2018-06-09 07:45:49 更新

2017年9月27日(水) 19:00


扇屋 凡矢理店


千棘 「………何だか、こーゆう飲み屋さんに来るのって初めてよね。」


楽 「まあ、高校の時は酒やタバコなんて飲みも吸いもしなかったから、当たり前っちゃあり当たり前だけどな。」


スッ


楽はタバコを取り出し、火を付けた


シュボッ スー………ハーー………


千棘 「あれ?楽あんた、タバコ吸うようになったの?」


楽 「ん?ああ、そういやお前にはまだ言ってなかったよな。最近からな。」


楽がズボンのポケットから取り出したタバコの箱はオレンジ色で、American spirit(アメリカンスピリット)と書いてある


楽 「夏休みの時、蒼也に「大学が休みで時間があるから今のうちに沢山鍛錬をしておけ」って言われて、あいつと何回かCQC(格闘戦)もやったんだか、ある日それで大分疲れて蒼也に「お前もタバコ一本吸うか?」って言われて一本吸ってみたら、以外と美味くてな。」


スー………ハーー………


楽はタバコをまた一息吸いながら話した


千棘 「アレ?でもあんた、夏休みにあんたの実家で竜さんや羽(ユイ)さん達と一緒にいた時も、二学期が始まってスペクトル凡矢理に戻ってからも、私の前で全然吸って無かったじゃない?」


楽 「ああ……夏休みん時は、蒼也との訓練の時しか吸って無かったし、スペクトル凡矢理に戻ってからは、近所の皆さんに副流煙が移ったら迷惑だと思ったから、外でしか吸わなかったんだ。」


千棘 「相変わらず細かい事にこだわるもやし君ね………」


楽 「んだと!?周りの人に迷惑かけねーのは大事だろーが!お前みたいに大雑把だと、自然と迷惑掛けちまうんだよ!」


千棘 「何ですって!?私があんたの為に淑女として成長しようとしてるのに………あんたと来たらぁあ!」


スッ


千棘は楽に拳を一発降った


パシッ


千棘 「え?」



千棘は驚いた。久方振りに楽を殴ったが、高校時代は貧弱でもやしとも呼んでいたニセモノの恋人だった彼を幾度と無く空の彼方(かなた)に吹き飛ばしていた拳が彼にいとも簡単に平手で受け止められたのだ。


しかも、楽は平然とした表情のままでいる。


楽 「驚いたか?」


千棘 「ら…楽、あんたいつの間に星体技(せいたいぎ)をそんなに上手く使えるようになったの?


楽 「夏休みにな。蒼也とやってたCQC(近接格闘戦)のトレーニングでな、「トレーニングを始めてもう5ヶ月目だから筋力だけで無く星体技(せいたいぎ)も取り入れよう」って

蒼也が言い出したんだ。」


ボウッ


楽は自(みずから)のオレンジ色の太陽の光を

右の手のひらに集め、

輝かせた。


楽 「夏休みが終わる1〜2週間くらい前には

、蒼也のパンチも今のお前のを受け止めたみたいに受け身を取れるようになったんだぜ。」


千棘 「………結構頑張ってんじゃ無い、あんた。」


楽 「だろ?集英組の竜と並ぶ第2若頭として街や小野寺達を守れる様に、そして何よりお前を守れる様になりたかったからな。

トレーニング後に来る筋肉痛にも、星の光の使い過ぎの眠気にも、俺なりに頑張って耐えて来たんだ………」


千棘 ドキッ


千棘は楽が自分を守れる様になる為にしてくれた努力に、ドキッとした。


千棘 「………頑張ったじゃないあんたも。

まあ、もやしなりにだけどね。」


楽 「おいおい、こんだけ鍛えたのに俺はまだモヤシのままかよ………」


千棘 「だってまだあんた、少し強くなっただけじゃない?

まあ、シャキッとしたもやしにはなったみたいだし………

いいわよ。ご褒美に久し振りにお酌してあげるわよ。」


楽 「おうよ、あんがとな。」


スッ


楽は千棘の方に自分のコップを差し出した。


トクトク………


それから2人でお酒を呑みながらたわいない話をして2〜3時間後………


第1巻 第110話 完




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