2018-08-05 09:56:58 更新

概要

あの地獄のような島から脱出した のび太、聖奈、ドラえもんだったが、1週間の時を経て本州に戻ってみると、そこは島よりも過激な地獄へと姿を変えていた。うごめくゾンビ、進化した超生物、待ち受けている謎の組織、そんな中、のび太達はどう生き延びていくのか? こうご期待。


前書き

のび太のBIOHAZARD THE DOWNという作品から、その後の世界を勝手に想像して作ったSSです。SSという割りに、ネタ要素はあまりない……かな?

まず、このSSを作るにあたって、原作のドラえもんと違う点があるため、先にご了承を。
・すでにのび太達は中学二年=14歳
・えっ、のび太イケメンすぎない?
・THE DOWN後の世界線なため、島で手にいれた武器は、全てドラえもんの四次元ポケットに収納されている
                   等々

どうして このSSを作ろうかと思ったのか、それは、個人的にこの続きがあればな、と思ったのと、聖奈さんとのイチャイチャが少なすぎる! と感じたから、ですね。

1万文字ごとに更新していく予定です。
亀更新、誤字、脱字など、至らぬ点はございますが、それでも楽しんでいただけたら幸いです。

それでは、お楽しみください。


第1話 命がけのタイムトラベル


 僕達は、あの島で沢山の経験をした。………いや、僕達は……というと誤解があるかな? なんていったって、聖奈さんはあの島での記憶しかない訳だし。

 どんな経験をしたかって? それは本当に色々。いきなり大量の化け物と戦わされたり、大人の事情というものに巻き込まれたりとかで……人が生き延びるためには何が必要なのか、というのを嫌でも思い知らされたよ。


 それでも僕達は生きている。なんとか、生きている。聖奈さんはご両親が亡くなっているし、僕とドラえもんは嫌な未来を見せられた。

 それでも、僕達は生きているんだ!


 だから、この命の限り、精一杯 生きていこう。聖奈さんは、この先一人だと辛いだろうから、ドラえもんと一緒になんとかお母さん達を説得して、三人で。そうして、笑いながら未来に進むんだ。
















 そう、思っていた…………。



















「来て来て! 島が見えて来たわ!!」


 どうやら、本州までもうすぐの所まで船が来たようだ。


 今、僕ーードラえもんーーそして、島で出会った緑川聖奈さんという同い年ぐらいの女の子は、船で日本にまで帰っている最中だ。勿論、運転はドラえもんがしている。……操縦の仕方とか、分からないしね。

 聖奈さんは、今は船の上。島が見えたことでハシャいでいる。僕は、彼女のオドオドして、後ろに付いてくる、そんな面を多く見てきたものだから、元気がいい彼女の姿に、実はちょっと驚いていたりする。

 で、そんな中、僕はというと………。


「のび太君、聖奈さんが呼んでるよ? ………どうしたの? 難しい顔をしてるけど」


 そう、今僕は考え事をしている真っ最中だった。


 未だに、あの島でのことで引っ掛かっていることがある。………それは、僕があの島に行った理由。

 僕はあの日、ジャイアンという友達(?)と(強制的に)野球をするという話だった。で、いざ その場所に行こうと歩き始めたところ、その後から記憶が無くなっている。つまり、その時から島に行くまでの時間、その記憶が完全に抜け落ちてしまっているということだ。

 あの島の関係者が連れてきた? その可能性も考えた。けど、あの島の人達は誰もが、僕のことをイレギュラーだと言っていた。だから、この線は薄いと思う。

 これらから、僕をあの島に連れていったのは他の第三者ということになる。でも、一体なぜ、誰が何のために………。


 はぁ、考えれば考えるほど、謎が深まるばかりだ。


「のび太君?」


 うおっ!?

 急に聖奈さんが、寝転びながら考え事をしている僕の顔を覗きこんできた。


「ど、どうしたの聖奈さん?」


「もうっ、あれだけ呼んだのに……。島が見えたのよ、のび太君」


 少し頬を膨らませる聖奈さん、可愛い。

 おっと、今はそんなことより……。


「そっか、もう着いたんだね。何だかんだで1週間は船の上だったからなぁ。本当、どれだけあの島は日本から離れていたのやら」


「そうだねぇ。でも、その長旅もこれで終わりだよ」


 ドラえもんも、船を操縦しながらだけど、会話に入ってくる。


「日本、だったわよね? どんな所なのかしら? 楽しみ♪」


 こんな上機嫌な聖奈さんは初めてだ。………ま、まぁ、あんな島で上機嫌になられても困るんだけど。


「あっ」


 そんなおり、ドラえもんが不吉そうな一声を。


「どうしたの? ドラえもん」


「いや、その………」


「何か問題でも起きた?」


 すぐに僕は思考を切り替える。

 本当、あの島では学ぶことが多かった。何か一つのことに、こんなに早く、こんなにも集中できるようになるなんて。前では考えられなかったなぁ。

 ………けど、今はそれは置いとこう。


「いや、切り替えてくれたところ申し訳ないんだけど……そこまで大した問題でもなくてね……」


 えぇ……なんか僕がバカみたいじゃん、今の。


「………なんだよ。一体何が起きたの?」


「どこに船を停めればいいのかな? ってね」


「……? 別に、人目の無さそうな入り江にでも停めればいいんじゃない?」


「………やっぱり、そうするしかないかなぁ?」


「何が問題なのさ」


「いや、ほら、法律とか……」


「違犯なの? でも、それなら後々秘密道具で隠せばいいじゃん。今までだって散々犯罪めいたことしてきたし、今更じゃない?」


「う~ん、そうするしかないかなぁ」


 本当、何を今更そんなに躊躇することがあろうか。


 誤解を生まないためにも言っておくけど、別に、違犯しようしてした訳じゃないからね? 子供の時の無邪気な好奇心が、たまたま、成長して、違犯じゃね? って気付いただけだから。もう今はしてないから。………本当だよ?


「……………あれ?」


「今度は何?」


「いや……何だか町の様子が変なんだよ」


「変?」


 ドラえもんの言葉が気になり、僕はすぐに立ち上がり船の上へと駆け上がった。


「………何だアレ?」


 そして、僕もすぐに、ドラえもんが感じた違和感を目の当たりにすることとなったんだ。


 もうすでに、島まではもう少しの距離となっていた訳で……町の様子も、大まかだけど分かるぐらい。けれど、そうして見えた町の雰囲気は、到底信じられるものじゃなかった。

 町からはあっちこっちと黒煙が舞い上がり、この距離でも聞こえてくる悲鳴罵声。本来の日本の穏やかな感じは、そこでは一切見られない。これは………どうなっているんだ?


「…………とりあえず、ここからじゃ何が起こっているか詳しくは判断できない。できるだけ早く着くようにドラえもんに頼もう」


 僕は、自分の胸に不安を抱きながらも、船内に足を戻した。





























「これは………!?」


「酷い……!」


 船を誰もいなそうな入り江に着かせ、町の方に走ってきた僕、ドラえもん、聖奈さん。そこで僕達が見たのは、あの島同様………いや、それ以上に酷いものだった。

 まだ、まともに生きている人もチラホラいる。それでも、明らかにおかしくなっている人の方が多い。血みどろで、肉もえぐれていて、それでも気にせず、「ア”~ア”~」と動く姿は、正しくゾンビそのもの。しかも、島では施設や建物こそそこまで壊れていなかったものの、ここではそうもいかないみたいだ。―――あっちこっちで建物や車が爆発、黒煙が上がり出す。

 言い表すならそう、地獄絵図。


「日本て……こんな所なの!?」


「いや、本当はもっと静かで、落ち着いた場所だよ」


「でも………」


「僕にだって、どうしてこうなっているのか分からないんだ」


 聖奈さんが疑うのも無理はない。彼女は、日本と言う場所を一切知らない。

 本当は、ここからもっと穏やかな生活が始まるハズだったんだ。それなのに、ここはあの島以上の地獄。

 ………いや、落ち着け。こういう時こそクレバーだ。あの島で学んだじゃないか。危険な状況でこそ落ち着いて、よく考えないと………。


「―――! そうか、そういうことだったんだ……」


 そうやって頭を冷やしたところで、僕はある疑問が解決した。


「のび太君、どうする?」


 ドラえもんが、僕に判断を任せてくる。それなら―――


「僕に……考えがあるんだけど」









 僕達はとりあえず、ゾンビ達には見つからないよう近くの建物の影に隠れ、僕は先ほどまで感じていた疑問を二人に話した。


「確かに……それは感じていたよ。だって、あの島の関係者が君を連れて行ったといたら、自爆としか言いようがないからね」


「でも、それなら一体、誰がのび太君をあの島に?」


「ここからは推測なんだけどね? あの島に僕を連れて行った犯人は―――」


 ゴクリと唾を飲む、ドラえもんと聖奈さん。





















「僕自身なんじゃないか、と思ってね」




















「「え?」」


 二人共素っ頓狂な声を上げ、目を大きく見開いた。


「い、いや、待ってよのび太君! それってどういうこと!?」


「そ、そうよ! どうして自分からそんなことを……」


「まぁ聞いてよ。今からちゃんと説明するから」


 すぐに問い詰めようとしてきた二人をなんとか両手で抑え、僕がどうしてそう思い至ったか、その経緯の説明を。


「まず、さっき言ったように、あの島の関係者が僕を連れてくるとは考えにくい。だから、他の第三者が僕を連れてきたと考えるのが妥当……なんだけど」


「けど?」


「でも、それもおかしな点があるんだよ。その第三者、その人もあの島のことを知っている、という大前提があるんだよ。でも、あんな無人島にも近い島を知っていて……しかも、島の人達の邪魔をしたくて、僕のことも知っている。そんな人物、都合よくいるとは思えないよ」


「それも………そうだね」


「でも、だからってどうして“自分”という答えが?」


「…………この状況を見て、確信したんだよ。この状況で、あの時の僕が生き残れるとは全然思えないんだ。そう考えた、島ですでに生き残った僕が、過去に行って、僕をあの島に連れてったんじゃないかって」


「? ?? ???」


 聖奈さんは「何を言っているの?」と言わんばかりに首を傾けて?マークを連発している。………あぁ、その様子も良い。―――って、今はそんな場合じゃなくて。

 ドラえもんは、僕の言いたいことに気付いたみたいだ。


「………つまりのび太君は、未来の君が、君を島に連れて行った張本人だと言いたいんだね」


「そう、タイムマシン。そして僕も、その流れに沿ろうと思う」


「…………」


「もうこんなに被害が広がっているということは、これが始まってからかなりの時間が経っているということ。だから、ジャイアンや静香ちゃんも無事だとは言い難い。それに、もしかしたら僕達の家も。けど、僕の推測通りなら、少なくともタイムマシンは使えるハズだ。約一週間前ぐらいまでなら戻れると思う」


「……………」


「どうして、黙ってるの? ドラえもん」


 ドラえもんは、途中から何も言わず、俯いていた。


「………いやね、何だかのび太君らしくないと思ってね」


「何それ?」


「成長したね……素直に喜んでいいのか分からないけど」


「………」


 素直に喜んでいいかは分からない。それは、この成長の起因が、あの島によるものだから。人の生死を沢山見てきたものによる、悲しい結果によるものだから。


「……とりあえず、僕の家に行くってことでいいかな?」


「うん、僕は大丈夫だよ」


「聖奈さんは?」


「……よく分からないけど、のび太君がそうするのが良いと言うのなら、従うわ。そもそも私は、のび太君がいなければ、ここにいなかったのだから」


 僕はそれを聞いてコクリと頷き、


「よし、行こう!」








 あれから、再び僕とドラえもんは武器を取り、ゾンビの群衆の中を三人で突き進んでいった。聖奈さんは武器の扱いになれていない。ゆえに、武器を渡すのは逆に危険という判断だ。それから、乗り捨てられていた車を見つけて、ドラえもんが操縦することで目的地まで進んだりと、なんだかんだ2時間ぐらいで、僕達の住んでいた町へと着くことができた。

 でも、この町もやはり壊滅状態。しかも、港町よりも先に問題が起きていたのか、すでに町にはそこまでの悲鳴は無く、ゾンビ達も、相手がいないからと、ユッタリ……ユッタリ……歩くのがほとんどだ。




「………やっぱり、ここも酷いね」


「そうだね。……のび太君」


「分かってる」


 走行中の車、その後部座席に僕と聖奈さんは座っている。

 僕はドラえもんが名前を呼ぶ前にすでに、窓を開けて左手を出していた。そこに握られているのは、一つの黒い銃。―――ハンドガンM92。


 ア”~~ア”~~


 いきなり曲がり角から姿を現したのは、超速度で走る、身なりが汚い金髪のゾンビ。およそ、人ではありえない速度で走るそれは、今走行中のこの車よりも速い。


 ア”~~~~!!


 そして、あっという間に僕の真横まで。


「キャァッ!」


 聖奈さんの可愛い悲鳴が車内に響く。

















 ドパンッ!
















 ヘッドショット! 問題なく処理。


「流石だね、のび太君」


「あれくらいは余裕だよ」


「す、すごい………」


 聖奈さんは今ので驚いている。全く、もっとすごいことを島の中でやっていたじゃないか。やれやれ、聖奈さんは驚きすぎたよ。……けど、聖奈さんから尊敬の念を向けられるのも良いから、本人にはこんなこと言わないけどね。


「のび太君、そろそろ着くよ」


 おっと、そんなことを考えていたら、もう僕達の家に着くみたいだ。


「…………そっか。じゃあ着いたら、二人は車の中で待機してて」


「えっ? のび太君、どうするつもりだい?」


「家の中が無人とは限らない。もし、まだお母さんとお父さんがいたら、親子水入らずで話したいこともあるんだよ」


「あっ………」


 ドラえもんは今ので察してくれたみたい。それ以上は言うまいと、口を閉ざしてくれる。


「のび太君………?」


 ただ、聖奈さんにはやっぱり伝わらなかったみたいだ。こればっかりはしょうがないことだと思う。


「聖奈さん、ドラえもんと一緒に待ってて。すぐに終わらせて、タイムマシンが使えるかどうかチェックし終わったら、ちゃんと戻ってくるから」


「う、うん……」


 聖奈さん、いちよ理解の声を上げてくれるものの、僕に何か違和感を感じたのかな? 疑問を残した………というより、不安そうな顔で僕を見てくる。


 事情は分からなくても、雰囲気で伝わるものがあるのかな?


「……………着いたよ、のび太君」


 ドラえもんが、僕の家の玄関前に車を停めてくれる。


「うん。……ありがと、ドラえもん」


 僕だけ車から下り、扉前へと。そして、鍵が掛かってないことを確認して。


「……ただいま」


 扉を開けた。
















 玄関に入ると、そこには見慣れた後ろ姿が。


「………お母さん、帰ったよ」


「………」


 お母さん、怒ってるのかな? 何も言わず、ずっと背中を向けてくる。なら、今まで何があったか話して、許してもらわないとね。


「聞いてよお母さん。実は僕ね、すごい体験をしてきたんだよ。信じてくれないかもだけど……僕ね、眼が覚めたら無人島にいてさ。で、その島はゾンビだらけだったの。でも、そこで僕はめげないで頑張ったんだ」


「…………あ……」


 おっ、反応してくれた。イケるかな?


「それだけじゃないよ。女の子も一人助けたんだ。緑川聖奈さんっていうんだけど、この子が物凄く可愛くてね。あっ、そうだ。その子、両親がもう亡くなってるんだ。だから、どうか一緒に住まわせてくれないかな?」


「……あー………」


 やった! 肯定の返事をしてくれた! これで、聖奈さんも一緒に生活することができる、よね?


「でねでね、そのゾンビの島で彼女を助けてね、さらに未然にテロを防いだんだよ! あの、小学生の時なんか泣き散らしてばっかだった僕がだよ? すごいと思わない!? ………だからさ、数日間家を留守にしたのは、それで許してくれないかな?」


「ア”~………」


 “しょうがない”って意味かな? お母さん、泣いているのかな? ………さっきから、震えた声を出してるし。そんなに、僕のこと心配してくれたの?


 って、そんな訳、ないか。そんな僕にとって都合のいい展開、ある訳ない。

 本当は分かってる。お母さんが今どんな状況か。これから僕は、どうしなきゃいけないのか。でも、分かってるからこそ……。


「……………ねぇお母さん。昔みたいな“のびちゃん”みたいな呼び方でもいんだ。だからさ………」





  












「最後に一回だけ、僕の名前、呼んでくれないかな?」


「ァア”~~!!」


 ついにお母さんだった者が、コチラを振り向いて襲い掛かってきた。口には沢山の血が付いていて、目は白眼をむいている。誰が聞いても、意味は無いと答えそうな変なうめき声を上げて。


 でも、僕にはーーー。
















(おかえりなさい、のびちゃん)


 僕のことを出迎えてくれた、そんな風に聞こえたんだ。


「うん。……ありがと、お母さん」















 パァンッ














「銃声!?」


 のび太君が建物に入っていった直後、いきなり大きな音がしたことに驚いてしまった。


「やっぱり、建物内にもゾンビが……。ドラえもんさん、助けに行った方がーーー」

「大丈夫だよ聖奈さん。何ていったって、のび太君だよ? 家に入っていったのは」


「あ………」


 そ、そうだ、何を焦る必要があったのか。

 建物に入っていったのは、この中で一番強くて、頼りになって、そして………かっこいぃ……って、何を考えてるの私!? そ、そうじゃなくて……とにかく! 何が起きても問題なく対処できる人。だから、心配する必要なんてない。


「そう……だったわ。ごめんなさい、取り乱しちゃって」ニコ


「…………ううん、いいんだよ」


「………?」


 今の間は気になったけど………とりあえず、問題はない……よね?




















「お父さん……」


 お母さんを一発で昇天させた後、キッチンに足を踏み入れてみた。お父さんの姿が見えなかったから、コッチにいるかなって思ったら案の定。首を食いちぎられたせいか……ゾンビ化もできず、少し腐敗した男の死体となったお父さんの姿が、そこにはあった。


「ただいま……お父さん」


 僕はそれだけ言ってその場を去る。

 本当は、もっと両親の死について感傷に浸りたい。けど、今はそんな時間は無いんだ。外にいる聖奈さんやドラえもんがいつ危険にさらされるか分からない。

 今は、死んだ人間よりも、生きている人間の方を優先すべきだ。僕はタイムマシンの調子を確かめるため、2回へと上がった。








 スー


 ふすまの扉を開けて中へと入ると、そこには意外と、綺麗な自分の部屋が広がっていた。

 このゾンビ騒動、いくらか荒れてるかなと思っていたけど、そんなことは全然無い。………お母さんが、守ってくれていたのかな?


「とりあえず、さっさとタイムマシンの調子を確かめないと」


 僕はすぐに勉強机の方に駆け、引き出しを開ける。


 カサカサ


「良かった。どうやら、タイムマシンは無事みたい。これも、お母さんのおかげかな?」


 なんて呟きながら、僕はその引き出しを閉じた。


 カサカサ


「よしっ、それじゃあ早く聖奈さん達と合流しないと」


 そうやって僕は、部屋を出ようとする。


 キュキュッ!


「うわっ!?」


 何かが急に僕の方に跳んできた!?


 僕は慌てて後ろを振り返り、再び勉強机の方に視線を向ける。


 キュッ!


「………そういえば、お前もウチの住人だったな。お前も、この部屋を守ってくれていたのか?」


 キュ~♪


 まるで返事でもするかのように鳴き声を上げるネズミ型感染生物。でも、いくら人懐っこい姿勢を見せても、その赤色の瞳が、害があると訴え掛けている。


「そっか。ありがと」


 そう言って僕は、再び銃を取り出し、今度はネズミに向けた。


 ドパンッ!



















「のび太君、お疲れ」


「うん、ありがとうドラえもん」


 あの後すぐ、僕は家から出て、聖奈さん達と合流していた。


「大丈夫だった?」


「問題なく全部終わったよ」


「………そっか」


 ドラえもんは、若干顔を暗くしながらも、笑顔のまま対応してくれた。僕の心境を察しての優しさだろう。ーーーそこまで気を使わなくてもいいのに。


「のび太君、怪我は無い?」


 今度は聖奈さんが僕の方に寄ってくる。


「勿論! あの島での経験があるんだ。よっぽどのことがないかぎり、僕が怪我することなんて無いよ」


「むぅ~。それでも、やっぱり心配にはなるの!」


 本日2度目の頬膨らませ。いや~、やっぱり癒されるなぁ。って、そうじゃなくて!


「まぁまぁ。そうだドラえもん、タイムマシンのチェックもやってきたよ。十分使えると思う。早速過去へと戻ろっ」


「本当かい!? よし、それならそうするのがいいね!」


 うん、うまく話をそらせたみたいだ。

 こうして話がまとまったところで、僕達三人は家の中へと。入ってすぐに死体があったことで、聖奈さんの「キャァッ」という可愛らしい悲鳴を上げたりしたけど、特に問題はなく。………どっちかっていうと、ドラえもんが机の上に放置してあったネズミの死体を見て大混乱を起こした時の方が問題だったぐらいだ。


「二人共、きちんとタイムマシンに乗ったね?」


 そんな小さなアクシデントを乗り越え、僕達三人は今、タイムマシンに乗っている。


「うん」


「こ、これ……大丈夫なの? バランスは不安定だし、もし落ちたりしたら……」


「大丈夫だよ聖奈さん。怖いなら、僕の体にしっかりと抱きついておいて」


「わ、分かったわ」ムギュ


 こ、これは!? 聖奈さんが抱きついてきたことで、見た目の清楚さとは裏腹な暴力的な胸がっ、も、もろに、僕に当たってるぅ!!? や、柔らかい………。これが女の子のおっぱいかぁ。………はっ!? い、イケない……気を、沈めないと。これから僕達は、命を危険にさらす冒険に出るんだ。冷静に………冷静に……。


「それじゃあ、目的時はのび太君の失踪する直前でいいんだよね?」


 ドラえもんが、僕の思考を遮るように話を振ってくる。


「あっ、いや、できれば最初は未来へ向かってくれないか?」


「未来っていうと、22世紀のこと?」


「そう。できればドラえもんには、秘密道具を回収してきて欲しいんだ。もう流石にメンテも終わってるでしょ? この先、ドラえもんの道具が必要になる場面は、沢山あると思う。少なくとも、どこでもドアは戻ったらすぐに必要になるしね」


「あっ、そうか。過去にいるのび太君を島に連れていくためだね」


「そっ。過去に戻った後、また1週間も掛けて島になんか行ってられないからね。未来に戻ったら、優先的に取りに行って欲しい」


「分かったよ。なら、ちょっと時間は掛かるけど、のび太君は聖奈さんとどこかで待ってて」


「うん、焦らなくていいからね。なんたって、タイムマシンがあるんだし」


 それを聞いたドラえもんが、ついにタイムマシンを起動させる。戻るのは22世紀、ドラえもんが生まれた場所。

 僕はドラえもんが座っている座席に手を置き、聖奈さんはさらに強く僕を抱きしめ……おぱ、おっぱいがヤバ……って、だから! 気をしっかり持て僕!!


 そうして僕達は、未来へと無事、移動することができた。























 未来に戻り、秘密道具をドラえもんが回収。

 その後、再び過去へ。過去の僕を島へ送るため、さっきまでいた時間よりも前の過去。

 そこで僕は自分を気絶させ、どこでもドアで島へと移動させる。そして、生き残らせる確率を少しでもあげるため、未来の僕がしたように、実験用段階の島にあった“プラーガ”を、自分に打ち込んだ。


※このシーンはゲームであったため、割愛







「のび太君の推測、正解だったみたいだね」


 僕達は再び、どこでもドアで僕の家の前へと帰ってきていた。


「あ、あれ? さっきまで島にいたのに、今度は一瞬で日本に……!?」


 聖奈さんは、どこでもドアの性能に頭が追い付かずアタフタしてる。慌てる聖奈さんも、やっぱり可愛い!


「さて、これからどうするべきなんだろう?」


「………いいの? のび太君。お父さんやお母さんに知らさなくて」


 ドラえもんが心配するように、僕の方に顔を向けてくる。


「いいんだよ、どうせ起きることは変えられない。ドラえもんが言ったんじゃないか。この世には大きな原則が存在していて、例えタイムマシンを使っても、歴史は変えられないって」


「そうだけど…………」


「もう僕は、お母さんとお父さんに挨拶を済ませた。それで十分だよっ」ニコ


「のび太君………」


 勿論、これは作り笑いだ。

 本当は、お父さんとお母さんに危険を知らせたい。一刻も早く、ここから逃げて、無事でいて欲しい。でも、その願いは叶わない。叶えられない願いには、すがりついてはいけない。

 だから、今は大丈夫なフリをするんだ。


「とりあえず、この町を回ってみよ? もしかしたら、何か重要な手懸かりがあるかもしれないし」


 そう言って僕が歩き始めたところでーーー


 ドカァァァン!!!!


「「「!!?」」」


 少し遠くの建物で、爆発したような音が響いてきた。

















後書き

ついに念願だったのびハザSSスタートできたぁ! いやぁ、なんだかんだで大変で、夏休み入るまでは書けなかったんですよねぇ。
次は1週間後ぐらいになるかな? 更新。一万文字更新って決めたから、書き溜めしないと………。
大変だけど、好きなシリーズだし、頑張って完結させます!!
それまでどうかよろしくです!


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SS好きの名無しさんから
2018-09-19 16:11:24

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