2020-07-10 20:21:43 更新

概要

ばかみたいな事やってたらいつの間にか追い出されてた。


追い出された男



ある晴れた日に、とある場所の鎮守府の門前に、真新しい紺色の提督服(軍服)を着た男が門の前に立っていた。


男「フハハ、嘘を吐きまくったらまさか追い出されるとは、冗談ぐらい笑って許せんのかね」


懐中時計を取り出すと時刻を確認する。予定よりも少しだけ早く着いたようで、まだ誰も迎えは居なかった。

数分後、門の中に入らずに律儀に門の前で待っていると、長身の女性が歩いてくる。あれは知っている艦だ。と、男は笑顔で歩いてくる女性と目を合わせた。


?「失礼だが提督か?」


男「ああ、今日から前任者の提督と交代する榊(さかき)だ。と言っても名前で呼ばれないだろうから忘れて構わないぞ」


?「・・・」


眼の前の女性は少しだけ怪訝そうな顔をした後に、そのままの顔で続けた。


長門「戦艦長門だ。提督、前任者である木更(きさら)中将の事はどこまで聞いている?」


提督「何も聞いていない」


長門「は?聞き間違いでなければ聞いていないとはどういうことなのか問いたい」


提督「俺も追い出された方だから此処の鎮守府はつなぎじゃないかな」


長門「私は適当な男は好かない。真面目に話してくれているのか?」


提督「俺はいつでも大真面目さ。元帥の言葉は信用ならないか?」


長門「!?ばかな!元帥がこの鎮守府に来るわけがないだろう」


提督「居るだろ眼の前に」キリッ


長門「・・・(どういう事だ?大淀から聞いた話だと、新米中佐だったはずだが)」


提督「嘘だけどな」


長門「は?」


提督「なわけ無いじゃん、此処で起きた事件に元帥が出向くはずもないよな」


長門「歯を食いしばれ!」ヒュン


提督「うん?ぐぁああああああああ」ドゴッ!ドサッ


長門「提督、私は嘘を付く奴は嫌いだ。ましてや階級を馬鹿にするような奴も最低だと思うぞ」ギリッ


提督「悪かった、和ませようとしたんだがな」


長門「お前のようなちやらちやら?だったか、したやつが此処に来るとは思わなかった。ましてや事件について少しは真面目に気にしてくれると、思っていたのだがな!」


提督「チャラチャラな、何があったんだ?正直に言うと追い出されてからしばらく謹慎してたんだよ」


長門「最悪だな。クズ以下の奴が来るとは」


提督「えへへ」


長門「・・・」ギリッ


提督「それで、こんなところで立ち話も何だし案内をしてくれるの?」


長門「貴様は―――・・・ついてこい、だが、くれぐれも他の者達に、そんな態度を取らないでほしいものだな」


提督「保障はできないな」ニヤニヤ


長門「・・・貴様」



ーーーー鎮守府、二階廊下。



提督「へぇー俺が居たところより広いな」キョロキョロ


長門「少しは落ち着けないのか?」


提督「俺は止まると死んでしまうんだ」


長門「なんでこんな奴が」


提督「聞こえてるぞー泣くぞー超泣くぞー」


長門「・・・」


提督「おっ!時雨だ」


長門「なっ!待つんだ!」


提督「おーい、シグシグ」


時雨「・・・誰かな?僕を呼ぶのは」ハイライトオフ


提督「どうした?辛いことでもあったのか?」


時雨「あったよ、とても、とても辛いことが」オフ


長門「おい、行くぞ。今の時雨には構うな」


提督「そっか、これは何に見える?」スッ


右手の人差し指を時雨の眼の前に出す提督。


時雨「人差し指?それとも数字の1かな」オフ


提督「フハハ、違うな、間違っているぞ時雨」


時雨「じゃあ何かな?僕には分からないよ」オフ


提督「俺にも分からんが答えだ」


時雨「・・・」オフ


提督「フフフ」


長門「・・・(何を考えているんだ、下手をしたら前の提督のように殺されかけるだけだぞ)」


時雨「・・・ふふ、変な人だね」ハイライトオン


提督「よく言われるぜ、長門、行こうか」キリッ


長門「・・・馬鹿な、あの時雨が」


提督「長門、行くぞ」テクテクテク


長門「ま、まて」タッタッタ


時雨「・・・」ジッ-ハイライトオフ















――――鎮守府、三階廊下。





提督「予想以上に深刻だな此処は」


長門「・・・人が悪いな提督、分かっていて試したのか?」


提督「いや、その辺りは全然、知らないよ?」


長門「貴様とは絶対に親しくはなれそうにないな」ギリッ


提督「エヘヘ」


――――執務室前。


長門「先に入れ、何をするか信用ならない」


提督「ひどくね?まぁ入るけど」ガチャ


?「提督、鎮守府にようこそ。艦隊指揮、運営はどうぞお任せください。」


提督「大淀君、キミにすべてを任せるよ。それじゃあお疲れ」マワレウシロッ


大淀「え?」


長門「・・・」ジロッ


提督「嘘だよ長門、怖い顔しないでくれ」モドレウシロッ


大淀「うふふっ、面白い提督ですね」


提督「よく言われるよ主に大淀にね」


大淀「前の鎮守府にも居たのですか?」


提督「凄いラブラブしてたぜ」


大淀「ら・・・ラブラブ」マッカッ、メガネクイッ


提督「すまん嘘だ」


大淀「・・・」ハイライトオフ


長門「疲れるやつだ」


提督「ところで書類は?提督が不在になったまま三ヶ月も放置だったはずだけど」


大淀「あ、ああ、それでしたら私が代理として大本営から拝命(はいめい)を受けて私が処理していました」


提督「なるほど、資材は?」


大淀「そ、それが・・・」スッ


提督「・・・ボーキ無くね?」


資材 燃料 2150 弾薬 1700 鋼材 15002 ボーキサイト 0


提督「うそやん・・・ゼロってどうしたら出来るのか逆に聞きたい。大本営から一定量まで支給されるはずだけど?」


大淀「そ、それが・・・事件があってから・・・」


長門「反逆した艦娘たちにやる資材は無いってことだ」ギリッ


提督「それはないだろ」


長門「・・・」


パラパラパラ。


提督「どんな艦娘だって代わりはないさ」シリョウ、ゼンヨミ


長門「資料もちゃんと読まないでよく言える。読んでるふりでは無いのか?そんなに早く」


提督「まずは電話する。大淀、ボーキサイト補充できてない赤城と龍驤にすぐに手配できるようにしてくれ」


大淀「え?あ、」


提督「タイム・イズ・マネー。復唱は?」


大淀「は、はい!赤城さんと龍驤さんにボーキサイトを手配することを確認しました」


提督「確認しました。すぐに頼むよ」敬礼


大淀「はい」敬礼


長門「・・・(本当にさっきの奴なのか?人が変わったようだ)」


提督「連合艦隊旗艦も努めたこともある長門さん」


長門「棘のある言い方だな」


提督「言う事聞いてくれそうな子は何人居る?」


長門「潜水艦の奴らなら少しは聞いてくれるだろう、だが駆逐艦をはじめ、戦艦、正規空母、軽空母、重巡、軽巡などを全部をあわせても二十数人程度だぞ」


提督「150居るのに20程度か、相当だな」アッハッハ


長門「笑い事ではない」バァン


提督「・・・熱くなるなって、すまないが、電話するぞ」


長門「・・・好きにするといい」


提督「うわ、黒電話かよ。久々に見たな」ジリリリ、ジリリリリ、ジリリ、ジリリリ


・・・。


?「ーーー・ーーー・・・」


提督「あー聞こえる?俺だよ俺」


?「ー!!ーーー!?」


提督「怒るなって、追い出しといて戻ってこいとか無くね?」


?「・・・」


提督「悪い悪い、それよりちょっとお願いがあってさ、今の提督のやつに変わってくれる?」


?「ー、ーーー。」


提督「それ提督の前で言ってるなら泣くと思うぞ」アハハ


?「ーーー。ーーーーーー。」


提督「おう、昇進したんだって?すげぇな」


?「ーーー。」


提督「あー、そうだな。まぁそれより資材を分けてくれないか?こっちは想像以上でさボーキなんて0だぜ」


?「ーーー。」


提督「ゼロ戦だけにってか?やかましいわ!悪いが頼むぞ」


?「ーー。」


ガチャッ。


提督「大淀、無線連絡は?」


大淀「復唱ありました。すぐに補給したいと言っています」


提督「分かった。頼むよ(赤城と龍驤は話が通じそうだな)」



ーーーー食堂。


提督「ん?龍驤だけか?」


龍驤「うちがおったら悪いの?」


提督「いや、というより間宮っち居なくね?」


龍驤「知らへん、元よりどちらさん?」


提督「君の恋人」


龍驤「アホか!キミとウチはもう夫婦やでって、そんなわけあるかーい!キミが新しい司令官だってぐらいウチにも分かるわー!つまらん嘘はやめーや」


提督「んー事件についてはあまり関わってないのか?」


龍驤「なんや!急に真面目か!・・・うちは比較的に新参者やしなぁ~ブラ鎮だった被害はあんま受けてへん」


提督「なるほどな、練度も低いからそうだとは思ったが、そのままか」


龍驤「だからなぁ、他は分からへんけど、司令官のゆーことは聞くでぇー」


提督「おう、ありがとな。まずは飯食っとけ、ずっと放置されてて大変だったろ?」


龍驤「ウチのこと、大切に思ってくれてるん?」


提督「もちろんだ」キリッ


龍驤「・・・やめーや、なんか気恥ずかしいなぁ。赤城なら部屋に居ると思うからはよ行き~」アタフタ


提督「あいお」タ、タ、タ、


龍驤「・・・ええ人っぽいな」ボソッ


提督「おう、ありがとな!」フリフリ


龍驤「き、聞こえてるんかい!どんな地獄耳や!」


提督「ハッハッハ」タ、タ、タ…


龍驤「・・・ほんま頼むで」




ーーーー赤城、加賀の部屋前。



提督「・・・(人の気配はするけどなんか入ってくるなオーラを感じるぜ)入るけどな!」ガチャ


赤城「・・・」


提督「メシ、タベロ」


赤城「それは命令ですか?」


提督「いや、別に」


赤城「・・・」


提督「・・・」


赤城「・・・」


・・・。


・・・・・・・・・。



ーーーー数十分後。



赤城「分かりました。艦載機の補充も一緒にしてきます」


提督「おうよ」


赤城「ところで貴方は?」ハイライトオフ


提督「今日からこの鎮守府に着任する提督だ。(大淀からの通信で)分かってるはずだけど?」


赤城「いま、加賀さんが居なくて良かったですね」オフ


提督「あの事件に加賀は関わっていたんだよな」


赤城「・・・はい」オフ


提督「まぁ、殺さないだけマシだろ」


赤城「・・・」ピクッ、オフ

       ・・

提督「前の提督がな」


赤城「提督、加賀さんに対してもしも――」ギロッ


提督「話の途中で悪いがそれはないよ。何に対してとか今は言う必要が無いと思うし」ニヤッ


赤城「あの時、加賀さんは私を止めましたが、何かあった時は私は私を止められないですよ?」ハイライトウズマキ


提督「ああ、そん時は全力で頼むぜ」キリッ


赤城「提督、掴めない人ですね」ハイライトオン


提督「眼の前より、大切なのは隣りにいる人だ。俺なんかに殺意を向けてないで、ちゃんと加賀を頼むぞ」チラッ、ベツホウコウノ、ドアヲミテ。


赤城「・・・はい、言われなくても」


提督「なら、安心だ」ニッ、ガチャ、バタン


赤城「本当に掴めない人、加賀さん、提督は気づいていたみたいですよ」


赤城が提督が出ていった部屋とは別のドア、隣の部屋と繋がっているドアを見ると、ドアノブが回転してーー、


ガチャ・・・スッ。


加賀「・・・赤城さん、油断してはダメよ」ハイライトオフ


赤城「慢心してはダメね」ハイライトオフ


加賀「…気づかれない内に仲間を集めておきましょ」





ーーーー廊下。





提督「なんつーか、どこもかしこも殺意に溢れてるな」


提督(赤城は思ったのと違って、加賀と一緒で難しそうだな。勘が悪くなったか?)ンー・・・


提督「長門は用事があるってどっかに行っちまったし、このまま鎮守府を見ていきますかね」タ、タ、タ


?「・・・」ジー、ハイライトオフ



ーーーー工廠。


提督「おーここの鎮守府も妖精さんたち頑張ってるなぁー」


妖精達「・・・」敬礼


提督「ご苦労さま、今日から着任した。みんな、よろしくな」答礼


妖精達「・・・」ペコ


提督「・・・フム」


妖精達「・・・?」クビカシゲ


提督「・・・右手には何もありません」右掌を見せて


妖精達「・・・」コクコク


提督「そのまま握ります」グググ


妖精達「・・・」キョウミシンシン


提督「・・・はい!」手の平に金平糖の山


妖精達「・・・!」


提督「前の鎮守府の妖精さん達は金平糖が好きだったけどこっちも同じかい?」ニコッ


妖精達「・・・」ガヤガヤ


提督「そっか、どうぞ」


妖精達「・・・」パタパタ、整列


提督「ちゃんと並んで一個ずつ持っていく、妖精さん達は特に問題なさそうだな」イヤサレ


?「・・・」ジー、オフ


妖精「・・・」クイクイ


提督「ん?どうした?」


金平糖を受け取った妖精の一人が提督の右手の袖を引っ張る。何かを警告するように左指でとある方向を必死に指差した。


提督「大丈夫、ちゃんと気づいてるよ」ナデナデ


妖精「キュー」


提督「妖精ってそんな声なの!?」


妖精達「・・・」ビクッ


提督「ああ、ごめんごめん。前の鎮守府では聞かなかったから思わず突っ込んだ」


妖精達「ミュー、キュー、ミュミュ、シズメ」


提督「これは、ヌイヌイの妖精が居ますね・・・間違いないですよ」キリッ


?「・・・」ジー、オフ



ーーーー出撃ドック。


提督「・・・しっかし、広いなぁ。鎮守府で差があるって聞いてねぇぞ、知り合いのところも同じぐらいだったのに」スパー


提督「タバコうめぇー」


?「・・・」スッ


影から見ていた者は音を出さぬように隠していた刃物を取り出す。やっと見せた隙をチャンスと思い。静かに近づく。


提督「ん?」ウエヲミテ


火気厳禁


提督「oh...やばっ!火災報知機とか鳴らしたらまた大淀に怒られ・・・って前の鎮守府だなHAHAHA」アタフタ


?「・・・」ダッ!


提督が慌ててタバコを消す隙を見逃さず、ゆっくりと近づいた距離は確実に刺せる距離、一瞬よりも早く提督の背中からわき腹の間、肝臓を狙いを澄まして、持っていた獲物を突き刺す。


提督「グッ・・・アッ・・・」


肝臓は人体の急所であり提督との身長差を考えれば、一番狙いやすく、刺された者はあまりの激痛に声も出なくなるメリットもある。

こんなことをするために練度を重ねたわけじゃないが、奴を確実に殺せるのならばと、特に考えることも無かった。


提督「・・・」ドサッ


どさりと力なくその場に倒れこんだ提督はその身体から大量の血を流していく。肝臓が急所である理由は刺されれば、大量出血ですぐに処置をしたところで助かる確率は非常に低い。


?「やっと」ポロポロ


右手に付着した血を見て、提督を刺した少女の目には涙が流れていく、刺したことの罪悪感はなく、目的を達成したことの安堵感と彼女のために消えていった者たちへの救いになると・・・。


提督「・・・ハンカチいる?」スッ


?「なっ」バッ、


提督「まさか朝ちゃんに刺されるとは思わなかった」


朝潮「・・・どう・・・して」アトズサリ


提督「まぁ刺さってないんだけどね」スッ、刃先


朝潮が提督が倒れていた場所を見ると血溜まりとナイフの柄、ナイフハンドルの部分だけが落ちていて、提督は刃先を朝潮に見せた。


提督「悪い子だなぁ」ニヤッ


口元を歪ませ、朝潮に不敵な笑みを浮かべる。刺さってないと言うのに脇腹からなおも流れ続ける血の姿は、とても不気味で、恐ろしく不可解で、朝潮の精神に影響するのは仕方がなく、たとえ狂ってしまった精神だとしても、容易に感情を思い出させた。


朝潮「・・・ヒッ」ビクッ

             ・

提督「肝臓を確実に狙うとか誰がどんな教育したんだ?おいちゃんに教えてくれるかな」ペチャ、ペチャ、指先ウネウネ


革靴に付着した血が、提督が歩く度に耳障りな粘りのある音を出している。朝潮にはそれが何故か前提督と重なり、身体が硬直する。

同時に恐怖が襲いかかってきて、身体が震えだした。


朝潮「あ・・・あぁ‥」ガタガタ


提督「・・・飴ちゃんくぅかああああ」ペチャペチャ、棒キャンディ、ペロペロ


朝潮「も、申し訳ございせん・・・私は・・・・・・・私は、ただ・・・皆のために」ガタガタ


提督「あめはうめぇえぞぞぞぞぞぞぞ」ウヒヒヒ、ペロペロペロ


提督が飴を舐めたまま、わざと朝潮の眼の前まで顔を近づける。


朝潮「ヒッ!・・・」パタン


提督「HAHAHA、やりすぎた・・・会話が一切出来ないまま、気絶しちゃったよ」テヘッ


提督「しかし、なんで艦娘の朝ちゃんが軍隊の対人急所なんて知ってるんだ?」ジー、ペロペロ


朝潮「・・・」


提督「フッ・・・白か、PERFECTだ。前の鎮守府でも」ペロペロ


大淀「何を見てるんですか?」ピクピク


提督「大淀は青のパンツが好きだったみたいだよ」ペロペロ


大淀「・・・私はピンクです!・・・じゃなくて、気が気じゃなかったですよ!無茶をしすぎです!て、言いますか・・・飴を舐めるのを止めて下さい」


提督「作戦通りになったろ?」アメナメル?


大淀「お聞きしたいのですが・・・倒れていた状態から立ち上がって、朝潮さんの後に立つまでの瞬間が見えませんでしたけど、どうやったのですか?」アセッ、ナメテタヤツナンテ,イリマセン


提督「企業秘密」ニヤッ


大淀「私に変なことをしないでくださいね」アトズサリ



ーーーー健康管理室(入渠判断科)。



朝潮を抱きかかえて連れてきた提督と大淀は健康管理室、企業で言えばこの名前、学校で言えば保健室の前で立ち止まった。



提督「ここがあの女のハウスね」


大淀「言っている意味が分かりません」


提督「ノリが悪いな~よどよどはー」


大淀「大淀です!ちゃんと呼んで下さいね」


ガチャ。


?「管理室の前では静かにして下さい」


提督「おうぃえい、すまんな明石」


明石「・・・朝潮ちゃん・・・なにかしたんですか?」ハイライトオフ


提督「驚かしたら気絶しちゃった」


明石「・・・」ジロッ


提督「見てくれない?」ジー


明石と提督の目線が交差する。その時、提督の片目が青く光った気がした。


明石「・・・ウッ」ビクッ


提督「どうした?」


明石「中へどうぞ、ベットに寝かせてあげて下さい・・・提督」メセンソラシ、スッ


提督「ありがとな」タ、タ、タ


大淀「明石?どうかしました?」


明石「大淀、あの人って人間なの?」チラッ


大淀「え?資料は人間の男性ってちゃんと書いてありますよ?手品みたいなことをするので変だなーとは思いますが」クビカシゲ


明石「・・・」ハイライトオフ


大淀「明石、大丈夫ですか?」


明石「・・・」スッ


大淀「それは・・・注射器?何に使うの?」


明石「・・・」タ、タ、タ


大淀「いや、あのー、だからね」


ーーーーベット前。


朝潮「・・・」スー、スー


提督「HAHAHA、見ろ~朝潮が天使のようだ~」リョウテヲヒロゲテ


タ、タ、タ。


提督「ん?明石、ちゃんと寝かせ――」


明石「静かにして下さい」プスッ


提督「ユニバァァァス!!」パタン、ビクンビクン


大淀「え、えぇ・・・大丈夫なんですか?」ドンビキ


明石「・・・凄いよこの薬、さすが私が作った薬」ニマァ


提督「はい、注射器返すよ」


明石「ありがとうございます」


大淀「・・・あの、もう説明してもらっていいですか?」イラッ





ーーーー説明中。




大淀「え?明石は提督の居た鎮守府の明石と知り合い?」


提督「んだ」


明石「うん、言ってなかったっけ。にひっ!」


大淀「聞いてないわよ、そう言う大切なことは伝えてくれないと、今ここの鎮守府の状況を考えれば・・・ね?」メガネクイ


明石「だって仕方ないじゃん!前の提督があれだったし、私は少しでも多くを助けたかったから」


大淀「・・・ごめんなさい、明石の事を考えてなかった」


明石「ねぇ大淀、高速修復材が足りなかったのに――」


提督「おっとそこまでだ」


明石「提督?いいんですか?」


提督「大淀はまだ知らなくていいさ」


大淀「なんですか?私だけ仲間はずれなんですか?」ムッ


提督「よどよどは怒っても可愛いなぁ」


明石「あ、それ分かります」


大淀「何なんですか貴方達は・・・明石も最近は向こう側の子達になっちゃったって心配だったのよ?」


明石「入渠するかどうかの判断ってさシビアなんだよねー、簡単に入渠させちゃったら怒られるし、その辺のストレスは分かって欲しいかな」ハイライトオフ


大淀「うっ」アトズサリ


提督「こらこら、大淀を虐めるでない」


明石「はーい、ところで提督。どうやってここの鎮守府に来たんですか?」


提督「気合で来た」


明石「大淀、教えて」


大淀「それが、資料にも極秘って書いてあるの」


提督「秘密が多い男ってかっこよくね?」


明石&大淀「全然、思いません」


提督「HAHAHA、厳しいな」


「ん、んー」


提督「感じる、感じるぞ・・・天使の目覚めだ」ギラッ


明石「分かってると思い――」


提督「うぉおおおおお」ダッ


明石「あ、こら!ダメですって!」


大淀「・・・」アセッ、メガネクイ


朝潮「う・・・ん」


提督「やぁ、お目覚めかい」サワヤカナエガオ


朝潮「・・・ヒッ」ビクッ


提督「怯えなくていいんだよ、傷は何処にもないんだから」ニコッ


朝潮「あ、あの・・・は、裸」


提督「ふっ、傷口が無いだろ?見てごらん」スッ、ジョウハンシンハダカ


朝潮「ち、近いです」ビクビクッ


提督「もっと近くで見ないとわかーー」


スパーン!


提督「ぐおおおおおお、明石ぃぃいいいいい」


明石「変態ですか?それとも修理が必要ですか?」ムチソウビ


提督「ムチはシャレにならんぞ」グオオ


明石「幼気な少女に上半身裸で近づくからです。怯えちゃってるじゃないですか」


提督「誰だって鍛え抜かれた身体を見せたいって思うだろ?」


明石「鍛え抜かれたというより・・・古傷ですか?ところどころ直した後がありますけど」


提督「おっと、失念していた。失礼」スルスル、バサッ


大淀「それほどの大きな傷跡、どうしたのですか?」


提督「ふふ、秘密だ」キリッ


大淀「はぁ・・・秘密が多すぎるのも、困りものです」


朝潮「あの、てい、とく・・・」オロオロ


提督「おう、提督だぞ」


朝潮「私、その・・・提督にっ!」


提督「おう、気にするな」


朝潮「そ、そういう訳にはいきません!」


提督「相変わらず真面目だなぁ、凄くいい子だ」


朝潮「え?」


大淀「前の鎮守府の話ですか?」


提督「おうよ、朝潮は主力艦隊にも参加してたからな」ニッ


明石「そんな子に刺されるなんて本望ですね」


提督「だろ?って、刺さってないがな」


明石「・・・(本当に人間なのかなぁー)」


朝潮「・・・私はそれでも」ブルブル


提督「朝潮」キリッ


朝潮「は、はい」ビクッ


提督「もう一度だけ言うぞ、気にするな」


朝潮「・・・う、うぅ」


提督「俺が知ってる天使なら、素直になってくれるだけでいいんだ」


朝潮「私は、天使ではありません。天使と言うのでしたら提督をこの手を・・・」プルプル


大淀「・・・」タ、タ、タ、ギュッ


朝潮「・・・!お、大淀さん?」


明石「あ、ずるい。私も」ギュッ


朝潮「あ、明石さん!」


提督「あ、俺も」


大淀&明石「ダメです」


提督「え、ひどくない?流れ的にOKじゃない?」


朝潮「・・・私は」


大淀「提督が良いと言うなら、気にするだけ無駄だと思います」ナデナデ


明石「そうですよ~、気にするだけ無駄です」ニコッ


朝潮「・・・ありがとう、ございます」ポロポロ


提督「・・・ふむ(しかし、何も知らなすぎても後手に回りそうだな。朝潮がここまで追い込まれてるとは、何かしら考えておかないとな)」




――――鎮守府、屋上。



提督「というわけで善は急げとラスボスの目の前さ」カチッカチッ、ボッ


時雨「また会ったね、運命かな」ハイライトオフ


提督「よう、相棒。まだ生きてるか?」スパー


時雨「・・・」ニコッ、


提督「いい景色だな」フゥー


時雨「そうだね、今日はいい天気だ」


提督「雨はまだ降ってるのか?」


時雨「詩人だね、誰の受け売りかな?」オフ


提督「置いてきた相棒(時雨、前の鎮守府)の受け売り」


時雨「ひどい人だね」オフ


提督「よく言われる、特に時雨にな」スパー、タバコウメェー


時雨「君には失望したよ。って言ってるはずさ。僕ならね。」オフ

       ・・・・・・・・・・・・

提督「そうか?危ないから早く戻ってきてって言われそうだけどな」


時雨「・・・面白いね」フフ、スッ


提督「だろ」ニヤニヤ


時雨は他愛の無い会話をしながら提督と一緒に景色を眺めて居るが、提督の右側に立っている時雨は、死角である右ポケットから、小さなナイフを取り出した。


時雨「こんな日は雨が見たいな」


提督「ほぉ、どんな雨だ?」


時雨「赤い雨、なんて・・・どうかな!」ザッ、ヒュン


ドスッ。


時雨は左足を軸にして後方回転するように右手に掴んだナイフをバックブローの要領で、提督の背中めがけてナイフを突き立てる。


提督「ここの艦娘はナイフ装備が流行ってんのか?」ポタッポタッ


時雨「・・・ッ!」


提督は右手でナイフを受けていた。手の平からナイフは突き刺さり手の甲へと貫通して、そこから赤い血が滴り落ちていた。


時雨「痛くないの?」オフ


提督「いや、痛いけど?」スパー


時雨「・・・」


提督「・・・」


時雨「人…なんだよね?」ハイライトオン


提督「少なくとも人から生まれたと思いたいね」


時雨「ナイフは抜かずに、そのまま明石の所に行くと良いよ。下手に抜くと出血が酷くなるから」


提督「殺す気はなかったのか?」


時雨「寸止したのに君が自ら手を伸ばしたんじゃないか」


提督「ばれてーら」スッ、グググ、ストン。ポタポタポタ


提督は刺さっていたナイフを抜いて、ポケットからハンカチを取り出すと丁寧にナイフを拭き始める。


時雨「・・・提督に手を出したんだ。僕は解体だね」


時雨はそう言うと、再び海の見える景色を眺めた。


提督「提督って呼んでくれるのか?」フキフキ


時雨「・・・僕は、その手の言葉遊びはそれほど好きじゃないかな」チラッ


提督「俺は好きだぞ、時雨も、言葉遊びも」ニヤニヤ


時雨「食えない人だね」フフッ

              ・・・・

提督「はは、よく言われたよ、時雨には」


時雨「お詫びに好きなところ刺していいよ」ハイライトウズマキ


提督「お詫びならこのナイフ貰っていいか?」


時雨「僕の体とかでも良いんだよ?」


提督「遠慮しとく、憲兵が怖い」


時雨「ナイフが怖くなくて、憲兵が怖いなんて面白いね」


提督「憲兵なめんなよ?アイツらトイレに居ても襲ってくるんだぞ」


時雨「そんな状況になるような事をしたんだね」


提督「トイレで襲われてたところを更に憲兵に襲われた」


時雨「面白い状況だね。見てみたいよ」


提督「襲ったのは同型艦だ」


時雨「僕か、向こうの僕は大胆だね」


提督「もしよかったら時雨から止めろって言ってくれないか?」


時雨「僕と共謀するって事になるかも」


提督「今のナシでお願いします」


時雨「考えておくよ」


提督「マジやめて」


時雨「ふふ」


提督「はは」


時雨「変な提督だね」ニコッ

             ・・・・・・

提督「おう、これから時雨によく言われる変な提督だぞ」ニヤッ


時雨「…これから、」


提督「ん?」


時雨「これからこの鎮守府でどうするつもり?」


提督「暗中模索だな、何しろ赤城と加賀がなにか企んでるしなぁ」


時雨「そういう事は分かってるのにあえて受けるんだね」


提督「逃げも隠れもしたくないからな」


時雨「僕から見たら自滅したがってるようにしか見えないよ」


提督「そっちのほうが格好いいだろ?」


時雨「今の僕には理解できないよ」


提督「そっか、どうだ?」スッ


提督は右手の掌を見せる。


時雨「ッ!?」


時雨は少し驚いた顔で提督の右掌を見た。ナイフで出来たはずの傷口は塞がっていて、むしろ刺す前とまったく変わらない掌(てのひら)。


提督「面白いだろ?」


時雨「僕にそれを見せても良いのかい?」


提督「ん?どういう意味だ?」


時雨「僕が向こう側(赤城と加賀側)とか考えないの?」


提督「時雨は時雨だろ?そんなのは一つも考えないな」


時雨「本当に変な提督だね」フフ


提督「だろ?照れるぜ」


時雨「・・・」


提督「よくここに居るのか?」


時雨「うん、雨の日でもよくいるよ」


提督「そうか、邪魔じゃなければたまにここに来るか」


時雨「歓迎するよ、でも誰かに嫉妬されないかな」


提督「嫉妬?今の時点で嫉妬とかあるのか?」


時雨「提督なら分かると思うよ」フフ


提督「好かれるのは嬉しいが、その前に殺されないようにしないとな」


時雨「これから、どうするの?」


提督「どうするかな、演習でもしてみるか」


時雨「言うことを聞いてくれるかな?」


提督「先ず現状では無理だな、ボーキサイトが無いから兎にも角にも、遠征を頼まなくちゃならないしな」


時雨「八方塞がりだね」フフ


提督「そうだな」ハハ


時雨「提督、この後は?」


提督「飯でも食うか、って言いたいけどな。間宮っちが居ないんだよな」


時雨「ああ、それなら町にいるよ」


提督「町?艦娘がなんでまた?」


時雨「前の提督が間宮の給金をカットしてね。と言っても皆も同じなんだけど」


提督「おいおい、そんなの資料に載ってなかったぞ?」


時雨「反発した子達は解体か海に…」


提督「・・・そうか、まずは知らないことを知るべきだな。時雨、付いてきてくれるか?」


時雨「僕は構わないよ。なんだってするさ」

   ・・・・

提督「なんでもはしなくていい」


時雨「ふふ、冷たいね」


提督「前にそう言ってひどい目にあったからな」



――――町、商店街。



提督「ここは(女性が)多いな」


時雨「提督?」


提督「いや、なんでもない。行こうか」


時雨「うん」


――――甘味処「間宮 出張店」。


提督「ここか、」


時雨「うん、そうだよ」


提督「来たことがあるのか?」


時雨「ううん、聞いたことがあるだけだよ。外出許可なんて申請しても却下されるから」


提督「そうか、今度からは普通に出していいって言っておいてくれ。今は俺の言葉なんて通じないからな」


時雨「分かったよ、僕に任せて。」


ガラガラ。


?「いらっしゃいませ。甘味処「間宮 出張店」へようこそ!」


提督「間宮っち、本当に居た」


間宮「そ、その制服、もしかして提督さん」


提督「新しく着任したばかりでね。よろしく」


間宮「か、解体の通告にいらしたのでは?」ビクビク


提督「まさか、それよりもあんみつ食べたい」


間宮「あんみつ・・・ですか?」


提督「前の鎮守府ではよく作ってくれたんだよ。愛情入りですよとかよく言ってくれた」


間宮「あ・・・え・・・」マッカ


提督「時雨も何か食べるか?」


時雨「僕も提督と同じものが食べたいな」


提督「奢りだから遠慮するなよ?」


時雨「同じものが食べたいな」ニコニコ


提督「怒ってないよね?」


時雨「僕が?まさか、怒ってないよ」ニコニコ


間宮「ふふ、すぐにご用意しますから、席についてお待ち下さいね」タ、タ、タ



――――数分後。



間宮「おまたせしました。こちらが温泉あんみつになります・・あ・愛・・・」マッカ


提督「ありがと、いや、言わせるつもりはないから大丈夫だよ」


間宮「あら、そ、そうですか?ふふ、やだ、私ったら」アセアセ


時雨「提督、優しいんだね」ハイライトウズマキ


提督「時雨、目が笑ってねぇーぞ?」


時雨「だって、僕より話し方が違うじゃないか」ニコニコ


提督「個別に話し方を変えるのは出世するんだぞー、まぁ嫉妬は買うがな」


時雨「今まさにだよ」ニコッ


提督「時雨は面白いなぁー」ハハハ


間宮「ごめんなさい、時雨ちゃん。デートなのにお邪魔しちゃって」


時雨「そう見えるかな?そうだと嬉しいな・・・ううん、きっとそうなんだよ」


提督「間宮っち、そう言うと本気にしちゃうからやめてくれるかい?」


間宮「あら、そうなのですか?ごめんなさい、そういう関係は疎くて」シュン


提督「はっはっは、いいんだよ」


時雨「・・・」スッ


提督「時雨よ、あんみつ乗せたスプーンをなぜ俺に向ける」


時雨「あーんだよ」


提督「そもそも同じあんみつだろうが、とりあえず、話が進まないから本題に入るぞ時雨。間宮っち」


間宮「本題・・・ですか?」


時雨「・・・」パクッ


時雨は少しだけ不機嫌そうにあんみつを口にする。提督はそれを見つつ、間宮に出張店を設けるに至った経緯を聞くことにした。



――――説明後。



提督「やっぱり前提督が絡んでるのか。カットした分は自分で稼げと、出張店の売上についてもマージンを徴収する徹底ぶりには呆れるな」


間宮「提督が決めたことなので私は従うだけですが」


提督「いや、あとで帳簿を見せてくれ。つけるなとは言われてただろうが、店をやってるなら取引は必須だ。必ずあるだろ?」ニヤッ


間宮「・・・はい」


提督「前提督はもう居ない。カットされた給金の保証もちゃんとする」


間宮「そこまで―」

       ・・・・ 

提督「ダメだ。そういうのは必ず清算する。給金についての保証内容は大本営に直接言っておく」


間宮「それは、提督の立場を悪くしてしまうのではないでしょうか?」


提督「立場の前に、その事が露見すれば他の鎮守府の艦娘が黙ってないだろうな(特に前に居た鎮守府の奴らなら)」ハハ


間宮「とても悪い顔してますよ、提督」フフ


時雨「・・・」モグモグ


提督「美味しいか?」


時雨「うん、美味しいよ」


提督「・・・」スッ



提督は自分のあんみつを掬うと時雨の口元に差し出した。

時雨はそれを見ると膨れた表情で見ながら。


      ・・・・・・ 

時雨「提督、同じあんみつだよ」


提督「食べないのか?」


時雨「もちろん食べるよ」パクッ


間宮「あら、提督からあーんなんて、羨ましいですね。女性の心のフォローもお上手です」フフ


提督「どうだろうな、来たばかりで右も左も分からない状態だしな」


間宮「謙遜しなくても大丈夫ですよ。私もドキドキしちゃいましたから」


提督「そうか?」パクッ


時雨「・・・(間接・・・ふふ、提督は気にしなさそうなタイプだね)」ニコッ


提督「美味いな」


間宮「ありがとうございます」


時雨「ありがとう。」ニコニコ


間宮「え?」


提督「間宮っち、突っ込んだら負けだぞ」スッ、モグモグ


間宮「あ、はい。・・・提督、この後はどうされますか?帳簿は手書きですので、集めるのに少し時間が掛るのですが・・・」



間宮は申し訳なさそうに両手を合わせながら女性らしい仕草で提督に問いかける。提督はあんみつを食べるのを一旦やめて間宮を見る。



提督「ああ、待つよ。って言っても、鎮守府に戻るから、資料は業者を使って送ってもらって構わない」


間宮「分かりました。正直に言うとダンボール二つ分でしたので大変でした」アセッ


提督「大本営を焦らせるには十分だ」ハハ


間宮「・・・え?」キョトン


時雨「悪い顔してるよ」


提督「悪巧みだからな」ニヤッ



――――鎮守府、執務室。


ガチャ。


提督「ただいま」


時雨「戻ったよ」


大淀「二人ともおかえりなさい。提督、急にお出かけでしたから、ご一緒できなくてごめんなさい」


提督「いや、それについてはこちらこそ悪かった」


大淀「何か急な用事でしたか?」


提督「ああ、間宮っちのところに行ってた」


大淀「間宮さんですか、いろいろあってから会えませんでしたが大丈夫でしたか?」


提督「戻ってくるから大丈夫だろ」シレッ


大淀「え!?戻って?本当ですか?」


提督「優しいからな間宮っちは」


大淀「あれだけの事されてもう戻ってきてくれないと思ってたのに・・・脅しました?」


提督「酷くね?」


大淀「・・・」ジッ


提督「え?まじで疑ってる?」


時雨「大丈夫だよ、あんみつ食べてきただけだから」


大淀「あ、ズルい。ズルいです!」ムッ


提督「あ、今の可愛い」


大淀「茶化さないでください!本当に羨ましいんですよ。間宮さんが居なくなってから大変だったんですよ」



大淀は額に手を当ててこれまでの苦労を思い出すかのように提督に言った。



提督「食に関してはそのまま士気にかかわるからな、前提督が何をしたかったのかは、まだ分からないけど」


大淀「そうですね、明らかに士気は落ちました。なんど進言しても結局は聞いてもらえませんでした」


提督「頑張ったなよどよど」


大淀「大淀です」ムー


提督「HAHAHA、まぁ間宮っちが戻って来る前に食堂の改装もしないとな」


大淀「改装ですか?特に改装するところなんてないと思いますが・・・?」


提督「夜間でも稼働するようにする」


大淀「夜間・・・どうしてですか?」


提督「他の鎮守府では夜間に遠征から戻ってきた艦娘には食事が出るけど、他の艦娘(待機中)に出すところは意外と少ないんだ」


大淀「確かに鎮守府の運営方針は提督の考え次第で変えることが出来ますね」


提督「んだ、夜間演習(遠征に含まれない)の後とかに腹が空いても、朝昼に申請しておかないと食べられないからな」


大淀「確かにそうですね。今はそれすらありませんが…」


提督「だからこそだ。そういう事はちゃんとしないと。それに、前の鎮守府だと俺が飯を作らされたからな。鳳翔さん居なかったら死んでた」


時雨「面白そうだね」


提督「作らんぞ、地獄を見たからな」


大淀「んー、食べてみたいですね」ニコッ


提督「聞いた上で要求するのかよ」


時雨「僕も食べたいな」


提督「それが増えていくんだよ」


大淀「でしたら、ここに居る三人だけの秘密ですね」フフ


時雨「秘密は共有しないとだよ」


提督「いや、作らんぞ?」


大淀&時雨「・・・」ニコニコ


提督「よし、鳳翔さん探すか・・・っと、その前に」タ、タ、タ


大淀「どうされました?」


提督「ちっとな」ジリリ、ジリリリ、ジリリリ、ジリリリリ


提督は執務室にある古びた黒電話の受話器を取ると、どこかにかけ始める。


提督「よぉ、なんだお前かよ」


?「ー、」


提督「ん?榊だけど?」


?「・・・ー、」


提督「知らんって、コードZ25REX125-8465これでどうだ?」


大淀「!?」ビクッ


時雨「どうしたの?」クビカシゲ


大淀「え、えーっと、あのね。」アセッ


?「・・・ー。」


提督「意地悪しないで最初っから繋げてくれよ」


?「・・・ー。」


提督「はいはい、規則規則、」


?「・・・。」


――――五分後。


?「ーーーー、ーー。」


提督「じっちゃん久しぶり、相変わらず生きてますね」


?「ーーーー。」


提督「ははは、こっちは色々な意味で楽しいですよ」


?「ーーー、」


提督「そういえば引退はいつするんです?引退してくれれば、一位になれるんですけどね」


?「ーー、ーーーー。」


提督「残念です。それで、本題なのですが、資料を送りますので大本営会議で議案に出して欲しいのですが」


?「ーーー。」


提督「ありがとうございます。怒られるかと思いました」


?「ーーー。」


提督「はは、」チラッ


時雨「・・・?」ニコッ


大淀「・・・」ソワソワ


提督「今は新米中佐です。それでは、失礼ながらこちらから電話を切らせていただきます」


?「ー。」


提督「はい」ガチャ


大淀「あの、提督?」


提督「ん?どうした?」


大淀「先程のコードの事ですが」


提督「階級に合わない上位のコードだからかな?」


大淀「・・・はい」


時雨「それを知ってるとなにか大変なの?」クビカシゲ


大淀「前提督がそのコードを欲しがってたの。でも、一度でも使ってしまえばまた新しいコードが必要になりますよね」チラッ


提督「まぁ緊急用だからな」


大淀「それで、お金が…と、言っていたので」


提督「前提督が?なるほど、金を集めていた理由の一つかもな」


大淀「コードは様々な権限を法外的に行使も出来るはずです。連絡に使うようなコードじゃないのに」


提督「勿体無いとか?艦娘の為に使えるなら別に良いと思うけどな」


大淀「提督、欲が無い人ですね」ニコッ


時雨「僕は欲深いほうがいいな」


提督「どういう意味だよ」


時雨「僕のこと好きにしちゃうとか」


提督「短時間でそこまで好意的なのは嬉しいけどな、今は忙しいんだ、数年先にしてくれ」


時雨「とても長いね」


提督「忘れれば一瞬さ」


時雨「・・・(どうしてだろう、すごく重みがあるね)」


提督「さて、鳳翔さんは何処だ?」


大淀「鳳翔さんでしたら艦娘寮の部屋にいると思いますよ」


提督「ちょっと交渉してくる」


大淀「鳳翔さんなら大丈夫だと思います」


提督「それを聞いて安心したよ」タ、タ、タ、ガチャ、バタン


時雨「・・・どうだろう」


大淀「え?」











――――艦娘寮、鳳翔の部屋前。



提督「・・・(居るのは分かるんだが、なんだこの・・・感じは)」


提督はノックをしようとした瞬間に何かを感じ取った。それはこれまで感じた殺意とは違い。とにかく異質としか言えないような空気を感じ取る。


?「どうぞ」


提督「・・・」ガチャ


・・・

ノックをする前に部屋へ入るように促され、提督はドアノブを掴んで中へと入っていく。


提督「・・・失礼するよ」


鳳翔「お構いできなくてごめんなさい、提督」ジッ


提督「いや、急に来たのはこちらだ、無礼をお詫びする」


鳳翔「提督、そう畏まらないで下さい。私まで緊張してしまいます」ニコッ


提督「・・・」

                                        ・・   ・

鳳翔はそう言うが、目は笑っておらずただひたすらに瞳の奥は暗く、今のところまで見た艦娘よりも何かをはらんでいた。


鳳翔「お茶にしましょうか」


提督「お言葉に・・・いや、貰うよ」


鳳翔「はい、準備しますね」ジッ



鳳翔らしいと言えばそれまでだが、お構いできないと言う割には、本格的な茶道のようで、使っている道具は寮であるため炭ではなく、電気炉を使っているが、すべての作法は茶道と変わらず、何処か緊張感のあるような雰囲気が漂っていた。



鳳翔「提督、茶道の心得があるのですね」


提督「じっちゃん・・・いや、三島元帥殿にしごかれましたから」


鳳翔「それは、災難でしたね」ニコッ


提督「そうですね、軽く恨んでます」ハハ


鳳翔「それはいい考えですね」ニコニコ


提督「・・・言葉遊びですよ」


鳳翔「ふふ、もちろん分かっていますよ」ジッ


提督「さすがですね(互いに探り合いだな)」


鳳翔「探り合いは苦手ですか?」


提督「顔に出てましたか?」


鳳翔「ええ、とっても可愛らしいですね」


提督「・・・」


鳳翔「提督、そう身構えないで下さい」


提督「そう見えるか?」


鳳翔「ふふ、それではどうぞ」ニコッ、スッ


提督「・・・」スッ


提督は一緒に用意されていた茶菓子を食べると、お茶碗を持ち上げ一礼した。


鳳翔「・・・」


提督「・・・」


提督は一口飲むと、茶碗を口元から胸のあたりに下ろした。


鳳翔「お加減いかがですか」


提督「とても美味しいです」


鳳翔「フフ、嬉しいです」


提督「折り入ってお願いがあるんですが」


鳳翔「なんでしょうか?」


提督「単刀直入に、食堂にもう一度、立ってほしいのです」


鳳翔「理由を聞いてもよろしいですか?」


提督はこれまでの経緯と改装する話、夜でも稼働できるようにしたい旨を話した。


鳳翔「とても良い考えですね」ニコッ


鳳翔は笑顔だがすぐに気配が変わっていくことに提督は気づいていた。


鳳翔「食堂の調理場に入ったのですか?」


提督「ええ、状態を確認するために入りました」


鳳翔「そうですか」


笑顔だが目は笑ってはいなかった。明らかに先ほどと同じ異質なものを感じる。殺意とかそういうものすら超えたような感覚。

ああ、これは死だと感じ取る。


鳳翔「提督、私は礼儀をわきまえてる方はとても好感が持てますが・・・」


提督「・・・」

     ・・・・

鳳翔「その姿のままに調理場に入ったのですか?」


提督「ええ、入りましたよ」ニヤッ


鳳翔「・・・そうですか、残念ですね」スッ


ガチャ。


時雨「そこまでだよ」


鳳翔が何かしらの行動を起こそうとした同じタイミングで時雨がドアから入ってきた。


鳳翔「時雨さん、ノックもしないではしたないですよ」ニコッ


時雨「僕が外に居たのは気づいてたはずだよ」ニコッ


鳳翔「ふふ、どうかしら?」


時雨「懐剣はしまってね」チラッ


鳳翔の右手に懐剣(かいけん、ふところがたな)が抜刀の状態で握られていた。提督からは死角になっており、いつでの斬りつけられる位置に鳳翔は居た。


提督「結局入ってきたのか?」


鳳翔「あら、保険を掛けていたのですか」フフ


提督「いや、何も」


鳳翔「・・・提督、面白い方ですね」


時雨「僕は勝手に付いてきてるだけだよ。提督からなにかしてほしいとかまだ何も言われていないんだ」


鳳翔「提督、ヘタレですか?」


提督「え、いきなりディスられたんだけど?鳳翔さんに言われるとへこむこの気持は・・・」


時雨「恋なら一緒に逝こうか?僕はどこまでも付き合うよ」ニコッ


提督「恋じゃねーよ。この流れからどうやって出てきた」


時雨「冗談はここまでにして、鳳翔さん、少し良いかな?」ジッ


鳳翔「・・・付き合いましょう」フフ




――――食堂、調理場。



鳳翔「提督、これは?」


提督「調理場だ」


目の前にあるはずの調理場は、調理場と言うにはあまりに殺風景だった。代わりに妖精たちが忙しなく動いており。古くなった壁を壊したり、壊れた壁を別の妖精が綺麗にしていく。床も同じで、横に整列した妖精たちが古くなった床を剥がし、その下のコンクリートを小さなストライカーで破壊して、別の列の妖精たちが綺麗にしていくのを繰り返していた。


鳳翔「・・・調理場に入ったのは壊す前提だったのですね」


提督「壊すっていうよりリフォームかな」


鳳翔「最初から言ってくだされば、私も事を荒立てることはなかったと思いますが」


提督「コンクリートの痛み具合が思ったよりも深刻でね、あのヒビが見える?」スッ


鳳翔「・・・」


提督が指を指した先に、妖精たちがまだ手を付けていない床のところに大きなヒビがあった。


提督「基礎のヒビってのは思ったよりも深刻なんだ、さらに言えばあの下に空洞が見つかってね。陥没したらどうなるか分かるかな?」


鳳翔「あの上にはかまど{ガスコンロ}が有りましたね」


提督「そういう事だ。つまり怪我もあるし、火災の危険性もある。そもそも設備投資を怠っていた前の奴のせいなんだが・・・」


鳳翔「他にもなにか?」


提督「黒くてテカテカしててすばやくてカサカサしてる奴が居てな・・・どんなに綺麗にしていてもやつは必ず居るからなこの際にと」ダラダラ


鳳翔「苦手ですか?」


提督「コードネームGだけは無理だ」ダラダラ


鳳翔「ふふ、だから苦手なのに調理場に入ったのですね」


提督「調理場に入る際はそれなりの服装で靴底殺菌して入ったぞ」


鳳翔「え?でもさっき、そのままの格好で入ったと」


提督「確かに言ったな」スッ


鳳翔「・・・あ、」


提督の指を指した先には調理などするときに使えるクリーンスーツが掛けられていた。その下にはコックシューズも置いており、近くには殺菌剤と靴底を洗浄するために使ったトレーが置いてあった。


鳳翔「意地悪ですね、提督」

           ・・・

提督「これを服の上から着れば、このままの姿で入れるだろ?」


鳳翔「ですが流石にあの様な物を使わなくても清潔な衣服に着替えて下されば、靴だけでも大丈夫でしたのに。私も割烹着で調理場に入りますから」


提督「明石の所にクリーンスーツしか無かったんだ。前の鎮守府にコックユニホームと道具やら置いてきてしまってな」


鳳翔「料理をなさるのですね」


提督「鳳翔によく教えてもらったからね」


鳳翔「私、ですか?・・・あぁ、それでしたら今度ご一緒に」フフ


提督「いや、作らんよ?」


鳳翔「よろしくおねがいしますね」フフ


提督「・・・はは(これ断れないやつだ)」


乾いた笑いが寂しく調理場に響いた。妖精たちの数人はその光景を見てそれぞれ笑っている。


妖精「・・・」ジロッ


提督「!この戦艦クラスの眼光、ヌイヌイの妖精!?やはり実在したのか!」キリッ


妖精「シズメ!」キリッ


時雨「どうしてそんなに嬉しそうなの?・・・何か用なのかな?」


提督「・・・」ジッ


妖精「・・・」ジッ


提督「分かった、後でな」


妖精「・・・ヨロシクデス」


鳳翔「よほど甘味が気に入ったのですね」


提督「今の分かったのか?」


時雨「僕には分からなかったよ」


鳳翔「みんな頑張ってるから、先程の金平糖をいただきたいと言っていましたね」フフッ


提督「目で伝わる程度だけどな、てか、ヌイヌイの妖精は喋ってたな・・・ここは特殊なのか?」


時雨「どうかしたの?」


提督「いやな、前に居た鎮守府の妖精さん達と同じと思っていたんだが、少し違うことに気づいてな」


鳳翔「それはそうですね」


提督「そうなのか?」


鳳翔「ふふっ、妖精さんも、提督のことが好きなのですよ」


提督「ここの鎮守府の好感度って上がりやすすぎないか?」


時雨「それは仕方がないさ、前のと違うのだから」ハイライトオフ


提督「前の奴か、資料が消されてるからな」


時雨「隠蔽かな?」


提督「どうだろうな、載ってない情報があったことだし、隠蔽で消されたかわざと記述してないかだな」


鳳翔「あまり、良くありませんね」ハイライトオフ


提督「・・・なにか分かったらちゃんと言いますよ」


時雨「本当に(他の人と話し方が)、違うね」ハイライトオフ


提督「・・・」スッ


時雨「・・・?」


提督「・・・」ポンポン


提督は時雨の頭に右手を乗せると数回、優しくぽんぽんとたしなめるようにすると、すぐに手を戻す。


時雨「・・・今のは僕が悪かったよ、ごめん」


鳳翔「あら、ふふっ、羨ましいわね」


鳳翔は両手をぽんっと合わせて右頬に左手の指先を当てると少し上目遣いで提督を見る。


提督「鳳翔さんも悪ノリしないで」


鳳翔「あら、私には窘めて下さらないのですか?」


提督「鳳翔さん相手だといさめるか、進言するになるよ」


鳳翔「それは、少し残念ですね」


提督「可愛らしい仕草だったよ」


鳳翔「ふふっ、褒めるところはちゃんと褒めてくださるのですね」


女性らしい仕草に考えるものはあるが、今はそれを考えてる暇はない。






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2018-05-30 06:46:04

SS好きの名無しさんから
2018-04-27 10:17:26

2018-04-08 17:17:12

SS好きの名無しさんから
2018-04-08 01:10:49

SS好きの名無しさんから
2018-04-07 00:24:59

SS好きの名無しさんから
2018-04-06 20:54:46

四季さんから
2018-04-06 20:21:27

無陰暴流さんから
2018-04-04 23:53:53

このSSへのコメント

11件コメントされています

-: - 2018-04-06 20:22:29 ID: -

このコメントは削除されました

2: パルシステム 2018-05-12 08:41:56 ID: 33Uynpch

めっちゃ面白い。続きに期待!!

3: 無名の決闘者 2018-05-30 12:32:43 ID: 7clnWMGT

期待大!待ってます。

4: CQC中毒 2018-06-10 09:46:53 ID: 5KPFCvuR

ターンAネタですかww

いやぁ
とても面白いです(゚∀゚ 三 ゚∀゚)
続き待ってますね♪

5: SS好きの名無しさん 2018-06-17 20:40:36 ID: _iHa3LbY

これひょっとして前作と繋がりある?

6: 四季 2018-06-18 01:34:16 ID: Ju0iFzrA

静かな雨でしたら全く別ですね。
息抜きで書くつもりなので更新は遅いです。
静かな雨の方が後作です。

7: SS好きの名無しさん 2018-06-18 18:39:49 ID: yBxPUGHk

あちゃーそうでしたか早とちりしてすみません。続き期待してます!

8: SS好きの名無しさん 2018-08-30 20:32:14 ID: D5BAhNz9

面白すぎぃ! ゆっくりでいいいので毎秒投稿して♪

-: - 2018-09-07 21:28:23 ID: -

このコメントは削除されました

-: - 2018-12-11 06:29:57 ID: -

このコメントは削除されました

-: - 2020-01-07 20:58:37 ID: -

このコメントは削除されました


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