2018-09-24 22:02:24 更新

概要

辛い過去を持つ提督と、扶桑さんとのお話です。
前書きは呼んでください。
色々あったため、ページを作り直しました。


前書き

黄鼬狐です。
三作品名となります。

もう、お決まりとなってしまいましたが、
相も変わらず行間によって物語が進行します。
(通常 一行間隔
時間経過・場面転換 二行間隔
視点切り替え 五行間隔)
(視点切り替えは、自分の好みにより、
〈side〉などの案内がありません。)
そんなわけで、
非常に読みにくくなっております....。

前回同様、回想があります。
回想のルールは基本的に前回と同じにします。
(〜>=>ーで回想が強くなります。)
前回の二番煎じっぽくはなりますが、
回想における内容自体は異なるため、
....恐らく大丈夫だと思いたい....。

また、ラブコメとはありますが、
自分の初作品同様、"コメ"要素はありません。
ご注意ください。

それでもよろしければ、どうぞ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



........何で俺は、こんな風に生まれてきたんだ....。


......何で俺は、こんなにも忌み嫌われるんだ....。


...俺が何か悪いことをしたの?


...何か罪を犯したの?


.....そんな事無い....!


....皆んなは只、


自分より弱いものを作り出して、


その優越感に浸りたいだけ....。


俺はその"道具"にされているだけ.....。


そんなことに泣き疲れるだけの日々....。


そのような涙を流す夜を繰り返すばかりで、


非力で無力な俺では、


何も変えることができない....。


....そして今日もまた、


日が昇り朝を迎えて、


息苦しく、暗い一日の始まりを迎えた...。



...........................

小学校・廊下



男子A「オイ!

さっき俺にぶつかったよな!?」



またか...。


コイツはいつも俺に言いがかりをつけては、


絡んでくる面倒な奴だ....。


今もニヤニヤしながら勇んでいる。



俺「...そっちが勝手に

ぶつかってきたんじゃないか....。」



男子A「ああ?聞こえねぇよ!

いつもいつもボソボソ喋りやがって!

気味悪りぃんだよ!オイ、お前ら!」



男子B・C「オウ!」ガシッ



ソイツらは、俺を羽交い締めにしてきた。



男子A「そんじゃ、行くぜ...。」



ドン!ガス!



ソイツはガラ空きになっている俺の腹へ、


数発殴打を入れた。


直後に拘束が解かれ背中を蹴られ、


俺はそこに倒れこんだ。



男子A・B・C

「あぁ〜、満足した〜。行こうぜー!」



満足げな顔をすると、


ソイツらはダッシュで去っていった。


....まだマシな方だ....、


こんなものはもう慣れっこだ....。


俺は痛む腹を押さえながら、


ゆっくりと立ち上がると、


自分の教室へと戻っていった。



.....................................



教室では、あちらこちらで、


俺を見ながらニヤニヤ、クスクスと


嘲笑う声が聞こえる。


周りから、


冷たく嫌な視線が突き刺さる。


......それもこれも、


この気味の悪い顔の"痣"のせいだ.....。


俺は今日も、


自分をそんな運命に導いた、


自分のその顔の"痣"を恨みながら、


その酷く辛い時間の終わりを待ち続けた....。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



................................

呉鎮守府・執務室



???「.....提督?」



遠い意識の中で、


誰かに呼ばれた気がして、我に帰った。



俺「あ。ああ、すまん。

ちょっとボーッとしてた。」



???「いえ...お気になさらずに...。」



柔らかな口調で彼女は返事を返した。


彼女の名前は、戦艦"扶桑"。


この鎮守府の最古参であり、


俺の秘書艦として、


最も長く共に歩んできた艦娘である。


そして今日も、ノルマ分の出撃も終え、


書類の残りを片付けていた所だった。


彼女は秘書艦として、


とても真面目に執務を手伝ってくれる。


ミスも殆ど無ければ、整理まで完璧である。


.........それでも、


そんな彼女のことを、


俺は完全に信じ切ることができていない.....。


幼少期のあのことがあってから


俺はずっと、


人を信じるということが怖くなっている.....。


....また裏切られるのではないか。


....また心に同じ傷が増えるのではないか。


彼女ではあり得ないことなのだが、


どうしても過去のことが脳裏を過ぎり、


信頼を寄せることはできても、


"信じる"ということが、


どうしてもできなかった。


俺がそんなことを思っている中でも、


彼女は変わらずに秘書艦を務めてくれ、


その姿を見て、


俺は申し訳のなさで


心中がいっぱいになっていた....。






提督とは、


もうかなり長い付き合いになるわね...。


彼の務めるこの呉の鎮守府は、


毎度かなりの戦果を収めていて、


艦隊の士気もかなり高い。


でも提督はそんな環境においても、


私や他の娘達と、


どこか壁を置いているように感じる...。


初めてあった時、


彼の顔の大きな"痣"に驚きはしたものの、


そのようなものは


人の評価に関係ないと思っていたから、


特に気にせずにいたけれど.....。


...よくよく考えてみれば、


あの時から既に


距離があったようにも感じるわね...。


.....考えたくはないけれど、


もしかして、彼のあの"痣"と


何か関係があるのかしら...。


そう少し気になり始めた。


でも、


聞かれたくないことかもしれないし...。


それに、私の考え過ぎかも知れないし...。


....ええ、きっとそうよね。


私の気のせいよね。


私はそう自分の心に言い聞かせて、


彼との残りの執務へと意識を戻して、


再びペンを動かし始めた。






............................



数時間後、ようやく書類の仕事が終わり、


一息をついていた。



俺「ふぅ.....。」



扶桑「..お疲れ様です、提督。

..はい、お茶です。」コトッ



扶桑が気を利かせて、


お茶を淹れてきてくれた。



俺「....ああ、ありがとう。」



素直を嬉しかったのに、


やはりどうしても壁を作ってしまって、


素っ気ない応えになってしまった...。



扶桑「..いえ、どういたしまして..。

では、私もそろそろ部屋に戻ります..。

明日も頑張りましょう、提督..。」



少し気まずかったのか、


彼女はそう言うと、


執務室から退室して行った。


そうして部屋に残された俺は、


いくら過去のことがあるとはいえ、


このままでは本当にいけないと思っていた。


扶桑をはじめとするここの娘達は、


俺のこの"痣"を見ても、


気味悪がったりすることなく、


普通に接してくれる...。


その事は本当に有難いのだけれど...、


普通に接してくれれば接してくれるほど、


最近夢に出てきて思い出す、


あの"過去"が浮かんできて、


また心の距離をとってしまう...。


彼女たちは違うと分かってはいても、


心の奥底が言うことを聞かない...。


...それでも、俺自身も、


あの"過去"と


早く見切りをつけたいと思っていた。


時間はかかるかもしれないが、


ゆっくり、確実にやっていこう。


そう決めて、俺も就寝の為に、


自室のベッドへと向かった。



..............................

呉鎮守府・提督自室



俺は自分のベットで、


うつらうつらしながら、


またあの悪夢を身始めていた.....。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



その辛い一日が終わり、


俺は独り、家に帰ろうとしていた。


その時、道の途中で後ろから声をかけられた。



???「ねぇ、君、いつも独りだけど、

寂しく無いのかい?

良かったら、僕と友達にならない?」



振り向くと、


同じクラスであろう男子がいた。


誰かと接するのにはうんざりしていた為、


クラスでは、


まともに会話したことがなかった俺は、


その子の名前すらも分からなかった。



俺「.......君は?」



???「僕かい?

僕はハナズ ヨシキ。

ヨシキって呼んでよ。

えっと...、

ミナミ ナリヒロ君だよね。

これからよろしくね‼︎」



彼は眩しいほどの笑顔でそう言ってくれた。


今まで、


そんな風に話しかけられたことが


殆どなかったから、


彼のその声は、


深く俺の心に突き刺さって、


とても嬉しかった。


だから、


不慣れながらも笑顔でこう返した。



俺「...う、うん!

こっちからもよろしくね。」



俺たちは互いに握手を交わして、


俺にとって、初めての友人となった。


そしてその日は、


いつも一人で帰っていた家路を、


もう一人の影と共に帰った。



.................................

自宅



ガチャ



俺「....ただいま。」



俺は玄関に着くと、


さっきまでの明るい調子とは変わって、


再び暗い雰囲気を取り戻してしまっていた。



母さん「あら、お帰り。

ご飯できてるから、早く食べましょ。」



母さんが玄関で出迎えて、そう言った。


俺は重たい荷物を部屋に置きに行って、


リビングへと向かった。



..........................

リビング



ドアを開けると、


両親が食卓テーブルについていた。



父さん「おう、お帰り。」



母さん「さ、早く座んなさい。

冷める前に、早く食べてしまいましょ。」



二人はまるで作ったような笑顔で、


俺に向かってそう言った。


これもいつものことだ.......。


二人のあの会話を聞いてしまってから、


そうとしか見えなくなってしまった....。



俺「....はーい。」



俺は空元気な調子で返事をして、


椅子に座って、食事を始めた。



父さん「どうだ?最近学校は?」



途中、父さんがそう聞いてきた。


.......本当はどんな様子か、


知っているくせに.....。


......言ったところで、


なんの助けもくれなかったくせに.......。


内心でそう悪態をつきながら、



俺「.....まあまあいい感じだよ。

友達もできたしね。」



と答えて、空元気な調子を続けた。



..........................



それ以降、特に会話もなく、


三人での食事が終わり、


俺はリビングを出て、


自分の部屋に向かった。


....途中、


二人の会話が少し耳に入った。


よくは聞こえなかったが、


.....恐らくは、


以前のあの会話をしているのだろう。


......思い出すだけで、


吐き気がするほど嫌な気分になる....。


俺はその場から逃げるように足を速めて、


部屋へ急いだ。



.......................................

自室



その後、俺は風呂などを済ませて


自室でくつろいでいた。


そろそろ寝る時間となったので、


布団に入り、明かりを消した。


徐々に意識が遠くなっていく中、


夢の中で、二人のあの会話が過った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



母さん「....なんであんな風に

産まれちゃったのかしら....。

親としてみても、

少し気味が悪いわ....。」



父さん「........そうだよな。

そういえばあの子、

その"痣"のせいで、

学校で虐められてるらしいんだが....、

正直、

その子たちの気持ちも

分からなくもないよな..。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



......やめて、思い出したくもない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



母さん「......それにあの子、

あまり喋らないから、

何を考えているのか....。

より一層不気味で....。」



父さん「そうよだな。

それで虐められる方が

大きいと思うんだよな。

男なら、

はっきりシャキッとしろってもんだよ。

なんでもかんでも"痣"のせいにして、

まるで俺たちのせいかのように

頼ってきてばかり....!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



だからやめてって‼︎


そう心の中で、自分に怒鳴りながら、


俺はいつのまにか眠りに落ちていった....。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



.................................



.....................ハッ!



ハァ、ハァ、....


嫌な夢を見たもんだな...。


起き上がった跡を見てみると、


かなり魘されていたのか、


嫌な寝汗をかいていた。


....昨日、


少しずつとは言え、


過去に折り合いをつけて行こうと


決めたばかりなのに、


こんな状態では、


それは一体いつになるのだろうか....。


....でも、だからといって、


何かすぐに変えられるわけもない....。


....今の所、


鎮守府運営にさほどの支障もない....。


じゃあ、今は出来ることをやるまでか....。


ゆっくりと、本当にゆっくりでいい....。


無理に過去を忘れようとして、


そのせいで精神が壊れてしまっては、


其れこそ、


扶桑や皆んなに迷惑を


かけてしまうからな....。


そう自分の心に言い聞かせて、


布団から出て、


素早く身支度を済ませて、


秘書艦の扶桑の待つ、


執務室へと向かった。



..............................

呉鎮守府・執務室



ガチャ



扶桑「..おはようございます。提督。

..今日も一日、頑張りましょう。」



執務室に入ると、いつもと変わらず、


扶桑が迎えてくれた。



俺「ああ、おはよう、扶桑..。

今日は南西諸島への出撃だったよな..。」



無愛想な返事になってしまったが、


それでも



扶桑「ええ、そうです。

数時間後に出撃するので、

それまでお手伝いさせていただきますね。」



と扶桑は微笑んで返してくれた。


........今まで、


あの過去を思い出して気が滅入った時、


何度彼女のこのような言葉と微笑みに、


心が救われたのだろう....。


克服できていないとは言えども、


その優しさに触れるたび、


その日の仕事には


一切の支障を出さずに済んでいる。


....俺はいつの間にか、


彼女に対して、


今までにない程、心を許している....。


....いや、もしかしたら、


知らず知らずのうちに、


"好意"を抱いてしまっているのかもしれない。


....こんな感情、


まともに持ったことがなかったから


よく分からないけれど....。


そう考えていると、


自然と胸がジーンと熱くなってきた....。



扶桑「.....提督?」



彼女に呼ばれ、フッと意識を戻した。



俺「あ、ああ、すまない。

じゃあ、始めるか。」



と、その場を取り繕うように言い、


今日の出撃の作戦や艤装の最終確認に


取り掛かった。






....................................

呉鎮守府・母港



私達が出撃の準備を終えて艤装を装備し、


母港へ向かうと、


提督の後ろ姿が見えました。


風に吹かれながら海を眺める彼は、


偶に見せる、何かに浸るような...、


何処か遠い目をしていました。


彼のもとに向かい、声をかけました。



私「提督、準備ができました。」



声に気づき、彼が振り返った。



提督「...おお、そうか。

それじゃ各自、海へ出て、

目的海域に出撃するよう伝えてくれ。

俺も後から合流する。」



私「..はい、了解しました。」



そう会話を交わして、


私は艦隊に連絡に、


提督は指揮同伴の為の船舶に向かいました。


その様子は何処か取り繕うような、


何かを隠すような印象を受け、


少し気になりながらも、


今日の戦闘に集中するように、



私(....よしっ‼︎)



自分の心に喝を入れて、


みんなのもとへ歩き始めました。






扶桑たちが母港に来るまでの間、


俺は昨日のことを思い出していた。


昨日感じた扶桑に対する感情。


あれが本当に"好意"なのか。


何とかして確かめたい。


.....もし、


本当に"好意"や"恋"の類なのだとしたら、


俺は今度こそ、


それの感情を真に受け止めたい。


そしてそれができたなら、


きっとあの忌々しい過去の記憶に


立ち返ってしまうこともなくなるだろう。


そしてその後、


彼女と過ごせたなら、


どんなに幸せなことだろう.....。


..........そんな思いを巡らせていると、



???「..提督、準備ができました。」



と、背後から声をかけられた。


そこには今考えていた扶桑の姿があり、


ドキッとした。


.....が、よく考えてみれば、


元々出撃の集合を待っていたのだから、


当たり前のことだったな...。


あの思いに耽って、


不意なことに驚いてしまったのを


悟られぬよう、


出撃許可と合流の件を


艦隊の皆んなに伝えるように言って、


お互いにその場を離れた。


....恐らく、


扶桑には気付かれずに済んだようだ。


何とかして、


この胸のモヤモヤした気持ちを


ハッキリさせたい。


いい方法はないものかなぁ....。


いくら考えても、


何の一つも浮びそうもなかった。


.....まあ今はいい。


今は兎に角、


今日の戦闘に集中しなくちゃな。


そう思った俺は、



俺(....よし、やるか‼︎)



と、自分に喝を入れて、


目的海域への到着に急いだ。



....................................

南西諸島近海



扶桑たちと呉鎮守府を出発して数日後、


ようやく目的海域である


南西諸島近海にたどり着いた。



俺「いよいよ指定の海域に入ったぞ。

いつ敵艦が見えてもおかしくない。

警戒を強めておけよ。」



と、扶桑率いる艦隊メンバーに


注意を促した。



艦隊メンバー『はい!』



と無線越しに、


皆んなも勇しく返事をした。


士気も練度も十分に高い。


敗北を喫することはまずないだろうが、


何事も油断は禁物。


と自分自身にも注意を促して、


レーダーや海面の動きなどにも気を配った。


その時、



扶桑『提督!

二時の方向に敵性反応ありです‼︎』



と無線から扶桑の声が響き、


レーダーので範囲を広げた。


扶桑の言う通り、二時の方向に、


数十体の敵の反応が見受けられた。


そこで、



俺「確認した!

敵は恐らく戦艦を含む数十体。

舵をそちらに切って殲滅に向かう!」



と指示を出した。



扶桑達『了解‼︎』



と言う返事の後、


彼女たちは速度を上げて、


敵のある方向へ向かっていった。


俺も彼女達に出来るだけ近くで


指揮を出せるように、


船の出力をより一層上げて、


彼女達の背中を追った。



.........................



ドーン‼︎ドドーン‼︎



砲撃の音が鳴り響き始め、


深海棲艦との戦闘が開始された。


俺は扶桑達が戦っている


その様子を望遠鏡で見ながら、


次の一手、その次の一手と


作戦の指示を出していった。


...扶桑が敵の戦艦の数体目を沈め、


俺がレーダーで敵の動きを確認して、


次の攻撃を考えている時だった。



扶桑『て、提督...‼︎

何か.....、敵の様子が変です.....‼︎』



無線から、扶桑の少し驚いたような、


もしくは不思議がるような声が届いた。



俺「...何?」



俺は望遠鏡を手にとって、


そちらの方向を覗いた。


....扶桑の言ったように、


確かに数体の敵の様子がおかしい。


その数体の敵艦は、


こちらではなく、互いを撃ち始めていた。



俺「....あれは...、仲間割れか?」



そう思ってよく目を凝らしてみると、


その敵艦には、


明らかにこちらがつけたものでは無い


損傷が有り、


やはり同士討ちなのだと確信した。


その時、俺の脳裏で、


二つの言葉が反復した....。


....."仲間割れ"、"同士討ち"....、


何故だかその言葉を頭に思い浮かべると、


胸の奥がざわついた....。


昔のあの記憶が鮮明に蘇るようで....。


その瞬間から、


頭痛を激しく感じ始めた。



ズキン!ズキン!



俺はなんとか耐えようとしたが、


最終的には、


意識を確かに保つことが


できなくなってしまい、


再び"あの記憶"に立ち戻ってしまった.....。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



......................

自室



.....ん、うーん...。


うっすらと目を覚ますと、


窓から差し込んだ、


朝の日差しを眩しく感じた。


....はぁ...、


..........また、嫌な1日が始まるのか...。


いつもならばそう思って、


辛くなるだけだったのだが、


....その時は、


その嫌な感情のほかに、


一つだけ....、


"嬉しい"とか、


"楽しみ"と言ったような


今までの俺だったならば、


絶対に感じ得ない感情があった。



俺(....そうだ、

俺には新しい友達ができたんじゃ無いか...!

どんなことを話せばいいのかな...。

どんな顔で向かえばいいのかな...。)



初めてのことで、


思いつくのに精一杯だったが、


それでも、


そう考えを巡らせているうちに、


あの親達との朝食の時間や会話など、


全く気にすることなく切り抜けて、


いつの間にか、


いつになく軽い足取りで


学校へと向かっていた。


...しばらく歩いていると、


不意に後ろから肩を軽く叩かれた。


振り返って見ると、


まさにその初めての友達、"ヨシキ"が、


笑って立っていた。



ヨシキ「よっ。

おはよう、ナリヒロ君。」



彼は笑顔のまま、


爽やかに挨拶をかけてきた。



俺「...お、おはよう、ヨシキ君。」



たどたどしい感じではあったが、


俺は初めて笑顔らしい顔で、


人と挨拶を交わすことができた。



ヨシキ「うん。あっ、そういえば、

君の家、こっちの道だったんだね。

僕の家もこっち側だから、

これから一緒に登下校しようよ?」



彼は続けてそう言ってきた。


俺は更に嬉しくなった。


.....彼となら、俺は笑顔になれる。


.....辛い自分を忘れられる。


そんな彼のことを、


もっと知ることができる


大きなチャンスかもしれない...。


そう思った俺は、



俺「う、うん。そうしようね。」



と笑顔を保ったまま言った。



ヨシキ「やった!

じゃあ、これからは、

君の家に呼びに行くからね!」



彼も飛び跳ねたような声の調子で、


笑顔で言ってきた。


今日のこの朝の登校は、


今までの、まだ少ない人生のなかで、


一番幸せだった時間かもしれない...。


そう思いながら、


彼とともに、学校へと向かったが、


いつもの負の気持ちは、


とっくに忘れてしまっていた。



..........................

学校・教室



ガラガラ



ドアを開けて教室に入ると、


毎日感じている


薄汚く、冷え切った視線が、


四方八方から飛んできたが、


その時の俺は、平気でいられた。


彼と過ごす時間に比べたら、


こんなもの、


苦痛でも、不幸でも、


なんでもなかったんだと


思えるようになっていたから。


だから、


いつもは小さく縮こまるように、


なるべく目をつけられないように


過ごしていた学校生活も、


彼と一緒なら、


息苦しさを感じずに過ごすことができた。



..................



そうして、


明るく楽しく過ごしていて迎えた、


数回目の休み時間。


俺はヨシキと一緒に、


校庭へ出て、


まだ他の奴がほとんど知らない、


言わば、


俺と彼との秘密基地のような、


樹木の上に来ていた。


ここは影で涼しいし、


何より彼と過ごせる時間が楽しかった。


暫く話して居ると、



ヨシキ「...あっ、ごめん。

僕ちょっとトイレしてくるね。」


と言って木から降り、


校舎の方へ走って行った。


よほど焦っていたのか、


すごいスピードだったので、


笑ってしまった。


いつの間にか、


もう自然に笑えるようになっていた。


だから、


そんな風に俺を導いてくれた、


彼の帰りを待つのも、全然苦じゃなかった。


.......彼が離れて暫くたった時だった。



A・B・C「おいっ‼︎

お前そんなとこにいたんだな‼︎

降りてこいよ‼︎

来ないならこっちから行ってやるぞ!」



いつも俺をいじめ倒していた奴らが


憎ったらしい笑みを浮かべて、


俺とヨシキとの秘密の領域の下に


挙って集まっていた....。


俺は身の危険を感じつつも、


あることを不思議に思った...。



俺(....なんで、ここの場所がバレたんだ...。)



そう思っている間も、


奴らは木の上に上ってきて、


俺の足を掴むなり、


勢いよく引き摺り下ろした。


なんとか受け身は取ったものの、


地面に叩きつけられた俺は激しく咳き込んだ。


そんな事は構うものかと言うように、



ドカッ!バキッ!



奴らは俺に毎度のような暴行を上げた。


......。


....何発殴られた時だろうか...。



タッタッタッタッ



後者の方向から、


何者かの足音が聞こえてきた。


俺は半ば縋るようにそちらの方を向いた。


そこには....、



ヨシキ「何やってるんだ‼︎」



この世で唯一無二の、


俺の友達が駆けつけて来ていた。


でも....。



A「ああ?何言ってるんだお前?

お前がさっき、

コイツの居場所を教えたんじゃねぇか。」



............。


..............え?



ヨシキ「....だって、だって...!

渡したいものがあるからって言ってたから、

教えただけなのに、

まさか虐めるだなんて、思わなかったから...!」



彼はそう必死に弁明しようとしていたが...。


.....その時の彼の顔は....、


....俺の両親の顔と同じ、


ただの"表面"だけで作った怒りの顔だった...。


....そんな奴の気持ちなんて、


もう一つしかない....。


俺(......そうか...。

コイツも奴らと同じように、

俺のことをただの"道具"とか、"玩具"としか、

見ていなかったんだな...。)



俺が勝手に真の仲間、友達だと思い込んで、


コイツの身勝手な言葉に、


浮かれて、振り回されて、


勝手に傷ついただけだったんだな....。


....そう悟った瞬間、俺の心の中に、


真っ黒い何かが渦巻き始めた....。



(....今まで、散々にいじめれて来たんだろ..?)



その黒い何かは、俺の心の中で語りかけた。



("道具"にされて、"玩具"にされて、

仲間だと思っていたやつにすら裏切られて....。)



黒い何かは、


俺に何かを誘うように語りかける....。



(だったら......、

ここで今まで受けたことの何もかも晴らして、

スッキリしちまえよ‼︎)



そう最後に叫ばれた時、


俺の中で何かが切れるような感じがした...。



プツン...



俺「あああぁぁぁぁ‼︎‼︎」



俺は理性が吹き飛んだかように、


手当たり次第にソイツらに飛びかかり、


手がつけられないほどに暴れまくっていた...。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


"仲間割れ"だなんて....、


聞くだけで虫唾が走る。


心の中でふつふつと湧き上がる


黒いものを感じ始めて、


俺は扶桑と話すため、無線機を取った。



俺「.....扶桑。

ソイツら、徹底的に叩き潰せ......‼︎」






無線機から聞こえた、


提督の攻撃の指示の声は、


今までに聞いたこともないほど、


底冷えするような声色でした....。



私「はっ、はい..!!」



思わず、怯えたような声で、


返事をしてしまったけれど、


その指示に従うように、


艤装を構え直して、艦隊の皆さんと、


一斉に集中放火を浴びせました。



ズドドドドド....‼︎



広い天空に鉛の音が響き渡って数秒、


敵艦の姿は跡形もなく見えなくなりました。



提督『.....ご苦労様。

全艦、直ちに起動準備に入れ。』




勝利を確認したのか、


無線機からそう声が入った。


けれどもその提督の声は、


未だに少し冷えており、


少し無機質な感じがしたままでした....。


今までは、感情こそ感じ取りにくくても、


ここまでの事はありませんでした...。


....やっぱり、何かあるのでしょうね...。


...未だ、


その事情を聞く勇気はありませんが、


いつかきっと、話してくださいますよね..?


何故かは分かりませんが、


私には、そう仄かに確信がありました。


提督がいつでも安心して話してくれるよう、


不安にさせまいと思いました。


だから...、



私「..了解しました‼︎」



私は提督の指示に対して、


いつになく、はっきりと応答しました。






..........................

呉鎮守府・母港



数日後、


あの海域で大勝利をあげた俺たちは、


呉の鎮守府へと帰投した。


あの心中のザワつきは既に収まっていた。


....でも実は、


ついさっきまでの帰投途中の船内では...、


連日襲われていた。


流石に発端となった敵艦が


見えていたと比べたら、


幾分かマシではあったが、


苦しめられたことには変わりはなかった。


....幸か不幸か、


扶桑たちには、


未だその姿を見られてはいない....。


でも.....、何故だろう。


何故、こんなにも


彼女の事を"信じ"れているんだろう...。


あんなにも恐れていたことのに...。


あんなにも怯えていたことなのに...。


....自分が窮地で弱くなった時こそ、


本当に頼るべき人が、


見えてくるというものなのかな...。


それが扶桑だということか...。


そう思い返すたびに、


荒んでいた心に安心感が戻り始めてきた。


そうか....、彼女こそ、


俺の真の"仲間"だということなのか......!


....今まで忌み嫌って、


もう出会わないだろうと思っていた


その言葉は、


今までで一段と輝かしく思えた。






鎮守府に帰投して、


私は艦隊の他のメンバーを


先に入渠に向かわせて、


私は船から降りる提督を迎えに向かいました。


無線の上だから確信はないけれど、


あの時の提督は、


やはりどこかおかしかったように思えます...。


その心配のあまりか、


無意識のうちに歩く速度が


かなり速くなっていました.....。


......



船に近づくと、


丁度提督が船から降りてきていた。



私「...はぁ、..はぁ。

提督、お疲れ様でした!」



息を切らして行った私でしたが、


提督の声を聞いて、驚きました...。



提督「..ああ、お疲れ様、扶桑。

今回もよく頑張ってくれたな..!」



その提督の声は、


通常通り、弱々しくはあったものの、


何故かいつもの怯えたような様子は、


何処にも感じられなかったからです..。


寧ろ、


何処か吹っ切れたような感じさえしました。



私「..あの、提督?

..何かあったのですか?」



私は思わず聞いてしまいました。










後書き

しばらく空けておりました。
不定期かつ、
ツボツボやナマコブシやゴンベもビックリな
超鈍足遅筆になるかもですが、
ぼちぼち再開いたします。
因みに(精神的)耐久力も紙です。
すぐ落ち込んじゃいます...。


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このSSへのコメント

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1: CQC中毒 2018-09-24 23:49:28 ID: RXNOqr94

人は見かけではなく
中身だとよく人に言っていますが
第一印象って大事だという事も
わかります(´・ω・`)

だからといって
いじめは、ダメ!絶対!ですね( ・`ω・´)


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