2018-07-19 01:14:59 更新

概要

今回は正義を為す人のお話です


前書き

初めましての方は初めまして! クソ文才たくちゃんでございます!
ちょっと閲覧注意描写ありなのです!




通行人A「『艦殺しジャック』?」




通行人B「そう、最近の路地裏での女性が切りつけられる事件多いじゃん?」




通行人B「被害者が全員艦娘だったらしいの、だから『艦殺し』」




通行人B「そして全然見つからないから切り裂きジャックみたいだなーってことで『艦殺しジャック』




通行人A「へぇ…でもその子たち殺されてはないんでしょ?なんで『殺し』?」




通行人B「俺もよくわかんないんだけど、怪我のせいで艦娘として生きていけないからだって」




通行人A「艦娘としての生を奪われるから艦殺し、か」




通行人B「そゆこと」




通行人B「なんにせよ怖いよね、ホント」




通行人A「ね  …あいてっ!?」ドンッ




??「申し訳ない、前をよく見ずに…  大丈夫でしたか?」




通行人A「あ、いえいえこちらこそ…お気になさらず」




??「ありがとう、では……」タッタッタ…




通行人A「…ててて…」




通行人B「どうした? 大丈夫か?」




通行人A「あ、あぁ、大丈夫だよ、おかしいな肩ぶつけただけのはずなのに…」




通行人B「運動しねぇから骨が弱ってんだよ!」ハハハ




通行人A「くそう…バカにしおって…」










・・・陸上特殊部隊、通称陸特隊




提督「…あーーー…」




提督「こっちに来ても相変わらずの仕事詰めかい…」




提督「『陸上特務部隊』なんて大それた名前つけちゃってまぁ…」




提督「ようは憲兵と警察の仕事だろうが…艦娘率いるか否かの違いじゃねぇか…そもそも…」ブツブツ




山風「…提督、いつもああだよね…」




川内「昔からブツブツ言う癖だけは治らないよねー」




長門「指揮をしているときは立派そのものなんだがな、残念だ」




提督「…人の目の前で人の悪口言うなー!」




提督「てかここでくつろぐな!せめて仕事を手伝え!」




山風「…休憩、中…」




川内「同じく~」




長門「私はそもそも非番だ」




提督「なんで来たんだよ…」




長門「暇だからだ」




長門「鎮守府にいたころはこの時間は訓練か出撃だからな」




長門「こうして陸の特務を引き受けると暇が多くてな」




長門「…だから提督をいじりに来ている」




提督「カエレ!」




長門「ぐっ、やめろ、カタカナでカエレは私の性癖に刺さる!!」




提督「…ロリコンめ」




長門「違う、私は小さな女の子を守りたいだけだ、フェミニストだ」




提督「あっそ」




ピピピ・・・ピピピ・・・




提督「ん? はい、こちら提督…」




提督「…わかりました」




提督「行くぞお前ら、事件だ」




長門「出張っている奴らはどうする?」




提督「とりあえずはいい、後で合流するから」




長門「わかった」






・・・






ウーーー  ピーポーピーポーピーポーピーポー




提督「…よう」




友「おう、来たか」




友「艦娘も一緒か」




提督「あぁ、こいつらだって立派な捜査官だ」




友「そうだったな」




友「…にしてもさみぃ中よく来た、雨降ってるし……」




提督「…まったくだ、こんな日にこんな事件とはな」




提督「最悪の気分だよ」




長門「…艦殺しか」



     

友「あぁ、まただ  艦殺しジャック……!!」




友「これで何度目だ!」




提督「今回は駆逐艦か…登録番号12945、この辺の朝潮だな…」




友「…ひでぇもんだ、見た時には左腕がごっそりなかった……」




山風「ひ、ひどい…」




提督「幸い、命に別条はないそうだが……」




友「…その方が残酷だろうが! 左腕失って…! 艦娘としても生きていけねぇ!」




友「これからあの子は一人で生きていかなきゃいけねぇんだ…!」




提督「…そうだな」




提督「目撃者もなし…」




提督「…朝潮も背後からの奇襲だったから相手を見ていない…」




川内「…これじゃあ何も進まないね」




長門「…クソッ…!!」




提督「…とりあえずは色々と調べよう、落ちていたりするものがあるかもしれないし」




提督「聞き込みだってしなきゃいけないからな」










この世にはたくさんの艦娘が存在する




そしてそれを指揮する提督も




その一人一人の考えがあり、正義がある




これは、艦娘を以て陸上の治安を守る




『陸上特務部隊』と




『艦殺し』との




物語である





『艦殺し特別対策本部』





提督「…世間を揺るがす大事件にしちゃメンバーがすくねぇよな」




川内「ていうかいつもの私たちだけだよね、これ」




山風「うん…」




長門「本部は何を考えているんだ?解決を目指す意志が全く感じられないが…」




神風「まったくね、犯人と繋がってるんじゃない?」




瑞鳳「流石にそれは考えたくないけどね」




提督「はぁ、どうやって俺たち6人で神出鬼没の殺し屋を見つけろと…」




提督「あー!それでも報道では『全力を挙げて、捜査いたしております』キリッとか言われるんだろうなー!」




神風「後で明石さんも来るみたいよ?」




提督「…あんま変わらんて、それでも…」




提督「とりあえず俺は朝潮に話を聞きに行く」




川内「手術終わったの?」




提督「あぁ、終わってしばらくたつ、向こうさんもオッケー出してるから大丈夫だ」




提督「じゃあな、キチンと捜査しててくれよ」




川内「うーん、するするー」




提督「…ホントか?」











・・・病院





コンコン



朝潮「はい、どうぞ!」




提督「…失礼する、陸特隊、提督だ」




朝潮「はい! 私は…っ…」ズキッ




提督「おい、無理に立とうとするな、楽な姿勢でいい」




朝潮「…はい、ありがとうございます」




提督「登録番号12945、第四横須賀鎮守府の朝潮で間違いないな?」




朝潮「はい! その通りです!」




提督「よし  …ではさっそくで悪いが聞きたいことが山ほどある、いいか」




朝潮「えぇ、どうぞ」




提督「ありがとう、では一つ目…」












・・・








提督「…以上だ 長い時間拘束してしまってすまないな」




朝潮「いえ! 情報提供は艦娘として当然です!」




提督「…そうか」




朝潮「私も一つだけ質問をよろしいでしょうか!」




提督「あぁ、いいぞ」




朝潮「私はいつ、戦線に復帰できるでしょうか」




提督「…っ……」




朝潮「先生に聞いても私には答えられないというだけで…」




提督「…」




朝潮「…司令官さん?」




提督「…辛いことをいう  少し、覚悟してくれ」




朝潮「…? はい」




提督「…君が戦線に復帰することはない、未来永劫な」




朝潮「…え……?」




提督「君は左腕を失った、つまり戦闘不能だ、艦娘としてはもう存在意義がない」




提督「よって君は除籍、ということになる」




朝潮「…そ、そんな…困ります!! そうなったら……!!」




提督「その後の心配ならいらない、国から十分裕福な暮らしができるほどの金が下りる」




朝潮「違います! 私が戦えなくなったら妹たちが……!!」




朝潮「…」




提督「…どうした」




朝潮「…何でもありません」




提督「妹たちが心配なのはわかる、だがあそこの鎮守府は優秀だ」




提督「沈みはしないさ」




朝潮「…そう、ですよね……」




提督「あぁ、除籍になっても寂しくなったら会いに行けばいい」




朝潮「はい…」




提督「では、俺は失礼する、お大事に」




朝潮「あ、はい、ありがとうございました…」









提督「帰ったぞー」




瑞鳳「あ、お帰り~」




提督「…すげぇいい匂いすんだけど何食ったんだよ」




長門「ピザの出前を頼んだ」




提督「ケッ、いい御身分で」




神風「ただ食べてたわけじゃないのよ? キチンと捜査してたんだから!」




提督「…お弁当つけてるやつに言われてもなー」




神風「え、嘘!? どこについてる!?」




山風「右の…方」




神風「もー誰か言ってよ~!」




提督「…はぁ、誰が払ったんだよ、これ」




神風「あ、それはね…明石「私がどどーんと払いました!」




提督「…いたのか」




明石「お手洗いに行ってました!」




提督「そ、こいつらがご馳走になったらしいな、ありがとう」




明石「いえいえ!お金なんて持ってても使いませんから、私!」




提督「というか久しぶりだな、鎮守府以来か」




明石「ですね、懐かしいです」




提督「お前が技術班に引き抜かれてー、だもんな てかまたどうして陸特隊に…」




明石「そうでしたそうでした、今回は事件解決の協力をしろとのことで来たんです!」




明石「それでピザ食いながら皆さんに情報をお教えしてたんです!」




提督「…どうせなら俺がいるところで説明すればよかったのに、二度手間だし…」




提督「…ピザ食いたかったし…」ボソッ




明石「あ、もう一枚頼みます?」




提督「いいよもう… 説明よろ」




明石「はーい、と言ってもわかってる情報が少なすぎるのでこれからの方針ばっかですけどね」




明石「さて! 犯人については見当もつかないままです」




明石「大胆な犯行の割にはキチンとしてるんですよね」




明石「ただ現代技術からは逃れられません! こちらの映像をご覧ください」




明石「はーい、犯行現場近くに大抵いるんですよ、このポンチョ男」




提督「そいつが犯人だな」




明石「まぁそうでしょうね、一応、頭に入ってる情報教えてくれます?」




提督「身長は170くらい…だがポンチョのせいで体格すらよくわからないってことだ」




提督「ただ毎回艦娘の腕ばっかもぐから異常な腕フェチの可能性はある」




提督「ジョジョの吉良吉影みたいな」




提督「後は…可能性として内部犯の可能性があるってことくらいだ」




明石「まぁご存知ですよね」




提督「当然な」




明石「なら事件についてはもういいでしょう、今後の方針についてお話しますね」




提督「あぁ」




明石「ズバリ簡単!犯人を捕まえる、です!」




提督「…は? んなことできたら苦労しないんだけど?」




明石「まぁ聞けい、若者」




提督「…」




明石「何も何の手掛かりもなく捜査しましょうというわけではありません」




明石「ですが情報は少なく、相手は神出鬼没! あぁどうしましょう!」




明石「そんな時こそこの私、明石の天★才頭脳の出番でございます!」




提督「…何かお前ウザさ増したな」




瑞鳳「あ、それ私も思った」




明石「わーひどーい」




明石「まぁいいでしょう、この明石、心も関東平野のように広いですから!」




提督「イラッ」




明石「も、戻しますね」




明石「犯人の次の出現予測地を割り出しました!」




提督「ふぅーん…え?は?は…???」




提督「ん? 聞き間違い? お前に未来予知ができるって聞こえたんですけど」




明石「未来予知ではありません!キチンとした犯罪心理学の観点から考えたことです!」




明石「これまでの犯人の行動犯行時刻犯行場所犯行対象そのすべてから次の出現予測地を割り出したんです!」




提督「…ホントか~?」




長門「正直、疑っているところもある」




山風「明石、さん…だし…」




明石「や、山風ちゃんにもそう思われてたのかー…」




提督「隠しきれなかった動揺」




明石「やかましいわ」




提督「…そんで?犯罪者予備g心理学者さんよ」




明石「今犯罪者予備軍て…」




提督「イッテナイヨ  で、次の出現位置はどこなんだよ」




明石「はい! 実は二箇所までは絞りこめたんですけどね、そっからがどうにも…」




明石「今後一週間以内に犯人が出現されると予想されるのは…」




明石「一箇所目は第三舞鶴、二箇所目は第五佐世保ですね」




提督「まーたでけぇ所を…」




提督「外出禁止とかできねぇのかよ」




明石「まぁ応じないでしょうけどやってみますか」




提督「あいつらプライド高ぇからな、こんなのの言うことなんざって言いそう」




提督「ま、どうしても出すってんなら俺らが巡回するか」




明石「ですね」




川内「ん…説明終わった?」




提督「おうおはよう、食っちゃ寝は牛になるぞ川内」




川内「いいんだよぉー…その分夜動くからぁー…」




提督「…まぁいいや」




提督「明石、その二箇所からは本当に絞れないんだな?」




明石「はい」




提督「ならしゃーなし、二手に分けよう」




提督「俺、川内、山風が佐世保」




川内「おう!」




山風「頑張る…」




長門「ならば私と瑞鳳、神風が舞鶴か」




提督「そうだ」




明石「私は非戦闘艦ですから、後方支援ですね!」




提督「Yes」




提督「一週間以内に来るんだよな?」




明石「私の計算が正しければですけどね!」




提督「…お前を信じるしかないからな、すぐにでも出発するぞ」




提督「作戦概要は移動中にでも伝えよう」




提督「それでは準備を始めろ!」




艦娘s「「「了解!」」」









・・・第三舞鶴




U511「で、でっち、本当にやるの…?」




U511「あ、Admiralに怒られる…よ…」




伊58「大丈夫でち…きっと、きっと大丈夫だから……」




伊58「バレたらゴーヤは提督には怒られるかもしれないけど、それだけでち」




伊58「ユーは安心して待ってればいいでち」




U511「うん…」




伊58「さ、今日も元気に出撃、でち!」




U511「うん……」






・・・??





艦殺し「…匂うねぇ」






・・・五日後、舞鶴




神風「…ねぇこれ、本当に来るの?」




明石『来ますよ! 多分!』




神風「でももう五日目だよ?」




明石『大丈夫です! 確率的には今日含めて約21%、五分の一の確率で現れますから!』




長門「…だが第三舞鶴鎮守府からの外出依頼も出ていないし、今後も三日間は誰も出ないと聞いたぞ?」




長門「提督の方も当たりはなしと聞いた」




神風「…明石さん、正直に答えて?失敗した?」




明石『そんなわけないですよ!』




長門「明石、今ならまだ間に合うぞ」




明石『もーーー!!』




長門「…まぁいい、そろそろ瑞鳳と交代しよう」




長門「瑞鳳、そろそろ交代だ、戻ってきてくれ」




瑞鳳『了解でーす!』




長門「神風、巡回は一緒にいよう」




神風「えっ……」ヒキッ




長門「…な、なぜ避ける…私は駆逐艦一人には危ないと思って…」




神風「あ、そ、そう、よね! うん……」




長門(…最近私の評価がただのロリコンになっている気がしてならない)




明石(違うんですか?)




長門(こいつッ脳内に直接ッ…!)




・・・





伊58「ぬいぐるみ、買えたでち…!」




伊58「えへへ、これでユー、喜んでくれるでちかね!」




伊58「急げ、急げっ! てーとくにバレる前に!」




伊58「ハァ…ハァ…」タッタッタ




艦殺し「ねぇ~何やってるのかなこんなところでぇ~」




艦殺し「ごーおーやーちゃぁ~ん?」ザシュッ!




伊58「ッ…誰でちッ…」




艦殺し「あら、流石にオリョクルで鍛えられてるか 初撃避けられちゃったよ」




艦殺し「君に名乗る意味はーー…ありまっせん!」




伊58「ぐっ!!(刃渡り50㎝以上…もう刀でちっ…!)」




艦殺し「暴れると痛いよ~? スパッと片腕差し出して終わりにしようよ~」




伊58「艦娘をっ……舐めるなでちっ!!」




艦殺し「おー、いいキックだねー、流石は軍役  でもぉ」ヒョイ




艦殺し「ちょーーーっと甘いなぁ!!」ドゴォ!!




伊58「ごはっ…!」




ドォン・・・




伊58「…ぐっ……」




艦殺し「まだ気失わないんだ、強いじゃねぇか」




艦殺し「ん…? なぁに、そのぬいぐるみ」




伊58「ッ…!!!」




艦殺し「へぇ~大事なものなんだな」




艦殺し「じゃあそれは汚さないようにしないとな」




艦殺し「…ちょっと眠ってね、すぐ終わるから」ブスッ




伊58「睡眠…薬……でちか……!」




艦殺し「終わったときに、腕は一本ないだろうけど」




艦殺し「その代わり苦しみもないから」




伊58「ろ、ろー…ごめん…で、ち……」




艦殺し「じゃあね、おやすみ」




ドサッ




艦殺し「…嫌だなぁ……腕切るこの気分だけは…」




艦殺し「なれないもんだなぁ… まぁいいや」




艦殺し「ごめんね、ごーやちゃん…」スッ




ドガァン!!




艦殺し「ッ!?」




長門「ハァ…ハァ…!」




長門「艦殺しィ…!!!」




艦殺し「…長門か 第三舞鶴所属じゃないみたいだが…」




艦殺し「邪魔をするな」




艦殺し「俺は今大切なことをしてるんだ、傷つきたくなかったらさっさと…」




長門「フンッ!!」ドスッ!




艦殺し「…へぇ、やっぱ強いね、戦艦長門」グググ・・・




長門(…!? こいつ、私の渾身のパンチを軽々と…!?)




艦殺し「でもまぁ、こんなもんか 陸だと」




長門「クソックソックソッ!!」ドガッバキィ!!




艦殺し「ははは、単純に殴ってるだけじゃ倒せないよッ!!」バァン!




長門「…がハッ!?」




艦殺し「おぉー綺麗にみぞおち入ったね~」




長門「クソがァ!!」ブォン!




艦殺し「…はぁ、赤の他人のはずのお前がなんで首を突っ込んでくるんだ?」




長門「当然だろう…! 目の前で人が傷つけられているのを見て黙っていられる奴がいるか!!」




長門「お前はこの長門が殺す!! 必ずッ…!!!」




艦殺し「…俺はお前をを傷つけるつもりはないんだがな」




艦殺し「お前は救うに値しないから」




長門「救い…だと……!?」ギリッ




長門「腕や足をもぎ取るのが救いだというのか、貴様は!!」




艦殺し「…もういい、お前にはどんなに御託を並べたところで理解されないだろう」




長門「…ふざけるなァ!!!」ドガァァ!!




艦殺し「…ふざけてなんかいないさ」ヒョイ




艦殺し「…本気さ!!」ドゴォ!!




ドザァァァァ!!




長門(…嘘、だろう… 私のパンチを易々と避け…カウンターを喰らわせるなど……)




艦殺し「…ふぅ、これでよし、ごーやちゃんの救済救済っと」




長門「…」フラフラ・・・




艦殺し「…へぇ、まだ立つか」




長門「艦…殺しィ……!!!」ゴゴゴゴゴゴ




艦殺し「もう立てないほどぶち込んだはずだが?」




艦殺し「……それは執念からかな、それとも……」




艦殺し「お前の正義からかな」




長門「どちらでもいい…」




長門「覚えておけぇ…この長門が……必ず…!」




長門「お前を…倒…す……」




ドサッ




艦殺し「…」




艦殺し「…」




艦殺し「…なるほど」




ヒュー・・・




艦殺し「長門が気を引き、軽巡または駆逐がごーやちゃんを助け、空母が爆撃と」




艦殺し「いい指揮官だ、俺もこうなら……」





ドガァン!!  ドゴォン!  ドォン!











神風「帰ったわ」




提督『どうだ、手ごたえは』




瑞鳳「…微妙 神風ちゃん、そっちは?」




神風「長門さんが気を引いてくれたおかげで無事に連れてこれたわ」




神風「肝心の長門さんは…」




瑞鳳「ううん、大丈夫、あの人長門さんを歯牙にもかけてないみたい」




神風「よかった…」ホッ




提督『瑞鳳、偵察機出せ 神風は重いだろうが長門の回収頼む』




瑞鳳&神風「「わかったわ!」」







・・・病院





長門「…申し訳ない…!!」




提督「まったくだ」




提督「考えなしに行動するなと言ったはずだ、鎮守府時代からお前はそうだったからな」




提督「もしも十分な考えのもと作戦が立てられれば奴を捕まえられたかもしれないのにな」




山風「提督、言い過ぎ…」




長門「いや、いいんだ  本当に私が悪い…」




提督「…だが」




提督「お前が行動しなければゴーヤはそのまま襲われていた、それもまた事実だ」




提督「結果的にゴーヤは助かった」




提督「それに、これまでわからなかった犯人の情報も知れたしな」




提督「ま、不問としてやろう」




長門「…! いいのか」




提督「次はキチンと指示聞けよ」




長門「あぁ、ありがとう!」




長門「…こんなケガ、海でならバケツで一発なんだがな」




提督「陸では勝手が違うんだ、精々お前らは人間よりかなり強い程度でしかない」




提督「修復能力だって陸では人間と同じくらいだしな」




提督「まぁとにかく…早く治せよ」




提督「お前がいないと困ることも多いからな」




長門「あぁ」




川内「ひゅー、提督ツンデレ~」




明石「ひゅーひゅー!」




提督「えぇい!! やかましいわ!」




提督「ったく、ゴーヤのお見舞い行くぞ!」






・・・ゴーヤの病室




伊58「…あ…」




第三舞鶴提督「おやおや、これはこれは陸特隊の…」




提督「第三舞鶴の提督殿…来ていたのですね」




第三舞鶴提督「いやぁ、この度はこいつを助けていただいたそうで本当にありがとうございます」




第三舞鶴提督「ほらお前も謝れ 勝手に抜け出して人様に迷惑かけやがって」




伊58「ご、ごめんなさい…」




提督「仕事ですから それに救ったのは私ではありません、部下の長門です」




第三舞鶴提督「ならばその長門によろしくお伝えください」




第三舞鶴提督「さてさて、では私はそろそろ退出するとしましょう」




第三舞鶴提督「おい、早く治せよ 迷惑するんだから」




伊58「はい…でち…」




第三舞鶴提督「…はぁ、そのふざけた語尾をやめろといつも言っているだろう」




第三舞鶴提督「申し訳ないです」




提督「いえ、私は気にしませんので」




第三舞鶴提督「そうですか  …では失礼」




ガラガラガラ・・・ ピシャリ




瑞鳳「…なーんかやな感じの人だね」




提督「やめとけ、聞かれたら下手したら解体になるぞ」




提督「どうだ、ゴーヤ ケガの具合は」




伊58「おかげさまで順調でち……あ…ごめんなさい、また…」




提督「俺はお前の語尾など気にしないから謝るな」




提督「…さて、まぁわかっていると思うが取り調べだ」




伊58「はい、答えられることなら何でも言うよ」




提督「おう、では一つ目…」




・・・




提督「ありがとう」




提督「君は他の被害者と違って傷は浅い、すぐに復帰できるさ」




伊58「うん…」




川内「なんか浮かない顔ね~?」




伊58「い、いやっそんなことは…」




伊58「…」




山風「何か…イヤなことがある…の?」




伊58「…ゴーヤ、あの日どうしても買いたいものがあったでち」




伊58「それは、ゴーヤの大切な、ユー…U511が欲しがっていたぬいぐるみなの」




提督「…だから無断で抜け出したと?」




伊58「でち… でもそのぬいぐるみはあの日、あの時どっかに行っちゃって…」




伊58「ユーは、毎日毎日頑張ってるでち…!毎日毎日倒れるまで…!」




伊58「…ずっとオリョールでっ…!」ボソッ




提督「…」




伊58「だからせめてプレゼントをしたかったのでち…!」




伊58「でもっ…!買えなかったからっ…!」グスッ




提督「…そうか」




提督「わかった、今度送っておこう」




伊58「い、いいんでちか?」




提督「あぁ…気にするな」ニコッ




伊58「…あ、ありがとうでち!!」












・・・対策本部





提督「…さて、ここまでの情報を整理しよう」




提督「艦殺しは男性、身長170cm~175cm、体格は細身」




提督「犯行時にはいつも黒いポンチョにフードを深くかぶっている」




提督「犯行場所は鎮守府の近くの大きな町、だが必ず目のつかないような裏路地で行っている」




提督「武装は判明しているものは大脇差クラスの刃物、そして力が異常に強いと」




提督「どうだ明石、送った映像データと合わせてこんなところでいいか」




明石「えぇ、十分でしょう」




提督「それで…犯人は絞りこめそうか?」




明石「えぇ、特定の一人というわけではありませんが、かなり絞れます」




明石「これほど多くの艦娘を倒せるのは、鎮守府勤務者か実戦で共に戦った艦娘くらいでしょう」




明石「そして男性の時点で艦娘ではなくなります」




明石「さらに艦娘にほぼ気付かれることなく襲えるほどの体力、俊敏性…」




明石「極め付けは長門さんすらねじ伏せる力…」




明石「もうこれで確定です」




明石「艦殺しは…強化人間です!」




川内「強化…」




神風「人間…?」




明石「そう!強化人間!」




提督「…」




明石「…あれ?ピンときてない感じ?」




明石「提督は知ってますよね?」




提督「…まぁ、うん」




明石「なら明石の解説コーナー行っちゃいます?行っちゃいましょう!」




明石「それでは明石の解説コーナー! わーぱちぱちぱち」




提督&艦娘s「「「「…」」」」




明石「あ、あれ?なんですこの反応…」




明石「まぁいいや、説明しますね」




明石「強化人間とは読んで字のごとく、強化された人間のことです」




明石「突如として登場した深海棲艦に、人類はなすすべなくやられていきました…」




明石「しかし!人類は抵抗することをやめなかった!!」




明石「そうして考えられた方法が、強化人間をつくるということでした」




神風「…作る…」




明石「とはいっても一から作られたわけではありません、当時の子供たちを改造したのです」




神風「か、改造!?」




明石「はい! 基礎体力を格段に向上させたのです」




明石「また手術によって強引に艤装を身に着けられるようにしたりとか」




神風「そ、そんなのってひどくない!?」




明石「あ、そういうのの対象になったのは基本的に孤児の男の子でした」




明石「しかも戦災孤児ではなく、ただの捨て子」




明石「まぁ戦災孤児志願者もいましたが数は少なくって感じですね」




川内「…親や保護者のいない捨て子なら文句も少ないってワケね、最低」




明石「その通り、これに関しては軍部の汚点ですからね」




明石「生存率だって決して高くないわけですし」




山風「…どれくらい…亡くなったの…?」




明石「まー戦闘参加が大体一万弱で生存率30%ですから七千人くらいですね」




山風「そ、そんなに…!」




明石「っても初期の艦娘だってそんなもんですけどね、生存率」




提督「…」




明石「ってなわけで艦娘の登場で強化人間の役目は終了!」




明石「生存者に関してはその後の生活費が毎月保証され」




明石「また軍に残った人には特別に提督になれるチャンスをもらえたそうです」




明石「といってもほとんど残りませんでしたが」




明石「で!ここからが本題」




明石「艦娘と違って、強化人間さんたちにはその身体能力を失うことはできません」




明石「艦娘にとっての解体にあたる概念がないんですね」




明石「なので彼らは基本的に強いままなんです」




明石「今回のデータからわかる通り、艦殺しは相当な身体能力があります」




明石「このことから強化人間の一人であることは確定でしょう」




提督「…なるほどな、なら生存者の三千人をしらみつぶしに探ればいいわけだ」




明石「まぁそうですね、そういうことです」




提督「その辺はまかせていいか?」




明石「えぇ、すぐに特定してみせますよ」




提督「特定厨怖いなとずまりすとこ」




明石「えぇ…」




提督「…さて、とりあえず今日はこれでお終い」




提督「あとは自由にしててくれ」




神風「はーい!」 山風「わかった」 川内「寝まーす」





・・・岬





提督「…フゥー」




瑞鳳「煙草やめたらー?」




提督「…瑞鳳か、どうした」




瑞鳳「別に~」




提督「そうか」




瑞鳳「…別に大丈夫だと思うけど?」




提督「…何がだよ」




瑞鳳「提督も強化人間だって伝えても」




提督「…」




瑞鳳「やっぱり怖いの?」




提督「…情けないけどな」




瑞鳳「大丈夫だよ、みんな優しいし」




瑞鳳「それに今の子たちは長いこと一緒にやってきたじゃん」




瑞鳳「嫌われることなんてないって むしろ同情されるって」




提督「…わかってはいるさ、アイツらがそんな奴らじゃないって」




提督「でも……」グッ・・・




瑞鳳「…まぁ、結局は提督のことだからね、私はとやかく言えないよ」




提督「いつか、キチンと伝える」




瑞鳳「そ 頑張ってね」




提督「…あぁ」




提督「……」




―――――




「聞いたかよ、アイツ、ロクに一度も出撃してねぇのに提督になれるらしいぜ」




「マジかよ羨ましい」




「あんなモヤシ、海に出れば一発だろうに」




「「「運のいい奴」」」




―――――




提督「……俺だって…!」




ピピピ・・・ピピピ・・・




提督「…ん…?」




伊58『あ、提督さん、でちか?』




提督「あぁ、そうだが どうした、ゴーヤ」




伊58『ありがとうでち!』




提督「……?」




伊58『さっきユーから連絡があって、ぬいぐるみが届いたって!』




伊58『提督さんが送ってくれたんでちよね?』




提督(い、いや…俺はそんなもの送ってないし買ってもいない…どういうことだ…!?)




伊58『…? 提督さん?』




提督(…変に不安にさせてもしょうがないな…ここは話をあわせておこう)




提督「あ、あぁ! それはよかった」




伊58『でち! ユー物凄く喜んでたでち!』




提督「そ、そっかそっか あ、すまないんだがそれ、一度返してくれないか?」




伊58『え……提督さんはぬいぐるみ好きなのでち…!?』




提督「ちゃうわ! いや、ちょっと確認したいことがあってさ、言っておいてくれないか?」




伊58『わかったでち』




提督「ありがとう、じゃあな」ピッ




提督「…」








・・・




???「おい、実験データ持ってきたぞ」




明石「あぁ、その辺置いといてください」




明石「今先日の戦闘のデータ解析してるんで」




???「あいあい」




明石「あ、それとですね  そろそろ潮時ですね」




???「…そうかい」




明石「私、全部データ取り終えましたし、あなたはもう用済みになるかと」




明石「艦殺しジャックさん、いえ…」




明石「切崎提督」




艦殺し「…やめろ」




艦殺し「俺は艦殺しだ、切崎など知らん」




明石「そうですか、まぁ私にはどうでもいいですけど」




艦殺し「…なぁ明石よぉ」




明石「なんですか?」




艦殺し「どうして、データを取るためとはいえ俺なんかに協力したんだ?」




明石「えー、そうですねー、あなたにちょーーーっとだけ恩があったのと」




明石「あなたの行動が私のかわいい試作品ちゃんたちを試すのにちょうどよかったんです」




艦殺し「…理由は主に後者か」




明石「あはは、まーそうです」




明石「…それに、私にとっては艦娘とか提督とかどうでもいいですからね」




明石「私は自分の好きなことように作って、壊して、また作って…」




明石「そのための知恵と金さえあればそれでいいですから」




艦殺し「お前が一番危険だと思うよ、俺は」




明石「知ってますよ」




明石「自分の好きなように生きるために、人類皆々様に踏み台になってもらいたいと思う人間です」




明石「あなたも所詮、その一人に過ぎませんから」




艦殺し「はっ、わかっちゃいたが面と向かって言われるとクソムカつくな!」




明石「それでもあなたは私を傷つけられない、それがあなたの正義だから」




艦殺し「よくおわかりで」




カチャカチャ…




明石「はい、これで最後ですね」




明石「いつもの装備に、最後なので奮発して色々とつけてます」




艦殺し「あぁ、ありがとう」




明石「明日にはあなたの正式な逮捕状が出るでしょう、家宅捜索は…」




艦殺し「家などないからあり得ない」




明石「ですね、まぁ頑張って逃げてください どうせ捕まりますけど」




明石「捕まっても私のことは話さないでくださいね」




艦殺し「あぁ、そういう契約だからな」




艦殺し「俺はただ俺の正義をなすためにアンタの技術を使い、アンタは自分の技術のテストに俺を使う」




艦殺し「そして俺が捕まっても決してアンタのことは口にしない」




艦殺し「わかっているさ」




明石「信じてますからね~」




艦殺し「あぁ、じゃあな、サイコエンジニア」




明石「えぇ、正義の犯罪者さん」




艦殺し「…」




ガチャ・・・バタン




明石「まぁ、もう一波乱くらい、サービスしてあげますよ」




明石「良く動くモルモットを見るのは楽しいですからね」






・・・数日後






山風「…え……?」




山風「…うん、うん……うん……」




川内「…山風に電話なんて珍しいね」




瑞鳳「確かに」




長門「山風にだって電話するやつくらいいるんだな、よかった…!」




明石「それ酷い言い方ですね」




長門「あっ… 違うんだ、これは…! …ん…?」




山風「…ウッヒック・・・」




神風「ど、どうしたの山風!?」




長門「…私が泣かせた…というわけではなさそうだな」




山風「…か、江風……!!!」




提督「大変だお前ら!!」バァン!




山風&提督「「…艦殺しが……!!」」












提督「…質問は以上だ、お疲れ様」




江風「ロクな情報じゃなくてごめンな…」




提督「いや、気にするな」




提督「山風、積もる話もあるだろ?」




提督「俺は下のロビーで待ってるから、終わったら連絡してくれ」




提督「…流石に一人で帰ってこいとも言えないしな」




山風「うん…わかった」




提督「よし、じゃあ俺らは帰るか」




江風「あ…待ってくンねぇか、提督さン」




提督「ん…?どうした?」




江風「あ…皆さンはいいんだ、姉貴と…提督さンにだけ話したいことがあるんだ」




瑞鳳「わかった…じゃあいこ」




ガラガラガラ・・・ ピシャリ




江風「…なぁ姉貴、提督さンてよ、怒ったりしないか?」




山風「え…… うん…変なことしたりしなければ…ブツブツうるさいけど…」




提督「…(内心ショック)」




江風「そっか…なら言うよ」




江風「…アタシな、艦殺しに襲われて、良かったって思ってンだ」








提督「…」




山風「江風…どういうこと」




江風「…マジで怒らないでくれよ…」




提督「怒らないから話してみろ」




江風「…」




江風「…捨て艦って知ってるか」




提督「ッ!!」




江風「…ざっくり言えば囮だ」




江風「厳密に言えば…」




提督「沈むことを前提とした囮艦娘を用いた戦術のこと」




江風「そうだ」




提督「大破してようがお構いなし、主に駆逐艦、潜水艦が主力艦隊の盾代わりとして使われる…」




山風「そんなの…!!」




提督「あぁ、到底許されることではない…が、今も隠れて実行している鎮守府があるのも事実だ」




江風「…ずっと前の鎮守府ではな、海風の姉貴と姉貴と一緒に楽しく出撃してたんだ」




江風「でも編成が変わって、アタシたちはバラバラになっちまった」




江風「…そうして幾つかの鎮守府回った後配属になったのが、今の所なンだ」




江風「そこではアタシは『二人目』だった…」




提督「…話が見えてきたぞ、つまりお前は…」




江風「あぁ、二人目だから、要らなかったんだ…」




山風「…」




江風「…一回目と二回目は、なんとか大した損傷もなく帰ってこれたんだ…だけど」




江風「…三回目、アタシはボスの手前で大破したンだ…」




江風「迷惑かけてごめんなさいって言おうとしたんだ、撤退させると思ったから…」




江風「…でも提督は撤退させなかった、そのまま進撃しろと」




江風「…艦隊のみんなは申し訳なさそうにアタシを見てた…ごめんなさいって、言ってるみたいに」




江風「…怖かった…!! 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ…!!」




江風「喰らったら死ぬ! 誰も助けてくれない!!」




江風「…戦闘が終わって…状況終了の通信を聞いて…そのまま…」




江風「…目が覚めて…そしたら入渠しててよ」




江風「少しして、提督が来たンだ」




江風「そこで初めて、話された  二人目だってこと、そして…」




江風「アタシが、捨て艦だってことを」




江風「…そっからアタシは艤装が付けられなくなった」




江風「何度も強制的に付けさせられたンだ…でもその度吐いちまって…」




江風「どうしようもなくなって部屋に引きこもってたらある日、提督がこういったんだ」




江風「『艤装が付けられないなど関係ない、明日は吐いてでも連れて行く』」




江風「途中で死んだらそれまでだ、あとは死体を盾として使う』って…!!!」




山風「…どうして!?なんでそんなひどいこと…!!」




提督「…基本的に二人目を持つことのメリットはあまりない、ただ保有艦枠を減らすだけ」




提督「ならば有効活用しようじゃないか、というのが奴らの主張らしいが…」




提督「腐ってやがる、全く」グッ・・・




江風「…それで、その夜怖くなって…逃げ出したンだ」




江風「警備の人に止められたけど、とにかく走った」




江風「走って走って…疲れて誰もいない路地で倒れるように休んでるときに…」




江風「…あの人が現れたンだ」




山風「艦殺し…」




江風「ニュースであらましは聞いていた」




江風「艦娘だけを襲う、異質な犯人…」




提督「…だが、被害者のほとんどは不意打ちで眠らされてからの犯行だった」




提督「お前ほどの練度なら、交戦はともかく逃げることもできたんじゃないか」




江風「抵抗しようと思ったよ、でも、体が動かなかったンだ」




江風「怖かったわけじゃねぇ…アタシは頭のどっかで理解してたンだ」




江風「…こいつに襲われれば、救われるって」




提督「…!!」




江風「あのまま逃げたってどうせ提督に捕まって連れ戻されてアタシは出撃して死ぬだけ…」




江風「だったら… だったら…!!」




江風「腕一本もがれて、艦娘辞めさせてもらう方が何倍もいいって!!」




提督「江風…」




江風「アタシだって腕がなくなって生きるのはイヤさ…!」




江風「でも吐きながら辛いまま死ぬよりはそっちの方がいいじゃねぇか!!」




江風「なぁ姉貴、提督さン、アタシは間違ってるか…!?」




江風「体の一部代償にしても死にたくねぇって思うのは変なことかよ…!!」




江風「なぁ………」




提督「…すまない、俺には何とも言うことは…」




江風「そうか、そうだよな…」




江風「…ごめん」




山風「あ、あのさ、江風…」




山風「こんど…海風姉と一緒に、お見舞い、来るからさ…」




山風「あのっ…元気、出して…ね?」




江風「…あぁ、ありがとな、姉貴」




江風「…アタシは提督には恵まれなかったけど、姉妹には恵まれてたみてーだな」ニカッ




提督「…江風」




江風「どうした、提督さン」




提督「力のない俺には厳しいかもしれないが…お前の提督には罰が下るように仕向ける」




提督「これでお前の気が晴れるなんて思っていないが、どうかこの通りだ…!」




提督「同じ艦娘を指揮する者として、本当に申し訳なかった!!」




提督「お前の望みはできる限り叶える!! 何でも言ってくれ…!!」




江風「提督さンが謝ることじゃねぇからいいよ、そンなの」




提督「…こうでもしないと俺の気が収まらない」




江風「…ン、わかったよ  じゃあ」




江風「アタシの大切な姉貴を…山風姉を絶対に幸せにしてくれ」




江風「…この体じゃ、アタシには無理そうだからさ」




江風「だから…姉貴を頼む」




提督「あぁ、もちろんだ」








・・・






提督「…」テクテク




山風「…」テクテク




山風「…ねぇ、提督」




提督「どうした、山風」




山風「…艦殺しって、本当に悪い人なのかな…」




提督「…」




山風「…わたし、分からなくなって…」




山風「…だって、今までの人たち、みんな何か抱えてた…!」




山風「朝潮さんの所はブラックな遠征で有名なんでしょ」




提督「…お前、それどこから……」




山風「…明石さん」




提督「…あの野郎」




山風「ゴーヤさんだって目の下にあったクマ、あれはオリョクルっていうやつで付いたんでしょ」




山風「…それ以外の人たちも…! 辛いことたくさんしてた!」




山風「…人を傷つけるのは悪いことだと思うよ、でも…」




山風「これまでの人たちの提督と、艦殺しってどっちが悪いの…?」




山風「…私には、艦娘に苦しい思いばかりさせる提督たちよりも…艦殺しの方がいい人に思えるから…」




山風「ごめんね、突然変なこと言って…」




提督「…いや、いいんだ」




提督(…俺だって、分からなくなってきたんだから…)







・・・




ガラガラガラ・・・ ピシャリ




明石「あ、来た来た、ごめんなさいお呼び建てして」




提督「いやいいんだ、ちょうど山風を長門たちに送り届けに来たからな」




明石「そうでしたか  あ、それとごめんなさい」




明石「江風ちゃんの件、犯人の出現位置を予測することができなくて」




提督「いや、お前は犯人の特定をしていたんだ、無理は言えないさ」




明石「そうですか」




提督「…それで? 話ってなんだ」




明石「あぁ、そうそう、犯人の特定が終わりました」




提督「本当か!?」




明石「えぇ」




提督「教えてくれ」




明石「名前は切崎正義…最初期型の強化人間であり、元提督です」




明石「元の所属は横須賀第九鎮守府です」




提督「…まさに『切り裂き』ジャックってか」




提督「それにその名前、聞いたことがある、俺がまだ鎮守府の提督の時に聞いた」




提督「艦娘を思いやる気持ちは随一と聞いていたが…」




明石「あぁ、もうそこまでご存じなんですね」




明石「なら犯人については皆さんの前で説明しましょう」




提督「そうか…なら話は以上か」




明石「いえ、違います」




提督「…?」




明石「皆さんには話さない、特別なことをお教えしますね」




提督「…特別なこと、だと?」




明石「えぇ、艦娘思いの提督が、どうして艦殺しになったのか、気になりませんか?」




提督「…」




明石「ま、なんにせよ言いますけど」




明石「提督は、ご存知ですよね」




明石「捨て艦、オリョクル、デコイ、牧場、性欲のはけ口、etc…」




明石「全部、提督たちが艦娘にやってきていることです」




提督「…お前…」




明石「あぁ安心してください! 別に提督はそういうことする人じゃないのわかってますから」




明石「でも面白いですよね~、同じ人間でも、ここまで艦娘を思える人もいるのに…」




明石「艦娘を人とも思わず、道具だと思っている人間がいるんですから」




提督「何が言いたい」




明石「提督ってそういう人たちのことどう思います?」




明石「例えば今日の江風ちゃんの提督は? あんなマネする奴をどう思いますか?」




提督「お前、聞いてたのか」




明石「いえ、こっちで調べ尽くしただけです」




明石「ささ、そんなことはどうでもいいから早く聞かせてくださいよ」




提督「…許せるか許せないかと聞かれれば、許すことは到底できない」




明石「ですよね~!!」




明石「じゃあじゃあ、そういう提督の元で苦しんでいる艦娘がいたらどうしてあげたいですか?」




提督「…」




提督「…助けられるなら、助けたい」




明石「ですよね~!!!」






明石「それこそが、艦殺しの心理の根底にあるものです」




提督「…っ!」




明石「艦娘を苦しめる提督を殺したい!でもそんなことは難しい!」




明石「じゃあどうするか、艦娘を苦しみから解放するんです」




提督「…だからって腕を切る必要は…!」




明石「腕をなくせば、それで艦娘の生ジエンドです、簡単でしょ?」




提督「艦娘には自主解体制だったあるじゃねぇか!」




明石「あんなもん許可下りるわけないじゃないですか、馬鹿じゃねぇの」




提督「ッ…!!」




明石「彼は艦娘を兵器、道具ではなく人間として見続けていました」




明石「それ故に許せなかったのです、艦娘を苦しめる者たちが」




明石「しかし提督そのものを殺すのはとても難しい…それ故に




明石「彼だって最初から殺しになったわけではないようですし」




提督「…どういうことだ」




明石「彼、提督業をやめて数年ほど、路上で街頭演説をしていたんですよ」




明石「艦娘がどう扱われているか、その実情を必死に言葉で伝えようとしたんです」




明石「ですが彼の言葉に耳を貸すものは一人もおらず」




明石「結局は軍部に拘束されたのです」




明石「その後数年間の足取りはつかめず…というデータが底の底の方に残っていました」




明石「ねぇ、どう思います、これ」




提督「…どうって…」




明石「艦娘のために、必死に声を張り上げながらも聞き入れられることなく艦殺しとなった彼と」




明石「正しい意見は隠匿し闇に葬り、艦娘を苦しめ続ける提督たち」




明石「これってどっちが正義だと思いますか?」




明石「ねぇ、て・い・と・く・?」




提督「それは……」




明石「まぁいいです、私はあくまでも軍部側」




明石「犯人逮捕に向けてやれることは全部やるつもりですのでご安心ください~」




明石「それでは私は疲れたので仮眠取りますね~」




ガラガラガラ・・・ ピシャリ




提督「…俺にだって、わかんねぇよ…!」





・・・翌日




明石「というわけで、犯人の説明を終わりますー!」




長門「…元提督であったとはな…」




神風「しかも優しい人だったんでしょ?どうしてそうなっちゃったんだろうね」




川内「まぁ、狩りの気分が忘れられないんじゃない?」




長門「どういうことだ、川内」




川内「長門さんもない?海でバッタバッタと敵を倒した気分を思い出すこと」




川内「この人って強化人間でしょ? だったら昔の気分が忘れられないってのもあるんじゃない?」




長門「なるほどな」




瑞鳳「…提督? どうしたのさっきから何も言わないけど」




提督「…ぁ、すまない、考えごとをしていた」




瑞鳳「大丈夫?なんかボーっとしてたけど 熱でもある?」




提督「いや、大丈夫だ  健康そのものだ」




瑞鳳「そう…?」




提督「あぁ、気にするな…  それで明石、次の出現場所の解析はどうだ?」




明石「えぇ! 優秀な明石さんはキチンと解析してますとも!」




明石「今回は情報が沢山手に入りましたからね、犯人の講堂の予測が立てられました!」




明石「今度は一箇所確定です、場所はズバリ…」




明石「大湊第一警備府です!」










・・・大湊(待機所)




神風「横須賀、舞鶴に呉に大湊…流石に疲れたわ」




川内「でも犯人も同じく移動してるんだよね~」




長門「目撃情報とかないのか、こんなに長距離の移動だろう」




瑞鳳「それがないんだよね、異常なほどに」




瑞鳳「協力者がいるのか、なんなのか…」




山風「瑞鳳さん」




瑞鳳「ん? どうしたの山風ちゃん」




山風「提督から…動きあるかって」




瑞鳳「とりあえず今見てるところには異常なし」




瑞鳳「これから他のところも偵察機で見てみるって伝えて」




山風「了解…「待って!!」




山風「…?」




瑞鳳「提督に伝えて! 提督の位置から凡そ三キロの路地に怪しい人影…!」




瑞鳳「マップ送るからって!!」




山風「りょ、了解!」




瑞鳳「私も戦闘機で威力偵察してみるけど…期待はしないで!」




長門「よし、我々もでよう!!」




瑞鳳「長門さんは提督から出ちゃダメって言われてるでしょ!」




長門「しかし…!」




瑞鳳「提督の言うこと聞いてっ!」




長門「わかった…」




瑞鳳「川内ちゃん、行くよ!」




川内「了解! 駆逐艦ども、大人しくしててね!」




ダッ




神風「また留守電なのねー!」




山風「しょうがないよ…私たちは弱いから…」




長門「…私を完封するような相手だ、神風と山風を危険にさらすわけにはいかない」




長門「大人しく待っていよう」











・・・路地裏




提督「ハァ・・・ハァ・・・!」ダッ




提督「ッ…!!」




艦殺し「…おー、来た来た、早かったなぁ」




艦殺し「でも残念、もう遅い」




提督(もう…腕が…!!!)




艦殺し「確か潮だったか、この子」




提督「…てめぇ!!」




艦殺し「安心ろ、止血は終わってるから死にはしない」




提督「そういう問題じゃ…ねぇだろうが!!」ブォン!




艦殺し「…いい剣裁きだ、訓練はキチンとやってたようだな」




艦殺し「ラッキーな強化人間さん」ボソッ




提督「ッ…!! てめぇどうしてそれを…!」




艦殺し「俺も強化人間かつ元提督だからなぁ、知ってるさ!」




艦殺し「戦わずして強化人間だからという理由で提督業につけたラッキーボーイ」




艦殺し「こっちでは相当噂だったぞ、お前」




提督「…それとこれとは…今は関係ないだろうがッ!!」




提督「…艦殺し、いや切崎正義…! 多数の艦娘への傷害により拘束させてもらうぞ…!」




艦殺し「いいよぉ? 捕まえられればな!!」ダッ




提督(アイツは飛び道具を持っていない、あっても精々投げナイフ程度…)




提督(なら俺は銃を…)ドガッ!




艦殺し「あぁ、銃はズルいねぇ 提督さん、取り上げさせてもらうよ」




提督(嘘だろ…!? 俺とこいつの距離は30mはあった…その距離を一瞬で!?)




艦殺し「ついでに、罰ゲームッ!!」ドガァァ!!




提督「がっ…!?」




ドザァァ




艦殺し「ほら立って立って!  これで終わりじゃねぇだろ!?」




提督「クソッ…がぁ!!」ダッ




艦殺し「あーダメダメ、そんな踏み込みでやれるかよォ!!」ブォン!




提督「っぶねぇ!!」




艦殺し「おー、ナイス回避」




提督(なぜだ、どうしてここまで基礎体力が違う…)




提督「フンッ!」




艦殺し「おっとぉ! …じゃあお返しだ!!」ドガァン!!




提督「ぐふっ!?」ドサッ




提督「…ぐっ……」フラフラ・・・




艦殺し「なんでって顔してるね、同じ強化人間同士なのにどうしてこんなに圧倒されるのかって」




艦殺し「理由は簡単! お前と俺とじゃそもそもの力が違うんだから!」




提督「どういう…ことだ…」




艦殺し「お前は知らないだろうがな、強化人間にも強さのブレがあるんだ」




艦殺し「…特に、俺みたいな最初期型と、お前みたいな最終型ではさ」




艦殺し「最初期型では出力の制限がうまくできねぇ、だから体の限界を超えるような出力が出せちまう」




艦殺し「ただ、逆にリミッターがなく、今の俺みたいにうまく使えば相当強くなれる」




艦殺し「ただお前らのようなの最終型では最大出力が低く設定されてる、つまり無理が効かねぇ」




艦殺し「限界がある」




艦殺し「だからどうやってもお前じゃ俺は倒せない」




艦殺し「だからここは大人しく引け、そうすればこれ以上何もする気はない」




提督「…引き下がれるわけがないだろ…!」




艦殺し「ハァ…」




艦殺し「お前だって、俺の思想を理解しているんだろ?」




艦殺し「すべては艦娘の救済のため」




提督「…」




艦殺し「苦しむ艦娘を救う、その為には傷つけるしかない」




提督「…それだけが手段じゃない…!」




艦殺し「…お前だって知ってるだろう、軍部がどれほど腐っているかを」




艦殺し「誰も彼女たちを救おうとはしない、なら…」




艦殺し「俺がやるまでだ」




艦殺し「艦娘のために」




提督「…それでも…俺は…」グッ・・・




艦殺し「迷っているようならやめておけ」




提督「っ……」




艦殺し「せめて自分のハラ決めてから挑むんだな   …っ!!」




ドドドドォン!!!




提督「この爆撃は…」




瑞鳳「提督!」タッタッタ




提督「瑞鳳…」




瑞鳳「大丈夫だった?」




提督「あぁ、だが…」




艦殺し「おー、危ない危ない、またもろに喰らう所だったぜ」




艦殺し「練度高いね、瑞鳳ちゃん」




瑞鳳「っ!」




艦殺し「まぁ残念ながら俺を倒すには不十分…」ドスドスドスッ!




艦殺し「…あ? クナイ?」




川内「はー、バケモンだね、一応急所に当てたんだけど?」




艦殺し「川内かー、全然気づかなかった  流石忍者みたいと言われてるだけはある」




川内「そりゃどうも」




川内「でもこれで3対1…どうする?」




艦殺し「どうするか? そんなの決まってるだろ?」




艦殺し「こっから逃げおおせるんだよ、当然」




川内「へぇ、よくもまぁ私の前で…そんなことが言えたもんだ!!」バシュッ