2018-07-19 00:25:38 更新

概要

作者が、深海棲艦みたいな存在いるなら、幻獣みたいな生物もいてもよくね?&艦娘とか造れる技術あるなら、さらに進化した近未来兵器とか造れそうじゃん、とただの思い付きで考えた様変わりssです。興味があればどぞ


前書き

艦娘の世界観完全無視です。それどころか、艦娘の方が弱い立場に立たされています。

オリジナル設定、誤字脱字、俺の嫁が他のゲス野郎に犯されるなんて無理、という方はご遠慮ください。


 20XX年、突如として世界の平和は崩れ落ちた。

 秘密裡に行われていた核実験によって生み出された怪物、人々が起こした環境破壊により天罰を与えるため遣わされた神獣とも呼べる存在。

 様々な原因によって生み出された人智を超えた化け物ども。

 これにより、人類は生存領域の縮小を余儀なくされた。

 だが、被害はそれだけに留まらず。

 最早、化け物とは呼ばず魔物―――そう呼ぶに相応しい生物達が現れたのだ。

 人類はことごとく蹂躙され、大大陸のほとんどが、人の住める土地ではなくなった。


 しかし、その中で唯一、被害が少なく――十全な資源と設備により、対策とよべる兵器改造を実現させた国があった。

 ―――それが日本。

 島国であり、尚且つそこまでの島が密集していなかったからこそ見逃されてきたか。

 理由は詳しく分かっていないが、そのおかげで日本だけが、唯一人類が住める領域として今も健在していた。








元帥「移動だ、提督君」


提督「・・・はっ?」


 ここは人類が生き残るための戦力を終結させた人類最終防衛軍――その一つである海軍の大本営の一番上にある一室。

 居るのは大きな机、それにセットでついてる椅子に座った初老の男と、その人の目の前に立つ二十代前半にも見える男。

 どちらも白色の軍服を着用し、正しい姿勢が身についている。


提督「いやいや、はっ? マジで何言ってんすか。言ったっすよね、退職させてくださいって。俺は十分な成果を出したでしょう? 残りの余生ぐらい、好きに生きさせてくださいよ」


元帥「提督君、いくら私と君の仲だといってもね、職場で露骨に言葉を崩すのはどうなのかね?」


提督「別に問題無いでしょ、二人しかいませんし」


 さっきまでの姿勢の正しかった青年はどこにいったのやら。

 あからさまに態度を崩した“提督”と呼ばれた男。


元帥「・・・まぁいい、話をもどそう提督君。ウチは日々人手不足だ。誰かに対して特別扱い出来るだけの余裕は無いんだよ。―――それが例え、日本海の覇者・英雄の君でもね」


提督「・・・」


元帥「どうか納得してくれないだろうか? この通りだ」


 明らかに階級が上だろうと思う初老の男が、青年に頭を下げる。

 その光景は全く予想だにしていなかったのだろう。

 少なからず彼も驚いている。


提督「・・・ったく、アンタがそこまでやるかよ。・・・はぁ、しょうがないから軍には居てやりますよ。で、俺はどこに行けってんですか?」


元帥「提督君・・! あぁ! そこは心配しないでくれ、比較的安全な鎮守府を選んでおいた。そこで君は、新たな“提督”として赴任してもらう」


提督「また提督かぁ。まっいいや。で、そこはどこっすか?」


元帥「それはだな―――」


 元帥から発せられた鎮守府の現位置。

 その内容は、またしても提督を驚かせる内容だった。







提督「おいおいマジかよ・・・」


 提督が今いるのは・・・廃墟と言っても差支えないんじゃないかと思えるほどのボロい建物。

 窓は全て割れ、元々白かっただろう壁は薄黒い。

 もうなんか、門の前に居るハズなのに、提督にはそこから負のオーラがにじみ出ているのが見えた。


提督(『場所、間違えた』みたいなテンプレ、言いはしないけど)


 それでも地図はここは指している。

 今まで厳しい戦場を切り向けてきた彼だ、現実逃避はしない! しないけどしたかった!


提督「ハァ、上司の赴任だってのに出迎えも無し。・・・大丈夫かここ?」


 そんな、当たり前のことも出来ていない廃墟鎮守府。

 ため息を何度もつきながら、提督はそこに入っていった。








提督「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 とりあえず提督は、建物入口近くにあった階段を上り、詳細が書かれた書類の指示通り執務室に辿り着いた。

 個人的に、これから仕事する場所がどんなもんか気になっていたのもあったし、特に抵抗も無かったし。

 で、着いたのだが・・・。


提督「何やってんだアイツら・・・」


 執務室の壁は壊れているのか開放状態。

 その中で、激しく動き合っている一人の男と一人の女。


男?「ほらほらぁ!! 思い出の男の物の上で犯される気分はどうだぁぁ!!! はぁはぁ」グチュグチュ


女?「いやぁぁぁ!! やめてぇ! “提督”との思い出を汚さなんぁぁぁぁああああ!!!♡」パンパン

























提督「うん、不愉快」

























 その一声で、とりあえず提督は謎の男をぶん殴っといた。


男?「ぶへほぉ!!」


女?「ふぇっ?」


提督「てめぇ、誰の許可得て俺の仕事場で致してんだ あぁ!!?」ドカドカ


男?「や、やめっ、ぐほぉぉ!!」


提督「そのイチモツ、使い物にならないようにしたろうかぁ!!? ・・・あ、想像したら気持ち悪かったでやっぱりやめた」バキボコ


 あまりに突然のことで、犯されて喘いでいた女はポカーンとなってしまっている。

 なぜここまでお怒りになっているのか? ーーー別に、提督が童貞だからとか、そんな理由ではないだろう。

 人としての道徳とか、襲われている子を助ける的な意味合いで、犯しているゲスを許すことが出来ないから怒っている。

 ………そう、別に童貞だからとか、そういう私情は関係ない。ーーー関係ない、ハズだ!


提督「―――――ふぅ、スッキリしたぁ」キラキラ


男?「ぎ、ぎざまぁ・・・わ、わたじを誰か・・分がっでぇ・・」


提督「あっ? てめえみたいな矮小なヤツ知るかよ。文句があるなら直接元帥に直談判でもしてろ」ヨッコイセ


男?「ぎ、ぎざ、な、何して・・・」


 提督はヒョイとボコボコの男を持ち上げると、


提督「じゃあな、強く生きろよっとぉ!!」ヒューン!!


男?「や、やめ・・ぎゃあああああぁぁぁぁぁ・・・・・・」


 物凄い勢いで、数十メートルは離れているハズの海に投げ入れた。

 ・・・・・えっ? てかマジで届くの?

 パンパンと、汚物でも捨てた時のように手を払う提督。


女?「え、えっと・・・貴方は・・?」


提督「ん? あぁ・・俺は新しくここに赴任し―――」

女?「ーーーっ! 提督!!」


提督「た・・・あっうん、そうだけど・・最後まで言わせろよ」


 振り返り、キリッとした表情で自己紹介をしようとしたところ、先に女の方に招待を呼ばれてしまい、中断。

 それが少なからずガッカリな様子だ。


女?「良かったぁ・・・やっぱり・・・戻ってきて、くれたぁ・・・」ウゥ・・・ヒック・・グスッ・・


提督「え? は? 何言って―――」


女?「もう! どこに行ってたんですか!! 榛名、心配・・したんですから・・」ポロポロ


 どうやら女の名前は“榛名”というらしい。

 てか、明らかに様子が変だ。

 誰かと勘違いしている・・?


提督「えっと・・・榛名、で合っているか? お前は何を言っているんだ。前任の提督も、前前任も―――」


榛名「えへへへ♪ これからは絶対に離しませんからね? 提督♪」


 ・・・・ダメだ、話を聞いていない。

 一体全体、この榛名という女はどうしたというのか。

 どうして今目の前に居る提督のことを“彼女の提督”と思い込んでいる?

 もう、前任の提督も、その前も、とっくに死んでいるというのに・・・。


提督(元帥の野郎・・・何が楽な職場だ。思いっきりめんどくさい現場じゃねぇか! 主に精神的に!!)


 いきなり壊れた女性との対面。

 提督のこれからの雲行きは、明らかに曇っていた。







提督「とりあえず、届いていた荷物を受け取っていてくれてありがとうね、妖精さん」


 ドウイタシマシテー


提督「じゃあ荷物も整理したし、そろそろ執務でも始めようかなぁと思ったんだけど・・・」


榛名「」ニコニコ


提督「・・・何でいるの?」


榛名「えっ!?」


提督「えっ、じゃなねぇよ! 正直、ずっと横で立たれるの目障りなんだよ!!」


榛名「そう言って逃げる気ですか!?」


提督「何でそうなる!?」


 どう言おうと、横にずっと立ってニコニコしている榛名。

 それが、目障りどころか少し不気味に思えてきたことに、思わずため息をもらしてしまう提督。

 この子あれだ、ちょっと病んでるわ。


榛名「・・フフ」ニコニコ


 うん、ちょっとじゃないね。

 大分 病んでるね。


提督「・・・・はぁ。あれだ榛名、今からお前に仕事をお願いしたい」


榛名「!! 何でしょう!? お腹が空きましたか? なら今すぐ作ってきます! それとも雑務を代われということでしょうか? 提督はいつも大変ですもんね。榛名、全力で手伝わさせていただきます!」


提督「違う。誰がそんなダメ人間みたいなこと頼むか。それに、料理を自分で作れる」


榛名「なら・・・・ハッ! そ、そういうことですか・・・。先ほどのあの・・私のお見苦しい姿を拝見なされて。・・・・分かりました、他の人にヤられるのは嫌ですが、提督なら・・・いや、提督だからこそ!」


提督「ザッけんな!! どこに出会って数時間の相手を犯そうとするヤツが居るんだよ!!? 俺が頼みたいのはここに居る艦娘全員を一か所に集合させろってことだ。ここに来て挨拶も何もしてないだろ」


 あまりにも榛名がお門違いの予想ばかり立ててしまうので、ただ頼みごとをしようとしただけで疲れてしまう提督。

 早くどうにかしなければ、間違いなく提督の貞操が危ない。

 決して、大声を出すことで榛名の誘惑に負けそうだったところを気合で跳ね返したとか そんなことはない。―――断じてない。


榛名「あ・・・そうでしたね。榛名、すっかり失念してました。皆に提督が帰ってきたことを伝えるのを忘れるなんて。・・・・榛名、急いで伝えてきます!!」


提督「時間指定とかはソッチに任せるから」


榛名「はい!」


 パタンとドアを閉め、退出する榛名。

 しかし、どうにも榛名の言葉がさらに問題をややこしくする。ーーーそう思えてならなかった。


提督「はぁ……憂鬱だ……」


 提督は、割れた窓から青い空を眺めるのだった。







「はぁ? そんな訳ないでしょ。いい加減に現実見なさいよ」


「榛名……そうなってくれれば私も嬉しいデスガ、それはきっと新しい提督デース……」


「………新任の挨拶ですね、分かりました」


 榛名は、会った人から順に提督のことを伝えていた。

 しかし、それは榛名が受け取った認識のまま伝えているため、皆はそれが“ありえないこと”だとすぐに分かって、非難したり、諭したり、はたまたスルーしたりと、誰一人 榛名の言葉を信じる者はいなかった。

 ………それもそのハズだろう。誰もがもう受け入れているのだ。ーーーすでに、提督が居ないーー他界していることを。


榛名(どうして誰も信じてくれないのでしょうか? とても、私達にとって喜ばしいことなのに)


 悶々としながら、榛名はそれでも「提督が帰ってきた」と伝え回った。








 それからさらに数時間が経ち、榛名から皆が集まったから食堂に来てくれとの通達が。

 榛名が集めたということで、言い知れぬ不安が心に残る提督だが、「集めろ」と言ったのは彼なので、大人しく従うことにした。


「………こりゃあ驚いたな」


 まだ鎮守府内を回っておらず、どこがどれぐらいの広さか全く把握していなかった。

 けれど、あまりにも予想より大きい部屋と艦娘と呼ばれる彼女達の数の多さに、提督は目を見開いたのだ。


「あれが新しい提督……」「あの提督とは全然似てないじゃない」「うぅ、今度は優しい人がいいっぽい」「流石に、それは高望みしすぎじゃないかなぁ」


 口々に聞こえてくる、初見での提督批判。

 それにしても、と。

 提督はこの現状に不満を持った。


提督「あー、いちよ確認いいか?」


 その提督の一言に、ピタッと周りは静かになる。


提督「今日 俺が着任する………つまり、新しくお前らの上司となる者が来るという報告、受けてなかったのか?」


 その言葉で艦娘達が見せたのは、“やらかした”という焦りの表情ーーではなく、“え、何それ”という驚愕の表情だった。


提督(ふぅん……これは……)

















「えぇ、受けておりましたよ」
















 その中で、他とは明らかに違う表情をした艦娘が提督に向かって声を放った。


提督「………へぇ。それはどういう?」


艦娘「上司となる人の着任です。報告が無い訳ないじゃないですか」


 その、自分だけが知っていたような口調で話す女性。


「大淀!? それはどういうこと!?」「どうして? 大淀さん」「大淀、アナタ………」


 まぁ予想通り、他からも非難の声。

 しかし、大淀と呼ばれた女性は予想していまのか、済まし顔のまま。


大淀「どうせ、アナタも私達を物としてしか見ていないクソ野郎でしょう。そんな相手を歓迎する? はっ、それどころか出迎えしてもらえると思ってるだけでもおこがましいですよ」


 無表情にも近い大淀の顔からも、伝わってくる感情が。

 “怒り”。

 同胞をさぞ酷い扱いされてきたのだろうーー彼女からの怒りが、何も言われずとも伝わってくる。

 それに同調するように、非難の声はパタッとなくなり、暗い表情になる者や、明らかな不満顔をしていた者はキッと提督を睨んでくる。

 「こうなるのか」と、提督は今日何度目かのため息を。


提督「あぁ、まず言っとくぞ。俺、そんな待遇はするつもり無いから」


大淀「……それを信じろと?」


提督「いや、ただ言っときたかっただーーー」

榛名「何を言っているんですか大淀さん!!」


提督「………oh」


大淀の食らいつき、予想外にも返したのは榛名だった。


榛名「皆さんも皆さんです! あの提督が帰ってきてくださっさのにその反応、失礼とは思わないんですか!!」


「「「「「……………」」」」」


 榛名の言葉に皆無言。

 これは、彼女の言葉に反論出来なかったからではない。

 これは、彼女に対して、哀れみと呆れによる無言だった。


榛名「何より、提督は犯されている私を助けてくれました!! 例え皆さんがこの方を提督じゃないと仰っても、そんなことをしてくださるのは提督しかいない!! だから皆さん! 無礼を謝ってください!!」


艦娘達「「「「「!!?」」」」」


 その榛名の言葉は、他のもの達の心に大きな驚きを産み出した。


「助けた……? 私達艦娘を……?」「ほ、本当なの榛名さん?」「し、時雨! 優しい人っぽい!!」「ま、まだ分からないよ夕立! こ、これから何かあるかもしれないし!」


提督(うっせぇ……!)


 イチイチ何かの言葉で騒がしくなる。

 自制心が無いのか、と軍なのにこのお粗末さで頭が痛くなる提督。

 つくづくあの元帥、厄介な所を押し付けやがったと恨めしく思ったり。


大淀「………確かに、榛名さんが提督を生きているということはよくありましたが、提督を間違えるということは無かった。話だけは……聞いてみましょうか」


 あれほど提督に敵意的だった大淀さえ、榛名の「助けられた」という言葉で少しは考えが変わったのか、聞く耳を持つようになる。


提督「………はぁ、やっと喋れる。まぁいいや。俺はまず、ここに来たらお前らに聞こうと思ってたことがあるんだ」


大淀「聞こうと思ってたこと?」


 他のものも、?を頭に浮かべる。

















 “艦娘”。

 名目上、深海棲艦を殺すために創られた、現在の人類の中での下位兵器。

 昔の戦艦の記憶を引き継いで創られたため、創るのは比較的簡単ではあったが、その代償に近代兵器を積めない劣化兵器。

 最早、軍の中では彼女達の需要は限りなく低く、逆に生かされたいのならと軍の一部の者から欲の掃き溜めにされているとか。

















提督「君達は、何のために生きてるんだ?」


 本当に疑問に思っているように………というか、本当に疑問だったのだろう。

 馬鹿にするでも、呆れでもなく、純粋な疑問。


大淀「何の……ために?」


 だが、その疑問の真意が伝わっていないのか、大淀含め艦娘達はさらに?を募らせていく。

 それを見て、提督はより一層、彼女達に失望したように見えた。


提督(こんな世界、こんな惨状を目の辺りにして、この程度の疑問にすら即答出来ないのか)


提督「あぁいい、忘れてくれ。お前らはいつも通りに行動してくれ。俺は淡々と書類をこなすだけだから」


 手をヒラヒラとさせ、彼女達に興味が無いことを示す提督。

 それにさらに困惑な表情になる艦娘達。


提督「………あっ。でもそうだ、大淀って言ったっけ?」


大淀「え? あ、はい……」


提督「先ほどの言いよう、今までどんな目に合ってきたかは知らんが、流石にあれはない。この鎮守府のケジメを付けるためにも罰を与える。後で執務室に来い」


大淀「!!」サー


 その言葉を聞いて、大淀は一気に血の気が引いていく。


提督「んじゃ、そういうことで」


 そうして、後は別にといった形で、提督は食堂を後にする。


榛名「あっ提督! 待ってくださーい!!」


 榛名は、さも当然のように提督の背を追い掛けるが。

















??「大淀さん、大丈夫?」


 提督が去った後、明らかに顔色が悪い大淀に話し掛ける駆逐艦が一人。

 話し掛けなくとも、近寄ってくる娘は何人もいた。


大淀「………えぇ、大丈夫よ。口答えする以上、覚悟はしていたから」


??「大淀さん……」


??「無理しなくてもいいのよ大淀。何だったら、慣れてる私が代わっても」


大淀「いえ、流石にこれ以上の傷を負わせる訳にはいきません。私が、きちんと罰を受けてきます。……心配させて、ごめんね」ナデナデ


 大淀はそう気丈に振る舞い、駆逐艦の何人かの子の頭を撫でる。

 そうして、執務室に向かう大淀を、残された艦娘達は心配そうな顔で見守るのだった。








『何のために生きてるんだ?』


 まるでブーメランだな、と提督は自虐的な笑みを浮かべる。


 この質問の意図。

 これを理解出来たものは少ないと思う。

 でも、このご時世で、この現場では、必要な問いとも言えた。


 “生きる目的”ーーーそれが無ければ、この戦場で生き延びるのは難しい。


 それは、彼が身をもって体験した事実の内の一つ。

 ただただ、能動的に生きている者では、大事な局面で力を出し損ねてしまうのだ。

 絶対に生き残るという“意志”ーーーそれが欠落しているものでは、自らを窮地に陥れるだけでなく、その周りの味方でさえ被害に巻き込んでしまう。

 だから提督は、そういうヤツを嫌う。

 そんな“意志”をすでに無くした彼だが、自分以外の他人にそんなヤツがいたら、真っ先に嫌うのだ。


榛名「提督~~!! 待ってくださ~い!!」タッタッタッ


 そんな考えごとをしている提督の背中。

 榛名が追いかけてきた。


提督「お前、まだ付いてくる気かよ……」


榛名「当然です! もう絶対に離れないと言ったではないですか!!」フンスッ


提督「………何かの冗談、とかではなかったのね」


 榛名が胸を張ってそんなことを言ってくるせいで、それが本気だというのが嫌でも伝わってくる。

 病んでる娘に四六時中まとわりつかれる。

 どんなB級ホラーだよ……いや、想像してみたら そこらのホラーより断然怖いわ。


提督「なぁ榛名、お前は何のために生きるんだ?」


榛名「? そんなの、提督と一緒にいるために決まってるじゃないですか」キョトン


提督「即答かよ」


榛名「何で、そんな当然なことを?」


提督「いや、ちょっとな」(榛名でもきちんと答えられる質問。それなのに………この鎮守府の中では、榛名の方が案外マシかもなぁ)


 心の中で、そんな鎮守府の現状にため息をつきながらも、提督は執務室に帰る足を緩めない。


提督(まっ、今更 俺には関係無い質問だったかな)








大淀「失礼します」コンコン


 ガチャリと執務室のドアを開けて、あくまで冷静な装いながら入ってくる大淀。

 たが、内にある恐怖を表に出すことを完全に抑えられてはいない。


提督「よく来たな大淀」


 提督は、執務机にある椅子に腰掛け、書類を片付けながら。

 榛名はその一歩後ろでニコニコ監視中。


大淀「………それで、罰則とはどのようなことをすればいいのでしょうか?」


提督「ん? あぁ………そうだな」


 提督は一度ペンを止め、顎に手を当てながら考える。………てか、考えてなかったのかよ!


大淀(そんな考えるフリまで………分かっているんですよ。どうせ、この人も他と同じ。私達を性処理の道具にしか見ていないんだわ)


 そんな仕草でさえ大淀にはイラつく要素になるらしい。ーーー大淀は、恐怖を引きずりつつも、提督のことを睨み付けている。


 まぁ、そんなことは気にしない提督。

 罰として何をさせるか、決まったようだ。


提督「そんじゃまぁ、執務手伝って」


大淀「分かりーーーーーはい?」


提督「いや、榛名に最初は頼んだんだけどな? 榛名「交わってくださるのでしたら、喜んで手伝わせていただきます!」なんて言い出すもんだから、手伝わせる訳にいかなくてな」


大淀「ま、交わっ………」ボンッ


提督(ん? この反応、もしかしてーーー)


 大淀は一気に顔を赤くしている。

 この程度の言葉で赤くなるーーつまり大淀には、そんな経験が無いのかもしれない。


提督「まぁいいや。早く手伝って」


大淀「……………はい」シュー


 未だに頭から煙を立たせながら、大淀は提督の近くにある机と椅子に歩いていった。








長門「失礼する」ガチャ


 とある女性がドアを開けて入ってくる。


提督「お前は………」


長門「長門だ」


提督「そうか。……それで? 長門は何をしに執務室に?」


長門「いやなに、少し大淀の様子が気になってな」


提督「ふ~ん。大淀なら、そこで榛名と一緒だぞ」


 そう言いながら、提督は長門の右手側を指差す。

 それに吊られ、長門がそちらに目を向けると、


長門「………大淀の顔がゆで卵みたいに真っ赤なんだが。それに、大淀の近くで榛名が随分と楽しそうに……」


提督「……………あぁ、それなぁ」


 簡単に説明するとこうだ。

 大淀は、罰則として執務の手伝いを言い渡された訳だが、最初の方こそ顔を真っ赤にしながらやっていたが、途中で熱が冷めたのか、提督のことを睨み付けることが多くなった。

 それを見た榛名が、「全く、大淀さんは分かってませんねぇ。提督! お任せください!! 榛名が、大淀さんに提督のーー男の素晴らしさを伝えてきます! あっ、勿論 今は提督専用ですから、ね♪」と提督の反論も聞かずに行動。

 それからというもの、榛名の赤裸々な話に大淀は顔を赤くするしかなかったという訳だ。


榛名「それでですね、提督以外の男に抱かれるなんて嫌でしょうがなかったハズなのに、それとは関係無く私の膣からは愛液が垂れてーーー」

大淀「もう許してぇぇ~~………」ボッシュゥー








長門「それは……気の毒に。まぁ、このまま大淀には犠牲になってもらおう」


提督「見事に切り捨てやがったな。……で、用件はそれだけか?」


長門「あぁそうだな。それだけだ」


提督「ふ~ん。……じゃあ俺からも。お前、何のために生きてるか答えられるか?」


長門「……先ほど聞いてきた質問か。ふん、そんなの考えるまでもない。私達は艦娘ーーつまり兵器だ。国のために戦い、そして朽ちる。それが本望」


提督「俺が聞いているのは、兵器としてのお前らに刷り込まれた、そんなことじゃない。俺が聞いているのは“意思”だ。お前達は、何のために、何を成したいがためにここにいる?」


長門「………?」


 どうして そこまで酷い扱いを受けているにも関わらず、お前達は生きているのか?

 何を支えに生き長らえているのか?

 提督はそれを問うていた。

 けど、長門にはそれが伝わっていないーー元より、長門は兵器としての自分を受け入れ、それを疑ってこなかった。

 ゆえに、今更そんなことを言われたところで、どう答えていいかも分からない。


 のくせに、自分以外の誰かが不当な扱いを受けるのは我慢ならないーーネジ曲がった信念。


提督「………そうか、答えられないならいい。気にするな」


長門「そ、そうか……」


提督「俺からもこれだけだ。さ、さっさと部屋にーーー」
















ジリリリリリリリリ!!!!







 








 だが、突如として鎮守府の非常ベルが音を上げた。


長門「なっ!?」


提督「………」


 鎮守府の非常ベルが鳴るのは、敵がこちらの生存権にまで侵入してきた時。

 敵ーーすなわち、深海棲艦や化け物共が、近くまで来ているということだ。


大淀「深海棲艦がコチラに接近しているとの報告が!! 長門さん!」


長門「くっ、提督 指示を!」


 そう言いつつ、大淀に長門、榛名の視線が提督に集中。

 その当人である提督はというとーーー


提督「はっ? 何言ってんの?」


長門「なっ!?」


提督「言ったろ? 『今まで通りにやれ』って。いつも通りにソッチで対処しろよ。………それに、俺の指示なんて聞かないヤツの方が多いんじゃない」クイッ


 そう言うと提督は、窓から外の様子をうかがい出す。


長門「………っ」


大淀「皆さん……」


 そこにはすでに、陣形の組まれた少数の艦娘達が出撃をしていた。


提督「反応からして、敵の数は二体。なら、アレで問題無く対処できるんじゃないか?」


長門「しかし、なぜそんな陣形も何も無い状態でコチラに進軍を……?」


提督「ふっ………」(そんなの、決まってるじゃないか)


 生存競争に負けたのだろう。

 今コチラに向かってきている深海棲艦はおそらく、他の この海に存在する現存生物から逃げているのだと推測できる。

 数が二体しかいないということは、それだけの同族がソイツに喰われた、ということだろう。


提督(それにコイツらがいつ気付くか、見物だな)







加賀「敵の数は二、ヲ級とロ級。ヲ級の方は小破、ロ級の方は中破してるわね」


山城「………何でそんな状態に?」


天龍「はっ、おおかたどっかで事故っとんだろ。とっとと片付けて鎮守府に戻ろうぜ!」


霞「そうね、アレに苦戦するとか流石にありえないだろうし」


山城(本当に大丈夫かしら?)


 艦隊は敵に向かって真っ直ぐに進んでいく。

 普通、あそこまであからさまに疲弊している部隊が接近しているとなると、何らかの罠が仕掛けられているという予想ぐらいたちそうなものだが、艦娘達は全く気にする様子が無い。

 そこからも、危機管理能力の無さがうかがえる。

 唯一、不審だと感じている山城も、周りの空気に合わせておけばいいか、と結局それを流し。

 加賀に至っては、何かある前に全員沈めてしまえば問題無いと短絡的な考え。


 戦場では、そんな稚拙な考えが敗北に繋がるというのに。


加賀「全艦、戦闘準備」


艦隊「「了解!」」



 ・

 ・

 ・



 結果から言うと、艦隊は無事に勝利した。

 深海棲艦達は、進行中も何か別のことに気を取られている様子で艦娘達の接近に気付かず、そのまま奇襲を許し。

 元々傷を負っていた彼女達では全く勝率はあらず、瞬く間に艦娘側へ軍杯があがったのだった。


天龍「へっ、こんなの朝飯前だぜ。俺とコイツらじゃ、まるで話になんねぇな」


霞「正直、何でコッチに向かってきたか怪しまれるぐらいね。大人しく引きこもっといた方が生きられたんじゃない?」


加賀「沈んだ相手に何を言っても無駄でしょう。さ、鎮守府に帰投しますよ」


天龍&霞「「ほ~い(はーい)」」


山城「………」



 ・

 ・

 ・


 一方、鎮守府では。


『ビー! ビー! ビー! センサーに別敵反応あり! これはーーー』


 けたましく危険を知らせるサイレンが鳴り響いている。


大淀「!!」


長門「一体今度は何だ!?」


提督「………来たな」ニヤッ


 そう言うと提督は、執務机から立ち上がり、先ほど片付けたばかりの棚の方に向かい出した。



 ・

 ・

 ・


加賀「何やら鎮守府が騒がしいわね」


霞「何かあったのかしら?」


山城「………っ!? 皆! 早くここから離脱して!!」


「「「え?」」」


 ザパァァァァン!!! と勢いよく海面が盛り上がり、姿を現した一つの生物。

 体表は水色で、トカゲのような口を持ったソイツは、さながら海蛇。

 体はありえないと思えるほど長く、海面から出てるのはほんの一部だと分かっているが、それでも、太さも長さも艦娘を軽く凌駕してる。


霞「う、嘘………どうしてコイツがここに?」


天龍「………っ! そんなこと言ってる場合かよ!? とっとと逃げるぞ!!」


加賀「ーーー! それではダメよ。それじゃあ鎮守府が」


天龍「ならどうしようってーー……!!?」


 これからどうすればいいのか、そんな言い合いを始める艦娘達を他所に、海蛇は大きく口を持った開け臨戦態勢。

 軽く息を吸い込んだかと思うと、一気に水鉄砲(そう描写が、それほど生易しい威力ではない)をぶっぱなしてきた。





















「ったく、世話のやける……」


 それと同時、艦娘達にそれが当たる前に、一気に水鉄砲は拡散する。ーーーいや、拡散というよりは上手く掻き消したと言うのが正しい表現か。


天龍「て、テメェは……!」


加賀「!! ………提督……」


 彼女達の目の前にいるのは、提督。

 左手に はめたグローブから出たと思われるシールド、それを自らの前で手を握ることで展開させ、攻撃を凌いだのだ。


提督「コイツの接近も気付かないとは……何が兵器だってんだ。………それに、元帥の野郎……言ってたことと違うじゃねぇか。どこも安全じゃねぇよ。後で絶対クレーム入れてやる」ブツブツ


 提督の最初に出た艦娘批判の言葉。

 それを受けて、加賀、天龍、霞は、苦虫を噛み潰したかのように悔しそうだった。

 己の生存意義、与えられた役割すら果たせない、そう言われたようなものだからな。ーーーそんな顔になるのも無理は無い。

 ただ、山城だけはそれに、どこか驚愕といった色を混ぜていた。


提督「お前ら退いてろ。これは俺の領分だ、後は俺が受け持ってやる」


天龍「で、でも! 提督は人間じゃねぇか!! 一人で何が……」


提督「あぁその通り、俺は人間さ。ーーーまっ、人体改造されたな?」ニッ


 提督は、天龍の問いに顔すら向けずに答えるとーー右手で持ち、肩に乗せていたアサルトライフル型の銃を海蛇に向けた。


提督「………」


 提督と海蛇は鋭い視線を交わし合う。

 ここは戦場、先ほどまで呑気に大口を空けていた海蛇でさえ それを認識したのか、ジッと機会をうかがっているように見える。


 ………つまりは、艦娘達を敵とすら認識していなかった、ということでもあるのだが。


提督「……フッ」


 だが、そこで笑みをこぼす提督。

 まるで、いざ品定めを終えてみれば、仰々しく見えていたが大したことなかった、とでも言うかのように。


提督「ほらよっ」ポーイ


 アサルトライフルを下ろし、逆の手から何かを放り投げる。

 いや、これはーーー


 !?


 ズドォーーーン!!!


 海蛇の不意を突くかのように投げられた弾倉のような何か。

 けれど、それを確認する暇も無く爆破。

 正確には爆雷。ーーーそこにあったもの全てを削り取るかのような衝撃が、海蛇の頭があったらへんでドーム状に起こった。


後書き

まだまだ始まったばかりで、登場人物も少ないです。亀進行になるでしょうが、これからもそこそこ続けていこうと思います。学校と小説の合間の息抜きに、と書いているので、長い目で見守ってくれるとありがたいです。


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1: SS好きの名無しさん 2018-07-15 23:38:22 ID: HmzhKUJ4

続き待ってます!


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