2018-05-18 14:07:11 更新

概要

ことほのうみ編の続きです。希ちゃんへの相談の際に、海未ちゃんは以前のことを振り返ります。


私たち3人の関係について、穂乃果は何か特別なものを感じると言っていました。



それが何なのか、まだ穂乃果自身にも分かっておらず、もちろん私もことりも分かりません。



ですが、その話を聞いて私自身そうだと思う点もありました。



海未「穂乃果、ことり、私。」



穂乃果「私、ことりちゃん、海未ちゃん。」



ことり「穂乃果ちゃん、私、海未ちゃん。」



それぞれがお互いを呼ぶ。



それは当たり前のような、必然のような、無くてはならないもののような。



そんな感覚。



だからこそ穂乃果も当たり前の何かを超えた関係なのではないかと考えたのでしょう。



誰かに聞いて分かることではないとは思いますが、



私たちの身近でそれらしいことを知っている可能性があるのは、



もしくは何らかの考えを出せるのは、



たぶん希だと思います。



希に聞いてみるためにも、まずは夏休みの終わった学校に行くことにしました。



----音ノ木坂学院 3年生教室----



穂乃果「うーーー、夏休みが終わったのにまだまだ暑いねぇ」



海未「穂乃果!そんなに胸元をパタパタさせないでください」



穂乃果「だって暑いんだもーん。海未ちゃんは何で平気なのー?」



海未「暑いから寒いからといってだらけず、常に集中していればそこまで感じるものではありません。まずは言葉に出すことを止めて、物事に集中してみてください」



穂乃果「そんなの無理だよー。暑いものは暑いんだから!」



ことり「確かに今日は暑い気がするよね」



海未「あっ、ことり首元が汗ばんでますよ」



そういって私はことりの首元をハンカチで拭きます。



ことり「海未ちゃん、くすぐったいよ~」



海未「すぐ終わりますから我慢してください」



穂乃果「むーーーー」



海未「どうしました?穂乃果」



穂乃果「海未ちゃんやっぱりことりちゃんには優しいよねぇ。私には厳しいのに・・・」



海未「そんなことはありません。私は2人に対して優しいであったり厳しくしているつもりはありませんよ」



穂乃果「でも私の汗は拭いてくれないじゃん」



海未「拭いてほしいというのならばいつでも拭きますよ?」



穂乃果「ホント!?拭いて拭いて~」



嬉しそうな顔でこちらに穂乃果が近づいてきます。



いつもの穂乃果です。



ことり「穂乃果ちゃんも海未ちゃんに甘えたいんだね」



穂乃果「海未ちゃんだけじゃないよ?穂乃果はいつまでたっても、海未ちゃんとことりちゃんには甘えたい!!」ドヤ



甘えたいと言われただけではありますが、私は嬉しい気持ちになってしまいます。



少しの間、穂乃果と離れたこと。



自分たちの悩みを共有できたこと。



そして、今こうして3人でいられること。



不思議な縁、これは私たちに限ったことではないはずです。



私たちはこの3人であったということ。



それ以上でもそれ以下でもないはず・・・



穂乃果「うーーみちゃん!また何か考え事してるーー」



ことり「ダメだよ、1人で考えこんじゃ?」



海未「いえ、考え込むというよりは、この前穂乃果が言っていた私たちの関係が何か特別なものなのかという点を思い返していただけです」



穂乃果「私たちの関係・・・?」



ことり「穂乃果ちゃん、もしかして忘れちゃった?」



穂乃果「あはは・・・」



海未「全く・・・あなたが言い出したことですよ。私たちは今までこうして来られたのは、なにか特別なものがあるからではないかと。でも、それが何か分からないからあやふやだと言っていたではありませんか」



穂乃果「おお!そうだった」



ことり「穂乃果ちゃん、完全に忘れてたみたいだね・・・」



海未「そういえば、その件で希に連絡をしていましたが、返信はまだありませんね」



ことり「希ちゃんも何かと忙しいのかもしれないね」



穂乃果「そっかー、希ちゃんとまたお話したいなぁー」



海未「放課後に電話してみます。とりあえずは会って話が出来るかだけ確認を取りますね」



穂乃果「うん、よろしくね、海未ちゃん」



平穏な毎日が過ぎていく中で、私は以前考えていた2人との今後について思い返していました。



いずれは今と同じようにはいられなくなる。それを悩むことも大切であり、それだけ穂乃果とことりは私にとって大きな存在であること。



1人で考え、悪い方向に考えるよりも、誰かに想いを伝え、どうしていくか。



残り半年ほどの高校生活で、私は答えを見つけ出せるでしょうか。



私はまた考え込んでいますね。



人間そう簡単には変われないようです。でも、今はそんな自分が前よりも気に入っています。



なんとなくなんですけどね。



海未「さて、もう1度希に連絡とってみましょう」



携帯を取り出し、慣れた手つきで連絡先から希へと電話をかける。



これも何度もしてきたこと。



何度かコール音が鳴った後、希が電話に出る。



希「やっほー、海未ちゃん。ごめんなぁ中々返信できなくて」



海未「こんにちは、希。いえ、急な連絡をしてしまいすみません」



希「最近ちょっと忙しくてなぁ。中途半端にするのも嫌やったし、勝手だけど返信してなかったんよ」



海未「そうですか。こちらは急ぎではないので時間のある時で大丈夫ですよ」



希「ううん、海未ちゃんが電話までしてくるってことはウチにしか聞けないことなんやろ?だとしたらウチは話聞きたいな」



海未「ですが、忙しい時にまで聞いてもらうのは・・・」



希「海未ちゃん」



希はただ私の名前を呼んだ。本当にただ呼んだだけだった、でも、



希の言いたいことは私はすぐに分かりました。



海未「希、今度私たちに時間をもらってもいいですか?」



希「海未ちゃんからのお願いを断る理由なんかないやん?」



海未「では今度の休みにでも・・・」



希「あっ!海未ちゃん達って放課後は時間あったりするんかな?」



海未「そうですね、今は比較的時間に余裕がありますがなぜですか?」



希「ウチが音ノ木坂学院に行くことにする。そこで話しようか」



海未「学校に来てもらえるのであればこちらとしてもありがたいですが、大変ではありませんか?」



希「この前絵里ちと行ったときは、まだ夏休みだったし、生徒もあんまりいなかったからね。1年生・・・いや今は2年生か、あの3人にも会いたいなぁて思ってね」



海未「分かりました。では希の都合の良い日に私に連絡ください」



希「りょーかい!じゃあ、またね海未ちゃん」



そう言って希との電話は終わりました。希に名前を呼ばれたとき、希と凛に相談したときのことを思い出しました。



頼ってくれないことは寂しい。



誰かを頼ることは、迷惑をかけるだけでなく、必要とされていることに繋がる。



今回の事は思い当たらない答えを知っているかもしれない希に相談してみる。



ただそれだけのこと。



相談できる、話が出来る間柄を、



私も希も求めている。



----電話後-----



希「口ぶりからして以前ほどの悩みやないとは思うけど、わざわざウチに聞きに来るってことは難しめの内容かもしれないなぁ」



希「どちらにしても、音ノ木坂学院に行きたいってのはウチの気持ちやし、久しぶりに色々見て回りたいな」



希「ウチの話も聞いてほしいところやしね」


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