2019-08-17 18:33:45 更新

概要

とある吸血鬼のお姉さんと少年の話。
(所謂おねショタ系ってやつです)
※冒頭にドイツ語の詩が入ります。


前書き

はいどうも、黄鼬狐です。
とある吸血鬼系の漫画を見て、
触発されたものを書こうと思いました。
"艦これ"から離れたものではありますが、
お付き合いいただけると幸いです。
もしかしたら、
初の試み故にネタが絞り出しきれずに
お蔵行きになるかもしれませんが、
衝動まかせなものな以上、ご了承ください。
(そもそも着想得てる時点で、
オリジナルと言って良いものか微妙ですが....。)

通常1行間隔
台詞、時間経過など2行間隔
視点切り替え4行間隔
を基本としています。
(重なった場合は大きい数字を優先)

また回想について、
〜が最も強い回想
ーが近いものを思い出す程度の回想と捉えてください。
日本語変だぞとかの指摘は、
随時お待ちしております。
(というか言ってくださるとありがたいです)

それでは、どうぞ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


Heidenröslein



Sah ein Knab' ein Röslein stehn,


Röslein auf der Heiden,


war so jung und morgenschön,


lief er schnell, es nah zu sehn,


sah's mit vielen Freuden.


Röslein, Röslein, Röslein rot,


Röslein auf der Heiden.


Knabe sprach: "Ich breche dich,


Röslein auf der Heiden!"


Röslein sprach: "Ich steche dich,


dass du ewig denkst an mich,


und ich will's nicht leiden."


Röslein, Röslein, Röslein rot,


Röslein auf der Heiden.


Und der wilde Knabe brach


's Röslein auf der Heiden;


Röslein wehrte sich und stach,


half ihm doch kein Weh und Ach,


musst' es eben leiden.


Röslein, Röslein, Röslein rot,


Röslein auf der Heiden.


(Johann Wolfgang von Goethe)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



........熱い....。


....喉が熱い。


灼けるような乾きを感じた。


辺り一面白く靄のかかったような、


イヌバラの花畑を見渡せる城の中で、


冷たく冷えきった石の玉座の上、


私はそうゆっくりと目を開けた。


手も足も鋼鉄の鎖に縛られ、


ろくな身動きの一つも取れやしない....。


.....もう何十年、


いや、何百年眠ったことだろう...?


長い間眠っていたはずなのに、


眠りについた時が、


つい昨日のことのように感じる....。


しかし、目覚めたからと言って、


何かできるわけでもない....。


できることと言えば、


只々長い長い過去を振り返ることぐらい....。


そう言えば....、


最後に人の世に現れたのは、


いつだったかしら....。


そんなことを思い出していると、


ふと、無機質な心の中に、



(...人の世は今、

どんな風になったのだろう?)



(...人が暮らす、

街や村はどう変わったのだろう?)



といったような、


吸血鬼らしからぬ、


興味が湧き上がってきた。


....しかし、やはり、


今はまだ、ただ思うことしかできない...。


このような身では、


淡い興味しか抱くことしかできないんだ...。


そう思いなおして、


私は乾きを誤魔化すかのように、


もう一度眠りに就こうと、目を閉じた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





....................

都内某所



ブロロロロロ......



あるよく晴れた日の朝、


すっからかんとした家の外に、


一台のトラックの音が響く。


その音を聞くや否や、


お父さんとお母さんが急いで外へ飛び出した。



お母さん「あ、どーも。

ここまでお疲れ様です!」



お父さん「では早速始めちゃいましょうか!」



と大きな声での会話が聞こえると、


トラックから次々と荷物が降ろされて、


家の中に運び込まれてきた。


僕の名前は 九鍋 瓜得。


お父さんの仕事の都合で、


今日ここ、東京に引っ越してきた。


元の小学校の友達と別れるのは辛かったけど、


ここでたくさん友達を作って、


いつかまた会ったら、


みんなにも紹介するって約束してきたんだ。


そんなこんなで、


僕も引っ越しの手伝いがスタートして、


僕なりに頑張って色んなものを運んだ。



...........................



......半日ぐらい経ったかな?


漸くドタドタした雰囲気が落ち着いてきた。


......新しい生活に対して、


ちょっとウキウキしていたのか、


僕は業者さんが、



業者さん「ボク、

これはボクには重いんじゃないかな?」



と言った少し重いものまで、



僕「大丈夫!」



と元気よく答えて、


張り切って運んだためか、


僕は作業が終わるとクタクタになっていた。


お父さんたちの方をちらりと見ると、


お父さんたちもかなり疲れたのか、


運び入れたソファーの上で伸びながら、


テレビを見ていた。


伸びていたお父さんが体を起こして、



お父さん「ウリエ、どうだ?

こっちの学校は楽しみか?」



と聞いてきた。


どう答えるかなんて、決まってる。



僕「もちろん!

たくさん新しい友達を作るって

みんなと約束してきたもん!」



と、


クタクタになっているのも忘れさせるくらい、


元気よく答えた。


家族でそんな会話をするうちに、


次第に外も暗くなり、夜を迎えた。


引っ越し作業の疲れもあったのと、


ご近所に挨拶に回るとのことで、


今日は早めに寝ることになって、


まだ月が出たばかりの時間だったけれど、


僕は新しくなったばかりの自分の部屋に行き、


ウトウトと眠りについた....。



.......................



......パチッ



真っ暗な夜の中、


僕はトイレに行きたくなって、


夜中に目が覚めた。


肌寒く、暗い廊下を進んでトイレに着き、


急いで用をたして部屋に戻った。


.....ちょっと怖かったから....。


そして、また布団に入って、


眠ろうとしていた時、



???「〜〜〜〜〜〜!」



外で何か、声が聞こえた。


僕は恐る恐るカーテンを少し開いて、


窓から声のした方を覗いてみた......。


そこには.......。


薄暗く街灯が数本、ポツポツと光る、


小さな公園の中、


散歩の途中であろう一人の男の人が、


まるで気を失ったかのように


ボーッと立ちながら、


その向こうから歩いてくる、


ややウェーブがかかった髪をして、


赤く目を光らせている一人の女の人に、


ゆっくりと距離を詰められていた。


よくは見えなかったが、


その女性は男性の肩を掴んで、


顔をグッと近づけて何かをしていた。


僕は目を凝らしてじっと見ようとした。


その時、


電流が走ったかのような感覚が背中を走り、


その女の人がこちらを見つめていた。


その赤い目を見ると、


何故か体が固まったかのように


少しも動けなくなった。


時間で見るとほんの数秒すると、


その女の人は、公園の茂みを一気に抜けて、


フェンスを乗り換えて、


夜の道は姿を消してしまった。


男の人の方に目を戻すと、


その男の人はまるで


何が起こったのかも理解できない


と言ったような顔をして、


散歩を再開し始めていた。


でも......、その男性の首筋が少し見えて、


そこには二箇所の小さな穴と


血の跡が少し滲んでいた....。


それを見た瞬間、


僕は全身に寒気を一気に感じて、


布団に飛び込み、


早く早くと朝が来るのを待った....。



........................



....チュン チュン



鳥の鳴く声が遠くで聞こえ、


カーテンの隙間から


朝の日差しが差し込むのを感じ、


僕は目を覚ました。


どうやらいつの間にか、


眠ってしまったみたいだった。


目覚まし時計を見ると、


朝の7:00ちょうどをさしていた。


取り敢えずホッとして、


欠伸をしながら伸びをしていると、



お母さん「ウリエ〜!朝よ〜!

ご飯食べちゃいなさ〜い!」



とお母さんの叫ぶ声が聞こえた。



僕「は〜い!今行くよ!」



と返事をして、階段を降り、


リビングへ向かった。



.....................

羽原家・リビング



ガチャ



お父さん「おっ、

おはよう、ウリエ!」



開口一番、


お父さんは僕に元気よく挨拶をした。



僕「おはよう!

お父さん。お母さん。」



僕も二人に向かって挨拶を返した。



お父さん「今日はご近所に

挨拶回りに行くんけど、

お前も一緒に来るか?」



お父さんは続けてそう聞いてきた。



僕「そ、そうだね。

じゃあ僕も行こうかな。」



そう返事をして、


僕も挨拶回りについて行くことになった。


昨日のことを見た後で、


家に一人で留守番するのは、


いくら外が明るくても、


流石に怖いと思ったから....。



お父さん「よしっ!

そうと決まれば早く食べてしまえよ?

遅かったら置いてくんだからな?」



お父さんはそうイタズラっぽく笑って言うと、


自分も朝ごはんをまた食べ始めた。


僕も置いていかれるのだけは嫌だったから、


お父さんに続いて、食べ始めた。



...........



僕「ごちそうさま!」



僕はそう言うと、


食べ終わった食器を台所のシンクに置き、


その後、出かける準備をし始めた。


飲み物...、タオル...、お菓子...、


...後は、本当に効くかは分からないけど、


よくある十字架型のおもちゃの剣も、


自分のリュックに取り付けた....。



お父さん「お〜い。

そろそろ出発するぞ〜。」



玄関で、お父さんが呼ぶ声が聞こえたので、


僕はそのリュックを担いで、


玄関へと走った。



......................



それから家を出て、


お隣さんの若い夫婦や、


お向かいの優しそうなお爺さんと


様々な家に挨拶に回った。


午後に入って、


近くの公園の周りの家にも挨拶に回った。


数件が終わった時、次のアパートを見て、


僕は背筋が凍りそうになった。


なんと昨日見た女性が、


ちょうどアパートから出て歩いてきたんだ。


昨日と違って目は赤くなく、


外国人のような目の色だったが、


顔や容姿から見ると、違いは無いと思う。



お父さん「あ、どうもこんにちは。

昨日近くに引っ越してきた羽原です。

今後ともよろしくお願いします。」



お父さんがそう言うと、


お母さんが手土産を渡した。



女性「あら〜、そうなんですか。

こちらこそよろしくお願いします。

あ、私、ここに住んでる、

ロサ・C・ブリオンって言います。」



彼女はにこやかに挨拶をして、


そう名乗った。



お父さん「へぇ、海外の方ですか?

どちら出身でしょう?」



仕事で海外へ行くこともあるお父さんは、


興味津々な様子でそう尋ねた。



ロサさん「ルーマニア出身です。

ちょっと訳あって、日本に住んでるんです。」



彼女は笑みを崩すことなく答えた。



お母さん「ほら、あんたも挨拶しなさい。」



お母さんがそう言って、僕をつついた。


でも....、



僕「......き、吸血鬼....。」



震えながらも、そう呟いてしまった。



お母さん「もう....。

何言ってるの?この子ったら。

すいませんね〜。

この子、変な本読むことがあるので....。

あ、この子は、ウリエと言います。」



お母さんは苦笑いを浮かべてそう付け足した。



ロサさん「いえいえ〜。大丈夫ですよ。

よろしくね、ウリエ君?」



彼女はそう言うと、僕の頭を撫でてきた。


昨日のような殺気を感じることは全くなく、


寧ろ、その手は優しさを感じるくらいだった。



僕「よ、よろしくお願いします....。」



僕は思わずそう挨拶を返していた。



お父さん「それではそろそろ、

次に向かうので.......。」



とお父さんが言って、彼女と別れた。


彼女は僕たちとは反対方向に歩いて行った。


それから挨拶回りを終えるまで、


頭を撫でられた時の感覚が、


何故かいつまでも暖かく残っていた....。



.......................



翌日、


誰かいれば友達になって遊ぼうと思い、


近くの公園へ来ていた。


休日といっても、少し静かな住宅街なので、


同じくらいの子はあまりいなかった。


何もしないのもつまらないので、


持って来ていたボールで、一人、


壁打ちをして遊んでいた。


しばらく遊んでいると、


入口の方で、ひとりの人影が見えた。



???「あら一人?

お姉さんが相手してあげよっか?」



夏だと言うのに深々とフードを被った


ロサさんが現れた。


昨日のこともあって、


少し怖さが緩んでいたのか、僕は



僕「じゃ、じゃあ、お願いします....。」



とぎこちなく答えた。



ロサさん「うん、いいよ、いいよ。

あと、私に対しては、

あまり敬語じゃなくてもいいからね。

堅っ苦しいのは苦手だからさ。」



と、彼女は嬉しそうに答えてくれた。


そうして僕は彼女に、


暫くキャッチボールの相手をしてもらった。


彼女は楽しそうに僕の相手をしてくれたけど、


その球は女性とは思えない程強かった。


......この人はやっぱり、


一昨日の夜に見た通りなのかな........。


薄れていた不安がまたポツリと湧き上がった。



..............



暫く遊んでもらって、


疲れたから休憩しようという話になった。


木陰のベンチで待っているように言われ、


少し待っていると、


ロサさんがジュースを買ってきてくれた。



僕「あ、有難うございます....。」



若干警戒しながらも、


僕はそう言って受け取ると、


そのジュースを飲み始めた。


それを飲んで、少し落ち着いたから、


僕は思い切って彼女に尋ねてみた......。



僕「....ねぇ、ロサさんて、

.........やっぱり、吸血鬼なの?」



尋ねた後で、僕はハッと思った。


これは聞いちゃいけない事だと、


後から気づいたから....。


......でも、彼女から返ってきた返事は、


予想のかなり斜め上なものだった......。



ロサさん「そうよ。

やっぱりあの時窓から見てたの、

ウリエだったのね。」



と普通の会話をするのとかわらない様子で、


そう言った。


でも、


彼女のその発言とは裏腹に、


僕は怯えが再び沸き起こっていた....。


.......だって、


今目の前にいるのは吸血鬼、


人とは相容れないであろう存在が、


そこにあったから......。


あの時は憶測にしか過ぎなかったけど、


今はそれが事実だとわかってしまった...。


頭の中では理解ができても、


体の方が言うことを聞かず、


怯えはずっと止まらなかった....。


そんな中でも、僕はあることを思い出した。



僕(....そうだ、リュックの中に....!)



僕は隣に置いてあった自分のリュックに


半ば無理やり手を突っ込み、


それを取り出して、


ロサさんの方へ突き出して見せた。


.......少し沈黙が空いた。



ロサさん「......なにそれ?十字架?」



キョトンとした顔で、


ロサさんは僕の方を見ていた。


......あれっ?



僕「おかしいな....?

本には聞くって書いてあったはずなのに....。」



僕は思わずそう呟いた。



ロサさん「....ああ、そういう事ね。」



彼女は何かを察したかのように言うと、



ロサさん「吸血鬼と言っても色々いてね?

私には十字のもの、効かないんだ。」



ロサさんは少し得意そうにそう言った。



僕「....えっ?そうなの?

....なぁんだ。せっかく調べたのに....。」



僕は少しがっかりして、肩を落とした。


すると、ロサさんが、



ロサさん「......あっ!

急に胸が痛くなったわ!ヒデ、助けて!」



と、突然苦しむような様子になった。


僕は焦った。


自分の持ってきた十字架のおもちゃのせいで、


苦しませてしまったと言う


罪悪感を感じてしまったから....。



僕「ま、待ってて!

今誰かを呼んでくるから!」



と彼女の体を引き起こしながら、


そう言った時だった。


突然手首を掴まれた。



ロサさん「....ふふ。

私を退治するために

これを見せたんじゃ無かったの?

........ウリエは優しい子なんだね。」



と彼女は苦しむような様子を見せず、


寧ろ微笑むような顔でそう言った。


そう言われた瞬間、


僕は恥ずかしかって顔が真っ赤になった。



ロサさん「アハハハハ!

かわいいなぁ、ウリエは。

からかい甲斐があるわぁ。」



ロサさんは僕をからかって


楽しんでいるみたいに笑った。



僕「僕今日はもう帰る!」



僕は恥ずかしさに耐えられず、


逃げるようにそう言った。



ロサさん「ありゃ残念。でも仕方ないか。

じゃあね、ウリエ。また遊ぼうね〜。」



ロサさんも手を振りながら、


自分の家の方へ歩いて行った。


......からかわれて少し悔しかったけど、


すごく楽しかったなぁ....。





.....................................

都内某所・深夜



夜もすっかり更けたわね....。


それにしても、


今日はあまり動いてないなぁ....。


いつもならもっと匂いが


するはずなんだけど....。


......もしかして、


活動場所を変えたりしたのかしら......。


そうだとしたら....、まずいわね......。


一刻も早く見つけ出さないと......‼︎


少し焦りを感じた私は、


満月の照らす星空の下、


屋根伝いに移動して、


怪しいと思われる場所を点々と巡った。



............



そしてある場所についた時だった....。


薄っすらと匂いを感じ取った。



私(遂に見つけた......‼︎)



そう確信した私は、


更にその匂いを追う速度を上げた。


そしてもう目と鼻の先にまで、


それが感じられた時、私は驚愕した。



私「.......何...、これ..。」



そこには、


目的の存在は見つからなかったが、


その代わりに、


大量の眷属の置き土産がされていた。


しかもどの人ももう、


かなりの量の血を抜かれており、


もう既に手遅れであろう程に、


吸血鬼化が進行してしまっていた。


......元はと言えば、


私自身が嘗て蒔いた種であるけれど、


私は心底当時の自分と奴を恨んだ。


ただ、今恨んだところで、


彼らはもう助からないだろう......。


私は彼らに対する慚愧の念に駆られながら、


彼らの魂を鎮めるため、


そして、彼らによって起こされる、


これ以上の被害を食い止めるため、


私は彼らへと強襲した......。





...................................

都内某所・朝



僕はその日の朝、いち早く目覚めると、


大急ぎで朝ごはんを食べて、


その勢いのまま外へと飛び出した。


外は風があって涼しいながら、


上には青空に太陽が輝いていた。


そして今日は僕の学校生活が始まる日。


引っ越してきてから、


まだ同じくらいの子と会ってないから、


僕は胸を躍らせながら、


これから通うことになる校舎へと走った。


....その途中、僕はあの人と再びで会った。


深々とフードを被った、外国人の女性。


ロサさんだ。


僕はそう認識すると、


彼女に駆け寄ろうとした。


....でも、彼女と目が合った瞬間、


何故か体が強張ったように重くなり、


それ以上進まなかった。


そんな状態でいると、彼女は


まるで見られたくないというように、


逃げるように足を早めて、僕の真横を、



ロサさん「......ごめん....!」



と一瞬声を漏らして、走り抜けていった。


その直後、体の重みが解かれたので、


ロサさんの方へ振り向いたけど、


彼女の姿はもう見えなかった。



僕(何かあったのかな...?)



そう気になったけど、


初登校の日で遅刻はまずいと思ったから、


前に向き直って、また歩き出した。


....でも、彼女とすれ違った時に、


彼女の服に傷が付いていたりしたのと、


鉄の香りがほんの少しだけしたのは、


気がかりなままだった....。



..................................



その日、


僕は新しい学校で、新しい友達を作った。


初めはあまり馴染めないと思ってたけど、


向こうから声を掛けてくれたから、


その心配も要らずに済んだ。


その友達たちからは色んなことを聞かれた。


「あっちはどんな学校だったのか」とか、


「好きなゲームは何?」とか、


休み時間になるとそんな質問たちが、


目の前に山積みされたみたいだった。


でもそんなこんなで、


僕はすぐに打ち解けることができ、


その日の授業を終えた。


その友達たちと一緒に帰っていて、


途中で僕だけ方向が別れたから、


みんなと別れて小道を抜けた。


道が開けた時、


いつもの公園が目の前にあった。


その時、僕は今朝のことを思い出した。



僕(....そういえば、ロサさん....。)



今朝すれ違った彼女のことが頭を過ぎった。


ロサさんの住むアパートの方に振り返った。


閑散とした住宅街と同じく、


そのアパートも静けさに溢れていた。


その時、ある一室の扉がガチャリと開いた。


そしてその扉の陰から、


たった今、心に浮かべていた


ロサさんがこちらに顔をのぞかせた。



僕「あっ....。」



ロサさんと目が合った。


でもロサさんは、


いつもと至って変わらぬ様子で、



ロサさん「あら、お帰りヒデ。学校帰り?」



と笑顔で尋ねてきた。


僕は今朝のことが脳裏を過ぎりつつも、



僕「うん。今日から学校だったんだ...。」



と答えた。



ロサさん「へぇ、そうだったんだ。

そうだ、ウリエ。ちょっと寄ってかない?」



ロサさんは急にそんなことを口にした。


突然のことに少し驚いたけど、


気になっていたことも聞けるかもしれない


と思ったから、



僕「うん...、じゃあお言葉に甘えて....。」



と少し照れながら応じて、


ロサさんの部屋の方へ足を踏み出した。



........................



僕「お、お邪魔します。」



ロサさんの玄関は


とても綺麗に片付けられていて、


気持ちがいいくらいだった。


僕の家の場合、


片付けの苦手なお父さんの靴が沢山出ており、


比べるのが失礼なくらいだ....。


そんな仕様もないことを考えながら、


靴を揃えて、ロサさんの後について、


廊下を歩いて行った。


その途中、


棚の上の花瓶に飾られていた、


バラのような花の心地よい香りが、


ふっと鼻先を掠めた。



ガチャリ



ドアノブを捻って、


ロサさんの家のリビングへと入った。


入る前は、



僕(ロサさんは綺麗な人だから、

家具とかも、きっと綺麗で凄いのだろうなぁ)



と少し緊張に近い期待をしていたけど、


彼女の家の家具などは、


僕の家で使っている物の雰囲気と似ていて、


少し緊張が和らいで、親近感が湧いた。



ロサさん「どうぞ、どうぞ。座って。

あ、ジュースか何か飲む?

オレンジジュースとかあるけど?」



と、ロサさんは遠慮するなと言わんばかりに


そう言った。



僕「じゃ、じゃあそれでお願いします。」



僕は彼女の勢いに吊られてそう答えた。


でも、答えた後に、僕は少し引っかかった。



僕(.....あれ?

吸血鬼って、血だけじゃなくて、

ジュースとかも、飲むの....?)



そう思った矢先、


ロサさんがお盆を持って、


台所からこちらにやってきた。



ロサさん「はい、お待たせ。

こっちがウリエのね。」



そう言って、彼女は僕の前に


ジュースの入ったコップを置いた。


そして彼女自身は、


赤い液体の入ったコップを持って座った。



僕「ロサさん....?

それって...、もしかして...。」



僕は思わず尋ねてしまった。



ロサさん「これ?これはね....。」



彼女は少しニヤリとして、



ロサさん「........ち....。」



僕は彼女の口が、その形になった瞬間、


僕の中に流れる、


まさにその物が引いていく感じがした。


でもそんな僕を見て彼女は笑った。



ロサさん「アハハッ!

思った通りの反応!

やっぱりからかい甲斐があるわぁ、ウリエは。

大丈夫。これ、血じゃないよ。

抽出したバラの水だから。」



笑い泣き彼女はそう言ったが、


僕は彼女の言ったことにキョトンとなった。



僕「バラの..、水?」



ロサさん「そ。

確かに血を吸うときもあるけど、

必要ないときは、

この水とかワインとかで代用してるの。

別に血しか飲めないとか、

そういうわけじゃ無いからね。」



と、彼女は説明してくれた。



僕「ふぅん...。そうなんだ...。」



僕は曖昧な返事を返した。



ロサさん「さて、

折角きたんだから、何して遊ぶ?」



彼女は話を逸らすかのように、


パンッと手を合わせて、そう聞いてきた。


本当は家に帰ろうと思っていたけど、


最近、ロサさんと居るのが、


少し楽しくなってきていたから、


ちょっとくらい家に帰るのが遅れても


いいかなと思った。



ロサさん「あ、そうだ。

これで遊ばない?」



そう言って彼女は奥から


ゲーム機みたいなものを取り出して、


テレビに線を繋いだ。



僕「それって...!」



ロサさんが自身ありげな顔で


用意しているそのゲームは、


最近学校の友達の間でも、


噂になっていたやつだった。


僕はそれを見た瞬間から、


胸がワクワクしているのが分かった。



僕「えっ!いいなぁ!

僕、それ持ってないから、

一度やってみたかったんだ!」



僕の反応を見るや否や、


ロサさんの顔も綻んだ。



ロサさん「フッフーン!

良いでしょ〜。

そんなに喜んでくれるなんて、

隠れて準備した甲斐があったよ。」



得意げな顔のまま、そう口にした。


どうして僕の為に、


と言う部分は少し引っかかったものの、


ゲームができるという嬉しさが勝って、


その時は特に気にもせず、


ロサさんと遊ぶのに夢中になってしまった。



.............



ロサさんとゲームをして遊んでいるうちに、


徐々に日が暮れ始めて、


夕日が綺麗に輝いていた。



僕「あっ。

僕、もうそろそろ帰らないと。

ロサさん、今日はお邪魔しました。」



あまり遅くなると、


お母さんに心配をかけると思ったから、


暗くなる前に帰ろうと、


僕はロサさんにそうお礼を告げた。



ロサさん「そう。わかったわ。

今日は一緒に遊べて楽しかったよ。

また、今度遊びに来てね〜。」



ロサさんはそう軽い調子で、


玄関を出た先まで、見送りに来てくれた。


その時のロサさんは、


いつになく疲労の影が滲み出ていた...。





...........

その夜



今日は、なんだか倦怠感がひどいわね...。


もう血を吸うのを止めて、どれ程経つかしら...。


でも、再び吸ってしまったら、また.......。


...今日はアイツらの気配が無いから


まだ安心だけど...。


私はそう過去を思い返しながらも、


ついには疲労感に負け、


その日は無意識に眠りについてしまっていた。





..............




朝の支度を終えて、 行ってきますを告げて、


僕は今日も学校へと家を出た。


途中、昨日遊んだロサさんの家が、


目の片隅を過ぎった。


いつもはカーテンが開いていて、


テレビを見ているロサさんの姿が


ちらっと見えることもあるのだが、


今日は全く閉じられており、


昨日のロサさんの様子とも相まって、


少しロサさんが心配になりながらも、


僕は再び学校へと足を早めた。



.................

学校



学校について教室へ向かう最中、


職員室付近で先生方が、


妙にバタバタして慌ただしく


資料の印刷や仕分けをしている姿が目に入り、


気にはなったがチャイムが鳴りそうだったので


早足で階段を駆け上がり廊下を渡った。


教室へ着くとどうやら先生方の姿を見て、


疑問に思った子が複数いたのか、


いつも以上にザワザワしていた。



友達「なあ、ウリエ。

お前も職員室見たか?」



友達の一人が僕に声をかけてきた。



僕「うん、見たよ。

すごく忙しそうだったね。」



友達「違う、そうじゃねぇよ。

あのな...、俺、見ちゃったんだよ、あの紙。

なんでも昨日、血が抜かれた遺体が、

校区内で見つかったから、

保護者の方や地域の人は警戒するように!

って書いてあったんだよ......。」



友達がそう言ったのに対して、


僕はハッとロサさんのことが頭を通り過ぎた。


そう言えば、


昨日のロサさんの様子がおかしかったけど、


もしかしたら......。


そう思うと、



友達「お、おい!どこ行くんだよ!」



と呼び止める友達の声を置き去りにして、


僕は教室を飛び出して、


ロサさんの家へ走りだしていた。



..........................



はぁはぁ......、着いた。


やっぱり、


ロサさんの家のカーテンは閉め切られている。


今朝感じた違和感が


当たってしまっているのかもしれない。


思えば思うほど、


不安な気持ちが強くなり、


階段を駆け上がってロサさんの家のチャイムを


「お願い、出て...!」


という気持ちいっぱいで押していた。



ピンポーン、ピンポーン



チャイムが無機質に鳴り響いた。


......返事はない。


留守なのかと思いつつも、


もう一度チャイムを押そうかと思ったその時、



ガタン!ガラガラガラッ!



部屋の中で何かが落ちるような、


大きな音が響いた。



「ロサさん!どうしたの!?」



僕は思わず声を張り上げて聞きつつ、


扉のノブを下げて入ろうとした。


しかし、鍵かかってなかったのか、


余った自分の力引きずられるかのように、


その時のロサさんの、



ロサさん「入ってきちゃダメ、ウリエ!」



と言う声も虚しく、


部屋の中へ倒れこむように入ってしまった。


そこで顔を上げた時、


僕は以前来た時とは全く異なる、


あまりの異様さを持ったロサさんの部屋に、


吐き気を覚えるくらいだった......。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



私が再び目を覚ました時、


強烈な喉の渇きを覚えた。


それも、玉座の周りのドッグローズの紅が、


美味しそうな血溜まりに見えてくるほどに。


その時にはもう、


手足の拘束なんて意味を成さなかった。


鎖ごと手足を玉座から引き剥がし、


地面に四つん這いになり、


イヌバラの花畑に顔を埋めて、


血を啜るかのように這いずり回った。


しばらくすると、前が見えなかったため、


ふと何かに顔がぶつかった。


半分飛んでいるような意識の中、


顔を上げた。


.............人間だ。


................ニンゲンダ...!



.............................



どのくらいか経って気がついた時、


私はその亡者の前、


顔を周りと見紛うほど紅く染めて、


雲ひとつない青い空を仰いでいた。


なにが起こっていたのかなんて......、


自分でも思い出したくなかった。


自分がやったことだと信じたくなかった....。


それでも目を落とせば、


その事実が嫌でも自身に叩きつけられた....。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



男「私はあなたに一目惚れしました。

知っていますか?イヌバラの花言葉は

(無意識の美)。まさに私はあなたの美しさに魅了されました。」



そのニンゲンの姿を視認するや否や、


私は衝動と欲望に駆られるがまま、


首筋に牙を立てて飛びついた。


なぜ私のいるところに来れたのか、


そんな事は考える暇もなく、


その瞬間だけは、


私にとって彼は「エサ」でしか無かった。


首筋に飛びついた瞬間から、


私の牙を彼の紅い血が濡らし、


辺りにもたくさん飛び散った。


彼が倒れた周辺の、


赤色のイヌバラの棘にも飛び、


まるでもう数輪、


同じ紅い花が開いたかのように見えた。










後書き

文の進み具合が亀でごめんなさい。
休んで以来、調子が戻りません。
さらに言うと、今後の展開も明確でないです。
......ほんと、どうなるんでしょうね。

最近「はくちゃ」というピアノとスマブラを主にしてるYoutuberにハマってます(本人の許可済)。下ネタとかが多い方なので見る人は選びますが、面白いので気が向いた方は是非見てあげて...下さい。(僕自身もよくコメントしてます。)

卓球のサークルで、城崎温泉に旅行に行きました。外湯を巡ったり、丁度花火が上がったり、翌日にマリンワールドを行ったりと、存分に満喫できました。


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2件コメントされています

-: - 2018-10-08 23:11:56 ID: -

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-: - 2018-10-09 17:15:26 ID: -

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