2018-09-17 23:11:56 更新

     

勝ち目の無い賭け


バキッ!


殴られる音がこだまする。


ズダン!


撃たれて飛んだ血が部屋の壁に飛ぶ。


飛燕「・・・」


激痛のなか俺は何も言わない。ただこの地獄が終わるのをただ待ち続ける。


深海双子棲姫A「・・・う~ん・・・苦しみもしない・・・」


深海双子棲姫B「これじゃ堕ち無いね・・・」


飛燕「・・・・」


深海双子棲姫A「ジャァ・・・」ニタァ


俺が最後に見た彼女は不気味に顔を歪め刃物を取り出す姿だった。


        ~数分後~


飛燕「・・・」


両目を切り裂かれ、何もみることが出来ない。そんな状況下で俺はただ壁に寄りかかっている。


防空棲姫「・・・!大丈夫ナノ!?」


飛燕「どうだか。俺には見ることが出来ないからな。分からん」


防空棲姫「ジットシテテ!包帯デマクワ!」


飛燕「・・・なぁ防空棲姫。」


防空棲姫「?」


飛燕「真っ暗な世界で生き続けるてどう思う?」


激痛の中皮肉を込めてそう言った。 


      ~防空棲姫時点~


防空棲姫「・・・」


私は今、彼の突然の問いかけに何も言い返せずにいる。彼は私にどんな意図を持って聞いてきたのだろうか。


防空棲姫「・・・分カラナイワ」


飛燕「俺は昔から真っ暗な世界で生き続けてきた。」


防空棲姫「・・・」


飛燕「勿論盲目と言う意味じゃない。周囲にいる人間が全て敵に見えた。救いの手を差しのべる人間さえ、恐ろしかった。自分に差し伸べられてる光は自分をさらなる闇に引きづり落とすための罠なんじゃないかと思ってた。」


防空棲姫「・・・」


飛燕「そんな中救ってくれた艦娘が居たんだ。龍飛て言ってな。俺は最初その人を警戒してた。けどその警戒も無駄だってすぐわかった。」


防空棲姫「・・・何ガ言イイタイノ??」


飛燕「お前も信頼できる仲間を選べってことだ。ま、余計なお世話だろうけどな。」


防空棲姫「・・・」


飛燕「・・・この調子で後半月。大変やな。」


その後も痛め付けられ続けた。あるときは


グチャァ!


飛燕「・・・ッ」


腕を踏み潰され


またあるときは


ズダァン!ズダァン!


深海双子棲姫「ほらほら避けないと死んじゃうよ?」


盲目のなか砲撃に晒されたりした。だが飛燕は屈しなかった。むしろ力に満ち溢れていた。どんな状況でも負けぬ不屈の精神で。そして一ヶ月がたった。


飛燕「・・・」


飛行場姫「さて。一ヶ月たったわ。」


飛燕「そうか。」


飛行場姫「最初の3日で諦めるかと思ってたけど・・・頑丈ね。」


飛燕「・・・」


飛行場姫「さ、私の負けよ。どこえでもお行きなさい。」


飛燕「・・・」


たが彼は足を砕かれ腕も潰されていた。そんな彼が動くこともままならなかった。


飛行場姫「あら?動かないのかしら?」フフフ


動くことの出来ない彼を飛行場姫はあざ笑った。そして・・・


飛燕「・・・降参だ。煮るなり焼くなり好きにしろ」


彼は諦めた。


飛行場姫「あら。案外簡単に折れちゃうのね。」


飛燕「・・・」


彼は何も言わなかった。


防空棲姫「・・・飛行場姫様。」


飛行場姫「何かしら?」


防空棲姫「彼ノ世話ハ私ガヤリマス。」


飛行場姫「・・・分かったわ。けど決して逃がしたりなんかしないでよね。」


防空棲姫「分カッテイマス」ヨッコイショ


飛燕「・・・」


      ~防空棲姫の部屋~


飛燕「・・・何のつもりだ」


防空棲姫「他ノ奴ニ任セタラ殺サレチャウワ」


飛燕「いっそ殺してくれた方が良いがな。」


防空棲姫「飛行場姫様ハ少ナクトモ貴方ノ死ヲ望ンデナイワ」


飛燕「・・・ふぅーん」


防空棲姫「ケド貴方ハ飛行場姫様ニサレルガママネ・・・」


飛燕「だな~」


防空棲姫「何デソンナニ呑気ニ居ラレルノ!?」


飛燕「俺は奴と賭けをして俺は負けあいつが勝った。そして勝った奴のいいなりにされてる。俺はその賭けに応じてるんだから今更どうこう言うつもりもない。」


防空棲姫「・・・」


飛行場姫「飛燕。早速出番よ」ニタァ


飛燕「・・・」


       

裏切り


飛行場姫「貴方の役目はただ1つ。ここに来る敵を追い払うこと。他の奴も居るからそいつらと共にね。」


飛燕「分かった。」


飛行場姫「武装は・・・(飛燕)「いらん」ちょっ」


飛燕「装備なんか使わずに十分だ。それじゃ」


飛行場姫「・・・」


        ~海上~


戦艦棲姫「おい!出てこい。飛行場姫」


飛行場姫「あら?何の用かしら?」


戦艦棲姫「私達の指揮官をどこへやった。」


独眼ヲ級「・・・」


飛行場姫「・・・その指揮官と言うのは・・・」


飛燕「・・・」


飛行場姫「彼のことかしら?」


戦艦棲姫「!」


飛行場姫「けどあいにく彼は私のものよ。飛燕、奴等を追い払いなさい。」


飛燕「・・・」ダッ!


独眼ヲ級「!戦艦棲姫様!危ない!」


ズバッ!


独眼ヲ級「ッ」ポタポタ


戦艦棲姫「ヲ級!」


飛燕「・・・」シャッ


レ級f「何やってんだよ!」


飛行場姫「言ったでしょ?私のものって。じゃぁぱっぱと追い払うなり何なりしなさい。」


飛燕「・・・」


レ級f「おい!飛燕!」


飛燕「・・・すまない」


ズバッ!


彼はただ一言呟くとレ級fを切りつけた。


戦艦棲姫「・・・一時撤退!」


飛燕「・・・」


彼は彼女達が居なくなるのを見届けるとその場に倒れ込んだ。


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