『トップアイドル』

それは輝かしいステージに立つアイドルの、女の子の永遠のあこがれ…

IA（アイドル機構）はその定義を「あらゆる能力を駆使し、ステージに立ち続ける者」と定めた。

（IAGL『アイドル機構ガイドライン』二項『トップアイドルとは』より抜粋）

すなわち、己のフィジカル、技術、知恵と機転を用い、文字通り「相手を倒し、ステージに立つ」ということである。

アイドル達は技と体に磨きをかけ、想いを拳にかけ相手にぶつけ合い…たった1つのステージを取り合うこととなる

こうして新たなるアイドル戦国時代の幕が上がるのであった…

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…舞台袖に続く関係者通路で、俺はタバコに火をつける…相変わらずマズい一本だ

「プロデューサーさん！！」

担当アイドルが俺のもとに駆け寄ってくる…そんな彼女に俺は、バトキャンとスパドリンクを手渡した。

…この瞬間、俺は自分自身が嫌になる…こんな年端のいかない少女と、他のアイドルを戦わせなければならないことに…

39プロジェクト...それは７６５プロの中の新人アイドル3９人、通称シアター組の中から選ばれたアイドルで行われるトーナメント制公演（ファイト）

この中で勝ち上がった順位によって、今後の活動に大きくかかわってくる...いわば最初の関門だ

この公演（ファイト）を盛り上げるために使われるスパークドリンクとバトルキャンディ、通称バトキャンとスパドリはアイドルの能力や試合後の自然治癒力を高めるもの…いってみれば『悪影響のないドーピング』だ…こんなものを女性に、ましてや年端もいかない少女たちに服用させるなんて正気の沙汰じゃない

だが皮肉にも、AIGL二項の条文は業界に横行していた裏取引や事務所間の癒着を一掃し、より平等な業界間競争をもたらしている...だからこそ、どの機関やプロダクションも文句を言わない...言ってしまえば最後、自らの暗い部分をさらし、業界の中で孤立してしまう

…しかも俺たちみたいな弱小事務所にとってはこの上ないチャンスとなっている...言ってしまえば昨日まで一般人だった新人が、王者を倒す可能性すらあるわけだから、そのチャンスを否定するのは、よほどのバカとしかいいようがないだろう

「…ふろふ～ひゃ～ひゃん？」

担当アイドルが俺の顔を不安そうに見ている…彼女に対し、俺にできることはただ一つだ

「えへへ…くすぐったいですよぉ…♪」

優しく頭を撫でてやる…背の小ささや、その表情からやっぱり年相応の女の子なんだな、と感じてしまう…

『さぁ、間もなくBrand New Live!!が開演します...アイドルの魂のぶつかり合い、最後までぜひ、目を離さずにご覧ください！！』

「よし行ってこい…ステージで思いっきり、輝いてくるんだ！！」

「はいっ！！…プロデューサーさん、わたしのこと、最後まで見ててくださいね！」

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ある者は『ステージで輝くため』

ある者は『夢を叶えるため』に

またある者は『大切な人のため』に...

『戦場』(ステージ)へと一歩を踏み出すのである...

『THE iDOL M@STER MILLION @LIVE！！』

39プロジェクト編

開演ッ！！