2018-07-03 22:27:51 更新

美咲「事務所に所属するプロデューサーさん。小俣 晃(おまた あきら)さんは優秀です」


美咲「物腰柔らかく、パリ帰りのお洒落さん、いつもほのかにいい匂いがして、スーツにはシワ一つありません」


美咲「たった一つ変わってるところがあるとすれば」





美咲「オカマさんです」





美咲「おはようございまーす」


P「あら、美咲ちゃん。おはよう」


美咲「おはようございます。小俣(おまた)さん」


小俣P「もう!いつも言ってるでしょ!オマタじゃないわ!アキラちゃんって呼んで!」


美咲「あ、ごめんなさい。つい」


小俣P「うふ、いいのよ。別に怒ってるわけじゃないんだから。丁度コーヒー淹れたんだけど美咲ちゃんもどう?」


美咲「ありがとうございます。いただきます」


恵美「おはようございます」


小俣P「あら、恵美おはよう」


恵美「よかった!アキラちゃんいた!ちょっと手貸してよ~」


小俣P「何よ、どうかしたの?」


恵美「ほら、昴。こっち来なって」


小俣P「ちょっと昴?!どうしたのよあんた!泣いてるじゃない!目も真っ赤っかで!」


昴「うううううう、オッちゃ~ん」


小俣P「その呼び方やめなさいって言ってるでしょ!オッちゃんじゃなくてアキラちゃん!」


恵美「アキラちゃん、今それどころじゃないんだって」


小俣P「ったく。で、何がどうしたの?」


昴「オッちゃん。オレ、もうアイドル辞める・・・」


小俣P「はぁ?急に何言い出すのよ。あとアキラちゃんって呼びなさい」


恵美「実はさ・・・、SNSで昴の悪口が書かれてるのをたまたま本人が見ちゃったらしくて」


小俣P「それで絶賛ダダ凹み中ってわけ?」


恵美「これがだいぶ重症でさ。レッスン出るのも嫌がってたんだけど、とりあえずアキラちゃんに話聞いてもらおうって連れてきた」


小俣P「で、その悪口ってのはどんなの?」


恵美「・・・・・・これ」


小俣P「ふむふむ。『男みたいな顔で女の声で歌うのキモい』『菊地真の二番煎じ』『』。まぁまぁ、ありがちねぇ・・・」


昴「言われなくっても分かってるよ。オレに可愛いの似合わないのなんて・・・。でも、ちょっとでも可愛くなれるように努力して・・・なのに・・・」


小俣P「やるじゃない。昴」


昴「へ?」


恵美「ア、アキラちゃん?」


小俣P「いい、昴。恵美も一緒に聞きなさい」


小俣P「10人に好かれる人間はね、『偽善者』って言うの」


小俣P「逆に10人に嫌われる人間は、『悪党』って言うのよ」


小俣P「5人に好かれて、5人に嫌われる。これが本物よ」


小俣P「アイドルは沢山の人に見られる仕事よ。だから色んな事を言わるわ」


小俣P「嫌われるのを恐れて、すり寄っちゃダメ。嫌われたからって、応援してくれる人に背を向けてもダメ」


小俣P「はい、これ。昴宛のファンレター」


昴「こんなに・・・。全部、オレ宛?」


小俣P「そうよ。好きな人も、嫌いな人もいる。永吉昴は、間違いなく本物よ」


昴「ほんとに?」


小俣P「信用なさい。アタシが何年女の偽物やってると思う?本物を見分ける目は確かよ」


昴「・・・オレ、どうしたらいい?」


小俣P「ファンレター読んで、気合い入れなおして、レッスン行ってきなさい」


昴「・・・うん」


小俣P「その前にまず顔洗ってらっしゃい。今のあんた、涙でグシャグシャで超絶ブサイクよ」


昴「ひっでー!オッちゃん言い過ぎだよ!」


小俣P「アキラちゃんって呼べって言ってるでしょ!この小娘!」


昴「へへ、恵美行こうぜ。ごめんな心配かけて」


恵美「ホントだよー。めちゃくちゃ心配したんだから。じゃあ、アキラちゃん。行ってくるね」


小俣P「いってらっしゃい。はりきり過ぎて怪我するんじゃないわよ~」





美咲「765プロは、今日も平和です」


~おしまい~


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2018-11-20 01:00:15

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