2018-05-16 00:25:36 更新

概要

ちょっとワケありな提督と、仲良くイチャイチャしたい艦娘の物語


いろんなネタを仕込んでますので、ご了承ください。(重要)


前書き

初投稿で、暇つぶしに書きました。

初投稿なのでミスがあるかもしれません。

ギャグにはいろんな成分が含まれますのでご了承ください。(二度目)



ちょくちょく修正しちゃってます。

更新したのに文字数あまり変わらないなと言う時は、小さな修正が入ったと思ってください。






プロローグ









蒼龍「ねぇ提督、お仕事一段落ついたら間宮行かない?一緒にアイス食べようよ♪」


提督「お、俺とじゃなくて飛龍と行ってくれば?」


蒼龍「そう言わずに、ね?」


提督「俺と行ったって、その、面白くないだろ?」






俺は提督だ。


数ある鎮守府のうち一つを任せられている。


所属している艦娘はそこそこ多いし、みんな可愛い。







蒼龍「んもー!私は提督と行きたいの!」


提督「そ、そうは言っても、まだ書類は沢山あるし...」


蒼龍「なら半分よこして!早く間宮行きたいもん!」


提督「いや、それは...」






艦娘たちは皆個性が強いが、ちゃんと気遣いができるいい子ばかりだ。


今日の秘書艦である蒼龍もいい子なのだが、俺とアイス食べたいというのは少し勘弁してほしい。


何故なら俺は...







蒼龍「...もしかして、私と一緒は嫌?」


提督「い、嫌なわけじゃない。ただ...」


蒼龍「...」ウルウル


提督「...いや、何でもない。書類を片付けよう」


蒼龍「やったぁ!」パァァ









女性と接するのが怖いのだ。












蒼龍と間宮で









蒼龍「ふー!終わったね!」


提督「そ、そうだな」


蒼龍「じゃ、間宮行こ?」


提督「...はい」






蒼龍が俺の手を取り、恋人繋ぎで間宮へと連れていく。嫌な汗が出る。手が柔らかくてあったけぇ。


そのまま間宮に着いて、適当に席に着いたら、蒼龍は有無を言わさず隣に座ってきた。


だから距離が近い。息が少し荒くなる。





間宮「いらっしゃいませ。蒼龍さんと...提督?」


提督「や、やあ間宮さん...」


蒼龍「えへへ、ちょっと休憩がてら一緒にアイスでもって思ってね」


間宮「あらあら、仲が良いですね」ウフフ


提督「あ、あはは...」


間宮「それでは、何にしますか?」


蒼龍「本当は間宮スペシャルにしたいけどー、チケット無いからソフトアイスで!」


提督「...同じで」


間宮「わかりました」








何とか違和感を最小限に抑えながら話せた。


間宮さんも正直苦手だが、蒼龍程ではない。


とにかく距離感が近いのがどうにも...


あ、アイスが来た...








蒼龍「んん~♪おいし~♪」


提督「...そうだね」


蒼龍「はい提督、あーん♪」


提督「へ!?」


蒼龍「そんな驚かないでよ。あーん♪」


提督「...いや、いいよ」


蒼龍「え」


提督「俺の分はちゃんとあるから、気持ちだけ貰っとくよ。ありがとう」


蒼龍「あの、提督...」


提督「いいから。ほら、アイス溶けるぞ」


蒼龍「(´・ω・`)...」






あーんなんて高等なやり取りは今の俺にはかなり効く。


何とかあーんは回避したが、蒼龍はかなり悲しそうにしている。


蒼龍には悪いが...







蒼龍(提督、いつも私たちとちょっと距離空けてて何だか寂しい)


蒼龍(だから今日は秘書艦だし、少し前に出てみようかと思ったけど...)


蒼龍(...ううん、こんなんでへこたれちゃダメよ!きっと提督と...)


蒼龍(でもでも、あまりグイグイ行くと本当に迷惑に思われちゃうかな...)ウゥム








なんか難しい顔してる...何を考えてるのだろうか。


だから俺は一緒に行くべきじゃなかったんだ。分かりきっていたハズなのに。


...あんな事が無ければ、俺は素直に嬉しいと思えたんだろうな。











明石と工廠で










その後蒼龍と俺は執務室へ戻ったが、何とも言えない雰囲気に耐えられず、工廠へ向かってしまった。



...いや、ちゃんと用はあるんだ。装備改修を頼もうかと思ってたんだ。







明石「うーん...あ、提督」


提督「や、やあ明石」


明石「何かご用ですか?あ、もしかして改修ですか?」


提督「まあ...そうだな」


明石「わっかりましたー!それで、何を改修しますか?」


提督「今日は魚雷の方を...」


明石「了解です!」






明石は改修となるとハイテンションになる子だ。


まあ気持ちは分かる。装備を強くする時の気分はワクワクするもんな。俺も提督になる前はゲームで装備強化するのが楽しかったし。


そう、あの頃は...






明石「改修成功しましたー!」


提督「おお、お疲れ様」


明石「それで提督ぅ、改修成功したので...」


提督「...またやるのか」


明石「お願いしまーす」


提督「...わかった」







明石は頭を下げてきた。それを俺は優しく撫でる。


これは以前から俺が軽くお礼を言うだけという対応に不満を持った明石のお願いだった。


艤装関連は明石に一任してるし、多少の労いは当然かと思った俺は了承した。


頭を撫でると、しばらくは頑張れるらしいが...






明石「んへへ...」トロ-ン


提督「...」ナデナデ






ちくしょう可愛いな。


まあ頑張ってるしご褒美がなでなでなら安いものかな。


そろそろご褒美のハードルが上がりそうで怖いが。


てか髪の毛柔らかい。その上工廠なのにほんのり甘い香りがする。






明石「提督、その...次は装備更新なんですよね。この魚雷」


提督「そ、そうなんだ」


明石「そ、それでですね、更新成功したら、なでなでじゃなくて、ハグとか...」モジモジ


提督「」






思っていたそばからグレード上げてきたね明石。


ちょっとしおらしくなっておねだりするとこもまた可愛いが、ハグはちょっと...






明石「あ、あの、ダメですか...?」ウルウル


提督「...か、考えておく」







俺はそう言って工廠から出た。明石もまた物悲しそうな顔してて心が痛い。


それにしてもハグかぁ...それならまだ新しい工具欲しいと言われた方がよかったなぁ。







明石(うーん...相変わらず距離は縮まらないなぁ)


明石(他の子もアタックしてるみたいだけど、あと一歩をどうしてもって感じだし...)


明石(過去に何かあったのかなぁ...)






提督(潤んだ目でお願いされると嫌な事思い出しちゃうなぁ)


提督(明石には悪いが、こればっかりはどうしようもないな)


提督(多分、俺はこれからも艦娘の好意を素直に受け止められないのだろう)


提督(過去は変えられないからな...)











遠征隊と執務室で










執務室に戻ると、遠征隊の艦娘達も戻っていた。


報告は蒼龍が受けてくれていたようだ。






長良「あ、提督!どこ行ってんですか?」


提督「ちょ、ちょっと工廠にな。皆が使う魚雷の改修を頼んでいたんだ」


長良「ふーん...あ、遠征から帰投しました。各自補給は済ませています」


睦月「遠征は大成功にゃし!」


如月「司令官の為に、とっても頑張ったんだから♪」


弥生「弥生も、頑張りました...」


卯月「うーちゃんが一番頑張ったぴょん!」


提督「わかった、わかったから...」ナデナデ


睦月「もっと撫でるがよいぞ~♪」


如月「ん...司令官も好きなんだから♪」


弥生「気持ちいい、です...♪」


卯月「もっとうーちゃんを撫でるぴょん!」






俺が睦月たちを撫でている間、長良と蒼龍はムスッとしていた。


いや、駆逐艦はさ、まだ子供じゃん?ましてや睦月たちなんか見た目小学校低学年ぐらいだし、まだ世俗に染まってないじゃん?


無垢な子たちだからいいものの、一部の駆逐艦と軽巡以上の大型艦の娘達は何か裏がありそうで怖い。






長良「長良には何も無いんですかー?」ジトッ


提督「わ、わかっている。忘れた訳では無いよ。ほら、間宮チケット...」


長良「長良も睦月ちゃんたちみたいに労って欲しいなー?」チラッ


提督「う...」






それだよ長良。俺は君たちみたいなある程度成長した子たちのおねだりが怖いの。


しかも長良は見た感じ中三か高一ぐらいで、頭撫でるのとかすっごく気にする時期だと思うんだけど。


後でセクハラとか言われたら本気で死ねる。


でも自分から撫でてほしそうな素振りを見せてるし、何とかなるかもしれない。






提督「...あんまり期待するなよ」


長良「そうは行かないですよ~」


提督「...」ナデナデ


長良「ん..」ピクッ






手が頭に触れた時ピクッてするの可愛い。


いつも元気ハツラツな運動部系女子がふと女の子な素振り見せるとドキッとするよね。それだよ。


ちなみに俺が学生だった頃はそんなもの見れなかったし、見れたのはイケメンたちだけだろう。辛い。







長良「あ、も、もう大丈夫です...///」


提督「あ、はい」


長良「んー、次はもっと頑張れます!」


提督「そ、そうか」


長良「それでは、失礼しました」


睦月たち『失礼しました!』






満足げに執務室から出ていった艦娘たちを見送ると、蒼龍が更に不機嫌そうにしていた。







蒼龍「...提督って、ロリコンなの?」ジトッ


提督「...違う」






蒼龍はずっとジト目で見てくるが、俺はロリコンではない。


たった四文字の単語だが、社会的に抹殺される可能性が高いから無闇に使わないでくれ。


俺は君たちみたいなある程度成長した女性が怖いんだ。


ただ、それだけなんだ。









青葉と過去と







青葉「突然ですが恐縮です!青葉です!」ドアバ-ン!






何事かと思ったら青葉が執務室に入り込んできた。


ノックすらせず蹴破る勢いで来てちょっとビビったよ。






提督「ノックぐらいしてくれ」


青葉「いやー青葉的に緊急でしたので...あ、蒼龍さんお疲れ様です!」


蒼龍「はーい」ムスッ


提督「それで、何か?」


青葉「司令官、この鎮守府に着任してから結構経ちますよね?」


提督「結構って言っても一年も経ってないぞ」


青葉「それでもですよ、青葉たちもとい艦娘にも慣れてていい頃ですよね?それなのに何故距離を置いてるのか気になって気になって夜も八時間しか寝てないんですよ?」





快眠じゃないか...


と言うかこの流れはちょっと嫌な予感がするな。





青葉「聞きたい事は二つです!ズバリ司令官は同性愛者ですか!?」


蒼龍(気になる)


提督「...俺はホモじゃない」


青葉「二つ目!ならば何故距離を取るんですか?過去に何かあったとか...」






やっぱりな。聞かれるのも青葉辺りだろうと思っていた。


でも、正直なところ話したくないし、話したところで何が変わるというのだろう。






青葉「是非、お聞かせ下さい!みんな気になってるんですよ!」


提督「...」


青葉「このままでは艦隊の士気に関わります!どうかお話を...」






青葉め、どうしても聞き出そうとしてるな。


だが、艦隊の士気に関わるとまで言われるとなぁ...






青葉「あ、それと一部の駆逐艦とは皆よりも接していると聞いたんですが、ロリコン...」


提督「ち、違う...」


青葉「でもでも、駆逐艦の子たちには甘いという報告があるんですよ。これはもはや...」


提督「俺はロリコンでもホモでもない!お前達ぐらいまで大きくなった女が怖いだけだ!」


青葉「え」


蒼龍(お?)


提督「あ...」





しまった!在らぬ噂に逆上した弾みで要らないことまで喋ってしまった...


青葉は一瞬驚いてたが、すぐに興味津々な顔に戻ってるし、蒼龍も同様に...


ここまでか...?






青葉「司令官、今のは...」


提督「...わかったよ。話すよ」










***









俺が提督になる前はただの一般的な学生だった。



学業もそこそこ、運動もそこそこ、友人もそこそこなごく普通の学生だった。



当然思春期真っ盛りだったが、俺は彼女を持った時にある理念があった。



自分を好きになってくれた子に尽くす、と。



これは親の影響もあるが、自分自身浮気とか不貞が許せない性分だった。



今どきじゃヤンデレとかメンヘラ扱いされるかもしれないが、縛りとかは一切考えてなかった。



そんな俺は過去に2回、彼女が出来た...いや、今思えば、俺が舞い上がっていただけか。





最初は恋愛のノウハウが分からず、空回りすることが多かったが、初々しさもあって楽しかった。それと、デートの為の資金が乏しかった。



その為、俺は彼女に黙ってバイトを始めた。何とかお金を稼ぎ、彼女と一緒に楽しんで貰おうと頑張った。



バイトの先輩が偶然彼女持ちだったから、アドバイスとかも聞いた。



そんな時、俺の休憩中にバイト先に知り合いが来て、俺は耳を疑う話を聞いた。



彼女が浮気をしているらしい。それも何人も同時に、と。



普段なら笑い飛ばすところだったが、幸か不幸か、彼女が知らない男とバイト先に来てしまった。



俺と知り合いは咄嗟に隠れて様子を窺っていたが、俺よりも親密にしていて落胆した。ついでに吐き気も催した。



彼女が出ていくと、知り合いがバイト終わりまで待ってくれた。飯も奢って貰ったが、食欲が湧かなかった。



後日、俺は彼女と別れた。その時、








「ま、貧乏童貞にしちゃなかなか頑張ってたね」








と捨て台詞を吐かれた。俺は怒りを通り越して呆れたよ。





そして数年後、俺は地元から離れたところへ進学し、一人暮らしを始めた。



新生活にも慣れ始めた時、俺の事が好きと言う女の子が現れた。



当然俺は警戒していたが、少し時間を掛けてみようという思いで付き合う事にした。



それからというもの、特に怪しいところは見当たらず、信用しても良さそうかなと思った。その時から、俺もその子が好きになっていった。



数ヶ月間、俺の心は満たされていた。本気で好きになれた事と、好いてくれてる彼女の笑顔を見れて幸せだった。いつもありがとうと感謝もしていた。



お金もそこそこ貯めて、彼女に似合う彼氏になろうと努力した。流行りの服装を買ったり、デートの場所を事前に調べたり、弛んだ体にならないよう運動もした。



忙しかったけど、そんなの気にならないぐらいだったよ。





でも、突然別れを切り出された。恐る恐る理由を聞くと、どうやら罰ゲームで俺と付き合う事になったらしい。



何かどす黒い感情が湧き出たが、彼女も俺を好きになってしまい、いつ話を切り出すか迷っていたと言われ、少し悲しくなってしまった。








「また改めて付き合いたい」、「話を着けてくるまで待ってて」








彼女は目を潤ませながらそう言い、俺は悲しくも了承し、待つことにした。






しかし、いつまで経っても彼女は来ない。それどころか、他の人と交際しているという話まで耳に入ってきた。



俺は勇気を振り絞り、彼女のいる所へ向かい、話をした。すると、








「そんなことバカ真面目に信じてたの?アホくさ」




「ガチな恋愛とか息苦しいんだよね」




「何ヶ月も騙されててみんな笑ってたし、玩具にしてはなかなか楽しませてもらったわ」









これが、俺の聞き取れた言葉だった。









俺は最後まで聞くことなく、黙って立ち去った。後ろから何か言われてるような気がしたが、俺には何も聞こえなかった。



その日から、俺は休学した。部屋に閉じ篭り、ただ横になっていた。



その日から、俺は女性との付き合いが怖くなってしまった。厚意があっても、疑う事しかできなくなった。



人によってはその程度と思われるかもしれない。しかし俺にはダメージが大き過ぎた。




家に着いた時の虚無感、絶望感は今でも忘れられない。信じていた子が裏では俺を嘲笑っていた。俺の努力は全て無駄だった。






俺が何をした?


俺は間違っていたのか?


本気で好きになる事はダメなのか?


俺はただ、一途に尽くし、好いてくれた子が笑顔になってくれれば、ただ傍に居てくれれば、それでよかった。それだけでよかったんだ。


だが、それすらも否定された俺は何が正しいのかわからなくなった。


後から込み上がる怒りをどこにぶつければいいんだ?

何故俺は涙を流さなくちゃならないんだ?

何故幸せから絶望を味わわなければならなかった?


俺の思いはこの時代には不向きだったのか?






その後、俺は変なものが見え始めた。手のひらサイズの小人が寝てる俺の体で遊んでいる。



遂に俺にも幻覚が見えてしまったと落ち込みながら、俺は精神科に向かった。



この歳で鬱なのかと思ったが、そうじゃなかった。



俺が見えていたのは妖精というもので、これを視認できる人は希少らしい。何でも、視認できるかどうかは、妖精が人を選んでいるとか。妖精に気に入られる事が大事だとか。




俺は精神科の医師もおかしいと思っていたが、そこから事態は大きく変わっていった。



それから、俺は周りに流されるように現在の元帥と面会して、軍学校へ編入することになり、基礎知識と基礎体力を付けた。



家族もめでたいとかほざいて俺を軍へ送り出したけど、当時の俺はもうどうにでもなれと思っていた。軍だし最悪歩兵として前線に駆り出されて死ぬとしても、長生きする気なんか毛頭無いし、死んでもいいやと思っていた。



だが、妖精が見える者は提督になる道しかなかった。どうでもいいし、何でもよかった俺はあまり話を聞かずに頷いて、この鎮守府に着任した。








そして、艦娘と出会い、月日は経ち、今に至るということだ。









***









青葉「...」


蒼龍「...」


提督「以上だ」


青葉(お、思っていた以上にヘビーな話だった...)


蒼龍(聞いてて哀しかった...)


提督「一つ言っておくと、同情なんてするな」


青葉「え、ど、どうしてですか?」


提督「同情したところで、何も変わらない。それに、この話を聞いて義憤に駆られてしまってはいけない。まあ、俺の鎮守府にはそんな子はいないだろうが」


青葉(今まさに元カノ特定してカチコミに行こうと思ってました)


蒼龍(協力するよ)


青葉(蒼龍さん!?脳内に直接...)


提督「満足したか?」


青葉「あ、はい...お時間かけちゃってすいません」


提督「そろそろ飯時だ。食堂へ行きなさい」


青葉「で、では...」


蒼龍「行ってきます...」







あんな話を真面目に聞いてくれた二人はいい子だ。



自分が出したボロからとは言え、初めて過去について話したかもしれない。



不思議と、心が少し軽くなった気がする。



だが、心の傷だけは、癒えることは...











青葉「まさかあんな過去をお持ちとは...」


蒼龍「さっきの話、みんなに聞かせるの?」


青葉「当たり前ですよ。みんな司令官の事好きですから、幸せにしたいですよ...」


蒼龍「...何人か本当にカチコミに行きかけないけど、そこもちゃんと話さないとね」


青葉「わかってますよ。でも...可哀想な司令官...」ウルウル


蒼龍「...」











艦娘たちは食堂にて








自分の過去を話したのはもういいが、恐らく青葉の事だ、皆に話してしまっているだろう。


そうなると非常に気まずいし、落ち着いて食事が出来ない可能性が高い。


今日はコンビニ飯にするか...








その頃、食堂では...







青葉「...ということでした。司令官がホモじゃなかっただけ幸いですね」


間宮「何という...」ポロポロ


飛龍「...いやいや、ホモじゃないとかそういう問題じゃないでしょこれ」


霞「ふん!とんだクズにトラウマ植え付けられたものね!」


五十鈴「ちょっと!特定班編成するわよ!」


蒼龍「あ、ダメダメ!提督のお願いでそういうのナシって言ってたから」


五十鈴「あのバカ...フった相手にまで情けを掛けなくても...」


隼鷹「あたしは納得行かないね。彩雲!ちょっと仕事頼まれてくれよ」


青葉「ちょ、隼鷹さん!?」


飛鷹「ごめん青葉。今の隼鷹素面なの。ああなると言うこと聞かないから」


隼鷹「わかってんじゃん。そんじゃ行っておいで!」ブ-ン


蒼龍「あーあ、本当に飛ばしちゃった」




長門「...ところで、初期艦だった吹雪はこの事を知らなかったのか?」


吹雪「...初耳ですよ。でも、何故最初に会った時に目が死んでいたのかがわかりました」


陸奥「一番付き合いの長い吹雪ちゃんにすら教えなかった事を青葉ちゃんたちに話すなんて、まさか脅したりしてないでしょうね?」


青葉「あ、青葉は艦隊の現状と噂を言っただけです...」


長門「やはり私たちを間接的に巻き込んだのか」


青葉「で、でも!これで謎は解けたんですから!結果オーライですよね!?」アセアセ


長良「司令官って結構ナイーブだからそういうのって新しいトラウマになりかねないよ」


青葉「そ、そんな...」


長門「しかし、青葉の言い分も間違ってはいない。確かに私たちは提督との接し方のヒントを得た。現状は駆逐艦が有利で、軽巡以上がトラウマを思い出させる可能性がある。普段からかったり、思わせぶりな言動をしている艦娘は更に不利になるということだな?」


吹雪「...やったね、磯波ちゃん」


磯波「う、うん...」


睦月「これはチャンスにゃし...!」


如月(うーん、何か引っかかるのよねぇ)


時雨「僕は大丈夫なのかな...?」


村雨(私、もしかして不利?)ブルブル


霰「んちゃ...」




長門「現状、軽巡以上の艦娘たちが提督と問題無く接するには、如何に提督に対して誠意を持てるかによるかもしれん。なぁ陸奥?」


陸奥「う...しょうがないでしょ。知らなかったんだもの...」


長門「あまり言いたくはないが、酒匂も普段から好きと言っていると相手にまでされにくくなるかもしれない」


酒匂「そ、そんなぁ!酒匂は本気で司令のこと好きなのに...」


長門「酒匂がそう思ってても、提督がどう受け止めてるかだな。だが、提督が普段通りを望むならそれで構わんが、必ず過去の事を忘れずに接するように」



艦娘『はい』






長門「それと吹雪、先程から何か言いたそうだが」






吹雪「...司令官がトラウマを抱えていた事は初めて聞きましたけど、それでもずっと初期から私たちに対して真摯に向き合っていました」


吹雪「今思えば、目の光も生き返っていますし、事務的な話だけだったとしても、私たちと話す時間は増えています」


吹雪「どんなに辛くても、トラウマと闘いつつ、変わっていこうという意思が感じられて、改めて司令官の優しさと誠実さを思い知りました」


吹雪「だから、今度は私たちが司令官を幸せにしないといけないと思うんです。どんなに時間が掛かっても、司令官の傍に寄り添えるよう努力する時なんだと思いました」


吹雪「だから皆さん、司令官の持つトラウマなんか忘れてしまうぐらい、幸せなハーレムを作りましょう!」




『おおー!』『いいぞー!』





隼鷹「...お、早かったねぇ。どうだった?」


妖精「~」ボソボソ


隼鷹「へっ、いい気味だぜ。カチコミに行く必要すら無さそうだね。お疲れさん」


妙高「どうでしたか?」


隼鷹「おっと、お堅い妙高さんでも気になるかい?」


妙高「勿論です」


隼鷹「一人目はもうちょい時間掛けないと分からないけど、二人目のほうは...」ボソボソ


妙高「...当然の結果ですよ」ゴゴゴゴ


隼鷹(おっとっと、おっかねぇ面してる)










提督「最近のコンビニ飯ってバカにならないな」モグモグ


妖精「~♪」←デザート買ってもらった













番外:エイプリルフール








四月一日。世間一般ではエイプリルフールという日になっている。俺は言われるまで気が付かなかった。


嘘を付いていい日と言われているが、実際に艦娘たちから洗礼を受けた。





村雨「提督、その、好きです!」カオマッカ




陸奥「提督...いつも思わせぶりな事を言ってるけど、提督の事が好きだから言ってるのよ?」ミミマッカ




霞「い、いつもクズって言ってるけど、ほんとはこれっぽっちも思ってないから!あんたは立派な司令官だから!」カオマッカ





如月「私、司令官の傍にずっと居たいわ。例え退役しても、ずっと...///」






はっはっは。可愛い娘たちだ。


顔とか耳まで赤くする化粧をする程凝ってて感心しちゃったよ。


適当に返したらかなりがっかりしていたな。霞は怒ってたけど。


そう思うと、嘘だとわかっててもそれらしい反応を示せばよかったな。見破った事を言うのは大人げなかったか。




しかし、エイプリルフールに乗っているのが彼女たちだけでなく、真面目な艦娘もだとは予想外であった。






吹雪「司令官、私の心はずっと司令官のものです」


磯波「わ、私もです!」カオマッカ





妙高「提督、私と羽黒、もし伴侶とするならどちらにしますか?」


羽黒「わ、私は司令官を信じています!」ウルウル





五十鈴「世界中があなたを嫌っても、五十鈴はあなたを絶対嫌わないわ」


酒匂「酒匂はずっと司令のこと大好きだよ!」ピャ-!






これには返しに困った。特に妙高さん。


吹雪たちはなんか騎士みたいでちょっと頼もしく思えた。磯波も結構マジな顔してたし、真面目な子たちは遊びにも本気になれるんだな。


五十鈴はどんな設定で演じたのか気になったわ。世界中に嫌われるとか何したの俺。酒匂は嘘か本当か分からなかったけどほっこりしたよ。いつも言ってるしね。


そして妙高さん、イメージを覆すえげつない嘘もつけるんだなと見直しちゃったよ。でも、適当な返しをしたら妙高さんすっごい怖い顔してたけど何で?真面目に答えたらどちらかが傷つくから言いたくないし。そこら辺は普段の妙高さんだなと思った。





その他の艦娘は特に嘘らしい話をしなかったな。隼鷹が素面なのは珍しかったけど。


長門や蒼龍たちは真面目に訓練してたし、秘書艦だった時雨も淡々と書類を片付けてたな。


ただ時雨は俺が陸奥たちの嘘に対して適当に返した時、すっごい複雑そうな顔してたな。恐らく冗談に乗れない俺に対してなのかもしれない。




だが、ここで嘘をつかれるままの俺ではない。ここは一つ童心に還り、俺もエイプリルフールに乗ってやろうではないか。


相手に嘘を悟らせない為には、本当か嘘かが分からない話を用意するしかない。さて、どうしてやろうか...






***






時雨「提督、お疲れ様。お茶を淹れてくるよ」


提督「ああ、助かる...ところで」


時雨「ん、なんだい?」


提督「突然だが、近いうちに実家に帰ろうと思う。大本営の許可は明日貰うつもりだ 」


時雨「え、な、何故?」


提督「両親から見合いの話をされてな。会うだけでもしてこようと...」


時雨「はぁ!?」バン!






艦娘たち『はぁ!?』『特定班急いで!』『どこの馬の骨だ!』←盗聴器聞きつつ





提督「な、ど、どうした?」ビクッ


時雨「あ、ご、ごめん。それって...本当かい?」


提督「ああ、嘘だ。俺がいない間は楽にしててくれ」


時雨「そ、そう...嘘なんだ...って、嘘!?」


提督「はは、騙されたな?時雨」


時雨「よ、よかった...」ヘナヘナ





艦娘たち『ほっ...』『嘘だったのね...』『よかった...』←盗聴器聞きつつ





提督「さりげなくネタばらしをしてみたが、どうやら成功したようだな」


時雨「う、うん。自然な流れでちょっと気付くのが遅くなっちゃった」


提督「焦る時雨は少し新鮮だったぞ」


時雨「そ、そうかな...///」





わはは、どうやら成功したようだ。俺もなかなかやるじゃん。


時雨はいつも冷静だから、あの焦りようは本当に見れない。恐らく俺がいない間の事務処理について考えていたのかな?


まあそれはいいとして、目的は達成した。ちょっと調子に乗ってもいいよな?






提督「あ、ちなみに本当に見合いの話来てたらどう思う?」





うーん、我ながら意地の悪い質問だ。ましてや真面目な子たちにはこの手の質問は返答に困るはず...





時雨「許せないかな」即答


提督「え?」


時雨「お見合いなんて危険過ぎる。お互い何も知らない上に、猫を被っている可能性が非常に高いよ。そもそもお見合いなんて無意味で無駄で愚かしいと思うし、滅べばいい。そんな事するより、お互いをよく知っている僕たちを選ぶべきだと思うんだ。提督もそう思わない?どう?」ハイライトオフ


提督「(°ω°)...」マガオ


時雨「...ふふ、嘘だよ」ハイライトオン


提督「な、なんだ、嘘か...」


時雨「お返し、だよ。ふふ」


提督「...はは、一本取られたな」


時雨「あ、そうだ。お茶を淹れるんだったね。待ってて」


提督「ああ...」






...え、何さっきの。時雨凄く怖かったんだけど。


でも嘘と言われたら安心よりも感心した。あの演技力なら退役後は女優になれるレベルだぞ。


ま、退役後の社会復帰については、俺がカバーしないとな。














時雨(危なかった...つい熱くなって本音をぶちまけちゃった。今日がエイプリルフールでよかったよ)



時雨(でも、お見合いは絶対にさせない。だって、提督は外の女どものお陰で心に傷を負ったんだ)



時雨(提督は僕らが幸せにするんだ。僕らにしか出来ないことなんだから...)←確固たる眼差し









小さな一歩








青葉に俺の過去をバラした翌日、普段マセてる子たちが少し大人しくなった。どう考えても青葉が言いふらしたんだろう。


でも、それのお陰で執務に集中できたり、誘うような素振りを見なくて心が安らぐ。健全な男子はこのような思考にはならないだろう。


今日の秘書艦は村雨だ。秘書艦じゃなくても俺のところに来ては、村雨のちょっといい所見せると言ってくる。だが、今日は執務を始める時にしか言ってない。


ところでこの子本当に駆逐艦なの?発育が良すぎて最初軽巡かと思った。しかも最近改二というやつになってオッドアイになるし、胸とか更にでかくなってるし。






村雨「提督?どうしたの?」


提督「ん...」


村雨「もしかして、村雨に見とれてたの?」ニヤニヤ


提督「ん...字が綺麗だなと思ってな」


村雨「そ、そうですか...?///」






咄嗟に嘘を言ったが、本当に綺麗だったよ。いや、俺が汚いのか?


つーか女の子って視線に敏感なんだな。気をつけないと。





提督「...ふう、そろそろ休憩しようか」


村雨「なら、村雨が紅茶淹れたげる!」


提督「紅茶か、茶菓子も用意するか」








***









提督「ふう、落ち着くな」


村雨「村雨がちょっといい茶葉、取り寄せたんだから」


提督「へぇ、普段から紅茶飲むのか」


村雨「て、提督のために取り寄せたの...///」


提督「俺のため?何で?」


村雨「何でって、その...///」モジモジ





村雨がいつになくしおらしいな。いい茶葉といい普段見せない感じといい、何かあるな?


うーん、どうしても嫌なほうに考えてしまうな。







提督「...言いたくないならいいよ」


村雨「...提督、喜んでくれると思ったんです」


提督「え」


村雨「いつもの方法じゃダメだと思って、何かないかと思って、それで、それで...」


提督「紅茶か?」


村雨「こんな事しか思いつかなかったけど...でも!村雨は本当に喜んで欲しくて、笑顔になって欲しくて、その...」





...いつになく真面目な表情をしてるし、俺の目をしっかり見てくる。


これは俺でもわかる。村雨は真剣だ。


そうなると、村雨は本気で俺の為を思った行動をしたと言うことになる。


しかし悲しいかな、真剣な思いを伝えられても、俺はそれを受け止められずにいた。





『どうせ嘘だ』



『また俺を騙して嘲笑うんだ』



『女の考えてる事なんかそんなものだ』





心の奥から聞こえてくる、得体の知れない声。


俺が自身の心を守る為に生みだした歪んだ自衛心が、俺を縛り付ける。


真剣だとわかっているのに、それでも恐ろしく思ってしまう。これは最早呪いだ。


以前までならこんな思いをしなかったのに、何故今はもどかしく、胸が締め付けられるような感覚に陥っているんだ?


いつも通りにあしらう気が全く起きないのに、何故迷う必要がある。








『いつもの冗談さ。相手にするな』



『女は嘘を付いてても目が泳がないんだぜ』






ちょっと黙ってろ








『黙る?黙ったら前みたいに素直になれるってか?』



『無理だな。お前はずっと女を信用しない、できない』



『お前は純粋な想いを持っていたが、女どもはそんなものに価値を感じないどころか、踏みにじりやがったんだ』



『それは、お前が一番知っているだろう?』








...悔しいが、今の俺には、艦娘たちは違うと思える確証が無い。


いや、思いたいが、やはり怖いんだ。


この恐怖を克服しない限り、俺は過去に囚われたままなんだ。


もうあの時とは違う。真剣な眼差しをしてくれる子に...いや、子たちに出会えたんだ。


だから、俺も変わらなければならないのは分かってるんだ。後は、変わる勇気を...






提督「そ、そうか。どうも」


村雨「あ...」


提督「それなら...もう一杯淹れてくれないか」


村雨「は、はい!」






...すまない。ありがとうの一言も、気の利いた事も言えない俺を許してくれ。


申し訳ないが、俺にはまだ勇気が足りなかった。例え駆逐艦であっても、俺はまだ、どうしても恐怖を拭いきれなかった。




笑顔、か...




あの日から俺は愛想笑いしかしてない気がする。心からの笑顔なんて、また見せられる日が来るのかわからない。



やはり、俺はもうダメなのか...








村雨(真剣に提督の目を見て話してみたけど、とても哀しそうだった)



村雨(いつも思わせぶりな事を言ってるから、さっきのもいつもの事と思われてそう)



村雨(でも、今はそれで構わない。いつか、いつか必ず、提督の心を満たせるなら、それで...)






***






その頃...







隼鷹「おかえり~。どうだった?」


妖精「~」ボソボソ


隼鷹「よしよし、よくやったね。今日はアイス奢ったるよ」


妖精「♪」


青葉「ただいま戻りましたー!」


隼鷹「おかえりー。そっちはどうだった?」


青葉「とりあえず二人目の詳しい現状を調査してきました」


隼鷹「いいね~。あたしは一人目の特定に成功したよ」


青葉「お疲れ様です!」


隼鷹「ま、奴らがどんな目に遭ってても、あたしは許す気は無いかな」


青葉「何にせよ、司令官にバレないように動かないとですね」


隼鷹「ま、バレたらそん時は腹括るしか無いね」



隼鷹(勝手に不幸になってもらっちゃ困るんだよねぇ。まだ一つ、大きいものが返ってくるんだから)ハイライトオフ


青葉(図らずとも世の中の闇を覗いた気がします。けど、同情は一切ありませんからね)ハイライトオフ







隼鷹は晴らしたい







ここ最近隼鷹を見てないから、俺は急遽秘書艦を変更した。今日は霞だったが、目を潤ませながら怒って出てってしまった。


子供とはいえ、女の子の涙を見ると胸が痛むなぁ。






隼鷹「呼ばれて来ました隼鷹でーす!ヒャッハー!」


提督「おう」


隼鷹「いきなりどうしたのさ提督~。まさかこの隼鷹さまを心配してくれたのかい?愛されてるねぇ」ニヒヒ


提督「しばらく見ないから飲んだくれて迷惑掛けてないかと思っただけだ。それとお前、酒臭いぞ」


隼鷹「ひ、久々だったからノンアルと間違えちゃったかな?」






まさか朝から飲むのか...


でもまあ、何も無かったならそれでいいか...






隼鷹(参ったね、特定作業に力を入れ過ぎたかな)



隼鷹(でも、そのお陰で提督が秘書艦に変えてくれたし、青葉の協力もあって元カノどもの情報も揃ったし、結果オーライかな?)








何も無かった訳がない。絶対何かあっただろ。


まず、隼鷹は酒豪で通ってる。久々だからといってノンアルコールと普通の酒を間違えるはずがない。


それと鎮守府にいる以上、顔を合わせる機会はいくらでもある。ましてや隼鷹は頻繁に酒を誘ってくる。それがぱったり無くなったのだ。


隼鷹が酒を忘れるぐらい何かに熱中した事は確かだ。何だろう?ゲームとかやってる話は聞かないし、外に出るなら一声掛けるよう言ってあるし、全く思い当たらん。


仕方ない、聞いてみるか...






隼鷹「ん、提督~。手が止まってんよ?」


提督「...少し、気になる事があってな」


隼鷹「お、なんだい?」


提督「お前、ここ最近何をしてた?」


隼鷹「...何って?」


提督「俺と顔を合わせていない間、何をしてた?」


隼鷹「んん...」






今少し言い淀んだな。何かあったの確定。







隼鷹(うーん、なかなか意地の悪い質問してくれるねぇ。質問自体は大きく曖昧だけど、核心はしっかり捉えてるような問いだ)


隼鷹(そして恐らく、今の提督に生半可な嘘は通じない。こういう時だけ鋭いし、真面目に答えるしかないか)


隼鷹(思ってたよりも早い発覚だけど、ここで素直に答えるほど、隼鷹さまは甘くないよ!)






隼鷹「...それ答える前に、一ついいかい?」


提督「なんだ」


隼鷹「提督ってさぁ、元カノの事恨んだりしてないの?」


提督「...何だと?」ピクッ


隼鷹「あたしさぁ、青葉から提督のこと聞いたんだよね。どうしてそれほどの悪意を持てるのか怖くなっちまったよ」


提督「...恨んでいるか、だと?」


隼鷹「あたしが気になるのはそれだけ。どうなん?」






やっぱり青葉は話していたか。てことは他の艦娘たちも聞いてるだろう。


それなら先日の村雨の件も合点がいく。村雨の厚意が本気である事も確定した。


しかし、恨んでいるか、という問いはどういう事だ...?






提督「...俺は、もう恨んではいない」


隼鷹「...そう」


提督「だが、許してもいない。もっと言うと、どうでも良くなったのかもしれない」


隼鷹「どゆこと?」


提督「俺はどうやら怒ると相手の事がどうでも良くなるようでな。最初こそ恨んじゃいたけど、今はそんな気が起きようともしない。興味が全く無くなる感じに近いかな」






そう、許してはいないが恨んでもいない。


相手に対し、興味を持たないという事はある意味最も酷いと思う。


その相手の経済状況、幸福の度合い、果ては生死に至るまで、何もかもが視界に入らないのだ。


かつて関わりのあった相手を赤の他人として見る。後ろめたさも、躊躇うことも無かった。


何にせよ、もう終わったことだ。






提督「さぁ、俺は答えた。お前はどうなんだ」


隼鷹「ん、そうだねぇ。ハッキリ言うと、提督の元カノについて調べてた」


提督「んなっ...!?」


隼鷹「もう特定も終わってるし、今どうなってるかもわかってる」


提督「...」


隼鷹「酒を飲むと飲み続けないと集中力が切れちゃうからね。だから初めから飲まずに作業してたってわけ」


提督「...青葉から聞いたなら、同情も、義憤に駆られるなと言うことも聞かなかったのか?」


隼鷹「聞いたよ。でも、あたしはそれを聞いた上で行動したんだ。だから、命令違反さ」


提督「...」


隼鷹「処分なら何でも受けるよ」






...うーん、お願いを聞かない子が中にはいると思ったが、まさか隼鷹とはなぁ。


つーか特定なんてしてたのか、怖すぎだろ...


まさか報復に行くつもりだったのか...?






提督「何故特定なんてしたんだ?」


隼鷹「それは...」


提督「報復にでも行くつもりだったのか?」


隼鷹「...まあ、そんなもんかな」


提督「マジか...」


隼鷹「で、でもさ!一人目は男に捨てられて娼婦に堕ちてるし、二人目は結婚詐欺に二、三回遭って借金まみれだからどうすっかなって思ってて...」






...因果応報というか、見事に男女関係で報いを受けたな。


さっきどうでもいいと言ったが、黒い感情が生まれてしまった。


ざまぁ見ろ、もっと苦しんでくれないと気が済まない、と。






隼鷹「正直言うと、あたしはまだ生温いと思ってる」


提督「...何?」


隼鷹「提督はもっと酷い思いをしたんだから、それ以上の苦しみを味わわないと、割に合わない」


提督「...落ち着け」


隼鷹「あたしはもう素面だし、落ち着いてるよ。その上で言ってるんだ。止めたいなら軟禁するなり解体...」


提督「やめろ!」





隼鷹は目の焦点が合ってないし、明らかに正気じゃない。俺の話を聞いただけでここまで狂えるのか?


それか、外の世界をあまり知らない艦娘だから、何か良からぬものに感化されてしまったのか?






提督「解体なんて、しない」


隼鷹「じゃあどうすんの?」


提督「俺は、報復さえしなければ何も言わない」


隼鷹「提督はそれでいいんかい?絶望させるチャンスだったのに」


提督「そんな事をしても、俺の過去が覆る事は無いし、お前の手を汚させたくない」


隼鷹「そんな甘くていいわけ?あたしはやりたいんだけど」


提督「...もう、いいんだ。何もしなくて。俺はお前達が俺の話を真面目に聞いてくれただけで満足なんだ」


隼鷹「だからあたしは...」


提督「それに、俺は言うことを聞かなくてもいいが、話を聞かないのは嫌いだ」


隼鷹「う...」


提督「言うこと聞かないのは仕方ない。でも話ぐらいなら聞けるはずだ。話が通じないと何も出来ない」





隼鷹(嫌われる事は覚悟してたけど、面と向かって言われると...ちょっと嫌だなぁ)


隼鷹(ちょっと暴走気味になったけど、そこまで言われると...)


隼鷹(やっぱ、嫌われたくないなぁ...)ウルッ






隼鷹「...わかった。やめるよ」


提督「ありがとう、それでいいんだ。話が本当なら、もう十分に報いを受けてる。隼鷹が思ってる以上に、社会は残酷なんだ。何もしなくても絶望はする」


隼鷹「...うん」


提督「良く思い止まってくれたね」


隼鷹「...ハグ」


提督「え?」


隼鷹「ハグしてくれたら、もう特定なんてしないし、情報も破棄するから」


提督「え、それは...」


隼鷹「頼むよ...」ウルウル






まさかハグを要求されるとは...


でも、これで凶行が防げるし、丸く収まると思えば...うーん...






提督「...ほら」両手開き


隼鷹「...いいのかい?」


提督「俺の気が変わらない内に早くしてくれ...」


隼鷹「じゃ、じゃあ遠慮なく...!」ギュッ






隼鷹やわらか!服越しでもやわらか!


髪の毛とかつんつんしてるから固いかと思ったらすっげぇふわふわしてるし、今酒臭くない。むしろ椿みたいないい匂いする。


隼鷹の鼓動を感じる。クッソ速い。



いや落ち着け俺。今の状況は他の艦娘に見られるとやばい。特に青葉。


もうそろそろ離れなければ...って、ガッチリホールドされてる...







隼鷹(流れでハグ要求したけど、酔いが覚めてるからめちゃくちゃ恥ずい!)


隼鷹(まあしちまったものは仕方ねぇ!ゆっくり堪能させてもらうぜ!)


隼鷹(提督、結構ガッチリしてんな。学生時代も運動してたらしいし、軍学校編入して鍛えたのもあるだろうけど)


隼鷹(それに、抱きしめられてわかる。力強くじゃないけど、心から安心できる、優しいハグだ。何からでも護ってくれる、そんな気がする)


隼鷹(いつも守る側だからこういうのもいいね...何だか目頭が熱くなってきたし、胸の奥から何か溢れてくるような感じがするよ)


隼鷹(これが、心が満たされるって感じなのかねぇ...もう少しだけ...)






飛鷹「隼鷹、ちゃんと執務やって...え?」


提督「あ」


隼鷹「んゆ?」


飛鷹「...提督、何故隼鷹を抱きしめてるの?」


提督「い、いや、この、それは...」







終わった!飛鷹に見つかった!俺の人生終了!


飛鷹の目は明らかに俺がセクハラしたものとして見てる!俺は通報されて面頬に『忍殺』と書かれた憲兵に連れてかれて介錯されるんだ!


悲しいなぁ、こんなところで人生ゲームオーバーかぁ。今思えばしょうもない一生だったなぁ。





飛鷹「...提督、何があったかは聞かないで置くわ」


提督「へ?」


飛鷹「私にも後でやってよね」


提督「あ、はい...」


飛鷹「それじゃ、隼鷹。サボるんじゃないわよ?」スタスタ


隼鷹「わ、わかってんよ」






...何か許された。どさくさに紛れてとんでもない約束をしたような気がする。


隼鷹はいつの間にか離れてた。





隼鷹「ひ、飛鷹もああ言ってたし、執務再開しよっか」


提督「...そうだな」










妖精乱舞









鈴谷「ねーねーどうして鈴谷のこと見てくれないのー?」ズイッ


朝潮「朝潮の服装に何か問題でもあったでしょうか!?」ズイッ


瑞鶴「提督さん、ずっと目を逸らされると不貞腐れるぞ~」ズイズイ


提督「いやちょっと離れて...」






どうしてこうなった...





いや待て、少し整理しよう。


事の発端は数時間前、工廠で騒ぎがあったらしい。


執務室に明石が駆け込み、俺を工廠へ連れていった。明石は工廠に入らず、俺だけを向かわせた。それが妖精たちの要求らしい。


中に入ると、建造装置の上で小さな旗を振り回す妖精たちの姿があった。








妖精「けんぞうしろー!」ブンブン


妖精「われらをたよれー!」キャ-キャ-


妖精「さもなくばきょうりょくしなーい!」ブ-ブ-







どうやら俺が建造しない事に不満を持って一丁前にストライキを起こしていたらしい。


改修している妖精たちを見て、自分たちは要らないのかもしれないと不安に駆られたのか?


確かに建造はここのところしていない。現在の戦力でも海域は奪還できてるし、これ以上増やさなくともいいかなと思ってた。


それにこれ以上女性が増えると俺の胃に再びダメージが蓄積するのはほぼ確定しているからやりたくない。





妖精「ていとくさんはわたしたちがいらないんですね」シクシク


妖精「じぶんのことばかりでわたしたちをすてるのですね」シクシク


妖精「わたしたちをろとうにまよわせるひどいひとなのですね」オヨヨ






俺の心でも読んでるのか君たち。それに好き放題言ってるし。オヨヨとか初めて聞いたよ。


でも、例え妖精と言えど泣かせると心苦しいし、艦隊運用に支障が出るのは放っておけない。


在らぬ噂を立てられても困るし、建造を許可するしかない。






妖精「けんめいなはんだんといえます」ムフ-


妖精「ひさびさのけんぞう、さすがにきぶんがこうようします」ムフ-


妖精「いまならおもうがままにけんぞうできるきがします」ムフ-






だから心を覗くのはやめろ。


てか思うがままに建造って何?何をしようとしてるの?





妖精「ていとくさんもきになってるので、せつめいしよう!」ドドン!


妖精「かんたんにいうと、ねらったこをけんぞうできるかも」


妖精「かくていではないけど、かなりかのうせいはたかいです」






もうツッコまんぞ俺は。


てかそんな事出来るのか?君たちって気まぐれの具現化みたいなものじゃん。






妖精「しつれいな。おこったです」プンスカ


妖精「これはおしおきですね」プンスカ


妖精「おこらせたことをこうかいさせてやります」プンスカ






お仕置きって何?すっごい嫌な予感がする。








イメージBGM:妖星乱舞



妖精「ていとくさんのきぼうはききません」


妖精「わたしたちがすべてきめます」


妖精「きぼう?ゆめ?すくい?そんなものありません」


妖精「そんなもの、わたしがすべてはかいする!」ホワ-ッホッホッホ






やべぇよやべぇよ...このチビどもケ○カの真似事してるよ..


てか誰建造するのかぐらいは教えろよ!






妖精「いったじゃないですか、きぼうもなにもないです」デデドン!


妖精「ていとくさんはおとなしくまってることです」デデドン!


妖精「こうそくけんぞうざいもつかわせてもらうです」デデドン!






ダメみたいですね(諦観)


仕方ない。逆鱗に触れたのは俺のほうだ。大人しく待つことにしよう。







***







鈴谷「最上型重巡洋艦の鈴谷だよ!」


朝潮「朝潮型駆逐艦一番艦、朝潮です!」


瑞鶴「翔鶴型航空母艦二番艦、妹の瑞鶴です!」



妖精「せいこうなのです」ワ-


妖精「めでたいです」キャッキャ


妖精「あさしおがあらしおだったらかんぺきでした」ウ-ム


妖精「つぎはぱーふぇくとをねらいます」



鈴谷「お、あなたが提督?へぇ~、なかなか良さそうじゃん?」


朝潮「司令官、早速ご命令を」


瑞鶴「ふーん...ま、これからよろしくね!」






あの、一言いいっすか。もう胃が痛い。


てか近いって。少し落ち着かせてくれ。






鈴谷「ねーねーどうして鈴谷のこと見てくれないのー?」ズイッ


朝潮「朝潮の服装に何か問題でもあったでしょうか!?」ズイッ


瑞鶴「提督さん、ずっと目を逸らされると不貞腐れるぞ~」ズイズイ


提督「いやちょっと離れて...」






そして冒頭に至る。


君たちなんで初対面の男にグイグイ近寄れるの?だから一回離れてくれ。深呼吸させて。出来れば外で。






鈴谷「ちょ、どこ行くのー?」


提督「そ、外だ」


朝潮「そうでしたね。まだここに来て間もないですから、鎮守府を見て回らないとですね!」


瑞鶴「案内してくれるの?お願いね」







いや何で俺が案内するハメになってるの?俺は深呼吸したい上にとっとと自室に戻りたいの!




理由はある。まず鈴谷だ。他の鎮守府との演習で何回か目にしたが、あのイケイケJK感が俺には無理だ。トラウマ再発待ったなし。


ある意味如月や村雨、陸奥よりもクリティカルヒットだ。パリィからのメバチ致命みたいなもんだ。俺が慣れる日が来るのか怪しいぐらいだ。


いや根はいい子なのかもしれないよ?でもイメージが先行する上にイマドキJKっぽい立ち振る舞いがすっごい苦手。目を合わせるのもちょっと...



次に瑞鶴。これも鈴谷同様に演習で見かけたことがある。それはいいとして、実際に目の前にすると、なんだこの幼馴染感は!


これは俺の直感だが、この子は気の強い幼馴染ポジションを意図せずして確立している!実際今一番俺の近くで着いてきてるし。距離感が近過ぎると俺の心が先にパンクする。慣れは鈴谷よりかは早そうだが。




そして朝潮だが、この子は別段問題無い。むしろ吹雪みたく真面目ないい子のようだ。この中では安心出来る子と言える。


問題はこれで霞が他の姉妹艦の建造を要求してくるかどうかだ。霞は口の利き方が少しアレだが、全部相手を思っての言動だ。きっと長女たる朝潮の為に、妹たちも着任させろと言ってきそう。


つまり建造をこれからも行うかもしれないのだ。駆逐艦は最低限の資材で建造できるし、大型艦を弾く事ができるが、今日の妖精みたいに、故意に余計に資材を投入して大型艦を建造するかもしれない。


ただの懸念だが、一度疑い出すと止まらない。俺の悪い癖だ。




とにかく、今は誰かにこの子達の案内を任せて、俺は心を落ち着かせたい。今回の心の疲労は、鈴谷:瑞鶴:朝潮=5:4:1ぐらいだ。


...いや、鈴谷たちは全く悪くないんだ。悪いのはトラウマを抱えている俺だ。歓迎の一言すらないのは流石にまずい。





提督「す、すまない。距離感が近くて驚いただけなんだ。気を悪くさせたならすまない」


鈴谷「んん、そういや上官だもんね。ちょっと気が緩んでたかも」


朝潮「不用意に近付きすぎましたか!?失礼いたしました!」


瑞鶴「ずっと顔色悪いから何かしたのかなって思ってた。ごめんね」


提督「いや、いいんだ。改めて、俺がこの鎮守府の提督だ。以後よろしく頼む」


鈴谷たち『はい!』


提督「あ、案内したいところだが、執務途中だったからな。誰か他の子が居たら...」








妙高「妙高、参りました」


提督「ひぇっ!?」


妙高「新しい艦娘ですね。私が案内致しますので、提督もお戻りください」


提督「あ、はい...」






...妙高さん、呼んでないけど、いつの間に居たの?どこからともなく現れるし、音とか全く聞こえなかったけど。



え?どうやったの?忍者なの?普通に怖かったんだけど。正直チビりそうだったよ。下手なホラーより怖かった。








鈴谷(いきなり誰か現れたと思ったら艦娘だった...)


朝潮(隠密に秀でた人でしょうか?)


瑞鶴(提督さんびっくりしてたし、なんかヤバそうなところに来ちゃったかも...)







新たに艦娘が加わった!








それゆけ頼れるビッグセブン








案内後、食堂にて...




妙高「...という事がありました」


鈴谷「なるほどね~」


瑞鶴「道理でちょっと近寄るなみたいな雰囲気出てたわけね」


朝潮「...私たちは、どうすればいいのでしょう?」


妙高「今はただ、彼から警戒を解かれるよう、慣れてもらう必要があります。提督の傷口を抉らないよう、慎重に...」




***









今日は鎮守府の一般公開日だ。




突然一般公開とか言われてもなんの事だと思われるから俺も一度整理しよう。



今の日本は深海棲艦との戦争に何度か勝利を収めている。俺の鎮守府は後方支援という形で参加していたりした。


戦況は優勢だが、そういう時に限って、戦争反対だの講和しろだの騒ぐ連中がいる。


戦争反対する気分はわからなくもない。流れ弾が当たって死ぬかもしれないし、過去の大戦の苦しさを思い出させてしまうのだろう。


でも騒いでるの内陸部の国民ばっかなんだよね。これ気付いたの最近だし、講和しろと言ってんのも同じ。


話して解決するならとっくにしてる。それが出来てないから戦争してんでしょうが。バカなんじゃないですかね。


更にここにマスコミが参入して、一気に反戦ムードが拡大している。政府は抗戦を続ける姿勢だが、巧みな情報の切り貼りで支持率もゆっくり下がっている。


ええ加減にせぇよ。自分らのケツに火が着いてるのに甘んじて燃やされようとするバカがどこにいるんだ。何も知らない奴が語っているところを見ると腹立たしいことこの上ない。




という訳で、海軍は独自にイメージアップ作戦を計画し、鎮守府と艦娘について世に周知してほしいときた。


そして今日、その日が来たって訳だ。






提督「...それにしても、だ」カキカキ


長門「どうした」カキカキ


提督「書類の量が普段の倍以上あるのはどういうことなんだ」ポンポン


陸奥「だから今日は私も手伝うって言ったじゃない」カキカキ


提督「三人がかりでもまだ多いぐらいだ...」ポンポン





普段の書類と、一般公開に関する書類の不足分を押し付けられた。意味わかんないよパトラッシュ...


今日の秘書艦は長門一人だが、あまりの多さに陸奥が手助けにきてくれた。それにしたって多いわ!



内容は鎮守府の見取り図とか、艦娘の艤装や資源の詳細、後は人権についてなど。来てくれた人に一枚一枚渡すんだが、思った以上に人が来て足りない分を補充している。



艦娘の艤装が本人の意思とリンクしていること、資源は艦娘の艤装ごとに消費量が違うが、枯渇するほど大量ではないこと、艦娘自身は人と大して変わらないので、食事等に燃料弾薬ボーキサイトは含まれないこと。これは案内を任せている艦娘たちも説明している。


これは自分でも驚いた。各資源の供給が乏しい我が国でも賄えるほど軽かったのだ。流石に長門たち大型艦を出撃させると減りが早いが、それでも大戦の頃と比べれば低コストだった。




人権についてだが、艦娘だからといって蔑ろにしていることは無い。本人が戦場に出たくなくなったら退役させ、その後の社会復帰も保証している。戦線復帰が困難になった艦娘については、妖精を交えた治療に専念させ、その後の生活も不自由の無い程度に保証している。


つかほとんど一般人と同様に人権を持たせてる。



それでも文句言うやつは知らん。お前が代わりに海に出てくれ、と切に思う。


戦っているのは彼女たちだ。彼女たちのお陰で国が滅ばなかった。それをよく理解せず文句だけ言う輩は愚かしい。





長門「いや、戦っているのは私たちだけではない。提督も一緒だ」カキカキ


陸奥「提督の指揮があってこその今日までの勝利よ。だから、自分は違うと思わないで」カキカキ






お前たち...いやちょっと待て、何故俺の心を読んだかのように話してるの。





長門「ふふ、戸惑っているな提督。簡単な事だ。顔に出ているぞ」


陸奥「それと、女の勘ってやつかしら?ふふっ」





顔に出てるとしても察しが良すぎるだろ。女の勘も何なの。あらゆる波長を捉えてるかの如く万能だな?俺じゃなくて海の上で発揮してくれ...





「ちょっといいですかー」


「何よアンタ!ここは立ち入り禁止って聞いてんでしょ!」







ん?何やら騒がしいな。それにあの声...






「あたし、ここの提督と知り合いなんですけど」


「そんなん知らないったら!」





一人は霞なんだが、もう一人が...もしや...






「失礼しまーす...あー、やっぱり!」


提督「...」


霞「ちょ、待ちなさいよ!」





...最悪だ。何故こいつがここに...






「ちょっと無視しないでよ。忘れちゃった?○○(元カノ2)よ」


提督「...」


霞「はぁ!?」


元カノ2「ちょっとお願いがあって来たんだけどー、二人にしてくれない?」


長門「提督は今忙しいんだ。お引き取り願おう」スッ


元カノ2「ちょっと退いてよ。提督くんの知り合いなのよ?あたし」


長門「知り合いなら事前にアポぐらい取ってくれ」


元カノ2「化け物の癖にうるさいわね...」ボソッ


長門「...」


提督「...長門、陸奥、霞。すぐに終わらせるから待機しててくれ」


陸奥「えぇ?」


霞「ちょ、あんた!」


提督「...大丈夫だ。すぐに終わる」


長門「...提督の指示だ。一度執務室を出よう」スタスタ





長門が冷静に対応してくれて助かった。陸奥たちは執務室から出させて待機させた。


それにしても、何故こいつがここに...まずい、動悸が...





落ち着け俺...ゆっくり呼吸するんだ...







元カノ2「いやー助かったわ。まさかあんたがこんな立派な仕事就いてるなんてね~」ケラケラ


提督「...要件は何だ。手短に済ませてくれ」カキカキ


元カノ2「もー、昔話ぐらいしてもいいじゃない」


提督「...俺は暇じゃない」


元カノ2「ふーん、すっかり軍人になったんだ。まあそれはどうでもいいんだけど、あたし、ちょっと今困ってるのよー」


提督「...」


元カノ2「実は結婚したい人が居たんだけど、結婚資金だけ持ち逃げされて今お金無いの。だから、ちょっと貸してくれない?」







...隼鷹の情報は正しかったようだ。黒い感情が渦巻く。


大方、他につるんでた連中に金を貸してもらえず、俺が提督になったことを誰かから聞いたか、自分で調べたか...


何にせよ、虫唾が走る。かつて俺を嘲笑った奴が、こうも都合良く縋りつこうとしてくるとは。





もうたくさんだ。お前にも、過去にも縛られるのは。







提督「...ここは金融機関ではない。他を当たれ」


元カノ2「...は?」


提督「何を勘違いしてるか知らんが、ここは鎮守府だ。金を借りるとこではないし、ここは執務室だ」


元カノ2「ちょ」


提督「それに、今日は執務室付近を鎮守府関係者以外立ち入り禁止にしている。君は部外者だろう。早急にお引き取り願う」


元カノ2「...へぇ」ワナワナ






...よし、あくまで公人らしく済ませられた。


視界に居るとどす黒い感情が湧いてくるんだ。早く出ていってくれ。







元カノ2「...女に囲まれて余裕が出来たっての?きもっ」


提督「...何?」


元カノ2「毎日毎日化け物に囲まれてイチャイチャしてんでしょ?いいご身分ね」


提督「...」


元カノ2「女を戦場に出して自分は書類とにらめっこ?馬鹿じゃないの?臆病者」







うーん、交渉決裂で本性出してきたな。


それにしても腹が立つ。これ以上はやめてほしい。






元カノ2「はー、あんたってほんと使えないわね。何でこんな奴と罰ゲームと言えど付き合ったのかしら」


提督「...」


元カノ2「こんな使えない男の為にここまで苦労して来たってわけ?なんだかアホらしくなったわ。やめたら?提督」


提督「...何だと?」


元カノ2「それか深海なんたらって奴らに殺されれば?保険金で親が喜ぶでしょ?」


提督「いい加減にしろ!」グイッ






勢い余って胸倉を掴んでしまった。


俺とした事が、冷静さを欠いている。


奴も少し驚いたようだが、すぐに目を向けてくる。






元カノ2「はっ、何?脅してるつもり?軍人が一般人にやっていいと思ってるわけ?何ならここで悲鳴上げるわよ」


提督「...」グググ


元カノ2「今すぐ離して、金を用意するなら許してやるわ。早くしなさいよ」


提督「...下衆め」グイッ


元カノ2「な、何よ!次は暴力!?や、やってみなさいよ!絶対許さないから!」


提督「...」拳握り


元カノ2「ほ、本気でやるっての!?後悔してもしらないから!」







元カノ2『キャー!助けてー!提督に襲われてまーす!』









...もういい、俺はここでケジメを付ける。


これで軍を辞める事になっても構わない。


俺は人に暴力を振るわないつもりだった。女性なら尚のことだったが、俺には目の前にいる奴が人には見えなかった。こいつは人の形をした何かだ。









...俺の人生は今終わりを告げる。ありがとう皆。そしてすまない。



もし叶うなら、新しい提督と幸せになってくれ。俺はこいつを道連れに地獄へ落ちる。



せめて一発、拳を浴びせないと気が済まないからな。手を汚すのは俺だけでいい。



俺は渾身の一撃をこいつの顔面にぶち込むべく、拳を振り下ろした。






でも、一つ思い残すところがあるとしたら、幸せになった皆が微笑むところが見たかったな...












ドアバ-ン!!!






長門「その必要は無い、提督」ガシッ


提督「...はっ!?」


元カノ2「ひっ...?」






長門が、俺の腕を掴んでいる。奴の顔面に当たる直前だった。


長門は少し呆れたような顔をして俺を見ていた。






長門「提督は手を汚す必要は無い。これ以上、苦しむ必要もな」


提督「長門...」






また心を読んだのか君は。


だが、今回は助かった。俺は取り返しのつかない事をしそうだった。






元カノ2「な、何!?目の前で化け物と仲良しごっこ!?気持ち悪いったらありゃしないわ!とっととその汚い手を離しなさいよ!」


長門「あなたは少し黙っていてくれ」ギロッ


元カノ2「っ...!」


長門「提督、ゆっくりでいい。拳から力を抜こう」





俺は言われた通りに手を離した。拳どころか、全身から力が抜け出ていくような感覚がした。






長門「まずあなたについてだが、提督に何をしたか全て把握している。私達も聞いてて気分が良いものではなかった。彼の心に付けられた傷跡は深い」


元カノ2「は、はぁ!?あの程度の事でへそ曲げてんの!?気持ち悪っ!あんなのはまだ軽...」


長門「口の利き方には気を付けた方がいい。お前が提督と執務室で話していた事は全て録音済みだ。それに、今もな」


元カノ2「なっ!?」


長門「もし貴様が提督を訴えようとしても、この録音データがある限り、勝てる可能性はかなり低い。それよりも、貴様の脅迫まがいの言動が問い質されかねんぞ」


元カノ2「っ...」


長門「今までの話を聞いて、私たちの心中は穏やかではない。気が変わらんうちに出ていけ」


元カノ2「くっ...!」ワナワナ







すっげぇ悔しそうな顔してる。ちょっと気分が晴れてきた。






元カノ2「な、何よあんたら!化け物の癖に!とっとと死んじまえ!」ドタドタ


長門「おっと、一つ言い忘れた」


元カノ2「はぁ!?」


長門「うちの鎮守府は執務室を訪れた者に対して、所属艦全員で見送るようになっていてな。部外者とは言え、貴様も執務室に来た。皆の見送りに感謝しておけ」


元カノ「は...?」ゾクッ






艦娘たち『...』ギロッ






元カノ2「ひっ...」






(何このゴミ...)ボソボソ


(こんな奴が提督を...)ボソボソ


(死ねばいいのに...)ボソボソ


(殺しちゃっていいかな...)ボソボソ





元カノ2(な、何なのこいつら...)ブルブル





陸奥「お前」


元カノ2「...」


陸奥「提督のお陰で助かったこと、忘れちゃダメよ。提督がタクトを振れば、私たちは悪魔にだってなれるんだから」ハイライトオフ


元カノ2「...!」





元カノ2「...に、二度と来るかこんな吐き溜め!みんな地獄に落ちやがれ!」スタコラサッサ-






***







はー助かった。マジで助かった。俺まだ生きてる。


ずっと冷静な感じを装えた気がするけど、胃はくっそ痛い。


つーか金貸してってなんだよ。途中から怒りが限界に達して無関心になったけど、艦娘の悪口言われりゃ更に怒るわ。


ああいうのがいるから悲しむ人が増えるんだな...






長門「提督、ご苦労だった」


提督「あ、ああ...」


陸奥「アレには警告しておいたわ。多分二度とここには来ないと思う」


提督「ああ、助かる...」







長門がほぼほぼメインになってたけど、陸奥もしっかり念押ししてくれてるじゃん。助かる。


てか録音とかしてたのか。わざわざ手の掛かる事を...







提督「そ、それにしても録音してたとは思わなかったよ」


長門「陸奥がもしもの時の為に用意していたんだ」


陸奥「まあ盗...提督の事を聞いたからなんだけど」





何を言いかけたの?嫌な予感がするんだけど。


まあいいや。今はそんなこと気にする必要はない。



それより俺、客人を帰す時、そんな堅苦しいこと決めた覚えないけど?






長門「嘘に決まってるじゃないか。少し腹が立ってしまってな」


陸奥「外で待ってたらみんな来ちゃったのよ。みんな提督の事が気になってたのね」


艦娘たち『あはは...』




長門(提督が居なかったら私が殺していたな)ハイライトオフ


陸奥(盗聴器って言いかけてたわ。危なかった...)


艦娘たち(提督の危機を察知したらみんないた...)




鈴谷(みんなが急に動いたから着いて行ったら凄いことになってた)


朝潮(聞いてる時の皆の顔、鬼の形相でした...)ガクブル


瑞鶴(この子達を怒らせちゃダメね)








あれが少し腹が立っただけ?人を殺さんとするぐらいの目付きだったよ。恥ずかしながらちょっと漏れそうだったよ俺。何とか踏み止まったけど!


でも、みんな俺に気を遣ってくれたんだな。ありがとう。今になって震えてきちまった。恥ずい。




それにしても、少し疲れた...




視界が揺れる...





体に力が...









陸奥「あ、提督!?」ガシッ


長門「ど、どうした提督!?」


陸奥「医務室へ連れていくわ!」







ああ、何かに抱えられているような気分だ...


あたたかい何かに包まれているようだ...



眠くなってきた...





おやすみ...











提督は夢を見て









軍医「...心労による一時的な気絶ですね」


長門「ほ、本当か!」


陸奥「ちゃんと目が覚めるわよね!?」


軍医「勿論です。まあ本人の具合にもよりますが、明日か明後日には起きると思いますよ」


長門「よ、よかった...」ヘナヘナ


軍医「それにしても、気絶するぐらい精神的なダメージが急に来たような症例ですな。何かあったので?」


陸奥「それは...」


長門「陸奥、私が話そう」






事情説明中...







軍医「成程、PTSDの要因となった人が来たのですね。それは気の毒に...」


長門「...その、提督の病が治る事は...」


軍医「正直に言いますと、心の病や精神病は症状を和らげる事は出来ても、完治は非常に難しいのです。現代でも、精神病は未だ開拓期にありますので、わからない事が多いんです」


長門「...そうですか」シュン


軍医「ただ、彼の場合はトラウマの要因となる人物を接触させず、隔離させること。これだけは絶対です。例え向こうから来たとしても、彼の耳に入れないこと」


陸奥「...了解です」


軍医「後は、そうですね...トラウマを引き起こす言動は控え、彼の心が開くのを待つしかありませんね」


長門「...やはり、時間で解決するしかありませんか」


軍医「投薬治療もありますが、先程言ったように、現状では精神病の完治が難しいので、生涯薬に付き纏われる事になるかもしれません。結局のところ、時間と環境で解決するしかないですね」


長門「...わかりました。ありがとうございます」


軍医「それでは、お大事に」スタスタ







***









...ここは、何だ?真っ白な空間だ。


この布団も真っ白だ。俺は寝ていたのか?



...辺り一面、何も無い。白しか目に入らない。


なんだか寂しい場所で目覚めてしまったようだ。



とりあえず起きて、辺りをうろついてみよう。幸い、服は着ているようだ。




おーい!誰か居ないかー?






***






長門「...だそうだ」


吹雪「じゃ、じゃあ司令官は、無事なんですね!?」ポロポロ


長門「命に別状は無いとのことだ」


吹雪「よ、よがっだぁぁぁ」ウワ-ン!


磯波(す、凄い泣きっぷり...)



飛龍「それにしても明日か明後日かぁ。短いんだろうけど提督と話せないのは寂しいなぁ」


隼鷹「はーつまんな。酒飲んでくるわ」スタスタ


飛鷹「あ、待ちなさいよ!」ドタドタ


妙高「...」


羽黒「あ、あの、姉さん?止めなくていいんですか?」


妙高「...今日は見逃します。実のところ、私も自棄酒したい気分だから」


羽黒「ど、どうして?」


妙高「提督の御身を守れなかった自分が不甲斐ないんです。青葉さんから提督の状態を知っておいて、私は侵入を許してしまったんですから」


霞「それは、私のせいよ。私がしっかり締め出さなかったのが悪いの」


陸奥「二人ともそこまで。自分を責めちゃダメよ。きっと提督も望んでないから」


妙高「...はい」


霞「...はい」





蒼龍「ところでさー、提督の看病ってどうするの?」


艦娘たち『!』ピクッ


蒼龍(あっ、やば)








***







本当に何も無い。誰とも会わない。なんだこの空間は。




「~!」





ん?何か聞こえた。






「~!」






下から聞こえてくるな。それも近い...






妖精「~!」






あ、君か。ズボンにくっついてたのか。


すまない。近すぎて気付かなかった。






妖精「ていとくさんはおんなのこをむししたのです。ひどいのです」シクシク






無視じゃないから。気付かなかっただけ。


だから泣かないでくれ。こっちも泣きたくなる。





妖精「ん?いまなんでもするっていったよね?」





言ってねーよ!難聴にも程があるわ!






妖精「わたしたちとあそんでくれるなら、ゆるしてあげます」






...な、なんだ。それぐらいなら...ん?



私、たち?








***






睦月「提督の看病は私たち睦月型がやるにゃし!」


時雨「ここは村雨と僕がやる」


五十鈴「馬鹿ね!長良型がやるわ!」


長良(ちゃっかりしてるな~)


酒匂「ぴゃあ!酒匂もやる!」


羽黒「わ、私が看病、します!」カオマッカ


飛龍「ここは二航戦の出番でしょ!」




ギャ-ギャ-





明石「遅れてきたけど、なんだか偉いことになってますねー」


朝潮「すごいやる気ですね」


鈴谷「提督ってば愛されてるね~」


吹雪「あれ、皆さんはいいんですか?」


瑞鶴「あの人たちに敵う気がしないからパス」


明石「私もまだ整備が終わってないんで...」


霞「私たちは哨戒に行くわ」


霰「...霰も、なのね」シュン


長門「私も参加したいところだが、執務が心配だな」


吹雪「それなら、私がやりますよ」


長門「いいのか?」


吹雪「司令官が起きた時に大量の書類が残されてたら、また倒れちゃうかもしれませんから」


吹雪(看病も捨て難いけど、執務をした方が褒めてくれそう」


磯波(吹雪ちゃん...心の声がダダ漏れ...)


長門「だが、一人ではきついだろう。私もやる」


吹雪「いいんですか?」


長門「私も、認められたいからな」ボソッ




陸奥「はーい静かに!ここで騒いでても進まないからくじ引きで決めるわよ!参加する子は集まって!」







そして...







睦月「やった!当たった!」アタリ


如月「さすが如月ちゃんね♪」


弥生「嬉しい...です」


卯月「やったぁ!看病できるぴょん!」


羽黒「そ、そんな...」ハズレ


妙高「...今回は退きましょう、羽黒」


五十鈴「と、当然よね!」アタリ


長良(五十鈴グッジョブ!)


酒匂「酒匂も当たり?やったね!」アタリ


蒼龍「えー?はずれちゃったよー」ハズレ


飛龍「そんな~!?」


時雨「幸運艦と言われた僕が...」ハズレ


村雨(か、看病出来ないなら他で何とか...!)






陸奥「...」ハズレ


長門「陸奥...」







***








妖精「ひさびさにあそべます。ていとくさんとあそべます」


妖精「ゆめのなかにはいりこんでせいかい」


妖精「めざめるまで、かーにばる!」





ちょ、ちょっと待て。なんで君たち俺の夢にまで干渉してんの。


てかこれ夢か!それなら納得するが、妖精が自由過ぎて怖い。





妖精「おそれることはない、ていとく」キリッ


妖精「わたしたちはあなたとともにある」キリッ





何をカッコよく言ってんのか知らないけど、夢の中まで俺をかまうのはやめろ!


それと一人だけまだケ○カの格好してて嫌な予感しかしないから!





妖精「おっとしつれい。ぬぎわすれました」


妖精「ていとくはしんぱいしょうなのです」


妖精「もっとあんしんしてわたしたちとあそぶです」





君たち前科あるから安心出来ないのわかってるのかな?


てかもう起きたいんだけど。






妖精「そうはさせません」


妖精「わたしたちがまんぞくするまであそぶです」


妖精「てはじめにおにごっこです」






鬼ごっこ?なんだ、余裕じゃないか。





妖精「わたしたちだけとおもわないことです」


妖精「みんなしゅうごうするです!」ピ-!






...俺は目を疑った。


妖精が口笛を吹くと、四方八方から妖精が飛んできた。


俺は逃げる間もなく捕まった。




いや無理だろ。物量で負けてんだから。




俺は捕まってガリバーみたいになってるし、何したいのこの子達。






妖精「うえからくるぞ!きをつけろ!」






警告おせぇよ!もう捕まってっから!







***








睦月「提督のベッドだけだとみんな入らないのね」


五十鈴「五十鈴たちも入るとしたら、もう一つベッドを付けるしかないわね」


酒匂「一回司令を動かすしかないね。慎重に...」ピャ-


長良(司令官起きた時にめちゃくちゃ驚きそうだけど、大丈夫かなぁ)


如月「は、早く寝たいわ...♪」ハァハァ


弥生「場所は...じゃんけん...」


卯月「みんな必死ぴょん...」









そして...







弥生「や、やった...です...!」右側胸


睦月「弥生ちゃん、一緒にゃし!」左側胸


五十鈴「ま、まあいいんじゃない?」右腕


長良「勝利勝利!」左腕


如月「...添い寝できないよりかはマシだから!」右足


卯月「それでも、あんまりぴょん...」左足


酒匂「えー!?酒匂は?どこ?」


五十鈴「残念だけど、空いてる所は無いわ」


酒匂「そんなー!」


五十鈴「...まあ、探しなさい。おやすみ」


酒匂「ぴゃあ...」キョロキョロ








***








ガリバーと化した俺は妖精に運ばれている。


どこに連れていこうとしてるの君たち。すっごい怖いんだけど。





妖精「ここではないどこかへ」


妖精「むげんのかなたへ」


妖精「これが、かけおち」





何を言ってるのこの子たちは。しかも駆け落ちじゃねぇよこれ。拉致だよ。


それに夢の中だしどこにも行けねぇだろ。





妖精「まあじょうだんはおいといて、ていとくさんとおはなしがしたいです」


妖精「ていとくさんのほんねがききたいです」


妖精「かんむすのみんなも、わたしたちもきになってます」





急展開だね君たち。少し雑過ぎない?


てか話すだけなら俺を離してくれ。話はそこからだ。





妖精「れんぞくだじゃれはさむいです」


妖精「ふぉろーのしようがありません」





やかましい!とっとと離せ!