2015-03-07 20:11:00 更新

概要

とある はなやさんと
とある かんむすのおはなしです。

おわり♪


前書き

艦娘とお花屋さんの
ちょっとしたのお話


-海底の花束-


------------------------------------------



マダム(皆さまごきげんよう♪)






マダム(わたくし、

この港街一番の『超』お金持ちのマダムでございます♪)ルンルン






マダム(今日は晴れてるから、

お気に入りのワンピースを着てダーリンに内緒で街にお出かけですの♪)ルンルンルン







マダム(あら、こんな所に素敵なお花屋さん♪)







マダム(わたくしのような

アブソリュート・ビューティ(完璧美人)に相応しいお店ですこと♪)






カランコロンカラン♪





マダム(アラ、ドアに素敵なベル♪)






マダム「ごめん遊ばせ~♪」




シ…ン……


……





マダム「アラ?誰もいらっしゃらないのかしら?」








マダム「オーナー?」






………ズン








マダム「?」







マダム(今、店の奥の暗がりから何か聞こえたような…)






マダム「…」ジー




………ズン




……ズン





マダム「!?」






…ズン






マダム「…な…ぁ…!?」ワナワナ






…ズゥン






マダム(…し)






マダム(…進撃の○人?)







花屋「…」ズモモモモ







マダム(巨○が…○人が…

黒いピチピチのタンクトップの上に

ピンク地でひまわり柄のエプロン着て歩いてますわ…)






マダム(こ、ここ本当にお花屋さんですよね!?)







花屋「いらっしゃい…」ギロリ







マダム「あ、あら随分、

ワイルドフェイスですわねアナタ?

ま、まるで『バイオハ○ード』の

『ネ○シス』か『タイ○ント』ですわね」ガタガタガタ







花屋「なにか…お探しですか…?」ズゴゴゴゴゴゴ






マダム(こ、この威圧感は何!?)







花屋「 ! ? 」







花屋「マァダァムゥゥ!!」クワァッ!






マダム「ヒィィ!喰わないでぇ!美味しく頂かないでぇぇ!!」チヂコマリ







ヒョイ…


ポンポン…


パサ…





花屋「…」






マダム「?」ビクビク






花屋「お帽子に…」







花屋「糸クズが着いて…いましたよ?」ドス声







マダム「あ、あら…き、気が利きますわね…」





ジワァ






マダム(…屋敷に帰ったらパンツ替えましょ…)






………





花屋「……ありがとやしたぁ…」ズゴゴゴ…






マダム「…」カタカタカタ






花屋「またの…お越しを…」マッスルポーズ1






花屋「心より…」マッスルポーズ2






花屋「お待ちして…おります…」ニッゴリ






マダム「…」






マダム(次来たら…喰われる…)ガタガタガタ







マダム「そ、それでは…わ、わたくしこれで…」ソソクサ






花屋「 ! ? 」






花屋「マァァァダァァムゥゥゥ!!!」クワワァ!!







マダム「ヒィィィ!?ここ今度は何ですのぉぉ!?」






花屋「…」






花屋「入り口…段差に…なってるので…」







花屋「どうぞ…お気をつけてぇ」ニタァ






マダム「」ジョババァァ





………

……










マダム(皆さまごきげんよう♪)









マダム(わたくし、

この港街一番の『超々』お金持ちの

マダムでございます♪)ルンルン









マダム(今日はとっても素敵な花屋さんを見つけましたの♪

でも、素敵すぎて失禁しちゃった♪テヘ♪

やーん♪♪わたくしったら、

あわてんぼさん♪プンプン♪勝負パンツが大洪水ですわ~♪)ナミダメ







………

……







花屋「…」







花屋「あ~…き、緊張したぁ…」フゥ~






花屋(亡くなった親父の跡を継いで…花屋の店主になったものの…)







花屋(どうにも接客は苦手だね…)









花屋(30歳にして身長2m1cm(更新中)で、

逆三角形のヘヴィー級ボディ、スキンヘッド、ドスの効いた声、この眼光…)ギロリ








花屋(極めつけは…)








花屋(この右目の…額から頬にかけて伸びてる…傷痕…)








花屋(あれ?…これ…)









花屋(ヤ○ザ?

もしくは○ク○のSPじゃないかぃ?)







花屋(ま、まぁ、個性…そう個性さ。うん。)







花屋(…)








花屋(いや無理ぃぃぃ!!)ズゥゥゥン







花屋(…これ犯罪者だよ!犯罪者顔だよコレ!)








花屋(毎朝、鏡見て自分でも

びっくりしてる位だもんねぃ…)ハァ








花屋(事情が分かってる近所さんは何か有る度にウチに花を依頼してくれたり

仲良くしてくるがね…新規さんは入りづらいだろなぁ…)







花屋(だからなるべくサービス精神を心掛けてるんだけどなぁ…)







花屋(さっきだって…ちゃんと、お帽子の埃だって取ったし、注意掛けだってしたし…)







花屋(うん…えらいぞ僕!)グッ








カランコロンカラン♪







花屋(あ、お客さん…)








花屋「い…いらっしゃいませぇ゛!」







花屋(やべっ!ドス効かせちゃった!)








花屋「あれ?」






花屋「今…店のドアが開いたような…」






クイクイ





花屋(うん…?)メセン サゲ







???「」ジー







花屋(…)








花屋(なんだ…?)








花屋(この…銀髪というか…白髪というか…)








花屋(ちっちゃな…眠そうな顔の…色白の…外国人の子かな?)









花屋(…)









花屋( ! ? )








花屋(待て待て待て待てぇ!!

外国人!?無理無理無理ィ!!

日本人相手でさえ上手く話せないのにぃ!!)









???「アノ…」オドオド









花屋(どうしよう…僕、高校の英語の成績2だったんだけどなぁ…)









花屋(あれ?英語の文法ってどうすんだっけ?あれ?あれ?頭が回らん?)









???「アノ…ェト」オドオド









花屋(…あ…しまった、外国人の子でも

お客さんはお客さんだ…冷静に冷静に…)スゥハァスゥハァ









花屋(よし!) カッ!









???「!?」ビクッ









花屋「 い゛ ら゛ っ゛ しゃ い゛ ま ゛ せ ぇ゛ぃ!!!」スーパー ドス ヴォイス










花屋(あ)









???「」フラッ







パタン…









花屋「お、おじょうちゃん?」ユサユサ









???「」コテン








花屋「…」









花屋「やっべ…」





………

……








???「ンゥ…」











???「?」ギシッ










???「フカフカ…ベッド?」フカフカ










???「アレ?…ゆー…寝ちゃってた?」オメメ グシグシ










花屋「」ヌ゛ン











ゆー「…」










ゆー「~!!!」ポカポカポカ!










花屋「いた!いたたた!!お、おじょうちゃん!?

ちょ、ちょっ…す、すとっぷ!いたた!!」








ゆー「食べないで…!殺さないでぇ…!!

美味しく…頂かないでぇ!」ナミダメ







ポコスカポコスカ!!







花屋「お、おちつき…なさい!た、食べ…ないから!

僕、食人鬼じゃない…から!!」







ポコスカポコスカ!!







………

……






花屋「ホットミルクで良い?」イテテ






コポコポコポ…




ゆー「///」





花屋「オジョウちゃん?」ドウゾ







ゆー(このオジサン…手、おっきい…)






ゆー「ゴメンナサイ///」イタダキマス






花屋「まぁまぁ…間違いは…

誰にでもあるよ。誰にでもねぇ…うん」トオイメ







ゆー「オジサン?」ホットミルク ズズズ








花屋「ごめんね…ちょっと

おセンチな気分に…浸ってたよ。」








花屋「僕は…花屋だよ、おジョウちゃん」








ゆー「花屋さん?」






花屋「うん。お嬢ちゃんは?

今日は…花を買いに…来たのかい?

お見舞いの…花かな?」








ゆー「ゆーは…」







花屋「?」







ゆー「ゆーは…U-511」






花屋「U-511 ?」






ゆー「ん」コクン







ゆー「か、艦娘、ドイツ海軍の潜水艦…」








ゆー「最近、日本に来たの」









花屋「艦娘って…あの…深海棲艦と…戦ってくれている…?」









ゆー「ん」コクン








花屋(こんなちっこいのに…)







ゆー「お花…」







花屋「あ、そうか…どんなお花…欲しいんだい?」






ゆー「ていとく」







花屋「ていとく?」








ゆー「ていとくの お姉さん、

赤ちゃん 産まれたんです」









花屋「…」








ゆー「…」








花屋「…」エーット








ゆー「…?」








花屋「あ、出産祝い?」









ゆー「 ! 」コクコク!








花屋「」ナルホドナー







ゆー「お花…あるますか?」








花屋(ドイツから来たんだっけ?

まだ、少し…日本語がたどたどしいような…)








花屋「えっと…赤ちゃんの名前はわかる?」








ゆー「…わかりません、ごめんなさい」







花屋「あ、いや、謝らなくて良いんだよ?

赤ちゃんの名前にちなんだフラワーアレンジメントを

作る事も出来るからさ…」








ゆー「あれんじめんと?」









花屋「うん、と…お花を綺麗に魅せるための

『お花の飾りつけ』って言えば良いのかな?」








ゆー「あれんじめんと…お願いします!」








花屋「うん。じゃあ…赤ちゃんって

男の子かな?女の子かな?」






ゆー「…それなら…ゆー、わかる。赤ちゃん…女の子。」








花屋「うん、ちょっと…待ってて…」







スタスタスタ







花屋(出産祝い…出産…子供…母親…)ガサガサ






ゆー「?」ヒョコ







花屋(これの花言葉は『愛』…女の子だから『気品』かな…?)サクサク







ゆー「わ…ぁ…♪」







花屋(あとは…造花で少し周りを飾って…)カサカサ







花屋(こんなもんかね…いや…あと、ピンクも欲しい)ゴソゴソ










花屋(出来た)






花屋「ゆーちゃん…出来たよ」






ゆー「…きれいな…籠(かご)」







花屋「育児の事も考えて手間のかからない

プリザーブドフラワーで白い籠に作ってみたよ。」





※プリザーブドフラワー…花とか葉を脱水作用の

ある液に沈めて乾燥させたモノ。とっても長持ち!!







花屋「真ん中のプリザーブドフラワーの赤い薔薇の花言葉は『愛』で」






花屋「これを囲むピンクの薔薇は『気品』」






花屋「女の子らしいでしょ?」





ゆー「」ジー





花屋「?」





ゆー「…Danke♪」ニコ





花屋「…だんけ?」






ゆー「…Danke…あ、アリガトウ…」






花屋「うん…どういたしまして♪」





………

……








花屋「お代はそうだね…3000円くらい…かな」




ゆー「ん」コク






ゆー「」ゴソゴソ






ゆー「…?」






ゆー「…!?」






花屋「?、どうしたんだい?」






ゆー「あ…あの…ぉ」プルプル






花屋「…?」






ゆー「お財布…落としちゃ…った」プルプル





花屋「」アララ





ゆー「ご、ごめんなさぃ…」ナミダメ





花屋「…」ウーン





花屋「」トケイチラリ





ハト時計「13時22分です」





花屋「…良し!」ポン





ゆー「」ビクッ





花屋「それじゃぁ…」ニタァ





花屋「仕方ないよねぇ…」ズイッ




ゆー「!?」アトズサリ





花屋「お金が無いんだったら…」ズイズイッ





カベドン!





ゆー(か、かべ!?ゆー、追い込まれた!?)カタカタ





花屋「仕様が無いよねぇぇ…」ズモモモモモモ





ゆー「」フルフルフル





ゆー(ていとく…さいごに…ひとめ、あいたかった…)グスッ





………

……



………

……







花屋「ゆーちゃ~ん、

次、この赤い花を表のベルの横に飾ってきて~!」





ゆー「は、はぃ」パタパタパタ





花屋(女の子の感性で飾ってもらえれば失敗はない…はず)




花屋(僕が子供のころにお手伝いで使ってたエプロンがあって良かった。)






花屋(それにしても、お代の代わりに2時間くらい

手伝ってもらおうって思っただけなのに…)






花屋(あそこまで露骨に怖がられると…自信無くすなぁ僕…)ガサゴソ







ゆー「」エット ベル ノ ヨコ





花屋(薄い青の生地に花柄、

髪の色と合わさって可愛いじゃないか)






ゆー「あ」テテテ…





花屋「?、どうしたの?ゆーちゃん」





ゆー「」ジィー






花屋(入り口にしゃがみこんで?何を見てるんだろ?)






ゆー「」テテテ…





ゆー「お、オジサン…これ…落ちてたの」ヒョイ






花屋「んん?」マエカガミ






花屋(あ、これ…)






花屋「花の種だね」






花屋(僕の背丈じゃ、見えない所に落ちてたんだな)






ゆー「おはなの…」






ゆー「」ジー






花屋「?」






花屋「種を見るのは初めて?」






ゆー「ん」コクン







ゆー「ゆーは潜水艦だから…いつも海の中にいたから…」







ゆー「この体になるまで…お花も見た事なかった」






ゆー「お花の赤ちゃん…こんなのなんだ…」マジマジ







花屋「海の中かぁ…オジサン、海の中の深い所までなんて

いけないからそっちの方が新鮮だなぁ」






花屋「海の底って…どんな感じなのかな?綺麗なのかい?」







ゆー「…冷たい」






ゆー「冷たいの…とっても」







花屋「…」







ゆー「…」






花屋「ねえ、ゆーちゃん」






ゆー「?」






花屋「それ、育ててみない?」





………

……







ゆー「!」コクコク






花屋「よし、じゃあ明日は時間ある?」






ゆー「今の時間くらいなら…」





花屋「よし、だったら明日またおいで。

それまで、なるべく簡単に育てられるように

資料まとめててあげるから」






花屋「それに、

その種がなんの種類なのかも調べなきゃいけないからね

今日一日預かってるよ」





ゆー「!?」






ゆー「たねからわかるの…!?」






花屋「これでも花屋さんだよ?こんな顔だけど…」






花屋(自分で言ってなんだけど、へこむ…)






ゆー「オジサン…すごい…!」キラキラ






花屋(キ、キラキラしてる!

無垢な…なんて無垢な視線なんだぁ…!)ウオッ マブシッ






………

……




花屋「帰りは気をつけてね」





ゆー「ん」コクコク





花屋「はい、アレンジメント。落とさないようにきをつけて」





ゆー「ん」コクコク





花屋「お財布の事はちゃんと提督さんに言うんだよ?」





ゆー「ん」コクコク





花屋「じゃ、また明日ね」バイバイ





ゆー「」バイバイ





………

……




今日も良い天気だなぁ!


お店のシャッターが軽やかになるよ!


今日も元気だプロテインが美味い!


さぁて今日も働くぞぉ!!




そういえば昨日、珍しくアニメを見たんだっけ?


なんだっけ?アレ


…あ、そうだ!


『戦闘機これくしょん(せんこれ)』て名前だっけ?




オープニング曲が印象的だったなぁ…


確か……こんなの




「あぁさのひーかぁりー、まぁぶぅしぃくてぇ…」




「テレレレ♪テレレレ♪」




のってきたぞぅ!



ここで店のシャッターを思いっきり上げるぅ!





「ウェイクアアァァァァァッァップ!!!!」



ガシャァァァン



「言葉もぉなくてぇ~♪」






「…オジサン?」





「ただ、波の音をきぃ…て…た…ぁ…?」




「…」



「…」




あれ?








「お、オジサン…ゆー、なんにも見てないから…ね?」



「うん…ゆーちゃんは優しいなー。でもオジサン精神ズタズタだよ」




思わず顔覆っちゃうよ。


30歳の良い大人が何してんだろ。


店の前でやってる本人が一番悪いんだけどね。



うぅ…やめて!そんな目で僕を見ないで!


でも、なんでこんな時間に?


確か午後からのはずだったけど?



「早いんだねゆーちゃん?」



コクンと小さく頷くゆーちゃん、


なんか仕草が小動物みたいだなぁこの子。



「ていとく、今日はお休みで良いって」



提督さん優しいな。



「でも、提督さんがゆーに

お休みって言ったら…でっちーがコッチ睨んでたから

ゆー、怖かった。」



アレ?ゆーちゃん、ちょっと震えてる?


というか、でっちー?ふなっしーみたいなゆるキャラかな?






-鎮守府-



「でーっちくしょい!!」



響き渡る伊58のくしゃみ。


潜水艦用のプールにぷかぷかと


浮いている彼女が思いっきり吹くと


若い細身の男性がゆっくりとそのプールの淵に寄ってくる



「あれ?伊58?風邪かい?」



プールの横にしゃがみこみ彼女の方を見る。



「あ、あーこれは風邪引いたでちなー(棒)

今日のオリョクルは無理でちー(棒)」



彼から目をそらしながら、鼻水をズズっと吸った


その声に抑揚は感じられない。



「ん~…」



しばし、考えた『フリ』をして



「ダ~メ♪」



とびきり爽やかな笑顔で

最大限、彼女の期待を殴り捨てた発言を下す。



「鬼でち!!」







「お休みで、この花屋に来てくれたのは嬉しいけど」



正直、お年頃のおんなのこがこんなオッサンと一緒にいて


良いものか?



「遊びにいかなくても良いのかい?」



困ったような顔で見上げるゆーちゃん。



「ゆー…あんまり、遊ぶところわかんない…」



納得。




「あ~…」



しばしシンキングタイム。



「じゃあ、ゆーちゃん、今日もお手伝いお願いして良いかな?」


「!」


コクンとこれまた小動物のように頷く彼女。


「じゃあちょっと、そこのお店の椅子に座ってて?準備できたらまた呼ぶから。」



昨夜、なるべく簡単な日本語でお花の育て方を纏めた資料を渡して


奥の丸椅子を指す。



「ん。」



喜んでるのかな…?


歩幅の小さい足がなんか少し跳ねているように見えるし


ステップを踏んでるように歩いてる?


まだちょっとわかんないな~…この子。



ちょこんとおとなしくその丸椅子に座って、僕の作った


資料をマジマジと読む彼女。


なんだか微笑ましい。


さて、何を手伝ってもらおうかな。




「おいっすぅ!」



ん?この声は…



「あ、いらっしゃいクリーニング屋さん!」



セミロングの茶髪を後ろでポニーテールに纏めた女性が


お店に入ってきた。


この人はクリーニング屋さんで、僕の花屋のお向かいさん。


サバサバした性格で、誰にでも分け隔てなく接してくれるから


僕も緊張することなく話せる数少ない人。


この人は僕の3歳上のお姉さんで、


小さい頃一緒に良く遊んでもらったりもしたんだ。


ちなみに彼女も僕と同じようにお父さんの家業の跡を継いでいるんだ。



時々、お店が暇なときにこんな風に雑談をしていたりもする。



いや、彼女、仕事はちゃんとやる人だよ?




「うーっす花屋ぁ!相変わらず無駄筋肉だな!」




ガッハッハと豪快に笑う彼女はその細身で150cmあるかないかの体からは


想像もつかない程の大声の持ち主である。


薄いグリーンのクリーニング用エプロンの下は


ターコイズの薄手のシャツとデニムのパンツ。


動きやすさ重視だよね。うん。



大声に気になったのか奥からゆーちゃんが


花の本を持ちながらトタトタと出てきた。



「!?」



四角いノーフレームの眼鏡越しの目をマン丸にして


僕の顔と、ゆーちゃんの顔を見比べる。


ゆーちゃんを見て、僕の顔を見る、青ざめる。


もう一度ゆーちゃんを見て、僕の顔を見る、更に青ざめる。




「あ、あんたついに…」



あ、これあれのパターンだ



「あんた…ついに幼児に手を…!」



だよね!?なんとなくわかってたよちくしょう!



「…?」



そして首を傾げるゆーちゃん!わかってない君も可愛いなちくしょう!!






「へぇ…こんなちっこくて『艦娘』ねぇ」



膝の上に、ゆーちゃんを乗せて白い髪の毛の末端で遊ぶクリーニング屋さん


一方ゆーちゃんはちょっとドキドキした様子で本を読んでるけど


緊張しているのか、目が泳いでいてまともに読めている様子では無い。



「『潜水艦』なんだって」



「へぇ~。でも良かったよ。

あんたが警察沙汰にならなくて、危うく通報するとこだったもん。」




「止めてよ!?洒落にならんよ!?」




「その見た目だったら、さすがにどの弁護士読んでも勝ち目は無いからね~。」




「ねぇ、ゆーちゃ~ん♪」




「///」




あ、本で顔隠さないで!逃げないでゆーちゃん!僕を救って!




「酷い!人は見た目じゃないやい!!」



「いや、結構見た目で判断されるもんよ~?」



「あんたなんて、『ヤ』で始まって『ザ』で終わる職業みたいじゃん」



「見た目だよね!?心まで染まってないからね!」







「それでクリーニング屋さんは、なんか用があって来たんじゃないですか?」



未だにゆーちゃんを膝の上に乗せて髪をいじくる彼女。



「んー?あ~…父ちゃんの7回忌だからさ~仏花ちょうだいな♪」



悲しさのかけらも感じないよクリーニング屋さん。



「う~ん…これで良いのかな~…花屋さんもとい幼馴染、とっても心配」







カランコロン♪


あ、またお客さん…



「はい!いらっしゃいませ!あ、クリーニング屋さん、ちょっとゆーちゃん

見てて貰っていい?」



「はいよー、いって稼いでこい花屋~、ほらゆーちゃんも」


「い、いってこーい はなや~」



やめて!それ以上ゆーちゃんを毒さないで!!


どうしよう…不安で目を離したくない…




「すいませーん、U-511はいますかー?」



へ?ゆーちゃん?



「あ、ていとく」




提督さん?


すると、お店の入り口から


店内にスラリと細い男性が入ってきた。


お、中々のイケメン



「すいませー…ん…!?」



は!笑顔笑顔!!



「い」



「イラッシャイマセェェェェイ」ズモモモモ



…よし!成功!



…あれ?




「オジサン?ていとくの目、白いよ?」




…やっべ


クリーニング屋さん腹抱えて笑ってる場合じゃありません。








「いや、失礼しました。人の顔を見て倒れるなんて。」



店の奥の小さなテーブルを囲む僕達。



「あ、いえいえお気になさらず。慣れてますので」



内心、ボロボロっす。



「先日はウチのU-511が大変お世話になったそうで、今日はそのお礼にと」



「そうでしたか、

なんだかわざわざすいません。そういえばお姉さんは?」オチャドウゾ





確か、出産祝いのお花だったよね?




「はい、無事に子供も産まれて今はまだ病院に。」イタダキマス



母子ともに健康か~、うん、良かったよかった。





「ていとく…」



「おや?U-511?その本は?」




トタトタとやっぱり小さい歩幅で提督さんに近づくゆーちゃん。


やっぱり、こうみると普通の女の子だよなぁ~。



「貰ったんです」


「手づくり感が凄いんですが…まさか」



ゆーちゃんから、本を受け取ってマジマジと見る提督さん。


言い終えるとこちらに視線を向ける。




「あ、はい。僕が昨日、出来るだけ読みやすいように

お花について纏めた本なんです。」



「ゆーちゃんが、お花に興味をもってくれたので」




なるほどといったようにウンウンと頷いて


ゆーちゃんにそれを戻す。




「ありがとうございます。しかし、『ゆーちゃん』ですか」



口元に指を当ててクスクスと笑う、なんだか中性的な人。




「失礼、たった一日ですっかり仲良くなったんだなぁと」




娘を見るような優しい視線を


奥で、花の本と、売り物の花を見比べるゆーちゃんを眺める。




「あの子は本当に最近、この国に来たんです。

やはり文化の違いからか、中々馴染めていないようで」



「はあ、ですが、他の艦娘とはお友達なんですよね?」





じゃないと、ゆーちゃんが心配だよ花屋さん。





「お友達…と、他の子は思っているんですが…中々打ち解けられないようで…」





う~ん、どこの学校…じゃなくて組織にも

そういうのはいるもんだけどさ~。





「私も本音を言うと艦娘との距離感が中々掴めなくて…」



「どう、アドバイスして良いものかと頭を悩ませているんです。皆、中々の曲者(くせもの)揃いなので」




聞いた事あるな、

アイドルを目指している艦娘や、年中スク水の子とか…確かに曲者だね…。




「はあ」



「…花屋さん、これからもU-511と仲良くしてもらえませんか?」



「練度の都合もあって、まだU-511は本格的に参加させる事は出来ないんです。」




練度?…実戦経験的なものかな?

まだ、経験が少なくて危なっかしいから作戦への参加を渋ってるてことかな。


親心かな?




「僕は特に構いませんよ。」



「ありがとうございます。まずは、

この国に馴染んでもらいたくて…しばらくは

彼女の好きなようにさせようと思ってるんです。」




「あの子は、どうやらお花に興味があるようですし。」





再び、お花に夢中になってるゆーちゃんに視線を向ける。





「御迷惑でなければ、で良いんです。」




「こちらこそ、あんなにかわいいお客さんなら大歓迎ですよ。」





内心、凄く嬉しかったよ。


だって、今までこの風体のせいで怖がられてばっかりで


誰もあんまり近づいてきてくれなかったから。




「本当にありがとうございます。」




フカブカと頭を下げる提督さん。


本当にこの子、ゆーちゃんの事


気にかけてるんだね、優しい人。




「まぁ、茶でも飲みなよ提督さん。

まずい珈琲で申し訳ないけどさぁ。」




うん


クリーニング屋さん


しれっと人んちのコーヒーとカップさ、勝手に使わないでくれるかなぁ!!


そして、僕の分はぁ!?








「すっかり、お邪魔してしまって。さ、帰ろうかU-511?」



すっかり、話しこんでしまった、


途中途中でお客さんが入ってきたりもしたけど


それでも、手短に接客は済んでしまったし。


提督さんもあまり、忙しい様子では無かったからついつい


お話しが弾んじゃった。




「ん」




小さく、頷いて


僕の作った本を大事そうにギュッと握りしめてくれる


なんだか嬉しくなっちゃうね。




「いえ、僕達も楽しかったです。提督さん

またねゆーちゃん、」



「まあ、狭苦しいとこだけど良かったらまた来てよ」



うん、クリーニング屋さん貴女は少し


遠慮という言葉を覚えようか。









「さて、あたしも帰るかねぇ」





大きく伸びをして、近くに飾られていた


白い胡蝶蘭に軽く触れて入り口に向かって歩き始めた。





「…」





―ゆー…あんまり、遊ぶところわかんない…



気がかりだなぁなんだか…






「なに、難しい顔してんのさ。アンタらしくも無い。」





お店のテーブルに座った僕の首に


後ろから細い腕をからませる彼女。





「…ゆーちゃん、ちょっと寂しそうだったから…。」





良し。





「ねぇ、クリーニング屋さ…ううん…『お姉ちゃん』」



「なつかしいねぇその呼び方、昔を思い出すよ~。」





見た目は20歳そこそこの童顔で


33歳にもなる立派な女性が感傷に浸った顔は


なんだか、ちょっとそのギャップにグッとくる。





「昔はあんたもアタシより、背が小さかったのにねぇ」



「今はこんなに大きくなりやがってこのこの♪」





やめて恥ずかしい…


あ…!これ、思ったよりも恥ずかしいな!!





「や、やめて…それよりも今度の日曜日って空いてる?」



「うん?どしたの?」





僕の考えを伝える




「ゆーちゃんの事なんだけどさ。」







艦娘寮の潜水艦寮の一階の角部屋。


そこが、ゆーのお部屋です。


他の日本の艦娘の先輩は小さすぎるって言ってたけど


ゆーには丁度良いです。


来たばかりの時は、何もない部屋でした。


潜水艦の『でっちー』や『いく』


空母の『あかぎ』さん、『そうりゅう』さん


軽巡の『なかちゃん』さん、『きたかみ』さん


潜水母艦の『たいげー』さん



みんなみんな優しいです。


ていとくもとってもとっても良い人です。



『でっちー』が最初にこの部屋に来た時は


「提督は女心がわかってねーでち」って提督に文句を言いに行った時は

ちょっと驚きました。




そしたら、どこから噂が広まったのか


みんなからいっぱい雑貨を貰っちゃいました。



今は、御部屋もとっても賑やかです。




『そうりゅう』さんから貰った

窓辺の、夜になったらぼんやり光るお星さまのお飾り。


『たいげー』さんから貰ったベッドの枕元の鯨の時計。


『なかちゃん』から貰った、那珂ちゃんポスター(サイン入り)。




そして…





―ゆーちゃん、良かったら、これ



―オジサン?これ、ゆー、貰っても良いの?



―うん、もちろんだよ!これからもこのお店を御贔屓にね!



―『ゴヒイキ』?



―あ、えぇっとね…これからも『よろしくお願いします』ってことだよ♪



―!、よ、よろしくお願いします!



―笑顔の方がゆーちゃんはもっと可愛いよ?





―なぁにそんな小さな

子供口説いてんのさそこの強面の30歳!




―やめて、リアルな年齢言わないで!現実と直面したくない!




―ねぇ、オジサン?これ、何ていうお花なの?




―あぁ、それはね『 』って花だよ?

後で花言葉を調べてごらん。僕のあげた本にも少し花言葉が載ってるからさ。



―とてもとても素敵な花言葉だよ








鉢植えと一緒に頂いた、それを小さい机―『あかぎ』さんから貰った―の上に置きます。



花屋のオジサンから貰った、ご本を開いて調べます。





「えと…このお花は…」





「ぶ…ぶらいだる、べ…ぇる…ブライダルベール」





「花言葉は…」










『幸せを願っています』











ジリリリリ…



「スゥスゥ…」




ジリリリリ…



「スゥスゥ…」




ジリリリリ…



「スゥ…」





ジリリ…パタン



「…んぅ…くぁ~」




眠いです。


いまは…ごぜん6時…。



パジャマから制服に着替える前に郵便受けに行かなきゃ


新聞を取りに行くのは ゆー のおしごとです。





『うーちゃん』から貰ったお気に入りの「ウサギのスリッパ」を履いて


まだ静かな寮の廊下を通って、吹き抜けの廊下を抜けます。



パタパタ…


パタパタパタ…



ここから鎮守府を抜けて…


ありました。


ヨイショッ






ゆー と同じくらいの高さの郵便受けを開けます。


キィ…




あ、ありました。





それと一緒に、広告もとって…あれ?



この青い封筒お手紙ですか?


…可愛い…黄色いチョウチョさんの柄が描いてあります。



でも、なんで手紙が?



裏には…




『ゆーちゃんへ』




裏には ゆーの名前が書いてありました。


お手紙です!


ゆーに!


ゆーにお手紙です!



つい嬉しくてパジャマのまま跳ねながら



鎮守府に戻りました。



誰からでも良いです。お手紙は、嬉しいんです!




でも誰からでしょう、誰からでしょう!







「あ~、花屋さんですよ、U-511」



「花屋のオジサン!」




白い士官服に着替えて食堂でお食事を終えた


提督にお手紙を読んでもらう事にしました。


きっと、ゆーが読むと時間がとってもかかっちゃうので。


急にきてごめんなさいていとく。



「私は大丈夫です。どれ…」カサ




提督のすぐそばのテーブルの上に両手と顎を乗せて


今か今かとちょっと興奮して待ちます。






「こんにちは、ゆーちゃん。


お手紙、無事届いたようですね。


早いもので、君と会ってからもう1ヶ月が過ぎましたね。


ウチのお店では、ディスプレイするお花も少し変えました。


さて、今回、お手紙を出した理由はゆーちゃんをちょっと


『お遊び』にご招待したいと思ってこれをお届けした次第です。


○月○日の土曜日の午前中はお暇ですか?


もし良かったら、僕とクリーニング屋さん、ゆーちゃんで


遊園地にあそびに行きませんか?ご返事待ってます。



花屋より」









「ですって。どうします?U-511?」




「ゆーえんち…提督…ゆーえんちってなに?」




あんまり聞いたことない。



あ、なんだか皆さん寄ってきました。





「あ、御手紙!へぇ、ユーに?」


そうりゅうさん…




「遊園地!良いじゃない!ユー行ってきなさいよ!」


あしがらおば…おねえさん




「へ~、遊園地か~、アタシも行きたいな~」


きたかみさん…




「ゆーばっかずるいでち!提督!伊58も行きたいでち!」


でっちー…




「ん~…却下♪」



「鬼でち!」







「♪~♪♪~」



嬉しいな嬉しいな♪


オジサンとクリーニングのお姉さんと


お出かけおでかけ♪




カモミール♪すみれ♪デイジー♪



はなこっとば は~



『親交』~♪『小さな幸せ』~♪『希望』~♪



今まで、オジサンから貰ったり、買ったりしたお花達に


じょうろでお水を上げます。


なんだかお花も喜んでいるように見えます。


楽しみだな~♪




あ、でも…



ゆー…お洋服…


制服と…パジャマしか、持ってない…




…どうしよう…


せっかく『ゆうえんち』にいくのに…





コンコンコン…



「は、ハイ。開いてます」



「失礼しますU-511」



「あ、ていとく!」



じょうろを一旦、机の上において敬礼します。



「楽にしておくれよ。それよりも、外出用の服は持っているのかい?」



「…あ…ぅ」






見透かされてます。


持ってないです…。



すると、ゴソゴソと胸ポケットから何か茶色い封筒?


を出してゆーの前に持ってきました。




「これ…は?」




「少ないですが…これで、好きな服を買ってきなさい。

これぐらい持っていけば、そこそこのブランドでもおそらく足りるでしょう。」



これって…!!

日本のお金にはまだ…慣れてない…けど




「て、ていとく…!こんなに…も、もらえません!」





おさつがいっぱい…いっぱい入ってました!





「受け取って下さい、U-511。私は…提督でありながら…」





「まだ、上手くあなたと…どう接して良いのかわかりません。

お金で君との関係を縮めようとは思いません、ですが」





「せめて、今はこれぐらいはさせて下さい。」





「お洋服を買いに行くなら…如月と一緒に行くと良いでしょう。」




「あの子は、流行りにも敏感でしょうし、

きっと素敵な『こーでぃねーと』をしてくれるはずですよ」




「Danke…あ…ありがとう…ございます!」





何も言わずに提督は、ゆーの部屋を静かに退室しました。










「あらあら、提督もとっても不器用さんねぇ。」



港町のショッピングモールの中にある


ピンクを基調にした、かわいいお店に


『きさらぎ』ちゃんと一緒にきました。



このときは『きさらぎ』ちゃんからお洋服を貸してもらって


お買い物です。



ヴィンテージの水玉のドットのワンピース


短めの黒いカーディガン


『れとろがーる』風のファッションなんだって。



髪の色にぴったりって言われました。





「あら、ユー?こちらも貴女の顔立ちにピッタリよ?」





まるで、自分のお洋服を選ぶようにご機嫌な様子で


次々にその手に抱えていきます。





「さぁ!次はいよいよ試着よ!」





ギラギラしてて目がこわいよきさらぎちゃん








この『ヲキュウランド』は


港町の中心街から少し外れたバイパス沿いに


建てられているんだけど、


丁度今日は、『開園10周年』でいろんなアトラクションの


乗り放題券が半額なんだ。



アトラクションは一般的なもの、


ちょっとしたヒーローショー等など








その遊園地の正門の横にある駐車場に車を止めて


クリーニング屋さん…『お姉ちゃん』と一緒に


待ち合わせ場所まで移動する。





「あ゛~…座りっぱなしで腰いてぇ…ここって案外遠いから困るんだよなぁ…」





童顔の女性が腰をトントンと叩いて唸る姿はなんだか滑稽だなぁ。





「大丈夫お姉ちゃん?」



「あんたさ、なんでその図体で軽自動車とか乗ってんの?

おかげで狭い思いしたじゃんかよぉ…」





うぅ…ごめんよ、お姉ちゃん。







そろそろ待ち合わせの時間だけど…


あ、あの銀髪は…



「おーいゆーちゃーん」




手を振ると、提督さんに連れられた ゆーちゃんが


振り返してくれた。


提督さんは、遠くから頭をぺこりと下げた。





「おじさーん、くりーにんぐやさーん!」





なんだか明るくなってくれてオジサン嬉しいなぁ。



そして、今日のゆーちゃんのファッション



ロリータっぽいフリフリのブラウスに


黒のスカート


か、可愛いすぎる…!





「今日はU-511をお願いします。

さ、楽しんでおいで。」



提督さんは、

正門までゆーちゃんを連れてくると、手を離した。





「てーとくぅ!いってきまーす!」





ニコリとあどけない笑顔をふりまく ゆーちゃん。


う~ん…扶養してしまいたい…!





「良い大人が何、悶えてんだよ」






悶絶していると後ろからお姉ちゃんに突っ込まれる。






「さて…と」





正門をくぐって、ランドの地図を広げる、


それを覗きこむ ゆーちゃんとお姉ちゃん。




「は~ん…案外広いのね~。」グビグビ…ゲフッ



「おっきぃ!オジサン!これって全部のりもの!?」




うん、そうだよゆーちゃん。



…お姉ちゃん。


お願いだからビール飲みながら


うろつこうとすんのやめてくんない!?








「ヲキュウランドにヨウコソだヲ♪」



このランドのマスコットの『ヲッちゃん』が簡単な説明をしてくれる。




「人気の乗り物は


『イキュウコースター』


『ダイヴ・ザ・カキュウ』


『ヌキュウツイスター』


ちょっと年齢層高めのお父さん達には


『ツキュウマッサージ』


『メイドキッサ・ルキュウ』だヲ!!」





メイドキッサ…メイド喫茶ァ!?





「他にも『ヲッちゃんと写真撮影!』もオススメだヲッ!!」





頭に円盤のような大きな不思議な被り物をした


スラリとした、ウェットスーツのような物に身を包んだ女性


が説明してくれた。


…マスコットにしては…なんか…可愛いというよりか…


『綺麗』?




「き、綺麗だなんて恥ずかしいヲ///」




頬をちょっと染めて、目をそらす彼女。









!?







ちょっと待って!?今、頭ん中読まれた!?







「ヨ、ヨンデナイヲッ!キノセイダヲッ!」








!?











売店で『イキュウちゃんヌイグルミ』をゆーちゃんに買ってあげる。


凄く遠慮してたけど、何だかとっても喜んでくれたから


ALL OK





…んでお姉ちゃん。


そのカゴいっぱいのビールはいつ飲むの?


やめてよ!?


これ見よがしに隣で飲むのはやめてよ!?







カゴいっぱいのビール買わされました…。




「とりあえず、一通りのってみね?」グビビィ…ゲッフゥ



お下品ですよお姉ちゃん!


でも、それには賛成だね。



ヲッちゃんに別れを告げて


アトラクション、『イキュウコースター』に向かいます。




やっぱり、休みだから人がいるな~…。






「ゆーちゃん、ゆーちゃん」



「何?オジサン?」



「人混みにまぎれると逸(はぐ)れるかもだから、手つなご?」





ちょっと頬を赤らめる ゆーちゃん。


?、なんで?




「…ん///」




でも、おずおずと手を差し出してくれる。


それをやんわりと手に取る。




「さ、いきましょうかお姫様♪」


「///」





ザワザワ…ヒソヒソヒソ


ザワザワ…


ナニアレ…?


ザワザワ




なんだろう?なにかあったのかな?



うん?周りを良く見たら、僕らを指さしてたりして…る?






あっ!まさK…






「おまわりさんこっちです!!YA-KU-ZAが!ヤ○ザが!○ク○が!!」ドタドタドタ!!





なっ…違っ!!






「こらぁぁぁ!貴様ぁ!

どこのもんだぁ!!

そんなファンシーな私服で誤魔化しても私は騙されんぞ!!」






…助けてお姉ちゃ…








「ブヒャヒャヒャヒャヒャww」









…笑ってる場合とチガウ!!!






しかもいつのまにあんな遠くに!?









「酷い目にあった…」





「まったくだ、酷い奴らだったな」カタ ポンポン…





「そん中にあんたも入ってんだよぉぉ!!!」グワァッ





「ヤン♪」








「これが…いきゅうこーすたぁ…」





結構並んでるね~…。




「へっへっへ♪まぁ、ゆっくり待ってましょ」グビィ…ゲェッフ




酒臭ァッ!!


帰り、この人車に乗せンの僕!?





「クリーニング屋さん、おさけくさい…」





ねぇ、ゆーちゃんもそう思うよね!





「なぁんだとぅ~?そんなこという わ・る・い・子はぁ~♪」





あ、逃げてゆーちゃん!この人目が据わってる!!






「おしおきだぁぁ!!」






幼い体を激しく…『激しくまさぐる』お姉ちゃん!!



やめたげてぇぇ!!

服が!ゆーちゃんの服がはだけちゃってるよぉぉ!!





「はぁぁぁん!!////」




あ゛ぁ゛!!ゆ、ゆーちゃぁぁぁん!!!










「ひっく…ひっく…グスッ」クスン



「ごめん…いや、ほんと」



すっかりすねちゃったゆーちゃん。



あ~ぁ、イキュウコースターの順番回ってきたけど…


機嫌損ねちゃった…お姉ちゃ~ん?





「わかったわよ、私が悪かったってぇ~!ごぉめぇん~!!」




「フンッ…」プイッ



「ごめんって~…これ終わったらパフェ奢ってあげるから~」



「!?…パフェ?」




「うんうん!クリームたぁっぷりでぇ!

苺ドッサドサでぇ!カッリカリのフレークが載ってるヤツ!」



「んでんで、『太く』て『大き』なバナナが『ブルンブルン』載ってるやつ!!」




なんでそこを強調したぁ!?





「チョコは?」



「…へ?」



「チョコ…いっぱい?」



「うんうん!そりゃもう血糖値大爆発だよぉう!!」



「…許し…ます」



「やった♪」





良かった、機嫌直してくれたみたい。






…ところでお姉ちゃん?





「なにさ?」





パフェのお金って?





「あんたが払うにきまってんでしょ?」








デスヨネー








「あ、アタシのぶんもね♪」









ちっくしょぅ!!!







ズゴゴゴゴゴゴォォォゥゥゥゥ





「ムゴォォォォオッ!!死ぬ!死ぬウゥゥっ!!」








風を全身に感じて、縦横無尽に重力を受けて


イキュウコースターはレールの上を滑走していた。







「すごいはやぁい♪」


「いいぞいいぞぉぉ!!ははは!私は風になったぁぁ!」






酔っ払いのテンションだコレ!?







「イヤァァァァァ…!!!」










「…」ゼェゼェ




ベンチに腰掛ける僕…


吐きそう…





「情けないねぇ~。ねぇ?ゆーちゃん?」


「オジサン大丈夫?」




今はそっとして…オジサン朝食戻しそうなの…




ウォエップ…



うーん…かなりグロッキー







「おじさんおねえちゃん!次はアレ!アレ乗ろっ♪」





すっかりテンションが高くなったゆーちゃんは


イキュウぬいぐるみを抱えて、アトラクションの列に向かって


トタトタと走り始めた。




「おーい転ぶぞぉゆーちゃん!」ケロッ






あれ?

もう、酔いは醒めたのお姉ちゃん?







「ああ、吐いたからな」キリッ







きったね!!!



きっったねぇ!!!!








パタパタパタ…ドンッ



「いたっ…!」



ゆーちゃんの背中に何かぶつかった。


そのまま、前のめりに転ぶゆーちゃんと何か。





「いたた…あ、おねーちゃんごめんなさい!」





ゆーちゃんよりも小さい、女の子だった。


うつぶせになったゆーちゃんの上に馬乗りになってしまっている。


スカーフ付の薄いグリーンのワンピースを着ている桃色の髪の女の子。





「う、うぅん、ゆーはだいじょうぶ。あなたは?」



「わたしもへーき!」





元気そうに、ゆーちゃんの上から退く女の子。



ワンピースの汚れを手で払う。


すると彼女が走ってきた方向に目を向けると



スラリと細い、高校生か大学生の女性が焦りの表情を浮かべて


小走りで近づいてきた。


その首には黒地に白のレースをあしらったチョーカーを巻いていた。


その女性も髪が桃色だった。


日本人離れした、白い肌に端正な顔立ち、鋭い眼光…ちょっと怖い。




その女性がゆーちゃんを抱き起した、そしてハンカチを


取り出してゆーちゃんのスカートの汚れを拭く。





チェックのリボンタイ

白いシャツ、ダークグレーのベスト

黒のタイトスカート

可愛らしいタッセルシューズ



全身が少しカッチリとしたスタイルの女性が

その懐から

メモ帳とボールペンを取り出すと何か書き始めそれを

ゆーちゃんに見せた。



「…うん。ゆーは大丈夫!お姉さんの妹ちゃんも大丈夫?」




「おねえさん?ちがうよ、わたしの『おかーさん』だよ?」




おか、お母さん!?


こんな、若くして…母親…どうみても…まだ学生じゃないか!



でも、さっきゆーちゃんに向けたその笑顔は、たしかに母親の顔だった。




『娘が大変失礼しました。お嬢様にお怪我は無いようです。』




メモ帳で意思疎通しかしてないし…首の太いチョーカー

『何か』を隠すように巻かれているけど…



まさか



「言葉が…話せないんですか?」




コクリと静かに頷く、若い…若すぎるお母さん。









その若いお母さんは僕達に一礼すると、娘ちゃんの手をひいて


去って行った。






「綺麗な人だったねぇ…」グビッ…ゲフッ






この人…33歳のはずなんだけどなぁ…この差は何だろう。



花屋さん複雑な気分。












「ヲッ!そこのステキなファミリー!家族写真はいかがだヲ?」



ファミリーでないよ!?



「アラ、良いじゃないアナタ?」



アナタじゃないが!


なに悪ノリしてんのさぁ!




「ぱぱ~、ゆーも お写真とりたい」クイクイッ




ゆーちゃんやめなさい!

段々、お姉ちゃんに毒されていってない!?きみ!?





「はぁい、じゃあお父さんは真ん中でお願いしますヲッ!」



違うって言ってんだろ!!






午後17時40分


あたりはうす暗くなってきた。


トンネルに突入し、中のとぎれとぎれの照明が車内を照らす。



「zzz」スゥスゥ



後部座席で小さな寝息を立てるゆーちゃん


首をこっくりこっくりと揺らす度にその小さな手に抱えてる


イキュウぬいぐるみも前後に揺れる。



「ゆーちゃん、寝ちゃったね」


「そだね~。幸せそうな可愛い顔して寝ちゃって、もぅ。」




ちょっと疲れて眠い目をこすりながら、


しっかりとハンドルを握る。






「こんな『頼りなさそう』で『ちんちくりん』でも…」




「『艦娘』なのよねぇ~…」




「…」





なんと言ったら良いものか…わからずに運転に集中する






「アタシ達…こんなに小さい子達に…『守られて』んのよね~」




「ちょっと不甲斐ないわ…」




「…そうだね」




「ねぇ、お姉ちゃん。」




「あんだよ?改まってさ」





口を開いて、助手席の彼女に伝える。





「今日は来てくれてありがとう」




「僕だけじゃ…ちょっと寂しかったし…ゆーちゃんを楽しませる自信が無かったから。」





「…」





「気に済んな、アタシだって、ゆーちゃん大好きだし。」





頭をポリポリと掻いて外を眺めるお姉ちゃん。





「いつ終わるかもしれない命だろ?艦娘ってのは…」






やめてよ…そんなこと…言わないでよ…






「明日か、明後日か、来週か、来月か…はたまた来年か…」






ハンドルを握る手に力が入るのを感じる。


やめてってば…





「それが現実だろ、目逸らしてるわけじゃないだろ?あんたも」




「この子達は…そういう、運命の下にいるって思ったから」




「ましてや、ゆーちゃんみたいな子は放っておけないんだろ?」









視線が下がっちゃうよ…





「危ねぇだろ…ちゃんと…『ちゃんと前見ろよ』…」





…ごめん











「今日は…本当に、有難うございました。あぁ、こんなヌイグルミまで。」





ぺこりとお辞儀をする中性的な顔立ちの提督さん。


士官服の上着は脱いで来たようだ。


上半身はグレーのシャツだった。


お辞儀を終えると、提督さんはゆーちゃんをお姫様抱っこで抱えた。





「いえ、ゆーちゃんが楽しんでくれたようで、何よりです。」




「喜んでくれましたか…そう、それは良かった…本当に」




なんだろう、ちょっと思いつめた表情をして…





「あの、花屋さん。」





「なん…ですか?」





「私にも…お花の育て方を…教えて下さいませんか?」



「U-511に…いえ…ユ、ユゥちゃんに…歩み寄りたいんです」





言い終えると、なんだか気恥ずかしそうに目を伏せた提督さん。



なんだか…嬉しいなぁ…





「もちろんです♪いつでもお教えしますよ!」















夏…



せみの音、ドイツじゃ聞いたことなかったから


びっくりしました。





鎮守府のお庭に水をやりにいかないと。


提督や、皆が育てているお花にもお水あげないとだよね!



今日は特に暑いみたいだから♪





ひっまわりさ~ん♪はっなことば~は『崇拝』~♪


チョロロロ…



ゼラニウム~♪はっなことば~は『尊敬と信頼』~♪


チョロロロ…



壁際の~アッサガオさ~ん♪はっなことば~は『愛着』~♪


チョロロロ…







はやくみんな咲かないかな~♪










0430…


早朝…と言うべきか迷う時間帯です。



重く、太陽の光を拒絶する雲が空を覆っています。




「嫌な天気ねぇ~、こんなときに出撃だなんて…」




海面を滑りながら足柄さんが、ちょっと愚痴っています。




「ま、仕方ないでしょ~。

ただでさえ今月はあんまり戦果は芳しくないんだかんねぇ」



暇を持てあますようにステップを踏みながら


チャプンチャプンと海面を蹴って移動する


手のひらを上にしてヤレヤレといったポーズをとる北上さん。





「まぁ…今日は簡単な警備任務だから私達だけで十分みたいだしね。」



「大丈夫?緊張してない?ユー?」



「だ、大丈夫です。…たぶん」





今日は ゆーの初めての出撃です。


だから提督も警備任務って簡単な指令を出したんだと思います。


そして、練度も鎮守府内では高い方に位置付けされる


このお二人。



うん…きっと大丈夫!



…きょうは、お水いらないかなぁ?










「ありがとございましたぁ!」





ふぅ…なんだか最近調子が良いなぁ~。


前よりもずっと楽に接客できるようになったし。



クリーニング屋さんからも肩の力が抜けて良い感じじゃん?って言われたしね~。


ゆーちゃんに会ってから良い事ばっかりだよ、ホント。



そういえば、今日はゆーちゃんの初の出撃任務って言ってたっけ?



天気悪いけど…大丈夫かな~?



まぁ、あの提督さんの事だから大丈夫かな。



さて、ゆーちゃん達が帰ってくるまでに、



ハーブのクッキー焼いておかないとね!




これ、ゆーちゃん好きだもんな~、新作だし


感想聞かせて欲しいな。








「只今…帰投しました…提督」





「…」





「…ごめん…ごめんよぉ…!」





「…御苦労さまです…足柄…北上…入渠…してきなさい」





この瞬間私が、『U-511』と呼ぶ事はありませんでした。





「ご報告します…」





「足柄…入渠してきなさい」





「ご報告…します、聞いてください…!」




「足柄ァ!!!」




「…」ビクッ




「足柄…入渠…致します…」



「…高速修復剤の使用を許可します…

修復後、ゆっくり休みなさい。今は…ゆっくりと」





行かなければ…彼の所に…


伝えなければ…彼に…








ザァァァァ





「うひゃぁ!…降ってきちゃったなぁ~」




急いで、店頭のお花を店の奥にしまい込む。


これじゃあ、今日はゆーちゃん来られないかな~。





ん?





お花を片づけていたら、こっちをじっと見つめている影が目の端に入った。


提督さん?


なんだか…肩を落としているようにも見えるけど…


傘を深く差しているから顔が見えないな~


なんでそんなとこに突っ立っているんだろ?





と思ったらこっちに近づいて、きたけど酷く歩調がゆっくりだね。






「…花屋さん」





…?






「…お話ししたい事があります…」









傘を差していたものの、手に力が入ってなかったようで


ほとんどその役目を果たさず、濡れて提督さんの体は冷えていた。


お店の奥の自宅からタオルを取ってきて彼に渡す。




「どうしたんですか?」





「…」





頭にタオルをかぶせて、項垂れる提督さんは


まるで呼吸をしている様子が無く糸の切れた操り人形のように


背中を丸めて椅子に座っていた。


その口はきゅっと結ばれていた。



お茶を淹れたカップから湯気が立つ。


これも、ゆーちゃん用に作ったハーブティーなんだけどなぁ。






「提督さん?ゆーちゃんは?そろそろ帰ってくる頃かと思って、お茶の準備していたんです!」







「…ッ…!」







「あぁそれと新しく良いお花が入荷したんですよ!今日は一緒じゃないんですねじゃあ代わりに」








「花屋さん…」







重く、その口が開いた。








「U-511は…ユゥちゃんは…」









「帰ってきません…」








「…え」








「…………申し訳…ありません……!」









両肩をぶるぶると震わせている彼。


決して寒さからくるものではなかったと感じた。



雨音が一層強くなったような気がした。













ザァァァァァ…










「帰ってこない…って…」




嫌な予感が悪寒となって、背筋をほとばしる。




提督さんがこっちを見やる


その目は酷く冷たく濁っていた





―察した




「U-511は…」



やめてやめてやめてやめてやめて


やめてやめてやめてやめてやめて


やめてやめてやめてやめてやめて


ヤメテやめてやめてヤメテヤメテ


ヤめテやめてヤメテやめTE…




やめろぉぉぉぉOOぉおOOOOoo!!!







メキィッ


ギリギリギリ…




「ガ…ッハ…ァ゛ァ゛」




メキメキと骨の軋みを手のひらに感じ


提督さんの体はつま先から30cm浮いたところで


制止していた。




僕が提督さんの体を―




―絞め上げていた






中性的な顔が苦痛にゆがむ。



怒りが人間的な理性と思考を破壊し


悲しみが胸を締め付けそこから溢れる『 』が両目を伝って


床に落ちる。




わかってる…


提督さんが悪いんじゃない…



でも…









―ゆーちゃんが『沈んだ』







冷静になんか、なれなかった。




提督さんの目から次第に光が奪われていく



僕の力が、振るうはずの無かった、

振るいたくなかった暴力的な感情が彼を痛めつけていた。








ザァァァァァ




ブン!




…ドチャァア








「っぐ…っぶふ…!ぉえぇっ…っは…」









雨の中、僕は提督さんを店の前に放り投げていた。


びちゃびちゃと音を立てて、ボロ雑巾のように


転がる彼。





そこに、僕が近づく


指に力が入り、自然と骨が鳴る。





ゴキ…ゴキン…





雨が降りしきり、僕と提督さんの体を濡らす。


寒さなんて、感じなかった。





ゆーちゃんは…もっと…冷たい…海の底に…!!!






その真実が言葉が、現実が思考をマヒさせていた。


こんなことをしてもどうにもならない。


ゆーちゃんが帰ってくる事も無い。



わかってる、わかってたんだ…






「申し訳…ありません…!」






冷たい地面に額を擦りつけるように土下座をし続ける彼。




「…」




自分の心臓の音が嫌に五月蠅い。




―ゆーは潜水艦だから…いつも海の中にいたから…




―おじさんおねえちゃん!




―ねぇオジサンこのお花の名前は?






彼に近づき、拳をキツく握りしめ思い切り振り上げる。









「花屋ぁぁあああああ!!!」









振り上げたこぶしを背後から掴まれ、

背に衝撃を感じたと思ったら、足を払われ、




僕の巨体は沈んだ。







「あんた!自分が何してんのかわかってんのか!?」


「この…阿呆が!!」






倒れた僕の横顔に拳が入る。



歯が折れて、口の中に鉄の味が広がる。







「いってぇっ…!くそっ…あんたは無駄に堅いんだよっ」







殴った方の手をぶらぶらさせて悪態をつく『お姉ちゃん』


僕は意識はあったけど立ち上がれなかった。





「大丈夫かい…提督さん…すまないね…この大馬鹿が…」







彼に手を差し出す彼女。






「何が、あったんだい?」












花屋の奥の自宅の和室に集まる僕ら。





「…そうかい…」





僕らは全員、ずぶ濡れだった。


それぞれがバスタオルで体を拭いて


僕は殴られた箇所に氷嚢(ひょうのう)を当てて壁にグッタリともたれていた。



提督さんは、首にくっきりと僕の指の痕が残っていた。


そして僕と向かい合うように彼も力なく壁に背を預けていた。




一方、お姉ちゃんは僕を殴った方の手に氷嚢を当てて痛みに顔を歪ませていた。






「ったく…落ち着いたかよ花屋?」





冷静になりました…ごめん。





「…ごめんなさい…」





パァン





「…ッテ…!」





今度は氷嚢とは逆の頬をビンタされた。





「アタシに謝ってどうすんだ阿呆。提督さんにだろ?」



「提督さん…すいませんでした…本当に…なんて言ってら良いのか…」




「いえ…」






重い沈黙の時間が流れる…






「すいません…」





「教えてくれないかい…ゆーちゃんの最後」





「足柄の…私の艦隊の主力の一人である足柄の報告です」










ここを回って…『きたかみ』さんと『あしがら』さんと一緒に



この海域を大きくグルッと回ります、




「なぁんだか、楽ちんだね~、眠くなってきちゃった」




眠そうに口に手をあてて大きなあくびをする『きたかみ』さん




「油断しないの!いついかなる時も気も海に出るときは気を抜かない事!

基本中の基本でしょ!」



「ふぁ~い…」



一喝する『あしがら』さんを余所に相変わらずな『きたかみ』さん。



天気は悪いけど…なんだか…胸が温かいです♪





「」クスッ





海面から顔を出して二人の後をついていく ゆーはちょっと笑っちゃいました。






「おぉ、ゆぅゆぅ、笑った方が可愛いじゃん」





しゃがんで、海面から出したゆーの頭をグワングワンと


揺らします。


ゆーのことを ゆぅゆぅと呼ぶのは『きたかみ』さんで、こっちの方が可愛いからと


呼んでくれます。






「海でじゃれるなっての!ほら、警戒項目は全部チェックしたでしょ!鎮守府に戻るわよ!」




「へ~い…ったく、これだからカレシに逃げられるんだよ」





ボソリと悪態をついたけど、ゆーは聞こえないふりをします。


怖いから。





「何か…言ったかしらぁ?き・た・か・み・ぃ♪」





とっても爽やかな笑顔でこちらを『睨む』、『あしがら』さん。



ゆーは関係ないもん!








ゴゥン…



ゴゥン







「ちょっと…待って二人とも…!この反応…深海棲艦…!?」








空気が一変しました。


『あしがら』さんが、ゆーたちを制止します。



「…北上、先行雷撃の準備を…」



「あいよ~」









ゆ、ゆーは…


「ユー…あなたも潜水しつつまわりに警戒して」



「は、はい!」





チャポン…






冷たい…



とっても…でも…



花屋さんから貰ったいっぱいいっぱいのお花


その花の色を思い出すと…冷たさなんてへっちゃらです!



深海棲艦なんて怖くありません!




早く倒して、花屋さんに行かないと







「!?、ユー!!!!」















―え?














ズドォ……ンッ…!






ゴボゴボゴボォ…










…なにが…おきたの…?







…痛い…







…からだ…うごか…ない…







…しずんでく…









…痛いよ…提督…あしがらさん…北上さん…







そうりゅうさん…たいげーさん…でっちー…いく…








…冷たいよ…










…おじさぁん











「…」


「…」


「…」



言い終えた提督さんは、一息ついて再び力を抜きました。







カチ…コチ…カチ…コチ…









時計の音と雨音だけ虚しく、響く。








誰も、口を開こうとしなかったけど










「なぁ」






沈黙を破ったのはお姉ちゃんだった。






「アタシ達で弔ってもバチは当たらないんじゃない?」











後日、提督さんに案内されてゆーちゃんのお部屋に来ました。


弔う意味でも遺品の片づけを手伝って欲しいとの事だった。


お姉ちゃんも僕もこの日はお店を休みにしてきていた。





ゆーちゃんの部屋は未だ生活感が漂う、お部屋だった。


部屋の隅に脱ぎ捨てられた制服の一部、


机の上に散乱した文具類、


そして、部屋の至る所に咲いている


花々…




机の上に広げられている僕がプレゼントした…『本』



手に取ると色々とわかった。



それはもう、随分使い込まれたようで表紙がボロボロになっていた。


所々のページがよれていて…


至る所に付箋が貼られていて…


そこを開くと、メモが書き込まれた跡が幾つも見つかった。


そして、読めない漢字には手書きの振り仮名。


普段、耳にしないような単語のそばにはその意味も。



ダンボールを抱えた提督さんが傍に。








「それ…ユゥちゃん…片時も離しませんでしたよ。大事にしていました」




「前なんか、お茶を飲んでるときに、

本の上に零してしまった事がありましてね。

そのときなんか本当にパニックになってました…」




「泣きながら一生懸命に乾くまで…拭いて…拭い…て」






言い終えると、すぐに僕の元を離れて再びダンボールに物を詰め始めた。




声は震えてた。




僕の視界も震えてた。




今ここで泣いちゃいけない。今泣いたら、片づけが手に着かないじゃないか。






本を閉じて、机の上に戻そうとしたときに


閉じたページから何か薄いものがハラリと床に落ちた。







―遊園地で撮った『写真』






感情が理性を上回った


目を濡らして、頬を伝った。







今日は、初めてゆーちゃんに会った時のように良く晴れて遠くまで見渡せるようだった。


涙が出るくらい眩しい空。









…一週間後





「準備できた?お姉ちゃん?」


「ああ、この花束で良かったンか?」




岬のパーキングエリアに車を止めて喪服姿の僕がシートベルトを外す。




「うん、それ」




「あいよ」




車から出て、助手席に回り込んでドアを開ける。


そこから同じく喪服姿のお姉ちゃんが花束を抱えて降りた。



お姉ちゃんはあのとき、僕を思いっきり殴ったせいで


手の甲を骨折していまったらしく、しばらく不自由な生活を余儀なくされた。


利き手には包帯が巻かれていた。








今日も…晴れてるなぁ…



潮風が気持ちいいや







ザザァーン…


ザザァーン…



波が岸壁を打ち音を立てる。



僕とお姉ちゃんは岬に立ち。


海を先を眺めた。




「ゆーちゃん…あのときの写真大事にしててくれたんだって。」



「そうかい…」



「楽しかったんだね」



「そうだね…」



「鎮守府の庭さ、お花でいっぱいだったよ」



「…そう、か」



「潮風に強いお花と、弱いお花がちゃんと分けられててね」



「…」



「弱いお花は、風避けが建てられていてさ…ちゃんと、勉強したんだなって」



「…あぁ」




「この花束の花は、なんて名前なのさ」







「…」








「これ…ゆーちゃんが、最初に…

一番最初に育てた…

花でさ、一部ちょっとだけ拝借してきたんだ。名前は―」







―お花の赤ちゃん…こんなのなんだ…





―ねぇゆーちゃん





―ソレ、育ててみない?









「ネリネ…通称『ダイアモンドリリー』」








「花言葉は…」









ゆっくりと小さなレースをあしらった花束を


波が立ってない水面に放る。







…ポシャン







しばらく、花が海の上を揺蕩(たゆた)う





そしてその花束を波がさらって





海の中に消えていった…














『また会う日まで』























「おや、目が覚めたかな?」



すこししゃがれた声がします。





…フカフカ…ベッド?




体を起こそうとしたけど、いろいろいたくて起き上がれませんでした。



でも口は動かせました。





「お…おじいさん…だぁれ?」




「おっと、すまんね。ワシはこの海の家を管理しとるジジイじゃよ?」




「夏でもないのに、季節外れのお客さんにびっくりしたが」




「あんな怪我をされてたんじゃあ放っておくわけにもいかんからな」






大きな声で笑うお爺さん。


お爺さんだけど、とっても元気が良いです。



まだ頭が痛い…





『私』…?





なんて『名前』だっけ?











私はどうやら、砂浜に大けがをして倒れていたみたいなんです。


そして、夏にしか営業しないはずの『海の家』の管理主の


お爺さんが砂浜を散歩していたら私を見つけて下さったようです。





私が目を覚ましたとき、体の傷はだいぶ癒えていましたけど


体の衰弱は激しく、しばらくベッドの上の生活でしたが


お爺さんが色々お世話をしてくださいました。


でも…体よりも何よりも…





―困った時はお互いさまじゃ!ちっこい女の子がそんな事気にすんな!



―オジョウチャンはどんな本が好きだ?

今日、この漁師村から街に出かけるんじゃが

何か読みたい本はあるかの?








…私自身が何者か…何も思い出せないのが…辛く…歯がゆかった。








―ゆっくりで良いのよ?今は、その小さな体を癒して頂戴?



―行くところが無いなら、家に来なさいな!子供が多い方が楽しいってもんよ!



―今更、何人子供が増えようと気にしないさね!






このお爺さんの娘さん…若い女性は、私がお世話になってる診療所に


度々訪れて、色々なお話しを聴かせてくれました。






ここは本土からちょっと外れた島。


温暖な気候に恵まれて、日本じゃ珍しい果物等がとれています


おかげでそれなりの生活が送れているようです。







そんな娘さんは既婚者で子だくさんらしいです。本当に優しいお母さんです。


そんなお母さんは、私のベッドの横に花瓶が添えられて


色々なお花を活けてくれます。








…なんだろう…お花を見てると…次々、滾々(こんこん)と水がわきあがるように



知識が、言葉が溢れてきます。




今日は…なんでしょう?








「あ…そのお花…」



「お!なんだいオジョウチャン!

あんたもお花すきなのかい?話が合うねぇ♪」





そのお花は…







「『スイートピー』」











花言葉は…












『私を忘れないで』







-海底の花束-完-


後書き

お し ま い♪

さて、次は何を書きましょか。


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このSSへのコメント

30件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2015-02-27 01:33:24 ID: aGjXrKyd

待ってました!続きに期待です!
らんぱくさんがネタ尽きるまで永遠と見守っていきます!自分のペースで頑張ってください、いつまでも待ちます!

2: らんぱく 2015-02-27 09:30:53 ID: HAnH9tH2

1コメのSS好きの名無しさん
コメントありがとうございます。
なんか…もう…『オススメ』までして頂いて、
感無量です。御礼申し上げます。
これからも生ぬる~く、更新していきますね。

3: 葉っぱの妖怪 2015-02-27 21:10:41 ID: zsSC4wJt

事案発生憲兵さーん?なのかな?
進〇の巨〇っぽい花屋さん。怖すぎるwだが悪くない
更新待ってます

4: ワッフル 2015-02-27 21:55:24 ID: BuQuWVZt

この後のゆーちゃんに何が起こるのか!?
いいぞ、もっとやってください。
更新が楽しみです。

5: らんぱく 2015-02-27 22:31:48 ID: HAnH9tH2

> 葉っぱの妖怪さん
コメントありがとうございます。
大きい人と小さい少女っていう組み合わせとか
一回やってみたかったんです。
あ、憲兵さん違います人違い…え?私を捕まえに?え?…え!?

>ワッフルさん
コメントありがとうございます。
いえ、これいじょうやったら…「ちょん切られ」ますので
やめておきます(震え声
ゆーちゃんかわいいよね。

6: SS好きの名無しさん 2015-02-27 23:09:03 ID: w_FVJFNS

漫画でヤ○ザ風の人が花屋をやっているのを見ると吹いてしまうが、
こっちでも笑えてしまったwww
おもしろいから別にいいかなと思ってしまう。
引き続き更新まっています!

7: SS好きの名無しさん 2015-02-28 09:27:48 ID: e199x1AN

6コメのSS好きの名無しさん
コメントありがとうございます。
そのお気持ち、とても良く分かります。
面白いですよね。
ギャップのある登場人物は書いてて楽しいです。
ぬるぬる更新していきますね。

8: とある原潜国家 2015-03-01 22:56:08 ID: dpS24nif

わははははwwww

くく…いや、すんません、花屋さんが誤解されていたので……

(腹筋が崩壊する音)

9: らんぱく 2015-03-02 12:40:59 ID: vhw6nf1y

>8コメのとある原潜国家さんへ
コメントありがとうございます。
おおきい男性が可愛いくて小さいおんなの子と一緒にいると通報される
理不尽な世の中ゆえに起きる悲しい出来事の一つです。

10: SS好きの名無しさん 2015-03-04 20:53:22 ID: 3-_ij-Fe

通りすがりの提督「はい、花屋さんとクリーニングやさんと、ゆーちゃんは今日からこの部屋で暮らしてくださいね~」

花屋「あれ?いつの間にか家族になってる?」

11: らんぱく 2015-03-05 09:24:18 ID: onys0lLg

>10コメのSS好きの名無しさん

花屋「―という夢を見たんだ。」HAHAHAHAww

クリーニング屋「よしわかった…歯ァ喰いしばれ。」ゴキゴキ

花屋「ぇ……え!?」

ギァァァァ…

ゆー「」カタカタカタ

コメント有難うございました。

12: SS好きの名無しさん 2015-03-05 11:31:11 ID: y7WUBxBS

僕はゆーちゃん持ってない新人提督ですが、、、心打たれる可愛さを表現できていると思います!読んでて気持ちが和みました(。-_-。)

続き楽しみにしてますね

13: SS好きの名無しさん 2015-03-05 12:02:42 ID: KMzpuDaN

>主様

花屋「と言う夢を・・・あれ?見たこと無い天井が・・・」

クリーニング屋「やっときがついたか~(棒)」

14: らんぱく 2015-03-05 14:48:11 ID: onys0lLg

>12コメのSS好きの名無しさん
コメントありがとうございます。
同じく新人提督です。なんとかゆーちゃんらしさを台詞に
盛り込んでいたつもりでしたが、伝わっていたようで安心しました。
嬉しいコメントありがとうございます。

>13コメのSS好きの名無しさん
コメントありがとうございます。
ナイスですww
上とのやりとりを繋げて読んだら結構笑えましたww
有難うございました。

15: みいにゃん 2015-03-05 19:19:56 ID: 7qOIq1ey

>主様

書きながらこれなら面白いかな?って思いつつ書いてました・・・^^;

168も58も19も沢山居るけど・・・8が3人そして、ゆーちゃんはろーちゃんになりました、早くゆーちゃん建造かドロしないかな~

花屋『ゆーちゃんは渡しませんよ!!』

姉さん『オマエ・・・モウイッカイ逝ってオクカ・・?』

16: らんぱく 2015-03-05 21:01:22 ID: onys0lLg

>みいにゃんさん
コメントありがとうございます。
みいにゃんさんでしたか!やり取り、楽しませて頂きましたよ。
ゆーちゃんが…どろっぷ対象…ひらめいた(ニヤリ

17: みいにゃん 2015-03-05 21:09:35 ID: 7qOIq1ey

>主様

ゆーちゃん×230『養ってくれるです・・・?ダンケ』

システム『母港が一杯です、何名か解体もしくは改装して人数を減らしてください』

18: らんぱく 2015-03-06 08:47:13 ID: 6ihdK423

>みいにゃんさん
コメントありがとうございます。
HAHAHAHA!
こいつぁ参ったなぁ早速ウェブマネー購入してこないと(血涙

19: 葉っぱの妖怪 2015-03-06 15:03:04 ID: 1eBPW90d

ぬ、ぬいママだぁぁぁぁぁ!!
まさかぬいぬいが出てくるとは・・・
娘さんが元気に育っていて何よりです。

20: ライン 2015-03-06 19:54:42 ID: yky8PGkD

ゆーちゃんかわいいです……!(持ってないのですが)
これは続き期待です!


21: らんぱく 2015-03-06 21:01:26 ID: 6ihdK423

>ラインさん
ゆーちゃん = かわいい
かわいい = 正義
つまり
ゆーちゃん=正義

…コメントありがとうございます。

22: みいにゃん 2015-03-06 22:33:29 ID: sem7fO5g

あれ・・?ゆーちゃんは・・?沈んだんじゃなくてろーちゃんになったとか・・・?

その昔一度だけ画面に気が付かなくて轟沈はあったな・・・

それ以来、ちゃんと見れら無かったら帰るようにしてたり・・・

23: らんぱく 2015-03-07 11:12:11 ID: q9cSDZSB

>みいにゃんさん
コメントありがとうございます。
最終回までのプロセスはもう出来ています。
本日の夕方頃に投下予定です。
私も同じパターンで沈ませて以来、中破撤退ですハイ。

24: らんぱく 2015-03-07 12:01:53 ID: q9cSDZSB

>葉っぱの妖怪さん
はい、正解です。
ぬいぬいと娘ちゃんはヲキュウランドに遊びに来てもらいました。
久しぶりに二人を書いたら楽しかったです。
コメントありがとうございました。

25: みいにゃん 2015-03-07 18:16:57 ID: njQkEtGz

>主様

提督さんまで沈められなくて良かったです^^;

俺提督『ろーちゃん、8.58.168今日もオリョクル5~6回頼めるかい?』

26: らんぱく 2015-03-07 20:08:15 ID: q9cSDZSB

>みいにゃんさん
コメントありがとうございます。
花屋さんの暴走を止めたクリーニング屋さんに拍手を。

私提督「憲兵さんこっちです。」

27: みいにゃん 2015-03-07 20:31:51 ID: njQkEtGz

>主様

ゆーちゃんが生きてた!花言葉で私を忘れないで!

なんて言われたら、絶対に忘れないでしょ・・・・

俺提督『憲兵が怖くて提督やってられるか!、潜水艦の皆!終わったら間宮行くぞ~、さあ!今日も美味しいパフェが待ってる!』

俺提督『え?憲兵さんも行きたいだって?一緒に来ればいいじゃない!』

28: らんぱく 2015-03-08 08:39:21 ID: Ub4t3uwZ

>みいにゃんさん
コメントありがとうございました。
正直なんの花言葉にしようか悩みました。

憲兵1「提督さんの奢りだってよ、行こうぜ。」
憲兵2「あ、ごめん。俺 糖尿病で…」

29: SS好きの名無しさん 2015-03-08 21:58:06 ID: 81iXp5cc

1コメの者ですが、完結おめでとうございます、最後泣けました。・゚(´□`)゚・。

30: らんぱく 2015-03-09 17:41:32 ID: XnmsD4Pa

>29コメのSS好きの名無しさん
コメントありがとうございました。
応援ありがとうございます。
私自身、こういうEDの映画とか好きなので影響受けまくってるんですが
そう思って頂けたらこちらとしては嬉しい限りです。
次もどうか宜しくお願いしますね♪


このSSへのオススメ

2件オススメされています

1: SS好きの名無しさん 2015-02-27 01:54:32 ID: aGjXrKyd

最高です、この作者様のシリーズを読んでいただければどれだけ面白いかわかるはずです!

2: SS好きの名無しさん 2022-02-25 22:38:03 ID: S:JIzOXS

この作者はすごいです。(語彙力崩壊)


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