2018-10-09 21:43:35 更新

概要

提督着任二日目・・・


前書き

前作「謎の提督とブラック鎮守府 第二部」の続きです。
もし初めての方は、前作からお読みください。

各話のタイトルは結構適当です。


第三部




九話 その提督、起床 そして長門




時刻は◯七◯◯。

提督は目を覚ます。赤城と加賀の二人はまだ抱き付いたまま寝ている。



提督(人と一緒に寝るのはいつぶりだろうか・・・にしても、よく防具着けたまま寝れるな・・・)



そんな事を考えていると、二人が目を覚ました。



赤城「提督・・・おはようございます・・・」ウトウト



加賀「おはようございます・・・」ウトウト



提督「おはよう、よく寝ていたね」



加賀「貴方のおかげよ。貴方に話を聞いてもらえたから・・・とても心が楽になった。ありがとう」



提督「いいよいいよ。また何かあったら言ってください。力になりますので」



赤城「私からもありがとうございます。提督、出来れば他の娘達の話も・・・聞いてあげてください」



提督「うん。トラウマになってる娘もいるかもしれないし・・・慎重に聞くようにはするけどね」



赤城「ありがとうございます」



提督「いいよ」ナデナデ



赤城「♪」



加賀「ずるいです。提督、私も」



提督「ん」ナデナデ



加賀「やりました」///



提督(そういや・・・あの人も撫でられるの好きだったな・・・)



提督は“あの人”の事を思い出す。

突然ドアが開く。



長門「今日の監視役の長門と陸奥だ。失礼す・・・」



長門は提督を見て言葉を失う。当然だ。何せ提督は、赤城と加賀に抱き付かれた状態になっている。ましてやタオルケットをかけた状態なので、一見すると、提督が二人といやらしい意味での一晩を共にしたように見える。



長門「貴様、本性を現したな!!二人から離れろ!!」



やはり誤解を生んだ。お怒りである。

長門が怒気をはらんだ表情で提督に近付く。



提督「ちょ待っ、誤解だ!俺は何もしていない!」



赤城「待ってください長門さん!私達は別に何もされていませんから!」



加賀「私達はただ一緒に寝ていただけ・・・それに、私達から提督に抱き付いたの・・・だから誤解よ 」



長門「ならば二人の目元は何故赤くなっている!泣く程の事を無理矢理されたのだろ!」



赤城「違います!提督に私達の話をしたら・・・泣いていいと言ってくださったから泣いただけです!」



長門「な、お前達の事を話したのか?!そいつは私達にずっと酷い事をし続けていた奴らと同じ男だぞ!何を考えている!」



加賀「提督がとても信頼出来る方だと判断したから話したまでです。性別だけでその人が悪かを判断するのは浅はかです」



赤城と加賀は起きて、長門と激しく言い争っている。

提督も起きて、口を出す。



提督「もう・・・その辺にしときませんか?二人共・・・そう熱くならずに・・・」



赤城はまだ冷静だが、長門と加賀は冷静ではないと提督は感じた。



加賀「提督は黙っていてください」



加賀は落ち着いた口調と表情であるが、言葉の節々に棘がある。提督をけなされて怒っているのだ。



加賀「第一、貴女は提督の何を知っていると言うの?何を根拠に勝手な事を言うの?この人が、私達に何かしましたか?」



長門「・・・っ!男など皆同じではないか!そいつも、下劣で下品な他の奴らと一緒に決まっている!」



加賀「提督をそんな奴らと一緒にしないで!何も知らない・・・提督と話した事もないくせに、勝手な事を言わないで!」



ついに加賀がキレてしまった。たがそれに対して長門もキレる。



長門「っ!・・・うるさい!私はお前達の事を心配して言っているのに・・・この!」ブンッ



長門は拳を振り上げ、加賀を殴ろうとする。



加賀「っ!」ビクッ



突然の事だったので加賀は避けられずにいた。加賀は咄嗟に目を閉じる。

このままではまともに当たってしまう。



パァン!!!!!!



執務室に大きい音が響き渡る。



加賀(・・・?痛くない・・・?)



加賀はそっと目を開ける。



提督「・・・」ヒダリテデウケトメ



いつの間にか、提督が加賀の前にいる。

提督は右手で加賀を自分の方に抱き寄せ、左手で長門の拳を受け止めている。



加賀「提督?!」



赤城「大丈夫ですか?!お怪我は?!」



提督「大丈夫、無事ですよ」



長門「馬鹿な?!艦娘・・・それも戦艦の力だぞ?!まさか・・・これが二人が言っていた気を操作するという・・・」



提督「残念ながらハズレだよ。この程度、気を操作するまでもないよ」



長門「な、何だと!!お前まで・・・私を馬鹿にするというのか!!」



提督「はぁ・・・あのさ・・・馬鹿にするとか以前に、加賀に言う事はないの?俺が止めなかったら、加賀は今頃大破してたぞ?」



長門「お前なんかを庇うからだ!お前さえ・・・男さえいなけらば・・・・・・私達は!!」ブンッ



長門は残っている左手で、提督の鼻先へ目掛けて拳を振る。

提督は避けもせず、長門の拳を受ける。



長門「なっ・・・?!」



長門もそうだが、その場にいた者達は全員驚く。提督が微動だにしなかったからだ。それどころか一切無傷の状態で、鼻血すら出ていない。



提督「それで満足か?長門、君の気持ちも分からなくはないが・・・加賀を殴るのは筋違いだ。それに、こんな理由で仲間同士で争うな。仲間同士争った所で、何もならないだろ。違うか?」



長門「・・・・・・」スタスタ、バタン



長門は何も言い返さず、ただ無言で目をそらし、部屋を出ていく。



提督「はぁ・・・あの反応・・・一体何をされたんだ・・・」



加賀「あの・・・提督そろそろ」///



提督「ん?あぁ、すまない・・・!」



ずっと抱き寄せていた加賀を離す。



加賀「いえ、それはいいのだけど・・・大丈夫ですか・・・?」



提督「全く何もないよ。加賀の方こそ、大丈夫か?」



加賀「私は大丈夫よ。その・・・提督が守ってくれたので」///



提督「怪我がなくてよかったよ。赤城もすまない、朝からこんな事になってしまって」



赤城「いえ、提督のせいではありませんので謝らないでください。むしろ、加賀さんを守っていただきありがとうございます」ペコリ



提督「いや、誤解されるような事をした俺にも非はあるからな・・・あとで長門と話をしないと・・・」



陸奥「それは止めた方がいいわ」



ずっと無言だった陸奥が口を開いた。



陸奥「さっきは長門がごめんなさい。元はあんな娘じゃなかったんだけど・・・。長門は男の人を殺したい程憎んでいる・・・だから・・・止めた方がいいわ」



提督「悪いけどそうはいかない。いずれは話していかないと駄目なんだから、長門とも話せるくらいの関係にはなっておきたい」



陸奥「そう・・・」



提督「陸奥、一つ聞きたい。長門は何故ああなった?」



陸奥「・・・・・・言いたくないわ」



提督「そっか。じゃあ仕方ないな、俺は食堂でご飯食べてくるよ。赤城と加賀、悪いけど先に食堂行って中の娘達に俺が来る事を伝えてくれないか?」



赤城・加賀「分かりました」



赤城と加賀が部屋から出る。



提督「陸奥も来るかい?」



陸奥「私はもう食べたから・・・、長門を探してくるわ」



提督「そうか。ではまたな」



提督は部屋を出る。

静寂に包まれた執務室に、陸奥は一人でいる。



陸奥「あの人・・・私と二人になっても襲ってこなかった・・・」



陸奥(今までの人は全員・・・私を見る度にやらしい目線を向けてきたけど・・・あの人は・・・)



陸奥「信じても、いいのかしら・・・」



陸奥はそう言うと、部屋を後にする。




十話 その提督、朝食 そして時雨




執務室を出た提督は、どこにも寄り道する事なく食堂へ向かう。

そして食堂の前まで着くと、提督は考える。



提督(入って大丈夫かな・・・中にいる娘達パニックにならないかな・・・。あ、むしろ全員俺が来る事を知って出ていってるかも!うん!きっとそうだ!あ、でもそれはそれでへこむし申し訳ないな・・・)



心配する提督。

すると食堂の扉が開いて、間宮が出てくる。



間宮「あら提督?入ってこられないんですか?」



提督「よくよく考えると、入りづらいなと・・・」



間宮「それなら大丈夫ですよ。確かに、何人かは出ていきましたけど・・・それでも、結構な人数はいますよ。さっ、行きましょ!」



間宮は提督の腕を掴んで食堂に入る。

食堂の中は、提督が思ってた以上に多数の艦娘で溢れていた。



間宮「♪」



提督(恥ずい・・・)



間宮は提督の腕を掴んだまま、ご機嫌で席まで誘導する。

だがしかし、大の男が女性に引っ張られて歩く姿は、何とも滑稽である。

実際何人かは目をパチクリさせて驚いているし、クスクスと笑っている娘もいる。



提督(よかった・・・一応大丈夫そうで・・・。というか、恥ずい!)



間宮「着きましたよ」



その席は、食堂の四すみの席の一つで、四人が座れるようになっている。

壁がわに赤城が座っていて、その反対の席に加賀が座っている。二人共、目の前にはもう食事が置いてある。ご飯の量が盛り盛りなのは気にしないでおこう。

提督は壁がわが好きなので、赤城の横に座る事にする。



赤城「ふふっ♪」



加賀「そう・・・提督は赤城さんを選ぶのね」シュン



何故か上機嫌になる赤城。そして何故か落ち込む加賀。提督は何かを察した。



提督「いや違うからね?!そういうので選んだ訳じゃないからね!」



赤城「え、違うんですか?」



提督「そんなんで選ばないよ・・・そもそもそうなるなら最初から二人並んで座ればいいのに・・・」



赤城・加賀「」ハッ!



提督「その考えは思い付かなかったって顔だね・・・」



間宮「提督、お食事をお持ちしました」



間宮の持ってきた今日の朝食は、一言で言うならば焼き鮭の定食だ。



提督「あぁ、すまない間宮。わざわざ持ってきてもらって」



間宮「いえいえ、提督にでしたらいつでも持って行きますよ」



提督「でも他の娘達に悪いから、次からは自分で取りに行くよ。だからありがとう、間宮」ニコッ



間宮「い、いえ、私もう行きますね」///



間宮は調理場に戻る。

赤城と加賀の方を見ると、二人はもう食べ始めている。



提督「では、いただきます」



提督は一口二口と食べてみる。



提督「美味い!流石だな!」



長い間まともな食事をしていなかった提督にとって、鳳翔と間宮の料理はとても美味しかったのだ。

提督はあまりの美味しさに無言で食べ進める。



鳳翔「提督・・・どうですか?」



あまりに無言過ぎたので、鳳翔が心配して来て

しまった。



提督「超美味い!毎日作ってもらいたいくらいです!」



鳳翔「あ、ありがとうございます・・・」///ボンッ



鳳翔は顔を真っ赤にしながら戻って行った。



提督「あれ?俺何か変な事言った?」



赤城「提督ってたらしですよね」



加賀「同感です」



提督「え、たらし?何で?」



赤城「何でもです。ね、加賀さん」



加賀「そうね」



赤城と加賀は二人だけで納得しあっている。

そんな二人を見ている提督に、一つの影が近付く。

一つの影は提督の近くで止まる。



提督「ん?」クルッ



時雨「・・・」ジー



提督「時雨だね。何かな?」



時雨(提督・・・鳳翔さん達の作ったご飯食べてる・・・前の人は全然食べなかったのに・・・。それに、さっきの鳳翔さん・・・とても嬉しそうだった・・・)



提督「時雨?」



時雨(この人は・・・少しずつだけど、この鎮守府・・・僕達によくしてくれている・・・。でも・・・この人は僕達の事をどう思っているんだろう)



時雨「ねぇ・・・君は、僕達・・・艦娘の事をどう思う?」



提督「え?う~ん・・・美人美少女の集団で可愛い娘達・・・かな」



時雨「ふ、ふざけてるのかい?!」///



提督「いや、至って真面目に答えたつもりなんだが・・・」



時雨「はぁ・・・じゃあ質問を変えるよ。君は艦娘を物だと思う?兵器だと思う?それとも・・・道具だと思う?」



提督「え、何その三択・・・ないわー」



時雨「早く答えて」



提督「答えか・・・。よし時雨、はいあ~ん?」



提督は持っていた箸で鮭の身を摘まむと、時雨の口に向ける。



時雨「嫌だよ・・・間接キスになるじゃないか・・・」



提督「それが答えだよ、時雨」



時雨「え?」



提督「物も道具も兵器も、間接キスを嫌がらない・・・というかならない。そもそも、嫌な感情が生まれている時点で・・・君達艦娘が人間だという証明なんだよ」



時雨「でも・・・」グスッ



時雨は目に涙を浮かべている。



提督「時雨、強いて言うなら俺はね、艦娘の事を不思議な力を持った人間としか思っていないんだよ。俺と同じ・・・ただ不思議な力を持っただけ・・・ただそれだけなんだよ。それに、道具や兵器は、目に涙なんか浮かべないだろ?」アタマポンポン



時雨「だったら・・・何であいつらは・・・」グスッ



提督「ずっと・・・兵器だとか道具だとか言われてきたんだね・・・」



時雨は静かに頷く。



提督「あのね時雨。大事なのは、誰かに言われたから自分はこうなんだじゃなくて、自分は何で、自分は何になりたいかなんだよ。時雨は時雨、兵器とか道具じゃない、今ここにいる・・・世界で一人しかいない存在なんだから」ナデナデ



時雨「提督・・・」



時雨はそう言うと、提督に抱き付き泣き始めた。

間宮と鳳翔は突然の泣き声に驚き調理場から出てきたが事態を察したのか、時雨を優しく見守っていた。食堂にいた娘達も、何も言わずに時雨と提督の両方を見るだけであった。



数分後。



提督「もう大丈夫かい?」



時雨「うん・・・ありがとう提督」



提督「いいよ。また何かあったら相談してね」ナデナデ



時雨「うん・・・。あの・・・提督、姉さんと妹達にも・・・今の提督は信頼出来る人だって話してくるよ」///



提督「うん、ありがとう。でも、ほどほどにな」ナデナデ



提督がそう言うと、時雨は食堂から出ていく。

きっと姉妹達の所へ向かったのだろう。

提督は途中まで食べていた朝食を再開し、全部食べ終わると赤城と加賀・鳳翔と間宮に礼を伝えると食堂を後にする。




十一話 その提督、懇願




提督は一度執務室に戻ると、女性の服や下着が載っているカタログと数枚の紙を持ってある人物のもとへ向かう。ちなみに提督はその人物がどこにいるか分からない。なので気を探る。

数分後、その人物がいる場所へ着いた。

工厰である。



提督(三人か・・・明石と夕張と大淀・・・。明石と夕張は分かるけど・・・何でこんな所に大淀が・・・?)



提督は工厰に入る。

工厰の中にはいくつか部屋があり、よく分からない機械や部品類が置いてある。

いくつか部屋がある中の一室、一番奥にある、作業室と書かれている部屋から三人の気が感じられる。

一応ノックをして部屋に入ると、目の前に鋏の刃先が二つ眼前へと迫ってきた。

しかし提督はその二つの鋏を両方掴んで、多分眼球への攻撃だったそれを防ぐ。



提督「危ないな~」



夕張「失敗した?!」



提督「よっ!」



提督は鋏を二つ共奪い取り、二人を見る。



明石「あ・・・ああ・・・」ブルブル



夕張「明石?!大丈夫?!」



震え出す明石、それを心配する夕張、提督は一切何もする気がないのだが、二人は誤解する。



夕張「ごめんなさいごめんなさい!私は何でもしますから明石だけは許してください!」



そう言いながら夕張は着ているものを脱ぎだす。



提督「脱がなくていいから落ち着いてくれないかな・・・」



夕張「はは・・・私みたいな貧相な体は嫌ですか・・・」



明石「ごめん夕張・・・あとは私が何とかするから・・・」ブルブル



明石は震えながら着ているものを脱ぎだす。



提督「脱がなくていいって言ってるでしょうが!それと大淀!黙ってないでちょっとは止めろよ?!」



大淀「最初から犯すつもりで来られたのかと・・・」



提督「んな訳あるか!とりあえず後ろ向いてるから服着てくれ!」



提督はそう言うと後ろを向く。

少しして。



大淀「いいですよ」



提督「ん」クルッ



大淀「それで提督、何の用ですか?」



提督「ああ、えっと・・・大淀、皆の寝間着と下着、あと服とかを注文したくてさ・・・だけどサイズとかってなると男の俺じゃ聞きにくいしさ、皆の好みもあるだろうからね、休み中で悪いんだけどお願い出来ないかな?」



大淀「どうして私なんですか・・・?私みたいな役立たずに・・・」



提督「役立たずな訳ないじゃないですか。大淀がこんな訳の分からない男のお願いを聞いてくれたから、皆さんの首輪をはずす事が出来たのですから・・・そういえばお礼がまだでしたね、ありがとうございます」



大淀「いえ・・・・・・提督はいいのですか、性処理・・・。私に出来るのはそのくらいしかありません・・・」



提督「前任にそう言われたんですか?」



大淀「はい・・・」



提督「俺はそういう事に興味はありません・・・なので、大淀の力を貸してください。俺の出来ない事を、大淀にしか出来ない事をお願いしたいです。駄目ですか?」



大淀「私にしか出来ない事・・・」



提督「はい。性処理じゃなくても、大淀には出来る事が沢山あります。なので、俺に大淀の力を貸してもらえませんか?」



大淀「・・・・・・分かりました。ですが提督、一つだけ聞かせてください。あの時どうして、秘書艦はいらないと言われたのですか?」



提督「あー・・・それね・・・、うーん・・・俺って今まで基本的に一人だったしさ、秘書艦ってほとんど一日提督と一緒だから、皆嫌がるかなって思ったんだけど・・・」



大淀「そうですか・・・。では提督、嫌がらない娘達で話し合って、順番に秘書艦を務めてもらう形でもいいでしょうか?」



提督「いいけど・・・何で?」



大淀「それは・・・」



大淀はそういうと何かを考える素振りを見せ、こう言った。



大淀「内緒です」ニコッ



明石(大淀の笑顔・・・)



夕張(久々に見た・・・)



提督「そう?じゃあこれ、渡しておきます」



大淀にカタログと数枚の紙を渡す。



提督「一応書き方とかも載っているけど、分からない所はいつでも聞いてください」



大淀は一通り目を通す。



大淀「なるほど、結構分かりやすいですね・・・。分かりました提督、あとはお任せください」



提督「ありがとう、助かるよ。あ、あと秘書艦だけど、一週間後の鎮守府再始動日からでいいよ」



大淀「分かりました」



提督「うん、一応頑張りすぎないようにしてくださいね。え~と、あと明石と夕張」



明石・夕張「は、はい!」



提督「そんなに堅くならなくてもいいよ。二人は何か作ったりするのは好き?」



明石「は、はい!好きです!」



夕張「私も!」



提督「鎮守府が再始動したら二人にも色々お願いしようと思っていますので、その時は宜しくお願いします」



明石・夕張「はい!」



提督「それと、資材が許す限りなら何でも作ってもいいですよ」



明石・夕張「分かりました!」



提督「あ、ただ報告書だけはお願いしますね」



大淀「提督、まとめて話してください。結構その場その場で話してますよね」



提督「はは、ばれたか。じゃあ、あとは宜しく~」



提督はそのまま作業室を出ていく。



夕張「優しい人でしたね」



明石「そうですね・・・」



大淀「変な人ですけどね」クスッ



その後、三人は提督の事について話し合うのであった。




十二話 その提督、戦闘 そして怒(おこ)




提督は執務室に戻り、書類仕事を再開しながら次に何をするか考えていた。



提督「う~ん」



陸奥「やっと見つけた・・・」ガチャ



提督「ん?どうしました?」



陸奥「長門が呼んでいるわ・・・きて・・・」



提督「うん」



提督は陸奥に連れられ、鎮守府内を移動する。

移動している間、提督はずっと黙っている。



陸奥(何故ずっと黙っているのかしら・・・?普通はどこへ連れていかれるかくらいは聞くと思うのだけれど・・・)



提督(今日の昼飯なんだろ?そういや艦娘の娘達ってお酒好きだよな~。鳳翔さんに居酒屋でもやってもらおうかな~)



陸奥(一体何を考えているのかしら・・・)



提督(あ~、あと酒保も造ろうか・・・そのためにはあれとあれを揃えて・・・)



陸奥「着いたわ」



提督「ここって・・・」



陸奥が立ち止まった場所。そこは鎮守府の施設の一つで、訓練場と書かれている。



提督「確か・・・筋トレとかする場所って聞いたけど・・・」



陸奥「そうよ。まあ・・・中は比較的綺麗だから、入りましょう」



提督「ちょっと待って!何か嫌な予感がするんだけど・・・」



陸奥「悪いとは思っているわ・・・」



そう言うと陸奥は中に入る。



提督「えー・・・」



提督も続いて中に入る。

訓練場の中は確かに綺麗だった。それに嫌な感じがしない。多分前任達はここを使わなかったのだろう。

結構な広さがあり、端には艦娘達がいた。

壁にもたれて座っている者、立っている者、まばらである。

そして部屋の真ん中、中心には三人の戦艦がいる。金剛・武蔵・長門である。



提督「あ~・・・帰っていい?」



長門「聞こえているぞ!怖じ気付いたのか!」



提督「怖じ気付いたから帰っていい?」



金剛「ふざけてないでこっちへこい!」



提督「あれ?」



提督は違和感を感じながら三人の所へ行く。



長門「早速だが、私達とこれから戦ってもらう」



提督「拒否権ないんでしょ?」



金剛「当たり前です。私達が負ければ貴方の言う事を何でも聞きましょう。ですが貴方が負ければ、この場で自害してもらいます」



提督(ははは、自害するところを見世物にする訳ね・・・)



提督「別にいいけどさ、一ついいかい?」



金剛「何ですか?」



提督「外国訛りはどうした?確か金剛ってデースとかって話し方じゃなかったっけ?」



金剛「お前には関係ない!」



提督「前任絡みか・・・」



金剛「うるさい!その口ぶん殴ってやる!」



武蔵「まあ落ち着け金剛。提督も、あまり触れてやらないでくれ」



提督「ああ、すまない」



長門「・・・相手を気絶させれば勝ちだ。では、始めよう」



始まって早々、金剛が殴りかかってきた。

高速艦だけあって、流石に速いと提督は思う。



提督(速いけど・・・避けやすいな~)



提督はどうやって気絶させようか考えながら、三人の攻撃をいとも容易く避け続ける。



長門「くそ!どうして当たらない!」



提督「まず金剛は殺気出しすぎだし攻撃が単調」ヒョイ、ヒョヒョイ



金剛「ちっ!」



提督「長門は大振り過ぎて呆れる」クルクルクル



長門「なっ?!」



提督「一番いい動きは武蔵だけど、攻撃に迷いがある」ターン、ジャンプ



武蔵「やはり貴様には分かるか・・・」ピタッ



武蔵は攻撃を止める。



長門「な、武蔵?!何故攻撃を止める!」



提督「大和の事でしょ?」



武蔵「ああ、まさかそこまで分かっているとは・・・。なあ提督、信じても・・・いいのか?」



提督「それは武蔵の好きにすればいい。だが、大和の事は俺が何とかしよう」



武蔵(好きにすればか・・・)



武蔵「約束だぞ」



提督「ああ」



武蔵「長門、金剛、すまないが私は・・・」



金剛「裏切り者!!」



金剛はそう言うと武蔵の顔目がけて拳を振るう。

流石の武蔵でも、あまりに突然過ぎたので防御が出来ていない。



提督「はぁ・・・全く」ボソッ シュン



ダァン!!!!!!!



訓練場内に、何かを床に叩きつけた音が響き渡る。そしてその何かを見た者達は、次々に驚愕する。



長門「金剛?!」



金剛「」



床に叩きつけられた何かとは、金剛の事だった。

提督は拳を振るう金剛を背負い投げの形で床におもいっきり叩きつけたのだ。



提督「勝負は終わりだ長門。多分大破くらいにはなってるだろうから、早く入渠させてやれ」ポイッ



提督は長門に向けて金剛を放り投げる。



長門「え・・・あ・・・ああ・・・」コンゴウキャッチ



提督「ああ・・・それと全員に伝えておけ、今後金剛みたいなしょうもない理由で仲間に手をあげる奴には、一切容赦しないと・・・」



長門「あ、ああ・・・いや、分かり・・・ました・・・」



長門(な、何なんだ今のこいつは・・・さっきの適当な感じとはまるで別人じゃないか・・・)



提督「ああ・・・それと、長門と金剛に関してはあとで罰を与えるから」



長門「え・・・」



動揺している長門を尻目に、提督は武蔵を心配する。



提督「怪我はないかい?」



武蔵「ああ、大丈夫だ。それより、私は罰を受けなくていいのか?」



提督「武蔵はいいよ。あとはそうだな・・・いつでもいいから、大和を連れてきてください」



武蔵「すまない、助けてもらってばかりか・・・提督に頼ってしまって・・・」



提督「いえ、構いませんよ。ではまた」



そう言って提督は、他の娘達の視線を尻目に、訓練場を出ていくのであった。




十三話 その提督、和解 そして長門




訓練場を出て執務室に戻った提督は、色々しながら頭を抱えて自分のした事を後悔していた。



提督「しまった・・・やりすぎた・・・」



武蔵を攻撃しようとした金剛が悪いとはいえ、床に叩きつけるのはやりすぎだと今更に思う。



脳内の提督「あー!!!!!」ユカゴロゴロ



ガチャ



提督「?!コホン・・・どなた?」



長門「私だ」カチャ



提督「ああ、長門か・・・どうした・・・?」



提督(何故鍵閉めた?)



長門「罰を受けにきた・・・」スタスタ



長門は提督の前に立つと、服を脱ぎ始める。



提督「あーもう!長門もか!服を脱ぐな!」



長門「服を着たままがいいのか・・・?それとも・・・」



提督は長門が発した次の言葉に耳を疑う。



長門「・・・また・・・私を殴るのか?」



提督「長門、それはどういう意味だ?」



長門「・・・」



長門は表情が暗くなり、黙ってしまう。



提督「立ったままだとしんどいだろ、とりあえず座って」



長門は一切動かないし話さない。



提督「はぁ・・・」ヒョイ



長門「なっ・・・?!」



提督は長門をお姫様だっこの形でソファーまで運び、座らせる。



長門「な・・・何を・・・」///



提督は対面のソファーに座る。



提督「長門、君への罰は今日一日俺の言う事に従うという内容にする。だから答えて欲しい、

さっきのはどういう意味だ?ちなみにこれは強制だから、提督に言えと脅されたとか他の娘に言って俺の悪評をひろげても構わないよ」



提督(そう・・・これは強制。長門の意思によるものではなく、あくまで俺の命によるもので悪いのは俺になる)



こうすれば、少しでも話しやすいのではないかと思ったのだ。



長門「・・・・・・お前は卑怯だな・・・」



提督「何とでも言ってくれ。だが、俺も引き下がる訳にはいかない。まして、殴るなんていう言葉を聞いてしまってはな」



長門「・・・・・・そうか・・・私は・・・」



長門はされてきた事を話し始めた。

初めは、前任の行いに我慢が出来ず止めようと執務室に入ったら気絶させられ、意識を戻した時にはどこかの部屋で、手錠に足枷、首輪をつけられ監禁させられられていた。

そして、知らない男達に犯された続けた。

男達は犯すだけでは飽きたらず、対艦娘用の細工が施されたバットやグローブで、長門を何度も何度も殴りつけた。

最初は気丈にふるまっていた長門も、次第に痛みや快楽でおかしくなっていった。

何度泣いても、何度許しを請うても、どれだけ身体と顔が腫れ上がり、痣が出来ようと男達は一向に止めようとしなかった。

それどころか見せしめとして、犯され、殴られ、快楽で顔を歪ませているところ、痛みで許しを請いながら泣きじゃくっているところをビデオに撮り、全員がいる場所で流したのだという。



長門「・・・・・・これが・・・私のされてきた事だ・・・」



提督「・・・・・・」



提督はただ黙って聞いているだけである。



長門「・・・無様だろう?私が強気でいられるのも・・・お前が私達に言った攻撃許可があるからだ・・・。それがなければ何も守れない、何も出来ない、無力で、汚れている、そんな女・・・いや道具なんだ、私は・・・」



提督は立ち上がり、長門の近くに行く。



提督「ごめん、立って・・・」



長門(また・・・殴られるのか・・・)



長門「出来れば・・・優しく、してくれないか」



そう言った長門の目は、少し涙目であった。



提督「・・・」ギュッ



提督は長門を抱き締めた。



長門「な、何を・・・」



提督「長門・・・俺には、長門の過去をどうにかしてやる事も出来ないし、長門がされてきた事に対して、何も言う事は出来ない・・・。けどさ・・・これ以上、自分を傷付けるような事は言うなよ・・・」



長門「・・・お前に・・・何が分かる・・・」グスッ



提督「分からねぇよ・・・ただ、長門は何も守れない訳でも、出来ない訳でもない。勿論、無力でもないし、汚れてもない」



長門「でも・・・私は・・・何も出来なかった・・・守れなかった・・・挙げ句・・・皆の前で・・・痴態を・・・」



長門の目には大量の涙が溢れ、今にも号泣しそうな勢いである。



提督「けど・・・守ろうとしたんだろ・・・。だから、俺の監視役にもなったし、勘違いとはいえ・・・朝、俺に怒ったんだろ・・・」セナカポンポン



長門「う・・・ぐすっ・・・」



提督「どこにも、長門の事を責めたり・・・どうこう言う娘なんていないさ・・・。それに・・・怖いはずの男の俺に立ち向かった・・・前任を止めるために、立ち向かった・・・それだけで、十分出来てるんだよ・・・」アタマポンポン



提督は長門を抱き締めるのを止め、肩を優しく掴み、長門の顔を見る。



提督「長門、今は俺がいる・・・今は俺がここの提督だ。皆も、長門も、俺が守るから。だから・・・もう、無理はするな」



長門「提・・・督・・・」ガバッ



今度は、長門が提督を力強く抱き締めて、泣いた。

その声はとても大きく、もしかしたら執務室の外にまで漏れていたかもしれない。

いつも凛々しく、綺麗で少し乙女な彼女も、一人の女性である。

時には大声で泣く事も必要なのだ。

そんな彼女が泣き止むまで、提督は優しく受け止めているのであった。



数分後。



提督「大丈夫か?」ナデナデ



長門「ああ・・・すまない提督・・・」



長門は涙を拭いながら、提督に向かい合う。



長門「提督、今までの数々の非礼申し訳ない。許してもらえるとは思っていない・・・。だから・・・」



提督「ちょっと待って、俺なんとも思ってないから気にしなくていいよ。というか、俺の方が結構失礼な事してるかもしれないし・・・」



長門「ふっ、提督は優しいな・・・」



提督「あ、でも罰は続いてるからね。今日は一日言う事聞いてね?」



長門「分かった。それで、何を命ずる気だ?」



提督「今ん所は何も考えてないよ」



長門「ふふっ、そうか・・・。じゃあ提督、一つだけいいか?」



提督「何だ?」



長門「そこに座ってくれないか?」



長門はソファーを指差す。



提督「ん?・・・うん」



提督は少々疑問に思いながらソファーに座る。

座った瞬間長門が近付いてきて、提督の上に対面座位の形で座る。



提督「ん・・・え・・・は・・・?!長門・・・?!」



長門「提督・・・」ギュッ



提督「いやちょっ・・・胸が・・・」ムニュ



提督の顔に長門のたわわが当たる。



長門「今まで男性に優しくされた事がなかったからな・・・。提督・・・私は提督に惚れてしまったかもしれない・・・」ムギュー



提督「なな長門・・・!とりあえず一旦離れようか・・・?」アセアセ



長門「断る・・・。提督・・・さっきみたいに抱き締めてくれないか・・・?」



提督「いいけど、押し付けるのは止ーめーてー!」



長門「私の胸では満足出来ないか?」



提督「いやそういう意味じゃなくて?!」



長門「提督はわがままだな・・・なら・・・」



長門は提督の顔に顔を近付け始めた。



提督「ふぁっ?!」



提督は咄嗟に顔を背ける。



長門「む・・・何故背ける」



提督「いやいやいや、背けるでしょ?!」



長門「む・・・」



長門は少し怒ったのか、抱き締める力を強める。



提督(駄目だ離してくれない・・・こうなったら・・・)



提督は気を指の形にし、執務室の鍵を開ける。



陸奥「長門、何してるの?」ガチャ



陸奥は呆れた顔をしている。



長門「な、陸奥か?!これはだな・・・その・・・」アセアセ



陸奥「全部聞いてたから知ってるわ・・・。提督と仲良くなるのはいいけど、少し大胆過ぎない?」



提督「あ~やっぱ聞いてたんだ」



長門「気が付いていたのか?!」



提督「気を感じ取れるからね~。鍵を開けてよかったよ・・・」



陸奥「あのままだったら襲われてたかもね」クスクス



提督「全くだよ・・・まだ座ってるし・・・」チラッ



長門「う・・・///提督が悪いのだ、優しくするから・・・///」



陸奥「確かに・・・提督は優し過ぎると思う」



提督「そう?優しくしてるつもりはないんだけどな・・・」



陸奥「だって普通、提督に攻撃なんてしたら解体されるか罰があるかのどちらかだもの」



提督「だから長門に罰を言ったよ?」



陸奥「でも提督、自分の為に罰を言ってないじゃない」



提督「長門の過去無理矢理聞いたよ?」



陸奥「長門の為に、でしょ?それが分かったから提督に惚れたくらい、私でも分かるわ」



長門「そうだぞ提督・・・」ギュッ



提督(これを優しいと感じるか・・・)



提督「・・・・・・そっか」



陸奥「ところで長門、いつまでそうしてるの?早く変わって欲しいんだけど・・・」



提督・長門「は?!」



陸奥「羨ましいんだけど・・・」



提督「いや何故に?!」



陸奥「私だって・・・甘えたい・・・///」



長門「そうか、なら・・・」



長門は提督から降りて立ち上がると、陸奥と小声で相談し始めた。



提督(嫌な予感がする・・・バリア張っとこ)



提督は自信の周囲にバリアを張っておく。

バリアといっても、気を操作してつくったものである。決して聖なるものとか属性付きのものではない。

案の定二人は相談を終えると、提督に近づいてきた。そしてバリアにぶつかる。



陸奥「何これ?」コンコン



提督「気でつくったバリア」



長門「凄いな・・・何故その様なものを?」



提督「何か嫌な予感がしたから」



長門「ばれたか・・・」ボソッ



提督(本当に何をしようと思ったんですかね・・・)



提督「ところで、もうお昼なんでご飯にしませんか?」



長門「提督の膝に座って食べてもいいか?」



提督「断る。全く・・・長門は今日一日俺に触れない事、これ命令ね」



長門「なっ?!」ガーン



陸奥「じゃあ私が・・・」



提督「陸奥は姉である長門を止められなかった罰として、長門と同じ罰を与える。そして、今日一日俺に触れない事、いいね?」



陸奥「そんな~・・・」シュン



提督(素直に言う事聞くのが不思議だ・・・)



提督「もう二人共、落ち込んでないでご飯行くよ!」



提督はそう言うと扉を開けて、一言言う。



提督「二人しだいでは解除するから、三人で行こうよ」



二人「提督!」パァァァ



こうして、三人は一緒に食堂へ向かったのであった。




十四話 その提督、謝罪




提督は長門と陸奥の三人で食堂へ向かった。

食堂に入ると、多数の艦娘が驚いた表情をしている。

男を憎んでいるはずの長門が、提督と一緒に食堂へきたからだ。それに距離も少し近い。

三人は同じ席で昼食をとっている。その時も、長門は提督と仲良く話している。

陸奥も同様にしていた為、 あの二人は一体どうしたのかと他の娘達は思ったのである。

そんな三人に近付いていく二つの影、一航戦の二人である。

案の定、二人は長門に説明を求めている。

二人は提督に敵意を剥き出しにしている長門を間近で見ているのだ。そうなるのも頷ける。

長門は今までの事を二人に説明する。

二人と、それを聞いていた食堂にいる娘達は納得したような感じではあったが、何故か長門と加賀の間で火花が散っている。



加賀(そこは譲れません・・・) バチバチバチ



長門(私も譲る訳にはいかないな・・・)バチバチバチ



提督「何してんだ・・・?」コンワク



赤城「罪な人ですね」クスクス



提督「?」



陸奥「提督・・・あーん」



長門・加賀「!?」



赤城「・・・」パクッ



陸奥「あっ!」



モグモグ、ゴクン



赤城「抜け駆けはさせませんよ」 フフッ



陸奥「むっ・・・」



提督(何やってんだか・・・)



提督は一人食べ終わると、四人をおいて食堂を出ていく。

少しの間執務室で色々した後、艦娘寮に向かう。




艦娘寮




艦娘寮、執務室や会議室等がある鎮守府の本館から、渡り廊下で繋がっている馬鹿でかい二階建ての建物である。

艦種別に階が分かれていて、さらにそこから、各型別に部屋が分かれている。

各部屋はそれぞれかなり広くなっていて、空き部屋を含め数が物凄く多いのである。



提督「ははは・・・凄いなこれ・・・」



誰にも案内されていないので本来ならば迷子になるはずなのだが、提督は気を探る事ができるので大丈夫である。

そもそも、提督は初日に鎮守府とその周辺に気を流しこみ浸透させる事で、建物の構造や人数、人物のオーラや建物に付随する念等をある程度は把握出来るようにしているのである。

ちなみに提督にとって、オーラや念、霊力といった類いのものは全て気と同様のものという認識だ。

話がそれてしまったが、故に提督はこの鎮守府で迷子になる事はないし、隠された地下室とかも見つけられる。



提督「金剛一人か・・・」



提督は金剛型の部屋の前にいる。

提督は金剛に謝罪をする為にきたのだ。



コンコン



金剛「はい、誰ですか・・・」ガチャ



提督「ごめん俺なんだけど・・・入れてもらえないかな・・・?」



金剛「貴方ですか・・・どうぞ」



提督(やけに素直に入れてくれるんだな・・・)



提督は少し違和感を覚える。



金剛「ここに座ってください」



提督「うん、ありがとう」



提督は部屋の窓際に座り、金剛は提督との間を人一人分空けた場所で腰を下ろす。



金剛「一ついいですか?」



提督「うん」



金剛「妖精さんに頼んで、高速修復材を私に使用するように指示したのは貴方ですか?」



提督「うん、そうだよ」



金剛「どこから入手したのですか?この鎮守府には高速修復材なんてなかったはずです」



提督「元帥にお願いして手配してもらったんだよ」



金剛「良かったのですか?貴重な高速修復材を私なんかに使って」



提督「あ、うん、まあ、ざっと一万個程手配してもらったし、大破させた原因は俺にあるからね」



金剛「そうですか・・・。ですが、そんな量を手配出来る程のお金なんて・・・」



提督「ありますよ。それに、俺は最初に言いましたよ?一週間の間の備蓄と資材は、自腹で対処可能と」



金剛「でも、そんな量を置いておく場所なんて・・・」



提督「妖精さんにお願いして、倉庫を改築してもらったんです。いや~流石妖精さんの謎技術、すぐに改築し終わるとは思ってもみませんでしたよ」



金剛「妖精さんと仲がいいのですね・・・」



提督「よくしてもらってますよ」ハハハ



提督「あ、ところで金剛。さっきはすみませんでした。いくらなんでも、叩き付けるのはやり過ぎでした」ペコリ



金剛「!?・・・私が悪いのに・・・貴方は・・・」



そう言うと、金剛は下を向いて少し言い淀む。



提督「金剛?」



金剛「・・・・・・お願いがあります・・・」



提督「うん」



金剛は顔を上げる。そしてその目には、涙を浮かべている。



金剛「・・・私を、殺してください・・・」



提督「は・・・?」



金剛「もう・・・生きたくないのです・・・だから私を・・・私を・・・殺してください・・・お願いします」



提督「嫌です」キッパリ



金剛「何故ですか・・・!私は・・・貴方を殺そうとしたんですよ・・・!だったら、貴方は私を・・・殺したいんじゃ・・・」



提督「いや勝手に決めないでよ。俺なんとも思ってないし。それにさ、今気付いたけど、金剛は俺を殺せるなんて思ってなかったでしょ」



金剛「そんなわけ・・・」



提督「あわよくば殺してもらえるかも・・・なんて思ってた?」



金剛「・・・」



提督「そもそもおかしいんだよね。長門から聞いてるはずだよね?俺が長門の拳を受けてなにもなかった事くらい。気を操作できる上に戦艦の拳を受けてなにもない奴に、普通は勝てるなんて思わないと思うけど、違う?」



提督(長門も金剛も多分、あの条件だったら殺せると本気で思ったのだろう。けど、それ以上に殺されたい気持ちもあった金剛。迷いだらけだった武蔵・・・三人とも思惑がばらばらだったから、あんな動きになっていたのだろうな・・・)



金剛「はい・・・貴方の言った通りです。知っていますか?艦娘って自殺するのが難しいんですよ」



提督「体は丈夫だし、自殺しようとしても、他の娘や妖精さんに見つかるからか・・・?」



金剛「はい・・・ほとんどその通りです」



提督「なるほどね」



ガチャ



比叡「ただいま戻りました!・・・って、え!?」



榛名「どうしま・・・え!?」



霧島「二人共ドアの前で何して・・・え!?」



提督「驚きすぎじゃね?」



比叡「そりゃ驚きますよ・・・ってお姉様なんで泣いて・・・」



霧島「まさかお姉様に何かしたのですか!?」



提督「何もしてない何もしてない。というか金剛に殺してくれって言われたんだけど・・・」



比叡と榛名は金剛に近寄る。



榛名「まだ・・・死にたい気持ちがあるのですか・・・」



比叡「どうしてですか・・・私達は、お姉様には死んでほしくありません・・・」



金剛「苦しいのです・・・私のせいで傷ついた貴女達を見るのが・・・」ナミダポロポロ



霧島「お姉様、私達はお姉様の事を憎んだり、お姉様のせいで、なんて誰も思っていません」



金剛「だからです・・・。貴女達に優しくされたり、笑顔を向けられる度に・・・頭の中で・・・あいつの声が響くのです・・・」ポロポロ



金剛「妹達が犯されるのは、お前のせいだ・・・と」



提督「そういう事か・・・」



提督(金剛は、前任に外国訛りを否定された・・・いや、それだけじゃない・・・妹達を酷く犯す事で、金剛を脅迫したのか・・・。外国訛りを止めなければ、妹達をさらに酷い目にあわす・・・と)



金剛「だから・・・私を・・・」



提督「金剛、君は、妹達を傷つけたいのか?」



金剛「いえ、私・・・そんなつもりじゃ・・・」



提督「そんなつもりじゃなくても、君が死ねば、妹達はどう思う?他の娘達はどう思う?初日から思ってたけど、ここの娘達って艦娘同士凄く仲がいいから、金剛が死んだら、きっとショックを受ける娘いると思うよ」



金剛「・・・」



提督「俺は当事者じゃないから、金剛の気持ちが分かるなんて事は言わない。だけど、君が死んでも、今度は妹達や他の娘に、私のせいでを背負わせる事になるだけだよ」



金剛「じゃあ私は・・・私はどうすればいいんですか!」ポロポロ



榛名「お姉様・・・」



提督「生きる事・・・毎日を精一杯生きる事、それが金剛にできる唯一の事だよ」



提督「もし、前任の声がそれでも君の中に聞こえるのなら・・・妹達でも、他の娘達でもいいから、頼って、支えてもらえ」



提督「それに今は、俺がここの提督だ。もし、まあ、金剛がよければだが・・・俺を頼ってほしい」



金剛「・・・提督」



提督「安心しろ金剛、俺がいるんだ。もう、あいつの声に縛られる必要は、ないんだよ」



金剛「・・・」グスッ



泣いた。金剛は泣いたのだ。

でも一人ではない。妹達に支えられながら、妹達と、共に。



提督(にしても・・・今回の事もそうだけど、一体何を言っているんだろうな・・・俺って・・・)



金剛「提督・・・」



金剛は涙を拭っている。



提督「ん?」



金剛「気持ちが楽になりました・・・。その・・・ありがとう、ございます」ニコッ



提督「な~んだ、そんな可愛い笑顔できるんじゃん」



金剛「可愛・・・」///



榛名「金剛お姉様が・・・」



比叡「赤くなってる・・・」



霧島「たらしですね・・・」



提督「そうか・・・ん?」



霧島「どうされました?」



提督「・・・二人・・・鎮守府の玄関前・・・」



提督は立ち上がり、窓から外を見る。

鎮守府の玄関前、少し広くなっているところに、二人の人物が立っている。



提督(あの二人・・・・・・ふ~ん、わざわざ殺されにきたのか)




十五話 その提督、非情




鎮守府の玄関前にいる二人を見た提督は、金剛達に部屋に残るように言った後、少し足早に玄関前へ向かう。

そして数分後、玄関前に到着する。



提督「ん?あれは・・・長門と陸奥か・・・」



鎮守府の玄関前、鎮守府の正門と鎮守府本館の間の少し広くなっている所にいる二人に向かって、長門が言葉を発している。

提督は物陰に隠れて、少し様子を見る事にする。



長門「何をしにきた・・・また、皆に手をだすつもりか・・・」フルフル



長門は冷静な口調で言ってはいるが、怯えている為か体は小刻みに震え、少し震え声にもなっている。

長門の後ろにいる陸奥も、怯えている為か言葉を発せずにいる。



筋肉男「おいおいそんな怯えなくてもいいじゃねぇか。また仲良くしようぜ~、長門ちゃん」



美しい男「そうですよ長門さん、私達は貴女方と美しい事をしたいだけ、何も怯える必要はありませんよ」



全身が筋肉質の大柄な男と、美しい長髪で美しい顔をした男は長門にそう言う。



筋肉男「というわけだ、早速遊ぼうぜ!」



筋肉男は長門に近づこうとするが、美しい男に止められる。



美しい男「まあ待ちなさい。最近、この鎮守府に新しい提督が着任されたと聞いたのですが、それは本当ですか?」



長門「・・・」



長門は何故か答えない。



提督(何故何も言わないんだ・・・?)



美しい男「長門さん、何故答えないのですか?」ニコッ



長門「」ビクッ



筋肉男「もういいじゃねぇか、いたらいたでぶっ殺しゃいい話だろ?」



美しい男「それもそうですね。では、行きましょうか」



長門・陸奥「」ビクッ



筋肉男と美しい男は鎮守府の中に入ろうと長門達に近づく。

怯える長門と陸奥、提督は姿を現す事にする。



提督「ども~提督で~す」スタスタ



シリアスな雰囲気をぶち壊すような感じで提督は姿を現す。



長門「提督!?」



提督「長門、ずっと見てたんだけど・・・そこの・・・え~となんだっけ・・・あ、そう、キモナル!キモナルの質問に何故答えなかったんだ?」



美しい男「あの・・・」



長門「提督に、迷惑をかけたくなかったんだ・・・」



美しい男「あのですね・・・」



提督「それで長門にもしもの事があったら、そっちのほうが俺にとっては迷惑なんだけど?」



長門「う・・・すまない・・・」



提督「まあ、二人共無事でよかったよ」



美しい男「私を無視するな!」



提督「うるさいよ、キモナル」



美しい男「そもそもさっきからキモナルキモナルと・・・キモナルとは一体なんなのですか!」



提督「キモいナルシストの略」



美しい男「殺す!」



美しい男は服のポケットから何かを取り出すと、提督に向かい投げる。

よく見ると、それはヨーヨーである。

それは提督の首に一瞬で巻き付く。



提督「ピアノ線?」



美しい男「ただのピアノ線ではありません。特殊な液体につける事で、ダイヤモンドでさえも

簡単に切断できる程の切れ味になった特別製です」



提督「へ~、俺の首もコレクションするの?」



美しい男「・・・貴方、どこでそれを聞いたのですか・・・」



提督「聞いたも何も、二人の事はよーく知ってる」



提督は筋肉男のほうを指差して言う。



提督「男女問わず、格闘家に無理矢理闘いを挑んでは相手が物言わぬ肉塊になっても殴り続ける事で快感を感じる異常者」



次に提督は美しい男のほうを指差して言う。



提督「こっちも男女問わず、自身が美しいと思ったものを切断してはコレクションする異常者。特に首が多い」



長門「なっ・・・それは本当なのか提督!?」



提督「二人共裏社会では有名な凶人さ」



美しい男「裏社会・・・なるほど、貴方もこちらがわの人間でしたか・・・。でしたら、私達と手を組みませんか?先程の貴方の暴言はこの際忘れます。ですから・・・」



提督「うっせえブス」



美しい男「」ブチッ



美しい男「死ね!」



美しい男は提督の首に巻き付いているピアノ線を引っ張る。



長門・陸奥「提督!」



ブチッ



提督「え、何?」



提督は何もしていない。

ただ立っているだけ。そして無事である。

その周りには、千切れたピアノ線とヨーヨーが宙を舞っている。



美しい男「な!?」



提督は素早くヨーヨーを右手で掴むと、握り潰して粉々にする。

そして美しい男に一瞬で近付き、右手に溜まっている粉々になったヨーヨーの欠片を顔面に叩きつける。



美しい男「ぎゃああああ!!!!!」



美しい男「私の顔がー!!!!!」



金属製だった為、無数のヨーヨーの欠片は顔面によく刺さっている。

美しい男は顔を手で覆いながら悶えている。



提督「うっさいな~」パンパン



提督は手に残った欠片を呑気に払っている。



筋肉男「隙だらけだぜ!」



筋肉男は人差し指と中指で提督の両目を突く。



筋肉男「なんだと!?」



提督は無傷である。

目も潰れていない。



ボキッ



筋肉男「ぐわああああ!!!」



それはほんの一瞬だった。

提督は一歩下がると、筋肉男の人差し指と中指を指で弾く。

筋肉男の人差し指と中指は、弾かれて逆の方向に反り返っている。



提督「目玉なら潰せると思った?甘いんだよ」



長門「提督、無事か!」



提督「無事も無事、大無事だよ」



陸奥「目は本当に大丈夫なの?」



提督「鍛えてるからね~そんな簡単に潰れないよ」



長門は陸奥に問いかける。



長門「目玉ってどうやって鍛えるのだ?」



陸奥「知らないわよ・・・」



提督「ま、色々あるのさ」



提督はそう言うと筋肉男に近付き、一瞬で目を潰す。



筋肉男「ぎゃああああ!!!!」



提督「目を潰すならもっと速くやらないとね」



提督は微笑み、長門達の方を見ながらそう言う。



金剛「提督!」タッタッタ



赤城「一体何の騒ぎですか!?」タッタッタ



美しい男と筋肉男の悲鳴を聞きつけ、金剛達が集まってきた。



提督(これ以上は少しやりにくいな・・・)



提督は、自身と美しい男と筋肉男を丸い円で囲うように、気で結界みたいなものを張る。

色のある気を張る事で、外部から中を見れないようにし、音が外部に漏れないように気を調整する。



提督「よし、我ながらいいできになった」




一方その頃、結界外




金剛「何ですかこれは!?」



長門「分からんが、提督が作ったものには間違いないだろう」



金剛「そうですか・・・提督、ご無事で・・・」



長門「金剛、提督の事嫌ってなかったか?」



霧島「提督に可愛いって言われて好きになったのですよね」



長門「なっ!?」



加賀「その話詳しく教えなさい」



加賀は金剛の肩をがっしり掴みながらそう言う。



金剛「ちょっ、違います!」///



霧島「違うのですか?」



金剛「う・・・いえ、好きになったのはそうですけど・・・」///モジモジ



比叡「バーニングラブですね、お姉様」



金剛「うー」///



金剛は顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。



その時、数人の艦娘は思った。

ライバルが増えた、と。




そして戻る結界内




美しい男「よくも・・・私の美しい顔に傷をつけてくれましたね・・・」ハァハァ



美しい男は息をきらしながら、自身の顔をおさえている。



提督「美しい?どこが?醜いの間違いじゃないの?」



提督(あ、いいダジャレ思いついた。醜い顔は見にくい・・・ふふっ・・・)



美しい男「私を何度コケにしたら気がすむのですか!?」



提督「コケにした覚えはないけど・・・被害妄想?」キョトン



美しい男「うおおおおおお!!!」



ぶちギレた美しい男は、提督に向かって突進する。



提督「投薬」



提督はそう言うと、美しい男は突然その場に倒れこむ。



美しい男「か・・・体が・・・動かな・・・」



提督「そこで見てろ」



提督はそう言って、筋肉男に近づく。

筋肉男は目を潰された事でパニックになり、その場でジタバタしている。



提督「はい、仰向け大の字~」



筋肉男は地面に仰向けで倒れると、大の字の状態になる。

勿論、これは提督が気を操作してやっている事である。

気を相手の体内と脳に流し込み支配する事で、無理矢理相手を操っているのだ。



筋肉男「な、何だ!?何をする気だ!?」



提督「一つ聞くね、さっき長門と親しそうにしてたけど、長門に何したの?」



筋肉男「な・・・何も・・・」



提督「ふ~ん・・・」



提督は空中に、気を拳の形にしたものをつくる。

そして、それを筋肉男の右手に向けて放つ。



グチャ



筋肉男「ぎゃああああ!!!」



筋肉男の右手は潰れる。



提督「で、彼女達に何したの?」



筋肉男「質問・・・変わってる・・・」ハァハァ



提督「余裕だね」ニコッ



今度は少し間隔をあけて四回放つ。



提督「右足」



グチャ



提督「左足」



グチャ



提督「右脚」



グチャ



提督「左脚」



グチャ



筋肉男「あああああああああ!!!!!!」



筋肉男は悲痛な叫び声をあげる。



提督「うるさいし喉潰すか・・・」



提督は筋肉男の声帯を気で包みこみ、縮小させて消滅する。



筋肉男「・・・・・・!!」



提督「あ、これじゃ話を聞けない・・・ま、いっか」



提督「さて、じゃあその筋肉だらけの体がいつまでもつか・・・楽しみにしてますね?」



提督は少し離れ、気の拳を放つ。

先程より半分程力を緩めて。



ゴスッ・・・ゴスッ・・・ガスッゴスガスゴスゴスガスガスグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャ・・・・・・・・・・・・



数分後。



提督「ま、こんなもんかな」



先程まで筋肉男がいた場所に、筋肉男はいない。

あるのは赤黒い血と、ただの肉片だけである。

それは、周辺にも飛び散り、異臭を放っている。



提督「さてと」



提督は美しい男に近づく。



提督「あらあら吐いちゃったんだ・・・可哀想に・・・」



美しい男は今まさに目の前で起こった惨状を見て、嘔吐していた。



美しい男「悪魔め・・・」ハァハァ



提督「悪魔?俺は人間だよ?君達と同じ、に・ん・げ・ん」ニコッ



提督はそう言うと、また一言。



提督「投薬」



そう言った途端、美しい男の美しく白い髪はボロボロになり抜け始め、全身は赤くなり湿疹が出始める。

そして、顔は風船のようにパンパンに膨れ上がる。



美しい男「私の・・・美しい体が・・・」



提督は手鏡を出現させると、美しい男の顔だけを気で無理矢理上げさせ、提督は持った手鏡で美しい男に自身の顔を見させる。



美しい男「あ・・・私の・・・顔が・・・」



美しい男は戦意を完全に喪失したのか、泣きながら悲愴な声をあげている。

だがそんな事は提督にとってどうでもいい。

提督は持っていた手鏡を美しい男の顔面に叩きつける。



美しい男「いぎゃああああ!!!」



動かない体は悶える事すら許さず、ただ悲鳴をあげる事しかできないのであった。

鼻は折れ、唇は切れ、目を開ける事すら叶わぬ程瞼は腫れ上がり、顔面のあちこちから出血している。



提督「こんなもんか・・・投薬」



美しい男「ごふっ、ごぼぅぅぅ・・・」



提督は最期の投薬をした。

美しい男は口や目といった全身の穴という穴から血を吹き出し、息絶えた。



提督「片付けなきゃ」



提督は結界内に気を浸透させ、血痕や肉片等のゴミを集める。



提督「ふぅ、とりあえず何も落ちてないな」キョロキョロ



提督は集めたゴミを気で包みこみ、消滅する。



提督「さてと」



提督は気の結界を解除する。



長門「薄くなってきたぞ・・・って、えっ!?」



艦娘達「!?」



提督「あ、ただいま~」



長門「提督大丈夫なのか!?」



提督「ん?何が?」



長門「いやその・・・血まみれなんだが・・・」



提督「あ・・・」



提督は忘れていた。

自分が返り血で血まみれであった事を。



提督「ちょっとシャワー浴びてくるよ」ハハハ



長門「あ、ああ・・・」



提督「ちょっと消えるけど、驚かないでね。風呂場にいるから」



そう言うと提督は、長門達の目の前から消えたのであった。



長門達「は!?」




十六話 その提督、回復




提督は入渠ドックの中の脱衣場に到着、姿を現す。

ちなみに中に艦娘がいないかは確認済みである。



提督「うわぁ・・・ドロドロ・・・」



提督が着用していた軍服は上下揃って返り血がべっとりと付着していた。



提督「気を使えば取れるけど、汚いしな~捨てるか・・・」



提督は軍服を脱ぐと、それをまとめて消滅する。

そして、半袖の服と長ズボンを出現させる。



提督「当面の間は持ってる服で代用できるとして、あとは軍服だな・・・元帥に頼むか・・・」ハァ



元帥に新品の軍服を頼むついでに殺した二人の事を報告しないといけないと提督は思ったが、正直言ってかなり面倒くさいと思い、深い溜め息をつく。

あまり長居しても仕方がないので、提督は素早くシャワーを済まして着替え、執務室へと戻った。

執務室前、提督は執務室の扉を開く。



長門「提督!戻ったか・・・って、何だその格好は?」



提督「一応私服だけど・・・変?」



長門「変ではないが、提督としていいのかそれは?」



提督「いいでしょ。多分?」



執務室に入って扉を閉めた後、部屋を見渡す。

部屋にいるのは、長門と陸奥、武蔵、そしてあと一人。



提督「大和か・・・」



大和。大和型1番艦の戦艦。知らない人はほとんどいないと思う。

淑やかで優しく、時には凛々しく勇ましい姿を見せる彼女が、何故このような姿になっているのだろう。

体はだらんとし、目は生気を失っている。

そんな、魂の抜けたような体を固定する為か、大和は車椅子に乗せられている。

そう、それはまるで。



提督(糸の切れたマリオネット・・・)



大和の美しい容姿も相まってなのか、その姿はマリオネットそのもののような、どこか異様さを感じさせる。

一応、提督は呼吸と脈を確認する。



提督「呼吸も脈も正常、生きてはいるんだな・・・」



武蔵「ああ、だが・・・」



提督「ふむ・・・武蔵、大和は何故こうなった?」



武蔵「分からないんだ・・・私達が見つけた時には、もう・・・」



提督は大和の事と見つけた時の事を武蔵に教えてほしいと頼むと、武蔵は話し始めた。

大和は前任のお気に入りで、唯一前任だけにしか犯されていなかったという。

皆が好き放題犯されている中、大和は『私が、何とかしますから』と毎日毎日皆を励まし、前任を告発する算段を立てていたという。

そんな大和を見ていたからだろう、大和はいつしか皆の希望になっていた。

しかし、そんな大和に異変がおきる。

急に練度を上げ始めたのだ。

武蔵や異変に気付いた他の娘達は、すぐに何があったのか本人に聞いた。

しかし大和は『大丈夫、私が何とかするから』と、笑顔で答えた。

その笑顔を見た武蔵と他の娘達は、大和がとても無理をしているように見えたのだが、大和は何も答えてくれなかったという。

そして、練度が99になった大和は、前任とケッコンカッコカリをした。

それから数日たったある日、大和は三日間姿を消した。

勿論、武蔵達は自分達が犯されていない時に少しずつでも大和を探した。

けど結局、見つかる事はなかった。

そして、大和失踪の三日間の内の三日目、前任は逮捕された。

前任は逮捕される直前、武蔵に笑いながら言い放った。



『執務室へきてみろ、面白いものが見れるぞ』



武蔵の体を嫌な予感が包み込む。

武蔵は走る。執務室へと。

武蔵は乱暴に執務室の扉を開けると、執務室の扉を開けて右側、本棚が置いてある所の本棚がずれて、地下へと続く階段がある事に気づく。

それを見た武蔵は最悪の未来を予想してしまい、吐きそうになる。

心臓の音は嫌なリズムを奏でなから大きくなり、冷や汗が全身から流れ出る。

武蔵はそこから一歩も動けなくなった。

しかし、そんな武蔵に後ろから声をかけ、一歩を踏み出す勇気をくれたのが長門だ。

武蔵は長門と共に、地下へと続く階段を下りていった。

下りた先には、広さは分からないが真っ暗な空間がそこにあった。

武蔵と長門は思わず鼻をふさぐ。

先程まで、何故自分達はこの異臭に気づかなかったのか、二人は後悔した。

嗅いで分かる臭いは大きく分けて二つ、精液の臭いと、そして、血の臭い。

武蔵は電灯のスイッチらしきものが壁にある事に気づき、押す。

真っ暗な空間を明かりが照らす。

武蔵と長門は自分の目を疑った。

広い部屋の真ん中、そこに、横たわった大和がいた。

服も下着も、身に付けていたものは何もかもがビリビリに引き裂かれ、綺麗だった髪も顔も体も白濁の液体で白く染まり、開いた目は生気を失っている。

そして口と女性器から、おびただしい血が流れていた。



武蔵「そこからは長門と二人で、大和を急いで入渠させた」



長門「ドックに行く道中に大和を見た娘達がパニックになった事もあったな・・・」



武蔵「色々あったが、結局その時から、大和はずっとこのままだ・・・」



提督「・・・」



武蔵「提督?」



提督「・・・」



武蔵「おい、提督!聞いているのか!」



提督「聞いている・・・」



武蔵「何を呆けているんだ・・・」



提督「少し考え事をしていただけだ・・・武蔵、悪いが大和を戻せる確証が今の俺にはない」



武蔵「何故だ!約束を守らない気か!!」



武蔵は提督の胸ぐらを掴む。



提督「まあまあ落ち着いて、話は最後まで聞く。確証がないだけで、九割方戻せると思うよ。ただ・・・」



武蔵は掴んでいた手を離す。



武蔵「ただ、何だ?」



提督「いや、何でも」



武蔵「?」



提督「さて、始めますか」



提督は大和の前に座ると、大和の両手を包み込むように自分の両手で優しく握り、目を瞑って気を集中させる。

数分、数十分と時間が流れ、提督は目を開ける。



武蔵「駄目・・・だったのか?」



提督「いや、悪いけど・・・少し座っててくれないか?立ってられないと思うし・・・」



武蔵「それはどういう・・・?」



提督は武蔵の問いかけには答えず、館内放送器を取ると、電源を入れて言う。



提督「至急至急全艦娘に告ぐ、今から少しの間座ってください。繰り返します。今から1少しの間座ってください」



館内放送器の電源を切る。



提督「少し本気だす・・・」



提督は再度同じ手順で気を集中させる。

そして、放出する。



武蔵「さっきと何が・・・ん?何だ?何故か・・・気持ちよく・・・」



武蔵は立っているのもままならない程気持ちよくなり、床に座りこんでしまう。



長門「体が温かくなる・・・」///



陸奥「何・・・これ・・・」///



二人はソファーに座っていたが、気持ちよくて悶えている。



提督(大和・・・)



武蔵「提督め・・・一体何をしたんだ・・・」///ハァハァ



提督(大和・・・)



大和(・・・何・・・誰・・・?)



提督(大和・・・)



大和(温かい・・・・・・誰か・・・私の手を・・・)



大和は生気のない目を動かし、提督の方を見る。



大和(誰・・・男の・・・人・・・)



提督(大和・・・)



大和(あれ・・・私・・・)



生気を失なった大和の目が、段々生気のある目になっていく。



提督(もう少し・・・あとちょっと、出すか・・・)



提督はさらに気を集中させ、放出する。



長門・陸奥・武蔵(む・・・り・・・)///グデン



大和(気持ちいい・・・)



大和の目が完全に生気を取り戻す。



提督「よし、終わり」



提督は大和から手を離し、放出した気を自身の中に戻す。



大和「・・・あ・・・あ・・・」パクパク



提督「落ち着いて大和、深呼吸深呼吸」



大和は言われた通りに深呼吸をする。



大和「あの・・・貴方は・・・?」



提督「初めまして大和、この鎮守府の新しい提督で深闇月兎と言います。これから宜しくお願いします」



大和「提督、ですか・・・」



提督「俺の事怖いですか?」



大和「いえ・・・何故でしょう、提督からは怖いと感じません・・・」



提督「それはよかった」ニコッ



武蔵「大和・・・」ギュッ



大和「武蔵・・・」



武蔵は大和を抱き締めると、目から一粒の涙を流した。

たったの一粒だが、今の武蔵の心情を全て表していると、提督は思う。

だが提督は、胸に引っかかる異様な何かを大和から感じる。



提督(何だこの感じ・・・)



提督は大和の方を見る。

大和はとても嬉しそうな、まるで感謝しているかのような笑みを提督に返す。



大和(ふふっ・・・提督・・・)



続く


後書き

遅くなりました。
あと、好きな艦娘が嫌な感じになっていると不快感を感じたならごめんなさい。
こんな感じでやっていきますので宜しくお願いします。

※8月5日追記
書き溜めて載せる方法が分かったので、続きで載せていきたいと思います。
あと作者は心理描写をスッとばす傾向にあります。
もし今まで(前作も含む)で何かご質問があればお願いします。
出来る限り答えます。


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1: SS好きの名無しさん 2018-07-23 00:01:27 ID: UgxYEvKR

サバゲーマンです
初めまして、第1部から読みました。すごく面白かったです。それに「気」を使う提督面白いです。やっぱりこのサイトの作者達は、本当に面白いです。次の更新頑張ってください、応援しています。

2: SS好きの名無しさん 2018-07-23 06:31:26 ID: nQN_6GRG

4章はよ(いつものおねだり

3: 謎提督 2018-07-24 22:22:18 ID: XUik_YZ5

コメントありがとうございます。
出来るだけ早く投稿出来るよう頑張ります。

4: lychee 2018-08-03 04:30:10 ID: RY4Y23Cx

毎秒投稿して欲しいぐらいです!

5: SS好きの名無しさん 2018-08-06 00:59:23 ID: khcXOjgP

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。時雨、長門、陸奥、武蔵が和解でき良かったあとは、金剛型と大和かな?まだいるのかな?続きは気になりますが無理しないでくださいね。・・・今思った前提督がまで生きているのが少しだけ納得がいかないかな
次回の更新楽しみにしています。体調には、気を付けてください。

6: 謎提督 2018-08-06 20:45:28 ID: 6r5RuBf7

サバゲーマンさん
コメントと体の気遣いありがとうございます。
一応この鎮守府には沢山の艦娘がいる設定ですので、まだまだ色々な艦娘に登場していただきます。
前提督・・・どうころ・・・登場させてやろうかな。

7: SS好きの名無しさん 2018-08-19 14:58:22 ID: fSuomo1l

お願いしますから四章はよ!!

8: SS好きの名無しさん 2018-08-20 00:03:43 ID: nx1T_wGj

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。最近は、気温の変化にびっくりしています。そう言えば、二週間ぐらいにこのサイトに繋がりにくくなっていましたが、謎提督さんは、どうでしたか?大丈夫でしたか。体調管理は、大切です。では、更新頑張ってください

9: 謎提督 2018-08-20 20:19:57 ID: JHC76G5g

7さん
四章というよりは続きで書いていきますので宜しくお願いします。

サバゲーマンさん
繋がらなかったので書き溜めが出来ず、仕方なくメモ帳をダウンロードしたら2日後ぐらいで元に戻るっていう・・・。
そんな感じでした。

10: SS好きの名無しさん 2018-08-28 20:31:13 ID: 7lW7nXzB

最近投稿速くてうれしい

11: 艦これ好き 2018-09-16 01:51:24 ID: j-3i3Wan

応募してます♪
フレーフレー謎提督!

12: SS好きの名無しさん 2018-10-03 16:22:38 ID: KJ5VYv7b

応援してますぜ

13: SS好きの名無しさん 2018-10-09 22:26:30 ID: kXthW2B8

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。お久しぶりです。いや~大和が戻ってよかった!(^^)!
しかし、大和の様子が少しおかしかったな~・・・「ヤンデレ化」・「深海戦艦化」になったのか?次回の更新楽しみにしています頑張ってください。次は、軽巡・駆逐艦・かな


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