2018-07-14 21:48:58 更新

概要

1人の提督が昔経験した壮絶な過去を回想した物語。


前書き

のんびり更新していきます。


深海棲艦が特殊な攻撃をするようになった、



その攻撃を受けてしまった艦娘は艦種を問わず必ず・・・



死ぬ、もしくは・・・深海棲艦化する!!



・・・・・・

・・・



提督会議で特殊攻撃を”感染攻撃”と呼称。


感染攻撃を受けた艦娘は徐々に体を蝕まれ、最終的に死に至るか深海棲艦となり襲い掛かる。


様々な治療を施しても結果は報われず、僅かに侵攻を遅らせる程度の効果しか無かった。


感染状態になった場合は幾つかの「レベル」がある。



・レベル1(初期):ふらつき・体の不快感等、疲労中の症状と似た状態が起きる。



・レベル2:体のだるさ・熱が上がる等、人間で言えば「風邪やインフルエンザ」のような症状を発症する。



・レベル3:吐血・肉体の腐敗等、かなり浸食が進んだ状態で最終段階のレベル4の1つ手前である。



・レベル4(最終):呼吸困難・意識不明・全身の肌が真っ白に変色等、いつ死んでもおかしくない状態だ。




追記:レベル4が長期間続いた場合、艦娘が深海棲艦化した報告が挙げられ、様々な治療を施しても実らずレベル4まで進んで


    しまった艦娘は安楽死か雷撃処分を行うこととする。(軍内規定事項)



結局、この時点ではまだワクチンを開発するに至らず、多くの艦娘の命が失われていた・・・


・・・・・・


「? 雪か?」


季節は冬、この日は寒く鎮守府内でも雪が降っているのを確認できた。


「・・・・・・」


雪が降るのを見て、提督は昔を思い出した。


・・・・・・


「アタシは摩耶ってんだ、提督よろしくな!」


高雄型重巡の「摩耶」が鎮守府にやって来たが、



「提督、お前ちょっとウザい!」


「あん? 何か用か?」



はっきり言うと、口が悪い・・・やたらと難癖をつける言動が妙に気に入らなかったが、


「怖い奴はアタシの後ろに隠れてな!」


と、戦闘の際には仲間を庇うなど、普段の言動とは違う一面もあり提督は摩耶に興味を持つ。


「提督、何度も言うけどさ・・・ウ・ザ・い!!」


「またウザいって言われたな~」と頭を掻く提督、


でも、最近ではその言葉にも慣れてきて摩耶も「懲りない奴だなぁ~」と呆れられつつも、


「デート!? ううっ・・・て、提督がどうしてもって言うなら(恥)」と女の子らしい一面もあり、


次第に摩耶の事を好きになって行く。


彼女も次第に「提督、今日の昼飯はアタシが作って来たぜ!」 「今日は秘書艦やりたい気分なんだ~♪」と提督と接する時間が


増え、2人はお互いに愛し合うようになる。


だが、そんな2人の幸せが突然奪われる。


・・・・・・


摩耶を含めた編成部隊が出撃を開始、


道中、感染攻撃を行う深海棲艦と遭遇、回避しつつも応戦、各個撃破していく中で、


「危ねぇ!!」


摩耶が味方を庇って砲撃を受けた・・・その攻撃が、”感染攻撃”だった。


「くそっ! やられた!」


摩耶が傷口を押さえ、味方が摩耶を援護。 その場を何とか防げた。



帰還後、摩耶はすぐに皆から遠ざけ、感染攻撃被弾者専用の隔離室に閉じ込められた。


「摩耶・・・」


提督は隔離室に入った摩耶を見つめながら悲しんだ。



「摩耶、大丈夫? 果物持って来たわよ。」


鳥海がお見舞いに果物入り籠を持参するが摩耶の側には近づけない、近くにあった机の上に置いておく。


「おっ、サンキュー! 後で食うよ。」


摩耶は元気な声で答える。



「摩耶ちゃ~ん、調子はどう? 愛宕に出来ることない?」


ガラス越しに愛宕が摩耶に尋ねる、


「大丈夫だって! あたしがそう簡単に体調崩すわけないだろう? 信じて待っていてくれ愛宕姉さん。」


摩耶は相変わらず元気に答える。



1週間後、


「摩耶。」


提督が見舞いにやってくる、


「提督、遅いよ。 この摩耶様の事忘れちまったのかと思ったぜ。」


咳き込みながら提督にいつもの口調で話しかける摩耶。


「・・・・・・」



摩耶の表情がやつれている・・・ちゃんと食べているのだろうか、前と比べて痩せているような気がする。



「どうした提督、せっかく会いに来てくれたのにそんな悲しい表情すんなって!」


「! ああ、そうだな。 摩耶、絶対に戻って来いよ!」


「ああ、もちろんだ・・・ゴホッ ゴホッ。」


また一緒に頑張ろう、ガラス越しに約束をして提督は鎮守府へと戻る。


・・・・・・


「残念ながら、摩耶の体調改善は実らず「現在レベル2」です。


突然告げられた一言、提督は言葉を失う。


しかも、レベル2になった時点でいかなる治療も不可だと言う・・・


「提督、最悪の事態に備えて心の準備をしてください。」


治療係が執務室から出て行く。



「おっ、提督。 どうしたそんなに血相変えて?」


摩耶がいつものように返事を返してくれた。


「・・・・・・」



レベル2、確かに摩耶は熱が出ているのか頭を押さえてとても苦しそうだ。



「ずっとこの部屋にいるせいか、ストレスが溜まって気分が悪いよ・・・少しでいいから外に出してくれよ提督?」


摩耶の言い分に、


「ははは、気持ちは分かるよ。 でも、完全に治ってからだ。 それは摩耶が一番よく分かっているだろう?」


「・・・まぁね。 ふぅ~・・・」


苦しいのか頭を寝れタオルで冷やしながら眠りに就いた。


「今度アイスでも持って来るよ。 じゃあオレは帰るな。」


居づらくなって提督はその場から出る。


「・・・・・・」


廊下で1人提督は手で顔を覆い泣いた。


好きな艦娘があんなに苦しんでいるのに何も出来ない・・・提督は自身の無力に後悔する。


・・・・・・


1か月後、事態は悪化する。


長期間の”レベル2”から”レベル3”へと移行した。


「ううっ・・・ゴホゴホッ!!」


1日1回吐血を繰り返し、全身に走る激痛から地面でもがき続ける摩耶。


「摩耶・・・」


見舞いに来ていた姉妹たちも目をつぶってしまう程の壮絶さ・・・高雄と愛宕は我慢できずに泣いてしまう。


その内摩耶にも異変が起きた。



鳥海がお見舞いに行った時だ、


「何だ鳥海、あたしの苦しむ様を見に来たのか?」


摩耶の態度が突如変貌し、鳥海は驚いて何も答えられない。


「さっさと消えろよ! もうここに来るんじゃねぇ!!」


ガラス越しに椅子を投げつけて威嚇する摩耶、鳥海は怖くなって病室から出る。


・・・・・・


鳥海に関わらず、高雄や愛宕にしても同じ行為をする。


「あたしが苦しんでいるのが楽しいのかよクソ姉貴! あたしは見世物じゃねぇってんだよ!」


「摩耶落ち着いて! 私たちは摩耶のお見舞いに来ただけよ。」


「うるせぇ! さっさと消えろ! さっさとこの室内から失せろぉ!!」


摩耶の威圧に退室してしまう高雄たち、見舞いに来た仲間に対しても同じ態度を取り、


いつしか誰も摩耶の病室に来なくなった。



「・・・・・・」


提督が扉を開けた、


「摩耶、オレだ、提督だ。」


摩耶にとって好きだった提督だが、当然のことながら、


「ああっ!? 来るんじゃねぇって言っただろうがぁ! 耳が悪いのかお前は!」


咳き込みながら威圧する摩耶。


「摩耶、落ち着いてくれ。 お前と話がしたいんだ。」


「うるせぇ! あたしはもう手遅れなんだろう! だったらこんな病人ほっといてさっさと出ていけ!」


「摩耶・・・」


「お前に名前を呼ばれたくない! さっさと出ていけ、クソ提督!」


「・・・・・・」


提督は諦めて出て行った。


「・・・くっ。 ・・・う、うわあああ~。」


提督が去った後、摩耶は堪えきれずに泣き叫んだ。


・・・・・・


しばらくして提督が鎮守府に着任していないことを治療係から告げられる。


「ふんっ! 所詮提督の器が無かっただけの事、あたしもその程度と知って安心したよ!」


最近になって吐血と激痛が無くなり、ベッドの上で寝たきりの摩耶だが決して体調が良くなったわけではない。


「・・・肌が白くなってる? あたしはもう・・・」


白くなった腕を見てそう呟く摩耶。



十数日後、提督が着任したと言う知らせを治療係から聞かされるが、


「あ、そう。 秘書艦は誰になってるんだ? 鳥海か? 愛宕姉さんか?」


相変わらず、難癖をつける摩耶。


「まぁ、いいよ。 あたしはもう日常には戻れねぇんだから・・・」


そう言って、床に着く摩耶。


・・・・・・


「鳥海さんからお届け物です。」


「? 鳥海から?」


治療係から摩耶宛てに何かが届く・・・中を開けると、


「・・・CD? 何か録画されているのか?」


摩耶はDVDに入れて録画内容を見た。


「!?・・・」


録画内容に摩耶は言葉を失った。



「・・・・・・」


提督は事もあろうに執務中に眠っていた。


「提督! 起きてください!」


秘書艦が何度も提督を呼ぶ。


「!? ああっ ご、ごめん。」


提督はやっと目が覚め、執務作業を始める。


「どうしたんですか? 最近眠っていることが多いですよ・・・夜寝むれないんですか?」


「・・・・・・」


提督の表情はいつも眠そう、提督がしばらく着任せず戻って来たと思ったら今度は体調不良になっていた・・・


「提督、無理はしないでください。」


秘書艦から気遣われ、


「ありがとう・・・そして、毎日悪いね。」


提督は眠気を堪えながら執務作業を続けた。


・・・・・・


それから少し経ち、


治療係から「重巡摩耶は隔離室から出た」との知らせを受けた。


もちろん、朗報ではない・・・あくまで最悪の事態だ。


「そうか・・・分かった。 今まで最善を尽くしてありがとう。」


提督は受話器を戻した。


「・・・・・・」



結局、摩耶を救うことは出来なかった・・・提督自身に無力感だけが残る。


「すまなかった摩耶、オレがもっとしっかりしていれば・・・」


そう思いつつ、涙を流す提督の姿があった。



それから1か月、


提督は過去を乗り越え、今も提督業を営んでいる。


「? 雪か・・・」


窓を見ると、雪が降っていることに気付く。


「あの時もそうだったな。」


提督が摩耶と一緒に過ごした時も、同じように「雪が降っていたなぁ」と思い出す提督。


「・・・さてと、仕事仕事。」


提督は机に戻って執務仕事に戻る。


・・・・・・


「ああ~っ、やっと書類整理終わったぁ~。」


深夜になってやっと終わり、伸びをする提督、


「・・・もう2時か、部屋に戻って寝たいけど・・・」


それ以上に眠気が圧勝してそのまま眠ってしまいそうだ。


「今日は・・・執務室でいいか。 ソファに寝込んで・・・寝よう。」


執務室の明かりを消して再び就寝する提督。





「・・・て」



「て・・・と・・く」



「てい・・とく、 提督!」


「!? だ、誰だ!」


誰かに呼ばれて提督は思わず起きるが、


「・・・・・・」


時間を見る・・・今は午前4時、あれから2時間しか経っていない。


「・・・気のせいかな。 執務室にいるのはオレだけだし・・・」


そう思い、提督はまた床に着いた。


「・・・・・・」


提督の寝顔を見つめる謎の姿があった。


・・・・・・


翌朝、


「おはようございます、司令官さん。」


秘書艦の鳥海が挨拶をする、


「ああ、おはよう・・・鳥海。」


提督は思わず大欠伸をする。


「? どうしたんです? 昨夜はあまり眠れなかったのですか?」


「うん、深夜まで書類整理していてすぐに寝たんだけど・・・何と言うか、誰かに呼ばれた気がして起きてしまって・・・」


念のため、鳥海に深夜誰か起きていたかを確認したところ、誰1人起きてはいなかったと言う。


「そうか、じゃあオレが寝ぼけていただけかもね。」


そう言って、気を取り直して執務しごろに励む提督。


・・・・・・


夕方、仕事が早く終わり提督は部屋に戻って早めの就寝をした。


「・・・て・・とく。」


微かだが、耳元で提督を呼ぶ声、


「てい・・と・く。 ていと・・く。」


次第に声が大きくなり、提督も目が覚める。


「ていとく・・・提督。」


「誰だ、そこにいるのは? 出てこい!」


カーテンの陰に人影らしきものが見えて提督は叫んだ。


「あ、怪しくなんかないぜ! あたしだよ、提督!!」


「・・・・・・」


提督はその声に聞き覚えがあった・・・忘れるはずがない、その声はまさしく・・・


「摩耶? 摩耶なのか?」


提督はカーテンに近寄るが、


「!? 来ないでくれ! 提督に今のあたしは見せられない!」


摩耶らしき女性は再会を拒んだ。


「・・・・・・」



摩耶によると、レベル3の状態から奇跡的に回復し、一命を取り留めたが後遺症のせいか体の一部が白く変色したらしい。


運の悪いことに顔まで白くなっており、こんな姿を提督に見せたくないらしい。



「オレは構わないよ、白い肌になっても摩耶は摩耶だ。 だから摩耶、そこから出て来てくれ!」


提督は必死に願うが、


「提督、あたしもこれで一応女、女の気持ちを少しは考えてくれよ! 好きな人間に変貌した姿は見せたくないんだって!」


「・・・・・・」


摩耶の必死の説得で提督は願い通りカーテン越しで会話をすることにした。


「じゃあ摩耶・・・本当に無事だったんだな?」


提督の言葉に、


「おぅ! 当然だろう! あたしは摩耶様だぜ! そう簡単にくたばらないぜ!」


いつもの摩耶の言葉を聞き、


「良かった、お前が無事で本当に良かった。」


提督は嬉しくて思わず泣いた。


それからしばらくの間、提督と摩耶は久々の会話を楽しんだ。


・・・・・・


「おはようございます、司令官さん。」


鳥海が挨拶をして、


「おはよう鳥海! さぁ今日も頑張って仕事に取り組もう!」


元気よく掛け声をかける提督、


「? 司令官さんがいつもと違って元気・・・何かいいことがあったのかしら?」


提督の元気ぶりに少し困惑気味の鳥海。



翌日も昨日と同じ元気よく挨拶をする提督の姿が・・・



次の日も・・・その次の日も、



鳥海も「元気になって安心しました。」と最初は喜んでいたが、


「司令官さん? 司令官さん!!」


鳥海が提督を必死で呼ぶ。


「!? ど、どうした鳥海!?」


鳥海に呼ばれ、驚いて返事をする提督、


「今日の書類をお持ちしました。」


「ああ、分かった・・・そこの机に置いてくれ。」


提督は指示をするもまた眠たそうに眼を閉じた。


「・・・・・・」


鳥海も提督の異変には気づいていて、


「朝はあんなに元気なのに昼から急に抜け殻のように存在が薄く感じる・・・一体どうして?」


鳥海が考え、


「それ以上にどうして朝はあんなに元気なんだろう?」



提督が元気良く挨拶するようになった最初の日は1週間前、その間に一体何があったのか?



「・・・少し調べてみますか、事態に備えて高雄姉さんたちにも手伝ってもらって・・・」


そう思って、鳥海は執務仕事に励んだ。













このSSへの評価

3件評価されています


SS好きの名無しさんから
2018-07-11 21:00:48

SS好きの名無しさんから
2018-07-11 19:28:47

SS好きの名無しさんから
2018-07-11 19:07:07

このSSへの応援

このSSへのコメント


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください