2018-05-31 20:52:27 更新

概要

提督が久しぶりの休暇のため、旅に出ていた途中で怪我をしている綾波とユニコーンと出会い・・・


「こっちです。」


1人の女の子がぬいぐるみを抱いた少女の手を掴み走る続ける。


「!? 追手が来たのです・・・隠れるのです!」


咄嗟に隙間を見つけて中に入り込む2人、


「・・・・・・」


しばらく隠れた後、追手の気配が無くなって隙間から出る2人。


「掴まる前に、早く本拠地へと戻るのです。」


再び少女の手を掴んで、走り始めた。


・・・・・・

・・・




「さて、どこを回ろうかな・・・」


提督が久々の休暇に別世界へと旅をしていた。


「村雨には何かお土産を買って行こう、あの子の喜びそうな物は、と。」


歩いていると、売店を見つけ入店する提督。



「この世界は技術が進んでいるな、街並みが多いし店も豊富で賑やかだ。」


住んでいる世界と違い、そこら中に活気あふれる声が充満し、売店も多く購入に迷う程だ。


「村雨や他の皆と一緒に来ていたら、さぞ新鮮だっただろうな。」


そう思いつつ、提督は1人歩き回った。


・・・・・・


「2人は見つけたか?」


「いえ、まだ見つかっておりません!」


「必ず見つけ出して捕縛しろ! 分かったな!」


追手のリーダーだろうか、部下に声を荒げて指示を出す。


「・・・・・・」


ぬいぐるみを抱いた少女は怖くて体を震わせていた。


「大丈夫です、綾波が側にいるのです。」


綾波と名乗った女の子が少女の手を握る。


「綾波が絶対に守るのです・・・そんな怖がらなくていいのです。」


綾波は少女の手を強く握って、


「いなくなったようなのです、行くのです!」


綾波は少女を連れて再び歩き始めた。


・・・・・・


「これを買って・・・おおっ、これもいいな。」


提督がお土産コーナーで物色中、


「うん、これだけ買えれば・・・村雨が喜んでくれるといいなぁ~♪」


提督は清算を済ませ、店から出た。



「? おや?」


提督が見た物・・・それは、


「怪我をしてるです、 包帯を巻くからじっとしてほしいのです。」


公園で怪我をしている女の子と包帯で患部を巻く女の子の姿が・・・


「・・・これで大丈夫です、後は止血すれば。」


そう言って、立ち上がった途端、


「見つけた!」


2人の前に複数の人間が現れ、


「2人を捕まえろ!」


リーダーの指示で一斉に襲い掛かる、


「逃げるのです!」


怪我をした子の手を掴んで必死に走り出した。


「・・・・・・」


提督はその光景を見つめていた。


・・・・・・


「もう逃げられないぞ、いい加減諦めろ!」


「・・・・・・」


綾波は少女の前に立つ。


「どういうつもりだ綾波? 我らの人質を勝手に持ち出すとは。」


「・・・・・・」


綾波は無言のままだ、


「まぁいい、どちらにしろ綾波! お前も戻ったら厳罰が待っている、諦めて降参しろ!」


リーダーの指示で綾波たちを囲み、徐々に近づいて行く。


「・・・・・・」


それでも綾波は少女を庇い、身を挺した。


目の前にいた女性が武器を振りかざした・・・その時、


「おっとストップ~!」


その場に提督が居合わせた。


「何だ貴様は?」


「・・・名乗るほどでもない、ただの通りすがりだ。」


提督は綾波の側に寄り、


「大の大人が怪我をしている女の子を襲おうなんて真似は良くないぞ?」


「黙れ! ただの通りすがりが余計な口を叩くな! そこをどかないと貴様もただでは済まんぞ!」


「お~、怖っ。」


提督は呆れて、


「まぁ、理由はあるようだけど、目の前で怪我をして無防備な女の子が襲われているのは放っておけない主義でね~。」


「・・・そうか、皆の者! その2人と通りすがりも全員片付けろ!!」


リーダーの指示で一斉に襲い掛かる。


「・・・やれやれ。」


提督は構える。


・・・・・・


「もう終わりか?」


襲い掛かった全員を返り討ちにして、リーダーらしき人間に尋ねる。


「くっ! 撤退しろ! 貴様、このままで済むと思うな!!」


そう言って、提督の前から姿を消した。


「全く近頃の弱い者いじめは・・・最後は尻尾を巻いて逃げて、まぁ情けない。」


提督が愚痴っていると、


「あ、ありがとう・・・ございます。」


綾波がお礼を言う。


「ああ、別に本当に通り過ぎただけだから気にしなくていいよ。」


「・・・もう大丈夫です、先を急ぐのです。」


そう言って、綾波が手を差し伸べた瞬間、


「!? どうしたのです!?」


女の子が突如倒れた、


「しっかりして欲しいのです!」


綾波が必死に呼びかける。


「・・・ちょっといいかな?」


提督が代わりに彼女の安否を看る、


「・・・熱がある、そしてひどく疲れているな。」


提督は女の子を抱くと、


「どこへ行くのか知らないけど、まずはこの子を治す方が優先だ・・・近くに泊まれる場所を探そう。」


そう言って、提督は抱きかかえたまま歩き始める、


「・・・・・・」


綾波も提督の後について行く。


・・・・・・


その後、簡易旅館を見つけ3人は部屋に入った。


「えっと、君の名前は?」


「綾波です。」


「そうか、綾波、風呂場にあるタオルを水で濡らして絞って持って来てくれ。」


「・・・わかったのです。」


提督は彼女をベッドに寝かせ、布団を掛ける。


「お待たせしました、のです。」


綾波から濡れタオルを受け取ると、額にのせ水を少しずつ口に注ぐ。


「・・・・・・」


息が荒かった女の子の息が正常に戻った。


「落ち着いたな、数日休ませれば治ると思う。」


「・・・よかったのです。」


綾波は安堵の息を漏らした。


「・・・しかし。」


提督は綾波に尋ねた、


「綾波たちは何であいつらに狙われているんだ?」


提督の質問に、


「あの人たちは、綾波と同じ仲間、です・・・昨日まではですが。」


「? 仲間? それに昨日までってどういう事?」


提督は訳が分からない、


「じゃああの子は一体何者? どうして綾波と一緒に狙われているんだ?」


「・・・それは。」


綾波はしばし無言でいたが・・・


「あの子・・・ユニコーンは綾波のいた本拠地の捕虜だったのです。」


「? 捕虜?」


提督は首を傾げた。


・・・・・・

・・・



綾波の説明により、状況が理解できた提督。


「つまり綾波がいる組織が「レッドアクシズ」って名前の勢力なんだな?」


「はい。」


「あの子、ユニコーンがいた組織が「アズールレーン」って言う勢力なのね?」


「はい。」


「元は1つの連合艦隊だったのが、上官の互いの方針の違いから2つの勢力に分裂した、ってことなんだな?」


「・・・はい。」


「それで、アズールレーン本拠地にレッドアクシズ勢力が奇襲をかけ、その際にユニコーンを捕縛したと?」


「そうです。」


「それで綾波はユニコーンを本拠地に返すために、彼女を逃がすために本拠地から連れ出したってこと?」


「・・・はい。」


事情は分かったが、提督には1つの疑問が残った。


「どうしてあの子を逃がそうとしたんだ? そのせいで仲間には裏切り者として烙印を押されたんだぞ?」


提督の言葉に、


「毎晩、「お姉さん」って泣きながら呟いているのを見てて、可哀そうに思ったのです。」


「・・・・・・」


「お姉さんの方も妹がいなくなって悲しんでいると思ったら・・・放っておけなくなって。」


「・・・・・・」


「綾波が食事運びをしていて、ユニコーンと顔合わせをしていたので・・・「ここを出よう」と言って昨日、一緒に本拠地から出ました。」


「・・・・・・」


「後は、皆に見つかって掴まりそうになった時に、おじさんが助けてくれた、のです。」


「成程ね。」


提督は納得する。


・・・・・・


ここは「レッドアクシズ本拠地」。


「捕縛に失敗しただと? それだけの人数で何故2人を捕まえられないのだ!!」


レッドアクシズ指揮官秘書艦の「赤城」が部下を罵倒する、


「申し訳ありません、赤城さん。 あの2人以外にもう1人の人間によって邪魔が入りまして・・・」


「言い訳はいらん! たかが1人増えたところでこのザマ・・・加賀よ、ここにいる全員を処刑場に連れて行け!」


「分かりました、赤城姉さま。」


赤城の指示に、加賀たちが部下たちを連れて行く、


赤城の命令の前では「失敗は”死”」を意味する・・・部下たちは抵抗することなく処刑場へと連れて行かれた・・・


「全く、あの方に何と伝えればいいのやら。」


赤城は部下の失敗に深いため息をつく。


「仕方がない、ほれ蒼龍に飛龍! お主らがあやつらの代わりに2人を捕縛して参れ!」


「はっ!」


「了解です、二航戦の実力を見せてやります!」


蒼龍と飛龍が立ち上がり、準備に掛かる。


「それと、2人に加わっている人間は公にならぬように早々に処分するのだ!」


赤城はもう1人の人間の抹殺命令まで下した。


・・・・・・


ここは簡易旅館、


「・・・・・・」


綾波はユニコーンの腕を掴みながら、今後の予定を考えていた。


「昨日はおじさんのおかげで、何とか助かったけど・・・赤城さんの事だから今度はもっと実力のある刺客を


 出して来るに違いない、です。」


綾波が考えていると、


「開けてくれ、オレだ。」


提督が買い出しから戻って来た。


「たくさん買って来たぞ、これだけあれば数日はこの部屋で生活できるな。」


提督は休むこともなく、調理を始めた。


「あの、おじさん?」


綾波は申し訳なさそうに尋ねる、


「心配するな、旅館には数日分の宿泊費を追加しておいた、当面大丈夫だ。」


「いや、あの・・・」


「腹が減ったか? 悪いな。 もう少しで出来るから少し待ってくれ。」


「違うのです・・・お、おじさん!」


綾波は声を荒げて、


「申し訳ない、のです。」


綾波は深々と頭を下げた。


「? 何が?」


提督は綾波の謝罪に首を傾げる、


「無関係なおじさんを巻き込んでしまって・・・本当に申し訳ないの、です。」



本当なら2人で何の問題もなく逃げ切るつもりが、自身の失敗で見つかり捕縛されかかった時におじさんによって


助かったが、そのせいでおじさんまで狙われてしまう事になって悔やんでいる綾波。



「乗り掛かった舟だ、気にするな。」


相変わらず、提督はのんびりである。


「でも、あの子を本拠地へ連れて行くまでは協力しよう、その後は解散でいいな?」


「・・・はい、助かります、です。」


綾波は素直に礼を言った。



「ユニコーンを連れて行くまで」、提督と綾波はそのつもりだったが、まさか長期間一緒に過ごすことになろうとは


この時の2人は知る由もなかった。



・・・・・・


数日後、


ユニコーンの体調が戻った。


「良かったのです。」


側で見守っていた綾波が安心する。


「・・・ありがとうお姉ちゃん、それに・・・お兄ちゃん。」


初めて口を開いたユニコーン、


「オレは清算をしてくるから、2人はこの部屋にいろ・・・オレが戻ったら出発するぞ。」


そう言って、提督は部屋から出て行った。



「こちらが数日間の宿泊代金になります。」


受付で清算している提督、


「?」


旅館に入って来た女性2人、手には旅行バッグ・・・ではなく、武器?


「・・・・・・」


2人は受付で何やら会話を始め、少し経った後階段へ足を運んだ。


・・・・・・


「開けてくれ、オレだ。」


提督の声を聞いて、綾波が扉を開ける。


「出発の準備が出来たのです。」


見ると、ユニコーンも着替えを済ませて行く準備が整っていた。


「そうか、だが行く前に刺客の相手が必要のようだ。」


「刺客? 誰が来たのです!?」


綾波は咄嗟にユニコーンをベッドの下に隠れるよう指示した。


「誰かは分からないけど、青っぽい服装で頭に兎の耳が生えていたかな。」


「! 蒼龍さんと飛龍さん! 赤城さんの幹部なのです!」


そう言っている内に、


「綾波! ここにいるのは分かっているわ! 今すぐこの扉を開けなさい!!」


蒼龍らしき声が入り口から聞こえて扉を叩く、


「手荒な真似はしたくない、今すぐここを開けて。 赤城さんも今回のあなたの不祥事は見逃すと言っているわ。」


前の刺客と違い、温厚な口調で語りかけて来た。


「・・・・・・」


綾波は扉の前で佇んでいた、


「開けなさい、綾波もまだ普通に生活したいでしょ? それなら早くこの扉を開けて連れ去った捕虜を私たちに渡して。


 そして私たちと一緒にレッドアクシズに帰りましょう。」


「・・・・・・」


蒼龍の言葉を信じているのか、綾波はそっと扉に手を掛けようとした。


「待て。」


直前で提督が止める。


「何か聞こえないか?」


提督の言葉に、綾波は耳を澄ませる。



カチャカチャ・・・



「何の音だ?」


提督が考えていると、


「蒼龍さん、何か作業しているのですか?」


綾波の問いに、


「何もしていないわよ、私と飛龍が待っているだけ。 そうでしょ飛龍?」


「ね、姉さま! まだ火薬仕込み途中ですよ?」


飛龍の言葉に、


「飛龍!?」


「!? あっ、しまった!!」


飛龍はすぐに口を閉じるが、当然綾波たちの耳にも入り、


「逃げるぞ2人とも!」


提督は綾波とベッドの下に隠れていたユニコーンを担ぐと、旅館の窓を開けた。


「お、おじさん! ここ3階、なのです!」


「見ればわかる!」


3階など気に掛ける様子もなく、2人を担いだ提督は飛び降り、地面に着地する。


「!? 綾波たちが飛び降りたわ! 飛龍! 何をしているの、早く追いかけなさい!!」


「分かってますって姉さま!」


飛龍が急いで階段を駆け下りた。


「走るぞ!」


3人は出来るだけ遠くへと逃げた。


・・・・・・


「くそっ、どこへ逃げた?」


飛龍が必死に捜索する、


「偵察機を飛ばそう。」


そう言って、上空に向けて飛ばそうとした刹那、


「待ちなさい。」


直前で蒼龍が止める。


「姉さま! どうして?」


「こんな所で偵察機なんか飛ばしたら、街中が混乱して捜索どころじゃなくなるわよ。」


蒼龍の言葉に納得する飛龍。


「加賀さんに報告するわ、もちろん飛龍が口走った事もね。」


「姉さまぁ~そこは勘弁してください。 わざとじゃないですって~。」


そう言って、2人は立ち去った。



「行ったか綾波?」


「はい、蒼龍さんたちが去って行きました。」


小屋に隠れていた3人が出て、


「今の内に行くのです、赤城さんのことだからもっと増援を投入する可能性が高いです。」


「そうか、では急がねばな。」


提督が先導し、綾波はユニコーンの手を掴んで一緒に歩き始めた。



「それで、アズールレーンの本拠地はどこにあるんだ?」


当然ながら提督は本拠地の場所を知らない。


「港にある「鎮守府専用船」に乗って、近海航路を選んで終点まで行けば・・・アズールレーン本拠地のはず、です。」


「本拠地のはず?」


「すいません、綾波は艤装を装着して海上を進んでいたので、船で渡った事が無いのです。」


「あ~なるほどね。」と思った提督。


「なら話は早い、鎮守府専用船に乗ってユニコーンを送り届けよう!」


提督の意見に賛成し、3人は港まで進んだ。


・・・・・・


船のチケットを買い、楽に乗船できた3人。


「追手がいると思ったが、どう言う事だ? 追跡を諦めたか?」


疑問を感じつつも船が出航、本拠地に向けて出発した。



「・・・・・・」


すぐに異変に気付いた提督、


「この船、オレたちを除いて誰も乗っていない?」


提督の言葉に、綾波もはっとした。


「遂に追い詰めたぞ、綾波とユニコーン!」


声がする方向を見ると、


「!? か、加賀さん!」


先ほどの蒼龍、飛龍に次いで正面に立つ白狐の女性の姿が、


「誰だ、あいつは?」


提督の問いに、


「加賀さん・・・赤城さんの妹で指揮官の副秘書艦なのです。」


「・・・・・・」


加賀が近づき、


「もう逃げられないぞ、諦めて大人しく捕虜を渡せ。」


「・・・・・・」


綾波はユニコーンを庇う、渡す気は無いようだ。


「ふん、何故捕虜に同情して逃がそうとしたのかは知らんが、綾波! お前も戻ったら処刑される運命だ!」


そう言って、加賀は構える。


「それと貴様!・・・その2人に何故肩入れしてるか分からんが、邪魔だ。 死ね!!」


加賀の合図で蒼龍と飛龍が艦載機を飛ばしてきた。


「・・・ふぅ~。」


提督は綾波の前に出て、


「ユニコーンを連れて船内に入っていろ。」


提督の指示で綾波はユニコーンと一緒に船内に逃げる。


「逃がさん! 艦載機、綾波を攻撃開始!!」


提督に飛ばした艦載機の半数が綾波に向けて突撃、


「させるか。」


提督は武器を取り出し、艦載機を真っ二つに切り捨てた。


「何!」


続いて蒼龍・飛龍が提督に向けて艦載機を飛ばすが、


「・・・・・・」


攻撃を簡単に躱し、反撃で艦載機を次々と切り捨てて行く。


「もう終わりか?」


提督が加賀達に向けて武器を突き出す、


「おのれ、少し出来るからと言って調子に乗るなぁ!!」


本気になった加賀が全艦載機を召喚、一斉突撃させた。


・・・・・・

・・・



「貴様・・・一体何者だ!」


加賀の精鋭艦載機は提督によって全て破壊、当の提督は・・・無傷!


「加賀さん、撤退しましょう!」


艦載機が切れた飛龍が加賀を説得する。


「このまま戻っても、私たちに待っているのは完全な「死」だ、何としても食い止める!」


今度は加賀自身が肉弾戦を仕掛けた。


「・・・・・・」


提督は武器をしまって、攻撃を回避し続けた。


「このっ! くっ! 紙切れのように避けおって!」


加賀は怒りを露わにした。



避け続ける提督と、次第に疲れて動きが鈍くなる加賀。


「止めとけ、お前の攻撃は当たらないよ。」


「な、舐めるなぁ!!」


提督の挑発に激高した加賀が猛攻撃を掛けるが・・・提督は全て躱す。


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」


一向に構えを解かないが、疲労がたまって動くことが出来ないようにも見える。


「・・・止めとけ、何度やっても無駄。 お前の攻撃は欠伸が出る程に遅すぎる。」


提督は加賀の目の前で伸びをする。


「き、貴様! その余裕ぶった態度・・・許さん!!」


加賀が切れて突撃するが・・・


「だから遅いって。」


寸前の所で躱して、加賀に一撃をお見舞いした。


「!? うぐっ!!」


地面に倒れこむ加賀。


「加賀さん!」


飛龍が駆け寄る、


「背骨を折っておいた、一人では歩けないだろうから担いでさっさとこの場から消えな。」


台詞と共に加賀達に凄まじい怒気で睨みつける。


「・・・・・・」


飛龍は何も答えられない、


「・・・覚えていろ! 我らに反抗したこの行い! 次は全軍を持って貴様を殺す!! そしてこの痛み、10倍にして返してやる!!」


飛龍に支えられつつも、加賀が捨て台詞を発して去って行った。


・・・・・・

・・・



ここはアズールレーン本拠地、


「ネルソンさん! 報告します!」


秘書艦の元に、1人の艦娘が慌てて駆けつけた。


「何? 用があるならノックをしてと言っているでしょう?」


「すいません、急を要する事態でしたので。」


「? 急を要す?」


ネルソンと呼ばれた女性は首を傾げる、


「本拠地に部外者が現れました。」


「部外者? そんなの追い払えば済むことでしょ?」


「そ、それが・・・その中に1人。」


「?」


・・・・・・


「誰も来ないな、留守なのか?」


正門で待つが、一向に現れる気配がない。


「本拠地と言うのはこんな無防備なものなのか?」


提督が思っていると、


「おっ、門が開いた。」


開いた先には、数人の艦娘と正面に立つ周りと印象の違う女性の姿ともう1人、ユニコーンと同じ白服の女性が・・・


「ユニコーン!」


ユニコーンと呼ぶ女性は前に出る。


「い、イラストリアスお姉ちゃん!」


ユニコーンはイラストリアスを見てすぐに走りだした。


「お姉ちゃん・・・ユニコーン、怖かったよぉ。」


姉に抱きしめられて涙を流すユニコーン。


「無事でよかった、よく頑張りましたねユニコーン。」


互いの再会が叶いつつ、ユニコーンは本拠地の中へ、提督を見るとイラストリアスは深々と礼をして戻って行った。


「ようこそ、アズールレーン本拠地へ。」


女性が前に出る。


「私はこの本拠地の指揮官の秘書を務めている戦艦「ネルソン」よ。」


「戦艦ネルソン・・・」


「どんな経緯で私たちの部隊のユニコーンを連れて来てくれたのかは分からないけど、感謝するわ。」


ネルソンが側近に「謝礼を持って来て」と指示する。


「そして・・・あなたは、レッドアクシズの人間ね? 1人でのこのこ来るとは・・・奇襲でも仕掛けるつもり?」


駆逐艦に対して威圧的な態度。 2つの勢力の仲違いの重度が見てわかる。


「違うのです、綾波はただユニコーンを返しに来ただけ、です。」


「はっ、そっちが奇襲して来てさらったくせに、今度は返しに来た? どういう気まぐれよ?」


「この子の言っていることは本当だ、綾波がユニコーンを牢屋から出してここまで連れて来たんだ。」


提督が説明するが、


「・・・仮にそうだったとしても、あなたが敵であることに変わりはない。 今すぐに立ち去るか、それとも死ぬか、どちらかを選びなさい。」


「・・・・・・」


綾波は何も答えられない。


「用は済んだ、綾波行くぞ。」


提督は綾波を連れて去ろうとする、


「ちょっと待って、どこへ行くつもり?」


ネルソンの問いに、


「今度はこの子をレッドアクシズに届けに行くのだが?」


「はぁっ!? あんた頭がどうかしてる! 死にに行きたいわけ!?」


「・・・・・・」


「こことは違って、あそこは侵入者に容赦なく攻撃する、足を踏み入れた瞬間2人とも死ぬわよ!?」


「ご忠告どうも、それでも行かなければ行けないんでね。」


ネルソンの忠告などお構いなしに、元来た道を戻る2人。


「ふん、勝手にすればいい。」


提督の行動に呆れるネルソン。


・・・・・・


ここはレッドアクシズ本拠地、


「加賀までやられるとは・・・我らに歯向かった事、後悔させてやるわ!!」


レッドアクシズ指揮官直属の秘書艦「赤城」が怒りを露わにする。


「赤城さん、報告があります!」


部屋に飛龍が入ってくる。


「何だ飛龍! 私は今忙しいのだ! 綾波と人間を潰す作戦を立てているのだぞ!」


「そ、その綾波と人間が門まで来ています!」


「!? 何!?」



「・・・ここも閉まってる、あの本拠地と言いここも警戒を怠っていないか?」


提督が愚痴っていると、門が開いた。


「おっ、開いた・・・誰も来ない、「入ってもいい」ってことか?」


そう思いつつ、提督と綾波は本拠地内へと入って行った。


・・・・・・


「ようこそ、我がレッドアクシズ本拠地へ・・・」


声がする方向を見ると、


「あ、赤城さん。」


綾波は赤城を見るなり、体を震わせる。


「何だ・・・白狐の次は赤狐・・・まるで妖狐だな。」


愚痴をこぼしながらため息をつく提督。


「それで、この本拠地に何の用があって来た?」


赤城が問い、周りには武器を構えている艦娘たちが無数に配置されていた。


「綾波を連れて来ただけだ、この子はお前らの味方だろ?」


提督の言葉に、


「はっ、そんな裏切者! 必要ないわ! 捕虜を逃がした裏切者を温かく迎えると思っているのか?」


「・・・・・・」


「手間が省けたわ、私からお前たちに引導を渡すつもりが、のこのこと来てくれおって・・・皆の者! 裏切者と人間を殺せ!!」


赤城の号令で周りの艦娘達が一斉に攻撃した。


「やれやれ、説得は無理だったか。」


そう言って、提督は地面に煙玉を投げた。


「!? 何も見えないぞ!? 何をしている、さっさと追わぬか!!」


室内が煙で覆われる中、赤城の指示で全部隊が室内と室外の両方を警戒した。


「い、いません! 室内にも、室外にも2人の気配がありません!!」


「何と、先ほどまでいたではないか! そんなはずがない! さっさと探さぬか!!」


赤城は再び部下たちに指示を出す。



「さてと。」


本拠地から遠く離れた場所で、


「ネルソンの言う通りだったな、はなから話なんて聞くつもりはなかったか。」


「・・・・・・」


綾波の表情は悲しそうだ。


「・・・・・・」



綾波の今の心境は分からないが、恐らく辛いはず。 自身の居場所を失って皆から「裏切者」扱いされ、


行く当てもなく、ただ時間が過ぎるだけの毎日・・・



「?」


綾波の瞳から涙が溢れる姿を見た、表情はいつもと変わらないが内心は・・・


「泣くな、綾波は悪くない。 綾波は正しいことをしたんだよ。」


提督が綾波を抱き寄せた。


「・・・・・・」


気丈を振る舞っているが、それとは裏腹に涙が止まらない綾波。


「よしよし、お前は悪くない。」


提督は綾波の頭を撫でてあげる。


「・・・・・・」


少し経って綾波は落ち着き、


「オレはまた旅に出るけど、綾波はどうする? 一緒に来るか?」


「・・・・・・」


「オレとしては話し相手がいる方が楽しいと思うんだけどね?」


「・・・・・・」


提督の言葉に、


「・・・綾波、ついて行くのです。」


綾波も旅に同行することになった。


・・・・・・


電車に乗り、綾波は今日起きたたくさんの出来事に疲れたのか、提督の膝で寝てしまった。


「・・・・・・」


提督は綾波を見つめる、


「まさか、短期間のつもりが一緒に旅することになるなんてね。」


寝ている綾波の頭を撫で、


「この子ための居場所を、オレが作ってやろう。」


提督は何かを決意し、窓から見える風景を見下ろしていた。









「偶然の出会い」 終









続きは「指揮官の着任」にて。










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