2018-07-11 13:37:45 更新

概要

同じ世界に艦これとアズレンの両方が存在していたら・・・と言う感じなオリジナルSSその1。


前書き

荒れた鎮守府を舞台に、提督が治安を改善させる?


主要キャラ紹介、

村雨:駆逐艦の女の子、今は店の女将として切り盛りしている。

プリンツ・オイゲン:提督に鎮守府着任依頼を出した艦娘、理由は不明。

ライプツィヒ:プリンツと同じ鎮守府に所属する軽巡、気が弱く病弱でよく倒れるらしい。

アドミラル・ヒッパー:とにかく口が悪い、仲間だろうが提督だろうが暴言を吐く。 一応鎮守府の管理者らしい。

シャルンホルスト:巡戦の艦娘、一言で言うなら戦士。

Z1・Z23:鎮守府に所属する駆逐艦。


村雨の店に1通の手紙が届く・・・提督宛ての様だ。


「・・・・・・」


提督が手紙の内容を読んでいく。


「ふ~ん、「鎮守府着任依頼書」ねぇ~・・・オレはもう辞めたはずだが。」


提督業を辞めたのは数年前であるが、今になって”貴方を我が鎮守府の提督として任命したい、いい返事を期待している。”と言われても


今更提督業をやるつもりはない。


「無視だな、とりあえず。」


提督は手紙を丸めると、ごみ箱へと捨てた。


・・・・・・


数日後、また手紙が届いた。


内容は前と同じ、”貴方を我が鎮守府の提督として任命したい、以下同文。”


「またか、この鎮守府はそれほど切羽詰まっているのか?」


提督は少し考えた後、


「村雨、悪いけどこの鎮守府に行って見るよ。」


村雨から「気を付けて」の言葉を貰って、提督は指定された場所の鎮守府へと向かった。


・・・・・・

・・・



「この辺りのはずだけど・・・」


地図をもう一度確認するが、場所はこの周辺で間違いない。


「・・・・・・」


ゆっくりと歩き回った末に、


「・・・ここかな?」


鎮守府らしき建物を見つけたが、何というか建物横に大きな字で”鉄血”と書かれていた。


「・・・・・・」


提督はそのまま鎮守府正門へと歩いて行く。



「?」


正門近くで、地面にうずくまっている女の子を見つける。


「おい、大丈夫か?」


女の子に駆け寄る提督、


「あ・・・はい。 だ、大丈夫、です・・・」


そう言って、荷物を持って立ち上がるが再び地面にうずくまる。


「本当に大丈夫?」


「すいません・・・私、体調不良でよく倒れるんです。」


確かに、息遣いは荒く立ち上がる時は持っていた杖を使わないと立てないようだ。


「まぁ、無理をしないように。」


そう言って、鎮守府内へと入ろうとしたが、


「・・・・・・」


流石に放っておけず、彼女の荷物を代わりに持ち一緒に鎮守府へと入る。


・・・・・・


鎮守府に入った瞬間、


「おい、ライプツィヒ!! 今までどこをほっつき歩いていたんだ!!」


入り口付近で不機嫌そうな女性が立っていた。


「す、すいませんヒッパーさん・・・気分が悪くなって少し休んでいました。」


彼女は深く頭を下げ謝るが、


「はぁっ!? たかが少量の買い物だけで気分が悪くなった? どんだけ役立たずなのよ!!」


「・・・・・・」


「さっさと渡しなさい・・・ちょっと! 私が買って来てと頼んだ物が入ってないじゃない!!」


「うう・・・その、う、売り切れで。」


「あんたが遅いから誰かに買われたんでしょうが! この役立たず!!」


「・・・・・・」


鎮守府の仲間のはずだが、容赦ない暴言に驚く提督。


「それと、あんたは誰? 勝手に部外者が鎮守府内に入ることは禁止なんだけど?」


今度は提督に暴言を吐く、


「この鎮守府に着任して欲しいとの依頼書を受け取ってここに来た・・・ほら、これがその書類。」


提督から書類を奪い取り確認する彼女。


「ふん! 私は要請した覚えはないけど!」


「そう言われてもな、でも住所はここで間違いないはずなんだけど?」


「だから! 私には覚えもないしどこの馬の骨か分からない人材なんか取らないわよ!!」


室内に響き渡る彼女の怒声、


「・・・私が依頼書を出したわ。」


振り向くと、そこには同じ服装の女性が立っていて、


「!? プリンツ! あんた一体どういうつもりよ!」


今度は「プリンツ」と呼んだ彼女に噛みつく。


「だから、私が呼んだ・・・何か問題でも?」


「あんたねぇ・・・この”鉄血鎮守府”最高責任者且つ姉であるこの私に断りもなく勝手に!!」


「・・・何を思おうと勝手だけど、それ以上にいつ最高責任者に昇進したのかしら?」


両者にらみ合いが続き、


「「お互いの干渉は一切しない」って約束したはずよね?」


「・・・・・・」


「だったら、私が何をしようが自由のはずだけど?」


「・・・ふん! 勝手にしなさい!!」


捨て台詞を吐いて、彼女は去って行く。


「さてと、来てくれて感謝するわ。 私はこの鎮守府に所属する鉄血の重巡「プリンツ・オイゲン」よ。」


「ああ、よろしく。」


軽い挨拶を済ませる。


「隣にいるのはライプツィヒ、体が弱くてよく体調を崩すの。 荷物を代わりに持ってくれて感謝するわ。」


そう言って、ライプツィヒから荷物を受け取る。


「さっきの子は「アドミラル・ヒッパー」、一応この鎮守府の管理を担っていて、私の姉でもあるわ。」


「そうか・・・」


「彼女の事はあまり気にしなくていいわ、気に入らないとすぐに癇癪を起こすから。」


「・・・・・・」


「残りの既存している皆は後で紹介するから部屋に連れて行ってもらえる、ライプツィヒ?」


「は、はい。 指揮官さん・・・こちらへどうぞ。」


少しは体調が良くなったのか、ゆっくりと歩きながら部屋へと案内してくれた。


・・・・・・


その後、執務室で残りの人間と改めて軽い紹介を始める。


「シャルンホルストだ、お前が指揮官? その力見せてもらおうか!」


「オレが駆逐艦のZ1だ、よろしく!」


「同じく駆逐艦のZ23です! 指揮官、よろしくお願いします!」


他の駆逐艦や空母たちからの紹介を受け、


「今日着任したばかりだ、何かと迷惑を掛けるかもしれないが皆の上として最善を尽くそう。」


何の問題もなく紹介が無事終わり、提督は早速仕事を始めた。



「とりあえず今日はここまでにして、鎮守府内を散歩してみるか。」


書類を整理すると、提督は執務室から出て行く。



射撃場では、先ほど紹介をしたシャルンホルストが的をめがけて砲撃していた。


「よぉ、指揮官! 巡回か? ご苦労な事だ。」


そう言って、再び的に向けて砲撃を始める。



休憩室では、Z1含む駆逐艦とプリンツが会話をしている。


「何だ指揮官? お前もオレたちの輪に入りたいのかぁ~?」


挑発的なZ1をよそに「指揮官もどうぞ!」とZ23が椅子を出す、彼女は中々礼儀正しい。


「他の皆は部屋に籠っているわよ、特別な用が無い限り出てくることは無いわ。」


プリンツから事情を聞き、提督は「ではまた。」と言い、彼女たちと別れた。


・・・・・・


「ここが食堂・・・おやおや、荒れ果てているな。」


そこらじゅうに食器らしき道具が散乱し厨房は何年も使っていないせいでそこらじゅうが油で汚れている。


「冷蔵庫の中身は・・・ちゃんとある、腐ってはいないようだ。」


不思議な事に、冷蔵庫の中は綺麗に保存されている。


「あ、指揮官さん。」


ライプツィヒが食堂にやって来た。


「すいません、ちょっと失礼します。」


そう言って、冷蔵庫から適当な食材を取り出して調理を始める。


「ほぅ、ライプツィヒは料理が出来るんだ?」


提督は関心する。


「いえ・・・ただ野菜を切ってお皿に盛りつけて後はドレッシングをかけるだけですよ。」


恥ずかしそうに顔を赤くするライプツィヒ。


「でも、盛り付け方や野菜の切り方は綺麗に統一されているし、料理系統で働いても通用する腕だと思うよ。」


「そ、そうですか・・・」


顔を赤くしながらも少しだけ笑みをこぼすライプツィヒ。


「すいません私、今から昼食なので失礼します。」


そう言って、盛りつけたサラダをテーブルに置き、1人静かに食事を始める。


・・・・・・


「大体鎮守府内を回ったな・・・じゃあ、仕事を再開するか。」


机に座って書類に目を通そうとした時、誰かがノックをせずに扉を開けた。


「あなたが今日ここに着任した下等生物~? あははは!」


「・・・・・・」


提督を見るなり、あざ笑う女性・・・


「私はドイッチュラント、今日からあなたは私の下僕よ? 光栄に思いなさい、あははは~!」


「・・・・・・」


「あらぁ、怖がらせちゃったかしらぁ~? でも、安心しなさい、私がゆっくりと下僕とは何たるかをじっくり教えてあげるわ~♪」


それだけ言うと、笑いながら出て行くドイッチュラント。


「・・・何だあれは?」


提督は呆れて物が言えなかった。


・・・・・・


書類を整理し終えた頃には既に夜になっていた。


「終わった、明日は出撃(遠征)の編成と後は・・・まだまだやることはたくさんありそうだな。」


提督は伸びをしながら執務室から出る。



「? おや。」


食堂に立ち寄ると、そこには1人で酒を飲んでいるシャルンホルストの姿が、


「・・・・・・」


1人でグラスに注いでは飲み干すの繰り返し、


「? 何だ、指揮官か。」


提督に気付くが、これと言ったリアクションも無い。


「隣いいかな?」


と、彼女の許可も無く勝手に座る提督。


「指揮官よ、戦争とは何だと思う?」


突然、突拍子もない質問を投げかけるシャルンホルスト、


「そうだな・・・ある日、当たり前に思っていた日常が突如失う事態だ。」


「・・・・・・」


シャルンホルストは無言で聞いている。


「後は、望まない戦いだ・・・国のためと言っているが、実質は上官が部下に指示して雲隠れ。 部下の戦果は上官の手柄になり昇進、


 口だけ達者な人間どもが生き残る理不尽な戦いだとオレは思う。」


「ふむ、指揮官殿はまるで「自分は戦った事がある」と言っているように聞こえるが?」


「ああ、オレも提督に着任する前は戦場に突撃していた身だよ。」


提督の話に、「ふっ。」と笑った後、


「ふふ・・・指揮官殿とは話が合いそうだな。」


そう言って、彼女が提督にグラスを渡し酒を注ぐ。


「ありがとう、ではこちらも。」


今度は提督が彼女に酒を注ぐ。


「我が指揮官殿に、乾杯!」


「皆に勝利がもたらすように・・・乾杯!」


2人は朝まで飲み明かした。


・・・・・・


翌日、


「おはよう。」


執務室にプリンツがいて挨拶をする、


「おはよう指揮官、よく眠れた?」


「いや、昨日はシャルンホルストと朝まで飲んでた。」


提督は苦笑いだ、


「つまり、一睡もしてないってこと?」


「そう言う事。」


それでも、何事も無かったかのように書類整理を始める提督。


「無理は禁物よ、死・ぬ・わ・よ?」


プリンツなりの気遣いに、


「ありがとう、オレは大丈夫だ・・・それと。」


提督が補足をする、


「一緒に飲んでいたシャルンホルストだけど、今日は二日酔いで休日を取るって。」


「・・・わかったわ。」


それだけ聞いてプリンツは秘書艦の仕事を始める。



「・・・ったく! どこの馬の骨か分からない人間を連れて来て一体何のつもりよ、オイゲン!!」


朝から機嫌の悪いヒッパー、


「オイゲンさんが判断を間違えた事なんて無い、だから呼んだのには理由があると思います。」


駆逐艦が口を開く、


「はぁっ!? 私がいるから何が問題って言うのよ! それともあんたたち・・・オイゲンの肩を持つ気かしら?」


「・・・・・・」


怖いのか口を開けない駆逐艦たち。


「ヒッパー、悪いけどあの下等生物は私の物。これから私の身の回りを世話をたくさんしてもらうの・・・ちょうど下僕が欲しくて


 募集しようかと思っていた所・・・あはははは~!!!!」


そう言って、休憩所から出て行くドイッチュラント。


「また始まった、あの女王様気取りがぁ!!」


相変わらずヒッパーの機嫌が悪い。


「・・・まぁいいわ。どうせ前の指揮官みたくすぐに出て行くんだろうから考えるだけ無駄だわ。」


ヒッパーは立ち上がり休憩室から出て行く。


「はぁ~、どうなるんだろう。」


駆逐艦のZ23は心配なため息をついた。


・・・・・・


「おっ、もうすぐ昼か。 書類はもう少しで終わりそうだ。」


執務仕事は順調、提督も2日目だと言うのに鎮守府の環境に慣れて来たようだ。


「先に休憩するわ。 午後は13時からよ、遅れないように。」


そう言って、プリンツは執務室から出て行く。


「・・・よし、終わった。 食堂にでも行くか。」


そう言って立ち上がり、執務室から出ようとしたところで、


「あらぁ、どこに行くのかしら私の下僕♪」


ドイッチュラントが執務室にやって来た。


「・・・君か、今から食堂に行く途中なんだけど?」


「食堂? その必要は無いわ。 お前は私の下僕、私の身の回りの世話をしているだけでいいの♪」


彼女は妖艶な表情で、提督の椅子に腰かけ・・・


「さぁ、私の可愛い下僕よ。 最初に仕事を与えるわ・・・私の靴を脱がせて♪」


そう言って、誘惑するかのような態度を取る。


「・・・何と言うか、ふざけてる?」


提督の質問に、


「下僕が私に口出しするんじゃない! パチン!(鞭を地面に叩きつける) 下僕は何も言わず私の言う事を聞いていればいいの!」


鞭を振るって挑発的な態度を取るドイッチュラント。


「・・・そうか。」


提督はため息をつき、彼女に近づく。


「そう、そうよ。可愛い下僕ちゃん。 さぁ、早く私の靴を脱がせ・・・!?」


ドイッチュラントは何故か急に無言になる。


・・・・・・

・・・



「・・・・・・」


食堂に来たヒッパー含む、Z23たちが茫然としていた。


「頼んだ品物は買ってきたか?」


「は、はい! こちらが頼まれた品物でございます、ご主人様!」


そこには厨房で何故か提督に叱られているドイッチュラントの姿が・・・


「おい、頼んだ物が入ってないぞ? もう一回行って来い!」


「ううっ・・・わ、分かりました、今すぐに!(ぶるぶる)」


「・・・一体何があったって言うの?」


立場が逆転した光景に驚きを隠せないヒッパーと駆逐艦たちだった。


・・・・・・


「ふふ、私の見込んだ通りね。」


陰で様子を伺うプリンツ、


「2日目でシャルンホルストとドイッチュラントを手懐けるなんて、今回の指揮官は期待が持てそうね♪」


プリンツは満足しながら執務室へと戻る。



ヒッパーは相変わらず暴言を吐く・・・駆逐艦でも戦艦でも、挙句は妹のプリンツにさえも気にいらない事があればすぐに


取っかかる厄介な人間である。



特にライプツィヒに対しては異常とも言えるほど、酷く叱る。


「この役立たず! さっき頼んだことも出来ないわけ!」


「ご、ごめんなさい ヒッパーさん。」


ライプツィヒは必死に謝る、


「全く、すぐに体調崩して倒れる・・・あんたみたいな病人をこの鎮守府に置く余裕なんて無いんだけど!!」


「・・・・・・」


ライプツィヒは何も言えない。


「とにかく! 私が頼んだ物、さっさと持ってきなさい! それまで帰ってくるな!」


そう言って、ヒッパーは立ち去る。


「・・・・・・」


地面に座り込み、息を吸う・・・また体調を崩したようだ。


「すぅ~・・・はぁ~・・・すぅ~。」


深呼吸をして息を安定させる、


「大丈夫か?」


提督がその場に居合わせた。


「あっ、指揮官さん・・・だ、大丈夫です。」


ライプツィヒはゆっくりと立ち上がる。


「酷い人間だな、一度懲らしめた方がよさそうだな。」


提督は腕を鳴らすが、


「ヒッパーさんの言っていることは正しいです・・・私のような病人がこんな場所にいる必要は無いんです。」


「・・・・・・」


「戦闘でも頻繁に倒れちゃうし、皆に迷惑を掛けちゃうし・・・全部私が悪いんです。」


落ち込みながら言葉を続けるライプツィヒ、


「そうか、でもこの前の野菜の切り方と言い盛りつけ方は見事だったんだけどな・・・」


数日前のライプツィヒのサラダの盛り付けに関心した提督が考え込み、


「そうだ、いい考えを思いついた♪」


提督が何かを思いついた。


「ライプツィヒ、君にとってもいい事だと思うけどどうだ? やって見ないか?」


「?」



「あの、本当に私でいいのですか?」


何かの書類を渡されたライプツィヒは驚いている、


「ああ、さっき連絡して君が向かう旨を伝えたから・・・後はその書類を渡して女将の言う事をきちんと聞くんだぞ。」


「・・・は、はい。」


ライプツィヒは事前に準備した荷物を持って鎮守府を後にした。


・・・・・・


「ライプツィヒ! おい、ライプツィヒ! どこに行った!!」


ヒッパーがライプツィヒを探している。


「! おい、指揮官! ライプツィヒを見なかったか?」


提督に対しても相変わらずの態度、


「ライプツィヒなら鎮守府を去ったぞ、今さっきな。」


「!? 何だと!!」


ヒッパーは驚く、


「まぁ、数週間か数カ月の期間だ。 また戻ってくるはずだけど。」


そう言って、ヒッパーに何かを渡す、


「ほら、ライプツィヒに頼んでいた物、オレが見つけて来たよ。」


「・・・・・・」


彼女は品物を受け取る、


「さてと、仕事に戻るか。」


そう言って、提督は執務室へと戻った。


・・・・・・

・・・



「し、失礼します!」


扉を開けて、ライプツィヒが来店する。


「いらっしゃいませ・・・話は提督から聞いていますよ♪」


店の女将の村雨が対応する、


「切り方と盛り付けが上手いんですって? 私も見てみたいですね♪」


書類を受け取り、村雨は紹介をする。


「改めまして、この店の女将をやっている”村雨”です♪ 主人の提督が鎮守府でお世話になっております♪」


村雨は深々と礼をする。


「あ、いえ。 こちらこそよろしくお願いします。」


ライプツィヒも深く礼をした。


・・・・・・


翌日、


「では、これよりオレが決めた編成部隊の人間を挙げる!」


提督の命令で全員(ライプツィヒ除く)が会議室に集まった。


「遠征(委託)はZ1を含めた駆逐艦たちを編成する!」


そして、今度は出撃編成を言う。


「前衛にプリンツ・Z23・ドイッチュラントの3人に主力部隊はシャルンホルスト含む3人。 これで出撃してもらう!」


「どう言う事だ? 何故私が選ばれないんだ!?」


ヒッパーが口出しする、


「お前は練度は低いし、平気で仲間すら見捨てそうな雰囲気だ。 だから編成に入れない。」


「このマヌケ! 私を怒らせると後が怖いぞ?」


編成に入っていない事で怒りを露わにするヒッパー、


「何度でも言おう、お前は役立たずのただのクソガキだ。」


「なっ!? き、貴様ぁ~!!!!」


ヒッパーが切れた。


「許さんぞこのマヌケ! こっちが黙っていれば好き勝手言いやがって!! 表に出ろ! お前は今すぐに殺してやる!!」


その場が重い空気になり、


「ヒッパー、落ち着きなさい。 今そんなことやっている場合じゃないでしょ?」


プリンツが口を出したところで、


「はぁっ!? 元はと言えばオイゲンが連れて来たんでしょ! 今更他人ごとのように振る舞うな!!」


今度はプリンツに噛みつくヒッパー、


「・・・編成内容は以上だ。 各員戦果を期待する!」


そう言って、執務室に戻る提督。


・・・・・・


深夜、村雨の店で・・・


「そうそう、その調子♪」


村雨がライプツィヒに料理の指導をしている。


「初めてにしては上出来よ♪ あなた才能あるんじゃない?」


「あ、ありがとうございます。」


ライプツィヒは顔を赤くする、


「提督の言ってた通り、盛り付けは綺麗だし、材料の切り口も統一されてる。 人に出すには十分よ♪」


「い、いえ。 私の作った料理を人に出すなんて・・・」


「でも、本音はどうなの? 人に食べてもらいたいから頑張って勉強していたんでしょう?」


「・・・・・・」


図星の様でライプツィヒは恥ずかしそうに首を振る。


「じゃあ、私のお勧め料理を指導するから、その後私の注文に答えて♪」


村雨は喜びながらライプツィヒに料理を教えて行った。


・・・・・・


「指揮官、委託と出撃任務、無事に完了したわ。」


プリンツが結果報告をしに執務室にやってくる。


「ご苦労様、軽食を用意しているから各自持って行ってくれ。」


「了解、皆に言っておくわ。」


プリンツは伸びをする、疲れたのか・・・


「少し仮眠するわ、また夜から秘書艦もしなければ行けないし。」


「無理はするな、疲れているなら休んでもらっても構わないよ。」


提督に「大丈夫よ」とだけ伝えて、プリンツは執務室から出る。


「・・・指揮官、やっぱり覚えていないわよね。」


意味深な発言をするプリンツ、


・・・・・・


「数時間だけど、少しでも体を休めないと・・・」


そう言って、仮眠室で就寝するプリンツ。


・・・・・・

・・・



(ここはプリンツの夢の中)



・・・結局。



・・・結局男なんて・・・。



・・・・・・


数年前、


「指揮官、今日の書類よ。」


プリンツがいつものように秘書艦として従事している。


「プリンツ、今日の夜は空いてるか?」


「・・・・・・」



また夜のお誘い・・・別にいいけど。



「ええ、特に用は無いわ。」


「じゃあ、22時に部屋で待っているから。」


「・・・分かったわ。」


そう言って、仕事に戻る2人。



「・・・・・・」



もう、何人の指揮官と寝たのかしら?



お互い好きと言うわけではない、ただのお遊び。



「プリンツって良い体してるよな。」


「見ただけで興奮する、プリンツは皆のアイドルだよ!」



・・・・・・



何度も発せられる、指揮官からの言葉。


良い体、興奮する、魅力的・・・


皆、私の体にしか興味を持っていない・・・私自身を見てくれようとはしない。


でも・・・お金が貰えるから「稼ぐために」と割り切って行為に及んだ。


・・・そんな私でもたった一度だけ本気で指揮官に”恋”をした。


戦果は上場、人当たりがよく心が許せそうな人間。


指揮官も私の気持ちを察したのか、「いずれは専属艦になって欲しい」とまで言ってくれた。


私は指揮官のために必死で戦果を挙げ、結果を残した。


好きだったから・・・本気で、指揮官が好きだったの・・・でも、


ある深夜の秘書艦としての執務中、


「指揮官、残りの書類を持って・・・」


扉を開ける手前、指揮官以外に他の人間がいて開けるのを止めた。


「本当にイラストリアスは綺麗で忠実で魅力的だなぁ~。」


「そんなぁ~、指揮官様のためなら何でも致しますよ♪」


「君には私の専属艦になって欲しい、今すぐに!」


指揮官がイラストリアスに指輪を見せる、


「指揮官様! ・・・嬉しいですが、指揮官様にはプリンツさんと言う大事なお方が・・・」


「プリンツ? あんな暗い顔で物欲しそうな女を誰が専属艦にするか! あいつの魅力は体だけだよ。」


「!?」


胸に突き刺さる指揮官の言葉、


「さぁさ、イラストリアス。 もっと私の近くに来て、さぁ。」


「もう、駄目ですよ。指揮官様~♪」


指揮官とイラストリアスの声が響く中、


「・・・ははは。」


プリンツがうすら笑いを浮かべる。


「やっぱり・・・男は皆・・・」


プリンツは書類を投げ捨て、その場から走り去る。


「少しでも好きになった私がバカだった・・・」


気持ちのやり場がなく、今まで指揮官に尽くしてきた事がアホらしく思えて、


「結局男は私の体目当て、今までお金と割り切って稼いでいたけど・・・今度こそ、今度こそ指揮官のために尽くそうと思ったのに・・・」


プリンツは何を思ったのか、今まで稼いだ資金を全て川に投げ捨てた。


「こんな汚れたお金なんかいらない! 私はもう死んだっていい!!」


プリンツはその場から走り去る。


・・・・・・


「・・・・・・」


行く当てもなく、たまたま目に止まった廃屋の側でうずくまり、すすり泣きをした。


「・・・・・・」



私は今まで何のために頑張って来たの?


結局指揮官は私なんか「踏み台」程度の扱いだったわけ?


ふふ・・・結局男なんて・・・男なんて・・・



しばらくして、空から雨が降って来た。



雨? このままずぶ濡れで過ごすの? ふふ、今の私にはお似合いだわ。



次第に気温が低くなり、彼女は体を震わせる。



体温が下がっているのが分かる・・・このまま続けばすぐ死ねるかしら。



最早、彼女には生きる気力が残っていない、徐々に意識が失いかけ・・・永眠するだろう、その時、



? 急に雨が止んだ?



プリンツは僅かに顔を上げ、辺りを見回す。



・・・雨は降り続けている、じゃあ何で私の周りは雨が止んでるの?



その疑問は正面を見て気づいた。



・・・雨でずぶ濡れで落ちぶれた私に傘を指すなんて、どこのお人好しよ。



プリンツの目の前に傘を指す人間がいた。


「大丈夫か?」


声から察するに男である。


「こんな所でうずくまってどうした? 何か嫌な事でもあったのか?」


「・・・・・・」


プリンツは無言のままだ。


「何も話さない、か。 事情があるようだから何も聞かないことにしよう。」


そう言って、男は立ち上がり、


「ここにいても良いことは何一つ無い、もっと明るい場所に行かないか?」


「・・・・・・」



それはつまり・・・いつものお誘いって事かしら?



「どうする、一緒に来るか?」


「・・・・・・」



男は皆同じ・・・でも、寒くて辛いのは事実。


プリンツは無言で首を振った。


・・・・・・


連れて行かれた場所は、普通のホテル。


「ずぶ濡れだから先にシャワーでも浴びたら?」


「・・・・・・」


プリンツは無言で浴室に入る。


「・・・・・・」


シャワーを浴びながらプリンツは考える。


「どうせ、「助けてやったんだから一度くらい」って言うんでしょう?」



プリンツはうんざりしていた、男は皆同じ・・・男は皆・・・



「・・・・・・」


でも、ついて行った手前、自分にも責任はあると諦めるプリンツ。


「いいわよ、好きにすればいい。」


バスタオルを巻き、浴室から出ると、


「?」


さっきまでいたはずの男が見当たらない。


「・・・・・・」


代わりにテーブルに1通の手紙と作りたての料理が置かれていた。


「・・・・・・」


手紙には短文で ”オレは帰るよ、ホテル代は清算しておく。 腹が減っているだろうから即席で作っておいて置く。”


「・・・・・・」


プリンツは置いてあった出来たての料理を口に運ぶ。


「・・・・・・」


美味いか不味いかは口に出さない・・・ただ黙々と食べ続ける。


「・・・?」


ふと気づいた、自身が何故か泣いている事に。


「あれ? 何で私、泣いてるのよ。」


最初は否定するが、徐々に理由が分かる。



”失いかけていた心が満たされていく”



その後も彼女は黙々と食べ続けていた。


・・・・・・

・・・



「ふあ~ぁ・・・んん~。」


仮眠していたプリンツが目を覚ます。


「・・・昔の事を思い出していたわね。」


プリンツは伸びをしながら、立ち上がる。


「それから・・・あの男にもう一度会いたくなって・・・」



その後、鎮守府に再び戻ったプリンツ。


程なくして、あの男がとある鎮守府の指揮官だという事を知る。


その指揮官についての資料を見てプリンツは驚く、


「上官には嫌われる一方で、艦娘たちには絶大な信頼を受けている・・・そしてこの提督は、他の提督と違い


 艦娘達と一緒に戦闘に参加することも・・・」


今まで類を見ない提督の存在感にプリンツは驚きを隠せない。


・・・・・・


しばらくして、その提督は解雇された事を知る。


噂によると、駆逐艦の女と結婚して店を開いているのだと言う。


「・・・・・・」


プリンツは情報を元に、店を探し出し見つける・・・そこで見たのは、


「いた、あの人だ。」


店のカウンターで接客をしている男と傍で手伝う妻らしき女性が1人・・・


「・・・・・・」


しばらく見た後、


「幸せそうな夫婦、もっと早ければ私が妻になれたかもね。」


そう呟いて、その場から去った。


・・・・・・


その後、鎮守府事情で指揮官が相次いで辞職、”鉄血鎮守府”として設立された時は誰一人近寄らなくなった。


姉のヒッパーの日頃の暴言とドイッチュラントの女王様態度が大まかな原因だ。


指示する上官がおらず、艦娘達の好き勝手な生活が続く状況で、ふとプリンツは思い出す。


「あの人にこの鎮守府の治安を戻して欲しい。」


もちろん、彼は提督業を辞めた身、今更頼んだところで承諾してくれるはずは無いと思ったが、


「艦娘達から絶大な信頼を受けていた・・・それをこの目に焼き付けたい!」


藁をもすがる思いで、プリンツは提督宛てに手紙を送ったのだ。



・・・・・・


「待たせたわね、指揮官。」


仮眠を終えたプリンツが執務室に入る。


「ああ、じゃあ今日の深夜の業務も頼むぞ。」


「ええ、分かってる。」


2人は深夜業務を始める。



翌朝、


「あ~、終わったぁ!」


仕事が片付き、プリンツは伸びをする。


「ご苦労様、後はオレが片づけておくからプリンツは休んでいいぞ。」


「そう、じゃあお言葉に甘えようかしら♪」


そう言って、部屋に戻ったプリンツ。


・・・・・・


委託と出撃結果は上場、提督が来たことで治安が戻る一方で、


「あ~っ! もうっ! あのクソ指揮官! 絶対に許さない!!」


編成にも入れられず、部屋に籠ったままのヒッパーが愚痴をこぼす。


「私ならもっと戦果を挙げられると言うのに、あのマヌケの戦術の悪さが目に見えて分かるわ!」


提督への不満を散々漏らした後にふと気づく。


「そうだ、私1人で出撃すればいいじゃない!」


何を思ったのか、提督の命令もなく勝手に艤装を装着し海に出る。


「私の戦果を見ればあのマヌケも考えが変わるでしょ!」


ヒッパーは単独で出撃してしまった。


・・・・・・


「プリンツ含む味方部隊、無事帰還した。」


プリンツたちが出撃から帰って来た。


「ご苦労様、軽食を用意したから休息がてら食べてくれ。」


「了解、皆にも報告しておくわ。」


そう言って、プリンツは執務室から出る。



「指揮官、大変よ!」


プリンツが慌てて執務室に入る。


「? どうした?」


「ヒッパーの姿がないの。」


「ヒッパーが?」


プリンツたちは鎮守府内を探すが、見つからない。


「ヒッパーさんの艤装がありません、もしかして出撃したんですか!?」


Z23の言葉に、


「オレに報告は来ていないし、そんな話も受けていない。」


「じゃあ、ヒッパーが勝手に出撃したってこと?」


原因は予想できた・・・編成に入れず不満を漏らしていたことは誰もが知っていた。


「ヒッパーさん1人でセイレーン艦隊に突撃したってことですか? そんな無茶です! 今すぐに救援に向かいましょう!」


Z23の願いにより急遽、救援部隊を編成。 向かったであろう方角に各員が捜索を開始した。


・・・・・・


「ふぅ~・・・ふぅ~・・・」


海上でヒッパーが弱々しい息遣いを吐く。


「見くびっていたわ、まさかこんなに数が多いなんて・・・」


目の前には敵勢力「セイレーン」の大部隊、練度が低く単独での出撃のため勝敗は分かり切っていた。


「勝てる見込みは無い・・・でもね。」


ヒッパーは残った砲台を構えて、


「私なりに意地ってものがあるの、そう簡単にやられてたまるか!!」


敵が容赦なく、突撃を開始。 ヒッパーが迎え撃とうとする手前、


「やっと見つけた!」


プリンツがその場に現れる、


「オイゲン!? 何でここに!?」


ヒッパーが驚く、


「あなたが勝手にいなくなったから各員捜索していたんだけど?」


「・・・私を助けに? ふん、余計な事を!」


ヒッパーは「ふんっ」と顔をそらす。


「今更強がっても無駄、早くこの場から離脱しないと!」


ヒッパーを担いで、離脱しようとしたが、


「くっ、囲まれた?」


2人の周囲にセイレーンたちが囲む。


「・・・・・・」


敵の1人があざ笑いながら主砲を構える。


「・・・・・・」


プリンツは負傷したヒッパーの前に出て庇おうとする。


敵は容赦なく砲撃しようとした刹那、


「邪魔だ、どけ!」


その一言と共に、敵が1人撃沈した。


「!? し、指揮官!」


撃沈した敵の前には、指揮官の姿が・・・



「大丈夫かプリンツ?」


「ええ、おかげ様で・・・」


「・・・ヒッパーを連れて早く撤退しろ、ここはオレが食い止める。」


提督は持っていた巨大な剣を構えて瞬時に敵の間合いに入る、


「!!? 何だ貴様は!?」


一瞬の油断、セイレーン部隊も提督のスピードについて行けない。


「遅い。」


ザシュッ!! 


「くっ! 撃て、撃ちまくれぇー!!」


全方位に砲撃を開始する、


「・・・適当に撃っているだけじゃあ、ただの無駄撃ちだ!」


そう言って、提督は各敵の間合いに瞬時に入り込み、斬撃を行い一撃で撃沈させていく。


「何なんだ、あの指揮官は・・・」


負傷したヒッパーは指揮官の戦闘を見て驚きを隠せない。


「・・・・・・」


撤退しつつ、提督の戦闘を自身の脳裏に焼き付けていたプリンツ。


・・・・・・

・・・



「最悪な事態は防げたな。」


ヒッパーの無事を見て改めて安心する提督。


「ふん、私は頼んだ覚えはないぞ! 指揮官が勝手にしたことだ、礼なんか言わないからな!」


相変わらずツンツンなヒッパー。


「残念だけど、お前は鎮守府に戻ったら厳罰が待っている。覚悟しておけよ?」


「なっ・・・」


「勝手に出撃、皆に迷惑を掛ける。 それだけで十分厳罰に値する。 一思いに「退役」してやろうか?」


「・・・・・・」


ヒッパーは何も言い返せない。


「とりあえず先に帰還しよう。 ヒッパー、帰ったら楽しみで仕方ないな~。」


「・・・・・・」


提督の脅し言葉にただ恐怖するヒッパー。


・・・・・・


鎮守府に帰還、連絡を受けた皆も無事に帰還。


すぐにヒッパーを執務室に呼び出し、提督から数時間に登る大説教を受け、出撃禁止と暴言禁止を言い渡された。


流石のヒッパーも提督の戦闘を見ていたせいか、戦闘力が自分よりも遥かに上だと恐れたのか、


反論も暴言も言わず、ただ静かに下を向いたまま提督の説教を聞いていた。



「指揮官さん、今戻りました。」


出張に行っていたライプツィヒが帰還した。


「おかえり、どうだった? 村雨はちゃんと指導してくれた?」


「はい、私に優しくてとても分かりやすく教えてくれました。」


「そうか、じゃあ今日の夕方から頼めるか?」


「はい、お任せください。」


そう言って、ライプツィヒは執務室から出て行く。


・・・・・・


「指揮官どうしたの? 食堂に何かあるわけ?」


夕方になり、提督はプリンツ含む他の皆を食堂へ来るように命令した。


「何だ? 皆で打ち上げでもやろうって言うのか?」


「違うと思う、お酒とつまみは事前に買って来ていないし・・・」


駆逐艦たちも疑問に思っていると、


「あっ、皆お久しぶりです~。」


ライプツィヒが食堂から出て来る。


「ライプツィヒじゃない、今までどこに行ってたのよ?」


久々の再会にプリンツたちが盛り上がる。


「ちょっと修行しに行ってました。」


「? 修行?」


「はい、皆のお夕飯は料理出来ていますよ。」


そう言って、皆が食堂に入ると・・・


「!? これ! ライプツィヒが全部作ったの!?」


机に並べられた数々の料理、あまりの光景にプリンツたちは驚く。


「はい、皆に食べさせたくてちょっと指揮官さんの許可を貰って料理修行に行ってました。」


「・・・・・・」


「どうぞ、席は自由ですので好きな場所に座って下さい。」


ライプツィヒに促され皆が席に座り、食事をする。


「お、おいしい!本格的ですライプツィヒさん!」


Z23が思わず叫ぶ、


「へぇ~、中々やるじゃない。 ライプツィヒにこんな特技があったなんてね~。」


プリンツも関心する。


「ふむ・・・つまみには最適だ、酒でも持ってくるか!」


シャルンホルストは酒を取りに冷蔵庫を物色する。


「皆が喜んでくれてとても嬉しいです~。」


ライプツィヒは満足げだ。



・・・以降、食堂の調理役がライプツィヒとなった。(皆の推薦により)


・・・・・・


「指揮官。」


執務室にプリンツがやってくる。


「話があるんだけど・・・」


プリンツの言葉に提督は話を聞いた。



「悪いけど、オレには嫁さんがいるから無理かな~。」


プリンツは提督に想いを伝えたが答えは残念ながら・・・


「鎮守府内限定でも?」


「・・・鎮守府内限定って、それでも「重婚」になるってことは変わらないでしょ?」


「・・・・・・」


しばしの沈黙、


「ごめんなさい、忘れて。 でも、それが今の私の気持ちだから!」


そう言って、執務室から出て行った。


・・・・・・


「嫁がいるから・・・か。」


「妻がいるから仕方がないわね」と、思っていたが、


「そう言えば、あの時陰から覗いて見た程度だったから、顔までは見ていなかったわね・・・」


プリンツは急に提督の女の事が気になり始めて、


「・・・会って見よう、場所は知っているし・・・」


プリンツは村雨の店へと向かった。


・・・・・・

・・・



「はぁ~・・・」


プリンツは何故か溜息を吐く。


「指揮官の女って言うから、一体どんな魅力的な人間かと思ったら・・・」


プリンツは村雨を眺める。


「幼妻じゃない、確かに駆逐艦とケッコンしたとは聞いていたけど・・・」


「あの程度なら軽く捻れば簡単に指揮官を奪えそう」と思ったプリンツだが、


「主人がいつもお世話になっております!」


プリンツを見て、深々と礼をした。


「あっ、いやこちらこそ!」


思わずプリンツも深々と礼をした。


「・・・・・・」


まだプリンツは提督の話をしていない、何故気づいたのか・・・


「直感ですよ、直感♪」


「・・・・・・」


「前にこの店に来たライプツィヒさんと服装が似ていたのもあったので、もしかしたらライプツィヒさんと同じ鎮守府のお方


 かなぁ、と思ったので~♪」


「・・・・・・」


「この子、侮れない」と急に警戒するプリンツ。


「それで、プリンツさんは私に何か用ですか?」


「えっ?」


「何も注文しないで私の顔ばかり見ているので、「食べに来た」わけではないですよね?」


「・・・・・・」


全ての手の内を読まれているようで、プリンツは驚くが・・・


「実は、指揮官の事で・・・」


隠していてもいずれバレるだろう、そう思ったプリンツは素直に心境を打ち明けた。


・・・・・・


「成程~、提督の事が好きなんですね!」


「・・・・・・」


まだ「好き」とも口走っていないのに、直感が鋭いのかプリンツの気持ちを読み取っていた。


「提督って優しいですものね~♪ 私もそこに惹かれましたから~♪」


「・・・・・・」


「何と言えばいいか・・・」と悩むプリンツ。


「私は構いませんよ、恐らくプリンツさんは私に許可を貰いに来たんですよね?」


「!」


「許可って言葉は変な言い方よねぇ~、提督と付き合っていいか聞きに来たんでしょう?」


「・・・・・・」


全てお見通しのようだ。


「私以外にも提督の事を好きな人はたくさんいるはずです、今は私が妻になっていますが別に


 提督を束縛しようなんて思っていませんのでいいと思いますよ♪」


「・・・・・・」


「何て心の広い人だろう」と思ったプリンツ。


「でも、1つ聞きたいことがあります。」


急に村雨が真面目な表情になり、


「プリンツさんは・・・」


村雨はプリンツに問いた。


・・・・・・


プリンツが鎮守府に戻ったのは夕方過ぎである。


「おかえり、お前にしては珍しいな。 旅行にでも行ってたのか?」


「いいえ。」


プリンツは一言、


「指揮官の女に会いに行ってた。」


「オレの? 村雨の事か?」


プリンツが村雨と会話をしていた事を言うと、


「どうだった? あの子に思惑を見抜かれて結構驚いたんじゃない?」


「・・・・・・」


提督の言う通り、プリンツが考えていた事ほとんどが村雨には分かっていた。


「直感が鋭いからね、あの子は。 戦闘の時もあの直感のおかげで何人もの仲間が助かっていたからな。」


「・・・・・・」


「確かに、あれほどの分析力は凄いとしか言いようがない」と感じるプリンツ。


「それで、村雨に何の用だったの?」


「・・・別に、指揮官の奥さんを拝みに行っただけよ。」


それだけ言って、プリンツは執務室から出て行った。


・・・・・・


提督が鎮守府に来て数か月が経過、治安は良くなりつつある。


ドイッチュラントの女王様気質は提督の躾により若干改善、ヒッパーの暴言にはペナルティを課す(食事抜きや出撃禁止)で解決。


荒れた食堂もライプツィヒの料理好きな特技から温もりのある食堂へと変わった。



「用が済んだし、そろそろ店に帰ろうかなぁ。」


提督は帰る準備のため荷造りをしている最中、


「指揮官さん、少しお話いいですか?」


ライプツィヒが執務室にやって来た。



「・・・・・・」


プリンツが提督と話をするために執務室に入るドアの前で「さかなきゅん(ライプツィヒの艤装)」は扉を見張っていた。


「ライプツィヒも指揮官に話が? 考えは私と同じなわけね。」


そう思い、さかなきゅんを説得させ扉を開ける。


「!? あっ、プリンツさん!」


さかなきゅんに見張ってたはずがプリンツが入って来たことでかなり驚いている。


「話を続けて、多分私と同じ内容だと思うわ。」


「・・・・・・」


プリンツに諭されてライプツィヒは言った。


「私を指揮官さんの”専属艦”にしてください!」


「専属艦・・・」



※専属艦とはアズレンの艦艇に指輪を渡した(結婚)時発生。



「・・・いいよ、オレは大歓迎だ。」


提督は「お気に入りの艦艇にして欲しい」と思ったのか、快く受け入れた。


「あ、ありがとうございます!」


ライプツィヒは喜んだ。


「私も、指揮官の専属艦になりたいんだけど?」


プリンツの願いに、


「ライプツィヒが構わないのならいいよ。」


もちろん彼女も「構いません」の言葉にプリンツも専属艦となった。


「良かった・・・でも、これからが大変ね。」


村雨に言われた言葉を思い出す。


・・・・・・

・・・



あの時、


「プリンツさんはどこまで提督の事が好きなんですか?」


「えっ?」


突然の質問にプリンツは困惑する、


「提督の周りは危険が潜んでいます、自ら戦場に赴いたりと常に死と隣り合わせなんです。」


「・・・・・・」


「そんな提督をプリンツさんは全力でフォロー出来ますか? 途中で逃げたりしませんか?」


「・・・・・・」


「もし、「ただ恋愛的に好きなだけ」なら諦めた方がいいです、すぐに関係が終わります。」


「・・・・・・」


「もう一度聞きます、プリンツさんは提督を最後までフォロー出来ますか?」


「・・・・・・」


プリンツは何も答えられなかった。


・・・・・・

・・・



「指揮官がどうしてあの駆逐艦の子と一緒になったのかがよく分かったわ。」


最初は気づかなかったが、会話をしたことで彼女から”指揮官を必ず死守する覚悟と気迫”が見て取れたようだ。


「駆逐艦に負けてられないわね、私は重巡プリンツ・オイゲン! 私の鉄壁の盾で守って見せるわ!」


彼女は改めて決意した。



「さてと、治安が戻ったしオレの用は済んだだろう? そろそろ帰るよ。」


プリンツの願いは叶った、後は提督が戻ってそれで終わるはずだったのだが、


「指揮官、悪いけどあなた宛てに手紙があるわよ。」


「?」


プリンツから渡されて手紙を開ける・・・そこには、



”貴君の鉄血鎮守府での活躍は見事である、その貴君を見込んでロイヤル鎮守府の急を要する事態を改善してはくれまいか?”



「何だ、鉄血以外にもまだ違う鎮守府があるのか?」


提督は「はぁ~っ」っとため息をついた後、


「急を要する事態・・・ならば行くべきだろう、仕方がない。 店に戻るのはこの件を済ませてからだな。」


提督は次の目的地を「ロイヤル鎮守府」に変えた。



「さようなら、オレは次の鎮守府に向かう。 何かあったら連絡してくれ。」


提督がライプツィヒたちに別れの挨拶をする、


「分かりました、指揮官さんが危険な時は私がすぐに向かいますので。」


専属艦としての責任として提督をフォローすることを誓うライプツィヒ。


「ありがとう・・・それじゃあ、またな。」


提督はロイヤル鎮守府に向けて旅立つ、


「指揮官・・・ありがとう。」


プリンツが聞こえるか聞こえない程度の声で呟いた。


・・・・・・


ここは「ロイヤル鎮守府」。


「ネルソンさん、門に誰かがいます。」


ネルソンと呼ばれた女性が耳を傾ける。


「門に? 部外者なら追い払えばいいでしょ?」


「そ、それが・・・」


「?」



「ロイヤル鎮守府着任依頼書を持っているのに何で逃げ出すんだ?」


閉ざされた門の前で待ち続ける提督、


「オレは頼まれた身なんだけどなぁ~、この手紙が無ければとっくに店に帰ってるんだが・・・」


そう思っていると、門が開き正面に責任者らしき人間が立っている。


「・・・よし、今日からこの鎮守府に着任、気を引き締めて行こう!」


提督は開かれた門の中へと進んでいった。









「鉄血鎮守府に着任したら・・・」 終









続きは「ロイヤル鎮守府に着任した」にて。









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SS好きの名無しさんから
2018-07-14 23:04:33

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SS好きの名無しさんから
2018-07-14 23:02:26

SS好きの名無しさんから
2018-07-12 08:36:40

このSSへのコメント

1件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2018-07-14 23:06:51 ID: uLiLbLWR

キャラクター達の表情が手に取るように分かる…。頭の中で物語の光景が描写されていく…。…さかなきゅん…。

Foo!次回作が楽しみですねぇ!気になりますねぇ!


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