2019-01-07 19:46:37 更新

概要

ss初投稿作品です。

文法等が変な所があったので再構成してまた投稿しました。

基本的に艦娘,、深海棲艦が艦船に乗って戦闘するアルペジオ方式で書きます

語彙力が無く、文法がおかしいところがたくさんあります

設定の改変が多めなので苦手な方はブラウザバックをお願いします。


前書き

登場人物

提督(本名 周防倫也)
階級:海軍大尉から少佐へ昇進
このssの主人公。魚雷艇船長だったが、ひょんなことから艦娘部隊の指揮官、提督になってしまう。

元帥(本名 本山英夫)
海軍のトップ。ミリヲタと車ヲタ。

球磨型軽巡洋艦4番艦大井
提督の秘書艦。有能。

間宮
伊良湖と共に鎮守府の皆の食事を作っている。

伊良湖
間宮と共に鎮守府の皆の食事を作っている。

明石
装備の開発や艦の整備を行っている。
あとなんか変な道具を作ったりしている。


[プロローグ ]




2021年3月、人類、突如海から現れた深海棲艦によって制海権を喪失した。

各国は持てるだけの海洋戦力をかき集め深海棲艦に決戦を挑んだ。


太平洋上で各国艦隊は合流、空母18隻、駆逐艦約300隻、他にもフリーゲート艦や大昔の戦艦までも動員し総勢500隻を超える大艦隊を編成。深海棲艦の拠点のある太平洋南部で人類史で最も大きな海戦が行われた。


しかし多国籍艦隊は深海棲艦に大した損害を与えられなかった。放った無数のミサイル群は迎撃され、大口径砲から放たれる徹甲弾も強固な装甲に弾かれた。人類が持つ兵器はまったく深海棲艦には効かなかったのである。



その後の深海棲艦側の反撃により殆どの艦船と乗組員が海の藻屑となり、生き残った数少ない艦は散り散りに逃走した。


人類はこの決戦で保有している艦隊戦力のほとんどを失い、近海の防衛も満足にできなくなった。


シーレーンをズタボロにされ、多くの船舶と船員が海の底へと消えていった。


沿岸部では深海棲艦の対地攻撃が連日のように続き、人々に大勢の死傷者と恐怖、絶望を与え、内陸部では深海棲艦の海上封鎖により食料が手に入れられず飢餓に陥っていた。


そして南太平洋での決戦から10ヶ月あまりが過ぎた…




[2022年1月中旬 ]




倫也(船長)side


倫也「ふあああああ」

基地の司令棟からあくびをしながら出る。さっきまでそこでする意味がわからないテスト?検査?をしていた。変な人の形をしたマスコット?のようなものを見せられ、担当の大本営の士官に「これが見えますか?」と言われた。そして「見える」と言ったらそこでテスト終了。

んな意味の分からんテストやる暇あったら深海棲艦に勝てる新兵器でも新たに開発しとけよ。そう思いながら宿舎の方向へ歩いていると…


ヴーヴーヴー


倫也「うわぁ!!!」


基地にあるスピーカーから警報が鳴った。

いきなり鳴り始めてすんげえびっくりした。


「深海棲艦の小規模艦隊、この基地に向け、侵攻中。距離35000。編成は駆逐イ級5隻。魚雷艇第一中隊、第二中隊発進用意。」

特に重要な情報だけをを聞きながら自分の乗艦に乗り込み、出航準備を整える。


機銃の弾、実戦テストとして配備された新型魚雷、燃料が満タンまで積まれているかを確認し、いざ出港。僚艦十数隻と共に侵攻してきた敵へ向かう。


敵との距離約20000


倫也「これより敵艦隊に対し突撃し、肉薄雷撃を行う。全艦突撃」


全艦突撃の命令を出した直後、すぐに船体が加速する。船窓から外を見ると皆、大きな水しぶきを上げながら海上を疾駆していた。


距離約10000


敵艦のシルエットが完全に見えた。第2次世界大戦の時の護衛駆逐艦のような形だ。船体の色は黒だが、ところどころが赤く、妖しく光っている。こちらが敵を目視したのと同時に発砲炎が閃いた。どうやら敵の射程距離に入ったようだ。速度で敵の照準から逃れているが、距離が近づくほど敵の砲弾による水柱が多くなってくる。

すんごい怖い。この海戦で俺死ぬんじゃねえの?そんなことを考えてしまった。


少し経ってから爆発音が聞こえた。あわてて外を見ると1隻の船が火柱を立てていた。敵艦の砲弾が当たり、魚雷に誘爆したのだろう。


それにしてもすごい爆発音だ。新型魚雷の炸薬量がいかに多いかが分かる。


距離2500


先程から更に数隻が沈められたが、まだ戦闘を継続するだけの戦力は残っている。


それに加えてそろそろこちらの魚雷の有効射程圏内に入る。逆襲の時間だ。魚雷の信管、誘導システムを調整し、

倫也「艦隊を単横陣に」


訓練通りスムーズに艦隊運動をし、それぞれの射点につく。


倫也「魚雷、撃ち方用意」魚雷の照準を敵艦に向け、「魚雷発射管1番2番、てー」


射手「魚雷発射管1番2番発射!」パシュ


圧縮空気の音と共に船の前を黒い影のような物が航跡を見せずに進んでいく。


数十秒後


魚雷が敵艦へ到達する頃だ


射手「誘導ワイヤー切断」


射撃手「我が魚雷、敵艦に到達まで5、4、3、2、1」


緊張と高揚感で手汗が出まくって止まらない。


射撃手「0」


敵艦に大きな水柱が数本立った。







水柱がなくなってその場にいた者たちが見えたのは驚愕の光景だった。


被雷したはずの敵艦は無傷だったのである。


確実に防御の弱い喫水線下に、前の魚雷より炸薬量が数倍多い新型魚雷を数本当てた筈だ。なのになぜ…


新型魚雷が効かないのであれば作戦続行は不可能だ。逃げるしかない。幸いこちらの走力は45キロノット、敵の走力は21キロノットとこちらの走力の方が2倍以上の差がある。ふっ、俺たちの艦隊に付いてこれるかな?


倫也「残存している船はこの海域から撤退。基地に帰投しろ。この船が殿を務める。」


敵の砲がこちらを向いた。


倫也「両舷全速!之字運動!かわせ!」

さすがにこの速度差があれば敵弾からは逃れられるだろう…と思っていた時が僕にもありました。


弾は敵が撃つごとにこちらの近くに落ちるようになっていた。


そして、避けること数分。

船員「我が船の後部に至近弾。エンジンルームに浸水しています」


もはやここまでか

倫也「今の座標とSOSの信号を基地に送信した後総員退艦」


乗組員「「了解」」

指示を出している間にも敵は近づいている。


ドン

砲声が鳴る。船の両隣に弾が落ちた。莢叉だ。

多分、敵がまた撃ったらこの船は直撃して乗組員と一緒に海の藻屑となるだろう。

俺は覚悟を決めた

ドン

また砲声が鳴る。が、砲弾がこちらの方向に来ない。

逆に敵艦の周りに水柱がいくつか立つ。


それと同時に正体不明の約6隻の艦が、黒い煙を煙突からもうもうと上げながら敵へ突撃している。

見たところ現代の艦ではなく、WW2の時の船の形をしている。


70年以上も昔の艦が、現代のイージス艦や空母………空母機動部隊1艦隊総かかりでも1隻も沈められなかった深海棲艦に突撃するなんて自殺行為だ。


それにあのような形の艦は皆解体されて殆ど残っていない筈。


俺は酷く混乱した。


その混乱している間にも謎の艦艇群は砲撃しながら突撃している。

砲弾が何発か深海棲艦に直撃した。


信じられない事が起こった。

深海棲艦が傾斜をしながら燃えているのである。

人類の兵器では大きなダメージを与えられなかったのに。


傾斜したイ級は燃料や弾薬に引火したのか、轟音を立てて爆沈していった。


残った深海棲艦はイ級が沈んだ事に動揺したのか撤退した。


と、ここで救助の飛行艇が飛来してくる。尾翼のマーキングからして近くの基地から来たものだろう。


深海棲艦を撃退した謎の艦艇群をもっと観察していたかったが、


機長「早く乗れ。石油の補給が来ないせいでこれの残燃料がカツカツなんだ」


と、言われ諦めざるを得なかった。


[~数日後~基地司令執務室にて~ ]


先日の戦闘結果などの細かい報告の為に基地司令執務室に来た。


倫也「先日の戦闘報告をしに参りました」


基地司令「了解した。と、その前に君の目が充血して真っ赤だが大丈夫か?」


昨日、仲の良かった同期が、深海棲艦の攻撃によって死んだと聞いてずっと号泣したんだ。そりゃあ目が赤くなるのも当然か……


倫也「ご心配はいりません。この戦闘でこちらの被害は魚雷艇が8隻沈没。40人が戦死。この損害によりこの基地では大きな作戦行動が出来なくなりました。そして新型魚雷も深海棲艦には効果はまったくありませんでした」


倫也「しかし、突如現れた謎の艦艇群が深海棲艦を1隻撃沈。その他を撃退しました」


基地司令「新型魚雷が効かなかったか…あれほど実戦に出しても意味がないと工廠の連中に忠告したのに。そうだ、深海棲艦を撃退した艦艇の形はどうだった?」


倫也「第一次世界大戦から第二次世界大戦時の艦艇に似ていました。ですがそれが何か?」


基地司令「そうか…やっとアレが実戦投入されたか。ならあれを君に渡さなければな」


なんかぼそぼそ呟いている。アレ?実戦投入?


倫也「さっきからボソボソ呟いて…なんですか?」


基地司令は顔をあげてとんでもないこと、俺からしてみれば信じられない事を言い始める。


基地司令「悪いな。さて、君に転属を命じる。」


基地司令「そして、君を新設される部隊の指揮官に任命する」


新しく新設される部隊?


基地司令「新兵器、艦娘の指揮官だ」


いやちょっと待て。艦娘とはなんだ?新兵器?もしかしてこの間の海戦で深海棲艦を沈めたあの艦艇群のことか?

基地司令に聞いてみる。


倫也「艦娘ってあの深海棲艦を沈めた兵器の事ですか?」


基地司令「そうだ。とりあえず大本営に向けて明後日のマルナナマルマルにここから出発しろ。そこで艦娘についての詳細を元帥から教えてもらえる」


元帥?あの今海軍でトップの権力を持っているとされるあの元帥?

あまりに話が急でついていけん。もしやこれは夢オチなのか?起きたら深海棲艦も居なくて平和な世の中なのか?違いますね。ハイ。基地司令の前だし、アホみたいなことを考えるのはよそう。


倫也「あの元帥ですか?」


これが現実だと思えなくて司令に聞き返してしまう。自分みたいな現場指揮官が元帥と面会するとか、ほとんど機会がないから仕方がない。


基地司令「どの元帥かは知らんが、海軍のトップの方の元帥だ」


基地司令「それで、これが辞令だ。くれぐれも元帥に失礼のないようにしてくれ。新天地でも頑張れよ」


倫也「了解。確かに辞令を受け取りました。今までお世話になりました」


そう言い俺は基地司令執務室から退出した。




〜明後日 東京 大本営前〜


やってきました大本営!イエーイwwwウェ―イwww

とかノリノリで言いたいところだが、俺は今ガチガチに緊張している。それもそのはず。海軍のトップ、元帥と面会するのだ。

これで緊張しない人が何処にいるのだろうか。


倫也「よし!」

気合を入れて俺は建物の中へ入った。高級ホテルのエントランスのような玄関には赤いカーペットが敷かれており、その両脇から廊下がのびていた。基地司令から手渡された元帥の執務室の位置が描いてある地図を見ながら歩く。意外に建物には人がいなかった。

建物に入ってから元帥の執務室はすぐ見つかった。

重厚な雰囲気のドアを数回ノックする。重い音が鳴った。


???「どうぞ」

力強い声がドアの向こうから聞こえる。


倫也「失礼します」

と言いながらドアを開ける。ドアが結構重い。材料何使ってるんだろ。

そんなことを考えながらドアを開けた向こうは雪国…ではなく絵に描いたようなミリタリー&車オタク部屋だった。


壁を埋め尽くしている本棚とショーケースにはミニカーや戦車、軍用機のプラモデルが埋め尽くされており、木製の執務机の上には書類と雑誌が開いたまま置いてあった。

執務室をじろじろ見ていると不意に声をかけられる。


???「ソファーの方へ来てくれないかな」


やっべ、部屋の装飾に気を取られていた。


倫也「失礼しました。部屋に気を取られていました」


そう言いながら部屋のドアの前からソファーの方へ向かう。


???「俺は本山英夫だ。君も知っているだろうが海軍で元帥をやっている。よろしく」


そう言い、手を出してくる。こちらは最敬礼をしながら所属と階級を述べた。


倫也「自分は第5中部魚雷艇基地所属、周防倫也大尉でしゅ…です」

噛みまちた☆元帥の前でやっちまったぁ!恥ずかしい!布団に入ってうわああああああってやりたい。

元帥をみると爆笑している。


???→元帥


元帥「あっはっはっはっは。君は面白いな。此処に招いてよかったよ」


倫也「なぜ自分は元帥に招かれたのでしょうか」


元帥「先日、君が指揮したという戦闘記録を見させてもらった」


倫也「それがどうかしたのでしょうか」


元帥「君たちの部隊は敵艦に新型魚雷数本を命中させた。しかし、敵は無傷だった。違うかね?」


俺が指揮をとって敗北に終わった戦闘について話し始めた。どういう意図で話しているのかが解らない。

はっ、もしかして指揮のミスをして作戦に失敗したからそれで左遷しようとしている?クソッなぜ気付けなっかたんだよぅ俺!……まあ、そんなことはないですよね。


倫也「はい。その通りです。しかし、それが何か?」


元帥「従来型の魚雷よりも直径が1.5倍、炸薬量が2倍以上に増えた新型魚雷や新型対艦ミサイルなどの最新兵器を人類が作っても深海棲艦にはまったく歯が立たない」


元帥「そこでだ。我々はさらに新たな兵器、艦娘を造り出した。とはいってもいきなりむこうが現れただけなのだがね」


艦娘?勝手にむこうが現れた?何だそれは?話の意味が分からない。


倫也「すみません。艦娘とは何ですか?」


元帥「さて、君は艦娘について知りたいのだろう。ここに資料がある」


元帥は俺に軽い文庫本のような厚さの紙束を渡してきた。表紙には『艦娘の扱いなどについて』と書かれている。


元帥「艦娘は唯一深海棲艦に対抗、圧倒できる人類側の兵器だ。形状、種類については5ページに書いてある」


5ページには6隻の船の三面図が描かれていた。形はWW1~WW2の巡洋艦、駆逐艦によく似ている。というかそのままだった。三面図の横には『大井』『電』『叢雲』『吹雪』『五月雨』『漣』とあった。まさか…


倫也「まさかと思って聞きますが、WW2当時の艦をまた建造してそれを前線に出すのですか?旧式の軽巡洋艦や駆逐艦6隻で?さすがに無茶が過ぎます!」


元帥「君はまだ知らないとは思うが、この6隻は特別なのだよ。君はその6隻と1回遭遇している」


倫也「もしかして、先日の戦闘でイ級1隻を撃沈したあの艦艇群ですか?」


元帥「そうだ。それが君を此処に招いた理由だ」


元帥「君にこの艦艇群の指揮を頼みたい」


倫也「自分はまだ大尉ですよ?それに前回の作戦だって失敗して多くの部下を失いました。」


元帥「しかし、君にはそれを補って余りある才能がある。これを見てくれ」


元帥は先日の戦闘の前のよくわからないテストで見た変なマスコットが、執務室の奥のドアから出てきた。身長が、160から170くらいだろう。着ぐるみかと思ったが動きが着ぐるみよりもスムーズだった。


変なマスコット「私たちは、妖精と言います。私たちは艦娘の砲を操作したり、艦載の偵察機を動かしたりしています。特に私は球磨型軽巡洋艦、4番艦、大井の水雷長を務めています」


………あれ、艦娘って人間が乗艦して操作するんじゃないの?…混乱してきた。最近混乱してばっかだな。


変なマスコット→水雷妖精


大井水雷長妖精「私を貴方は見ることが出来るのですね?」


倫也「はい。そうです」


大井水雷長妖精「この艦娘を指揮できる人間は貴方しかいません。私たち妖精は通常の人には見えないようになっています。そこで先日、軍の全ての施設であるテストが行われました」


先日の出撃前の謎のテストは妖精が見えるかのテストだったんだ…やっと分かった。


大井水雷長妖精「提督になるためには、まず妖精が見えなければなりません」


大井水雷長妖精「海軍で妖精が見える人はほんの数人しかいませんでした。妖精は心が優しく、信念が強い人にしか見えません。その中でも現場指揮官で士官だった貴方が提督として、相応しいとなったわけです」


妖精とやらの話も終わったようで


元帥「では、これが転属の命令書だ。明後日マルナナマルマルに江田島鎮守府の提督として着任してもらう。それとこれが君の昇進に関する書類だ」


昇進?提督の役職では大尉では駄目なのか?


元帥「君は何故今昇進なのか、という顔をしているな。提督と名乗るためには、少佐以上でないとなれない。君はまだ大尉だっただろう?」


俺の心を読んだ………だと…貴様、俺に何をしたぁぁぁぁ!!!

まあいいや。おふざけもやめておこう。さて、提督業、というのは難しそうだが、昇進した上自分しかできる人がいないのなら頑張ってこなそう。というかこなすしかない。こなさないと人類滅ぶ。俺に人類存亡の重荷が課せられた、ということか。緊張とプレッシャーが降りかかってくる。重荷が降りかかりすぎて体が地面に埋まりそうになった。埋まってそのまま沈み続けたらブラジルまで行けちゃうよ!やったね!


倫也「りょ、了解しました。明後日マルナナマルマルに江田島鎮守府へ着任いたします。失礼いたしました」


緊張や重圧のせいで若干震える声を出しながら元帥へ敬礼をし、俺は元帥の執務室から退出した。

まじでこれからどーしよ。


倫也→提督


〜翌々日 江田島鎮守府庁舎前〜


そして俺は庁舎の前へ来ていた。緊張する。

やっぱり新しい職場とかに来ると、中に入りづらいよね!


提督「すーはー」


とりあえず深呼吸をし、ドアを開けて建物の中へ入る。


元帥からの指示書によると、艦娘は埠頭にいるそうだ。同封していた地図を見ながら埠頭へ向かう。


切串埠頭には大昔の駆逐艦や軽巡洋艦が6隻停泊していた。その前には6人の少女が直立不動で敬礼をしている。うん?少女?

その内の少し薄い緑色のセーラー服を着た、周りの少女と比べて年長に見える茶色の髪の少女が話しかけてくる。

こういう時はアレだが、この敬礼している6人全員、美少女と言っていいレベルの可愛さだ。………なんでこんな最重要軍事機密がありそうな所にこんな少女がいるのかのう。


???「貴方が私達の提督ですね?」


提督「ああ、そうだ。俺がこの呉鎮守府を預かった提督だ。それで君たちは?見たところ軍属では無いようだが」


???「私たちは艦娘です。もしかして元帥さん、もしくは水雷長妖精からなにもお聞きになっていないのですか?」


大井水雷長妖精「てへぺろっ☆」


さっき俺に話しかけた少女のそばに控えていた妖精が、舌を出してウインクをする。確か一昨日会った妖精だったはずだ。てへぺろっ☆可愛いけどちゃんと艦娘について教えてください。ホウレンソウ大事でしょ?艦娘が女の子なんて聞いてないんだけど?俺女子と話すの滅茶苦茶苦手なんだが…ホントにこういう大事なこともっと早く言っとけよ畜生!

俺が脳内で一昨日会った妖精にお小言とか愚痴を言っていると、さっきの少女がまた話しかけてくる。


???「では艦娘やこれからの作戦についてはこの後執務室で。此処だと少し寒いので移動しましょう」


提督「そうだな。そうしよう」


混乱した中では大した思考もできない。それに冬の埠頭なだけあって滅茶苦茶寒い。とりあえず私たちは艦娘と名乗る少女に付いていくとしようか。


~提督執務室前~


???「こちらです」


茶色の娘が執務室のドアを開けてくれた。

元帥の部屋ほどではないが大きな部屋だ。執務机が2つと応接セット、壁には棚が備え付けてある。そして1つドアがあった。

なぜ執務机が2つあるのだろう?


???「あちらのドアは提督の私室です。この鎮守府で勤務している間は、あの部屋で寝泊りをしてもらいます。」


提督「了解した。鍵がかかっているようだが開けてくれるか?」


???「了解しました」


私室は大体一人暮らし用のワンルームくらいの大きさだった。台所や風呂がない為、食堂や共用風呂に入るのだろう。

築30年のアパートみたいな部屋になのかと思っていたが安心した。

明日には、前に所属していた基地から荷物が届くので夜には掃除をしておこうか。

そんなことを考えながら提督執務室へ戻ってきた。


???「では私たちの自己紹介と説明をしましょう」


提督「ああ、そうだな。じゃあ俺からいこう。俺の名前は周防倫也少佐という。呼び方は提督で構わない。つい先日まで魚雷艇部隊の指揮官をやっていた。これからよろしく頼む」


とりあえず無難な自己紹介をする。もっとなんか陽キャ(笑)とかリア充(笑)とかはこういう時にボケたりするのだろうが、おれは生憎人付き合いとか異性と話すこととかが苦手だ。マジで艦娘と話すときとかどうしよう。高確率でキョどって愉快なガールズトークのネタにされて笑われるまである。……中学の時に実際に言われてトラウマになっているので、やめていただきたい。


トラウマを思い出して脳内で悶えていると茶髪で年長そうな少女が話し始める。


大井「艦娘側は私から。私の名前は球磨型軽巡洋艦、『大井』です。提督、よろしくお願いします」


そのあと後ろに控えていた娘が話し始める。


・黒髪で何処にでもいそうな中学生みたいな娘が『特型駆逐艦1番艦吹雪』

・銀髪のロングで大胆な格好の娘が『特型駆逐艦5番艦叢雲』

・ピンク色の髪のネットスラング多めの娘が『特型駆逐艦19番艦漣』

・ドジっ子そうな茶髪アップヘアの娘が『特型駆逐艦24番艦電』

・ドジっ子そうな青髪ロングの娘が『白露型駆逐艦6番艦五月雨』

といった。


大井「あと給糧艦間宮、伊良子が食堂に。工作艦明石が工廠にいます。」


…特型とドジっ子多くないですかね。

あとでその3人にあいさつでも行くか。


また、艦娘に関して大井と大井水雷長妖精から説明があった。


~艦娘について~


・進水した時から、沈んだとき、解体されたときまでの艦としての記憶はある。しかし、なぜ70年以上もたった日本に艦娘として現れたのかが分からない。

・艦は艦娘の魂へ格納することが出来る。

・艦娘が深海棲艦と戦闘する場合、魂から艤装と艦を展開しなければならない。

・艦娘は基本的に人間と同じ生物である。食事や睡眠を取らないといけない。

・なぜ少女の格好をしているのかというと、航海の安全を願う神である船魂は女の神であるとされているため。

と言われた。



~鎮守府の施設について~


・江田島鎮守府は深海棲艦の空襲、政府の『内陸疎開政策』によって無人島になった江田島を基地、泊地化したものである。

・埠頭は24隻の艦を停泊することが出来る。

・修理用ドッグは4つ。その他、装備品生産用の工廠棟がある。装備品積み替え用の埠頭は6つ

・航空機を駐機させておく大型飛行場、水上機基地が島内にある。

・その他主な建物は装備庫、艦娘寮、そして今ここにいる司令棟の3つである。

・艦の整備などは基本的に妖精がやってくれる為、鎮守府にいる人間は提督以外はいない。


元帥と面会した時はもっと艦娘についてしっかりと話しておけばよかった。

自分でも提督の業務が正直何か分からない。今のところ海戦の指揮、作戦立案、艦娘のメンタルケアをすればいいのだろうか。

大井からそのことについて連絡があった。


大井「提督は基本的には書類仕事、大本営との折衝などをします。また、提督1人では負担が大きい為秘書艦がつきます。これからの秘書艦は、この中の艦娘で一番大型艦である私がやります。また戦略レベルの作戦立案に関しては大本営がするので、提督は戦闘時の陣頭指揮や戦術レベルの作戦立案だけで大丈夫です」


提督業に関してはある程度分かった。

提督「了解した。今日までに終わらせなければいけない書類はどのくらいある?それと駆逐艦の皆は今日は自由にしてくれ」


駆逐艦「了解しました。失礼しました」


駆逐艦たちが退出したが、生憎この鎮守府には娯楽が無いに等しい。暇だろう。どうにかしなければいけないな。


大井「持ってきました。結構ありますね」


…………はっ、一瞬フリーズしてしまった。紙の厚さがヤバい。多分2キロくらいあるのだろうか。

恐る恐る紙をめくってみる。


『艦娘の過去に関する報告書について』


過去の戦訓を深海棲艦との戦いに生かすため、艦娘と面談。たい戦いの内容をレポートにして提出。だそうだ。今日までに終わんねえよ。次。


『日本沿岸の、深海棲艦掃討作戦』


再来月中旬までに鎮守府は、深海棲艦を日本近海から駆逐。分断されたシーレーンを再建するようだ。

鎮守府へ着任してすぐ、このような大きな作戦があるとは驚いた。同封された作戦スケジュールは敵泊地の偵察、攻撃などがツメッツメで入っている。


…これは皆を集めてミーティングした方が良いな。


提督「えっと、大井……さん」


思いっきりキョドった。やだっ!ワタシ!恥ずかしい!


大井「えっと、私は大井と呼んで下さい。提督は私達の上司なんですから」


提督「分かった。大井、今日のフタマルマルマルに皆を呼んでくれ。ミーティングを行う。場所はこの執務室だ」


大井「分かりました。あの、言い忘れていたのですが、この鎮守府にはミーティングルームがあるんです。案内しましょうか?」


正直、工廠等の重要施設の位置などはすぐに把握しておきたい。それと書類の山から逃避したかった。何故、あれだけ厚い書類を今日中に処理しなければならないのか。鬼!悪魔!大本営!深海棲艦!


提督「ああ、頼む。それと工廠と食堂にも案内してくれないか?明石と伊良湖にも挨拶をしておきたい」


大井「了解です。こちらへ」


大井の後に付いていく。ミーティングルームは執務室と同じ階だった。

ドアを開けると大きなモニターがあり、その横には机、その前には沢山のパイプ椅子と長机がある。高校の視聴覚室と言えば大体の部屋のイメージがつくだろう。


提督「大井、ありがとう。じゃあ次は工廠に行くぞ」


大井「了解しました……と言いたいところですが、ココからだと食堂の方が近いです。食堂に行ってからにしましょう」


提督「それなら食堂に行ってからにするか」


大井「食堂で何か食べてみてはどうですか?もう少しで昼食ですし」


そう言われて腕時計を見る。

ヒトヒトサンゴー……もうそんな時間か。


大井「それに伊良子さんと間宮さんの料理は、すごくおいしいですよ」


提督「なら食堂で昼食を食べるか」


大井「艦娘寮の1階にあるので1回外に出ましょう」


また大井についていく。

ミーティングルームから数分くらい歩いたところで艦娘寮へ到着した。

大きさはアパートくらいか。寮と聞いて、つい防衛大学校とかの寮を思い出してしまった。


大井「こちらの部屋です」


提督「失礼します」


中には駆逐艦娘5人娘がテレビを見ていた。

こちらには気付いていないようだ。いきなり話しかけて彼女たちをびっくりさせるのも悪いので、俺は反対側にあるカウンターへ向かう。


カウンターの奥には割烹着をつけた女性が2人いる。この人たちが伊良湖さんと間宮さんなのだろうか。


提督「こんにちは。今日付けで提督として着任した、周防倫也と言います。よろしく」


女性1「こんにちは、貴方が提督ですね。私は給糧艦間宮と言います。戦闘艦ではないのでやれることは少ないですが、よろしくお願いします」


ブラウンの髪を赤いリボンでまとめている人が間宮。間宮、間宮……覚えた。続けて黒髪を赤いリボンでまとめている女性が話しだした。


女性2「私は伊良湖と言います。私も戦闘艦ではなく、補給艦なのでやれることは少ないですが、精一杯がんばりますのでよろしくお願いします。」


この人が伊良湖…伊良湖…伊良湖。うん覚えた。「こう覚えた」とか言っていて人の名前間違えたら恥ずかしいな。


提督「2人ともよろしく。ところで何か食事はないのだろうか?」


間宮「食事は、カウンターの横にある自動販売機で食券をもらって下さい。ちなみにココでの食事はタダですよ」


カウンターの横には、学校の食堂にあるような自動販売機が置いてある。カウンターに行くまでなぜ気付かなかったんだろう。

自動販売機にある昼食の欄には、『とんかつ定食』『今日の定食』の2つがある。少なすぎやしませんかね。

……まあいいや、なんとなく今日の定食にしようかな。

俺は今日の定食の食券をゲットし、給糧艦sがいるカウンターへ向かう。


間宮「今日の定食ですね。番号札を持ってお待ちください。10分くらいで出来上がるので」


俺は一番近くの椅子に腰かける。と、テレビを見終わったのか駆逐艦娘たちが自動販売機のまえにとりついて、とんかつ定食にするか今日の定食にするかワイワイしながら話し合っていた。皆元気よのう……


間宮「提督、今日の定食が出来上がりましたのでカウンターへお越しください」


提督「ほい」


カウンターで間宮から定食をもらう。


間宮「今日の定食は生姜焼きにキャベツ、白米にお味噌汁です。食べ終わったら右にある返却カウンターにお盆を戻して下さい」


提督「ああ、ありがとう。じゃあ美味しく頂くよ」


俺は間宮に礼をいい、テーブルに戻った。戻った……


漣「あ、ご主人様、こんちはー」


テーブルには駆逐艦娘五人衆が揃っていた。うん?ご主人様?


漣「今日の定食は生姜焼きだったんですね。やーご主人様お目が高い。間宮さんと伊良湖さんのコンビが作った生姜焼きは本当に絶品なんです!まあ、漣はトンカツ定食にしたんですけどね」


提督「ほーん、でなんでお前俺のことご主人様って呼んでんだ?なに?お前将来メイド喫茶への就職を目指してんの?」


漣「はっはっは、ご主人様何言ってるんです?」


なんか空笑い&真顔&マジトーンで言われた。ちょっとイラッとした。


提督「………もういいや」


この後も駆逐艦達が話しかけてきた。それを俺はまあ、うん、無難に返した。多分なんか変なこととか地雷とかを踏んでないはず。きっと…踏んでないよね………

艦娘と喋っていたせいでいつも15分くらいで食べ終わる食事が、食べ終わるまで1時間くらいかかってしまった。

俺は駆逐艦sと給糧艦sにあいさつをし、食堂を出た。

食堂のドアの前には大井が待っていた。


提督「悪い、遅れた。皆としゃべるのに夢中になって…」


大井「提督、駆逐艦の子と長くしゃべりすぎです。この後にも明石とのあいさつと書類仕事があるんですから」


ちょっと頬を膨らましている。つい可愛いと思ってしまった。


提督「分かってる。さて、じゃあ工廠へ行こうか」


大井「分かりました。こちらです」


工廠は2、3分くらい歩いたところにあった。

工廠というだけあってかなり大きい。1辺400メートルくらいあるのではないか?施設は新しく、外壁はピカピカだった。

あれ、この国って慢性的な資材不足だったよな。なんでこんな大きな施設造れたのかな。元帥の権力の力かな?権力すごい。将来の夢、元帥にしよ。


大井「提督、そこで立ち止まらないで中へ入りますよ」


などとクソどうでもいい事を考えていたが、大井は気にしないで工廠の中へ入っていく。

……まあ、俺より古参なのだからそのあたりも説明されているのだろうか。親に置いて行かれた迷子みたいになって工廠の周りをうろうろするのも上司としてみっともないので、大井に付いていく。


提督「分かってる。今行くよ」


工廠の中は第二次世界大戦期の砲や飛行機、機銃などが所狭しと置いてあった。

ミリヲタとか、戦史評論家とかが此処に来たら狂喜乱舞しながら兵器達の元へ走って行くだろう。


提督「ふよぁぁすげぇ!写真撮ろ、写真!」


大井「あっ、提督!工廠の中では走らないで下さい!」


俺もつい、兵器がある方向に狂喜乱舞しながら駆け出してしまう。

しょうがないじゃん。提決とかHoi4とか昔やってたんだもん。砲とかが嫌いな男の子なんて居ません。


提督「わーってる。大丈夫だよ」


と思っていた時が僕にもありました。

工具箱に足を引っ掛けて派手に転ぶ。

ケツがクソ痛い。


提督「痛!」


大井「ぷっ、くくくくく」


大井が必死に笑いを堪えている。

自分一人でコケても痛みがいっぱいと羞恥心を少々感じるだけだが、人に見られながらだと痛みより羞恥心が勝つ。

大井、鎮守府の奴らに言いふらさなければいいなぁ……着任1日目で早くも俺の沽券が下がった。


大井「提督、大丈夫ですよwww言いふらしませんwww」


大爆笑しながら大井が言った。ふぇぇ、恥ずかしすぎるよぅ…

あと、爆笑しながらだと説得力が全く無い。


ダン


???「うわあ!びっくりしたぁ!」


あ、なんか奥のドアから誰か出てきた。

あの人が明石かな?ピンク色の髪をしていて、水色のシャツの上にセーラー服を着ている。


明石?「あ、大井、こんにちはー。あれ、大井、この人は?」


大井「ああ、まだ紹介してなかったわね。あの人が新しく着任した提督よ」


大井が俺の紹介をしてくれる。正直、俺は初対面の女性と話しかけるのが苦手なタイプなので嬉しい。


提督「ああ、俺は今日付けでこの鎮守府に着任した周防倫也という。よろしく」


明石「私は工作艦、明石です。よろしくお願いします。工作艦というのは主に艦艇を修理する艦ですね。小破以下の損害ならドックに入れることなく修理できます。あとは主に工廠で装備品の開発や整備をしています。私は基本、工廠にいるので気軽に来てください」


提督「わかった。それで工廠の中を回ってみて良いかな?」


明石「……分かりました。私は奥で仕事をしているので用があれば声をかけてください」


大井「ちょっ、提督!書類仕事ちゃんとしてください!」


え?書類仕事?いえ、知らない子ですね!俺は書類仕事はせん!やったら負けだ( ー`дー´)キリッ


提督「書類仕事?知らん!俺は逃げる!」


大井「待って下さい提督!」


俺は床に散乱している工具類に少し躓きながらも工廠から外へ走る。その後を大井が追う。

明石は(この人が私達の提督なのか)と思いながらそれを見ていた。


そのあとすぐ俺は大井に捕まえられ、執務室へ連行された。

……最前線に配属されている軍人にすぐ追いつく艦娘ってどんな身体能力してんだよ…もう艦娘から逃げたりするのを止めよ。

書類の山と格闘しながらそんなことを考えていると、執務室のドアが開いた。ドアを開けたのは先ほど内線を受けて部屋から出て行った大井だった。20枚くらいの紙を持っている。


大井「提督!すみません。事務作業をする妖精さんのミスで今日中に終わらせる書類と期限がまだ余裕がある書類を入れ間違えてしまったらしくて………」


大井「それでこれが今日まで提出の書類です」


大井はそう言って紙束を見せてくる。

………うん?……………うん?

いやいやいや待って俺、今日の書類が三分の一終わったんだが…


大井「書類が少々追加されたと言っても現在時刻、1539なので今日中に終わりますよね」


満面の笑みでそんなことを言ってくる。何も事情を知らない人がその笑顔を見ればドキッとするだろう。しかし俺には悪魔の笑みに見えた。


しかし書類仕事を終わらせなければこの鎮守府は回らない。俺はため息をついてペンを動かすのだった。


〜3時間後 執務室にて〜


提督「うぁぁぁぁ仕事終わったぁぁぁ」


大井「提督!お疲れ様でした!」


俺は今日分の書類仕事を長い時間をかけ、終わらせた。

やっぱり現場の人が書類仕事をしちゃだめなんだよ。うん。後で要望書出しとこ。


提督「今は1835か…大井、飯食いに行くか?」


大井「提督、待ってください。2000からミーティングがあるのでそれ準備をしないと。ご飯なんて食べてる時間無いですよ?」


そうだった。すっかり忘れていた。


提督「まずい。すっかり忘れていた。大井、取り敢えず今日は大本営から伝えられた作戦概要を皆に伝えるだけで良いか?」


大井「了解しました。では諸々の準備に入ります」


提督「じゃあミーティング開始10分前にミーティングルームへ集合な」


大井「了解です」


大井はそう返事をすると執務室から出ていった。

さて、俺も皆に説明するPowerPointでもやっておこうかね。


〜1953 ミーティングルーム〜

あとミーティングが始まる時間まで10分を切ったくらいといったところで艦娘と各艦の代表の妖精が全て集まった。


提督「少し時間もあるがこれからミーティングを始める」


そう言うと俺はパソコンを操作し大型モニターにPowerPointのスライドを表示させる。


『鎮守府近海 深海棲艦掃討作戦』

スライドのタイトルを見て艦娘、妖精の両方からざわめきが起きる。

それもそうだろう。この作戦は人類、艦娘の深海棲艦に対する初めての反攻作戦、反撃なのだ。


そのざわめきが少しおさまってから俺は話し始めた。


提督「この作戦は再来月までに日本近海に跳梁している深海棲艦を駆逐し、分断された島嶼間のシーレーンを立て直す。というのが目標となっている。現在、深海棲艦は日本近海を通行している船舶は皆深海棲艦に無差別的に撃沈・破されている」


大井に目配せして出席している皆にプリントを配布させ、説明を続ける。


提督「俺たちはその深海棲艦を1艦1艦虱潰しに潰していく。もしこの作戦が成功すれば、日本の港湾部で温存されている大型船舶が使用できるようになり、国内の物流が活性化する」


提督「他にも人々の戦意高揚など、この作戦が成功したときの人類が得られるものは大きい」


提督「だが、もしこの作戦で唯一人類が深海棲艦に対抗できる艦娘が撃沈破され、作戦が失敗すれば、人類はさらなる深海棲艦の侵攻を許す事になり、人類が滅びる可能性だってある」


提督「俺は君たち艦娘の奮闘に期待する」


スピーチ終わったぁ。あまり人前でスピーチとかしたことがなかったから緊張したぁ。

スピーチが無事終わったのでほっとして俺は椅子に座りこんだ。ふぇぇ………椅子から立ちたくないよぅ……


大井「では、皆さんから質問はありますか?」


吹雪「はい」


大井「吹雪、どうぞ」


吹雪「このプリントでは戦略的な事に関しては書いてありませんでした。戦術的にこの作戦はどうするのですか?」


質問が来たのでどっこいしょ、と言いながら俺は席を立つ。緊張するから登壇したくないなぁ。


提督「この作戦ではまだ戦術的なことについてはまだ決まっていない。俺が作戦を立てるからな。必ず来週、再来週までにはミーティングをする」


提督「他に何か質問はあるか?」


五月雨「はい」


次は五月雨が手を挙げる。


提督「五月雨いいぞ」


五月雨「さすがに戦闘によるダメージの蓄積によるドック入りなどを考えれば、艦娘が6隻だけでは足りません。艦娘の増援はあるのですか?」


提督「そのことについては軽巡洋艦1隻、駆逐艦1隻が横須賀に現れたらしい。現在東京湾で訓練中ではあるが来週には着任する予定だ。ちなみに天龍型と特Ⅰ型と聞いている」


艦娘や妖精がまたざわめく。


提督「まだ艦名は分からないが、着任し次第、着任式を行うので楽しみにしといてくれ。それと明石、着任した艦へ積む装備の開発をお願いする。他に質問はあるか?」


手を挙げる人は居ない。


提督「質問は……無いな。ではこれからのスケジュールの確認を始める」


その他諸々連絡の確認をしてミーティングは終わった。


〜艦娘達が艦娘寮へ戻った後〜


提督「大井、今日の秘書艦の業務は終了だ。ありがとな」


大井「了解しました。お疲れ様でした」


大井はビシッと敬礼をし、ミーティングルームを出ていく。

………さて、俺もさっさと後片付けを終わらして飯食うか。


〜鎮守府食堂〜


吹雪side


吹雪「ねえ、あの作戦の事どう思う?」


私は食堂で夕食を食べながら艦娘の皆に作戦について聞いた。


叢雲「あの作戦って何よ」


少し苛立ったような声音で妹の叢雲が返事をする。


吹雪「だからさっき司令官が言っていた作戦の事。皆どう思っているのか知りたくて」


私がそう言うと叢雲は少し考えてから言った。


叢雲「そう、ね。私は少し作戦を急ぎ過ぎだとは思うわ」


叢雲「新しい艦娘が2隻増えたとしてもこれでやっと8隻、それに皆小型艦艇よ?敵は偵察によれば重巡とか戦艦とか居るらしいじゃない。この戦力で本当にこの海域の制海権を取ることができると大本営は思っているのかしら」


電「電もそう思うのです」


五月雨「私も………」


叢雲の考えに五月雨が小さく手を上げ、電も首肯する。

正直私も叢雲と同じ事を考えていた。司令官…いや、作戦立案した大本営はこの戦力で本当に鎮守府近海を奪取出来ると思っているのか……


漣「喝喝か―つ!!!!」


駆逐艦4人衆+明石+給糧艦s「うわあああ!!!」


漣の大声で皆、驚いて変な声を出してしまった。


漣「なんで皆さんこんな弱気なんですか?私たちがこの作戦を完遂させられなければ日本の人々が……居なくなって………それどころか人類全体の文明が滅亡しまうんですよ?もっと、なんかぁえっと………あっそうだ!どーんとどっしりし構えときましょうよ」


漣の言っていることももっともだ。

私たち、唯一深海棲艦に太刀打ちする事のできる私達、艦娘がどっしりしなければいけない。司令官は魚雷艇部隊の指揮官として対深海棲艦戦を数回潜り抜けてきたが、艦娘を指揮して対深海棲艦戦をするのは初めて―――初陣なのだ。緊張しないはずがない。


それに比べて私達は先日、既に初陣を飾り、イ級1隻を沈めている。過度な緊張は完全にはもう無いとは言い切れないが、司令官よりはリラックスしている筈だ。


私達艦娘が司令官をサポートしなくては…

そう思っていると食堂のドアが開いた音がした。


提督「おお、みんなここに居たか」


私は、というかその場にいた皆全員司令官に向けて敬礼をする。

司令官も答礼をし、そのまま自動販売機の前に立ち、食券を買い間宮に券を渡して私達のテーブルに来た。


提督「鎮守府近海 深海棲艦掃討作戦について話をしても良いか?」


そして真面目な声で話を切り出した。


提督side


ミーティングの片付けをマッハで終えた俺はルンルンで食堂へ向かっていた。


〜食堂前〜


食堂のドアを開けようと手を伸ばした時、ドアが中途半端に開かれており、中から声が聞こえているのに俺は気づいた。


提督「ん?」


扉に張り付き、聞き耳を立てると深刻そうな…元気のない声がブツブツと聞こえた。


???「〜を急ぎ過ぎだとは思うわ」


……この声は多分叢雲だ。

まだ1対1では話した事は無いが、自己紹介の時に他の駆逐艦よりもキビキビした話し方、声だったので印象に残っていた。


叢雲「新しい艦娘が2隻増えたとしてもこれでやっと8隻、それに皆小型艦艇よ?敵は偵察によれば重巡とか戦艦とか居るらしいじゃない。この戦力で作戦海域の制海権を取ることができると本当に大本営は思っているのかしら」


電「電もそう思うのです」


五月雨「私も……」


ドジっ娘コンビも首肯した。

駆逐艦娘はみんな作戦には反対か……大本営の作戦計画は確かに強引ではあった。このままでは人類の最後の希望である艦娘と大本営との間に溝が出来てしまい、士気の低下―――最悪の場合、艦娘の反乱が起きてしまうかもしれない。

なんとか俺がその溝ができるのを食い止めることが出来れば……

そう考えていると――


漣「喝喝かーつ!!!!」


漣の叫び声が聞こえてくる。

いきなり過ぎて少しビクついてしまった。体が少し動いたのと合わせてドアが少し揺れる。


駆逐艦4人衆+明石+給糧艦s「うわあああ!!!」


俺のビクつきに少し遅れて艦娘の驚いた声が聞こえてきた。


漣「なんで皆さんこんな弱気なんですか?私たちがこの作戦を完遂させられなければ日本の人々が……居なくなって………それどころか人類全体の文明が滅亡しまうんですよ?もっと、なんかぁえっと………あっそうだ!どーんとどっしりし構えときましょうよ」


ナイス漣。これで艦娘達の下がった士気を少しは高揚、鼓舞。してくれた……かもしれない。

小さくガッツポーズをするとドアに手が接触してしまい、ドアが動いてしまう。ドアの陰から食堂の中を見ると部屋にいた皆が驚きと疑念の目で入口の方を見ていた。


提督「おお、皆ここに居たか」


俺は立ち上がり教室の中へ入ると、部屋の中にいた皆が敬礼をしてくる。俺は答礼をし、先程の盗み聞きなんて素知らぬ顔で自動券売機の前へ行き、食券を貰い、間宮さんに食券を渡した。

そして俺は皆と同じテーブルに着き、真面目な声でこう話を切り出した。


提督「鎮守府近海 深海棲艦掃討作戦について話をしても良いか?」


顔をあげると皆が驚いた顔をして俺の方を見ていた。


吹雪「良いですけど……いきなり…どうしたのですか?」


動揺と困惑が入り混じったような声で吹雪が聞いてくる。いや、他の皆も同じだ。色々な感情が混じった目を俺に向けてくる。


提督「実は俺も君たちと同じようにこの作戦が拙速過ぎると感じていた。この『鎮守府正面海域』の攻略なんてまさにそうだ」


俺は持ってきていた作戦に関する書類を見せ、指で重要な所を指し示しながら話していく。


提督「作戦に入る前の最後の偵察が出撃の4日前だとは大本営は何を考えているんだ。燃料が足りないとはいえ普通前日に偵察を出す」


提督「こういうような大本営のミス、無能は現場にしわ寄せが来る。とりあえず俺自身で対深海棲艦の策を練ってみた。敵は鎮守府の戦力よりも質、量で勝っている。上手くその策が機能しても敵との戦力差には焼け石に水かもしれない。しかしやって見る価値はあると思う。それと、君たちにもその策への駄目出しとアイデア出しをお願いしたい」


そう言って俺は書類にその策を書き始めた。


・艦のダメコンの強化

例 可燃物を極力減らした状態の艦の難燃化

 二酸化炭素発生装置の搭載


・高速一撃離脱戦法の徹底


・五月雨への61cm酸素魚雷の搭載


提督「この4つが俺の考えた策だ。なんか質問ある奴は居る?」


叢雲「はい」


提督「ハイ、叢雲」


叢雲が不安な声で質問をしようとする。さらに周りを見なくても不安そう―――いや、不安な視線が俺に槍――いやゲイ・ボルグのように突き刺さってくる。まずい!俺の心臓、貰い受けられちゃう!

それはそうと俺の考えた策さすがにやばいかな。この周りの雰囲気からしてみるとヤバいな。うん。

そんなことを気紛れで考えていると叢雲が話し始めた。え?真面目な時にアホみたいなことを考えるな?………こう現実逃避しないとゲイ・ボルグ(視線)が怖いんだよぅ!しょうがないんだよぅ!


叢雲「この・五月雨への酸素魚雷の搭載と・高速一撃離脱戦法の徹底。これ本当に出来るの?」


俺はさきほどのバカみたいな考え事を頭から欠片も残さず消し去り、真面目な顔を作り、真面目な声音で答えた。


提督「酸素魚雷に関しては特型用の61cm三連装酸素魚雷は工廠の能力不足で作れないらしい。しかし、61cm四連装酸素魚雷なら何とか作れる。と妖精が言っていた。今のところ61cm4連装酸素魚雷は五月雨にしか搭載できない。酸素魚雷は空気魚雷よりも非常に強力だ。さらに五月雨には魚雷がさ再装填出来る。敵との魚雷戦の主力は五月雨になる」


提督「それと高速一撃離脱戦法に関してについてだ。これは敵に高速で突撃し速度で攪乱、混乱させ攻撃を行うことが主な狙いだ。偵察などによれば鎮守府正面海域には駆逐イ級、ハ級、ロ級、軽巡洋艦は軽巡ヘ級が配備、遊弋している」


提督「イ級に関しては護衛駆逐艦、25ノットくらいがせいぜいだ。旧日本海軍艦で言うと竹型、橘型くらいが相当だろう。ハ級、二級は38ノットくらい。君たちと同じくらいの走力だ。ヘ級は35ノット。大丈夫、敵を攪乱出来るだけのスピードがこの艦隊にはある。勝算はある」


提督「他に何か質問はあるか?」


「「…………」」


場に沈黙が流れた。もう質問は無いらしい。皆の前で長く話したので少し疲れた。


そう言えば大井は居ないな。もう飯を食べたのだろうか。


提督「質問は無しか。明日の業務に関しては、俺の執務室の前の掲示板に紙を張っておくので見るように。話が変わるが大井はもう飯食ったのか?」


間宮「大井さんならもう食べ終わって部屋に帰りましたよ。少し疲れて様な表情をしていたのでもう寝たと思います。あ、提督、食事の用意が出来ました。お盆、カウンターに置いておきますね」


提督「了解した。まあ、秘書艦1日目だし慣れない相手と長い時間を過ごしたから過ごしたから疲れたのかな。間宮、有難う」


ぽつりと独り言を言った後、俺は給糧艦’sに礼を言い、カウンターに向かった。

今日の夕食は味噌汁、ご飯、漬物、とんかつのスタンダードな和食だ。


提督「いただきます。もぐもぐ………美味い」


さすがの給糧艦sだ。滅茶苦茶美味い。まったく給糧艦sの飯は最高だぜ!2回しか食ってないけど。

俺はとんかつ定食をマッハで平らげると2人に礼を言い、自室に戻った。


~自室にて~


今日はなかなか忙しい1日だった。

朝7時前に呉基地をボートで出発し、江田島鎮守府の埠頭に到着。提督に着任をし、艦娘達と顔を合わせた。そして艦娘が女の子だったのに驚いたあと、鎮守府、艦娘の概念や要綱について説明を受けた。

そのあとに山のような書類の束を整理をし、ミーティングの準備をしてミーティングをした。

うん、濃すぎる1日だ。


明日も多分今日と同じくらい忙しいのだろう。書類仕事で疲れた身体を癒し、明日へ精をつけるためさっさとベッドにDIVEし、すぐに爆睡した。



翌日


俺は0500に起床し、顔を洗った後朝飯の前に出来るだけ山のような書類仕事を終わらせようと、俺は紙束を片付けにかかった。

今日から艦娘たちは『鎮守府近海 深海棲艦掃討作戦』に向けての訓練を始めるので、その訓練内容を考えないといけない。

普通の燃料、弾薬その他諸々が満ち足りているのならともかく、今現在この国はその燃料弾薬が不足している。戦争に負ける国の降伏する数週間前のような状況だ。大本営からの資材の援助は難しいだろう。それに加え、資料によると鎮守府の倉庫、燃料タンクには燃料、弾薬、鉄鋼が殆ど残っていなかった。


提督「この資材でどうしろと……」


そう呟かずにはいられなかった。


提督「はぁ」


俺は溜息を1つつき、デスクの上の固定電話機の受話器を取り上げた。


後書き

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