摩耶「へへっ、うまく撮ってくれよ、永久保存版だかんな!」




青葉「もちろんですとも!」




提督(青葉、摩耶…)




ーーー




摩耶「いやー桜がきれいだな? 提督」




提督「まったくだ、満開だぜ」




摩耶「お、あっちに青葉いるじゃん、ちょっと撮ってもらおうぜ!」




摩耶「おーい! 青葉ー! アタシたちのこと撮ってくれよーー!!」




青葉「了解しました! すぐに!」ダダダダダダ




青葉「到着!」




提督「…相変わらず写真のことになると足速いな…」




青葉「仕事ですから!」




提督「おめーの仕事は艦娘だボケ」コツン




青葉「あいてっ」




摩耶「おーい、バカやってないで撮ってくれよ」




青葉「あ、はいはいー、それじゃ行きますよー  はい、チーズ!」




パシャ




ーーー




鈴谷「せーのっ!」




ゴウン!




艦娘「「「「「「完成ーー!!!」」」」」




できたーー!




本物の磔みたーい!




いいぞーいけいけー!!




燃やせ燃やせー!




マイムマイム一緒に踊ろうね~ うん!




提督(…みんな)




ーーー




青葉「おー、みなさんが一斉に並ぶと壮観ですねー!」




提督「青葉ー、はやく来ないと映らないぞー」




提督「…よし、それじゃみんなで…せーのっ!」




提督&艦娘「「「「「「ピース!!!」」」」」




ーーー




ボォォォォォォォ




提督「…これが、走馬灯、か」




提督(なんで、こうなっちゃったんだろう…)




提督(俺はみんなのためになるべく頑張ったつもりだった…執務も、指揮も、交流も、息抜きも…)




提督(それなのに、それなのに…)




提督(なんでこんなに、ひどいことをされるんだろう…)




提督「ぁぁ…熱いなぁ」




提督「死ぬのかぁ、死ぬってどんな感じなんだろう」




提督「燃えて死ぬってすごい苦しいって本に書いてあったけど、本当かな…」




提督「…まぁ……いいや……」




提督「…」




提督「…」




ーーー




扶桑「初めまして、扶桑型超弩級戦艦一番艦、扶桑です よろしくお願いしますね」



扶桑「提督、私の艤装気になります? 大きすぎ?」



扶桑「提督、お茶をお持ちしました  熱いのでお気をつけて」



扶桑「提督、今度の遠征のローテーション案です、どうでしょうか?」



扶桑「提督の作ったお料理、すごく美味しいですね…! 私も負けていられませんね」フフッ



扶桑「提督、お疲れ様です そろそろお休みください」ニコッ



扶桑「提督… いつも一緒にいれて…私はとっても嬉しいです」



ーーー




提督「…扶桑……?」




提督「あはは、そんな顔するなよ、せっかくの美人が台無しだよ」




提督「嬉しいけど来ない方がいいよ、とっても熱いし苦しいから…」




提督「死にたくなかったなー… 扶桑、お前に好きだって言いたかった、恋人になりたかった…」




提督「もう、無理だな」




提督「ごめんな、扶桑…  大好きだ」




暗転









「・・・最初に見たのは、燃えそうになってる青あざだらけの提督だった




それまではすごく楽しかったはずのに、なぜかある一瞬でそれが冷めた




自分たちのしたことにもの凄い吐き気がした




どうして私が提督にこんなことをって、考えれば考えるほど気持ちが悪くなった、意識が朦朧とした




そしたら扶桑さんの『何をやってるの!? はやく水を!! 提督を助けなきゃ!!!』って声が聞こえて




はっと思ってもう一度提督を見たら・・・




もの凄い火の中で、提督はにたにた笑ってた




なにかをぶつぶつつぶやきながら・・・火に足を舐められながら・・・




笑ってたんだ」









鈴谷「……」




憲兵「…フン! どいつもこいつも言うことは同じか」




憲兵「『楽しかったはずだったのに』『どうして自分がこんなことをしたのかわからない』『扶桑の声で』」




憲兵「…貴様ら全員グルか?」




鈴谷「ち、ちがっ…」




憲兵「…」




鈴谷「あ、あの、提督は……」




憲兵「…はぁ…… そこまで一緒か、呆れを通り越して尊敬しそうだよ」




憲兵「貴様らにあの人に関する情報は一切与えられない、当たり前だ」




憲兵「…それは生きているか死んでいるか、すらもだ」




鈴谷「そう…ですか…」




憲兵(…もしも提督殿が生きているなどと知られたら何をしでかすか分かったものじゃないからな)




憲兵「…そろそろ時間か、戻るぞ」




鈴谷「はい…」






・・・鈴谷、熊野の監房





ギィ・・・  ガチャン




鈴谷「…ただいま」




熊野「おかえりですわ」




熊野「どうでしたの? その…尋問は…」




鈴谷「…どうもしないよ  普通に聞かれたことに答えるだけ」




熊野「そう…ですか…」




鈴谷「…」




熊野「…」




熊野「…鈴谷、顔色が悪いですわ、そろそろきちんと寝た方が…」




鈴谷「いいよ、まだ」




熊野「ですが…「うるさいよ!!!」




熊野「す、鈴谷…?」




鈴谷「鈴谷だって眠たいよ!寝たいよ!でも寝たら夢の中に出てくるんだよ!!!」




熊野「提督が、ですの…?」




鈴谷「そう…焼けて顔もわかんないけど、口元だけが笑ってる提督が、私の肩をつかんで言うんだよ…!!」




鈴谷「『お前のせいだ』って!!!」




鈴谷「その度に飛び起きて、肩をつかまれた感覚が消えなくて…!!」




鈴谷「だからっ…! だから……」




熊野「…」




鈴谷「…ごめんね、熊野に喚いたって意味ないよね…」




熊野「…明日、憲兵さんに睡眠薬をいただけるか打診してみますわ」




鈴谷「熊野…いいの? 何言われるか分かったもんじゃないよ…?」




熊野「私たち姉妹ですもの、助けあうのは当然ですわ」ニコッ




鈴谷「!  ありが、とう……!」




鈴谷「ごめ”んっ…! ぐまの”っ…!」




熊野「いいんですのよ、このくらいのこと」








・・・金剛型の監房





金剛「…」イライラ




比叡「お、お姉さま、私の分のご飯いりますか…?」




榛名「わ、私の分も…!」




金剛「…なんでそんなゴミみたいなもの食わせようとするデスカ、当てつけデスカ?」




比叡「ご、ごめんなさい、お姉さま…」




金剛「…チッ」




榛名「…あ、あの…金剛お姉さま…」




金剛「なんデスカ…」




榛名「そ、そんなにイライラしないでください… ひ、比叡お姉さまも困りますし…」




比叡「榛名…」




金剛「…この状況でイライラできない方が異常デス」




榛名「でもっ! …今は金剛姉妹で散り散りになっている時じゃないと思うんです…」




金剛「はっみんなで団結しよって? 提督をみんなでいじめていた時みたいに?」




金剛「ふざけないでくだサイ、そんなことなら散り散りになった方がましデス」




金剛「そもそも霧島はなぜここにいないのデスカ… なんで霧島だけッ…!」




比叡「霧島は今回の件にはあまりかかわっていないですから… 事情聴取だけらしいです」




金剛「んなこたぁ知ってマス でも、でも! アイツだって共犯デス!! 私たちを止めなかったアイツも牢にぶち込まれるべきデス!!」




比叡「お言葉ですが金剛お姉さまはそれを言う立場にはないと思います!!」




金剛「…あ?」




比叡「ひ、被害者の司令がそれを言うならともかく、加害者のお姉さまがっ!?」ガシッ




金剛「言葉を選んだ方がいいデス…比叡  ワタシ、今ならあなたを殺しちゃいマース…」グググ・・・




比叡「ごめん…なさい…! 離して…! 死んじゃ…」




金剛「…はぁ   言動には気をつけてくだサイ  …それじゃ、ワタシは昼寝してマス、うるさくしないでネ」




比叡「はい…」




榛名(提督がいたら間に割って入って…いつも通り冗談っぽく笑って私たちの仲を取り持ってくれたんでしょう…)




榛名(提督… 榛名たちは、あなたがいないとダメみたいです…)








・・・面会室




監視員「面会時間は15分です」




瑞鶴「ありがとう」




瑞鶴「…よいしょ…あんただけ?」




加賀「はい」




瑞鶴「あの赤いほうはどうしたのよ」




加賀「赤城さんはショックで食べ物をのどが受け付けなくなってしまい、栄養失調で倒れて点滴をしています」




瑞鶴「はっ! 自分で提督さんを傷つけて今度は自分で勝手にショックで飯が食えないですって?」




加賀「…」




瑞鶴「冗談じゃない!! そのまま野垂れ死にしちゃえばいいのに!!」




加賀「でも…私も赤城さんも本当になんであんなことしたのかわからなくて…」




加賀「…まるで誰かに操られていたような」




バァン!  ピシッ・・・




加賀「ず、瑞鶴…?」




瑞鶴「ムカつくのよあんたの態度!! 今度は誰かに操られてた!? 言い訳も程々にしなさいよ!!」




瑞鶴「アンタたちのせいで提督さんはあんなひどいケガとやけどを…」




加賀「提督は生きているんですか!?」ガタッ




瑞鶴「っ…!(つい勢いで…)」




監視員「囚人番号1456、座りなさい」




加賀「生きているなら今すぐ謝らせてください!! 許しを請うつもりはありません!! せめて謝罪だけでもッ…!!」ドンドン!




監視員「1456、座りなさい!」




瑞鶴「はっ! その前に解体処分にならないといいわね!」




加賀「待って! 待って瑞鶴!! お願いだから…!」ドンドンドン!




監視員「クソッ…! こうなったら艦娘用麻酔銃で…!」ガチャン バァン!




加賀「ぐっ…!?  お願い…だから……ずい、かく…  てい…と…く……に……」ドサッ




瑞鶴「…申し訳ないです、私のせいでお手数おかけしてしまって」ペコッ




監視員「いえいえ、仕事ですから  …それにしてもなんて恐ろしい…  自分の上司を殺そうとしておいて…」




瑞鶴「それでは失礼いたします、今後ともよろしくお願いいたします」




監視員「はい」ビシッ




テクテク・・・




瑞鶴「虫が良すぎるのよ…今更……」ブツブツ




瑞鶴「私の提督さんをあんなに傷つけておいて… 今更謝ろうなんて… 遅いのよ…!」ブツブツ














・・・提督の病室





「…とく  いとく…   ていとく   提督…!」





提督「はっ!?」




扶桑「大丈夫でしょうか? うなされていましたけれど…」




提督「い、いや、大丈夫だ  少し傷が痛むだけだ」




扶桑「本当に大丈夫ですか? 念のために診てもらった方が…」




提督「大丈夫だ、本当に… 大丈夫…」




扶桑「そうですか…」




翔鶴「…」




提督「あっそうだった、すまんな翔鶴 5:00にお前が来ることすっかり忘れていたよ」




翔鶴「い、いえいえ、わざわざ相談に来たのは私ですから」




提督「そうだ、その相談っていうのはなんなんだ?」




翔鶴「相談というより質問なんですけれど…よろしいでしょうか…?」




提督「あぁ、大丈夫だ」




翔鶴「ありがとうございます  それでは質問ですけど…」




翔鶴「提督は、鎮守府にお戻りになるつもりはありますか?」




提督「…」




翔鶴「あ、きゅ、急にすみません! 無理にというわけではないので、答えなくても…」




提督「…いやいいんだ   伝えなきゃいけないことだしな…」




提督「戻るつもりは…あるんだ」




翔鶴「!!」




提督「…危害を加えてはいなかったみんなもあんなに謝ってくれたしな」




提督「できれば戻ってきて欲しいって言ってるし…」




提督「…まぁ、俺に直接危害を加えた奴らがどうかはわからないけどな」




翔鶴「じゃあ…!」




提督「ただ…このケガでいつ退院できるか、退院したとして、軍に戻れるのか、そして…」




提督「もう一度、あいつらと面と向かって話すことができるのか…そもそも俺自身にアイツらを許す気があるのか」




提督「俺自身、わからないんだ…」




提督「だから…… 鎮守府のことについてはまだわからない」




翔鶴「そう、ですか…」




提督「明確な回答じゃなくてすまん」




提督「それに、鎮守府にほとんど人がいない状況で色々と迷惑をかけてすまない」




翔鶴「いえ、提督の口から直接頂いた言葉です しっかりとみんなに伝えます」




提督「手間を取らせる」




コンコン




瑞鶴「提督さん、失礼するね  …って翔鶴姉」




翔鶴「あら、瑞鶴 来てたのね  一航戦のお二人との面会はどうだった?」




瑞鶴「…別に  相変わらずムカつく顔してたわ」




翔鶴「…」




翔鶴「そ、そうだわ、嬉しいお知らせよ! 提督、鎮守府に戻るつもりはあるみたい!」




瑞鶴「…へぇ」




提督「なんだよ、お前も俺が戻ってくるといやか?」




瑞鶴「嫌じゃないけど、さ…  …戻ってきてまた前みたいに提督さんがいじめられちゃうのは、嫌、だから……」




瑞鶴「…なんにせよ、早く元気になってね、提督さん」




提督「たくさん食って治すさ 前みたいに毎日飯が盗られるわけじゃないしな」




瑞鶴「ん… そんな冗談が言えるようになったなら安心だね」




瑞鶴「じゃあね、提督さん」




提督「おう」




ガラガラ・・・




翔鶴「…」




提督「お前は帰らないのか?」




翔鶴「…帰ります、ですがその前に… 耳、貸してください」




提督「?」スッ




翔鶴「…本当に嫌なことだと思うんですが、一度、一度だけでいいから…捕まってる人たちとの面会を受け入れてくれませんか…?」




翔鶴「何度も何度も申請しているのに見向きもされないのは…ちょっと…」




翔鶴「許せなんて言いませんから… せめて顔だけ…生きていることだけでも…」




提督「…? 俺は申請一度も受け取ってない」




翔鶴「え…」




提督「鎮守府にいる奴らからはかなり来たが、アイツらからは一通も…」




提督「アイツらは反省すらしてないんじゃないか?」




翔鶴「そう、ですか…」




翔鶴(おかしい… 陸軍の憲兵団からは申請書発行のOKが出ていたはず… ならいったいどこで…)




翔鶴「と、とりあえず私もこれで失礼します  提督、お大事に」




提督「あぁ、ありがとう」




ガラガラ・・・  ピシャリ




提督「…ふぅ」




扶桑「お疲れのようですね」




提督「これからのことを考えると少し、な…」




扶桑「そうだわ、お茶をお淹れしますね、待っていてください」スクッ




提督「ありがとう」




扶桑「えっと…安いものしかないんですがよろしいでしょうか?」




提督「構わないよ、俺は高いとか安いとかわからないし」




扶桑「その割には美味しいものをよくご存じなようですけれど?」フフッ




提督「生まれは貧乏でも舌は高貴なのかもな」ハハッ




扶桑「よいしょ… もう少しで出来上がりますよ」




提督「あぁ…」




扶桑「…提督は」




提督「ん?」




扶桑「彼女たちを、許すおつもりですか?」




提督「…」




提督「…ごめん、まだわからない」




提督「俺は、できればみんなを信じたい…」




提督「みんなを… 艦娘という存在を…信じたい」




扶桑「確か、提督は昔艦娘に助けられたんでしたっけ」




提督「…あぁ」




提督「…俺だけが、な」




提督「もう顔も覚えていない、遠い昔のことだよ」




提督「それでも俺は艦娘に救ってもらったから… 艦娘を信じたいんだ」




提督「…けど、理性的な自分がこうも言うんだ」




提督「『まただまされて傷つくぞ』『次は死ぬぞ』って」




提督「だから、翔鶴には明確な回答を出せなかったんだ」




提督「でも、さっきも言ったけど…戻るつもりは、あるよ」




扶桑「そうですか…」




提督「…あぁ」




扶桑「…あ、お茶を忘れてました ごめんなさい、少し冷めてしまったかも」




提督「いや、ちょうどいい 俺猫舌だし」




扶桑「それはよかったです」




提督「ゴクゴク・・・」




扶桑「…私は」




提督「…」




扶桑「どんなことになろうとも、提督について行きます、提督を支えます」




扶桑「悪役を買うことになろうとも…」




提督「そうか…」ニッコリ




提督「ありがとな、扶桑…」




提督「お前がいなかったら、俺はとっくにダメになっていたよ」




提督「早く良くなって、恩返しをしないとな」




扶桑「恩なんて、そんな…」




提督「…ちょっと眠い…  少し寝るよ」




扶桑「はい、たくさん寝て、よくなってください」




提督「あぁ、おやすみ、扶桑」




提督「Zzz…」




扶桑「おやすみなさい、提督…」




扶桑「…」




扶桑「…本当にどうして、こんなことに…!」




扶桑「…はぁ、後悔しても仕方ないですね 私も戻って提督の代わりに書類をまとめないと…」







ガラガラ・・・  ピシャリ








提督「…」パチッ




提督「…そろそろいいぞ、あきつ丸」




あきつ丸「よろしいのですかな? まだ扶桑さんがかえって五分ほどだというのに他の女を連れ込んで」ガラガラ・・・




あきつ丸「悲しむでしょうな」ククク




提督「冗談はよしてくれ お前と不倫なぞ反吐が出る」




あきつ丸「あらら、このあきつ丸、今フラれてしまいました」




あきつ丸「初恋だったのですがねぇ~!」




提督「…その辺にしろ」




あきつ丸「申し訳ない、こういう性格でして」




あきつ丸「それで? 頼みとは何でしょう」




提督「牢に入っている奴らと会って話がしたいんだ」




あきつ丸「…物好きでありますな、提督殿も」




提督「物好きでもバカでも結構  俺は一度はアイツらから直接話を聞きたい」




あきつ丸「…青葉から押収したビデオの映像を見せていただきましたがあれはひどい」ハァ




あきつ丸「普通の人間なら艦娘恐怖症や女性恐怖症にまでなってもおかしくないであります」




提督「…連れてこれるような安全そうなやつでいい」




あきつ丸「…はぁ、全くしょうがないでありますな」




あきつ丸「あくまで、捜査の一環、ということでしたら、可能でしょう」




提督「ありがとう、誰が行けそうだ?」




あきつ丸「うーん…どいつもこいつもなにしでかすかわからないでありますからな…」




あきつ丸「まぁー…」




あきつ丸「大人しい白露たちくらいですね」




提督「…そうか それ以外の奴はどうなってるんだ…?」




あきつ丸「鈴谷、熊野は比較的大人しいですが今回の主犯ともいえる存在…やめておいたほうがいいであります」




あきつ丸「赤城は食べ物がのどを通らず栄養失調、加賀はさきほど暴れて独房行き…」




あきつ丸「金剛たちはものすごい険悪なムードなのでこっちが嫌ですし」




あきつ丸「摩耶は態度が悪いので個人的に嫌いであります」




あきつ丸「青葉はまぁ大人しくしてますが…信頼できないですし」




あきつ丸「他もほとんど同様です、ぶつぶつと何かつぶやいていたり」




あきつ丸「はたまた自傷行為をしようとして止められたり…まったく手間のかかる」




提督「すまない  …阿賀野たちなんかどうなんだ? しっかり者の能代と矢矧がいるし…」




あきつ丸「あー… そいつらは少し厄介であります」




提督「そうか…」




あきつ丸「まぁ、矢矧は正気を保っているので連れてきましょうか?」




提督「(正気…?)あ、あぁ、頼む」




あきつ丸「了解であります …では、白露型、矢矧を連れてくるということで…」




提督「日程はずらしてで頼む」




あきつ丸「こちらの事情でかわることもありますが、まぁ大丈夫でしょう」




あきつ丸「来てもよろしい日を後でお伝えください、それでは」




提督「ありがとう」




あきつ丸「報酬に期待するであります」




ガラガラ・・・  ピシャリ








・・白露型の監房





時雨「…」




夕立「…ねぇ、いつになったらここからでられるっぽい…?」




白露「…わからないよ 私たちは許されないことをした」




白露「もしかしたら、ずっとここにいるままかもしれない…」




夕立「そ、そんなの嫌っぽい!!」




村雨「…私たちはそうなっても仕方のないことをした…そうでしょう」




夕立「そ、そんなっ…!」




夕立「も、もう、てーとくさんには、会えないっぽい…?」




時雨「…」




白露「…」




村雨「…」




夕立「ね、ねぇ、もしかしててーとくさんって…」




時雨「…夕立…!」




あきつ丸「お嬢さん方、おしゃべり中失礼するであります」




夕立「あなた、誰っぽい?」




あきつ丸「私の名前はあきつ丸、と申します 陸軍ではありますが私も艦娘です」




あきつ丸「以後お見知りおきを」ニコッ




時雨「陸軍さんが僕たちに何の用かな? 取り調べなら喜んで受けるけど…」




あきつ丸「まぁそんなとこであります ボディーチェックもあります故、変なものは持ってこない方がよいですよ」




時雨「そうかい、ならすぐに支度をするよ  …みんな、準備して」




あきつ丸「そんなに焦らなくてもいいでありますよ~」ニコニコ




あきつ丸(…駆逐艦とはいえ、この時雨というのは優秀でありますな 提督がいなくてもしっかりと教わった通り皆を統率している、まるで…)




あきつ丸(よく躾けられた番犬のようでありますな)ククク




あきつ丸(それに対してこの夕立というの、直感などには優れそうですが、頭の方がアレでありますな)




あきつ丸(さしずめ、野犬といったところでしょう)




時雨「待たせたね、行こう」











・・・







あきつ丸「一応、全部確認したであります」




あきつ丸「所持品、体の中、精神状態などなど」




あきつ丸「念のため私の部下をつけていますがまぁ…大丈夫かと」




提督「助かる」




あきつ丸「えぇ、報酬はいただきましたからね」ニコッ




あきつ丸「それでは入れますね」




ガチャ・・・




時雨「お、お邪魔しまーーーーッ!!?!!?!?」




白露「!!!」




村雨「あーーーあぁ………!!!」




夕立「ていとくさん、なの……? ほんもの…?」




提督「あぁ、俺だ」




白露「提督!? 本当に!?」




提督「ああ」




時雨「あぁ!! ていとく、ていとくぅ!!!」




時雨「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」




白露「本当にごめんなさい…!!」




村雨「私たちは許されないことをしました…」




夕立「お願い…っぽい…」




時雨「夕立! 今は『ぽい』なんてふざけている時じゃないだろう!?」




夕立「あっ、ご、ごめん、なさい…」




時雨「君は昔からそうやって…」




提督「…謝るのはもういい」




時雨「それって…!」




提督「勘違いするな、今は聴取だ お前らが謝る時間じゃない」




時雨「そ、そうだった、いいえ、そうでした…」




提督「それではいくつか質問をしよう、憲兵に聞かれたことかもしれないが、気にしないでくれ」




白露「は、はい」




提督「一つ目、お前らに俺を傷つける意思があったのか、ということ」




村雨「そんなもの、ないに決まって…」




提督「…それは本当か?」




村雨「…」




提督「…俺は『今の状態のお前ら』ではなく、『あの時のお前ら』にその意思があったのか、ということだ」




白露「…」




夕立「あった…っぽい」




時雨「…!!」




村雨「夕立…」




提督「…本当だな?」




夕立「…うん  なんでかはわからないけど、もの凄くてーとくさんを…その…いじめたかったっぽい」




提督「そうか」




夕立「あ、で、でもね…! 今はそんな気はまったくないっぽい…! だから……だから………」




提督「…   他はどうだ」




白露「…私も」  村雨「私も、実は……」




時雨「…僕も、あったと……思う」




提督「…そうか」




提督「では次   それは殺意だったのか?」




白露型「「「「……」」」」コクッ




提督「次  ではなぜ最初から殺さなかったのか」




夕立「え、えっと…最初は、みんな提督さんのことがなぜか嫌になってきて…」




白露「それで…いじめ始めたの」




村雨「殴ったり、けったり…でも」




時雨「…段々提督の反応が、面白くなくなってきちゃったんだ、だから……」




提督「最後は明るくキャンプファイヤー、と」




時雨「…」




提督「では次  俺への苛立ちを感じるようになったのは、いつからだ?」




時雨「…それは…」




白露「…確か」




夕立「…」




村雨「…思い出せないわ…  ごめんなさい…」




提督「…そうか、わかった もういい、下がれ」




白露「…え、これでいいの? まともな情報はなかったと思うんだけど…」




提督「確かにな  だがまぁ、こうやって久々に顔をあわせることができたからいいじゃないか」




時雨「…その、提督…」




時雨「…本当に、ごめんなさい…」




提督「もういい、謝罪は飽きた」




時雨「……ごめんなさい…」




提督「帰ってくれ、監房では静かにな」




時雨「……うん」




提督「…それから」




時雨「なんだい?」




提督「お前らを許してはいないが、もう恨んではいない」




夕立「…それって…!」




提督「…せいぜい、騒ぎを起こさないようにな」




時雨「…うん!!」 








・・・






矢矧「…嘘、でしょ…?」




提督「生きていてはいけなかったか」




矢矧「違うの…違うのよ…! あの時は、ごめんなさい…本当に」




矢矧「でもよかった…本当によかった…!!  これでみんな治せるかもしれない…!」




提督「…そういえばあきつ丸が正気どうのと言っていたな、どうしたんだ」




矢矧「あなたの質問が先でいいわ」




提督「…いや、単調な質問にも飽きた 教えてくれ」




矢矧「…それじゃあ話すわ」




矢矧「気を悪くしないでね」





ーーー




矢矧「ねぇ、阿賀野姉、能代姉… ご飯、来たわよ…」




阿賀野「ご飯!? やったー! ねぇねぇ提督さん、ご飯食べよ?」ハイライトオフ




ぬいぐるみ「」ボロボロ




能代「ちょっと阿賀野姉! すぐに食べようとしないで!机の上を片付けてからにしてよね?」ハイライトオフ




ぬいぐるみ「」




能代「ほら、提督さんだって困ってるじゃない!」




阿賀野「ホントだぁ~、ごめんね?提督さん」




酒匂「…」ブルブル




矢矧「酒匂、大丈夫…?」




酒匂「怖いの…」




矢矧「…何が?」




酒匂「阿賀野お姉ちゃんと能代お姉ちゃんには、司令が見えてる…んだよね?」




酒匂「ね、ねぇ…? どうして酒匂には司令が見えないの? 司令? 司令!?」




酒匂「私にだけ司令が見えない…! それがとってもとっても怖いの!! なんで!? どうして!??!?」




矢矧「…」




酒匂「怖い怖い怖い…!!」ブルブル・・・




矢矧「…大丈夫よ、私にも、提督が見えないから」




酒匂「…ほんと? えへへ、矢矧お姉ちゃんと一緒なら大丈夫だね、ぴゅう!」




矢矧「えぇ、そう…ね……」




ーーー




矢矧「これが、私たちの現状よ」




矢矧「いえ、私たち姉妹だけじゃない… 他の娘だって多分…」




矢矧「悪いのは私たちだってわかってる、でも…」




矢矧「それでも私たちを、救ってほしいの…!」




矢矧「お願い…します!!」ドゲザ




提督「…」




提督「…顔をあげろ、矢矧  今は頼まれてもどうしようもない」




矢矧「…そう、ね ごめんなさい…」




提督「…」




提督「…少しだけ安心するといい、俺はもう…」




提督「…これ以上お前らを恨まない」




矢矧「…!!  ありが、とう…!」




提督「…そんな顔をするな、せっかくの美人が台無しだ」




矢矧「ひっ、えぐっ! 本当に、ありがとう…ございます、ありがとうございます…!!」




提督「おいおい、泣くな これから俺の質問をするってのにまったく…」















あきつ丸「ふぅ… 一応口止めはして返したであります」




あきつ丸「アイツら、頑固すぎるであります 帰らせるのに1時間はかかったであります」




扶桑「…よろしかったのですか?」




提督「何がだ」




扶桑「許してはいないが、恨んでない、なんて…」




提督「嘘でもいいから希望を持たせないと壊れちゃうからな、特に駆逐、軽巡はな」




扶桑「そうですか…」ホッ




提督「…どうして安心するんだ?」




扶桑「いえ、彼女たちの行動がまた提督を騙す罠である可能性も否定できませんので…」




扶桑「まだ疑いの目を持っていることはいいことだな、と」




提督「そうか」




提督「…」




提督「…朝、瑞鶴から電話があった」




扶桑「ありましたね、こんな早い時間に、と思ったものです」




提督「…鎮守府に戻るな、という話だった」




扶桑「…」




提督「…もうこれ以上、俺を危険にさらしたくないって」




提督「…まったく、いい奴だ」




扶桑「…」




提督「…だが」




提督「だからこそ戻る」




提督「もう一度、アイツらを見定めてみる」




扶桑「…そうですか」




提督「…お前にはまた、面倒をかけることになる…」




扶桑「…いえ、この扶桑、提督の行かれるところならばどこへでも」




提督「そうか、本当にお前には頭が上がらないな」ニコッ




提督「あきつ丸、アイツらの出所は可能か?」




あきつ丸「はぁ、それは少し難しいであります」




あきつ丸「残念ながら、彼女たちのやったことは殺人未遂であります」




あきつ丸「世間的な目もありますし、今すぐ、というのは無理な話であります」




提督「そうか…なら」




提督「拘置所の講堂に皆を集めることは?」




提督「色々とみんなの前で話がしたい」




あきつ丸「随分と簡単に言ってくれるでありますな、まぁそれなら一応」




提督「頼む」




あきつ丸「…まったく、どれだけ陸軍を使えば気が済むんですかね、海軍さん?」




提督「…すまん」




あきつ丸「…まぁいいであります、それより提督殿は立てるのですかな? その傷で」




提督「リハビリはしているが…まぁ車椅子だろうな」




あきつ丸「そうありますか 罪の意識を感じさせるにはちょうどいい演出でありますな」ハハッ




提督「そういうつもりでは…」




あきつ丸「わかってるでありますよ、まったく素直でありますな~」




提督「まったく…  少しトイレへ行きたくなった、リハビリも含めて歩いていくよ」




扶桑「あ、ご一緒します」




提督「いや、歩きながらあきつ丸と話を詰めたい 手伝ってくれるか?」




あきつ丸「厠の中まででありますか?」ククク




提督「ったく…」




提督「あ、松葉杖取ってくれ」




扶桑「どうぞ…」




提督「ありがとう、すぐ戻るよ  …よいしょ」




ガラガラ・・・  ピシャリ




扶桑「…」










・・・廊下






提督「…海軍のとある薬を探してくれ」




あきつ丸「…ほう? 薬とな…ヤクでもキメたくなったでありますか?」




提督「馬鹿馬鹿しい  薬品名はわからないが効果はわかっている、調べてくれないか」




あきつ丸「…薬品名もわからないものを探せって、結構難題でありますが…?」




提督「…例えばそれが海軍全体を脅せるようなことに使われたような代物だったとしても、か?」




あきつ丸「…効果は」




提督「ありがとう  効果は艦娘を凶暴化させるもの、だ」




あきつ丸「…つまりは今回…いや、前回から提督殿の艦娘のみが凶暴化する理由探しをするわけですな」




あきつ丸「もし仮に彼女たちが薬の効果によって提督殿に危害を加えていたという証拠があれば、彼女たちを釈放できる…」




あきつ丸「そういうことでありますな?」




提督「端的に言えばな」




あきつ丸「わかりました 不肖あきつ丸、精一杯努力いたしましょう」




提督「頼む」




あきつ丸「…ですが」




提督「?」




あきつ丸「提督殿は彼女たちが何らかの外的な要因で提督殿を殺そうとしたとお考えでありますが…」




あきつ丸「その確証はどこから来るのです? 扶桑殿の言う通り、彼女たちがまだ演技をしている可能性だって…」




提督「その時は俺が死ぬまでさ」




あきつ丸「…それでいいのでありますか」




提督「あぁ、元より俺は二度も死んだ身… それを助けてくれたのは艦娘だからな もう一度くらい信じたい」




提督「それに、俺が死んだって代わりがいくらでもいるさ」




提督「お前とかどうだ、結構向いてると思うぞ」




あきつ丸「遠慮するであります、私は出世にしか興味のない女でありますから」




提督「そうか、残念だよ」




あきつ丸「それに、提督殿が死んだら私が困るであります」




あきつ丸「あなたに売る予定のたくさんの恩は誰に売ればいいでありますか」




提督「…遺産としてお前に渡そうか?」




あきつ丸「金より地位がいいであります」




提督「正直者め」








提督「色々と頼みこんでしまってすまない」




あきつ丸「言ったであります、恩はたっぷりと利子をつけてかえしてもらうであります」




提督「そうだったな お前は仕事たっぷりだろ、もう帰れ」




あきつ丸「ではお言葉に甘えるであります、失礼」




提督「じゃあな」




提督「さて、トイレトイレ…」




あきつ丸(…3歳のとき深海棲艦に家族を殺され、すんでのところで艦娘に助けられ…)




あきつ丸(提督になって艦娘により瀕死になり… でも助けてもらった恩から艦娘を信じて提督に戻り)




あきつ丸(またも艦娘によって火に沈みそうになっていたところに、正気に戻った艦娘に助けられた…)




あきつ丸(だからもう一度だけ信じてみる、でありますか)




あきつ丸(命を助けられた分だけ、信じてみる、ですか…)




あきつ丸「…その考え、相当に危ういでありますな」




あきつ丸(ですがまぁ… 私もあなたを信じてみるであります …なんせ)




あきつ丸(面白そうでありますからな!)ククク





・・・





提督「ただいま」ガラガラ・・・




扶桑「提督! 遅かったので心配しました…」




提督「すまんすまん、あきつ丸と話していたらな」




扶桑「…最近、仲がいいですよね あの方と」




提督「そりゃ今回の件を調べてるんだからな、関わって情報を集めないと」




扶桑「そうじゃないです… 私的に、こう…」




提督「あはは、そんなわけないじゃないか  大声では言えないけど、アイツ結構性格悪いからな、多分」




提督「俺は性格悪い奴無理だから」




扶桑「そう、ですか…」




提督「…?」




扶桑「それと… 本当に戻られるんですね」




提督「…あぁ、いつまでも病室でってわけにもいかない」




提督「俺も動かないと」




扶桑「…わかっています、わかっていますけど……」




扶桑「…それでも私は…怖いのです…!」




扶桑「もう一度、提督が傷つくかもしれないことが…!」




提督「確かにな」




提督「もしあいつらが本当に俺に悪意を持っていたら、俺はまた傷つくかもな」




扶桑「…だったらっ…!」




提督「それでも、俺は信じてみるよ」




提督「…信じたいんだ、艦娘を」




扶桑「提督…」




提督「それに、俺が死んだって…」




扶桑「私が悲しみますッ…!」




提督「扶桑…」




扶桑「一人にしないでください、私を…!」




扶桑「山城みたいに、一人で行かないでください…!!」




扶桑「あなたすら失ったら、私は…どう生きれば…!」




提督「…大丈夫さ、もしも…」




扶桑「大丈夫じゃありません!! 私はっ…!」




提督「…」ニコッ




扶桑「…そんな顔をしないで下さい…! なんで…!」




提督「…提督が艦娘を信じなきゃ、誰を信じろって言うんだ」




扶桑「…!!」




提督「酷いことをされた、死にかけた、でも…」




提督「俺には確かに、アイツらと歩んだ確かな記憶がある」




提督「だから信じる」




扶桑「…どうして、そこまで…」




提督「…昔、遠い遠い昔、艦娘に助けられた」




扶桑「…知っています」




提督「…その艦娘は、その後沈んだんだ」




扶桑「…」




提督「…俺を守って、かばって、沈んだ」




提督「…最後になんて言ったと思う?」




扶桑「…」




提督「…『私の未来をあなたに託すわ』って」




提督「…どうして?何で俺なのって聞いたんだ、そしたら…」




提督「…『あなたの未来を信じたからよ』って」




提督「…なんで信じられるの? 赤の他人の俺をって聞いた」




提督「…『艦娘が人間を信じなきゃ、誰を信じるのよ』って答えたんだ」




提督「…『あなたが誰であれ、私はあなたの未来を信じたの、だから私はあなたを守ったのよ』」




提督「…『強くなりなさい、赤の他人でも信じられる私みたいにね』」




提督「…俺は信じるさ、アイツらは赤の他人なんかじゃない、家族だ」




提督「家族を信じられなかったら、おしまいだ  あの人にあっちで怒られちまうよ」




扶桑「…そう、だったんですか」




提督「あぁ、だから……」




扶桑「…わかりました」




扶桑「…早速資料を作成しますね」




提督「扶桑…」




扶桑「これからはあなたも忙しくなりますよ」フフッ




提督「あぁ! もちろんだ!」




扶桑「それではいったん鎮守府に戻ります、それでは」




提督「あぁ、本当にありがとう!」




ガラガラ・・・ ピシャリ