2019-01-11 17:46:17 更新

概要

カテリーナ鎮守府をメインにした番外編です。
2部構成を予定中


とある海域にて。

穏やかな海を駆け抜ける艦隊の姿があった。


カテリーナ鎮守府所属、金剛改二を旗艦とし、比叡改二・那智・木曾改二・北上改二・加賀で構成された主力艦隊だ。



金剛「こちら第1艦隊!現在順調に進軍中デース!!」


無線でカテリーナに状況を報せる。

辺りを見回すが敵影の姿は今のところ確認出来ない。


カテリーナ『奥で陣形を固めて待ち伏せてるかも知れないわ。艦載機や電探を逐一チェックしなさい。潜水級にも警戒しなさい』

金剛「了解デース!ヘイ加賀ー!!」


隊列最後尾にいる空母、加賀に声を掛ける。

一航戦、加賀。戦線離脱した蒼龍の穴を埋めるべく建造された空母だ。


加賀「任せて」


弓を構え、艦載機を飛ばす。

それから間もなく艦載機から情報が送られてくる。


加賀「いたわ。戦艦級1、軽巡級2、駆逐級2、軽空母級1」

那智「ふむ、戦力的にはこちらに分があると見るか」


妙高型重巡洋艦、那智。彼女も戦力増強の為に加賀と同時期に建造された艦娘である。


比叡「那智さん、今は考え込む暇は無いですよ?あと少しで会敵します」

那智「おっと、悪い癖が出てしまったな。すまない…」


顎に手を当て考え込みはじめた所を比叡に注意され、思考を中断する那智。

それからすぐに敵の姿が見えてくる。


金剛「敵艦隊発見!皆サーン、行きますヨー!!」


戦闘体勢に入り、主砲をまだ遠くにいる敵艦隊に向けながら接近していく。

加賀も改めて攻撃隊を発進させ、制空権確保に動く。


加賀「敵もこちらに気付いたわ。けど、制空権はもうこっちのもの」


深海悽艦がいる場所に水柱が幾つか立っているのが見える。

その中に軽空母級が沈んでいく姿も発見した。


金剛「戦艦級は私と比叡が相手しマース!」

北上「じゃ、私達は残り物を片付けますか~。木曾~」

木曾「任せろ!」


艦載機の攻撃で陣形が乱れている軽巡級と駆逐級に砲撃で牽制しつつ、北上と木曾は魚雷を発射する。

魚雷は見事命中、大きな水柱が前方に立った。


北上「やーりぃ」

那智「いや、まだだ」


水柱を突き破って軽巡級が1体飛び出し、攻撃を始める。


木曾「くそっ!」

那智「ふん、詰めが甘いぞ?」


砲撃を避けて一撃を加えると、軽巡級は煙を上げて今度こそ沈んでいく。


比叡「てぇーっ!」


一方金剛と比叡も戦艦級を大破にまで追い込んでいた。


比叡「お姉様、止めを!」

金剛「バーニングゥ…ラァブ!!!」


金剛の掛け声と共に主砲が放たれ、戦艦級は断末魔をあげながら沈んでいった。


金剛「…周囲の状況はどうデス?」

加賀「周囲に敵影は無いわ」

木曾「潜水級の反応も無いぜ」


再び穏やかになった海を見渡しながら、カテリーナに無線を入れる。


金剛「こちら第1艦隊、敵艦隊を撃破」

カテリーナ『了解、よくやったわ!帰投しなさい!』


無線を切り、改めて戦艦級が沈んでいった場所を見る。


金剛「……せめて安らかに眠ってくだサイ」


誰にも聞かれないように静かに呟き、帰路につく。

数十分後、木曾の電探に反応が表れる。


木曾「敵かっ!?9時の方向に反応あり!」

加賀「偵察させます!」


一行は立ち止まり、艦載機からの情報を待つ。


加賀「来ました。補給級5です」

比叡「どうします?お姉様…?」


全員が金剛に注目する。

金剛は目を閉じて数秒考えた後、指揮を下す。


金剛「見付けた以上、見逃せないデス。艦隊、戦闘準備!」


補給級目掛け前進していく、そして難なく射程内に捉えた。


金剛「ファイヤー!!!」


一斉に補給級へ砲撃を開始し補給級は成す術もなく、次々と沈んでいった。

そして5体全て沈め、緊張が解かれ始めたその時だった。

木曾の電探が再び反応を示す。


木曾「また反応!?近づいてくるぞ!」

那智「数は!?」

木曾「…1。1体だけだ…!」

北上「…もしかして、あれ…?」


北上が指差した方向には補給級が1体、こちらに向かって来ていた。


那智「1体だけで向かってくるとはな…沈め!」


接近する補給級に主砲を放つが、紙一重で避けられる。


那智「何だと!?」

金剛「全艦攻撃開始デス!」


次々と砲撃、雷撃、爆撃していくが全て避けられていく。


比叡「当たらない!?」

北上「さっきの奴等とは全然違う…!」

加賀「…頭にきました」


弾幕を厚くするが攻撃を次々と避けて接近してくる補給級に一行は怯み始める。

どんどん迫って遂には目の前までくる補給級。


金剛「退避!」


金剛の叫びと共に左右に別れる。

その間を補給級が凄まじい勢いで通り過ぎる。


木曾「アイツ体当りでもする気か!?」

那智「また来るぞ!」


スピードを維持したままUターンし、再び金剛達に接近してくる。


金剛「補給級は武装は持っていまセン!落ち着いて対処を」


その時だった。

補給級は級に立ち止まり自身の下半身、球体になっている部分の左右側面から単装砲を出して金剛に砲撃、一撃で大破に追い込んだ。


金剛「っ!?」

比叡「お姉様!!」

加賀「一撃であの威力…!?」


更に1発、もう1発と放ち北上と加賀に的確に命中させる。


北上「っあぁ!!」

加賀「そんなっ…!」


金剛同様一撃で大破された2人。


金剛「補給級が武装を持ってるなんて…Shit……総員撤退デス!」


異常な強さを持つ補給級にこれ以上は危険と察した金剛が指示を出す。

そして隊列を組み直すと同時に比叡、那智、木曾が大破した3人を庇うように補給級の前に立ち塞がって砲撃をする。

補給級はそれを避けながら単装砲を仕舞うと再び突撃してくる。

その先には最後尾になった比叡がいる。


那智「さっきより速い!」

木曾「比叡っ!」

比叡「っ!」


比叡の目の前まで迫ると、口を大きく開けて比叡に覆い被さり一気に呑み込んだ。


那智「なっ!?」

加賀「比叡さんが…」

木曾「喰われた…!?」


目の前で起きた出来事に全員が固まる。

そして比叡を捕食した補給級は踵を返し、何処かへ去ろうと動き出した。


金剛「…待つネー…!比叡を……比叡を返しなさぁい!!!」


悠々と去ろうとする補給級を単身追い掛ける金剛。

動く砲を動かし、砲撃するがあっさり避けられる。


那智「待て金剛!その体をじゃ」

金剛「逃がさない!!」


怒りで頭に血が上り冷静な判断が出来なくなっている金剛を止めようとするが、そんな那智の制止を振り切って追い掛けようとする。

その時補給級が急に立ち止まり再び単装砲を出し金剛に狙いを定める。


那智「まずいっ!」


単装砲を向けられているにも関わらず突撃する金剛の体を掴み投げ飛ばす。

だがその反動で単装砲の射線に入り被弾、大破してしまった。


那智「がぁぁっ!」

金剛「っ!……那智…!」


大破してしまった那智を見て我に帰る金剛。

その時、カテリーナから無線が入る。


カテリーナ『木曾から聞いたわ!艦隊は即撤退!!これは命令よ!撤退しなさい!!!』


怒りや焦りが混ざったような大声が金剛の耳に響く。


金剛「……比叡…!」


数時間後、鎮守府にて。

補給級との戦闘で大破した金剛達は入渠し、唯一無傷だった木曾が執務室でカテリーナと近衛兵に状況を伝えていた。


カテリーナ「…金剛達を1発で大破させる補給級、ねぇ」

近衛「それに比叡を、艦娘を補食するとは…にわかには信じられんな……」

木曾「ホントの事なんだよっ!実際に比叡が食われて皆やられて!!」


今までに無い事態な為困惑する2人。

そんな2人に苛立ち、木曾は思わずカテリーナの机を叩いてしまう。


カテリーナ「落ち着きなさいよっ!!」


大きく目を見開いたカテリーナの声が執務室に響き渡る。

その迫力に圧され木曾も落ち着きを取り戻す。


木曾「…すまん」

カテリーナ「気持ちは分かるわよ。でも異常事態だから対応を選ばないとそれこそ比叡が危ないわ」

近衛「通常なら砲撃なり雷撃して沈めにくる筈だ。なのに捕食して、尚且つ大破した金剛達は見逃した……まさか」


何か思い付いた近衛兵。

カテリーナもその表情を見てすぐに分かった。


カテリーナ「……ヒリュウ…!」

木曾「ってことは…比叡は…!」


木曾もヒリュウの名前を聞いて青ざめる。


カテリーナ「急いだ方が良いわね…それより、その補給級はどの方向に去っていったの?」


海図を開き、机に広げる。

木曾はそれを見ながら当時の状況を思い出す。


木曾「確か……こっちの方角だった筈だ」

カテリーナ「ここって…」


彼女が指差した方角を辿るとそこにはトラック泊地と記載された島があった。


カテリーナ「…トラック泊地……行ってみるしか無いわね」

近衛「だが編成はどうする?比叡が抜けた部分をどう埋める?」

カテリーナ「第2艦隊を支援にまわすわ。皆を呼んできて。それと木曾、彼女にも伝えてきて」


数分後、執務室に6名の艦娘が集まった。


五十鈴、川内、加古、不知火、雪風、海風。

遠征任務を主に行い、第1艦隊をサポートしている6名だ。


五十鈴「どうしたのよカテリーナ?」

川内「ついに夜戦!?」

加古「そろそろ本格的な実戦に出してくれよ~?眠くてたまんねえ~」


事態を呑み込めていない川内と加古に溜め息を吐きながら、説明を始めた。


カテリーナ「さっきの出撃で第1艦隊の比叡が、敵に拉致されたわ」


その言葉を聞いて、五十鈴達に緊張と衝撃が走る。

張り詰めた空気の中、カテリーナは静かに説明を続けた。


カテリーナ「配属したての時に話したけど、深海悽艦は寄生生物の可能性が高いわ」

海風「じゃあ比叡さんは…!」

カテリーナ「そうなる前に、総力を上げて比叡を救出するわよ」

近衛「貴様達第2艦隊は第1艦隊と連合艦隊を組み、前衛として戦ってもらう」

カテリーナ「作戦開始は1時間後。入渠を終えた第1艦隊にも伝えておくわ。気を引き締めて行きなさい!」

6人「了解!」


その頃、木曾はある人物の部屋を訪れていた。


木曾「…よう、長門…少しやつれたか?」

長門「…何の用だ…?」


薄暗い部屋に入り、カーテンを開ける木曾。

窓から入ってくる光に、長門は目を細める。


木曾「比叡が…深海悽艦に捕まった」

長門「っ!?」

木曾「もう一度、オレ達と戦ってくれないか?」


長門の目を見据える。

数分の沈黙が部屋を支配する。


長門「…私に、戦う資格なんてない」

木曾「…何故だ?ビッグセブンと呼ばれたお前なら!」

長門「私はっ!戦闘を…楽しんで……奴等をいたぶるのを………快楽を感じていたんだ」

木曾「なっ…」


長門のカミングアウトに言葉を失う木曾。


長門「私は異形である奴等を殴って、消し飛ばして…楽しんでいたんだ……こいつらは敵だ、我々とは違う生き物だから何しても良いと…。だが深海悽艦も、元は艦娘だったと聞いて…自分のやってきた行為に…恐怖を感じたんだ。自分は同じ艦娘をいたぶっていたんだって………。私がやってきた事は正義じゃない、只の歪んだ快楽をぶつけていただけだ…そんな私に戦う資格なんてない」

木曾「……一つ言っておく。オレは自分達が正義だなんて、思ってない」

長門「…え?」


意外な言葉に驚く長門。

木曾はそんな彼女の隣に座り、続きを話し出す。


木曾「オレもあの後、自分の正義に疑問を持った。それでカテリーナに相談したんだ。そしたらアイツ、『血を流してる時点で正義なんてどちらにもない。そんな正義を掲げる位なら自分の信念を掲げなさい』って…」

長門「信念……カテリーナがそんな事を……」

木曾「多分、誰かさんの言葉なんだろうけどな。けどそれでオレは正義がどうとか考えずに、この鎮守府の仲間を護りたい…その想いだけで戦ってる」


窓から見える空を眺めながら話す木曾を横目で見ながら先の言葉を思い浮かべる。


長門「正義じゃなく、信念か…」

木曾「オレも人の事言えないけど、真面目に考えすぎなんじゃないか?長門は只快楽の為に戦ってた訳じゃ無いだろ?正義とは言えないけど、ちゃんとしたモノがあって戦ってた…オレはそう思う。そうじゃなかったら、今みたいに悩んで無いだろうしな?その快楽の部分だけ見えちまってそこんとこ、見落としてるんじゃないか?」

長門「…私が戦ってきた理由……」


木曾の言葉を聞いて、自分の信念を思い出そうとする。


木曾「ま、そう言うことだ。出来れば早めに答えを出してくれよ?そろそろ準備しなきゃ」


長門の肩を軽く叩くと、木曾は立ち上がり部屋を出ていった。


そして約1時間後、陣形を組んだ第1艦隊及び第2艦隊が鎮守府正面に待機していた。


木曾(長門は…来ないか)


長門が皆の前に現れない事に軽く肩を落とす。

その時カテリーナから無線が全員に入る。


カテリーナ『これより比叡救出作戦を開始するわ!彼女を奪還し次第即撤退、彼女の保護と全員の帰還を最優先して!』

金剛「了解デース…!比叡を絶対に救いだしマース!!」

カテリーナ『連合艦隊出撃!!』


カテリーナの合図で一斉に動き出す。

トラック泊地目指して全速力で進み、特に会敵することなく目的地が見えてくる。


五十鈴「…見えてきたわね」

川内「水偵を飛ばすよ…流石に敵もいるだろうし」


水上偵察機を2機、トラック泊地目掛けて飛ばす。

それと同タイミングで加賀の艦載機も飛んでいった。


加賀「…敵艦隊捕捉」

川内「いっぱい居るよ!皆気を付けて!」


前方で艦載機が戦っているのか、小さな爆発と水柱が見える。


五十鈴「見えたわ!駆逐級、軽、雷巡級多数!」

加古「ここはあたしらに任せな!」

海風「金剛さん達は奥へ!比叡さんを頼みます!!」


五十鈴を筆頭に砲雷撃を繰り出し敵の陣形に穴を開ける。


金剛「絶対に…連れて帰りまス!」

木曾「皆も無理をするなよ!?」


乱れた陣形の隙間を全速力で通り抜ける。

その後も軽、重巡級や空母級の艦隊が襲ってくるが弾薬の節約の為あまり相手をせず、ひたすら奥へ進んでいく。


加賀「…艦載機より入電、前方に比叡らしき影と戦艦級2」

金剛「っ!?比叡!!!」


目の前に立ち塞がる空母級らを沈め、前へ進んでいく。

そして情報通り比叡の姿とそれを警護するように左右に戦艦級が立っていた。


金剛「複縦陣に変更!ワタシと木曾は左、那智と北上は右の戦艦級を撃破してくだサーイ!加賀は両サイドの援護を!!」

那智「任せろ!」

加賀「了解」


それぞれ分散し、臨戦体勢に入った戦艦級に接近していく。


金剛「比叡に…妹に近寄らないデェェェエエエエエエ!!!」


戦艦級の砲撃を掻い潜り、その顔面に右ストレートを繰り出す。

更にその威力で仰け反った所に砲撃をくわえて吹き飛ばす。


金剛「木曾!」

木曾「おうよ!」


魚雷を戦艦級が吹き飛んだ方向へ放ち、止めをさした。

一方那智達も戦艦級を沈める事に成功。そのまま木曾や加賀と周囲の警戒に入り、金剛は比叡の元に駆け寄った。


金剛「比叡迎えに来たデース!」


比叡を抱き締める金剛。だが比叡は何一つ反応を示さない。


金剛「比叡?どうしまし…!?」


比叡の顔を覗き込んだ瞬間金剛の体に鳥肌が立った。

比叡の瞳から蒼く冷たい視線が金剛に放たれていた。

思わず抱き締めていた腕を放ち、一歩後ずさる。


金剛「ひ、比叡…?」

木曾「どうした金剛!?」

加賀「道中無視した敵が迫っています…早く!」


木曾達の急かす声が聞こえるが、金剛の耳に届かなかった。

目の前にいる比叡に…寒気を催す程の殺気を感じていたからだ。


金剛「比叡ワタシです金剛デース!!」

比叡「金…剛…?誰、だっけ…?誰……」


その瞬間、比叡の背後に巨大な水柱が立ち上がり何かが浮上してくる。

その轟音に那智達全員の視線が水柱の中にいる物体に向く。


比叡「あぁ、思い出した……」

北上「ちょ、何あれ…!?」

那智「あれも深海悽艦だというのか!?」


水柱が消え中から出てきたのは、太く強靭な四肢を持った2メートルはあるであろう巨人の様な生物。


比叡「金剛…艦娘……私が倒すべき敵…!」


巨人が乗れと言わんばかりに左手を差し伸べる。そして比叡は躊躇い無くそこに腰掛け、脚を組んで金剛達を見下す。


ヒエイ「この戦艦悽姫様が叩きのめす敵ねぇ!!」


金剛「……比叡っ!」

木曾「嘘…だろ…!?」


髪が黒く染まり、肌が白く変色していく。

その様子を金剛達は見ている事しか出来なかった。


ヒエイ「気合…入れてぇ……沈めてあげるぅ!!」


主砲を金剛達目掛け放つ。金剛と木曾は回避出来たものの、北上、那智、加賀が被弾し大破。その威力で気絶してしまっていた。


木曾「くそっ…間に合わなかったのか…!」

金剛「比叡…止めるデース……そんなの、あなたらしくないヨ…?」


作戦失敗を悟り、大破し倒れた3人のフォローに入ろうとする木曾。

だが一方金剛は目の前の現実が受け入れられず、比叡に歩み寄って行く。


木曾「バカっ!戻れ!!もう彼女は比叡じゃない!!!」


金剛「さぁ、比叡…帰りまショウ…?」

ヒエイ「…」


見下しているヒエイに手を差し伸べる。


ヒエイ「…貴女……」


それに応じる様に巨人の掌から降り、金剛に近付いていく。

それを見て金剛の表情も明るくなっていく。


金剛「ひえ」

ヒエイ「すっごく腹立つ顔ねぇ?」


嬉しそうな表情を浮かべる金剛の胸ぐらを掴み、思いっきり殴り飛ばした。


金剛「あぁっ!」


水切りした小石の様に水面をバウンドする金剛。

更に追い撃ちとばかりに砲撃し、金剛を大破させる。


金剛「ひ……え…い…」

ヒエイ「アハハハハハハハハハハハハハハ!!!!あぁ、最っ高!!!!」


ボロボロになって浮かんでいる金剛を嘲笑う。

そこに他の深海悽艦達が金剛達を囲う様に現れる。


木曾「さっき無視した奴等か……最悪だ……」

ヒエイ「さようなら、間抜けな艦娘さん?アハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」


ヒエイは高笑いを浮かべながら巨人と共に深海へ沈んでいく。

木曾は周りを囲んでいる深海悽艦らを睨みながら、対策を考えていた。


木曾(このままじゃ全滅しちまう!だがこの数相手じゃ……)


フッと構えていた単装砲を下ろし、全てを受け入れようと目を閉じる。

その時一部の深海悽艦が爆発し沈んでいく。

目を開きその場所を見るとその背後から五十鈴ら第2艦隊が来ていた。


五十鈴「各艦、ありったけの火力を持って援護射撃!!」

川内「夜戦じゃないけど本気でいくよ!」

加古「加古スペシャルを喰らいやがれぇ!!!」

不知火「…沈めっ!」

雪風「幸運艦の実力を見せる時です!」

海風「皆さん、無事ですか!?」


砲撃を中心に、敵の包囲を崩していく。

木曾もそれに続き、包囲してきた敵を一掃する事に成功した。


木曾「……話は後だ。とにかく金剛達を連れて帰還しよう」

五十鈴「そう……わかったわ」


気絶した金剛達を背負い、木曾達はトラック泊地を後にした。


後書き

前編はとりあえず以上となります
次回はまた提督の鎮守府のお話になります


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