2015-04-27 20:00:49 更新

概要

とある ぴあにすと と
とある かんむす とのおはなしです

おしまい♪


前書き

とある ピアニスト と
とある かんむす とのおはなしです


-鷹と鍵盤-







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僕の小さな雌鳥は 世界中で一番かわいいんだ

お皿は洗ってくれるし お部屋を掃除してくれるし

水車小屋にいって粉をひいて

あっというまに運んできてくれるし

それでもってパンを焼いて ビールも作ってくれるし

暖炉のそばに腰掛けて お話もしてくれるんだ




出典:マザーグース「かわいい雌鳥」

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オーナー「お疲れ様」



少しくたびれたスーツの右肩を


ポンポンと優しく叩いて


労ってくれる、オーナー。







ピアニスト「いえ、どうも。」






どうにも、言葉が少なくなってしまう。


元々喋るのはあまり得意じゃない。


いや、寧ろ「かなり」苦手な方だ。


特に、目上の方となるとそれが


顕著だから困る。


言葉が続かないんだ。







オーナー「まぁ謙遜しないで。

今日の演奏もとても良かったよ。」







そんな思いを察してか、すぐに


反応を返してくれるこのオーナーは


やはり出来る人だ。


助かる。








ピアニスト「どうも…」








その時、バーのテレビから


雑音と共に緊急放送が流れる。





テレビ「本日の夕方頃、○○近海にて深海凄艦、駆逐艦4隻が

確認されました。艦娘により退ける事が出来ましたが

付近の皆様は、決して海に近づかないよう注意をしてください。」






ああ、またか。



最近、多い。


人を襲う、謎の海の化け物。


海の近くにある、この店も


お陰でお客さんの入りが


少なくなったような気がする。







オーナー「困るねぇ…。

まぁ、まだリピーターさんが多いのが救いかな。」








鼻の下に蓄えた立派な髭を


撫でながら、呟く。


僕の方を見て、柔和な笑みを


浮かべた。









オーナー「リピーターさんの中には、

君の演奏を楽しみにして

くれる人も多いんだよ?」








そんな馬鹿な…。


ピアニストに憧れていたが


大学にも行けず、独学にも似た方法で


身につけた演奏なんだ。


ハッキリ言って


評価される価値もない。






それでも、弾き続けるのは


僕を拾ってくれたオーナーの


ためでもあるけど…



僕自身が、ピアノが好きという事が


一番の要因なんだ。



…どうしよう。


褒められなれてないから


どう反応して良いのかわからない。







ピアニスト「え…っと」








再び肩を優しく叩いてくれる






オーナー「無理に返事をしないでおくれ。」






オーナー「君は十分、自信を持ってくれて良いんだよ。」






オーナー「大学を出てない事もわかるし、

基礎がガタガタだと言うことだってね。」






心苦しい









オーナー「それでも、君は良く頑張ってくれているよ。

ありがとう。」










オーナーには元々、息子さんがいたという。


大変ダンスの才能に恵まれプロにまで


のし上がった実力の持ち主だったが


フェリーで海外へ遠征する道中に、深海凄艦の


襲撃に合い、亡くなられた。


まだ生きていたら、今の僕と同じ歳だったそうだ。







ピアニスト「…ありがとうございます。」







もっと気の利いた事は言えないのか、

この口は。










間もなく、午前の3時を回ろうとしていた。


僕の働くバーは、こじんまりした小屋のような


正に「隠れ家」と呼ぶに相応しい


風体だった。


赤煉瓦を積み上げたような装飾の外壁


入り口であるモスグリーンの小さいドア


それを彩る、飾られたランタン


全てオーナーの趣味だけど僕自身も


気に入った趣だ








店の中は立ち飲み用の幾つかの丸いテーブル。


小さな木目調のカウンター。


窓には、ステンドグラスをあしらった装飾。


キャンドルと同じ光度の電飾。







そして、店の奥には重厚な質量。


黒光りする存在。


僕の商売道具である『グランドピアノ』。











ピアニスト「今日は…少し、少なかったような、気がします。」






オーナー「曲がかい?お客様かい?」






オーナーはわかって聞いてるのでは?






ピアニスト「いえ…その、お客様の方で…」





やはり、上手く言葉が出てこない。


するとオーナーは己れの唇の前に


人指し指を立ててウィンクした






オーナー「大丈夫。良い接客、気持ちの込められた

演奏をしていれば、お客様だって

信じてくれるよ?」







途端に不安になる。


……僕の演奏は…伝わっているのかな…?






オーナー「安心なさいな。」






見透かすように、声をかけてくれる。


本当に、この人には敵わないや。


その洞察力、伝える言葉の取捨選択。


柔らかな物腰。どれを取っても一級品。







ピアニスト「安心…しました。」








もっと…一言で感謝の気持ちを

伝えたいのに…。


しどろもどろしてると


突如オーナーが笑い出した。






オーナー「ハハハ!君は分かりやすいなぁ!

大丈夫さ。君の気持ちは良く分かるから。」






言うや否や、また笑い出した。


どういうこと?








オーナー「つまりさ、君は、言葉が少ないけど、

それ以上に『顔』が物語ってくれてるんだよ。」








……え?







オーナー「顔に出やすいねぇ。困ってる困ってる♪」







…やはりこの方には敵わないな。












ボォーン…ボォーン…






壁に設置された、ちょっと大きなノッポの古い時計が時を告げる



そのままお客様が入らないまま一時間が経過したようだ。




今は午前4時





オーナー「どれ…じゃあ、あとは任せたよ。」






オーナーは、自宅に戻る準備をし始めた。


そして、残りの閉店までの時間は僕が、切り盛りする。



元々、そんなに大きく無いお店だし。




『ジントニック』

『マティーニ』

『カルーアミルク』等々


僕でも、回せるくらいのドリンクメニューを黒板に書いて


残りの時間を過ごす。







カチ…コチ…カチ…コチ…










…お客さん来ないな~。





カウンターに肘をついて、暇を持て余す僕。




ふと、目の端に僕の商売道具が入り込む。








ピアニスト「…」








コツコツコツ…


僕はそれに近づき、優しく撫でる。


ここで共に働いてきた相棒。





そして、椅子に座って、


鍵盤に指を乗せる






息を軽く吸って、

オリジナルの曲を弾き始める。




鳥が羽ばたいて、

逞しくてそれでいて大らか、

優雅に飛び立つ様をイメージして作った曲。





でもまだ未完成。まだ、何か足りない。






お店を開いてからこの時間までは


お客さんのリクエストに従って

楽曲を弾いてきたけど。


毎晩、この時だけ


僕の好きな音楽を奏でられる秘密の時間。









~♪~♪♪~♪









…ガチャ…キィ











突然の訪問者











???「こんばんは~…1名なんだけど…やってるかい?」




ここは主に『洋』に趣をおいた内装になっているがその訪問主は


装いは『白』『朱』といったどちらかと言えば『和』に近い印象を受ける出で立ちだった。




???「お~ピアノもあんじゃん♪

いいねぇ!たまにはこういう雰囲気もねぇ」







ピアニスト「い、いらっしゃいませ」










ピアニスト「あ、あのメニューはこちらに

なります・・・」




その『朱の彼女』はカウンターに座ると


その柔い表情をまるで子供のように


ころころと変えながら感嘆の声を上げていた。


そして


僕が差し出したタオルを手に取り


白い指先を湿らせた。




???「へぇ~、良いねぇ!メニューが最小限ってのが、なぁんか拘ってるって感じだねぇ!」





…っう!そんな…そんな意図はないんだけどなぁ…




???「んじゃあ、とりあえずナッツと…」




???「ジントニック!」




ピアニスト「・・・かしこまりました」





グラスにジンとトニックウォーター、そして


ライム果汁を入れて軽くステア(かき混ぜる)


そして、カウンターで両肘を着き目を瞑って鼻歌を歌っている彼女の前に差し出す。






ピアニスト「ジ、ジント…ジントニックです…どうぞ…」





???「ん、サンキュ」






それに、唇をつけて舐めるようにわずかに

口に含んだ。


そして、とろけるような笑顔になった、


言葉を出さずとも全力で『おいしい!』と

表現していた。



すごく幸せそう…



あ、そうだ…ナッツ、ナッツ…







~♪~♪♪~♪





店内のBGMとして普段から使用している

ジャズのCDをかける。


日本や外国多方面のアーティストの有名な

楽曲のジャズアレンジだから


外れはない…はず




カウンターに座った彼女はお酒が入ったという事もあってとてもお話し好きだった。


驚いた事に彼女は『艦娘』だった。


ここの港町のちかくの鎮守府に所属しているという話だった。


世間話から、鎮守府での生活、

提督さんと飲み明かしてお姉さんから

厳重注意を受けたこと、

…戦いの事




それからお互いの趣味の話しに入った。



彼女は普段からもよくお酒を飲むそうで

好きな日本酒の銘柄の話しもした。


それから僕の話題に移った





???「ねぇねぇ!あんたサ!」





ピアニスト「ええ、なんでしょう?」





???「さっき、あそこのピアノに座ってだろ?」





ピアニスト「…お恥ずかしながら」





???「あ~…もしかしてピアニスト?」





ピアニスト「まともな学もなく…下手の横好きですが…」





???「良いじゃん。弾けるんだろ?」





ピアニスト「はい」





???「リクエストしても?」





ピアニスト「…お手柔らかに」





???「じゃあ、何か『アップテンポ』の!

気分が上がるような…楽しいヤツな♪」






ピアニスト「…かしこまりました」







ピアニスト「その前に、グラスが

空いてますが…何かお作りしましょうか?」







???「ん、じゃあマティーニ」






ピアニスト「かしこまりました」












カチ…コチ…カチ…





ジャズアレンジのBGMを停止して、

代わりに店内に時計の音が響く


マティーニを『朱の彼女』にお作りし

グランドピアノに近付く





コツ…コツ…コツ





椅子に手をかけて、引く。


ゆっくりと腰を下ろして黒光りするそれを

眼下に息を吸う。




そして





♪~♪



♪~♪♪~♪




鍵盤に次々と乗せて、

水面に着水するように

奏でていく。





これは最初は眠くなるような

ゆったりとした曲調から始まり

次第に激しさを増していく

額に汗がにじんでいき


力が入る


そして曲のピークを迎えて


再び弾き始めの時のように

緩やかな曲調に戻り。



…鍵盤から指をはなした。






肩で息をするように上下させる。




パチパチパチパチ





グランドピアノ越しのカウンターから


1人分の小振りな

拍手が聞こえてきた。




呼吸を整え、カウンターに目を向けると

膝を組んだ『朱の彼女』が

目を輝かせていた。


その両手にはグラスは握られてはおらず、

手のひらを叩いて僕を暖かく賞賛して

くれているようだ。






???「感動したよ!アンタすごいねぇ!」







パチパチパチパチ






ピアニスト「いや…あの…どうも」





思わず、顔を伏せてしまう。


だから褒められなれてないんだよ…。









結局、『朱の彼女』は午前6時の閉店の時間までいてくれた。


『切ない』

『喜び』

『ちょっとコメディタッチ』


色々な曲を即興で考え、

その場で披露すると

彼女は感想を言ってくれて

何度も拍手で讃えてくれた。





…なんだかとても…

なんていったら良いのか…

『楽しい気分』だった



たくさん自分の思い通りの曲を退けたからなのか

それとも『朱の彼女』に聴いてもらえたから

なのかはわからない。








???「いやぁすっかり、明るくなっちまったね~」








ウンと背を伸ばす彼女の頬は

少し赤くなっていた。




お店にいる間、彼女は

カクテルはチビチビ飲んで

曲に耳を傾けていたためあまり

量を飲まなかった。




ピアニスト「…そうですね、今日は…、

良い天気のようですよ。お客様。」






???「そうかい!そりゃ良いねぇ!どれ

んじゃぁ鎮守府に戻ったら千歳と提督と、

また一杯やるかね!朝酒サイコー!」






お店をでて、お日様に向かって

ヒャッハーとテンションの上がるような

単語を口にした彼女の背にいつの間にか

僕は声をかけていた。






ピアニスト「あの…お客様、もし差し支えなければで良いんです」





???「なんだい?」





長い不思議な色の髪を揺らして

こちらを振り返る『朱の彼女』





ピアニスト「あの…お名前を、教えて頂けませんか?」






???「…」





???「…隼鷹」








ピアニスト「…え?」







???「隼鷹ッでーす!」






少し頬の赤い満面の笑みを浮かべる彼女は、

静かに清楚な物腰で唇にグラスを傾ける

彼女とはまるで別人のようだった。


『少女』と『淑女』の

二面性を持っているように感じた。










彼女と出会ってから一ヶ月が経過した。


その間も彼女は少なくとも一週間に

一度はきてくれる

このお店の常連さんとなっていた。



彼女がきてくれるのは

決まって午前4時


彼女がリクエストして

僕が演奏でそれに応える





その日、隼鷹さんはとあるお友達と

一緒だった。







ガチャ…ギィ





ピアニスト「あ、いらっしゃいませ」



隼鷹「2名入れるかい?」




ピアニスト「はい、大丈夫ですよ隼鷹さん」




隼鷹さんに並ぶように入店してきた女性は

いささか異なるテイストではあるものの

やはりどこか『和』を感じさせる

服装だった。



灰に近い髪色



背丈は隼鷹さんとさほど変わらないものの


服の上からでもわかるその『豊かな胸』に

どうしても最初に目がいってしまった。


視線に気づいて隼鷹さんの顔をみたとき


彼女はニヤニヤと

卑しい笑みを浮かべていた。



???「わぁ!すごいお洒落!」




隼鷹「だろ~?」




???「隼鷹が居酒屋以外のお店行くなんて

、どんなお店に連れて行かれるのかと思ったけど…すっごい素敵じゃない!」



???「ああ、こんな事なら千代田も

連れてくれば良かった」



少し肩を落とし落胆する『灰髪の彼女』


そんな二人をカウンターに通す。


美女二人を僕一人で接客するのは本当に

緊張する。




この日も、隼鷹さんのリクエストに応えるように鍵盤を弾いた。








あとからお聞きしたのだけれど


隼鷹さんがこのとき一緒にいた

『灰の彼女』が飲み仲間の千歳さんという

方だった。


彼女にも妹がいるらしく

良く隼鷹さんと提督さんを酔い潰して

怒られているそうだ。



お体に気をつけてほしい。






それから隼鷹さんは、他にも様々な

『艦娘』の方々とお越しになった。



まさに和服美人という言葉が似合う

仲の良い姉妹の

『扶桑』さん『山城』さん


山城さんからは

「お姉様にピッタリのカクテルを作りなさい!」とか


「お姉様をイメージした曲を弾きなさい!」

とか

無茶振りをされたけど何とか

納得してくれたから安心。


扶桑さんと隼鷹さんが

始終、苦笑いだったのが

印象的だった。





また数日後には

今度は白くて長い髪が印象的などこか

つかみ所のない女性を連れてきてくれた。


トロンとした始終眠そうな雰囲気だった


どうやら普段からあんまりお酒は飲まない人らしい

けど飲み仲間を増やすために

つれてきたようだった。


僕と隼鷹さんが

会話をしている間にいつの間にか


『雲龍』さんは表情を変えず

次々とグラスを空けていった。



飲んでる最中は

隠れた酒豪だと隼鷹さんは喜んでいたけど



雲龍さんがトイレに立とうと

カウンターのイスから降りた瞬間


コテンと尻餅をついてしまった



僕と隼鷹さんは何事か?と

顔を見合わせたけど


次の瞬間

顔を赤らめて雲龍さんは内股に膝をたてた。




雲龍「ぁ///」





そして『少し黄色がかった水たまり』が

彼女を中心として徐々に広がった。










!?









…帰りはタクシーだった


帰り際に隼さんに抱えられた雲龍さんは


恥ずかしそうに


「忘れて///」と一言だけ呟いたのが印象的だった













美しい女性が漏らす姿を忘れろだと?


残念ながら脳裏に焼き付いてしまったよ。









カチ…コチ…カチ…









ピアニスト「」キュッキュ…







―カクテルグラス








ピアニスト「」キュッキュ…







―タンブラー








ピアニスト「」キュッキュ…








―ワイングラス










グラスを拭いて



少しおいて






ピアニスト「」カチャカチャ…







棚に戻す






オーナーは今日は早めに帰宅






…今夜はお客さん…少ないです…



ピアノを弾きたい気分の時に限って…



来てくれないのはちょっと悲しい







カチ…コチ…カチ…









…隼鷹さん来ないかな~








何だか最近、隼鷹さんの事を考える

時間が増えたような気がする




所々がピンピンと特徴的な跳ね方をした髪型


話す時は高いテンションのままケラケラと笑い


お酒を飲むときはシンと

美味しそうにグラスに口をつける


ピアノの旋律にウットリと顔を溶かす


いたずらが成功した子供のような笑みを浮かべて僕を

困らせる




彼女の色々な顔が頭を過ぎる





その度にグワグワと胸の奥からせり上がってくる『何か』









…隼鷹さん来ないかな~







あ、最後のグラス…拭き終わっちゃった…




カチャン…








ピアニスト「ふ…ぅ…」







ピアノに目をやる


ライトに照らされた僕の相棒







カチ…コチ…カチ…





時計の針は午前3時を指している




そろそろ…練習しようかな




カウンターからピアノに向けて足を運ぶ









~♪~♪♪~





狭くてうす暗い店内に響くピアノの旋律


鍵盤を押して、中のハンマーが弦を叩いて


次々に音を奏でる




この世のどこにも


楽譜が存在しない僕の頭の中だけの曲


でもまだまだ中途半端




『あの人』を表現するにはまだまだ何かが足りないんだ



もっともっと、あの人を知りたい



こんなものじゃなくて



もっともっと、深く深く…





~♪~♪♪~









…ガチャ…キィ






開かれるバーのドア







時計を見て理解した





午前4時…







隼鷹「よう!やってるかい!とりま一名で!」







聞きたかった声



この曲の『モチーフ』になった彼女







迎え入れよう彼女を



なるべく僕にできる爽やかな笑顔で…



髪型崩れてないかな?


大丈夫かな?









ピアニスト「いらっしゃいま…せ!?」






表情が固まる








表情豊かな声の持ち主の衣服は所々が焦げ


そして、その特徴的な髪も至る所が傷んでいた


明らかに熱で縮れている





隼鷹「ん?どした?」ボロッ





ピアニスト「」パクパク





隼鷹「ああ、コレ?」




ピアニスト「」コクコク




隼鷹「ん~なんつーか…」アタマボリボリ









ピアニスト「」ハラハラ











隼鷹「小破♪」テヘペロ










カウンターの椅子に腰掛ける隼鷹さん






隼鷹「ちょっと油断してね~」






ピアニスト「焦りました…」






よくよく見ると右頬に少し火傷を

したような痕があった


水の入ったグラスに添えた指先の

桜貝のようなツヤツヤした爪も

所々が割れていて

少し血が滲んでいたりもしていた




基本的に

彼女の衣服の半分は白、

もう半分は朱色で染められている



白の部分には朱色とは言い難い

パリッと乾いた赤黒いシミがついている



目にした瞬間、冷や汗をかいた



でも隼鷹さんは相変わらず

眉をひそめてケラケラと苦笑いで

今日あった戦闘の事を話していた





傷は痛まないと言っていたけど


…やせ我慢かも知れないし心配…




少しして…






ピアニスト「艦娘については…

知識が浅くて良くわからないんですが

『治療』はしなくても?」






ピアニスト「その…痕が残ったりしないのですか?」






ケラケラと笑う隼鷹さん









隼鷹「アタシ等の場合、

『治療』というよりも『修復』って

言った方が正確かね~」






隼鷹「アタシ等、艦娘はね

主にドックで体を修復をするわけさ」






ピアニスト「???」





隼鷹「あ~、んとね…

分かりやすく言うと」







隼鷹「艦娘用の『特殊な』お風呂があって

そのお風呂に入ると傷が直っていく訳よ」








隼鷹「傷跡も残らないくらいに綺麗さっぱりに

直るから不思議だよね」







艦娘って本当に不思議だ








ピアニスト「その…お風呂に入りに行かなくても良いの…ですか?」








隼鷹「そりゃアタシだって入れるもんなら

入りたいけどさ…」







隼鷹「そのお風呂ってのが

人数制限があってね~

今でもイッパイなんだよ」







隼鷹「ありゃ次に空くのは、まだ先だね」







隼鷹「まぁ、明日…ってもう今日か…

今日は休みだし…」






猫のような背伸びをする彼女






隼鷹「体が癒せないんなら、心を労わないとね」







ピアニスト「それで…わざわざこの

お店に足を…はこ、運んでくださったんですか?」






隼鷹「まぁね、

アンタのピアノが聴きたくてさ♪」







ピアニスト「!」







隼鷹「?、迷惑だったかい?」






ピアニスト「とととととんでもない!

だ、だだだ、だい、大歓迎…です」







隼鷹「噛みすぎ噛みすぎ♪

でも、良かったよ『だめ』なんて

言われなくて」







接客業だから隼鷹さん以外にも言えないけど…






でも、隼鷹さんが来なくなってしまったら





悲しい







…?







なんで悲しいって思ったんだろう?










オーナー「や、最近調子良いんじゃない?」






優しく肩を叩くオーナー






ピアニスト「あ、いえ…恐縮です」






オーナー「なんていうか…こう…」






オーナー「…」






オーナー「…カニバリズム?」






ピアニスト「…」エート






ピアニスト「…」






ピアニスト「リズミカル?」






オーナー「そうそう、りずみかる」






ピアニスト「」アハハ






オーナー「」アハハ





オーナー「…」






オーナー「恋でもしたかい?」






ピアニスト「……恋…ですか?」






オーナー「最近、

遠くを見つめることも多くなったし…」






オーナー「君自身、

気づいてないかもだけどね~、

時々ニヤニヤしてるんだよ?」






オーナー「あれは恋する男の顔だね」ウン







ピアニスト「そんなバカな」








―アンタのピアノが聴きたくてね♪








ピアニスト「…」







ピアニスト「ムフフ」ニヤニヤ








オーナー(…)








オーナー(自覚がないって罪だね)







ピアニスト「ムフフフフ」ニヤニヤ









-鎮守府 深夜3時-






トイレ「」ジャワワワ~…





ガチャ…







電「眠い…のです」ウトウト





電「ジュース…のみすぎたのです…」ウトウト





電「早くお布団に戻りたいのです…」ウトウトト








ペタシ…ペタシ…






電(?)






電(隼鷹さん…?)






隼鷹「」コソコソ






電(こんな時間にどこに行くんでしょう?)






隼鷹「~♪~♪♪」





電(聴いたことない音楽なのです)




電(それになんだかとっても楽しそうな顔なのです)




電(…)




電(気になるのです…)








-翌日 鎮守府 食堂-






ガヤガヤ


ザワザワ


タベルノモ イッチバーン!




電(気になってあまり眠れなかったのです)フワワ




雷「どうしたの電?眠そうだけど」




電「な、なんでもないのです…」




雷「本当に?無理はしないでよね?」




電「ありがとうなのですお姉ちゃん♪」




間宮「はいお待ちどうさまですAセット定食です」




電「あ、電のです」




間宮「電ちゃんのだったんですね

あら、いけない!私ったら大事な物を忘れる所でした」パタパタ…




雷「?」




間宮「お待たせしました♪はい、牛乳ですよ♪」パタパタ




電「ありがとうなのです♪」




雷「電って牛乳すきよね~」




電「はい!電は牛乳をいっぱい飲んで

早く大きくなって立派な駆逐艦になって司令官のお役に立ちたいのです♪」ニコニコ




間宮「電ちゃんは良い子ですね♪

ささ、お好きな席に座ってくださいね

まだ人は少ないですから」





雷電「「は~い♪」」





ワイワイ


ガヤガヤ




間宮「本当に良い子達…あら、提督

おはようございま」




提督「…」




提督「…っく!」メガシラ オサエ




間宮「て、提督!?」




提督「あ゛ぁ゛あ゛!!

良い子すぎます!なに!?なんなのですか!?

天使!?グレートマザーですか!?」モダエ




間宮「提督!お気を確かに!電ちゃんは

天使でもありませんしマザーでも

ありません!!」




間宮「駆逐艦です!」




提督「間宮さん…」




間宮「なんでしょう」




提督「思ってる事が同じであれば次の深呼吸で想いを吐き出しましょう」




間宮「……お供します」ニコ






スゥ~……







提督・間宮「「『全く!駆逐艦は最高だぜ!』」」




提督「」チラリ


間宮「」チラリ





提督「ウェ~イww」ハイタッチ


間宮「ウェ~イww」ハイタッチ











雷「でも、気になるわね、本当になんで

そんなに眠そうなの?」





電「ふわ~ぁ…ん…実は…ですね」ネムネム










雷「隼鷹さんがね~…」





電「はい…あんな時間にどこかへ出かけるなんて…ちょっと気になったのです…」





雷「怪しいわね…」ウーン




雷電「…」




雷「はっ!まさか!」




雷「こーしちゃいられないわ!」ダン!




電「はわわ!ど、どうしたのです!?」




雷「きっと真相はこうよ!」



=====================




黒い男『よう…待ってたぜ』




黒い男『約束の物は?』




隼鷹『…ここに…』




…ガチャ




黒い男『…ふむ、確かに…』パタン






隼鷹『は、はやくアレをおくれよう…///』ハァハァ





黒い男『ふふ、焦るなよ』





隼鷹『体が…疼くんだよ///』






黒い男『どこがどんな風に…かな?』ニヤニヤ






隼鷹『意地悪しないでくれぇ///』ハァハァ






黒い男『こうなっちゃあただの雌だなぁ!

艦娘が聞いて呆れるっぜぇぇ!!』ニヤァ





隼鷹『うぅ///』




=====================




雷「キャアア!!キャアア!!///」マッカ



雷「破廉恥よぉぉぉぉ///」アタマブンブン



電「はわわわ!!お姉ちゃんどうしたのです!?」









隼鷹「zzz」グガァ




隼鷹「zzz」ゴガァ




隼鷹「zzz」スピィ




隼鷹「zzz」ボリボリ






ドアバーン!





飛鷹「じゅ~ん~よ~う!!」ズンズンズン





飛鷹「いったい、何時だと思ってんの!

さっさと起きなさい!」




隼鷹「zzz」




飛鷹「…」




隼鷹「zzz」ニヘラ




飛鷹(どうしよう…)




飛鷹「あ、そうだ」ポン




飛鷹「飲み会の時間ですよ~」ボソッ




隼鷹「ヒャッハー!!」ガバッ




飛鷹「…」




隼鷹「…」




飛鷹「おはよ」




隼鷹「」アタマボリボリ




隼鷹「ん…おはよ」




隼鷹「ん~…」ノビィ




隼鷹「ひよ~ぅ?」




飛鷹「なに?」




隼鷹「ん」オテテ ノバシ




隼鷹「脱がして」




飛鷹「はいはい」クスクス





ヌガシヌガシ…







-鎮守府 食堂-




隼鷹「おはよ~っす」




電「あ、隼鷹さん!おはようなのです!」




雷「おはようございまぁす」




隼鷹「ん~」スタスタ…





隼鷹「間宮さん迎え酒ぇ~」




間宮「だめです!

朝っぱらから何言ってるんですか!?」




隼鷹「朝から飲むから良いんじゃん」ニヘヘ






電「眠そうなのです」




雷「電も人の事、言えないけどね」




電「…お姉ちゃん、今夜本当にするのです?」




雷「やっぱり気になるじゃない!

私たちの仲間が悪いことしてたら止めて

あげないと!」フンフン




雷「私がしっかりしないとね!!」ウンウン




電(悪いことって

決まったわけではないのですが…)ウーン







隼鷹「な~、頼むよ~

日向ぼっこしながら飲む日本酒は格別

なんだよ~」





間宮「だぁめぇでぇすぅ!!」






提督「あれって半分、

アル中入ってるのでは?」



飛鷹「ギリギリ大丈夫です」










-鎮守府 深夜-


-雷電共同部屋-




電「zzz」スゥスゥ



雷「」ムクリ





雷「電、起きて起きて」ユサユサ




電「ん…」




雷「よし…さ、行くわよ!」




電「ふわわ…眠いのですぅ…」オメメゴシゴシ




雷「早く着替えて着替えて!」





電「んん~」ヌギヌギ









-鎮守府 正門前-





雷「鎮守府から

港町に続く道はここしかないし」




雷「茂みの中に隠れていれば大丈夫ね!」ヒソヒソ




電「zz…z…」ウトウト




電(二日連続での夜更かしは…つらいのです)ウツラウツラ




雷「あ!誰か来たわ!電、もっと頭引っ込めて!」グイッ




電「ふぇぇ~」





~♪~♪♪~





雷(音楽?聴いたことない曲ね)







…スタスタ





隼鷹「~♪♪~♪」ルンルン






スタスタ…





雷「…」




雷「…やっぱり隼鷹さんだったわね!」ガサッ




雷「行くわよ電!!」





電「zzz」スヤァ





雷「いぃくぅわぁよぉ~!!」グイィィィ





電「はにゃぁぁぁぁ!!」ズルズル









-港町 繁華街-




ワンヤワンヤ




呼び込み1「兄さん兄さん!

可愛い娘いるよ~!」




呼び込み2「今なら3000円ぽっきりだからさ!」




お兄さん「い、いやちょっと給料日前で…」




呼び込み1「チッ…良いから来いよ!!」




お兄さん「いやぁぁぁ!!」





ワンヤワンヤ


ガヤガヤ





電「お、お姉ちゃん…隼鷹さん…本当に

こっちに来たのです?」オドオド




雷「ま、間違いないわよ!!こっちに来るの見たんだもん!」




電「う~…なんだか夜中なのにこんなに明るくて人もいっぱいて…なんだか怖いのです」




雷「い、電は怖がりね!艦娘として、

そんなんじゃだめよ!」





…ドン!





雷「きゃっ!」ズテン




電「はわわ!だ、大丈夫なのです!?」





オネェ1「あンらぁ?」グルン




オネェ2「なぁに?あらやだ!!

可愛いお客さんね!!」




オネェ3「いやァん♪♪ほんっとに可愛い

じゃない!食べちゃいたいくらいだわぁ♪」





雷電「!」ゾワワ





オネェ1「ねぇねぇお嬢ちゃん達ぃ!

ちょ~っとお姉さん達と着せかえごっこして遊ばなぁい?」ワラワラ




オネェ1「ずぇったいメイド服が似合うわぁ!」ワラワラ




オネェ2「ばっかねぇ!こんなに愛らしい子はねぇ!ランドセル姿が一番じゃない!」




オネェ3「あんたら揃いも揃って

頭、沸いてるんじゃないの?

常識的に考えて、フリフリドレスに決まってるでしょうが!!」





オネェ1「あ゛ぁ!?」


オネェ2「あんだって?」


オネェ3「おう、ワレェ…」





電(い、今のうちに逃げるのですお姉ちゃん!)クイクイ




電「…お姉ちゃん?」




雷「…」ガタガタガタ




電「お、お姉ちゃーん!!」




電「と、とにかく早く逃げるのです」トテテ




雷「お、男の人がお化粧して…フリフリの

お洋服…あわばばばば」テテテテ…






メイドフクヨ!

ランドセル!

オヒメサマ!



ギャーギャー!!









電「」ゼェゼェ




雷「」放心




電(なんとか…騒がしくて怖い所から抜け出せたのです)フゥ




電(でも…)キョロキョロ




電(路地裏に入ったものの)キョロロ




電(ここはどこなのです?)キョロキョロ




電(夢中で走ってきたから

わからなくなってしまったのです)




雷「お、おとこのひとが…

おんなのひとのかっこう」ガクガク




電(…)




電(だらし姉ぇ)









電「」ナデナデ




雷「」クスンクスン




電「落ち着いたのです?」ナデナデ




雷「うん…ごめんね電ぁ」グスグス




雷「怖かったよぉ…」グスン




電「だいじょーぶなのです♪

もう怖くないのです」ヨシヨシ




雷「うん…」




電「でも…帰り道がわかんないのです…」




雷「そういえば私も…ずっと気を

失ってたから…」キョロキョロ






雷電「…」





雷電「…」





雷電「…」





雷電(ここどこー!?)










雷「うっ…」ウルウル




電「はわわ!な、泣かないでお姉ちゃん!」




電「き、きっとこっちなのです!!」ダッ




雷「!」




雷「い、電!!前!前ぇ!」





電「?」テクテク





ドンッ!!




電「はにゃぁぁぁ!!」ズッテン!






リーゼント「あ゛ぁ゛?いってぇな」ギロリ





雷電「」





スキンヘッド「なんだぁ?このちっこいの?」ギロリン






雷「」チョロロロ…






リーゼント「うわっ!こいつ漏らしやがった!!」





スキンヘッド「おいおい人の事務所の前で

漏らすなんてなぁ…」





リーゼント「ちょっとそこで待ってろよ…」





スキンヘッド「逃げんなよ…」






ガチャ…バタン






電「い、今のうちに逃げるのです!」ダッ






雷「もぉイヤぁぁ!」ダダダッ










ガチャ…バタン





リーゼント「おうお嬢ちゃん達ぃ♪

タオル持ってきてやったぜぇ!」ニコヤカ





スキンヘッド「あとはかぶれないように

清潔なウェットティシューもな!」サワヤカ





スキンヘッド「って…」






スキンヘッド「おう、兄弟、

あのお嬢ちゃん達…消えたぞ!」





リーゼント「おいおい…

あのままじゃ

お股が『かゆいかゆい』に

なっちまうだろがぁぁ!!」





スキンヘッド「どうするよ?」






リーゼント「んなもん決まってんだっっろ!!!探すんだよ!!」





リーゼント「もしもだ!もしもあのまま放置なんてしてみろ!!

掻きすぎて傷物になっちまったら将来あの娘が

苦労するだろがぁぁ!!おらぁ!」






スキンヘッド「おまえ、頭いいな!」カンシン







リーゼント「おまえ、あっち探してこい!」








スキンヘッド「あっちだな!よっしゃ!」ダッ






リーゼント「んじゃ、おれはコッチだ!」ダッ




オーイ オジョウチャーン!!


オマタガ カユイカユイ ニ ナッチャウヨー!









-路地裏-





電「」テクテク




雷「」テクテク




雷「も~…疲れちゃった」ストン




電「電もなのです」ストン




雷電「…」




雷電「…」




雷電「…はぁ~」




雷「パンツが濡れて気持ち悪い…」グッショリ




電「早く、着替えないとかぶれちゃうのです……?」




雷「どうしたの電?」




電「お姉ちゃん…あそこ…」




雷「あそこ…?あんな所に…灯り?」





電「行ってみるのです?」





雷「うん…帰り道もわかんないし…」





電「中に人がいたら道を聞いてみるのです!」ピョンコピョンコ






雷「うん」テテテ











電「はわわ…お店の灯りだったのです…」





雷「なんだか煉瓦造りできれい…」





雷「絵本にでてくるみたい…」





電「?、お姉ちゃん…中から何か聞こえるのです」




…♪~♪~…♪





雷「…ほんと…あれ?これって隼鷹さんが

鼻歌で歌ってた…?」





電「ということは…中に隼鷹さんがいるのです?」





雷「きっとそうよ!はやく入りましょう!」





電「…ま、待ってください!いきなり入って

どうするのです?まずは中の様子を窓からよく確認してから…」







オーイ オジョウチャーン!






雷電「」






雷電「失礼します(なのです)!!!」






ドアバーン!









隼鷹「―んで提督もさぁお酒強くないくせに

しょっちゅうアタシ達と飲むもんだからさ」





ピアニスト「また、酔いつぶれてですか」






隼鷹「そうそう

そんでさ~!

飛鷹がドアバーン!って」






ドアバーン!







隼鷹・ピアニスト「!?」






ピアニスト「い、いらっしゃいま…せ?」






雷「!」





電「あ」





隼鷹「あれ?あんたらなんでここに?」グビグビ





隼鷹「あんまり夜更かしは

よろしくないよ?」オカワリ






雷(幸薄そうな顔の…男の人…そして)






雷(黒い…服!?)






雷(隼鷹さん、頬が赤いわ!それに

青くて、キラキラしてて…

見慣れない変な飲み物飲んでるし…!)






雷(わ、悪いヤツ!)ワナワナ







雷(きっとこんな…)ゴクリ








===========================




ピアニスト『ぐへへへへ!!これかぁぁ!?』グッチョグッチョ!




ピアニスト『これがええのんかぁぁ!?』グッチャグッチャ!




ピアニスト『どうだぁ俺の指テクはぁぁ!』ニッチャニッチャ!




隼鷹『いやぁぁぁ!!///』ビクンビクン




隼鷹『やめてくれぇぇ!!///』




ピアニスト『どぅわははは!!!』




ピアニスト『どぅわーはっはっは!!

これからお前は体で

今までの対価を支払うのだぁぁぁ!!』ズッポズッポ!





隼鷹『い…ひ…ぎぃ…///』




隼鷹『いぐぅぅぅ!!!///』プシャァァァ!




===========================





ピアニスト「あ、あの…」






雷「」ワナワナ






電「?」






電「お、お姉ちゃ」






雷「この」ワナワナ






電(あ、やっべ)







雷「歩く猥褻物(わいせつぶつ)めぇぇ!!」ギソウソウビ







ピアニスト「!?」






電「お姉ちゃん駄目なのです!!」






隼鷹「こらっ」ゴチン






雷「いたっ!」ギソウカイジョ




隼鷹「人に艤装向けちゃだめ、な?」グビグビ





隼鷹「」ゲフッ





隼鷹「ん、『コルコバード』ごちそうさまでした」






※コルコバード…青いカクテルだよ、

テキーラの匂いが独特でとってもトロピカル!






隼鷹「やっぱりカクテルは目でも楽しめるから良いねぇ、これなんか青くて綺麗だったもんな」ケプ






隼鷹「次、『サムライロック』」





※サムライロック…日本酒と

ライムジュースを混ぜ混ぜした

カクテル、キリッとしてて美味しいよ♪





ピアニスト「は、はい」












雷電「せーの」






雷電「ごめんなさい」ペコリ





ピアニスト「いえ…あの…だ、大丈夫…です」






隼鷹「ま、謝ったから良いんじゃあないの?」ナデナデ






隼鷹「アタシもさっき殴って悪かったね」ナデナデ






雷「もう、痛く無いから大丈夫よ!」






隼鷹「そっか」






隼鷹「あれだね、アタシの事を心配して

来てくれたんだもんな」






隼鷹「ありがとね~」ポンポン






雷「あ、あたりまえじゃない!///」






雷「隼鷹さんは大切な艦隊の仲間なんだもん!///」





隼鷹「可愛い奴だな~雷は」グリングリン





雷「あんまり~あたまを~

グリングリンしないでぇ~ぇ~ぇ~」グワングワン





キャッキャッ





電「あの、お兄さん」




ピアニスト「なんでしょう?」




電「許してくれて、ありがとうなのです♪」






ピアニスト「いえいえ…」






隼鷹「あ、そうだそうだピアニスト~?」






ピアニスト「はい」




隼鷹「せっかくだしさ~、この子達に

なんか飲ませてやってよ」





雷「そんな悪いわよ!私達、お金持ってきてないもん!」




電「そうなのです!」





隼鷹「アタシのおごりに決まってるでしょー?」






雷電「ごちになります(のです)!!」





隼鷹「ヒャーハッハッハ!敬え!崇めろ!」





ピアニスト「…盛り上ってるところ申し訳ないですが」






ピアニスト「ご注文は?」












雷「」ジュース ゴクゴク


電「」ホットミルク ゴクゴク


隼鷹「」ビール ゴクゴク







一同「 ぷはぁ !」






隼鷹「良い飲みっぷりだねぇ!将来が

楽しみだよ!」ヘラヘラ






雷電「ん?」






雷「なんだかいつもより牛乳がおいしく

感じるわ!」オドロキ






電「電もなのです!」オドロキ






隼鷹「あはは!『雰囲気』で舌も変わるなんて

ますます見込みがあるねぇ!」






隼鷹「自分の部屋でしとしと飲むお酒も

美味いけど、気心知れた相手と飲む

酒も美味いもんなんだよこれが」ウンウン







電「ところで隼鷹さんはよく

ここに来るのです?」






隼鷹「うん、ほらアタシと飛鷹てさ『船』

だった時さ元々、空母じゃなくて客船だったじゃん?」






ピアニスト(…)






ピアニスト(…え?)






隼鷹「だからなんつーの?…名残?」







隼鷹「客船のときの記憶はあってね~

まぁ、ピアノの善し悪しがわかるくらいの教養はある訳よ~」





雷電「」パァァァ





雷「すごい!お酒ばっかり飲んでるわけじゃないのね!」




電「関心したのです!」





隼鷹「なんか引っかかる物言いだね…

けどありがとね」





隼鷹「こいつ、ピアニストらしいんだよ

曲のお趣味が合う感じ?」





隼鷹「だからかね~?ここで

こいつの演奏聴きながら飲む酒はね~」





隼鷹「格別なんだよ♪」ニカッ





ピアニスト「…///」





ピアニスト「恐縮です///」






だから…褒められるのは慣れてないんだよ…














電「そういえばお姉ちゃん、

お股はかゆくないのです?」




雷「ちょちょっと電!!///」






隼鷹「?」




ピアニスト「?」





電「何も恥ずかしがることないのです!

ピアニストさん、タオルかなにか

拭くものはありますか?」





ピアニスト「は、はい

お手拭き用のウェットティシューなら」




雷「~///」








ピアニスト「そうでしたか

怖いお兄さんたちが…」





雷「ほんとに怖かったんだから///」スカートタクシアゲ



電「」オマタフキフキ



ピアニスト「それはそれは…ところで」




ピアニスト「もう振り向いても良いですか?」




雷「まだに決まってるでしょ!///」





ピアニスト「すいません…」












電「お兄さん、ビニール袋ありがとうなのです」





電「濡れちゃったおパンツはビニール袋に入れていくのです」





ピアニスト「…そんなもので

よければ幾らでもありますので」







隼鷹「ウチのちっこいのが世話になっちゃったねぇ」






ピアニスト「いえ…」







電「?」クルリ






電(綺麗なピアノなのです…)






電(…黒くておっきくてピカピカしてて)






電(なんだか美術館にありそうなのです)






ピアニスト「?」






電「…」ピアノ ミツメ






雷「どうしたの電?」ジュース ノミノミ







ピアニスト「…」クスッ







電「はわわ!なんでもないのです!」







ピアニスト「良ければ…弾いて…みますか?」







電「弾いてみたいのですが…

電は鍵盤に触ったこともないのです」ショボン







ピアニスト「簡単…ですよ?」






電「でも…」







雷「電!こんなに綺麗なピアノ!

なかなか触れる機会なんてないわよ!」フンス







電「お姉ちゃん…」







隼鷹「ちっちゃな女の子に

でかいピアノ…想像しただけで

酒が美味くなりそうだね~」ゴクゴク







電「隼鷹さん…」







隼鷹「」ケフッ






隼鷹「ウィスキーロック、ダブルで」






ピアニスト「はいはい…それじゃお嬢さん…隼鷹さんにお酒を出したら

さっそく…ね?」






電「~!」パァァァ






電「電です!電は『電』なのです!!

ピアニストのお兄さん!」







ピアニスト「…じゃあ『電』ちゃん

さきにピアノのところに…

行っててくれるかな」ニコリ







電「はい!なのです!!」








ピアニスト(あ、なんだろ…ちょっと嬉しい)















~♪…♪…





ピアニスト「僕が…教えたとおりに…ゆっくり…」




ピアニスト「ここ…叩いて…」




電「こ、こうなのです?」





…♪~…





電「はわわ間違えちゃったのです…」シュン








ピアニスト「大丈夫です…」






ピアニスト「最初から上手くいく…人はいません」







ピアニスト「ここ…叩いた後に次は…ここを」






電「は、はい」イッショウケンメイ









―♪…♪♪~







隼鷹「いや~頑張ってる子の

姿を肴に飲むカクテルって良いね~」ニヘラヘラ







雷「妹の頑張ってる姿を

拝みながらのジュースも格別ね~」ヘラヘラ










電「弾けたのです!」ピョンコピョンコ





ピアニスト「良い調子です…それじゃ次は―」





ボォーンボォーン…





ノッポの時計が鳴る






ピアニスト「あ」





電「あ」




…午前6時




閉店の時間だ





窓を覗くと、少し日が昇ってきていて空が白んできていた


カウンターに座っている


電ちゃんのお姉ちゃんに目を向けると


振り子のように


目を擦りながら、頭を水飲み鳥のように


コックリコックリと前後させていた


その隣では相変わらず隼鷹さんがグラスを傾けている






隼鷹「さすがにオネムかね?」






カランと隼鷹がグラスから口を離すと


中の氷が揺れて透明な音を響かせる




コトリとカウンターの上にソレを置くと


電ちゃんのお姉ちゃんの頭を撫でた



彼女は小さく唸ると大きく背伸びをした






隼鷹「お会計頼むよ」





雷「んぅ…」





電「お姉ちゃん、眠そうなのです」




隼鷹「ん?あれ?電は眠くないの?」





電「あれ?ここに来るまではとっても眠かったのですけど…」




電「ピアニストさんと一緒にピアノの練習していたら

なんだか眠気なんて無くなっちゃったのです!」





隼鷹「楽しかった?」





電「とっても♪」






隼鷹「楽しかった?」





ピアニスト「…」





電「?」






隼鷹「なぁ楽しかったかい?」







電(ご迷惑だったのでしょうか…)シュン






ピアニスト「…」






ピアニスト「はいとても…」







ピアニスト「人に…教えるのは…苦手なんですけど…」







ピアニスト「楽しかったです」







電「!」パァァァ







電「あの…あの!」







ピアニスト「はい」








電「ありがとうございました!なのです!」ペコリ












ピアニスト(嬉しすぎて泣きそう…)












隼鷹「―んじゃ、またね」






隼鷹「やっぱ、ちっちゃい子って体温高いね~」






隼鷹「おんぶしてたら背中ぽかぽかしてきたよ~」ハハハ






ピアニスト「お酒で…温まってるのでは?」






隼鷹「言うようになったねぇアンタ」ヒャハハ









隼鷹「あ~、あとさ電のお姉ちゃん…

この子の名前さ『雷』っていうんだよ、覚えておいててよ」








ピアニスト「『雷』ちゃん…ですね」







ピアニスト「…はい」






電「今日はとっても楽しかったのです!」







電「またピアノ教えて欲しいのです!」







電「あ、その…御迷惑でなければ…」モジモジ






ピアニスト「…」







ピアニスト「…喜んで…」ハニカミ










それからまた、数週間が過ぎて…







-鎮守府 食堂-





ガヤガヤ


ワンヤワンヤ


オカワリ-





涼風「あ」





五月雨「どうしたの?」






涼風「これこれ」





五月雨「んん?」






カレンダー「Hey!!」







五月雨「あ、この丸がついてる日付って…」






涼風「そうそう、提督の着任した日だよなぁ」









五月雨「そういえば―」







五月雨「そろそろ提督が

この鎮守府に着任して5年だよね」







涼風「この季節になると思い出すよな」






五月雨「いつもだったら

着任記念でハンカチとかネクタイとかプレゼントしてたけど、

今回はちょっと趣向をこらしたいよね」






涼風「あ~確かにな~」







涼風「なんか良い案ってないかね~」






五月雨・涼風「」ウーン








隼鷹「」テクテク








隼鷹「んぉ?どうしたの?

二人して頭抱えて?」






五月雨「あ、隼鷹さん」







涼風「提督の着任5周年の記念のプレゼント

どうしようかって悩んでいたんですよ」






五月雨「なんかありません?」






隼鷹「えぇ~?いきなり言わてもね~」ウーン





隼鷹「…」ハッ







隼鷹「…酒…とか?」







五月雨「隼鷹さんじゃないんですから」







隼鷹「酷いね」






涼風「なんか毎回さ、『物』をプレゼントするにも中々、悩むんだよな」






五月雨「だから今回は物じゃなくてパーティとか…思い出に残るものをプレゼントしようと思ったんですけど」






涼風「良い案が思い浮かばないんだよな~」





隼鷹「はは~ん、あいわかった!」





五月雨涼風「???」





隼鷹「アタシに良い考えがある♪」ニヤマリ








-BAR-





隼鷹「―というわけだ」






ピアニスト「いや…その…いきなりお店にきて『というわけだ』と仰られても…」







隼鷹「…」






ピアニスト「…」







隼鷹「…」






ピアニスト「イチから…説明、お願いします」






隼鷹「あ~…うん、ゴメン…」










隼鷹「―というわけだ」








ピアニスト「提督さんの着任5周年パーティをこのお店でですか…」










隼鷹「そ」











ピアニスト「把握しました」









ピアニスト「ちなみに人数などは…?」








隼鷹「ん~10人前後かね…」









ピアニスト「それぐらいでしたら、可能です」








隼鷹「お!そうかいそうかい!いやぁ良かったぁ♪」









ピアニスト「フードの確認なんですけど

提督さんは好き嫌いは多い方ですか?」







隼鷹「うんにゃ…なんでも食うねぇ、

前にさ提督のために

駆逐艦の子達がコゲコゲの

焼きそば作ったけど、喜んで食ってたしなぁ~…」








隼鷹「コゲが好きなのかね?」









隼鷹「涙流しながら喰ってたけど?」








ピアニスト(提督さん…心中お察し致します)
















隼鷹「―んじゃ、確認だけど…」









隼鷹「お酒は飲める奴だけに出してくれ」












ピアニスト「もちろんです」グラス フキフキ









隼鷹「雲龍は

グラスが空いてもあんまりススメないで

おくれよ?あんまり断れない性格だからサ」








ピアニスト「もちろんです」グラス フキフキ








隼鷹「肉はたくさんね」








ピアニスト「もちろんです」グラス フキフキ









隼鷹「野菜もね」









ピアニスト「もちろんです」グラス フキフキ









隼鷹「デザート忘れるなよぉ~?」









ピアニスト「もちろんです」









隼鷹「演奏もお願いするね~」










ピアニスト「もちろんです」グラス フキフキ










隼鷹「アタシのこと好きだろ」










ピアニスト「もちろんです」グラス フキフキ









ピアニスト「…」グラス フキフキ










ピアニスト「…」グラス フキフキ










ピアニスト「ん?」ピタッ









ピアニスト「はっ!?」










隼鷹「」ニヤニヤ









ピアニスト「!?///」ボン!










隼鷹「わん もあ せい♪」ニコォ








ピアニスト「う゛ぅ゛///」















-BAR-





雷「司令官!着任5周年!」






電「おめでとうございます!なのです!!」






涼風「今日は飲んで食べて」






五月雨「思い切り楽しみましょー!」






雲龍「…」ボー






雲龍「…あ」






雲龍「…かんぱぁ~い」






一同「「かんぱーい!」」












オネェサマー!コノ オサケ オイシイデスヨー!


シレーカン!アンマリ ノミスギチャダメヨ!



ザワザワ


ガヤガヤ






電「」キョロキョロ




電「あの、オーナーさん!」




オーナー「ん?何かな?栗色のお嬢ちゃん?」



電「ピアニストさんは…」



オーナー「あぁ、彼なら―」






隼鷹「おっまたせしましたー!!」





隼鷹「本日のメインイベント!

提督に捧げます!」







ピアニスト「」ペコリ






隼鷹「お聞きください!」






有名なクラシック楽曲や


ポップスのピアノアレンジ




その他提督さんのリクエスト曲や



駆逐艦の子達からのリクエストの



妖怪○ォッチの曲…



扶桑さん山城さんから頼まれた


鬼○チヒロの曲…知ってて良かった




中でも驚いたのが


雲龍さんからのリクエストで


洋楽のオンパレードだった


…想像できんよ…









ザァァァ…カチャカチャ…






皿を洗いながら今日の事を振り返る




一日貸し切りでお店を使って貰えるなんて


なんだか嬉しかった


オーナーも一日ホールに立ってなんだか


疲れてた様子だったけど


嬉しそうだったし


僕自身がとても楽しかった






ザァァァ…カチャカチャ…




…やっぱり誰かの為にピアノを弾くって


すばらしい事だと再認識…






ザァァァァ…キュッキュ…





貸し切りにして良かった





…楽しかったな~











ガヤガヤ…





オーナー「次、3番さんテーブルにビール」






ピアニスト「はい…このフリットは?」





※フリット…揚げ物!






オーナー「あ、それも3番さん」






ピアニスト「あ、そうでしたか…

わかりました」パタパタパタ…







オーナー「」カクテル シャカシャカ








老紳士「すいません、

ちょっとよろしいですか?」








オーナー「はい、もちろんですよ。

何かお飲みになりますか?」







老紳士「…ワインは…ありますかな?」






オーナー「種類はあまり多くありませんが

一般的なものなら」







老紳士「ピノ・ノワールでおすすめは?」






※ピノ・ノワール…ワインに使われる葡萄の品種だよ





オーナー「少々お待ちください…

はい、○○地方の…

一本のみですが」







老紳士「では、それを…」





老紳士「それと―」




オーナー「?」






老紳士「あそこにピアノがありますけども

あれは飾りですかな?」




オーナー「とんでもございません!

もちろん弾けますよ

といっても弾くのは『彼』ですが」チラリ




ワンヤワンヤ


ガヤガヤ


ピアニスト「ビ、ビールとフリット、おも…おもち…お持ちしました」




キャハハ!カンデルカンデル♪



ピアニスト「いえ、あの…」






老紳士「…あそこの気の弱そうな

ホールスタッフですかな?彼がピアノを?」





オーナー「手厳しいですね~、

はい、彼はホールスタッフ兼『ピアニスト』でしてね♪」





オーナー「私が言うのもなんですが

腕は本物ですよ?

彼は基礎がガタガタですが

その分予想外の演奏が楽しめます」




オーナー「どうでしょう、何か一曲?」





老紳士「…」





老紳士「では…これを」カサッ




オーナー「ん?」



オーナー「これは…楽譜…ですか?」




老紳士「このようなリクエストも?」





オーナー「もちろんですとも!少々

お待ちください」






オーナー「ピアニストくん、ちょっと…」テマネキ






ピアニスト「はい」パタパタパタ…






オーナー「リクエストだよ」














ピアニスト「これは…楽譜ですか?

ずいぶん、古い…」






ピアニスト(楽譜の所々が日焼けして

変色してるし…紙自体もかなりよれてる)






ピアニスト(かなり前の紙だよね…)







オーナー「弾けるかな?」







ピアニスト「曲自体は…

そんなに難しくないので

大丈夫だと思います」







オーナー「それじゃあ」







ピアニスト「はい」







ピアニスト「オーナー、申し訳ありませんが…」







オーナー「わかってるよ…安心しなさい

しばらくは私一人でも回せるから」







ピアニスト「お願いします、準備…してきますね」










オーナーにホールの仕事を一旦預けて


僕は僕の仕事の準備に取りかかる



楽譜に目を通して


頭の中で演奏を始める



実際弾いてないから


あんまり正確な表現はできないけど


最初は物悲しくて、でもだんだんと活力を


得ていくような曲調


あんまり難しくないような曲で良かった



これなら弾ける




鍵盤に指を乗せて


頭でイメージしたように


奏でていく




ー♪~♪♪~♪♪~



流れて…




流れて…






子供をあやすような慈愛の


旋律…



奏者自身も癒されるよう




ー♪~♪♪





子守歌みたいな











老紳士「今日は…ありがとうございました」




オーナー「いえいえ」



オーナー「お客様に喜んで頂けて

私どもも嬉しいですよ」




老紳士「とても良かったですよ」





オーナー「それはなによりです、

機会があればまたよろしく

お願いします」






老紳士「…」




老紳士「ピアニストくんと…

ちょっと彼と話しをさせて頂いても?」





オーナー「?」




オーナー「…すいませんが…どういうご理由か」





老紳士「…」





老紳士「…申し遅れました」






老紳士「私、このような者で…名刺で失礼します」スッ






オーナー(…この名前とロゴ…見たことあるな)







オーナー(○○船会社の…この肩書き…)






オーナー「だ…」






オーナー「だ、代表取締役…!?」







老紳士「はい、小さな客船会社ですが…」






老紳士「単刀直入に申しますと…」






老紳士「ピアニストくんをスカウトしたいんです」


















隼鷹「う゛ぅ゛…ぎも゛ぢわ゛る゛い゛ぃ…」ズキンズキン







飛鷹「千歳とまた飲んでたの?懲りないわねぇ…

呆れるを通り越して、尊敬すら覚えるわ」








飛鷹「…はい、水」









隼鷹「う゛ぅ゛…」







飛鷹「枕の高さはそれで丁度良い?」








隼鷹「ん゛…」グデ







飛鷹「水、おかわりは?」








隼鷹「ん゛ん゛」フルフル








飛鷹「そ、じゃあ、安静にしてなさいな」







隼鷹「ん゛」







コンコンコン…







飛鷹「はぁい、開いてますよ~」







ガチャ







千歳「失礼しまぁす、隼鷹?大丈夫?」ケロッ








隼鷹「なんで、あんたは平気な顔して…ウプッ!」








飛鷹「きゃぁぁぁ!!ちょちょちょっと!ここで吐かないでよ!?」









隼鷹「」ブルブルブル…









隼鷹「」ゴクリ…










千歳・飛鷹「 … 」









千歳・飛鷹「 …飲んだ? 」








隼鷹「…ん」コクリ









千歳・飛鷹「 汚ッ!! 」









隼鷹「」テヘヘ♪









飛鷹「お願いだから息しないで…」









隼鷹「ただ○○を飲んだだけじゃんさ酷いねぇ」









飛鷹「」アキレガオ







千歳「あ、そうそうちょっと隼鷹良いかしら?」







隼鷹「あ、そういえばなんだったん?」








千歳「あなたにお客さんよ?大事な大事なお友達の♪」








隼鷹「?」








千歳「あ、でも!

会う前にちゃんと『口の中』!

濯いでよ!!その臭いのまま行く気!?」








隼鷹「」ハァー






隼鷹「」クンクン





隼鷹「臭ぇっ」ウプッ
















隼鷹(鎮守府一階の…この待合室で良いんだよねぇ、

イタタ…うぅ…まだ酒残ってるなぁ…なんかフラフラするよ…)








隼鷹「失礼しますよ~」








ガチャ…









ピアニスト「あ」ダキカカエ






雷・電「あ」ダッコサレ







隼鷹「あ」






ピアニスト「…」






雷・電「…」







隼鷹「…ロリ?」









ピアニスト「 N O !!! 」ビシィッ
























-数分前-







ピアニスト「千歳さん、すいません、面会の手配を

お願いしてしまって、こんな使い走りのような事を」








千歳「良いんですよ!

私だってピアニストさんにお世話になったんですから!」アハハ








ピアニスト「なんだか恐縮です…」









千歳「所で…今日は随分、大荷物ですね?これからどこかへ?」









ピアニスト「あ、いえ…その…」









ピアニスト「…ぇと…」









ピアニスト「あの…りょ、旅行に…」








千歳「…」








千歳「」ジッ








ピアニスト「ぅ…」タジ









千歳「そうでしたかぁ!」








千歳「良いですね~旅行♪

私もですね!京都とか奈良とか行きたいんですよね~♪」








千歳「関西方面の酒蔵とか見学目的ですけど♪」








千歳「試飲とかさせてもらえるんですよね~♪」








ピアニスト「は、はぁ」









千歳「あ、すいません、今隼鷹呼んできますね!

きっと今頃、二日酔いで寝込んでて青くなってると

思いますけど♪」







ピアニスト「相変わらず…ですね、ちなみに誰と飲んでいたんですか?」








千歳「へ?私とですけど?」








ピアニスト「Oh…」




















ドタドタドタ…





千歳・ピアニスト「?」






電「千歳さん!」






電「ピアニストさんが来てるって本当なのです!?」







千歳「噂広まるの早いわねぇ!ご覧の通りよ?」







ピアニスト「やぁ」








電「お久しぶりなのです!ピアニストさん」









ピアニスト「…はい、お久しぶりです」









電「あのあの!

聞いてほしいのです聞いてほしいのです♪えっとですね!」ピョンピョン









千歳「あんまりはしゃぎすぎないでね♪

じゃ、隼鷹呼んできますね」スタスタスタ











ピアニスト「あ、そうだ…丁度良かった、実は…」ゴソゴソ










電「?」









ピアニスト「これ…お土産です…

皆さんにもそれぞれ準備していたんですけど…」









ピアニスト「まずは電ちゃんに…」スッ








電「おっきな包みなのです…開けても良いですか?」ワクワク









ピアニスト「勿論」








ビリ…ビリ…ビリィ…




ガサガサッ









電「これ…『ピアノ』…ですか?」







ピアニスト「『電子キーボード』というものです…

ピアノのようなものです…良ければ」







電「ありがとう!!なのです♪」






ピアニスト「良かった…あまり高い物は買えず、安い物で

申し訳ないのですけど」





電「そんなことないのです!電はとってもとっても

嬉しいのです!これでいっぱい練習するのです♪」









ピアニスト「是非、たくさん練習して…くださいね」










雷「あ!電!こんなとこにいた…の!?」








雷「ぴ、ピアニスト!?なんでここにいるの!?」









電「雷お姉ちゃん!…あれ?そういえば何で鎮守府に?なのです?」










雷「そうそう!なんでなんで?」








ピアニスト「あの、実は―」
















雷「ふーん、隼鷹さんに?」






雷「それなら私が呼んできてあげたのに!

私を頼っても良いのよ?」







ピアニスト「いえ、その…正門で千歳さんにお会いしたので…」







電「そうでしたか、じゃあ隼鷹さんが

来るまで一緒にお話ししてほしいのです!」







雷「あ、ずるぅい!!私も私もぉ!」







ピアニスト「良いですよ、お話ししましょう」ニコ







雷「やった♪あのねあのね―!」









隼鷹「んでなんで鎮守府に?

それにさ、その荷物…?」






電「おみやげだけじゃないのです?

おっきなトランクが3つもあるのです

これには何がはいってるのです?」







雷「旅行にしたって大荷物よね?」









ピアニスト「ちょっとまぁ…その」










隼鷹「はっきり言いな!」








ピアニスト「う…あの、隼鷹さん!」








隼鷹「へ?」








ピアニスト「このチケットを…」スッ






隼鷹「なんだい、この金ピカの券は?」ヒラヒラ








ピアニスト「○○船会社の…豪華客船の券です」








隼鷹「なんでそんな大層なモンをアンタが?

本物?例えそうだとしても、なんでソレをアタシに?」








ピアニスト「あ…う…その…」








隼鷹「」カベドン!







ピアニスト「ひょえっ!」







隼鷹「は っ き り 言 え!チ ○ コ 付いてんだろ!!」ガァァ!







雷電「///」







ピアニスト「すぅー…はぁー…」








ピアニスト「良しっ…!」







ピアニスト「じゅ、隼鷹さん!!」








ピアニスト「一緒にその船に乗ってください!!!」










隼鷹「は?」



雷「わ?」



電「わ!?」







ピアニスト「わ、私が、その船の中で開かれるパーティで…演奏するんです」















ピーヒョロロー…





隼鷹「」



雷「」



電「」



ピアニスト「」




隼鷹「ん、ん~…」アタマポリポリ





隼鷹「まじで?」







ピアニスト「」コクリ






隼鷹「あ、あた…アタシャそういうのは…ねぇ…客船だったっつーのも大分、昔だし…」






隼鷹「そ、それにさ、今は戦いに

専念すべきだろ??アタシ艦娘だからさ…」





ピアニスト「隼鷹さん!!」






隼鷹「はい!」







ピアニスト「一生のお願いです!私と一緒に!!この船に乗ってください!」ガバッ







雷「あ、あら///」





電「こ、これはもしや…なのです!」






ピアニスト「そこでどうか、私の演奏を…

演奏を聴いて欲しいんです!」





隼鷹「ちょ、ちょっと考えさせー」





提督「うんうん良いじゃないですか?」





隼鷹「提督もそう思うかい?」




提督「はいそりゃもちろん

やはりあれですよねぇ、

こんなご時世ですが

だからこそ息抜きが必要ですよね」ウンウン






提督「いいでよね~、

客船でクルージングアンドコンサート!

んっん~!」







提督「あ、このクッキー頂きますね」ボリボリ








隼鷹「…」


雷「…」


電「…」


ピアニスト「…」






提督「うまうま♪」ボリボリ









隼・雷・電・ピ「 ! ? 」





隼鷹「い、いつから…!?」




提督「ん?」ポリポリ




提督「あー…」ケプッ




提督「ずっと」





ピアニスト「///!?」





隼鷹「あは…あはは…///」





提督「さて…そうなったら

隼鷹さんのドレスコーデですね!それと

隼鷹さんを抜かした編成をして…

あとは資材の調整と…」





隼鷹「ちょ、ちょちょちょっと待ったぁぁ!!」







提督「ん?どうしました?」







隼鷹「え?なに?アタシ行くの決定?」







提督「こんなチャンスありませんよ?」









隼鷹「ま、まぁそーだけどさ…」







隼鷹「ドレス代だって」







提督「ここに暖かい『財布』役がいるじゃないですか?」ウィンク







隼鷹「て、ていとく~」ウルウル








提督「それに~」







提督「元・客船が客船に乗るっ…!

ふぉぉ!

これも面白い!

んっん~!!想像しただけで

実に面白い!」ハハハ






ピアニスト「提督さん…ありがとうございます…」






提督「」ウィンク





提督「さぁさぁ!

そうと決まったら

ドレスの採寸と、

スケジュール調整ですねぇ!!

どぅふ~~~~いっそがしいぃぃ♪」ドタタタ







雷「あ、し、しれーかーん!!私も手伝うぅぅ!!」テテテテテ






電「司令官さん!お姉ちゃん!!」ダッ






電「あ、あの…ごゆっくり!!なのです!!」





バタン!!





ガチャ!








電「あ、あの!きーぼーど!本当にありがとうなのです!」








バタン!!








隼鷹「…」




ピアニスト「…」






隼鷹「えと…」





ピアニスト「…」






隼鷹「く、詳しい日程…教えてくれるかい?」







ピアニスト「!!」








ピアニスト「もちろんです!!!」ヤッタヤッタ







隼鷹(むっちゃ嬉しそう…)












-数週間後-












-客船内 パーティ会場-







隼鷹(う~ん)







ザワザワ


ガヤガヤ






カブカ ガ…


カイイキ ガ…


アトツギ ガ…


ウンエイシキン ガ…



ジュウコンカッコカリ ガ…







隼鷹(いざ来てみると)チラリ






ハッハッハ!シザイガウルオウナ!








隼鷹(あそこのおっちゃんも)チラリ








シンカイセイカンガナンダ!


シュホウ ガンヅミダ!






隼鷹(あそこの兄ちゃんも)チラリ








ウチノダンナッタラ 『ハグロ』ニ ムチュウデスノヨ!?


シンジラレナイッ!!


ワタシトイウモノガイナガラ!!オヨヨ…







隼鷹(あそこのおばちゃんも)チラリ








隼鷹(み、みぃんな高そうな…金持ちの人達じゃないかい?明らかに

アタシ浮いてるだろぉぉ!?)ズゥゥン






ザワザワ


ガヤガヤ






隼鷹(うぅ…)








隼鷹(えぇい!!こうなったら飲むしかない!!)クワァッ






隼鷹(高そうな酒から片っ端に飲んでやる!!)






隼鷹「ビール」ゴキュリ!






隼鷹「ビール!!」ゴキュリ!






隼鷹「スコッチ!!」クイッ!ットン!!






隼鷹「ビール!!」ゴキュリ!






隼鷹「スパークリングワイン!!」シュワワ!!







隼鷹「白ワイン!!」クイ~







隼鷹「赤…」グラスマワシ…







隼鷹「ワイン!!」クイ~!!







隼鷹「」ブハッ!







隼鷹「」ゼェゼェ






隼鷹「次ぃ…」フラフラ







~♪~♪





ヒソヒソ


キレイナ ネイロネェ







隼鷹「ん、ん~?この音…?

あ、そろそろ、アイツの時間か~」ヘロヘロ




















ザァーン



ザザァーン…





-甲板-






隼鷹「いっや~、良い演奏だったね~」フハ~







隼鷹「酔いが醒めたよ~」








ピアニスト「それはそれは」








隼鷹「アタシの隣の奥さんなんか泣いてたよ~?」







ピアニスト「それはそれは」









隼鷹「なんだかすんごい優しい曲だったね~」









ピアニスト「それはそれは」








隼鷹「でも途中からの盛り上りすごかったね~

あんたも汗かきながら弾いてたじゃん?

ありゃ拍手モンの演奏だったよ」









ピアニスト「それはそれは」









隼鷹「…」




ピアニスト「…」






ザァーン





ザザァーン…








ピアニスト「隼鷹さん、とてもお似合いですよ?」







隼鷹「あんまりこっち見ないでくれよ

恥ずかしいよ///」







ピアニスト「大丈夫です」






ピアニスト「とても綺麗ですよ」






ピアニスト「もっと見せて、

魅せてくださいよ」






隼鷹「いや、その…こんなに

粧し込むのもなんだか久しぶりすぎて…///」






ピアニスト「いつものツンツンした

髪もステキですが、

そのウェーブをかけたスタイリングも

今日の紫のドレスにもとても良く合っていると思いますよ?」







ピアニスト「正直に申し上げますと…

思わず見惚れてしまいました」







隼鷹「あ、あんたさ…普段もっと

シャイなのになんで、こんなときばっかり

真顔でンなこと言えんのさぁ~///」









ピアニスト「その少し高めの赤紫のヒールも」







隼鷹「///」







ピアニスト「ドレスのスカート周りのフリルも」








隼鷹「///」








ピアニスト「首の金の細いネックレスも」








隼鷹「も、もう///」









ピアニスト「その交互に塗られた赤と黒のマニキュアも」








隼鷹「だからさ///」










ピアニスト「すべて、『綺麗』です」








隼鷹「あぁもう!!言われてる

こっちの身にもなりな!!///」







隼鷹「あ、アタシャね!ほ、褒められ慣れてないんだよぉ!!

だからそんな見るな褒めるなぁ///」







ピアニスト「お揃いですね」








隼鷹「///??」








ピアニスト「僕も褒められ慣れてないんですよ」
















ピアニスト「隼鷹さん」






隼鷹「な、なんだい?」







ピアニスト「実は…あの曲は隼鷹さんをイメージして

ずっと前から、あなたに出会ってから作り始めた曲なんです」









隼鷹「…へ?」








ピアニスト「今回は貴方にソレを聴いて欲しくて、それでお誘い…したんです」








隼鷹「そ、そら、嬉しい…ねぇ///」








隼鷹「で、でもアタシみたいなガサツな女にあんな綺麗な曲は―」








ピアニスト「隼鷹さん」







隼鷹「ハイッ!」









ピアニスト「とても綺麗です」








隼鷹「う…///」









ピアニスト「僕は…語彙が貧しいので、このような表現しか出来ないのが

とても悔しいです、でも本当に貴方の事は綺麗だと思います」









ピアニスト「正直、貴方を表現するのにまだまだ旋律に美しさが足りません

僕の技術が、まだまだ貴方を表すのに追いついてません

とても歯がゆいです」





ピアニスト「ですので―」











ピアニスト「隣で僕の演奏を見守り続けてくれませんか?」







隼鷹「!?」







隼鷹「ん?んん!?」





隼鷹「ちょ、ちょっと待って!」






ピアニスト「待ちません」






隼鷹「待てって!!」






ピアニスト「却下します」







隼鷹「この///」







ゴン!!












隼鷹「殴るよ!?」








ピアニスト「殴ってから言わないで下さい」ヒリヒリ









隼鷹「///」ン~









隼鷹「アタシ、ガサツだよ?」






ピアニスト「僕がその分を補います」






隼鷹「酒代かかるよ?」






ピアニスト「稼ぎます」








隼鷹「道端で平気で酔い潰れるよ?」








ピアニスト「どこでも迎えに行きます」







隼鷹「…でも駄目」








ピアニスト「!?」












隼鷹「ハッキリ言ってくれなきゃ…やだ///」









ピアニスト「…」










ザァーン…


ザザァーン…





ピアニスト「大好きです、隼鷹さん 」






ザザァーン…


ザァーン…












隼鷹「…ほんっとに…」








隼鷹「物好きなんだからよぉ~///」グスッ









ピアニスト「あ、な、泣かないでください」アセアセ







隼鷹「ばかっ…もう…///」






隼鷹「察しなよ…///」










隼鷹「嬉し泣きだよ」





















-数年後 とあるパーティ会場-





隼鷹「―ママとパパはこうやって

出会ったんだぜ?」





娘「へぇ~!ぱぱもおくてなのに

がんばったわね!」





隼鷹「奥手ヘタレなのは変わんないけどなぁ~」ハッハッハ







娘「あ、ママ!次の演奏始まっちゃうわ!」







隼鷹「へぇい」







娘「もう!へぇいじゃないでしょ!」





娘「ほら!右手のビール置いて!」





娘「も~!髪のセットだって少し崩れちゃってるじゃない!」





娘「ちゃんとしてたら綺麗なのに

もったいないわ!」フンス




隼鷹「はは、お世辞でも嬉しいもんだね」タハハ







娘「それ本気で言ってる?まわりの人たち見てよ、ママのことスゴい見てるわよ?」







隼鷹「へぇ?」クルリ






男性1「!」ドキッ


男性2「!」ビクッ


男性3「!」ホゲッ


男性4「!」ヌググ






隼鷹「ふふ~ん」ニヤァリ






ハラリ





隼鷹「さーびすかーっと♪」ムネチラ





男性陣「」ウォォォ!!








ザワザワ








娘「あぁ~ん!ぱぱぁ!!ぱぱぁ゛~!!」







タタタタ





ピアニスト「隼鷹さぁーん!!」






娘「ぱぱぁぁ゛!!」






ピアニスト「何やってんですか!?」






隼鷹「あんたも見る?」ガバッ







ピアニスト「公衆の面前で何やってるんですか!?」







隼鷹「娘産んでからまた少し

おっきくなったんだぜ?ほれユサユサ♪」

ホレホレ







ゴチン!






ピアニスト「叩きますよ!?///」








隼鷹「叩いてから言うなよぉ」イテテ





ナンダナンダ?


コント カ?





娘「もう~、パパまで~」




娘「ん?」




娘「はっ!!」







娘「ちょ、ちょっとパパ!!そろそろお仕事の

時間でしょ!?」





ピアニスト「へ…!?うわ…うわぁぁ!!」ダッ





ピアニスト「じゃ、じゃあ!!娘ちゃん!!

ママがあんまり飲み過ぎないように

見張っててね!」







娘「任せて!」








隼鷹「立場、逆じゃない?」










娘「だったら良かったんだけどね~」









隼鷹「…さ、て、うるさい旦那もいなくなった事だし」







隼鷹「…お酒お酒♪」






娘「あ~ん!ぱぱぁぁ!!パパぁ゛ぁ゛ぁ゛!!ママがぁぁ!!」













-鷹と鍵盤-完


後書き

おしまい♪

・車を運転してたらトラックと接触事故を起こしそうになりました
怖かったです

・最近 母親と艦これの話題が通じつつあります

・ピアニストが一番最初に隼鷹に弾いた曲のイメージ→http://www.nicovideo.jp/watch/sm22309026
・ピアニストが電と一緒に弾いた曲のイメージ→http://www.nicovideo.jp/watch/sm22769309
・ピアニストが隼鷹に贈った曲のイメージ→http://www.nicovideo.jp/watch/sm22308232


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2015-07-28 05:57:18

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2015-07-01 17:46:08

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SKさんから
2015-04-19 21:57:00

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2015-04-09 01:15:02

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あっぽるさんから
2015-03-15 22:59:34

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葉っぱの妖怪さんから
2015-03-15 04:26:37

SS好きの名無しさんから
2015-03-15 00:00:13

このSSへのコメント

24件コメントされています

1: あっぽる 2015-03-15 23:00:35 ID: v6q8sUua

別に悪くないんだよ。悪くないんだけどマティーニ飲んでる隼鷹さんとか想像すると笑っちゃうんだよ

あんた一升瓶が一番似合うよ

2: らんぱく 2015-03-16 21:41:49 ID: UulIAWiz

>あっぽるさん
コメントありがとうございます。
いまさらですが…ごもっともですハイ。
なんで日本酒にしなかったんだろうと後悔です。
どうか笑ってくださいぃ…(涙目

3: ライン 2015-03-16 22:30:11 ID: y_s37wiY

毎回組み合わせが楽しみです。
今回はピアニストですか……。

クラシック好きとしてはなかなか興味深いですね!

頑張ってください!

4: らんぱく 2015-03-18 11:20:21 ID: WE0QkB-x

>ラインさん
コメントいつもありがとうございます。
今回はピアニストくんと艦娘ちゃんを絡ませてみました。

>クラシック好き
クラシックお好きなんですね!
自分自身ピアノとかそういうの好きなだけで
専門知識も何も無く
どう上手く旋律を表現できるか四苦八苦してます。うぁぁ~…

5: たぬポン 2015-04-08 18:50:47 ID: Wh1IkSxQ

ピアノっていいですよね……

僕も、この作品のピアニスト位にピアノをひくことが出来たらいいのにな

続きが楽しみです

トラックと接触せずにすんで本当によかったです。

6: らんぱく 2015-04-08 20:35:00 ID: IsBhrXEu

>たぬポンさん
コメントありがとうございます
ピアノって本当に癒されるんですよね~
私も弾けませんがw

ぬるぬると更新していきますのでどうかよろしくお願いします。

運転中ちょっとウトウトしてて危うく…ね

7: SK 2015-04-08 21:02:17 ID: UibMAzAp

面白いです。更新楽しみにしてますね。

8: らんぱく 2015-04-08 21:10:37 ID: IsBhrXEu

>SKさん
コメントありがとうございます
嬉しいです
『提督は大学生?!』の作者様ですよね、
宜しくおねがいします♪

9: SK 2015-04-08 21:26:21 ID: UibMAzAp

そうですw お恥ずかしながら笑

こちらこそよろしくです!!

10: ポテトチップス 2015-04-09 22:40:44 ID: pFFRAF8D

久々に読みましたが、面白かったです。 期待してますぞ。 事故には気を付けてね。

11: 葉っぱの妖怪 2015-04-10 03:34:20 ID: d3Q7hMAp

あ、あれ?リーゼントが・・・意外と・・・いい奴?

12: らんぱく 2015-04-10 20:26:04 ID: nTWIOVd1

>ポテトチップスさん
コメントありがとうございます
面白かったですか?それは何よりです♪
ホント、怖かったですハイ

>葉っぱの妖怪さん
コメントありがとうございます
見た目が『怖くて』心が『優しい』ってギャップ最高ですよね♪

13: ひまな人 2015-04-13 21:42:08 ID: YA1vvcci

リーゼント(´・ω・`)

事故にはお気をつけて

家の母は艦これの話が出ると「ええええー」って言います

(らんぱくさんのイメージ年齢がわからない)

14: らんぱく 2015-04-14 21:52:32 ID: _4LCwC2a

>ひまな人さん
コメントありがとうございます
今後気をつけます、はい

ですよね~
ウチの母も最初はそうでしたが…この間
わざわざ『大和の70周年の特集、NHKでやるって!』と
教えてくれたので…なんとも言えぬ…

私はとりあえずお酒が飲める年齢ではあります、はい

15: ひまな人 2015-04-16 22:32:48 ID: rY_jdN_U

いっしょに飲みましょうと言いたいけどまだ飲めません

この展開はもしや・・・

16: らんぱく 2015-04-20 22:02:51 ID: rDFC68Hp

>ひまな人さん
いつもコメントありがとうございます
いつか一緒に飲みたいですね♪こう…色々談義しながら

さぁこの後どうなるんでしょかね~、むふふw

17: SK 2015-04-20 22:06:37 ID: 7wGIm3dC

終わらせ方上手いなあww

18: SS好きの名無しさん 2015-04-23 20:55:24 ID: cUVoPDNB

酒と聞いて見に参った、ビールを飲みながら見るssは良いもの(確信)
提督と間宮さんの仲に入りたいww
リーゼントとは仲良くなれそうだ

19: らんぱく 2015-04-23 22:04:23 ID: kWcliwon

>SKさん
コメントいつもありがとうございます
いつもどこで区切って良いものかと足りない脳を
悩ませている分、そう仰って頂けると嬉しいです♪

>18コメのSS好きの名無しさん
コメントありがとうございます
激しく同感です握手しましょう
リーゼントのキャラは私自身気にいってるのでなんだか嬉しいですね
お酒飲みながらSS読むと余計面白く感じますよね♪

20: ライン 2015-04-25 22:26:26 ID: Zx_-Vggr

うっきゃあああああああああああ!
ピアニストさんの告白素敵ですわぁ……(ぜひともこれはうちのSSでも参考にしたい告白シーン……)

ピアノいいですよね~。
ドビュッシーやショパンを聴いていると本当に心が洗われます。

21: らんぱく 2015-04-27 20:19:43 ID: IG9PEdfk

>ラインさん
コメントありがとうございます
えんだぁぁぁぁぁぃやあぁぁぁ!なendにしたかった故に
こうなりました
むぉぉ…!参考なんて恐れ多いです(震え声

ピアノの音色はとっても好きなんですけど
その分野には明るく無くて…

そもそも書こうと思ったきっかけはとあるピアノゲームでして(汗

22: SK 2015-04-27 20:24:09 ID: ak31fl8q

面白かったです!

締め方も違和感なくてとても良かったです!

23: SS好きの名無しさん 2015-04-27 21:29:18 ID: mwC3tuhX

良いものを見させて貰いました.....末永くお幸せに.....

他の作品も一気に拝見させて貰いました。一般人と艦娘の絡みがたまらなく良いです.....好きです.....

24: らんぱく 2015-04-28 19:36:00 ID: dFEtvc_i

>SKさん
コメントありがとうございます
面白かったですか?それは良かった嬉しいです♪
やっぱり物語の終わりはハッピーエンドが良いですよね!

>23コメのSS好きの名無しさん
コメントありがとうございます
良かったですか!う~ん…嬉しいです!
自分が良いなと思った物語を書いていますのでテイストが合えば
これからも生温かく見守って頂けると…あれです、嬉し泣きます(笑


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1件オススメされています

1: SK 2015-04-20 02:11:50 ID: 7wGIm3dC

ピアニストのキャラと隼鷹さんとの会話など面白さ満載です!


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