2018-09-29 02:16:23 更新

概要

横須賀、先進医療病院地下の極秘装甲保存室で、叢雲と提督、大鯨の会話が続いていく。

少しだけ出てくる、叢雲と提督の過去。


前書き

※執筆中です。
9月29日、一度目の更新。

先進医療病院の地下で、提督と叢雲の過去や、提督の謎、第二参謀室長の不可解な記録等の話が展開していきます。
この話の通りだと、どうやら提督は叢雲の裸を見ているような・・・?


第七十八話 快晴、のち災い・中編




―2066年1月9日、ヒトサンマルマル(13時)過ぎ。横須賀先進医療病院、地下装甲保存室。


提督「当初の艦娘と深海の戦いは、ある意味人の心の葛藤にも似ていた気がする」


叢雲「えっ?」


提督「あくまでおれの想像に過ぎんがね、人の心の葛藤・・・矛盾に対してどのような答えを出していくのか?それの、可視化された戦いのようにも見えていた」


―この人は時々、とても難しい事を言う、と叢雲は思っていた。提督は叢雲を見ているが、その眼は自分を透過して、はるか遠くを見ているような気がする時がある。


叢雲「ごめん、分かりやすく教えてもらう事はできる?」


大鯨「・・・私も、もう少し聞きたいです」


―提督は二人を見て、それから少しだけ考えた。


提督「そうだな、叢雲、おれのもとで秘書艦として働くことになってすぐの夜の事を覚えているか?」


叢雲「秘書艦になってすぐ?・・・あっ!・・・あの・・・夜の事?」ボッ


大鯨「?」


―叢雲は耳まで真っ赤になってしまった。


提督「茶化すつもりは何もない。ただ、例えとしては分かりやすい局面かなと思ってさ。あんな時、普通は人の心は葛藤し、心の中で闘争する事になるだろう。欲望と誇りのせめぎ合いだ」


叢雲「ま、まあそうよね。アンタがどうだったかはまた別の話だと思うけれど」


大鯨「・・・あの、すいません何の話ですか?」


提督「総司令部の上層は叢雲の命を人質にすることでおれを提督にしようと考えたわけだが、同時に、叢雲に様々な無茶を命じていたんだ。かつてのおれの任務から、おれをサイコパス扱いして、高速修復材があるのだから好きなだけ切り刻まれろと命令していたり・・・」


叢雲「積極的に寝室に行き、どんな行為でも望まれれば受け入れろ、と命令されていたのよ」


大鯨「ああ・・・やっぱりそうだったんですね?提督さん、本当は私たち、戦力であると同時に、人質なのでしょう?」


叢雲「えっ!?」


提督「・・・なぜそう思う?」


―提督は慎重に対応したが、完全には驚きを隠せない様子だった。


叢雲(隙があるわ。信用しているのか、わざとそう見せているのか・・・)


大鯨「あとでお話します。すいません話の腰を折ってしまって。続けてもらえますか?」


叢雲「・・・まあ、実際はうちの司令官の心はとても疲れていたし、疲れていなくても、そんな事をする人じゃなかったの。でも、普通の男の人なら、ああいう時は葛藤する、と言いたかったんでしょ?で、艦娘と深海の戦いは、まるでそのようなものだと言いたいわけね?」


提督「そういう事だな」


大鯨「提督さんのその理解の仕方は、おそらく正しいです。本来の深海は、もしかすると艦娘の一部なのかもしれませんから」


提督「ん?それはどういう意味だ?一部?鏡像のような物ではなく一部だと?」


大鯨「私も、確信をもってすべて語れるわけではないのです。でも、自分の『本体』と触れた時に確かに感じました。まるで、制御できる自分の心の一部を、あえて切り離して自由にさせているような・・・」


提督「・・・なるほど」


―提督は何かを考えるように腕を組んだ。


提督「つまり、深海棲艦も本来は艦娘の一部であり、艦娘側の深海棲艦の制御の仕方・・・何らかの考えで自由にさせられている可能性がある、という事か。対等ではなく、許容して葛藤させている?意味が分からんな・・・いや・・・」


―提督の眼に、微かに鋭い光が現れたのを、叢雲は見逃さなかった。


叢雲「何か気付いたの?」


提督「艦娘は何か、自分たちではどうにもならない問題か、致命的と言っていいストレスを抱えている可能性があるのか?」


大鯨「・・・私が感じたのは、限りなく諦めに近い希望でした。提督さんの言っている事、何となくわかります。きっとそんな感じです」


提督「なるほど・・・だから他者が、いわば提督が必要だという可能性が出てきたな。そうすると確かに、今の深海がしている事は・・・」


大鯨「はい。おそらく艦娘の意図するところから離れつつあります」


提督「人間の業のなせることだな。全く・・・」フゥ


―しかし、叢雲はこの話の流れの中で、別の事が気になった。


―致命的なストレスを抱えているから、欲望の方面に自分を解放してもやむなし、という理解の仕方。それは提督がそのような気持ちだから理解できるという事ではないのか?だとしたら・・・。


叢雲「ねぇ、もしかしてあんた、あの時、私が思っている以上に色々な事を考えていたの?」


提督「むしろ何も考えないと思うか?あの状況で」ニヤッ


叢雲「あっ、そうだったのね?茶化したりは・・・」


提督「してないさ」


叢雲「・・・そ、そう」カアッ


―叢雲は再び顔を赤らめた。思っていたより提督には「葛藤」があったという事らしい。


大鯨「えーと・・・もしかして、叢雲ちゃんは提督さんに裸で迫るくらいの事をさせられたんですか?」


叢雲「まあ・・・そういう事よ・・・」


大鯨「でも、何もなかったんですね?」


叢雲「そうね。私も驚いたわ。でもあれからよ、私が司令官の事を冷静に見られるようになったのは」


提督「そうか?あの時の怯えたような、諦めたような叢雲の表情は、おそらく一生忘れられないだろうと思っていたんだがな。それなら良かった」ニコッ


叢雲「ああもう!」


―苦しみと混乱の中で必死だった日々は、今はそう悪くない思い出になりつつある。


大鯨「提督さん、それは深海化の危険を考えて、という事ですよね?」


提督「それもあるが、それ以前にあんな表情の叢雲に何かできるほど、おれは無神経じゃない。あまり心が疲れると、他人の痛みにも敏感になる、それだけだよ。痛みや苦しみや苦悩は、誰のものであれうんざりだ・・・」


大鯨「そうなんですね?」ニコッ


提督「だがもちろん、だからと言って葛藤が零というわけではないけどな。そういう事さ」


―提督は恐ろしい姿の深海生命体の収納されたカプセルを見つつ、そんな事を言った。


叢雲「でも、あんたの場合は気配りでそんな事を言ってる場合もあるから、話半分に聞いておくわ」ニコッ


提督「まあ、解釈は自由だよ」


―いつの間にか叢雲も、提督より半歩ほど下がった位置で普通に深海生命体のカプセルを見ている。


大鯨(ああ、気付いてないんですね。・・・普通は、こんな簡単にこういうものに適応できません。でも気付かずに自然にそうなってしまっている。まるで人間みたいに。私の『原器』が言っていたのは、おそらくこの提督さんで間違いないですね・・・)


提督「ん?何か言いたい事が?」


大鯨「いえ。提督さん、人間の深海化のサンプルの閲覧はこんなところで良いですか?一応、ここはこれでも低レベルの施設なのです」


提督「これ以上の、これ以外の施設もあると?」


大鯨「はい。あと三つ。『艦娘矯正施設』の地下に眠る、広大な『地下特別獄舎・深海棲艦解体・実験棟』と、『特務初号幽閉獄舎』、そして『運営』の管理する『閉鎖格納庫』・・・通称『シャッタード・ハンガー』です。これはオフレコで渡される情報だという点に留意してください」


提督「待ってくれ、『特務初号幽閉獄舎』だと?」


大鯨「はい。でも、矯正施設の地下以外は、流石に所在地まではわかりません」


提督「うちの鎮守府が存在している島には、どうもその特務初号の痕跡が散見されている」


大鯨「あっ!そうなんですね?所在は確認されましたか?」


提督「いや、まだだが、心当たりがないわけではない」


叢雲「学校とか、山城さんが落ちた穴ね?」


提督「そうだな。怪しすぎる」


大鯨「・・・そこにはおそらく、何体かの危険な深海棲艦や、深卒艦娘、そして、佐世保の榛名さんが幽閉されているはずです」


提督「しんそつ艦娘?何だそれは?大学でも卒業したのか?まさかな」フッ


叢雲「そんなわけないでしょう?」


大鯨「強力な深海の姫を撃破して現れた艦娘です。何も私たちと違いは無いはずなのですが、深海棲艦だった頃の恐れにより、着任ではなく幽閉されているのです」


叢雲「えっ?それは勝手な話じゃない?うちの鎮守府だって、深海棲艦から反転した子、いるわよ?」


提督「増員組はほとんどそうだよなぁ?・・・しかし、頭では分かっていても心がそれを受け付けない場合はある、か。それにしても、初期の就活に失敗してしまうと色々と不利になる点は、そのまま新卒の・・・」


叢雲「やめなさいよ」


提督「ふむ」


大鯨「そういう事です。大切な仲間や秘書艦を沈めて失わせた深海棲艦を討ち破って、そこから仲間が現れたとしても、何の感情も無く受け入れるのは、時にはとても難しい事だと思いますから」


叢雲「同じ艦娘の二人目を受け入れるのだって難しい事はあるんだもの。無理も無いわね」


―叢雲は提督が連れてきた金剛の事を思い出していた。そして、ある事に気付いた。


叢雲「待って、それはうちの鎮守府では喉から手が出るほど欲しい、貴重な艦娘がいる可能性が高いんじゃないの?」


大鯨「そうですね、その可能性はあります」


提督「悪くないな。そろそろ探索と調査の頃合いか」


大鯨「それと・・・提督さん、一つだけ教えてください。どうして提督さんの攻撃はこれほど深海化生物に通ったのですか?戦車砲弾でさえろくにダメージが通らない深海化生物に、提督さんの攻撃だけは極めて有効でした。高い提督適性をお持ちの方でも、このようにはなりません」


叢雲「えっ?」


提督「言っている意味が分からないが・・・」


大鯨「先ほどの青山先生からのデータの中に、『ゼロ号』の能力評価試験のものがあります。戦車砲弾も、比較的適性の高い提督さんたちの銃撃や斬撃でも、有効なダメージを確認できませんでした。艦娘の攻撃と、提督さんの攻撃だけが、『ゼロ号』の体組織に極めて有効なダメージを与えられたのです」


叢雲「何ですって!?」


―叢雲は提督のほうを見たが、提督は怪訝そうな顔をしていた。


提督「いや、心当たりはないぞ?ましておれなど、艦娘とはかけ離れた側の存在だろうし」


大鯨「それは、『ゼロ号』の体組織の損傷状態にも現れています。艦娘の攻撃によるダメージは、その後わずかに再生しようとした痕跡が見られますが、提督さんのは・・・」


叢雲「ちょっと待って、見てみるわ。これかしら?・・・あら?」スッスッ・・・スッ


―叢雲はパネルの資料画像をスライドした。


提督「ん?これはどういうことだ?」


―提督が『ゼロ号』につけた傷は、本来の損傷よりもわずかに範囲が広がって見えた。銃撃も斬撃も、その傷口が少しだけ蒸発したように無くなっている。艦娘の与えた損傷は再生しようとして本来のものより小さくなり、提督のものは広がっているように見えた。


大鯨「心当たりはありませんか?」


提督「いや、まったく」


叢雲「どういう事なの?」


大鯨「解析班にもわからなかったようです。提督さんに何かそういう適性があったのだとしか」


提督「わからない事ばかり増えていくな・・・心当たりねぇ・・・ん!?」ハッ!


叢雲「何か思い出したの?」


提督「そういえば、確か最初は妙にダメージが通らなかった。しかし、こいつに左肩を噛まれた後だ。こいつの動きが一瞬止まり、それからおれの攻撃が妙に通るようになった。最初はタイヤでも斬ってるようだったが、途中から肉の手ごたえに変わった気がする。銃弾も通るようになったな」


叢雲「噛まれたの!?」


提督「何とか両目潰した後だ。どうもイルカや蝙蝠みたいに別の知覚力があるようでな、こちらの隙を突かれた。・・・あれ?あの時肩を噛み砕かれた気もしたが・・・いや、よくわからんな?」


叢雲「両目って・・・」チラ・・・


―少し離れたキャニスター内に安置されている『ゼロ号』は、確かにその両目がえぐられ、恐ろし気なくぼみになっていた。


大鯨「・・・」ゴク・・・


―一方で大鯨は、提督と叢雲に気取られないようにしていたが、静かに高揚を感じていた。この提督のもとでなら、かつての仲間たちを沈めた深海に、その行いの代価を払わせられる。今は虚ろな影のように静かな提督には、この底知れない戦闘能力が秘められているのだ。そしてもう一つ。


大鯨(青山提督には陸奥さんがいましたが、『原器』の言う事が本当なら、きっとこの人は『誰も選ばない』人のはず。心からお仕えしますね。どれほど恐ろしい戦いを経ても、提督さんが眠れるように。それが『原器』との約束でしたし・・・)ニコ


―見ようによっては古巣から一人で出されたようにも見える大鯨だったが、幾つかの確信が心をとても落ち着いた状態にしていた。


提督「熱くなりすぎたせいかな、どうも思い出せない」


―提督は戦いの詳細を思い出そうとしたが、それは夢のようにおぼろげだった。本気で戦うといつも記憶がぼんやりとする。


大鯨「提督さんの攻撃は深海に通る。・・・今はそれだけでいいんじゃないでしょうか?それだけでも、艦娘の立場としては武運に恵まれているように思えますから」ニコニコ


提督「すまないな」


大鯨「いいえ~」ニコ


叢雲(何だか妙に親し気ねぇ)


―大鯨は叢雲の視線に気づいた。


大鯨「叢雲ちゃんの邪魔はしないから大丈夫ですよ~?・・・それに、私の勝手な推測ですけど、もしも提督さんが誰か艦娘と関係を持つとしたら、なんであれ叢雲ちゃんが一番最初になる気がします。違いますかぁ?」ニコニコ


叢雲「えっちょっ・・・えっ!?」アセアセ


―これは、叢雲がたまに提督の性格を推し量ってする想像の一つと見事に合致し、叢雲は焦った。


大鯨「うふふ、どうですかぁ?提督さん♡」


提督「大鯨ちゃんはおれの性格をよく観察している気がする、と言っておくよ」フッ


―決して理解とは言わないらしい。


叢雲「あっ、あんたまで何言ってるのよ!」


大鯨「ね?たぶん、叢雲ちゃんが提督さんを嫌わない限り、きっとそれはいつか起きる確定路線ですね♡」ニコニコ


叢雲「・・・でっ、でも実際、この際だから言っておくけれど、へ・・・変な気は使わないでほしいわね」


提督「分かってるよ。こういう事は難しいものだ。なんであれ、な」


大鯨(わあ、何だかいいですね!でも、今のままではきっといつか、提督さんはとても苦しくなりますね・・・)


―大鯨は、堅洲島に憲兵がおらず、それどころか他の鎮守府に行われるような、定期的な風紀調査さえ一切なされない理由も知っている。


提督「大体こんなところか。大鯨ちゃん、ここの管理もやはり政府系かね?」


大鯨「はい。ここも先進医療病院も、大元は第二参謀室系から資金が出ています。ただ、最近は傷病提督の団体が基金を設立してここの政治的な部分に第一参謀室、つまり、今の元帥が所属されていた純粋な海防部の干渉を強めていますから、そのおかげで私も提督さんもここに入れる、という事になりますね」ニコ


提督「実際のところ、第二参謀室はなぜ深海に寄っているのだろうな?」


大鯨「それについてはこれからお話します。ついてきてください」


―コツコツコツ・・・


―ふんわりした雰囲気のわりに、提督には微かに武の気配の感じられる足音と共に、大鯨はフロアの隅のがらんとした区画に進んでいく。


提督「ここは?」


―およそ60センチ角で格子状に溝の入った金属の壁が続いている。


大鯨「特殊帯と空間ハンガー技術を使用した機密カルテの保管場所です。提督さん、壁の適当な場所に手を触れて、私の言う識別番号を念じて下さい。CPDS-ST-U8-20640128-5455664」


提督「諒解した・・・」


―ヴンッ・・・ガーッ


叢雲「えっ?壁から書類棚が?」


―壁から出てきた書類ケースには、緑色に点滅する一冊のカルテが浮いていた。


大鯨「カルテの隅に特殊帯コードがあります。それを読み取って、棚を速やかに戻してください」


―カルテの端の特殊帯コードを読み込ませた。


提督「見ても?」


大鯨「構いません」


提督「・・・ん?・・・ほう、これは興味深い」ニヤ・・・


―『神尾雄二・・・神尾第二参謀室長、2064年1月、合併肺繊維症による肺不全により、余命宣告さる。終末医療体制を整え、自宅療養に切り替える。2064年9月、病状の回復により復命。以降通院履歴は無し』


―提督は神尾第二参謀室長のカルテに目を通していった。


提督「この状態からの回復は世界的に見ても希少らしいな」


大鯨「はい。幾つかの臓器は臓器プリンター技術や再生医療で何とかなりますが、肺はまだそんな技術はありません。まして、肺不全はほぼ死の一歩手前です。その状態から復帰して元気に任務をこなすというのは・・・」


提督「ありえんよな」


叢雲「元帥の言っていた件ね?つまり、もしかしたら深海の技術で肺を何とかした可能性があると?」


大鯨「古田元帥はそのように疑念を持たれているとの事です」


提督「洗ってみる価値は大いにあるな。ただの政治的な争いなら、関りはごめん被るが、これはそうではなさそうだ。・・・ところでこのカルテのCPDSはそのままの意味かな?」


―CPDS・・・軍属と政府関係者しか使わない言葉で、『深海と接触した人々』である「People in contact with the deep sea」のアナグラム(字列変換)されたコードだ。


大鯨「はい。確か、提督さんも・・・」


提督「ああ。交戦記録があるよ。神尾参謀室長はどのような?」


大鯨「病を押して指揮を執り、大規模侵攻時に戦闘中行方不明になり、そこから帰還しています。その後『深海に兵力無し』の意見書を出し、第二参謀室長に返り咲いたのです」


叢雲「そんな人が上層部に!?」


提督「何らかの取引をしたか。・・・しかし、おそらく深海とはそれ以前から関りがあったと見るべきだな」


大鯨「はい。1月に終末医療に切り替えて、行方不明になったのは8月ですから、何らかの確信があって前線に出たのでしょうし、出られるだけの状態には自分を維持できていたと考えるべきですよね」


提督「つまり、政府かどこか、海防部より上層には、深海とパイプがあると考えるべきか」


大鯨「そうなりますね」


叢雲「なんてことなの・・・」


―叢雲は絶句した。大規模侵攻だけでも無理に近いのに、身内の敵も強大な可能性が出てきたのだ。思わず提督を見る。


叢雲(えっ?)


―しかし、提督は薄笑いを浮かべていた。


叢雲(どうして?)


提督「なかなかどうして、おれの抜擢はよく考えられた方法だったみたいだな」


大鯨「青山て・・・先生は仰ってました。『裏切り者を探すのが得意な方』と」


提督「そう得意な訳ではない。許せないだけだよ。なぜかな?裏切る奴には独特の『匂い』があるんだ。裏付けを取るだけさ」


叢雲(あなたが一番わからないわ。恐怖は無いの?どうして嬉しそうなの?)


―叢雲は少しだけ、提督について妙な想像をした。たくさんの二つ名を持ち、提督を知る人々は様々な事を言う。そのどれもがその人なりに正確で、そして一面に過ぎなかった。それらを全て集めても、この不敵で虚ろな司令官の本当の姿を全く浮かび上がらせていないような気がしたのだ。


―『艦娘として忠誠を尽くすのは良いわ。ある程度の好意を持つのもいいでしょう。でも、誰も実態を知らないこの男を知ろうとすれば、おそらくあなたは死ぬ事になる。だから程々にする事ね』


―自分と提督を引き合わせた、いけ好かない女のエージェントが言っていたことだ。


―叢雲『死ぬ?なぜ?』


―『さあ?わからないわ。そうしようとした者たちは死んだ。それだけよ。理由は無く、結果があるだけ』


大鯨「どうしました?叢雲ちゃん?」


叢雲「あっ、ううん、何でもないわ」


提督「・・・おれに何か聞きたい事が?」


叢雲「えっ!?何でよ?」


提督「・・・そんな気がしただけだよ」


叢雲(なんて勘をしているのかしら?)ドキドキ


―叢雲は忘れている。提督になれる人間は認識の幅が常人より広いという事を。以前の提督はほぼ常人に近い程度の適性だったため、叢雲にはそれが分からないのだ。


提督「おおよそ、こんなところかね?」


大鯨「はい。私自身のかつての鎮守府で何が起きたかは、提督さんの鎮守府に戻ったらお話させていただきますね」


提督「諒解した」


―提督たちは先進医療病院を出ることにした。


―スタスタスタ・・・クルッ


提督「・・・」ニヤ・・・


―大鯨と叢雲の後ろを歩いていた提督は、エレベーターに向かう前に静かに振り向き、おそらくまだ活動を停止していないはずの深海生命体の保存筒を見やり、静かに笑った。しかし、大鯨も叢雲も、それには気付いていなかった。


後書き

イベント皆さんどうだったでしょうか?今回はE5第二ゲージまで甲でしたが、もうモチベーションが保てず丙に落としてクリアしてしまい、掘りを楽しんでおります。

イベントは楽しいのですがどうも億劫になってしまいますねぇ。


このSSへの評価

4件評価されています


SS好きの名無しさんから
2018-10-06 17:42:48

SS好きの名無しさんから
2018-10-02 00:13:00

SS好きの名無しさんから
2018-09-30 14:36:24

SS好きの名無しさんから
2018-09-29 06:16:30

このSSへの応援

5件応援されています


SS好きの名無しさんから
2018-10-06 17:42:42

SS好きの名無しさんから
2018-10-02 00:13:04

SS好きの名無しさんから
2018-09-30 14:36:21

SS好きの名無しさんから
2018-09-29 07:56:49

SS好きの名無しさんから
2018-09-29 06:16:31

このSSへのコメント

5件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2018-09-29 06:18:24 ID: C2hhghBh

読売新聞(9月28日(金))7面

💀韓◆国💀

文大統領、国連総会で『慰安婦問題』に基づき日本🇯🇵🎌🗾を非難する演説実施

これは『慰安婦問題』で相互に非難応酬する事の自粛を約した『慰安婦問題を巡る日韓合意』の明確な違反であり、💀韓◆国💀は『慰安婦問題』を『蒸し返す』事を国家として正式に宣言した。と、思料

加賀『頭に来ました。』

2: SS好きの名無しさん 2018-09-29 07:59:01 ID: 0GjlHigp

更新ありがとうございますm(_ _)m
続きが気になりますねぇ~

3: みがめにさまはんさみかたき 2018-09-30 11:30:31 ID: GIJBYjcD

まぁぁぁぁぁっって!ましたァ!

4: SS好きの名無しさん 2018-10-01 17:39:54 ID: s7SRmmLW

海上自衛隊

護衛艦『さざなみ』

ソロモン諸島訪問

ガダルカナル島で『遺骨』の受け取り実施

さざなみ『ソロモンよ!!私は帰って来た!!』

5: SS好きの名無しさん 2018-10-01 22:01:45 ID: s7SRmmLW

旭日旗

小野寺防衛大臣

💀韓◆国💀『済州島』で開催される『国際観艦式』に招待された海上自衛隊の艦船は『旭日旗』を使用する。と、明言

国際法上、当然の話である。


このSSへのオススメ

1件オススメされています

1: SS好きの名無しさん 2018-09-29 06:19:56 ID: C2hhghBh

読売新聞(9月28日(金))7面

💀韓◆国💀

文大統領、国連総会で『慰安婦問題』に基づき日本🇯🇵🎌🗾を非難する演説実施

これは『慰安婦問題』で相互に非難応酬する事の自粛を約した『慰安婦問題を巡る日韓合意』の明確な違反であり、💀韓◆国💀は『慰安婦問題』を『蒸し返す』事を国家として正式に宣言した。と、思料

加賀『頭に来ました。』


オススメ度を★で指定してください