2018-09-22 23:56:56 更新

概要

秋月が机の上に置いてあった大金を見つけ・・・


「照月、初月! すぐに起きて!」


突然の秋月からの呼び出しだ。


「何だよ、姉さん。 今日は休日じゃあ・・・」


「秋月姉! どうしたの?」


照月と初月が欠伸をしながら秋月の部屋に入ってくる。


秋月型姉妹はリビングが一緒の各部屋で住んでいるため(シェアハウスみたいな感じ)、何かあれば


すぐに駆け付けられる便利な部屋層だ。


「私の机の上に・・・」


秋月が指を差した、その方向には・・・


「!!?」


2人は驚く、それもそのはず。


何と、1万円札が100枚(帯付き)で置いてあったのだ。


「・・・・・・」


秋月たちはしばらく100万円を見つめていた。


・・・・・・


「それにしても。」


照月が口を開く、


「どうしてこんな大金が秋月姉の机の上に?」


「分かりません、誰かが置いて行ったのでしょうか?」


2人をよそに、


「こ、ここここれが・・・100万円!!?」


初月が100万円を見続け、


「1万円ですら滅多に見られないのに・・・それが100枚あるなんて!!? これは、夢では無いんだよね!!」


初めて見るであろう光景に初月は目を輝かせる。


「とにかく、こんな大金は置いた覚えはないですし、私たちが保管するには手に余ります。


 執務室に持って行って司令に相談しましょう!」


そう言って、100万円を取ろうとして、


「待ってよ姉さん! 僕が持ちたい!」


初月に止められる。


「初月、一体どうしたの?」


「だから・・・僕が持って提督に届けに行くよ!」


「どうして? まさか100枚から1枚を抜こうと考えているんじゃ・・・」


「そんな! 姉さんに誓ってそんな事はしないよ!」


「じゃあ何で急に持ちたいって言ってきたの?」


秋月の質問に、


「だって100万円だよ? 1万円が100枚って・・・滅多に見られる物じゃないし、触った事も無いんだよ!


 これから先、二度と見る事も触れる事も無いだろうから、僕に持たせて、お願い姉さん!!」


初月の必死の願いに、


「分かりました、では初月。 これを持って執務室に行ってください。」


「あ、ありがとう。姉さん!」


初月は100万円を手に取ろうとするが、


「おお、こ、これは・・・何とずっしり重みがあるんだ。 これだけあれば100円のおにぎりが・・・」


初月が計算し始め、


「1個100円で1万円なら100個・・・100万円なら・・・1万? 1、1万個!!? ああっ(昇天)」


「ちょっ、初月! しっかりしなさい!!」


100万円を持って気絶しまった初月。



「初月を寝かせて! もうっ、私が届けてきますので照月は初月を見ていて!」


「うん、分かった。」


そう言って、100万を取って部屋から出る手前、


「秋月姉さん、下に何か紙が挟んであったみたいだけど?」


照月の指の指す方向に、確かに紙1枚が置かれており、何やら文字が書かれている。


「・・・・・・」


秋月と照月が確認すると、



”この100万円はご自由にお使い下さい”



「・・・・・・」


再び悩み始める秋月。


・・・・・・


「”ご自由にお使い下さい””って言われても・・・」


秋月は悩む。


「そもそも何故私の机に置いてあったのかも分からないのに、勝手に使っていいだなんて・・・」


秋月をよそに照月は、


「で、でも使っていいと書いてあるんだし、少しだけ使って今日だけ豪華な食事にしたらどう秋月姉?」


「照月・・・」


照月に呆れるも、


「もし、誰のか分かったらすぐに返して使った分はちゃんと払えばいいでしょ?


 だって初月が言っていた通り、こんな状況滅多にないんだよ? なら今日くらい贅沢したっていいんじゃない、秋月姉?」


「・・・・・・」


照月の言い分には一理ある。


「そ、そうですね・・・まぁ、使ってもいいと書いてありますし・・・きょ、今日だけ豪華な食事にしましょうか。」


「やったぁ~!!」


照月は大喜びだ。


「それで、何にする秋月姉?」


「そ、そうですね~。」


秋月は考える。


「照月は何が食べたいですか?」


「私? そうねぇ~。」


少し考えた後、


「秋月姉が食べたい食事なら何でも♪」


「・・・・・・」


秋月の事が好きな照月、秋月が選んだ物なら何でもいいようだ。


「そうですね~・・・」


秋月は保管していたチラシを手に取って、


「お寿司はどう?」


「お寿司!? ちょっと贅沢しすぎじゃない!?」


寿司と聞いて「それは贅沢だよ!」と断る照月。


「そ、そうね・・・じゃあ、丼ものはどう?」


「丼もの・・・うん、それがいい。」


「そう、じゃあかつ丼とか親子丼とかはどうですか?」


「かつ丼と親子丼!? あれも高いよ! 5,600円するでしょ? そこまで贅沢しなくてもいいかな~。」



・・・秋月たちの贅沢と言うのは一体何円までの事を言うのだろうか?



「じゃあ牛丼はどう? いつもなら280円位の牛丼を頼むでしょ? それを少し贅沢して380円の大盛に


 するって言うのはどう?」


「大盛!? それがいい! うん、じゃあ今日の夕食は牛丼の大盛3つにしよう!!」


今夜食べる物が決まった様子。


「380円にすると、ご飯が大盛になるそうですよ。」


「ご飯が大盛!? 凄いご馳走じゃん! わぁ~い、今日の夕食楽しみだね!」


照月が大喜びではしゃぐ。



「・・・あっ、待って。 今なら50円追加で牛肉が2倍に増量される!?」


思わずチラシを凝視する秋月、


「430円で牛肉が2倍・・・お肉が2倍・・・普段の2倍・・・あ~(昇天)」


秋月は思わず気絶してしまう、


「ちょっ、秋月姉~!!」


初月の隣で寝る事になった秋月。


・・・・・・


「よし! 秋月姉と初月は部屋で寝ているから、私が買って来よう!」


と、抵抗があったものの、100万円を何とか持って牛丼屋へと向かう。


「すいませーん、牛丼を3つお持ち帰りで下さい!」


照月が店員に注文をする。


「え~っと・・・私が380円の牛丼で、初月も同じでいいよね? そして秋月姉は・・・いつも頑張ってくれているから、


 さっきカタログで見ていたお肉大盛の430円の牛丼で。」


照月は注文する。


「代金は1190円・・・あの100万円を出して・・・」


ふと、照月は気づく。


「あれ、そう言えばこのお金ってどうやって出せばいいんだろう?」


バッグの中から100万円を掴んだまでは問題ない、しかし、このお金をどうやって出すのか悩んだ。


「・・・・・・」


照月は考える、



100万円から1万円を抜いて出せばいい? いやいや、それだったら100万円の意味が無いよね!


じゃあ帯付きのそのままを出せばいい? いやいや、そんな出し方する人間なんて見たことが無いし!


じゃあどうやって出せば? どうやって・・・どうやって・・・


※照月、100万円を持ったまま大混乱!



「・・・・・・」


10分間悩んだ末に、店員に聞き、1万円を出して解決した照月だった。


・・・・・・


「ただいま~、秋月姉! 初月! 目が覚めた?」


2人の前に照月が顔を出して、


「見て初月! 今夜の夕食は、豪華に大盛牛丼だよ!」


現物を見た初月は、


「大盛!? いつもは並盛の牛丼しか食べれないのに・・・今日は大盛を食べられるの!!?」


初月の体がキラキラ化した。


「すぐにお茶と箸を用意して! 秋月姉も早く、温かいうちに食べよ!!」



「いただきま~す!」


3人の楽しい夕食が始まる。


「あれ? 秋月姉さんの方が牛肉が多いような気がするけど?」


初月は秋月の牛丼を見つめる、


「秋月姉は、私たちのためにいつも頑張ってくれているから照月と初月はご飯大盛を、秋月姉はお肉2倍を選んだの!」


「お肉2倍!? ・・・僕もそっちが良かったなぁ。」


初月は不満げだ。


「・・・秋月はいつもの量でいいですから、照月と初月で食べて。」


そう言って、秋月は自身のお肉を2人の器に入れていく。


「ちょっ、秋月姉! ・・・初月、あなたが余計なことを言うから!!」


「ううっ、そんなつもりじゃあ。」


2人の言い合いが始まる所で、


「照月、食事中に喧嘩は良くありませんよ!」


照月を叱る秋月、


「でも、秋月姉! せっかく秋月姉のための牛丼なのに。」


照月は申し訳なさそうに言うも、


「照月と初月が嬉しそうに食べている所を見るのが秋月の楽しみなんです!」


秋月が笑顔で振る舞う。


秋月の優しさに何も答えられない照月と初月。


・・・・・・


「おやすみなさい、秋月姉!」


「秋月姉さん、おやすみ。」


2人が各部屋へと戻り、


「残りのお金は・・・牛丼3つを引いた額で99万8810円、 まぁこの位の消費なら後で「返せ!」と


 言われても返せる範囲の額ですね。」



・・・どうやら秋月たちにとって1日1000円越えの食事は滅多にないようだ。



「明日司令に報告して残額を渡してきましょう!」


そう言って、床に着く秋月。


・・・・・・


翌日、


「照月に初月! 今すぐ起きて!!」


秋月から再び呼ばれて、


「どうしたの、秋月姉!」


照月が秋月の部屋に駆け付けると、


「!? えっ、何で!?」


照月は驚く、



昨日牛丼を買って消費したはずの100万円が元に戻っている!?



「・・・・・・」


秋月が何度も数え直すが、


「・・・100枚ぴったりあります。」


昨日までは99万8810円が間違いなく部屋に置いてあったはず・・・それがどうして100万円に戻ったのか?


「・・・・・・」


下に挟まれた紙を見ると、



”もっとご自由にお使い下さい”



昨日書いてあった紙には”この100万円はご自由にお使い下さい”と書いてあったはず。


それが今日になって”もっとご自由にお使い下さい”と文章まで変わっていた。



「”もっと”って事は”もっと多く使っていい”って事だよね?」


初月の言葉に、


「恐らく、そう言う事ですね。」


秋月は答える。


「もしかして、消費した金額が少なすぎて100万円に戻ったとか?」


「・・・・・・」



・・・流石にそんな現象は無いだろう。



「そうよね、変なこと言ってごめんなさい。」


素直に謝る照月。


「まぁ、でも”もっと使っていい”って事だから、もう少し食事を豪華にしたいね。」


初月の願いに、


「そうですね・・・でも、あまり使い過ぎると後で持ち主から「返せ!」と言われても困りますので・・・」


あくまで「返せる範囲」の消費を考える秋月。


「照月と初月は何が食べたいですか?」


姉として妹の望みを叶えようとする秋月。


「姉さん、もし構わないなら・・・」


初月が口を開き、


「一度でいいから”間宮さん”の所でお腹いっぱい食べてみたい!」


「間宮さんの所で・・・分かりました、今日の夕食は間宮さんにしましょう!」


意外にも初月の願いが叶った。


・・・・・・


「あら、秋月さんと妹さんも。 今日は珍しいですね♪」


間宮の店に来店、席に座ってお品書きを見る3人。


「おおっ、この生姜焼き定食を食べようかな。」


「うわぁ~、だし巻き卵が載ってる・・・一度いいから食べて見たかったんだ~。」


照月と初月はお品書きのメニューを凝視する。


「そうですね・・・私も、普段2、300円ほどのおにぎりを食べますが、今日は特別に間宮さんのお勧めを注文しますか。」


3人は決まったようで各毎に注文をしていく。



「お待たせいたしましたぁ~!」


間宮さんから注文したメニューがテーブルにずらっと並べられる。


「お、美味しそう!」


「これって・・・夢じゃないよね?」 


照月と初月は目を輝かせる。


「さぁ、皆の注文した物が全部来ましたから・・・いただきましょう!」


そう言って、秋月の掛け声と合わせ、


「いただきます!!」


秋月たちは間宮の食事を満喫した。


・・・・・・


「昨日の牛丼よりも多く消費しました。」


その後、間宮お勧めのデザートを追加注文、3人分のアイスパフェを頼んで口いっぱいに頬張った照月と初月。


「合計で・・・ぴったり、ご、5000円!?」


普通の料亭なら3人で5000円は安い方だが、


「秋月たち・・・とても贅沢をしすぎてしまいました。」


普段から質素な生活をしていたからか、普段の何倍の消費に少し悔やむ秋月。


「照月、このお金を照月の机の上に置いておいて!」


残りの金額を敢えて妹の照月に預ける秋月。


「分かった秋月姉! 机の上に置いておくね。」


そう言って、部屋に戻り鍵を掛ける照月。


「これなら誰かが侵入する心配はないですね!」


秋月は呼び出しや急な任務を含め、迅速に対応するため自身の部屋の鍵は掛けていなかった。


「明日照月から残金を受け取って司令に報告しよう!」


そう言って、床に着いた秋月。


・・・・・・


さらに翌日、


「あ、秋月姉! 大変だよぉ!!」


今度は照月が朝から叫びだし、


「どうしたんですか照月!?」


秋月が駆け付けると、


「!? そ、そんな・・・」


秋月は驚く、


昨日消費した100万円がまた元の金額に戻っていたのだ、しかも下に挟んでいた紙には、



”もっとも~っとご自由にお使い下さい”



「照月は確かに鍵を掛けて就寝しました、鍵は照月と私と初月しか持っていません。」


初月にも確認したところ、鍵は紛失していないとの事。


「秋月姉、何か怖いよぉ。」


使っても使っても元に戻る100万円に秋月と照月が恐怖する中、


「もっと使っていいって事は、「その日のうちに使い切ればいい」って事じゃない?」


「・・・確かに、それは考えられるかも!」


初月の意見に照月は納得する。


「でも、今日中に100万円なんて使い切れる?」


普段から質素な生活をしている3人にとって、急に大金を使う当てもなく、


「いっその事、鎮守府内の仲間に渡したらどう?」


ある意味名案であるが、


「でも、使い切れなくて翌朝元の金額に戻っていたら・・・」


照月はまた落ち込む。


「じゃ、じゃあ今度は僕がそのお金を使ってもいい?」


初月が手を挙げて、


「初月? 何か当てでもあるの?」


秋月の言葉に、


「皆と一緒に飲み会をしたり、欲しかったものを購入したりして何とか使い切って見せるよ!」


初月の提案に、


「・・・本当は誰のものか分からない大金に手を付けるのはよろしくありませんが、この際だから仕方ありません!


 初月! 今日中にこのお金を使って来て!!」


「うん、任せて姉さん!!」



・・・・一体何だろう、このある意味切羽詰まった状況は?



初月は100万円をポーチに入れて部屋から出て行った。


・・・・・・


夕方、


「秋月姉、どうかな? 初月はちゃんとやってるかな?」


「初月から一向に連絡もありません。 今頃皆とワイワイ飲み会でも楽しんでいるのでしょうか?」


「私たちも参加したかったなぁ」と今更ながら本音を言う2人。


「秋月姉、今日の夕食どうする?」


「そうですね・・・昨日と一昨日は豪華な食事を食べられましたし、今日は質素におしることみそ汁にしましょう!」


「おしるこ!? うん、そうしよう秋月姉!!」


今夜の夕食が決まり、2人は立ち上がり台所へ向かおうとしたその時、


「ただいま~。」


初月が帰還、しかし、彼女の表情は暗い。


「おかえり初月! それでどう? 全部使い切れましたか?」


2人が見守る中、初月はポーチを取り出し、


「・・・ごめん、姉さん。」


ポーチから出てきたのは・・・大きな蟹1匹と残りのお金(96万7600円)だった。


「どう言う事、初月?」


照月が問うと、


「皆に飲み会を誘ったんだけど・・・皆予定が入ってて飲み会に行けず、僕が欲しかった・・・


 いや、どうしても食べて見たかった本物の蟹を買いに魚市場まで行ってた。」


「・・・蟹を1匹買うのに夕方まで掛かったの!?」


「だって・・・蟹なんて買った事ないし、本物の蟹を見たら急に買っていいかどうか悩んで・・・


 でも、使わないと行けないし、散々悩んだ末に1匹3万円(税抜き)の蟹を買って来たんだ!!」


初月は使い切れなかったことに謝るが、当の秋月と照月は・・・


「秋月姉、これって本物の蟹、だよね?」


「はい、そうです・・・海にいる蟹です。」


3万円の蟹を凝視する2人、



結局、お金を使い切れなかった問題よりも、蟹の方に秋月たちは目が行ってしまう。



「それじゃあ、入れるよ~!」


蟹の食べ方を仲間から教えて貰い、沸騰した鍋の出汁に蟹を入れる秋月。


「照月と初月、お皿とハサミ持って来て下さい!」


秋月に言われて、すぐに用意する2人。


「・・・これでいいはずです、それではハサミで足を切りますよ!」


そう言って秋月が茹でた蟹の足を順々に切って行き、


「こうやって・・・蟹の身をするっと・・・出ました!」


仲間に教えて貰った通りにやって見たら簡単に蟹の身が出て来て、


「ああっ、こ、これが本物の・・・蟹の身。」


初月たちが未だに信じられなく、蟹の身を見て呟く。


「そうですよ、”蟹かまぼこ”ではありません、”本物の蟹”です!!」


秋月は手際よく他の部位を切っていく。


「それでは・・・今日最高の贅沢と言える 蟹料理!! 頂きましょう!!」


夕食が蟹なだけに、3人のテンションが一気に跳ね上がった。


「はむはむ・・・お、おいひぃ~(泣)」


食べた瞬間に感激する照月、


「おおっ、か、蟹なんて食べる機会は無いと思っていたけど・・・(号泣)」


泣きながら身を味わって食べる初月。


「蟹の味噌・・・とても濃厚で・・・美味しいですぅ~(感動)!!」


秋月も涙が止まらない。


3人は初めて食べるであろう丸1匹の蟹をじっくり時間をかけて味わった。


・・・・・・


「もう十分過ぎると言えるほどに満足出来ました。」


秋月たちはとても満足げだ。


「もう十分ですから、このお金・・・早く持ち主の元に戻って欲しいです。」


そう言って、秋月はメモ書きを取って、


「”本当にご馳走様でした、私たちはもう十分です”、と。」


秋月は書いたメモ書きを残額の隣に置いて置いた。


「これでいいかな? では、明日も早い事ですし、そろそろ寝ましょう!」


秋月は部屋の明かりを消して就寝する。



翌朝、


秋月の机にあったはずの残額が綺麗さっぱりなくなっていた・・・代わりに、



”満足できて良かったね”



の紙だけが残っていた。


・・・・・・


「今日からイベント海域が始まります、照月と初月! 準備は出来てますか?」


秋月の号令に、


「もちろん秋月姉!」


「僕も準備万端だよ、姉さん!」


昨日蟹を食べれた影響か、秋月たち全員がキラキラ化していた。


「行きましょう! 私たち、秋月型防空駆逐艦の力で皆を護ります!!」


秋月たちは各部隊の編成に参加、イベント海域に向けて進軍していった。


・・・・・・

・・・



「ほい村雨、今日の特別お小遣い。」


提督が村雨に特別にお小遣いを渡していた。


「ありがとうございます、提督♪」


村雨は喜ぶが、


「・・・今日も中途半端ですね?」



貰ったお金は7600円、何故こんな中途半端なのか?



・・・・・・


その後、


秋月たちの活躍もあり、イベント海域は無事完了した。


その数日後に秋月は村雨と再会し、間宮の店で一緒に食事をすることになり・・・


「実は、イベント海域が始まる前に不思議な現象があって・・・」


秋月は村雨との付き合いが長く、相談もよくしている。


イベント海域の出撃前に起きた出来事を村雨に相談してみた。


「100万円!? 本当に秋月さんの机の上に100万円があったんですか!?」


村雨は驚きを隠せない、


「はい、しかも紙が挟んであって”ご自由にお使い下さい”とまで書いてあったんです。」


「”ご自由に”って・・・私だったら欲しい服に使っていたのに~!!」


何故か悔しそうに語る村雨。


「・・・・・・」


「あっ、すいません。 それで、そのお金をどうしたんですか?」


「はい、せっかくなので、その日の夕食をいつもは牛丼の”並盛”を特別に”大盛”にグレードアップさせました!」


「・・・・・・」


自分が言った事を少し悔やむ村雨。


「そうしたら翌日に使ったはずのお金が元の100万円に戻っていたんです!」


「元に? 秋月さんか妹さんが足したわけじゃないですよね?」


「はい、そもそも私たちが1万円札を所持していなかったので、足すなんて事は不可能です。」


「・・・・・・」


「しかも、メモ書きが変わっていて”もっとご自由に使って”と書いてあって・・・」


それ以降の不可解な出来事を話す秋月。


「蟹を食べた次の日には、お金が綺麗さっぱりなくなっていて・・・正直ほっとしました。」


「そうですか、秋月さんたちが満足したから消えてしまったのですね。」


話を聞き終えて村雨はある些細な事が気になり、


「最初の日から最後の日まで一体いくら使ったのですか?」


村雨の質問に、


「え~っと確か・・・1日目が約1200円で、2日目がぴったりの5000円、最後の日が・・・


 1匹3万円(税抜き)を初月が買ってきていました。」


それを聞いて、


「あれ? 秋月さんが使った金額の差額・・・何か聞き覚えが。」


それは提督から「特別にあげる」と渡された小遣いだ。


「1日目が8810円、2日目が5000円、3日目が7600円・・・」


あまりにも中途半端だったため、村雨は金額を覚えていたのだ。


・・・・・・


「提督、聞きたいことがあるのですが。」


内容はもちろん、秋月が体験した不思議な現象の事だが、


「ああ、それね。」


提督は驚くこともなくむしろ・・・


「オレだけど、100万円置いたの。」


提督はきっぱりと答えた。


「え? 何故そんな事を?」


村雨は尋ねると、


「1週間前の7月7日は七夕の日だったでしょ?」


「はい、そうですね。」


「買い物帰りに、鎮守府を通ったら外に大きな笹にたくさんの短冊が結ばれている光景が見えてな・・・」


提督は少しずつ事情を話して行く。


・・・・・・

・・・



提督が買い物帰りに鎮守府の前を通ると、


「おや、外に大きな笹が立っているな。」


興味があり、提督は鎮守府に入る。


「そうか、今日は七夕か・・・」


笹には無数の短冊が結ばれており、一枚毎に願い事が書かれていた。


「どれどれ、皆どんな願い事を書いているのかな?」


一体どんな願い事をしているのか、思わず見る提督。


「白露は・・・”もっと一番を目指したい!” ふむ、白露らしいな。」


「次は夕立・・・”もっと活躍して褒めてもらいたい!”、そうか、今度夕立に会ったら撫で撫でしてあげるかな。」


ほとんどの短冊が駆逐艦で、その中に、


「初月? 秋月の妹か。 どれどれ・・・”今年も皆を守り抜く!” 防空駆逐艦らしい決意だね。」


「照月・・・”秋月姉とこれからも一緒に生活したい!”、ふむ・・・照月は姉想いなんだなぁ。」


そう思いつつ、秋月の短冊を手に取り・・・


「・・・・・・」


書いてあった内容は、



”今年こそ・・・お腹いっぱいに食べたい!”



提督は思わず、


「何て切ない・・・」


心が痛む提督。


・・・・・・

・・・



「そして七夕から数日後に、白露たちが店に遊びに来たでしょ?」


「はい、その時白露が何故か落ち込んでいましたよね?」


村雨はその時の事を思い出す。


・・・・・・


「ああ~・・・はぁ~・・・」


店に来るなり白露の口から深いため息をつく。


「どうしたの白露?」


村雨が聞くと、


「白露がお金を落としたっぽい~。」


夕立が説明する、


「・・・一体いくら?」


「1000円っぽい~。」


「あらあら、それはお気の毒に。」


村雨が慰めると、白露がいきなり、


「ああ・・・どこかにお金が落ちていないかなぁ~。」


今度はお金が落ちていないかの催促をし出して、


「今の気分的に、もし、あたしの目の前に1万円があったら遠慮くなく拾っちゃうね、うん、マジで!」


「白露、それは泥棒っぽい~!」


余程落としたことがショックだったのか、未だに暗い表情の白露。


その後も白露の態度は変わらないまま、お茶会は続いた。


・・・・・・


「あの時の会話が裏でも聞こえてね、白露が言ってた”目の前にお金があったら”に閃いたんだ。」


「それで、秋月さんの机の上に100万円を置いたんですか?」


「そう言う事、普段から質素だからたまには「これで贅沢しなさい」な気持ちで置いた(笑)」


「でも、秋月さんたちの寮と部屋には鍵が掛かっていたはずでは?」


「一応オレはあの鎮守府の元提督だからな・・・全部屋の合い鍵は今でも持っているよ。」


そう言って、村雨の鍵を見せる。


「では、3日間もお金を置いたのは?」


「秋月たちの消費が少なすぎたから。 「もっと贅沢していいぞ」とメモを書いて敢えて戻して置いた。」


「・・・・・・」



・・・何と言うか、村雨は驚いたと言うか呆れたと言うか。



「私にくれたお小遣いはもしかして?」


「そう、1万円に戻した時の余った差額を渡したの。」


「成程、どうして金額が全部中途半端なのかと思ったら・・・」


全て納得した村雨。





秋月の部屋で起こった不思議な出来事、


それは短冊に書いてあった秋月の切なる願いに、提督が叶えてあげようとした行為だった。










「机に100万円が置いてあった」 終











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2021-07-08 05:39:01

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2020-10-16 13:39:23

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1: ばんせー 2018-09-19 17:29:49 ID: z-5Wpztw

今まで見たことない感じで面白かったです!続きがもしあるなら楽しみにしてます!

2: キリンちゃん 2018-09-20 20:49:05 ID: 6wdSe60c

ばんせーさん:コメントありがとうございます♪
       続きはまだあって、お金を置いて行った
       人間とその理由は後半で分かりますよ♪

3: SS好きの名無しさん 2018-09-22 21:16:57 ID: Mh0hm7x8

ハングリー

4: SS好きの名無しさん 2018-09-24 07:25:02 ID: -GKfCurH

秋月姉妹に『美味しい』食事を満腹になるまで食べさせたい。

5: SS好きの名無しさん 2018-09-30 17:29:05 ID: 5dtuqRZ8

読売新聞(9月28日(金))7面

💀韓◆国💀

文大統領、国連総会で『慰安婦問題』に基づき日本🇯🇵🎌🗾を非難する演説実施

これは『慰安婦問題』で相互に非難応酬する事の自粛を約した『慰安婦問題を巡る日韓合意』の明確な違反であり、💀韓◆国💀は『慰安婦問題』を『蒸し返す』事を国家として正式に宣言した。と、思料

加賀『頭に来ました。』

6: SS好きの名無しさん 2018-10-01 18:00:44 ID: s7SRmmLW

海上自衛隊

護衛艦『さざなみ』

ソロモン諸島訪問

ガダルカナル島で『遺骨』の受け取り実施

さざなみ『ソロモンよ!!私は帰って来た!!』

7: SS好きの名無しさん 2018-10-13 22:59:39 ID: 5oM4sBrB

元提督なのか現提督なのかよく分からんぞ

8: キリンちゃん 2018-10-14 07:59:30 ID: fWGFUz9b

7さん、

分かりづらくて失礼しました、
このSSは「元提督」です。

9: キリンちゃん 2018-10-14 19:39:06 ID: fWGFUz9b

7さん、
追記:今度からSS書く時は登場人物を書きます。


このSSへのオススメ

3件オススメされています

1: SS好きの名無しさん 2018-09-22 21:16:49 ID: Mh0hm7x8

ハングリー

2: SS好きの名無しさん 2018-09-24 07:24:39 ID: -GKfCurH

秋月姉妹

秋月姉妹に『美味しい』食事を満腹になるまで食べさせたい。

3: SS好きの名無しさん 2018-09-30 17:27:48 ID: 5dtuqRZ8

読売新聞(9月28日(金))7面

💀韓◆国💀

文大統領、国連総会で『慰安婦問題』に基づき日本🇯🇵🎌🗾を非難する演説実施

これは『慰安婦問題』で相互に非難応酬する事の自粛を約した『慰安婦問題を巡る日韓合意』の明確な違反であり、💀韓◆国💀は『慰安婦問題』を『蒸し返す』事を国家として正式に宣言した。と、思料

加賀『頭に来ました。』


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