2018-11-10 15:14:17 更新

概要

Twitterでたまたま見かけた一枚のイラストから話を膨らませてみた。
※欠損、キャラ崩壊注意


提督(どうして…どうしてこんなことに)


 提督は急いでいた。一刻も早く、あの娘のところへ行かなければならなかった。


提督「電!」バン


 ドアを勢いよく開けた。電はベッドにいた。


提督「良かった…無事…」

提督「え…」


 提督は、目の前の信じられない光景に、声が出せなかった。そう、そこには確かに電がいた。生きていた。しかし…

 その…左腕の袖からは…手が出ていなかった。


電「超至近距離で撃たれちゃって…その後右目にも被弾して…もう開くことはないと」


提督「…」ガクッ


 提督は膝を落とし、その場に崩れた。


電「司令官参加もらった指輪も…もう…結局何だったんでしょう…沈んだ敵もできれば助けたい…だなんて…あの気持ち」


       ※


 数週間後、電は退院した。電は執務室に行き、提督を訪ねた。


電「電、戻りました」


提督「うっ…くっ…」


電「そんなに泣かないでください。悪いのは司令じゃないです」


提督「でも…でも…」


電「…悪いのは、あいつらですから」

 電は、誰にも聞こえないような声で言った。


提督「…?何か言ったか?」


電「ううん、それより、私は艦娘を続けたいです」


提督「…え?」


電「なんか、やめてもいいとか言われましたけど?そんなわけないです」


提督「いい…のか?」


電「いいです。まだ私はやれます」


提督「…分かった。お前がそこまで覚悟を決めているのに、俺だけずっと悲しんでいるわけにはいかないな」

 提督は引き出しからあるものを取り出し、電につけた。


電「これ…ネックレス?」


提督「…うん、指輪はそれについてる。力はそのまま使えるはずだ」


電「…ありがとうございます」


提督「…おーい、お前ら。別に入ってもいいんだぞ。これはお前らにとっても重要なことだ」

 提督はドアの外にいる艦娘たちに呼びかけた。


暁「…じゃあ」カチャ


雷「入るわ」


響「入るよ」





暁「電…本当に続けてくれるの?」


電「…はい」


雷「本当にいいの?」


響「そうだ、無理をしなくてもいい」


電「ううん、大丈夫。もう覚悟は決めました」


提督「本人はそう言っているが…お前ら、大丈夫か?」


暁「本人が言っているのに」


雷「反対する理由は」


響「ないよね」


電「良かった。みんな、改めてよろしくなのです」


       ※


 次の日から、電はリハビリに励んだ。

 右目は見えないが、航行は出来るようになった。恐らく体が覚えているのだろう。

 しかし、砲撃に関しては少し大変だった。両目が使えないため奥行きが分からなかったのである。


電「えいっ!」


提督「やはり、それてしまうか…」


電「どうしたらいいんでしょうか…」


提督「…うーん、あ、そうだ。あいつならなんかアイデアをくれるかもしれない」


       ※


 提督は、工廠にいた。


明石「そうですね…なら、スコープをつけてみるのはどうでしょうか。スコープで距離を設定すれば、おそらく正確に当てられるはずです。とは言っても、敵との距離が測れないと厳しいかもしれませんが」


提督「たぶんそれについては、偵察機でカバーできるだろう」


 そんなわけで、スコープを付けての実験となった。


電「えいっ!」ズドン


提督「お、また当たったな」


電「これなら、何とかなりそうです!」


提督「明石に左肩に砲をつけてもらったし、何とかなりそうだな」


電「もっと練習したら、もっとうまくなりそうです!」


       ※


 そして数日。電は再び出撃することになった。電はエースだったということもあり、少し押されていたこともあったが、本人が早めに行きたいと言ったこともある。


電「電、出撃します」


提督「…気をつけろよ」


電「…もう大丈夫ですよ」


       ※


赤城「偵察機の情報によれば、もうすぐ接敵するはずです」


加賀「はい、間違いありません」


金剛「分かりまシタ!みんな!準備はイイネー!?」


摩耶「おうっ!」


暁「うん」


電「…はい」


赤城「…!見えました!情報通り、ヲ級が1、タ級1、イ級3!」


加賀「艦載機、発進」ヒュン

 

赤城「全機発艦!」ヒュン


ヲ「…」ブーン


赤城「制空権確保!」


金剛「よし、打ちます!」ズドン


タ級「」ズドーン


金剛「タ級に命中、大破

!」


摩耶「おりゃっ!」ドン


ヲ「」ズドン


摩耶「ヲ級に命中、被害、小破!」


暁「行くわよ、電」


電「電…」


暁「…電?」


電「…やっと…戦えるわ」


暁「ちょっと、電?」


電「…」ビュン


暁「待って、電!」


赤城「電さん!?」


金剛「まだ雷撃戦は早いデス!」


電「ただ狙っても当たらない…スコープでねらいを定めるのは時間がかかりすぎる…なら」ギュワッ


タ級「!?」


電「沈め」ドン


タ級「グワッ!」ズドォ


金剛「大破していたとはいえ、あの体でタ級を一撃で…」


電「ふふふ…はははっ…」ガシュッ

 電が放った魚雷は、イ級3隻に命中。


赤城「一瞬で…あんなに…」


加賀「…もう十分よ、撤退させて」


金剛「電!もう十分デス!戻ってきてくだサイ!」


電「まだ…残ってる…」


ヲ級「ヒッ!」

 ヲ級は恐怖を感じ、撤退を始めた。


電「逃がすわけないでしょ」ガシッ

 電は主砲を捨ててヲ級をつかみ、魚雷を斉射。

 放った瞬間に急速後退し、ヲ級から離れる。


ヲ級「ウワアアアアア!」ドバーン


電「ふう…」


暁「ちょっと!電!」


電「どうしたんですか?」


暁「無茶しすぎよ!少しはこっちのことも…」


電「何言ってるんですか。敵は全滅しましたよ。ほら、帰りましょ。」


暁「…うん」

 暁は、言い返すことができなかった。


       ※


金剛「艦隊、戻りまシタ。」


提督「うん、お疲れ」

 6人は執務室で、提督に報告をしていた。


赤城「これが戦果です」


提督「うん…これ…電、すごいじゃないか!」

提督「いままで…いや、それ以上の戦果だ!」


電「ふふっ…ありがと…司令さん」


提督「いや、本当にすごいよ」ナデナデ

 提督は椅子から立ち、電の頭を撫でる。


電「こんなにほめてもらえて光栄です」


提督「そうか、良かった。みんなも、お疲れ様だったな。とりあえず、ゆっくり休んでくれ」


       ※


赤城「加賀さん…これで良かったんでしょうか…」

 赤城は自室に戻ってから、相部屋の加賀に尋ねる。


加賀「…どうでしょう。戦果はすばらしいものです…しかし、逃げる相手にも容赦なくとは…」


赤城「前の彼女は…出来れば助けたいと…言っていたのに」


加賀「憎しみがあまりに大きいのでしょう。私も彼女と同じ状態になったら、心を保てるか正直わかりません」


赤城「…」


加賀「今は見守るしか、ないでしょう」


       ※


電「ただいま、みんな」


雷「お帰り!電、すごいじゃない!ヲ級を倒すなんて!」


響「すごいよ…前よりも戦果があがっているんじゃないか?」


電「私は、当たり前のことをしているだけです」


暁「…」


響「暁、どうしたの?」


暁「…あっ、ううん、なんでもない、すごかったわよ、電!」


 彼女たちは電のすごさを語り合い、夜を明かした。しかし暁の顔は、曇っているようにも見えた。


       ※


 それから数週間、電の戦果はものすごかった。提督も、その戦果をみて、どこか安心していた。しかし、電の同じ艦隊の艦娘たちは複雑な気持ちでだった。電の戦果は艦隊の評価どころか、鎮守府の評価まで上げていた。一時、提督に中央行きの話が出たくらいだ。

 中央行きについては、提督が


提督「俺は前線で艦隊を動かす方が向いている」

 と言い、断ったが。

 評価が上がることは良いことだ。ただ、電の戦い方は、日に日に激しさを増していた。逃げようとする敵も決して逃がさず、確実に息の根を止める。そんなやり方だ。


       ※


摩耶「なあ、金剛さん、電の戦い方って…正しいのかな?」


金剛「戦いに正しいなんてないと思いマス…でも、電は…やりすぎかもしれまセン…」


摩耶「でも…そのお陰で戦果は絶大…」


金剛「複雑…デスネ」


赤城「あら、二人とも!」


加賀「こんばんは」


金剛「二人とも、こんばんはデス」


摩耶「…なあ、お二人さんは電についてどう思ってるんだ?」


赤城「どうでしょう…なんとも言えないというのが正しいでしょうか」


加賀「彼女の戦い方は、私たちの深海を倒すという目的を、憎しみによって究極まで高めたものです。憎しみは…人を変えます」


金剛「提督に言うべきでしょうカ…」


赤城「…提督は電さんに全服の信頼を置いているわ…こんなことは…言いたくない」


加賀「今度、大規模作戦もありますし、提督に余計な負担はかけたくないです」


金剛「そうですよネ…」


       ※


 そのころ、提督と電は、二人港で座っていた。


提督「そうか…最近は楽しいか」


電「はい、とっても!」


提督「…良かった。…やっぱり、俺のこと、恨んでないか?」


電「それはないです!司令官さんのことを恨むなんて…」


提督「…そうか」ニッ

 提督は、安堵のような、笑顔を見せた。


電「そんなことより!今日は私といてくれるんでしょ?」


提督「ああ、さすがに夜ずっとってわけには行かないけど、しばらくは」


電「…最近、司令官さんずっと悲しそうで…久々に笑顔をみせてくれて、良かったです」


提督「…俺も、久々に電と一緒にいられて、嬉しいよ」

 提督は右腕を電に回し、電もそれに応えようとする。


提督「…あっ!すまない…」


電「いいんです」

 電は一旦立ち上がり、提督の左側に移動した。そして提督に右腕を回した。

電「こうすれば、私にもできます」


提督「…そうだな」

 そうして、二人は久しぶりにゆっくりと、時間を過ごした。


       ※


電「ふう…司令官さんと久々に一緒にいられてよかったです」

 電は部屋に戻り、ドアを開けた。

 

 2つある2段ベッドのうち1つには、雷と暁が寝ていた。


電「2人とももう寝たのね…お姉ちゃん、まだ寝ないの?」


暁「…電」


電「なに?」


暁「最近…無茶しすぎじゃない?」


電「…どうゆうこと?」


暁「危なすぎるわよ!最近のあなたの戦い方は、そんなんじゃまた…」


電「…もうないですよ、あんなこと。それよりも、奴らを全部沈めなければいけないんですから」


暁「電!どうして、そうなっちゃったの?前のあなたは違ったじゃない!」


電「これが正しい方法だと気づいたんですよ」


暁「違う!少なくとも前のあなたは…」


電「甘いんですよ」


暁「えっ?」


電「そういうところですよ。甘さが招くものは…この結果です」

 電は自分の左腕に片目をやる。

電「奴らに甘さを見せてはいけません、絶対に」


暁「…」


電「さっ!こんな話は終わり終わり!今日はもう寝ましょ!」

 電はいつもの調子に戻り、明るく呼び掛ける。


暁「う…うん、そうね」

 暁は電に何か言おうとしたが、言葉が出なかった。


電「じゃ、お休み、お姉ちゃん」


暁「う…うん」

 暁は迷っていた。本当なら提督に言うべきなのだ。しかし、それでももし電が解体処分なんかになってしまったら…提督はそんなことをしない人とは分かっている。でも、分かっていても、不安だった。

 姉として、一人の艦娘として…暁は、迷っていた。


続く


後書き

これ、レーティングつけたほうがいいんかな?分かる人コメントオナシャス。


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2018-11-10 15:32:10

このSSへのコメント

3件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2018-11-11 21:13:42 ID: S:KAp8Td

更新乙です。

元となったイラストも見てみたいです

2: HMR 2018-11-11 22:06:11 ID: S:-6X8-U

>1
コメントありがとうございます。
イラストはこれです
twitter.com/extember/status/1060066233544921093?s=09

3: 艦娘可愛いぃ 2019-05-06 02:35:33 ID: S:4Hjg6B

今更ながらすみませんが
イラストの名前ってわかるでしょうか?
教えてくれたら幸いです。
長文失礼しました


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